JP2016128403A - 液晶性化合物、液晶組成物およびその重合体 - Google Patents

液晶性化合物、液晶組成物およびその重合体 Download PDF

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Abstract

【課題】波長による屈折率異方性を制御可能な低波長分散特性、更には逆波長分散性を示し、且つ比較的低い温度で液晶相を示し、相溶性や溶解性に優れる化合物並びに該化合物を含有し良好な塗布性等を有する液晶組成物の提供。
【解決手段】式(1)で表される化合物及び該化合物を含む液晶組成物。
Figure 2016128403

(A1は独立して1,4−フェニレン基又は1,4−シクロへキシレン基;Z1は独立して単結合、−CH2CH2COO−基、−OCOCH2CH2基、−OCO−基等、Z1のうち少なくとも一つは−CH2CH2COO−基又は−OCOCH2CH2−基;mは1〜2;R1は重合性基を有する基;Gはベンゾチアゾール基、ベンゾジチオラン基である)。
【選択図】なし

Description

本発明は、波長による屈折率異方性を制御可能で、透明点が低く、溶解性および相溶性に優れる液晶性化合物、該化合物を含む液晶組成物、およびこの液晶組成物から得られる重合体、光学異方性フィルムおよびそれらの用途に関する。
液晶ディスプレイ(LCD)の広視野角化や高コントラスト化を目的として、位相差板を用いた光学補償技術が知られており、このような位相差板としては一般的に高分子フィルムを延伸処理することにより複屈折を制御した延伸フィルムと呼ばれるものが用いられている。
近年、重合性基を持つ液晶化合物が、反射型偏光板、位相差板などの複屈折性(光学異方性)を示す光学異方性フィルムに活用されている。この化合物は液晶状態で複屈折を示し、重合することでその配向が固定される。この重合体の固定された配向状態としては、ホモジニアス(水平配向)、チルト(傾斜配向)、ホメオトロピック(垂直配向)およびツイスト(ねじれ配向)等を挙げることができる。
重合性液晶化合物を用いて得られる位相差板は、従来用いられていた延伸フィルムと比較し、大きな複屈折を示すことから薄膜化が可能であり、基材に直接塗布することが可能であるため接着層を省略することも期待できる。また、強固なネットワーク構造を構築できるため外部環境に対する特性の変化率が小さいなどの優れた特性を有する。さらに、液晶の配向制御により3次元屈折率を容易に制御することが可能であるため、成形性に関しても優れている。
ホモジニアス配向を有する光学異方性フィルムは、例えば、1/2波長板、1/4波長板、または他の光学機能を有するフィルムと組み合わせることで、複合位相差板、円偏光板として使用することができる(特許文献1参照)。
ホメオトロピック配向を有する光学異方性フィルムは、光軸の方向がnz方向にあり、光軸方向の屈折率がその直交する方向の屈折率より大きいため、屈折率楕円体では、ポジティブC−プレートに分類される。このポジティブC−プレートは、他の光学機能を有するフィルムと組み合わせることによって、水平配向した液晶モードいわゆるIPS(In-Plane Switching)モード等の光学補償、例えば偏光板の視野角特性の改善に応用できる(非特許文献1〜3、特許文献2および3)。
光学異方性フィルムに必要な光学的特性は、用途や目的によって異なるので、使用される化合物として多様な液晶化合物が開発されている。また、単独では前記の異方性を制御することが困難であることが多いため、種々の化合物と組み合わせ、液晶組成物として利用される。
このような液晶組成物は塗布性を調節する目的などで有機溶剤へ溶解させ、インクとして使用する。液晶組成物を使用して光学異方性を有するフィルムを製造するには、液晶化合物、光重合開始剤、界面活性剤などを有機溶剤に溶解させて溶液粘度、レベリング性などを調整したインキを調製する。このインキを配向処理した基板に塗布し、溶剤を乾燥させ、液晶組成物を基板上に配向させる。次に紫外線を照射して重合させ、配向状態を固定化する。通常、溶媒を乾燥除去してから重合するまで室温下で行われ、この間は結晶などが析出することなく均一な液晶状態を保たねばならない。そのため、液晶組成物に使用する重合性化合物は、他の液晶性化合物との良好な相溶性や有機溶剤への高い溶解性が必要となり、さらに液晶組成物として溶剤除去後に室温付近での長時間の液晶相の維持が必要となる。また、有機溶剤に関しては環境負荷や人体への影響を考慮し、安全性の高い有機溶剤に対して高い溶解性を有することが求められる。
加えて、該液晶組成物から得られる重合体は光学異方性の特性以外に高い透明性、機械的強度の強さ、基板への高い密着性、収縮性の低さ、高い耐熱性、高い耐薬品性などの特性も求められる。
棒状分子より形成された光学異方性層において、通常、異方性分子の2つの屈折率ne(分子長軸に平行な方向における異常屈折率)とno(分子長軸に垂直な方向における通常屈折率)は波長が大きくなるに従って、小さくなる。この時、noよりneの方が波長に対する屈折率変化率が大きい事から、屈折率異方性(Δn=ne−no)は適用波長が大きくなるに伴い、小さくなる。一方液晶ディスプレイ(LCD)等の表示デバイスにおいては、光源は380-800nm程度の波長の光から成る白色光であるが、通常の光学異方層を用いて1/2λや1/4λ板等を設計し適用する場合、上記の波長分散性により、波長により偏光状態の変化が生じ、光が有色となるなどの問題が起こる。この問題を防ぐためには、各波長において設計した位相差になるよう、波長分散性を制御する必要があり、波長による屈折率異方性の依存性の低い(低波長分散特性)材料や、さらには波長が大きくなるに伴い屈折率異方性が大きくなる(逆波長分散特性)材料が求められている。
逆波長分散特性を有する光学異方性層を得るためには、2枚の位相差層を、屈折率異方性の方向にそれぞれ角度を付けて積層する方法が提案されている(特許文献4および5)。しかし、このような積層体では、2枚の位相差層が必要となり、かつ2枚の位相差層の異方性の角度を調節する必要があるなど、積層体を形成するための製造上の煩雑さや、光学異方性層の膜厚が厚くなるなどの課題があった。
近年、このような課題を解決するために積層することなく逆波長分散を有する光学異方性層が求められており、逆波長分散特性を有する液晶性化合物が提案されている(特許文献6〜10)。
しかしながら、特許文献6記載の化合物は屈折率異方性が低いため所望の位相差を得るためには膜厚を厚くする必要があり、またアスペクト比が小さいため配向均一性を制御しにくく、さらには合成ルートが長いため、製造が難しい事などの問題が懸念される。特許文献7および8記載の化合物は可視領域に吸収を有するため、透過率の低下や色むらなどを生じやすく、光学用途での使用には適さない。特許文献9および10記載の化合物は液晶相の温度範囲や透明点が高く、温度をかけながら紫外線を照射して重合するなどの煩雑な工程が必要となる。また、特許文献6〜10に記載の化合物は総じて有機溶剤に対する溶解性が低く、また室温下での液晶相保持時間が短いことにより製造マージンが狭く改善が求められる。
特開2002−372623号公報 国際公開第2005/38517A1号パンフレット 米国特許出願公開第2006/182900号公報 特開平10−68816号公報 特開2001−4837号公報 特表2010−522893号公報 特開2009−179563号公報 国際公開第2012/169424A1号パンフレット 特開2005−289980号公報 特開2010−31223号公報
M.S.Park et al, IDW '04 FMC8-4 M.Nakata et al, SID '06 P-58 K.J.Kim et al, SID '06 Digest p.1158-1161
本発明は、低波長分散特性さらには逆波長分散性を示し、他の液晶性化合物および有機溶媒に対する良好な混和性(miscibility)を有する化合物、および該化合物を含み室温付近にて良好な液晶相を示し、長時間液晶相を維持することが可能な液晶組成物、さらには該液晶組成物を用いて光学異方性を示し、高い透明性を有する重合体を形成することにある。
発明者らは鋭意検討を重ねた結果、エチレンを含む結合基を有する化合物が、上記課題を解決する事を見出し、発明を完成させた。すなわち本発明は以下のとおりである。
[1]式(1)で表される化合物。
Figure 2016128403
(式(1)中、
1は独立して1,4−フェニレン、1,4−シクロへキシレン、1,4−シクロへキセニレン、ピリジン−2,5−ジイル、またはナフタレン−2,6−ジイルから選ばれるいずれかの二価基であり、該二価基において、少なくとも一つの水素はフッ素、塩素、シアノ、ヒドロキシ、ホルミル、トリフルオロアセチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、炭素数1〜5のアルキル、炭素数1〜5のアルコキシ、炭素数1〜5のアルコキシカルボニル、または炭素数1〜5のアルカノイルで置き換えられてもよく;
1は独立して単結合、−OCH2−、−CH2O−、−COO−、−OCO−、−COS−、−SCO−、−CONH−、−NHCO−、−CF2O−、−OCF2−、−CH2CH2−、−CF2CF2−、−OCH2CH2O−、−CH=CHCOO−、−OCOCH=CH−、−CH2CH2COO−、−OCOCH2CH2−、−CH2CH2OCO−、−COOCH2CH2−、−CH=CH−、−N=CH−、−CH=N−、−N=CCH3−、−CCH3=N−、−N=N−、または−C≡C−であるが、Z1のうち少なくとも一つは−CH2CH2COO−、−OCOCH2CH2−、−CH2CH2OCO−、または−COOCH2CH2−であり;
mは独立して1または2の整数であり;
1は独立して水素、フッ素、塩素、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、シアノ、炭素数1〜20のアルキル、炭素数2〜20のアルケニル、炭素数1〜20のアルコキシ、炭素数1〜20のアルキルエステル、または式(2)で表される基であり、ただしR1のうち少なくとも一つは式(2)で表される基である。
Figure 2016128403
式(2)中、Y1は単結合、−O−、−COO−、−OCO−、または−OCOO−であり;Q1は単結合または炭素数1〜20を有するアルキレンであり、該アルキレンにおいて少なくとも一つの−CH2−は−O−、−COO−、−OCO−、−CH=CH−、または−C≡C−で置き換えられてもよく;PGは式(PG−1)〜式(PG−8)のいずれか1つで表される重合性の基である。
Figure 2016128403
式(PG−1)〜式(PG−8)中、R2はそれぞれ独立して水素、ハロゲン、メチル、エチルまたはトリフルオロメチルであり;
Gは式(G−1)〜式(G−5)のいずれか1つで表される基である。
Figure 2016128403
式(G−1)〜式(G−5)中、X1、X3、X4およびX5はそれぞれ独立して−O−または−S−であり;X2は−N=であり;X6は独立して−CH=または−N=であり;W1およびW5はヘテロ原子を含んでもよい芳香環であり、該芳香環は単結合または−C≡C−で連結していても良く;W2は酸素、硫黄、5員環、6員環、5員環および6員環の縮合環であり、該5員環および6員環はヘテロ原子またはカルボニルを含んでいても良く;W3は独立してシアノ、炭素数1〜10のアルカノイルまたは炭素数1〜10のアルキルエステルであり、該アルカノイルまたはアルキルエステルにおいて少なくとも一つの−CH2−は−O−、−COO−、−OCO−、−CH=CH−、または−C≡C−で置き換えられてもよく;W4は単結合もしくは−CH=CH−、−C≡C−、1,4−フェニレン、またはそれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基を表し;A2は独立して1,4−フェニレン、1,4−シクロへキシレン、1,4−シクロへキセニレン、ピリジン−2,5−ジイル、またはナフタレン−2,6−ジイルから選ばれるいずれかの二価基であり、該二価基において、少なくとも一つの水素はフッ素、塩素、シアノ、ヒドロキシ、ホルミル、トリフルオロアセチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、炭素数1〜5のアルキル、炭素数1〜5のアルコキシ、炭素数1〜5のアルキルエステル、または炭素数1〜5のアルカノイルで置き換えられてもよく;Z2は独立して単結合、−OCH2−、−CH2O−、−COO−、−OCO−、−COS−、−SCO−、−CONH−、−NHCO−、−CF2O−、−OCF2−、−CH2CH2−、−CF2CF2−、−OCH2CH2O−、−CH=CHCOO−、−OCOCH=CH−、−CH2CH2COO−、−OCOCH2CH2−、−CH2CH2OCO−、−COOCH2CH2−、−CH=CH−、−N=CH−、−CH=N−、−N=CCH3−、−CCH3=N−、−N=N−、または−C≡C−であり;nは独立して1または2の整数であり;R3は式(2)で表される基であり;Z3は−CH=N−NR4−または−CH=N−N=C−で表される基であり、R4は水素または炭素数1〜10のアルキルである。)
[2] 式(1−A)または(1−B)で表される、[1] に記載の化合物。
Figure 2016128403
(式(1−A)および(1−B)中、
1は独立して1,4−フェニレン、1,4−シクロへキシレン、1,4−シクロへキセニレン、ピリジン−2,5−ジイル、またはナフタレン−2,6−ジイルから選ばれるいずれかの二価基であり、該二価基において、少なくとも一つの水素はフッ素、塩素、シアノ、ヒドロキシ、ホルミル、トリフルオロアセチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、炭素数1〜5のアルキル、炭素数1〜5のアルコキシ、炭素数1〜5のアルキルエステル、または炭素数1〜5のアルカノイルで置き換えられてもよく;R1は独立して水素、フッ素、塩素、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、シアノ、炭素数1〜20のアルキル、炭素数2〜20のアルケニル、炭素数1〜20のアルコキシ、炭素数1〜20のアルキルエステル、または式(2)で表される基であり、ただしR1のうち少なくとも一つは式(2)で表される基である。
Figure 2016128403
式(2)中、Y1は単結合、−O−、−COO−、−OCO−、または−OCOO−であり;Q1は単結合または炭素数1〜20を有するアルキレンであり、該アルキレンにおいて少なくとも一つの−CH2−は−O−、−COO−、−OCO−、−CH=CH−、または−C≡C−で置き換えられてもよく;PGは式(PG−1)〜式(PG−8)のいずれか1つで表される重合性の基である。
Figure 2016128403
式(PG−1)〜式(PG−8)中、R2はそれぞれ独立して水素、ハロゲン、メチル、エチルまたはトリフルオロメチルであり;
Gは式(G−1)〜式(G−5)のいずれか1つで表される基である。
Figure 2016128403
式(G−1)〜式(G−5)中、X1、X3、X4およびX5はそれぞれ独立して−O−または−S−であり;X2は−N=であり;X6は独立して−CH=または−N=であり;W1およびW5はヘテロ原子を含んでもよい芳香環であり、該芳香環は単結合または−C≡C−で連結していても良く;W2は酸素、硫黄、5員環、6員環、5員環および6員環の縮合環であり、該5員環および6員環はヘテロ原子またはカルボニルを含んでいても良く;W3は独立してシアノ、炭素数1〜10のアルカノイルまたは炭素数1〜10のアルキルエステルであり、該アルカノイルまたはアルキルエステルにおいて少なくとも一つの−CH2−は−O−、−COO−、−OCO−、−CH=CH−、または−C≡C−で置き換えられてもよく;W4は単結合もしくは−CH=CH−、−C≡C−、1,4−フェニレン、またはそれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基を表し;A2は独立して1,4−フェニレン、1,4−シクロへキシレン、1,4−シクロへキセニレン、ピリジン−2,5−ジイル、またはナフタレン−2,6−ジイルから選ばれるいずれかの二価基であり、該二価基において、少なくとも一つの水素はフッ素、塩素、シアノ、ヒドロキシ、ホルミル、トリフルオロアセチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、炭素数1〜5のアルキル、炭素数1〜5のアルコキシ、炭素数1〜5のアルキルエステル、または炭素数1〜5のアルカノイルで置き換えられてもよく;Z2は独立して単結合、−OCH2−、−CH2O−、−COO−、−OCO−、−COS−、−SCO−、−CONH−、−NHCO−、−CF2O−、−OCF2−、−CH2CH2−、−CF2CF2−、−OCH2CH2O−、−CH=CHCOO−、−OCOCH=CH−、−CH2CH2COO−、−OCOCH2CH2−、−CH2CH2OCO−、−COOCH2CH2−、−CH=CH−、−N=CH−、−CH=N−、−N=CCH3−、−CCH3=N−、−N=N−、または−C≡C−であり;nは独立して1または2の整数であり;R3は式(2)で表される基であり;Z3は−CH=N−NR4−または−CH=N−N=C−で表される基であり、R4は水素または炭素数1〜10のアルキルであり;
1は独立して単結合、−OCH2−、−CH2O−、−COO−、−OCO−、−OCH2CH2O−、−CH=CHCOO−、−OCOCH=CH−、−CH2CH2COO−、−OCOCH2CH2−、または−CH2CH2OCO−であり;
pは独立して0または1の整数である。)
[3] 両方のR1が式(2)で表される基である、[1]または[2] に記載の化合物。
[4] 両方のR1が式(2)で表される基であり、式(2)中、PGが式(PG−1)で表される重合性の基であり、R2が水素またはメチルである、[1]〜[3]のいずれか1項に記載の化合物。
[5] Gが式(G−1)で表される基であり、
Figure 2016128403
式(G−1)中、W1が式(W1−1)〜式(W1−6)のいずれか1つで表される基である、[1]〜[4]のいずれか1項に記載の化合物。
Figure 2016128403
ここで、式(W1−1)〜式(W1−6)中、X7は−O−または−S−であり、少なくとも一つの−CH=は-N=に置き換えられてもよく、少なくとも一つの水素はフッ素、塩素、シアノ、トリフルオロアセチル、トリフルオロメチル、炭素数1〜5のアルキル、炭素数1〜5のアルコキシ、炭素数1〜5のアルキルエステル、または炭素数1〜5のアルカノイルで置き換えられてもよい。
[6] Gが式(G−2−1)〜式(G−2−7)で表される基である、[1]〜[4]のいずれか1項に記載の化合物。
Figure 2016128403
(式(G−2−3)〜式(G−2−7)中、R4はそれぞれ炭素数1〜5のアルキルまたは炭素数1〜5のアルキルエステルであり;R5は炭素数1〜5のアルキルまたは置換基を有しても良いフェニルであり;R6は炭素数1〜5のアルキルであり;X8は独立して−CO−または−S−である。)
[7] Gが式(G−3−1)〜式(G−3−4)で表される基である、[1]〜[4]のいずれか1項に記載の化合物。
Figure 2016128403
(式(G−3−1)〜式(G−3−4)中、R7は炭素数1〜5のアルキルであり、該アルキルは分岐を有しても良い。)
[8] Gが式(G−4)で表される基であり、
Figure 2016128403
式(G−4)中、Z2は独立して単結合、−OCH2−、−CH2O−、−COO−、−OCO−、−OCH2CH2O−、−CH=CHCOO−、−OCOCH=CH−、−CH2CH2COO−、−OCOCH2CH2−、−CH2CH2OCO−または−COOCH2CH2−であり;R3は式(2)で表される基であり、式(2)中、PGが式(PG−1)で表される重合性の基であり、R2が水素またはメチルであり;W4は単結合または式(W4−1)〜式(W4−6)のいずれか1つで表される連結基を表す、[1]〜[4]のいずれか1項に記載の化合物。
Figure 2016128403
[9] Gが式(G−5)で表される基であり、
Figure 2016128403
式(G−5)中、W5が式(W5−1)〜式(W5−4)のいずれか1つで表される基である[1]〜[4]のいずれか1項に記載の化合物。
Figure 2016128403
ここで、式(W5−1)〜式(W5−4)中、X9は−O−または−S−であり、少なくとも一つの−CH=は-N=に置き換えられてもよく、少なくとも一つの水素はフッ素、塩素、シアノ、トリフルオロアセチル、トリフルオロメチル、炭素数1〜5のアルキル、炭素数1〜5のアルコキシ、炭素数1〜5のアルキルエステル、または炭素数1〜5のアルカノイルで置き換えられてもよい。
[10] A1が1,4−フェニレンまたは1,4−シクロへキシレンであり;Z1は−COO−または−OCO−である、[2]〜[9]に記載の化合物。[11] A1が1,4−シクロへキシレンである、[2]〜[10]に記載の化合物。
[12] [1]〜[11] のいずれか1項に記載の化合物の少なくとも1つを含有する液晶組成物。
[13] [1]〜[11] のいずれか1項に記載の化合物の少なくとも1つと式(M1)および式(M2)で表される化合物群から選ばれる少なくとも1つとを含有する液晶組成物。
Figure 2016128403
(式(M1)および(M2)中、
Mはそれぞれ独立して1,4−フェニレン、1,4−シクロへキシレン、1,4−シクロへキセニレン、ピリジン−2,5−ジイル、ナフタレン−2,6−ジイル、フルオレノン−2,7−ジイルまたはフルオレン−2,7−ジイルから選ばれるいずれかの二価基であり、該二価基において、少なくとも一つの水素はフッ素、塩素、シアノ、ヒドロキシ、ホルミル、トリフルオロアセチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、炭素数1〜5のアルキル、炭素数1〜5のアルコキシ、炭素数1〜5のアルキルエステルまたは炭素数1〜5のアルカノイルで置き換えられてもよく;
Mはそれぞれ独立して単結合、−OCH2−、−CH2O−、−COO−、−OCO−、−COS−、−SCO−、−OCOO−、−CONH−、−NHCO−、−CF2O−、−OCF2−、−CH2CH2−、−CF2CF2−、−CH=CHCOO−、−OCOCH=CH−、−CH2CH2COO−、−OCOCH2CH2−、−CH=CH−、−N=CH−、−CH=N−、−N=CCH3−、−CCH3=N−、−N=N−または−C≡C−であり;
Mは水素、フッ素、塩素、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、シアノ、炭素数1〜20のアルキル、炭素数2〜20のアルケニル、炭素数1〜20のアルコキシまたは炭素数1〜20のアルキルエステルであり;
pは1〜4の整数であり;
aは0〜20の整数であり;
Mは水素またはメチルであり;
Mは単結合、−O−、−COO−、−OCO−または−OCOO−である。)
[14] [12]または[13]に記載の液晶組成物において、さらにキラルな化合物を少なくとも1つ含有する液晶組成物。
[15] [12]〜[14]のいずれか1項に記載の液晶組成物において、さらに二色性色素化合物を少なくとも1つ含有する液晶組成物。
[16] [12]〜[15]のいずれか1項に記載の液晶組成物に光を照射して得られる重合体。
[17] [16]に記載の重合体からなる光学的異方性を有する光学異方性フィルム。
[18] 波長450nmにおけるΔn(Δn450)と波長550nmにおけるΔn(Δn550)が以下の関係を満たす、[17]に記載の光学異方性フィルム。
0.8≦Δn450/Δn550≦1.05
[19] [17]または[18]に記載の光学異方性フィルムを有する偏光板。
[20] [17]または[18]に記載の光学異方性フィルムを有する表示素子。
[21] [19]に記載の偏光板を有する表示素子。
本発明式(1)で表される化合物は、単独で、または他の公知の液晶化合物または数種のこれらを含む組成物に混合し、任意の形態で均一に配向させる事により、材料の屈折率異方性に対する波長依存性を低減し、または上記で示したような逆波長分散性を示す材料を与える。さらに該液晶組成物は室温付近で良好な液晶相を示し、有機溶媒に対する良好な溶解性を示し、液晶相を長時間維持することが可能であるなどの特性に優れる。また、本発明の液晶組成物を重合して得られる重合体およびこの重合体を含むフィルムは、上記の波長依存性に及ぼす効果だけでなく、光学異方性、透明性、耐熱性、密着性、寸法安定性および機械的強度等の特性に優れる。従って、本発明の重合体は、例えば位相差膜、光学補償膜、偏光素子、円偏光素子、楕円偏光素子、色補償膜、および視野角補償膜等の用途に適している。
この明細書における用語の使い方は次のとおりである。まず用語「液晶性」の意味は、液晶相を有することだけに限定されない。すなわち液晶化合物は、液晶相を有する化合物および液晶相を有しないが液晶組成物の成分として有用な化合物の総称である。液晶相はネマチック相、スメクチック相、コレステリック相などであり、多くの場合ネマチック相を意味する。液晶下限温度は、液晶相を示す下限の温度のことであり、液晶相から結晶へ転移する温度のことである。重合性は、光、熱、触媒などの手段により単量体が重合し、重合体を与える能力を意味する。液晶化合物において、重合性基を有する液晶化合物を重合性液晶化合物と呼び、重合性液晶化合物は、液晶化合物に含まれる。重合性化合物は、液晶性を示さない重合性基を有する化合物を意味する。化合物が重合性基を1つ有する場合を、単官能性あるいは単官能化合物と呼ぶことがある。また、化合物が重合性基を複数有する場合は、多官能性、あるいは重合性基の数に対応した呼称で呼ぶことがある。式(1)で表わされる化合物を、化合物(1)と表記することがある。他の式で表される化合物についても同様の簡略化法に従って称することがある。
化合物の構造を説明する際に用いる用語「少なくとも一つの」は、位置だけでなく個数についても少なくとも一つであることを意味する。例えば、「少なくとも一つのAはB、CまたはDで置き換えられてもよい」という表現は、少なくとも一つのAがBで置き換えられる場合、少なくとも一つのAがCで置き換えられる場合および少なくとも一つのAがDで置き換えられる場合に加えて、複数のAがB〜Dの少なくとも2つで置き換えられる場合をも含むことを意味する。但し、少なくとも一つの−CH2−が−O−で置き換えられてもよいとする定義には、結果として結合基−O−O−が生じるような置き換えは含まれない。また、少なくとも一つの−CH2−が−O−で置き換えられる場合、炭素数が記載の範囲を越えることはない。
例えば、式(2)におけるQ1は炭素数1〜20を有するアルキレンであり、このアルキレンにおいて少なくとも一つの−CH2−は−O−などで置き換えられてもよいが、−O−などでの置き換えを含むアルキレンの炭素数は、この場合20を超えるものではない。このルールは、他の定義についても同様である。
≪化合物≫
本発明の効果である屈折率異方性の波長分散制御の目的には、一般式(1)で表される化合物が用いられる。この時これらの一般式(1)で表される化合物から1種類を選択しても良いが、2種類以上を選択し用いても良い。
液晶性化合物は、通常、芳香環や脂環をコア骨格とし、アルキル等からなるフレキシブルな基がこれに結合した、棒状またはディスク状の分子形状を持つ。本発明の化合物はこのコア骨格として、ベンゼン環とヘテロ5員環の縮合環構造からなる、式(1)の化合物である。
Figure 2016128403
この式(1)中、A1は独立して1,4−フェニレン、1,4−シクロへキシレン、1,4−シクロへキセニレン、ピリジン−2,5−ジイル、またはナフタレン−2,6−ジイルから選ばれるいずれかの二価基である。ここで、A1が2つ以上存在する場合、このA1は同じでも良く、異なっていても良い。高い液晶性を化合物に付与し、他の液晶性化合物および有機溶媒に対する良好な混和性を有するためには、A1は独立して1,4−フェニレン、1,4−シクロへキシレンであることが好ましく、低波長分散特性もしくは逆波長分散特性を有するためには、A1が、1,4−シクロへキシレンである事がより好ましい。またこれらの二価基において、少なくとも一つの水素はフッ素、塩素、シアノ、ヒドロキシ、ホルミル、トリフルオロアセチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、炭素数1〜5のアルキル、炭素数1〜5のアルコキシ、炭素数1〜5のアルキルエステルまたは炭素数1〜5のアルカノイルで置き換えられてもよい。しかしながら高い液晶性を化合物に付与するためには、無置換であることが好適である。
式(1)中、Z1は独立して単結合、−OCH2−、−CH2O−、−COO−、−OCO−、−COS−、−SCO−、−OCOO−、−CONH−、−NHCO−、−CF2O−、−OCF2−、−CH2CH2−、−CF2CF2−、−OCH2CH2O−、−CH=CHCOO−、−OCOCH=CH−、−CH2CH2COO−、−OCOCH2CH2−、−CH2CH2OCO−、−COOCH2CH2−、−CH=CH−、−N=CH−、−CH=N−、−N=CCH3−、−CCH3=N−、−N=N−、または−C≡C−であるが、Z1のうち少なくとも一つは−CH2CH2COO−、−OCOCH2CH2−、−CH2CH2OCO−、または−COOCH2CH2−である。このようにZ1のうち少なくとも一つが−CH2CH2COO−、−OCOCH2CH2−、−CH2CH2OCO−、または−COOCH2CH2−であることにより、他の液晶性化合物および有機溶媒に対する良好な混和性を有し、透明点を低下させることができ、さらに再結晶性を低下させることができる。
ここで、Z1が2つ以上存在する場合、このZ1は同じでも良く、異なっていても良い。高い液晶性を化合物に付与し、他の液晶性化合物および有機溶媒に対する良好な混和性を有し、比較的低い透明点を有し、再結晶性を低下させ、化合物を安価に製造するためにはZ1は単結合、−OCH2−、−CH2O−、−COO−、−OCO−、−OCH2CH2O−、−CH=CHCOO−、−OCOCH=CH−、−CH2CH2COO−、または−OCOCH2CH2−であり、Z1のうち少なくとも一つは−CH2CH2COO−であり、Z1のうち少なくとも一つは−OCOCH2CH2−である事が好ましい。さらに、高い液晶性を化合物に付与し、化合物を安価に製造するためには、Z1は−COO−、−OCO−、−CH2CH2COO−、または−OCOCH2CH2−であり、Z1のうち少なくとも一つは−CH2CH2COO−であり、かつZ1のうち少なくとも一つは−OCOCH2CH2−である事が特に好ましい。
また式(1)の化合物の液晶性を向上させ、他の液晶性化合物および有機溶媒に対する良好な混和性を有するためには、mは独立して1または2の整数である事が好ましい。
式(1)中、R1は独立して水素、フッ素、塩素、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、シアノ、炭素数1〜20のアルキル、炭素数1〜20のアルケニル、炭素数1〜20のアルコキシ、炭素数1〜20のアルキルエステル、または式(2)で表される基であり、ただしR1のうち少なくとも一つは式(2)で表される基である。
Figure 2016128403
式(2)中、Y1は単結合、−O−、−COO−、−OCO−、または−OCOO−であり;Q1は単結合または炭素数1〜20を有するアルキレンであり、該アルキレンにおいて任意の−CH2−は−O−、−COO−、−OCO−、−CH=CH−、または−C≡C−で置き換えられてもよく;PGは式(PG−1)〜式(PG−8)のいずれか1つで表される重合性の基である。
Figure 2016128403
*はQ1の結合部位を示す。
式(PG−1)〜式(PG−8)中、R2はそれぞれ独立して水素、ハロゲン、メチル、エチル、またはトリフルオロメチルである。
上記R1で表される基は、本技術をフィルム用途に適用する場合、R1が共に上記式(2)で表される基を選択する事が好ましい。ここにおいて式(PG−1)〜式(PG−8)で表される重合性基の選択は、フィルムの製造条件により適切なものを選ぶことが出来る。しかしながら通常用いられる光硬化でフィルムを作成する場合、式(PG−1)で表されるアクリル基やメタクリル基を選択する事が、高い硬化性、溶媒への溶解性、取扱いのしやすさなどの点から、好適である。
本発明式(1)で表される化合物のGは式(G−1)〜式(G−5)のいずれか1つで表される基である。これらは屈折率異方性の波長分散を制御するために好適である。
Figure 2016128403
式(G−1)〜式(G−5)中、X1、X3、X4およびX5はそれぞれ独立して−O−または−S−であり;X2は−N=であり;X6は独立して−CH=または−N=であり;W1およびW5はヘテロ原子を含んでもよい芳香環であり、該芳香環は単結合または−C≡C−で連結していても良く;W2は酸素、硫黄、5員環、6員環、5員環および6員環の縮合環であり、該5員環および6員環はヘテロ原子またはカルボニルを含んでいても良い;W3は独立してシアノ、炭素数1〜10のアルカノイルまたは炭素数1〜10のアルキルエステルであり、該アルカノイルまたはアルキルエステルにおいて少なくとも一つの−CH2−は−O−、−COO−、−OCO−、−CH=CH−、または−C≡C−で置き換えられてもよく;W4は単結合もしくは−CH=CH−、−C≡C−、1,4−フェニレン、またはそれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基を表し;A2は独立して1,4−フェニレン、1,4−シクロへキシレン、1,4−シクロへキセニレン、ピリジン−2,5−ジイル、またはナフタレン−2,6−ジイルから選ばれるいずれかの二価基であり、該二価基において、少なくとも一つの水素はフッ素、塩素、シアノ、ヒドロキシ、ホルミル、トリフルオロアセチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、炭素数1〜5のアルキル、炭素数1〜5のアルコキシ、炭素数1〜5のアルキルエステル、または炭素数1〜5のアルカノイルで置き換えられてもよく;Z2は独立して単結合、−OCH2−、−CH2O−、−COO−、−OCO−、−COS−、−SCO−、−CONH−、−NHCO−、−CF2O−、−OCF2−、−CH2CH2−、−CF2CF2−、−OCH2CH2O−、−CH=CHCOO−、−OCOCH=CH−、−CH2CH2COO−、−OCOCH2CH2−、−CH2CH2OCO−、−COOCH2CH2−、−CH=CH−、−N=CH−、−CH=N−、−N=CCH3−、−CCH3=N−、−N=N−、または−C≡C−であり;nは独立して1または2の整数であり;R3は上記式(2)で表される基であり;Z3は−CH=N−NR4−または−CH=N−N=C−で表される基であり、R4は水素または炭素数1〜10のアルキルである。
上記式(G−1)で表される基において、低波長分散特性もしくは逆波長分散特性を有するためには、W1が式(W1−1)〜式(W1−6)で表される基から選択されることが、さらに好ましい。
Figure 2016128403
式(W1−1)〜式(W1−6)中、X7は−O−または−S−であり、少なくとも一つの−CH=は-N=に置き換えられてもよく、少なくとも一つの水素はフッ素、塩素、シアノ、トリフルオロアセチル、トリフルオロメチル、炭素数1〜5のアルキル、炭素数1〜5のアルコキシ、炭素数1〜5のアルキルエステル、または炭素数1〜5のアルカノイルで置き換えられてもよい。*は結合部位を示す。
上記式(G−2)で表される基において、低波長分散特性もしくは逆波長分散特性を有するためには、式(G−2−1)〜式(G−2−7)で表される基であることが、さらに好ましい。
Figure 2016128403
式(G−2−3)〜式(G−2−7)中、R4はそれぞれ炭素数1〜5のアルキルまたは炭素数1〜5のアルキルエステルであり;R5は炭素数1〜5のアルキルまたは置換基を有しても良いフェニルであり;R6は炭素数1〜5のアルキルであり;X8は独立して−CO−または−S−である。
式(G−2)で表される基において、式(G−2−6)または式(G−2−7)で表される基である場合は、波長分散特性、他の液晶性化合物および有機溶媒に対する良好な混和性、および透明性などのバランスに優れるため、さらに好ましい。
上記式(G−3)で表される基において、有機溶剤への溶解性の高さ、他の化合物との相溶性の高さなどの点において、式(G−3−1)〜式(G−3−4)で表される基であることが、さらに好ましい。
Figure 2016128403
式(G−3−1)〜式(G−3−4)中、R7は炭素数1〜5のアルキルであり、該アルキルは分岐を有しても良い。
上記式(G−4)で表される基において、低波長分散特性もしくは逆波長分散特性を有するためや、有機溶剤への溶解性を高くするため、または他の化合物との相溶性を高くするために、Z2は独立して単結合、−OCH2−、−CH2O−、−COO−、−OCO−、−OCH2CH2O−、−CH=CHCOO−、−OCOCH=CH−、−CH2CH2COO−、−OCOCH2CH2−、−CH2CH2OCO−、または−COOCH2CH2−であり;R3は上記式(2)で表される基であり、式(2)中、PGが式(PG−1)で表される重合性の基であり、R2が水素またはメチルであり;W4は単結合または式(W4−1)〜式(W4−6)のいずれか1つで表される基であることが、さらに好ましい。
Figure 2016128403
上記式(G−5)で表される基において、低波長分散特性もしくは逆波長分散特性を有するためには、W5が式(W5−1)〜式(W5−4)で表される基から選択されることが、さらに好ましい。
Figure 2016128403
式(W5−1)〜式(W5−4)中、X9は−O−または−S−であり、少なくとも一つの−CH=は-N=に置き換えられてもよく、少なくとも一つの水素はフッ素、塩素、シアノ、トリフルオロアセチル、トリフルオロメチル、炭素数1〜5のアルキル、炭素数1〜5のアルコキシ、炭素数1〜5のアルキルエステル、または炭素数1〜5のアルカノイルで置き換えられてもよい。*は結合部位を示す。
上記式(1)で表される化合物の中でも、屈折率異方性と波長分散特性のバランスに優れ、良好な液晶性を示し、透明点の低さ、有機溶剤への溶解性の高さ、他の化合物との相溶性の高さなどの点で、式(1−A)または(1−B)で表される化合物が好ましい。
ここで、式(1−A)または(1−B)中のフェニレンとエステル基をエチレン鎖で連結させた骨格は、屈折率異方性を大きくできかつ波長分散特性の増加を抑制できるため、屈折率異方性と波長分散特性のバランスに優れた化合物となる。さらに、合成が容易であるため化合物を安価に製造することも可能である。
Figure 2016128403
(式(1−A)および(1−B)中、A1、R1およびGは式(1)と同義であり;
1は独立して単結合、−OCH2−、−CH2O−、−COO−、−OCO−、−OCH2CH2O−、−CH=CHCOO−、−OCOCH=CH−、−CH2CH2COO−、−OCOCH2CH2−または−CH2CH2OCO−であり;pは独立して0または1の整数である。
波長分散特性と良好な液晶性の観点から、式(1−A)で表される化合物がより好ましく、式(1−A)中、A1が独立して1,4−シクロへキシレンであり、Z1が独立して−COO−または−OCO−であることがさらに好ましい。
上記式(1−A)および(1−B)で表される化合物としては、さらに下記式(1−A−1−1)〜式(1−A−5−5)、または式(1−B−1−1)〜式(1−B−5−3)で表される構造が好ましい。
Figure 2016128403
Figure 2016128403
Figure 2016128403
Figure 2016128403
Figure 2016128403
Figure 2016128403
Figure 2016128403
Figure 2016128403
Figure 2016128403
Figure 2016128403
Figure 2016128403
Figure 2016128403
Figure 2016128403
式(1−A−1−1)〜式(1−A−5−5)、または式(1−B−1−1)〜式(1−B−5−3)において、R4は水素、フッ素、塩素、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、炭素数1〜5のアルキル、炭素数1〜5のアルコキシ、炭素数1〜5のアルキルエステル、炭素数1〜5のアルカノイル、または炭素数1〜5のチオアルキルであり、R1およびR3はそれぞれ独立して式(2)で表される基である。
本発明の式(1)で表される化合物は、公知の有機合成化学の手法を組み合わせることにより合成できる。出発物質に目的の末端基、環および結合基を導入する方法は、ホーベン−ワイル(Houben-Wyle, Methods of Organic Chemistry, Georg Thieme Verlag, Stuttgart)、オーガニック・シンセシーズ(Organic Syntheses, John Wily & Sons, Inc.)、オーガニック・リアクションズ(Organic Reactions, John Wily & Sons Inc.)、コンプリヘンシブ・オーガニック・シンセシス(Comprehensive Organic Synthesis, Pergamon Press)、および、新実験化学講座(丸善)等の成書に記載されている。なお、合成された化合物の構造は、例えば、プロトンNMRスペクトルにより確認することができる。
≪液晶組成物≫
本発明の液晶組成物は、式(1)で表される化合物の群から選択される少なくとも1つの化合物を含有する。本発明の液晶組成物は、比較的低い温度でネマチック相やスメクチック相の液晶相を有する。本発明の液晶組成物を、ラビング処理等の配向処理がなされているプラスチック基板上やプラスチックの薄膜で表面が被覆された支持基板上に塗工して製膜する場合、ホモジニアス配向やハイブリッド配向となる。また、本発明の液晶組成物に、後述する非重合性あるいは重合性の光学活性化合物を添加した場合にはツイスト配向となる。本発明の液晶組成物に後述するカルド構造を有する化合物、または単官能の液晶化合物を加えるとホメオトロピック配向が得られやすくなる。
化合物(1)以外の構成成分としてはその他の液晶化合物(重合性液晶化合物は除く。)、その他の重合性液晶化合物、界面活性剤、その他の重合性化合物(ただし、重合性液晶化合物は除く。)、重合開始剤、光増感剤、連鎖移動剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、ラジカル捕捉剤、光安定剤、光学活性化合物、シランカップリング剤、溶剤、およびその他の添加剤などを本発明の効果を損なわない範囲で含有してもよい。
その他の液晶性化合物としては、液晶性化合物のデータベースであるリクリスト(LiqCryst, LCI Publisher GmbH, Hamburg, Germany)に記載されている化合物から選択することができる。中でも下記式(LC)で表される化合物が好ましい。
Figure 2016128403
式(LC)中、A5は独立して1,4−フェニレン、1,4−シクロへキシレン、ピリジン−2,5−ジイルおよびナフタレン−2,6−ジイルから選ばれるいずれかの二価基であり、該二価基において、少なくとも一つの水素はフッ素、塩素、シアノ、ヒドロキシ、ホルミル、トリフルオロアセチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、炭素数1〜5のアルキル、炭素数1〜5のアルコキシ、炭素数1〜5のアルキルエステル、または炭素数1〜5のアルカノイルで置き換えられてもよく;Z5は独立して単結合または炭素数1〜20を有するアルキレンであり、該アルキレンにおいて少なくとも一つの−CH2−は−O−、−CO−、−COO−、−OCO−、−CH=CH−、−CF=CF−、または−C≡C−で置き換えられてもよく、少なくとも一つの水素はハロゲンで置き換えられてもよく;bは1〜5の整数であり;R5はそれぞれ独立して水素、フッ素、塩素、シアノ、ヒドロキシ、ホルミル、トリフルオロアセチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、炭素数1〜10のアルキル、または炭素数1〜10のアルコキシであり、該アルキルにおいて少なくとも一つの−CH2−は−CH=CH−で置き換えられてもよい。
以下、上記式(LC)で表される化合物の具体例を示す。
Figure 2016128403
Figure 2016128403
Figure 2016128403
本発明の液晶組成物は、式(1)で表される本発明の化合物群から選択される少なくとも1種と式(LC)で表される公知の化合物群から選択される少なくとも1種の合計量100重量%に対し、式(1)で表される本発明の化合物を1−90重量%、式(LC)で表される化合物を10−99重量%含有することが好ましい。
その他の重合性液晶化合物としては、下記式(M1)、(M2)および(M3)で表される化合物が好ましい。
Figure 2016128403
式(M1)、(M2)および(M3)中、AMはそれぞれ独立して1,4−フェニレン、1,4−シクロへキシレン、1,4−シクロへキセニレン、ピリジン−2,5−ジイル、ナフタレン−2,6−ジイル、またはフルオレン−2,7−ジイルから選ばれるいずれかの二価基であり、該二価基において、少なくとも一つの水素はフッ素、塩素、シアノ、ヒドロキシ、ホルミル、トリフルオロアセチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、炭素数1〜5のアルキル、炭素数1〜5のアルコキシ、炭素数1〜5のアルキルエステル、または炭素数1〜5のアルカノイルで置き換えられてもよく;ZMはそれぞれ独立して単結合、−OCH2−、−CH2O−、−COO−、−OCO−、−COS−、−SCO−、−OCOO−、−CONH−、−NHCO−、−CF2O−、−OCF2−、−CH2CH2−、−CF2CF2−、−CH=CHCOO−、−OCOCH=CH−、−CH2CH2COO−、−OCOCH2CH2−、−CH=CH−、−N=CH−、−CH=N−、−N=CCH3−、−CCH3=N−、−N=N−、または−C≡C−であり;XMは水素、フッ素、塩素、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、シアノ、炭素数1〜20のアルキル、炭素数1〜20のアルケニル、炭素数1〜20のアルコキシ、または炭素数1〜20のアルキルエステルであり;qは1〜4の整数であり;cおよびdはそれぞれ0〜3の整数であり、かつ1≦c+d≦4の関係であり;aは0〜20の整数であり;RMは水素またはメチルであり;YMは単結合、−O−、−COO−、−OCO−、または−OCOO−である。
ここで、q、c、またはdが2以上である場合、このAMおよびZMはその繰り返し毎に異なっていても良い。
また、上記式(M1)、(M2)および(M3)で表される化合物において、式(M1)または(M2)で表される化合物を用いることがより好ましい。
式(M1)で表される化合物は単官能重合性液晶化合物であり、液晶組成物の液晶温度範囲、光学特性および配向性を制御しやすい。また、添加量を増やすことでホメオトロピック配向を得やすくなる。式(M2)で表される化合物は2官能重合性液晶化合物であり、この重合体は三次元構造になるため、1つの重合性基を有する式(M1)で表される化合物と比較して硬い重合体となる。式(M3)で表される化合物は3官能重合性液晶化合物であり、この重合体はさらに強固なネットワークを形成することができ、1つおよび2つの重合性基を有する化合物と比較してさらに硬い重合体となる。今後、式(M1)、(M2)および(M3)で表される化合物や、これらから派生する化合物の総称として式(M)と称することがある。
以下、式(M1)で表される化合物の好ましい例を示す。
Figure 2016128403
Figure 2016128403
式(M1−1)〜(M1−23)において、RMは独立して水素またはメチルであり、aは独立して1〜12の整数である。
以下、式(M2)で表される化合物の好ましい例を示す。
Figure 2016128403
Figure 2016128403
Figure 2016128403
式(M2−1)〜(M2−31)において、RMは独立して水素またはメチルであり、aは独立して1〜12の整数である。式中に2つ以上のaがあるとき、任意の2つのaは同一でもよく、異なっていてもよい。
以下、式(M3)で表される化合物の好ましい例を示す。
Figure 2016128403
Figure 2016128403
式(M3−1)〜(M3−10)において、RMは独立して水素またはメチルであり、aは独立して1〜12の整数である。式中に2つ以上のaがあるとき、任意の2つのaは同一でもよく、異なっていてもよい。
本発明の重合性液晶組成物は、式(1)で表される本発明の化合物群から選択される少なくとも1種と、式(M)で表される化合物群から選択される少なくとも1つの化合物との、合計量100重量%に対し、式(1)で表される本発明の化合物群から選択される少なくとも1種を10−90重量%含有することが好ましい。液晶組成物中の上記各成分の含有量が上記範囲にあると、屈折率異方性の波長分散制御が容易で、良好な塗布性を有する液晶組成物を得ることができ、さらに、本発明の重合体の効果を顕著に発現させることができる。
本発明の液晶組成物は、さらに界面活性剤を含んでもよい。界面活性剤としては非イオン性界面活性剤が好ましく、非イオン性界面活性剤が液晶組成物に含まれた場合には、その液晶組成物から形成される塗布膜の平滑性を向上させる効果がある。
非イオン性界面活性剤を添加する場合の好ましい割合は、式(1)で表される化合物の重量、およびその他の液晶化合物やその他の重合性液晶化合物を含有する場合は式(1)で表される化合物との合計重量に対する重量比で0.0001〜0.5である。より好ましい重量比の範囲は0.0001〜0.005である。
非イオン性界面活性剤としては、例えば、シリコーン系非イオン性界面活性剤、フッ素系非イオン性界面活性剤、炭化水素系非イオン性界面活性剤などがある。
シリコーン系非イオン性界面活性剤としては、例えば、未変性シリコーンあるいは変性シリコーンを主成分とした共栄社化学(株)製のポリフローATF―2、グラノール100、グラノール115、グラノール400、グラノール410、グラノール435、グラノール440、グラノール450、グラノールB−1484、ポリフローKL−250、ポリフローKL−260、ポリフローKL−270、ポリフローKL−280、BYK−300、BYK−302、BYK−306、BYK−307、BYK−310、BYK−315、BYK−320、BYK−322、BYK−323、BYK−325、BYK−330、BYK−331、BYK−333、BYK−337、BYK−341、BYK−342、BYK−344、BYK−345、BYK−346、BYK−347、BYK−348、BYK−370、BYK−375、BYK−377、BYK−378、BYK−3500、BYK−3510、およびBYK−3570などが挙げられる。
フッ素系非イオン性界面活性剤としては、例えば、BYK−340、フタージェント251、フタージェント221MH、フタージェント250、FTX−215M、FTX−218M、FTX−233M、FTX−245M、FTX−290M、FTX−209F、FTX−213F、フタージェント222F、FTX−233F、FTX−245F、FTX−208G、FTX−218G、FTX−240G、FTX−206D、フタージェント212D、FTX−218、FTX−220D、FTX−230D、FTX−240D、FTX−720C、FTX−740C、FTX−207S、FTX−211S、FTX−220S、FTX−230S、KB−L82、KB−L85、KB−L97、KB−L109、KB−L110、KB−F2L、KB−F2M、KB−F2S、KB−F3M、およびKB−FaMなどが挙げられる。
炭化水素系非イオン性界面活性剤としては、例えば、アクリル系ポリマーを主成分としたポリフローNo.3、ポリフローNo.50EHF、ポリフローNo.54N、ポリフローNo.75、ポリフローNo.77、ポリフローNo.85HF、ポリフローNo.90、ポリフローNo.95、ポリフローNo.99C、BYK−350、BYK−352、BYK−354、BYK−355、BYK−358N、BYK−361N、BYK−380N、BYK−381、BYK−392、およびBYK−Silclean3700などが挙げられる。
なお、上記のポリフローおよびグラノールはどちらも共栄社化学(株)から販売されている商品の名称である。BYKはビックケミー・ジャパン(株)から販売されている商品の名称である。フタージェント、FTXおよびKBは(株)ネオスから販売されている商品の名称である。
上記の界面活性剤は、単独で使用してもよく、2つ以上を混合して使用してもよい。
次に、その他の重合性化合物、添加物、有機溶剤を例示する。これらの化合物は市販品でもよい。
その他の重合性化合物としては、ビニル誘導体、スチレン誘導体、(メタ)アクリル酸誘導体、オキシラン誘導体、オキセタン誘導体、ソルビン酸誘導体、フマル酸誘導体、イタコン酸誘導体などの化合物であって液晶性を有しないものが挙げられる。この液晶性を有しないその他の重合性化合物には、重合性基を1つ有する化合物、重合性基を2つ有する化合物および重合性基を3つ以上有する多官能化合物などがある。
その他の重合性化合物は、液晶相を維持できる限り添加してもよい。式(1)で表される化合物の重量、およびその他の液晶化合物やその他の重合性液晶化合物を含有する場合は式(1)で表される化合物との合計重量に対する重量比で0.5以下であることが好ましい。
重合性基を1つ有する化合物としては、例えば、スチレン、核置換スチレン、アクリロニトリル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、ビニルピリジン、N−ビニルピロリドン、ビニルスルホン酸、脂肪酸ビニル(例:酢酸ビニル)、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸(例:アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマール酸、イタコン酸など)、(メタ)アクリル酸のアルキルエステル(アルキルの炭素数1〜18)、(メタ)アクリル酸のヒドロキシアルキルエステル(ヒドロキシアルキルの炭素数1〜18)、(メタ)アクリル酸のアミノアルキルエステル(アミノアルキルの炭素数1〜18)、(メタ)アクリル酸のエーテル酸素含有アルキルエステル(エーテル酸素含有アルキルの炭素数3〜18、例:メトキシエチルエステル、エトキシエチルエステル、メトキシプロピルエステル、メチルカルビルエステル、エチルカルビルエステル、およびブチルカルビルエステル)、N−ビニルアセトアミド、p−t−ブチル安息香酸ビニル、N,N−ジメチルアミノ安息香酸ビニル、安息香酸ビニル、ピバリン酸ビニル、2,2−ジメチルブタン酸ビニル、2,2−ジメチルペンタン酸ビニル、2−メチル−2−ブタン酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、2−エチル−2−メチルブタン酸ビニル、ジシクロペンタニルオキシルエチル(メタ)アクリレート、イソボルニルオキシルエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、ジメチルアダマンチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、2−アクリロイロキシエチルコハク酸、2−アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2−アクリロイロキシエチルフタル酸、2−アクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシエチルフタル酸、2−アクリロイロキシエチルアシッドフォスフェート、2−メタクリロイロキシエチルアシッドフォスフェート、重合度1〜100のポリエチレングリコ−ル、ポリプロピレングリコ−ル、エチレンオキシドとプロピレンオキシドとの共重合体等のポリアルキレングリコ−ルのモノ(メタ)アクリル酸エステル又はジ(メタ)アクリル酸エステル、若しくは末端が炭素数1〜6のアルキル基によってキャップされた重合度1〜100のポリエチレングリコ−ル、ポリプロピレングリコ−ル、およびエチレンオキシドとプロピレンオキシドとの共重合体等のポリアルキレングリコ−ルのモノ(メタ)アクリル酸エステルなどが挙げられる。
重合性基を2つ有する化合物としては、例えば、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ビスフェノールA EO付加ジアクリレート、ビスフェノールAグリシジルジアクリレート(ビスコート V#700)、ポリエチレングリコールジアクリレート、およびこれらの化合物のメタクリレート化合物などが挙げられる。
重合性基を3つ以上有する化合物としては、例えば、ペンタエリストールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールEO付加トリ(メタ)アクリレート、トリス(メタ)アクリロイルオキシエチルフォスフェート、トリス((メタ)アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、PO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ビスコート V#802(官能基数=8)、ビスコート V#1000(官能基数=平均14)などが挙げられる。「ビスコート」は大阪有機化学株式会社の商品名である。官能基が16以上のものはPerstorp Specialty Chemicalsが販売しているBoltorn H20(16官能)、Boltorn H30(32官能)、Boltorn H40(64官能)を原料にそれらをアクリル化することで得られる。
その他の重合性化合物としては、さらに、カルド構造を有する重合性フルオレン誘導体が挙げられる。これらの化合物は、配向方向の制御や重合体の硬化度をさらに高めるのに適している。カルド構造を有する重合性フルオレン誘導体の例を式(α−1)〜(α−6)に示す。
Figure 2016128403
また、その他の重合性化合物としては、さらに、ビスフェノール構造を有する重合性化合物が挙げられる。これらの化合物は、液晶組成物の被膜形成能や配向均一性の補助に適している。重合性ビスフェノール誘導体の例を式(N−1)〜(N−6)に示す。
Figure 2016128403
上記のその他の重合性化合物は単独で使用してもよく、2つ以上を混合して使用してもよい。また、これらの化合物は市販品であってもよい。
重合速度を最適化するために、重合開始剤を液晶組成物に添加してもよい。重合開始剤としては、例えば、光ラジカル開始剤が挙げられる。光ラジカル重合開始剤としては、例えば、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン(ダロキュアー1173)、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン(イルガキュアー651)、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(イルガキュアー184)、イルガキュアー127、イルガキュアー500(イルガキュアー184とベンゾフェノンの混合物)、イルガキュアー2959、イルガキュアー907、イルガキュアー369、イルガキュアー379、イルガキュアー754、イルガキュアー1300、イルガキュアー819、イルガキュアー1700、イルガキュアー1800、イルガキュアー1850、イルガキュアー1870、ダロキュアー4265、ダロキュアーMBF、ダロキュアーTPO、イルガキュアー784、イルガキュアー754、イルガキュアーOXE01、およびイルガキュアーOXE02などが挙げられる。上記のダロキュアーおよびイルガキュアーはどちらもBASFジャパン(株)から販売されている商品の名称である。
上記光ラジカル重合開始剤としては、さらに、p−メトキシフェニル−2,4−ビス(トリクロロメチル)トリアジン、2−(p−ブトキシスチリル)−5−トリクロロメチル−1,3,4−オキサジアゾール、9−フェニルアクリジン、9,10−ベンズフェナジン、ベンゾフェノン/ミヒラーズケトン混合物、ヘキサアリールビイミダゾール/メルカプトベンズイミダゾール混合物、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン、2,4−ジエチルキサントン/p−ジメチルアミノ安息香酸メチル混合物、ベンゾフェノン/メチルトリエタノールアミン混合物などが挙げられる。
光ラジカル重合開始剤の好ましい添加量は、式(1)で表される化合物の重量、およびその他の液晶化合物やその他の重合性液晶化合物を含有する場合は式(1)で表される化合物との合計重量に対する重量比で0.0001〜0.20である。この重量比のより好ましい範囲は0.001〜0.15である。さらに好ましい範囲は0.01〜0.15である。上記光ラジカル開始剤は単独で使用してもよく、2つ以上を混合して使用してもよい。また、これら重合開始剤は市販品であってもよい。
また、これら光ラジカル重合開始剤に、増感剤を添加して使用してもよい。増感剤としては、例えば、イソプロピルチオキサントン、ジエチルチオキサントン、エチル−4−ジメチルアミノベンゾエート(ダロキュアーEDB)、2−エチルヘキシル−4−ジメチルアミノベンゾエート(ダロキュアーEHA)などが挙げられる。これら増感剤は単独で使用してもよく、2つ以上を混合して使用してもよい。また、これら増感剤は市販品であってもよい。
重合体の重合反応率や機械特性を制御する等のために、連鎖移動剤を液晶組成物に添加してもよい。連鎖移動剤を用いることにより、得られる重合体の反応率や鎖長を制御することができる。連鎖移動剤の量を増大させると、重合反応率が低下し、ポリマー鎖の長さは減少する。好ましい連鎖移動剤は、チオール化合物やスチレンダイマーである。これら連鎖移動剤は単独で使用してもよく、2つ以上を混合して使用してもよい。また、これら連鎖移動剤は市販品であってもよい。
上記チオール系連鎖移動剤としては、単官能性チオールである、ドデカンチオール、2−エチルへキシル−(3−メルカプトプロピオネートなどや、多官能性チオールである、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、1,4−ビス(3−メルカプトブチリルオキシ)ブタン(カレンズMT BD1)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)(カレンズMT PE1)、および1,3,5−トリス(3−メルカプトブチルオキシエチル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン(カレンズMT NR1)などが挙げられる。「カレンズ」は昭和電工株式会社の商品名である。
上記スチレンダイマー系連鎖移動剤としては、2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン、2,4−ジフェニル−1−ブテンなどが挙げられる。
液晶組成物には、保存時の重合開始を防止するために重合防止剤を添加することができる。公知の重合防止剤を使用できるが、その好ましい例は、2,5−ジ(t−ブチル)ヒドロキシトルエン(BHT)、ハイドロキノン、メチレンブルー、ジフェニルピクリン酸ヒドラジド(DPPH)、フェノチアジン、N,N−ジメチル−4−ニトロソアニリンなどのニトロソ化合物、o−ヒドロキシベンゾフェノン、および2H−1,3−ベンゾチアジン−2,4(3H)−ジオンなどのベンゾチアジン誘導体である。
液晶組成物の保存性を向上させるために、重合阻害剤を添加することもできる。液晶組成物や液晶組成物溶液内でラジカルが発生した場合は、重合性化合物の重合反応が促進される。これを防ぐ目的で重合阻害剤を添加することが好ましい。重合阻害剤としては、フェノール系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤、リン酸系酸化防止剤を利用できる。
液晶組成物の耐候性を更に向上させるために、紫外線吸収剤、光安定剤(ラジカル捕捉剤)および酸化防止剤等を添加してもよい。
紫外線吸収剤としては、例えば、チヌビンPS、チヌビンP、チヌビン99−2、チヌビン109、チヌビン213、チヌビン234、チヌビン326、チヌビン328、チヌビン329、チヌビン384−2、チヌビン571、チヌビン900、チヌビン928、チヌビン1130、チヌビン400、チヌビン405、チヌビン460、チヌビン479、チヌビン5236、アデカスタブLA−32、アデカスタブLA−34、アデカスタブLA−36、アデカスタブLA−31、アデカスタブ1413、およびアデカスタブLA−51などが挙げられる。「チヌビン」はBASFジャパン(株)の商品名であり、「アデカスタブ」はADEKAの商品名である。これら紫外線吸収剤は単独で使用してもよく、2つ以上を混合して使用してもよい。また、これら紫外線吸収剤は市販品であってもよい。
光安定剤としては、例えば、チヌビン111FDL、チヌビン123、チヌビン144、チヌビン152、チヌビン292、チヌビン622、チヌビン770、チヌビン765、チヌビン780、チヌビン905、チヌビン5100、チヌビン5050、5060、チヌビン5151、キマソーブ119FL、キマソーブ944FL、キマソーブ944LD、アデカスタブLA−52、アデカスタブLA−57、アデカスタブLA−62、アデカスタブLA−67、アデカスタブLA−63P、アデカスタブLA−68LD、アデカスタブLA−77、アデカスタブLA−82、アデカスタブLA−87、サイテック社製のサイアソーブUV−3346、およびグッドリッチ社のグッドライトUV−3034などが挙げられる。「キマソーブ」はBASFジャパン(株)の商品名である。これら光安定剤は単独で使用してもよく、2つ以上を混合して使用してもよい。また、これら光安定剤は市販品であってもよい。
酸化防止剤としては、例えば、ADEKAのアデカスタブAO−20、AO−30、AO−40、AO−50、AO−60、AO−80、住友化学(株)から販売されているスミライザーBHT、スミライザーBBM−S、およびスミライザーGA−80、並びにBASFジャパン(株)から販売されているIrganox1076、Irganox1010、Irganox3114、およびIrganox245などが挙げられる。これら酸化防止剤は単独で使用してもよく、2つ以上を混合して使用してもよい。また、これら酸化防止剤は市販品であってもよい。
基板との密着性を制御する等のために、シランカップリング剤を液晶組成物に添加してもよい。シランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリアルコキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルトリアルコキシシラン、N−(1,3-ジメチルブチリデン)−3−(トリアルコキシシリル)−1−プロパンアミン、3−グリシドキシプロピルトリアルコキシシラン、3−クロロトリアルコキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリアルコキシシランなどが挙げられる。また、上記アルコキシシランにおいて、アルコキシ基(3つ)のうちの1つをメチルに置き換えられたジアルコキシメチルシランも、シランカップリング剤として用い得る。これらシランカップリング剤は単独で使用してもよく、2つ以上を混合して使用してもよい。また、これらシランカップリング剤は市販品であってもよい。
本発明の液晶組成物は、塗布を容易にするために、溶剤を用いて液晶組成物を希釈するか、または溶剤に液晶組成物の各成分を溶解して、液晶組成物と溶剤とからなる液晶組成物の溶液を調製し、この溶液を塗布してもよい。溶剤としては、例えば、エステル系溶剤、アミド系溶剤、アルコール系溶剤、エーテル系溶剤、グリコールモノアルキルエーテル系溶剤、芳香族炭化水素系溶剤、ハロゲン化芳香族炭化水素系溶剤、脂肪族炭化水素系溶剤、ハロゲン化脂肪族炭化水素系溶剤、脂環式炭化水素系溶剤、ケトン系溶剤、およびアセテート系溶剤などが挙げられる。
エステル系溶剤としては、酢酸アルキル(例:酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸3−メトキシブチル、酢酸イソブチル、酢酸ペンチルおよび酢酸イソペンチル)、トリフルオロ酢酸エチル、プロピオン酸アルキル(例:プロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸プロピルおよびプロピオン酸ブチル)、酪酸アルキル(例:酪酸メチル、酪酸エチル、酪酸ブチル、酪酸イソブチルおよび酪酸プロピル)、マロン酸ジアルキル(例:マロン酸ジエチル)、グリコール酸アルキル(例:グリコール酸メチルおよびグリコール酸エチル)、乳酸アルキル(例:乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸イソプロピル、乳酸n-プロピル、乳酸ブチルおよび乳酸エチルヘキシル)、モノアセチン、γ−ブチロラクトンおよびγ−バレロラクトンなどが好ましい。
アミド系溶剤としては、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルプロピオンアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミドジメチルアセタール、N−メチルカプロラクタムおよびジメチルイミダゾリジノンなどが好ましい。
アルコール系溶剤としては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−メトキシ−2−プロパノール、t−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、ブタノール、2−エチルブタノール、n−ヘキサノール、n−ヘプタノール、n−オクタノール、1−ドデカノール、エチルヘキサノール、3,5,5−トリメチルヘキサノール、n−アミルアルコール、ヘキサフルオロ−2−プロパノール、グリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ヘキシレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオール、2,5−ヘキサンジオール、3−メチル−3−メトキシブタノール、シクロヘキサノールおよびメチルシクロヘキサノールなどが好ましい。
エーテル系溶剤としては、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ビス(2−プロピル)エーテル、1,4−ジオキサンおよびテトラヒドロフラン(THF)などが好ましい。
グリコールモノアルキルエーテル系溶剤としては、エチレングリコールモノアルキルエーテル(例:エチレングリコールモノメチルエーテルおよびエチレングリコールモノブチルエーテル)、ジエチレングリコールモノアルキルエーテル(例:ジエチレングリコールモノエチルエーテル)、トリエチレングリコールモノアルキルエーテル、プロピレングリコールモノアルキルエーテル(例:プロピレングリコールモノブチルエーテル)、ジプロピレングリコールモノアルキルエーテル(例:ジプロピレングリコールモノメチルエーテル)、エチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート(例:エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート)、ジエチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート(例:ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート)、トリエチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート(例:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテートおよびプロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート)、ジプロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート(例:ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)、およびジエチレングリコールメチルエチルエーテルなどが好ましい。
芳香族炭化水素系溶剤としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、i−プロピルベンゼン、n−プロピルベンゼン、t−ブチルベンゼン、s−ブチルベンゼン、n−ブチルベンゼン、およびテトラリンである。ハロゲン化芳香族炭化水素系溶剤の好ましい例はクロロベンゼンなどが好ましい。脂肪族炭化水素系溶剤としては、ヘキサンおよびヘプタンなどが好ましい。ハロゲン化脂肪族炭化水素系溶剤としては、クロロホルム、ジクロロメタン、四塩化炭素、ジクロロエタン、トリクロロエチレンおよびテトラクロロエチレンなどが好ましい。脂環式炭化水素系溶剤としては、シクロヘキサンおよびデカリンなどが好ましい。
ケトン系溶剤としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、およびメチルプロピルケトンなどが好ましい。
アセテート系溶剤としては、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、アセト酢酸メチル、および1−メトキシ−2−プロピルアセテートなどが好ましい。
液晶化合物の溶解性の観点からは、アミド系溶剤、芳香族炭化水素系溶剤、ケトン系溶剤の使用が好ましく、溶剤の沸点を考慮すると、エステル系溶剤、アルコール系溶剤、エーテル系溶剤、グリコールモノアルキルエーテル系溶剤の併用も好ましい。溶剤の選択に関して特に制限はないが、支持基材としてプラスチック基板を用いる場合は、基板の変形を防ぐために乾燥温度を低くすること、および溶剤が基板を侵食しないようにする必要がある。このような場合に好ましく用いられる溶剤としては、芳香族炭化水素系溶剤、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、エーテル系溶剤、アルコール系溶剤、アセテート系溶剤、グリコールモノアルキルエーテル系溶剤である。
液晶組成物の溶液における固形分の割合は、この溶液の全重量を基準として5〜70重量%である。この割合の好ましい範囲は10〜50重量%であり、より好ましい範囲は10〜40重量%である。これら溶剤は単独で使用してもよく、2つ以上を混合して使用してもよい。これら溶剤は市販品であってもよい。
以下の説明では、液晶組成物を重合して得られる重合体(光学異方性フィルム)を液晶フィルムと称することがある。液晶フィルムは、次のようにして得ることができる。まず、液晶組成物を流動性のある状態で支持基板上に塗布し、塗膜を形成させる。液晶組成物の溶液を調製した場合は、支持基板上に塗布し、これを乾燥させて塗膜を形成させる。その塗膜に光照射して液晶組成物を重合させ、塗膜中の組成物が液晶状態で形成するネマチック配向を固定化する。使用できる支持基板の材質としては、ガラスおよびプラスチックなどが挙げられる。プラスチックとしては、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリアミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトン、ポリケトンサルファイド、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリフェニレンオキサイド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリアリレート、アクリル樹脂、ポリビニルアルコール、ポリプロピレン、セルロース、トリアセチルセルロースおよびその部分鹸化物、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、およびシクロオレフィン系樹脂などが挙げられる。支持基板は、通常シート状またはフィルム状である。
シクロオレフィン系樹脂としてノルボルネン系樹脂、ジシクロペンタジエン系樹脂等が挙げられるが、これらに限定されない。これらの中で、不飽和結合を有さないか、又は不飽和結合が水素添加されたものが好適に用いられる。例えば、1種又は2種以上のノルボルネン系モノマーの開環(共)重合体の水素添加物、1種又は2種以上のノルボルネン系モノマーの付加(共)重合体、ノルボルネン系モノマーとオレフィン系モノマー(エチレン、α−オレフィン等)との付加共重合体、ノルボルネン系モノマーとシクロオレフィン系モノマー(シクロペンテン、シクロオクテン、5,6−ジヒドロジシクロペンタジエン等)との付加共重合体、及び、これらの変性物等が挙げられ、具体的には、ZEONEX、ZEONOR(共に商品名、日本ゼオン(株)製)、ARTON(商品名、JSR(株)製)、TOPAS(商品名、ティコナ社製)、APEL(商品名、三井化学(株)製)、エスシーナ(商品名、積水化学工業(株)製)、OPTOREZ(商品名、日立化成(株)製)が挙げられる。
支持基板として用い得るこれらのプラスチックからなるフィルム(プラスチックフィルム)は、一軸延伸フィルムであってよく、二軸延伸フィルムであってもよい。これらのフィルムは、例えば、コロナ処理やプラズマ処理などの親水化処理、あるいは疎水化処理などの表面処理を施したものであってもよい。親水化処理の方法は特に制限はないが、コロナ処理あるいはプラズマ処理が好ましく、特に好ましい方法はプラズマ処理である。プラズマ処理は、特開2002−226616号公報、特開2002−121648号公報などに記載されている方法を用いてもよい。また、液晶フィルムとプラスチックフィルムとの密着性を改良するためにアンカーコート層を形成させてもよい。このようなアンカーコート層は液晶フィルムとプラスチックフィルムの密着性を高めるものであれば、無機系材料、有機系材料のいずれであっても何ら問題はない。また、プラスチックフィルムは積層フィルムであってもよい。プラスチックフィルムに代えて、表面にスリット状の溝をつけたアルミニウム、鉄、銅などの金属基板や、表面をスリット状にエッチング加工したアルカリガラス、ホウ珪酸ガラス、フリントガラスなどのガラス基板などを用いることもできる。
これらのガラス基板、プラスチックフィルム等の支持基板には、液晶組成物の塗膜形成に先立って、ホモジニアス配向およびハイブリッド配向の液晶フィルムを形成する場合には、ラビング等による物理的、機械的な表面処理を行う。ホメオトロピック配向の液晶フィルムを形成する場合はラビング等の表面処理を行わない場合が多いが、配向欠陥等を防止する点でラビング処理を行ってもよい。ラビング処理には任意の方法が採用できるが、通常はレーヨン、綿、ポリアミドなどの素材からなるラビング布を金属ロールなどに捲き付け、支持基板または重合体被膜に接した状態でロールを回転させながら移動させる方法、ロールを固定したまま支持基板側を移動させる方法などが採用される。ラビング処理は支持基板に直接施されていてもよく、または支持基板上に予め一般に配向膜と呼ばれるポリイミドなどの重合体被膜を設け、その重合体被膜にラビング処理を施してもよい。ラビング処理の方法は前述のとおりである。支持基板の種類によっては、その表面に酸化ケイ素を傾斜蒸着して配向能を付与することもできる。
また、ホモジニアス配向およびハイブリッド配向の液晶フィルムを形成する場合には、ラビング等による物理的、機械的な表面処理を行う以外に、支持基板上に予め一般に光配向膜と呼ばれるポリイミドやポリアクリレートなどの重合体被膜を設け、その重合体被膜に偏光UV処理を施してもよい。
液晶組成物またはその溶液を塗布する際、均一な膜厚を得るための塗布方法の例は、スピンコート法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、ワイヤーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、メニスカスコート法およびダイコート法である。特に、塗布時に液晶組成物にせん断応力がかかるワイヤーバーコート法等を、ラビング等による基板の表面処理を行わないで液晶組成物の配向を制御する場合に用いてもよい。
本発明の液晶組成物の溶液を塗布するときに、塗布後に支持基板上に膜厚の均一な重合性液晶層、即ち液晶組成物の層を形成させるために、熱処理を行ってもよい。熱処理は、ホットプレートや、乾燥炉、温風や熱風の吹き付けなどを利用することができる。
塗膜を熱処理する際の温度および時間、光照射に用いられる光の波長、光源から照射する光の量などは、液晶組成物に用いる化合物の種類と組成比、光重合開始剤の添加の有無やその添加量などによって、好ましい範囲が異なる。従って、以下に説明する塗膜の熱処理の温度および時間、光照射に用いられる光の波長、および光源から照射する光の量についての条件は、あくまでもおよその範囲を示すものである。
塗膜の熱処理は、重合性液晶の均一配向性が得られる条件で行うことが好ましい。液晶組成物の液晶相転移点以上で行ってもよい。熱処理方法の一例は、前記液晶組成物がネマチック液晶相を示す温度まで塗膜を加温して、塗膜中の液晶組成物にネマチック配向を形成させる方法である。液晶組成物がネマチック液晶相を示す温度範囲内で、塗膜の温度を変化させることによってネマチック配向を形成させてもよい。この方法は、上記温度範囲の高温域まで塗膜を加温することによって塗膜中にネマチック配向を概ね完成させ、次いで温度を下げることによってさらに秩序だった配向にする方法である。上記のどちらの熱処理方法を採用する場合でも、熱処理温度は室温〜120℃である。この温度の好ましい範囲は室温〜80℃であり、より好ましい範囲は室温〜60℃である。熱処理時間は5秒〜2時間である。この時間の好ましい範囲は10秒〜40分であり、より好ましい範囲は20秒〜20分である。液晶組成物からなる層の温度を所定の温度まで上昇させるためには、熱処理時間を5秒以上にすることが好ましい。生産性を低下させないためには、熱処理時間を2時間以内にすることが好ましい。このようにして本発明の重合性液晶層が得られる。
重合性液晶層中に形成された液晶化合物のネマチック配向状態は、この液晶化合物を光照射により重合させることによって固定化される。光照射に用いられる光の波長は特に限定されない。電子線、紫外線、可視光線、赤外線(熱線)などを利用することができる。通常は、紫外線または可視光線を用いればよい。波長の範囲は150〜500nmである。好ましい範囲は250〜450nmであり、より好ましい範囲は300〜400nmである。光源の例は、低圧水銀ランプ(殺菌ランプ、蛍光ケミカルランプ、ブラックライト)、高圧放電ランプ(高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ)、ショートアーク放電ランプ(超高圧水銀ランプ、キセノンランプ、水銀キセノンランプ)である。光源の好ましい例は、メタルハライドランプやキセノンランプ、超高圧水銀ランプおよび高圧水銀ランプである。光源と重合性液晶層との間にフィルターなどを設置して特定の波長領域のみを通すことにより、照射光源の波長領域を選択してもよい。光源から照射する光量は、塗膜面到達時で2〜5000mJ/cm2である。光量の好ましい範囲は10〜3000mJ/cm2であり、より好ましい範囲は100〜2000mJ/cm2である。光照射時の温度条件は、上記の熱処理温度と同様に設定されることが好ましい。また、重合環境の雰囲気は窒素雰囲気、不活性ガス雰囲気、空気雰囲気のいずれでもよいが、窒素雰囲気あるいは不活性ガス雰囲気が硬化性を向上させる観点から好ましい。
本発明の重合性液晶層、およびこれを光や熱などにより重合させた液晶フィルムを様々な光学素子に用いる場合、または液晶表示装置に用いる光学補償素子として適用する場合には、厚み方向におけるチルト角の分布の制御が極めて重要となる。
チルト角を制御する方法の一つは、液晶組成物に用いる液晶化合物の種類や組成比などを調整する方法である。この液晶組成物に他の成分を添加することによっても、チルト角を制御することができる。液晶フィルムのチルト角は、液晶組成物中の溶剤の種類や溶質濃度、他の成分の1つとして加える界面活性剤の種類や添加量などによっても制御することができる。支持基板または重合体被膜の種類やラビング条件、液晶組成物の塗膜の乾燥条件や熱処理条件などによっても、液晶フィルムのチルト角を制御することができる。さらに、配向後の光重合工程での照射雰囲気や照射時の温度なども液晶フィルムのチルト角に影響を与える。即ち、液晶フィルムの製造プロセスにおけるほとんど全ての条件が多少なりともチルト角に影響を与えると考えてよい。従って、液晶組成物の最適化と共に、液晶フィルムの製造プロセスの諸条件を適宜選択することにより、任意のチルト角にすることができる。
ホモジニアス配向は、チルト角が基板界面から自由界面にかけて一様に0度に近く、特に0〜5度に分布している。この配向状態は、本発明の液晶組成物を、ラビング等の表面処理を行った支持基板表面に塗布し、塗膜を形成させることによって得られる。
本発明の液晶組成物にはキラルな化合物、つまりは光学活性を有する化合物を添加してもよい。光学活性化合物の好適例は、式(Op−1)〜(Op−25)で表される化合物である。これらの式において、Akは炭素数1〜15のアルキルまたは炭素数1〜15のアルコキシを、Me、EtおよびPhはそれぞれ、メチル、エチルおよびフェニルを表す。P2は重合性の基であり、(メタ)アクリロイルオキシ、ビニルオキシ、オキシラニル、またはオキセタニルを含む基であることが好ましい。本発明の液晶組成物は以下に説明する重合体の原料として用いる他、液晶表示素子の構成要素である液晶として用いてもよい。
Figure 2016128403
Figure 2016128403
具体例として、特開2011−148762号公報のp.70の段落0159〜p.81の段落0170記載のものがある。
光学活性を有する化合物を適当量含有した液晶組成物、または、光学活性を有する重合性化合物を適当量含有した液晶組成物を、配向処理した基板上に塗布して重合することによって、らせん構造(ツイスト構造)を示す位相差フィルムが得られる。液晶組成物の重合によって、このらせん構造が固定される。得られる液晶フィルムの特性は、得られたらせん構造のらせんピッチに依存する。このらせんピッチ長は、光学活性化合物の種類および添加量により調整できる。添加する光学活性化合物は1つでもよいが、らせんピッチの温度依存性を相殺する目的で複数の光学活性化合物を用いてもよい。なお、液晶組成物には、光学活性化合物の他に、その他の重合性化合物が含まれてもよい。
上記のような液晶フィルムの特性である可視光の選択反射は、らせん構造が入射光に作用し、円偏光や楕円偏光を反射させるものである。選択反射特性はλ=n・Pitch(λは選択反射の中心波長、nは平均屈折率、Pitchはらせんピッチ)で表されるため、nまたはPitchを変えることにより中心波長(λ)および波長幅(Δλ)を適宜調整することができる。色純度を良くするには波長幅(Δλ)を小さくすればよいし、広帯域の反射を所望する際には波長幅(Δλ)を大きくすればよい。さらにこの選択反射は重合体の厚みの影響も大きく受ける。色純度を保つためには、厚みが小さくなりすぎないようにしなければならない。均一な配向性を保つためには、厚みが大きくなりすぎないようにしなければならない。したがって、適度な厚みの調整が必要であり、0.5〜25μmが好ましく、1〜10μmがより好ましい。
らせんピッチを可視光よりさらに短くすることで、W. H. de Jeu, Physical Properties of Liquid Crystalline Materials, Gordon and Breach, New York(1980)に記載のネガティブ型Cプレート(Negative C plate)を調製できる。らせんピッチを短くするためには、ねじり力(HTP:ヘリカル・ツイスティング・パワー)の大きな光学活性化合物を用い、さらにその添加量を増やすことで達成できる。具体的にはλを350nm以下、好ましくは200nm以下とすることで、ネガティブ型Cプレートを調製できる。このネガティブ型Cプレートは液晶表示素子のうちVAN型、VAC型、OCB型等の表示素子に適した光学補償膜となる。
液晶フィルムは、らせんピッチを可視光より長くすることで特開2004−333671号公報に記載されているような反射波長領域を近赤外(波長800〜2500nm)に設定した反射フィルムに用いることができる。らせんピッチを長くするためには、例えば、ねじり力の小さな光学活性化合物を用いること、または光学活性化合物の添加量を減らすことにより達成できる。
上記光学活性化合物は、らせん構造を誘起し、ベースとなる液晶組成物と適切に混合できれば、いずれの光学活性化合物を用いてもよい。また、重合性化合物でも非重合性化合物のいずれでもよく、目的に応じて最適な化合物を添加することができる。耐熱性および耐溶媒性を考慮した場合、重合性化合物の方が好適である。
さらに上記光学活性化合物の中でも、ねじり力(HTP:ヘリカル・ツイスティング・パワー)が大きいものは、らせんピッチを短くする上で好適である。ねじり力の大きな化合物の代表例が、GB2298202号公報、DE10221751号公報で開示されている。
液晶フィルムの厚さ(膜厚)は、目的とする素子に応じたレターデーションや液晶フィルムの複屈折率(光学異方性の値)によって適当な厚さが異なる。従って、厚さの範囲は目的毎に異なるが、目安として0.05〜100μmである。より好ましい範囲は0.1〜50μmであり、さらに好ましい範囲は0.5〜20μmである。液晶フィルムの好ましいヘイズ値は1.5%以下であり、好ましい透過率は80%以上である。より好ましいヘイズ値は1.0%以下であり、より好ましい透過率は95%以上である。透過率については、可視光領域でこれらの条件を満たすことが好ましい。
液晶フィルムの複屈折率(光学異方性の値)が高いほど厚みを薄くできる。厚みが薄いほどヘイズ値や透過率などの光学特性は良くなる傾向がある。
液晶フィルムは、液晶表示素子(特に、アクティブマトリックス型およびパッシブマトリックス型の液晶表示素子)に適用する光学補償素子として有効である。この液晶フィルムを光学補償膜として使用するのに適している液晶表示素子の型の例は、IPS型(イン・プレーン・スイッチング)、OCB型(光学的に補償された複屈折)、TN型(ツィステッド・ネマティック)、STN型(スーパー・ツィステッド・ネマティック)、ECB型(電気的に制御された複屈折)、DAP型(整列相の変形効果)、CSH型(カラー・スーパー・ホメオトロピック)、VAN/VAC型(垂直配向したネマチック/コレステリック)、OMI型(光学モード干渉)、SBE型(超複屈折効果)などである。さらにゲスト−ホスト型、強誘電性型、反強誘電性型などの表示素子用の位相レターダーとして、この液晶フィルムを使用することもできる。なお、液晶フィルムに求められるチルト角の厚み方向の分布や厚みなどのパラメーターの最適値は、補償すべき液晶表示素子の種類とその光学パラメーターに強く依存するので、素子の種類によって異なる。
液晶フィルムは、偏光板などと一体化した光学素子としても使用することができ、この場合は液晶セルの外側に配置させられる。一方、光学補償素子としての液晶フィルムは、セルに充填された液晶への不純物の溶出がないかまたは少ないので、液晶セルの内部に配置させることも可能である。例えば、特開2008−01943号公報に開示されている方法を応用すれば、カラーフィルター上に本発明の重合性液晶層を形成することでカラーフィルターの機能を更に向上させることが可能となる。また本液晶フィルムが適用できる光学素子に用いられる偏光板の種類には、特に制限はなく、広く実用されているヨウ素をドープした吸収型の偏光板はもとより、ワイヤーグリッド偏光板等の反射型偏光板の光学補償にも好適に用いることが出来る。
液晶フィルムは二色性色素等の添加物を含有してもよい。二色性色素としてはアントラキノン、ナフトキノンまたはアゾベンゼンからなる色素が好ましい。二色性色素と複合化したホモジニアス配向の液晶フィルムは、吸収型偏光板としても使用することができる。また、蛍光色素と複合化したホモジニアス配向の液晶フィルムは、偏光発光型フィルムとしても使用することができる。
本発明にかかる光学異方性フィルムは、波長450nmにおける複屈折率Δn(Δn450)と波長550nmにおける複屈折率Δn(Δn550)が以下の関係を満たす波長分散性を有する。
0.8≦Δn450/Δn550≦1.05
Δn450/Δn550の値が小さすぎると緑に対して最適なレターデーションを設定した場合に青のレターデーションが最適値から小さすぎる値になってしまうため、視野角特性が悪くなり、逆に、大きすぎると緑に対して最適なレターデーションを設定した場合に青のレターデーションが最適値から大きすぎる値になってしまうため、視野角特性が悪くなる。前記関係式を満足するものは、従来のものとは異なり、屈折率の波長分散性が、低いさらには逆(波長が大きくなるに伴い屈折率異方性が大きくなる)となり、より最適化された光学異方性フィルム材料の提供が可能となる。
以下、実施例によって本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により制限されない。
<化合物の構造確認>
500MHzのプロトンNMR(ブルカー:DRX-500)の測定により合成した化合物の構造を確認した。記載した数値はppmを表し、sはシングレット、dはダブレット、tはトリプレット、mはマルチプレットを表す。
<相転移温度>
偏光顕微鏡を備えた融点測定装置のホットプレートに試料を置き、3℃/分の速度で昇温した。相が別の相に転移する温度を測定した。Cは結晶、Nはネマチック相、Sはスメクチック相、Iは等方性液体を意味する。NI点は、ネマチック相の上限温度またはネマチック相から等方性液体への転移温度である。「C 50 N 63 I」は、50℃で結晶からネマチック相に転移し、63℃でネマチック相から等方性液体へ転移したことを示す。括弧内はモノトロピックの液晶相を示す。
<重合条件>
窒素雰囲気下において、室温で250Wの超高圧水銀灯(ウシオ電機社製、マルチライト−250)を用いて30mW/cm2(365nm)の強度の光を30秒間照射した。
<配向の評価>
(1)ラビング処理済み配向膜付きガラス基板の作成
厚さ1.1mmのガラス基板に、低プレチルト角(水平配向モード)用ポリアミック酸(リクソンアライナー:PIA−5370 JNC(株)製)をスピンコートし、スピンコートした塗膜から溶媒を80℃のホットプレート上で除去後、該塗膜を230℃で30分間、オーブンで焼成したものを、レーヨン布を利用してラビング処理した。
(2)目視による観察方法
クロスニコルに配置した2枚の偏光板の間に位相差フィルムを形成した基板を挟持して観察し、基板を水平面内で回転させ、明暗の状態を確認した。位相差フィルムを形成した基板を偏光顕微鏡観察し、配向欠陥の有無を確認した。
(3)偏光解析装置による測定
シンテック(株)製のOPTIPRO偏光解析装置を用い、位相差フィルムを形成した基板に波長が550nmおよび450nmの光を照射した。これらの光の入射角度をフィルム面に対して90°から減少させながらレターデーションを測定した。レターデーション(retardation
;位相遅れ、レターデーションとも呼ばれる)はΔn×dで表される。記号Δnは光学異方性値であり、記号dは重合体フィルムの厚さである。
<膜厚測定>
液晶フィルム付きガラス基板の液晶フィルムの層を削りだして、その段差を微細形状測定装置(KLA TENCOR(株)製 アルファステップIQ)を用いて測定した。
<光学異方性(Δn)の評価>
ホモジニアス配向を有する液晶フィルムについて求めた光の入射角度がフィルム面に対して90°の時のレターデーションと膜厚値から、光学異方性(Δn)=レターデーション(Re)/膜厚(d)として算出した。
<波長分散特性の評価>
波長分散の特性として、以下の式から求められる値を指標とした。
波長分散の特性=450nmの光で測定したレターデーション(Re450nm)/550nmの光で測定したレターデーション(Re550nm)。
すなわち、上記波長分散の特性値が小さい方が、低長分散性が高く、1以下の値の場合に逆波長分散特性を有することを示す。
<鉛筆硬度>
JIS規格「JIS−K−5400 8.4 鉛筆引掻試験」の方法に準じて測定した。すなわち、鉛筆硬度計(吉光精機製C−221)を用い、45°の角度で固定した鉛筆(三菱鉛筆(株)Uni)の芯による引掻きで、キズが生じる時の鉛筆の芯の硬さを測定した。
[実施例1]下記に示す化合物(1−B−1−1−1)を以下のようにして合成した。
Figure 2016128403
化合物(ex−1)は、J. Chem. Soc., Perkin Trans. 1,437-1,442(1999)に従って合成した。
化合物(ex−1)12.4gおよび48%臭化水素酸50mLを、酢酸25mLに加え、窒素雰囲気下、30時間加熱還流下撹拌した。反応液を氷水に注ぎ込み、酢酸エチルを加え有機層を抽出した。得られた有機層を飽和重曹水、次いで水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧下で酢酸エチルを留去し、残渣をトルエンで再結晶することで、化合物(ex−2)8.7gを得た。
化合物(ex−3)は、特開2008−239873号公報に従って合成した。
化合物(ex−2)2.0g、化合物(ex−3)5.4g、および4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)0.4gを、ジクロロメタン44mlに加え、窒素雰囲気下冷却しながら撹拌した。そこへ、1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)3.6gのジクロロメタン溶液10mLを滴下した。滴下後、室温で16時間撹拌した。析出した沈殿物を濾別し、有機層を水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧下でジクロロメタンを留去し、残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、溶離液:トルエン−酢酸エチル混合液(容量比:トルエン/酢酸エチル=20/1))で精製し、メタノールで再結晶することにより、化合物(1−B−1−1−1)4.8gを得た。
得られた化合物(1−B−1−1−1)の相転移温度およびNMR分析値は以下のとおりである。
相転移温度(℃):C 82 I
1H-NMR(CDCl3;δppm):7.99(d,2H),7.52−7.44(m,3H),7.25(d,2H),7.21(d,2H),7.12(s,2H),6.88(d,2H),6.83(d,2H),6.40(d,2H),6.17−6.08(m,2H),5.82(d,2H),4.20−4.15(m,4H),3.97−3.91(m,4H),3.14(t,2H),3.11−3.02(m,4H),2.96(t,2H),1.84−1.76(m,4H),1.76−1.67(m,4H),1.55−1.41(t,8H).
[実施例2]
下記に示す化合物(1−A−1−1−1)を以下のようにして合成した。
Figure 2016128403
trans−4−ヒドロキシシクロヘキサンカルボン酸25.0g、およびトリエチルアミン26.3gを、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)125mLに加え、窒素雰囲気下10℃以下で冷却しながら撹拌した。そこへ、クロロメチルメチルエーテル14.7gをゆっくり滴下した。滴下後、室温で8時間撹拌した。酢酸エチルおよび水を加えて有機層を抽出し、有機層を飽和重曹水および水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧下で酢酸エチルを留去し、残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、溶離液:トルエン−酢酸エチル混合物(容量比:トルエン/酢酸エチル=2/1))で精製し、減圧乾燥することにより、化合物(ex−4)25.2gを得た。
化合物(ex−3)42.9g、化合物(ex−4)25.2g、およびDMAP3.3gを、ジクロロメタン430mLに加え、窒素雰囲気下冷却しながら撹拌した。そこへ、DCC29.0gのジクロロメタン溶液60mLを滴下した。滴下後、室温で16時間撹拌した。析出した沈殿物を濾別し、有機層を飽和重曹水および水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧下でジクロロメタンを留去し、残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、溶離液:トルエン−酢酸エチル混合物(容量比:トルエン/酢酸エチル=12/1))で精製し、減圧乾燥した。得られた残渣、およびp−トルエンスルホン酸(pTSA)2.1gを、THF110mLおよびIPA55mLの混合溶液に加え、40℃で8時間加熱撹拌した。酢酸エチルおよび水を加えて有機層を抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧下で溶媒を留去し、残渣を酢酸エチルおよびヘプタンの混合溶液で再結晶することにより、化合物(ex−5)31.8gを得た。
化合物(ex−2)4.0g、化合物(ex−5)15.0g、およびDMAP0.8gを、ジクロロメタン135mLに加え、窒素雰囲気下冷却しながら撹拌した。そこへ、DCC7.3gのジクロロメタン溶液15mLを滴下した。滴下後、室温で16時間撹拌した。析出した沈殿物を濾別し、有機層を水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧下でジクロロメタンを留去し、残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、溶離液:トルエン−酢酸エチル混合物(容量比:トルエン/酢酸エチル=14/1))で精製し、メタノールで再結晶することにより、化合物(1−A−1−1−1)13.4gを得た。
得られた化合物(1−A−1−1−1)の相転移温度およびNMR分析値は以下のとおりである。
相転移温度(℃):C 94 (N 83 ) I
1H-NMR(CDCl3;δppm):8.04−8.00(m,2H),7.54−7.47(m,3H),7.18(s,2H),7.15−7.10(m,4H),6.83(d,4H),6.40(d,2H),6.16−6.09(m,2H),5.82(d,2H),4.89−4.77(m,2H),4.17(t,4H),3.94(t,4H),2.94−2.88(m,4H),2.81−2.73(m,1H),2.69−2.58(m,5H),2.35−2.21(m,4H),2.18−2.07(m,4H),1.93−1.67(m,12H),1.57−1.42(m,12H).
[実施例3]
下記に示す化合物(1−A−1−2−1)を以下のようにして合成した。
Figure 2016128403
化合物(ex−6)は原料として2−ナフトイルクロリドを用いた以外は実施例1の化合物(ex−1)と同様の手法で合成した。
化合物(ex−6)2.2g、化合物(ex−5)7.0g、およびDMAP0.4gを、ジクロロメタン63mLに加え、窒素雰囲気下冷却しながら撹拌した。そこへ、DCC3.4gのジクロロメタン溶液7mLを滴下した。滴下後、室温で16時間撹拌した。析出した沈殿物を濾別し、有機層を水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧下でジクロロメタンを留去し、残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、溶離液:トルエン−酢酸エチル混合物(容量比:トルエン/酢酸エチル=12/1))で精製し、メタノールで再結晶することにより、化合物(1−A−1−2−1)5.8gを得た。
得られた化合物(1−A−1−2−1)の相転移温度およびNMR分析値は以下のとおりである。
相転移温度(℃):C 101 (N 75 ) I
1H-NMR(CDCl3;δppm):8.47(s,1H),8.15(d,1H),7.99−7.94(m,2H),7.92−7.87(m,1H),7.20(s,2H),7.16−7.11(m,4H),6.83(d,4H),6.40(d,2H),6.16−6.08(m,2H),5.81(d,2H),4.92−4.78(m,2H),4.19−4.15(m,4H),3.94(t,4H),2.95−2.88(m,4H),2.85−2.77(m,1H),2.39−2.23(m,4H),2.22−2.09(m,4H),1.97−1.67(m,12H),1.60−1.42(m,12H).
[実施例4]
下記に示す化合物(1−B−1−6−1)を以下のようにして合成した。
Figure 2016128403
3−(4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸10.0g、およびトリエチルアミン9.1gを、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)50mLに加え、窒素雰囲気下10℃以下で冷却しながら撹拌した。そこへ、クロロメチルメチルエーテル5.1gをゆっくり滴下した。滴下後、室温で8時間撹拌した。酢酸エチルおよび水を加えて有機層を抽出し、有機層を飽和重曹水および水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧下で酢酸エチルを留去し、残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、溶離液:トルエン−酢酸エチル混合物(容量比:トルエン/酢酸エチル=2/1))で精製し、減圧乾燥することにより、化合物(ex−7)10.5gを得た。
化合物(ex−8)14.6g、化合物(ex−7)10.5g、およびDMAP1.2gを、ジクロロメタン146mLに加え、窒素雰囲気下冷却しながら撹拌した。そこへ、DCC10.8gのジクロロメタン溶液22mLを滴下した。滴下後、室温で16時間撹拌した。析出した沈殿物を濾別し、有機層を飽和重曹水および水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧下でジクロロメタンを留去し、残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、溶離液:トルエン−酢酸エチル混合物(容量比:トルエン/酢酸エチル=14/1))で精製し、減圧乾燥した。得られた残渣、およびp−トルエンスルホン酸(pTSA)0.8gを、THF42mLおよびIPA21mLの混合溶液に加え、40℃で8時間加熱撹拌した。酢酸エチルおよび水を加えて有機層を抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧下で溶媒を留去し、残渣を酢酸エチルおよびヘプタンの混合溶液で再結晶することにより、化合物(ex−9)7.2gを得た。
化合物(ex−6)2.3g、化合物(ex−9)7.2g、およびDMAP0.4gを、ジクロロメタン72mLに加え、窒素雰囲気下冷却しながら撹拌した。そこへ、DCC3.5gのジクロロメタン溶液7mLを滴下した。滴下後、室温で16時間撹拌した。析出した沈殿物を濾別し、有機層を水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧下でジクロロメタンを留去し、残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、溶離液:トルエン−酢酸エチル混合物(容量比:トルエン/酢酸エチル=14/1))で精製し、メタノールで再結晶することにより、化合物(1−B−1−6−1)5.6gを得た。
得られた化合物(1−B−1−6−1)の相転移温度およびNMR分析値は以下のとおりである。
相転移温度(℃):C 113(N 104 ) I
1H-NMR(CDCl3;δppm):8.49(s,1H),8.13(t,5H),7.95−7.90(m,2H),7.84(d,1H),7.56−7.47(m,2H),7.42(d,2H),7.39(d,2H),7.24−7.15(m,6H),6.99−6.92(m,4H),6.42(d,2H),6.17−6.09(m,2H),5.83(d,2H),4.19(t,4H),4.08−4.02(m,4H),3.26(t,2H),3.21−3.11(m,4H),3.04(t,2H),1.88−1.81(m,4H),1.77−1.70(m,4H),1.58−1.44(m,8H).
[実施例5]
下記に示す化合物(1−B−1−7−1)を以下のようにして合成した。
Figure 2016128403
化合物(ex−4)22.5g、化合物(ex−10)25.8g、およびDMAP2.9gを、ジクロロメタン258mLに加え、窒素雰囲気下冷却しながら撹拌した。そこへ、DCC25.9gのジクロロメタン溶液52mLを滴下した。滴下後、室温で16時間撹拌した。析出した沈殿物を濾別し、有機層を飽和重曹水および水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧下でジクロロメタンを留去し、残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、溶離液:トルエン−酢酸エチル混合物(容量比:トルエン/酢酸エチル=4/1))で精製し、減圧乾燥した。得られた残渣、およびp−トルエンスルホン酸(pTSA)1.8gを、THF75mLおよびIPA37mLの混合溶液に加え、40℃で8時間加熱撹拌した。酢酸エチルおよび水を加えて有機層を抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧下で溶媒を留去し、減圧乾燥することにより、化合物(ex−11)33.5gを得た。
化合物(ex−7)14.2g、化合物(ex−11)23.1g、およびDMAP1.6gを、ジクロロメタン231mLに加え、窒素雰囲気下冷却しながら撹拌した。そこへ、DCC14.6gのジクロロメタン溶液30mLを滴下した。滴下後、室温で16時間撹拌した。析出した沈殿物を濾別し、有機層を飽和重曹水および水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧下でジクロロメタンを留去し、残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、溶離液:トルエン−酢酸エチル混合物(容量比:トルエン/酢酸エチル=4/1))で精製し、減圧乾燥した。得られた残渣、およびp−トルエンスルホン酸(pTSA)1.1gを、THF90mLおよび水1mLの混合溶液に加え、40℃で8時間加熱撹拌した。酢酸エチルおよび水を加えて有機層を抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧下で溶媒を留去し、残渣を酢酸エチルおよびヘプタンの混合溶液で再結晶することにより、化合物(ex−12)14.8gを得た。
化合物(ex−6)1.6g、化合物(ex−12)5.5g、およびDMAP0.3gを、ジクロロメタン55mLに加え、窒素雰囲気下冷却しながら撹拌した。そこへ、DCC2.4gのジクロロメタン溶液5mLを滴下した。滴下後、室温で16時間撹拌した。析出した沈殿物を濾別し、有機層を水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧下でジクロロメタンを留去し、残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、溶離液:トルエン−酢酸エチル混合物(容量比:トルエン/酢酸エチル=4/1))で精製し、メタノールで再結晶することにより、化合物(1−B−1−7−1)3.8gを得た。
得られた化合物(1−B−1−7−1)の相転移温度およびNMR分析値は以下のとおりである。
相転移温度(℃):C 101 I
1H-NMR(CDCl3;δppm):8.46(s,1H),8.13(d,1H),7.97−7.91(m,2H),7.88(d,1H),7.60−7.53(m,2H),7.38(d,2H),7.33(d,2H),7.17−7.12(m,2H),7・08−7.01(m,4H),6.46(d,2H),6.19−6.11(m,2H),5.88(d,2H),4.82−4.74(m,2H),4.40−4.33(m,8H),3.22(t,2H),3.18−3.08(m,4H),3.01(t,2H),2.70−2.61(m,8H),2.58−2.50(m,2H),2.22−2.05(m,8H),1.77−1.65(m,4H),1.52−1.40(m,4H).
[実施例6]
下記に示す化合物(1−A−3−7−1)を以下のようにして合成した。
Figure 2016128403
化合物(ex−13)はJ. Org. Chem. 69, 2164‐2177(2004)に従って合成した。
化合物(ex−13)4.0g、およびマロン酸ジメチル1.8gを、DMF40mLに加え、窒素雰囲気下100℃で8時間撹拌した。放冷し、酢酸エチルおよび水を加え抽出した。有機層を1N塩酸水溶液、次いで飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧下で溶剤を留去し、残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、溶離液:トルエン−メタノール混合物(容量比:トルエン/メタノール=10/1))で精製し、減圧乾燥することにより、化合物(ex−14)2.2gを得た。
化合物(ex−14)2.1g、化合物(ex−5)6.1g、およびDMAP0.3gを、ジクロロメタン61mLに加え、窒素雰囲気下冷却しながら撹拌した。そこへ、DCC3.0gのジクロロメタン溶液6mLを滴下した。滴下後、室温で16時間撹拌した。析出した沈殿物を濾別し、有機層を水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧下でジクロロメタンを留去し、残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、溶離液:トルエン−酢酸エチル混合物(容量比:トルエン/酢酸エチル=10/1))で精製し、メタノールで再結晶することにより、化合物(1−A−3−7−1)4.8gを得た。
得られた化合物(1−A−3−7−1)の相転移温度およびNMR分析値は以下のとおりである。
相転移温度(℃):C 97 (N 77 ) I
1H-NMR(CDCl3;δppm):7.15(s,2H),7.11(d,4H),6.82(d,4H),6.40(d,2H),6.16−6.08(m,2H),5.82(d,2H),4.83−4.74(m,2H),4.17(t,4H),3.94(t,4H),3.89(s,6H),2.90(t,4H),2.68−2.57(m,6H),2.26−2.19(m,4H),2.13−2.07(m,4H),1.83−1.67(m,12H),1.55−1.42(m,12H).
[実施例7]
下記に示す化合物(1−A−2−7−1)を以下のようにして合成した。
Figure 2016128403
化合物(ex−14)は原料としてマロン酸ジメチルの代わりにシクロペンタノンを用いた以外は実施例4の化合物(ex−13)と同様の手法で合成した。
化合物(ex−14)1.2g、化合物(ex−5)4.0g、およびDMAP0.2gを、ジクロロメタン40mLに加え、窒素雰囲気下冷却しながら撹拌した。そこへ、DCC1.9gのジクロロメタン溶液4mLを滴下した。滴下後、室温で16時間撹拌した。析出した沈殿物を濾別し、有機層を水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧下でジクロロメタンを留去し、残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、溶離液:トルエン−酢酸エチル混合物(容量比:トルエン/酢酸エチル=10/1))で精製し、メタノールで再結晶することにより、化合物(1−A−2−7−1)2.6gを得た。
得られた化合物(1−A−2−7−1)の相転移温度およびNMR分析値は以下のとおりである。
相転移温度(℃):C 119 I
1H-NMR(CDCl3;δppm):7.12(d,4H),7.07(s,2H),6.82(d,4H),6.41(d,2H),6.16−6.08(m,2H),5.83(d,2H),4.82−4.74(m,2H),4.27−4.22(m,4H),4.00−3.96(m,4H),2.90(t,4H),2.70−2.56(m,8H),2.46(t,4H),2.25−2.17(m,4H),2.14−2.04(m,6H),1.91−1.85(m,8H),1.79−1.68(m,4H),1.52−1.41(m,4H).
[実施例8]
下記に示す化合物(1−A−5−1−1)を以下のようにして合成した。
Figure 2016128403
2,5−ジヒドロキシベンズアルデヒド0.6g、化合物(ex−5)4.0g、およびDMAP0.2gを、ジクロロメタン40mLに加え、窒素雰囲気下冷却しながら撹拌した。そこへ、DCC1.9gのジクロロメタン溶液4mLを滴下した。滴下後、室温で16時間撹拌した。析出した沈殿物を濾別し、有機層を水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧下でジクロロメタンを留去し、残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、溶離液:トルエン−酢酸エチル混合物(容量比:トルエン/酢酸エチル=10/1))で精製し、メタノールで再結晶することにより、化合物(ex−15)2.8gを得た。
化合物(ex−15)2.8g、(±)−10−カンファースルホン酸0.1gを、THF60mLおよびEtOH10mLに加え、窒素雰囲気下冷却しながら撹拌した。そこへ、2−ヒドラジノベンゾチアゾール0.6gのTHF溶液10mLを滴下した。酢酸エチルおよび水を加え抽出し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧下で溶剤を留去し、残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、溶離液:トルエン−酢酸エチル混合物(容量比:トルエン/酢酸エチル=5/1))で精製し、メタノールで再結晶することにより、化合物(1−A−5−1−1)1.9gを得た。
得られた化合物(1−A−5−1−1)の相転移温度およびNMR分析値は以下のとおりである。
相転移温度(℃):C 112 (N 89) I
1H-NMR(CDCl3;δppm):11.8(s,1H),8.19(s,1H),8.16(d,2H),8.12(d,2H),7.77(d,1H),7.68(d,1H),7.45−7.39(m,3H),7.28(t,1H),7.12(d,4H),7.09(t,2H),6.82(d,4H),6.41(d,2H),6.16−6.08(m,2H),5.83(d,2H),4.82−4.74(m,2H),4.27−4.22(m,4H),4.00−3.96(m,4H),2.90(t,4H),2.70−2.56(m,8H),2.46(t,4H),2.25−2.17(m,4H),2.14−2.04(m,6H),1.91−1.85(m,8H),1.79−1.68(m,4H),1.52−1.41(m,4H).
<液晶組成物の作成>
[実施例9]
上記合成した本発明化合物と以下に示す化合物(M2−7−1)、(M1−15−1)および(M1−16−1)を用いて、表1に示す液晶組成物を作成した。
Figure 2016128403
液晶組成物における本発明化合物の種類と含有量、その他の重合性液晶化合物の種類と含有量、重合開始剤の含有量、界面活性剤の含有量、および溶剤の含有量を表1および表2に示した。ここで表1および表2中、%は液晶組成物の総重量を100重量%としたときのこの各材料の含有重量%を示す。重合開始剤はイルガキュアー907(BASFジャパン(株)製)を用い、界面活性剤はフタージェントFTX−218((株)ネオス製 )を用い、溶剤はシクロヘキサノンを使用した。
Figure 2016128403
Figure 2016128403
[比較例1]
実施例9に記載の方法と同様に上記化合物(M2−7−1)、(M1−15−1)および(M1−16−1)と下記化合物(C−1)、(C−2)および(C−3)を用いて、表3、表4および表5に示す液晶組成物を作成した。
Figure 2016128403
ここで、(C−1)の合成ルートおよび相転移温度とNMR分析値は以下のとおりである。
Figure 2016128403
相転移温度(℃):C 104 Sm 125 N 220 < I
1H-NMR(CDCl3;δppm):8.09−8.03(m,2H),7.55−7.46(m,3H),7.99−7.94(m,2H),7.21(s,2H),7.00(d,4H),6.89(d,4H),6.41(d,2H),4.24(t,4H),3.99(t,4H),2.86−2.78(m,1H),2.75−2.59(m,2H),2.49−2.30(m,8H),1.92−1.65(m,16H).
Figure 2016128403
ここで、(C−2)の合成ルートおよび相転移温度とNMR分析値は以下のとおりである。
Figure 2016128403
相転移温度(℃):C 122 N 220 < I
1H-NMR(CDCl3;δppm):7.18(s,2H),6.99(d,4H),6.88(d,4H),6.41(d,2H),6.16−6.09(m,4H),5.83(d,2H),4.18(t,4H),3.95(t,4H),3.90(s,6H),2.53−2.67(m,2H),2.64−2.57(m,2H),2.38−2.28(m,8H),1.84−1.65(m,16H),1.55−1.42(m,8H).
Figure 2016128403
ここで、(C−3)の合成ルートおよび相転移温度とNMR分析値は以下のとおりである。
Figure 2016128403
相転移温度(℃):C 163 N 220 < I
1H-NMR(CDCl3;δppm):12.63(s,1H),8.10(s,1H),7.80(d,1H),7.61(d,1H),7.48(s,1H),7,35−7.21(m,3H),7.14(t,1H),6.99(d,4H),6.88(d,4H),6.41(d,2H),6.16−6.09(m,4H),5.83(d,2H),4.18(t,4H),3.95(t,4H),3.90(s,6H),2.53−2.67(m,2H),2.64−2.57(m,2H),2.38−2.28(m,8H),1.84−1.65(m,16H),1.55−1.42(m,8H).
Figure 2016128403
Figure 2016128403
Figure 2016128403
<光学異方性フィルムの作成>
[実施例10]
実施例9で作成した液晶組成物(S−1)〜(S−8)を、ラビング処理済配向膜付きガラス基板上へスピンコートにより塗布した。この基板を80℃で2分間加熱し、室温で1分間冷却し、溶剤が除去した重合性液晶層を空気中で紫外線により重合させて、液晶の配向状態を固定させた光学異方性フィルムを得た。これら得られた光学異方フィルムを偏光顕微鏡観察および偏光解析装置で確認したところ、配向欠陥がなく均一なホモジニアス配向を有していた。
[比較例2]
実施例10に記載の方法と同様に、比較例1で作成した液晶組成物(SC−1)〜(SC−7)から光学異方性フィルムを得た。これら得られた光学異方フィルムを偏光顕微鏡観察および偏光解析装置で確認したところ、(SC−1)、(SC−2)、(SC−4)および(SC−6)はホモジニアス配向を有していることが確認できた。ただし、(SC−3)、(SC−5)および(SC−7)は結晶が析出し配向欠陥が生じ均一なホモジニアス配向を有する膜は得られなかった。
(SC−3)と(S−3)および(S−5)とを対比すると、化合物(C−1)を用いただけでは形成が困難であった均一なホモジニアス配向を有する膜が、本発明の液晶化合物(1)を使用すると、形成が可能となることがわかる。
また、(SC−4)と(S−6)とを対比すると、化合物(C−2)を用いただけでは形成が困難であった均一なホモジニアス配向を有する膜が、本発明の液晶化合物(1)を使用すると、形成が可能となることがわかる。
さらに、(SC−6)と(S−8)とを対比すると、化合物(C−3)を用いただけでは形成が困難であった均一なホモジニアス配向を有する膜が、本発明の液晶化合物(1)を使用すると、形成が可能となることがわかる。
<光学異方性フィルムの光学特性>
[実施例11〜18、比較例3〜6]
実施例5および比較例2で作成した光学異方性フィルムのフィルム面に対して90度のレターデーションの波長450nmの測定値(Re450)および波長550nmの測定値(Re550)、膜厚、波長550nmでのΔn、および波長分散特性を表6に示す。
Figure 2016128403
実施例11〜18の光学異方性フィルムは比較例3と比較して波長分散特性が低い値を示した。このことは本発明の化合物を液晶組成物に組み込むことでより波長分散特性を低下させる効果があることを示すものであり、本発明化合物を用いることで得られる光学異方性フィルムの波長分散特性を制御可能であることが明らかとなった。また、実施例15、16および18の光学異方性フィルムにおいては波長分散特性が1以下の値を示し、逆波長分散特性を有することが確認できた。
<化合物の溶剤への溶解性>
実施例2〜3および比較例1で合成した化合物の有機溶剤への溶解性を表7に示す。ここで表7中、化合物と溶剤との合計重量を100重量%とし、化合物が15、30重量%のときの各種溶剤に対して40℃湯煎30分後の溶解性を目視にて評価し、完全に溶解したものを○、不溶物があるものを×とした。使用した溶剤はシクロヘキサノン(CHN)、シクロペンタノン(CPN)、アニソールおよび3−メトキシプロピオン酸メチル(MMP)である。
Figure 2016128403
化合物(1−A−1−1−1)および化合物(1−A−1−2−1)は化合物(C−1)に対して溶解可能な有機溶剤の種類が多く、より多く溶解することを確認した。基材にフィルムを用いる際は、基材に合った溶剤を選定する必要があり多様な溶剤への溶解性が高いことは重要である。また、高濃度で溶解可能であれば厚膜を成形することが可能となり、所望の位相差を得ることが容易となる。
実施例6、8および比較例1で合成した化合物の有機溶剤への溶解性を表8に示す。ここで表8中、化合物と溶剤との合計重量を100重量%とし、化合物が15、30重量%のときの各種溶剤に対して40℃湯煎30分後の溶解性を目視にて評価し、完全に溶解したものを○、不溶物があるものを×とした。使用した溶剤はシクロヘキサノン(CHN)、アニソール、3−メトキシプロピオン酸メチル(MMP)およびメチルイソブチルケトン(MIBK)である。
Figure 2016128403
化合物(1−A−3−7−1)は化合物(C−2)に対して溶解可能な有機溶剤の種類が多く、またより多くの量を溶解することが可能であることを確認した。また、化合物(1−A−5−1−1)は化合物(C−3)に対して溶解可能な有機溶剤の種類が多く、より多くの量を溶解することが可能であることを確認した。基材にフィルムを用いる際は、基材に合った溶剤を選定する必要があり多様な溶剤への溶解性が高いことは重要である。また、高濃度で溶解可能であれば厚膜を成形することが可能となり、所望の位相差を得ることが容易となる。
<液晶相の安定性>
実施例9および比較例1で作成した液晶組成物を、ラビング処理済配向膜付きガラス基板上へスピンコートにより塗布した。この基板を80℃で2分間加熱し、このガラス基板を室温で放置した。結晶の析出の有無を目視にて評価し、液晶状態から結晶が析出するまでの時間を測定した結果を表9に示す。
Figure 2016128403
実施例19〜25の液晶組成物は比較例7〜11と比較して、溶媒を除去した室温下の状態にて非常に長時間液晶相を維持していることが確認できた。このことから製造マージンが広く取り扱いやすい材料であることがわかる。
本発明の化合物は低波長分散特性または逆波長分散特性を有し、かつ比較的低い温度で液晶相を示し、相溶性や溶解性に優れる。該化合物を用いた液晶組成物は、波長分散特性の制御が容易で、液晶相を長時間維持することができるため容易に光学異方性フィルムを得ることができる。そのため、得られた光学異方性フィルムは、例えば、位相差膜、光学補償膜、反射膜、選択反射膜、反射防止膜、視野角補償膜、液晶配向膜、偏光素子、円偏光素子、および楕円偏光素子等、光学異方性フィルムから成る膜または素子を有する表示素子に好適である。

Claims (21)

  1. 式(1)で表される化合物。
    Figure 2016128403
    (式(1)中、
    1は独立して1,4−フェニレン、1,4−シクロへキシレン、1,4−シクロへキセニレン、ピリジン−2,5−ジイル、またはナフタレン−2,6−ジイルから選ばれるいずれかの二価基であり、該二価基において、少なくとも一つの水素はフッ素、塩素、シアノ、ヒドロキシ、ホルミル、トリフルオロアセチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、炭素数1〜5のアルキル、炭素数1〜5のアルコキシ、炭素数1〜5のアルコキシカルボニル、または炭素数1〜5のアルカノイルで置き換えられてもよく;
    1は独立して単結合、−OCH2−、−CH2O−、−COO−、−OCO−、−COS−、−SCO−、−CONH−、−NHCO−、−CF2O−、−OCF2−、−CH2CH2−、−CF2CF2−、−OCH2CH2O−、−CH=CHCOO−、−OCOCH=CH−、−CH2CH2COO−、−OCOCH2CH2−、−CH2CH2OCO−、−COOCH2CH2−、−CH=CH−、−N=CH−、−CH=N−、−N=CCH3−、−CCH3=N−、−N=N−、または−C≡C−であるが、Z1のうち少なくとも一つは−CH2CH2COO−、−OCOCH2CH2−、−CH2CH2OCO−、または−COOCH2CH2−であり;
    mは独立して1または2の整数であり;
    1は独立して水素、フッ素、塩素、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、シアノ、炭素数1〜20のアルキル、炭素数2〜20のアルケニル、炭素数1〜20のアルコキシ、炭素数1〜20のアルキルエステル、または式(2)で表される基であり、ただしR1のうち少なくとも一つは式(2)で表される基である。
    Figure 2016128403
    式(2)中、Y1は単結合、−O−、−COO−、−OCO−、または−OCOO−であり;Q1は単結合または炭素数1〜20を有するアルキレンであり、該アルキレンにおいて少なくとも一つの−CH2−は−O−、−COO−、−OCO−、−CH=CH−、または−C≡C−で置き換えられてもよく;PGは式(PG−1)〜式(PG−8)のいずれか1つで表される重合性の基である。
    Figure 2016128403
    式(PG−1)〜式(PG−8)中、R2はそれぞれ独立して水素、ハロゲン、メチル、エチル、またはトリフルオロメチルであり;
    Gは式(G−1)〜式(G−5)のいずれか1つで表される基である。
    Figure 2016128403
    式(式(G−1)〜式(G−5)中、X1、X3、X4およびX5はそれぞれ独立して−O−または−S−であり;X2は−N=であり;X6は独立して−CH=または−N=であり;W1およびW5はヘテロ原子を含んでもよい芳香環であり、該芳香環は単結合または−C≡C−で連結していても良く;W2は酸素、硫黄、5員環、6員環、5員環および6員環の縮合環であり、該5員環および6員環はヘテロ原子またはカルボニルを含んでいても良く;W3は独立してシアノ、炭素数1〜10のアルカノイルまたは炭素数1〜10のアルキルエステルであり、該アルカノイルまたはアルキルエステルにおいて少なくとも一つの−CH2−は−O−、−COO−、−OCO−、−CH=CH−、または−C≡C−で置き換えられてもよく;W4は、単結合もしくは−CH=CH−、−C≡C−、1,4−フェニレン、またはそれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基を表し;A2は独立して1,4−フェニレン、1,4−シクロへキシレン、1,4−シクロへキセニレン、ピリジン−2,5−ジイル、またはナフタレン−2,6−ジイルから選ばれるいずれかの二価基であり、該二価基において、少なくとも一つの水素はフッ素、塩素、シアノ、ヒドロキシ、ホルミル、トリフルオロアセチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、炭素数1〜5のアルキル、炭素数1〜5のアルコキシ、炭素数1〜5のアルキルエステル、または炭素数1〜5のアルカノイルで置き換えられてもよく;Z2は独立して単結合、−OCH2−、−CH2O−、−COO−、−OCO−、−COS−、−SCO−、−CONH−、−NHCO−、−CF2O−、−OCF2−、−CH2CH2−、−CF2CF2−、−OCH2CH2O−、−CH=CHCOO−、−OCOCH=CH−、−CH2CH2COO−、−OCOCH2CH2−、−CH2CH2OCO−、−COOCH2CH2−、−CH=CH−、−N=CH−、−CH=N−、−N=CCH3−、−CCH3=N−、−N=N−、または−C≡C−であり;nは独立して1または2の整数であり;R3は式(2)で表される基であり;Z3は−CH=N−NR4−または−CH=N−N=C−で表される基であり、R4は水素または炭素数1〜10のアルキルである。)
  2. 式(1−A)または(1−B)で表される請求項1に記載の化合物。
    Figure 2016128403
    (式(1−A)および(1−B)中、
    1は独立して1,4−フェニレン、1,4−シクロへキシレン、1,4−シクロへキセニレン、ピリジン−2,5−ジイル、またはナフタレン−2,6−ジイルから選ばれるいずれかの二価基であり、該二価基において、少なくとも一つの水素はフッ素、塩素、シアノ、ヒドロキシ、ホルミル、トリフルオロアセチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、炭素数1〜5のアルキル、炭素数1〜5のアルコキシ、炭素数1〜5のアルキルエステル、または炭素数1〜5のアルカノイルで置き換えられてもよく;R1は独立して水素、フッ素、塩素、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、シアノ、炭素数1〜20のアルキル、炭素数2〜20のアルケニル、炭素数1〜20のアルコキシ、炭素数1〜20のアルキルエステル、または式(2)で表される基であり、ただしR1のうち少なくとも一つは式(2)で表される基である。
    Figure 2016128403
    式(2)中、Y1は単結合、−O−、−COO−、−OCO−、または−OCOO−であり;Q1は単結合または炭素数1〜20を有するアルキレンであり、該アルキレンにおいて少なくとも一つの−CH2−は−O−、−COO−、−OCO−、−CH=CH−、または−C≡C−で置き換えられてもよく;PGは式(PG−1)〜式(PG−8)のいずれか1つで表される重合性の基である。
    Figure 2016128403
    式(PG−1)〜式(PG−8)中、R2はそれぞれ独立して水素、ハロゲン、メチル、エチルまたはトリフルオロメチルであり;
    Gは式(G−1)〜式(G−5)のいずれか1つで表される基である。
    Figure 2016128403
    式(G−1)〜式(G−5)中、X1、X3、X4およびX5はそれぞれ独立して−O−または−S−であり;X2は−N=であり;X6は独立して−CH=または−N=であり;W1およびW5はヘテロ原子を含んでもよい芳香環であり、該芳香環は単結合または−C≡C−で連結していても良く;W2は酸素、硫黄、5員環、6員環、5員環および6員環の縮合環であり、該5員環および6員環はヘテロ原子またはカルボニルを含んでいても良く;W3は独立してシアノ、炭素数1〜10のアルカノイルまたは炭素数1〜10のアルキルエステルであり、該アルカノイルまたはアルキルエステルにおいて少なくとも一つの−CH2−は−O−、−COO−、−OCO−、−CH=CH−、または−C≡C−で置き換えられてもよく;W4は単結合もしくは−CH=CH−、−C≡C−、1,4−フェニレン、またはそれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基を表し;A2は独立して1,4−フェニレン、1,4−シクロへキシレン、1,4−シクロへキセニレン、ピリジン−2,5−ジイル、またはナフタレン−2,6−ジイルから選ばれるいずれかの二価基であり、該二価基において、少なくとも一つの水素はフッ素、塩素、シアノ、ヒドロキシ、ホルミル、トリフルオロアセチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、炭素数1〜5のアルキル、炭素数1〜5のアルコキシ、炭素数1〜5のアルキルエステル、または炭素数1〜5のアルカノイルで置き換えられてもよく;Z2は独立して単結合、−OCH2−、−CH2O−、−COO−、−OCO−、−COS−、−SCO−、−CONH−、−NHCO−、−CF2O−、−OCF2−、−CH2CH2−、−CF2CF2−、−OCH2CH2O−、−CH=CHCOO−、−OCOCH=CH−、−CH2CH2COO−、−OCOCH2CH2−、−CH2CH2OCO−、−COOCH2CH2−、−CH=CH−、−N=CH−、−CH=N−、−N=CCH3−、−CCH3=N−、−N=N−、または−C≡C−であり;nは独立して1または2の整数であり;R3は式(2)で表される基であり;Z3は−CH=N−NR4−または−CH=N−N=C−で表される基であり、R4は水素または炭素数1〜10のアルキルであり;
    1は独立して単結合、−OCH2−、−CH2O−、−COO−、−OCO−、−OCH2CH2O−、−CH=CHCOO−、−OCOCH=CH−、−CH2CH2COO−、−OCOCH2CH2−、または−CH2CH2OCO−であり;
    pは独立して0または1の整数である。)
  3. 両方のR1が式(2)で表される基である請求項1または2に記載の化合物。
  4. 両方のR1が式(2)で表される基であり、式(2)中、PGが式(PG−1)で表される重合性の基であり、R2が水素またはメチルである請求項1〜3のいずれか1項に記載の化合物。
  5. Gが式(G−1)で表される基であり、
    Figure 2016128403
    式(G−1)中、W1が式(W1−1)〜式(W1−6)のいずれか1つで表される基である請求項1〜4のいずれか1項に記載の化合物。
    Figure 2016128403
    ここで、式(W1−1)〜式(W1−6)中、X7は−O−または−S−であり、少なくとも一つの−CH=は-N=に置き換えられてもよく、少なくとも一つの水素はフッ素、塩素、シアノ、トリフルオロアセチル、トリフルオロメチル、炭素数1〜5のアルキル、炭素数1〜5のアルコキシ、炭素数1〜5のアルキルエステル、または炭素数1〜5のアルカノイルで置き換えられてもよい。
  6. Gが式(G−2−1)〜式(G−2−7)で表される基である請求項1〜4のいずれか1項に記載の化合物。
    Figure 2016128403
    (式(G−2−3)〜式(G−2−7)中、R4はそれぞれ炭素数1〜5のアルキルまたは炭素数1〜5のアルキルエステルであり;R5は炭素数1〜5のアルキルまたは置換基を有しても良いフェニルであり;R6は炭素数1〜5のアルキルであり;X8は独立して−CO−または−S−である。)
  7. Gが式(G−3−1)〜式(G−3−4)で表される基である請求項1〜4のいずれか1項に記載の化合物。
    Figure 2016128403
    (式(G−3−1)〜式(G−3−4)中、R7は炭素数1〜5のアルキルであり、該アルキルは分岐を有しても良い。)
  8. Gが式(G−4)で表される基であり、
    Figure 2016128403
    式(G−4)中、Z2は独立して単結合、−OCH2−、−CH2O−、−COO−、−OCO−、−OCH2CH2O−、−CH=CHCOO−、−OCOCH=CH−、−CH2CH2COO−、−OCOCH2CH2−、−CH2CH2OCO−または−COOCH2CH2−であり;R3は式(2)で表される基であり、式(2)中、PGが式(PG−1)で表される重合性の基であり、R2が水素またはメチルであり;W4は単結合または式(W4−1)〜式(W4−6)のいずれか1つで表される連結基を表す請求項1〜4のいずれか1項に記載の化合物。
    Figure 2016128403
  9. Gが式(G−5)で表される基であり、
    Figure 2016128403
    式(G−5)中、W5が式(W5−1)〜式(W5−4)のいずれか1つで表される基である請求項1〜4のいずれか1項に記載の化合物。
    Figure 2016128403
    (ここで、式(W5−1)〜式(W5−4)中、X9は−O−または−S−であり、少なくとも一つの−CH=は-N=に置き換えられてもよく、少なくとも一つの水素はフッ素、塩素、シアノ、トリフルオロアセチル、トリフルオロメチル、炭素数1〜5のアルキル、炭素数1〜5のアルコキシ、炭素数1〜5のアルキルエステル、または炭素数1〜5のアルカノイルで置き換えられてもよい。)
  10. 1が1,4−フェニレンまたは1,4−シクロへキシレンであり;Z1は−COO−または−OCO−である、請求項2〜9のいずれか1項に記載の化合物。
  11. 1が1,4−シクロへキシレンである、請求項2〜9のいずれか1項に記載の化合物。
  12. 請求項1〜11のいずれか1項に記載の化合物の少なくとも1つを含有する液晶組成物。
  13. 請求項1〜11 のいずれか1項に記載の化合物の少なくとも1つと式(M1)および式(M2)で表される化合物群から選ばれる少なくとも1つとを含有する液晶組成物。
    Figure 2016128403
    (式(M1)および(M2)中、
    Mはそれぞれ独立して1,4−フェニレン、1,4−シクロへキシレン、1,4−シクロへキセニレン、ピリジン−2,5−ジイル、ナフタレン−2,6−ジイル、フルオレノン−2,7−ジイルまたはフルオレン−2,7−ジイルから選ばれるいずれかの二価基であり、該二価基において、少なくとも一つの水素はフッ素、塩素、シアノ、ヒドロキシ、ホルミル、トリフルオロアセチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、炭素数1〜5のアルキル、炭素数1〜5のアルコキシ、炭素数1〜5のアルキルエステルまたは炭素数1〜5のアルカノイルで置き換えられてもよく;
    Mはそれぞれ独立して単結合、−OCH2−、−CH2O−、−COO−、−OCO−、−COS−、−SCO−、−OCOO−、−CONH−、−NHCO−、−CF2O−、−OCF2−、−CH2CH2−、−CF2CF2−、−CH=CHCOO−、−OCOCH=CH−、−CH2CH2COO−、−OCOCH2CH2−、−CH=CH−、−N=CH−、−CH=N−、−N=CCH3−、−CCH3=N−、−N=N−または−C≡C−であり;
    Mは水素、フッ素、塩素、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、シアノ、炭素数1〜20のアルキル、炭素数2〜20のアルケニル、炭素数1〜20のアルコキシまたは炭素数1〜20のアルキルエステルであり;
    qは1〜4の整数であり;
    aは0〜20の整数であり;
    Mは水素またはメチルであり;
    Mは単結合、−O−、−COO−、−OCO−または−OCOO−である。)
  14. 請求項12または13に記載の液晶組成物において、さらにキラルな化合物を少なくとも1つ含有する液晶組成物。
  15. 請求項12〜14のいずれか1項に記載の液晶組成物において、さらに二色性色素化合物を少なくとも1つ含有する液晶組成物。
  16. 請求項12〜15のいずれか1項に記載の液晶組成物に光を照射して得られる重合体。
  17. 請求項16に記載の重合体からなる光学的異方性を有する光学異方性フィルム。
  18. 波長450nmにおけるΔn(Δn450)と波長550nmにおけるΔn(Δn550)が以下の関係を満たす、請求項17に記載の光学異方性フィルム。
    0.8≦Δn450/Δn550≦1.05
  19. 請求項17または18に記載の光学異方性フィルムを有する偏光板。
  20. 請求項17または18に記載の光学異方性フィルムを有する表示素子。
  21. 請求項19に記載の偏光板を有する表示素子。
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