JP6728813B2 - 電子写真感光体、電子写真感光体カートリッジ、及び画像形成装置 - Google Patents

電子写真感光体、電子写真感光体カートリッジ、及び画像形成装置 Download PDF

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Description

本発明は、電子写真方式のプリンターや複写機、複合機等に用いられる電子写真感光体、該電子写真感光体を用いて作成したカートリッジ、及び画像形成装置に関するものである。
より詳しくは、導電性基体上に電荷発生層と電荷輸送層をこの順で有する感光層において、電荷発生層に特定の電子輸送物質を含有する電子写真感光体、該電子写真感光体を使用するカートリッジ、及び画像形成装置に関するものである。
電子写真技術の中核となる電子写真感光体(以下、適宜「感光体」とも云う)については、無公害で成膜、製造が容易である等の利点を有する、有機系の光導電物質を使用した感光体が広く使用されている。これらの感光体を搭載した電子写真方式の画像形成装置は、年々高画質化、高速化、高耐久性化が進み、感光体にも高感度、高速応答、長寿命等が要求される。
更にこれら基本特性の他にも、温湿度環境変化の影響を受けないこと、メンテナンス時の自然光や蛍光灯光で劣化しないこと、あるいは感光体塗布液が長期に安定であることなど、様々な特性が要求される。
本発明中のα型チタニルフタロシアニンは、高感度で温湿度環境変化に強く、塗布液中での結晶安定性にもすぐれているため、多くの種類の感光体に使用され良好な特性を示している。しかしながら、高性能な電荷輸送層との組み合わせによっては、耐光性が劣ることがあった。
感光体の耐光性を改良する方法としては、電荷輸送層に着色物質を添加して、悪影響を及ぼす波長域の光をカットする技術などが知られている(特許文献1)。この様に遮光剤となる化合物を添加することで、電荷輸送層が光劣化する現象は抑制することができる。一方で、遮光域より長波長の光は電荷輸送層を透って電荷発生層まで到達する。電荷発生物質がこの長波長の光を吸収して潜在電荷を生じ、その状態で感光体が帯電されて電場がかかると、潜在電荷は電荷分離して帯電している表面電荷を中和し、画像濃度に影響が出ることが懸念される。そこで、電荷発生層中で露光光以外の光で発生する電荷の影響を抑制する検討を行った。
一方で、電荷を輸送する一般的な化合物として、正孔輸送物質と電子輸送物質があげられる。従来、電子輸送物質は、積層型感光体の電荷輸送層に添加して残留電位の上昇を抑制する(特許文献2、3)、キノン系の電子輸送物質を電荷発生層に添加して感度を上げる(特許文献4)、電荷発生層に電子輸送物質を添加して露光メモリーなどの画像劣化を抑制する(特許文献5、6)、等の技術が知られている。更に、キノン系の電子輸送物質を含有する正負両極性帯電方式の感光体の例(特許文献7)や、電子輸送剤としてアゾキノン誘導体を含有した感光体の技術も報告されている(特許文献8)。
特許第4665439号公報 特開平7−271067号公報 特開平7−271069号公報 特許第2925225号公報 特開2007−316097号公報 特開2007―316099号公報 米国特許第6080518号公報 特開2006−96676号公報
本発明は、上述のように電荷輸送層に添加する着色遮光剤だけでは抑制できない、電荷発生層由来の光疲労が、画像濃度に影響を与えるという課題に鑑みてなされたものである。
即ち、本発明の目的は、自然光や蛍光灯光に曝されても、良好な電気特性と画像特性とを両立する電子写真感光体を提供すること、また該電子写真感光体を用いたプロセスカートリッジ、及び画像形成装置を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、α型チタニルフタロシアニンを電荷発生物質とする電荷発生層に、特定の電子輸送物質を含有する事で、他の特性を損なわずに外光による画像濃度変化を改善できることを見いだし、本発明に至った。
本発明の要旨は、以下の<1>〜<5> に存する。
<1> 導電性基体上に、少なくとも電荷発生層及び電荷輸送層をこの順に有し、該電荷発生層が少なくとも、バインダー樹脂、CuKα線のX線回折スペクトルにおいてブラッグ角(2θ±0.2°)の7.5°、12.3°、16.3°、25.3°、28.6°にピークを有するα型のチタニルフタロシアニン、及び電子輸送物質を含有し、且つ該電子輸送物質の密度汎関数計算B3LYP/6-31G(d,p)による構造最適化計算の結果得られたLUMOのエネルギーレベルE_lumoが次式
E_lumo (eV) < -3.45
を満足することを特徴とする電子写真感光体。(請求項1)
<2> 該電子輸送物質の含有量が、電荷発生物質1.0質量部に対して0.05質量部以上、1.0質量部以下であることを特徴とする<1>に記載の電子写真感光体。(請求項2)
<3> 該電子輸送物質がジフェノキノン誘導体であることを特徴とする、<1>、<2>いずれか1つに記載の電子写真感光体。
(請求項3)
<4> <1>〜<3>のいずれか1つに記載の電子写真感光体、ならびに、該電子写真感光体を帯電させる帯電装置、該帯電した電子写真感光体を露光させて静電潜像を形成する露光装置、及び、該電子写真感光体上に形成された静電潜像を現像する現像装置からなる群から選ばれる少なくとも1つ、を備えたことを特徴とする電子写真感光体カートリッジ。(請求項4)
<5> <1>〜<3>いずれか1つに記載の電子写真感光体、該電子写真感光体を帯電させる帯電装置と、該帯電した電子写真感光体を露光させて静電潜像を形成する露光装置、及び、該電子写真感光体上に形成された静電潜像を現像する現像装置、を備えたことを特徴とする画像形成装置。(請求項5)
本発明によれば、α型チタニルフタロシアニンを電荷発生物質とする電荷発生層に特定の電子輸送物質を添加することで、他の特性を損なわずに外光による電位変動を抑えることができ、安定した画像濃度の印字が得られる感光体、その感光体を使用したカートリッジ、及び画像形成装置を得ることができる。
本発明の画像形成装置の一実施態様の要部構成を示す概略図である。 合成例1で合成したα型チタニルフタロシアニンのCuKα特性X線による粉末X線回折スペクトルを示す。 合成例2で合成したα型チタニルフタロシアニンのCuKα特性X線による粉末X線回折スペクトルを示す。 β型チタニルフタロシアニンのCuKα特性X線による粉末X線回折スペクトルを示す。 特許第5648718号記載の方法で合成されたY型チタニルフタロシアニンのCuKα特性X線による粉末X線回折スペクトルを示す。
以下、本発明を実施するための形態(以下、発明の実施の形態)について詳細に説明する。尚、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することが出来る。また、使用する図面は本実施の形態を説明するためのものであり、実際の大きさの割合を表すものではない。
<α型チタニルフタロシアニン>
一般に、フタロシアニン化合物は、長波長域までの分光感度を有し、電荷発生効率もよく、高感度、高耐久性であるため、電荷発生物質として好適に用いられる。特に、チタニルフタロシアニンは、帯電レベルが高く、感度もよいことから、高性能な感光体を得ることができる。このチタニルフタロシアニン化合物は、同じ分子構造のものであっても、そのスタッキング状態すなわち結晶変態の違いによってキャリアの電気特性が大きく変化する。現在までに、結晶型として、α型、β型、C型、Y型、無定型、それらの混合型が知られている。その中でも、CuKα線によるX線回折スペクトルにおいてブラッグ角(2θ±0.2°)の7.5°、12.3°、16.3°、25.3°、28.6°の結晶構造を持つα型チタニルフタロシアニンは、結晶型の安定性が良いことや、温湿度に関わらず良好なキャリア発生効率を示す点で、感光体に便利に使用することができる。
本発明のα型チタニルフタロシアニンの製造方法については特に制限はなく、従来公知の何れの方法によって合成されたものであってもよい。
例えば、後述する<合成方法1>に示すような、尿素法やフタロニトリル法で合成された粗合成チタニルフタロシアニンをアシッドペースティング処理して低結晶性チタニルフタロシアニンとし、分散助剤と溶剤による分散にて結晶変態を行ってα型チタニルフタロシアニンを得る方法がある。または後述の<合成方法2>に示すような、ジクロロチタニウムフタロシアニンやジブロモチタニウムフタロシアニンを高沸点のアルコール類と接触させて1段階でα型チタニルフタロシアニンを得る方法などがある。この方法は感光体特性を損ねる強酸を使用しないため、帯電性の良い感光体を得ることができる。一方で、<合成方法1>のアシッドペースティング処理法で得られるフタロシアニンは、比較的粒がそろった細かい粒子が得られるため、感光体塗布液を作製するときの分散性や液安定性にすぐれ、キャリア発生効率もよいという利点がある。近年の洗浄処理技術の進歩で残留酸を低く抑えることができるため、<合成方法1>はより好適な合成方法となっている。
α型チタニルフタロシアニンを感光体の電荷発生物質として使用する場合、単独で用いてもよいし、他の電荷発生物質と2種以上を任意の組み合わせで使用してもよい。組み合わせる電荷発生物質は、他の結晶型を示すチタニルフタロシアニン、チタン以外の金属が配位したフタロシアニン、無金属フタロシアニン、及び公知の染顔料等があげられる。染顔料の例としては、フタロシアニン顔料の他に、アゾ顔料、ジチオケトピロロピロール顔料、スクアレン(スクアリリウム顔料)、キナクリドン顔料、インジゴ顔料、ペリレン顔料、多環キノン顔料、アントアントロン顔料、ベンズイミダゾール顔料等が挙げられる。中でも、光感度の面から、フタロシアニン顔料、アゾ顔料が好ましく使用される。他の電荷発生物質を併用する場合は、キャリア発生特性や液の分散安定特性を考慮して、α型チ
タニルフタロシアニンと同量以下での混合が好ましい。
電荷発生物質として用いられる本発明のフタロシアニン結晶の粒子径は、充分小さいことが好ましい。具体的には、1μm以下が好ましく、より好ましくは0.5μm以下で使用される。
<電子輸送物質>
本発明は、電荷発生層に電子輸送物質を含有することを特徴とする。含有する電子輸送物質は、密度汎関数計算B3LYP/6-31G(d,p)による構造最適化計算の結果得られたLUMOのエネルギーレベルE_lumoが次式
E_lumo (eV) < -3.45
を満足する。電荷輸送層との界面で電荷輸送物質との間でトラップを形成しない点から、好ましくは-3.62ev、好ましくは-3.60evより大きいことが好ましい。また、電荷輸送物質の遷移状態に作用するという点から-3.47ev、好ましくは、-3.50evより小さいことが好ましい。
感光体に電場がかかってない状態で、電荷発生層中に発生または潜在していると思われる電荷に何らかの影響を与えるためには、より低いエネルギーレベルの電子輸送剤が好適に働くと思われる。
電子輸送物質は上記のエネルギーレベルを満足すれば構造に限定はされないが、前記電荷発生物質と特に良い相性を示す構造は以下の通りである。より効果的に機能する構造は、ジフェノキノン誘導体であり、電子の極在化を抑制できるという観点から、下記式(1)で表される構造が好ましい。
Figure 0006728813
式(1)中、R1〜R4は、それぞれ独立に炭素数6以下、好ましくは4以下のアルキル基を表す。アルキル基の例としては、メチル基、エチル基、プロピル基等の鎖状アルキル基、イソプロピル基、tert-ブチル基、tert-ペンチル基等の分岐アルキル基が挙げられる。中でも、R〜Rが全てtert-ブチル基か、溶解性の観点からメチル基とtert-ブチル基が2個ずつであることが好ましい。Mは0又は1を表し、製造の容易さの観点からは、0であることが好ましい。具体的に以下のような化合物が挙げられる。
Figure 0006728813
上記の他に、効果的に機能する構造としては、キノン誘導体や、ジシアノ化合物誘導体、ナフタルイミド誘導体などがあげられる。
<電荷発生層>
本発明のα型チタニルフタロシアニン化合物は単一の化合物のものを用いてもよいし、幾つかの混合又は混晶状態のものを用いてもよい。ここでのフタロシアニン化合物は結晶状態に置ける混合状態としては、それぞれの構成要素を後から混合したものを用いてもよいし、合成、顔料化、結晶化等のフタロシアニン化合物の製造・処理工程において混合状態を生じさせたものでもよい。このような処理としては、酸ペースト処理・磨砕処理・溶剤処理等が知られている。混晶状態を生じさせるためには、特開平10−48859号公報記載のように、2種類の結晶を混合後に機械的に磨砕、不定形化した後に、溶剤処理によって特定の結晶状態に変換する方法が挙げられる。電荷発生物質として有機顔料を使用する場合、通常はこれらの有機顔料の微粒子を、各種のバインダー樹脂で結着した分散層の形で使用する。
電荷発生層に用いるバインダー樹脂は特に制限されないが、例としては、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ブチラールの一部がホルマールや、アセタール等で変性された部分アセタール化ポリビニルブチラール樹脂等のポリビニルアセタール系樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、変性エーテル系ポリエステル樹脂、フェノキシ樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリビニルピリジン樹脂、セルロース系樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、シリコン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂、カゼインや、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ヒドロキシ変性塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、カルボキシル変性塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体等の塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−アルキッド樹脂、シリコン−アルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂等の絶縁性樹脂や、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリビニルアントラセン、ポリビニルペリレン等の有機光導電性ポリマーなどが挙げられるが、ポリビニルアセタール樹脂が特に好ましく、ポリビニルアセタール樹脂としては、ポリビニルブチラール樹脂が好ましい。これらのバインダー樹脂は、何れか1種を単独で用いても良く、2種類以上を任意の組み合わせで混合して用いても良い。
電荷発生層において、バインダー樹脂と電荷発生物質との配合比(質量)は、バインダー樹脂100質量部に対して電荷発生物質が通常10質量部以上、好ましくは30質量部以上、また、通常1000質量部以下、好ましくは500質量部以下の範囲であり、その膜厚は通常0.1μm以上、好ましくは0.15μm以上、また、通常10μm以下、好
ましくは0.6μm以下の範囲である。電荷発生物質の比率が高過ぎると、電荷発生物質の凝集等により塗布液の安定性が低下するおそれがある一方、電荷発生物質の比率が低過ぎると、感光体としての感度の低下を招くおそれがある。
電荷発生物質を分散させる方法としては、ボールミル分散法、アトライター分散法、サンドミル分散法等の公知の分散法を用いることができる。この際、粒子を0.5μm以下、好ましくは0.3μm以下、より好ましくは0.15μm以下の範囲の粒子サイズに微細化することが有効である。
本発明の電荷発生層は、前述の電子輸送物質を含有する。電子輸送物資対の含有量は、電荷発生物質1質量部に対して、効果の点から0.05質量部以上、好ましくは0.10質量部以上、より好ましくは0.12質量部以上である。また、添加量が多いとキャリアが発生しやすくなって光疲労特性が悪化するため1.0質量部以下が好ましい。また、残留電位などの電気的特性を悪化させないためには0.80質量部以下がより好ましく、塗布液の安定性の点から0.50質量部以下がさらに好ましい。
電子輸送物質の添加方法は、電荷発生物質を微細化処理する工程で添加しても良いし、バインダー樹脂と混合するときに添加してもよく、または電荷発生層塗布液に後から添加しても、いずれの方法で添加しても電荷発生層内で効果的に機能する。
<電荷輸送層>
電荷輸送層は、電荷輸送物質とバインダー樹脂を含有する。更に必要に応じてその他の成分を含有してもよい。電荷輸送物質等とバインダー樹脂とを溶剤に溶解又は分散して塗布液を作製し、電荷発生層上に、塗布、乾燥して得ることができる。
電荷輸送物質としては特に限定されず、電子写真感光体に通常使用される物質が用いられる。公知の電荷輸送物質の例としては、2,4,7−トリニトロフルオレノン等の芳香族ニトロ化合物、テトラシアノキノジメタン等のシアノ化合物、ジフェノキノン等のキノン化合物等の電子輸送性物質、カルバゾール誘導体、インドール誘導体、イミダゾール誘導体、オキサゾール誘導体、ピラゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、ベンゾフラン誘導体等の複素環化合物、アニリン誘導体、ヒドラゾン誘導体、芳香族アミン誘導体、スチルベン誘導体、ブタジエン誘導体、エナミン誘導体及びこれらの化合物の複数種が結合したもの、或いはこれらの化合物からなる基を主鎖又は側鎖に有する重合体等の正孔輸送性物質等が挙げられる。これらの中でも、電気特性の観点から、カルバゾール誘導体、芳香族アミン誘導体、スチルベン誘導体、ブタジエン誘導体、エナミン誘導体、及びこれらの化合物の複数種が結合したものが好ましく、エナミン誘導体が特に好ましい。これらの電荷輸送物質は、何れか1種を単独で用いても良く、2種以上を任意の組み合わせで併用しても良い。電荷輸送物質の具体例を以下に示す。
Figure 0006728813
Figure 0006728813
バインダー樹脂は膜強度確保のために使用される。電荷輸送層のバインダー樹脂としては、例えば、ブタジエン樹脂、スチレン樹脂、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル樹脂、アクリル酸エステル樹脂、メタクリル酸エステル樹脂、ビニルアルコール樹脂、エチルビニルエーテル等のビニル化合物の重合体及び共重合体、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、部分変性ポリビニルアセタール、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、セルロースエステル樹脂、フェノキシ樹脂、シリコン樹脂、シリコン−アルキッド樹脂、ポリ−N−ビニルカルバゾール樹脂等が挙げられる。中でも、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂が好ましい。これらのバインダー樹脂は、適当な硬化剤を用いて熱、光等により架橋させて用いることもできる。これらのバインダー樹脂は、何れか1種を単独で用いても良く、2種以上を任意の組み合わせで用いても良い。以下にバインダー樹脂の構造を例示する。以下の構造は本発明をより具体的にするために例示するものであり、本発明の概念を逸脱しない限りは下記構造に限定されるものではない。
Figure 0006728813
バインダー樹脂と電荷輸送物質との割合としては、通常バインダー樹脂100質量部に対して電荷輸送物質を10質量部以上の比率で使用する。中でも、残留電位低減の観点から20質量部以上が好ましく、繰り返し使用した際の安定性や電荷移動度の観点から30質量部以上がより好ましい。一方、感光層の熱安定性の観点から、通常電荷輸送物質を100質量部以下の比率で使用する。中でも、電荷輸送材料とバインダー樹脂との相溶性の観点から70質量部以下が好ましく、耐摩耗性の観点から60質量部以下がより好ましく、耐傷性の観点から50質量部以下が特に好ましい。また、電荷輸送層にアゾ化合物等の着色物質を含有することは、感光体に悪影響を及ぼす波長域の光を遮断することができ、本発明においてより大きな効果を得られるため好ましい。
電荷輸送層の膜厚は特に制限されないが、長寿命、感度の観点から、通常5μm以上、好ましくは10μm以上であり、高解像度及び生産性の観点から、通常50μm以下、好ましくは40μm以下、更に好ましくは25μm以下である。
<下引き層>
導電性支持体と前述した感光層との間には、接着性・ブロッキング性等の改善のため、下引き層を設けてもよい。下引き層としては、樹脂、樹脂に金属酸化物等の粒子を分散したものなどが用いられる。
下引き層に用いる金属酸化物粒子の例としては、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化鉄等の1種の金属元素を含む金属酸化物粒子、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム等の複数の金属元素を含む金属酸化物粒子などがあげられる。これらは一種類の粒子を単独で用いてもよいし、複数の種類の粒子を混合して用いてもよい。これらの金属酸化物粒子の中で、酸化チタン及び酸化アルミニウムが好ましく、特に酸化チタンが好ましい。酸化チタン粒子は、その表面に、酸化錫、酸化アルミニウム、酸化アンチモン、酸化ジルコニウム、酸化珪素等の無機物、又はステアリン酸、ポリオール、シリコン等の有機物による処理を施されていてもよい。酸化チタン粒子の結晶型としては、ルチル、アナターゼ、ブルッカイト、アモルファスのいずれも用いることができる。また、複数の結晶状態のものが含まれていてもよい。
また、金属酸化物粒子の粒径としては種々のものが利用できるが、中でも電気特性および下引き層形成要の塗布液の安定性の面から、平均一次粒径として通常1nm以上、好ましくは10nm以上、また、通常100nm以下、好ましくは50nm以下のものが望ましい。
下引き層は、金属酸化物粒子をバインダー樹脂に分散した形で形成するのが望ましい。下引き層のバインダー樹脂としては、ポリビニルアセタール、ポリアミド樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル、エポキシ樹脂、ポリウレタン、ポリアクリル酸等の樹脂材料を用いることができる。中でも、支持体の接着性に優れ、電荷発生層塗布液に用いられる溶媒に対する溶解性の小さなポリアミド樹脂が好ましい。そして、ポリアミド樹脂の中でも、シクロアルカン環構造を構成成分として有する共重合ポリアミドが好ましく、シクロヘキサン環構造を構成成分として有する共重合ポリアミドがより好ましく、その中でも特に、下記構造式(I)で示されるジアミン成分を構成材料として有する共重合ポリアミド樹脂が好ましい。
Figure 0006728813
(式(I)中、A、Bは、それぞれ独立して置換基を有していてもよいシクロヘキサン環を表し、Xは置換基を有していてもよいメチレン基を表す。)
下引き層に用いられるバインダー樹脂に対する金属酸化物粒子の使用比率は任意に選ぶことが可能であるが、分散液の安定性、塗布性の観点から、通常は10質量%以上、500質量%以下の範囲で使用することが好ましい。
下引き層の膜厚は、任意に選ぶことができるが、感光体特性及び塗布性を向上させる観点から、通常は0.1μm以上、20μm以下の範囲が好ましい。
下引き層には、公知の酸化防止剤等を混合してもよい。画像欠陥防止などを目的として、顔料粒子、樹脂粒子等を含有させ用いてもよい。
<その他の機能層>
積層型感光体は、上記手順により形成された感光層を最上層、即ち表面層としてもよいが、その上に更に別の層を設け、これを表面層としてもよい。例えば、感光層の損耗を防止したり、帯電器等から発生する放電生成物等による感光層の劣化を防止・軽減する目的で、保護層を設けても良い。生産工程を少なくすることが出来ることから感光層が表面層
であることが好ましい。
<導電性支持体>
感光体に用いる導電性支持体としては、例えばアルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼、銅、ニッケル等の金属材料や、金属、カーボン、酸化錫などの導電性粉体を添加して導電性を付与した樹脂材料や、アルミニウム、ニッケル、ITO(酸化インジウム酸化錫)等の導電性材料をその表面に蒸着又は塗布した樹脂、ガラス、紙等が主として使用される。形態としては、ドラム状、シート状、ベルト状などのものが用いられる。金属材料の導電性支持体に、導電性・表面性などの制御のためや欠陥被覆のために。適当な抵抗値をもつ導電性材料を塗布したものでもよい。
導電性支持体としてアルミニウム合金等の金属材料を用いた場合、陽極酸化被膜を施してから用いてもよい。陽極酸化被膜を施した場合、公知の方法により封孔処理を施すのが望ましい。
例えば、クロム酸、硫酸、シュウ酸、ホウ酸、スルファミン酸等の酸性浴中で、陽極酸化処理することにより陽極酸化被膜が形成されるが、硫酸中での陽極酸化処理がより良好な結果を与える。硫酸中での陽極酸化の場合、硫酸濃度は100〜300g/l、溶存アルミニウム濃度は2〜15g/l、液温は15〜30℃、電解電圧は10〜20V、電流密度は0.5〜2A/dm2の範囲内に設定されるのが好ましいが、前記条件に限定され
るものではない。
このようにして形成された陽極酸化被膜に対して、封孔処理を行なうことは好ましい。封孔処理は、公知の方法で行われればよいが、例えば、主成分としてフッ化ニッケルを含有する水溶液中に浸漬させる低温封孔処理、あるいは主成分として酢酸ニッケルを含有する水溶液中に浸漬させる高温封孔処理が施されるのが好ましい。
上記低温封孔処理の場合に使用されるフッ化ニッケル水溶液濃度は、適宜選べるが、3〜6g/lの範囲で使用された場合、より好ましい結果が得られる。また、封孔処理をスムーズに進めるために、処理温度としては、25〜40℃、好ましくは30〜35℃で、また、フッ化ニッケル水溶液pHは、4.5〜6.5、好ましくは5.5〜6.0の範囲で処理するのがよい。pH調節剤としては、シュウ酸、ホウ酸、ギ酸、酢酸、水酸化ナトリウム、酢酸ナトリウム、アンモニア水等を用いることが出来る。処理時間は、被膜の膜厚1μmあたり1〜3分の範囲で処理することが好ましい。なお、被膜物性を更に改良するためにフッ化コバルト、酢酸コバルト、硫酸ニッケル、界面活性剤等をフッ化ニッケル水溶液に添加しておいてもよい。次いで水洗、乾燥して低温封孔処理を終える。前記高温封孔処理の場合の封孔剤としては、酢酸ニッケル、酢酸コバルト、酢酸鉛、酢酸ニッケル−コバルト、硝酸バリウム等の金属塩水溶液を用いることが出来るが、特に酢酸ニッケルを用いるのが好ましい。酢酸ニッケル水溶液を用いる場合の濃度は5〜20g/lの範囲内で使用するのが好ましい。処理温度は80〜100℃、好ましくは90〜98℃で、また、酢酸ニッケル水溶液のpHは5.0〜6.0の範囲で処理するのが好ましい。ここでpH調節剤としてはアンモニア水、酢酸ナトリウム等を用いることが出来る。処理時間は10分以上、好ましくは20分以上処理するのが好ましい。なお、この場合も被膜物性を改良するために酢酸ナトリウム、有機カルボン酸、アニオン系、ノニオン系界面活性剤等を酢酸ニッケル水溶液に添加してもよい。次いで水洗、乾燥して高温封孔処理を終える。平均膜厚が厚い場合には、封孔液の高濃度化、高温・長時間処理により強い封孔条件を必要とする。従って生産性が悪くなると共に、被膜表面にシミ、汚れ、粉ふきといった表面欠陥を生じやすくなる。このような点から、陽極酸化被膜の平均膜厚は通常20μm以下、特に7μm以下で形成されることが好ましい。
支持体表面は、平滑であってもよいし、特別な切削方法を用いたり、研磨処理したりすることにより、粗面化されていてもよい。また、支持体を構成する材料に適当な粒径の粒
子を混合することによって、粗面化されたものであってもよい。また、安価化のためには切削処理を施さず、引き抜き管をそのまま使用することも可能である。特に引き抜き加工、インパクト加工、しごき加工等の非切削アルミニウム支持体を用いる場合、処理により、表面に存在した汚れや異物等の付着物、小さな傷等が無くなり、均一で清浄な支持体が得られるので好ましい。
<各層の形成方法>
本発明の下引き層、及び感光体を構成する各層は、各層に含有させる物質を溶剤に溶解又は分散させて得られた塗布液を、支持体上に浸漬塗布、スプレー塗布、ノズル塗布、バーコート、ロールコート、ブレード塗布等の公知の方法により、各層ごとに順次塗布・乾燥工程を繰り返すことにより形成される。
塗布液の作製に用いられる溶媒又は分散媒に特に制限は無いが、具体例としては、メタノール、エタノール、プロパノール、2−メトキシエタノール等のアルコール類、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジメトキシエタン等のエーテル類、ギ酸メチル、酢酸エチル等のエステル類、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、テトラクロロエタン、1,2−ジクロロプロパン、トリクロロエチレン等の塩素化炭化水素類、n−ブチルアミン、イソプロパノールアミン、ジエチルアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン、トリエチレンジアミン等の含窒素化合物類、アセトニトリル、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶剤類等が挙げられる。また、これらは1種を単独で用いても良く、2種以上を任意の組み合わせ及び種類で併用してもよい。
溶媒又は分散媒の使用量は特に制限されないが、各層の目的や選択した溶媒・分散媒の性質を考慮して、塗布液の固形分濃度や粘度等の物性が所望の範囲となるように適宜調整するのが好ましい。例えば、電荷輸送層の場合には、塗布液の固形分濃度を通常5質量%以上、好ましくは10質量%以上、また、通常40質量%以下、好ましくは35質量%以下の範囲とする。また、塗布液の粘度を通常10cps以上、好ましくは50cps以上、また、通常500cps以下、好ましくは400cps以下の範囲とする。
また、積層型感光体の電荷発生層の場合には、塗布液の固形分濃度は、通常0.1質量%以上、好ましくは1質量%以上、また、通常15質量%以下、好ましくは10質量%以下の範囲とする。また、塗布液の粘度は、通常0.01cps以上、好ましくは0.1cps以上、また、通常20cps以下、好ましくは10cps以下の範囲とする。
塗布液の塗布方法としては、浸漬コーティング法、スプレーコーティング法、スピナーコーティング法、ビードコーティング法、ワイヤーバーコーティング法、ブレードコーティング法、ローラーコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等が挙げられるが、他の公知のコーティング法を用いることも可能である。
<画像形成装置、カートリッジ>
本発明の電子写真感光体を使用する複写機、プリンター等の画像形成装置は、少なくとも帯電、露光、現像、転写、除電の各プロセスを含むが、どのプロセスも通常用いられる方法のいずれを用いてもよい。図1に示すように、画像形成装置は、電子写真感光体1、帯電装置2、露光装置3、現像装置4を備えて構成され、更に必要に応じて転写装置5、クリーニング装置6及び定着装置7が設けられる。
なお、電子写真感光体1を、帯電装置2、露光装置3、現像装置4、転写装置5、クリーニング装置6、及び定着装置7のうち1つ又は2つ以上と組み合わせて、一体型のカートリッジ(以下適宜「電子写真感光体カートリッジ」という)として構成し、この電子写真
感光体カートリッジを複写機やレーザービームプリンタ等の電子写真装置本体に対して着脱可能な構成にしてもよい。
以下、実施例を示して本発明の実施の形態をさらに具体的に説明する。ただし、以下の実施例は本発明を詳細に説明するために示すものであり、本発明はその要旨を逸脱しない限り、以下に示した実施例に限定されるものではなく任意に変形して実施することができる。また、以下の実施例、及び比較例中の「部」の記載は、特に指定しない限り「質量部」を示す。
[α型チタニルフタロシアニンの合成例]
<合成方法1>
特開2009−37058号公報中の「実施例1」に記載されている方法と同様にして、アシッドペースティング処理したチタニルフタロシアニンをミリング処理して、α型チタニルフタロシアニンを得た。得られたα型チタニルフタロシアニンの粉末X線回折図を図2に示す。
<合成方法2>
特開平2−308863号公報中の「実施例1」に記載されている方法と同様の操作を行なうことにより、α型チタニルフタロシアニンを得た。得られたα型チタニルフタロシアニンの粉末X線回折図を図3に示す。
<実施例1>
[下引き層の形成]
下引き層用塗布液は以下のように作製した。平均一次粒子径40nmのルチル型酸化チタン(石原産業社製「TTO55N」)と、該酸化チタンに対して3質量%のメチルジメトキシシラン(東芝シリコーン社製「TSL8117」)とを、ヘンシェルミキサーにて混合して得られた表面処理酸化チタンを、メタノール/1−プロパノールの質量比が7/3の混合溶媒中でボールミルにより分散させることにより、表面処理酸化チタンの分散スラリーとした。該分散スラリーと、メタノール/1−プロパノール/トルエンの混合溶媒及び、ε−カプロラクタム/ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタン/ヘキサメチレンジアミン/デカメチレンジカルボン酸/オクタデカメチレンジカルボン酸の組成モル比率が、60%/15%/5%/15%/5%からなる共重合ポリアミドのペレットとを加熱しながら撹拌、混合してポリアミドペレットを溶解させた後、超音波分散処理を行なうことにより、メタノール/1−プロパノール/トルエンの質量比が7/1/2で、表面処理酸化チタン/共重合ポリアミドを質量比3/1で含有する、固形分濃度18.0%の下引き層用塗布液を作製した。この塗布液を、表面にアルミ蒸着したポリエチレンテレフタレートシート(厚さ75μm)上に、乾燥後の膜厚が1.2μmになるようにワイアバーで塗布、乾燥して下引き層を設けた。
[電荷発生層の形成]
電荷発生物質として、上記<合成方法1>の方法で得られた、図2に示す粉末X線回折スペクトルパターンを有するα型チタニウムフタロシアニン20部と1,2−ジメトキシエタン280部を混合し、サンドグラインドミルで2時間粉砕して微粒化分散処理を行った。続いて、ポリビニルブチラール(電気化学工業(株)製、商品名「デンカブチラール」#6000C)の2.5%1,2−ジメトキシエタン溶液400部と、170部の1,2−ジメトキシエタン、さらに下記構造の電子輸送物質―1を4部混合して分散液を調製した。この分散液を、前記下引き層上にバーコーターで塗布して、乾燥後の膜厚が0.4μmとなるように電荷発生層を形成した。
Figure 0006728813
[電荷輸送層の形成]
電荷輸送層用塗布液は以下のように作製した。下記構造の電荷輸送物質−1を40部、下記繰り返し構造を持つバインダー樹脂−1(粘度平均分子量40,000)を100部、酸化防止剤として下記AD−1を2質量部、着色物質として下記アゾ化合物−1を1質量部、レベリング剤としてシリコーンオイル(信越シリコーン社製:商品名 KF−96)0.05部をテトラヒドロフラン(以下適宜THFと略)とトルエン(以下適宜TLと略)の混合溶媒(THF 80質量%、TL 20質量%)640部に混合し、電荷輸送層用塗布液を調製した。この塗布液を、上記電荷発生層上に、乾燥後の膜厚が約30μmになるように浸漬塗布して電荷輸送層を形成し、感光体を作製した。
Figure 0006728813
<実施例2>
実施例1において、電荷発生層の電子輸送物質を下記構造の電子輸送物質―2に変えた以外は実施例1と同様の操作を行い、感光体を作製した。
Figure 0006728813
<実施例3>
実施例1において、電荷発生層の電子輸送物質を下記構造の電子輸送物質―3に変えた
以外は実施例1と同様の操作を行い、感光体を作製した。
Figure 0006728813
<実施例4>
実施例1において、電荷発生層の電子輸送物質を下記構造の電子輸送物質―4に変えた以外は実施例1と同様の操作を行い、感光体を作製した。
Figure 0006728813
<実施例5>
実施例1において、電荷発生層の電子輸送物質を下記構造の電子輸送物質―5に変えた以外は実施例1と同様の操作を行い、感光体を作製した。
Figure 0006728813
<実施例6>
実施例1において、電荷発生層の電子輸送物質を下記構造の電子輸送物質―6に変えた以外は実施例1と同様の操作を行い、感光体を作製した。
Figure 0006728813
<実施例7>
実施例1において、電荷発生層の電子輸送物質を下記構造の電子輸送物質―7に変えた以外は実施例1と同様の操作を行い、感光体を作製した。
Figure 0006728813
<実施例8>
実施例1において、電荷発生層の電荷発生物質を上記<合成方法1>の方法で得られたα型チタニルフタロシアニン15部と、図4に示すCuKα線のX線回折スペクトルにおいてブラッグ角(2θ±0.2°)の26.3にピークを有するβ型チタニルフタロシアニン5部の混合に変えた以外は実施例1と同様の操作を行い、感光体を作製した。
<実施例9>
実施例1において、電荷発生層の電子輸送物質−1の添加量を10部にした以外は実施例1と同様の操作を行い、感光体を作製した。
<実施例10>
実施例1において、電荷発生層の電子輸送物質−1の添加量を2部にした以外は実施例1と同様の操作を行い、感光体を作製した。
<実施例11>
実施例1において、電荷輸送層の電荷輸送物質とバインダー樹脂をそれぞれ、下記構造の電荷輸送物質−2を60部と下記繰り返し構造を持つバインダー樹脂−2(粘度平均分子量36000)にした以外は実施例1と同様の操作を行い、感光体を作製した。
Figure 0006728813
<比較例1>
実施例1において、電荷発生層の電子輸送物質―1を入れない以外は実施例1と同様の操作を行い、感光体を作製した。
<比較例2>
実施例1において、電荷発生層の電子輸送物質を下記構造の電子輸送物質―8に変えた以外は実施例1と同様の操作を行い、感光体を作製した。
Figure 0006728813
<比較例3>
実施例1において、電荷発生層の電子輸送物質を下記構造の電子輸送物質−9に代えて、これをα型チタニルフタロシアニンと一緒にサンドグラインドミルで粉砕して調液した以外は実施例1と同様の操作を行い、感光体を作製した。
Figure 0006728813
<比較例4>
実施例1において、電荷発生層の電荷発生物質を特許第5648718号記載の方法で得られた、図5に示すCuKα線のX線回折スペクトルにおいてブラッグ角(2θ±0.2°)の27.2°にピークを有するY型チタニルフタロシアニンに代えた以外は実施例1と同様の操作を行い、感光体を作製した。
<比較例5>
比較例4において、電荷発生層の電子輸送物質を添加しない以外は比較例4と同様の操作を行い、感光体を作製した。
<比較例6>
実施例11において、電荷発生層の電子輸送物質を添加しない以外は実施例11と同様の操作を行い、感光体を作製した。
<比較例7>
比較例1において、電荷輸送層にバインダー樹脂100質量部に対して2質量部の電子輸送物質−1を添加した以外は比較例1と同様の操作を行い、感光体を作製した。
実施例と比較例で使用した電子輸送物質−1〜9のLUMOのエネルギーレベルE_lumoの値を表−1に示す。
Figure 0006728813
<感光体の評価>
実施例と比較例で得られた感光体について、以下の方法で測定、評価を行った。
[電気特性試験1]
特定の光量を照射した時の表面電位の減衰特性を次のように測定した。電子写真学会測定標準に従って製造された電子写真特性評価装置(続電子写真技術の基礎と応用、電子写真学会編、コロナ社、404〜405頁記載)を使用し、温度25℃、相対湿度50%の環境下、ドラムを一定回転数95rpmで回転させ、感光体の初期表面電位が約−700Vになるように帯電(スコロトロン帯電器)条件を固定し、ハロゲンランプの光を干渉フィルターで780nmの単色光としたものを、NDフィルターを使用して光量を0.74μJ/cmとして露光した際の表面電位VL(単位:−V)を測定した。VLは、値の絶対値が小さいほど好ましい。結果を「表−2」に示す。
[電気特性試験2]
続いて、感光体に白色蛍光灯(三菱オスラム社製ネオルミスーパーFL20SS・W/18)の光を、感光体表面での光強度が500ルックスになるように調整後5分間照射し、照射前と直後の、光量エネルギー0.25μJ/cmで(比較例5の場合は0.14μJ/cmで)露光した際の表面電位VHの比較を行った。表−2に白色蛍光灯照射前後のVH変化、ΔVHを示した。なお、負の数値は光照射後の各電位の絶対値が光照射前の電位の絶対値に対して小さくなったことを表す。この変化分ΔVLの絶対値が小さいほど、蛍光灯の光のダメージを受けにくい事を示す。
Figure 0006728813
上記表から、電荷発生物質としてα型チタニルフタロシアニンを有する電荷発生層に、特定の電子輸送物質を含有することで、電気特性に優れ、蛍光体等の外部光ダメージを受けにくい電子写真感光体が得られることがわかる。
[実施例12]
直径30mm、長さ375mm、肉厚0.75mmの3003系アルミニウム合金製チューブ上に、実施例1の下引き層用塗布液を、乾燥後の膜厚が約1.5μmになるように浸漬塗布し、室温で乾燥して下引き層を設けた。続いて、実施例1の電荷発生層用塗布液Aを、上記下引層上に、乾燥後の膜厚が約0.3μmになるように浸漬塗布し、室温で乾燥して電荷発生層を設けた。さらに、実施例1の電荷輸送層用塗布液を、上記電荷発生層上に、乾燥後の膜厚が約18μmになるように浸漬塗布して、感光体ドラム(1)を作製した。
[比較例8]
実施例12において、電荷発生層用塗布液の代わりに、電子輸送物質を添加しない比較例1の電荷発生層用塗布液を使用する以外は実施例12と同様の操作を行い、感光体ドラム(2)を作製した。
<画像試験>
実施例12と比較例8で作製した感光体ドラム(1)、(2)を使用して画像試験をおこなった。
感光体の一部に、白色蛍光灯(三菱オスラム社製ネオルミスーパーFL20SS・W/18)500ルックスの光を5分間照射し、沖データ社製カラープリンターMICROLINE Pro 9800PS−E用のブラックドラムカートリッジに装着した。次に、特開2007−213050号公報記載の現像用トナーAの製造方法(乳化重合凝集法)に従って製造した現像用トナー(体積平均粒径7.05μm、Dv/Dn=1.14、平均円形度0.963)をブラックトナーカートリッジに搭載した。これらのドラムカートリッジ、トナーカートリッジを上記プリンターに装着した。
[MICROLINE Pro 9800PS−Eの仕様]
4連タンデム
カラー36ppm、モノクロ40ppm
1200dpi
接触ローラ帯電(直流電圧印加)
LED露光
除電光あり
温度25℃、湿度50%の環境で、ハーフトーン画像を印字したところ、感光体(2)の画像は、500ルックスの蛍光灯を照射した部分だけ画像濃度が濃くなった。一方、感光体(1)の画像は、蛍光灯照射有無の部分での濃度差がほとんど見られず、均一なハーフトーン画像が得られた。
1 感光体(電子写真感光体)
2 帯電装置(帯電ローラ;帯電部)
3 露光装置(露光部)
4 現像装置(現像部)
5 転写装置
6 クリーニング装置
7 定着装置
41 現像槽
42 アジテータ
43 供給ローラ
44 現像ローラ
45 規制部材
71 上部定着部材(定着ローラ)
72 下部定着部材(定着ローラ)
73 加熱装置
T トナー
P 記録紙(用紙,媒体)

Claims (5)

  1. 導電性基体上に、少なくとも電荷発生層及び電荷輸送層をこの順に有し、該電荷発生層が少なくとも、バインダー樹脂、CuKα線のX線回折スペクトルにおいてブラッグ角(2θ±0.2°)の7.5°、12.3°、16.3°、25.3°、28.6°にピークを有するα型のチタニルフタロシアニン、及び電子輸送物質を含有し、且つ該電子輸送物質の密度汎関数計算B3LYP/6-31G(d,p)による構造最適化計算の結果得られたLUMOのエネルギーレベルE_lumoが次式
    E_lumo (eV) < -3.45
    を満足することを特徴とする電子写真感光体。
  2. 該電子輸送物質の含有量が、電荷発生物質1.0質量部に対して0.05質量部以上、1.0質量部以下であることを特徴とする請求項1に記載の電子写真感光体。
  3. 該電子輸送物質がジフェノキノン誘導体であることを特徴とする、請求項1、2いずれか1項に記載の電子写真感光体。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の電子写真感光体、ならびに、該電子写真感光体を帯電させる帯電装置、該帯電した電子写真感光体を露光させて静電潜像を形成する露光装置、及び、該電子写真感光体上に形成された静電潜像を現像する現像装置からなる群から選ばれる少なくとも1つ、を備えたことを特徴とする電子写真感光体カートリッジ。
  5. 請求項1〜3いずれか1項に記載の電子写真感光体、該電子写真感光体を帯電させる帯電装置と、該帯電した電子写真感光体を露光させて静電潜像を形成する露光装置、及び、該電子写真感光体上に形成された静電潜像を現像する現像装置、を備えたことを特徴とする画像形成装置。
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