JP2016137941A - 積層剥離容器 - Google Patents

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Abstract

【課題】容器の収容部に外気導入孔を有する積層剥離容器において外殻と内袋の間に外気をスムーズに導入することが可能な積層剥離容器を提供する。【解決手段】本発明によれば、内容物を収容する収容部と、前記収容部から前記内容物を吐出する口部とを備え、且つ外殻と内袋とを有し且つ内容物の減少に伴って前記内袋が前記外殻から剥離し収縮する容器本体を備え、前記外殻は、前記外殻と前記内袋の間の中間空間と前記容器本体の外部空間を連通する外気導入孔を前記収容部に備え、前記外気導入孔を挟むように溝状リブが設けられる、積層剥離容器が提供される。【選択図】図1

Description

本発明は、積層剥離容器に関する。
従来、内容物の減少に伴って内層が外層から剥離し収縮することによって容器の内部に空気が入り込むことを抑制する積層剥離容器が知られている(例えば、特許文献1)。このような積層剥離容器は、内層によって構成される内袋と、外層によって構成される外殻を備える。
特許文献1では、内容物を吐出した後に外殻と内袋の間に外気がスムーズに導入されないという課題を解決するために、口部に設けた外気導入孔から下方に中心角90度で広がる領域に縦リブを設けている。
特開2014−91537号公報
特許文献1の技術は外気導入孔が容器の口部に形成されていることを前提としているものであり、容器の収容部に外気導入孔を設けるタイプの積層剥離容器には適用が困難である。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、容器の収容部に外気導入孔を有する積層剥離容器において外殻と内袋の間に外気をスムーズに導入することが可能な積層剥離容器を提供するものである。
本発明によれば、内容物を収容する収容部と、前記収容部から前記内容物を吐出する口部とを備え、且つ外殻と内袋とを有し且つ内容物の減少に伴って前記内袋が前記外殻から剥離し収縮する容器本体を備え、前記外殻は、前記外殻と前記内袋の間の中間空間と前記容器本体の外部空間を連通する外気導入孔を前記収容部に備え、前記外気導入孔を挟むように溝状リブが設けられる、積層剥離容器が提供される。
本発明者は、容器の収容部に外気導入孔を有する積層剥離容器の開発を行っている際に、内容物の初回吐出後に外殻形状が復元されにくい場合があるという現象を発見した。そして、その原因を詳しく調べたところ、内袋の剛性が比較的大きい場合には内袋が萎みにくく、その結果、内袋が弁部材を外殻に押し付けたり、内袋が弁部材に密着して弁部材の通気孔を塞いだりして、外殻と内袋の間の空間に外気がスムーズに導入されにくくなることが原因であることが分かった。この知見に基づき、内袋を萎みやすくすべく、検討を行ったところ、外気導入孔を挟むよう溝状リブを設けることによって内袋を萎みやすくさせることが可能になることを見出し、本発明の完成に到った。
以下、本発明の種々の実施形態を例示する。以下に示す実施形態は互いに組み合わせ可能である。
好ましくは、前記溝状リブは、前記外気導入孔を周方向の両側から挟むように設けられる。
好ましくは、前記溝状リブは、前記口部に向かって前記外気導入孔から周方向に離れるように傾斜して延びるように設けられる第1及び第2溝状リブを備える。
好ましくは、第1及び第2溝状リブは、正面図上での角度が30〜100度になるように設けられる。
好ましくは、第1及び第2溝状リブは、正面図上で、その延長線の交点と前記外気導入孔の中心の間の距離が5〜35mmの位置になるように設けられる。
好ましくは、前記外気導入孔と前記溝状リブは、略同一平面上に設けられる。
好ましくは、前記溝状リブは、前記外気導入孔を弧状に囲むように延びる。
好ましくは、前記溝状リブは、前記溝状リブの周方向に互いに離間された複数の溝部で構成される。
好ましくは、前記溝状リブは、前記外気導入孔から離れる方向に互いに離間されて設けられた複数の弧部を備える。
好ましくは、前記外気導入孔は、前記収容部に設けられた弁部材取付凹部に形成され、前記溝状リブは、前記弁部材取付凹部を挟むように設けられる。
好ましくは、前記溝状リブは、断面が半円形状である。
本発明の第1実施形態の積層剥離容器1の容器本体3の構造を示し、(a)は正面図、(b)は斜視図である。 図1(a)中のA−A断面図である。 図1の容器本体3に弁部材5を装着し、且つ底シール突出部27を折り曲げた状態を示す、図1(a)中のB−B断面に対応した断面図である。 図3の口部9を含む領域の拡大図である。 (a)は弁部材5の斜視図であり、(b)〜(c)は溝状リブ7c1,7c2を設けることによって内袋14に折れ部14aが形成されて内袋14が弁部材5を外殻12に押し付ける力が弱まることを説明するための模式的な断面図である。 (a)〜(b)は、従来技術において、内袋14が弁部材5を外殻12に押し付けることによる問題を説明するための模式的な断面図である。 (a)〜(g)は、溝状リブの種々の変形例を示す正面図である。 図3の底面29を含む領域の拡大図であり、(a)は底シール突出部27が折り曲げられる前の状態を示し、(b)は、底シール突出部27が折り曲げられた後の状態を示す。 内層13の層構成を示す断面図である。 本発明の第2実施形態の積層剥離容器1の容器本体3の構造を示し、(a)は正面図、(b)は(a)中の領域Aの拡大図である。 図10の容器本体3に弁部材5を装着した状態での図10(b)中のB−B断面を示し、(a)は内側弧部7iの縁において内袋14に折れ部14aが形成されている状態を示し、(b)は外側弧部7jの縁において内袋14に折れ部14aが形成されている状態を示す。 (a)は、図10の容器本体3に弁部材5を装着した状態での図10(b)中のC−C断面を示し、(b)〜(c)は、凹部7aの底面と溝7bの底面の間の角度を示す模式図である。(b)は溝7bに屈曲部Yがない状態、(c)は溝7bに屈曲部がある状態を示す。 本発明の第3実施形態の積層剥離容器1での、図10(b)中のB−B断面に対応した部位の断面図である。(a)は内袋14の予備剥離後の状態を示し、(b)は内袋14に内容物を充填した後の状態を示す。
以下、本発明の実施形態について説明する。以下に示す実施形態中で示した各種特徴事項は、互いに組み合わせ可能である。また、各特徴について独立して発明が成立する。
1.第1実施形態
図1〜図4に示すように、本発明の第1実施形態の積層剥離容器1は、容器本体3と、弁部材5を備える。容器本体3は、内容物を収容する収容部7と、収容部7から内容物を吐出する口部9を備える。
図3に示すように、 容器本体3は、収容部7及び口部9において、外層11と内層13を備えており、外層11によって外殻12が構成され、内層13によって内袋14が構成される。内容物の減少に伴って内層13が外層11から離れることによって、内袋14が外殻12から離れて収縮する。なお、収容部7に内容物を収容する前に内層13を外層11から剥離する予備剥離工程を行う場合がある。この場合、予備剥離後に収容部7内にエアーを吹き込むか又は内容物を収容することによって内層13を外層11に接触させる。そして、内容物の減少に伴って内層13が外層11から離れる。一方、予備剥離工程を行わない場合は、内容物の吐出の際に内層13が外層11から剥離されて外層11から離れる。
図4に示すように、口部9は、雄ネジ部9dが設けられている。雄ネジ部9dには、雌ねじを有するキャップやポンプなどが取り付けられる。図4には、インナーリング25を有するキャップ23の一部を図示している。インナーリング25の外径は、口部9の内径と略同じであり、インナーリング25の外面が口部9の当接面9aに当接することによって内容物の漏れ出しが防がれる。本実施形態では、口部9の先端には拡径部9bが設けられており、拡径部9bでの内径は、当接部9eでの内径よりも大きくなっているため、インナーリング25の外面は、拡径部9bには接触しないようになっている。口部9に拡径部9bがない場合は、口部9の内径が製造時のバラツキによってわずかでも小さくなった場合にはインナーリング25が外層11と内層13の間に入り込んでしまうという不具合が生じる場合があったが、口部9に拡径部9bがある場合は、口部9の内径が若干ばらついてもそのような不具合が生じない。
また、口部9は、当接部9eよりも収容部7に近い位置に、内層13のズレ落ちを抑制する内層支持部9cを備える。内層支持部9cは、口部9にくびれを設けることによって形成される。口部9に拡径部9bを設けた場合であっても、インナーリング25と内層13との摩擦によって内層13が外層11から剥離してしまう場合がある。本実施形態では、このような場合でも、内層支持部9cによって内層13のズレ落ちが抑制されるので、内袋14が外殻12内に脱落してしまうことを抑制することができる。
収容部7は、口部9側から順に肩部7d、小径胴部7e、及び大径胴部7gを備える。小径胴部7e及び大径胴部7gは、略円筒状になっており、大径胴部7gは、小径胴部7eよりも断面積が大きい。肩部7dは、口部9と小径胴部7eを連結する部位であり、拡径部7fは、小径胴部7eと大径胴部7gを連結する部位である。
小径胴部7eには、傾斜した平面からなる弁部材取付凹部7aが設けられており、凹部7aに外気導入孔15が設けられている。外気導入孔15は、外殻12にのみ設けられた貫通孔であり、外殻12と内袋14の間の中間空間21と、容器本体3の外部空間Sとを連通する。本実施形態では、外気導入孔15には、中間空間21と外部空間Sとの間の空気の出入りを調節する弁部材5が装着されている。凹部7aは、収容部7をシュリンクフィルムで覆う際に弁部材5とシュリンクフィルムの干渉を避けるために設けられている。また、凹部7aがシュリンクフィルムで密閉されてしまわないように凹部7aから口部9の方向に延びる空気流通溝7bが設けられる。
また、小径胴部7eには、外気導入孔15を挟むように第1及び第2溝状リブ7c1,7c2が設けられている。溝状リブ7c1,7c2は、外気導入孔15(より具体的には凹部7a)を周方向の両側から挟むように設けられている。また、溝状リブ7c1,7c2は、口部9に向かって外気導入孔15から周方向に離れるように傾斜して延びるように形成されている。つまり、溝状リブ7c1,7c2は、略V字状に設けられている。溝状リブ7c1,7c2には、外気導入孔15よりも口部9から離れた位置から肩部7dにまで到達するように設けられている。また、溝状リブ7c1,7c2は、外気導入孔15の下方の中心角90度で広がる領域dの範囲外に設けられている。溝状リブ7c1,7c2は、正面図上での角度aが30〜100度(好ましくは45〜80度)になるように設けられている。また、溝状リブ7c1,7c2は、正面図上で、その延長線の交点Qと外気導入孔15の中心の間の距離bが5〜35mm(好ましくは10〜25mm)になるように設けられている。さらに、交点Qから肩部7dまでの正面図上での距離cが20〜60mm(好ましくは30〜45mm)となっている。b/cは、0.2〜0.8(好ましくは0.3〜0.6)となっている。本明細書において、正面図とは、図1(a)に示すように、口部9の縁によって形成される面αに垂直であり、且つ口部9の中心軸Cと外気導入孔15の中心を通る面βに垂直である面を、外気導入孔15側から見た図である。図2に示すように、外気導入孔15と溝状リブ7c1,7c2は、略同一平面上に設けられている。溝状リブ7c1,7c2を設けることの技術的意義及び本実施形態において溝状リブ7c1,7c2を上記のように形成した理由は後述する。
図4〜図5に示すように、弁部材5は、外気導入孔15内に配置される軸部5aと、軸部5aの中間空間21側に設けられ且つ軸部5aよりも断面積が大きい蓋部5cと、軸部5aの外部空間S側に設けられ且つ弁部材5が中間空間21に入り込むことを防ぐ係止部5bを備える。弁部材5は、蓋部5cが外気導入孔15を押し広げながら、蓋部5cに中間空間21内に挿入することによって容器本体3に装着することができる。そのため、蓋部5cの先端は、先細り形状になっていることが好ましい。このような弁部材5は、容器本体3の外側から蓋部5cを中間空間21内に押し込むだけで装着可能なので、生産性に優れている。
蓋部5cは、外殻12を圧縮した際に外気導入孔15を実質的に閉塞させるように構成され、軸部5aに近づくにつれて断面積が小さくなる形状になっている。また、係止部5bは、外殻12が圧縮された後に復元する際に中間空間21に空気が導入可能なように構成される。外殻12を圧縮すると、中間空間21内の圧力が外圧よりも高くなって、中間空間21内の空気が外気導入孔15から外部に漏れ出す。この圧力差と空気の流れによって蓋部5cが外気導入孔15に向かって移動し、図5(b)に示すように、蓋部5cが外気導入孔15を閉塞する。蓋部5cが軸部5aに近づくにつれて断面積が小さくなる形状であるので、蓋部5cが容易に外気導入孔15に嵌って外気導入孔15を閉塞する。
この状態で外殻12をさらに圧縮すると、中間空間21内の圧力が高まり、その結果、内袋14が圧縮されて、内袋14内の内容物が吐出される。また、外殻12への圧縮力を解除すると、外殻12が自身の弾性によって復元しようとする。この際、図5(c)に示すように、蓋部5cが外気導入孔15から離れて、外気導入孔15の閉塞が解除されて、中間空間21内に外気が導入される。また、係止部5bが外気導入孔15を塞いでしまわないように、係止部5bには流通路5dが設けられており、係止部5bが外殻12に当接した状態でも、流通路5d及び外気導入孔15を通じて、外気が中間空間21内に導入可能になっている。
ここで、図5(b)〜(c)及び図6(a)〜(b)を用いて、溝状リブ7c1,7c2を設けることの技術的意義について説明する。
まず、図6(a)〜(b)を用いて従来の積層剥離容器における課題を説明する。図6(a)に示すように、内容物の初回吐出時には、内袋14は内容物によって膨張されて、内袋14が弁部材5の蓋部5cに接触した状態になっている。そして、外殻12及び内袋14を圧縮することによって内袋14内の内容物を吐出した後に圧縮力を解除すると、外殻12が自身の弾性によって元の形状に復元しようとして蓋部5cから離れようとする。また、内袋14も自身の弾性によって元の形状に復元しようとするので、蓋部5cを外殻12に押し付ける方向の力Fが内袋14によって蓋部5cに加えられる。内袋14の剛性が十分に小さい場合には、外殻12と蓋部5cの間に容易に隙間が形成されて、外殻12が速やかに元の形状に復元する。一方、内袋14の剛性が大きくなるにつれて力Fが大きくなって、蓋部5cが外殻12に強く押し付けられるようになる。この状態では、外殻12と蓋部5cの間に隙間が形成されにくく、外殻12の復元性が悪くなる。
本実施形態では、このような課題を解決するために、図5(b)〜(c)に示すように、外気導入孔15を挟むように溝状リブ7c1,7c2を設けている。図5(b)に示すように、溝状リブ7c1,7c2の縁には折れ部14aが形成され、内袋14は、折れ部14aで折れ曲がって容器内側に向かって変形し、内袋14が容器外側に膨らむ方向の力が低減される。このため、内袋14が蓋部5cを外殻12に押し付ける方向の力Fが図6に示す従来技術よりも小さくなり、内容物の初回吐出後に、外殻12と蓋部5cの間に容易に隙間が形成されて、外殻12が速やかに元の形状に復元する。
次に、本実施形態において、溝状リブ7c1,7c2を図1に示すように形状にした理由について説明する。本発明者は内袋14が容器内側に向かって変形しやすい形態を調べるべく、外気導入孔15に棒を挿入して内袋14を容器内側に押し込んでみた。そうすると、口部9に向かって外気導入孔15から周方向に離れるように傾斜して延びる略V字状の折り目ができることが分かった。そして、この折り目ができる位置に溝状リブ7c1,7c2を設けておくことによって、内袋14をよりスムーズに萎ませることができるのではないかと発想し、図1に示す位置に溝状リブ7c1,7c2を設けた。実際に、この位置に溝状リブ7c1,7c2を有する360mL容器の実施例サンプルと溝状リブを有しない360mL容器の比較例サンプルを多数作成し、満充填の状態から内容物を20mL初回吐出させた後に外殻12の形状が復元されるまでの時間を測定したところ、全ての実施例サンプルでは、7秒以内に外殻形状が復元したのに対し、比較例サンプルでは、半分以上のサンプルにおいて、60秒経過後も外殻形状が復元しなかった。このように、溝状リブ7c1,7c2を設けることによって外殻12の復元性が大幅に向上することが実験的に確認された。
但し、図1に示す形状以外の形状の溝状リブを設けた場合でも、内袋14に折れ部14aが形成されることによって上述した作用によって力Fの低減効果が得られる。溝状リブの形状の種々の変形例を図7に示す。図7(a)では、溝状リブ7c1,7c2が略平行に配置されている。図7(b)では、溝状リブ7c1,7c2は、口部9に向かって外気導入孔15に周方向に近づくように傾斜して延びるように形成されている。図7(c)では、溝状リブ7c1,7c2が非対称形状になっている。図7(d)では、溝状リブ7c1,7c2が溝状リブ7c3で連結されている。図7(e)では、外気導入孔15を上下方向の両側から挟むように溝状リブ7c1,7c2が設けられている。図7(f)では、外気導入孔15を囲むように楕円形の溝状リブ7cが設けられている。図7(g)では、凹部7aが設けられていない容器の収容部に形成された外気導入孔15を挟むように溝状リブ7c1,7c2が設けられている。また、溝状リブの断面形状は半円に限定されず、折れ部14aが形成される形状であれば別の形状であってもよい。なお、溝状リブは、溝状リブが外気導入孔15に最も近接する点と外気導入孔15の縁の間の距離が3〜30mm(好ましくは5〜20mm)になるように形成することが好ましい。このような範囲内の場合に、力Fの低減効果が特に大きいからである。
本実施形態では、図3に示すように、容器中心軸Cから大径胴部7gでの容器内面までの距離L2が、容器中心軸Cから小径胴部7eでの容器内面までの距離L1の1.5倍(好ましくは1.6,1.7,1.8,1.9又は2.0)以上となっている。本実施形態の積層剥離容器1は、ブロー成形によって形成されるものであり、L2/L1が大きいほど外気導入孔15が形成される部位である小径胴部7eでのブロー比が小さくなって肉厚が厚くなり、内袋14の剛性が高くなってしまい、内袋14が弁部材5を外殻12に押し付ける力が強くなる。従って、L2/L1が1.5以上である積層剥離容器において溝状リブを設けることによる効果が特に大きい。
また、本実施形態では、外気導入孔15の縁と弁部材5の間の隙間を弁部材5の移動によって開閉することによって、弁部材5が外気導入孔15を開閉するように構成されているが、弁部材自体に貫通孔と開閉可能な弁を設けて、この弁の働きによって貫通孔を開閉することによって、外気導入孔15を開閉するように構成してもよい。このような構成の弁部材を用いる場合には、内袋14が弁部材に密着して弁部材の通気孔を塞ぐことによって外気の導入が妨げられる場合があるという問題が存在しており、この問題は、本実施形態と同様に、外気導入孔15を挟むよう溝状リブを設けることによって解決可能である。
図1(b)に示すように、収容部7の底面29には、中央凹領域29aと、その周囲に設けられる周縁領域29bが設けられ、中央凹領域29aには、底面29から突出する底シール突出部27が設けられる。図8(a)〜(b)に示すように、底シール突出部27は、外層11と内層13を備える円筒状の積層パリソンを用いたブロー成形における、積層パリソンのシール部である。底シール突出部27は、底面29側から順にはベース部27dと、薄肉部27aと、薄肉部27aよりも肉厚が大きい厚肉部27bを備える。
ブロー成形の直後は、底シール突出部27は、図8(a)に示すように、周縁領域29bによって規定される面Pに対して略垂直に立っている状態であるが、この状態では、容器に衝撃が加わったときに、溶着部27cにおける内層13同士が分離されやすく、耐衝撃性が不十分である。そこで、本実施形態では、ブロー成形後に底シール突出部27に熱風を吹き付けることによって薄肉部27aを軟化させて図8(b)に示すように、薄肉部27aにおいて底シール突出部27を折り曲げている。このように、単に、底シール突出部27を折り曲げるという単純な工程によって底シール突出部27の耐衝撃性を向上させている。また、図8(b)に示すように、底シール突出部27は、折り曲げられた状態で周縁領域29bによって規定される面Pから突出しないようになっている。これによって、積層剥離容器1を立てた時に、底シール突出部27が面Pからはみ出して積層剥離容器1がグラグラすることが防止される。
なお、ベース部27dは、薄肉部27aよりも底面29側に設けられ且つ薄肉部27aよりも肉厚の部分であり、ベース部27dは、なくてもよいが、ベース部27d上に薄肉部27aを設けることによって底シール突出部27の耐衝撃性をさらに向上させることができる。
また、図1(b)に示すように、底面29の凹領域は、底シール突出部27の長手方向において底面29全体を横切るように設けられる。つまり、中央凹領域29aと周縁凹領域29cがつながっている。このような構成によって、底シール突出部27を折り曲げやすくなっている。
次に、容器本体3の層構成についてさらに詳細に説明する。容器本体3は、外層11と内層13を備える。
外層11は、例えば、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体及びその混合物などで構成される。外層11は、複数層構成であってもよい。例えば、リプロ層の両側をポリプロピレン層で挟んだ構成であってもよい。ここで、リプロ層とは、容器の成形時にでたバリをリサイクルして使用した層をいう。また、外層11は、復元性が高くなるように、内層13よりも肉厚に形成される。
本実施形態では、外層11は、プロピレンと別のモノマーとの間のランダム共重合体からなるランダム共重合体層を備える。外層11は、ランダム共重合体層の単層であってもよく、複数層構成であってもよい。例えば、リプロ層の両側をランダム共重合体層で挟んだ構成であってもよい。外層11を特定構成のランダム共重合体で構成することによって、外殻12の形状復元性・透明性・耐熱性を向上させることができる。
ランダム共重合体は、プロピレン以外のモノマーの含有量が、50mol%よりも小さいものであり、5〜35mol%が好ましい。この含有量は、具体的には例えば、5、10、15、20、25、30mol%であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。プロピレンと共重合されるモノマーとしては、ポリプロピレンのホモポリマーに比べた場合のランダム共重合体の耐衝撃性を向上させるものであればよく、エチレンが特に好ましい。プロピレンとエチレンのランダム共重合体の場合、エチレンの含有量は、5〜30mol%が好ましく、具体的には例えば、5、10、15、20、25、30mol%であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。ランダム共重合体の重量平均分子量は、10〜50万が好ましく、10〜30万がさらに好ましい。この重量平均分子量は、具体的には例えば、10、15、20、25、30、35、40、45、50万であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
また、ランダム共重合体の引張弾性率は、400〜1600MPaが好ましく、1000〜1600MPaが好ましい。引張弾性率がこのような範囲の場合に、形状復元性が特に良好であるからである。引張弾性率は、具体的には例えば、400、500、600、700、800、900、1000、1100、1200、1300、1400、1500、1600Mpaであり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
尚、容器が過度に硬いと、容器の使用感が悪くなるため、ランダム共重合体に、例えば、直鎖状低密度ポリエチレンなどの柔軟材料を混合して外層11を構成してもよい。ただし、ランダム共重合体に対して混合する材料は、ランダム共重合体の有効な特性を大きく阻害することのなきよう、混合物全体に対して50重量%未満となるように混合することが好ましい。例えば、ランダム共重合体と直鎖状低密度ポリエチレンとを85:15の重量割合で混合した材料により外層11を構成することができる。
図9に示すように、内層13は、容器外面側に設けられたEVOH層13aと、EVOH層13aの容器内面側に設けられた内面層13bと、EVOH層13aと内面層13bの間に設けられた接着層13cを備える。EVOH層13aを設けることでガスバリア性、及び外層11からの剥離性を向上させることができる。接着層13cは省略可能である。
EVOH層13aは、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)樹脂からなる層であり、エチレンと酢酸ビニル共重合物の加水分解により得られる。EVOH樹脂のエチレン含有量は、例えば25〜50mol%であり、酸素バリア性の観点から32mol%以下が好ましい。エチレン含有量の下限は、特に規定されないが、エチレン含有量が少ないほどEVOH層13aの柔軟性が低下しやすいので25mol%以上が好ましい。また、EVOH層13aは、酸素吸収剤を含有することが好ましい。酸素吸収剤をEVOH層13aに含有させることにより、EVOH層13aの酸素バリア性をさらに向上させることができる。
EVOH樹脂の融点は、外層11を構成する樹脂(例:ランダム共重合体)の融点よりも高いことが好ましい。外気導入孔15は、加熱式の穿孔装置を用いて外層11に形成することが好ましいが、EVOH樹脂の融点を外層11を構成する樹脂の融点よりも高くすることによって、外層11に外気導入孔15を形成する際に、孔が内層13にまで到達することを防ぐ。この観点から、(EVOHの融点)−(外層11を構成する樹脂の融点)の差は大きい方がよく、15℃以上であることが好ましく、30℃以上であることが特に好ましい。この融点の差は、例えば5〜50℃であり、具体的には例えば、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50℃であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
内面層13bは、積層剥離容器1の内容物に接触する層であり、例えば、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体及びその混合物などのポリオレフィンからなり、低密度ポリエチレン又は直鎖状低密度ポリエチレンからなることが好ましい。内面層13bを構成する樹脂の引張弾性率は、50〜300MPaが好ましく、70〜200MPaが好ましい。引張弾性率がこのような範囲の場合に、内面層13bが特に柔軟であるからである。引張弾性率は、具体的には例えば、具体的には例えば、50、100、150、200、250、300Mpaであり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
接着層13cは、EVOH層13aと内面層13bとを接着する機能を有する層であり、例えば上述したポリオレフィンにカルボキシル基を導入した酸変性ポリオレフィン(例:無水マレイン酸変性ポリエチレン)を添加したものや、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)である。接着層13cの一例は、低密度ポリエチレン又は直鎖状低密度ポリエチレンと、酸変性ポリエチレンの混合物である。
2.第2実施形態
図10〜図12を用いて、本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態は、第1実施形態に類似しており、溝状リブ7cの形状が異なっている点が主な相違点である。以下、相違点を中心に説明する。
本実施形態では、図10(a)〜(b)に示すように、溝状リブ7cは、外気導入孔15を弧状に(好ましくは円弧状に)囲むように設けられている。溝状リブ7cは、内側弧部7i及び外側弧部7jを備える。弧部7i,7jは、外気導入孔15から離れる方向に(つまり、外気導入孔15を中心とする径方向に)互いに離間されて配置されている。内側弧部7iは、外側弧部7jよりも外気導入孔15に近い位置に配置されている。弧部7i,7jは、略同心円状に配置されており、弧部7i,7jのそれぞれを通る円の中心は、外気導入孔の中心に略一致している。図11(a)〜(b)に示すように、弧部7i,7jのそれぞれの縁において内袋14に折れ部14aが形成可能であり、弧部7i,7jを設けることによって、内袋14が容器外側に向かって膨らむ方向の力が低減されるという効果が奏される。また、複数の弧部7i,7jを設けることによって複数箇所で折れ部14aが形成可能になり、各折れ部14aにおいて内袋14が膨らむ方向の力が低減される。なお、溝状リブ7cは、少なくとも1つの弧部を備えればよく、弧部7i,7jの一方は省略可能である。
弧部7i,7jは、それぞれ、口部9の中心と外気導入孔15の中心を通る面(図10(b)のC−C断面)βに対して面対称になるように設けられている。具体的には、弧部7i,7jは、それぞれ、面βの左右のそれぞれに、弧部7i,7jの周方向に互いに離間された複数の溝部7i1〜7i3,7j1〜7j3を備える。弧部7i,7jは、面βの左右のそれぞれに、1つ溝部を備えるように構成してもよいが、弧部7i,7jをそれぞれ複数の溝部7i1〜7i3,7j1〜7j3で構成することによって、内袋14の折れ部14aが安定して形成されるという利点がある。
図11(a)〜(b)は、容器本体3の成形後に、収容部7に内容物を収容する前に内袋14を外殻12から剥離する予備剥離を行い、その後、収容部7内に内容物を充填した後の状態を示す。図11(a)は、内側弧部7iにおいて折れ部14aが形成されるように予備剥離及び内容部の充填を行った後の状態を示し、図11(b)は、外側弧部7jにおいて折れ部14aが形成されるように予備剥離及び内容部の充填を行った後の状態を示す。図11(a)〜(b)において、内袋14は、弁部材5に非接触になっている。このため、内袋14が弁部材5を外殻12に押し付けて外気導入孔15を閉塞させることがなく、内容物の吐出後に外気導入孔15を通じて外気が速やかに中間空間21内に導入されて外殻12が元の形状にスムーズに復元する。なお、内袋14が弁部材5に接触した状態になるように予備剥離及び内容部の充填を行ってもよい。この場合でも、内袋14が容器外側に向かって膨らむ方向の力が低減されるので、外殻12の復元性向上の効果が奏される。
収容部7には傾斜した平面からなる弁部材取付凹部7aが設けられており、凹部7aに外気導入孔15が設けられている。凹部7aがシュリンクフィルムで密閉されてしまわないように凹部7aから口部9の方向に延びる空気流通溝7bが設けられている。図12(b)に示すように、凹部7aの底面と溝7bの底面の間の角度θが150度未満(好ましくは145度未満)である場合には凹部7aの底面と溝7bの底面の間の連結部Xにおいて内袋14に折れ部が形成されてしまい、溝7bにおいて内袋14が外殻12から離れにくくなる場合がある。そこで、本実施形態では、図12(c)に示すように、溝7bの底面を屈曲部Yで屈曲させた第1及び第2部分7b1,7b2で構成することによって凹部7aの底面と溝7bの底面の間の角度θが150度以上(好ましくは155度以上)になるようにしている。また、第1及び第2部分7b1,7b2の間の角度γも150度以上(好ましくは155度以上)になるようにしている。このような構成によれば、連結部X及び屈曲部Yにおいて内袋14に折れ部が形成されず、溝7bにおいて内袋14が速やかに外殻12から離れるという利点が得られる。
3.第3実施形態
図13を用いて、本発明の第3実施形態について説明する。本実施形態は、第3実施形態に類似しており、内袋14の予備剥離の方法が異なっている点が主な相違点である。以下、相違点を中心に説明する。
第2実施形態では、図11(a)〜(b)に示すように、外側弧部7jにおいては内袋14が外殻12から剥離されていないが、本実施形態では、図13(a)に示すように、内側弧部7iと外側弧部7jの両方において内袋14が外殻12から剥離されるように予備剥離を行う。この予備剥離は、例えば外気導入孔15から棒を挿入して、棒で内袋14を押すことによって行うことができる。図13(a)は、予備剥離後の状態であり、弧部7i,7jにおいて、外殻12の内面に凸部7ia,7jaが設けられ、内袋14の外面に凹部7ib,7jbが設けられている。凸部7iaと凹部7ibが相補形状であり、凸部7jaと凹部7jbが相補形状であるが、内袋14を外殻12から剥離する際に内袋14に折れ目が自然とできるために、内袋14内に内容物が充填されて内袋14が外殻12に押し付けられた場合でも、凸部7ia,7jaと凹部7ib,7jbの位置がずれて、凸部7ia,7jaと凹部7ib,7jbが嵌合することがない。このため、内袋14が外殻12から離れた状態が維持され、内袋14が弁部材5を容器外側に押し付ける力が働かないか又はこの力が低減される。
1:積層剥離容器、3:容器本体、5:弁部材、7:収容部、9:口部、11:外層、12:外殻、13:内層、14:内袋、15:外気導入孔、23:キャップ、27:底シール突出部

Claims (11)

  1. 内容物を収容する収容部と、前記収容部から前記内容物を吐出する口部とを備え、且つ外殻と内袋とを有し且つ内容物の減少に伴って前記内袋が収縮する容器本体を備え、
    前記外殻は、前記外殻と前記内袋の間の中間空間と前記容器本体の外部空間を連通する外気導入孔を前記収容部に備え、
    前記外気導入孔を挟むように溝状リブが設けられる、積層剥離容器。
  2. 前記溝状リブは、前記外気導入孔を周方向の両側から挟むように設けられる、請求項1に記載の積層剥離容器。
  3. 前記溝状リブは、前記口部に向かって前記外気導入孔から周方向に離れるように傾斜して延びるように設けられる第1及び第2溝状リブを備える、請求項2に記載の積層剥離容器。
  4. 第1及び第2溝状リブは、正面図上での角度が30〜100度になるように設けられる、請求項3に記載の積層剥離容器。
  5. 第1及び第2溝状リブは、正面図上で、その延長線の交点と前記外気導入孔の中心の間の距離が5〜35mmの位置になるように設けられる、請求項3又は請求項4に記載の積層剥離容器。
  6. 前記外気導入孔と前記溝状リブは、略同一平面上に設けられる、請求項1〜請求項5の何れか1つに記載の積層剥離容器。
  7. 前記溝状リブは、前記外気導入孔を弧状に囲むように延びる、請求項1に記載の積層剥離容器。
  8. 前記溝状リブは、前記溝状リブの周方向に互いに離間された複数の溝部で構成される、請求項7に記載の積層剥離容器。
  9. 前記溝状リブは、前記外気導入孔から離れる方向に互いに離間されて設けられた複数の弧部を備える請求項7又は請求項8に記載の積層剥離容器。
  10. 前記外気導入孔は、前記収容部に設けられた弁部材取付凹部に形成され、前記溝状リブは、前記弁部材取付凹部を挟むように設けられる、請求項1〜請求項9の何れか1つに記載の積層剥離容器。
  11. 前記溝状リブは、断面が半円形状である、請求項1〜請求項10の何れか1つに記載の積層剥離容器。
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