JP2016195273A - 気化器 - Google Patents
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Abstract
Description
また、特許文献4には、キャリアガスに液体原料を導入し、ミクロンオーダー以下(1ミクロン以下)に微細化した液体原料をキャリアガスに分散させ(以下、液体原料が分散したキャリアガスを原料ガスという。)、この原料ガスを気化器に導入して気化させた後、成膜室において成膜する技術が開示されている。その際、溶媒のみが気化してしまい、出口の目詰まりが発生することを防止すること等を目的として、出口を冷却するための手段を設けてある。また、液体原料をより小さな粒子としてキャリアガス中に分散させるためにキャリアガスの流速は50〜340m/secが好適な条件として用いられている。
しかし、上記技術により成膜を行うと、膜の表面に波紋が生じてしまうことがある。また、膜中あるいは表面にパーティクルの存在が認められる。さらに、膜の組成が目標とする組成からずれてしまうことがある。また、カーボン含有量が多くなることがある。
さらに、特許文献4記載の記述においては、例えば、STO膜を成膜する場合、気化器の出口近傍における他の装置との継ぎ手部近傍において温度を300℃以上の温度に設定してあかなければ液体原料を気化することができなかった。すなわち、理論上の温度よりはるかに高い温度に設定する必要があった。しかし、例えば、継ぎ手部を300℃に加熱する場合、継ぎ手部におけるOリングとして高い耐熱性が要求されることとなり、メタルリングを使用せざるを得ない場合も生じていた。
特許文献5には、気化部の形状が、ガスの入力側に対して、拡がりを持つ形状であって、内部にヒータを配置した薄膜成膜液体原料用気化器について記載されている。
特許文献5では、気化部の形状が、ガスの入力側に対して、拡がりを持つ形状であるために、ガスの流れが、凹湾の形状の部分で停滞する、あるいは気流の乱れにより噴流に偏りが生じ、十分な気化が困難となり、また、凹湾の形状部分に付着物が蓄積し、パーティクルの発生などの問題点があった。
本発明は、膜における、波紋、パーティクル、カーボン量を減少させることができ、しかも所望の組成を有する膜を形成することができる原料供給可能な気化器を提供することを目的とする。
また、このような気化器を用いることにより、気化器内での気化を促進して、成膜時の波紋の発生等を抑制することができる成膜装置を提供することを目的とする。
本発明は、必要以上の加熱を要することなく気化を十分に行うことが可能な気化器を提供することを目的とする。
本発明者は、従来技術が有する問題の原因について各種実験を重ねて探求した。その結果、キャリアガス中に分散した液体材料が十分気化されないまま成膜室に送り込まれてしまうことに原因があるのではないかとの知見を抱き上記問題の解明を試みた。その結果、加熱温度を単純に高くしただけでは、必ずしも未気化を防止することはできないことを実験により確認した。また、温度を高くすることは継ぎ手部などへの悪影響を与える。
各種実験を重ねる中で、液体原料が分散したキャリアガスの通路にヒータを配置しておくと上記問題点が一気に解決できることを偶然見出し、本発明をなすに到ったものである。
原料ガスの気化器内への導入部における面積は、0.1〜1mm2であり、その部分から原料溶液が分散したキャリアガスが気化器内に導入される。そのガスの流れの延長線上の部分で流速が大きくなり、気化器内において熱を受領する時間が短くなる。そこで、原料ガスの通路の遮蔽物となるように内部ヒータを配置することが好ましい。
気化器の長さは(図1におけるH)は、成膜条件によっても変動するが、一般的には、5〜100cm、あるいは10〜50cmの寸法を有している。原料ガスの導入が高速で行われると、気化に必要な熱を受領することなく一気に導入口から排気口まで流れてしまうおそれがある。従って、排気部は、前記キャリアガスの導入部の延長軸上に配置されている場合に特に有効である。
また、請求項5に係る発明は、前記内部に配置されたヒータがある部分の導入部の円錐形状周辺の通路断面積は、前記ヒータ本体の導入部におけるヒータが無い部分の通路断面積の0.8〜1.2であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の気化器である。
図1におけるS0で示した部分の断面積と、内部ヒータ4が配置された部分における通路断面積S1との関係として、S1は、S0に対して0.8〜1.2とすることが好ましく、0.9〜1.1とすることがより好ましい。この範囲とした場合には、気化は瞬間的に行われ、未反応の液体原料は激減することが確認された。
なお、通路断面積S1に関して、請求項4に記載した、ヒータがある部分の通路断面積は、図1にて、ヒータが円筒状の周辺の通路断面積であり、請求項5に記載した、ヒータがある部分の前記円錐形状周辺の通路断面積は、ヒータの導入部の円錐形状周辺のヒータが円錐状の周辺の通路断面積である。
また、内部ヒータは、原料ガス導入部側に円錐又は多角錐形状の傾斜部を設けておくことが乱流防止の上好ましい。この傾斜部に対応するガス導入部の断面積もS1と同じとすることが好ましい。
従って、気化器の外形も、内部ヒータの傾斜部に沿って傾斜部が形成される。なお、排出部側にも傾斜を設けることが好ましい。
液体原料を裁断し、小さな粒子(外径1μm以下)として霧化し、キャリアガス中に分散させるために、50m/sec〜350m/sec(特に亜音速(音速の0.6〜0.75)のキャリアガスに液体原料を導入することが好適に使用されるのが好ましい。かかる条件の場合において本発明を適用すると気化率を大幅に向上させることが可能となる。
キャリアガスの通路、液体原料、原料ガスの通路乃至原料ガスの導入部を冷却(特に溶媒の沸点以下の温度への冷却)することにより導入部における目詰まりを防止できるが、かかる冷却を行った場合に特に本発明は有効である。
請求項8に係る発明は、前記気化器本体の排出側外周に第2のヒータが配置されたことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項記載の気化器である。
前記第2のヒータを配置することによって、気化路での温度差を、更に縮小することが可能となる。
請求項10に係る発明は、請求項1乃至9のいずれか1項記載の気化器を備えていることを特徴とする成膜装置である。
請求項8による気化器によれば、気化路での温度差を、更に縮小することが可能となる気化器を提供することができる。
本発明は、必要以上の加熱を要することなく気化を十分に行うことが可能な、しかも、温度管理を容易とすることができる気化器を提供することができる。
2 配管接続部
3 気化器本体
3a 導入部
3b 円筒部
3c 排出部
4 ヒータ本体
4a 導入部
4b 円周部
4c 排出部
5 気化路
6 第2のヒータ
図1は、本発明の一実施の形態による気化器の説明図、図2は、図1の本発明の気化器のAA断面図、図3は、本発明の他の実施の形態による気化器の説明図である。
尚、図1に示すように、気化器1へは、複数の成膜用液体材料を投入(矢印C、D参照)することも可能であるし、これらを切り替え投入することも可能である。
図3は、本発明の他の実施の形態による気化器の説明図であり、気化器本体3の排出側外周に第2のヒータ6を配置した例である。
本発明では、例えば、STOの成膜に際して、気化室内を250℃として成膜を行ったところ、気化器と他の装置(例えば、成膜装置)との継ぎ手部も250℃であり、その条件でも膜における波紋、パーティクル、カーボン量は著しく減少しており、しかも所望の組成に対するずれを小さくすることができた。
なお、本例では、高さ/円錐の底辺直径を、0.6とした。
本例では、円周部周辺の通路断面積は、ヒータが無い部分の通路断面積 と同じとした。
一方、ヒータの導入部を円柱として同様にSTO膜(膜B)を形成した。
膜Aにおいては、SrTiO3の化学量論比からのずれは、膜Bにおけるそれの半分以下であった。
また、膜Aは膜Bに対して、パーティクル数、カーボン量ともに1/4以下であった。
円周部周辺の通路断面積がヒータが無い部分の通路断面積の0.8〜1.2とした場合には、 0.8未満、1.2を超えた場合に比べて、本発明効果はより優れていた。
Claims (10)
- 成膜用液体材料が分散しているキャリアガスが導入される気化器本体と、該気化器本体の
内部に配置されたヒータ本体とを備えていることを特徴とする気化器であって、前記ヒータ本体は、導入部、円周部、排出部の順に構成され、
前記ヒータ本体の導入部の形状が、円錐又は多角錐形状であることを特徴とする気化器。 - 前記ヒータ本体は、キャリアガスの導入部の延長軸上に配置されていることを特徴とする請求項1記載の気化器。
- 気化後のガスの排出部は、前記キャリアガスの導入部の延長軸上に配置されていることを特徴とする請求項1または2記載の気化器。
- 前記内部に配置されたヒータがある部分の円周部周辺の通路断面積は、ヒータが無い部分の通路断面積の0.8〜1.2であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の気化器。
- 前記内部に配置されたヒータがある部分の導入部の円錐形状周辺の通路断面積は、前記ヒータ本体の導入部におけるヒータが無い部分の通路断面積の0.8〜1.2であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の気化器。
- 成膜用液体材料を含むキャリアガスは、50m/sec〜350m/secの速度で気化器本体に導
入されることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項記載の気化器。 - キャリアガスの導入部を冷却するための手段を設けてあることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項記載の気化器。
- 前記気化器本体の排出側外周に、第2のヒータが配置されたことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項記載の気化器。
- 前記ヒータ本体の導入部の円錐形状は、高さ/円錐底部の直径は、0.5〜1の範囲であることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項記載の気化器。
- 請求項1乃至9のいずれか1項記載の気化器を備えていることを特徴とする成膜装置。
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