JP2014044417A - 電子写真感光体、電子写真感光体カートリッジ、及び画像形成装置 - Google Patents

電子写真感光体、電子写真感光体カートリッジ、及び画像形成装置 Download PDF

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Abstract

【課題】収縮の大きさに関わらず、感光層の接着性が著しく良好に保たれ、更に、良好な電気特性と画像特性とを両立する電子写真感光体を提供する、また該電子写真感光体を用いたプロセスカートリッジ、及び画像形成装置を提供する。
【解決手段】導電性支持基体上に少なくとも下引き層と、ポリアリレート樹脂を含有する感光層とを基体側から順次積層して成る電子写真感光体において、該下引き層がポリエーテル化合物を含むポリアミド樹脂を含有することを特徴とする電子写真感光体。
【選択図】なし

Description

本発明は、電子写真感光体、電子写真感光体カートリッジ、及び画像形成装置に関する。特に、感光層の接着性に関して優れ、且つ、電気特性の良好な電子写真感光体、電子写真感光体カートリッジ、及び画像形成装置に関する。
電子写真技術は、即時性、高品質の画像が得られること等から、近年では、静電式複写機、ファクシミリ、レーザービームプリンターなどに広く使われ応用されてきている。これらの画像形成装置に使用される電子写真感光体は、電荷発生剤、電荷輸送剤及びバインダー樹脂を含む感光層を、導電性支持基体上に形成した、いわゆる有機感光体が主流である。
しかし、導電性支持基体上に直接感光層を塗布する電子写真感光体では、導電性支持基体と感光層が近接するため電荷が感光層に注入するおそれがあり、微視的な表面電荷の消失もしくは減少により画像欠陥が発生することがある。また、導電性支持基体の表面状態に影響されて、均一な厚さの感光層を形成することが困難になり、感光層の厚みにムラが生じることで、濃度ムラや、ピンホールなどの画像欠陥が生じるおそれがある。このような画像形成は特に、高温高湿環境下において顕著である。
このような画像欠陥の防止を意図して、導電性支持基体からの電荷注入阻止、導電性支持基体表面欠陥の隠蔽、感光層と基体の接着性向上などのために、導電性支持基体と電荷発生層の間に、下引き層を設けることが行われている。下引き層には、有機溶媒可溶性ポリアミド樹脂などが用いられている。(特許文献1〜6)
一方、従来のポリアミド樹脂などからなる単一の下引き層を有する電子写真感光体は、残留電位の蓄積が大きく、経時的な感度の大幅な低下や画像のかぶりなどが発生することがある。
そこで、導電性支持基体の影響による残留電位の改善や画像欠陥の防止を目的として、導電性支持基体に金属酸化物の微粒子を含んだ有機溶媒可溶性ポリアミド樹脂からなる下引き層を設けることなどが行われている。(特許文献4〜7)
有機光導電性物質を用いた電子写真感光体は、様々な利点を有するが、電子写真感光体として必要とされる特性のすべてを満足するわけではなく、特に、複写機やプリンターでの繰り返し使用においては、感光層が次第に劣化するという問題があるため、繰り返し使用によるダメージが少なく、高感度かつ低残留電位であり、電気特性が安定していることが望まれる。これらの特性は電荷発生物質や電荷輸送物質、添加剤、バインダー樹脂に大きく依存する。電荷発生物質としては、光入力用光源に対する感度を持つ必要があるため、主にフタロシアニン顔料やアゾ顔料が使われる。電荷輸送物質としては、多種のものが知られているが、アミン系化合物は、非常に低い残留電位を示すことから広く利用されている(例えば、特許文献8及び特許文献9参照)。
上述のように、数多くの電荷発生物質、電荷輸送物質、結着樹脂など感光体材料が知られているが、その中から闇雲に高性能を有すると知られている材料を組み合わせて用いれば、優れた電子写真感光体特性を有し、かつ画像形成装置に使用した場合に、実際に所望する高画質な画像が得られる電子写真感光体を提供可能になるわけではない。特に近年、耐磨耗性の向上が望まれており、その一つの解決手段として、電荷輸送層に耐摩耗性に優れた結着樹脂を用いて、かつ電荷輸送物質の含有量を減少させ、結着樹脂の性能を極力損なわない手法がある。
特公昭58−45707号公報 特開昭60−168157号公報 特開平2−183265号公報 特開平2−242265号公報 特開2006−208474号公報 特開2009−237179号公報 特開2011−197261号公報 特開2000−075517号公報 特開2002−040688号公報
しかしこの場合は、発明者らの検討によれば、感光層の収縮が大きくなるため、内部応力が大きくなり、感光層の接着性が悪化する欠点があった。同時に、このとき接着性の悪化に伴って、電気特性も著しく悪化するという現象が見られた。この現象は特に感光層にポリアリレートを使用した場合に、顕著に現れる。
本発明は上述の課題に鑑みてなされたものである。即ち、本発明の目的は、収縮の大きさに関わらず、感光層の接着性が著しく良好に保たれ、更に、良好な電気特性と画像特性とを両立する電子写真感光体を提供すること、また該電子写真感光体を用いたプロセスカートリッジ、及び画像形成装置を提供することにある。
本発明者らは、導電性支持基体上に少なくとも下引き層と、ポリアリレート樹脂を含有する感光層を基体側から順次積層して成る電子写真感光体において、ポリエーテル化合物を含むポリアミド樹脂を下引き層に用いることにより、接着性を改善できることを見出した。即ち本発明の要旨は以下の8点に存する。
(1)導電性支持基体上に少なくとも下引き層と、ポリアリレート樹脂を含有する感光層を基体側から順次積層して成る電子写真感光体において、該下引き層がポリエーテル化合物を含むポリアミド樹脂を含有することを特徴とする電子写真感光体。(請求項1)。
(2)前記下引き層中における前記ポリアミド樹脂の割合が10質量%以上であることを特徴とする(1)に記載の電子写真感光体。(請求項2)
(3)前記ポリアリレート樹脂が下記一般式[1]で表されるポリアリレート樹脂である
ことを特徴とする(1)又は(2)に記載の電子写真感光体。(請求項3)。
Figure 2014044417
(式[1]中、Ar1〜Ar4はそれぞれ独立に置換基を有していてもよいアリーレン基を表し、Xは単結合、酸素原子、硫黄原子、下記式[2]で表される基、又は下記式[3]で表される基であって、式[2]中のR1及びR2は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、又はアリール基を表し、RとRとが結合して環を形成していてもよく、式[3]中のRは、アルキレン基、アリーレン基、又は下記式[4]で表される基であって
、式[4]中のR及びRは、それぞれ独立に、アルキレン基を表し、Arはアリーレン基を表す。kは0〜5の整数を表す。但し、k = 0の場合、Ar3とAr4のうちいずれか一
方は置換基を有するアリーレン基である。)
Figure 2014044417
(式[1]中、Yは、単結合、酸素原子、硫黄原子、又は下記式[5]で表される基であって、式[5]中、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、又はアリール基を表し、RとRとが結合して環を形成していてもよい。)
Figure 2014044417
(4)前記ポリアミド樹脂が少なくとも重合脂肪酸とジアミンを縮合してなるポリアミド樹脂であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれか1つに記載の電子写真感光体。(請求項4)。
(5)前記ポリアミド樹脂が直鎖のジカルボン酸成分を含むポリアミド樹脂であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の電子写真感光体。(請求項5)
(6)前記下引き層が、金属酸化物の微粒子を含有していることを特徴とする、(1)〜(5)のいずれか1つに記載の電子写真感光体。(請求項6)
(7)前記金属酸化物が、酸化チタンであることを特徴とする(6)に記載の電子写真感光体。(請求項7)。
(8)(1)〜(7)のいずれか1項に記載の電子写真感光体と、該電子写真感光体を帯電させる帯電部、帯電した該電子写真感光体を露光させ静電潜像を形成する露光部、該電子写真感光体上に形成された静電潜像を現像する現像部、該電子写真感光体上をクリーニングするクリーニング部のうち、少なくとも一つとを備えることを特徴とする電子写真感光体カートリッジ。(請求項8)。
(9)(1)〜(7)のいずれか1項に記載の電子写真感光体と、該電子写真感光体を帯電させる帯電部、帯電した該電子写真感光体を露光させ静電潜像を形成する露光部、及び該電子写真感光体上に形成された静電潜像を現像する現像部とを備えることを特徴とする画像形成装置。(請求項9)
本発明の電子写真感光体は、下引き層にポリエーテル化合物を含むポリアミド樹脂を含有することにより、良好な画像特性を実現しながら、同時に、感光層の接着性を良好にできるものであり、該電子写真感光体を備える電子写真プロセスカートリッジ、及び該電子
写真感光体を備える画像形成装置を提供することが可能となる。
本発明の画像形成装置の概略図である。 実施例で用いたオキシチタニウムフタロシアニンのX線回析図である。
以下、本発明の実施の形態につき詳細に説明するが、本発明は以下の説明に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、適宜変更して実施することができる。
[電子写真感光体]
以下、本発明の電子写真感光体について詳述する。
<導電性支持体>
感光体に用いる導電性支持体としては、例えばアルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼、銅、ニッケル等の金属材料や、金属、カーボン、酸化錫などの導電性粉体を添加して導電性を付与した樹脂材料や、アルミニウム、ニッケル、ITO(酸化インジウム酸化錫)等の導電性材料をその表面に蒸着又は塗布した樹脂、ガラス、紙等が主として使用される。形態としては、ドラム状、シート状、ベルト状などのものが用いられる。金属材料の導電性支持体に、導電性・表面性などの制御のためや欠陥被覆のために、適当な抵抗値をもつ導電性材料を塗布したものでもよい。
導電性支持体としてアルミニウム合金等の金属材料を用いた場合、陽極酸化被膜を施してから用いてもよい。陽極酸化被膜を施した場合、公知の方法により封孔処理を施すのが望ましい。
例えば、クロム酸、硫酸、シュウ酸、ホウ酸、スルファミン酸等の酸性浴中で、陽極酸化処理することにより形成されるが、硫酸中での陽極酸化処理がより良好な結果を与える。硫酸中での陽極酸化の場合、硫酸濃度は100−300g/l、溶存アルミニウム濃度は2−15g/l、液温は15−30℃、電解電圧は10−20V、電流密度は0.5−2A/dmの範囲内に設定されるのが好ましいが、前記条件に限定されるものではない。
このようにして形成された陽極酸化被膜に対して、封孔処理を行うことは好ましい。封孔処理は、通常の方法でよいが、例えば、主成分としてフッ化ニッケルを含有する水溶液中に浸漬させる低温封孔処理、あるいは主成分として酢酸ニッケルを含有する水溶液中に浸漬させる高温封孔処理が施されるのが好ましい。
上記低温封孔処理の場合に使用されるフッ化ニッケル水溶液濃度は、適宜選べるが、3−6g/lの範囲で使用された場合、より好ましい結果が得られる。また、封孔処理をスムーズに進めるために、処理温度としては、25−40℃、好ましくは30−35℃で、また、フッ化ニッケル水溶液のpHは、4.5−6.5、好ましくは5.5−6.0の範囲で処理するのがよい。pH調節剤としては、シュウ酸、ホウ酸、ギ酸、酢酸、水酸化ナトリウム、酢酸ナトリウム、アンモニア水等を用いることが出来る。処理時間は、被膜の膜厚1μmあたり1−3分の範囲で処理することが好ましい。なお、被膜物性を更に改良するためにフッ化コバルト、酢酸コバルト、硫酸ニッケル、界面活性剤等をフッ化ニッケル水溶液に添加しておいてもよい。次いで水洗、乾燥して低温封孔処理を終える。
前記高温封孔処理の場合の封孔剤としては、酢酸ニッケル、酢酸コバルト、酢酸鉛、酢酸ニッケル−コバルト、硝酸バリウム等の金属塩水溶液を用いることが出来るが、特に酢
酸ニッケルを用いるのが好ましい。酢酸ニッケル水溶液を用いる場合の濃度は5−20g/lの範囲内で使用するのが好ましい。処理温度は80−100℃、好ましくは90−98℃で、また、酢酸ニッケル水溶液のpHは5.0−6.0の範囲で処理するのが好ましい。ここでpH調節剤としてはアンモニア水、酢酸ナトリウム等を用いることが出来る。処理時間は10分以上、好ましくは20分以上処理するのが好ましい。なお、この場合も被膜物性を改良するために酢酸ナトリウム、有機カルボン酸、アニオン系、ノニオン系界面活性剤等を酢酸ニッケル水溶液に添加してもよい。
次いで水洗、乾燥して高温封孔処理を終える。平均膜厚が厚い場合には、封孔液の高濃度化、高温・長時間処理により強い封孔条件を必要とする。従って生産性が悪くなると共に、被膜表面にシミ、汚れ、粉ふきといった表面欠陥を生じやすくなる。このような点から、陽極酸化被膜の平均膜厚は通常20μm以下、特に7μm以下で形成されることが好ましい。
支持体表面は、平滑であってもよいし、特別な切削方法を用いたり、研磨処理したりすることにより、粗面化されていてもよい。また、支持体を構成する材料に適当な粒径の粒子を混合することによって、粗面化されたものであってもよい。また、安価化のためには切削処理を施さず、引き抜き管をそのまま使用することも可能である。特に引き抜き加工、インパクト加工、しごき加工等の非切削アルミニウム基体を用いる場合、処理により、表面に存在した汚れや異物等の付着物、小さな傷等が無くなり、均一で清浄な基体が得られるので好ましい。
<下引き層>
導電性支持体と後述する感光層との間には、下引き層を設ける。下引き層としては、樹脂、樹脂に金属酸化物等の粒子を分散したものなどが用いられる。これらは単独として用いてもよいし、又はいくつかの樹脂、金属酸化物等の粒子を同時に用いてもよい。また、下引き層は単層でも複数層でもよい。例えば、導電層と中間層を含む二層型下引き層としてもよい。
下引き層に用いられる金属酸化物粒子の例としては、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化鉄等の1種の金属元素を含む金属酸化物粒子、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム等の複数の金属元素含む金属酸化物粒子が挙げられる。1種類の粒子のみを用いていてもよいし、複数の種類の粒子を混合して用いてもよい。これらの金属粒子の中で、酸化チタン及び酸化アルミニウムが好ましく、特に酸化チタンが好ましい。酸化チタン粒子は、その表面に、酸化錫、酸化アルミニウム、酸化アンチモン、酸化ジルコニウム、酸化珪素等の無機物、又はステアリン酸、ポリオール、シリコーン等の有機物による処理を施されていてもよい。酸化チタン粒子の結晶型としては、ルチル、アナターゼ、ブルッカイト、アモルファスのいずれも用いることが出来る。また、複数の結晶状態のものが含有されていてもよい。
また、金属酸化物粒子の粒径としては、種々のものが利用できるが、中でも特性及び液の安定性の面から、平均一次粒径としては10nm以上100nm以下が好ましく、特に好ましいのは、10nm以上50nm以下である。この平均一次粒径は、TEM写真等から得ることができる。
下引き層は、前記金属酸化物粒子をバインダー樹脂に分散した形で形成するのが望ましい。下引き層に用いられるバインダー樹脂としては、エポキシ樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリアミド樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共
重合体、ポリビニルアルコール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアクリル酸樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂、ポリビニルピリジン樹脂、水溶性ポリエステル樹脂、ニトロセルロース等のセルロースエステル樹脂、セルロースエーテル樹脂、カゼイン、ゼラチン、ポリグルタミン酸、澱粉、スターチアセテート、アミノ澱粉、ジルコニウムキレート化合物、ジルコニウムアルコキシド化合物等の有機ジルコニウム化合物、チタニルキレート化合物、チタニルアルコキシド化合物等の有機チタニル化合物、シランカップリング剤などの公知の結着樹脂を用いることが出来る。これらは硬化剤とともに硬化した形でも使用できる。
<ポリアミド樹脂>
本発明の下引き層は、ポリエーテル化合物を含むポリアミド樹脂を含有する。ポリアミド成分をハードセグメント、ポリエーテル化合物を重合成分としたソフトセグメントとして導入することにより共重合ポリアミド系樹脂とすることが好ましい。樹脂中の結晶領域はハードセグメントによって構成されており、ポリエーテル成分のようなソフトセグメントを導入すると球晶間の非晶領域が増加するため弾性変形率が増加すると考えられる。エントロピー弾性を示すようなソフト成分である脂肪族ポリエーテル化合物が好ましい。脂肪族ポリエーテルとしては、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のポリエーテルグリコールが挙げられる。
ハードセグメントとしては、公知のポリアミド成分を用いることができるが、例えば、ジもしくはトリカルボン酸、ラクタム化合物、アミノカルボン酸、ジアミン等から誘導される単位を重合してポリアミド成分とすることが好ましい。
前記ラクタム及び前記アミノカルボン酸としては、炭素数は、経済性、入手の容易さの観点から通常2以上、好ましくは4以上、更に好ましくは6以上である。上限は、通常20以下、好ましくは16以下、更に好ましくは12以下である。
例えば、α−ラクタム、β−ラクタム、γ−ラクタム、δ−ラクタム、ε−ラクタム(カプロラクタム)、ω−ラクタム(ラウリルラクタム、ドデカンラクタム)などのラクタム化合物、6−アミノカプロン酸、7−アミノヘプタン酸、9−アミノノナン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸などのアミノカルボン酸が挙げられる。経済性、入手の容易さの観点から、カプロラクタム、ドデカンラクタム、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸が好ましい。これらは1種又は2種以上を用いることができる。中でも単一成分(単一構造)であることが好ましい。
ラクタム及びアミノカルボン酸の成分量としては、下限は通常、全ポリアミドブロックの1mol%以上、耐水性、耐摩耗性、耐衝撃性の観点から好ましくは10mol%以上、更に好ましくは30mol%以上、特に好ましくは50mol%以上である。上限は通常、全ポリアミドブロックの100mol%以下であり、経済性、製造の容易性の観点から1
00mol%であることが好ましい。
前記ジもしくはトリカルボン酸としては、炭素数は、経済性、入手の容易さの観点から通常2以上、好ましくは3以上、更に好ましくは4以上である。上限は、通常32以下、好ましくは26以下、更に好ましくは22以下である。
例えば、シュウ酸、マロン酸、無水コハク酸、無水マレイン酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、1,16−ヘキサデカンジカルボン酸、1,18−オクタデカンジカルボン酸などの飽和脂肪族ジもしくはトリカルボン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、デセン酸、ウンデセン酸、ドデセン酸、トリデセン酸、テトラデセン酸、ペンタデセン酸、ヘキサデセン酸、ヘプタデセン酸、オクタデセン酸、ノナデセン酸、エイコセン酸などの脂肪族モノ不飽和脂肪酸、デカジエン酸、ウンデカジエン酸、ドデカジエン酸、トリデカジエン酸、テトラデカ
ジエン酸、ペンタデカジエン酸、ヘキサデカジエン酸、ヘプタデカジエン酸、オクタデカジエン酸、ノナデカジエン酸、エイコサジエン酸、及びドコサジエン酸などのジ不飽和脂肪酸、上記の直鎖状又は分岐状の不飽和脂肪酸を二量化したダイマー酸などが挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。弾性変形率向上の観点から、飽和脂肪族ジもしくはトリカルボン酸が好ましい。弾性変形率向上の観点から、直鎖状飽和脂肪族ジカルボン酸が好ましい。具体的には、合成の容易さの観点から、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸が好ましく、経済性、入手の容易さの観点から、アジピン酸が特に好ましい。これらは、複数成分を用いることができる。
ジカルボン酸の成分量としては、下限は通常、ポリアミド樹脂全体の1mol%以上、
好ましくは3mol%以上、更に好ましくは5mol%以上、特に好ましくは10mol%
以上である。上限は通常、ポリアミド樹脂全体の50mol%以下、好ましくは45mol%以下、更に好ましくは40mol%以下、特に好ましくは30mol%以下である。
ジアミンとしては、炭素数は、経済性、入手の容易さの観点から通常2以上、好ましくは4以上、更に好ましくは6以上である。上限は、通常32以下、好ましくは26以下、更に好ましくは20以下である。
例えば、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、トリデカメチレンジアミン、テトラデカメチレンジアミン、ペンタデカメチレンジアミン、ヘキサデカメチレンジアミン、ヘプタデカメチレンジアミン、オクタデカメチレンジアミン、ノナデカメチレンジアミン、エイコサメチレンジアミン等の直鎖状メチレンジアミン、2−/3−メチル−1,5−ペンタンジアミン、2−メチル−1,8−オクタンジアミン、2,2,4−/2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、5−メチル−1,9−ノナンジアミン等の分岐鎖状メチレンジアミンが挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。経済性、入手の容易さの観点から、直鎖状メチレンジアミンが好ましく、この中でもヘキサメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミンが好ましく、ヘキサメチレンジアミンが更に好ましい。
ジアミンの成分比としては、下限は通常、全ジアミン成分の0mol%以上、好ましく
は5mol%以上、更に好ましくは10mol%以上、特に好ましくは20mol%以上で
ある。上限は通常、全ジアミン成分の90mol%以下、好ましくは70mol%以下、更に好ましくは60mol%以下、特に好ましくは40mol%以下である。
ソフトセグメントとしては、ポリエーテル成分が含まれていることが好ましい。ポリエーテル成分とは、例えば、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール(PPG)、ポリテトラメチレングリコール(PTMG)などのポリC2〜6アルキレングリコール、ポリC2〜4アルキレングリコールなどが挙げられる。これらのうち、ポリエーテルブロックには、低吸水性の観点から、ポリプロピレングリコール(PPG)又はポリテトラメチレングリコール(PTMG)が含まれることが好ましく、PPGとPTMGを共に含んでいてもよい。これらは、複数成分を用いることができるが、
ソフトセグメントに含まれていてもよい他の成分としては、例えばジカルボン酸、トリカルボン酸、ポリエステル等が挙げられる。
ポリエーテルの成分量としては、接着性の観点から、下限は通常、ポリアミド樹脂全体の1mol%以上、好ましくは3mol%以上、更に好ましくは5mol%以上、特に好ま
しくは10mol%以上である。電気特性の観点から、上限は通常、ポリアミド樹脂全体
の90mol%以下、好ましくは85mol%以下、更に好ましくは80mol%以下、特
に好ましくは70mol%以下である。
また、下引き層中のポリエーテルの成分量としては、接着性の観点から、下限は通常、下引き層中の1質量%以上、好ましくは3質量%以上、更に好ましくは5質量%以上、特に好ましくは10質量%以上である。電気特性の観点から、上限は通常、下引き層中の50質量%以下、好ましくは45質量%以下、更に好ましくは40質量%以下、特に好ましくは30質量%以下である。
ポリアミド樹脂中の成分量は、下記範囲とすることが好ましい。ポリエーテル成分量は、下限は、通常5質量%以上、20質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましい。上限は、通常90質量%以下、80質量%以下が好ましい。ジアミン、ラクタム及びアミノカルボン酸の成分量は合計で、下限は、通常5質量%以上、10質量%以上が好ましく、20質量%以上がより好ましい。上限は、通常50質量%以下、30質量%以下が好ましい。トリ又はジカルボン酸成分量は合計で、下限は、通常0.5質量%以上、1質量%以上が好ましく、2質量%以上がより好ましい。上限は、通常20質量%以下、10質量%以下が好ましい。
前記ポリアミド樹脂のアミノ基濃度は、特に制限されないが、下限は通常10mmol
/kg以上である。接着性の観点から好ましくは15mmol/kg以上、更に好ましく
は20mmol/kg以上である。上限は、通常300mmol/kg以下、電気特性の観点から好ましくは280mmol/kg以下、更に好ましくは250mmol/kg以下である。
前記ポリアミド樹脂のカルボキシル基濃度は、特に制限されないが、下限は通常10mmol/kg以上であり、熱安定性が高く、長期安定性の観点から好ましくは15mmol/kg以上、更に好ましくは20mmol/kg以上である。上限は、通常300mmol/kg以下であり、電気特性の観点から好ましくは280mmol/kg以下、更に好ま
しくは250mmol/kg以下である。
前記ポリアミド樹脂の数平均分子量は、下限は、通常5000以上であり、下引き層の膜厚の均一性の観点から好ましくは6000以上、更に好ましくは7000以上である。上限は、通常200000以下であり、樹脂の溶剤に対する可溶性の観点から、好ましくは100000以下、更に好ましくは70000以下である。
なお、数平均分子量は、HFIP(ヘキサフルオロイソプロパノール)を溶媒とし、ゲルパーミエーションクロマトグラフィにより、ポリメタクリル酸メチル換算で測定できる。
前記ポリアミド樹脂のアミド結合含有量は、前記ポリアミド樹脂当たり、100ユニット以下の範囲から選択でき、耐リーク性の点から、下限は、通常30ユニット以上であり、熱溶着性、相溶性の観点から好ましくは40ユニット以上、更に好ましくは50以上である。上限は、通常90ユニット以下であり、吸水性の観点から好ましくは80ユニット以下、更に好ましくは70ユニット以下である。なお、アミド結合含有量は、例えば、数平均分子量を繰り返し単位(1ユニット)の分子量で除することにより、算出できる。
前記ポリアミド樹脂は、非晶性であってもよく、結晶性を有していてもよい。共重合ポリアミド系樹脂の結晶化度は、20%以下、好ましくは10%以下である。なお、結晶化度は、慣用の方法、例えば、密度や融解熱に基づく測定法、X線回折法、赤外吸収法などにより測定できる。
前記ポリアミド樹脂の融点又は軟化点は、下限は、通常75℃以上であり、電子写真感光体の乾燥最低温度の観点から好ましくは90℃以上、更に好ましくは100℃以上である。上限は、通常160℃以下であり、電子写真感光体の乾燥最高温度の観点から好まし
くは140℃以下、更に好ましくは130℃以下である。前記ポリアミド樹脂の融点は、各成分が相溶し、示差走査熱量計(DSC)で単一のピークが生じる場合、単一のピークに対応する温度を意味する。各成分が非相溶であり、DSCで複数のピークが生じる場合、複数のピークのうち高温側のピークに対応する温度が前記ポリアミド樹脂の融点を意味するものである。熱溶融性は、示差走査熱量計により軟化温度として測定でき、結晶性の前記ポリアミド樹脂の融点は、示差走査熱量計により測定できる。
前記ポリアミド樹脂の製造方法としては、特に制限は無く、特開2010−222396や特開平9−230673に開示されているような公知の方法を用いることができるが、例えば、アミノカルボン酸及びジカルボン酸を、窒素雰囲気下、加熱しながら攪拌し、重合することにより、ポリアミドのオリゴマーを合成し、このオリゴマーにポリエーテル、触媒及び酸化防止剤を仕込み、窒素雰囲気下、加熱しながら攪拌し、重合することで得られる。
<感光層>
感光層は、ポリアリレート樹脂を含有し、上述の下引き層上に形成される。感光層の形式としては、電荷発生物質と電荷輸送物質(本発明の電荷輸送物質を含む)とが同一層に存在し、それらがバインダー樹脂中に分散された単層構造のもの(以下適宜、「単層型感光層」という。)と、電荷発生物質がバインダー樹脂中に分散された電荷発生層及び電荷輸送物質がバインダー樹脂中に分散された電荷輸送層を含む、二層以上の層からなる積層構造の機能分離型のもの(以下適宜、「積層型感光層」という)が挙げられるが、何れの形態であってもよい。
また、積層型感光層としては、導電性支持体側から電荷発生層、電荷輸送層をこの順に積層して設ける順積層型感光層と、逆に導電性支持体側から電荷輸送層、電荷発生層の順に積層して設ける逆積層型感光層とがあり、いずれを採用することも可能であるが、最もバランスの取れた光導電性を発揮できる順積層型感光層が好ましい。
<機能分離型感光層>
<電荷発生層>
積層型感光層(機能分離型感光層)の電荷発生層は、電荷発生材料を含有すると共に、通常はバインダー樹脂と、必要に応じて使用されるその他の成分とを含有する。このような電荷発生層は、例えば、電荷発生材料の微粒子及びバインダー樹脂を溶媒又は分散媒に溶解又は分散して塗布液を作製し、これを順積層型感光層の場合には導電性支持体上に(下引き層を設ける場合は下引き層上に)、また、逆積層型感光層の場合には電荷輸送層上に塗布、乾燥して得ることができる。
<電荷発生物質>
電荷発生物質は単独として用いてもよいし、又はいくつかの染顔料との混合状態で用いてもよい。電荷発生物質としては、セレニウム及びその合金、硫化カドミウム等の無機系光導電材料と、有機顔料等の有機系光導電材料とが挙げられるが、有機系光導電材料の方が好ましく、中でも特に有機顔料が好ましい。有機顔料としては、例えば、フタロシアニン顔料、アゾ顔料、ジチオケトピロロピロール顔料、スクアレン(スクアリリウム)顔料、キナクリドン顔料、インジゴ顔料、ペリレン顔料、多環キノン顔料、アントアントロン顔料、ベンズイミダゾール顔料等が挙げられる。これらの中でも、混合状態として用いる染顔料としては、光感度の面から、特にフタロシアニン顔料又はアゾ顔料が好ましい。電荷発生物質として有機顔料を使用する場合、通常はこれらの有機顔料の微粒子を、各種のバインダー樹脂で結着した分散層の形で使用する。
電荷発生物質としてフタロシアニン顔料を用いる場合、具体的には、無金属フタロシア
ニン及び金属含有フタロシアニンが使用される。金属含有フタロシアニンの具体的な例としては、銅、インジウム、ガリウム、錫、チタン、亜鉛、バナジウム、シリコン、ゲルマニウム等の金属、又はその酸化物、ハロゲン化物、水酸化物、アルコキシド等の配位したフタロシアニン類の各種結晶型が使用される。特に、感度の高い結晶型であるA型(別称β型)、B型(別称α型)、D型(別称Y型)等のチタニルフタロシアニン(別称:オキシチタニウムフタロシアニン)、バナジルフタロシアニン、クロロインジウムフタロシアニン、II型等のクロロガリウムフタロシアニン、V型等のヒドロキシガリウムフタロシアニン、G型,I型等のμ−オキソ−ガリウムフタロシアニン二量体、II型等のμ−オキソ−アルミニウムフタロシアニン二量体が好適である。
なお、これらのフタロシアニンのうち、A型(β型)、B型(α型)、D型(Y型)オキシチタニウムフタロシアニン、II型クロロガリウムフタロシアニン、V型ヒドロキシガリウムフタロシアニン、G型μ−オキソ−ガリウムフタロシアニン二量体等が特に好ましい。特に、オキシチタニウムフタロシアニンは、CuKα特性X線による粉末X線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角(2θ±0.2°)27.2°に主たる明瞭な回折ピークを有するものが好ましい。
また、該オキシチタニウムフタロシアニンは、CuKα特性X線による粉末X線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角(2θ±0.2°)9.0°〜9.7°に、明瞭な回折ピークを有することが好ましく、電子写真感光体特性に面から、9.6°、24.1°、27.2°、又は9.5°、9.7°、24.1°、27.2°に主たる回折ピークを有することが好ましく、分散時の安定性の面からは26.2°付近にはピークを有さないことが好ましい。上述したオキシチタニウムフタロシアニンのなかでも、7.3°、9.6°、11.6°、14.2°、18.0°、24.1°及び27.2°、又は7.3°、9.5°、9.7°、11.6°、14.2°、18.0°、24.2°及び27.2°に主たる回折ピークを有することがより好ましい。
電荷発生物質として、無金属フタロシアニン化合物、又は金属含有フタロシアニン化合物を用いた場合は比較的長波長のレーザー光、例えば、780nm近辺の波長を有するレーザー光に対して高感度の感光体が得られる。また、モノアゾ、ジアゾ、トリスアゾ等のアゾ顔料を用いた場合には、白色光、又は660nm近辺の波長を有するレーザー光、もしくは比較的短波長のレーザー光(例えば、380nm〜500nmの範囲の波長を有するレーザー光)に対して十分な感度を有する感光体を得ることができる。
フタロシアニン化合物は単一の化合物のものを用いてもよいし、幾つかの混合又は混晶状態のものを用いてもよい。ここでのフタロシアニン化合物ないしは結晶状態における混合状態としては、それぞれの構成要素を後から混合したものを用いてもよいし、合成、顔料化、結晶化等のフタロシアニン化合物の製造・処理工程において混合状態を生じさせたものでもよい。このような処理としては、酸ペースト処理・磨砕処理・溶剤処理等が知られている。混晶状態を生じさせるためには、特開平10−48859号公報記載のように、2種類の結晶を混合後に機械的に磨砕、不定形化した後に、溶剤処理によって特定の結晶状態に変換する方法が挙げられる。
一方、電荷発生材料としてアゾ顔料を使用する場合には、光入力用光源に対して感度を有するものであれば従前公知の各種のアゾ顔料を使用することが可能であるが、各種のビスアゾ顔料、トリスアゾ顔料が好適に用いられる。好ましいアゾ顔料の例を下記に示す。
Figure 2014044417
電荷発生物質として、上記例示の有機顔料を用いる場合には、1種を単独で用いてもよいが、2種類以上の顔料を混合して用いてもよい。この場合、可視域と近赤域の異なるスペクトル領域で分光感度特性を有する2種類以上の電荷発生物質を組み合わせて用いることが好ましく、中でもジスアゾ顔料、トリスアゾ顔料とフタロシアニン顔料とを組み合わせて用いることがより好ましい。
機能分離型感光体における電荷発生層に用いられる結着樹脂の例としては、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ブチラールの一部がホルマールや、アセタール等で変性された部分アセタール化ポリビニルブチラール樹脂等のポリビニルアセタール系樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、変性エーテル系ポリエステル樹脂、フェノキシ樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリビニルピリジン樹脂、セルロース系樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂、カゼインや、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ヒドロキシ変性塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、カルボキシル変性塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体等の塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体、スチレ
ン−ブタジエン共重合体、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−アルキッド樹脂、シリコーン−アルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂等の絶縁性樹脂や、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリビニルアントラセン、ポリビニルペリレン等の有機光導電性ポリマーの中から選択し、用いることが出来るが、これらポリマーに限定されるものではない。また、これら結着樹脂は単独で用いても、2種類以上を混合して用いてもよい。
機能分離型感光体における電荷発生層は、具体的に、上述のバインダー樹脂を有機溶剤に、電荷発生物質を分散させて塗布液を調整し、これを導電性支持体上に(下引き層を設ける場合は下引き層上に)塗布することにより形成される。
バインダー樹脂を溶解させ、塗布液の作製に用いられる溶媒、分散媒としては例えば、ペンタン、ヘキサン、オクタン、ノナン等の飽和脂肪族系溶媒、トルエン、キシレン、アニソール等の芳香族系溶媒、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、クロロナフタレン等のハロゲン化芳香族系溶媒、ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン等のアミド系溶媒、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール等のアルコール系溶媒、グリセリン、ポリエチレングリコール等の脂肪族多価アルコール類、アセトン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン等の鎖状、及び環状ケトン系溶媒、ギ酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル等のエステル系溶媒、塩化メチレン、クロロホルム、1,2―ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素系溶媒、ジエチルエーテル、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ等の鎖状、及び環状エーテル系溶媒、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、スルフォラン、ヘキサメチルリン酸トリアミド等の非プロトン性極性溶媒、n−ブチルアミン、イソプロパノールアミン、ジエチルアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン、トリエチレンジアミン、トリエチルアミン等の含窒素化合物、リグロイン等の鉱油、水などが挙げられ、前述の下引き層を溶解しないものが好ましく用いられる。またこれらは単独、又は2種以上を併用しても用いることが可能である。
機能分離型感光体の電荷発生層において、前記結着樹脂と電荷発生物質との配合比(質量)は、バインダー樹脂100質量部に対して10から1000質量部、好ましくは30から500質量部の範囲であり、その膜厚は通常0.1μmから10μm、好ましくは0.15μmから0.6μmである。電荷発生物質の比率が高過ぎると、電荷発生物質の凝集等により塗布液の安定性が低下する虞がある。一方、電荷発生物質の比率が低過ぎると、感光体としての感度の低下を招く虞がある。
前記電荷発生物質を分散させる方法としては、ボールミル分散法、アトライター分散法、サンドミル分散法等の公知の分散方法を用いることが出来る。この際粒子を0.5μm以下、好ましくは0.3μm以下、より好ましくは0.15μm以下の粒子サイズに微細化することが有効である。
<電荷輸送層>
<バインダー樹脂>
電荷発生層と電荷輸送層を有する機能分離型感光体の電荷輸送層、及び単層型感光体の感光層形成の際は、膜強度確保のためバインダー樹脂が使用される。機能分離型感光体の電荷輸送層の場合、電荷輸送物質と各種バインダー樹脂とを溶剤に溶解、あるいは分散して得られる塗布液、また、単層型感光体の場合、電荷発生物質と電荷輸送物質と各種バインダー樹脂を溶剤に溶解、あるいは分散して得られる塗布液を塗布、乾燥して得ることが出来る。バインダー樹脂としては、例えばブタジエン樹脂、スチレン樹脂、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル樹脂、アクリル酸エステル樹脂、メタクリル酸エステル樹脂、ビニルアルコール樹脂、エチルビニルエーテル等のビニル化合物の重合体及び共重合体、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、部分変性ポリビニルアセタール、ポリカー
ボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、セルロースエステル樹脂、フェノキシ樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン−アルキッド樹脂、ポリ−N−ビニルカルバゾール樹脂等があげられる。これら樹脂は珪素試薬などで修飾されていてもよい。上記バインダー樹脂のうち、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂が特に好ましい。
なお、これらは適当な硬化剤を用いて熱、光等により架橋させて用いることもできる。また、バインダー樹脂は2種類以上ブレンドして用いることもできる。ポリカーボネート樹脂及びポリアリレート樹脂の粘度平均分子量は、特に限定されないが、通常、10,000以上、好ましくは15,000以上、更に好ましくは20,000以上であり、但し、通常、300,000以下、好ましくは200,000以下、より好ましくは100,000以下である。粘度平均分子量が過度に小さいと、感光層の機械的強度が低下し実用的ではない。また、粘度平均分子量が過度に大きいと、感光層を適当な膜厚に塗布形成する事が困難である。
<ポリカーボネート樹脂>
ポリカーボネート樹脂に好適に用いる事の出来るビスフェノール、ビフェノールの構造を以下に例示する。本例示は、本発明の趣旨に反しない限りは例示される構造に限定されるものではない。
Figure 2014044417
<ポリアリレート樹脂>
本発明の電子写真感光体の感光層にはポリアリレート樹脂が含まれる。感光層にポリアリレート樹脂が含まれると、耐刷性、クリーニング性、フィルミングなどに優れた性能を示す。しかし、感光層と下引き層との接着性が低下する傾向にあり、この接着性が悪化すると、下引き層から感光層が浮き上がるような現象が起き、電気特性を悪化させる要因となる虞がある。これはポリアリレート樹脂と下引き層に用いられる樹脂との分子間相互作用が比較的小さいためと推測される。そのため感光層と下引き層との接着性を良好に保つことが、ポリアリレート樹脂を感光層に使用する上で重要となる場合がある。
以下に本発明に用いることのできるポリアリレート樹脂を例示する。本例示は、本発明の趣旨を明確にするために行うものであり、本発明の趣旨に反しない限りは例示される構造に限定されるものではない。
感光層に含まれるポリアリレート樹脂は、例えば、下記一般式[1]で表される繰り返し
構造を含むものであり、公知の方法により、例えば二価ヒドロキシアリール成分とジカルボン酸成分とにより製造することができる。
Figure 2014044417
一般式[1]中、Ar〜Arはそれぞれ同一でも異なっていてもよく、それぞれ独立に置換基を有していてもよいアリーレン基を表す。前記アリーレン基としては、特に限定はされないが、炭素数6〜20のアリーレン基が好ましく、例えば、フェニレン基、ナフチレン基、アントリレン基、フェナントリレン基、ピレニレン基が挙げられる。中でも、製造コストの面から、フェニレン基とナフチレン基が特に好ましい。また、フェニレン基とナフチレン基を比較した場合、製造コストの面に加えて合成のし易さの面で、フェニレン基がより好ましい。但し、式[1]中、k = 0の場合、ArとArが同時に無置
換のアリーレン基の場合、感光層の接着性が悪いことから、ArとArのうちいずれか一方は置換基を有するアリーレン基である。
前記アリーレン基にそれぞれ独立に有していても良い置換基については特に限定されないが、例えば、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、縮合多環基、ハロゲン基を好ましく挙げることができる。感光層用バインダー樹脂としての機械的特性と感光層形成用塗布液に対する溶解性を勘案すれば、アリール基としてフェニル基、ナフチル基が好ましく、ハロゲン基としてフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が好ましく、アルコキシ基としてメトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基が好ましく、アルキル基としては、炭素数1〜10のアルキル基が好ましく、炭素数1〜8のアルキル基が更に好ましく、炭素数1〜2のアルキル基が特に好ましく、具体的にはメチル基が最も好ましい。Ar〜Arそれぞれの置換基の数に特に制限は無いが、3個以下であることが好ましく、2個以下であることがより好ましく、1個以下であることが特に好ましい。
更に、一般式[1]中、ArとArは同じ置換基を有する同じアリーレン基であることが好ましく、無置換のフェニレン基であることが特に好ましい。また、ArとArも同じアリーレン基であることが好ましく、メチル基を有するフェニレン基であることが特に好ましい。
一般式[1]中、Xは、単結合、酸素原子、硫黄原子、式[2]で表される構造、又は式[3]で表される構造を有する2価の有機残基を示す。式[2]中のR及びRは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、若しくはアリール基、又はRとRとが結合して形成されるシクロアルキリデン基を示す。式[2]中のR及びRのアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などが挙げられ、アリール基としては、フェニル基、ナフチル基などが挙げられる。また、式[2]中のRとRとが結合して形成されるシクロアルキリデン基としては、シクロペンチリデン基、シクロヘキシリデン基、シクロヘプチリデン基などが挙げられる。更に、式[3]中のRは、アルキレン基、アリーレン基、又は式[4]で表される基を示す。式[3]中のRのアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基などが挙げられ、式[3]中のRのアリーレン基としては、フェニレン基、テルフェニレン基などが挙げられ、式[4]で表される基としては、下記式[6]で表される基などが挙げられる。これらのなかでも、耐磨耗性の観点から、Xは、酸素原子であることが好ましい。
Figure 2014044417
一般式[1]中、kは0〜5の整数であるが、好ましくは0〜1の整数であり、耐磨耗性の観点から1であることが最も好ましい。
一般式[1]中、Yは、単結合、硫黄原子、酸素原子、又は式[5]で表される構造を有する2価の有機残基を示す。式[5]中のR及びRは、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、又はRとRとが結合して形成されるシクロアルキリデン基を表す。感光層用バインダー樹脂としての機械的特性と感光層形成用塗布液に対する溶解性を勘案すれば、アリール基として、フェニル基、ナフチル基が好ましく、アルコキシ基として、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基が好ましい。また、アルキル基としては、炭素数が1〜10のアルキル基が好ましく、更に好ましくは炭素数が1〜8であり、特に好ましくは炭素数が1〜2である。ポリアリレート樹脂を製造する際に用いる二価ヒドロキシアリール成分の製造の簡便性を勘案すれば、Yとして、単結合、−O−、−S−、−CH−、−CH(CH)−、−C(CH−、シクロヘキシリデンが好ましく、より好ましくは、−CH−、−CH(CH)−、−C(CH−、シクロヘキシリデンであり、特に好ましくは−CH−、−CH(CH)−である。
Figure 2014044417
本発明においては、前記ポリアリレート樹脂として、下記一般式[7]で表される繰り返し構造を含むポリアリレート樹脂であることが好ましい。下記一般式[7]中、Ar16〜Ar19はそれぞれ独立に置換基を有していてもよいアリーレン基を表し、Rは水素原子又はアルキル基を表す。
Figure 2014044417
上記一般式[7]中、Ar16〜Ar19は上記Ar〜Arにそれぞれ対応するものであり、特に好ましくは、それぞれ置換基を有していてもよいフェニレン基である。また、好ましい置換基としては、水素原子又はアルキル基であり、特に好ましくはメチル基である。更に、一般式[7]中、Ar18とAr19はメチル基を有する同じフェニレン基であり、Ar16とAr17は置換基を有さないフェニレン基であることが特に好ましい。また、Rは、水素原子又はアルキル基を表すが、該アルキル基は、好ましくは炭素数が1〜10であり、更に好ましくは炭素数が1〜8であり、特に好ましくはメチル基である。
上記ポリアリレート樹脂の中の二価ヒドロキシアリール残基となる二価ヒドロキシアリール成分は、下記一般式[8]で表されるが、好ましくは下記一般式[9]で表される。
Figure 2014044417
一般式[8]中のAr、Ar及びYは、既述のとおりである。
Figure 2014044417
一般式[9]中のAr18及びAr19は、独立に置換基を有していてもよいフェニレン基を表し、Rは水素原子又はメチル基を表す。
具体的には、一般式[9]中のRが水素原子の場合、ビス(2−ヒドロキシフェニル)メタン、(2−ヒドロキシフェニル)(3−ヒドロキシフェニル)メタン、(2−ヒドロキシフェニル)(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(3−ヒドロキシフェニル)メタン、(3−ヒドロキシフェニル)(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(2−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)メタン、ビス(2−ヒドロキシ−3−エチルフェニル)メタン、(2−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)(3−ヒドロキシ−4−メチルフェニル)メタン、(2−ヒドロキシ−3−エチルフェニル)(3−ヒドロキシ−4−エチルフェニル)メタン、(2−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)メタン、(2−ヒドロキシ−3−エチルフェニル)(4−ヒドロキシ−3−エチルフェニル)メタン、ビス(3−ヒドロキ
シ−4−メチルフェニル)メタン、ビス(3−ヒドロキシ−4−エチルフェニル)メタン、(3−ヒドロキシ−4−メチルフェニル)(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)メタン、(3−ヒドロキシ−4−エチルフェニル)(4−ヒドロキシ−3−エチルフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシ−3−エチルフェニル)メタンが挙げられる。また、Rがメチル基の場合は、1,1−ビス(2−ヒドロキシフェニル)エタン、1−(2−ヒドロキシフェニル)−1−(3−ヒドロキシフェニル)エタン、1−(2−ヒドロキシフェニル)−1−(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(3−ヒドロキシフェニル)エタン、1−(3−ヒドロキシフェニル)−1−(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(2−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)エタン、1,1−ビス(2−ヒドロキシ−3−エチルフェニル)エタン、1−(2−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−1−(3−ヒドロキシ−4−メチルフェニル)エタン、1−(2−ヒドロキシ−3−エチルフェニル)−1−(3−ヒドロキシ−4−エチルフェニル)エタン、1−(2−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−1−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)エタン、1−(2−ヒドロキシ−3−エチルフェニル)−1−(4−ヒドロキシ−3−エチルフェニル)エタン、1,1−ビス(3−ヒドロキシ−4−メチルフェニル)エタン、1,1−ビス(3−ヒドロキシ−4−エチルフェニル)エタン、1−(3−ヒドロキシ−4−メチルフェニル)−1−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)エタン、1−(3−ヒドロキシ−4−エチルフェニル)−1−(4−ヒドロキシ−3−エチルフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−エチルフェニル)エタンが挙げられる。
このなかでも、一般式[9]中のRが水素原子の場合には、二価ヒドロキシアリール成分の製造の簡便性を考慮すれば、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、(2−ヒドロキシフェニル)(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(2−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシ−3−エチルフェニル)メタンが特に好ましく、これらの二価ヒドロキシアリール成分を複数組み合わせて用いることも可能である。
また、一般式[9]中のRがメチル基の場合には、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1−(2−ヒドロキシフェニル)−1−(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(2−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−エチルフェニル)エタンが特に好ましく、これらの二価ヒドロキシアリール成分を複数組み合わせて用いることも可能である。
一般式[8]に一般式[9]は含まれるが、以下に、上記一般式[9]の例示以外の一般式[8]の化合物についても説明する。
一般式[8]で表される二価ヒドロキシアリール成分の具体例としては、3,3',5
,5'−テトラメチル−4,4'−ジヒドロキシビフェニル、2,4,3',5'−テトラメチル−3,4'−ジヒドロキシビフェニル、2,2',4,4'−テトラメチル−3,3'−ジヒドロキシビフェニル、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)エーテル、(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)(3−ヒドロキシ−2,4−ジメチルフェニル)エーテル、ビス(3−ヒドロキシ−2,4−ジメチルフェニル)エーテル、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)メタン、(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)(3−ヒドロキシ−2,4−ジメチルフェニル)メタン、ビス(3−ヒドロキシ−2,4−ジメチルフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)エタン、1−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−1−(3−ヒドロキシ−2,4−ジメチルフェニル)エタン、1,1−ビス(3−ヒドロキシ−2,4−ジメチルフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジ
メチルフェニル)プロパン、2−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−2−(3−ヒドロキシ−2,4−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−ヒドロキシ−2,4−ジメチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)シクロヘキサン、1−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−1−(3−ヒドロキシ−2,4−ジメチルフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(3−ヒドロキシ−2,4−ジメチルフェニル)シクロヘキサンが挙げられ、好ましくは、3,3',5,5'−テトラメチル−4,4'−ジヒドロキシビフェニル、ビス(4−ヒド
ロキシ−3,5−ジメチルフェニル)エーテル、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)シクロヘキサンである。あるいは、ビス(2−ヒドロキシフェニル)エーテル、(2−ヒドロキシフェニル)(3−ヒドロキシフェニル)エーテル、(2−ヒドロキシフェニル)(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(3−ヒドロキシフェニル)エーテル、(3−ヒドロキシフェニル)(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(2−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)エーテル、ビス(2−ヒドロキシ−3−エチルフェニル)エーテル、(2−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)(3−ヒドロキシ−4−メチルフェニル)エーテル、(2−ヒドロキシ−3−エチルフェニル)(3−ヒドロキシ−4−エチルフェニル)エーテル、(2−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)エーテル、(2−ヒドロキシ−3−エチルフェニル)(4−ヒドロキシ−3−エチルフェニル)エーテル、ビス(3−ヒドロキシ−4−メチルフェニル)エーテル、ビス(3−ヒドロキシ−4−エチルフェニル)エーテル、(3−ヒドロキシ−4−メチルフェニル)(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)エーテル、(3−ヒドロキシ−4−エチルフェニル)(4−ヒドロキシ−3−エチルフェニル)エーテル、ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)エーテル、ビス(4−ヒドロキシ−3−エチルフェニル)エーテル、更には、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、(2−ヒドロキシフェニル)(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(2−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ケトン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)シクロヘキサン、ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)エーテル、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)シクロヘキサン、ビス(4−ヒドロキシ−2,3,5−トリメチルフェニル)フェニルメタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−2,3,5−トリメチルフェニル)フェニルエタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルメタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルプロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メトキシメタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−メトキシエタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−メトキシプロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジメトキシメタン、等が挙げられる。
この中でも、二価ヒドロキシアリール成分の製造の簡便性を考慮すれば、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)メタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)シクロヘキサン、あるいは、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、(2−ヒ
ドロキシフェニル)(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(2−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)エーテル、ビス(4−ヒドロキシ−3−エチルフェニル)エーテルが特に好ましく、これらの二価ヒドロキシアリール成分を複数組み合わせて用いることも可能である。
上記ポリアリレート樹脂の中のジカルボン酸残基であるジカルボン酸成分は、下記一般式[10]で表される。
Figure 2014044417
一般式[10]中のAr、Ar、X、及びkは既述の通りであり、式[10]に含まれるジカルボン酸残基として、下記一般式[I]〜[VI]で表される構造を例示することができ、好ましくは下記一般式[11]で表される。
Figure 2014044417
一般式[11]中のAr16及びAr17も既述の通りであるが、好ましくは置換基を有していてもよいフェニレン基である。
好ましいジカルボン酸残基の具体的としては、ジフェニルエーテル−2,2'−ジカル
ボン酸残基、ジフェニルエーテル−2,3'−ジカルボン酸残基、ジフェニルエーテル−
2,4'−ジカルボン酸残基、ジフェニルエーテル−3,3'−ジカルボン酸残基、ジフェニルエーテル−3,4'−ジカルボン酸残基、ジフェニルエーテル−4,4'−ジカルボン酸残基等が挙げられる。これらの中でも、ジカルボン酸成分の製造の簡便性を考慮すれば、ジフェニルエーテル−2,2'−ジカルボン酸残基、ジフェニルエーテル−2,4'−ジカルボン酸残基、ジフェニルエーテル−4,4'−ジカルボン酸残基がより好ましく、ジ
フェニルエーテル−4,4'−ジカルボン酸残基が特に好ましい。
上記ポリアリレート樹脂は、他のジカルボン酸成分を含み、構造の一部に一般式[1]を内包する樹脂でもよい。その他のジカルボン酸残基の具体例としては、アジピン酸残基、スベリン酸残基、セバシン酸残基、フタル酸残基、イソフタル酸残基、テレフタル酸残基、トルエン−2,5−ジカルボン酸残基、p−キシレン−2,5−ジカルボン酸残基、ピリジン−2,3−ジカルボン酸残基、ピリジン−2,4−ジカルボン酸残基、ピリジン−2,5−ジカルボン酸残基、ピリジン−2,6−ジカルボン酸残基、ピリジン−3,4−ジカルボン酸残基、ピリジン−3,5−ジカルボン酸残基、ナフタレン−1,4−ジカルボン酸残基、ナフタレン−2,3−ジカルボン酸残基、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸残基、ビフェニル−2,2'−ジカルボン酸残基、ビフェニル−4,4'−ジカルボン酸残基が挙げられ、好ましくは、アジピン酸残基、セバシン酸残基、フタル酸残基、イソフタル酸残基、テレフタル酸残基、ナフタレン−1,4−ジカルボン酸残基、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸残基、ビフェニル−2,2'−ジカルボン酸残基、ビフェニル−
4,4'−ジカルボン酸残基であり、特に好ましくは、イソフタル酸残基、テレフタル酸
残基であり、これらのジカルボン酸残基を複数組み合わせて用いることも可能である。
なお、本発明を構成するジカルボン酸残基と上述した他のジカルボン酸残基とを有する場合、本発明を構成するジカルボン酸残基が、繰り返しユニットの個数として70%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましく、90%以上であることが特に好ましい。最も好ましくは、本発明を構成するジカルボン酸残基のみを有する場合、すなわち、本発明を構成するジカルボン酸残基が、繰り返しユニットの個数として100%である場合である。
<電荷輸送物質>
電荷輸送物質としては特に限定されず、任意の物質を用いることが可能である。公知の電荷輸送物質の例としては、2,4,7−トリニトロフルオレノン等の芳香族ニトロ化合物、テトラシアノキノジメタン等のシアノ化合物、ジフェノキノン等のキノン化合物等の電子吸引性物質、カルバゾール誘導体、インドール誘導体、イミダゾール誘導体、オキサゾール誘導体、ピラゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、ベンゾフラン誘導体等の複素環化合物、アニリン誘導体、ヒドラゾン誘導体、芳香族アミン誘導体、スチルベン誘導体、ブタジエン誘導体、エナミン誘導体、及びこれらの化合物の複数種が結合したもの、あるいはこれらの化合物からなる基を主鎖又は側鎖に有する重合体等の電子供与性物質等が挙げられる。これらの中でも、カルバゾール誘導体、芳香族アミン誘導体、スチルベン誘導体、ブタジエン誘導体、エナミン誘導体、及びこれらの化合物の複数種が結合したものが好ましい。これらの電荷輸送物質は、何れか1種を単独で用いても良く、2種以上を任意の組み合わせで併用しても良い。電荷輸送物質の割合は、通常バインダー樹脂に対して、10質量%以上であり、電子写真感光体の光減衰特性の面から、好ましくは30質量%以上であり、電子写真感光体の高速応答性の面から、より好ましくは40質量%以上であり、特に好ましくは50質量%以上である。耐刷性の観点から、好ましくは130質量%以下であり、より好ましくは100質量%以下であり、特に好ましくは80質量%以下である。
電荷輸送物質の好適な具体例を以下に示す。下記の化合物において、Rは同一でも、それぞれ異なっていてもよい。具体的には、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、フェニル基、アリールアルキル等が好ましい。特に好ましくは、メチル基、エチル基又はベンジル基である。また、nは0以上2以下の整数である。
なお、以下の例示物は、電荷輸送物質の具体例であり、その他の電荷輸送物質は以下のものに限定されない。
Figure 2014044417
Figure 2014044417
Figure 2014044417
バインダー樹脂と電荷輸送物質の割合は、単層型、積層型共に、通常、バインダー樹脂100質量部に対して20質量部以上、残留電位低減の観点から30質量部以上が好ましく、更に繰り返し使用時の安定性、電荷移動度の観点から、40質量部がより好ましい。また、一方で感光層の熱安定性の観点から、通常は150質量部以下、更に電荷輸送物質とバインダー樹脂の相溶性の観点からは好ましくは120質量部以下、更に耐刷性の観点からは100質量部以下がより好ましく、耐傷性の観点からは80質量部以下がとりわけ好ましい。
積層型感光体の場合、電荷輸送層の膜厚は特に制限されないが、長寿命、画像安定性の観点、更には高解像度の観点から、通常5μm以上、好ましくは10μm以上、一方、通常50μm以下、好ましくは45μm以下、更に好ましくは30μm以下の範囲とする。
<単層型感光層>
単層型感光層は、電荷発生物質と電荷輸送物質に加えて、機能分離型感光体の電荷輸送層と同様に、バインダー樹脂を使用して形成する。具体的には、電荷発生物質と電荷輸送物質と各種バインダー樹脂とを溶剤に溶解又は分散して塗布液を作成し、導電性支持体上(下引き層を設ける場合は下引き層上)に塗布、乾燥して得ることが出来る。
電荷輸送物質及びバインダー樹脂の種類並びにこれらの使用比率は、積層型感光体の電荷輸送層について説明したものと同様である。これらの電荷輸送物質及びバインダー樹脂からなる電荷輸送媒体中に、更に電荷発生物質が分散される。
電荷発生物質は、積層型感光体の電荷発生層について説明したものと同様のものが使用できる。但し、単層型感光体の感光層の場合、電荷発生物質の粒子径を十分に小さくする必要がある。具体的には、通常1μm以下、好ましくは0.5μm以下の範囲とする。
単層型感光層内に分散される電荷発生物質の量は、少な過ぎると十分な感度が得られない一方で、多過ぎると帯電性の低下、感度の低下等の弊害があることから、単層型感光層全体に対して、通常0.5質量%以上、好ましくは1質量%以上、また、通常50質量%以下、好ましくは20質量%以下の範囲で使用される。
また、単層型感光層におけるバインダー樹脂と電荷発生物質との使用比率は、バインダー樹脂100質量部に対して電荷発生物質が通常0.1質量部以上、好ましくは1質量部以上、また、通常30質量部以下、好ましくは10質量部以下の範囲とする。
単層型感光層の膜厚は、通常5μm以上、好ましくは10μm以上、また、通常100μm以下、好ましくは50μm以下の範囲である。
なお、積層型感光体、単層型感光体ともに、感光層又はそれを構成する各層には、成膜性、可撓性、塗布性、耐汚染性、耐ガス性、耐光性などを向上させる目的で、周知の酸化防止剤、可塑剤、紫外線吸収剤、電子吸引性化合物、レベリング剤、可視光遮光剤などを含有させてもよい。
<その他の機能層>
積層型、あるいは単層型感光体では、その最表層に、感光層の損耗を防止し、帯電器等からの発生する放電物質等による感光層の劣化を防止・軽減する目的で保護層を設けてもよい。保護層は導電性材料を適当な結着樹脂中に含有させて形成するか、特開平9−190004号公報、特開平10−252377号公報の記載のようなトリフェニルアミン骨格等の電荷輸送能を有する化合物を用いた共重合体を用いることが出来る。
保護層に用いる導電性材料としては、TPD(N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス−(m−トリル)ベンジジン)等の芳香族アミノ化合物、酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化錫、酸化チタン、酸化錫−酸化アンチモン、酸化アルミ、酸化亜鉛等の金属酸化物などを用いることが可能であるが、これに限定されるものではない。
保護層に用いる結着樹脂としてはポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリケトン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルケトン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、シロキサン樹脂等の公知の樹脂を用いることができ、また、特開平9−190004号公報記載のようなトリフェニルアミン骨格等の電荷輸送能を有する骨格と上記樹脂の共重合体を用いることも出来る。
保護層の電気抵抗は、通常10Ω・cm以上、1014Ω・cm以下の範囲とする。電気抵抗が該範囲より高くなると、残留電位が上昇しカブリの多い画像となってしまう一
方、前記範囲より低くなると、画像のボケ、解像度の低下が生じてしまう。また、保護層は像露光の際に照射される光の透過を実質上妨げないように構成されなければならない。
また、感光体表面の摩擦抵抗や、摩耗を低減、トナーの感光体から転写ベルト、紙への転写効率を高める等の目的で、表面層にフッ素系樹脂、シリコーン樹脂、ポリエチレン樹脂等、又はこれらの樹脂からなる粒子や無機化合物の粒子を含有させても良い。或いは、これらの樹脂や粒子を含む層を新たに表面層として形成しても良い。
<各層の形成方法>
上記した感光体を構成する各層は、含有させる物質を溶剤に溶解又は分散させて得られた塗布液を、導電性支持体上に浸漬塗布、スプレー塗布、ノズル塗布、バーコート、ロールコート、ブレード塗布等の公知の方法により、各層ごとに順次塗布・乾燥工程を繰り返すことにより形成される。
塗布液の作製に用いられる溶媒又は分散媒に特に制限は無いが、具体例としては、メタノール、エタノール、プロパノール、2−メトキシエタノール等のアルコール類、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジメトキシエタン等のエーテル類、ギ酸メチル、酢酸エチル等のエステル類、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、4−メトキシ−4−メチル−2−ペンタノン等のケトン類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、テトラクロロエタン、1,2−ジクロロプロパン、トリクロロエチレン等の塩素化炭化水素類、n−ブチルアミン、イソプロパノールアミン、ジエチルアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン、トリエチレンジアミン等の含窒素化合物類、アセトニトリル、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶剤類等が挙げられる。また、これらは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を任意の組み合わせ及び種類で併用してもよい。
溶媒又は分散媒の使用量は特に制限されないが、各層の目的や選択した溶媒・分散媒の性質を考慮して、塗布液の固形分濃度や粘度等の物性が所望の範囲となるように適宜調整するのが好ましい。
例えば、単層型感光体、及び機能分離型感光体の電荷輸送層の場合には、塗布液の固形分濃度を通常5質量%以上、好ましくは10質量%以上、また、通常40質量%以下、好ましくは35質量%以下の範囲とする。また、塗布液の粘度を使用時の温度において通常10mPa・s以上、好ましくは50mPa・s以上、また、通常500mPa・s以下、好ましくは400mPa・s以下の範囲とする。
また、積層型感光体の電荷発生層の場合には、塗布液の固形分濃度は、通常0.1質量%以上、好ましくは1質量%以上、また、通常15質量%以下、好ましくは10質量%以下の範囲とする。また、塗布液の粘度は、使用時の温度において、通常0.01mPa・s以上、好ましくは0.1mPa・s以上、また、通常20mPa・s以下、好ましくは10mPa・s以下の範囲とする。
これらの感光体を構成する各層は、前記方法により得られた塗布液を、支持体上に公知の塗布方法を用い、各層ごとに塗布・乾燥工程を繰り返し、順次塗布していくことにより形成される。塗布液の塗布方法としては、浸漬コーティング法、スプレーコーティング法、スピナーコーティング法、ビードコーティング法、ワイヤーバーコーティング法、ブレードコーティング法、ローラーコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等が挙げられるが、他の公知のコーティング法を用いることも可能である。
塗布液の乾燥は、室温における指触乾燥後、通常30℃以上、200℃以下の温度範囲
で、1分から2時間の間、静止又は送風下で加熱乾燥させることが好ましい。また、加熱温度は一定であってもよく、乾燥時に温度を変更させながら加熱を行っても良い。
<カートリッジ、画像形成装置>
次に、本発明の電子写真感光体を用いたドラムカートリッジ、画像形成装置について、装置の一例を示す図1に基づいて説明する。
図1において、1はドラム状感光体であり、軸2を中心に矢印方向に所定の周速度で回転駆動される。感光体1はその回転過程で帯電手段3により、その表面に正又は負の所定電位の均一帯電を受け、ついで露光部4において像露光手段により潜像形成のための露光が行われる。形成された静電潜像は、次に現像手段5でトナー現像され、そのトナー現像像がコロナ転写手段6により給紙部から給送された転写体(紙など)7に順次転写されていく。像転写された転写体はついで定着手段8に送られ、像定着され、機外へプリントアウトされる。像転写後の感光体1の表面はクリーニング手段9により転写残りのトナーが除去され、除電手段10により除電されて次の画像形成のために清浄化される。
本発明の電子写真感光体を使用するのにあたって、帯電器としては、図−1記載のコロトロン、スコロトロンなどのコロナ帯電器の他に、電圧印加された直接帯電部材を感光体表面に接触させて帯電させる直接帯電手段を用いてもよい。直接帯電手段の例としては、帯電ローラー、帯電ブラシ等の接触帯電器などが挙げられる。直接帯電手段として、気中放電を伴うもの、あるいは気中放電を伴わない注入帯電いずれも可能である。また、帯電時に印可する電圧としては、直流電圧だけの場合、及び直流に交流を重畳させて用いることもできる。
露光はハロゲンランプ、蛍光灯、レーザー(半導体、He−Ne)、LED、感光体内部露光方式等が用いられるが、デジタル式電子写真方式として、レーザー、LED、光シャッターアレイ等を用いることが好ましい。波長としては780nmの単色光の他、600〜700nm領域のやや短波長寄りの単色光を用いることができる。
現像工程はカスケード現像、1成分絶縁トナー現像、1成分導電トナー現像、二成分磁気ブラシ現像などの乾式現像方式や湿式現像方式などが用いられる。トナーとしては、粉砕トナーの他に、懸濁造粒、懸濁重合、乳化重合凝集法等のケミカルトナーを用いることができる。特に、ケミカルトナーの場合には、4〜8μ程度の小粒径のものが用いられ、形状も球形に近いものから、ポテト状の球形から外れたものも使用することができる。重合トナーは、帯電均一性、転写性に優れ、高画質化には好適に用いられる。
転写工程はコロナ転写、ローラー転写、ベルト転写などの静電転写法、圧力転写法、粘着転写法が用いられる。定着は熱ローラー定着、フラッシュ定着、オーブン定着、圧力定着、IH定着、ベルト定着、IHF定着などが用いられ、これら定着方式は単独で用いても良く、複数の定着方式を組み合わせた形で使用してもよい。
クリーニングにはブラシクリーナー、磁気ブラシクリーナー、静電ブラシクリーナー、磁気ローラークリーナー、ブレードクリーナー、などが用いられる。
除電工程は、省略される場合も多いが、使用される場合には、蛍光灯、LED等が使用さ
れ、強度としては露光光の3倍以上の露光エネルギーが使用される場合が多い。
これらのプロセスのほかに、前露光工程、補助帯電工程のプロセスを有してもよい。
本発明においては、上記ドラム状感光体1、帯電手段3、現像手段5及びクリーニング手段9等の構成要素の内の複数のものをドラムカートリッジとして一体に結合して構成し、このドラムカートリッジを複写機やレーザービームプリンタ等の電子写真装置本体に対して着脱可能な構成にしてもよい。例えば、帯電手段3、現像手段5及びクリーニング手段9の内、少なくとも1つをドラム状感光体1と共に一体に支持してカートリッジ化とすることが出来る。
以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明を更に詳細に説明する。なお、以下の実施例は本発明を詳細に説明するために示すものであり、本発明はその趣旨に反しない限り以下の実施例に限定されるものではない。
<本実施例・比較例で使用するポリアミド樹脂>
・ポリアミド樹脂I:TPAE−32 T&K TOKA株式会社製
・ポリアミド樹脂II:PA−201 T&K TOKA株式会社製
・ポリアミド樹脂III:PA−100 T&K TOKA株式会社製
・ポリアミド樹脂IV:トーマイド558 T&K TOKA株式会社製
・ポリアミド樹脂V:トーマイド1310 T&K TOKA株式会社製
・ポリアミド樹脂VI:特許文献 特開2011−170041号公報 実施例に記載の共重合ポリアミド
<ポリアミド樹脂溶液の粘度測定>
以下の手順に従い、粘度測定のためのポリアミド樹脂溶液を作成した。
即ち、測定対象のポリアミド樹脂を4.5gと、メタノール42.75g、トルエン42.75gを混合し、加熱、及び撹拌してポリアミド樹脂を溶解させ、5wt%のポリアミド溶液を調製した。この溶液について、溶液温度を室温まで戻した後、すぐに回転式粘度測定装置を用いて粘度測定を行った。測定温度25℃、測定回転数20rpm〜50rpmの条件下で行った。結果を表−1に示す。
Figure 2014044417
<感光体シート作成方法>
[実施例1]
以下の手順に従い、電子写真感光体の1形態である感光体シートを作製した。初めに、下引き層用分散液は、次のようにして製造した。即ち、平均一次粒子径40nmのルチル型酸化チタン(石原産業社製「TTO55N」)と、該酸化チタンに対して3質量%のメチルジメトキシシラン(東芝シリコーン社製「TSL8117」)とを、高速流動式混合混練機((株)カワタ社製「SMG300」)に投入し、回転周速34.5m/秒で高速混合して得られた表面処理酸化チタンを、メタノール/1−プロパノールの混合溶媒中でボールミルにより分散させることにより、疎水化処理酸化チタンの分散スラリーとした。該分散スラリーと、メタノール/1−プロパノール/トルエンの混合溶媒、及び、ポリアミド樹脂Iを加熱しながら撹拌、混合してポリアミド樹脂を溶解させた後、超音波分散処
理を行なうことにより、メタノール/1−プロパノール/トルエンの質量比が6/1/3で、疎水性処理酸化チタン/ポリアミド樹脂Iを質量比3/1で含有する、固形分濃度1
8.0%の下引き層用分散液とした。
このようにして得られた下引き層形成用塗布液を、表面にアルミ蒸着した厚さ75μmのポリエチレンテレフタレートフィルム上に、乾燥後の膜厚が1.5μmになるようにワイヤーバーで塗布、乾燥して下引き層を設けた。
次に、CuKα線によるX線回折においてブラッグ角(2θ±0.2)が27.3゜に強い回折ピークを示し、図2に示す粉末X線回折スペクトルを有するオキシチタニウムフタロシアニン10質量部を1,2−ジメトキシエタン150質量部に加え、サンドグラインドミルにて粉砕分散処理を行い、顔料分散液を作製した。こうして得られた160質量部の顔料分散液をポリビニルブチラール(電気化学工業(株)製、商品名#6000C)の5質量%1,2−ジメトキシエタン溶液100質量部に加え、適量の1,2−ジメトキシエタンを加え、最終的に固形分濃度4.0質量%の電荷発生層形成用塗布液を作製した。
この電荷発生層形成用塗布液を、上述の下引き層上に乾燥後の膜厚が0.4μmとなるようにワイヤーバーで塗布した後、乾燥して電荷発生層を形成した。
次に、電荷輸送物質として特開2002−80432号公報中の実施例1に示された、下記式[12]で表わされる構造を主成分とする、幾何異性体の化合物群からなる混合物を50質量部、下記繰り返し構造からなるポリアリレートA(PAR-A、粘度平均分子量41
,000)100質量部、及びレベリング剤としてシリコーンオイル0.05質量部を、テトラヒドロフランとトルエンとの混合溶媒(テトラヒドロフラン80質量%、トルエン20質量%)640質量部に混合し、電荷輸送層形成用塗布液を調製した。
Figure 2014044417
この電荷輸送層形成用塗布液を上述の電荷発生層上に、乾燥後の膜厚が25μmとなるようにアプリケーターを用いて塗布し、125℃で20分間乾燥して電荷輸送層を形成して、感光体シートSE1を作製した。
<感光体の電気特性の評価>
電子写真学会測定標準に従って作製された電子写真特性評価装置(続電子写真技術の基礎と応用、電子写真学会編、コロナ社、404−405頁記載)を使用し、上記感光体をアルミニウム製ドラムに貼り付けて円筒状にし、アルミニウム製ドラムと感光体のアルミニウム基体との導通を取った上で、ドラムを一定回転数で回転させ、帯電、露光、電位測定、除電のサイクルによる電気特性評価試験を行った。
その際、初期表面電位を−700Vとし、露光は780nm、除電は660nmの単色
光を用いた。780nmの光を1.0μJ/cm照射した時点の表面電位(VL)、及び感度を表す指標として、表面電位を−350Vまで半減させるのに必要な露光量(半減露光量)を測定した。VL測定に際しては、露光−電位測定に要する時間を100msとした。測定環境は、温度25℃、相対湿度50%下で行った。感度(半減露光量)及びVLの値の絶対値が小さいほど電気特性が良好であることを示す。電気特性の結果を表−2に示す。
<接着性試験用感光体の製造>
上記<感光体シート作成方法>で用いた、アルミ蒸着したポリエチレンテレフタレートフィルムの代わりに、厚さ0.5mmのアルミ板を用いた以外は<感光体シート作成方法>と同様に接着性試験用感光体PE1を作製した。
<接着性試験>
この接着性試験用感光体上に、NTカッターを用いて、5mm間隔で縦に3本、横に4本切り込みを入れ、2×3の6マスを作製した。その上からセロテープ(登録商標)(ニチバン製)を貼り付け、接着面に対し90゜に引き上げることで、感光層(電荷発生層)と下引き層の接着性を試験した。これを5箇所行い、計30マスのうち、支持体上に残存した感光層のマス数の割合を残存率として評価した。残存したマス数が多いほど残存率は高く、接着性は良好である。結果を表−3に示す。
[実施例2]
実施例1の電荷輸送層形成用塗布液に用いた結着樹脂のポリアリレートA(PAR-A)の代
わりに、下記繰り返し構造からなるポリアリレートB(PAR-B)を100質量部とした以外
は、実施例1と同様にして感光体シートSE2、及び接着性試験用感光体PE2を作製した。これらの感光体を実施例1と同様に評価し、結果を表−2及び表−3に示した。
Figure 2014044417
[実施例3]
実施例1の電荷輸送層形成用塗布液に用いた結着樹脂のポリアリレートA(PAR-A)の代
わりに、下記繰り返し構造からなるポリアリレートC(PAR-C)を100質量部とした以外
は、実施例1と同様にして感光体シートSE3、及び接着性試験用感光体PE3を作製した。これらの感光体を実施例1と同様に評価し、結果を表−2及び表−3に示した。
Figure 2014044417
[実施例4]
実施例1の下引き層用分散液に用いたポリアミド樹脂Iの代わりに、ポリアミド樹脂II
を用いた以外は、実施例1と同様にして感光体シートSE4、及び接着性試験用感光体PE4を作製した。これらの感光体を実施例1と同様に評価し、結果を表−2及び表−3に示した。
[実施例5]
実施例4の電荷輸送層形成用塗布液に用いた結着樹脂のポリアリレートA(PAR-A)の代
わりに、ポリアリレートB(PAR-B)を100質量部とした以外は、実施例4と同様にして
感光体シートSE5、及び接着性試験用感光体PE5を作製した。これらの感光体を実施例1と同様に評価し、結果を表−2及び表−3に示した。
[実施例6]
実施例4の電荷輸送層形成用塗布液に用いた結着樹脂のポリアリレートA(PAR-A)の代
わりに、ポリアリレートC(PAR-C)を100質量部とした以外は、実施例4と同様にして
感光体シートSE6、及び接着性試験用感光体PE6を作製した。これらの感光体を実施例1と同様に評価し、結果を表−2及び表−3に示した。
[実施例7]
実施例1の下引き層用分散液の代わりに、実施例1における疎水性処理酸化チタンを用いずに作成した下引き層用塗布液を用い、下引き層の厚みを0.5μmにした以外は、実施例1と同様にして感光体シートSE7、及び接着性試験用感光体PE7を作製した。これらの感光体を実施例1と同様に評価し、結果を表−2及び表−3に示した。
[実施例8]
実施例1の下引き層用分散液の代わりに、疎水性処理酸化チタン/ポリアミド樹脂Iの
質量比を2/1に変えて作成した下引き層用分散液を用いた以外は、実施例1と同様にして感光体シートSE8、及び接着性試験用感光体PE8を作製した。これらの感光体を実施例1と同様に評価し、結果を表−2及び表−3に示した。
[実施例9]
実施例1の下引き層用分散液の代わりに、疎水性処理酸化チタン/ポリアミド樹脂Iの
質量比を4/1に変えて作成した下引き層用分散液を用いた以外は、実施例1と同様にして感光体シートSE9、及び接着性試験用感光体PE9を作製した。これらの感光体を実施例1と同様に評価し、結果を表−2及び表−3に示した。
[実施例10]
実施例1の下引き層用分散液に用いたポリアミド樹脂Iの代わりに、ポリアミド樹脂Iとポリアミド樹脂VIを質量比1/2でブレンドして使用した以外は、実施例1と同様にして感光体シートSE10、及び接着性試験用感光体PE10を作製した。これらの感光体を実施例1と同様に評価し、結果を表−2及び表−3に示した。
[実施例11]
実施例1の疎水性処理酸化チタンの代わりに、酸化アルミを用いた以外は、実施例1と同様にして感光体シートSE11、及び接着性試験用感光体PE11を作製した。これらの感光体を実施例1と同様に評価し、結果を表−2及び表−3に示した。
[比較例1]
実施例1の下引き層用分散液に用いたポリアミド樹脂Iの代わりに、ポリアミド樹脂IIIを用いた以外は、実施例1と同様にして感光体シートSP1、及び接着性試験用感光体PP1を作製した。これらの感光体を実施例1と同様に評価し、結果を表−2及び表−3に示した。
[比較例2]
実施例3の下引き層用分散液に用いたポリアミド樹脂Iの代わりに、ポリアミド樹脂IIIを用いた以外は、実施例3と同様にして感光体シートSP2、及び接着性試験用感光体PP2を作製した。これらの感光体を実施例1と同様に評価し、結果を表−2及び表−3に示した。
[比較例3]
実施例1の下引き層用分散液に用いたポリアミド樹脂Iの代わりに、ポリアミド樹脂IV
を用いた以外は、実施例1と同様にして感光体シートSP3、及び接着性試験用感光体PP3を作製した。これらの感光体を実施例1と同様に評価し、結果を表−2及び表−3に示した。
[比較例4]
実施例3の下引き層用分散液に用いたポリアミド樹脂Iの代わりに、ポリアミド樹脂IV
を用いた以外は、実施例3と同様にして感光体シートSP4、及び接着性試験用感光体PP4を作製した。これらの感光体を実施例1と同様に評価し、結果を表−2及び表−3に示した。
[比較例5]
実施例1の下引き層用分散液に用いたポリアミド樹脂Iの代わりに、ポリアミド樹脂Vを用いた以外は、実施例1と同様にして感光体シートSP5、及び接着性試験用感光体PP5を作製した。これらの感光体を実施例1と同様に評価し、結果を表−2及び表−3に示した。
[比較例6]
実施例3の下引き層用分散液に用いたポリアミド樹脂Iの代わりに、ポリアミド樹脂Vを用いた以外は、実施例3と同様にして感光体シートSP6、及び接着性試験用感光体PP6を作製した。これらの感光体を実施例1と同様に評価し、結果を表−2及び表−3に示した。
[比較例7]
実施例1の下引き層用分散液に用いたポリアミド樹脂Iの代わりに、ポリアミド樹脂VI
を用いた以外は、実施例1と同様にして感光体シートSP7、及び接着性試験用感光体PP7を作製した。これらの感光体を実施例1と同様に評価し、結果を表−2及び表−3に示した。
[比較例8]
実施例2の下引き層用分散液に用いたポリアミド樹脂Iの代わりに、ポリアミド樹脂VI
を用いた以外は、実施例2と同様にして感光体シートSP8、及び接着性試験用感光体PP8を作製した。これらの感光体を実施例1と同様に評価し、結果を表−2及び表−3に示した。
[比較例9]
実施例3の下引き層用分散液に用いたポリアミド樹脂Iの代わりに、ポリアミド樹脂VI
を用いた以外は、実施例3と同様にして感光体シートSP9、及び接着性試験用感光体PP9を作製した。これらの感光体を実施例1と同様に評価し、結果を表−2及び表−3に示した。
Figure 2014044417
表−2の結果からわかるように、実施例1〜11と比較例1〜6を比較すると実施例1〜11において電気特性が良好である。また、実施例3、実施例6と比較例7〜9を比較すると電荷輸送層の結着樹脂を変えることにより、電気特性を改良できることがわかった。
Figure 2014044417
表−3の結果からわかるように、ポリエーテル化合物を含むポリアミド樹脂を下引き層に用いると、接着性が著しく改善されることがわかる。ポリエーテル化合物を含有するポリアミド樹脂の下引き層中における含有量が多いほうが、接着性改善の効果は大きくなる。
表−2、及び表−3の結果から本発明の範囲内の感光体は安定的に良好な電気特性を示し、接着性も極めて良好に保たれている。一方、本発明の範囲外の感光体では、電気特性が悪化するケースがあり、これは接着性の悪化に起因するものと思われる。
[参考例]
[参考例1]
実施例1の電荷輸送層形成用塗布液に用いた結着樹脂のポリアリレートA(PAR-A)の代
わりに、下記繰り返し構造からなるポリカーボネート(PCR-D)を100質量部とした以外
は、実施例1と同様にして接着性試験用感光体PR1を作製した。これらの感光体を実施例
1と同様に評価し、結果を表−4に示した。
Figure 2014044417
[参考例2]
比較例7の電荷輸送層形成用塗布液に用いた結着樹脂のポリアリレートA(PAR-A)の代
わりに、ポリカーボネート(PCR-D)を100質量部とした以外は、比較例7と同様にして接着性試験用感光体PR1を作製した。これらの感光体を実施例1と同様に評価し、結果を表
−4に示した。
Figure 2014044417
<感光体ドラムの製造>
[実施例12]
表面が鏡面仕上げされた外径30mm、長さ260.5mm、肉厚0.75mmのアルミニウム製シリンダー上に、実施例1で用いた下引き層形成用塗布液、電荷発生層用塗布液及び電荷輸送層用塗布液を、浸漬塗布法により順次塗布し、乾燥後の膜厚がそれぞれ、1.5μm、0.4μm、21μmとなるように、下引き層、電荷発生層、電荷輸送層を形成し、感光体ドラムDE1を得た。
ここで、作製した感光体ドラムを用いて、画像特性試験を行った。
画像特性試験は、ヒューレットパッカード社製カラープリンターHP Color LaserJet 4650dn(クリーニングブレード、カウンター当接方式)を用いて行った。
作製した感光体ドラムとトナーとをシアン色用のプロセスカートリッジに装着し、このカートリッジをプリンターに装着した。温度10℃、湿度15%環境下(LL環境下と称することがある)で、10,000枚の画像形成を行い、ゴースト、かぶり、濃度低下、フィルミング(FLと略することがある)、クリーニング不良(CLと略することがある)、膜減り性の評価を行った。結果を表−5に示す。
[耐膜減り性試験]
初期感光体ドラムの膜厚をFisher Scope膜厚計にて測定し、10,000枚印刷後の膜厚を同じくFisher Scope膜厚計にて測定し、その差を測ることにより、1,000枚あたりの膜減りを求めた。
[その他の評価]
また、クリーニング不良(CL)、フィルミング(FL)、画像品質について、以下の
通りランク付けを行った。なお、カブリは目視評価により行った。
「クリーニング不良」項目
◎:まったくクリーニング不良が発生していない。
○:うっすらとクリーニング不良の発生が確認できるが、実用上使用可能なレベル。
△:クリーニング不良の発生が確認できるが、実用上使用可能なレベル。
×:全面にクリーニング不良が発生しており、実用上問題のあるレベル。
「フィルミング」項目
◎:まったくフィルミングが発生していない。
○:うっすらとフィルミングの発生が確認できるが、実用上使用可能なレベル。
△:フィルミングの発生が確認できるが、実用上使用可能なレベル。
×:全面にフィルミングが発生しており、実用上問題のあるレベル。
「画像品質」項目
◎:画像異常が全く観察されず良好である。
○:ゴースト、LL環境下での濃度不良、地肌部の汚れなどがわずかに観察されるが、実用上問題なく良好である。
△:ゴースト、LL環境下での濃度不良、地肌部の汚れなどが観察されるが、実用上使用可能なレベルである。
×:ゴースト、LL環境下での濃度不良、地肌部の汚れなどが明らかで、実用上問題がある。
[実施例13]
実施例12で用いた電荷輸送層用塗布液に使用したポリアリレートA(PAR-A)の代わり
に、ポリアリレートC(PAR-C)を使用した。即ち、実施例3で使用した電荷輸送層用塗布
液を用いた以外は、実施例12と同様にして、感光体ドラムDE2を得た。
[比較例10]
実施例13で用いた下引き層形成用塗布液に使用したポリアミド樹脂Iの代わりに、ポ
リアミド樹脂VIを使用した、即ち、比較例9で使用した下引き層形成用塗布液を用いた以外は、実施例13と同様にして、感光体ドラムDP1を得た。
[比較例11]
実施例12で用いた電荷輸送層用塗布液に使用したポリアリレートA(PAR-A)の代わり
に、ポリカーボネートD(PCR−D)を使用した電荷輸送層用塗布液を用いた以外は、実施
例12と同様にして、感光体ドラムDP2を得た。
Figure 2014044417
表−5の結果から、電荷輸送層にポリアリレート樹脂を用いた場合、ポリカーボネートを使用したときよりも、膜減り性が良好であることがわかる。特に、ポリアリレートCは良好である。またポリアリレート樹脂はクリーニング、フィルミングに関しても、良好であることがわかる。一方、比較例10に示したように、本発明の範囲外のポリアミド樹脂
からなる下引き層を有する感光体DP1は濃度低下による画像品質の悪化が確認された。こ
れは、接着性の悪化による、電気特性不良が原因と考えられる。
[実施例14]
実施例12で用いたアルミニウム製シリンダーの代わりに、表面が鏡面仕上げされた外径30mm、長さ376mm、肉厚0.75mmのアルミニウム製シリンダーを用いた以外は実施例12と同様にして感光体ドラムDE3を作製した。
[比較例12]
実施例14で用いた電荷輸送層用塗布液に使用したポリアリレートA(PAR-A)の代わり
に、ポリカーボネートD(PCR−D)を使用した電荷輸送層用塗布液を用いた以外は実施例14と同様にして感光体ドラムDP3を作製した。
[比較例13]
実施例14で用いた下引き層形成用塗布液に使用したポリアミド樹脂Iの代わりに、ポ
リアミド樹脂VIを使用した、即ち、比較例10で使用した下引き層形成用塗布液を用い、更に電荷輸送層用塗布液に使用したポリアリレートA(PAR-A)の代わりに、下記繰り返し
構造からなるポリカーボネートD(PCR-D)を使用した電荷輸送層用塗布液を用いた以外は実施例14と同様にして感光体ドラムDP4を作製した。
ここで作製した感光体ドラムDE3、DP3及びDP4を、沖データ社製カラープリンターMI
CROLINE Pro 9800PS−E用のブラックドラムカートリッジに装着した。次に、特開2007−213050の現像用トナーAの製造方法(乳化重合凝集法)に従って製造した現像用トナー(体積平均粒径7.05μm、Dv/Dn=1.14、平均円形度0.963)をブラックトナーカートリッジに搭載した。これらのドラムカートリッジ、トナーカートリッジを上記プリンターに装着した。
MICROLINE Pro 9800PS−Eの仕様
4連タンデム
カラー36ppm、モノクロ40ppm
1200dpi
接触ローラ帯電(直流電圧印加)
LED露光
除電光あり
温度25℃、湿度50%の条件下、約5%の印字面積を有するテキスト文書を30,
000枚の画像形成を行った。その時の画像特性試験の結果を表−6に示す。
Figure 2014044417
表−6に示したように、本発明のパラメーターの範囲内にある、実施例14の電子写真感光体DE3では、30,000枚印刷後も、良好な画像特性を示した。しかし、比較例1
3の感光体ドラムDP4はドラムの端部に小さな膜剥がれが発生し、それが原因で画像の端
部に汚れが見られ、実使用上問題のある結果となった。
表−2〜表−6の結果から、本発明のパラメーターの範囲内の電子写真感光体は極めて
良好な接着性を有し、同時に感光層にポリアリレート樹脂を含んだ感光体は良好な電気特性をも安定的に示すことがわかる。また、これらの感光体は、画像特性も良好な結果を示した。

Claims (9)

  1. 導電性支持基体上に少なくとも下引き層と、ポリアリレート樹脂を含有する感光層とを基体側から順次積層して成る電子写真感光体において、該下引き層がポリエーテル化合物を含むポリアミド樹脂を含有することを特徴とする電子写真感光体。
  2. 前記下引き層中における前記ポリアミド樹脂の割合が10質量%以上であることを特徴と
    する請求項1に記載の電子写真感光体。
  3. 前記ポリアリレート樹脂が下記一般式[1]で表されるポリアリレート樹脂であることを
    特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電子写真感光体。
    Figure 2014044417
    (式[1]中、Ar1〜Ar4はそれぞれ独立に置換基を有していてもよいアリーレン基を表し、Xは単結合、酸素原子、硫黄原子、下記式[2]で表される基、又は下記式[3]で表される基であって、式[2]中のR及びRは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、又はアリール基を表し、RとRとが結合して環を形成していてもよく、式[3]中のRは、アルキレン基、アリーレン基、又は下記式[4]で表される基であって、式[4]中のR及びRは、それぞれ独立に、アルキレン基を表し、Arはアリーレン基を表す。kは0〜5の整数を表す。但し、k = 0の場合、Ar3とAr4のうちいずれか一
    方は置換基を有するアリーレン基である。)
    Figure 2014044417
    (式[1]中、Yは、単結合、酸素原子、硫黄原子、又は下記式[5]で表される基であって、式[5]中、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、又はアリール基を表し、RとRとが結合して環を形成していてもよい。)
    Figure 2014044417
  4. 前記ポリアミド樹脂が少なくとも重合脂肪酸とジアミンを縮合してなるポリアミド樹脂であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
  5. 前記ポリアミド樹脂が直鎖のジカルボン酸成分を含むポリアミド樹脂であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
  6. 前記下引き層が、金属酸化物の微粒子を含有していることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
  7. 前記金属酸化物が、酸化チタンであることを特徴とする請求項6に記載の電子写真感光体。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の電子写真感光体と、該電子写真感光体を帯電させる帯電部、帯電した該電子写真感光体を露光させ静電潜像を形成する露光部、該電子写真感光体上に形成された静電潜像を現像する現像部、該電子写真感光体上をクリーニングするクリーニング部のうち、少なくとも一つとを備えることを特徴とする電子写真感光体カートリッジ。
  9. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の電子写真感光体と、該電子写真感光体を帯電させる帯電部、帯電した該電子写真感光体を露光させ静電潜像を形成する露光部、及び該電子写真感光体上に形成された静電潜像を現像する現像部とを備えることを特徴とする画像形成装置。

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