JP2014080609A - 太陽電池裏面保護用二軸延伸ポリエステルフィルムおよびポリエステル樹脂の製造方法 - Google Patents

太陽電池裏面保護用二軸延伸ポリエステルフィルムおよびポリエステル樹脂の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】耐加水分解性と静電印加密着性がともに改善された太陽電池裏面保護用二軸延伸ポリエステルフィルムおよびポリエステル樹脂の製造方法の提供。
【解決手段】Ti触媒、Mg化合物、P化合物および含窒素複素環化合物が添加されて重合されたポリエステル樹脂を含み、下記要件(1)を満たすことを特徴とする、太陽電池裏面保護用二軸延伸ポリエステルフィルム。
(1)285℃での体積固有抵抗値 ρν≦10×107Ω・cm
【選択図】なし

Description

本発明は、太陽電池裏面保護用二軸延伸ポリエステルフィルムおよびポリエステル樹脂の製造方法に関する。より詳しくは、耐加水分解性と静電印加密着性がともに改善された太陽電池裏面保護用二軸延伸ポリエステルフィルムおよびポリエステル樹脂の製造方法に関する。
太陽電池の構成部品のひとつである太陽電池裏面封止フィルムの原料として、ポリエチレンテレフタレート樹脂が用いられる。太陽電池は屋外で使用されるため、太陽電池裏面封止フィルムにおいては自然環境に対する耐久性(耐加水分解性)が強く要求される。
一方で、近年の高速製膜化要求に伴い、より製膜速度を向上できるように、従来から一般的に用いられている静電印加法によるキャスト製膜において、体積固有抵抗値の低いポリエチレンテレフタレート樹脂が要求されている。
このような要求に対し、ポリエステル樹脂の溶融重合工程において、触媒や添加剤の種類及び配合比率を特定の範囲に規定することで、高速製膜性と耐加水分解性の両立を図った技術が提示されている(例えば、特許文献1や、特許文献2)。
特開2010−163613号公報 特開2011−231211号公報 特開2010−260903号公報 特開2011−258641号公報 特開2011−225640号公報
特許文献1には、周期表第4族から選ばれる少なくとも1種の元素の化合物、周期表第2族から選ばれる少なくとも1種の元素の化合物、およびリン化合物を含有し、285℃での体積固有抵抗値ρVがρV≦20×107Ω・cm、固有粘度IVがIV>0.7dl/g、末端カルボキシル基量AVがAV≦20当量/樹脂トンであり、前記周期表第2族から選ばれる少なくとも1種の元素の化合物および前記リン化合物の含有量が、金属原子またはリン原子として0.2≦P/M≦0.6 [P:ポリエステル樹脂中のリン原子の濃度(モル/樹脂トン)、M:ポリエステル樹脂中の周期表第2族から選ばれる金属原子の濃度(モル/樹脂トン)]を満足することを特徴とするポリエステル樹脂により、安価で優れた機械特性を有するポリエチレンテレフタレート樹脂を用い、耐加水分解性を向上し、かつフィルムを生産性良く製膜することが出来るポリエステル樹脂を提供することができると記載されている。
特許文献2には、ポリエステル樹脂(A)とポリエステル樹脂(B)とを混合して成形するポリエステルフィルムの製造方法であって、ポリエステル樹脂(A)は、チタン原子、周期表第2族から選ばれる少なくとも1種の原子、及びリン原子を含有し、285℃における体積固有抵抗値ρVが50×107Ω・cmより大きく、固有粘度IVが0.72dL/g以上、末端カルボキシル基量AVが20当量/トン以下であり、ポリエステル樹脂(B)は、周期表第2族から選ばれる原子の化合物を原子換算で50乃至300重量ppm含有することを特徴とするポリエステルフィルムの製造方法により、良好な耐加水分解性を有する太陽電池裏面封止フィルムに好適なポリエステルフィルムを効率的に製造することができると記載されている。
特許文献3には、二軸配向ポリエステルフィルムであって、要件(1)カルボキシ末端量がポリエステルに対して5eq/ton以下であること、要件(2)全金属元素含有量がポリエステルに対して150ppm以下であること、を満たすポリエステルフィルム(ここで、全金属元素含有量とはアルカリ金属、アルカリ土類金属およびチタンを除く遷移金属及び典型元素金属の合計量をいう。)により、長期熱安定性と極めて高度な耐加水分解性とを有するポリエステルフィルムを提供することができると記載されている。
特許文献4、5には、カルボジイミド基を有する環状化合物を含むポリエステル組成物を太陽電池裏面保護膜用二軸配向ポリエステルフィルムに用いることが記載されている。ここでは、二軸配向ポリエステルフィルムに、このような環状化合物を用いることにより、イソシアネート化合物の揮発により作業環境を悪化させることなく高い耐加水分解性が付与されることが記載されている。
しかしながら、本発明者が特許文献1、3〜5に記載のポリエステル樹脂や特許文献2に記載の製造方法を用いてポリエステルフィルムを製造したところ、耐加水分解性と静電印加密着性の両立の観点からは、さらなる改善が求められることがわかった。例えば、特許文献4、5に記載の二軸配向ポリエステルフィルムは、カルボジイミド基を有する環状化合物を用いることによって耐加水分解性が改善される反面、体積固有抵抗値が増加して静電印加密着性が低下し、静電印加法によるキャスト製膜を行う場合に製膜効率が低下してしまうことが分かった。
また、この他の技術として、特許文献3(特開2010−260903)[0191]項に、高速製膜性を実現する技術(例えば、特許第1908279号)に関する記載がある。その中で、コバルト化合物を配合することが記載されているが、コバルト化合物は環境への影響が懸念される他、エステル交換能を持ち、溶融重合時に分解反応による末端COOH基の増加を引き起こすため、配合しない場合に比べて耐加水分解性の向上が目減りしてしまうという問題がある。
このように、これまでの先行技術では、耐加水分解性を向上させようとすると静電印加性が悪化し、静電印加性を付与させようとすると耐加水分解性が犠牲になるというトレードオフの関係にあった。
発明が解決しようとする課題は、耐加水分解性と静電印加密着性がともに改善された太陽電池裏面保護用二軸延伸ポリエステルフィルムおよびポリエステル樹脂の製造方法を提供することにある。
本発明者による鋭意検討の結果、Ti触媒、Mg化合物、P化合物および含窒素複素環化合物を添加してポリエステル樹脂を合成するとともに、ポリエステル樹脂の285℃での体積固有抵抗値ρvを10×107Ω・cm以下に規定することにより、耐加水分解性と静電印加密着性の両方に優れた太陽電池裏面保護用二軸延伸ポリエステルフィルムが得られることを見出し、本発明に至った。
上記課題を解決するための具体的な手段である本発明は、以下のとおりである。
[1] Ti触媒、Mg化合物、P化合物および含窒素複素環化合物が添加されて重合されたポリエステル樹脂を含み、下記要件(1)を満たすことを特徴とする、太陽電池裏面保護用二軸延伸ポリエステルフィルム。
(1)285℃での体積固有抵抗値 ρν≦10×107Ω・cm
[2] [1]に記載の太陽電池裏面保護用二軸延伸ポリエステルフィルムは、前記含窒素複素環化合物が、イミダゾール化合物であることが好ましい。
[3] [1]または[2]に記載の太陽電池裏面保護用二軸延伸ポリエステルフィルムは、前記ポリエステル樹脂が、下記要件(A)を満たすことが好ましい。
(A)P/Mgモル比率が0.6≦P/Mg≦0.9
[4] [1]〜[3]のいずれか一項に記載の太陽電池裏面保護用二軸延伸ポリエステルフィルムは、前記ポリエステル樹脂と反応性末端封止剤とを含むポリエステル樹脂組成物を押し出し成形されてなるフィルムであることが好ましい。
[5] [4]に記載の太陽電池裏面保護用二軸延伸ポリエステルフィルムは、前記反応性末端封止剤が、環状構造を有するカルボジイミド化合物であることが好ましい。
[6] ジカルボン酸成分とジオール成分から形成されるポリエステル前駆体に、(i)Ti触媒を添加する工程、(ii)Mg化合物を添加する工程、(iii)P化合物を添加する工程を、この順序で有し、さらに含窒素複素環化合物を添加する工程を有することを特徴とする、ポリエステル樹脂の製造方法。
[7] [6]に記載されたポリエステル樹脂の製造方法は、前記Ti触媒が、クエン酸を配位子とする有機キレートTi錯体であることが好ましい。
本発明によると、耐加水分解性と静電印加密着性がともに改善された太陽電池裏面保護用二軸延伸ポリエステルフィルムを提供することができる。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
[太陽電池裏面保護用二軸延伸ポリエステルフィルム]
本発明の太陽電池裏面保護用二軸延伸ポリエステルフィルムは、Ti触媒、Mg化合物、P化合物および含窒素複素環化合物が添加されたポリエステル前駆体を重合して得られたポリエステル樹脂を含み、下記要件(1)を満たすことを特徴とする。
(1)285℃での体積固有抵抗値≦10×107Ω・cm
本発明において「ポリエステル前駆体」とは、ジカルボン酸とジオールとを含むエステル化反応前の原料混合物、およびジカルボン酸とジオールとのエステル反応生成物を含むこととする。
このような構成により、反応性末端封止剤が配合された場合でも、耐加水分解性と静電印加密着性がともに改善される。
さらに、本発明の太陽電池裏面保護用二軸延伸ポリエステルフィルムは、Ti触媒、Mg化合物およびP化合物を用いて重合されてなるポリエステル樹脂を含み、かつ、下記要件(A’)〜(C)および(1)〜(3)を満たすことが好ましい。
(A’)P/Mgモル比率が、0.2≦P/Mg≦0.9を満たす
(B)前記ポリエステル樹脂が、窒素原子を含む複素環化合物を0.5〜3.0モル/ton添加後に溶融重合されてなる
(C)前記ポリエステル樹脂に反応性末端封止剤を添加したポリエステル樹脂組成物を押し出しされてなる
(1)フィルムの285℃での体積固有抵抗値≦10×107Ω・cm
(2)フィルムAV値≦15eq/t
(3)フィルムIV>0.7dl/g
なお、要件(A’)は要件(A)を満たすことがより好ましい。
<ポリエステル樹脂>
前記ポリエステル樹脂は、Ti触媒、Mg化合物、P化合物および含窒素複素環化合物が添加されたポリエステル前駆体から重合反応によって得られたものである。
重合反応を多段階で行う場合、Ti触媒、Mg化合物、P化合物および含窒素複素環化合物は、始めの段階からポリエステル前駆体に添加してもよいし、途中の段階からポリエステル前駆体に添加してもよい。また、Ti化合物、Mg化合物、P化合物および含窒素複素環化合物は、同じ段階でポリエステル前駆体に添加してもよいし、時期をずらしてポリエステル前駆体に添加してもよいし、エステル化反応前の原料混合物に、予め混合しておいてもよい。
以下、ポリエステル樹脂、重合反応に用いるモノマー成分および添加剤、重縮合反応工程について詳述する。
(ポリエステルの組成)
前記ポリエステル樹脂は、芳香族ジカルボン酸を主成分とするジカルボン酸成分またはジカルボン酸のエステル誘導体と、ジオール成分とをエステル化又はエステル交換および重縮合することにより製造される。
原料として使用されるジカルボン酸成分の主成分である芳香族ジカルボン酸としては具体的にはテレフタル酸、フタル酸、イソフタル酸、ジブロモイソフタル酸、スルホイソフタル酸ナトリウム、フェニレンジオキシジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルケトンジカルボン酸、4,4’−ジフェノキシエタンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルスルホンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸が挙げられる。ここで「原料として使用されるジカルボン酸の主成分」であるとは、原料として使用されるジカルボン酸成分に対して90モル%以上、好ましくは95モル%以上であることをいう。この範囲を外れると出来上がったポリエステル樹脂から得られる成形後のフィルムの耐熱性が劣ったり、強度が十分に得られない。
また、前記ポリエステル樹脂は、共重合成分として、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸等の脂環式ジカルボン酸、及び、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカジカルボン酸、ドデカジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸を含有してもよい。
これらのジカルボン酸は通常、遊離酸の形態で用いられるが、これらの各アルキル基の炭素数1〜4程度のアルキルエステル、及びハロゲン化物、アルカリ金属塩等の誘導体としても用いることができる。
もう一方の原料として使用されるジオール成分中の主成分である脂肪族ジオールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、オクタメチレングリコール、デカメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール等の脂肪族ジオールが挙げられる。ここで「主成分」であるとは、原料として使用されるジオール成分に対して90モル%以上、好ましくは95モル%以上であることをいう。この範囲を外れると出来上がったポリエステル樹脂から得られる成形後のフィルムの耐熱性が劣ったり、強度が十分に得られない。
脂肪族ジオールと共に用いられる他のジオールとしては、例えば、1,2−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,1−シクロヘキサンジメタノール(1,1−シクロヘキサンジメチロール)、1,4−シクロヘキサンジメタノール(本明細書中、CHDMとも言い、1,4−シクロヘキサンジメチロールと表記されることもある)、2,5−ノルボルナンジメチロール等の脂環式ジオール、及び、キシリレングリコール、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4’−β−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−β−ヒドロキシエトキシフェニル) スルホン酸等の芳香族ジオールが挙げられる。このうち、芳香族ジオール成分は、更にアルキレンオキシドを付加させて使用することもできる。例えば、2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)プロパンにエチレンオキシド又はプロピレンオキシドを付加させた、2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)プロパンのエチレンオキシド付加物又はプロピレンオキシド付加物、等が挙げられる。
更に、前記ジオール成分及びジカルボン酸成分以外の共重合成分として、例えば、グリコール酸、p−ヒドロキシ安息香酸、p−βヒドロキシエトキシ安息香酸等のヒドロキシカルボン酸やアルコキシカルボン酸、及び、ステアリルアルコール、ヘネイコサノール、オクタコサノール、ベンジルアルコール、ステアリン酸、ベヘン酸、安息香酸、t−ブチル安息香酸、ベンゾイル安息香酸等の単官能成分、トリカルバリル酸、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸、ナフタレンテトラカルボン酸、没食子酸、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリスリトール、シュガーエステル等の三官能以上の多官能成分、等の一種又は二種以上を少量用いることができる。
本発明は、テレフタル酸又は2,6−ナフタレンジカルボン酸を主成分とするジカルボン酸成分と、エチレングリコールまたは1,4−シクロヘキサンジメタノールを主成分とするジオール成分から製造されるポリエステル樹脂に好ましく適用され、さらに好ましくはテレフタル酸を主成分とするジカルボン酸成分から製造するポリエステル樹脂において、本発明の効果は好適に発揮される。なお主成分とは80モル%以上含むものを云う。
前記ポリエステル樹脂がポリエチレンテレフタレートである態様が好ましい態様のひとつであり、その場合はテレフタル酸がジカルボン酸成分の90モル%以上、好ましくは95モル%以上、より好ましくは98.5モル%以上である。又、エチレングリコールが、ジオール成分の90モル%以上、好ましくは95モル%以上、より好ましくは97モル%以上、更に好ましくは98モル%以上である。
前記ポリエステル樹脂が、CHDM系ポリエステルである態様が好ましい態様のひとつである。前記CHDM系ポリエステルとは、1,4−シクロヘキサンジメタノール(本明細書中、CHDMとも言う)由来の構造をジオール成分として有するポリエステルのことを言う。
本発明の太陽電池裏面保護用二軸延伸ポリエステルフィルムは、下記条件(a)および(b)のうち少なくとも一方を満たすポリエステル成分を主成分として含むポリエステル層を少なくとも1層含むことが好ましい。
条件(a):ポリエステルと、該ポリエステルに対して0.1〜10質量%の末端封止剤とを含むポリエステル組成物である。
条件(b):1,4−シクロヘキサンジメタノール(CHDM)由来の構造をジオール成分の0.1〜20モル%または80〜100モル%含むCHDM系ポリエステルである。
前記ポリエステルフィルムは、前記条件(a)および(b)のうち少なくとも一方を満たすポリエステル成分を主成分として含有することが好ましい。
前記CHDM系ポリエステルは、1,4−シクロヘキサンジメタノール(CHDM)由来の構造をジオール成分(全ジオール中)に、0.1〜20モル%または80〜100モル%含む(条件(b)を満たす)ことが好ましく、0.5モル%以上16モル%以下あるいは83モル%以上98モル%以下含むことがより好ましく、1モル%以上12モル%以下あるいは86モル%以上96モル%以下含むことが特に好ましい。
前記条件(b)を満たすようにCHDMを含むことで、延伸中に微小な延伸ムラを発現し易くなる。これはCHDM基がEG基に対し剛直な構造のため、延伸され難く伸びむらが生じ易いためである。
このような結晶を形成させるには、CHDM由来の構造が低い領域(0.1〜20モル%)、高い領域(80〜100モル%)の二つの領域が好ましい。この間の領域ではCHDMとEGが混在し結晶が形成し難いためである。
前記CHDM系ポリエステルは、CHDM、EG以外のジオール成分として、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール等の脂肪族ジオール類、スピログリコール、イソソルビドなどの脂環式ジオール類、ビスフェノールA、1,3―ベンゼンジメタノール,1,4−ベンセンジメタノール、9,9’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、などの芳香族ジオール類等のジオールなどが代表例としてあげられるが、これらに限定されるものではない。
TPA以外のジカルボン酸としてマロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸、ダイマー酸、エイコサンジオン酸、ピメリン酸、アゼライン酸、メチルマロン酸、エチルマロン酸等の脂肪族ジカルボン酸類、アダマンタンジカルボン酸、ノルボルネンジカルボン酸、イソソルビド、シクロヘキサンジカルボン酸、デカリンジカルボン酸、などの脂環族ジカルボン酸、イソフタル酸、フタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,8−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、フェニルインダンジカルボン酸、アントラセンジカルボン酸、フェナントレンジカルボン酸、9,9’−ビス(4−カルボキシフェニル)フルオレン酸等のジカルボン酸、もしくはそのエステル誘導体などが代表例としてあげられるが、これらに限定されるものではない。これらの中でより好ましいのが、イソフタル酸(IPA)である。好ましいIPA量は全ジカルボン酸中0モル%以上15モル%以下が好ましく、より好ましくは0モル%以上12モル%以下、さらに好ましくは0モル%以上9モル%以下である。
本発明では前記条件(b)を満たすCHDM系ポリエステルを用いる場合、条件(b)を満たすCHDM系ポリエステルを含有する層を少なくとも1層有していればよく、単層であっても、2以上の層を有していてもよい。すなわち、前記条件(b)を満たすCHDM系ポリエステルを含有する層以外のその他の層と積層されていてもよい。
特にCHDM由来の構造が80〜100モル%のとき、積層構造にすることが好ましい。これは、CHDM由来の構造の比率が高くなると、剛直なCHDM基の含率が高くなりすぎ延伸中に破断し易くなるためである。このため延伸し易い(破断し難い)CHDM構造を有しないポリエステルと積層することが好ましく、より好ましくはPETと積層することである。
本発明のポリエステルフィルムは、前記条件(b)を満たすCHDM系ポリエステルを含有する層(P1層と称する)と、ポリエチレンテレフタレートを主成分とするポリエステルを含有する層(P2層と称する)とが積層された態様も好ましい。
P2層は、ジカルボン酸ユニット中テレフタル酸ユニットを95%以上有し、かつジオールユニット中エチレングリコールユニットを95モル%以上含むものをさす。
またP2層のIVは0.7以上0.9以下が好ましく、より好ましくは0.72以上0.85以下、さらに好ましくは0.74以上0.82以下である。このようにIVを高めにすることで分子間の絡み合いを増加させ延伸性を向上し破断を抑制することができる。
本発明のポリエステルフィルムは、P1層とP2層の層数の和は、2層以上が好ましく、より好ましくは2層以上5層以下、さらに好ましくは2層以上4層以下である。中でも好ましいのが、P1層が前記ポリエステル支持体の前記導電層が設けられた側の最外層に設けられた構造であり、例えばP2層の両側をP1層で挟んだ3層構造、P2層とP1層を積層した2層構造である。
本発明のポリエステルフィルムが2層以上の場合、厚みはP1層の総和が全厚みの10%以上50%以下が好ましく、より好ましくは15%以上45%以上、さらに好ましくは20%以上40%以下である。この下限値以上にすることでPETが共存することによる延伸性向上効果が得られ、この上限値以下にすることでCHDM構造による導電層の不均一性を発現し易い。
このような積層構造は定法により調製することができ、複数の押出し機から供給されたメルト(樹脂の融体)をマルチマニフォールドダイ、フィードブロックダイを用い積層し押出すことで達成できる。
ポリエステルフィルムの各層の厚みは、フィルムの断面を、SIMSを用い測定し、P1層の特徴フラグメント、P2層の特徴フラグメントでイメージングすることで求めることができる。
前記ポリエステル樹脂を製造する時の、エステル化又はエステル交換反応に供するジカルボン酸に対するジオールの割合(モル比)は、通常1.02〜2.0、好ましくは1.03〜1.7の範囲である。
(ポリエステル樹脂合成時の触媒および添加剤ならびに樹脂合成後の添加剤)
ポリエステル樹脂合成時の触媒および添加剤ならびに樹脂合成後の添加剤について説明する。以下の化合物は、それぞれ1種のみ用いてもよいし、2種以上併用してもよい。また、ポリエステル樹脂合成時の触媒および添加剤としては、以下の化合物に加えて、特開2011−162777号公報や特開2012−012578号公報に記載の触媒および添加剤を好ましく用いることができ、この公報に記載された内容は本発明に組み込まれる。
(i)Ti触媒
前記ポリエステル樹脂は、Ti触媒を用いて重合されてなる。
Ti触媒として用いられる化合物としては、有機酸を配位子とする有機キレートチタン錯体、Tiの酸化物、水酸化物、アルコキシド、酢酸塩、炭酸塩、蓚酸塩、及びハロゲン化物等が挙げられる。チタン化合物としては、具体的には、例えば、該有機キレートチタン錯体が配位子として有する有機酸として、例えば、クエン酸、乳酸、トリメリット酸、リンゴ酸等を挙げることができ、中でも、クエン酸又はクエン酸塩を配位子とする有機キレート錯体がより好ましい。その他、テトラ−n−プロピルチタネート、テトラ−i−プロピルチタネート、テトラ−n−ブチルチタネート、テトラ−n−ブチルチタネートテトラマー、テトラ−t−ブチルチタネート、テトラシクロヘキシルチタネート、テトラフェニルチタネート、テトラベンジルチタネート等のチタンアルコキシド、チタンアルコキシドの加水分解により得られるチタン酸化物、チタンアルコキシドと珪素アルコキシド若しくはジルコニウムアルコキシドとの混合物の加水分解により得られるチタンと珪素若しくはジルコニウム複合酸化物、酢酸チタン、蓚酸チタン、蓚酸チタンカリウム、蓚酸チタンナトリウム、チタン酸カリウム、チタン酸ナトリウム、チタン酸−水酸化アルミニウム混合物、塩化チタン、塩化チタン−塩化アルミニウム混合物、臭化チタン、フッ化チタン、六フッ化チタン酸カリウム、六フッ化チタン酸コバルト、六フッ化チタン酸マンガン、六フッ化チタン酸アンモニウム、チタンアセチルアセトナート等が挙げられ、中でも、テトラ−n−プロピルチタネート、テトラ−i−プロピルチタネート、テトラ−n−ブチルチタネート等のチタンアルコキシド、蓚酸チタン、蓚酸チタンカリウムが好ましく、テトラ−n−ブチルチタネートが特に好ましい。
これらの中でも、前記Ti触媒が前記要件(E)を満たすこと、すなわち、前記Ti触媒がクエン酸を配位子とする有機キレートTi錯体であることがより好ましい。
例えば、クエン酸を配位子とする有機キレートチタン錯体を用いた場合、微細粒子等の異物の発生が少なく、他のチタン化合物に比べ、重合活性と色調の良好なポリエステル樹脂が得られる。更に、クエン酸キレートチタン錯体を用いる場合でも、エステル化反応の段階で添加することにより、エステル化反応後に添加する場合に比べ、重合活性と色調が良好で、末端カルボキシル基の少ないポリエステル樹脂が得られる。この点については、チタン触媒はエステル化反応の触媒効果もあり、エステル化段階で添加することでエステル化反応終了時におけるオリゴマー酸価が低くなり、以降のエステル交換反応がより効率的に行なわれること、またクエン酸を配位子とする錯体はチタンアルコキシド等に比べて加水分解耐性が高く、エステル化反応過程において加水分解せず、本来の活性を維持したままエステル化反応の触媒としても効果的に機能するものと推定される。
また、一般に、ポリエステル樹脂は、末端カルボキシル基量が多いほど耐加水分解性が悪化することが知られており、上記のごときチタン化合物を用いることによって、末端カルボキシル基量が少なくなることで、耐加水分解性の向上が期待される。
クエン酸キレートチタン錯体としては、例えば、ドルフケタール社製 Tyzor AC420など市販品として容易に入手可能である。
(ii)Mg化合物
前記ポリエステル樹脂は、Mg化合物を用いて重合されてなる。
Mg化合物として用いられるMgの酸化物、水酸化物、アルコキシド、酢酸塩、炭酸塩、蓚酸塩、及びハロゲン化物等、具体的には、例えば、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、マグネシウムアルコキシド、酢酸マグネシウム、炭酸マグネシウム等が挙げられる。マグネシウム化合物の中でも、エチレングリコールへの溶解性の観点から、酢酸マグネシウムが好ましい。
(iii)P化合物
前記ポリエステル樹脂は、P化合物(リン化合物)を用いて重合されてなる。
リン化合物としては、具体的には、例えば、正リン酸、ポリリン酸、及び、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリ−n−ブチルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリス(トリエチレングリコール)ホスフェート、メチルアシッドホスフェート、エチルアシッドホスフェート、イソプロピルアシッドホスフェート、ブチルアシッドホスフェート、モノブチルホスフェート、ジブチルホスフェート、ジオクチルホスフェート、トリエチレングリコールアシッドホスフェート等のリン酸エステル等の5価のリン化合物、並びに、亜リン酸、次亜リン酸、及び、トリメチルホスファイト、ジエチルホスファイト、トリエチルホスファイト、トリスドデシルホスファイト、トリスノニルデシルホスファイト、エチルジエチルホスホノアセテート、トリフェニルホスファイト等の亜リン酸エステル、リチウム、ナトリウム、カリウム等の金属塩等の3価のリン化合物等が挙げられ、中でも5価のリン化合物のリン酸エステルが好ましく、トリメチルホスフェート、あるいはエチルアシッドホスフェートが特に好ましい。
前記ポリエステル樹脂は、前記要件(A)を満たす範囲で、前記P化合物および前記Mg化合物を用いて重合されてなることが好ましい。すなわちP/Mgモル比率が、0.2≦P/Mg≦0.9(要件(A’))を満たすことが好ましく、0.6≦P/Mg≦0.9を満たすこと(要件(A))がより好ましく、0.6≦P/Mg≦0.8を満たすことがさらに好ましい。
(iv)含窒素複素環化合物
前記ポリエステル樹脂は、含窒素複素環化合物を用いて重合されてなる。
含窒素複素環化合物としてはイミダゾールおよびその誘導体が好ましく、1−メチルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、2−メチル1Hイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾールが好ましく、2−エチル−4−メチルイミダゾールがより好ましい。
ポリエステル前駆体における含窒素複素環化合物の添加量は、0.5〜3.0モル/tonであることが好ましく、0.75〜2.0モル/tonであることがより好ましく、1.0〜1.5モル/tonであることがさらに好ましい。なお、上記添加量は、ポリエステル樹脂1tonに対する含窒素複素環化合物の添加モル数〔モル/ton〕を意味する。
含窒素複素環化合物の含有量が上記下限値以上であると、静電印加性を良化させる効果、末端カルボキシル基量を低減する効果およびジエチレングリコールの副生成を低減する効果が十分となる。含窒素複素環化合物が上記上限値以下であると、重合反応において好ましくない分解反応が生じて生産性が低下する問題や、それに伴うポリエステルの着色といった問題を抑制することができ、好ましい。
また、重縮合反応を多段階で行う場合、含窒素複素環化合物は、溶融重合工程の前にポリエステル前駆体に添加されることが好ましい。
(v)末端封止剤
本発明の太陽電池裏面保護用二軸延伸ポリエステルフィルムは、前記要件(C)を満たすことが好ましい。すなわち、本発明の太陽電池裏面保護用二軸延伸ポリエステルフィルムは、前記ポリエステル樹脂に反応性末端封止剤(以下、末端封止剤ということもあるが、本明細書中における末端封止剤は、反応性末端封止剤を意味する)を添加したポリエステル樹脂組成物を押出成形してなるものであることが好ましい。
前記反応性末端封止剤の添加量としては本発明の趣旨に反しない限りにおいて特に制限はないが、例えば、前記ポリエステル樹脂に対して0〜10質量%の末端封止剤を含むことができる。末端封止剤の添加量はより好ましくは0.2〜5質量%、さらに好ましくは0.3〜2質量%である。
ポリエステルの加水分解は、末端カルボン酸等から生じるH+の触媒効果により加速されるため、耐加水分解性(耐候性)を向上させるには、末端カルボン酸と反応する末端封止剤を添加することが有効である。従って末端封止剤が上記範囲の下限値以上であれば耐候性向上効果が発現しやすく好ましい。一方、上記範囲の上限値以下であればポリエステルに対し可塑剤として作用しにくく、力学強度、耐熱性が低下しにくく、好ましい。
前記末端封止剤はエポキシ化合物、カルボジイミド化合物(カルボジイミド系末端封止剤)、オキサゾリン化合物、カーボネート化合物等が挙げられるが、PETと親和性が高く末端封止能の高いカルボジイミドが好ましい。
末端封止剤(特にカルボジイミド末端封止剤)は高分子量であることが好ましい。これにより溶融製膜中の揮散を低減できる。分子量は200〜10万が好ましく、より好ましくは2000〜8万、さらに好ましくは1万〜5万である。末端封止剤(特にカルボジイミド末端封止剤)の分子量が上記上限値以上であるとポリエステル中に均一分散しにくく耐候性改良効果を充分に発現し難い。一方、この範囲未満では、押出し、製膜中に揮散し易く耐候性向上効果を発現し難く好ましくない。
なお、末端封止剤の分子量は、重量平均分子量を意味する。
カルボジイミド系末端封止剤:
カルボジイミド基を有するカルボジイミド化合物は、一官能性カルボジイミドと多官能性カルボジイミドがあり、一官能性カルボジイミドとしては、ジシクロヘキシルカルボジイミド、ジイソプロピルカルボジイミド、ジメチルカルボジイミド、ジイソブチルカルボジイミド、ジオクチルカルボジイミド、t−ブチルイソプロピルカルボジイミド、ジフェニルカルボジイミド、ジ−t−ブチルカルボジイミドおよびジ−β−ナフチルカルボジイミドなどが挙げられる。特に好ましくは、ジシクロヘキシルカルボジイミドやジイソプロピルカルボジイミドである。
また、多官能性カルボジイミドとしては、重合度3〜15のカルボジイミドが好ましく用いられる。具体的には、1,5−ナフタレンカルボジイミド、4,4’−ジフェニルメタンカルボジイミド、4,4’−ジフェニルジメチルメタンカルボジイミド、1,3−フェニレンカルボジイミド、1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−トリレンカルボジイミド、2,6−トリレンカルボジイミド、2,4−トリレンカルボジイミドと2,6−トリレンカルボジイミドの混合物、ヘキサメチレンカルボジイミド、シクロヘキサン−1,4−カルボジイミド、キシリレンカルボジイミド、イソホロンカルボジイミド、イソホロンカルボジイミド、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−カルボジイミド、メチルシクロヘキサンカルボジイミド、テトラメチルキシリレンカルボジイミド、2,6−ジイソプロピルフェニルカルボジイミドおよび1,3,5−トリイソプロピルベンゼン−2,4−カルボジイミドなどを例示することができる。
カルボジイミド化合物は、熱分解によりイソシアネート系ガスが発生するため、耐熱性の高いカルボジイミド化合物が好ましい。耐熱性を高めるためには、分子量(重合度)が高いほど好ましく、より好ましくはカルボジイミド化合物の末端を耐熱性の高い構造にすることが好ましい。また、一度熱分解を起こすとさらなる熱分解を起こし易くなるため、ポリエステルの押出温度をなるべく低温下にするなどの工夫が必要である。
前記封止剤のカルボジイミドは、環状構造を持つものも好ましい(例えば、特開2011−153209号公報に記載のもの)。これらは低分子量でも上記高分子量カルボジイミド同等の効果を発現する。これはポリエステルの末端カルボン酸と環状のカルボジイミドが開環反応し、一方がこのポリエステルと反応、開環した他方が他のポリエステルと反応し高分子量化するため、イソシアネート系ガスが発生することを抑制するためである。
これらの環状構造を持つものの中でも、本発明では、前記末端封止剤が、カルボジイミド基を有し、その第一窒素と第二窒素とが結合基により結合されている環状構造を含むカルボジイミド化合物であることが好ましい。さらに、前記末端封止剤は、芳香環に隣接したカルボジイミド基を少なくとも1個有し、前記芳香環に隣接したカルボジイミド基の第一窒素と第二窒素とが結合基により結合されている環状構造を含むカルボジイミド(芳香族環状カルボジイミドとも言う)であることがより好ましい。
芳香族環状カルボジイミドは、環状構造を複数有していてもよい。
芳香族環状カルボジイミドは分子内に2つ以上のカルボジイミド基の第一窒素と第二窒素とが連結基により結合した環構造を有さない芳香族カルボジイミドであること、すなわち単環であるものも好ましく用いることができる。
環状構造は、カルボジイミド基(−N=C=N−)を1個有しその第一窒素と第二窒素とが結合基により結合されている。一つの環状構造中には、1個のカルボジイミド基のみを有するが、例えば、スピロ環など、分子中に複数の環状構造を有する場合にはスピロ原子に結合するそれぞれの環状構造中に1個のカルボジイミド基を有していれば、化合物として複数のカルボジイミド基を有していてよいことはいうまでもない。環状構造中の原子数は、好ましくは8〜50、より好ましくは10〜30、さらに好ましくは10〜20、特に、10〜15が好ましい。
ここで、環状構造中の原子数とは、環状構造を直接構成する原子の数を意味し、例えば、8員環であれば8、50員環であれば50である。環状構造中の原子数が8より小さいと、環状カルボジイミド化合物の安定性が低下して、保管、使用が困難となる場合があるためである。また反応性の観点よりは環員数の上限値に関しては特別の制限はないが、50を超える原子数の環状カルボジイミド化合物は合成上困難となり、コストが大きく上昇する場合が発生するためである。かかる観点より環状構造中の原子数は好ましくは、10〜30、より好ましくは10〜20、特に好ましくは10〜15の範囲が選択される。
前記環状構造を持つカルボジイミド封止剤の具体例としては、以下の化合物が挙げられる。但し、本発明は以下の具体例により限定されるものではない。
Figure 2014080609
エポキシ系末端封止剤:
また、エポキシ化合物の好ましい例としては、グリシジルエステル化合物やグリシジルエーテル化合物などが挙げられる。
グリシジルエステル化合物の具体例としては、安息香酸グリシジルエステル、t−Bu−安息香酸グリシジルエステル、P−トルイル酸グリシジルエステル、シクロヘキサンカルボン酸グリシジルエステル、ペラルゴン酸グリシジルエステル、ステアリン酸グリシジルエステル、ラウリン酸グリシジルエステル、パルミチン酸グリシジルエステル、ベヘン酸グリシジルエステル、バーサティク酸グリシジルエステル、オレイン酸グリシジルエステル、リノール酸グリシジルエステル、リノレイン酸グリシジルエステル、ベヘノール酸グリシジルエステル、ステアロール酸グリシジルエステル、テレフタル酸ジグリシジルエステル、イソフタル酸ジグリシジルエステル、フタル酸ジグリシジルエステル、ナフタレンジカルボン酸ジグリシジルエステル、メチルテレフタル酸ジグリシジルエステル、ヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、テトラヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、シクロヘキサンジカルボン酸ジグリシジルエステル、アジピン酸ジグリシジルエステル、コハク酸ジグリシジルエステル、セバシン酸ジグリシジルエステル、ドデカンジオン酸ジグリシジルエステル、オクタデカンジカルボン酸ジグリシジルエステル、トリメリット酸トリグリシジルエステルおよびピロメリット酸テトラグリシジルエステルなどを挙げられ、これらは1種または2種以上を用いることができる。
また、グリシジルエーテル化合物の具体例としては、フェニルグリシジルエ−テル、O−フェニルグリシジルエ−テル、1,4−ビス(β,γ−エポキシプロポキシ)ブタン、1,6−ビス(β,γ−エポキシプロポキシ)ヘキサン、1,4−ビス(β,γ−エポキシプロポキシ)ベンゼン、1−(β,γ−エポキシプロポキシ)−2−エトキシエタン、1−(β,γ−エポキシプロポキシ)−2−ベンジルオキシエタン、2,2−ビス−[р−(β,γ−エポキシプロポキシ)フェニル]プロパンおよび2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)プロパンや2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)メタンなどのビスフェノールとエピクロルヒドリンの反応で得られるビスグリシジルポリエーテルなどが挙げられ、これらは1種または2種以上を用いることができる。
オキサゾリン系末端封止剤:
また、オキサゾリン化合物としては、ビスオキサゾリン化合物が好ましく、具体的には、2,2’−ビス(2−オキサゾリン)、2,2’−ビス(4−メチル−2−オキサゾリン)、2,2’−ビス(4,4−ジメチル−2−オキサゾリン)、2,2’−ビス(4−エチル−2−オキサゾリン)、2,2’−ビス(4,4’−ジエチル−2−オキサゾリン)、2,2’−ビス(4−プロピル−2−オキサゾリン)、2,2’−ビス(4−ブチル−2−オキサゾリン)、2,2’−ビス(4−ヘキシル−2−オキサゾリン)、2,2’−ビス(4−フェニル−2−オキサゾリン)、2,2’−ビス(4−シクロヘキシル−2−オキサゾリン)、2,2’−ビス(4−ベンジル−2−オキサゾリン)、2,2’−p−フェニレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−m−フェニレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−o−フェニレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−p−フェニレンビス(4−メチル−2−オキサゾリン)、2,2’−p−フェニレンビス(4,4−ジメチル−2−オキサゾリン)、2,2’−m−フェニレンビス(4−メチル−2−オキサゾリン)、2,2’−m−フェニレンビス(4,4−ジメチル−2−オキサゾリン)、2,2’−エチレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−テトラメチレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−ヘキサメチレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−オクタメチレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−デカメチレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−エチレンビス(4−メチル−2−オキサゾリン)、2,2’−テトラメチレンビス(4,4−ジメチル−2−オキサゾリン)、2,2’−9,9’−ジフェノキシエタンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−シクロヘキシレンビス(2−オキサゾリン)および2,2’−ジフェニレンビス(2−オキサゾリン)等を例示することができる。これらの中では、ポリエステルとの反応性の観点から、2,2’−ビス(2−オキサゾリン)が最も好ましく用いられる。さらに、上記で挙げたビスオキサゾリン化合物は本発明の目的を達成する限り、一種を単独で用いても、二種以上を併用してもどちらでもよい。
前記ポリエステル樹脂は、上記化合物以外の成分を含みうるが、樹脂の末端カルボキシル基量AVを前記要件(2)を満たす範囲とするために、さらに公知のアンチモン化合物やゲルマニウム化合物を含有する必要性はない。
<ポリエステル樹脂の調製方法>
前記ポリエステル樹脂は、前記ジカルボン酸成分と、ジオール成分とを添加剤等を添加して重縮合させるものである。この際、前記要件(A)〜(C)を満たすように添加剤を添加することが好ましい。このジカルボン酸成分とジオール成分との重縮合は、基本的にはポリエステル樹脂の慣用の製造方法による。即ち、前記ジカルボン酸成分とジオール成分とを、スラリー調製槽に投入して攪拌下に混合して原料スラリーとする原料混合工程、エステル化反応槽で常圧から加圧下、加熱下で、エステル化反応させ、或いは、エステル交換触媒の存在下にエステル交換反応させた後、得られたエステル化反応生成物或いはエステル交換反応生成物を得るエステル化工程としてのポリエステル低分子量体を重縮合槽に移送し、常圧から漸次減圧としての減圧下、加熱下で、溶融重縮合させポリエステル樹脂を得る重縮合工程からなる。そして必要に応じ重縮合工程で得られたポリエステル樹脂をプレポリマーとして固相重縮合する工程にて処理され、ポリエステル樹脂とすることが出来る。
この際、前記の各化合物を、原料混合工程、または、エステル化工程から溶融重縮合工程までにポリエステル前駆体に添加するにはさらに下記工程によることが好ましい。
ポリエステル前駆体に、(i)Ti触媒を添加する工程、(ii)Mg化合物を添加する工程、(iii)P化合物を添加する工程を、この順序で行い、さらに含窒素複素環化合物を添加する工程を行う。
この順序で添加することで、耐加水分解性と静電印加密着性を両立することができる。
その他の条件としては、以下の態様が好ましい。
尚、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸のエステル形成性誘導体を用いてエステル交換反応を行う場合は、通常、チタン化合物、マグネシウム化合物、カルシウム化合物、マンガン化合物、亜鉛化合物等のエステル交換触媒を用いる必要があり、そのエステル交換触媒を比較的多量に用いる必要があり、これら触媒がポリエステル樹脂物性を低下させることがあるので、本発明においては、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸を用いてエステル化反応を経て製造する方法が好ましい。
エステル化反応における反応条件としては、例えば、テレフタル酸とエチレングリコールを原料とする場合には単一のエステル化反応槽の場合、通常240〜280℃程度の温度、大気圧に対する相対圧力を、通常0〜400kPa程度とし、攪拌下に1〜10時間程度の反応時間とする。又、複数のエステル化反応槽の場合は、第1段目のエステル化反応槽における反応温度を、通常240〜270℃ 、好ましくは250〜267℃、大気圧に対する相対圧力を、通常5〜300kPa、好ましくは10〜200kPaとし、最終段における反応温度を、通常250〜280℃、好ましくは255〜275℃、大気圧に対する相対圧力を、通常0〜150kPa、好ましくは0〜130kPaとする。
尚、エステル化反応において、例えば、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルアミン、ベンジルジメチルアミン等の第三級アミン、水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化テトラ−n−ブチルアンモニウム、水酸化トリメチルベンジルアンモニウム等の水酸化第四級アンモニウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、酢酸ナトリウム等の塩基性化合物等を少量添加しておくことにより、エチレングリコールからのジエチレングリコール(DEG)の副生を抑制できることが従来から知られているが、前記含窒素複素環化合物は、DEG抑制だけでなく、末端カルボキシル基量、および、体積固有抵抗値も下げる働きを持っている。
上記で得られたエステル化反応生成物は、次に溶融重縮合工程に移行する。溶融重縮合は、単一の溶融重縮合槽、又は、複数の溶融重縮合槽を直列に接続した、例えば、第1段目が攪拌翼を備えた完全混合型の反応器、第2段及び第3段目が攪拌翼を備えた横型プラグフロー型の反応器からなる多段反応装置を用いて、減圧下に、生成するエチレングリコールを系外に留出させながら行われる。
溶融重縮合における反応条件としては、単一の重縮合槽の場合、通常250〜290℃程度の温度、常圧から漸次減圧として、最終的に、絶対圧力を、通常1.3〜0.013kPa程度とし、攪拌下に1〜20時間程度の反応時間とする。又、複数の重縮合槽の場合は、第1段目の重縮合槽における反応温度を、通常250〜290℃、好ましくは260〜280℃、絶対圧力を、通常65〜1.3kPa 、好ましくは26〜2kPaとし、最終段における反応温度を、通常265〜300℃、好ましくは270〜295℃、絶対圧力を、通常1.3〜0.013kPa、好ましくは0.65〜0.065kPaとする。中間段における反応条件としては、それらの中間の条件が選択され、例えば、3段反応装置においては、第2段における反応温度を、通常265〜295℃、好ましくは270〜285℃、絶対圧力を通常6.5〜0.13kPa、好ましくは4〜0.26kPaとする。このようにしてポリエステル樹脂を製造することができる。このポリエステル樹脂は、溶融状態でダイからストランド状に押出し、冷却固化させたのちカッターで切断して粒状体(チップ)とされる。
このようにして得られたポリエステル樹脂をプレポリマーとして固相重縮合することが出来る。固相重縮合は連続式又は回分式で実施することができるが、操作性の面から連続法が好ましく用いられる。この際、プレポリマーは、固相重縮合に供する前に、固相重縮合を行う温度よりも低い温度で予備結晶化を行ってもよい。例えば、粒状体を乾燥状態で120〜200℃、好ましくは130〜190℃で1分間〜4時間程度加熱するか、あるいは粒状体を、水蒸気を含む雰囲気中で120〜200℃に1分間以上加熱してから、固相重縮合に供するようにしてもよい。
連続式の固相重縮合法として窒素、二酸化炭素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下、大気圧に対する相対圧力として、通常100kPa以下、好ましくは20kPa以下の加圧下もしくは常圧下で、通常5〜30時間程度、温度の下限は通常190℃、好ましくは195℃、上限は230℃、好ましくは220℃で加熱することにより固相重縮合させる方法がある。重縮合温度は、末端カルボキシル基量及び次に述べる固有粘度を勘案しながら上述の範囲内で調節される。
固相重縮合の反応時間は反応温度にも依るが、ポリエステル樹脂の固有粘度が0.70dl/gを超過するように、一般的に1〜50時間の範囲から選択される。
また、別の方法として回分式の固相重縮合法も用いられる。絶対圧力として、下限が通常0.013kPa、好ましくは0.065kPa、上限が通常は6.5kPaとなる減圧下で通常1〜25時間程度、好ましくは1〜20時間程度、温度の下限は通常190℃、好ましくは195℃、上限は230℃、好ましくは225℃で加熱することにより、目的のポリエステル樹脂を得ることができる。
溶融重縮合工程で得られたプレポリマーを引き続き固相重縮合することで、固有粘度を所定の範囲にコントロールし、かつ末端カルボキシル基を低減することが出来る。固相重縮合後に所定の範囲に末端カルボキシル基をコントロールするにはプレポリマーの末端カルボキシル基量を25当量/樹脂トン以下、好ましくは20当量/樹脂トン以下とすることが好ましいが、この範囲内とするための方法として、エステル化工程の後段でエチレングリコールなどの脂肪族ジオール成分を添加する方法、溶融重縮合温度を制御する方法などがあげられる。
このうち、脂肪族ジオール成分を添加する方法は簡便に末端カルボキシル基量を制御でき、かつ重縮合反応に対する影響も少ないので好ましい。エステル化工程で添加される脂肪族ジオールの量は生成するプレポリマーに対して50〜1200モル/トンが好ましい。この上限を超えて多量の脂肪族ジオールを添加すると重縮合反応の留出系への負荷が高くなるので好ましくない。脂肪族ジオールの添加量はより好ましくは100〜1000モル/トンである。この追加添加する脂肪族ジオールとしては、エチレングリコールが最も好ましい。
脂肪族ジオールを添加する時期は、エステル化工程の後段であって、エステル化率(オリゴマー反応率)が50%、好ましくは60%、更に好ましくは80%、特に好ましくは90%を超えた時点以降で添加することが好ましい。これは、エステル化率が50%未満のオリゴマーに添加しても末端カルボキシル基量を制御する効果が低くなるからである。
また、前記ポリエステル樹脂においては、フィルム用途として好適なポリエステル樹脂を得るために、任意の時期に平均粒子径0.05〜5.0μmの不活性粒子を滑剤として添加することができる。不活性粒子としては無機質又は有機質粒子が用いられる。例えば、無機質粒子としては、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、アルミナ、シリカ、タルク、チタニア、カオリン、マイカ、ゼオライト等、及びそれらのシランカップリング剤、又はチタネートカップリング剤等による表面処理物が、又、有機質粒子としては、例えば、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、架橋樹脂等が、それぞれ挙げられる。又、これら滑剤の粒子径は、平均粒子径が0.05〜5.0μmの範囲にあるのが好ましい。又、それら滑剤の添加量は、ポリエステル樹脂に対して下限は通常0.001重量%、好ましくは0.05重量%、上限は通常2.0重量%、好ましくは1.0重量%、更に好ましくは0.4重量%である。
前記ポリエステル樹脂を用いたフィルム、特に二軸延伸フィルムの成形法としては、ポリエステル樹脂をフィルム若しくはシート状に溶融押出しし、冷却ドラムにより急冷して未延伸フィルム若しくはシートとなし、次いで、該未延伸フィルム若しくはシートを予熱後、縦方向に延伸し、引き続いて横方向に延伸する逐次二軸延伸法、或いは、縦横方向に同時に二軸延伸する同時二軸延伸法等、従来公知の方法が用いられる。その際の延伸倍率は、縦方向及び横方向共、通常2〜6倍の範囲とされ、又、必要に応じて、二軸延伸後、熱固定及び/又は熱弛緩される。尚、二軸延伸フィルムとしての厚みは、通常1〜300μm程度とされる。
また、成形に際しては、必要に応じて、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、帯電防止剤、滑剤、ブロッキング防止剤、防曇剤、核剤、可塑剤、着色剤等の、ポリエステル樹脂に通常用いられる添加剤が使用できる。
また、成形に際しては、上述のような無機質又は有機質粒子からなる滑剤を含有する粒子マスターバッチを添加しても良い。
<太陽電池裏面保護用二軸延伸ポリエステルフィルムの特性>
本発明の太陽電池裏面保護用二軸延伸ポリエステルフィルムは、フィルムの285℃での体積固有抵抗値が下記要件(1)を満たし、下記要件(1’)を満たすことが好ましく、1×107Ω・cm以下であることがより好ましい。
(1)フィルムの285℃での体積固有抵抗値≦10×107Ω・cm
(1’)フィルムの285℃での体積固有抵抗値≦5×107Ω・cm
本発明の太陽電池裏面保護用二軸延伸ポリエステルフィルムは、フィルムAV値が下記要件(2)を満たすことが好ましく、下記要件(2’)を満たすことがより好ましく、5eq/t以下であることが特に好ましい。
(2)フィルムAV値≦15eq/t
(2’)フィルムAV値≦10eq/t
本発明の太陽電池裏面保護用二軸延伸ポリエステルフィルムは、フィルムIVが下記要件(3)を満たすことが好ましく、0.7〜0.9dl/gであることがより好ましく、0.7〜0.8dl/gであることが特に好ましい。
(3)フィルムIV>0.7dl/g
フィルムIVが0.9dl/g以下であることで、溶融押出時に剪断発熱による劣化(AV値上昇)を抑制することができる。また、フィルムIVが、0.7dl/gより大きい値であることにより、十分な機械強度を維持することができる。
本発明の太陽電池裏面保護用二軸延伸ポリエステルフィルムは、ジエチレングリコール(DEG)の含有量が1.0〜1.6mol%であることが好ましく、1.1〜1.3mol%であることがより好ましい。
DEGの含有量は、フィルムの結晶化に影響を与える。具体的には、DEGの含有量が1.0mol%以上であることにより、結晶速度が増大することによる製膜時のヘイズ上昇が抑えられ、良好な透明性を保持することができる。また、DEGの含有量が1.6mol%以下であることにより、DEGが共重合されることによるポリマー物性(耐熱性)の低下を抑えることができる。
<用途>
本発明の太陽電池裏面保護用二軸延伸ポリエステルフィルムは、太陽光が入射する側に配置された透明性の基材(ガラス基板等のフロント基材)と、素子構造部分(太陽電池素子及びこれを封止する封止剤を含む)と、太陽電池裏面保護用シート(いわゆるバックシート)とが積層された「透明性のフロント基材/素子構造部分/バックシート」の積層構造を有する太陽電池において、バックシートに適用される。ここで、バックシートは、電池側基板の素子構造部分からみてフロント基材が位置していない側に配置された裏面保護シートである。
また、本発明の太陽電池裏面保護用二軸延伸ポリエステルフィルムは、さらにその他の機能層を積層してから、太陽電池に組み込まれてもよい。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明する。
以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。なお、特に断りのない限り、「%」および「部」は質量基準である。
[実施例1]
エステル反応は大きく2つの槽(第1エステル化反応槽、第2エステル化反応槽)を用いて行われ、Ti触媒、Mg化合物、P化合物およびイミダゾール化合物を順次添加する。すなわち、Ti触媒をエステル化反応前のエチレングリコールとテレフタル酸のスラリー槽あるいは第1エステル化反応槽から添加し、Mg化合物を、内部が3ゾーンに仕切られた第2エステル化反応槽の第2ゾーンに、P化合物およびイミダゾール化合物を第2エステル化反応槽の第3ゾーンに順次添加する。本実施例では、具体的には以下のようにしてポリエステル樹脂を合成した。
本実施例で用いた重合装置は、1個のスラリー調製槽、及びそれに直列に接続された2段のエステル化反応槽(第1エステル化反応槽、第2エステル化反応槽)、及び第2エステル化反応槽に直列に接続された3段の重縮合反応槽(第1の重縮合反応槽〜第3の重縮合反応槽)からなる連続式重合装置である。
(スラリー調製工程)
まず、高純度テレフタル酸(TPA)4.7トンと、エチレングリコール(EG)1.8トンとをスラリー調製槽に投入し、90分かけて混合してスラリー(原料混合物)を調製した。
(エステル化反応工程)
このスラリーを、3800kg/hの流量で連続的に1つ目のエステル化反応槽(第1エステル化反応槽)に供給した。
次に、クエン酸キレートTi錯体のエチレングリコール溶液を、生成ポリエステル樹脂に対してチタン原子としての含有量が8重量ppmとなるように添加配管を介して第1エステル化反応槽に連続的に供給し、下記条件にて反応させた。ここで、クエン酸キレートTi錯体として、ドルフケタール社製 Tyzor AC−420を使用した。
<条件>
・反応槽内温度:250℃
・平均滞留時間:約4.3時間
第1エステル化反応槽で得られた反応物を、第2エステル化反応槽に移送し、酢酸マグネシウム4水和物のエチレングリコール溶液を、生成ポリエステル樹脂に対してマグネシウム原子としての含有量が80重量ppmとなる量だけ添加配管を経由して第2エステル化槽の第2ゾーンに連続的に添加し、下記条件にて反応させた。
<条件>
・反応槽内温度:250℃
・平均滞留時間:1.2時間
続いて、第2エステル化反応槽の第3ゾーンに、リン酸トリメチルのエチレングリコール溶液を生成ポリエステル樹脂に対してリン原子としての含有量が65重量ppmとなる量だけ連続的に添加した。さらにその後、別個の添加配管を使用して、2−エチル−4−メチルイミダゾールのエチレングリコール溶液を生成ポリエステル樹脂に対して1.0モル/トンとなるように連続的に添加し、下記条件にて反応させた。
<条件>
・反応槽内温度:250℃
・平均滞留時間:1.2時間
(重縮合反応工程)
はじめの重縮合反応槽(第1の重縮合反応槽)に、上記のエステル化反応工程で得られたエステル化反応生成物を連続的に供給し、下記条件にて重縮合させた。
<条件>
・反応温度:270℃
・反応槽内圧力:2.67kPa
・平均滞留時間:1.8時間
次いで、第1の重縮合反応槽で得られた反応物を、2つ目の重縮合反応槽(第2の重縮合反応槽)に移送し、下記条件にて重縮合させた。
<条件>
・反応槽内温度:270℃
・反応槽内圧力:0.27kPa
・滞留時間:1.0時間
次いで、第2の重縮合反応槽で得られた反応物を、3つ目の重縮合反応槽(第3の重縮合反応槽)に移送し、下記条件にて重縮合させ、ポリエチレンテレフタレート(PET)を得た。
<条件>
・反応槽内温度:272℃
・反応槽内圧力:0.17kPa
・滞留時間:1.5時間
次に、得られたPETを、冷水にストランド状に吐出し、直ちにカッティングしてPETペレット(断面:長径約4mm、短径約2mm、長さ:約3mm)を作製した。
得られたPETをプレポリマーとして固相重縮合する目的で、PETペレットのチップ5gをアルミ箔製トレイ(底部20cm×10cm、深さ:5.0cm)にチップ同士が重ならないように並べ、内温40℃に設定されたイナートオーブンの中央部に設置した。50l/minの窒素流通下で、60℃から160℃まで30分で昇温させ、160℃で2時間乾燥、結晶化を行った。その後、30分かけて220℃まで昇温し、220℃で20時間固相重縮合を行った。
(ポリエステルと末端封止剤を含むマスターペレットの製造)
固相重縮合後のPETペレットと、下記末端封止剤から下記表1に記載のように選定した末端封止剤を、PETのカルボキシル基末端量に対して下記表1に記載した当量の反応性末端基量でブレンドし、2軸混練機に供給して280℃で溶融混練し、これをストランド状に水中吐出し、カッターで裁断しチップ化した。これをマスターペレットとした。
・環状カルボジイミド:特開2011−153209号公報[0174]および[0175]に記載の環状カルボジイミド化合物(2)、Mw=516
(マスターペレットの組成(金属元素化合物種、含有量))
マスターペレット試料2.5gを、硫酸存在下に過酸化水素で加熱し灰化、完全分解後、蒸留水にて50mlに定容したものについて、プラズマ発光分光分析装置(JOBIN YVON社製ICP−AES「JY46P型」)を用いて定量し、ポリエステル樹脂中の重量ppmに換算した。
−フィルムの製膜−
マスターペレット試料を290℃で溶融押し出し、静電印加密着法を用いて表面温度を30℃に設定した冷却ロール上で冷却固化して未延伸シートを得た。
(フィルムの延伸・巻き取り)
この延伸前表面処理後の未延伸シートを100℃で長手方向に3.0倍に延伸した後、25℃に冷却、この後、130℃にて幅方向に3.7倍延伸した。
この後、220℃で熱固定を行い、幅方向に2%緩和を行った後、巻き取った。得られたフィルムを実施例1の二軸延伸ポリエステルフィルムとした。
−工程評価−
(異物)
重縮合後に得られたマスターペレットを真空乾燥機で乾燥、結晶化させた後、1粒をカバーガラス上に乗せ、290℃に加熱したホットプレート上で溶融させた後、光学顕微鏡で樹脂中の異物を観察し、下記の評価基準にしたがって評価した。結果を下記表1に示す。
<評価基準>
A:異物の発生は全くみられなかった。
B:僅かに異物の発生がみられたが、実用上許容可能な程度であった。
C:異物の発生が顕著であった。
D:異物の発生が非常に顕著であった。
(臭気)
製膜時の臭気を官能評価し、臭気の有無を調べた。結果を下記表1に示す。
−フィルムの測定・評価−
試料(ポリエステルフィルム)は、以下の測定方法によって測定、評価を行った。
(固有粘度IV)
粉砕した試料0.5gを、フェノール/テトラクロロエタン(重量比3/2)の混合溶媒に、濃度(c)を1.0g/dlとして140℃で15分間で溶解させた後、ウベローデ型毛細粘度管を用いて、25℃ で、原液との相対粘度(ηrel)を測定し、この相対粘度(ηrel)−1から求めた比粘度(ηsp)と濃度(c)との比(ηsp/c)を求め、同じく濃度(c)を0.5g/dl、0.2g/dl、0.1g/dlとしたときについてもそれぞれの比(ηsp/c)を求め、これらの値より、濃度(c)を0に外挿したときの比(ηsp/c)を固有粘度〔η〕(dl/g)として求めた。
(末端カルボキシル基量AV)
試料を粉砕した後、真空乾燥機にて100℃で1時間乾燥させ、デシケーター内で室温まで冷却した試料から、0.1gを精秤して試験管に採取し、ベンジルアルコール5mlを加えて、乾燥窒素ガスを吹き込みながら195℃、3分間で溶解させ、次いで、クロロホルム5mlを徐々に加えて室温まで冷却した。この溶液にフェノールレッド指示薬を1〜2滴加え、乾燥窒素ガスを吹き込ながら攪拌下に、0.01N 水酸化カリウムのベンジルアルコール溶液で滴定し、黄色から赤色に変じた時点で終了とした。又、ブランクとして試料を使用せずに同様の操作を実施し、以下の式(3)によって末端カルボキシル基量AVを算出した。
末端カルボキシル基量AV(当量/樹脂トン) = (A−B)×0.1×f/W
・・・・(3)
A:滴定に要した、0.01N 水酸化カリウムのベンジルアルコール溶液の量(μl)
B:ブランクでの滴定に要した、0.01N 水酸化カリウムのベンジルアルコール溶液の量(μl)
W:試料の量(g)
f:0.01N 水酸化カリウムのベンジルアルコール溶液の力価
力価(f)=0.01Nの塩酸水溶液の力価×0.01Nの塩酸水溶液の採取量(μl)/0.01Nの水酸化ナトリウムのベンジルアルコール溶液の滴定量(μl)
算出された末端カルボキシ量AVを、下記の評価基準にしたがって評価した。結果を下記表1に示す。
<評価基準>
A:AV≦4eq/ton
B:4eq/ton<AV≦8eq/ton
C:8eq/ton<AV≦12eq/ton
D:AV>12eq/ton
(フィルムの体積固有抵抗値ρv)
二軸延伸ポリエステルフィルム試料23gを、内径20mm、長さ180mmの枝付き試験管に入れ、管内を十分に窒素置換した後、250℃のオイルバス中に浸漬し、管内を真空ポンプで0.13kPa以下として20分間真空乾燥し、次いで、オイルバス温度を285℃に昇温して試料を溶融させた後、窒素復圧と減圧を繰り返して混在する気泡を取り除いた。この溶融体の中に、面積1cm2のステンレス製電極2枚を5mmの間隔で並行に(相対しない裏面を絶縁体で被覆)挿入し、温度が安定した後に、抵抗計(ヒューレット・パッカード社製「MODEL HP4339B」)で直流電圧100Vを印加し、そのときの抵抗値を計算して体積固有抵抗値ρv(Ω・cm)とした。
算出された体積固有抵抗値ρvを、下記の評価基準にしたがって評価した。結果を下記表1に示す。
<評価基準>
A:ρv≦1.0×107Ω・cm
B:1.0×107Ω・cm<ρv≦5×107Ω・cm
C:5×107Ω・cm<ρv≦10×107Ω・cm
D:ρv>10×107Ω・cm
(b値)
二軸延伸ポリエステルフィルム試料のb値を色差計(日本電色工業社製「SE2000」)を用いて透過法を用いて計測した。b値は、試料の黄色さの程度を示す値であり、b値が高い程加水分解が進行していることを意味する。計測されたb値を下記の評価基準にしたがって評価した。結果を下記表1に示す。
A:b値<5
B:5≦b値<10
C:b値≧10
(ジエチレングリコールの含有量)
PETペレットを液体窒素にて凍結粉砕し、2gを秤量した。秤量した粉砕物に、0.75NのNaOH/メタノール溶液50mlを加え、80℃の湯浴中で還流しながら粉砕物を溶解(加水分解)させて反応溶液を得た。この反応溶液を、テレフタル酸を加えて中和した後、該反応溶液からテレフタル酸をろ別し、その濾液をガスクロマトグラフィー(GC)に注入してジエチレングリコール(DEG)含有量を測定した。測定されたDEG含有量を下記の評価基準にしたがって評価した。結果を下記表1に示す。
<評価基準>
A:1.0mol%≦DEG含有量<1.3mol%
B:1.3mol%≦DEG含有量<1.6mol%
C:DEG含有量≧1.6mol%
[実施例2〜7および比較例1、2]
下記表1に記載のように実施例1の材料および製造条件を変更した以外は実施例1と同様にして、各実施例および比較例の二軸延伸ポリエステルフィルムを製造した。
・カルボジライトLA−1(日清紡(株)製、非環状のポリカルボジイミド)
[比較例3]
第1エステル化反応槽に、クエン酸キレートTi錯体のエチレングリコール溶液を供給する代わりに、リン酸トリメチルのグリコール溶液を、生成ポリエステル樹脂に対してリン原子としての含有量が65重量ppmとなるように供給し、第2エステル化反応槽の第3ゾーン中のエステル化反応生成物に、リン酸トリメチルのエチレングリコール溶液を供給する代わりに、クエン酸キレートTi錯体のエチレングリコール溶液を、生成ポリエステル樹脂に対してチタン原子としての含有量が8重量ppmになるように供給し、その他の材料および条件を下記表1に記載のように変更した以外は、実施例1と同様にして二軸延伸ポリエステルフィルムを製造した。
[比較例4]
クエン酸キレートTi錯体の代わりにテトラ−n−ブチルチタネートを用いた以外は、比較例3と同様にして二軸延伸ポリエステルフィルムを製造した。
実施例2〜7および比較例1〜4について、実施例1と同様にして評価した結果を下記表1に記載した。
Figure 2014080609
上記表1に示すように、実施例1〜7のポリエステルフィルムは、いずれも末端カルボキシ量AVが小さく、耐加水分解性が改善されたことがわかった。また、各実施例のポリエステルフィルムは、体積固有抵抗値ρvが小さく、優れた静電印加密着性を有していた。
これに対して、体積固有抵抗値ρvが10×107Ω・cmよりも高い比較例1、3、4のポリエステルフィルムは、静電印加密着性が劣っていた。
また、イミダゾール(含窒素複素環化合物)を添加していない比較例2のポリエステルフィルムは、イミダゾールを含むこと以外は同じ条件で製造した実施例3のポリエステルフィルムに比べて、末端カルボキシ量AVが大きく、耐加水分解性が不十分であった。また、イミダゾールを添加しないことにより、体積固有抵抗値ρvが高くなる傾向も認められた。
さらに実施例2(カルボジイミド添加)と実施例3(カルボジイミド無添加)との比較から、反応性末端封止剤としてカルボジイミドを用いることでAV値が低減することがわかった。
また、実施例5(P/Mg比:小)と実施例6(P/Mg比:大)との比較から、P/Mg比率が小さいと体積固有抵抗値ρvおよびDEG量は低くなり、異物の発生は抑えられるが、b値が上昇する傾向があること、逆にP/Mg比率が大きいと、b値は低減するが、体積固有抵抗値ρvやDEG量が増大する傾向があることがわかった。
また、実施例3と比較例3との比較から、Ti→Mg→Pの方が、P→Mg→Tiよりも体積固有抵抗値ρvおよびDEG量が低く抑えられ、異物の発生も低減することがわかった。
また、実施例3(クエン酸キレートTi錯体添加)と実施例7(テトラ−n−ブチルチタネート)との比較から、Ti化合物としてクエン酸キレートTi錯体を選択することにより、異物の発生が抑えられ、b値が低減することがわかった。

Claims (7)

  1. Ti触媒、Mg化合物、P化合物および含窒素複素環化合物が添加されて重合されたポリエステル樹脂を含み、
    下記要件(1)を満たすことを特徴とする、太陽電池裏面保護用二軸延伸ポリエステルフィルム。
    (1)285℃での体積固有抵抗値 ρν≦10×107Ω・cm
  2. 前記含窒素複素環化合物が、イミダゾール化合物であることを特徴とする、請求項1に記載の太陽電池裏面保護用二軸延伸ポリエステルフィルム。
  3. 前記ポリエステル樹脂が、下記要件(A)を満たすことを特徴とする、請求項1または2に記載の太陽電池裏面保護用二軸延伸ポリエステルフィルム。
    (A)P/Mgモル比率が0.6≦P/Mg≦0.9
  4. 前記ポリエステル樹脂と反応性末端封止剤とを含むポリエステル樹脂組成物を押し出し成形されてなるフィルムであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の太陽電池裏面保護用二軸延伸ポリエステルフィルム。
  5. 前記反応性末端封止剤が、環状構造を有するカルボジイミド化合物であることを特徴とする請求項4に記載の太陽電池裏面保護用二軸延伸ポリエステルフィルム。
  6. ジカルボン酸成分とジオール成分から形成されるポリエステル前駆体に、(i)Ti触媒を添加する工程、(ii)Mg化合物を添加する工程、(iii)P化合物を添加する工程を、この順序で有し、さらに含窒素複素環化合物を添加する工程を有することを特徴とする、ポリエステル樹脂の製造方法。
  7. 前記Ti触媒が、クエン酸を配位子とする有機キレートTi錯体であることを特徴とする請求項6に記載のポリエステル樹脂の製造方法。
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