JP6864252B2 - 電子写真感光体、電子写真感光体カートリッジ、及び画像形成装置 - Google Patents
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Description
より詳しくは、特定の分子構造を持つ樹脂を含有する電荷輸送層を有する電子写真感光体、該電子写真感光体を使用するカートリッジ、及び画像形成装置に関するものである。
電子写真方式の画像形成装置は、年々高画質化、高速化、高耐久性化が求められている。帯電、露光、現像、転写等の感光体周りのプロセスも、それらの要求に応えるべく改良されてはいるが、感光体自体の改良が必要な場合も多い。感光体の性能は、感光層に含有される各化合物やそれらの組み合わせ相性などによって決まってくる。その中で、各機能を持つ感材とともに塗布膜を形成するバインダー樹脂も、感光体の性能を大きく左右する。例えば、摩耗に強いバインダー樹脂を導入して膜減りの少ない高寿命の感光体を構築したり(特許文献1)、特定の構造の樹脂を用いることで電気的劣化を抑え、長期にわたって高画質な画像を提供できる技術などが知られている(特許文献2)。接着性もその一つである。
本発明は上述の課題に鑑みてなされたものである。即ち、本発明の目的は、電荷輸送物
質や他の樹脂との相溶性が良く、感光層の接着性が良好に保たれ、更に、良好な電気特性を示す電子写真感光体を提供すること、また該電子写真感光体を用いたプロセスカートリッジ、及び画像形成装置を提供することにある。
本発明の要旨は、以下の<1>〜<7> に存する。
<1> 導電性支持体上に感光層を有する電子写真感光体において、該感光層が、下記式(1)で示されるジカルボン酸成分と、下記式(2)で示されるジオール成分とを縮重合して得られるポリエステル樹脂を含有することを特徴とする、電子写真感光体。
換されていてもよい脂肪族炭化水素残基を示し、R1及びR2は、各々独立に単結合、または置換されてもよいアルキレン基を示す。)
<2> 前記式(1)のジカルボン酸成分が1,4−シクロヘキサンジカルボン酸であることを特徴とする<1>に記載の電子写真感光体。
<3> 前記1,4−シクロヘキサンジカルボン酸成分において、トランス体の割合が85モル%以上であることを特徴とする<2>に記載の電子写真感光体。
<4> 前記式(2)で表されるジオール成分が、脂環式ジオールが主成分であることを特徴とする<1>〜<3>のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
<5> 前記脂環式ジオール成分が、1,4−シクロヘキサンジメタノールであることを特徴とする<4>に記載の電子写真感光体。
<6> <1>〜<5>のいずれか1項に記載の電子写真感光体、ならびに、該電子写真感光体を帯電させる帯電装置、該帯電した電子写真感光体を露光させて静電潜像を形成する露光装置、及び、該電子写真感光体上に形成された静電潜像を現像する現像装置からなる群から選ばれる少なくとも1つを備えたことを特徴とする電子写真感光体カートリッジ。
<7> <1>〜<5>のいずれか1項に記載の電子写真感光体、該電子写真感光体を帯電させる帯電装置と、該帯電した電子写真感光体を露光させて静電潜像を形成する露光装置、及び、該電子写真感光体上に形成された静電潜像を現像する現像装置、を備えたことを特徴とする画像形成装置。
<ポリエステル樹脂>
本発明の電子写真感光体の感光層には、下記式(1)で示されるジカルボン酸成分と、下記式(2)で示されるジオール成分とを縮重合して得られるポリエステル樹脂を含有する。
、さらに好ましくは95モル%以上であることで、得られるポリエステル樹脂中のトラン
ス体の割合を上記の範囲とすることができる。
。残留電位などの電気特性の点から、Xで示される脂環式炭化水素残基は無置換であることが好ましい。
ール等の脂環式ジオールが挙げられ、これらの二種以上が共重合成分として用いられていてもよい。
式(1)で示されるジカルボン酸成分と式(2)で示されるジオール成分との重合方法としては、エステル交換法、直接重合法などの溶融重合法、溶液重合法、界面重合法などの公知の方法がある。また、その際の重合触媒などの反応条件についても従来公知の方法を用いることができる。中でも直接重合法が好ましく用いられる。
次に、本発明の電子写真感光体について、他の構成要素を含め説明する。
<感光層>
感光層の形式としては、電荷発生物質と電荷輸送物質とが同一層に存在し、バインダー樹脂中に分散された単層型と、電荷発生物質がバインダー樹脂中に分散された電荷発生層及び電荷輸送物質がバインダー樹脂中に分散された電荷輸送層の二層からなる機能分離型(積層型)とが挙げられるが、何れの形式であってもよい。
本発明の特定構造を有するポリエステル樹脂は、通常、電荷輸送物質を含有する層に用いられ、好ましくは積層型感光体の電荷輸送層に用いられる。
本発明の電荷発生層は、電荷発生物質をバインダー樹脂で結着することにより形成される。電荷発生物質としては、セレニウム及びその合金、硫化カドミウム等の無機系光導電材料と、有機顔料等の有機系光導電材料とが挙げられるが、有機系光導電材料の方が好ましく、特に有機顔料が好ましい。有機顔料としては、例えば、フタロシアニン顔料、アゾ顔料、ジチオケトピロロピロール顔料、スクアレン(スクアリリウム)顔料、キナクリドン顔料、インジゴ顔料、ペリレン顔料、多環キノン顔料、アントアントロン顔料、ベンズイミダゾール顔料等が挙げられる。これらの中でも、特にフタロシアニン顔料が好ましい。電荷発生物質として有機顔料を使用する場合、通常はこれらの有機顔料の微粒子を、各種のバインダー樹脂で結着した分散層の形で使用する。
合状態としては、それぞれの構成要素を後から混合したものを用いてもよいし、合成、顔料化、結晶化等のフタロシアニン化合物の製造・処理工程において混合状態を生じさせたものでもよい。このような処理としては、酸ペースト処理・磨砕処理・溶剤処理等が知られている。混晶状態を生じさせるためには、特開平10−48859号公報記載のように、2種類の結晶を混合後に機械的に磨砕、不定形化した後に、溶剤処理によって特定の結晶状態に変換する方法が挙げられる。
電荷輸送層は、電荷輸送物質と本発明のポリエステル樹脂を含むバインダー樹脂を含有する。更に必要に応じてその他の成分を含有してもよい。電荷輸送物質等とポリエステル樹脂、必要に応じて他の樹脂とを溶剤に溶解又は分散して塗布液を作製し、電荷発生層上に、塗布、乾燥して得ることができる。
ポリアリレート樹脂が好ましい。他の樹脂を併用する場合は、本発明のポリエステル樹脂がそれを含む感光層のバインダー樹脂全体の5質量%以上、好ましくは10質量%以上含有することが、本発明の効果を得るために好ましい。
<単層型感光層>
単層型感光層は、電荷発生物質と電荷輸送物質に加えて、積層型感光体の電荷輸送層と同様に、膜強度確保のために本発明のポリエステル樹脂を含むバインダー樹脂を使用して形成する。具体的には、電荷発生物質と電荷輸送物質とバインダー樹脂とを溶剤に溶解又は分散して塗布液を作製し、導電性支持体上(下引き層を設ける場合は下引き層上)に塗布、乾燥して得ることができる。
電荷発生物質は、積層型感光体の電荷発生層について説明したものと同様のものが使用できる。但し、単層型感光体の感光層の場合、電荷発生物質の粒子径を充分に小さくする必要がある。具体的には、通常1μm以下、好ましくは0.5μm以下の範囲とする。
また、単層型感光層におけるバインダー樹脂と電荷発生物質との使用比率は、バインダー樹脂100重量部に対して電荷発生物質が通常0.1重量部以上、好ましくは1重量部以上、また、通常30重量部以下、好ましくは10重量部以下の範囲とする。
<下引き層>
導電性支持体と前述した感光層との間には、接着性・ブロッキング性等の改善のため、下引き層を設けてもよい。下引き層としては、樹脂、樹脂に金属酸化物等の粒子を分散したものなどが用いられる。
もよい。酸化チタン粒子の結晶型としては、ルチル、アナターゼ、ブルッカイト、アモルファスのいずれも用いることができる。また、複数の結晶状態のものが含まれていてもよい。
下引き層は、金属酸化物粒子をバインダー樹脂に分散した形で形成するのが望ましい。下引き層のバインダー樹脂としては、ポリビニルアセタール、ポリアミド樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル、エポキシ樹脂、ポリウレタン、ポリアクリル酸等の樹脂材料を用いることができる。中でも、支持体の接着性に優れ、電荷発生層塗布液に用いられる溶媒に対する溶解性の小さなポリアミド樹脂が好ましい。そして、ポリアミド樹脂の中でも、シクロアルカン環構造を構成成分として有する共重合ポリアミドが好ましく、シクロヘキサン環構造を構成成分として有する共重合ポリアミドがより好ましく、その中でも特に、下記構造式(I)で示されるジアミン成分を構成材料として有する共重合ポリアミド樹脂が好ましい。
下引き層に用いられるバインダー樹脂に対する無機粒子の使用比率は任意に選ぶことが可能であるが、分散液の安定性、塗布性の観点から、通常は10重量%以上、500重量%以下の範囲で使用することが好ましい。
下引き層には、公知の酸化防止剤等を混合してもよい。画像欠陥防止などを目的として、顔料粒子、樹脂粒子等を含有させ用いてもよい。
<その他の機能層>
また、積層型感光体は、上記手順により形成された感光層を最上層、即ち表面層としてもよいが、その上に更に別の層を設け、これを表面層としてもよい。例えば、感光層の損耗を防止したり、帯電器等から発生する放電生成物等による感光層の劣化を防止・軽減する目的で、保護層を設けても良い。生産工程を少なくすることが出来ることから感光層が表面層であることが好ましい。
感光体に用いる導電性支持体としては、例えばアルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼、銅、ニッケル等の金属材料や、金属、カーボン、酸化錫などの導電性粉体を添加して導電性を付与した樹脂材料や、アルミニウム、ニッケル、ITO(酸化インジウム酸化錫)等の導電性材料をその表面に蒸着又は塗布した樹脂、ガラス、紙等が主として使用される。形態としては、ドラム状、シート状、ベルト状などのものが用いられる。金属
材料の導電性支持体に、導電性・表面性などの制御のためや欠陥被覆のために。適当な抵抗値をもつ導電性材料を塗布したものでもよい。
例えば、クロム酸、硫酸、シュウ酸、ホウ酸、スルファミン酸等の酸性浴中で、陽極酸化処理することにより陽極酸化被膜が形成されるが、硫酸中での陽極酸化処理がより良好な結果を与える。硫酸中での陽極酸化の場合、硫酸濃度は100〜300g/l、溶存アルミニウム濃度は2〜15g/l、液温は15〜30℃、電解電圧は10〜20V、電流密度は0.5〜2A/dm2の範囲内に設定されるのが好ましいが、前記条件に限定され
るものではない。
上記低温封孔処理の場合に使用されるフッ化ニッケル水溶液濃度は、適宜選べるが、3〜6g/lの範囲で使用された場合、より好ましい結果が得られる。また、封孔処理をスムーズに進めるために、処理温度としては、25〜40℃、好ましくは30〜35℃で、また、フッ化ニッケル水溶液pHは、4.5〜6.5、好ましくは5.5〜6.0の範囲で処理するのがよい。pH調節剤としては、シュウ酸、ホウ酸、ギ酸、酢酸、水酸化ナトリウム、酢酸ナトリウム、アンモニア水等を用いることが出来る。処理時間は、被膜の膜厚1μmあたり1〜3分の範囲で処理することが好ましい。なお、被膜物性を更に改良するためにフッ化コバルト、酢酸コバルト、硫酸ニッケル、界面活性剤等をフッ化ニッケル水溶液に添加しておいてもよい。次いで水洗、乾燥して低温封孔処理を終える。前記高温封孔処理の場合の封孔剤としては、酢酸ニッケル、酢酸コバルト、酢酸鉛、酢酸ニッケル−コバルト、硝酸バリウム等の金属塩水溶液を用いることが出来るが、特に酢酸ニッケルを用いるのが好ましい。酢酸ニッケル水溶液を用いる場合の濃度は5〜20g/lの範囲内で使用するのが好ましい。処理温度は80〜100℃、好ましくは90〜98℃で、また、酢酸ニッケル水溶液のpHは5.0〜6.0の範囲で処理するのが好ましい。ここでpH調節剤としてはアンモニア水、酢酸ナトリウム等を用いることが出来る。処理時間は10分以上、好ましくは20分以上処理するのが好ましい。なお、この場合も被膜物性を改良するために酢酸ナトリウム、有機カルボン酸、アニオン系、ノニオン系界面活性剤等を酢酸ニッケル水溶液に添加してもよい。次いで水洗、乾燥して高温封孔処理を終える。平均膜厚が厚い場合には、封孔液の高濃度化、高温・長時間処理により強い封孔条件を必要とする。従って生産性が悪くなると共に、被膜表面にシミ、汚れ、粉ふきといった表面欠陥を生じやすくなる。このような点から、陽極酸化被膜の平均膜厚は通常20μm以下、特に7μm以下で形成されることが好ましい。
本発明の下引き層、及び感光体を構成する各層は、各層に含有させる物質を溶剤に溶解
又は分散させて得られた塗布液を、支持体上に浸漬塗布、スプレー塗布、ノズル塗布、バーコート、ロールコート、ブレード塗布等の公知の方法により、各層ごとに順次塗布・乾燥工程を繰り返すことにより形成される。
塗布液の塗布方法としては、浸漬コーティング法、スプレーコーティング法、スピナーコーティング法、ビードコーティング法、ワイヤーバーコーティング法、ブレードコーティング法、ローラーコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等が挙げられるが、他の公知のコーティング法を用いることも可能である。
本発明の電子写真感光体を使用する複写機、プリンター等の画像形成装置は、少なくとも帯電、露光、現像、転写、除電の各プロセスを含むが、どのプロセスも通常用いられる方法のいずれを用いてもよい。図1に示すように、画像形成装置は、電子写真感光体1、帯電装置2、露光装置3、現像装置4を備えて構成され、更に必要に応じて転写装置5、クリーニング装置6及び定着装置7が設けられる。
[ポリエステル樹脂等の物性測定]
<モノマーシクロヘキサンジカルボン酸中のトランス体の定量>
50mlのメスフラスコにシクロヘキサンジカルボン酸0.2gに対して4規定の水酸
化ナトリウム1.2mlで溶解する。更に純水40mlを加えてリン酸200μlでpH=5に調整した後、純水を加えて50mlにする。これを液体クロマトグラフィにより下記条
件で測定した。
装置 :島津製作所社製LC−10AD
カラム:J'sphere ODS-H80 4.6mm×250
温度 :50℃
移動相:AcN/H2O/H3PO4=200/800/4
流量 :0.6ml/min
検出器:UV (210nm)
注入量:20μl
それぞれのピークの面積よりトランス体及びシス体の割合を求めた。
ポリマーをフェノール/テトラクロロエタン(重量比1/1)混合液を溶媒としてウベローデ型粘度計を用いて30℃で測定することにより求めた。
<ポリマー中のシクロヘキサンジカルボン酸、シクロヘキサンジメタノールのトランス体及びシス体の定量>
溶媒として重水素化クロロホルムを用い、ポリマーを溶解させ、1H-NMR(日本電子社製GSX-400)を用いてポリマー中の1,4−シクロヘキサンジカルボン酸成分および1,4-シクロヘキサンジメタノール成分のトランス体及びシス体の定量を行った。
上記の「ポリマー中のシクロヘキサンジカルボン酸、シクロヘキサンジメタノールのトランス体及びシス体の定量」と同様にして1H-NMRを用いて行った。
[ポリエステル樹脂の合成例]
攪拌機、留出管および減圧装置を装備した反応器に1,4-シクロヘキサンジカルボン
酸(トランス体95.9%)184.2gと1,4-シクロヘキサンジメタノール158.1g及びテトラ-n-ブチルチタネートの6%ブタノール溶液0.87mlを 窒素フロー
下で150℃まで加熱した後、200℃まで1時間をかけて昇温した(1,4-シクロヘ
キサンジカルボン酸/1,4-シクロヘキサンジメタノールの仕込みモル比は100/1
02.5であり、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸100部に対して、1,4-シクロヘキサンジメタノール 85.8部、テトラ-n-ブチルチタネートの6%ブタノール溶液 0.005部) 。その後200℃で1時間保持しエステル化反応を行った後、200℃か
ら250℃へ45分間で昇温しつつ徐々に反応器内を減圧にしながら重縮合反応を行った。反応器内圧力0.1KPa、反応温度250℃で2時間重合後、得られたポリマーをスト
ランド状に水中に抜き出した後ペレット状にした。得られたペレットは80℃で5時間、真空乾燥機で乾燥した。乾燥後のポリマーの固有粘度は0.97dl/gであった。また、ポリマー中の1,4-シクロヘキサンジカルボン酸成分のトランス体、シス体の割合は、92%、及び8%であり、1,4-シクロヘキサンジメタノール成分のトランス体、シス体の割合は、72%、及び28%であった。
<実施例1>
[下引き層の形成]
下引き層用塗布液は以下のように作製した。平均一次粒子径40nmのルチル型酸化チタン(石原産業社製「TTO55N」)と、該酸化チタンに対して3質量%のメチルジメトキシシラン(東芝シリコーン社製「TSL8117」)とを、ヘンシェルミキサーにて混合して得られた表面処理酸化チタンを、メタノール/1−プロパノールの質量比が7/3の混合溶媒中でボールミルにより分散させることにより、表面処理酸化チタンの分散スラリーとした。該分散スラリーと、メタノール/1−プロパノール/トルエンの混合溶媒及び、ε−カプロラクタム/ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタン/ヘ
キサメチレンジアミン/デカメチレンジカルボン酸/オクタデカメチレンジカルボン酸の組成モル比率が、60%/15%/5%/15%/5%からなる共重合ポリアミドのペレットとを加熱しながら撹拌、混合してポリアミドペレットを溶解させた後、超音波分散処理を行なうことにより、メタノール/1−プロパノール/トルエンの質量比が7/1/2で、表面処理酸化チタン/共重合ポリアミドを質量比3/1で含有する、固形分濃度18.0%の下引き層用塗布液を作製した。この塗布液を、アルミ板上に表面にアルミ蒸着したポリエチレンテレフタレートシート(厚さ75μm)上に、乾燥後の膜厚が1.2μmになるようにワイアバーで塗布、乾燥して下引き層を設けた。
電荷発生物質として、図2に示す粉末X線回折スペクトルパターンを有するY型チタニルフタロシアニン20部と1,2−ジメトキシエタン280部を混合し、サンドグラインドミルで2時間粉砕して微粒化分散処理を行った。続いて、ポリビニルブチラール(電気化学工業(株)製、商品名「デンカブチラール」#6000C)の2.5%1,2−ジメトキシエタン溶液400部と、170部の1,2−ジメトキシエタンを混合して分散液を調製した。この分散液を、前記下引き層上にバーコーターで塗布して、乾燥後の膜厚が0.4μmとなるように電荷発生層を形成した。
電荷輸送層用塗布液は以下のように作製した。下記構造の電荷輸送物質(1)を40部、バインダー樹脂として上記合成例で合成した下記構造の繰り返し単位を持つポリエステル樹脂―1を100部、酸化防止剤として下記酸化防止剤−1を2部、レベリング剤としてシリコーンオイル(信越シリコーン社製:商品名 KF−96)0.05部をテトラヒドロフラン(以下適宜THFと略)とトルエン(以下適宜TLと略)の混合溶媒(THF
80質量%、TL 20質量%)640部に混合し、電荷輸送層用塗布液を調製した。
実施例1において、電荷輸送層のバインダー樹脂として上記構造のポリエステル樹脂―1を100部使用する代わりに、ポリエステル樹脂―1を10部と下記構造の繰り返し単位を持つポリアリレート樹脂―1を90部にした以外は実施例1と同様の操作を行い、感光体2を作製した。
実施例1において、電荷輸送層のバインダー樹脂として上記構造のポリエステル樹脂―1をポリアリレート樹脂―1に変えた以外は実施例1と同様の操作を行い、感光体3を作製した。
<実施例3>
実施例1において、電荷輸送物質(1)を下記構造の電荷輸送物質(2)に変えた以外は実施例1と同様の操作を行い、感光体4を作製した。
実施例3において、ポリエステル樹脂―1をポリアリレート樹脂―1に変えた以外は実施例3と同様の操作を行い、感光体5を作製した。
<比較例3>
実施例3において、ポリエステル樹脂―1を下記構造の繰り返し単位を持つポリカーボネート樹脂―1に変えた以外は実施例3と同様の操作を行い、感光体6を作製した。
実施例1において、電荷輸送物質(1)を下記構造の電荷輸送物質(3)に変えた以外は実施例1と同様の操作を行い、感光体7を作製した。
実施例4において、ポリエステル樹脂―1をポリアリレート樹脂―1に変えた以外は実施例4と同様の操作を行い、感光体8を作製した。
<比較例5>
実施例4において、ポリエステル樹脂―1をポリカーボネート樹脂―1に変えた以外は実施例4と同様の操作を行い、感光体9を作製した。
実施例1において、電荷輸送物質(1)を下記構造の電荷輸送物質(4)に変えた以外は実施例1と同様の操作を行い、感光体10を作製した。
実施例1において、電荷輸送物質(1)を下記構造の電荷輸送物質(5)に変えた以外は実施例1と同様の操作を行い、感光体11を作製した。
実施例6において、ポリエステル樹脂―1をポリアリレート樹脂―1に変えた以外は実施例6と同様の操作を行い、感光体12を作製した。
<実施例7>
実施例1において、電荷輸送物質(1)40部に変えて、下記構造の電荷輸送物質(6)を50部使用した以外は実施例1と同様の操作を行い、感光体13を作製した。
実施例7において、ポリエステル樹脂―1を下記構造の繰り返し単位を持つポリアリレート樹脂―2に変えた以外は実施例7と同様の操作を行い、感光体14を作製した。
実施例7において、電荷輸送物質(6)を下記構造の電荷輸送物質(7)に変えた以外は実施例7と同様の操作を行い、感光体15を作製した。
実施例8おいて、ポリエステル樹脂―1をポリアリレート樹脂―2に変えた以外は実施例8と同様の操作を行い、感光体16を作製した。
<実施例9>
実施例7において、電荷輸送物質(6)を下記構造の電荷輸送物質(8)に変えた以外は実施例7と同様の操作を行い、感光体17を作製した。
実施例9おいて、ポリエステル樹脂―1をポリアリレート樹脂―2に変えた以外は実施例9と同様の操作を行い、感光体18を作製した。
<実施例10>
実施例7において、電荷輸送物質(6)を下記構造の電荷輸送物質(9)に変えた以外は実施例7と同様の操作を行い、感光体19を作製した。
実施例10おいて、ポリエステル樹脂―1をポリアリレート樹脂―1に変えた以外は実施例10と同様の操作を行い、感光体20を作製した。
<実施例11>
実施例2において、電荷輸送層中のポリエステル樹脂―1を下記構造の繰り返し単位を持つポリエステル樹脂―2にして、THF/TLをジクロロメタンに変えて実施例2と同様の操作を行い、感光体21を作製した。
実施例1おいて、ポリエステル樹脂―1をポリエステル系樹脂バイロン200(TOYOBO製)に変えた以外は実施例1と同様の操作を行い、感光体22を作製した。
<電気特性用シートサンプル>
実施例1〜4と比較例1〜5および比較例11については、表面にアルミ蒸着したポリエチレンテレフタレートシート(厚さ75μm)上にも同様に、下引き層、電荷発生層、電荷輸送層を作製し、以下の方法で電気特性を測定した。
特定の光量を照射した時の表面電位の減衰特性を次のように測定した。電子写真学会測定標準に従って製造された電子写真特性評価装置(続電子写真技術の基礎と応用、電子写真学会編、コロナ社、404〜405頁記載)を使用し、温度25℃、相対湿度50%の環境下、ドラムを一定回転数95rpmで回転させ、感光体の初期表面電位が−700になるように帯電させ、ハロゲンランプの光を干渉フィルターで780nmの単色光とした光を露光し、表面電位が−350Vに低下するまでの露光量(以下、感度と呼ぶことがある。)を測定した。感度測定に際しては、露光から電位測定に要する時間を60msとした。感度の値は小さい方が高感度である。また、NDフィルターを使用して光量を0.27μJ/cm2に調整した光を露光した際の、表面電位VL(単位:−V)を測定した。VLは、値の絶対値が小さいほど好ましい。
実施例と比較例で作製した感光体上に、NTカッターを用いて、2mm間隔で縦に6本、横に6本切り込みを入れ、5×5の25マスを作製した。その上からセロハンテープ(3M)を密着して貼り付け、接着面に対し90゜に引き上げることで、感光層(電荷発生層)と下引き層の接着性を試験した。これを2箇所行い、計50マスのうち、支持体上に残存した感光層のマス数の割合を残存率として評価した。残存したマス数が多いほど残存率は高く、接着性は良好である。結果を「表−2」に示す。
<実施例12>
実施例1で調整した電荷発生層用の液を、外径24mm、長さ248mm、肉厚0.75mmのアルミニウム合金よりなるシリンダー上に、乾燥後の膜厚が0.4μmとなるように浸漬塗布した後、乾燥して下引き層を形成した。
2°)7.6°、10.3°、22.5°、24.2°、25.4°及び28.6°に主たる回折ピークを示し、図3に示す粉末X線回折スペクトルを有するα型チタニルフタロシアニン4.5部をトルエン124部と共にサンドグラインドミルにより分散することで、チタニルフタロシアニン分散液を得た。一方、下記構造の電荷輸送物質(10)を70部と、下記構造の電子輸送物質(1)を40部、下記構造を繰り返し単位として持つポリカーボネート樹脂―2を95部、実施例1で用いたポリエステル樹脂―1を5部、酸化防止剤―1を2部とをTHF450部に溶解した。これにレベリング剤としてシリコーンオイル0.05部を加え、更に前記チタニルフタロシアニン分散液を加えて、ホモジナイザーにより均一になるように混合した。このように調製した塗布液を、上述の下引き層上に、乾燥後の膜厚が20μmになるように浸漬塗布して感光層を形成し、125℃で20分加熱乾燥することで単層型感光体ドラムAを作製した。
実施例12において、バインダー樹脂としてポリカーボネート樹脂―2の単独組成に変えた以外は、実施例12と同様の操作を行い単層型感光体ドラムBを作製した。
<耐刷評価試験>
実施例12及び比較例12で得られた正帯電単層型感光体ドラムを、帯電ローラによる接触帯電方式を用いるプリンター(FS−1040、京セラミタ株式会社製)に装着し、実写テストを実施した。いずれの感光体ドラムでも、良好な初期画像が得られた。引き続き5万枚印刷を続けた後に感光体ドラムを観察すると、比較例12のドラムBでは両端部付近の周方向に太いスジ状の剥がれがあった。一方で実施例12のドラムAの感光層には異常は見られなかった。
わかる。
2 帯電装置(帯電ローラ;帯電部)
3 露光装置(露光部)
4 現像装置(現像部)
5 転写装置
6 クリーニング装置
7 定着装置
41 現像槽
42 アジテータ
43 供給ローラ
44 現像ローラ
45 規制部材
71 上部定着部材(定着ローラ)
72 下部定着部材(定着ローラ)
73 加熱装置
T トナー
P 記録紙(用紙,媒体)
Claims (6)
- 前記式(1)のジカルボン酸成分が1,4−シクロヘキサンジカルボン酸であることを
特徴とする請求項1に記載の電子写真感光体。 - 前記1,4−シクロヘキサンジカルボン酸成分において、トランス体の割合が85モル
%以上であることを特徴とする請求項2に記載の電子写真感光体。 - 前記式(2)のジオール成分が、1,4−シクロヘキサンジメタノールであることを特
徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の電子写真感光体。 - 請求項1〜4のいずれか1項に記載の電子写真感光体、ならびに、該電子写真感光体を
帯電させる帯電装置、該帯電した電子写真感光体を露光させて静電潜像を形成する露光装
置、及び、該電子写真感光体上に形成された静電潜像を現像する現像装置からなる群から
選ばれる少なくとも1つを備えたことを特徴とする電子写真感光体カートリッジ。 - 請求項1〜4のいずれか1項に記載の電子写真感光体、該電子写真感光体を帯電させる
帯電装置と、該帯電した電子写真感光体を露光させて静電潜像を形成する露光装置、及び
、該電子写真感光体上に形成された静電潜像を現像する現像装置、を備えたことを特徴と
する画像形成装置。
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