JP2016188351A - ポリエステルフィルム - Google Patents
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Abstract
【課題】 重合性が良好かつ少量混合で体積固有抵抗を下げることのできるポリエステル樹脂を用いたポリエステルフィルムを提供すること。【解決手段】 周期表第4族から選ばれる少なくとも1種の元素の化合物を含有し、下記式1及び下記式2を満足するポリエステル樹脂(A)を1〜20質量%並びにチタン原子として3〜10質量ppm、マグネシウム原子として10〜35質量ppm、リン原子として3〜25質量ppmを含有するポリエステル樹脂(B)を80〜99質量%の割合で溶融混合させたポリエステル樹脂からなるポリエステルフィルム。0.01≦P/M1<0.2 ((式1))50≦M2≦350(式2)P:ポリエステル樹脂中のリン原子の濃度(モル/樹脂トン)M1:ポリエステル樹脂中の周期表第2族から選ばれる金属原子の濃度(モル/樹脂トン)M2:ポリエステル樹脂中の周期表第2族から選ばれる金属原子換算量(質量ppm)【選択図】なし
Description
本発明はポリエステルフィルム、さらに詳細には高速製膜が可能なポリエステルフィルムに関する。
多層セラミックキャパシタ(以下MLCCと表記することがある)の高容量化に伴い、それを作製する際に使用するポリエチレンテレフタレート樹脂を使用した離型フィルムの平滑性、生産性向上性が求められている。ポリエチレンテレフタレート樹脂を製造する際に反応触媒として一般的に使用されているアンチモン触媒はフィルム口金に堆積し異物の原因となることが分かっている。そのため重合活性が高く異物になりにくいチタン触媒が使用されている。またフィルム生産性をより向上させるために、樹脂溶融時の体積固有抵抗値(以下ρVと表記することがある)の低いポリエチレンテレフタレート樹脂を使用したポリエステルフィルムが求められている。
特許文献1にはチタン触媒を使用しマグネシウム量を多く添加した低ρV化用樹脂が提案されている。これはベースとなる樹脂と混合させることでρVを下げて製膜時、静電印加法による冷却ロールへの密着性を高めて製膜速度を上げて生産性を向上するためのものである。しかし開示されている方法では粒子が添加されており、より平坦性を要求される箇所に適用することは困難である。さらに粒子を添加しなかった場合はρVが高くなり、混合後のρVを効率よく下げることができない。さらに、開示されている方法ではマグネシウム量を高めた処方はSb触媒のため、異物の原因となりやすく、加えて末端カルボキシル基(以下AVと表記することがある)が高いため、重合不良が懸念され、耐加水分解性、熱安定性に劣るフィルムとなる。
本発明の目的は、重合性が良好かつ少量混合で体積固有抵抗を下げることのできるポリエステル樹脂を用いたポリエステルフィルムを提供することである。
本発明の要旨は、周期表第4族から選ばれる少なくとも1種の元素の化合物を含有し、下記式1及び下記式2を満足するポリエステル樹脂(A)を1〜20質量%並びにチタン原子として3〜10質量ppm、マグネシウム原子として10〜35質量ppm、リン原子として3〜25質量ppmを含有するポリエステル樹脂(B)を80〜99質量%の割合で溶融混合させたポリエステル樹脂からなるポリエステルフィルム。
0.01≦P/M1<0.2 (式1)
50≦M2≦350(式2)
P:ポリエステル樹脂中のリン原子の濃度(モル/樹脂トン)
M1:ポリエステル樹脂中の周期表第2族から選ばれる金属原子の濃度(モル/樹脂ト
ン)
M2:ポリエステル樹脂中の周期表第2族から選ばれる金属原子換算量(質量ppm)
50≦M2≦350(式2)
P:ポリエステル樹脂中のリン原子の濃度(モル/樹脂トン)
M1:ポリエステル樹脂中の周期表第2族から選ばれる金属原子の濃度(モル/樹脂ト
ン)
M2:ポリエステル樹脂中の周期表第2族から選ばれる金属原子換算量(質量ppm)
本発明によりポリエステルフィルムの生産性向上を図ることができ、特に多層セラミックキャパシタ製造時に使用する離型フィルムに好適に使用できる。
以下、本発明を詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、これらの内容に特定されるものではない。
本発明において使用するポリエステル樹脂は、ジカルボン酸成分とジオール成分とのエステル化反応及び/又はエステル交換反応を経て重縮合反応することにより製造される。
原料となるジカルボン酸成分としては、具体的には、テレフタル酸、フタル酸、イソフタル酸、ジブロモイソフタル酸、スルホイソフタル酸ナトリウム、フェニレンジオキシジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルケトンジカルボン酸、4,4’−ジフェノキシエタンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルスルホンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸及びこれらの炭素数1〜4程度のアルキルエステル、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸等の脂環式ジカルボン酸及びこれらの炭素数1〜4程度のアルキルエステル、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカジカルボン酸、ドデカジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸及びこれら炭素数1〜4程度のアルキルエステル等が挙げられる。
本発明において使用するポリエステル樹脂は、ジカルボン酸成分とジオール成分とのエステル化反応及び/又はエステル交換反応を経て重縮合反応することにより製造される。
原料となるジカルボン酸成分としては、具体的には、テレフタル酸、フタル酸、イソフタル酸、ジブロモイソフタル酸、スルホイソフタル酸ナトリウム、フェニレンジオキシジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルケトンジカルボン酸、4,4’−ジフェノキシエタンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルスルホンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸及びこれらの炭素数1〜4程度のアルキルエステル、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸等の脂環式ジカルボン酸及びこれらの炭素数1〜4程度のアルキルエステル、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカジカルボン酸、ドデカジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸及びこれら炭素数1〜4程度のアルキルエステル等が挙げられる。
もう一方の原料として使用されるジオール成分としては、具体的にはエチレングリコールやジエチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、オクタメチレングリコール、デカメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、等の脂肪族ジオール、1,2−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,1−シクロヘキサンジメチロール、1,4−シクロヘキサンジメチロール、2,5−ノルボルナンジメチロール等の脂環式ジオール、及び、キシリレングリコール、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4’−β−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−β−ヒドロキシエトキシフェニル)スルホン酸等の芳香族ジオール、並びに、2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)プロパンのエチレンオキサイド付加物又はプロピレンオキサイド付加物、等が挙げられる。
更に、前記ジオール成分及びジカルボン酸成分以外の共重合成分として、例えば、グリコール酸、p−ヒドロキシ安息香酸、p−β−ヒドロキシエトキシ安息香酸等のヒドロキシカルボン酸やアルコキシカルボン酸、及び、ステアリルアルコール、ヘネイコサノール、オクタコサノール、ベンジルアルコール、ステアリン酸、ベヘン酸、安息香酸、t−ブチル安息香酸、ベンゾイル安息香酸等の単官能成分、トリカルバリル酸、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸、ナフタレンテトラカルボン酸、没食子酸、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリスリトール、シュガーエステル等の三官能以上の多官能成分等の一種又は二種以上が用いられていてもよい。
中でも本発明に使用するポリエステル樹脂においては、テレフタル酸及び/又は2,6−ナフタレンジカルボン酸を主成分とするジカルボン酸成分と、エチレングリコール及び/又はジエチレングリコール及び又はシクロヘキサンジオール及び/又はテトラメチレングリコールを主成分とするジオール成分から製造されるポリエステル樹脂が好ましく、更に好ましくはテレフタル酸を主成分とするジカルボン酸成分とエチレングリコールを主成分とするジオール成分から製造するポリエステル樹脂において、本発明の効果は最も好適に発揮される。また、本発明において、ポリエステル樹脂は、テレフタル酸がジカルボン酸
成分の85モル%以上を占めるのが好ましく、90モル%以上を占めるのが更に好ましく、95モル%以上を占めるのが特に好ましい。また、エチレングリコールが、ジオール成分の85モル%以上を占めるのが好ましく、90モル%以上を占めるのが更に好ましく、95モル%以上を占めるのが更に好ましく、97モル%以上を占めるのが特に好ましい。テレフタル酸及びエチレングリコールの占める割合が前記範囲未満では、ポリエステル樹脂としての機械的強度、耐熱性等が劣る傾向となる。
成分の85モル%以上を占めるのが好ましく、90モル%以上を占めるのが更に好ましく、95モル%以上を占めるのが特に好ましい。また、エチレングリコールが、ジオール成分の85モル%以上を占めるのが好ましく、90モル%以上を占めるのが更に好ましく、95モル%以上を占めるのが更に好ましく、97モル%以上を占めるのが特に好ましい。テレフタル酸及びエチレングリコールの占める割合が前記範囲未満では、ポリエステル樹脂としての機械的強度、耐熱性等が劣る傾向となる。
本発明において使用するポリエステル樹脂を製造する時の、テレフタル酸に対するエチレングリコールの仕込み割合(モル比)は、通常1.0〜2.0の範囲であり、1.03以上となることが好ましく、更に好ましくは1.05以上である。また上限は、1.7以下となることが好ましく、更に好ましくは1.5以下である。前記モル比が上記の範囲であると、エネルギーコストが少なく、エステル化反応が十分に進行し、また副生するジエチレングリコールの量が少なくなるため好ましい。
<ポリエステル樹脂(A)について>
本発明において使用するポリエステル樹脂(A)は周期表第4族から選ばれる少なくとも1種の元素の化合物を含有し、下記式1及び下記式2を満足するポリエステル樹脂である。
0.01≦P/M1<0.2 (式1)
50≦M2≦350(式2)
P:ポリエステル樹脂中のリン原子の濃度(モル/樹脂トン)
M1:ポリエステル樹脂中の周期表第2族から選ばれる金属原子の濃度(モル/樹脂ト
ン)
M2:ポリエステル樹脂中の周期表第2族から選ばれる金属原子換算量(質量ppm)
上記ポリエステル樹脂に含有される金属、リンはポリエステル樹脂製造時に触媒、助剤として使用される元素の化合物、リン化合物に由来するものである。
本発明において使用するポリエステル樹脂(A)は周期表第4族から選ばれる少なくとも1種の元素の化合物を含有し、下記式1及び下記式2を満足するポリエステル樹脂である。
0.01≦P/M1<0.2 (式1)
50≦M2≦350(式2)
P:ポリエステル樹脂中のリン原子の濃度(モル/樹脂トン)
M1:ポリエステル樹脂中の周期表第2族から選ばれる金属原子の濃度(モル/樹脂ト
ン)
M2:ポリエステル樹脂中の周期表第2族から選ばれる金属原子換算量(質量ppm)
上記ポリエステル樹脂に含有される金属、リンはポリエステル樹脂製造時に触媒、助剤として使用される元素の化合物、リン化合物に由来するものである。
周期表第4族から選ばれる少なくとも1種の元素、即ち、チタン、ジルコニウム、ハフニウムの化合物としては、これらの元素の酸化物、水酸化物、アルコキシド、酢酸、炭酸塩、蓚酸塩、及びハロゲン化合物が挙げられる。これらの元素の化合物の中で、チタン化合物が好ましく、そのチタン化合物としては、具体的には、例えば、テトラ−n−プロピルチタネート、テトラ−i−プロピルチタネート、テトラ−n−ブチルチタネート、テトラ−n−ブチルチタネートテトラマー、テトラ−t−ブチルチタネート、テトラシクロヘキシルチタネート、テトラフェニルチタネート、テトラベンジルチタネート等のチタンアルコキシド、チタンアルコキシドの加水分解により得られるチタン酸化物、チタンアルコキシドと珪素又はジルコニウム複合酸化物、酢酸チタン、蓚酸チタン、蓚酸チタンカリウム、蓚酸チタンナトリウム、チタン酸カリウム、チタン酸ナトリウム、チタン酸−水酸化アルミニウム混合物、塩化チタン、塩化チタン−塩化アルミニウム混合物、臭化チタン、フッ化チタン、六フッ化チタン酸カリウム、六フッ化チタン酸コバルト、六フッ化チタン酸マンガン、六フッ化チタン酸アンモニウム、チタンアセチルアセトナート等が挙げられ、中でも、テトラ−n−プロピルチタネート、テトラ−i−プロピルチタネート、テトラ−n−ブチルチタネート、等のチタンアルコキシド、蓚酸チタン、蓚酸チタンカリウムが好ましく、テトラ−n−ブチルチタネートが特に好ましい
周期表第2族から選ばれる金属化合物としてはマグネシウム及びカルシウム化合物が好ましく、これらの金属の酸化物、水酸化物、アルコキシド、酢酸塩、炭酸塩、蓚酸塩、及びハロゲン化物等、具体的には、例えば、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、マグネシウムアルコキシド、酢酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、酢酸カルシウム、炭酸カルシウム等が挙げられる。中でも、マグネシウム化合物が好ましい。又、マグネシウム化合物の中でも、酢酸マグネシウムが好ましい。
リン化合物としては、具体的には、例えば、正リン酸、ポリリン酸、及び、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリ−n−ブチルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリス(トリエチレングリコール)ホスフェート、メチルアシッドホスフェート、エチルアシッドホスフェート、イソプロピルアシッドホスフェート、ブチルアシッドホスフェート、モノブチルホスフェート、ジブチルホスフェート、ジオクチルホスフェート、トリエチレングリコールアシッドホスフェート等のリン酸エステル等の5価のリン化合物、並びに、亜リン酸、亜リン酸、及び、トリメチルホスファイト、ジエチルホスファイト、トリエチルホスファイト、トリスドデシルホスファイト、トリスノニルデシルホスファイト、エチルジエチルホスホノアセテート、トリフェニルホスファイト等の亜リン酸エステル、リチウム、ナトリウム、カリウム等の金属塩等の3価のリン化合物が挙げられ、中でも5価のリン化合物のリン酸エステルが好ましく、エチルアシッドホスフェートが特に好ましい。
本発明において使用するポリエステル樹脂(A)において、前記周期表第4族から選ばれる少なくとも1種の元素の化合物を、それらの金属原子として3質量ppm以上40質量ppm以下含有することが好ましく、4質量ppm以上30質量ppm以下がより好ましい。この量が前記範囲未満では重縮合性が著しく悪化する場合がある。一方で、前記範囲を超過するとポリエステルの色調が極端に悪化しフィルム用途に適さない場合がある。
前記式(2)の周期表第2族から選ばれる金属化合物の金属原子換算量M2は好ましくは50質量ppm以上350質量ppm以下、更に好ましくは100質量ppm以上300質量ppm以下である。前記式(2)の範囲以内であるとρVが低くフィルム生産に好適である。また樹脂重合時に重合反応性が良好で熱安定性も良好である。
前記式(1)のリン原子の濃度Pと周期表第2族から選ばれる金属原子の濃度M1の比P/M1は好ましくは0.01以上、更に好ましくは0.05以上であり、一方、好ましくは0.2より小さく、更に好ましくは0.15以下である。前記式(1)を満足することにより製造時の重合反応性が良好で、熱安定性及び色調が良好かつρVが低くフィルム生産に適した樹脂となる。P/M1が前記範囲未満ではポリエステル樹脂の熱安定性が悪くなり、色調が悪化する。一方、前記範囲を超過すると重合反応性が悪くなり、熱安定性が悪くなりかつρVが高くなりフィルム生産に適さないものとなる。
前記式(1)のリン原子の濃度Pと周期表第2族から選ばれる金属原子の濃度M1の比P/M1は好ましくは0.01以上、更に好ましくは0.05以上であり、一方、好ましくは0.2より小さく、更に好ましくは0.15以下である。前記式(1)を満足することにより製造時の重合反応性が良好で、熱安定性及び色調が良好かつρVが低くフィルム生産に適した樹脂となる。P/M1が前記範囲未満ではポリエステル樹脂の熱安定性が悪くなり、色調が悪化する。一方、前記範囲を超過すると重合反応性が悪くなり、熱安定性が悪くなりかつρVが高くなりフィルム生産に適さないものとなる。
前記式(2)の周期表第2族から選ばれる金属原子換算量M2は好ましくは50質量ppm以上350質量ppm以下、更に好ましくは100質量ppm以上300質量ppm以下である。前記式(2)の範囲以内であるとρVが低くフィルム生産に好適である。また樹脂重合時に重合反応性良好のためAVが抑えられ、熱安定性も良好である。
本発明において使用するポリエステル樹脂(A)の体積固有抵抗値ρVは10×107Ω・cm以下が好ましく、8×107Ω・cm以下がより好ましい。前記範囲を超えると混合後のポリエステル樹脂のρVが高くなり、フィルム生産に適さないものとなる。
本発明において使用するポリエステル樹脂(A)の体積固有抵抗値ρVは10×107Ω・cm以下が好ましく、8×107Ω・cm以下がより好ましい。前記範囲を超えると混合後のポリエステル樹脂のρVが高くなり、フィルム生産に適さないものとなる。
本発明において使用するポリエステル樹脂(A)の末端カルボキシル基量AVは55当量/トン以下であることが好ましく、さらに好ましくは51当量/トン以下である。AVが大きすぎると耐加水分解性、熱安定性が劣る傾向となる。
<ポリエステル樹脂(A)の製造方法>
ポリエステル樹脂(A)の製造方法としては、テレフタル酸を主成分とするジカルボン酸成分と、エチレングリコールを主成分とするジオール成分とを、前記の周期表第4族から選ばれる少なくとも1種の元素の化合物、及び周期表第2族から選ばれる金属化合物、及びリン化合物を添加して重縮合させるものであるが、基本的にはポリエステル樹脂の慣用の製造方法による。即ち、テレフタル酸を主成分とするジカルボン酸成分とエチレング
ルコールを主成分とするジオール成分とを、スラリー調製槽に投入し、撹拌下に混合して原料スラリーとなし、得られた原料スラリーをエステル化反応槽で常圧〜加圧下、加熱下でエステル化反応させ、又は、エステル交換触媒の存在下にエステル交換させる。その後、得られたエステル化反応生成物又はエステル交換反応生成物としてのポリエステル低分子量重合体を重縮合槽に移送し、常圧から漸次減圧としての減圧下、加熱下で溶融重合させる。更に必要に応じて固相重合させることにより高分子量のポリエステル樹脂を製造できる。反応は回分法でも連続法でも行えるが、連続法が製造効率の面から好ましい。
ポリエステル樹脂(A)の製造方法としては、テレフタル酸を主成分とするジカルボン酸成分と、エチレングリコールを主成分とするジオール成分とを、前記の周期表第4族から選ばれる少なくとも1種の元素の化合物、及び周期表第2族から選ばれる金属化合物、及びリン化合物を添加して重縮合させるものであるが、基本的にはポリエステル樹脂の慣用の製造方法による。即ち、テレフタル酸を主成分とするジカルボン酸成分とエチレング
ルコールを主成分とするジオール成分とを、スラリー調製槽に投入し、撹拌下に混合して原料スラリーとなし、得られた原料スラリーをエステル化反応槽で常圧〜加圧下、加熱下でエステル化反応させ、又は、エステル交換触媒の存在下にエステル交換させる。その後、得られたエステル化反応生成物又はエステル交換反応生成物としてのポリエステル低分子量重合体を重縮合槽に移送し、常圧から漸次減圧としての減圧下、加熱下で溶融重合させる。更に必要に応じて固相重合させることにより高分子量のポリエステル樹脂を製造できる。反応は回分法でも連続法でも行えるが、連続法が製造効率の面から好ましい。
<エステル化工程>
エステル化工程はジカルボン酸成分とジオール成分とのエステル化反応を行い、オリゴマーを得る工程である。エステル化反応は、単一のエステル化槽、又は、複数のエステル化槽を直列に接続した多段反応装置を用いて、エチレングリコールの還流下、且つ、反応で生成する水と余剰のエチレングリコールを系外に除去しながら行われる。エステル化反応率(原料ジカルボン酸成分の全カルボキシル基のうちジオール成分と反応してエステル化したものの割合)が通常90%以上、好ましくは93%以上に達するまで行わことが好ましい。又、得られるエステル化反応生成物としてのオリゴマーの数平均分子量は500〜5000であるのが好ましい。
エステル化工程はジカルボン酸成分とジオール成分とのエステル化反応を行い、オリゴマーを得る工程である。エステル化反応は、単一のエステル化槽、又は、複数のエステル化槽を直列に接続した多段反応装置を用いて、エチレングリコールの還流下、且つ、反応で生成する水と余剰のエチレングリコールを系外に除去しながら行われる。エステル化反応率(原料ジカルボン酸成分の全カルボキシル基のうちジオール成分と反応してエステル化したものの割合)が通常90%以上、好ましくは93%以上に達するまで行わことが好ましい。又、得られるエステル化反応生成物としてのオリゴマーの数平均分子量は500〜5000であるのが好ましい。
エステル化反応における反応条件としては、単一のエステル化反応槽の場合、通常240〜280℃程度の温度、圧力を、通常0〜400kPaG(ここで、kPaGは大気圧に対する相対圧力であることを示す)程度とし、撹拌下に1〜10時間程度の反応時間とする。又、複数のエステル化反応槽の場合は、第1段目のエステル化反応槽における反応温度を、通常240〜270kPaGとし、最終段における反応温度を、通常250〜280℃、好ましくは255〜257℃、大気圧に対する相対圧力を、通常0〜150kPaG、好ましくは0〜130kPaGとする。
尚、エステル化反応において、例えば、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルアミン、ベンジルジメチルアミン等の第三級アミン、水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化テトラ−n−ブチルアンモニウム、水酸化トリメチルベンジルアンモニウム等の水酸化第四級アンモニウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、酢酸ナトリウム等の塩基性化合物等を少量添加しておくことにより、エチレングリコールからのジエチレングリコールの副生を抑制することができる。
<溶融重縮合工程>
エステル化反応工程に続き、オリゴマーを溶融重縮合しポリエステルプレポリマーを得る重縮合工程を行う。また、溶融重縮合は、単一の溶融重縮合槽、又は、複数の溶融重縮合槽を直列に接続した、例えば、第1段目が撹拌翼を備えた完全混合型の反応器、第2段及び第3段目が撹拌翼を備えた横型プラグフロー型の反応器からなる多段反応装置を用いて、減圧下に生成するエチレングリコールを系外に留出させながら行われる。
エステル化反応工程に続き、オリゴマーを溶融重縮合しポリエステルプレポリマーを得る重縮合工程を行う。また、溶融重縮合は、単一の溶融重縮合槽、又は、複数の溶融重縮合槽を直列に接続した、例えば、第1段目が撹拌翼を備えた完全混合型の反応器、第2段及び第3段目が撹拌翼を備えた横型プラグフロー型の反応器からなる多段反応装置を用いて、減圧下に生成するエチレングリコールを系外に留出させながら行われる。
溶融重縮合における反応条件としては、単一の重合槽の場合、通常250〜290℃程度の温度、常圧から漸次減圧として、最終的に圧力を、通常1.3〜0.0013kPa程度とし、撹拌下に1〜20時間程度の反応時間とする。又、複数の重縮合槽の場合は、第1段目の重縮合槽における反応温度を、通常250〜290℃、好ましくは260〜280℃、圧力を、通常65〜1.3kPa、好ましくは26〜2kPaとする。最終段における反応温度を、通常265〜300℃、好ましくは270〜295℃、圧力を、通常1.3〜0.013kPa、好ましくは0.65〜0.065kPaとする。中間段における反応条件としては、それらの中間の条件が選択され、例えば、3段反応装置においては、第2段における反応温度を、通常265〜295℃、好ましくは270〜285℃、圧力を、通常6.5〜0.13kPa、好ましくは4〜0.26kPaとする。
また、製造反応時における、前記周期表第4族から選ばれる少なくとも1種の元素の化合物、前記周期表第2族から選ばれる金属化合物、及び前記リン化合物、の反応系への添加時期は、スラリー調製工程、エステル化反応の任意の段階、又は、溶融重合初期の段階のいずれかであっても良い。前記周期表第4族から選ばれる少なくとも1種の元素の化合物及び前記周期表第2族から選ばれる金属化合物は、エステル化反応工程、又はエステル化反応工程から溶融重縮合工程への移送段階に添加するのが好ましい。特に、エステル化反応率が90%以上となった段階で添加するのが好ましい。前記周期表第4族から選ばれる少なくとも1種の元素の化合物を前記周期表第2族から選ばれる金属化合物より後に添加するのが好ましい。また、前記リン化合物は、エステル化反応率が90%未満の段階で添加するのが好ましい。
また、製造反応時における、前記周期表第4族から選ばれる少なくとも1種の元素の化合物、前記周期表第2族から選ばれる金属化合物、及び前記リン化合物、の反応系への添加は、エチレングリコール等のアルコールや水等の溶液として行うのが好ましい。
前記溶融重合反応により得られるポリエステル樹脂は後述の固相重合反応の原料(以降、プレポリマーと表すことがある)とすることができる。
前記溶融重合反応により得られるポリエステル樹脂は後述の固相重合反応の原料(以降、プレポリマーと表すことがある)とすることができる。
前記溶融重合反応により得られるプレポリマーは、固有粘度IVが0.35〜0.75dL/gであるのが好ましく、0.50〜0.65dL/gであるのが更に好ましい。固有粘度IVが前記範囲外では、溶融重縮合槽からの後述する抜き出し性が不良となる傾向となる。
前記溶融重縮合反応により得られたポリエステル樹脂は、通常、重縮合槽の底部に設けられた抜き出し口からストランド状に抜き出して、水冷しながら又は水冷後、カッターで切断してペレット状等の粒状体とするが、更に、この溶融重縮合後の粒状体をプレポリマーとしてこれを、例えば、窒素、二酸化炭素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下、圧力として、通常6.5〜0.013kPa、好ましくは1.3〜0.065kPaの減圧下で通常1〜20時間程度、通常190〜230℃、好ましくは195〜225℃の温度で加熱することにより、固相重縮合させるのが好ましい。
前記溶融重縮合反応により得られたポリエステル樹脂は、通常、重縮合槽の底部に設けられた抜き出し口からストランド状に抜き出して、水冷しながら又は水冷後、カッターで切断してペレット状等の粒状体とするが、更に、この溶融重縮合後の粒状体をプレポリマーとしてこれを、例えば、窒素、二酸化炭素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下、圧力として、通常6.5〜0.013kPa、好ましくは1.3〜0.065kPaの減圧下で通常1〜20時間程度、通常190〜230℃、好ましくは195〜225℃の温度で加熱することにより、固相重縮合させるのが好ましい。
<ポリエステル樹脂(B)について>
本発明において使用するポリエステル樹脂(B)はチタン原子として3〜10質量ppm、マグネシウム原子として10〜35質量ppm及びリン原子として3〜25質量ppmを含有する。上記ポリエステル樹脂に含有される金属、リンはポリエステル樹脂製造時に触媒、助剤として使用される元素の化合物、リン化合物に由来するものである。
本発明において使用するポリエステル樹脂(B)はチタン原子として3〜10質量ppm、マグネシウム原子として10〜35質量ppm及びリン原子として3〜25質量ppmを含有する。上記ポリエステル樹脂に含有される金属、リンはポリエステル樹脂製造時に触媒、助剤として使用される元素の化合物、リン化合物に由来するものである。
チタン原子として4〜9質量ppmがより好ましく、4〜8質量ppmが特に好ましい。この量が前記範囲未満では重縮合性が著しく悪化してAVが増加し、熱安定性に劣るものとなる。一方で、前記範囲を超過するとポリエステルの色調が極端に悪化しフィルム用途に適さないものとなる。
マグネシウム原子として11〜30質量ppmがより好ましく、11〜20質量ppmが特に好ましい。この量が前記範囲未満ではρVが高くなり、フィルム生産性を悪化させる。一方で前記範囲を超過すると重縮合性が悪化してAVが増加し、熱安定性に劣るものとなる。
マグネシウム原子として11〜30質量ppmがより好ましく、11〜20質量ppmが特に好ましい。この量が前記範囲未満ではρVが高くなり、フィルム生産性を悪化させる。一方で前記範囲を超過すると重縮合性が悪化してAVが増加し、熱安定性に劣るものとなる。
ポリエステル樹脂(B)の体積固有抵抗値ρVは20×107Ω・cm以下が好ましく、17×107Ω・cm以下がより好ましい。前記範囲を超えると混合後のポリエステル樹脂のρVが高くなり、フィルム生産に適さないものとなる。
リン原子として4〜20質量ppmがより好ましく、4〜10質量ppmが特に好ましい。この量が前記範囲未満では重縮合性が低下し、AVが増加して、熱安定性が悪化する
。一方前記範囲を超過するとρVが高くなり、フィルム生産性を悪化させる。
リン原子として4〜20質量ppmがより好ましく、4〜10質量ppmが特に好ましい。この量が前記範囲未満では重縮合性が低下し、AVが増加して、熱安定性が悪化する
。一方前記範囲を超過するとρVが高くなり、フィルム生産性を悪化させる。
ここで、チタン原子、マグネシウム原子及びリン原子については前記周期表第4族から選ばれる少なくとも1種の元素の化合物、前記周期表第2族から選ばれる金属化合物、及び前記リン化合物を各原子換算として前記範囲になるように添加する。製造方法については前記ポリエステル樹脂(A)と同様の方法をとることができる。
ポリエステル樹脂(A)はポリエステル樹脂(B)に混合した後フィルム等に成形される。ポリエステル樹脂(A)の混合割合は1〜20質量%が好ましく、2〜15質量%がより好ましく、3〜10質量%が特に好ましい。ポリエステル樹脂(B)の混合割合は80〜99質量%が好ましく、85〜98質量%がより好ましく、90〜97質量%がより好ましい。この量が前記範囲未満では混合した後のρVが低くならないため、フィルム生産性を悪化させる。一方前記範囲を超過すると溶融成形時樹脂のAVが多くなり、得られるポリエステルフィルムの熱安定性が悪化する。
ポリエステル樹脂(A)はポリエステル樹脂(B)に混合した後フィルム等に成形される。ポリエステル樹脂(A)の混合割合は1〜20質量%が好ましく、2〜15質量%がより好ましく、3〜10質量%が特に好ましい。ポリエステル樹脂(B)の混合割合は80〜99質量%が好ましく、85〜98質量%がより好ましく、90〜97質量%がより好ましい。この量が前記範囲未満では混合した後のρVが低くならないため、フィルム生産性を悪化させる。一方前記範囲を超過すると溶融成形時樹脂のAVが多くなり、得られるポリエステルフィルムの熱安定性が悪化する。
ポリエステル樹脂(A)とポリエステル樹脂(B)を混合させた後のρVは10×107Ω・cm以下であることが好ましく、更に好ましくは8×107Ω・cm以下である。ρVが高すぎるとフィルムの高速製膜が困難となる。
上述のポリエステル樹脂を用いたフィルム、特に二軸延伸フィルムの成型法としては、ポリエステル樹脂をフィルム又はシート状に溶融押出しし、冷却ドラムにより急冷して未延伸フィルム又はシートとなし、次いで、該未延伸フィルム又はシートを予熱後、縦方向に延伸し、引き続いて横方向に延伸する逐次二軸延伸法、又は、縦横方向に同時に二軸延伸する同時二軸延伸法等、従来公知の方法が用いられる。その際の延伸倍率は、縦方向及び横方向共、通常2〜7倍の範囲とされ、また、必要に応じて、二軸延伸後、熱固定及び/又は熱弛緩される。なお、二軸延伸フィルムとしての厚みは、通常1〜500μm程度とされる。
上述のポリエステル樹脂を用いたフィルム、特に二軸延伸フィルムの成型法としては、ポリエステル樹脂をフィルム又はシート状に溶融押出しし、冷却ドラムにより急冷して未延伸フィルム又はシートとなし、次いで、該未延伸フィルム又はシートを予熱後、縦方向に延伸し、引き続いて横方向に延伸する逐次二軸延伸法、又は、縦横方向に同時に二軸延伸する同時二軸延伸法等、従来公知の方法が用いられる。その際の延伸倍率は、縦方向及び横方向共、通常2〜7倍の範囲とされ、また、必要に応じて、二軸延伸後、熱固定及び/又は熱弛緩される。なお、二軸延伸フィルムとしての厚みは、通常1〜500μm程度とされる。
また、成形に際しては、必要に応じて、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、耐電防止剤、滑剤、ブロッキング防止剤、防曇剤、核剤、可塑剤、着色剤等の、ポリエステル樹脂に通常用いられる添加剤が使用できる。
このようにして本発明のポリエステルフィルムが得られる。
また、ポリエステルフィルムの構成として、表面A層、内層B層、裏面C槽の3層構成積層ポリエステルフィルムとしても使用できる。表面A層、裏面C層に滑剤として無機粒子又は有機粒子を添加しても良い。内層B層に本発明のポリエステル樹脂を使用することでフィルムの高速製膜が可能となり、かつ、平坦性を確保することができる。こうして得られたポリエステルフィルムは、特に多層セラミックキャパシタ離型フィルムとして好ましく使用できる。
このようにして本発明のポリエステルフィルムが得られる。
また、ポリエステルフィルムの構成として、表面A層、内層B層、裏面C槽の3層構成積層ポリエステルフィルムとしても使用できる。表面A層、裏面C層に滑剤として無機粒子又は有機粒子を添加しても良い。内層B層に本発明のポリエステル樹脂を使用することでフィルムの高速製膜が可能となり、かつ、平坦性を確保することができる。こうして得られたポリエステルフィルムは、特に多層セラミックキャパシタ離型フィルムとして好ましく使用できる。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。本発明におけるポリエステル樹脂及びポリエステルフィルムは以下の測定方法によって測定、評価を行った。
<ポリエステルの固有粘度(IV)[dL/g]>
ポリエステル樹脂試料約0.25gを、フェノール/1,1,2,2−テトラクロロエタン(質量比1/1)の混合溶媒約25mLに、濃度が1.00g/dLとなるように溶解させた後、30℃まで冷却し、30℃において全自動溶液粘度計(センテック社製、「DT553」)にて、試料溶液及び溶媒のみの落下秒数を測定し、以下の式により、固有粘度(IV)を算出した。
IV=((1+4KHηsp)0.5−1)/(2KHC)
ここで、 ηsp=η/η0−1 であり、ηは試料溶液の落下秒数、η0は溶媒のみ
の落下秒数、Cは試料溶液濃度(g/dL)、KHはハギンズの定数である。KHは0.
33を採用した。なお試料の溶解条件は、110℃で30分間である。
<ポリエステルの固有粘度(IV)[dL/g]>
ポリエステル樹脂試料約0.25gを、フェノール/1,1,2,2−テトラクロロエタン(質量比1/1)の混合溶媒約25mLに、濃度が1.00g/dLとなるように溶解させた後、30℃まで冷却し、30℃において全自動溶液粘度計(センテック社製、「DT553」)にて、試料溶液及び溶媒のみの落下秒数を測定し、以下の式により、固有粘度(IV)を算出した。
IV=((1+4KHηsp)0.5−1)/(2KHC)
ここで、 ηsp=η/η0−1 であり、ηは試料溶液の落下秒数、η0は溶媒のみ
の落下秒数、Cは試料溶液濃度(g/dL)、KHはハギンズの定数である。KHは0.
33を採用した。なお試料の溶解条件は、110℃で30分間である。
<体積固有抵抗値ρV>
試料23gを、内径20mm、長さ180mmの枝付試験管に入れ、管内を十分に窒素置換した後、160℃のオイルバス中に浸漬し、管内を真空ポンプで1Torr以下として4時間真空乾燥し、次いで、オイルバス温度を285℃に昇温して樹脂試料を溶融させた後、窒素復圧と減圧を繰り返して混在する気泡を取り除いた。この溶融体の中に、面積1cm2のステンレス製電極板2枚を5mmの間隔で平行に(相対しない裏面を絶縁体で被覆)挿入し、温度が安定した後に、抵抗計(ヒューレットパッカード社製「MODEL
HP4339B」)で電極間に直流電圧100Vを印加し、その時の抵抗値から体積固有抵抗値(Ω・cm)を求めた。
試料23gを、内径20mm、長さ180mmの枝付試験管に入れ、管内を十分に窒素置換した後、160℃のオイルバス中に浸漬し、管内を真空ポンプで1Torr以下として4時間真空乾燥し、次いで、オイルバス温度を285℃に昇温して樹脂試料を溶融させた後、窒素復圧と減圧を繰り返して混在する気泡を取り除いた。この溶融体の中に、面積1cm2のステンレス製電極板2枚を5mmの間隔で平行に(相対しない裏面を絶縁体で被覆)挿入し、温度が安定した後に、抵抗計(ヒューレットパッカード社製「MODEL
HP4339B」)で電極間に直流電圧100Vを印加し、その時の抵抗値から体積固有抵抗値(Ω・cm)を求めた。
<金属原子含有量(質量ppm)>
樹脂試料2.5gを、硫酸存在下に過酸化水素で加熱し灰下、完全分解後、蒸留水にて50mlに定容したものについて、プラズマ発光分光分析装置(JOBIN YVON社製ICP−AES「JY46P型」)を用いて定量し、ポリエステル樹脂中の質量ppmに換算した。
樹脂試料2.5gを、硫酸存在下に過酸化水素で加熱し灰下、完全分解後、蒸留水にて50mlに定容したものについて、プラズマ発光分光分析装置(JOBIN YVON社製ICP−AES「JY46P型」)を用いて定量し、ポリエステル樹脂中の質量ppmに換算した。
<末端カルボキシル基AV(当量/トン)>
樹脂試料を粉砕した後、熱風乾燥機にて140℃で15分間乾燥させ、デシケータ―内で室温まで冷却した試料から、0.1gを精秤して試験管に採取し、ベンジルアルコール3mlを加えて、乾燥窒素ガスを吹き込みながら195℃、3分間で溶解させ、次いで、クロロホルム5mlを徐々に加えて室温まで冷却した。この溶液にフェノールレッド指示薬を1〜2滴加え、乾燥窒素ガスを吹き込みながら撹拌下に、0.1Nの水酸化ナトリウムのベンジルアルコール溶液で滴定し、黄色から赤色に変じた時点で終了とした。又、ブランクとして樹脂試料を使用せずに同様の操作を実施し、末端カルボキシル基量を次式より求めた。
樹脂試料を粉砕した後、熱風乾燥機にて140℃で15分間乾燥させ、デシケータ―内で室温まで冷却した試料から、0.1gを精秤して試験管に採取し、ベンジルアルコール3mlを加えて、乾燥窒素ガスを吹き込みながら195℃、3分間で溶解させ、次いで、クロロホルム5mlを徐々に加えて室温まで冷却した。この溶液にフェノールレッド指示薬を1〜2滴加え、乾燥窒素ガスを吹き込みながら撹拌下に、0.1Nの水酸化ナトリウムのベンジルアルコール溶液で滴定し、黄色から赤色に変じた時点で終了とした。又、ブランクとして樹脂試料を使用せずに同様の操作を実施し、末端カルボキシル基量を次式より求めた。
末端カルボキシル基量(当量/トン)=(A−B)×0.1×f/W
ここで、Aは滴定に要した0.1Nの水酸化ナトリウムのベンジルアルコール溶液の量(μl)、Bはブランクでの滴定に要した0.1Nの水酸化ナトリウムのベンジルアルコール溶液の量(μl)、Wは樹脂試料の量(g)、fは0.1Nの水酸化ナトリウムのベンジルアルコール溶液の力価である
ここで、Aは滴定に要した0.1Nの水酸化ナトリウムのベンジルアルコール溶液の量(μl)、Bはブランクでの滴定に要した0.1Nの水酸化ナトリウムのベンジルアルコール溶液の量(μl)、Wは樹脂試料の量(g)、fは0.1Nの水酸化ナトリウムのベンジルアルコール溶液の力価である
<ポリエステル樹脂(A)−1の製造>
ジメチルテレフタレート100質量部及びエチレングリコール65質量部を、攪拌装置、昇温装置及び留出液分離塔を備えたエステル交換反応槽に仕込み、150℃に加熱してジメチルテレフタレートを溶融させた。次いで、得られるポリエステル樹脂分に対する酢酸マグネシウムの添加量が0.09質量%となるように、酢酸マグネシウム四水塩のエチレングリコール溶液を添加した。その後、常圧下で3時間かけて225℃まで昇温させ、さらに225℃で1時間15分攪拌保持すると共にメタノールを留去しながらエステル交換反応を行ない、実質的にエステル交換反応を終了してポリエステル低重合体(オリゴマー)を得た。このオリゴマーを留出管を備えた攪拌機付き重縮合反応槽へ移送した。得られるポリエステル樹脂分に対する酢酸マグネシウムの添加量が0.09質量%となるように、酢酸マグネシウム四水塩のエチレングリコール溶液を、移送後のオリゴマーに添加した。その後、得られるポリエステル樹脂分に対するリン酸の添加量が0.017質量%となるように、熱安定剤としてリン酸のエチレングリコール溶液を添加した。得られるポリエステル樹脂に対するテトラブチルチタネートの添加量が0.02質量%となるように、重縮合触媒としてテトラブチルチタネートのエチレングリコール溶液を、前記オリゴマーに添加した。その後、101.3kPaから0.4kPaまで85分間で減圧し0.4k
Paに保持するとともに、225℃から280℃まで2時間かけて昇温させ280℃で1.5時間保持して溶融重縮合反応を行い、固有粘度0.61dL/gのポリエステル樹脂を得た。表1にポリエステル樹脂(A)−1の物性を示す。
ジメチルテレフタレート100質量部及びエチレングリコール65質量部を、攪拌装置、昇温装置及び留出液分離塔を備えたエステル交換反応槽に仕込み、150℃に加熱してジメチルテレフタレートを溶融させた。次いで、得られるポリエステル樹脂分に対する酢酸マグネシウムの添加量が0.09質量%となるように、酢酸マグネシウム四水塩のエチレングリコール溶液を添加した。その後、常圧下で3時間かけて225℃まで昇温させ、さらに225℃で1時間15分攪拌保持すると共にメタノールを留去しながらエステル交換反応を行ない、実質的にエステル交換反応を終了してポリエステル低重合体(オリゴマー)を得た。このオリゴマーを留出管を備えた攪拌機付き重縮合反応槽へ移送した。得られるポリエステル樹脂分に対する酢酸マグネシウムの添加量が0.09質量%となるように、酢酸マグネシウム四水塩のエチレングリコール溶液を、移送後のオリゴマーに添加した。その後、得られるポリエステル樹脂分に対するリン酸の添加量が0.017質量%となるように、熱安定剤としてリン酸のエチレングリコール溶液を添加した。得られるポリエステル樹脂に対するテトラブチルチタネートの添加量が0.02質量%となるように、重縮合触媒としてテトラブチルチタネートのエチレングリコール溶液を、前記オリゴマーに添加した。その後、101.3kPaから0.4kPaまで85分間で減圧し0.4k
Paに保持するとともに、225℃から280℃まで2時間かけて昇温させ280℃で1.5時間保持して溶融重縮合反応を行い、固有粘度0.61dL/gのポリエステル樹脂を得た。表1にポリエステル樹脂(A)−1の物性を示す。
<ポリエステル樹脂(A)−2の製造>
ポリエステル樹脂(A)−1の製造において、重縮合反応槽へ移送後のオリゴマーに添加する酢酸マグネシウムの添加量を0.18質量%及びリン酸の添加量を0.026質量%と変更した以外はポリエステル樹脂(A)−1の製造と同様にして、固有粘度0.60dL/gのポリエステル樹脂を得た。表1にポリエステル樹脂(A)−2の物性を示す。
ポリエステル樹脂(A)−1の製造において、重縮合反応槽へ移送後のオリゴマーに添加する酢酸マグネシウムの添加量を0.18質量%及びリン酸の添加量を0.026質量%と変更した以外はポリエステル樹脂(A)−1の製造と同様にして、固有粘度0.60dL/gのポリエステル樹脂を得た。表1にポリエステル樹脂(A)−2の物性を示す。
< ポリエステル樹脂(A)−3の製造>
ポリエステル樹脂(A)−2の製造において、重縮合反応槽へ移送後のオリゴマーに添加するリン酸の添加量を0.009質量%となる様に変更した以外はポリエステル樹脂(A)−2の製造と同様にして、固有粘度0.61dL/gのポリエステル樹脂を得た。表1にポリエステル樹脂(A)−3の物性を示す。
ポリエステル樹脂(A)−2の製造において、重縮合反応槽へ移送後のオリゴマーに添加するリン酸の添加量を0.009質量%となる様に変更した以外はポリエステル樹脂(A)−2の製造と同様にして、固有粘度0.61dL/gのポリエステル樹脂を得た。表1にポリエステル樹脂(A)−3の物性を示す。
<ポリエステル樹脂(A)−4の製造>
ポリエステル樹脂(A)−1の製造において、エステル交換反応槽に添加する酢酸マグネシウムの添加量を0.08質量%並びに重縮合反応槽へ移送後のオリゴマーに添加する酢酸マグネシウムを添加しない、リン酸の添加量を0.03質量%及びテトラブチルチタネートの添加量を0.01質量%となる様に変更した以外はポリエステル樹脂(A)−1の製造と同様にして、固有粘度0.61dL/gのポリエステル樹脂を得た。表1にポリエステル樹脂(A)−4の物性を示す。
ポリエステル樹脂(A)−1の製造において、エステル交換反応槽に添加する酢酸マグネシウムの添加量を0.08質量%並びに重縮合反応槽へ移送後のオリゴマーに添加する酢酸マグネシウムを添加しない、リン酸の添加量を0.03質量%及びテトラブチルチタネートの添加量を0.01質量%となる様に変更した以外はポリエステル樹脂(A)−1の製造と同様にして、固有粘度0.61dL/gのポリエステル樹脂を得た。表1にポリエステル樹脂(A)−4の物性を示す。
<ポリエステル樹脂(A)−5の製造>
ポリエステル樹脂(A)−4の製造において、エステル交換反応槽に添加する酢酸マグネシウムの添加量を0.09質量%となる様に変更した以外はポリエステル樹脂(A)−4の製造と同様にして、固有粘度0.60dL/gのポリエステル樹脂を得た。表1にポリエステル樹脂(A)−5の物性を示す。
ポリエステル樹脂(A)−4の製造において、エステル交換反応槽に添加する酢酸マグネシウムの添加量を0.09質量%となる様に変更した以外はポリエステル樹脂(A)−4の製造と同様にして、固有粘度0.60dL/gのポリエステル樹脂を得た。表1にポリエステル樹脂(A)−5の物性を示す。
<ポリエステル樹脂(A)−6の製造>
ポリエステル樹脂(A)−5の製造において、重縮合反応槽へ移送後のオリゴマーに添加するリン酸の添加量を0.02質量%となる様に変更した以外はポリエステル樹脂(A)−5の製造と同様にして、固有粘度0.61dL/gのポリエステル樹脂を得た。表1にポリエステル樹脂(A)−6の物性を示す。末端カルボキシル基AVが61当量/トンと高く、重合反応が進みにくい結果となった。
ポリエステル樹脂(A)−5の製造において、重縮合反応槽へ移送後のオリゴマーに添加するリン酸の添加量を0.02質量%となる様に変更した以外はポリエステル樹脂(A)−5の製造と同様にして、固有粘度0.61dL/gのポリエステル樹脂を得た。表1にポリエステル樹脂(A)−6の物性を示す。末端カルボキシル基AVが61当量/トンと高く、重合反応が進みにくい結果となった。
<ポリエステル樹脂(A)−7の製造>
ポリエステル樹脂(A)−2の製造において、重縮合反応槽へ移送後のオリゴマーに添加するリン酸の添加量を0.05質量%となる様に変更した以外はポリエステル樹脂(A)−2の製造と同様にして、固有粘度0.62dL/gのポリエステル樹脂を得た。表1にポリエステル樹脂(A)−7の物性を示す。末端カルボキシル基AVが71当量/トンと高く、重合反応が進みにくい結果となった。
ポリエステル樹脂(A)−2の製造において、重縮合反応槽へ移送後のオリゴマーに添加するリン酸の添加量を0.05質量%となる様に変更した以外はポリエステル樹脂(A)−2の製造と同様にして、固有粘度0.62dL/gのポリエステル樹脂を得た。表1にポリエステル樹脂(A)−7の物性を示す。末端カルボキシル基AVが71当量/トンと高く、重合反応が進みにくい結果となった。
<ポリエステル樹脂(A)−8の製造>
ポリエステル樹脂(A)−1の製造において、重縮合反応槽へ移送後のオリゴマーに添加するリン酸の添加量を0質量%と変更し、280℃での保持時間を2時間と変更した以外はポリエステル樹脂(A)−1の製造と同様にして、固有粘度0.61dL/gのポリエステル樹脂を得た。表1にポリエステル樹脂(A)−8の物性を示す。280℃での保持時間が長く、重合反応が進みにくい結果となった。
ポリエステル樹脂(A)−1の製造において、重縮合反応槽へ移送後のオリゴマーに添加するリン酸の添加量を0質量%と変更し、280℃での保持時間を2時間と変更した以外はポリエステル樹脂(A)−1の製造と同様にして、固有粘度0.61dL/gのポリエステル樹脂を得た。表1にポリエステル樹脂(A)−8の物性を示す。280℃での保持時間が長く、重合反応が進みにくい結果となった。
<ポリエステル樹脂(B)の製造>
スラリー調製槽、及びそれに直列に接続された2段のエステル化反応槽、及び2段目のエステル化反応槽に直列に接続された3段目の溶融重縮合槽からなる連続式重合装置を用いた。スラリー調製槽に、テレフタル酸とエチレングリコールを質量比で865:485の割合で連続的に供給すると共に、エチルアシッドホスフェートのエチレングリコール溶液を、得られるポリエステル樹脂分に対してリン原子としての含有量が7質量ppmとなる量で連続的に添加して、撹拌、混合することによりスラリーを調製した。このスラリーを窒素雰囲気下で260℃、相対圧力50kPaG、平均滞留時間4時間に設定された第1段目のエステル化反応槽、次いで、窒素雰囲気下で260℃、相対圧力5kPaG、平均滞留時間1.5時間の設定された第2段のエステル反応槽に連続的に移送して、エステル化反応させた。また、2段目反応槽には槽上部に設けた配管を通じて、酢酸マグネシウム四水和物のエチレングリコール溶液を得られるポリエステル樹脂分に対してマグネシウム原子として11質量ppmとなる量で連続的に添加した。
スラリー調製槽、及びそれに直列に接続された2段のエステル化反応槽、及び2段目のエステル化反応槽に直列に接続された3段目の溶融重縮合槽からなる連続式重合装置を用いた。スラリー調製槽に、テレフタル酸とエチレングリコールを質量比で865:485の割合で連続的に供給すると共に、エチルアシッドホスフェートのエチレングリコール溶液を、得られるポリエステル樹脂分に対してリン原子としての含有量が7質量ppmとなる量で連続的に添加して、撹拌、混合することによりスラリーを調製した。このスラリーを窒素雰囲気下で260℃、相対圧力50kPaG、平均滞留時間4時間に設定された第1段目のエステル化反応槽、次いで、窒素雰囲気下で260℃、相対圧力5kPaG、平均滞留時間1.5時間の設定された第2段のエステル反応槽に連続的に移送して、エステル化反応させた。また、2段目反応槽には槽上部に設けた配管を通じて、酢酸マグネシウム四水和物のエチレングリコール溶液を得られるポリエステル樹脂分に対してマグネシウム原子として11質量ppmとなる量で連続的に添加した。
引き続いて、前記で得られたオリゴマーを連続的に溶融重縮合槽に移送する際、その移送配管中のオリゴマーに、テトラブチルチタネートを得られるポリエステル樹脂分に対してチタン原子として8質量ppmとなる量で連続的に添加した。270℃2.6kPaに設定された第1段目の溶融重縮合槽、278℃、0.5kPaに設定された第2段目の溶融重縮合槽及び280℃、0.3kPaに設定された第3段目の溶融重縮合槽にオリゴマー又は溶融重縮合されたオリゴマーを連続的に移送して、溶融重縮合し、固有粘度0.63dL/gのポリエステル樹脂(B)を得た。各重縮合槽における滞留時間を、第1段目70分、第2段目70分及び第3段目80分とし、滞留時間が合計で220分となるようにした。表1にポリエステル樹脂(B)の物性を示す。
<実施例1>
ポリエステル樹脂(B)とポリエステル樹脂(A)−1を表2に示す割合で混合し、二軸押出機により285℃で溶融して、40℃に冷却したキャスティングドラム上に押出し、冷却固化させて未延伸シートを得た。次いで、85℃で縦方向に3.4倍延伸した後、この縦延伸フィルムをテンターに導き、120℃で4.3倍延伸し、225℃で熱処理を行い、厚さ30μmのポリエステルフィルムを得た。得られたポリエステルフィルムの体積固有抵抗値ρVを測定した。結果を表2に示す。ρVはフィルムの高速製膜に適した値となった。
ポリエステル樹脂(B)とポリエステル樹脂(A)−1を表2に示す割合で混合し、二軸押出機により285℃で溶融して、40℃に冷却したキャスティングドラム上に押出し、冷却固化させて未延伸シートを得た。次いで、85℃で縦方向に3.4倍延伸した後、この縦延伸フィルムをテンターに導き、120℃で4.3倍延伸し、225℃で熱処理を行い、厚さ30μmのポリエステルフィルムを得た。得られたポリエステルフィルムの体積固有抵抗値ρVを測定した。結果を表2に示す。ρVはフィルムの高速製膜に適した値となった。
<実施例2>
実施例1においてポリエステル樹脂(B)とポリエステル樹脂(A)−2を表2に示す割合で混合したこと以外は実施例1と同様の方法でポリエステルフィルムを得た。得られたポリエステルフィルムの体積固有抵抗値ρVを測定した。結果を表2に示す。ρVはフィルムの高速製膜に適した値となった。
実施例1においてポリエステル樹脂(B)とポリエステル樹脂(A)−2を表2に示す割合で混合したこと以外は実施例1と同様の方法でポリエステルフィルムを得た。得られたポリエステルフィルムの体積固有抵抗値ρVを測定した。結果を表2に示す。ρVはフィルムの高速製膜に適した値となった。
<実施例3>
実施例1においてポリエステル樹脂(B)とポリエステル樹脂(A)−3を表2に示す割合で混合したこと以外は実施例1と同様の方法でポリエステルフィルムを得た。得られたポリエステルフィルムの体積固有抵抗値ρVを測定した。結果を表2に示す。ρVはフィルムの高速製膜に適した値となった。
実施例1においてポリエステル樹脂(B)とポリエステル樹脂(A)−3を表2に示す割合で混合したこと以外は実施例1と同様の方法でポリエステルフィルムを得た。得られたポリエステルフィルムの体積固有抵抗値ρVを測定した。結果を表2に示す。ρVはフィルムの高速製膜に適した値となった。
<比較例1>
実施例1においてポリエステル樹脂(B)とポリエステル樹脂(A)−4を表2に示す割合で混合したこと以外は実施例1と同様の方法でポリエステルフィルムを得た。得られたポリエステルフィルムの体積固有抵抗値ρVを測定した。結果を表2に示す。ρVは1
0を超え、フィルムの高速製膜に適さない値となった。
実施例1においてポリエステル樹脂(B)とポリエステル樹脂(A)−4を表2に示す割合で混合したこと以外は実施例1と同様の方法でポリエステルフィルムを得た。得られたポリエステルフィルムの体積固有抵抗値ρVを測定した。結果を表2に示す。ρVは1
0を超え、フィルムの高速製膜に適さない値となった。
<比較例2>
実施例1においてポリエステル樹脂(B)とポリエステル樹脂(A)−5を表2に示す割合で混合したこと以外は実施例1と同様の方法でポリエステルフィルムを得た。得られたポリエステルフィルムの体積固有抵抗値ρVを測定した。結果を表2に示す。ρVは10を超え、フィルムの高速製膜に適さない値となった。
実施例1においてポリエステル樹脂(B)とポリエステル樹脂(A)−5を表2に示す割合で混合したこと以外は実施例1と同様の方法でポリエステルフィルムを得た。得られたポリエステルフィルムの体積固有抵抗値ρVを測定した。結果を表2に示す。ρVは10を超え、フィルムの高速製膜に適さない値となった。
<比較例3>
実施例1においてポリエステル樹脂(B)とポリエステル樹脂(A)−6を表2に示す割合で混合したこと以外は実施例1と同様の方法でポリエステルフィルムを得た。得られたポリエステルフィルムの体積固有抵抗値ρVを測定した。結果を表2に示す。ρVはフィルムの高速製膜に適さない値となった。
実施例1においてポリエステル樹脂(B)とポリエステル樹脂(A)−6を表2に示す割合で混合したこと以外は実施例1と同様の方法でポリエステルフィルムを得た。得られたポリエステルフィルムの体積固有抵抗値ρVを測定した。結果を表2に示す。ρVはフィルムの高速製膜に適さない値となった。
<比較例4>
実施例1においてポリエステル樹脂(B)とポリエステル樹脂(A)−7を表2に示す割合で混合したこと以外は実施例1と同様の方法でポリエステルフィルムを得た。得られたポリエステルフィルムの体積固有抵抗値ρVを測定した。結果を表2に示す。ρVはフィルムの高速製膜に適した値となったが、ポリエステル樹脂(A)−7の末端カルボキシル基AVが71当量/トンと高く、耐加水分解性、熱安定性が劣る結果となった。
実施例1においてポリエステル樹脂(B)とポリエステル樹脂(A)−7を表2に示す割合で混合したこと以外は実施例1と同様の方法でポリエステルフィルムを得た。得られたポリエステルフィルムの体積固有抵抗値ρVを測定した。結果を表2に示す。ρVはフィルムの高速製膜に適した値となったが、ポリエステル樹脂(A)−7の末端カルボキシル基AVが71当量/トンと高く、耐加水分解性、熱安定性が劣る結果となった。
<比較例5>
実施例1においてポリエステル樹脂(B)とポリエステル樹脂(A)−8を表2に示す割合で混合したこと以外は実施例1と同様の方法でポリエステルフィルムを得た。得られたポリエステルフィルムの体積固有抵抗値ρVを測定した。結果を表2に示す。ρVはフィルムの高速製膜に適した値となったが、ポリエステル樹脂(A)−8の重合反応性が低く、Pを添加していないため熱安定性に劣る結果となった。
実施例1においてポリエステル樹脂(B)とポリエステル樹脂(A)−8を表2に示す割合で混合したこと以外は実施例1と同様の方法でポリエステルフィルムを得た。得られたポリエステルフィルムの体積固有抵抗値ρVを測定した。結果を表2に示す。ρVはフィルムの高速製膜に適した値となったが、ポリエステル樹脂(A)−8の重合反応性が低く、Pを添加していないため熱安定性に劣る結果となった。
本発明で得られたポリエステルフィルムは体積固有抵抗値が低く、ポリエステルフィルムの生産性向上を図ることができ、特に多層セラミックキャパシタ製造時に使用する離型フィルムに好適に使用できる。
Claims (4)
- 周期表第4族から選ばれる少なくとも1種の元素の化合物を含有し、下記式1及び下記式2を満足するポリエステル樹脂(A)を1〜20質量%並びにチタン原子として3〜10質量ppm、マグネシウム原子として10〜35質量ppm、リン原子として3〜25質量ppmを含有するポリエステル樹脂(B)を80〜99質量%の割合で溶融混合させたポリエステル樹脂からなるポリエステルフィルム。
0.01≦P/M1<0.2 (式1)
50≦M2≦350(式2)
P:ポリエステル樹脂中のリン原子の濃度(モル/樹脂トン)
M1:ポリエステル樹脂中の周期表第2族から選ばれる金属原子の濃度(モル/樹脂ト
ン)
M2:ポリエステル樹脂中の周期表第2族から選ばれる金属原子換算量(質量ppm) - 少なくとも表面層A、内層B及び裏面層Cの三層を有する積層ポリエステルフィルムであって、内層Bが請求項1に記載のポリエステルフィルムである積層ポリエステルフィルム。
- 請求項2に記載の積層ポリエステルフィルムであって、表面層A及び裏面層Cが、粒子を含むポリエステルフィルムである積層ポリエステルフィルム。
- 請求項3に記載のフィルムを構成成分として含む多層セラミックキャパシタ用離型フィルム。
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JP2020059767A (ja) * | 2018-10-05 | 2020-04-16 | 東レ株式会社 | ポリエステルフィルム |
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-
2015
- 2015-12-18 JP JP2015247594A patent/JP2016188351A/ja active Pending
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