JP2016180800A - 電子写真感光体、画像形成装置、及びカートリッジ - Google Patents

電子写真感光体、画像形成装置、及びカートリッジ Download PDF

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【課題】電荷輸送層の膜厚が薄い等、より厳しい条件の場合においても電気特性に優れ、耐リーク性も良好な電子写真感光体、画像形成装置、及びカートリッジを提供する。【解決手段】導電性支持体上に、下引き層及び感光層を有する電子写真感光体において、前記下引き層が、無機粒子、及びバインダー樹脂を含有し、全無機粒子100質量部に対して、ゾルゲル法で製造されたシリカ粒子が60質量部以上であることを特徴とする、電子写真感光体。また、前記感光体を用いた画像形成装置、カートリッジ。【選択図】 なし

Description

本発明は、下引き層を有する電子写真感光体に関するものであり、より詳しくは、電気特性及び耐リーク性が良好な電子写真感光体に関するものである。
電子写真技術は、即時性、高品質の画像が得られることなどから、近年では複写機の分野にとどまらず、各種プリンターの分野でも広く使われ応用されている。電子写真技術の中核となる感光体については、近年ではその光導電材料として、無公害で、成膜が容易、製造が容易である等の利点を有する有機系の光導電材料を使用した感光体が、開発されている。特に光を吸収して電荷を発生する機能と、発生した電荷を輸送する機能を分離した電荷発生層及び、電荷移動層からなる積層型の感光体は、主流となっている。現在これらの感光体は、複写機、レーザープリンター等の画像形成装置の分野に広く用いられている。
電子写真感光体は、導電性支持体上に感光層を形成したものが基本構成である。支持体から電荷注入や支持体の欠陥による画像欠陥の解消、感光層との接着性向上や帯電性の改善のために、干渉縞の改善のために感光層と支持体の間に下引き層を設けることが行われている。
下引き層としては、種々の樹脂材料を用いることが知られているが、中でも特に可溶性ポリアミド樹脂が好ましいことが知られている(特許文献1参照)。そして、可溶性ポリアミド樹脂の中でも特定のジアミン成分を構成成分として有する共重合ポリアミド樹脂が、低温低湿下において安定した感光体の電気特性を実現できる樹脂として提案されている(特許文献2参照)。そのようなポリアミド樹脂に無機材料を分散させた下引き層として、例えば、酸化チタンと酸化スズを8−ナイロンに分散させた下引き層(特許文献3参照)、画像欠陥を抑制する目的で、疏水性シリカ粒子を分散させた下引き層(特許文献4参照)、干渉縞を防止する目的で、100nm以下のチタニア粒子と100nm〜2μmのシリカ粒子を分散させた下引き層が知られている(特許文献5参照)。また、耐リーク性等を向上させる目的で、平均一次粒子径5〜100μmのメディアを使用し、湿式撹拌ミルを用いて分散される金属酸化物粒子を含有する下引き層が知られている(特許文献6参照)。
特開昭56−21129号公報 特開平4−31870号公報 特開昭62−280864号公報 特開平5−88396号公報 特開2001−134002号公報 特開2007−334331号公報
しかしながら、特許文献4に記載された下引き層のシリカ粒子は、火炎加水分解法で作製されたシリカ粒子であり、電気特性が悪い。特許文献5に記載された下引き層は、耐干渉縞には効果的であるが、耐リーク特性は不十分である。また、特許文献5には比重が3g/cm以下の粒子が100重量部を超える場合には電気特性が悪化する旨記載され
ており、多量のシリカ粒子が主として含有される下引き層は開示されていない。更に、特
許文献6に記載されるように、金属酸化物粒子として酸化チタンを用いる場合には、小粒径の分散メディアを用いても、電荷輸送層の膜厚が薄い等、より厳しい条件の場合は、耐リーク特性は十分なものではない。即ち、本発明は、電気特性に優れ、耐リーク性も良好な電子写真感光体、画像形成装置、及びカートリッジを提供することを目的とするものである。
本発明者らは、少なくとも下引き層及び感光層を有する電子写真感光体において、下引き層について鋭意検討した結果、ゾルゲル法で製造されたシリカ粒子を全無機粒子100質量部に対して60質量部以上含有する下引き層を用いた感光体が、電気特性に優れ、しかも耐リーク性にも優れることを見いだし、本発明に到達した。即ち、本発明の要旨は、以下<1>〜<9>に存する。
<1>導電性支持体上に、下引き層及び感光層を有する電子写真感光体において、前記下引き層が、無機粒子、及びバインダー樹脂を含有し、全無機粒子100質量部に対して、ゾルゲル法で製造されたシリカ粒子が60質量部以上であることを特徴とする、電子写真感光体。
<2>導電性支持体上に、下引き層及び感光層を有する電子写真感光体において、前記下引き層が、無機粒子、及びバインダー樹脂を含有し、全無機粒子100質量部に対して、アルコキシ基を1質量%以上含有するシリカ粒子が60質量部以上であることを特徴とする、電子写真感光体。
<3>前記下引き層が、前記シリカ100質量部に対して、バンドギャップが2〜4eVの無機粒子を10〜60質量部以下含有する、<1>又は<2>に記載の電子写真感光体。
<4>前記バンドギャップが2〜4eVである無機粒子が酸化チタンである、<3>に記載の感光体。
<5>前記シリカ粒子の平均一次粒子径が0.2μm〜1μmである、<1>〜<4>のいずれか1つに記載の電子写真感光体。
<6>前記無機粒子が、前記バインダー樹脂100質量部に対して、50〜200質量部である、<1>〜<5>のいずれか一つに記載の電子写真感光体。
<7>前記バインダー樹脂が、ポリアミド樹脂である、<1>〜<6>のいずれか1つに記載の電子写真感光体。
<8><1>〜<7>のいずれか1つに記載の電子写真感光体を用いた、画像形成装置。<9><1>〜<7>のいずれか1つに記載の電子写真感光体を用いた、画像形成装置用のカートリッジ。
本発明によれば、高温高湿度条件から低温低湿度条件にわたる、様々な使用環境において、耐リーク特性が良好であり、しかも、帯電性、残留電位などの電気特性に優れた高性能な電子写真感光体、該感光体を用いた高性能な画像形成装置、及び該感光体を用いた画像形成装置用のカートリッジを提供することができる。
本発明の画像形成装置の一実施態様の要部構成を示す概略図である。
以下、本発明の実施の形態につき詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は本発明の実施形態の代表例であって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変形して実施することができる。
<電子写真感光体>
導電性支持体の上に下引き層が形成され、下引き層の上には感光層が形成される。
[導電性支持体]
導電性支持体について特に制限は無いが、例えばアルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼、銅、ニッケル等の金属材料や、金属、カーボン、酸化錫などの導電性粉体を添加して導電性を付与した樹脂材料や、アルミニウム、ニッケル、ITO(酸化インジウム酸化錫)等の導電性材料をその表面に蒸着又は塗布した樹脂、ガラス、紙等が主として使用される。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。導電性支持体の形態としては、ドラム状、シート状、ベルト状などのものが用いられる。更には、金属材料の導電性支持体の上に、導電性・表面性などの制御や欠陥被覆のために、適当な抵抗値を有する導電性材料を塗布したものを用いても良い。
また、導電性支持体としてアルミニウム合金等の金属材料を用いた場合、陽極酸化被膜を施してから用いても良い。陽極酸化被膜を施した場合には、公知の方法により封孔処理を施すのが望ましい。支持体表面は、平滑であっても良いし、特別な切削方法を用いたり、粗面化処理を施したりすることにより、粗面化されていても良い。また、支持体を構成する材料に適当な粒径の粒子を混合することによって、粗面化されたものでも良い。また、安価化のためには、切削処理を施さず、センタレス研磨処理や引き抜き管をそのまま使用することも可能である。
[下引き層]
導電性支持体上に、無機粒子、及びバインダー樹脂を含有する下引き層が形成される。全無機粒子100質量部に対して、ゾルゲル法で製造されたシリカ粒子、又はアルコキシ基を1質量%以上含有するシリカ粒子を60質量部以上含有する。シリカ粒子は、バンドギャップが8eV以上と大きく絶縁性の高い材料で有り、シリカ粒子を多く含むことでリークを抑制することが出来る。その反面、シリカ粒子の比率が高くなると一般的に電気特性が悪くなる。しかし、これらのシリカ粒子は、保水性が強く、電気特性も良好に保つことが出来るため電気特性に悪影響を与えない。
無機粒子は、バインダー樹脂100質量部に対して、通常50質量部以上、電気特性の観点から、好ましくは80質量部以上である。一方、通常200質量部以下、分散性の観点から、好ましくは150質量部以下である。
ゾルゲル法で製造されたシリカ粒子としては、TEOS(オルトケイ酸テトラエチル)などのアルコキシド(シリカ前駆体)を、酸性若しくは塩基性条件で加水分解・重縮合反応を行わせる事によって、アルコールを脱離させて製造することにより得られる。アルコキシ基を1質量%以上含有するシリカ粒子としては、融法や火炎加水分解法で製造されたシリカ粒子をテトラメトキシシラン等で表面処理することで得られる。アルコキシ基の含有量は、熱分解GC−MS等を用いて測定することが出来る。
ゾルゲル法で製造されたシリカ粒子又はアルコキシ基を1質量%以上含有するシリカ粒子の平均一次粒子径は、通常0.1μm以上であり、耐リーク特性の観点から、好ましくは0.2μm以上、より好ましくは0.3μm以上である。また、通常2μm以下であり、塗布液安定性の観点から、好ましくは1μm以下、より好ましくは0.5μm以下である。平均一次粒子径は、SEM写真を統計処理することにより測定することができる。
前記シリカ粒子の真球度は、塗布液の分散性の観点から、0.95以上が好ましく、0.98以上がより好ましい。真球度は、Malvern Sysmex FPIA−2100フロー粒子画像分析装置等により測定することができる。
前記シリカ粒子以外にその他の無機粒子を全無機粒子100質量部中、40質量部より
少ない割合で含有していてもよい。そのような無機粒子としては、金属酸化物粒子が好ましく、具体的には、ゾルゲル法で製造されたシリカ、アルコキシ基を1質量%以上含有するシリカ以外のシリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、酸化亜鉛、酸化鉛、酸化インジウム等が挙げられる。これらの中でも、電気特性の観点から、バンドギャップが2〜4eVの金属酸化物粒子が好ましく、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズがより好ましく、酸化チタンが特に好ましい。バンドギャップが2〜4eVの金属酸化物粒子は、画像特性・耐リーク性の観点から、有機金属化合物で表面処理されていることが好ましい。有機金属化合物としては、繰り返し電気特性の観点から、メチルジメトキシシラン又はアクリルシランが好ましい。
バンドギャップが2〜4eVの金属酸化物粒子は、前記シリカ粒子100質量部対して、電気特性の向上及び耐リーク性の観点から、10質量部以上であることが好ましく、より好ましくは20質量部以上である。また、耐リーク性の観点から、60質量部以下であることが好ましく、より好ましくは50質量部以下である。
酸化チタンとしては、結晶質、非晶質いずれも使用できるが、結晶質の場合、その結晶型はアナターゼ型、ルチル型、ブルッカイト型のいずれでも良いが、吸水性、表面処理の効率等の理由から、アナターゼ型又はルチル型が用いることが好ましく、ルチル型のものを用いることがより好ましい。
下引き層のバインダー樹脂としては、ポリビニルアセタール、ポリアミド樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル、エポキシ樹脂、ポリウレタン、ポリアクリル酸等の樹脂材料を用いることができる。中でも、支持体の接着性に優れ、電荷発生層塗布液に用いられる溶媒に対する溶解性の小さなポリアミド樹脂が好ましい。そして、ポリアミド樹脂の中でも、シクロアルカン環構造を構成成分として有する共重合ポリアミドが好ましく、シクロヘキサン環構造を構成成分として有する共重合ポリアミドがより好ましく、その中でも特に、下記構造式(I)で示されるジアミン成分を構成材料として有する共重合ポリアミド樹脂が好ましい。
Figure 2016180800
(式(I)中、A、Bは、それぞれ独立して置換基を有していてもよいシクロヘキサン環を表し、Xは置換基を有していてもよいメチレン基を表す。)
下引き層の膜厚は、通常0.1μm以上、局所的な帯電不良に対する効果の観点から、好ましくは0.5μm以上、より好ましくは1μm以上である。また、通常20μm以下、残留電位、あるいは導電性基体と感光層との間の接着強度の観点から、好ましくは10μm以下、より好ましくは5μm以下で使用される。
前記シリカ粒子とバインダー樹脂とを含有する下引き塗布液を得るためには、遊星ミル、ボールミル、サンドミル、ビーズミル、ペイントシェーカー、アトライター、超音波などの粉砕又は分散処理装置で処理されたゾルゲル法で製造されたシリカ粒子のスラリーと予めバインダー樹脂を適当な溶媒に溶かしたバインダー樹脂溶解液を混合し攪拌処理を行えばよい。又、シリカ分散スラリーにバインダー樹脂を添加し、溶解させることでも得られる。また、特許4985093号公報に記載されているような小径ビーズを用いて分散することもできる。更には、バインダー樹脂溶解液にシリカ粒子を添加し、前記分散装置で、粉砕又は分散処理を行うこともできる。
[感光層]
感光層の形式としては、電荷発生物質と電荷輸送物質とが同一層に存在し、バインダー樹脂中に分散された単層型と、電荷発生物質がバインダー樹脂中に分散された電荷発生層及び電荷輸送物質がバインダー樹脂中に分散された電荷輸送層の二層からなる機能分離型(積層型)とが挙げられるが、負帯電方式においては導電性支持体側から電荷発生層、電荷輸送層をこの順に積層して設ける順積層型感光層であることが好ましい。正帯電方式においては、単層型が好ましい。積層型感光体、単層型感光体ともに、感光層又はそれを構成する各層には、成膜性、可撓性、塗布性、耐汚染性、耐ガス性、耐光性などを向上させる目的で、周知の酸化防止剤、可塑剤、紫外線吸収剤、電子吸引性化合物、レベリング剤、可視光遮光剤などの添加物を含有させても良い。
[積層型感光層−電荷発生層]
積層型感光体(機能分離型感光体)の場合、電荷発生層は、電荷発生物質をバインダー樹脂で結着することにより形成される。電荷発生物質としては、セレニウム及びその合金、硫化カドミウム等の無機系光導電材料と、有機顔料等の有機系光導電材料とが挙げられるが、有機系光導電材料の方が好ましく、特に有機顔料が好ましい。有機顔料としては、例えば、フタロシアニン顔料、アゾ顔料、ジチオケトピロロピロール顔料、スクアレン(スクアリリウム)顔料、キナクリドン顔料、インジゴ顔料、ペリレン顔料、多環キノン顔料、アントアントロン顔料、ベンズイミダゾール顔料等が挙げられる。これらの中でも、特にフタロシアニン顔料又はアゾ顔料が好ましい。電荷発生物質として有機顔料を使用する場合、通常はこれらの有機顔料の微粒子を、各種のバインダー樹脂で結着した分散層の形で使用する。
電荷発生物質としてフタロシアニン顔料を使用する場合、具体的には無金属フタロシアニン、銅、インジウム、ガリウム、スズ、チタン、亜鉛、バナジウム、シリコン、ゲルマニウム、アルミニウムなどの金属又はその酸化物、ハロゲン化物、水酸化物、アルコキシドなどの配位したフタロシアニン類の各結晶型を持ったもの、酸素原子等を架橋原子として用いたフタロシアニンダイマー類などが使用される。特に、感度の高い結晶型であるX型、τ型無金属フタロシアニン、A型(別称β型)、B型(別称α型)、D型(別称Y型)等のチタニルフタロシアニン(別称:オキシチタニウムフタロシアニン)、バナジルフタロシアニン、クロロインジウムフタロシアニン、ヒドロキシインジウムフタロシアニン、II型等のクロロガリウムフタロシアニン、V型等のヒドロキシガリウムフタロシアニン、G型、I型等のμ−オキソ−ガリウムフタロシアニン二量体、II型等のμ−オキソ−アルミニウムフタロシアニン二量体が好適である。
また、これらフタロシアニンの中でも、A型(別称β型)、B型(別称α型)、及び粉末X線回折の回折角2θ(±0.2゜)が27.1゜、もしくは27.3゜に明瞭なピークを示すことを特徴とするD型(Y型)チタニルフタロシアニン、II型クロロガリウムフタロシアニン、V型及び28.1゜にもっとも強いピークを有すること、また26.2゜にピークを持たず28.1゜に明瞭なピークを有し、かつ25.9゜の半値幅Wが0.1゜≦W≦0.4゜であることを特徴とするヒドロキシガリウムフタロシアニン、G型μ−オキソ−ガリウムフタロシアニン二量体等が特に好ましい。
フタロシアニン化合物は単一の化合物のものを用いてもよいし、幾つかの混合又は混晶状態のものを用いてもよい。ここでのフタロシアニン化合物ないしは結晶状態に置ける混合状態としては、それぞれの構成要素を後から混合したものを用いてもよいし、合成、顔料化、結晶化等のフタロシアニン化合物の製造・処理工程において混合状態を生じさせたものでもよい。このような処理としては、酸ペースト処理・磨砕処理・溶剤処理等が知られている。混晶状態を生じさせるためには、特開平10−48859号公報記載のように
、2種類の結晶を混合後に機械的に磨砕、不定形化した後に、溶剤処理によって特定の結晶状態に変換する方法が挙げられる。
電荷発生層に用いるバインダー樹脂は特に制限されないが、例としては、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ブチラールの一部がホルマールや、アセタール等で変性された部分アセタール化ポリビニルブチラール樹脂等のポリビニルアセタール系樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、変性エーテル系ポリエステル樹脂、フェノキシ樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリビニルピリジン樹脂、セルロース系樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、シリコン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂、カゼインや、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ヒドロキシ変性塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、カルボキシル変性塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体等の塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−アルキッド樹脂、シリコン−アルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂等の絶縁性樹脂や、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリビニルアントラセン、ポリビニルペリレン等の有機光導電性ポリマーなどが挙げられる。この中でも、電気特性の観点から、ポリビニルアセタール樹脂が好ましく、ポリビニルブチラール樹脂が特に好ましい。これらのバインダー樹脂は、何れか1種を単独で用いても良く、2種類以上を任意の組み合わせで混合して用いても良い。
電荷発生層において、バインダー樹脂と電荷発生物質との配合比(質量)は、バインダー樹脂100質量部に対して、電荷発生物質が通常10質量部以上、電荷発生効率の観点から、好ましくは30質量部以上である。また、通常1000質量部以下、塗布液の安定性の観点から、好ましくは500質量部以下である。電荷発生物質の粒径は、通常0.5μm以下、感度の観点から、好ましくは0.3μm以下、より好ましくは0.15μm以下である。
電荷発生層の膜厚は、通常0.1μm以上、好ましくは0.15μm以上である。また、通常10μm以下、好ましくは0.6μm以下である。
[積層型感光層−電荷輸送層]
積層型感光体の電荷輸送層は、電荷輸送物質とバインダー樹脂を含有する。更に必要に応じてその他の成分を含有してもよい。電荷輸送物質等とバインダー樹脂とを溶剤に溶解又は分散して塗布液を製造し、電荷発生層上に、塗布、乾燥して得ることができる。
バインダー樹脂としては、例えばブタジエン樹脂、スチレン樹脂、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル樹脂、アクリル酸エステル樹脂、メタクリル酸エステル樹脂、ビニルアルコール樹脂、エチルビニルエーテル等のビニル化合物の重合体及び共重合体、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、部分変性ポリビニルアセタール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、セルロースエステル樹脂、フェノキシ樹脂、シリコン樹脂、シリコン−アルキッド樹脂、ポリ−N−ビニルカルバゾール樹脂等が挙げられる。中でも、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂が好ましい。これらのバインダー樹脂は、適当な硬化剤を用いて熱、光等により架橋させて用いることもできる。これらのバインダー樹脂は、何れか1種を単独で用いても良く、2種以上を任意の組み合わせで用いても良い。前記結着樹脂に好適な繰り返し構造単位の具体例を以下に示す。
Figure 2016180800
結着樹脂の粘度平均分子量は、機械的強度の観点から、通常20,000以上、好ましくは30,000以上、より好ましくは40,000以上、更に好ましくは50,000以上、また、感光層形成のための塗布液作成の観点から、通常150,000以下、好ましくは120,000以下、より好ましくは100,000以下である。
電荷輸送物質としては、例えば2,4,7−トリニトロフルオレノン等の芳香族ニトロ化合物、テトラシアノキノジメタン等のシアノ化合物、ジフェノキノン等のキノン化合物等の電子輸送材料、カルバゾール誘導体、インドール誘導体、イミダゾール誘導体、オキサゾール誘導体、ピラゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、ベンゾフラン誘導体等の複素環化合物、アニリン誘導体、ヒドラゾン誘導体、芳香族アミン誘導体、スチルベン誘導体、ブタジエン誘導体、エナミン誘導体及びこれらの化合物の複数種が結合したもの、或いはこれらの化合物からなる基を主鎖又は側鎖に有する重合体等の正孔輸送材料等が挙げられる。これらの中でも、電気特性の観点から、カルバゾール誘導体、芳香族アミン誘導体、スチルベン誘導体、ブタジエン誘導体、エナミン誘導体、及びこれらの化合物の複数種が結合したものが好ましい。電気特性の観点から、芳香族アミン化合物が好ましく、3級芳香族アミン化合物がより好ましい。これらの電荷輸送物質は、何れか1種を単独で用いても良く、2種以上を任意の組み合わせで併用しても良い。構造の具体例を以下に示す。
Figure 2016180800
Figure 2016180800
バインダー樹脂と電荷輸送物質との割合としては、バインダー樹脂100質量部に対して電荷輸送物質を通常10質量部以上の比率で使用する。残留電位低減の観点から、20質量部以上が好ましく、繰り返し使用した際の安定性や電荷移動度の観点から、30重量部以上がより好ましい。一方、感光層の熱安定性の観点から、電荷輸送物質を通常100質量部以下の比率で使用する。電荷輸送材料とバインダー樹脂との相溶性の観点から70質量部以下が好ましく、耐摩耗性の観点から、60質量部以下がより好ましく、耐傷性の観点から50質量部以下が特に好ましい。
電荷輸送層の膜厚は、通常5μm以上、高解像度の観点から、好ましくは15μm以上である。また、通常30μm以下、長寿命、画像安定性の観点から、好ましくは25μm以下である。
[単層型感光層]
単層型感光層は、電荷発生物質と電荷輸送物質に加えて、積層型感光体の電荷輸送層と同様に、膜強度確保のためにバインダー樹脂を使用して形成する。具体的には、電荷発生物質と電荷輸送物質と各種バインダー樹脂とを溶剤に溶解又は分散して塗布液を製造し、下引き層上に塗布、乾燥して得ることができる。
電荷輸送物質の種類並び電荷輸送物質とバインダー樹脂の使用比率は、積層型感光体の電荷輸送層について説明したものと同様である。これらの電荷輸送物質及びバインダー樹脂からなる電荷輸送媒体中に、更に電荷発生物質が分散される。電荷発生物質は、積層型感光体の電荷発生層について説明したものと同様のものが使用できる。但し、単層型感光体の感光層の場合、電荷発生物質の粒子径は、通常1μm以下、好ましくは0.5μm以下である。単層型感光層内に分散される電荷発生物質の量は、単層型感光層全体に対して通常0.5質量%以上、好ましくは1質量%以上である。また、通常50質量%以下、好ましくは20質量%以下である。また、単層型感光層におけるバインダー樹脂と電荷発生物質との使用比率は、バインダー樹脂100質量部に対して、電荷発生物質が通常0.1質量部以上、好ましくは1質量部以上である。また、通常30質量部以下、好ましくは10質量部以下である。
単層型感光層の膜厚は、通常5μm以上、好ましくは10μm以上である。また、通常100μm以下、好ましくは50μm以下である。
[その他の機能層]
また、積層型感光体、単層型感光体ともに、上記手順により形成された感光層を最上層、即ち表面層としてもよいが、その上に更に別の層を設け、これを表面層としてもよい。例えば、感光層の損耗を防止したり、帯電器等から発生する放電生成物等による感光層の劣化を防止・軽減する目的で、保護層を設けても良い。
保護層に用いる導電性材料としては、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス−(m−トリル)ベンジジン等の芳香族アミノ化合物、酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化錫、酸化チタン、酸化錫−酸化アンチモン、酸化アルミ、酸化亜鉛等の金属酸化物などを用いることが可能であるが、これに限定されるものではない。
保護層に用いるバインダー樹脂としては、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリケトン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルケトン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、シロキサン樹脂等の公知の樹脂を用いることができ、また、特開平9−190004号公報、特開平10−252377号公報の記載のようなトリフェニルアミン骨格等の電荷輸送能を有する骨格と上記樹脂の共重合体を用いることもできる。保護層の電気抵抗は、解像度の観点から、通常1×10Ω・cm〜1×1014Ω・cmである。
また、感光体表面の摩擦抵抗や、摩耗を低減、トナーの感光体から転写ベルト、紙への転写効率を高める等の目的で、表面層にフッ素系樹脂、シリコン樹脂、ポリエチレン樹脂等、又はこれらの樹脂からなる粒子や無機化合物の粒子を、表面層に含有させてもよい。これらの樹脂や粒子を含む層を新たに表面層として形成してもよい。
[各層の形成方法]
本発明の下引き層、及び感光体を構成する各層は、各層に含有させる物質を溶剤に溶解又は分散させて得られた塗布液を、支持体上に浸漬塗布、スプレー塗布、ノズル塗布、バーコート、ロールコート、ブレード塗布等の公知の方法により、各層ごとに順次塗布・乾燥工程を繰り返すことにより形成される。
塗布液の製造に用いられる溶媒又は分散媒に特に制限は無いが、具体例としては、メタノール、エタノール、プロパノール、2−メトキシエタノール等のアルコール類、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジメトキシエタン等のエーテル類、ギ酸メチル、酢酸エチル等のエステル類、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、テトラクロロエタン、1,2−ジクロロプロパン、トリクロロエチレン等の塩素化炭化水素類、n−ブチルアミン、イソプロパノールアミン、ジエチルアミン、トリエタ
ノールアミン、エチレンジアミン、トリエチレンジアミン等の含窒素化合物類、アセトニトリル、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶剤類等が挙げられる。また、これらは1種を単独で用いても良く、2種以上を任意の組み合わせ及び種類で併用してもよい。
溶媒又は分散媒の使用量は特に制限されないが、各層の目的や選択した溶媒・分散媒の性質を考慮して、塗布液の固形分濃度や粘度等の物性が所望の範囲となるように適宜調整するのが好ましい。例えば、単層型感光体、及び機能分離型感光体の電荷輸送層の場合には、塗布液の固形分濃度を通常5質量%以上、通常5質量%以上、好ましくは10質量%以上、また、通常40質量%以下、好ましくは35質量%以下の範囲とする。また、塗布液の粘度を通常10cps以上、好ましくは50cps以上、また、通常500cps以下、好ましくは400cps以下の範囲とする。
また、積層型感光体の電荷発生層の場合には、塗布液の固形分濃度は、通常0.1質量%以上、好ましくは1質量%以上、また、通常15質量%以下、好ましくは10質量%以下の範囲とする。また、塗布液の粘度は、通常0.01cps以上、好ましくは0.1cps以上、また、通常20cps以下、好ましくは10cps以下の範囲とする。
塗布液の塗布方法としては、浸漬コーティング法、スプレーコーティング法、スピナーコーティング法、ビードコーティング法、ワイヤーバーコーティング法、ブレードコーティング法、ローラーコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等が挙げられるが、他の公知のコーティング法を用いることも可能である。
<画像形成装置、カートリッジ>
本発明の電子写真感光体を使用する複写機、プリンター等の画像形成装置は、少なくとも帯電、露光、現像、転写、除電の各プロセスを含むが、どのプロセスも通常用いられる方法のいずれを用いてもよい。図1に示すように、画像形成装置は、電子写真感光体1、帯電装置2、露光装置3、現像装置4を備えて構成され、更に必要に応じて転写装置5、クリーニング装置6及び定着装置7が設けられる。
以下、本発明を実施例、比較例により更に詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、これらに限定されるものではない。なお、実施例中で用いる「部」は特に断りがない限り「質量部」を示す。
<下引き層塗布形成用分散液の製造>
[表面処理酸化チタンA]
平均一次粒子径40nmのルチル型白色酸化チタン(石原産業(株)製、製品名 TTO55N)と該酸化チタン100部に対してメチルジメトキシシラン3部を、せん断力により、ミキサー内の温度が160℃に達するまでスーパーミキサーで攪拌することにより表面処理酸化チタンAを得た。
[酸化チタン分散液A]
表面処理酸化チタンA250gと、メタノール750gとを混合してなる原料スラリー1000gを、0.05mmφのジルコニアビーズ(株式会社ニッカトー製 YTZ)を分散メディアとして、ミル容積約0.15Lの寿工業株式会社製ウルトラアペックスミル(UAM−015型)を用い、ロータ周速10m/秒、液流量6g/秒の液循環状態で28分間分散処理し、酸化チタン分散液Aを得た。
[共重合ポリアミドA]
ε−カプロラクタム[下記式(A)で表わされる化合物]/ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタン[下記式(B)で表わされる化合物]/ヘキサメチレンジア
ミン[下記式(C)で表わされる化合物]/デカメチレンジカルボン酸[下記式(D)で表わされる化合物]/オクタデカメチレンジカルボン酸[下記式(E)で表わされる化合物]の組成モル比率が、40%/25%/5%/25%/5%からなる共重合ポリアミドである。
[共重合ポリアミドB]
ε−カプロラクタム[下記式(A)で表わされる化合物]/ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタン[下記式(B)で表わされる化合物]/ヘキサメチレンジアミン[下記式(C)で表わされる化合物]/デカメチレンジカルボン酸[下記式(D)で表わされる化合物]/オクタデカメチレンジカルボン酸[下記式(E)で表わされる化合物]の組成モル比率が、60%/15%/5%/15%/5%からなる共重合ポリアミドである。
Figure 2016180800
[下引き層形成用塗布液P1]
平均一次粒子径0.3μmのゾルゲル法で製造されたシリカ粒子(日本触媒(株)製、製品名 KE−P30)をメタノールと1−プロパノール混合溶媒中で、5mmφのアルミナビーズでボールミル分散し、シリカ分散液を得た。共重合ポリアミドAのペレットをメタノール/1−プロパノール/トルエン混合溶媒中で、加熱しながら撹拌混合して共重合ポリアミド樹脂溶液を得た。上記シリカ分散液と共重合ポリアミド樹脂溶液を撹拌混合後、周波数25kHz,出力1200Wの超音波発信器による超音波分散処理を1時間行ない、更に孔径5μmのPTFE製メンブレンフィルター(アドバンテック製 マイテックス LC)により濾過し、KE−P30/共重合ポリアミドAの質量比が1/1であり、メタノール/1−プロパノール/トルエンの混合溶媒の質量比が5/2/3であって、含有する固形分の濃度が11.0質量%の下引き層形成用塗布液 P1を得た。
[下引き層形成用塗布液P2]
平均一次粒子径0.3μmのゾルゲル法で製造されたシリカ粒子(日本触媒(株)製、製品名 KE−P30)をメタノールと1−プロパノール混合溶媒中で、5mmφのアルミナビーズでボールミル分散し、シリカ分散液を得た。共重合ポリアミドAのペレットをメタノール/1−プロパノール/トルエン混合溶媒中で、加熱しながら撹拌混合して共重合ポリアミド樹脂溶液を得た。上記シリカ分散液と酸化チタン分散液Aと共重合ポリアミド樹脂溶液を撹拌混合後、周波数25kHz,出力1200Wの超音波発信器による超音波分散処理を1時間行ない、更に孔径5μmのPTFE製メンブレンフィルター(アドバンテック製 マイテックス LC)により濾過し、KE−P30/表面処理酸化チタンA/共重合ポリアミドAの質量比が1/0.5/1であり、メタノール/1−プロパノール/トルエンの混合溶媒の質量比が5/2/3であって、含有する固形分の濃度が12.0質量%の下引き層形成用塗布液 P2を得た。
[下引き層形成用塗布液P3]
平均一次粒子径0.3μmのゾルゲル法で製造されたシリカ粒子(日本触媒(株)製、製品名 KE−P30)をメタノールと1−プロパノール混合溶媒中で、5mmφのアルミナビーズでボールミル分散し、シリカ分散液を得た。共重合ポリアミドAのペレットをメタノール/1−プロパノール/トルエン混合溶媒中で、加熱しながら撹拌混合して共重合ポリアミド樹脂溶液を得た。上記シリカ分散液と酸化チタン分散液Aと共重合ポリアミド樹脂A溶液を撹拌混合後、周波数25kHz,出力1200Wの超音波発信器による超音波分散処理を1時間行ない、更に孔径5μmのPTFE製メンブレンフィルター(アドバンテック製 マイテックス LC)により濾過し、KE−P30/表面処理酸化チタンA/共重合ポリアミドAの質量比が1/1/1であり、メタノール/1−プロパノール/トルエンの混合溶媒の質量比が5/2/3であって、含有する固形分の濃度が12.0質量%の下引き層形成用塗布液 P2を得た。
[下引き層形成用塗布液P4]
平均一次粒子径0.3μmのゾルゲル法で製造されたシリカ粒子(日本触媒(株)製、製品名 KE−P30)をメタノールと1−プロパノール混合溶媒中で、5mmφのアルミナビーズでボールミル分散し、シリカ分散液を得た。表面処理酸化チタンAをメタノール溶媒中で、5mmφのアルミナビーズでボールミル分散し、酸化チタン分散液を得た。シリカ分散液と酸化チタン分散液とメタノール、1−プロパノール、トルエンを撹拌混合後、該混合分散液に共重合ポリアミドAのペレットを添加し、加熱しながら撹拌溶解し、その後、周波数25kHz,出力1200Wの超音波発信器による超音波分散処理を1時間行ない、更に孔径5μmのPTFE製メンブレンフィルター(アドバンテック製 マイテックス LC)により濾過し、KE−P30/表面処理酸化チタンA/共重合ポリアミドAの質量比が1.5/2/1であり、メタノール/1−プロパノール/トルエンの混合溶媒の質量比が5/2/3であって、含有する固形分の濃度が24.0質量%の下引き層形成用塗布液 P2を得た。
[下引き層形成用塗布液P5]
共重合ポリアミドBのペレットをメタノール/1−プロパノール/トルエン混合溶媒中で、加熱しながら撹拌混合して共重合ポリアミド樹脂溶液を得た。上記共重合ポリアミド樹脂溶液と酸化チタン分散液Aを撹拌混合後、周波数25kHz,出力1200Wの超音波発信器による超音波分散処理を1時間行ない、更に孔径5μmのPTFE製メンブレンフィルター(アドバンテック製 マイテックス LC)により濾過し、表面処理チタニアA/共重合ポリアミドBの質量比が3/1であり、メタノール/1−プロパノール/トルエンの混合溶媒の質量比が7/1/2であって、含有する固形分の濃度が18重量%の下引き層形成用塗布液 P5を得た。
[下引き層形成用塗布液P6]
シリカ粒子を平均一次粒子径が、0.3μmの溶融法で製造したシリカ粒子(電気化学工業(株)製、商品名:SFP−20M)に変えた以外は、下引き層形成用塗布液P1と同様にして、SFP−20M/共重合ポリアミドAの質量比が1/1であり、メタノール/1−プロパノール/トルエンの混合溶媒の質量比が5/2/3であって、含有する固形分の濃度が11.0質量%の下引き層形成用塗布液 P6を得た。
[下引き層形成用塗布液P7]
シリカ粒子を平均一次粒子径が、0.3μmの溶融法で製造したシリカ粒子(電気化学工業(株)製、商品名:SFP−20M)に変えた以外は、下引き層形成用塗布液P2と同様にして、SFP−20M/表面処理酸化チタンA/共重合ポリアミドAの質量比が1/0.5/1であり、メタノール/1−プロパノール/トルエンの混合溶媒の質量比が5/2/3であって、含有する固形分の濃度が12.0質量%の下引き層形成用塗布液 P7
を得た。
[下引き層形成用塗布液P8]
平均一次粒子径が30nmの火炎加水分解法で製造されたシリカ粒子(日本アエロジル(株)製、製品名:アエロジル50)をメタノールと1−プロパノールとトルエンの混合溶媒中で、周波数25kHz,出力600Wの超音波発信器による超音波分散処理を3時間行ない、シリカ分散液を得た。シリカ分散液に共重合ポリアミドAのペレットを添加し、加熱しながら撹拌溶解し、その後、周波数25kHz,出力1200Wの超音波発信器による超音波分散処理を1時間行ない、更に孔径5μmのPTFE製メンブレンフィルター(アドバンテック製 マイテックス LC)により濾過し、アエロジル50/共重合ポリアミドAの質量比が1/1であり、メタノール/1−プロパノール/トルエンの混合溶媒の質量比が5/2/3であって、含有する固形分の濃度が11.0質量%の下引き層形成用塗布液 P8を得た。
[下引き層形成用塗布液P9]
平均一次粒子径が30nmの火炎加水分解法で製造されたシリカ粒子(日本アエロジル(株)製、製品名:アエロジル50)をメタノールと1−プロパノールとトルエンと表面処理酸化チタン分散Aの混合液中で、周波数25kHz,出力600Wの超音波発信器による超音波分散処理を3時間行ない、酸化チタンとシリカの混合分散液を得た。酸化チタンとシリカの混合分散液に共重合ポリアミドAのペレットを添加し、加熱しながら撹拌溶解し、その後、周波数25kHz,出力1200Wの超音波発信器による超音波分散処理を1時間行ない、更に孔径5μmのPTFE製メンブレンフィルター(アドバンテック製 マイテックス LC)により濾過し、アエロジル50/表面処理酸化チタンA/共重合ポリアミドAの質量比が1/0.5/1であり、メタノール/1−プロパノール/トルエンの混合溶媒の質量比が5/2/3であって、含有する固形分の濃度が12.0質量%の下引き層形成用塗布液 P9を得た。
[電荷発生層形成用塗布液Q1]
CuKα線により粉末X線スペクトルパターンにおいてブラッグ角(2θ±0.2゜)27.3゜に特徴的なピークを示すオキシチタニウムフタロシニアン10部と、ポリビニルアセタール樹脂(電気化学工業(株)製、商品名DK31)5部と、1,2−ジメトキシエタン500部とを混合し、サンドグラインドミルで粉砕、分散処理を行い、電荷発生層形成用塗布液Q1を得た。
[電荷輸送層形成用塗布液R1]
下記構造式(III)で表されるポリカーボネート樹脂(粘度平均分子量30000)100部、下記構造式(IV)で表される電荷輸送物質40部、ジブチルヒドロキシトルエン8部を、テトラヒドロフラン:アニゾール=9/1の混合溶媒に溶解、撹拌混合することで、固形分濃度23%の電荷輸送層形成用塗布液R1を得た。
Figure 2016180800
<実施例1>
下引き層形成用塗布液P1を、表面が切削加工仕上げされた30mmφで、長さが260.5mmアルミニウム製シリンダーに浸漬塗布し、その乾燥膜厚が、2.0μmとなるように下引き層を設けた。下引き層上に電荷発生層形成用塗布液Q1を浸漬塗布し、その乾燥膜厚が0.3μmとなるようにして電荷発生層を設けた。電荷発生層上に電荷輸送層形成用塗布液R1を浸漬塗布し、その乾燥膜厚が13.0μmとなるように製造した感光体を感光体D1とする。
<実施例2>
電荷輸送層の乾燥膜厚が25.0μmとなるようにしたこと以外は、感光体D1と全く同様にして製造した感光体を感光体D2とする。
<実施例3>
下引き層形成用塗布液P1を塗布液P2にしたこと以外は、感光体D1と全く同様に製造した感光体を感光体D3とする。
<実施例4>
電荷輸送層の乾燥膜厚が25.0μmとなるようにしたこと以外は、感光体D3と全く同様にして製造した感光体を感光体D4とする。
<比較例1>
下引き層形成用塗布液P1を塗布液P3にしたこと以外は、感光体D1と全く同様に製造した感光体を感光体D5とする。
<比較例2>
電荷輸送層の乾燥膜厚が25.0μmとなるようにしたこと以外は、感光体D5と全く同様にして製造した感光体を感光体D6とする。
<比較例3>
下引き層形成用塗布液P1を塗布液P4にしたこと以外は、感光体D1と全く同様に製造した感光体を感光体D7とする。
<比較例4>
電荷輸送層の乾燥膜厚が25.0μmとなるようにしたこと以外は、感光体D7と全く同様にして製造した感光体を感光体D8とする。
<比較例5>
下引き層形成用塗布液P1を塗布液P5にしたこと以外は、感光体D1と全く同様に製造した感光体を感光体D9とする。
<比較例6>
電荷輸送層の乾燥膜厚が25.0μmとなるようにしたこと以外は、感光体D9と全く同様にして製造した感光体を感光体D10とする。
<実施例5>
下引き層形成用塗布液P1を、アルミニウムを蒸着したポリエチレンテレフタレートフィルム上に、ワイヤーバーで塗布し、その乾燥膜厚が、1.0μmとなるように下引き層を設けた。下引き層上に電荷発生層形成用塗布液Q1をワイヤーバーで塗布し、その乾燥膜厚が0.3μmとなるようにして電荷発生層を設けた。電荷発生層上に電荷輸送層形成用塗布液R1をアプリケータで塗布し、その乾燥膜厚が25.0μmとなるように製造した感光体を感光体S1とする。
<実施例6>
下引き層形成用塗布液P1を塗布液P2にしたこと以外は、感光体S1と全く同様に製造した感光体を感光体S2とする。
<比較例7>
下引き層形成用塗布液P1を塗布液P6にしたこと以外は、感光体S1と全く同様に製造した感光体を感光体S3とする。
<比較例8>
下引き層形成用塗布液P1を塗布液P7にしたこと以外は、感光体S1と全く同様に製造した感光体を感光体S4とする。
<比較例9>
下引き層形成用塗布液P1を塗布液P8にしたこと以外は、感光体S1と全く同様に製造した感光体を感光体S5とする。
<比較例10>
下引き層形成用塗布液P1を塗布液P9にしたこと以外は、感光体S1と全く同様に製造した感光体を感光体S6とする。
[電気特性の評価]
次に、これら感光体D2、D4、D6、D8、D10及び80mmφのアルミニウムシリンダーに巻き付けた感光体S1〜S6を、電子写真学会標準に従って製造された電子写真特性評価装置(続電子写真技術の基礎と応用、電子写真学会編、コロナ社、404〜405頁記載)に装着し、感光体特性測定機に装着し、以下の手順に従って、帯電(マイナス極性)、露光、電位測定、除電のサイクルによる電気特性の評価を行なった。 感光体
の初期表面電位が−700Vになるように帯電させ、ハロゲンランプの光を干渉フィルターで780nmの単色光としたものを照射して、表面電位が−350Vとなる時の照射エネルギー(半減露光エネルギー)を感度(E1/2)として測定した(μJ/cm)。また、該露光光を0.5μJ/cmの強度で照射したときの167ms後の露光後表面電位(VL)を測定した(−V)。更に−700Vに帯電して5秒放置後の電位保持率(DDR)を測定した(%)。この電気特性評価結果を表−1に示す。
[耐リーク性評価]
感光体D1、D3、D5、D7、D9をヒューレットパッカード社製カラプリンターHP4600のカートリッジに装着して、アース側フランジよりアースをとり、帯電ローラーに高圧電源(トレック社製、Model−610C)により、直流電圧を印加し、感光体が絶縁破壊する時間を測定した。直流電圧は、まず、−2kVを印加し、5分間絶縁破
壊しなければ、−2.5kVに印可電圧をあげた。−2.5kV印加で、5分間絶縁破壊しなければ、−3.0kVに印可電圧をあげた。−3.0kV印加で、5分間絶縁破壊しなければ、−3.5kVに印可電圧をあげた。−3.5kV印加で、5分間絶縁破壊しなければ、−4.0kVに印可電圧をあげた。−4.0kV印加で5分間絶縁破壊しなければ、そこで終了とした。各ドラム2箇所でリーク評価を行った。2箇所の平均絶縁破壊時間を表−3に示す。
Figure 2016180800
Figure 2016180800
Figure 2016180800
表−1及び表−3から明らかなように、無機粒子がゾルゲル法で製造されたシリカ粒子のみの下引き層の場合及びメインがゾルゲル法で製造されたシリカ粒子で、酸化チタンが少量添加されている下引き層の場合は、電気特性も耐リーク特性も良いが、酸化チタン粒子のみの下引き層の場合及び酸化チタン粒子の比率が大きい下引き層の場合は、電気特性
は良好であるが、耐リーク特性が良好ではなかった。
表−2から明らかなように、ゾルゲル法で製造されたシリカ粒子がメインの下引き層の場合は、電気特性は良好であるが、溶融法、火炎加水分解法で製造したシリカ粒子がメインの下引き層の場合は、電気特性、特に残留電位と暗減衰が良好ではなかった。
1 感光体(電子写真感光体)
2 帯電装置(帯電ローラ;帯電部)
3 露光装置(露光部)
4 現像装置(現像部)
5 転写装置
6 クリーニング装置(クリーニング部)
7 定着装置
41 現像槽
42 アジテータ
43 供給ローラー
44 現像ローラー
45 規制部材
71 上部定着部材(加圧ローラー)
72 下部定着部材(定着ローラー)
73 加熱装置
T トナー
P 記録紙(用紙,媒体)

Claims (9)

  1. 導電性支持体上に、下引き層及び感光層を有する電子写真感光体において、前記下引き層が、無機粒子、及びバインダー樹脂を含有し、全無機粒子100質量部に対して、ゾルゲル法で製造されたシリカ粒子が60質量部以上であることを特徴とする、電子写真感光体。
  2. 導電性支持体上に、下引き層及び感光層を有する電子写真感光体において、前記下引き層が、無機粒子、及びバインダー樹脂を含有し、全無機粒子100質量部に対して、アルコキシ基を1質量%以上含有するシリカ粒子が60質量部以上であることを特徴とする、電子写真感光体。
  3. 前記下引き層が、前記シリカ100質量部に対して、バンドギャップが2〜4eVの無機粒子を10〜60質量部以下含有する、請求項1又は2に記載の電子写真感光体。
  4. 前記バンドギャップが2〜4eVである無機粒子が酸化チタンである、請求項3に記載の電子写真感光体。
  5. 前記シリカ粒子の平均一次粒子径が0.2μm〜1μmである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
  6. 前記無機粒子が、前記バインダー樹脂100質量部に対して、50〜200質量部である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
  7. 前記バインダー樹脂が、ポリアミド樹脂である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の電子写真感光体を用いた、画像形成装置。
  9. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の電子写真感光体を用いた、画像形成装置用のカートリッジ。
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