JP2023106155A - ポリエステル樹脂及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】溶液ヘーズが低く、かつ体積固有抵抗値が高く、例えば絶縁抵抗特性と良好な透明性とを併せ持つことが要求されるコンデンサ用途のフィルム等に好適なフィルムを製造することができるポリエステル樹脂を提供する。【解決手段】溶融時の体積固有抵抗値(ρv)が120×107Ω・cm以上であり、溶液ヘーズが2.0%以下であるポリエステル樹脂。エステル化反応工程又はエステル交換反応工程で得られたオリゴマーと、アルミニウム化合物含有ジオールスラリーとの混合物を重縮合反応する。【選択図】なし

Description

本発明はポリエステル樹脂およびその製造方法に関する。詳しくはアルミニウム化合物を含有し、透明性に優れると共に体積固有抵抗値が大きく、コンデンサ用フィルム用途に適したポリエステル樹脂およびその製造方法に関する。本発明はまた、このポリエステル樹脂よりなるコンデンサ用途に適したフィルムに関するものである。
従来、ポリエステル樹脂、例えばポリエチレンテレフタレート樹脂は、機械的強度、化学的安定性、透明性、ガスバリア性、保香性、衛生性等に優れ、又、比較的安価で軽量であるために、フィルムや繊維、及びボトル等として広く用いられており、特にディスプレイ等の光学用やコンデンサ用、磁気記録媒体、多層セラミックキャパシタ離型フィルムなどの工業用フィルムとして使用される。
例えば、コンデンサ用途のポリエステルフィルムにおいては、絶縁抵抗特性を良好とするために体積固有抵抗値の向上が求められているが、従来、体積固有抵抗値を高くした場合、ポリエステル樹脂の透明性の指標である溶液ヘーズが高くなって2%を超えてしまい(例えば、特許文献1)、透明性が悪いために、コンデンサ用フィルムとして用いることができなかった。
特開昭61-174223号公報
本発明の課題は、絶縁抵抗特性と透明性が共に良好なポリエステル樹脂、すなわち、体積固有抵抗値が高く溶液ヘーズが低いポリエステル樹脂及びその製造方法とこのポリエステル樹脂を用いたフィルムを提供することにある。
本発明者は、前記課題を解決すべく鋭意検討した結果、エステル化反応工程又はエステル交換反応工程で得られたオリゴマーと、アルミニウム化合物含有ジオールスラリーとの混合物を重縮合反応することにより得られたポリエステル樹脂が、体積固有抵抗値が高くかつ溶液ヘーズが低いものであることを見出し本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明の要旨は、以下の[1]~[8]に存する。
[1] 溶融時の体積固有抵抗値(ρv)が120×10Ω・cm以上であり、溶液ヘーズが2.0%以下であるポリエステル樹脂。
なお、溶液ヘーズは以下の方法で測定される。
<溶液ヘーズの測定方法>
ポリエステル樹脂2.7gをフェノール/テトラクロロエタン(質量比6/4)の混合溶媒20mLに120℃で30分間で溶解させて試料溶液を調製し、日本電色製濁度計(NDH7000)を用いて、JIS K7136に基いて溶液ヘーズを測定する。
[2] アルミニウム化合物の含有量がアルミニウム原子として2.5ppm以上24ppm以下である[1]に記載のポリエステル樹脂。
[3] 前記アルミニウム化合物が酸化アルミニウムである[2]に記載のポリエステル樹脂。
[4] チタン化合物およびリン化合物を含有する[1]から[3]のいずれかに記載のポリエステル樹脂。
[5] 前記ポリエステル樹脂は主たる繰り返し単位がエチレンテレフタレート単位である[1]から[4]のいずれかに記載のポリエステル樹脂。
[6] [5]に記載のポリエステル樹脂を製造する方法であって、エステル化反応工程又はエステル交換反応工程と、該エステル化反応工程又はエステル交換反応工程で得られたオリゴマーの重縮合反応工程とを有し、該重縮合反応工程において、該オリゴマーと、アルミニウム化合物含有ジオールスラリーとの混合物を重縮合反応するポリエステル樹脂の製造方法。
[7] [1]から[5]のいずれかに記載のポリエステル樹脂を用いたフィルム。
[8] [7]に記載のフィルムを用いたコンデンサ用フィルム。
本発明のポリエステル樹脂によれば、溶液ヘーズが低く、かつ体積固有抵抗値が高いポリエステルフィルムを製造することができる。このため、本発明のポリエステル樹脂を用いたフィルムは、例えば絶縁抵抗特性と良好な透明性とを併せ持つことが要求されるコンデンサ用途のフィルム等に好適である。
以下、本発明を詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。
また、本明細書において数値範囲を示す「~」とは、その前後に記載された数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。
[ポリエステル樹脂]
本発明のポリエステル樹脂は、下記(1)、(2)を満足するポリエステル樹脂であり、好ましくは更に下記(3)~(5)を満足するポリエステル樹脂である。
(1)溶融時の体積固有抵抗値(ρv)が120×10Ω・cm以上
(2)以下の方法で測定される溶液ヘーズが2.0%以下
<溶液ヘーズの測定方法>
ポリエステル樹脂2.7gをフェノール/テトラクロロエタン(質量比6/4)の混合溶媒20mLに120℃で30分間で溶解させて試料溶液を調製し、日本電色製濁度計(NDH7000)を用いて、JIS K7136に基いて溶液ヘーズを測定する。
(3)アルミニウム化合物の含有量がアルミニウム原子として2.5ppm以上24ppm以下
(4)チタン化合物およびリン化合物を含有する
(5)主たる繰り返し単位がエチレンテレフタレート単位
なお、ポリエステル樹脂の溶融時の体積固有抵抗値(ρv)、溶液ヘーズ、アルミニウム原子等の金属原子含有量は、後掲の実施例の項に記載の方法で測定される。
<溶融時の体積固有抵抗値(ρv)>
本発明のポリエステル樹脂の溶融時の体積固有抵抗値(ρv)は120×10Ω・cm以上である。溶融時の体積固有抵抗値(ρv)が120×10Ω・cm以上であれば、コンデンサ誘電体として好適に使用することができる。この観点から、本発明のポリエステル樹脂の溶融時の体積固有抵抗値(ρv)は120×10Ω・cm以上であることが好ましい。この体積固有抵抗値(ρv)が120×10Ω・cm未満の場合、耐電圧特性や、誘電損失、絶縁抵抗等コンデンサ用として必要な電気的特性に劣るものとなる。本発明のポリエステル樹脂の溶融時の体積固有抵抗値(ρv)の上限は、通常1×1010Ω・cm程度である。これ以上の体積固有抵抗値(ρv)を有しても、それによる電気的特性改良の効果はもはや期待できないし、かかる抵抗値とするための製造上の困難さが大きくなる。
本発明のポリエステル樹脂の体積固有抵抗値(ρv)を上記下限以上とするには、後述の本発明のポリエステル樹脂の製造方法において、本発明のポリエステル樹脂にアルミニウム化合物を含有させて、ポリエステル樹脂中のアルミニウム原子含有量を2.5ppm以上、好ましくは5ppm以上とする方法が挙げられる。
即ち、ポリエステル樹脂がアルミニウム化合物を含むことで樹脂とアルミニウム化合物が相互作用し、樹脂中に電流を阻害する物質が生成するので、体積固有抵抗値(ρv)を所定の高さに調節することができる。
<溶液ヘーズ>
本発明のポリエステル樹脂は、前述の溶液ヘーズの測定方法で測定される溶液ヘーズが2.0%以下である。ポリエステル樹脂の溶液ヘーズが2.0%以下であれば、例えばコンデンサ用フィルムとして優れた透明性を有するフィルムを得ることができる。透明性の観点から、本発明のポリエステル樹脂の溶液ヘーズは1.5%以下であることが好ましく、1.0%以下であることがより好ましい。本発明のポリエステル樹脂の溶液ヘーズの下限については特に制限はなく、透明性の観点から溶液ヘーズは低い程好ましいが、通常その下限は0.1%程度である。
本発明のポリエステル樹脂の溶液ヘーズは、ポリエステル樹脂中のチタン化合物、リン化合物及びアルミニウム化合物の含有量により制御することができ、好ましくは、後述の金属原子換算の含有量となるように、これらの化合物が用いられる。
特に、アルミニウム化合物は体積固有抵抗値(ρv)の増大のためにはポリエステル樹脂中に含まれることが好ましいが、反面透明性を低下させることとなるため、その含有量を体積固有抵抗値(ρv)と透明性との両立の面でバランスよく調整することが好ましい。
<アルミニウム化合物>
本発明のポリエステル樹脂は、アルミニウム化合物を、アルミニウム原子換算の含有量で2.5ppm以上24ppm以下含有することが、上記体積固有抵抗値(ρv)と溶液ヘーズの両立の観点から好ましい。
ポリエステル樹脂中のアルミニウム原子の含有量が2.5ppm以上であれば、ポリエステル樹脂の体積固有抵抗値(ρv)を所望の高さに調節することができる。体積固有抵抗値(ρv)の観点から、より好ましいアルミニウム原子含有量は5ppm以上である。
一方、本発明のポリエステル樹脂の溶液ヘーズを前述の上限以下にするには、本発明のポリエステル樹脂のアルミニウム原子の含有量は24ppm以下、特に10ppm以下、とりわけ5ppm以下であることが好ましい。
なお、本発明のポリエステル樹脂に含まれるアルミニウム化合物としては、例えば、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、アルミノケイ酸塩、硫酸カリウムアルミニウムなどの種々の無機化合物が挙げられる。本発明のポリエステル樹脂には、これらの1種のみが含まれていてもよく、2種以上が含まれていてもよい。汎用的に入手できコスト的にも安価であることから、アルミニウム化合物としては、酸化アルミニウムが好ましい。
本発明のポリエステル樹脂にアルミニウム化合物を含有させる方法については後述する。
<チタン化合物・リン化合物>
本発明のポリエステル樹脂は、以下の理由から、チタン化合物及びリン化合物を含有することが好ましい。
本発明のポリエステル樹脂は、通常(A)芳香族ジカルボン酸の低級アルキルエステルとグリコールとを主な出発原料としてエステル交換触媒の存在下エステル交換反応を経由して、重縮合反応を行う、あるいは(B)芳香族ジカルボン酸とグリコールとを主な出発原料として、無触媒でのエステル化反応を経由して、重縮合反応を行うことにより得られる。これらの反応を行うため、通常、触媒として金属化合物を添加する方法が用いられる。例えば、エステル交換反応触媒として、Ca、Mg、Mn、Li等の化合物、重縮合反応触媒としてSb、Ti、Ge、Sn、Co等の化合物が一般的に用いられている。しかしながら、かかる金属化合物の含有量が多いと、ポリエステル樹脂の体積固有抵抗値が低下してしまうので、ポリエステル樹脂をコンデンサの誘電体として使用した場合、電気特性が低下してしまう。この事実に鑑み、本発明においては、これらの触媒由来の金属化合物の含有量を少なくすることができる、上記(B)のエステル化反応方法を採用することが好ましい。また、ポリエステル樹脂中に存在する金属成分をより少なくできるため、チタン化合物を触媒として用いることが好ましく、またポリエステル樹脂の熱安定性を高め、溶融保持時の着色などの劣化を抑制する目的でリン化合物を併用することが好ましい。
従って、本発明のポリエステル樹脂は、前述のアルミニウム化合物と共に、触媒由来のチタン化合物と、熱安定性向上のための助剤由来のリン化合物を含むことが好ましい。
なお、本発明のポリエステル樹脂は、前述のアルミニウム化合物、チタン化合物及びリン化合物以外には、実質的に金属成分を含有しないことが好ましい。
ここで、「実質的に含有しない」とは、後掲の実施例の項に示す金属原子含有量の定量において、検出限界未満(通常1ppm未満)であることを示す。
本発明のポリエステル樹脂に含まれるチタン化合物の含有量は、チタン原子換算の含有量で、好ましくは1.9~10ppmであり、下限は2.9ppmがより好ましく、3.8ppmがさらに好ましい。上限としては7.2ppmがより好ましく、6.2ppmがさらに好ましく、5.7ppmが特に好ましい。
また、本発明のポリエステル樹脂に含まれるリン化合物の含有量は、リン原子換算の含有量で、好ましくは4~10ppmであり、下限は5ppmがより好ましく、6ppmがさらに好ましい。上限としては9ppmがより好ましく、8ppmがさらに好ましい。
上記チタン化合物及びリン化合物の含有量の好適範囲の理由については、本発明のポリエステル樹脂の製造方法の項において後述する。
なお、本発明のポリエステル樹脂に含まれるチタン化合物、リン化合物の具体例は、後述の本発明のポリエステル樹脂の製造方法において、触媒、助剤として例示したチタン化合物、リン化合物が挙げられる。
<エチレンテレフタレート単位>
本発明のポリエステル樹脂は、主たる繰り返し単位がエチレンテレフタレート単位であるポリエステル樹脂、即ち、ポリエチレンテレフタレート系樹脂であることが好ましい。主たる繰り返し単位がエチレンテレフタレート単位であるポリエステル樹脂であれば、フィルムやボトル、繊維などに成形する際の延伸による分子鎖の配向結晶化の点から、成形体としての機械的強度、耐熱性が良好になりやすく、好ましい。
ここで、「主たる繰り返し単位」とは、ポリエステル樹脂を構成する全繰り返し単位100モル%中に80モル%以上含まれる繰り返し単位を意味する。主たる繰り返し単位の含有量は90モル%以上であることが好ましく、100モル%であってもよい。
また、「エチレンテレフタレート単位」とは、後述のテレフタル酸成分とエチレングリコールとのエステル化反応又はエステル交換反応で形成される繰り返し単位である。
<固有粘度>
本発明のポリエステル樹脂の固有粘度の下限は、通常0.45dL/g以上、好ましくは0.50dL/g、さらに好ましくは0.52dL/gである。上限は通常1.0dL/g、好ましくは0.80dL/g、特に好ましくは0.70dL/gの範囲である。固有粘度が0.45dL/g未満では、フィルム製造時の生産性が低下したり、フィルムの機械的強度が低下するという問題が生ずることがある。一方、ポリマーの溶融押出安定性の点から、本発明のポリエステル樹脂の固有粘度は1.0dL/gを超えないことが好ましい。
[ポリエステル樹脂の製造方法]
本発明のポリエステル樹脂の製造方法は、エステル化反応工程又はエステル交換反応工程と、該エステル化反応工程又はエステル交換反応工程で得られたオリゴマーの重縮合反応工程とを有し、該重縮合反応工程において、該オリゴマーと、アルミニウム化合物含有ジオールスラリーとの混合物を重縮合反応することで、本発明のポリエステル樹脂を製造する方法である。
本発明のポリエステル樹脂の製造方法は、エステル化反応工程又はエステル交換反応工程に続く、重縮合反応工程において、エステル化反応工程又はエステル交換反応で得られたオリゴマーと、アルミニウム化合物含有ジオールスラリーとの混合物を重縮合反応すること以外は、ポリエステル樹脂原料として、ジカルボン酸及び/又はそのエステル形成性誘導体であるジカルボン酸成分と、ジオール成分とを用いて、基本的には従来公知の製造方法により製造される。
<ポリエステル樹脂原料>
(ジカルボン酸成分)
本発明のポリエステル樹脂を製造する際のジカルボン酸成分としては、テレフタル酸及び/又はテレフタル酸のエステル形成性誘導体(以下、これらを「テレフタル酸成分」と称す。)を主成分として含むジカルボン酸成分が用いられる。本発明に用いる全ジカルボン酸成分中のテレフタル酸成分の含有量は、80モル%以上であることが好ましく、90モル%以上であることが更に好ましい。テレフタル酸成分の割合が上記下限値以上であると、フィルムやボトル、繊維などに成形する際の延伸による分子鎖の配向結晶化の点から、成形体としての機械的強度、耐熱性が良好になりやすい。全ジカルボン酸成分中のテレフタル酸成分の割合の上限は100モル%でもよい。
本発明で用いられるテレフタル酸のエステル形成性誘導体としては、炭素数1~4のアルコールのジエステル、好ましくはジメチルテレフタレート、ジエチルテレフタレート等のテレフタル酸アルキルエステルが挙げられる。
本発明で用いられるテレフタル酸成分以外のジカルボン酸成分としては、フタル酸、イソフタル酸、ジブロモイソフタル酸、スルホイソフタル酸、1,4-フェニレンジオキシジカルボン酸、4,4’-ジフェニルジカルボン酸、4,4’-ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4’-ジフェニルケトンジカルボン酸、4,4’-ジフェノキシエタンジカルボン酸、4,4’-ジフェニルスルホンジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸;ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸等の脂環式ジカルボン酸;及び、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカジカルボン酸、ドデカジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸;並びにこれらのジカルボン酸のエステル形成性誘導体が挙げられる。
該ジカルボン酸成分は上記の中から1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用することもできる。
(ジオール成分)
本発明のポリエステル樹脂を製造する際のジオール成分としては、エチレングリコールを主成分として含むジオール成分が用いられる。本発明に用いる全ジオール成分中のエチレングリコールの含有量は、80モル%以上であることが好ましく、90モル%以上であることが更に好ましく、95モル%以上であることが特に好ましい。エチレングリコールの割合が上記下限値以上であると、フィルムやボトル、繊維などに成形する際の延伸による分子鎖の配向結晶化の点から、成形体としての機械的強度、耐熱性が良好になりやすい。全ジオール成分中のエチレングリコールの割合の上限は100モル%でもよい。
本発明で用いられるエチレングリコール以外のジオール成分としては、例えば、ジエチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、オクタメチレングリコール、デカメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、2-エチル-2-ブチル-1,3-プロパンジオール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール等の脂肪族ジオール;1,2-シクロヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジオール、1,1-シクロヘキサンジメチロール、1,4-シクロヘキサンジメチロール、2,5-ノルボルナンジメチロール等の脂環式ジオール;キシリレングリコール、4,4’-ジヒドロキシビフェニル、2,2-ビス(4’-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(4’-β-ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4-β-ヒドロキシエトキシフェニル)スルホン酸等の芳香族ジオール;2,2-ビス(4’-ヒドロキシフェニル)プロパンのエチレンオキサイド付加物又はプロピレンオキサイド付加物等が挙げられる。
該ジオール成分は上記の中から1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用することもできる。
(ジカルボン酸成分及びジオール成分以外の共重合成分)
本発明においては、上記ジオール成分及びジカルボン酸成分に加えて、ポリエステル樹脂原料として、更に、その他の共重合可能な成分を用いてもよい。その他の共重合可能な成分としては、例えば、グリコール酸、p-ヒドロキシ安息香酸、p-β-ヒドロキシエトキシ安息香酸等のヒドロキシカルボン酸やアルコキシカルボン酸、及び、ステアリルアルコール、ヘネイコサノール、オクタコサノール、ベンジルアルコール、ステアリン酸、ベヘン酸、安息香酸、t-ブチル安息香酸、ベンゾイル安息香酸等の単官能成分、トリカルバリル酸、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸、ナフタレンテトラカルボン酸、没食子酸、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリスリトール、シュガーエステル等の三官能以上の多官能成分等が挙げられる。
これらのその他の共重合可能な成分は、その1種又は2種以上を、本発明の効果を妨げない範囲で用いることができる。
<製法>
本発明において、上記のジカルボン酸成分とジオール成分は、先ずエステル化あるいはエステル交換反応工程に供され、低分子量のオリゴマーを製造する。オリゴマーは次に重縮合反応工程に供され、重合度を高めてポリエステル樹脂となる。
(エステル化あるいはエステル交換反応工程)
エステル化あるいはエステル交換工程は基本的には既知の方法により実施される。以下、エステル化工程について代表的な例を述べる。まず、ジカルボン酸成分とジオール成分をスラリー調製槽に供給し、両者のスラリーを調製する。ジカルボン酸成分とジオール成分の供給量は、通常、後者の成分を過剰に用い、余剰のジオール成分はエステル化反応の進行と共に系外に留去するのが好ましい。前者成分に対する後者成分のモル比は、通常1.0~2.0であり、1.05以上とするのがより好ましく、1.1以上とするのが特に好ましい。また上限は、好ましくは1.7であり、特に好ましくは1.5である。同モル比が上記下限未満の場合は重縮合反応速度が低下する傾向となり、一方、上記上限を超える場合は、ジエチレングリコールの生成量が増加し、固相重縮合後に得られるポリエステル樹脂の熱安定性や機械的強度が低下する場合がある。
スラリー調製槽には必要に応じて触媒、助剤、溶媒などを添加することができる。アンチモン化合物などをエステル化触媒として使用することができるが、これらは異物となる場合があり、エステル化反応は無触媒でも進行するので、無触媒で行うのが好ましい。
尚、エステル化反応において、例えば、トリエチルアミン、トリ-n-ブチルアミン、ベンジルジメチルアミン等の第三級アミン、水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化テトラ-n-ブチルアンモニウム、水酸化トリメチルベンジルアンモニウム等の水酸化第四級アンモニウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、酢酸ナトリウム等の塩基性化合物等を少量添加しておくことにより、エチレングリコールからのジエチレングリコールの副生を抑制することができる。
(触媒及び助剤)
触媒及び助剤としては、各種の目的に応じてリン化合物、金属化合物、充填剤、不活性粒子などを用いることができる。特にリン化合物と金属化合物は重要である。
リン化合物は、得られるポリエステル樹脂の熱安定性向上のため、固有粘度、色座標b値、及び体積固有抵抗値を好ましい範囲にコントロールするため使用される。リン化合物は、重縮合反応の開始までの任意の時期に添加することができる。このリン化合物はジカルボン酸成分とジオール成分のスラリー調製時に添加してもよく、エステル化反応槽に添加してもよく、重縮合反応槽に添加してもよく、あるいはこれらの移送配管に添加してもかまわないが、反応の最初の段階、即ちスラリー調製時に添加することが、重縮合触媒の活性を低下させず、好ましい。
リン化合物としては、具体的には、正リン酸、ポリリン酸、及び、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリ-n-ブチルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリス(トリエチレングリコール)ホスフェート、メチルアシッドホスフェート、エチルアシッドホスフェート、イソプロピルアシッドホスフェート、ブチルアシッドホスフェート、モノブチルホスフェート、ジブチルホスフェート、ジオクチルホスフェート、トリエチレングリコールアシッドホスフェート等のリン酸エステル等の5価のリン化合物、並びに、亜リン酸、次亜リン酸、及び、トリメチルホスファイト、ジエチルホスファイト、トリエチルホスファイト、トリスドデシルホスファイト、トリスノニルデシルホスファイト、エチルジエチルホスホノアセテート、トリフェニルホスファイト等の亜リン酸エステル、リチウム、ナトリウム、カリウム等の金属塩等の3価のリン化合物等が挙げられる。中でも、5価のリン化合物のリン酸エステルが好ましく、トリメチルホスフェート、エチルアシッドホスフェートが特に好ましい。これらは1種又は2種以上を混合して使用することができる。
これらリン化合物の添加量は、前述の通り、得られるポリエステル樹脂に対して、リン原子換算量として、通常4~10ppmであり、下限は5ppmが好ましく、6ppmがより好ましい。上限としては9ppmが好ましく、8ppmがより好ましい。リン原子換算の添加量が上記下限未満では得られるポリエステル樹脂の色調が極端に悪化し、フィルムの生産に適さないものとなる場合があり、一方、リン原子換算の添加量が多過ぎると、重合性が著しく悪化し、生産性よく目的のポリエステル樹脂を生産することができない場合がある。
触媒としては、チタン化合物が好適に用いられる。チタン化合物としては、具体的には、テトラ-n-プロピルチタネート、テトラ-i-プロピルチタネート、テトラ-n-ブチルチタネート、テトラ-n-ブチルチタネートテラマー、テトラ-t-ブチルチタネート、テトラシクロヘキシルチタネート、テトラフェニルチタネート、テトラベンジルチタネート等のチタンアルコキシド、チタンアルコキシドの加水分解により得られるチタン酸化物、チタンアルコキシドと珪素アルコキシド若しくはジルコニウムアルコキシドとの混合物の加水分解により得られるチタン-珪素若しくはチタン-ジルコニウム複合酸化物、酢酸チタン、蓚酸チタン、蓚酸チタンカリウム、蓚酸チタンナトリウム、チタン酸カリウム、チタン酸ナトリウム、チタン酸-水酸化アルミニウム混合物、塩化チタン、塩化チタン-塩化アルミニウム混合物、臭化チタン、フッ化チタン、六フッ化チタン酸カリウム、六フッ化チタン酸コバルト、六フッ化チタン酸マンガン、六フッ化チタン酸アンモニウム、チタンアセチルアセトナート等が挙げられる。中でも、テトラ-n-プロピルチタネート、テトラ-i-プロピルチタネート、テトラ-n-ブチルチタネート等のチタンアルコキシド、蓚酸チタン、蓚酸チタンカリウムが好ましく、テトラ-n-ブチルチタネートが特に好ましい。これらは1種又は2種以上混合して使用することができる。
これらチタン化合物の添加量は、前述の通り、得られるポリエステル樹脂に対して、チタン原子換算の含有量として通常1.9~10ppmであり、下限は2.9ppmが好ましく、3.8ppmがさらに好ましい。上限としては7.2ppmが好ましく、6.2ppmがさらに好ましく、5.7ppmが特に好ましい。チタン原子換算の添加量が上記下限未満では重合性が著しく悪化し、生産性よく目的のポリエステル樹脂を生産することができない場合があり、一方多過ぎると得られるポリエステル樹脂の色調が極端に悪化し、フィルムの生産に適さないものとなる。
なお、ゲルマニウム化合物は色調良好な樹脂を得やすいが、得られるポリエステル樹脂の熱安定性が劣る傾向となることがある。更にゲルマニウム化合物は比較的高価である。アンチモン化合物はチタン化合物に比べて反応性に劣り多量に添加する必要があるため、ゲルマニウム化合物やアンチモン化合物は使用しないことが好ましい。
本発明のポリエステル樹脂の製造における、前記の触媒やリン化合物の添加は、エチレングリコール等のアルコールや水等の溶液として行うのが好ましく、チタン化合物を用いる場合のエチレングリコール等のジオール溶液としては、チタン原子換算の濃度を0.01~0.4質量%とし、且つ水分濃度を0.1~1質量%とするのが、反応系へのチタン化合物の分散性、及びそれによる溶融重縮合性の改良の面から好ましい。
(アルミニウム化合物)
本発明のポリエステル樹脂はアルミニウム化合物を含有する。アルミニウム化合物の種類及びその含有量については、前述の通りである。
アルミニウム化合物を本発明のポリエステル樹脂に含有させる方法としては、ポリエステル樹脂の製造工程においてアルミニウム化合物を反応系へ添加することが好ましく、エチレングリコール等のジオール原料にあらかじめ分散したスラリーとして添加することが好ましい。アルミニウム化合物のジオールスラリーを含有させるタイミングは、重縮合反応が終了する前であれば特に限定されないが、重縮合反応が開始される前が好ましい。例えば、ジカルボン酸成分とジオール成分のスラリー調製時に添加してもよく、エステル化反応槽に添加してもよく、オリゴマーのエステル化反応槽から重縮合反応槽への移送配管に添加してもよく、オリゴマーの重縮合反応槽への移送終了後に添加してもよい。中でもエステル化反応又はエステル交換反応が終わり、重縮合反応が開始されるまでの段階で添加することが、アルミニウム化合物の樹脂中での分散性を良好にすることができ、それによって体積固有抵抗値を十分に改良できるため、好ましい。
ここで用いるアルミニウム化合物含有ジオールスラリー中のアルミニウム化合物の含有量は、エチレングリコール等のジオール100質量部に対して0.1~5質量部、特に0.2~1質量部であることが好ましい。アルミニウム化合物の含有量が上記下限以上であればアルミニウム化合物添加に伴うジオールの多量添加によるポリエステル樹脂の解重合を抑制可能であり、上記上限以下であれば樹脂中でのアルミニウム化合物の凝集を抑制可能である。なお、アルミニウム化合物含有ジオールスラリーの添加量は、前述のアルミニウム原子換算含有量のポリエステル樹脂が得られる量であればよい。
また、アルミニウム化合物は通常微粒子状でアルミニウム化合物含有ジオールスラリー中に分散させた状態で用いられるが、アルミニウム化合物含有ジオールスラリー中のアルミニウム化合物の一次粒径は、遠心沈降型粒度分布計により測定された平均粒径として、1~1000nm、特に5~100nmであることが好ましい。アルミニウム化合物の一次粒径が上記下限以上であればジオールスラリー中でのアルミニウム化合物の分散性が良好でスラリーの取り扱いが容易であり、上記上限以下であれば、ジオールスラリー中でのアルミニウム化合物の沈降が抑制されるため好ましい。
(その他の添加剤)
本発明のポリエステル樹脂の製造工程では、上記のアルミニウム化合物以外の添加剤として、必要に応じて、帯電防止剤、安定剤、潤滑剤、架橋剤、ブロッキング防止剤、酸化防止剤、着色剤、光線遮断剤、紫外線吸収剤などを、コンデンサ特性を悪化させない範囲内で含有していてもよい。
<反応条件>
エステル化反応は、例えば、テレフタル酸とエチレングリコールを原料とする場合には、通常240~280℃で大気圧に対する相対圧力0~4×10Paの常圧乃至加圧下で攪拌しながら実施することができる。ここで得られたポリエステル樹脂のオリゴマーは、続く重縮合反応工程へ供される。
重縮合反応工程は、ポリエステル樹脂のオリゴマーと、アルミニウム化合物含有ジオールスラリーとの混合物に対して、通常250~300℃の温度条件で、圧力は常圧から漸次減圧され、最終的には通常絶対圧力1333~13.3Paで実施される。
溶融重縮合により得られたポリエステル樹脂は、通常、重縮合反応槽の底部に設けられた抜き出し口からストランド状に抜き出して、水冷しながら若しくは水冷後、カッターで切断してペレット状、チップ状等の粒子状体とされ、本発明のポリエステル樹脂が得られる。得られたポリエステル樹脂は必要に応じて融点以下で不活性ガス雰囲気下又は減圧下で固相重縮合を行ってもよい。
[フィルム]
本発明のポリエステル樹脂は、フィルム、特に、二軸延伸フィルムとして好適であり、その成形法としては、ポリエステル樹脂をフィルム若しくはシート状に溶融押出しし、冷却ドラムにより急冷して未延伸フィルム若しくはシートとなし、次いで、該未延伸フィルム若しくはシートを予熱後、縦方向に延伸し、引き続いて横方向に延伸する逐次二軸延伸法、或いは、縦横方向に同時に二軸延伸する同時二軸延伸法等、従来公知の方法が採られる。その際の延伸倍率は、縦方向及び横方向共、通常2~6倍の範囲とされ、又、必要に応じて、二軸延伸後、熱固定及び/又は熱弛緩される。尚、二軸延伸フィルムとしての厚みは、通常1~300μm程度とされる。
また、成形に際しては、必要に応じて、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、帯電防止剤、滑剤、ブロッキング防止剤、防曇剤、核剤、可塑剤、着色剤等の、ポリエステル樹脂に通常用いられる添加剤を使用しても良い。
前記二軸延伸フィルム等のフィルムにおいては、表面のブロッキング防止のために無機質又は有機質粒子からなる滑剤を添加してもよい。無機質粒子としては、例えば、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、アルミナ、シリカ、タルク、チタニア、カオリン、マイカ、ゼオライト等、及びそれらのシランカップリング剤、又はチタネートカップリング剤等による表面処理物が挙げられる。また、有機質粒子としては、例えば、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、架橋樹脂等が挙げられる。
これら滑剤の粒子径は、平均粒子径で0.05~5.0μmの範囲にあるのが好ましい。
また、これら滑剤の添加量は、フィルムのヘーズと滑り性のバランスを保てるように設定されるが、ポリエステルフィルム中の含有量として下限は通常0.001質量%、好ましくは0.05質量%、上限は通常1.0質量%、好ましくは0.5質量%、更に好ましくは0.2質量%程度である。
本発明のポリエステル樹脂によれば、透明性と絶縁抵抗特性に優れたポリエステルフィルムを得ることができ、このフィルムは特にコンデンサ用途に好適である。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。
<分析方法>
以下の実施例および比較例における分析手法は以下の通りである。
(金属原子含有量)
試料2.5gを、硫酸存在下に過酸化水素で常法により灰化、完全分解後、蒸留水にて50mLに定容したものについて、プラズマ発光分光分析装置(JOBIN YVON社製ICP-AES「JY46P型」)を用いて定量し、試料中の「質量ppm」に換算した。
(体積固有抵抗値(ρv))
試料15gを、内径20mm、長さ180mmの枝付き試験管に入れ、管内を十分に窒素置換した後、250℃のオイルバス中に浸漬し、管内を真空ポンプで130Pa(絶対圧力)以下として20分間真空乾燥し、次いで、オイルバス温度を285℃に昇温して試料を溶融させた後、窒素復圧と減圧を繰り返して混在する気泡を取り除いた。そして窒素復圧後、この溶融体の中に、面積1cmのステンレス製電極2枚を5mmの間隔で並行に(相対しない裏面を絶縁体で被覆)挿入し、温度が安定した後に、抵抗計(ヒューレット・パッカード社製「MODEL HP4339B」)で直流電圧100Vを印加し、そのときの抵抗値を計算して体積固有抵抗値(Ω・cm)とした。
(固有粘度)
試料0.25gを、フェノール/テトラクロロエタン(質量比1/1)の混合溶媒に、濃度(c)を1.0g/dlとして、110℃で30分間で溶解させた後、ウベローデ型毛細粘度管を用いて、30℃で、原液との相対粘度(ηrel)を測定し、この「相対粘度(ηrel)-1」から求めた比粘度(ηsp)と濃度(c)との比(ηsp/c)を求め、同じく濃度(c)を0.5g/dl、0.2g/dl、0.1g/dlとしたときについてもそれぞれの比(ηsp/c)を求め、これらの値より、濃度(c)を0に外挿したときの比(ηsp/c)を固有粘度(dL/g)として求めた。
(溶液ヘーズ)
試料2.7gをフェノール/テトラクロロエタン(質量比6/4)の混合溶媒20mLに120℃で30分間で溶解させて試料溶液を調製した。引き続き、日本電色製濁度計(NDH7000)を用いて、JIS K7136に基づき溶液ヘーズを測定した。
[実施例1]
エチレングリコール100質量部を計量し、酸化アルミニウム微粒子(親水性フュームドアルミナ、一次粒径:13nm、日本アエロジル社製、「Aluminium Oxide C」)0.45質量部を加え、攪拌機(IKA社製「ウルトラタラックス T-25」)で分散混合して酸化アルミニウム微粒子のエチレングリコールスラリーを得た。
テレフタル酸43質量部、及びエチレングリコール19質量部のスラリーを、予めビス(ヒドロキシエチル)テレフタレート50質量部が仕込まれ、温度250℃、相対圧力1.2×10Paに保持されたエステル化反応槽で4時間かけて順次供給し、供給終了後も更に1時間かけてエステル化反応を行った。
エステル化反応生成物を内温が260℃に保持された重縮合反応槽に投入し、先に調製した酸化アルミニウムのエチレングリコールスラリーを、得られるポリエステル樹脂に対してアルミニウム原子として2.5ppmとなるように添加した。さらに、5分間隔で、エチルアシッドホスフェート及びテトラ-n-ブチルチタネートのエチレングリコール溶液を得られるポリエステル樹脂に対してリン原子として7ppm、チタン原子として4.3ppm含有するように添加した。その後、反応系内を1時間30分かけて260℃から280℃まで昇温すると共に、1時間で常圧から130Pa(絶対圧力)に減圧して同圧を保持しつつ、145分間重縮合反応させ、重縮合反応槽の底部に設けられた抜き出し口からストランド状に抜き出して、水冷後、カッターでペレット状とすることにより、ポリエステル樹脂を製造した。得られたポリエステル樹脂の物性を表1に示す。得られたポリエステル樹脂は溶液ヘーズが低く透明性に優れ、体積固有抵抗値(ρv)が高く絶縁抵抗特性にも優れていた。
[実施例2]
酸化アルミニウムの添加量を表1に記載の通りに変更した以外は実施例1と同様にしてポリエステル樹脂を得た。得られたポリエステル樹脂の物性を表1に示す。得られたポリエステル樹脂は透明性に優れ、絶縁抵抗特性にも優れていた。
[実施例3]
酸化アルミニウムの添加量を表1に記載の通りに変更した以外は、実施例1と同様にしてポリエステル樹脂を得た。得られたポリエステル樹脂の物性を表1に示す。得られたポリエステル樹脂は透明性に劣るものの絶縁抵抗特性には優れるものであった。
[比較例1]
酸化アルミニウムを添加しなかったこと以外は、実施例1と同様にしてポリエステル樹脂を得た。得られたポリエステル樹脂の物性を表1に示す。得られたポリエステル樹脂は透明性には優れるものの、体積固有抵抗値(ρv)が低く絶縁抵抗特性に劣る樹脂であった。
Figure 2023106155000001
以上の結果から、本発明のポリエステル樹脂によれば、絶縁抵抗特性と良好な透明性とを併せ持つフィルムを得ることができることが分かる。

Claims (8)

  1. 溶融時の体積固有抵抗値(ρv)が120×10Ω・cm以上であり、溶液ヘーズが2.0%以下であるポリエステル樹脂。
    なお、溶液ヘーズは以下の方法で測定される。
    <溶液ヘーズの測定方法>
    ポリエステル樹脂2.7gをフェノール/テトラクロロエタン(質量比6/4)の混合溶媒20mLに120℃で30分間で溶解させて試料溶液を調製し、日本電色製濁度計(NDH7000)を用いて、JIS K7136に基いて溶液ヘーズを測定する。
  2. アルミニウム化合物の含有量がアルミニウム原子として2.5ppm以上24ppm以下である請求項1に記載のポリエステル樹脂。
  3. 前記アルミニウム化合物が酸化アルミニウムである請求項2に記載のポリエステル樹脂。
  4. チタン化合物およびリン化合物を含有する請求項1から3のいずれか一項に記載のポリエステル樹脂。
  5. 前記ポリエステル樹脂は主たる繰り返し単位がエチレンテレフタレート単位である請求項1から4のいずれか一項に記載のポリエステル樹脂。
  6. 請求項5に記載のポリエステル樹脂を製造する方法であって、
    エステル化反応工程又はエステル交換反応工程と、
    該エステル化反応工程又はエステル交換反応工程で得られたオリゴマーの重縮合反応工程とを有し、
    該重縮合反応工程において、該オリゴマーと、アルミニウム化合物含有ジオールスラリーとの混合物を重縮合反応するポリエステル樹脂の製造方法。
  7. 請求項1から5のいずれか1項に記載のポリエステル樹脂を用いたフィルム。
  8. 請求項7に記載のフィルムを用いたコンデンサ用フィルム。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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