JP2016191932A - 液晶配向剤、及びそれを用いた液晶配向膜 - Google Patents
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Abstract
Description
しかしながら、フレキソ印刷では液晶パネルの品種違いにより様々な樹脂版が必要となること、製造工程ではその版交換が煩雑であるということ、成膜工程を安定させるためにダミー基板への成膜をしなければならないこと、版の製作が液晶表示パネルの製造コスト上昇の一因になるなどの問題がある。
上記塗布周辺部の成膜精度を高めるため、構造物によって配向膜を所定の範囲に閉じ込める方法が提案されている(特許文献1、特許文献2、特許文献3)。しかしながら、これらの方法は追加の構造物が必要になるという欠点を有する。
1.ポリイミド及びポリイミド前駆体からなる群から選ばれる少なくとも1種の重合体と、下記式( 1)で表されるアルキルセロソルブアセテート化合物を含む溶媒と、を含有することを特徴とする液晶配向剤。
2.前記ポリイミド前駆体が、ポリアミック酸エステル及びポリアミック酸からなる群から選ばれる少なくとも1種を含有する上記1に記載の液晶配向剤。
3.前記溶媒が、N-メチルピロリドン及びγ-ブチロラクトンからなる群から選ばれる少なくとも一種を含有する上記1又は2に記載の液晶配向剤。
4.前記アルキルセロソルブアセテート化合物が、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、及びブチルセロソルブアセテートからなる群から選ばれる少なくとも一種である上記1〜3のいずれかに記載の液晶配向剤。
5.前記重合体を1質量%〜5質量%含有する、上記1〜4のいずれかに記載の液晶配向剤。
6.前記溶媒を95質量%〜99質量%含有する、上記1〜5のいずれかに記載の液晶配向剤。
7.前記溶媒が、アルキルセロソルブアセテート化合物を5質量%〜50質量%含有する、上記1〜6のいずれかに記載の液晶配向剤。
8.粘度が5〜20mPa・sである上記1〜7のいずれかに記載の液晶配向剤。
9.上記1〜8のいずれかに記載の液晶配向剤をインクジェット法により塗布する液晶配向膜の形成方法。
10.上記1〜8のいずれかに記載の液晶配向剤を塗布し、乾燥、焼成して得られる液晶配向膜。
本発明の液晶配向剤に含有されるポリイミド前駆体は、これをイミド化することによりポリイミドを生成するものであり、ポリアミック酸エステル及び/又はポリアミック酸を意味する。
ポリアミック酸エステル及びポリアミック酸は、それぞれ、下記式(1)及び下記式(2)を有する。
置換基であるハロゲン基としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
置換基であるオルガノオキシ基としては、−O−Rで表される構造を示すことができる。このRは同一でも異なってもよく、前述したアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基などを例示することができる。これらのRには前述した置換基がさらに置換していてもよい。オルガノオキシ基の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基などが挙げられる。
置換基であるエステル基としては、−C(O)O−R、又は−OC(O)−Rで表される構造を示すことができる。このRとしては、前述したアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基などを例示することができる。これらのRには前述した置換基がさらに置換していてもよい。
置換基であるリン酸エステル基としては、−OP(O)−(OR)2で表される構造を示すことができる。このRは同一でも異なってもよく、前述したアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基などを例示することができる。これらのRには前述した置換基がさらに置換していてもよい。
置換基であるアリール基としては、前述したアリール基と同じものを挙げることができる。このアリール基には前述した他の置換基がさらに置換していてもよい。
置換基であるアルキル基としては、前述したアルキル基と同じものを挙げることができる。このアルキル基には前述した他の置換基がさらに置換していてもよい。
置換基であるアルキニル基としては、前述したアルキニル基と同じものを挙げることができる。このアルキニル基には前述した他の置換基がさらに置換していてもよい。
一般に、嵩高い構造を導入すると、アミノ基の反応性や液晶配向性を低下させる可能性があるため、A1及びA2としては、水素原子、又は置換基を有してもよい炭素数1〜5のアルキル基がより好ましく、水素原子、メチル基又はエチル基が特に好ましい。
なかでも、プレチルト角を高くしたい場合は、側鎖に長鎖アルキル基、芳香族環、脂肪族環、ステロイド骨格、又はこれらを組み合わせた構造を有するジアミンをポリアミック酸エステルに導入することが好ましい。この場合、Y1としては、Y−76、Y−77、Y−78、Y−79、Y−80、Y−81、Y−82、Y−83、Y−84、Y−85、Y−86、Y−87、Y−88、Y−89、Y−90、Y−91、Y−92、Y−93、Y−94、Y−95、Y−96、又はY−97がより好ましい。
なかでも、下式で表される構造から選ばれる少なくとも1種類が特に好ましい。
上記式(1)で表されるポリアミック酸エステルは、下記式(6)〜(8)で表されるテトラカルボン酸誘導体のいずれかと、式(9)で表されるジアミン化合物との反応によって得ることができる。
(1)ポリアミック酸から合成する場合
ポリアミック酸エステルは、テトラカルボン酸二無水物とジアミンから得られるポリアミック酸をエステル化することによって合成することができる。
具体的には、ポリアミック酸とエステル化剤を有機溶媒の存在下で−20℃〜150℃、好ましくは0℃〜50℃において、30分〜24時間、好ましくは1〜4時間反応させることによって合成することができる。
エステル化剤としては、精製によって容易に除去できるものが好ましく、N,N−ジメチルホルムアミドジメチルアセタール、N,N−ジメチルホルムアミドジエチルアセタール、N,N−ジメチルホルムアミドジプロピルアセタール、N,N−ジメチルホルムアミドジネオペンチルブチルアセタール、N,N−ジメチルホルムアミドジ−t−ブチルアセタール、1−メチル−3−p−トリルトリアゼン、1−エチル−3−p−トリルトリアゼン、1−プロピル−3−p−トリルトリアゼン、4−(4,6−ジメトキシー1,3,5−トリアジンー2−イル)−4−メチルモルホリニウムクロリドなどが挙げられる。エステル化剤の添加量は、ポリアミック酸の繰り返し単位1モルに対して、2〜6モル当量が好ましい。
ポリアミック酸エステルは、テトラカルボン酸ジエステルジクロリドとジアミンから合成することができる。
前記塩基には、ピリジン、トリエチルアミン、4−ジメチルアミノピリジンなどが使用できるが、反応が穏和に進行するためにピリジンが好ましい。塩基の添加量は、除去が容易な量で、かつ高分子量体が得やすいという観点から、テトラカルボン酸ジエステルジクロリドに対して、2〜4倍モルであることが好ましい。
ポリアミック酸エステルは、テトラカルボン酸ジエステルとジアミンを重縮合することにより合成することができる。
具体的には、テトラカルボン酸ジエステルとジアミンを縮合剤、塩基、及び有機溶媒の存在下で0℃〜150℃、好ましくは0℃〜100℃において、30分〜24時間、好ましくは3〜15時間反応させることによって合成することができる。
前記塩基には、ピリジン、トリエチルアミンなどの3級アミンが使用できる。塩基の添加量は、除去が容易な量で、かつ高分子量体が得やすいという観点から、ジアミン成分に対して2〜4倍モルが好ましい。
上記3つのポリアミック酸エステルの合成方法の中でも、高分子量のポリアミック酸エステルが得られるため、上記(1)又は上記(2)の合成法が特に好ましい。
上記のようにして得られるポリアミック酸エステルの溶液は、よく撹拌させながら貧溶媒に注入することで、ポリマーを析出させることができる。析出を数回行い、貧溶媒で洗浄後、常温あるいは加熱乾燥して精製されたポリアミック酸エステルの粉末を得ることができる。貧溶媒は、特に限定されないが、水、メタノール、エタノール、ヘキサン、ブチルセロソルブ、アセトン、トルエン等が挙げられる。
ポリアミック酸エステルの重量平均分子量は、好ましくは5,000〜300,000であり、より好ましくは、10,000〜200,000である。また、数平均分子量は、好ましくは、2,500〜150,000であり、より好ましくは、5,000〜100,000である。
上記式(2)で表されるポリアミック酸は、下記式(10)で表されるテトラカルボン酸二無水物と式(11)で表されるジアミン化合物との反応によって得ることができる。
上記の反応に用いる有機溶媒は、モノマー及びポリマーの溶解性からN,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、又はγ−ブチロラクトンが好ましく、これらは1種又は2種以上を混合して用いてもよい。ポリマーの濃度は、ポリマーの析出が起こりにくく、かつ高分子量体が得やすいという観点から、1〜30質量%が好ましく、5〜20質量%がより好ましい。
上記のようにして得られたポリアミック酸は、反応溶液をよく撹拌させながら貧溶媒に注入することで、ポリマーを析出させて回収することができる。また、析出を数回行い、貧溶媒で洗浄後、常温あるいは加熱乾燥することで精製されたポリアミック酸の粉末を得ることができる。貧溶媒は、特に限定されないが、水、メタノール、エタノール、ヘキサン、ブチルセロソルブ、アセトン、トルエン等が挙げられる。
ポリアミック酸の重量平均分子量は、好ましくは10,000〜305,000であり、より好ましくは、20,000〜210,000である。また、数平均分子量は、好ましくは、5,000〜152,500であり、より好ましくは、10,000〜105,000である。
<ポリイミド>
ポリアミック酸の触媒イミド化に用いる塩基性触媒としては、ピリジン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリブチルアミン、トリオクチルアミンなどを挙げることができ、中でもピリジンは反応を進行させるのに適度な塩基性を持つので好ましい。ポリアミック酸エステルの触媒イミド化に用いる塩基性触媒としては、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリブチルアミン、トリオクチルアミンなどを挙げることができ、中でもトリエチルアミンは反応が速いことから特に好ましい。
ポリイミドの分子量は特に制限されないが、取り扱いのしやすさと、膜形成した際の特性の安定性の観点から重量平均分子量で2,000〜200,000が好ましく、より好ましくは4,000〜50,000である。分子量は、GPC(ゲルパーミエッションクロマトグラフィ)により求めたものである。
本発明で用いられるポリイミドまたはポリアミック酸またはポリアミック酸エステルの末端は修飾されていてもよい。末端修飾した重合体を用いることにより、溶解性や塗布性などを改善することができる。末端修飾は、ポリアミック酸またはポリアミック酸エステルを合成する際に、酸無水物、モノアミン化合物、酸クロリド化合物、モノイソシアネート化合物などを添加することで合成することができる。
本発明の液晶配向剤は、上記ポリイミド前駆体及びポリイミドからなる群から選ばれる少なくとも1種の重合体が有機溶媒中に溶解した溶液の形態である。かかる形態を有する限り、例えば、ポリアミック酸エステル及び/又はポリアミック酸などポリイミド前駆体及び/又はポリイミドを有機溶媒中で合成した場合には、得られる反応溶液そのものであってもよく、また、この反応溶液を適宜の溶媒で希釈したものであってもよい。また、ポリイミド前駆体及び/又はポリイミドを粉末として得た場合は、これを有機溶媒に溶解させて溶液としたものであってもよい。
有機溶媒中のアルキルセロソルブアセテート化合物の含有量は、好ましくは、1質量%〜60質量%、より好ましくは、2質量%〜40質量%である。少ない含有量では、インクジェット塗布膜の面内均一性、周辺部直線性が不十分となり、多すぎる含有量では液晶配向剤の冷凍時における保存安定性が悪化する。
一方、本発明の液晶配向剤における重合体の含有量(濃度)は、形成させようとするポリイミド膜の厚みの設定によっても適宜変更することができるが、均一で欠陥のない塗膜を形成させるという点から、好ましくは1質量%〜5質量%であり、特に好ましくは2質量%〜4質量%である。
上記シランカップリング剤の添加量は、多すぎると未反応のものが液晶配向性に悪影響を及ぼすことがあり、少なすぎると密着性への効果が現れないため、ポリマーの固形分に対して0.01〜5.0重量%が好ましく、0.1〜1.0重量%がより好ましい。上記シランカップリング剤を添加する場合は、ポリマーの析出を防ぐために、前記した塗膜均一性を向上させるための溶媒を加える前に添加するのが好ましい。
イミド化促進剤を添加する場合は、加熱することでイミド化が進行する可能性があるため、良溶媒及び貧溶媒で希釈した後に加えるのが好ましい。
本発明の液晶配向膜は、上記液晶配向剤を基板に塗布し、乾燥、焼成して得られる膜である。本発明の液晶配向剤を塗布する基板としては透明性の高い基板であれば特に限定されず、ガラス基板、窒化珪素基板、アクリル基板、ポリカーボネート基板等のプラスチック基板等を用いることができ、液晶駆動のためのITO電極等が形成された基板を用いることがプロセスの簡素化の観点から好ましい。また、反射型の液晶表示素子では片側の基板のみにならばシリコンウエハー等の不透明な物でも使用でき、この場合の電極はアルミニウム等の光を反射する材料も使用できる。
本発明の液晶表示素子は、上記した手法により本発明の液晶配向剤から液晶配向膜付き基板を得、配向処理を行った後、公知の方法で液晶セルを作成し、液晶表示素子としたものである。
液晶セルの製造方法は特に限定されないが、一例を挙げるならば、液晶配向膜が形成された1対の基板を液晶配向膜面を内側にして、好ましくは1〜30μm、より好ましくは2〜10μmのスペーサーを挟んで設置した後、周囲をシール剤で固定し、液晶を注入して封止する方法が一般的である。液晶封入の方法については特に制限されず、作製した液晶セル内を減圧にした後液晶を注入する真空法、液晶を滴下した後封止を行う滴下法などが例示できる。
なお、実施例及び比較例で使用する略号、及び各特性の測定方法は、以下のとおりである。
本実施例で用いた化合物における略語は以下のとおりである。
CBDA:シクロブタンテトラカルボン酸二無水物
1,3DMCBDE−Cl:ジメチル 1,3−ビス(クロロカルボニル)−1,3−ジメチルシクロブタン−2,4−ジカルボキシレート
TDA:3,4−ジカルボキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフタレンコハク酸二無水物
BDA:1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物
PMDA:ピロメリット酸二無水物
p−PDA:p−フェニレンジアミン
C16DAB:4−ヘキサデシルオキシ−1,3−ジアミノベンゼン
C12DAB:4−ドデシルオキシ−1,3−ジアミノベンゼン
4−ABA:4−アミノベンジルアミン
DA−A:下記式DA−Aのジアミン
DA―B:下記式DA−Bのジアミン
NMP:N−メチル−2−ピロリドン
GBL:γ−ブチロラクトン
MCA:メチルセロソルブアセテート
ECA:エチルセロソルブアセテート
BCA:ブチルセロソルブアセテート
BCS:ブチルセロソルブ
DEDnBE:ジエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル
TEDM:トリエチレングリコールジメチルエーテル
DEEA:ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート
POEA:2−フェノキシエチルアセテート
DEGBEA:ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート
PGDA:プロピレングリコールジアセテート
[粘度]
合成例において、ポリアミック酸エステル及びポリアミック酸体溶液の粘度はE型粘度計TVE−22H(東機産業社製)を用い、サンプル量1.1mL、コーンロータTE−1(1°34’、R24)、温度25℃で測定した。
合成例におけるポリイミドまたはポリアミック酸またはポリアミック酸エステルの分子量はGPC(常温ゲル浸透クロマトグラフィー)装置によって測定し、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド換算値として数平均分子量(以下、Mnとも言う。)と重量平均分子量(以下、Mwとも言う。)を算出した。
GPC装置:(株)Shodex社製(GPC−101)
カラム:Shodex社製(KD803、KD805の直列)
カラム温度:50℃
溶離液:N,N−ジメチルホルムアミド(添加剤として、臭化リチウム−水和物(LiBr・H2O)が30mmol/L、リン酸・無水結晶(o−リン酸)が30mmol/L、テトラヒドロフラン(THF)が10mL/L)
流速:1.0mL/分
検量線作成用標準サンプル:東ソー社製 TSK 標準ポリエチレンオキサイド(重量平均分子量(Mw) 約900000、150000、100000、30000)、及び、ポリマーラボラトリー社製 ポリエチレングリコール(ピークトップ分子量(Mp)約12000、4000、1000)。測定は、ピークが重なるのを避けるため、900000、100000、12000、1000の4種類を混合したサンプル、及び150000、30000、4000の3種類を混合したサンプルの2サンプルを別々に測定。
ポリイミドのイミド化率は次のようにして測定した。ポリイミド粉末20mgをNMRサンプル管に入れ、重水素化ジメチルスルホキシド(DMSO−d6、0.05%TMS混合品)0.53mLを添加し、完全に溶解させた。この溶液を日本電子データム社製NMR測定器(JNM−ECA500)にて500MHzのプロトンNMRを測定した。イミド化率は、イミド化前後で変化しない構造に由来するプロトンを基準プロトンとして決め、このプロトンのピーク積算値と、9.5〜10.0ppm付近に現れるポリアミック酸のNH基に由来するプロトンピーク積算値とを用い次式によって求めた。
イミド化率(%)=(1−α・x/y)×100
上記式において、xはポリアミック酸のNH基由来のプロトンピーク積算値、yは基準プロトンのピーク積算値、αはポリアミック酸(イミド化率が0%)の場合におけるポリアミック酸のNH基プロトン一個に対する基準プロトンの個数割合である。
撹拌装置付きの300mL四つ口フラスコを窒素雰囲気とし、ODAを10.0g(49.9mmol)、NMP196.6g、塩基としてピリジン8.91g (112.7mmol) を加え、撹拌して溶解させた。次にこのジアミン溶液を撹拌しながら1,3DM−CBDE−Clを15.3g(46.9mmol)添加し、水冷下4時間反応させた。得られたポリアミック酸エステルの溶液を、2184gの水に撹拌しながら投入し、析出した白色沈殿をろ取し、続いて、2184gの水で1回、2184gのエタノールで1回、546gのエタノールで3回洗浄し、乾燥することで白色のポリアミック酸エステル樹脂粉末20.2gを得た。収率は、93%であった。また、このポリアミック酸エステルの分子量はMn=8651、Mw=18539であった。
300mL四つ口フラスコに、p−PDA(1.76g,16.3mmol)、DA−A(1.75g,4.60mmol)を入れ、NMP(83mL)、ピリジン(3.77g,47.7mmol)を加えて溶解させた。次にこの溶液を撹拌しながら1,3DMCBDE−Cl(6.46g,19.9mmol)を添加し、水冷下4時間反応させた。得られたポリアミック酸溶液に83mLのNMPを加え希釈した。この溶液を850gの水に攪拌しながら投入し、析出した白色沈殿をろ取し、続いて850gの水で1回、850gのエタノールで1回、210gのエタノールで3回洗浄し、乾燥することで白色のポリアミック酸エステル樹脂粉末7.35gを得た。収率は86%であった。また、このポリアミック酸エステルの分子量はMn=14244、Mw=30431であった。
TDAを30.03g(0.1mol)と、p−PDAを9.73g(0.09mol)と、C16DABを3.48g(0.01mol)とを、NMP 173g中、温度50℃で24時間反応させポリアミック酸溶液を調製した。このポリアミック酸溶液50gをNMPにより5質量%に希釈し、さらにイミド化触媒としてピリジン8.0g、無水酢酸17.2gを加え、温度40℃で3時間反応させた。この溶液を0.6Lのメタノール中に投入し、得られた沈殿物を濾別し、乾燥し、白色のポリイミド粉末を得た。得られた溶媒可溶性ポリイミドは、Mn=9237、Mw=22253であった。またイミド化率は85%であった。
テトラカルボン酸二無水物成分として、CBDAを13.53g(0.069mol)、PMDAを6.54g(0.030mol)、ジアミン成分として、DA−Bを8.13g(0.040mol)、4−ABAを3.67g(0.030mol)、C12DABを8.77g(0.030mol)用い、NMP161.8g中、室温で24時間反応させポリアミック酸溶液を得た。
このポリアミック酸溶液34.81gに、NMPを62.65g加えて希釈し、無水酢酸5.15gとピリジン2.19gを加え、温度50℃で3時間反応させてイミド化した。
この反応溶液を室温程度まで冷却後、メタノール366.8mL中に投入し、沈殿した固形物を回収した。さらに、この固形物をメタノールで数回洗浄した後、温度100℃で減圧乾燥して、ポリイミドの白色粉末を得た。このポリイミドの分子量はMn=11759、Mw=34870であった。また、イミド化率は90%であった。
300mL四つ口フラスコに、p−PDA(3.00g,27.7mmol)、DA−A(1.17g,3.08mmol)を入れ、NMP(54mL)、GBL(149mL)、ピリジン(5.50g,69.5mmol)を加えて溶解させた。次にこの溶液を撹拌しながら1,3DMCBDE−Cl(9.42g,29.0mmol)を添加し、水冷下4時間反応させた。4時間後、アクリル酸クロリド0.804g(8.88mmol)を加えて、水冷下で30分反応させた。この溶液を1230mLの2−プロパノールに攪拌しながら投入し、析出した白色沈殿をろ取し、続いて610mLの2−プロパノールで5回洗浄し、乾燥することで白色のポリアミック酸エステル樹脂粉末11.2gを得た。収率は96%であった。また、このポリアミック酸エステルの分子量はMn=14200、Mw=30500であった。
撹拌装置付き及び窒素導入管付きの300mL四つ口フラスコに、3,5−ジアミノ安息香酸を3.043g(20.0mmol)取り、NMPを18.19g加え、窒素を送りながら攪拌し溶解させた。次に、4,4’−ジアミノジフェニル−N―メチルアミンを17.06g(80.0mmol)、GBLを54.56g加えて、窒素を送りながら攪拌し溶解させた。このジアミン溶液を攪拌しながらBDAを17.63g(89.0mmol)、GBLを36.37g加え、水冷下で2時間攪拌した。次にPMDAを2.18g(10.0mmol)、GBLを72.74g加え、水冷下で24時間攪拌した。得られたポリアミック酸溶液の温度25.0℃における粘度は780mPa・sであった。また、このポリアミック酸の分子量はMn=11700、Mw=24780であった。さらにこの溶液にNMP/GBL比が1/9の混合溶液で0.3質量%に希釈した3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン溶液を39.92g加え、ポリアミック酸溶液を得た。
撹拌装置付き及び窒素導入管付きの500mL四つ口フラスコに、3,5−ジアミノ安息香酸を6.09g(40.0mmol)取り、NMPを71.0g加え、窒素を送りながら攪拌し溶解させた。次に、4,4’−ジアミノジフェニルアミンを31.88g(160mmol)、GBLを52.6g加えて、窒素を送りながら攪拌し溶解させた。このジアミン溶液を攪拌しながらBDAを31.70g(160mmol)、GBLを69.6g加え、水冷下で2時間攪拌した。次にPMDAを8.51g(39.0mmol)、GBLを77.5g加え、水冷下で24時間攪拌した。得られたポリアミック酸溶液の温度25.0℃における粘度は2810mPa・sであった。また、このポリアミック酸の分子量はMn=14200、Mw=30100であった。さらにこの溶液にNMP/GBL比が2/8の混合溶液で0.3質量%に希釈した3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン溶液を78.17g加え、ポリアミック酸溶液を得た。
攪拌子の入った100mL三角フラスコに合成例1で得られたポリアミック酸エステル1.75gとGBL15.75gを加え、攪拌して溶解させた。次にGBLを22.5g、BCAを10.00g加え、液晶配向剤を得た。
<実施例2>
攪拌子の入った100mL三角フラスコに合成例2で得られたポリアミック酸エステル1.80gとGBL16.2gを加え、攪拌して溶解させた。次にGBLを23.0g、MCAを9.0g加え、液晶配向剤を得た。
攪拌子の入った100mL三角フラスコに合成例3で得られたポリイミド1.80gとGBL16.2gを加え、攪拌して溶解させた。次にGBLを19.5g、BCAを12.5g加え、液晶配向剤を得た。
<実施例4>
攪拌子の入った100mL三角フラスコに合成例4で得られたポリイミド1.80gとGBL16.2gを加え、攪拌して溶解させた。次にGBLを24.5g、ECAを7.5g加え、液晶配向剤を得た。
<実施例5>
攪拌子の入った100mL三角フラスコに合成例5で得られたポリアミック酸エステル0.72gとGBL6.48gを加え、攪拌して溶解させた。次に合成例6で得られたポリアミック酸溶液7.11g、NMPを0.95g、GBLを29.7g、BCAを5.00g加え、液晶配向剤を得た。
<実施例6>
攪拌子の入った100mL三角フラスコに合成例2で得られたポリアミック酸エステル0.90gとGBL8.10gを加え、攪拌して溶解させた。次に合成例7で得られたポリアミック酸溶液5.00g、NMPを6.82g、GBLを19.18g、ECAを10.0g加え、液晶配向剤を得た。
攪拌子の入った100mL三角フラスコに合成例1で得られたポリアミック酸エステル1.75gとGBL15.75gを加え、攪拌して溶解させた。次にGBLを22.5g、BCSを10.0g加え、液晶配向剤を得た。
<比較例2>
攪拌子の入った100mL三角フラスコに合成例2で得られたポリアミック酸エステル1.80gとGBL16.2gを加え、攪拌して溶解させた。次にGBLを23.0g、BCSを9.0g加え、液晶配向剤を得た。
攪拌子の入った100mL三角フラスコに合成例3で得られたポリイミド1.80gとGBL16.2gを加え、攪拌して溶解させた。次にGBLを19.5g、BCSを12.5g加え、液晶配向剤を得た。
<比較例4>
攪拌子の入った100mL三角フラスコに合成例4で得られたポリイミド1.80gとGBL16.2gを加え、攪拌して溶解させた。次にGBLを24.5g、BCSを7.5g加え、液晶配向剤を得た。
攪拌子の入った100mL三角フラスコに合成例2で得られたポリアミック酸エステル1.75gとGBL15.75gを加え、攪拌して溶解させた。次にGBLを22.5g、DEDnBEを10.0g加え、液晶配向剤を得た。
<比較例6>
攪拌子の入った100mL三角フラスコに合成例2で得られたポリアミック酸エステル1.75gとGBL15.75gを加え、攪拌して溶解させた。次にGBLを22.5g、TEDMを10.0g加え、液晶配向剤を得た。
攪拌子の入った100mL三角フラスコに合成例2で得られたポリアミック酸エステル1.75gとGBL15.75gを加え、攪拌して溶解させた。次にGBLを22.5g、DEEAを10.0g加え、液晶配向剤を得た。
<比較例8>
攪拌子の入った100mL三角フラスコに合成例2で得られたポリアミック酸エステル1.75gとGBL15.75gを加え、攪拌して溶解させた。次にGBLを22.5g、POEAを10.0g加え、液晶配向剤を得た。
攪拌子の入った100mL三角フラスコに合成例2で得られたポリアミック酸エステル1.75gとGBL15.75gを加え、攪拌して溶解させた。次にGBLを22.5g、DEGBEAを10.0g加え、液晶配向剤を得た。
<比較例10>
攪拌子の入った100mL三角フラスコに合成例2で得られたポリアミック酸エステル1.75gとGBL15.75gを加え、攪拌して溶解させた。次にGBLを22.5g、PGDAを10.0g加え、液晶配向剤を得た。
<比較例11>
攪拌子の入った100mL三角フラスコに合成例5で得られたポリアミック酸エステル0.72gとGBL6.48gを加え、攪拌して溶解させた。次に合成例6で得られたポリアミック酸溶液7.11g、NMPを0.95g、GBLを29.7g、BCSを5.00g加え、液晶配向剤を得た。
<比較例12>
攪拌子の入った100mL三角フラスコに合成例2で得られたポリアミック酸エステル0.90gとGBL8.10gを加え、攪拌して溶解させた。次に合成例7で得られたポリアミック酸溶液5.00g、NMPを6.82g、GBLを19.18g、BCSを10.0g加え、液晶配向剤を得た。
上記の実施例1〜4及び比較例1〜10の各液晶配向剤を使用し、インクジェット印刷による基板への塗布を下記に示す装置、条件で行った。なお、上記の実施例1〜4及び比較例1〜10の各液晶配向剤の粘度は、いずれも、9mPa・sであった。
装置名:インクジェット印刷による微細パターン塗布装置(日立プラントテクノロジー社製、HIS−200−1H)
塗布基板:100×100mmITO基板
塗布面積:72×80mm
塗布条件:分解能15μm、ステージ速度40mm/sec、周波数2000Hz、パルス幅9.6μsec、液適量42pl、ピッチ幅60μm、ピッチ長141μm、印加電圧:15V、ノズルギャップ0.5mm、放置時間30sec、乾燥温度50℃、乾燥時間2分(ホットプレート)、本焼成温度230℃、本焼成時間30分(IRオーブン)
得られた膜を目視および光学顕微鏡で観察し、塗布性を確認した。
成膜可否:欠陥なく膜にできたものを○、そうでないものを×とした。
面内均一性:膜厚ムラが無く塗布面内が均一なものを○、ユズ肌ムラや線状ムラが発生したものを×とした。
周辺部直線性:塗膜端部の、塗布部と非塗布部の境界線が直線的なものを○、直進性に乏しいものを×とした。
Claims (10)
- 前記ポリイミド前駆体が、ポリアミック酸エステル及びポリアミック酸からなる群から選ばれる少なくとも1種を含有する請求項1に記載の液晶配向剤。
- 前記溶媒が、N-メチルピロリドン及びγ-ブチロラクトンからなる群から選ばれる少なくとも一種を含有する請求項1又は2に記載の液晶配向剤。
- 前記アルキルセロソルブアセテート化合物が、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、及びブチルセロソルブアセテートからなる群から選ばれる少なくとも一種である請求項1〜3のいずれかに記載の液晶配向剤。
- 前記重合体を1質量%〜5質量%含有する、請求項1〜4のいずれかに記載の液晶配向剤。
- 前記溶媒を95質量%〜99質量%含有する、請求項1〜5のいずれかに記載の液晶配向剤。
- 前記溶媒が、アルキルセロソルブアセテート化合物を5質量%〜50質量%含有する、請求項1〜6のいずれかに記載の液晶配向剤。
- 5〜20mPa・sの粘度を有する請求項1〜7のいずれかに記載の液晶配向剤。
- 請求項1〜8のいずれかに記載の液晶配向剤をインクジェット法により塗布する液晶配向膜の形成方法。
- 請求項1〜8のいずれかに記載の液晶配向剤を塗布し、乾燥、焼成して得られる液晶配向膜。
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