JP2016208894A - 加工魚およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、より十分に熟成効果が発揮された加工魚およびその製造方法を提供する。【解決手段】本発明は、加工魚の製造方法を提供する。当該方法は、水、食塩、0.5重量%〜10重量%のリンゴ酸ナトリウムに相当する量のカルボン酸塩を含む熟成液に予め浸漬された魚片を5℃〜15℃の温度で48時間〜84時間に亘って密閉された真空パック内に維持することによって熟成させることを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、加工魚およびその製造方法に関する。
畜肉および魚介系動物性たんぱく質素材は、適切な温度と時間条件の下、酵素などの作用により次第に化学変化を起こし、風味や旨みが増加する。この現象は一般的に熟成と呼ばれている。
現在、付加価値のある食品素材として、幾多の食品が上市されている。市場認知度が高いことから、熟成を訴求した鮭加工品もある。しかしながら、現在市場されている鮭加工品は、熟成を謳っているものであっても、十分に熟成効果が発揮されているものはなく、「熟成」のイメージのみを訴求販売しているものが多い。
特開2008−182969号公報
上記の状況に鑑み、本発明は、より十分に熟成効果が発揮された加工魚およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、加工魚の製造方法を提供する。当該方法は、水、食塩、0.5重量%〜10重量%のリンゴ酸ナトリウムに相当する量のカルボン酸塩を含む熟成液に予め浸漬された魚片を5℃〜15℃の温度で48時間〜84時間に亘って密閉された真空パック内に維持することによって熟成させることを特徴とする。
本発明によって、より十分に熟成効果が発揮され、より高い品質を有する加工魚が提供される。
実施形態の最終製品の1例として鮭の加工魚の略図。 実施形態の加工魚を製造する手順を示すスキーム図。 実施形態の加工魚を製造する手順を示すスキーム図。 味覚センサーによる味覚分析結果を示すグラフ。
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
実施形態に従う加工魚は、生食用または調理用の鮭であり得る。最終製品としての加工鮭の1例を図1(a)および(b)に示す。図1(a)および(b)は、加工鮭の平面図である。図1(a)は、加工鮭をそこに含まれる半身魚の切断面側から見た平面図であり、図1(b)は、図1(a)の加工鮭の裏面を示す平面図である。
加工鮭1は、ムルチバック2と、それに収容された鮭の半身3とを備える。鮭の半身3の切断面3aには、骨が残されている(図1(a))。鮭の半身の裏面3bには、皮が残されている(図1(b))。半身3を収容したムルチバック2は、内部からある程度まで空気が抜かれた状態で密封されている。これは、所謂、真空パックであり、この加工魚の例は、鮭半身の真空パック包装物とも称される。この実施形態では、真空パックの1例としてムルチバックを用いる例を示したが、これに限定するものではなく、加工魚は、その内部に収容される魚片を損なわない程度に減圧および密封が可能な樹脂製のパッケージ(即ち、樹脂パック)などに魚片を収容し、密封されたものであり得る。
上記例では加工鮭の1例を示したが、加工魚はこれに限定されるものではない。例えば、加工魚は、鮭およびマスなどのサケ科の魚、並びにタラ、サバ、サワラおよびキンメなどの白身魚などであり得る。
また、ムルチバック2に収容する魚片の大きさおよび形状は、対象となる魚種や製造者または購入者などの所望に応じて選択されればよい。例えば、半身、開き、4分の1またはそれ以上に切断されることによって得られた魚片であり得る。また骨が除去されていてもよく、除去されていなくてもよい。
実施形態に従うと、水、食塩および0.5重量%〜10重量%のリンゴ酸ナトリウムに相当する量のカルボン酸塩を含む熟成液に予め浸漬された魚片を5℃〜15℃の温度で48時間〜84時間に亘って密閉された真空パック内に維持することによって熟成させることを特徴とする加工魚の製造方法が提供される。
更なる実施形態に従うと、次の工程を含むことを特徴とする加工魚の製造方法が提供される;
(1)原魚を下処理すること、
(2)前記下処理された当該原魚を切断することにより魚片を得ること、
(3)当該魚片を水、食塩および0.5重量%〜10重量%のリンゴ酸ナトリウムに相当する量のカルボン酸塩を含む熟成液に漬けこむこと、
(4)前記熟成液から取り出した魚片を樹脂パックに収容し、減圧密封すること、および
(5)前記樹脂パック内に減圧密封された魚片を5℃〜15℃の温度に48時間〜84時間に亘って維持すること。
更なる実施形態に従うと、当該方法は、上記の(1)〜(5)の工程に加えて、更に「(2’)少なくとも水および食塩を含む熟成液を前記魚片にインジェクションすること」を前記(2)と前記(3)との間に含み得る。
更なる実施形態に従うと、当該方法は、上記(1)、(2)、(3)、(4)および(5)の工程、または上記(1)、(2)、(2’)、(3)、(4)および(5)の工程に加えて、前記(5)の工程の後に更に「(6)前記(5)における維持の後に当該樹脂パック内に減圧密封された魚片を5℃以下に冷却すること」を含み得る。
例えば、加工鮭の製造は、図2に示すようなスキームに従い次のように行われ得る。まず、原魚の下処理をする(S1)。その後、それを所望の大きさにカットしてフィレにする(S2)。得られたフィレの切断面側の複数個所に対して針によって第1の熟成液をインジェクションする(S3)。これを12時間〜24時間に亘り、0℃〜10℃の条件下で第2の熟成液に漬け込む(S4)。漬け込んだ後のフィレを1つずつ樹脂パック内に収容し、フィレを損なわない程度にまで脱気して密封する。これにより、ムルチ包装(真空パック包装)を行う(S5)。次に、ムルチ包装された魚フィレを5℃〜15℃、好ましくは8℃〜10℃に、48時間〜96時間、好ましくは48時間〜84時間、より好ましくは48時間〜72時間に亘って維持する。これにより魚フィレの熟成を行う(S6)。
熟成条件は、樹脂パック内に魚片を真空パック包装し、その状態で、5℃〜15℃の範囲の何れかの温度に48時間〜96時間の範囲、好ましくは48時間〜84時間の範囲に含まれる何れかの時間に亘って維持すればよい。例えば、魚片を5℃で48時間、15℃で48時間、5℃で84時間、または15℃で84時間に亘って維持してもよく、或いは上記範囲に含まれる所望の温度で上記範囲に含まれる所望の時間に亘って維持してもよい。或いは所望の時間に亘って、例えば、5℃〜15℃の範囲で温度が変動してもよい。これらの温度範囲でこれらの時間に亘って維持することによって、良好な熟成を達成することが可能である。例えば、15℃よりも高い温度、例えば、20℃以上または20℃を超えた温度で熟成を行うことは、食品に望ましくない菌が繁殖する可能性が増すために好ましくない。また5℃よりも低い温度で熟成を行うことは、十分な熟成を得ることができないために好ましくない。更なる好ましい熟成条件の例は、5℃〜10℃の範囲で48時間〜96時間、または5℃〜15℃の範囲で48時間〜84時間であり得る。
第1の熟成液は、例えば、主に魚肉の全体に亘って塩分をよりよく行き届かせる目的で用いる。従って、第1の熟成液は、少なくとも水と食用塩とを含めばよい。
第2の熟成液は、加工魚を熟成させるための主な液体である。第2の熟成液は、水、食塩およびカルボン酸塩を含むことによって、従来に比べて喫食のための良好な熟成感を達成することが可能となる。従って、実施形態に従う製造方法においては、少なくとも第2の熟成液にカルボン酸塩が含まれる。
例えば、第1の熟成液は、第2の熟成液と同じ組成であってもよい。また、第1の熟成液と第2の熟成液とが、互いに異なる組成であってもよい。第1の熟成液および/または第2の熟成液は、更に、抗酸化剤などの一般的な食品において用いられる所望の添加物を更に含み得る。また、第2の熟成液は、基本的に、水、食用塩、カルボン酸塩および抗酸化剤などを含む水溶液であり得る。
カルボン酸塩は、例えば、リンゴ酸ナトリウム(リンゴ酸Na)、クエン酸ナトリウム(クエン酸Na)、乳酸ナトリウム(乳酸Na)などであり得る。或いは、これらのカルボン酸塩は、ここに示されたナトリウム塩ではなく、例えば、マグネシウム塩、カリウム塩またはカルシウム塩であってもよい。
カルボン酸塩の濃度は、0.5重量%〜10重量%のリンゴ酸ナトリウムに相当する濃度であり得る。好ましくは、カルボン酸塩の濃度は、0.5重量%〜5重量%のリンゴ酸ナトリウムに相当する濃度であり得る。ここにおいて特定の成分が「N重量%」で特定の溶液に含まれると記載したとき、そこに示される数値「N」は、100gの熟成液中に含まれる特定の成分の量(g)を示す。言い換えれば、特定の成分のNgが100gの溶液に含まれていることを示す。カルボン酸塩の濃度について「重量%」で示す場合には、特に他の断り書きがない限り、リンゴ酸ナトリウムに相当する濃度、即ち、リンゴ酸ナトリウム換算量として示す。
カルボン酸塩の濃度が、0.5重量%よりも低い場合、十分な熟成を得ることが難しく、また10重量%を超えて含まれる場合、例えば、15重量%以上または20重量%以上などで含まれる場合には、やや後味が悪くなる傾向がある。特に25重量%以上、30%重量以上、50重量%以上の場合には、明らかに後味が悪く、身が縮むなどの悪影響が生じることから望ましくない。
抗酸化剤は、例えば、ビタミンC、ビタミンEなどの食品用の抗酸化剤であり得る。所望に応じて、添加剤を添加し得る。熟成液のpH値は、5〜7、好ましくは約6であり得る。pH値の調整は、カルボン酸や抗酸化剤など、熟成液に含ませる成分により行うことが好ましいが、これに限定するものではない。
熟成液の総塩濃度は、2重量%〜25重量%であり得る。例えば、総塩濃度は、5重量%〜20重量%であることが好ましい。より好ましくは、第1の熟成液の塩濃度は、第2の熟成液の塩濃度よりも高い。例えば、1つの実施形態において、第1の熟成液の塩濃度は、15重量%〜25重量%であり、第2の熟成液の塩濃度は、2重量%〜25重量%であり得る。好ましくは、例えば、第1の熟成液の塩濃度は、24重量%〜25重量%であり、第2の熟成液の総塩濃度は、5重量%〜20重量%であり得る。
例えば、熟成温度0℃〜10℃で48時間〜96時間に亘り熟成を行う場合には、5重量%〜20重量%、好ましくは5重量%〜15重量%の総塩濃度であり得る。また例えば、熟成温度10℃〜15℃で48時間〜84時間に亘り熟成を行う場合には、10重量%〜25重量%、好ましくは10重量%〜20重量%の総塩濃度であり得る。
ここで、総塩濃度に含まれ得る塩の種類は、一般的に塩味を食品に与えるための塩であり、即ち、一般的に食塩、並塩、天然塩、再生塩、精製塩と称される何れの塩であってもよく、それらを混合して使用してもよい。また、そのような塩には、例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウムなどが含まれ得る。
抗酸化剤の濃度は、一般的に使用される何れかの量であればよく、例えば、0.1重量%〜1.0重量%、好ましくは0.3重量%〜0.7重量%濃度であり得る。
熟成により、魚フィレ中のアミノ酸組成が変化する。特に、そのようなカルボン酸塩が熟成液に存在していることによって、最終産物である加工魚中のアミノ酸の組成が加工前とは異なる組成となる。ここで、特に注目されるべき点は、例えば、リンゴ酸Naをカルボン酸塩として添加した場合、アミノ態窒素量およびその組成には大きな変化は生じないにも拘わらず、喫食時に得られるおいしさは、従来のものに比べて著しく優れていることである。このことは、喫食対象がどのように製造されたものであるかを知らされずに試験を行ったブラインド試験による官能評価や味覚センサーによる試験の結果から明白である。
製造された加工魚は、熟成を行ったムルチバック内に収納されたままで市場に提供され得る。流通される際は、チルド温度で貯蔵されても、冷蔵または冷凍されてもよい。スーパーまたはデパートなどの小売店においては、ムルチバックから取り出し、所望に応じて、所望の大きさに切断された切り身として消費者に提供されてもよい。
製造から販売までの温度は、例えば、10℃以下、5℃以下、0℃以下であり得る。ここで、チルド温度とは、例えば、10℃以下または5℃以下であればよい。チルド温度または冷凍温度までの冷却は、どのような冷却速度で行ってもよいが、所望の温度にまで急速に冷却することが好ましい。例えば、冷却速度は、1分間当たり3℃〜0.1℃であればよく、好ましくは3℃〜0.3℃であってもよい。
加工魚の製造から流通までの1例を図3に示した。まず、原料となる魚(原魚)を解凍する(S11)。仮に冷凍されていない原魚を使用する場合には、この工程は省略される。次に、原魚からヒレを除去する(S12)。次にセンターカットを行って所望の大きさの魚片を得る(S13)。センターカットされた面、即ち、切断面側の肉に熟成液をインジェクション(注入)する(S14)。次に、これを熟成液に漬けこむ(S15)。その後、魚片を熟成液から取り出し、ムルチ包装を行う(S16)。これを所望の温度で所望の時間に亘り熟成される(S17)。この熟成により加工魚が得られる。流通のために、加工魚は速やかに急速凍結またはチルド温度に冷却される(S18)。販売時または調理時までチルドまたは冷凍保管すればよい(S19)。
このような本発明の実施形態によれば、より十分に熟成効果が発揮された加工魚およびその製造方法が提供される。
実施形態によれば、水、食塩および0.5重量%〜10重量%のリンゴ酸ナトリウムに相当する量のカルボン酸塩を含む熟成液に予め浸漬された魚片を5℃〜15℃の温度で48時間〜84時間に亘って密閉された真空パック内に維持することによって熟成させることを特徴とする方法によって製造されたことを特徴とし、且つ真空パックと、この真空パックに収容された魚片とを備える加工魚が提供される。
更なる実施形態によれば、次のような加工魚も提供される;
(1)原魚を下処理することと、
(2)前記下処理された当該原魚を切断することにより魚片を得ることと、
(3)前記魚片に0.5重量%〜10重量%のリンゴ酸ナトリウムに相当する量のカルボン酸塩を含む熟成液をインジェクションすることと、
(4)前記(3)においてインジェクションされた当該魚片を熟成液に漬けこむことと、
(5)前記熟成液から取り出した魚片を樹脂パックに収容し、減圧密封することと、
(6)前記樹脂パック内に減圧密封された魚片を5℃〜15℃の温度に48時間〜84時間に亘って維持することと、
を含むことを特徴とする方法により製造され、
真空パックと、この真空パックに収容された当該魚片とを備える加工魚。
このような本発明の実施形態に従う加工魚によれば、従来の加工魚と比較して顕著に良好な熟成を達成することが可能である。より十分に熟成効果が達成されることにより、従来にはない、口当たりおよび舌触りなどの食感、風味、味、並びに見た目など、総合的に優れた加工魚が提供される。
[例]
以下実施例及び比較例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
加工魚の製造
(1)加工鮭の製造
加工魚の1例として加工鮭を次のように製造した。まず、加工魚冷凍された原魚を準備した。これを解凍機を使用して解凍した。次いで、胸ヒレ、背ヒレなどを削除した。その後、尾を切断し、センターカットを行った。更にカマをトリミングして形を整えた。その後、薄皮および血合いを除去した。続いて内臓を含む腹部および血合いを洗浄した。これを40cm×15cmの大きさで1,000gのフィレにカットした。
このように下処理された魚フィレの肉部に、第1の熟成液を注射器を用いて複数個所にインジェクションした。これを第2の熟成液に24時間漬け込んだ。その後、第2の熟成液から取り出した魚フィレをムルチバック内に収容し、魚フィレを損なわない程度にまでバック内の空気を抜き、密封した。これを任意の温度で任意の時間に亘って放置することにより、魚フィレを熟成させた。
第1の熟成液の組成を表1に、第2の熟成液の組成を表2に示す。
Figure 2016208894
Figure 2016208894
(2)1つの半身から得られた複数の加工鮭の製造
まず、加工魚冷凍された原魚を準備した。これを解凍機を使用して解凍した。次いで、胸ヒレ、背ヒレなどを削除した。その後、尾を切断し、センターカットを行った。更にカマをトリミングして形を整えた。その後、薄皮および血合いを除去した。続いて内臓を含む腹部および血合いを洗浄した。これを40cm×15cmの大きさで1,000gのフィレにカットした。
さらに、このようにして得られたフィレを約15cm×4cmの大きさで100gに切断した。得られた小片に第1の熟成液を注射器を用いて数個所にインジェクションした。これを第2の熟成液に24時間漬け込んだ。その後、ムルチバックに収容し、魚フィレを損なわない程度にまでバック内の空気を抜き、密封した。これを任意の温度で任意の時間に亘って放置することにより、魚小片を熟成させた。
以下の全ての実施例および比較例において、原魚としてチリ産の銀鮭を用いた。
(3)各条件について
<実施例>
(i)実施例毎にフィレ(半身)を用意し、上記(1)に記載した手順により処理し、以下の実施例1〜13に記載の条件で熟成させて、それぞれ加工鮭を得た。
実施例1
上記(1)に示した通りに加工鮭を製造した。熟成の条件は、10℃で72時間とした。得られた加工鮭を実施例1とした。
実施例2〜3
上記(1)に示した通りに加工鮭を製造した。熟成の条件は、5℃および15℃で72時間とした。得られた加工鮭をそれぞれ実施例2および3とした。
実施例4〜6
上記(1)に示した通りに加工鮭を製造した。熟成の条件は、5℃で48時間、96時間および120時間とした。得られた加工鮭をそれぞれ実施例4、5および6とした。
実施例7〜9
上記(1)に示した通りに加工鮭を製造した。熟成の条件は、10℃で24時間、48時間および96時間とした。得られた加工鮭をそれぞれ実施例8、9および10とした。
実施例10〜13
第2の熟成液に含まれるリンゴ酸ナトリウムの濃度を0.5%、5.0%、10.0%、20%に変更したこと以外は、上記(1)に示した通りに加工鮭を製造した。熟成の条件は、10℃で72時間とした。得られた加工鮭を実施例10、11、12および13とした。
(ii)後述する比較例も含めて後述する試験毎に1つの半身から上記(2)に記載のように製造した複数の魚小片を得て、以下の実施例14〜20の条件で熟成させてそれぞれ加工鮭とした。
実施例14
上記(2)に示した通りに魚小片を製造した。熟成の条件は、5℃で72時間とした。得られた加工鮭を実施例14とした。
実施例15
上記(2)に示した通りに魚小片を製造した。熟成の条件は、10℃で72時間とした。得られた加工鮭を実施例15とした。
実施例16
上記(2)に示した通りに魚小片を製造した。熟成の条件は、10℃で48時間とした。得られた加工鮭を実施例16とした。
実施例17
上記(2)に示した通りに魚小片を製造した。熟成の条件は、10℃で84時間とした。得られた加工鮭を実施例17とした。
実施例18および19
上記(2)に示した通りに魚小片を製造した。熟成の条件は、15℃で72時間および84時間とした。得られた加工鮭を実施例18および19とした。
実施例20
上記(2)に示した通りに魚小片を製造した。熟成の条件は、0℃で72時間とした。得られた加工鮭を実施例20とした。
<比較例>
加工鮭の比較例を以下のように作製した。
(i)比較例毎にフィレ(半身)を用意し、上記(1)に記載した手順により処理し、以下の比較例1〜6に記載の条件で熟成させて、それぞれ加工鮭を得た。
比較例1(リンゴ酸Na添加なし)
第2の熟成液がリンゴ酸Naを含まないことを除いて、上記(1)と同様に加工鮭を作製した。熟成の条件は、10℃で72時間とした。得られた加工鮭を比較例1とした。熟成は、魚半身について行った。
比較例2(ムルチ包装なし)
熟成時にムルチ包装を行わないこと以外は、上記(1)と同様に加工鮭を作製した。ムルチ包装を行わずにトレイに入れて放置した。熟成の条件は、10℃で72時間とした。得られた加工鮭を比較例2とした。熟成は、魚半身について行った。
比較例3(熟成温度0℃)
熟成温度が0℃であり、熟成時間が72時間であるという条件で、上記(1)と同様に加工鮭を作製した。熟成は、魚半身について行った。
比較例4(熟成温度20℃)
上記(1)に示した通りに加工鮭を製造した。熟成の条件は、20℃72時間とした。得られた加工鮭を比較例4とした。熟成は、魚半身について行った。
比較例5および6(リンゴ酸の濃度)
第2の熟成液に含まれるリンゴ酸ナトリウムの濃度を30.0%および50.0%に変更したこと以外は、上記(1)に示した通りに加工鮭を製造した。熟成の条件は、10℃で72時間とした。得られた加工鮭を比較例5および6とした。熟成は、魚半身について行った。
(ii)上記実施例も含めて後述する試験毎に、1つの半身から上記(2)に記載のように製造した複数の魚小片を得て、以下の比較例7〜14の条件で熟成させてそれぞれ加工鮭とした。
比較例7(熟成なし)
熟成条件を0時間としたこと、即ち、熟成を行わないこと以外は、上記(2)に記載した通りに魚小片を製造した。熟成期間を設けずに得られた加工鮭を比較例7とした。
比較例8(リンゴ酸Na添加なし)
リンゴ酸ナトリウムを添加していないこと以外は、上記(2)に記載した通りに魚小片を製造した。熟成条件は、10℃72時間とした。得られた加工鮭を比較例8とした。
比較例9(ムルチ包装なし)
ムルチ包装を行わずに熟成を行ったこと以外は、上記(2)に記載した通りに魚小片を製造した。熟成条件は、10℃72時間とした。得られた加工鮭を比較例9とした。
比較例10(過剰なリンゴ酸Na)
リンゴ酸ナトリウムの熟成液中の含有量を25%としたこと以外は、上記(2)に記載した通りに魚小片を製造した。熟成条件は、10℃で72時間とした。得られた加工鮭を比較例10とした。
比較例11(熟成条件15℃、96時間)
上記(2)に示した通りに魚小片を製造した。熟成の条件は、15℃で96時間とした。得られた加工鮭を比較例11とした。
比較例12〜14(熟成温度20℃)
上記(2)に示した通りに魚小片を製造した。熟成の条件は、20℃で、72時間、84時間または96時間とした。得られた加工鮭をそれぞれ比較例12、比較例13および比較例14とした。
上記のように得られた加工鮭をそれぞれ以下の例1〜5の試験に使用した。
例1 食味についての試験
5人のパネラーにより、食感および味について官能試験を行った。上記(1)において作製し、5℃で10日間保存した後の加工鮭を3cm×15cm、100gの大きさにカットしたものをグリルで焼いて調理した。その後、5人のパネラーが試食した。パネラーは試食するサンプルがどのサンプルであるのかを知らされずに官能評価を行った(所謂、ブラインド試験)。
各人の評価は5段階評価によって行い、最高点である「5」から、最低点である「1」までの1点刻みの数値により評価結果を示した。最終結果は、パネラー全員(5人全て)の平均点で示した。また、それぞれのサンプルに対して各人がコメントを付した。それらのコメントのうち代表的なものを最終結果として示した。
官能試験の結果を表3、並びに後述の表4、表5および表6に示す。
Figure 2016208894
実施例1、実施例2および実施例3、並びに比較例1、比較例2、比較例3および比較例4について行った官能試験の結果から、実施例1および2は、明らかに比較例1、比較例2、比較例3および比較例4に比べて総合点が優れていた。特に実施例1は、全サンプル中の最高得点である4.8であった。実施例1は、旨み、外観、食感の何れにおいても飛びぬけて高く評価された。また、実施例3および比較例4では腐敗の進行による風味や食感の劣化進行が認められた。
これらの結果から、リンゴ酸ナトリウムなどのカルボン酸塩が塩カドを減少させることが明らかとなった。また10℃72時間の熟成により、より十分な熟成効果が得られ、それにより旨みが増加したことが明らかになった。また、カルボン酸塩により魚肉の色が保持されたようであった。
ムルチ包装を行わなかったサンプルは、熟成時間に亘り室内に解放された状態で放置されたために表面が乾燥していた。そのため水分が減少し、身が固くなっていた。
0℃で維持したサンプルでは、熟成が進行せず、旨みの増加は見られなかった。
5℃で維持したサンプルの場合、10℃で維持したサンプルに比べると弱いながらも熟成は十分に進んだようであった。また、退色が少なく色が鮮やかであった。
15℃で維持したサンプルの場合、この塩濃度では腐敗臭が感じられたが、過度な食塩の添加を必要とせずに、他の実施例と遜色のないおいしさを維持できる量の食塩を追加することにより、即ち、食塩濃度を少し増やすことによって、より十分に熟成効果を得ることができるという手応えが得られた。
20℃での維持では、腐敗臭が強く、旨みの評価はできなかった。また身質もかなり柔らかく、溶けたような滑りがあり、総合評価は全てのサンプルのうちで最低であった。15℃の条件とは異なり、20℃の場合では、菌の増殖を防ぐためにはより多くの食塩の添加が必要とされることが示唆された。しかしながら、より多くの食塩を使用することにより、目的とするより熟成効果を十分に生かし、より良好な旨みを得ることを妨げる可能性があると考えられた。
実施例1、実施例2、実施例4、実施例5、実施例6、実施例7、実施例8および実施例9について官能評価を行った結果を表4に示す。
Figure 2016208894
これらの結果から、熟成温度5℃のときには、48時間を超えて維持することが好ましいこと、また、熟成温度5℃の場合、熟成がゆっくりと進行するが、120時間に亘り維持すると身の退色が進み白っぽくなることが観察された。一方、10℃では96時間で退色が進行した。
熟成温度10℃の場合、時間の経過と共に熟成が進んだが、96時間では腐敗が進行してしまうので、食塩濃度を増やすことが望ましいことが示唆された。熟成温度10℃のときには、過度な食塩の添加を必要とせずに、他の実施例と遜色のないおいしさを維持できる量の食塩を追加することにより、即ち、食塩濃度を少し増やすことによって、より十分に熟成効果を得ることができる範囲は、例えば、96時間未満、好ましくは84時間以内であることが示唆された。
熟成温度5℃および10℃共に72時間が経過した時点で深みのある赤色が観察された。その後は時間の経過により退色が進行した。
熟成が進むにつれて食感がしっとりして良好になった。しかしながら熟成が進行しすぎると身が軟化し過ぎてしまうことが明らかとなった。
実施例10、実施例11、実施例12および実施例13、並びに比較例5および比較例6について官能評価を行った結果を表5に示す。これらの例は、リンゴ酸ナトリウムの濃度を変更したサンプルの比較である。
Figure 2016208894
カルボン酸塩として添加したリンゴ酸ナトリウムは、0.5重量%〜20.0重量%までは、旨みを得ることが可能であった。また、特に0.5重量%〜10.0重量%までの濃度で特に身が柔らかく旨みがあり、しかも外観が良好であるという優れた効果が得られた。
1つの半身から製造した加工鮭サンプルについて官能評価を行った。即ち、実施例14、実施例15、実施例16および実施例17、並びに比較例7、比較例8、比較例9および比較例10を比較した。その結果を表6に示す。
Figure 2016208894
リンゴ酸ナトリウムなどのカルボン酸塩の存在下でムルチ包装内で維持することにより、旨みを増すことができた。また、更に10℃で熟成を行うことにより48時間、72時間および84時間の何れのサンプルの場合においても旨みに加えてしっとりとした食感が得られた。特に、魚片を10℃に72時間維持することにより、旨みが深く、ソフトでジューシーな食感を得ることができ、理想的な熟成感を得ることができた。
例2 物性測定
各条件に従って製造した加工鮭の切り身70g(7〜8mm厚)を電気オーブンを用いて280℃で8分間焼成し、テクスチャーアナライザーで硬さを測定した。その結果を、表7に示す。用いたサンプルは、実施例14、実施例15、実施例16および実施例17、並びに比較例7、比較例8、比較例9および比較例10であった。
Figure 2016208894
表7の結果から、熟成が不足しているとやや硬く、熟成の進行に伴って身が柔らかくなることが明らかとなった。また、リンゴ酸塩の濃度が25重量%の場合には、特に柔らかくなっていた。また、ムルチ包装なしの場合には、焼き上がりが硬めになった。
また、同じ熟成時間では、温度が5℃よりも10℃のときの方がより柔らかかった。
これらの機械的な物性測定の結果は、官能評価の結果を裏付けていた。
例3 アミノ酸分析とニンヒドリン呈色試験
実施例14、実施例15、実施例16、実施例17、実施例18および実施例20、並びに比較例7、比較例8、比較例9および比較例10について、上述と同様の方法によりアミノ酸分析とニンヒドリン呈色試験を行った。これらのサンプルは、全て1つの魚片から作製したものである。
それぞれ製造された加工鮭の肉部をそれぞれ5g採取して蒸留水100mLでホモジナイズ抽出して、それぞれ溶液サンプルを得た。これらの溶液サンプルをニンヒドリン比色法で吸光度測定して、アミノ態窒素相当量(g/100g)を算出した。
その結果を表8に示した。
Figure 2016208894
表8に示すように、アミノ酸分析の結果から、熟成効果とアミノ酸含有量との間には相関傾向が見られた。
何れのアミノ酸についても、熟成することによって増加する傾向が示された。熟成温度が5℃の場合では、一部では、熟成によるアミノ酸の産生が遅くなる傾向を示すアミノ酸もあった。しかしながら、熟成が進行することによって、自己消化が進み、それによりアミノ酸が増加する傾向を示した。また、遊離アミノ態窒素相当量が、熟成によって増加する傾向が、僅かな差ではあるものの、ニンヒドリン呈色試験によって示された。また、ムルチ包装を行ったときの方が、熟成がより進行し、アミノ酸がより増加する傾向が示された。一方、リンゴ酸Naの添加によって熟成が進行するという傾向は見られなかった。他方、上述したように、官能評価では、25%未満、例えば、20%のリンゴ酸Naの添加によって、塩カドが取れるという効果が示されている。しかしながら、そのようなリンゴ酸Naの添加による効果をアミノ酸分析とニンヒドリン呈色試験との結果から数値化することは今回の試験においてできなかった。
例4 腐敗についての試験
(1)15℃での熟成
実施例18および実施例19、並びに比較例11について、製造直後のサンプルについて菌の繁殖について試験した。各サンプルをそれぞれホモジネートした後、標準寒天培地法を用いて一般生菌数を測定することによって、腐敗について試験を行った。その結果を表9に示す。
Figure 2016208894
実施例18および実施例19の場合、即ち、15℃で72時間、15℃で84時間および15℃で96時間の一般生菌数は、1.5×10、1.0×10および9.3×10であった。一般生菌数に関するこれらの結果は、何れも1.0×10/g以内の範囲内に収まっており、喫食可能な範囲内である。しかしながら、比較例11の場合、9.3×10の一般生菌数であり、比較的短時間の間に1.0×10/gに到達する可能性が大きいことが示唆された。また、何れの実施例および比較例についても、大腸菌群については陰性であった。
(2)20℃での熟成
比較例12、比較例13および比較例14について、製造直後のサンプルについて菌の繁殖について試験した。各サンプルをそれぞれホモジネートした後、標準寒天培地法を用いて一般生菌数を測定することによって、腐敗について試験を行った。その結果を表10に示す。
Figure 2016208894
比較例12、比較例13および比較例14は、熟成時間を変えて、即ち、72時間、84時間および96時間に亘り何れも20℃で熟成を行った例である。これらの場合の一般生菌数はそれぞれ7.6×10、4.7×10および5.0×10であった。これらの結果のうち、比較例12および比較例13は、1.0×10/g以内の範囲内に収まっていたが、15℃で96時間と同様に比較的短時間の間に1×10/gに到達する可能性が大きいことが示唆された。一方、比較例14について測定された生菌数は5.0×10であり、喫食が可能な範囲外であった。他方、比較例12および比較例13では、大腸菌群の検出結果は陰性であったが、比較例14では大腸菌群が陽性であった。20℃では腐敗の進行が速いので、安全性を考慮すると熟成処理温度は15℃が限界であると示唆された。
例5 味覚センサーによる加工魚の苦味および渋味系の味覚分析
味覚センサーを用いて、実施例15と比較例8との苦味および渋味系の味覚について機器分析を行った。実施例15および比較例8は、1つの半身から得た魚小片について、それぞれリンゴ酸Naを添加した熟成液に浸漬した後に10℃にて72時間熟成された加工魚の例と、リンゴ酸Naを含まない熟成液に浸漬した後に10℃にて72時間熟成された加工魚の例である。これらのサンプルを次のように処理した。
加工魚を製造した後に、真空包装のままで湯中で10分間ボイルした。その後、真空パックから魚片を取り出し、4倍量の40℃の温水を加えてホモジナイザーで1分間処理した。これを遠心分離機にて3000rpmで10分間処理し、沈殿物と油分およびスカム(浮き滓)を除去した。得られた液層を採取して味覚分析検査に供した。
味覚分析検査は、インテリジェントセンサーテクノロジー社製の味覚センサー(TS−5000Z)を用いて、苦味、苦味雑味および渋味を評価した。
ここで、味覚センサーは、人工脂質膜に味の原因物質となる呈味成分が付着する際に発生する膜電位の変化を検知および数値化することにより、客観的に味覚を評価するセンサーである。このような味覚センサーを使用することにより、従来行われていた呈味成分の化学分析では表現することができなかった複合的な味を客観的に評価することが可能となる。「苦味雑味」は「苦味」の「先味」を表し、「苦味」は後に残る「苦さ」(主に化学物質に起因する)、「渋味」は舌で感じる「収斂性のある味成分」を表している。
結果は、測定データとして数値化した膜電位の値と、それらを3次元イメージに示した図として図4に示す。
実施例15と比較例8の測定データは次の通りである:
苦味雑味 苦味 渋味
実施例15 2.93 −0.4 −0.21
比較例8 4.05 −0.55 −0.14。
上記の測定データおよび図4のグラフから明らかである通り、苦味と渋味については、実施例15および比較例8共にマイナスの値であった。これらの値は、味覚として認知できない程度の味であることを意味する。従って、苦味と渋味については、実施例15と比較例8との間に有意差は認められなかった。一方、苦味雑味については、実施例15は、比較例8に比較して有意に膜電位の値が小さかった。この結果から、リンゴ酸Naの添加が苦味雑味を低減する効果があることが明らかとなった。即ち、リンゴ酸Naの添加によって加工魚の苦味雑味が低減され、熟成に起因する程よい旨味感や、先味苦味のない美味しさが強調されることが明らかとなった。
以上示した通り、実施形態に従う加工魚およびその製造方法によれば、従来の加工魚と比較して顕著に良好な熟成を達成することが可能であることが証明された。より十分に熟成効果が達成されることにより、従来にはない、口当たりおよび舌触りなどの食感、風味、味、並びに見た目など、総合的に優れた加工魚が提供された。

Claims (16)

  1. 水、食塩および0.5重量%〜10重量%のリンゴ酸ナトリウムに相当する量のカルボン酸塩を含む熟成液に予め浸漬された魚片を5℃〜15℃の温度で48時間〜84時間に亘って密閉された真空パック内に維持することによって熟成させることを特徴とする加工魚の製造方法。
  2. (1)原魚を下処理することと、
    (2)前記下処理された当該原魚を切断することにより魚片を得ることと、
    (3)当該魚片を水、食塩および0.5重量%〜10重量%のリンゴ酸ナトリウムに相当する量のカルボン酸塩を含む熟成液に漬けこむことと、
    (4)前記熟成液から取り出した当該魚片を樹脂パックに収容し、減圧密封することと、
    (5)前記樹脂パック内に減圧密封された当該魚片を5℃〜15℃の温度に48時間〜84時間に亘って維持することと、
    を含むことを特徴とする加工魚の製造方法。
  3. 前記カルボン酸塩が、リンゴ酸ナトリウムであることを特徴とする請求項1または2に記載の製造方法。
  4. 更に前記(2)と前記(3)との間に、(2’)少なくとも水および食塩を含む熟成液を前記魚片にインジェクションすること、を含むことを特徴とする請求項2または3に記載の製造方法。
  5. 更に(6)前記(5)における維持の後に当該樹脂パック内に減圧密封された当該魚片を5℃以下に冷却すること、を含むことを特徴とする請求項2〜4の何れか1項に記載の製造方法。
  6. 前記加工魚が、鮭、マス、タラ、サバ、サワラおよびキンメからなる群より選択されることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の製造方法。
  7. 前記加工魚が鮭であり、前記魚片が半身であることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の製造方法。
  8. 当該カルボン酸塩が0.5重量%〜5重量%のリンゴ酸ナトリウムに相当する量であることを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載の製造方法。
  9. 水、食塩およびで0.5重量%〜10重量%のリンゴ酸ナトリウムに相当する量のカルボン酸塩を含む熟成液に予め浸漬された魚片を5℃〜15℃の温度で48時間〜84時間に亘って密閉された真空パック内に維持することによって熟成させることを特徴とする方法によって製造され、
    当該真空パックと、前記真空パックに収容された当該魚片とを備える加工魚。
  10. (1)原魚を下処理することと、
    (2)前記下処理された当該原魚を切断することにより魚片を得ることと、
    (3)前記魚片に0.5重量%〜10重量%のリンゴ酸ナトリウムに相当する量のカルボン酸塩を含む熟成液をインジェクションすることと、
    (4)前記(3)においてインジェクションされた当該魚片を熟成液に漬けこむことと、
    (5)前記熟成液から取り出した当該魚片を樹脂パックに収容し、減圧密封することと、
    (6)前記樹脂パック内に減圧密封された当該魚片を5℃〜15℃の温度に48時間〜84時間に亘って維持することと、
    を含むことを特徴とする方法により製造され、
    当該真空パックと、前記真空パックに収容された当該魚片とを備える加工魚。
  11. 前記カルボン酸塩が、リンゴ酸ナトリウムであることを特徴とする請求項9または10に記載の加工魚。
  12. 更に前記(2)と前記(3)との間に、(2’)少なくとも水および食塩を含む熟成液を前記魚片にインジェクションすること、を含むことを特徴とする請求項10または11に記載の加工魚。
  13. 更に(6)前記(5)における維持の後に当該樹脂パック内に減圧密封された当該魚片を5℃以下に冷却すること、を含むことを特徴とする請求項10〜12の何れか1項に記載の加工魚。
  14. 前記加工魚が、鮭、マス、タラ、サバ、サワラおよびキンメからなる群より選択されることを特徴とする請求項9〜12の何れか1項に記載の加工魚。
  15. 前記加工魚が鮭であり、前記魚片が半身であることを特徴とする請求項9〜14の何れか1項に記載の加工魚。
  16. 当該カルボン酸塩が0.5重量%〜5重量%のリンゴ酸ナトリウムに相当する量であることを特徴とする請求項9〜14の何れか1項に記載の加工魚。
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