以下、実施の形態について図面を参照しながら説明する。但し、実施の形態は多くの異なる態様で実施することが可能であり、趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は、以下の実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
また、図面において、大きさ、層の厚さ、又は領域は、明瞭化のために誇張されている場合がある。よって、必ずしもそのスケールに限定されない。なお図面は、理想的な例を模式的に示したものであり、図面に示す形状又は値などに限定されない。
また、本明細書などにおいて、第1、第2等として付される序数詞は便宜上用いるものであり、工程順又は積層順を示すものではない。そのため、例えば、「第1の」を「第2の」又は「第3の」などと適宜置き換えて説明することができる。また、本明細書等に記載されている序数詞と、本発明の一態様を特定するために用いられる序数詞は一致しない場合がある。
また、本明細書において、「上に」、「下に」などの配置を示す語句は、構成同士の位置関係を、図面を参照して説明するために、便宜上用いている。また、構成同士の位置関係は、各構成を描写する方向に応じて適宜変化するものである。従って、明細書で説明した語句に限定されず、状況に応じて適切に言い換えることができる。
また、本明細書等において、半導体装置とは、半導体特性を利用することで機能しうる装置全般を指す。トランジスタなどの半導体素子をはじめ、半導体回路、演算装置、記憶装置は、半導体装置の一態様である。撮像装置、表示装置、液晶表示装置、発光装置、電気光学装置、発電装置(薄膜太陽電池、有機薄膜太陽電池等を含む)、及び電子機器は、半導体装置を有する場合がある。
また、本明細書等において、トランジスタとは、ゲートと、ドレインと、ソースとを含む少なくとも三つの端子を有する素子である。そして、ドレイン(ドレイン端子、ドレイン領域またはドレイン電極)とソース(ソース端子、ソース領域またはソース電極)の間にチャネル領域を有しており、ドレインとチャネル領域とソースとを介して電流を流すことができるものである。なお、本明細書等において、チャネル領域とは、電流が主として流れる領域をいう。
また、ソースやドレインの機能は、異なる極性のトランジスタを採用する場合や、回路動作において電流の方向が変化する場合などには入れ替わることがある。このため、本明細書等においては、ソースやドレインの用語は、入れ替えて用いることができるものとする。
また、本明細書等において、「電気的に接続」には、「何らかの電気的作用を有するもの」を介して接続されている場合が含まれる。ここで、「何らかの電気的作用を有するもの」は、接続対象間での電気信号の授受を可能とするものであれば、特に制限を受けない。例えば、「何らかの電気的作用を有するもの」には、電極や配線をはじめ、トランジスタなどのスイッチング素子、抵抗素子、インダクタ、キャパシタ、その他の各種機能を有する素子などが含まれる。
また、本明細書等において、「半導体」と表記した場合でも、例えば、導電性が十分低い場合は「絶縁体」としての特性を有する場合がある。また、「半導体」と「絶縁体」は境界が曖昧であり、厳密に区別できない場合がある。したがって、本明細書に記載の「半導体」は、「絶縁体」と言い換えることができる場合がある。同様に、本明細書に記載の「絶縁体」は、「半導体」と言い換えることができる場合がある。
また、「半導体」と表記した場合でも、例えば、導電性が十分高い場合は「導電体」としての特性を有する場合がある。また、「半導体」と「導電体」は境界が曖昧であり、厳密に区別できない場合がある。したがって、本明細書に記載の「半導体」は、「導電体」と言い換えることができる場合がある。同様に、本明細書に記載の「導電体」は、「半導体」と言い換えることができる場合がある。
なお、半導体の不純物とは、例えば、半導体を構成する主成分以外をいう。例えば、濃度が0.1原子%未満の元素は不純物である。不純物が含まれることにより、例えば、半導体にDOS(Density of State)が形成されることや、キャリア移動度が低下することや、結晶性が低下することなどが起こる場合がある。半導体が酸化物半導体である場合、半導体の特性を変化させる不純物としては、例えば、第1族元素、第2族元素、第13族元素、第14族元素、第15族元素、主成分以外の遷移金属などがあり、特に、例えば、水素(水にも含まれる)、リチウム、ナトリウム、シリコン、ホウ素、リン、炭素、窒素などがある。酸化物半導体の場合、例えば水素などの不純物の混入によって酸素欠損を形成する場合がある。また、半導体がシリコン層である場合、半導体の特性を変化させる不純物としては、例えば、酸素、水素を除く第1族元素、第2族元素、第13族元素、第15族元素などがある。
なお、本明細書等において、酸化窒化シリコン膜とは、その組成として、窒素よりも酸素の含有量が多いものであって、好ましくは酸素が55原子%以上65原子%以下、窒素が1原子%以上20原子%以下、シリコンが25原子%以上35原子%以下、水素が0.1原子%以上10原子%以下の濃度範囲で含まれるものをいう。また、窒化酸化シリコン膜とは、その組成として、酸素よりも窒素の含有量が多いのもであって、好ましくは窒素が55原子%以上65原子%以下、酸素が1原子%以上20原子%以下、シリコンが25原子%以上35原子%以下、水素が0.1原子%以上10原子%以下の濃度範囲で含まれるものをいう。
また、本明細書等において、「膜」という用語と、「層」という用語とは、互いに入れ替えることが可能である。例えば、「導電層」という用語を、「導電膜」という用語に変更することが可能な場合がある。または、例えば、「絶縁膜」という用語を、「絶縁層」という用語に変更することが可能な場合がある。
また、本明細書において、「平行」とは、二つの直線が−10°以上10°以下の角度で配置されている状態をいう。したがって、−5°以上5°以下の場合も含まれる。また、「略平行」とは、二つの直線が−30°以上30°以下の角度で配置されている状態をいう。また、「垂直」とは、二つの直線が80°以上100°以下の角度で配置されている状態をいう。したがって、85°以上95°以下の場合も含まれる。また、「略垂直」とは、二つの直線が60°以上120°以下の角度で配置されている状態をいう。
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の一態様に係る半導体装置、及び当該半導体装置の作製方法について、図1乃至図11を参照して説明する。
<半導体装置の構成例>
図1(A)は、本発明の一態様の半導体装置であるトランジスタ10の上面図であり、図1(B)は、図1(A)に示す一点鎖線X1−X2間における切断面の断面図に相当し、図1(C)は、図1(A)に示す一点鎖線Y1−Y2間における切断面の断面図に相当する。なお、図1(A)において、煩雑になることを避けるため、トランジスタ10の構成要素の一部(ゲート絶縁膜として機能する絶縁膜等)を省略して図示している。また、一点鎖線X1−X2方向をチャネル長方向、一点鎖線Y1−Y2方向をチャネル幅方向と呼称する場合がある。なお、トランジスタの上面図においては、以降の図面においても図1(A)と同様に、構成要素の一部を省略して図示する場合がある。
図1(A)乃至図1(C)に示すように、トランジスタ10は、基板102上に形成された導電体104、絶縁体106及び絶縁体107と、絶縁体107の上に形成された酸化物絶縁体108a、酸化物半導体108b及び酸化物絶縁体108cと、酸化物絶縁体108cの少なくとも一部に接して形成された導電体112a及び導電体112bと、を有する。また、酸化物絶縁体108c、導電体112a及び導電体112bの上には絶縁体114、絶縁体116及び絶縁体118が形成されている。
ここで、導電体104、導電体112a及び導電体112bは、導電膜又は導電層ということもできる。また、絶縁体106、絶縁体107、絶縁体114、絶縁体116及び絶縁体118は、絶縁膜又は絶縁層ということもできる。また、酸化物絶縁体108a及び酸化物絶縁体108cは酸化物絶縁体層又は酸化物絶縁体膜ということもできる。また、酸化物半導体108bは酸化物半導体層又は酸化物半導体膜ということもできる。
なお、詳細は後述するが、酸化物絶縁体108a及び酸化物絶縁体108cは、単独で用いる場合、導電体、半導体または絶縁体として機能させることができる物質を用いる場合がある。しかしながら、酸化物半導体108bと積層させてトランジスタを形成する場合、電子は酸化物半導体108b、酸化物半導体108bと酸化物絶縁体108aの界面近傍、および酸化物半導体108bと酸化物絶縁体108cの界面近傍などを流れ、酸化物絶縁体108a及び酸化物絶縁体108cは当該トランジスタのチャネルとして機能しない領域を有する。このため、本明細書などにおいては、酸化物絶縁体108a及び酸化物絶縁体108cを酸化物半導体と記載せず、酸化物絶縁体と記載するものとする。また、詳細は後述するが、酸化物絶縁体108a及び酸化物絶縁体108cを金属酸化物と呼ぶこともできる。
トランジスタ10において、導電体104はゲート電極として機能し、絶縁体106、107はゲート絶縁膜として機能し、導電体112aはソース電極及びドレイン電極の一方として機能し、導電体112bはソース電極及びドレイン電極の他方として機能し、絶縁体114、116、118はトランジスタ10の保護絶縁膜として機能する。
基板102の上に導電体104が形成され、導電体104の上を覆うように絶縁体106が形成され、絶縁体106の上に絶縁体107が形成されている。
絶縁体107の上に、導電体104の少なくとも一部と重なるように酸化物絶縁体108aが形成され、酸化物絶縁体108aの上面の少なくとも一部に接して酸化物半導体108bが形成され、酸化物半導体108bの上面の少なくとも一部に接して酸化物絶縁体108cが形成されている。トランジスタ10においては、酸化物絶縁体108aの側端部と酸化物半導体108bの側端部が略一致しており、酸化物半導体108bの側端部と酸化物絶縁体108cの側端部が略一致している。なお、酸化物絶縁体108aの側端部とは、図1(B)に示すX1−X2方向の酸化物絶縁体108aの端部を示す。酸化物半導体108b、酸化物絶縁体108cについても同様である。また、酸化物絶縁体108a又は酸化物絶縁体108cのいずれかを形成しない構成としてもよい。
また、図1(B)に示すように、酸化物絶縁体108a、酸化物半導体108b及び酸化物絶縁体108cの導電体112aまたは導電体112bと接する領域に低抵抗領域113a及び低抵抗領域113bが形成されることがある。
導電体112aと導電体112bは離間して形成されており、図1(A)に示すように、導電体104を挟んで対向して形成されることが好ましい。トランジスタ10においては、導電体112aと導電体112bは酸化物絶縁体108cの上面の一部と接している。
酸化物絶縁体108c、導電体112a及び導電体112bの上に絶縁体114が形成され、絶縁体114の上に絶縁体116が形成され、絶縁体116の上に絶縁体118が形成されている。ここで、酸化物絶縁体108cの導電体112a及び導電体112bと接していない面に、絶縁体114が接していることが好ましい。
次に、図1に示すトランジスタ10の各構成について、より詳細に説明する。
<酸化物半導体>
まず、酸化物絶縁体108a、酸化物半導体108b及び酸化物絶縁体108cの詳細な構成について説明する。
酸化物半導体108bは、インジウム(In)と、M(Mは、チタン(Ti)、ガリウム(Ga)、イットリウム(Y)、ジルコニウム(Zr)、ランタン(La)、セリウム(Ce)、ネオジム(Nd)、錫(Sn)またはハフニウム(Hf)を表す)と、を有する。ここで、酸化物半導体108bは、Inの含有量が元素Mの含有量より多いことが好ましく、例えば、In−M酸化物を成膜するために用いるスパッタリングターゲットの金属元素の原子数比を、In>Mを満たすようにすればよい。なお、元素Mは、例えば、酸素との結合エネルギーが高い元素であり、例えば、酸素との結合エネルギーがインジウムよりも高い元素である。または、元素Mは、例えば、酸化物半導体のエネルギーギャップを大きくする機能を有する元素である。ただし、元素Mとして、前述の元素を複数組み合わせても構わない場合がある。
酸化物半導体はインジウムを含むことにより、トランジスタの電界効果移動度の向上を図ることができる。よって、酸化物半導体108bにおいて、Inの含有量を元素Mの含有量より多くすることで、トランジスタの電界効果移動度を高められるため好適である。トランジスタの電界効果移動度を高め、オン電流を増大させることで、例えば、4k×2k(水平方向画素数=3840画素、垂直方向画素数=2048画素)または8k×4k(水平方向画素数=7680画素、垂直方向画素数=4320画素)に代表される高精細な表示装置の画素回路または駆動回路のトランジスタとして好適に用いることができる。
また、酸化物半導体108b中のInの含有量を元素Mの含有量より多くすることで、酸化物半導体108bに多結晶構造が形成される場合がある。また、酸化物半導体108bに微結晶構造や、後述するナノ結晶を有する場合がある。
また、酸化物半導体108bが、インジウムと、元素Mと、亜鉛(Zn)を有する構成としてもよい。酸化物半導体108bが亜鉛を有することにより、酸化物半導体108bの電子親和力を大きくすることができ、酸化物半導体108bの伝導帯下端のエネルギー準位を小さくすることができる。これにより、酸化物半導体108bを、酸化物絶縁体108a及び酸化物絶縁体108cよりチャネル形成領域として機能しやすくすることができる。また、酸化物半導体108bが亜鉛を有する構成とすることにより、後述するCAAC−OSを形成しやすくなる。
また、酸化物半導体108bが、インジウムと、元素Mと、ゲルマニウム(Ge)を有する構成としてもよい。酸化物半導体108bがゲルマニウムを有することにより、酸化物半導体108bの多結晶化を抑制し、酸化物半導体108b中に結晶粒界が形成されるのを低減することができる。これにより、酸化物半導体108bの電界効果移動度が低下するのを防ぐことができる。
例えば、酸化物半導体108bの成膜に用いるスパッタリングターゲットの金属元素の原子数比の代表例としては、In:M=2:1、In:M=19:1、In:M:Zn=2:1:1.5、In:M:Zn=2:1:2.3、In:M:Zn=2:1:3、In:M:Zn=3:1:2、In:M:Zn=4:2:4.1、In:M:Ge=76:19:5等がある。なお、スパッタリングターゲットとして、原子数比がIn:Ga:Zn=4:2:4.1を用いる場合、成膜される酸化物半導体108bの原子数比は、In:Ga:Zn=4:2:3近傍となる場合がある。
なお、酸化物半導体108bの厚さは、好ましくは3nm以上200nm以下、より好ましくは3nm以上100nm以下、さらに好ましくは3nm以上50nm以下とする。
また、酸化物半導体108bをZnを含まない、またはZnの含有量が少ない(例えば、Znの含有量が元素Mの含有量より少ない)構成とすることにより、酸化物半導体108bの酸系のエッチング液に対する耐性を向上させることができる。酸系のエッチング液としては、例えば、H2O2、PAN液(PAN:Phosphoric−Acetic−Nitric−acid)などが挙げられる。これにより、導電体112a、112bのエッチングにウェットエッチングを用いても、酸化物半導体108bまでエッチングされることを抑制し、主にチャネル形成領域として機能する酸化物半導体108bを保護することができる。
酸化物絶縁体108cは、Inと、Znと、M(Mは、Ti、Ga、Y、Zr、La、Ce、Nd、SnまたはHfを表す)と、を有する。また、酸化物絶縁体108cはさらにGeを有する構成としてもよい。酸化物絶縁体108cは、酸化物半導体108bを構成する酸素以外の元素一種以上、または二種以上から構成される酸化物半導体とすることが好ましい。酸化物半導体108bを構成する酸素以外の元素一種以上、または二種以上から酸化物絶縁体108cが構成されることで、酸化物半導体108bと酸化物絶縁体108cとの界面において、欠陥準位が形成されにくくなる。
また、酸化物絶縁体108cがIn−M−Zn酸化物であるとき、ZnおよびOを除いてのInおよびMの原子数比率は、好ましくは、Inが50atomic%以下、Mが50atomic%より高く、さらに好ましくは、Inが25atomic%以下、Mが75atomic%より高くする。このような原子比率とすることにより、酸化物絶縁体108cのエネルギーギャップを大きく、電子親和力を小さくしうる。また、Ti、Ga、Y、Zr、La、Ce、Nd、SnまたはHfは、酸素との結合力が強い金属元素であるため、これらの元素をInより高い原子数比で有することで、酸素欠損が生じにくくなる。
例えば、酸化物絶縁体108cの成膜に用いるスパッタリングターゲットの金属元素の原子数比の代表例としては、In:M:Zn=1:1:1、In:M:Zn=1:1:1.2、In:M:Zn=1:2:4、In:M:Zn=1:3:2、In:M:Zn=1:3:4、In:M:Zn=1:3:6、In:M:Zn=1:3:8、In:M:Zn=1:4:3、In:M:Zn=1:4:4、In:M:Zn=1:4:5、In:M:Zn=1:4:6、In:M:Zn=1:6:3、In:M:Zn=1:6:4、In:M:Zn=1:6:5、In:M:Zn=1:6:6、In:M:Zn=1:6:7、In:M:Zn=1:6:8、In:M:Zn=1:6:9等がある。なお、スパッタリングターゲットとして、原子数比がIn:Ga:Zn=1:1:1.2を用いる場合、成膜される酸化物絶縁体108cの原子数比は、In:Ga:Zn=1:1:1近傍となる場合がある。
酸化物絶縁体108aは、Znと、M(Mは、Ti、Ga、Y、Zr、La、Ce、Nd、SnまたはHfを表す)と、を有する。また、酸化物絶縁体108aはさらにGeを有する構成としてもよい。酸化物絶縁体108aは、酸化物半導体108bを構成する酸素以外の元素一種以上、または二種以上から構成される酸化物半導体とすることが好ましい。酸化物半導体108bを構成する酸素以外の元素一種以上、または二種以上から酸化物絶縁体108aが構成されることで、酸化物絶縁体108aと酸化物半導体108bとの界面において、欠陥準位が形成されにくくなる。
酸化物絶縁体108aは、Inを有してもよいが、Inの含有量が元素Mの含有量より少なく、且つInの含有量がZnの含有量より少ないことが好ましい。例えば、In−M−Zn酸化物を成膜するために用いるスパッタリングターゲットの金属元素の原子数比を、In<M且つIn<Znを満たすようにすればよい。さらに、酸化物絶縁体108aはインジウムを含まないことがより好ましい。この場合、例えば、酸化物絶縁体108aとしてGa−Zn酸化物などを用いることができる。
このように、酸化物絶縁体108aにインジウムの含有量の少ない酸化物半導体、より好ましくはインジウムを含まない酸化物半導体を用いることにより、酸化物絶縁体108aからトランジスタ10のゲート絶縁膜として機能する絶縁体107にインジウムが拡散することを低減できる。ここで、絶縁体107中または絶縁体107と酸化物絶縁体108aの界面にインジウムが拡散しているとトランジスタのリーク電流が増大する要因となる。しかしながら、酸化物半導体108bと絶縁体107の間に、インジウムの含有量の少ない酸化物半導体、より好ましくはインジウムを含まない酸化物半導体である酸化物絶縁体108aを設けることにより、絶縁体107中または絶縁体107と酸化物絶縁体108aの界面におけるインジウム量を低減し、リーク電流の増大を抑制することができる。
特に本実施の形態に示すトランジスタでは、電界効果移動度を向上させるため、酸化物半導体108b中のインジウムの含有量を増加させることが好ましい。この酸化物半導体108bと絶縁体107が直接接する構成にすると、ゲート絶縁膜として機能する絶縁体107に多くのインジウムが拡散することになる。しかし、酸化物半導体108bと絶縁体107の間に酸化物絶縁体108aを形成する構成とすることにより、リーク電流の増大を抑制しつつ、トランジスタの電界効果移動度を向上し、オン電流の増大を図ることができる。
また、上記のように酸化物半導体108b中のインジウムの含有量を増加させると、酸化物半導体108bに多結晶構造が形成される場合がある。酸化物半導体108bに多結晶構造が形成されると、トランジスタの電気特性が安定しない場合がある。例えば、当該トランジスタのドレイン電流(Id)とゲート電圧(Vg)の特性(Id−Vg特性ともいう)のグラフにおいて、オン電流の立ち上がりが、低いVgで一度立ち上がって安定してから、再び高いVgで立ち上がるという、コブ状の曲線となる場合がある。上記のように絶縁体107と酸化物絶縁体108aの界面におけるインジウムの拡散を抑制することにより、Vgが低いときにソースとドレインの間に流れる電流を低減できるので、このような電気特性の不安定性を低減することができる。
また、酸化物絶縁体108aがIn−M−Zn酸化物であるとき、MとしてTi、Ga、Y、Zr、La、Ce、Nd、SnまたはHfをInより高い原子数比で有することで、酸化物絶縁体108aのエネルギーギャップを大きく、電子親和力を小さくしうる。また、Ti、Ga、Y、Zr、La、Ce、Sn、NdまたはHfは、酸素との結合力が強い金属元素であるため、これらの元素をInより高い原子数比で有することで、酸素欠損が生じにくくなる。
例えば、酸化物絶縁体108aの成膜に用いるスパッタリングターゲットの金属元素の原子数比の代表例としては、M:Zn=2:1、M:Zn=2:5、M:Zn=10:1、In:M:Zn=1:4:5、In:M:Zn=1:4:6、In:M:Zn=1:6:3、In:M:Zn=1:6:4、In:M:Zn=1:6:5、In:M:Zn=1:6:6、In:M:Zn=1:6:7、In:M:Zn=1:6:8、In:M:Zn=1:6:9等がある。
また、酸化物絶縁体108a、108cは、膜中にスピネル型の結晶構造が含まれないことが好ましい。酸化物絶縁体108a、108cの膜中にスピネル型の結晶構造を含む場合、該スピネル型の結晶構造と他の領域との界面において、導電体104、導電体112a、112bなどの構成元素が酸化物半導体108bへ拡散してしまう場合がある。なお、酸化物絶縁体108a、108cが後述するCAAC−OSである場合、導電体112a、112bの構成元素、例えば、銅元素に対するブロッキング性が高くなり好ましい。
酸化物絶縁体108a、108cの膜厚は、導電体104、導電体112a、112bなどの構成元素が酸化物半導体108bに拡散することを抑制することのできる膜厚以上であって、絶縁体114から酸化物半導体108bへの酸素の供給を抑制する膜厚未満とする。例えば、酸化物絶縁体108a、108cの膜厚が10nm以上であると、導電体112a、112bの構成元素が酸化物半導体108bへ拡散するのを抑制することができる。また、酸化物絶縁体108a、108cの膜厚を100nm以下とすると、絶縁体114、116から酸化物半導体108bへ効果的に酸素を供給することができる。
酸化物半導体108bは、例えば、エネルギーギャップが大きい酸化物を用いる。酸化物半導体108bのエネルギーギャップは、例えば、2.5eV以上4.2eV以下、好ましくは2.8eV以上3.8eV以下、さらに好ましくは3eV以上3.5eV以下とする。ここで、酸化物絶縁体108aのエネルギーギャップは、酸化物半導体108bのエネルギーギャップより大きい。また、酸化物絶縁体108cのエネルギーギャップは、酸化物半導体108bのエネルギーギャップより大きい。
酸化物半導体108bは、酸化物絶縁体108aおよび酸化物絶縁体108cよりも電子親和力の大きい酸化物を用いることが好ましい。例えば、酸化物半導体108bとして、酸化物絶縁体108aおよび酸化物絶縁体108cよりも電子親和力の0.07eV以上1.3eV以下、好ましくは0.1eV以上0.7eV以下、さらに好ましくは0.15eV以上0.4eV以下大きい酸化物を用いる。なお、電子親和力は、真空準位と伝導帯下端のエネルギー準位との差である。言い換えると、酸化物絶縁体108aの伝導帯下端のエネルギー準位は、酸化物半導体108bの伝導帯下端のエネルギー準位より真空準位に近い。また、酸化物絶縁体108cの伝導帯下端のエネルギー準位は、酸化物半導体108bの伝導帯下端のエネルギー準位より真空準位に近い。
ここで、酸化物絶縁体108aと酸化物半導体108bとの間には、酸化物絶縁体108aと酸化物半導体108bとの混合領域を有する場合がある。また、酸化物半導体108bと酸化物絶縁体108cとの間には、酸化物半導体108bと酸化物絶縁体108cとの混合領域を有する場合がある。混合領域は、欠陥準位密度が低くなる。そのため、酸化物絶縁体108a、酸化物半導体108b及び酸化物絶縁体108cの積層体は、それぞれの界面近傍において、エネルギーが連続的に変化する(連続接合ともいう。)バンド図となる(図2参照。)。なお、酸化物絶縁体108a、酸化物半導体108b及び酸化物絶縁体108cは、それぞれの界面を明確に判別できない場合がある。
このとき、電子は、酸化物絶縁体108a中及び酸化物絶縁体108c中ではなく、酸化物半導体108b中を主として移動する。上述したように、酸化物絶縁体108aと酸化物半導体108bとの界面における欠陥準位密度、および酸化物半導体108bと酸化物絶縁体108cとの界面における欠陥準位密度を低くすることによって、酸化物半導体108b中で電子の移動が阻害されることが少なく、トランジスタのオン電流を高くすることができる。
上記の通り、酸化物絶縁体108a及び酸化物絶縁体108cは、単独で用いる場合、導電体、半導体または絶縁体として機能させることができる物質からなる。しかしながら、酸化物半導体108bと積層させてトランジスタを形成する場合、電子は酸化物半導体108b、酸化物半導体108bと酸化物絶縁体108aの界面近傍、及び酸化物半導体108bと酸化物絶縁体108cの界面近傍などを流れ、酸化物絶縁体108a及び酸化物絶縁体108cは当該トランジスタのチャネルとして機能しない領域を有する。このため、本明細書などにおいては、酸化物絶縁体108a及び酸化物絶縁体108cを半導体と記載せず、酸化物絶縁体と記載するものとする。なお、酸化物絶縁体108a及び酸化物絶縁体108cを酸化物絶縁体と記載するのは、あくまで酸化物半導体108bと比較してトランジスタの機能上絶縁体に近い機能を有するためなので、酸化物絶縁体108a及び酸化物絶縁体108cとして、酸化物半導体108bに用いることができる物質を用いる場合もある。また、上述の通り、酸化物絶縁体108a及び酸化物絶縁体108cは、金属を含む酸化物である。このため、酸化物絶縁体108a及び酸化物絶縁体108cを金属酸化物と呼ぶこともできる。
なお酸化物絶縁体108a、酸化物半導体108b及び酸化物絶縁体108cに連続接合を形成するためには、ロードロック室を備えたマルチチャンバー方式の成膜装置(スパッタリング装置)を用いて各膜を大気に触れさせることなく連続して積層することが好ましい。
本実施の形態に示す酸化物半導体108bは、不純物濃度が低く、欠陥準位密度の低い(酸素欠損の少ない)酸化物半導体であり、高純度真性または実質的に高純度真性な酸化物半導体と呼ぶことができる。高純度真性または実質的に高純度真性である酸化物半導体は、キャリア発生源が少ないため、キャリア密度を低くすることができる。従って、該酸化物半導体にチャネル領域が形成されるトランジスタは、しきい値電圧がマイナスとなる電気特性(ノーマリーオンともいう。)になることが少ない。また、高純度真性または実質的に高純度真性である酸化物半導体は、欠陥準位密度が低いため、トラップ準位密度も低くなる場合がある。また、高純度真性または実質的に高純度真性である酸化物半導体は、オフ電流が著しく小さく、チャネル幅が1×106μmでチャネル長Lが10μmの素子であっても、ソース電極とドレイン電極間の電圧(ドレイン電圧)が1Vから10Vの範囲において、オフ電流が、半導体パラメータアナライザの測定限界以下、すなわち1×10−13A以下という特性を得ることができる。
したがって、上記高純度真性、または実質的に高純度真性の酸化物半導体にチャネル領域が形成されるトランジスタは、電気特性の変動が小さく、信頼性の高いトランジスタとすることができる。なお、酸化物半導体のトラップ準位に捕獲された電荷は、消失するまでに要する時間が長く、あたかも固定電荷のように振る舞うことがある。そのため、トラップ準位密度の高い酸化物半導体にチャネル領域が形成されるトランジスタは、電気特性が不安定となる場合がある。不純物としては、水素、窒素、アルカリ金属、またはアルカリ土類金属等がある。
酸化物絶縁体108a、酸化物半導体108b及び酸化物絶縁体108cに含まれる水素は、金属原子と結合する酸素と反応して水になると共に、酸素が脱離した格子(または酸素が脱離した部分)に酸素欠損を形成する。該酸素欠損に水素が入ることで、キャリアである電子が生成される場合がある。また、水素の一部が金属原子と結合する酸素と結合して、キャリアである電子を生成することがある。従って、水素が含まれている酸化物半導体を用いたトランジスタはノーマリーオン特性となりやすい。このため、酸化物絶縁体108a、酸化物半導体108b及び酸化物絶縁体108cは水素ができる限り低減されていることが好ましい。具体的には、酸化物絶縁体108a、酸化物半導体108b及び酸化物絶縁体108cにおいて、SIMS(Secondary Ion Mass Spectrometry)分析により得られる水素濃度を、2×1020atoms/cm3以下、好ましくは5×1019atoms/cm3以下、より好ましくは1×1019atoms/cm3以下、5×1018atoms/cm3以下、好ましくは1×1018atoms/cm3以下、より好ましくは5×1017atoms/cm3以下、さらに好ましくは1×1016atoms/cm3以下とする。
酸化物絶縁体108a、酸化物半導体108b及び酸化物絶縁体108cにおいて、第14族元素の一つであるシリコンや炭素が含まれると、酸化物絶縁体108a、酸化物半導体108b及び酸化物絶縁体108cにおいて酸素欠損が増加し、n型化してしまう。このため、酸化物絶縁体108a、酸化物半導体108b及び酸化物絶縁体108cにおけるシリコンや炭素の濃度と、酸化物絶縁体108a又は酸化物絶縁体108cとの界面近傍のシリコンや炭素の濃度(SIMS分析により得られる濃度)を、2×1018atoms/cm3以下、好ましくは2×1017atoms/cm3以下とする。
また、酸化物絶縁体108a、酸化物半導体108b及び酸化物絶縁体108cにおいて、SIMS分析により得られるアルカリ金属またはアルカリ土類金属の濃度を、1×1018atoms/cm3以下、好ましくは2×1016atoms/cm3以下にする。アルカリ金属及びアルカリ土類金属は、酸化物半導体と結合するとキャリアを生成する場合があり、トランジスタのオフ電流が増大してしまうことがある。このため、酸化物絶縁体108a、酸化物半導体108b及び酸化物絶縁体108cのアルカリ金属またはアルカリ土類金属の濃度を低減することが好ましい。
また、酸化物絶縁体108a、酸化物半導体108b及び酸化物絶縁体108cに窒素が含まれていると、キャリアである電子が生じ、キャリア密度が増加し、n型化しやすい。この結果、窒素が含まれている酸化物半導体膜を用いたトランジスタはノーマリーオン特性となりやすい。従って、該酸化物半導体膜において、窒素はできる限り低減されていることが好ましい、例えば、SIMS分析により得られる窒素濃度は、5×1018atoms/cm3以下にすることが好ましい。
なお、酸化物絶縁体108a、酸化物半導体108b及び酸化物絶縁体108cに用いることのできる酸化物半導体の詳細については、実施の形態2で詳細に説明する。
ここで、図1(D)に酸化物絶縁体108a、酸化物半導体108b及び酸化物絶縁体108cの中央近傍の拡大断面図を示す。図1(B)及び図1(D)に示すように、酸化物絶縁体108a、酸化物半導体108b及び酸化物絶縁体108cの導電体112a又は導電体112bと接する領域(図1(B)及び図1(D)では点線で囲まれた領域として表示)に低抵抗領域113a及び低抵抗領域113bが形成されることがある。低抵抗領域113a及び低抵抗領域113bは、主に、酸化物絶縁体108a、酸化物半導体108b及び酸化物絶縁体108cが接した導電体112a又は導電体112bに酸素を引き抜かれる、又は導電体112a又は導電体112bに含まれる導電材料が酸化物絶縁体108a、酸化物半導体108b及び酸化物絶縁体108c中の元素と結合することにより形成される。このような低抵抗領域113a及び低抵抗領域113bが形成されることにより、導電体112a又は導電体112bと酸化物絶縁体108a、酸化物半導体108b及び酸化物絶縁体108cとの接触抵抗を低減することが可能となるのでトランジスタ10のオン電流を増大させることができる。
また、図1(D)に示すように、酸化物絶縁体108cは、導電体112aと導電体112bの間に導電体112a及び導電体112bと重なった領域より膜厚の薄い領域を有することがある。これは、導電体112a及び導電体112bを形成する際に、酸化物絶縁体108cの上面の一部を除去することにより形成される。酸化物絶縁体108cの上面には、導電体112a及び導電体112bとなる導電体を成膜した際に、低抵抗領域113a及び113bと同様の抵抗の低い領域が形成される場合がある。このように、酸化物絶縁体108cの上面の導電体112aと導電体112bの間に位置する領域を除去することにより、酸化物絶縁体108cの上面の抵抗が低い領域にチャネルが形成されることを防ぐことができる。このような構成にすることにより、トランジスタの電気特性の変動を抑制することができる。また、以降の図面において、拡大図などで膜厚の薄い領域を示さない場合でも、同様の膜厚の薄い領域が形成されている場合がある。
以上のような構成とすることにより、本実施の形態に示す半導体装置は、電界効果移動度を高め、オン電流を増大させることができる。また、本実施の形態に示す半導体装置は、安定した電気特性を与えることができる。また、本実施の形態に示す半導体装置は、非導通時のリーク電流を低減することができる。
<基板>
基板102の材質などに大きな制限はないが、少なくとも、後の熱処理に耐えうる程度の耐熱性を有している必要がある。例えば、ガラス基板、セラミック基板、石英基板、サファイア基板等を、基板102として用いてもよい。また、シリコンや炭化シリコンなどを材料とした単結晶半導体基板、多結晶半導体基板、シリコンゲルマニウム等の化合物半導体基板、SOI基板等を適用することも可能であり、これらの基板上に半導体素子が設けられたものを、基板102として用いてもよい。なお、基板102として、ガラス基板を用いる場合、第6世代(1500mm×1850mm)、第7世代(1870mm×2200mm)、第8世代(2200mm×2400mm)、第9世代(2400mm×2800mm)、第10世代(2950mm×3400mm)等の大面積基板を用いることで、大型の表示装置を作製することができる。
また、基板102として、可撓性基板を用い、可撓性基板上に直接、トランジスタ10を形成してもよい。または、基板102とトランジスタ10の間に剥離層を設けてもよい。剥離層は、その上に半導体装置を一部あるいは全部完成させた後、基板102より分離し、他の基板に転載するために用いることができる。その際、トランジスタ10は耐熱性の劣る基板や可撓性の基板にも転載できる。
<導電体>
ゲート電極として機能する導電体104、及びソース電極及びドレイン電極として機能する導電体112a、112bとしては、クロム(Cr)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、金(Au)、銀(Ag)、亜鉛(Zn)、モリブデン(Mo)、タンタル(Ta)、チタン(Ti)、タングステン(W)、マンガン(Mn)、ニッケル(Ni)、鉄(Fe)、コバルト(Co)から選ばれた金属元素、上述した金属元素を成分とする合金、上述した金属元素を組み合わせた合金、または上述した金属元素の窒化物等を用いてそれぞれ形成することができる。
また、導電体104、112a、112bは、単層構造でも、二層以上の積層構造としてもよい。例えば、シリコンを含むアルミニウム膜の単層構造、アルミニウム膜上にチタン膜を積層する二層構造、窒化チタン膜上にチタン膜を積層する二層構造、窒化チタン膜上にタングステン膜を積層する二層構造、窒化タンタル膜または窒化タングステン膜上にタングステン膜を積層する二層構造、チタン膜と、そのチタン膜上にアルミニウム膜を積層し、さらにその上にチタン膜を形成する三層構造等がある。また、アルミニウムに、チタン、タンタル、タングステン、モリブデン、クロム、ネオジム、スカンジウムから選ばれた一または複数組み合わせた合金膜、もしくは窒化膜を用いてもよい。
また、導電体104、112a、112bには、インジウム錫酸化物、酸化タングステンを含むインジウム酸化物、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸化物、酸化チタンを含むインジウム錫酸化物、インジウム亜鉛酸化物、酸化シリコンを添加したインジウム錫酸化物等の透光性を有する導電性材料を適用することもできる。
また、導電体104、112a、112bには、Cu−X合金膜(Xは、Mn、Ni、Cr、Fe、Co、Mo、Ta、またはTi)を適用してもよい。Cu−X合金膜を用いることで、ウエットエッチングプロセスで加工できるため、製造コストを抑制することが可能となる。
<絶縁体>
トランジスタ10のゲート絶縁膜として機能する絶縁体106、107としては、プラズマ化学気相堆積(PECVD:Plasma Enhanced Chemical Vapor Deposition)法、スパッタリング法等により、酸化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜、窒化酸化シリコン膜、窒化シリコン膜、酸化アルミニウム膜、酸化ハフニウム膜、酸化イットリウム膜、酸化ジルコニウム膜、酸化ガリウム膜、酸化タンタル膜、酸化マグネシウム膜、酸化ランタン膜、酸化セリウム膜および酸化ネオジム膜を一種以上含む絶縁層を、それぞれ用いることができる。なお、絶縁体106、107の積層構造とせずに、上述の材料から選択された単層の絶縁膜、または3層以上の絶縁膜を用いてもよい。
なお、トランジスタ10の酸化物絶縁体108aと接する絶縁体107は、酸化物絶縁膜であることが好ましく、化学量論的組成よりも過剰に酸素を含有する領域(酸素過剰領域)を有することがより好ましい。別言すると、絶縁体107は、酸素を放出することが可能な絶縁膜であることが好ましい。なお、絶縁体107に酸素過剰領域を設けるには、例えば、酸素雰囲気下にて絶縁体107を形成すればよい。または、成膜後の絶縁体107に酸素を導入して、酸素過剰領域を形成してもよい。酸素の導入方法としては、イオン注入法、イオンドーピング法、プラズマイマージョンイオン注入法、プラズマ処理等を用いることができる。
また、絶縁体107として、酸化ハフニウムを用いる場合、以下の効果を奏する。酸化ハフニウムは、酸化シリコンや酸化窒化シリコンと比べて比誘電率が高い。したがって、酸化シリコンを用いた場合と比べて、絶縁体107の膜厚を大きくできるため、トンネル電流によるリーク電流を小さくすることができる。すなわち、オフ電流の小さいトランジスタを実現することができる。さらに、結晶構造を有する酸化ハフニウムは、非晶質構造を有する酸化ハフニウムと比べて高い比誘電率を備える。したがって、オフ電流の小さいトランジスタとするためには、結晶構造を有する酸化ハフニウムを用いることが好ましい。結晶構造の例としては、単斜晶系や立方晶系などが挙げられる。ただし、本発明の一態様は、これらに限定されない。
なお、本実施の形態では、絶縁体106として窒化シリコン膜を形成し、絶縁体107として酸化シリコン膜を形成する。窒化シリコン膜は、酸化シリコン膜と比較して比誘電率が高く、酸化シリコン膜と同等の静電容量を得るのに必要な膜厚が大きいため、トランジスタのゲート絶縁膜として、窒化シリコン膜を含むことで絶縁膜を物理的に厚膜化することができる。よって、トランジスタ10の絶縁耐圧の低下を抑制、さらには絶縁耐圧を向上させて、トランジスタ10の静電破壊を抑制することができる。
絶縁体114、116、118は、保護絶縁膜としての機能を有する。絶縁体114、116は酸素を有し、絶縁体118は窒素を有する。また、絶縁体114は、酸素を透過することのできる絶縁膜である。なお、絶縁体114は、後に形成する絶縁体116を形成する際の、酸化物絶縁体108cへのダメージを緩和する機能も有している。
また、絶縁体114、116は、化学量論的組成よりも過剰に酸素を含有する領域(酸素過剰領域)を有する。別言すると、絶縁体114、116は、酸素を放出することが可能な絶縁膜である。なお、絶縁体114、116に酸素過剰領域を設けるには、例えば、成膜後の絶縁体114、116に酸素を添加して、酸素過剰領域を形成する。酸素の添加方法としては、イオン注入法、イオンドーピング法、プラズマイマージョンイオン注入法、プラズマ処理等を用いることができる。なお、該プラズマ処理としては、酸素ガスを高周波電力によってプラズマ化させる装置(プラズマエッチング装置またはプラズマアッシング装置ともいう)を用いると好適である。
また、昇温脱離ガス分析法(TDS(Thermal Desorption Spectroscopy))を用いて絶縁膜を測定することで、酸素の放出量を測定することができる。例えば、絶縁体114、116を昇温脱離ガス分析法において測定した場合、酸素分子の放出量が8.0×1014個/cm2以上、好ましくは1.0×1015個/cm2以上、さらに好ましくは1.5×1015個/cm2以上である。なお、昇温脱離ガス分析法における膜の表面温度は、100℃以上700℃以下、好ましくは100℃以上500℃以下である。
絶縁体114としては、厚さが5nm以上150nm以下、好ましくは5nm以上50nm以下の酸化シリコンまたは酸化窒化シリコンを用いることができる。
また、絶縁体114は、欠陥量が少ないことが好ましく、代表的には、ESR(Electron Spin Resonance)測定により、シリコンのダングリングボンドに由来するg=2.001に現れる信号のスピン密度が3×1017spins/cm3以下であることが好ましい。これは、絶縁体114に含まれる欠陥密度が高いと、該欠陥に酸素が結合してしまい、絶縁体114における酸素の透過量が減少してしまうからである。
なお、絶縁体114においては、外部から絶縁体114に入った酸素が全て絶縁体114の外部に移動せず、絶縁体114にとどまる酸素もある。また、絶縁体114に酸素が入ると共に、絶縁体114に含まれる酸素が絶縁体114の外部へ移動することで、絶縁体114において酸素の移動が生じる場合もある。絶縁体114として酸素を透過することができる酸化物絶縁膜を形成すると、絶縁体114上に設けられる、絶縁体116から脱離する酸素を、絶縁体114を通過させて酸化物絶縁体108a、酸化物半導体108b及び酸化物絶縁体108cに移動させることができる。
また、絶縁体114は、窒素酸化物に起因する準位密度が低い酸化物絶縁膜を用いて形成することができる。なお、当該窒素酸化物に起因する準位密度は、酸化物半導体膜の価電子帯の上端のエネルギー(Ev_os)と酸化物半導体膜の伝導帯の下端のエネルギー(Ec_os)の間に形成され得る場合がある。上記酸化物絶縁膜として、窒素酸化物の放出量が少ない酸化窒化シリコン膜、または窒素酸化物の放出量が少ない酸化窒化アルミニウム膜等を用いることができる。
なお、窒素酸化物の放出量の少ない酸化窒化シリコン膜は、昇温脱離ガス分析法において、窒素酸化物の放出量よりアンモニアの放出量が多い膜であり、代表的にはアンモニアの放出量が1×1018個/cm3以上5×1019個/cm3以下である。なお、アンモニアの放出量は、膜の表面温度が50℃以上650℃以下、好ましくは50℃以上550℃以下の加熱処理による放出量とする。
窒素酸化物(NOx、xは0以上2以下、好ましくは1以上2以下)、代表的にはNO2またはNOは、絶縁体114などに準位を形成する。当該準位は、酸化物半導体のエネルギーギャップ内に位置する。そのため、窒素酸化物が、絶縁体114及び酸化物絶縁体108cの界面近傍に拡散すると、当該準位が絶縁体114側において電子をトラップする場合がある。この結果、トラップされた電子が、絶縁体114及び酸化物絶縁体108c界面近傍に留まるため、トランジスタのしきい値電圧をプラス方向にシフトさせてしまう。
また、窒素酸化物は、加熱処理においてアンモニア及び酸素と反応する。絶縁体114に含まれる窒素酸化物は、加熱処理において、絶縁体116に含まれるアンモニアと反応するため、絶縁体114に含まれる窒素酸化物が低減される。このため、絶縁体114及び酸化物絶縁体108cの界面近傍において、電子がトラップされにくい。
絶縁体114として、上記酸化物絶縁膜を用いることで、トランジスタのしきい値電圧のシフトを低減することが可能であり、トランジスタの電気特性の変動を低減することができる。
なお、トランジスタの作製工程の加熱処理、代表的には300℃以上基板歪み点未満の加熱処理により、絶縁体114は、100K以下のESRで測定して得られたスペクトルにおいてg値が2.037以上2.039以下の第1のシグナル、g値が2.001以上2.003以下の第2のシグナル、及びg値が1.964以上1.966以下の第3のシグナルが観測される。なお、第1のシグナル及び第2のシグナルのスプリット幅、並びに第2のシグナル及び第3のシグナルのスプリット幅は、XバンドのESR測定において約5mTである。また、g値が2.037以上2.039以下の第1のシグナル、g値が2.001以上2.003以下の第2のシグナル及びg値が1.964以上1.966以下である第3のシグナルのスピンの密度の合計が1×1018spins/cm3未満であり、代表的には1×1017spins/cm3以上1×1018spins/cm3未満である。
なお、100K以下のESRスペクトルにおいてg値が2.037以上2.039以下の第1シグナル、g値が2.001以上2.003以下の第2のシグナル、及びg値が1.964以上1.966以下の第3のシグナルは、窒素酸化物(NOx、xは0以上2以下、好ましくは1以上2以下)起因のシグナルに相当する。窒素酸化物の代表例としては、一酸化窒素、二酸化窒素等がある。即ち、g値が2.037以上2.039以下の第1のシグナル、g値が2.001以上2.003以下の第2のシグナル及びg値が1.964以上1.966以下である第3のシグナルのスピンの密度の合計が少ないほど、酸化物絶縁膜に含まれる窒素酸化物の含有量が少ないといえる。
また、上記酸化物絶縁膜は、SIMS分析で測定される窒素濃度が6×1020atoms/cm3以下である。
基板温度が220℃以上、または280℃以上、または350℃以上であり、シラン及び一酸化二窒素を用いたPECVD法を用いて、上記酸化物絶縁膜を形成することで、緻密であり、且つ硬度の高い膜を形成することができる。
絶縁体116としては、厚さが30nm以上500nm以下、好ましくは50nm以上400nm以下の、酸化シリコンまたは酸化窒化シリコンを用いることができる。
また、絶縁体116は、欠陥量が少ないことが好ましく、代表的には、ESR測定により、シリコンのダングリングボンドに由来するg=2.001に現れる信号のスピン密度が1.5×1018spins/cm3未満、さらには1×1018spins/cm3以下であることが好ましい。なお、絶縁体116は、絶縁体114と比較して酸化物絶縁体108a、酸化物半導体108b及び酸化物絶縁体108cから離れているため、絶縁体114より、欠陥密度が多くともよい。
また、絶縁体114、116は、同種の材料の絶縁膜を用いることができるため、絶縁体114と絶縁体116の界面が明確に確認できない場合がある。したがって、本実施の形態においては、絶縁体114と絶縁体116の界面は、破線で図示している。なお、本実施の形態においては、絶縁体114と絶縁体116の2層構造について説明したが、これに限定されず、例えば、絶縁体114または絶縁体116のいずれか一方の単層構造としてもよい。
絶縁体118は、窒素を有する。また、絶縁体118は、窒素と、シリコンとを有する。また、絶縁体118は、酸素、水素、水、アルカリ金属、アルカリ土類金属等のブロッキングできる機能を有する。絶縁体118を設けることで、酸化物絶縁体108a、酸化物半導体108b及び酸化物絶縁体108cからの酸素の外部への拡散と、絶縁体114、116に含まれる酸素の外部への拡散と、外部から酸化物絶縁体108a、酸化物半導体108b及び酸化物絶縁体108cへの水素、水等の入り込みを防ぐことができる。絶縁体118としては、例えば、窒化物絶縁膜を用いることができる。該窒化物絶縁膜としては、窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化アルミニウム、窒化酸化アルミニウム等がある。なお、酸素、水素、水、アルカリ金属、アルカリ土類金属等のブロッキング効果を有する窒化物絶縁膜の代わりに、酸素、水素、水等のブロッキング効果を有する酸化物絶縁膜を設けてもよい。酸素、水素、水等のブロッキング効果を有する酸化物絶縁膜としては、酸化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、酸化ガリウム、酸化窒化ガリウム、酸化イットリウム、酸化窒化イットリウム、酸化ハフニウム、酸化窒化ハフニウム等がある。
なお、上記記載の、導電膜、絶縁膜、酸化物半導体膜などの様々な膜の形成方法としては、スパッタリング法、化学気相堆積(CVD)法、真空蒸着法、パルスレーザ堆積(PLD)法などが挙げられる。また、上記記載の、導電膜、絶縁膜、酸化物半導体膜などの様々な膜の形成方法としては、プラズマ化学気相堆積(PECVD)法、熱CVD(Chemical Vapor Deposition)法、またはALD(Atomic Layer Deposition)法としてもよい。熱CVD法の例としてMOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法が挙げられる。また、上記記載の、導電膜、絶縁膜、酸化物半導体膜などの様々な膜の形成方法としては、塗布法や印刷法でもよい。
熱CVD法は、プラズマを使わない成膜方法のため、プラズマダメージにより欠陥が生成されることが無いという利点を有する。
熱CVD法は、原料ガスと酸化剤を同時にチャンバー内に送り、チャンバー内を大気圧または減圧下とし、基板近傍または基板上で反応させて基板上に堆積させることで成膜を行ってもよい。
また、ALD法は、チャンバー内を大気圧または減圧下とし、反応のための原料ガスが順次にチャンバーに導入され、そのガス導入の順序を繰り返すことで成膜を行ってもよい。例えば、それぞれのスイッチングバルブ(高速バルブとも呼ぶ)を切り替えて2種類以上の原料ガスを順番にチャンバーに供給し、複数種の原料ガスが混ざらないように第1の原料ガスと同時またはその後に不活性ガス(アルゴン、或いは窒素など)などを導入し、第2の原料ガスを導入する。なお、同時に不活性ガスを導入する場合には、不活性ガスはキャリアガスとなり、また、第2の原料ガスの導入時にも同時に不活性ガスを導入してもよい。また、不活性ガスを導入する代わりに真空排気によって第1の原料ガスを排出した後、第2の原料ガスを導入してもよい。第1の原料ガスが基板の表面に吸着して第1の層を成膜し、後から導入される第2の原料ガスと反応して、第2の層が第1の層上に積層されて薄膜が形成される。このガス導入順序を制御しつつ所望の厚さになるまで複数回繰り返すことで、段差被覆性に優れた薄膜を形成することができる。薄膜の厚さは、ガス導入順序を繰り返す回数によって調節することができるため、精密な膜厚調節が可能であり、微細なFETを作製する場合に適している。
ALD法、またはMOCVD法などの熱CVD法は、上記実施形態の導電膜、絶縁膜、酸化物半導体膜、金属酸化膜などの様々な膜を形成することができ、例えば、In−Ga−ZnO膜を成膜する場合には、トリメチルインジウム、トリメチルガリウム、及びジメチル亜鉛を用いる。なお、トリメチルインジウムの化学式は、In(CH3)3である。また、トリメチルガリウムの化学式は、Ga(CH3)3である。また、ジメチル亜鉛の化学式は、Zn(CH3)2である。また、これらの組み合わせに限定されず、トリメチルガリウムに代えてトリエチルガリウム(化学式Ga(C2H5)3)を用いることもでき、ジメチル亜鉛に代えてジエチル亜鉛(化学式Zn(C2H5)2)を用いることもできる。
例えば、ALDを利用する成膜装置により酸化ハフニウム膜を形成する場合には、溶媒とハフニウム前駆体化合物を含む液体(ハフニウムアルコキシドや、テトラキスジメチルアミドハフニウム(TDMAH)などのハフニウムアミド)を気化させた原料ガスと、酸化剤としてオゾン(O3)の2種類のガスを用いる。なお、テトラキスジメチルアミドハフニウムの化学式はHf[N(CH3)2]4である。また、他の材料液としては、テトラキス(エチルメチルアミド)ハフニウムなどがある。
例えば、ALDを利用する成膜装置により酸化アルミニウム膜を形成する場合には、溶媒とアルミニウム前駆体化合物を含む液体(トリメチルアルミニウム(TMA)など)を気化させた原料ガスと、酸化剤としてH2Oの2種類のガスを用いる。なお、トリメチルアルミニウムの化学式はAl(CH3)3である。また、他の材料液としては、トリス(ジメチルアミド)アルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、アルミニウムトリス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナート)などがある。
例えば、ALDを利用する成膜装置により酸化シリコン膜を形成する場合には、ヘキサクロロジシランを被成膜面に吸着させ、吸着物に含まれる塩素を除去し、酸化性ガス(O2、一酸化二窒素)のラジカルを供給して吸着物と反応させる。
例えば、ALDを利用する成膜装置によりタングステン膜を成膜する場合には、WF6ガスとB2H6ガスを順次繰り返し導入して初期タングステン膜を形成し、その後、WF6ガスとH2ガスを順次繰り返し導入してタングステン膜を形成する。なお、B2H6ガスに代えてSiH4ガスを用いてもよい。
例えば、ALDを利用する成膜装置により酸化物半導体膜、例えばIn−Ga−ZnO膜を成膜する場合には、In(CH3)3ガスとO3ガスを順次繰り返し導入してIn−O層を形成し、その後、Ga(CH3)3ガスとO3ガスを順次繰り返し導入してGaO層を形成し、更にその後Zn(CH3)2ガスとO3ガスを順次繰り返し導入してZnO層を形成する。なお、これらの層の順番はこの例に限らない。また、これらのガスを混ぜてIn−Ga−O層やIn−Zn−O層、Ga−Zn−O層などの混合化合物層を形成しても良い。なお、O3ガスに変えてAr等の不活性ガスで水をバブリングして得られたH2Oガスを用いても良いが、Hを含まないO3ガスを用いる方が好ましい。また、In(CH3)3ガスにかえて、In(C2H5)3ガスを用いても良い。また、Ga(CH3)3ガスにかえて、Ga(C2H5)3ガスを用いても良い。また、Zn(CH3)2ガスを用いても良い。
<半導体装置の変形例>
次にトランジスタ10の変形例について図3乃至図5を用いて説明する。なお、図3乃至図5は、図1(B)及び図1(C)と同様に、トランジスタのチャネル長方向の断面図とトランジスタのチャネル幅方向の断面図になる。
図3(A)(B)に示すトランジスタ12は、絶縁体118上に、酸化物絶縁体108cの少なくとも一部と重なるように導電体120が形成されている点においてトランジスタ10と異なる。導電体120は、トランジスタ12の第2のゲート電極(バックゲート電極ともいう。)として機能する。このような導電体120を設けることにより、トランジスタ12のしきい値電圧の制御を行うことができる。このとき、絶縁体114、116、118はトランジスタ12の第2のゲート絶縁膜として機能する。ここで、導電体120は導電体104と同様の導電体を用いることができる。
図3(C)(D)に示すトランジスタ14は、絶縁体118上に、酸化物絶縁体108cの少なくとも一部と重なるように導電体120aが形成され、さらに絶縁体118上に導電体120bが形成されている点においてトランジスタ10と異なる。導電体120aは、絶縁体106、107、114、116、118に形成された開口を介して導電体104と接続されており、導電体120aと導電体104とは、同じ電位が与えられる。また、導電体120bは絶縁体114、116、118に形成された開口を介して導電体112bと接続されている。
ここで、導電体120aは、トランジスタ14の第2のゲート電極(バックゲート電極ともいう)として機能する。また、絶縁体114、116、118は、トランジスタ14の第2のゲート絶縁膜としての機能を有する。また、導電体120bは、例えば、表示装置に用いる画素電極としての機能を有する。
なお、トランジスタ14においては、酸化物絶縁体108a、酸化物半導体108b及び酸化物絶縁体108cのチャネル幅方向の両側に2つの開口を形成し、導電体120aと導電体104を接続する構成について例示したが、これに限定されない。例えば、いずれか一方の開口部のみを形成し、導電体120aと導電体104を接続する構成としてもよい。
また、酸化物絶縁体108a、酸化物半導体108b及び酸化物絶縁体108cは、第1のゲート電極として機能する導電体104と、第2のゲート電極として機能する導電体120aのそれぞれと対向するように位置し、2つのゲート電極として機能する導電膜に挟まれている。第2のゲート電極として機能する導電体120aのチャネル長方向の長さ及びチャネル幅方向の長さは、酸化物絶縁体108a、酸化物半導体108b及び酸化物絶縁体108cのチャネル長方向の長さ及びチャネル幅方向の長さと同程度かより長いことが好ましい。また、酸化物絶縁体108a、酸化物半導体108b及び酸化物絶縁体108cのチャネル幅方向の側面は、絶縁体114、116、118を介して第2のゲート電極として機能する導電体120aと対向していることが好ましい。つまり、酸化物絶縁体108a、酸化物半導体108b及び酸化物絶縁体108cは、上面とチャネル幅方向の側面が導電体120aに囲まれる構成とすることが好ましい。
このような構成を有することで、酸化物絶縁体108a、酸化物半導体108b及び酸化物絶縁体108cを、第1のゲート電極として機能する導電体104及び第2のゲート電極として機能する導電体120aの電界によって電気的に囲むことができる。トランジスタ14のように、第1のゲート電極及び第2のゲート電極の電界によって、チャネル領域が形成される酸化物半導体膜を電気的に囲むトランジスタのデバイス構造をsurrounded channel(s−channel)構造と呼ぶことができる。
トランジスタ14は、s−channel構造を有するため、第1のゲート電極として機能する導電体104及び第2のゲート電極として機能する導電体120aによってチャネルを誘起させるための電界を効果的に酸化物絶縁体108a、酸化物半導体108b及び酸化物絶縁体108cに印加することができるため、トランジスタ14の電流駆動能力が向上し、高いオン電流特性を得ることが可能となる。
図4(A)(B)に示すトランジスタ16は、導電体104が形成されていない点においてトランジスタ12と異なる。この場合、導電体120は、トランジスタ16のゲート電極として機能する。このとき、絶縁体114、116、118はトランジスタ16のゲート絶縁膜として機能する。つまり、トランジスタ16はシングルゲートのトップゲート型トランジスタとなる。また、図4(A)(B)では、酸化物絶縁体108a、酸化物半導体108b、酸化物絶縁体108cの順番で積層しているが、酸化物絶縁体108c、酸化物半導体108b、酸化物絶縁体108aの順番で積層する構成としてもよい。
トランジスタ10では、酸化物絶縁体108aの側端部と酸化物半導体108bの側端部が略一致しており、酸化物半導体108bの側端部と酸化物絶縁体108cの側端部が略一致しているが、本実施の形態に示すトランジスタはこれに限られるものではない。図5(A)(B)に示すトランジスタ18は、酸化物絶縁体108cの側端部が酸化物半導体108bの側端部より内側に位置し、導電体112a及び導電体112bが、酸化物半導体108b及び酸化物絶縁体108cの上面の一部と接している点において、トランジスタ10と異なる。このような構成にすることで、導電体112a及び導電体112bと酸化物半導体108bの上面の少なくとも一部とが直接接するので、トランジスタ18のオン電流の向上を図ることができる。
また、トランジスタ10では、導電体112aと導電体112bが酸化物絶縁体108cの上面の一部と接しているが、本実施の形態に示すトランジスタはこれに限られるものではない。図5(C)(D)に示すトランジスタ20は、酸化物絶縁体108cの下面の少なくとも一部が導電体112a及び導電体112bと接し、導電体112a及び導電体112bが酸化物半導体108bの上面の少なくとも一部と接している点において、トランジスタ10と異なる。このような構成にすることで、導電体112a及び導電体112bと酸化物半導体108bの上面の少なくとも一部とが直接接するので、トランジスタ20のオン電流の向上を図ることができる。
また、トランジスタ20では、酸化物半導体108bにおいて、導電体112aと導電体112bの間に導電体112a及び導電体112bと重なった領域より膜厚の薄い領域を有することがある。このような構成にすることにより、酸化物半導体108bの上面の抵抗が低い領域にチャネルが形成されることを防ぎ、トランジスタの電気特性の変動を抑制することができる。
なお、トランジスタ20は図5(C)(D)では、酸化物絶縁体108cが酸化物半導体108bとほぼ重なるようにパターン形成されているが、これに限られるものではない。例えば、酸化物絶縁体108cが導電体112a及び導電体112bを覆うような構成としてもよい。このような構成にすることにより、導電体112a及び導電体112bの上面において、絶縁体114から酸素を引き抜くことが抑制できる。これにより、導電体112a及び導電体112bの一部が酸化して抵抗率が増大することを抑制し、且つ絶縁体114から酸化物絶縁体108a乃至酸化物絶縁体108cに効果的に酸素を供給することができる。
なお、以上に示した各トランジスタの構成は互いに適宜組み合わせて用いることが可能である。
以上のような構成とすることにより、本実施の形態に示す半導体装置は、電界効果移動度を高め、オン電流を増大させることができる。また、本実施の形態に示す半導体装置は、安定した電気特性を与えることができる。また、本実施の形態に示す半導体装置は、非導通時のリーク電流を低減することができる。
<半導体装置の作製方法>
次に、本発明の一態様に係る半導体装置であるトランジスタ10の作製方法について、図6乃至図9を用いて説明する。なお、図6乃至図9は、半導体装置の作製方法を説明する断面図であり、図1(B)と同様にトランジスタ10のチャネル長方向の切断面に相当する。
まず、基板102上に導電体を成膜し、該導電体をリソグラフィ工程及びエッチング工程を行い加工して、ゲート電極として機能する導電体104を形成する(図6(A)参照)。
本実施の形態では、例えば、基板102としてガラス基板を用い、ゲート電極として機能する導電体104として厚さ100nmのタングステン膜をスパッタリング法で形成することができる。
次に、導電体104上にゲート絶縁膜として機能する絶縁体106、107を成膜する(図6(B)参照)。
本実施の形態では、例えば、PECVD法により、絶縁体106として厚さ400nmの窒化シリコン膜を形成し、絶縁体107として厚さ50nmの酸化窒化シリコン膜を形成することができる。
なお、絶縁体106は、窒化シリコン膜の積層構造とする。具体的には、絶縁体106を、第1の窒化シリコン膜と、第2の窒化シリコン膜と、第3の窒化シリコン膜との3層積層構造とすることができる。該3層積層構造の一例としては、以下のように形成することができる。
第1の窒化シリコン膜としては、例えば、流量200sccmのシラン、流量2000sccmの窒素、及び流量100sccmのアンモニアガスを原料ガスとしてPE−CVD装置の反応室に供給し、反応室内の圧力を100Paに制御し、27.12MHzの高周波電源を用いて2000Wの電力を供給して、厚さが50nmとなるように形成すればよい。
第2の窒化シリコン膜としては、流量200sccmのシラン、流量2000sccmの窒素、及び流量2000sccmのアンモニアガスを原料ガスとしてPECVD装置の反応室に供給し、反応室内の圧力を100Paに制御し、27.12MHzの高周波電源を用いて2000Wの電力を供給して、厚さが300nmとなるように形成すればよい。
第3の窒化シリコン膜としては、流量200sccmのシラン、及び流量5000sccmの窒素を原料ガスとしてPECVD装置の反応室に供給し、反応室内の圧力を100Paに制御し、27.12MHzの高周波電源を用いて2000Wの電力を供給して、厚さが50nmとなるように形成すればよい。
なお、上記第1の窒化シリコン膜、第2の窒化シリコン膜、及び第3の窒化シリコン膜形成時の基板温度は350℃とすることができる。
絶縁体106を、窒化シリコン膜の3層の積層構造とすることで、例えば、導電体104に銅(Cu)を含む導電膜を用いる場合において、以下の効果を奏する。
第1の窒化シリコン膜は、導電体104からの銅(Cu)元素の拡散を抑制することができる。第2の窒化シリコン膜は、水素を放出する機能を有し、ゲート絶縁膜として機能する絶縁膜の耐圧を向上させることができる。第3の窒化シリコン膜は、第3の窒化シリコン膜からの水素放出が少なく、且つ第2の窒化シリコン膜からの放出される水素の拡散を抑制することができる。
絶縁体107としては、後に形成される酸化物絶縁体108aとの界面特性を向上させるため、酸素を含む絶縁膜で形成されると好ましい。
次に、絶縁体107上に酸化物絶縁体108a、酸化物半導体108b及び酸化物絶縁体108cとなる酸化物半導体及び酸化物絶縁体を成膜し、当該酸化物半導体及び酸化物絶縁体をリソグラフィ工程及びエッチング工程を行い加工して、酸化物絶縁体108a、酸化物半導体108b及び酸化物絶縁体108cを形成する(図6(C)参照)。
本実施の形態では、例えば、Ga−Zn金属酸化物ターゲット(Ga:Zn=2:1(原子数比))を用いて、スパッタリング法により酸化物絶縁体108aとなる酸化物絶縁体を成膜し、In−Ga金属酸化物ターゲット(In:Ga=2:1(原子数比))を用いて、スパッタリング法により酸化物半導体108bとなる酸化物半導体を成膜し、In−Ga−Zn金属酸化物ターゲット(In:Ga:Zn=1:1:1.2(原子数比))を用いて、スパッタリング法により酸化物絶縁体108cとなる酸化物絶縁体を成膜することができる。
なお、上記においては、酸化物絶縁体108a、酸化物半導体108b及び酸化物絶縁体108cとなる酸化物半導体及び酸化物絶縁体を連続成膜し、当該酸化物半導体及び酸化物絶縁体を加工して酸化物絶縁体108a、酸化物半導体108b及び酸化物絶縁体108cに一括で形成する構成としたが、本実施の形態に示す半導体装置の作製方法はこれに限られるものではなく、酸化物半導体及び酸化物絶縁体は、適宜、成膜、リソグラフィ、エッチングを行えばよい。例えば、図5(C)(D)に示すトランジスタ20を作製する場合は、酸化物絶縁体108a、酸化物半導体108bとなる酸化物半導体及び酸化物絶縁体を連続成膜し、当該酸化物半導体及び酸化物絶縁体を加工して酸化物絶縁体108a、酸化物半導体108bを形成し、導電体112a、112bを形成した後で、酸化物絶縁体108cとなる酸化物絶縁体を成膜し、当該酸化物絶縁体を加工して酸化物絶縁体108cを形成すればよい。
また、スパッタリング法で酸化物半導体膜などを形成する場合、スパッタリングガスには、希ガス(代表的にはアルゴン)、酸素、または希ガス及び酸素の混合ガスが適宜用いられる。なお、混合ガスの場合、希ガスに対して酸素のガス比を高めることが好ましい。また、スパッタリングガスの高純度化も必要である。例えば、スパッタリングガスとして用いる酸素ガスやアルゴンガスは、露点が−60℃以下、好ましくは−100℃以下にまで高純度化したガスを用いることで酸化物絶縁体108a、酸化物半導体108b及び酸化物絶縁体108cに水分等が取り込まれることを可能な限り防ぐことができる。
また、スパッタリング法で酸化物絶縁体108a、酸化物半導体108b及び酸化物絶縁体108cを形成する場合、スパッタリング装置におけるチャンバーを、酸化物絶縁体108a、酸化物半導体108b及び酸化物絶縁体108cにとって不純物となる水等を可能な限り除去すべくクライオポンプのような吸着式の真空排気ポンプを用いて、高真空排気(5×10−7Paから1×10−4Pa程度まで)することが好ましい。または、ターボ分子ポンプとコールドトラップを組み合わせて排気系からチャンバー内に気体、特に炭素または水素を含む気体が逆流しないようにしておくことが好ましい。
酸化物絶縁体108a、酸化物半導体108b及び酸化物絶縁体108cの形成後、150℃以上基板の歪み点未満、好ましくは200℃以上450℃以下、さらに好ましくは300℃以上450℃以下の加熱処理を行ってもよい。ここでの加熱処理は、酸化物半導体膜の高純度化処理の一つであり、酸化物絶縁体108a、酸化物半導体108b及び酸化物絶縁体108cに含まれる水素、水等を低減することができる。なお、水素、水等の低減を目的とした加熱処理は、酸化物絶縁体108a、酸化物半導体108b及び酸化物絶縁体108cを島状に加工する前に行ってもよい。
酸化物絶縁体108a、酸化物半導体108b及び酸化物絶縁体108cへの加熱処理は、ガスベーク炉、電気炉、RTA装置等を用いることができる。RTA装置を用いることで、短時間に限り基板の歪み点以上の温度で熱処理を行うことができる。そのため、加熱時間を短縮することが可能となる。
なお、酸化物絶縁体108a、酸化物半導体108b及び酸化物絶縁体108cへの加熱処理は、窒素ガス、酸素ガス、超乾燥空気(Clean Dry Air:CDAともいう。CDAとは、水の含有量が20ppm以下、好ましくは1ppm以下、より好ましくは10ppb以下の空気である。)、または希ガス(アルゴン、ヘリウム等)の雰囲気下で行えばよい。なお、上記窒素ガス、酸素ガス、CDA、または希ガスに水素、水等が含まれないことが好ましい。
例えば、上記窒素ガス、酸素ガス、またはCDAの純度を高めると好ましい。具体的には、窒素ガス、酸素ガス、またはCDAの純度を、6N(99.9999%)または7N(99.99999%)とすればよい。また、窒素ガス、酸素ガス、またはCDAの露点が−60℃以下、好ましくは−100℃以下にまで高純度化したガスを用いることで酸化物絶縁体108a、酸化物半導体108b及び酸化物絶縁体108cに水分等が取り込まれることを可能な限り防ぐことができる。
また、酸化物絶縁体108a、酸化物半導体108b及び酸化物絶縁体108cを窒素または希ガス雰囲気で加熱処理した後、酸素またはCDA雰囲気で加熱してもよい。この結果、酸化物絶縁体108a、酸化物半導体108b及び酸化物絶縁体108c中に含まれる水素、水等を脱離させると共に、酸化物絶縁体108a、酸化物半導体108b及び酸化物絶縁体108c中に酸素を供給することができる。この結果、酸化物絶縁体108a、酸化物半導体108b及び酸化物絶縁体108c中に含まれる酸素欠損量を低減することができる。
ここで、酸化物絶縁体108a、酸化物半導体108b及び酸化物絶縁体108cへの加熱処理を行う際のガスベーク炉の熱プロファイルについて、図10及び図11を用いて説明を行う。図10(A)(B)及び図11(A)(B)は、ガスベーク炉の加熱処理時の熱プロファイルを説明する図である。
なお、図10(A)(B)及び図11(A)(B)は、所望の温度(ここでは、450℃、以下では、第1の温度とする)にまで昇温させて、所望の温度(ここでは、室温以上150℃以下、以下では第2の温度とする)にまで降温させる熱プロファイルである。
図10(A)に示すように、酸化物絶縁体108a、酸化物半導体108b及び酸化物絶縁体108cへ加熱処理を行う際に、2つのガス種を用い、2つのステップに分けて処理することができる。例えば、1つ目のステップで、ガスベーク炉に窒素ガスを導入する。その後、第1の温度にまで昇温させる時間を1時間とし、第1の温度で1時間処理した後に、第2の温度にまで1時間かけて降温させる。2つ目のステップで、窒素ガスから窒素と酸素との混合ガスに切り替える。その後、第1の温度にまで昇温させる時間を1時間とし、第1の温度で1時間処理した後に、第2の温度にまで1時間かけて降温させる。
または、図10(B)に示すように、酸化物絶縁体108a、酸化物半導体108b及び酸化物絶縁体108cへ加熱処理を行う際に、2つのガス種を用い、1つのステップで処理することができる。例えば、最初にガスベーク炉に窒素ガスを導入する。その後、第1の温度にまで昇温させる時間を1時間とし、第1の温度で1時間処理した後に、ガス種を窒素ガスからCDAに切り替える。ガス種を切り替えてから、さらに1時間処理した後に、第2の温度にまで1時間かけて降温させる。
なお、図10(B)に示すようなガスベーク炉の加熱処理時の熱プロファイルとすることで、図10(A)に示すガスベーク炉の加熱処理時の熱プロファイルよりも処理時間を短縮することができる。したがって、生産性が高められた半導体装置を提供することができる。
または、図11(A)に示すように、酸化物絶縁体108a、酸化物半導体108b及び酸化物絶縁体108cへ加熱処理を行う際に、2つのガス種を用い、2つのステップで処理することができる。例えば、1つ目のステップで、最初にガスベーク炉に窒素ガスを導入する。その後、第1の温度にまで昇温させる時間を1時間とし、第1の温度で1時間処理した後に、ガス種を窒素ガスからCDAに切り替える。ガス種を切り替えてから、さらに1時間処理した後に、第2の温度にまで1時間かけて降温させる。2つ目のステップで、CDAから窒素ガスに切り替える。その後、第1の温度にまで昇温させる時間を1時間とし、第1の温度で1時間処理した後に、ガス種を窒素ガスからCDAに切り替える。ガス種を切り替えてから、さらに1時間処理した後に、第2の温度にまで1時間かけて降温させる。
または、図11(B)に示すように、酸化物絶縁体108a、酸化物半導体108b及び酸化物絶縁体108cへ加熱処理を行う際に、2つのガス種を用い、2つのステップで処理することができる。例えば、1つ目のステップで、最初にガスベーク炉に窒素ガスを導入する。その後、第1の温度にまで昇温させる時間を1時間とし、第1の温度で2時間処理した後に、第2の温度にまで1時間かけて降温させる。2つ目のステップで、第1の温度にまで昇温させる時間を1時間とし、第1の温度で2時間処理した後に、ガス種を窒素ガスからCDAに切り替える。ガス種を切り替えてから、さらに2時間処理した後に、第2の温度にまで1時間かけて降温させる。
なお、酸化物絶縁体108a、酸化物半導体108b及び酸化物絶縁体108cへの加熱処理のガスベーク炉の熱プロファイルとしては、図10(A)(B)及び図11(A)(B)にように、最初に窒素ガスにより加熱することが好ましい。
最初に、窒素ガスにより酸化物絶縁体108a、酸化物半導体108b及び酸化物絶縁体108cを加熱することで、酸化物絶縁体108a、酸化物半導体108b及び酸化物絶縁体108c中の主成分の一つである酸素と、酸化物絶縁体108a、酸化物半導体108b及び酸化物絶縁体108c中に存在しうる水素とが反応し、OH基となる。その後、酸化物絶縁体108a、酸化物半導体108b及び酸化物絶縁体108cの表面よりH2Oとして脱離する。すなわち、最初の窒素ガスにより酸化物絶縁体108a、酸化物半導体108b及び酸化物絶縁体108c中の水素を捕獲することが可能となる。
ただし、窒素ガスのみで酸化物絶縁体108a、酸化物半導体108b及び酸化物絶縁体108cを加熱することで、酸化物絶縁体108a、酸化物半導体108b及び酸化物絶縁体108cから酸素がH2Oとして脱離するため、酸化物絶縁体108a、酸化物半導体108b及び酸化物絶縁体108c中に酸素欠損が形成される場合がある。そこで、図10(A)(B)及び図11(A)(B)に示すように、窒素ガスと酸素ガスとの混合ガス、またはCDAのいずれか一方のガス種に切り替えることで、ガス中に含まれる酸素が、酸化物絶縁体108a、酸化物半導体108b及び酸化物絶縁体108cの酸素欠損を補填することが可能となる。
なお、図10(A)(B)及び図11(A)(B)においては、所望の温度で安定したのち、1時間または2時間の処理としたが、これに限定されない。例えば図11(B)に示す1つ目のステップの窒素ガスでの処理時間を、1時間以上10時間以下としてもよい。図11(B)に示す1つ目のステップの処理時間を長くすることで、酸化物絶縁体108a、酸化物半導体108b及び酸化物絶縁体108c中から、より多くの水素を脱離させることが可能となるため、好適である。
また、必要に応じて、窒素ガスと酸素ガスとの混合ガス、またはCDAのいずれか一方のガス種でのベーク時間を長く、例えば、1時間以上10時間以下としてもよい。酸素ガスが含まれる雰囲気での加熱時間を長くすることで、酸化物絶縁体108a、酸化物半導体108b及び酸化物絶縁体108cに形成された酸素欠損を好適に補填することが可能となる。
次に、絶縁体107及び酸化物絶縁体108a、酸化物半導体108b及び酸化物絶縁体108c上に導電体112を成膜する。なお、導電体112の成膜時に酸化物絶縁体108a、酸化物半導体108b及び酸化物絶縁体108cの表面近傍に低抵抗領域113が形成される(図7(A)参照)。
低抵抗領域113は、酸化物絶縁体108a、酸化物半導体108b及び酸化物絶縁体108c中に酸素欠損を多く有する領域である。なお、低抵抗領域113は、例えば、導電体112をスパッタリング法で成膜した場合、スパッタリング時のスパッタダメージ、スパッタリング時の反跳アルゴンによるダメージ、またはスパッタリング時に導電体112に用いる材料の原子あるいは分子の衝突により酸化物絶縁体108a、酸化物半導体108b及び酸化物絶縁体108cの表面近傍に形成される。したがって、導電体112の形成方法としては、特にスパッタリング法またはPLD法が好ましい。また、スパッタリング装置において、用いる電源としてはDC(Direct Current)電源、RF(Radio Frequency)電源、AC(Alternating Current)電源などが挙げられるが、中でもDC電源またはAC電源を用いてスパッタリングを行うと、生産性が高められるため好ましい。
本実施の形態においては、導電体112として、例えば、厚さ50nmのタングステン膜と、厚さ400nmのアルミニウム膜と、厚さ100nmのチタン膜と、の積層膜をスパッタリング法により形成することができる。なお、低抵抗領域113の形成においては、導電体112の成膜電力が重要である。例えば、スパッタリング時の電力密度を1W/cm2以上4W/cm2以下とすることで、厚さ5nm以下の低抵抗領域113を形成することができる。
次に、導電体112上の所望の領域にレジストマスクを形成し、導電体112を加工することで、ソース電極及びドレイン電極として機能する導電体112a、112bを形成する。導電体112a、112bを形成後、レジストマスクを除去する(図7(B)参照)。
また、導電体112a、112b上から、エッチャント139を用いて、導電体112aと導電体112bとの間の低抵抗領域113を除去することが好ましい。低抵抗領域113の一部を除去することで、酸化物絶縁体108a、酸化物半導体108b及び酸化物絶縁体108c中に導電体112a、112bに接する低抵抗領域113a、113bが形成される(図7(C)参照)。
エッチャント139としては、低抵抗領域113を除去できればよく、薬液またはエッチングガスを用いて除去すればよい。特にエッチャント139としては、薬液を用いる方が、酸化物絶縁体108cの表面へのダメージを低減できるため好適である。本実施の形態においては、エッチャント139として、リン酸水溶液により、低抵抗領域113の一部を除去する。なお、エッチングを行う工程において、酸化物絶縁体108cの一部に凹部が形成される場合がある。
以上の工程でトランジスタ10が形成される。
次に、トランジスタ10上に、具体的には酸化物絶縁体108c、及び導電体112a、112b上にトランジスタ10の保護絶縁膜として機能する絶縁体114、116を成膜する。絶縁体114、116の成膜時、または絶縁体114、116の成膜後の熱処理によって、酸化物絶縁体108a、酸化物半導体108b及び酸化物絶縁体108c中の酸素欠損が補填される(図8(A)参照)。
なお、絶縁体114を形成した後、大気に曝すことなく、連続的に絶縁体116を形成することが好ましい。絶縁体114を形成後、大気開放せず、原料ガスの流量、圧力、高周波電力及び基板温度の一以上を調整して、絶縁体116を連続的に形成することで、絶縁体114と絶縁体116の界面において大気成分由来の不純物濃度を低減することができるとともに、絶縁体114、116に含まれる酸素を酸化物絶縁体108a、酸化物半導体108b及び酸化物絶縁体108cに移動させることが可能となり、酸化物絶縁体108a、酸化物半導体108b及び酸化物絶縁体108cの酸素欠損量を低減することが可能となる。
例えば、絶縁体114として、PECVD法を用いて、酸化窒化シリコン膜を形成することができる。この場合、原料ガスとしては、シリコンを含む堆積性気体及び酸化性気体を用いることが好ましい。シリコンを含む堆積性気体の代表例としては、シラン、ジシラン、トリシラン、フッ化シラン等がある。酸化性気体としては、一酸化二窒素、二酸化窒素等がある。また、上記の堆積性気体の流量に対して酸化性気体の流量を20倍より大きく100倍未満、好ましくは40倍以上80倍以下とし、処理室内の圧力を100Pa未満、好ましくは50Pa以下とするPECVD法を用いることで、絶縁体114が、窒素を含み、且つ欠陥量の少ない絶縁膜となる。
本実施の形態においては、例えば、絶縁体114として、基板102を保持する温度を220℃とし、流量50sccmのシラン及び流量2000sccmの一酸化二窒素を原料ガスとし、処理室内の圧力を20Paとし、平行平板電極に供給する高周波電力を13.56MHz、100W(電力密度としては1.6×10−2W/cm2)とするPECVD法を用いて、酸化窒化シリコン膜を形成することができる。
例えば、絶縁体116としては、PECVD装置の真空排気された処理室内に載置された基板を180℃以上280℃以下、さらに好ましくは200℃以上240℃以下に保持し、処理室に原料ガスを導入して処理室内における圧力を100Pa以上250Pa以下、さらに好ましくは100Pa以上200Pa以下とし、処理室内に設けられる電極に0.17W/cm2以上0.5W/cm2以下、さらに好ましくは0.25W/cm2以上0.35W/cm2以下の高周波電力を供給する条件により、酸化シリコン膜または酸化窒化シリコン膜を形成することができる。
絶縁体116の成膜条件として、上記圧力の反応室において上記パワー密度の高周波電力を供給することで、プラズマ中で原料ガスの分解効率が高まり、酸素ラジカルが増加し、原料ガスの酸化が進むため、絶縁体116中における酸素含有量が化学量論的組成よりも多くなる。一方、基板温度が、上記温度で形成された膜では、シリコンと酸素の結合力が弱いため、後の工程の加熱処理により膜中の酸素の一部が脱離する。この結果、化学量論的組成を満たす酸素よりも多くの酸素を含み、加熱により酸素の一部が脱離する酸化物絶縁膜を形成することができる。
なお、絶縁体116の形成工程において、絶縁体114が酸化物絶縁体108a、酸化物半導体108b及び酸化物絶縁体108cの保護膜として機能する。したがって、酸化物絶縁体108a、酸化物半導体108b及び酸化物絶縁体108cへのダメージを低減しつつ、パワー密度の高い高周波電力を用いて絶縁体116を形成することができる。
なお、絶縁体116の成膜条件において、酸化性気体に対するシリコンを含む堆積性気体の流量を増加することで、絶縁体116の欠陥量を低減することが可能である。代表的には、ESR測定により、シリコンのダングリングボンドに由来するg=2.001に現れる信号のスピン密度が6×1017spins/cm3未満、好ましくは3×1017spins/cm3以下、好ましくは1.5×1017spins/cm3以下である欠陥量の少ない酸化物絶縁層を形成することができる。この結果トランジスタの信頼性を高めることができる。
絶縁体114、116を形成した後、加熱処理を行ってもよい。該加熱処理により、絶縁体114、116に含まれる窒素酸化物を低減することができる。また、上記加熱処理により、絶縁体114、116に含まれる酸素の一部を酸化物絶縁体108a、酸化物半導体108b及び酸化物絶縁体108cに移動させ、酸素欠損量を低減することができる。
絶縁体114、116への加熱処理の温度は、代表的には、150℃以上400℃以下、好ましくは300℃以上400℃以下、より好ましくは320℃以上370℃以下とする。加熱処理は、窒素、酸素、CDA、または希ガス(アルゴン、ヘリウム等)の雰囲気下で行えばよい。なお、上記窒素、酸素、超乾燥空気、または希ガスに水素、水等が含まれないことが好ましい該加熱処理には、ガスベーク炉、電気炉、RTA装置等を用いることができる。
本実施の形態では、例えば、窒素及び酸素雰囲気で、350℃、1時間の加熱処理を行うことができる。
次に、絶縁体116上に酸素の放出を抑制する保護膜130を形成する(図8(B)参照)。
保護膜130には、インジウムを含む導電膜、またはインジウムを含む半導体膜を用いることが出来る。本実施の形態においては、保護膜130として、スパッタリング装置を用いて、膜厚5nmのITSO膜を形成する。なお、保護膜130の厚さは、1nm以上20nm以下、または2nm以上10nm以下とすると好適に酸素を透過し、且つ酸素の放出を抑制できるため好ましい。
酸素の放出を抑制できる機能を有する保護膜130としては、例えば、インジウム(In)と、亜鉛(Zn)、錫(Sn)、タングステン(W)、チタン(Ti)、またはシリコン(Si)の中から選ばれた一種を含む材料を用いることができる。とくに、保護膜130としては、インジウムを含む導電膜、またはインジウムを含む半導体膜が好ましい。インジウムを含む導電膜としては、酸化タングステンを含むインジウム酸化物、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸化物、酸化チタンを含むインジウム錫酸化物、インジウム錫酸化物(Indium Tin Oxide:ITO)、インジウム亜鉛酸化物、酸化シリコンを含むインジウム錫酸化物(ITSO)などの透光性を有する導電性材料が挙げられる。上述した中でも、酸素の放出を抑制できる機能を有する保護膜130として、特にITSOを用いると、凹凸等を有する絶縁膜上にも被覆性がよく形成できるため好適である。
次に、保護膜130を通過させて絶縁体114、116に酸素140を添加する(図8(C)参照)。
保護膜130を通過させて、絶縁体114、116に酸素140を添加する方法としては、イオンドーピング法、イオン注入法(Ion Implantation、Plasma Based Ion Implantation、Plasma Immersion Ion Implantation、Plasma Source Ion Implantationなど)、プラズマ処理法などが挙げられる。また、プラズマ処理法として、マイクロ波を用いて、ハロゲン元素及び酸素を励起し、高密度なプラズマを発生させてもよい。
また、酸素140を添加する際に、基板側にバイアス電圧を印加することで効果的に酸素140を絶縁体114、116に添加することができる。上記バイアス電圧としては、例えば、アッシング装置を用い、該アッシング装置の基板側に印加するバイアス電圧の電力密度を0.5W/cm2以上5W/cm2以下とすればよい。また、酸素140を添加する際の基板温度としては、室温以上300℃以下、好ましくは100℃以上250℃以下とすることで、絶縁体114、116に効率よく酸素を添加することができる。
なお、本実施の形態では、例えば、アッシング装置を用い、酸素ガスをアッシング装置内に導入し、基板側にバイアスを印加することで、絶縁体114、116中に酸素140を添加することができる。
絶縁体116上に保護膜130を設けて酸素を添加することで、保護膜130が絶縁体116から酸素が放出されることを抑制する保護膜として機能する。このため、絶縁体114、116に多くの酸素を添加することができる。
次に、エッチャント142を用いて保護膜130を除去する(図9(A)参照)。
エッチャント142としては、保護膜130を除去できればよく、薬液、またはエッチングガスを用いて除去すればよい。本実施の形態においては、エッチャント142として、シュウ酸の濃度が5%のシュウ酸水溶液を用いる。なお、エッチャント142としては、上記シュウ酸の濃度が5%のシュウ酸水溶液を用いた後、さらにフッ酸の濃度が0.5%のフッ化水素酸水溶液を用いてもよい。フッ酸の濃度が0.5%のフッ化水素酸水溶液を用いることで、酸素の放出を抑制する保護膜130を好適に除去することができる。
次に、絶縁体116上に絶縁体118を形成することで、図1に示すトランジスタ10が形成される(図9(B)参照)。
絶縁体118をPECVD法で形成する場合、基板温度は300℃以上400℃以下に、好ましくは320℃以上370℃以下にすることで、緻密な膜を形成できるため好ましい。
例えば、絶縁体118としてPECVD法により窒化シリコン膜を形成する場合、シリコンを含む堆積性気体、窒素、及びアンモニアを原料ガスとして用いることが好ましい。窒素と比較して少量のアンモニアを用いることで、プラズマ中でアンモニアが解離し、活性種が発生する。該活性種が、シリコンを含む堆積性気体に含まれるシリコン及び水素の結合、及び窒素の三重結合を切断する。この結果、シリコン及び窒素の結合が促進され、シリコン及び水素の結合が少なく、欠陥が少なく、緻密な窒化シリコン膜を形成することができる。一方、窒素に対するアンモニアの量が多いと、シリコンを含む堆積性気体及び窒素の分解が進まず、シリコン及び水素結合が残存してしまい、欠陥が増大した、且つ粗な窒化シリコン膜が形成されてしまう。これらのため、原料ガスにおいて、アンモニアに対する窒素の流量比を好ましくは5以上50以下、さらに好ましくは10以上50以下とすればよい。
本実施の形態においては、例えば、絶縁体118として、PECVD装置を用いて、シラン、窒素、及びアンモニアを原料ガスとして用いて、厚さ50nmの窒化シリコン膜を形成することができる。ここで、流量は、シランを50sccm、窒素を5000sccm、アンモニアを100sccmとすることができる。処理室の圧力を100Pa、基板温度を350℃とし、27.12MHzの高周波電源を用いて1000Wの高周波電力を平行平板電極に供給する。PECVD装置は電極面積が6000cm2である平行平板型のPECVD装置であり、供給した電力を単位面積あたりの電力(電力密度)に換算すると1.7×10−1W/cm2である。
また、絶縁体118を加熱成膜する場合においては、絶縁体118の成膜前の予備加熱を無くした方が好適である。例えば、絶縁体118の成膜前に予備加熱をした場合、絶縁体114、116中の過剰酸素が外部に放出される場合がある。そこで、絶縁体118の成膜の際には、予備加熱を行わずに、具体的には、加熱されたチャンバー内に基板を搬入後、好ましくは3分以内、さらに好ましくは1分以内に絶縁体116上に絶縁体118が形成される手順とすることで、絶縁体114、116中の過剰酸素が外部に放出されるのを抑制することが可能となる。
なお、絶縁体118の形成前、または絶縁体118の形成後に加熱処理を行って、絶縁体114、116に含まれる過剰酸素を酸化物絶縁体108a、酸化物半導体108b及び酸化物絶縁体108c、特に酸化物半導体108bに拡散させ、酸素欠損を補填することができる。あるいは、絶縁体118を加熱成膜とすることで、絶縁体114、116に含まれる過剰酸素を酸化物絶縁体108a、酸化物半導体108b及び酸化物絶縁体108c、特に酸化物半導体108bに拡散させ、酸素欠損を補填することができる。絶縁体118の形成前、または絶縁体118の形成後に行うことができる、加熱処理の温度は、代表的には、150℃以上400℃以下、好ましくは300℃以上400℃以下、より好ましくは320℃以上370℃以下とする。
以上の工程により、図1に示すトランジスタ10を作製することができる。
以上、本実施の形態で示す構成、方法は、他の実施の形態で示す構成、方法と適宜組み合わせて用いることができる。
(実施の形態2)
本実施の形態では、本発明の一態様の半導体装置に含まれる酸化物半導体の詳細について、以下説明する。
<酸化物半導体の構造>
以下では、酸化物半導体の構造について説明する。
酸化物半導体は、単結晶酸化物半導体と、それ以外の非単結晶酸化物半導体と、に分けられる。非単結晶酸化物半導体としては、CAAC−OS(c−axis−aligned crystalline oxide semiconductor)、多結晶酸化物半導体、nc−OS(nanocrystalline oxide semiconductor)、擬似非晶質酸化物半導体(a−like OS:amorphous−like oxide semiconductor)および非晶質酸化物半導体などがある。
また別の観点では、酸化物半導体は、非晶質酸化物半導体と、それ以外の結晶性酸化物半導体と、に分けられる。結晶性酸化物半導体としては、単結晶酸化物半導体、CAAC−OS、多結晶酸化物半導体およびnc−OSなどがある。
非晶質構造は、一般に、等方的であって不均質構造を持たない、準安定状態で原子の配置が固定化していない、結合角度が柔軟である、短距離秩序は有するが長距離秩序を有さない、などといわれている。
即ち、安定な酸化物半導体を完全な非晶質(completely amorphous)酸化物半導体とは呼べない。また、等方的でない(例えば、微小な領域において周期構造を有する)酸化物半導体を、完全な非晶質酸化物半導体とは呼べない。一方、a−like OSは、等方的でないが、鬆(ボイドともいう。)を有する不安定な構造である。不安定であるという点では、a−like OSは、物性的に非晶質酸化物半導体に近い。
<CAAC−OS>
まずは、CAAC−OSについて説明する。
CAAC−OSは、c軸配向した複数の結晶部(ペレットともいう。)を有する酸化物半導体の一種である。
CAAC−OSをX線回折(XRD:X−Ray Diffraction)によって解析した場合について説明する。例えば、空間群R−3mに分類されるInGaZnO4の結晶を有するCAAC−OSに対し、out−of−plane法による構造解析を行うと、図12(A)に示すように回折角(2θ)が31°近傍にピークが現れる。このピークは、InGaZnO4の結晶の(009)面に帰属されることから、CAAC−OSでは、結晶がc軸配向性を有し、c軸がCAAC−OSの膜を形成する面(被形成面ともいう。)、または上面に略垂直な方向を向いていることが確認できる。なお、2θが31°近傍のピークの他に、2θが36°近傍にもピークが現れる場合がある。2θが36°近傍のピークは、空間群Fd−3mに分類される結晶構造に起因する。そのため、CAAC−OSは、該ピークを示さないことが好ましい。
一方、CAAC−OSに対し、被形成面に平行な方向からX線を入射させるin−plane法による構造解析を行うと、2θが56°近傍にピークが現れる。このピークは、InGaZnO4の結晶の(110)面に帰属される。そして、2θを56°近傍に固定し、試料面の法線ベクトルを軸(φ軸)として試料を回転させながら分析(φスキャン)を行っても、図12(B)に示すように明瞭なピークは現れない。一方、単結晶InGaZnO4に対し、2θを56°近傍に固定してφスキャンした場合、図12(C)に示すように(110)面と等価な結晶面に帰属されるピークが6本観察される。したがって、XRDを用いた構造解析から、CAAC−OSは、a軸およびb軸の配向が不規則であることが確認できる。
次に、電子回折によって解析したCAAC−OSについて説明する。例えば、InGaZnO4の結晶を有するCAAC−OSに対し、CAAC−OSの被形成面に平行にプローブ径が300nmの電子線を入射させると、図12(D)に示すような回折パターン(制限視野電子回折パターンともいう。)が現れる場合がある。この回折パターンには、InGaZnO4の結晶の(009)面に起因するスポットが含まれる。したがって、電子回折によっても、CAAC−OSに含まれるペレットがc軸配向性を有し、c軸が被形成面または上面に略垂直な方向を向いていることがわかる。一方、同じ試料に対し、試料面に垂直にプローブ径が300nmの電子線を入射させたときの回折パターンを図12(E)に示す。図12(E)より、リング状の回折パターンが確認される。したがって、プローブ径が300nmの電子線を用いた電子回折によっても、CAAC−OSに含まれるペレットのa軸およびb軸は配向性を有さないことがわかる。なお、図12(E)における第1リングは、InGaZnO4の結晶の(010)面および(100)面などに起因すると考えられる。また、図12(E)における第2リングは(110)面などに起因すると考えられる。
また、透過型電子顕微鏡(TEM:Transmission Electron Microscope)によって、CAAC−OSの明視野像と回折パターンとの複合解析像(高分解能TEM像ともいう。)を観察すると、複数のペレットを確認することができる。一方、高分解能TEM像であってもペレット同士の境界、即ち結晶粒界(グレインバウンダリーともいう。)を明確に確認することができない場合がある。そのため、CAAC−OSは、結晶粒界に起因する電子移動度の低下が起こりにくいといえる。
図13(A)に、試料面と略平行な方向から観察したCAAC−OSの断面の高分解能TEM像を示す。高分解能TEM像の観察には、球面収差補正(Spherical Aberration Corrector)機能を用いた。球面収差補正機能を用いた高分解能TEM像を、特にCs補正高分解能TEM像と呼ぶ。Cs補正高分解能TEM像は、例えば、日本電子株式会社製原子分解能分析電子顕微鏡JEM−ARM200Fなどによって観察することができる。
図13(A)より、金属原子が層状に配列している領域であるペレットを確認することができる。ペレット一つの大きさは1nm以上のものや、3nm以上のものがあることがわかる。したがって、ペレットを、ナノ結晶(nc:nanocrystal)と呼ぶこともできる。また、CAAC−OSを、CANC(C−Axis Aligned nanocrystals)を有する酸化物半導体と呼ぶこともできる。ペレットは、CAAC−OSの膜を被形成面または上面の凹凸を反映しており、CAAC−OSの被形成面または上面と平行となる。
また、図13(B)および図13(C)に、試料面と略垂直な方向から観察したCAAC−OSの平面のCs補正高分解能TEM像を示す。図13(D)および図13(E)は、それぞれ図13(B)および図13(C)を画像処理した像である。以下では、画像処理の方法について説明する。まず、図13(B)を高速フーリエ変換(FFT:Fast Fourier Transform)処理することでFFT像を取得する。次に、取得したFFT像において原点を基準に、2.8nm−1から5.0nm−1の間の範囲を残すマスク処理する。次に、マスク処理したFFT像を、逆高速フーリエ変換(IFFT:Inverse Fast Fourier Transform)処理することで画像処理した像を取得する。こうして取得した像をFFTフィルタリング像と呼ぶ。FFTフィルタリング像は、Cs補正高分解能TEM像から周期成分を抜き出した像であり、格子配列を示している。
図13(D)では、格子配列の乱れた箇所を破線で示している。破線で囲まれた領域が、一つのペレットである。そして、破線で示した箇所がペレットとペレットとの連結部である。破線は、六角形状であるため、ペレットが六角形状であることがわかる。なお、ペレットの形状は、正六角形状とは限らず、非正六角形状である場合が多い。
図13(E)では、格子配列の揃った領域と、別の格子配列の揃った領域と、の間を点線で示し、格子配列の向きを破線で示している。点線近傍においても、明確な結晶粒界を確認することはできない。点線近傍の格子点を中心に周囲の格子点を繋ぐと、歪んだ六角形や、五角形または/および七角形などが形成できる。即ち、格子配列を歪ませることによって結晶粒界の形成を抑制していることがわかる。これは、CAAC−OSが、a−b面方向において原子配列が稠密でないことや、金属元素が置換することで原子間の結合距離が変化することなどによって、歪みを許容することができるためと考えられる。
以上に示すように、CAAC−OSは、c軸配向性を有し、かつa−b面方向において複数のペレット(ナノ結晶)が連結し、歪みを有した結晶構造となっている。よって、CAAC−OSを、CAA crystal(c−axis−aligned a−b−plane−anchored crystal)を有する酸化物半導体と称することもできる。
CAAC−OSは結晶性の高い酸化物半導体である。酸化物半導体の結晶性は不純物の混入や欠陥の生成などによって低下する場合があるため、CAAC−OSは不純物や欠陥(酸素欠損など)の少ない酸化物半導体ともいえる。
なお、不純物は、酸化物半導体の主成分以外の元素で、水素、炭素、シリコン、遷移金属元素などがある。例えば、シリコンなどの、酸化物半導体を構成する金属元素よりも酸素との結合力の強い元素は、酸化物半導体から酸素を奪うことで酸化物半導体の原子配列を乱し、結晶性を低下させる要因となる。また、鉄やニッケルなどの重金属、アルゴン、二酸化炭素などは、原子半径(または分子半径)が大きいため、酸化物半導体の原子配列を乱し、結晶性を低下させる要因となる。
酸化物半導体が不純物や欠陥を有する場合、光や熱などによって特性が変動する場合がある。例えば、酸化物半導体に含まれる不純物は、キャリアトラップとなる場合や、キャリア発生源となる場合がある。例えば、酸化物半導体中の酸素欠損は、キャリアトラップとなる場合や、水素を捕獲することによってキャリア発生源となる場合がある。
不純物および酸素欠損の少ないCAAC−OSは、キャリア密度の低い酸化物半導体である。具体的には、8×1011個/cm3未満、好ましくは1×1011個/cm3未満、さらに好ましくは1×1010個/cm3未満であり、1×10−9個/cm3以上のキャリア密度の酸化物半導体とすることができる。そのような酸化物半導体を、高純度真性または実質的に高純度真性な酸化物半導体と呼ぶ。CAAC−OSは、不純物濃度が低く、欠陥準位密度が低い。即ち、安定な特性を有する酸化物半導体であるといえる。
<nc−OS>
次に、nc−OSについて説明する。
nc−OSをXRDによって解析した場合について説明する。例えば、nc−OSに対し、out−of−plane法による構造解析を行うと、配向性を示すピークが現れない。即ち、nc−OSの結晶は配向性を有さない。
また、例えば、InGaZnO4の結晶を有するnc−OSを薄片化し、厚さが34nmの領域に対し、被形成面に平行にプローブ径が50nmの電子線を入射させると、図14(A)に示すようなリング状の回折パターン(ナノビーム電子回折パターン)が観測される。また、同じ試料にプローブ径が1nmの電子線を入射させたときの回折パターン(ナノビーム電子回折パターン)を図14(B)に示す。図14(B)より、リング状の領域内に複数のスポットが観測される。したがって、nc−OSは、プローブ径が50nmの電子線を入射させることでは秩序性が確認されないが、プローブ径が1nmの電子線を入射させることでは秩序性が確認される。
また、厚さが10nm未満の領域に対し、プローブ径が1nmの電子線を入射させると、図14(C)に示すように、スポットが略正六角状に配置された電子回折パターンを観測される場合がある。したがって、厚さが10nm未満の範囲において、nc−OSが秩序性の高い領域、即ち結晶を有することがわかる。なお、結晶が様々な方向を向いているため、規則的な電子回折パターンが観測されない領域もある。
図14(D)に、被形成面と略平行な方向から観察したnc−OSの断面のCs補正高分解能TEM像を示す。nc−OSは、高分解能TEM像において、補助線で示す箇所などのように結晶部を確認することのできる領域と、明確な結晶部を確認することのできない領域と、を有する。nc−OSに含まれる結晶部は、1nm以上10nm以下の大きさであり、特に1nm以上3nm以下の大きさであることが多い。なお、結晶部の大きさが10nmより大きく100nm以下である酸化物半導体を微結晶酸化物半導体(micro crystalline oxide semiconductor)と呼ぶことがある。nc−OSは、例えば、高分解能TEM像では、結晶粒界を明確に確認できない場合がある。なお、ナノ結晶は、CAAC−OSにおけるペレットと起源を同じくする可能性がある。そのため、以下ではnc−OSの結晶部をペレットと呼ぶ場合がある。
このように、nc−OSは、微小な領域(例えば、1nm以上10nm以下の領域、特に1nm以上3nm以下の領域)において原子配列に周期性を有する。また、nc−OSは、異なるペレット間で結晶方位に規則性が見られない。そのため、膜全体で配向性が見られない。したがって、nc−OSは、分析方法によっては、a−like OSや非晶質酸化物半導体と区別が付かない場合がある。
なお、ペレット(ナノ結晶)間で結晶方位が規則性を有さないことから、nc−OSを、RANC(Random Aligned nanocrystals)を有する酸化物半導体、またはNANC(Non−Aligned nanocrystals)を有する酸化物半導体と呼ぶこともできる。
nc−OSは、非晶質酸化物半導体よりも規則性の高い酸化物半導体である。そのため、nc−OSは、a−like OSや非晶質酸化物半導体よりも欠陥準位密度が低くなる。ただし、nc−OSは、異なるペレット間で結晶方位に規則性が見られない。そのため、nc−OSは、CAAC−OSと比べて欠陥準位密度が高くなる。
<a−like OS>
a−like OSは、nc−OSと非晶質酸化物半導体との間の構造を有する酸化物半導体である。
図15に、a−like OSの高分解能断面TEM像を示す。ここで、図15(A)は電子照射開始時におけるa−like OSの高分解能断面TEM像である。図15(B)は4.3×108e−/nm2の電子(e−)照射後におけるa−like OSの高分解能断面TEM像である。図15(A)および図15(B)より、a−like OSは電子照射開始時から、縦方向に延伸する縞状の明領域が観察されることがわかる。また、明領域は、電子照射後に形状が変化することがわかる。なお、明領域は、鬆または低密度領域と推測される。
鬆を有するため、a−like OSは、不安定な構造である。以下では、a−like OSが、CAAC−OSおよびnc−OSと比べて不安定な構造であることを示すため、電子照射による構造の変化を示す。
試料として、a−like OS、nc−OSおよびCAAC−OSを準備する。いずれの試料もIn−Ga−Zn酸化物である。
まず、各試料の高分解能断面TEM像を取得する。高分解能断面TEM像により、各試料は、いずれも結晶部を有する。
なお、InGaZnO4の結晶の単位格子は、In−O層を3層有し、またGa−Zn−O層を6層有する、計9層がc軸方向に層状に重なった構造を有することが知られている。これらの近接する層同士の間隔は、(009)面の格子面間隔(d値ともいう。)と同程度であり、結晶構造解析からその値は0.29nmと求められている。したがって、以下では、格子縞の間隔が0.28nm以上0.30nm以下である箇所を、InGaZnO4の結晶部と見なした。なお、格子縞は、InGaZnO4の結晶のa−b面に対応する。
図16は、各試料の結晶部(22箇所から30箇所)の平均の大きさを調査した例である。なお、上述した格子縞の長さを結晶部の大きさとしている。図16より、a−like OSは、TEM像の取得などに係る電子の累積照射量に応じて結晶部が大きくなっていくことがわかる。図16より、TEMによる観察初期においては1.2nm程度の大きさだった結晶部(初期核ともいう。)が、電子(e−)の累積照射量が4.2×108e−/nm2においては1.9nm程度の大きさまで成長していることがわかる。一方、nc−OSおよびCAAC−OSは、電子照射開始時から電子の累積照射量が4.2×108e−/nm2までの範囲で、結晶部の大きさに変化が見られないことがわかる。図16より、電子の累積照射量によらず、nc−OSおよびCAAC−OSの結晶部の大きさは、それぞれ1.3nm程度および1.8nm程度であることがわかる。なお、電子線照射およびTEMの観察は、日立透過電子顕微鏡H−9000NARを用いた。電子線照射条件は、加速電圧を300kV、電流密度を6.7×105e−/(nm2・s)、照射領域の直径を230nmとした。
このように、a−like OSは、電子照射によって結晶部の成長が見られる場合がある。一方、nc−OSおよびCAAC−OSは、電子照射による結晶部の成長がほとんど見られない。即ち、a−like OSは、nc−OSおよびCAAC−OSと比べて、不安定な構造であることがわかる。
また、鬆を有するため、a−like OSは、nc−OSおよびCAAC−OSと比べて密度の低い構造である。具体的には、a−like OSの密度は、同じ組成の単結晶の密度の78.6%以上92.3%未満である。また、nc−OSの密度およびCAAC−OSの密度は、同じ組成の単結晶の密度の92.3%以上100%未満である。単結晶の密度の78%未満である酸化物半導体は、成膜すること自体が困難である。
例えば、In:Ga:Zn=1:1:1[原子数比]を満たす酸化物半導体において、菱面体晶構造を有する単結晶InGaZnO4の密度は6.357g/cm3である。よって、例えば、In:Ga:Zn=1:1:1[原子数比]を満たす酸化物半導体において、a−like OSの密度は5.0g/cm3以上5.9g/cm3未満である。また、例えば、In:Ga:Zn=1:1:1[原子数比]を満たす酸化物半導体において、nc−OSの密度およびCAAC−OSの密度は5.9g/cm3以上6.3g/cm3未満である。
なお、同じ組成の単結晶が存在しない場合、任意の割合で組成の異なる単結晶を組み合わせることにより、所望の組成における単結晶に相当する密度を見積もることができる。所望の組成の単結晶に相当する密度は、組成の異なる単結晶を組み合わせる割合に対して、加重平均を用いて見積もればよい。ただし、密度は、可能な限り少ない種類の単結晶を組み合わせて見積もることが好ましい。
以上のように、酸化物半導体は、様々な構造をとり、それぞれが様々な特性を有する。なお、酸化物半導体は、例えば、非晶質酸化物半導体、a−like OS、nc−OS、CAAC−OSのうち、二種以上を有する積層膜であってもよい。
<CAAC−OS及びnc−OSの成膜方法>
次に、CAAC−OSの成膜方法の一例について説明する。
図17(A)は、成膜室内の模式図である。CAAC−OSは、スパッタリング法により成膜することができる。
図17(A)に示すように、基板5220とターゲット5230とは向かい合うように配置している。基板5220とターゲット5230との間にはプラズマ5240がある。また、基板5220の下部には加熱機構5260が設けられている。図示しないが、ターゲット5230は、バッキングプレートに接着されている。バッキングプレートを介してターゲット5230と向かい合う位置には、複数のマグネットが配置される。マグネットの磁場を利用して成膜速度を高めるスパッタリング法は、マグネトロンスパッタリング法と呼ばれる。
図17(A)には平行平板型スパッタリング装置で成膜を行う例を示したが、成膜に用いる装置はこれに限られるものではない。例えば、対向ターゲット式スパッタリング装置を用いてもよい。対向ターゲット式スパッタリング装置は、プラズマが二つの対抗するターゲット間に閉じこめられ、成膜ガスの圧力を比較的低く設定することができるため、基板へのスパッタダメージを低減することができる。また、ターゲットの傾きによっては、スパッタリング粒子の基板への入射角度を浅くすることができるため、膜の段差被覆性を高めることができる。
基板5220とターゲット5230との距離d(ターゲット−基板間距離(T−S間距離)ともいう。)は0.01m以上1m以下、好ましくは0.02m以上0.5m以下とする。成膜室内は、ほとんどが成膜ガス(例えば、酸素、アルゴン、または酸素を5体積%以上の割合で含む混合ガス)で満たされ、0.01Pa以上100Pa以下、好ましくは0.1Pa以上10Pa以下に制御される。ここで、ターゲット5230に一定以上の電圧を印加することで、放電が始まり、プラズマ5240が確認される。なお、ターゲット5230の近傍には磁場によって、高密度プラズマ領域が形成される。高密度プラズマ領域では、成膜ガスがイオン化することで、イオン5201が生じる。イオン5201は、例えば、酸素の陽イオン(O+)やアルゴンの陽イオン(Ar+)などである。
ターゲット5230は、複数の結晶粒を有する多結晶構造を有し、いずれかの結晶粒には劈開面が含まれる。一例として、図18に、ターゲット5230に含まれるInMZnO4(元素Mは、例えばGaまたはSn)の結晶構造を示す。なお、図18は、b軸に平行な方向から観察した場合のInMZnO4の結晶構造である。InMZnO4の結晶では、酸素原子が負の電荷を有することにより、近接する二つのM−Zn−O層の間に斥力が生じている。そのため、InMZnO4の結晶は、近接する二つのM−Zn−O層の間に劈開面を有する。
高密度プラズマ領域で生じたイオン5201は、電界によってターゲット5230側に加速され、やがてターゲット5230と衝突する。このとき、劈開面から平板状またはペレット状のスパッタ粒子であるペレット5200が剥離する(図17(A)参照)。
ペレット5200は、図18に示す二つの劈開面に挟まれた部分である。よって、ペレット5200のみ抜き出すと、その断面は図17(B)のようになり、上面は図17(C)のようになることがわかる。なお、ペレット5200は、イオン5201の衝突の衝撃によって、構造に歪みが生じる場合がある。なお、ペレット5200の剥離に伴い、ターゲット5230から粒子5203も弾き出される。粒子5203は、原子1個または原子数個の集合体を有する。そのため、粒子5203を原子状粒子(atomic particles)と呼ぶこともできる。
ペレット5200は、三角形、例えば正三角形の平面を有する平板状またはペレット状のスパッタ粒子である。または、ペレット5200は、六角形、例えば正六角形の平面を有する平板状またはペレット状のスパッタ粒子である。ただし、ペレット5200の形状は、三角形、六角形に限定されない、例えば、三角形が複数個合わさった形状となる場合がある。例えば、三角形(例えば、正三角形)が2個合わさった四角形(例えば、ひし形)となる場合もある。
ペレット5200は、成膜ガスの種類などに応じて厚さが決定する。例えば、ペレット5200は、厚さを0.4nm以上1nm以下、好ましくは0.6nm以上0.8nm以下とする。また、例えば、ペレット5200は、幅を1nm以上3nm以下、好ましくは1.2nm以上2.5nm以下とする。例えば、In−M−Zn酸化物を有するターゲット5230にイオン5201を衝突させる。そうすると、M−Zn−O層、In−O層およびM−Zn−O層の3層を有するペレット5200が剥離する。なお、ペレット5200の剥離に伴い、ターゲット5230から粒子5203も弾き出される。粒子5203は、原子1個または原子数個の集合体を有する。そのため、粒子5203を原子状粒子(atomic particles)と呼ぶこともできる。
ペレット5200は、プラズマ5240を通過する際に、表面が負または正に帯電する場合がある。例えば、ペレット5200がプラズマ5240中にあるO2−から負の電荷を受け取る場合がある。その結果、ペレット5200の表面の酸素原子が負に帯電する場合がある。また、ペレット5200は、プラズマ5240を通過する際に、プラズマ5240中のインジウム、元素M、亜鉛または酸素などと結合することで成長する場合がある。
プラズマ5240を通過したペレット5200および粒子5203は、基板5220の表面に達する。なお、粒子5203の一部は、質量が小さいため真空ポンプなどによって外部に排出される場合がある。
次に、基板5220の表面におけるペレット5200および粒子5203の堆積について図19を用いて説明する。
まず、一つ目のペレット5200が基板5220に堆積する。ペレット5200は平板状であるため、平面側を基板5220の表面に向けて堆積する(図19(A)参照)。このとき、ペレット5200の基板5220側の表面の電荷が、基板5220を介して抜ける。
次に、二つ目のペレット5200が、基板5220に達する。このとき、一つ目のペレット5200の表面、および二つ目のペレット5200の表面が電荷を帯びているため、互いに反発し合う力が生じる(図19(B)参照)。
その結果、二つ目のペレット5200は、一つ目のペレット5200上を避け、基板5220の表面の少し離れた場所に堆積する(図19(C)参照)。これを繰り返すことで、基板5220の表面には、無数のペレット5200が一層分の厚みだけ堆積する。また、ペレット5200と別のペレット5200との間には、ペレット5200の堆積していない領域が生じる。
次に、粒子5203が基板5220の表面に達する(図19(D)参照)。
粒子5203は、ペレット5200の表面などの活性な領域には堆積することができない。そのため、ペレット5200の堆積していない領域を埋めるように堆積する。そして、ペレット5200間で粒子5203が横方向に成長(ラテラル成長ともいう。)することで、ペレット5200間を連結させる。このように、ペレット5200の堆積していない領域を埋めるまで粒子5203が堆積する。このメカニズムは、ALD法の堆積メカニズムに類似する。
なお、ペレット5200間で粒子5203がラテラル成長するメカニズムは複数の可能性がある。例えば、図19(E)に示すように、一層目のM−Zn−O層の側面から連結するメカニズムがある。この場合、一層目のM−Zn−O層が形成された後で、In−O層、二層目のM−Zn−O層の順に、一層ずつ連結していく(第1のメカニズム)。
または、例えば、図20(A)に示すように、まず一層目のM−Zn−O層の一側面につき粒子5203の一つが結合する。次に、図20(B)に示すようにIn−O層の一側面につき一つの粒子5203が結合する。次に、図20(C)に示すように二層目のM−Zn−O層の一側面につき一つの粒子5203が結合することで連結する場合もある(第2のメカニズム)。
なお、図20(A)、図20(B)および図20(C)が同時に起こることで連結する場合もある(第3のメカニズム)。
以上に示したように、ペレット5200間における粒子5203のラテラル成長のメカニズムとしては、上記3種類が考えられる。ただし、その他のメカニズムによってペレット5200間で粒子5203がラテラル成長する可能性もある。
したがって、複数のペレット5200がそれぞれ異なる方向を向いている場合でも、複数のペレット5200間を粒子5203がラテラル成長しながら埋めることにより、結晶粒界の形成が抑制される。また、複数のペレット5200間を、粒子5203が滑らかに結びつけるため、単結晶とも多結晶とも異なる結晶構造が形成される。言い換えると、微小な結晶領域(ペレット5200)間に歪みを有する結晶構造が形成される。このように、結晶領域間を埋める領域は、歪んだ結晶領域であるため、該領域を指して非晶質構造と呼ぶのは適切ではないと考えられる。
粒子5203が、ペレット5200間を埋め終わると、ペレット5200と同程度の厚さを有する第1の層が形成される。第1の層の上には新たな一つ目のペレット5200が堆積する。そして、第2の層が形成される。さらに、これが繰り返されることで、積層体を有する薄膜構造が形成される。
なお、ペレット5200の堆積の仕方は、基板5220の表面温度などによっても変化する。例えば、基板5220の表面温度が高いと、ペレット5200が基板5220の表面でマイグレーションを起こす。その結果、ペレット5200と別のペレット5200とが、粒子5203を介さずに連結する割合が増加するため、配向性の高いCAAC−OSとなる。CAAC−OSを成膜する際の基板5220の表面温度は、100℃以上500℃未満、好ましくは140℃以上450℃未満、さらに好ましくは170℃以上400℃未満である。したがって、基板5220として第8世代以上の大面積基板を用いた場合でも、反りなどはほとんど生じないことがわかる。
一方、基板5220の表面温度が低いと、ペレット5200が基板5220の表面でマイグレーションを起こしにくくなる。その結果、ペレット5200同士が積み重なることで配向性の低いnc−OSなどとなる(図21参照)。nc−OSでは、ペレット5200が負に帯電していることにより、ペレット5200は一定間隔を開けて堆積する可能性がある。したがって、配向性は低いものの、僅かに規則性を有することにより、非晶質酸化物半導体と比べて緻密な構造となる。
また、CAAC−OSにおいて、ペレット同士の隙間が極めて小さくなることで、一つの大きなペレットが形成される場合がある。一つの大きなペレットの内部は単結晶構造を有する。例えば、ペレットの大きさが、上面から見て10nm以上200nm以下、15nm以上100nm以下、または20nm以上50nm以下となる場合がある。
以上のようなモデルにより、ペレット5200が基板5220の表面に堆積していくと考えられる。被形成面が結晶構造を有さない場合においても、CAAC−OSの成膜が可能であることから、エピタキシャル成長とは異なる成長機構であることがわかる。また、CAAC−OSおよびnc−OSは、大面積のガラス基板などであっても均一な成膜が可能である。例えば、基板5220の表面(被形成面)の構造が非晶質構造(例えば非晶質酸化シリコン)であっても、CAAC−OSを成膜することは可能である。
また、被形成面である基板5220の表面に凹凸がある場合でも、その形状に沿ってペレット5200が配列することがわかる。
以上、本実施の形態で示す構成、方法は、他の実施の形態で示す構成、方法と適宜組み合わせて用いることができる。
(実施の形態3)
本実施の形態では、本発明の一態様の半導体装置を有する表示装置について、図22を用いて説明を行う。
<表示装置に関する説明>
図22(A)に示す表示装置は、表示素子の画素を有する領域(以下、画素部1502という)と、画素部1502の外側に配置され、画素を駆動するための回路を有する回路部(以下、駆動回路部1504という)と、素子の保護機能を有する回路(以下、保護回路1506という)と、端子部1507と、を有する。なお、保護回路1506は、設けない構成としてもよい。
駆動回路部1504の一部、または全部は、画素部1502と同一基板上に形成されていることが望ましい。これにより、部品数や端子数を減らすことが出来る。駆動回路部1504の一部、または全部が、画素部1502と同一基板上に形成されていない場合には、駆動回路部1504の一部、または全部は、COGやTAB(Tape Automated Bonding)によって、実装することができる。
画素部1502は、X行(Xは2以上の自然数)Y列(Yは2以上の自然数)に配置された複数の表示素子を駆動するための回路(以下、画素回路1501という)を有し、駆動回路部1504は、画素を選択する信号(走査信号)を出力する回路(以下、ゲートドライバ1504aという)、画素の表示素子を駆動するための信号(データ信号)を供給するための回路(以下、ソースドライバ1504b)などの駆動回路を有する。
ゲートドライバ1504aは、シフトレジスタ等を有する。ゲートドライバ1504aは、端子部1507を介して、シフトレジスタを駆動するための信号が入力され、信号を出力する。例えば、ゲートドライバ1504aは、スタートパルス信号、クロック信号等が入力され、パルス信号を出力する。ゲートドライバ1504aは、走査信号が与えられる配線(以下、走査線GL_1乃至GL_Xという)の電位を制御する機能を有する。なお、ゲートドライバ1504aを複数設け、複数のゲートドライバ1504aにより、走査線GL_1乃至GL_Xを分割して制御してもよい。または、ゲートドライバ1504aは、初期化信号を供給することができる機能を有する。ただし、これに限定されず、ゲートドライバ1504aは、別の信号を供給することも可能である。
ソースドライバ1504bは、シフトレジスタ等を有する。ソースドライバ1504bは、端子部1507を介して、シフトレジスタを駆動するための信号の他、データ信号の元となる信号(画像信号)が入力される。ソースドライバ1504bは、画像信号を元に画素回路1501に書き込むデータ信号を生成する機能を有する。また、ソースドライバ1504bは、スタートパルス、クロック信号等が入力されて得られるパルス信号に従って、データ信号の出力を制御する機能を有する。また、ソースドライバ1504bは、データ信号が与えられる配線(以下、データ線DL_1乃至DL_Yという)の電位を制御する機能を有する。または、ソースドライバ1504bは、初期化信号を供給することができる機能を有する。ただし、これに限定されず、ソースドライバ1504bは、別の信号を供給することも可能である。
ソースドライバ1504bは、例えば複数のアナログスイッチなどを用いて構成される。ソースドライバ1504bは、複数のアナログスイッチを順次オン状態にすることにより、画像信号を時分割した信号をデータ信号として出力できる。また、シフトレジスタなどを用いてソースドライバ1504bを構成してもよい。
複数の画素回路1501のそれぞれは、走査信号が与えられる複数の走査線GLの一つを介してパルス信号が入力され、データ信号が与えられる複数のデータ線DLの一つを介してデータ信号が入力される。また。複数の画素回路1501のそれぞれは、ゲートドライバ1504aによりデータ信号のデータの書き込み及び保持が制御される。例えば、m行n列目の画素回路1501は、走査線GL_m(mはX以下の自然数)を介してゲートドライバ1504aからパルス信号が入力され、走査線GL_mの電位に応じてデータ線DL_n(nはY以下の自然数)を介してソースドライバ1504bからデータ信号が入力される。
図22(A)に示す保護回路1506は、例えば、ゲートドライバ1504aと画素回路1501の間の配線である走査線GLに接続される。または、保護回路1506は、ソースドライバ1504bと画素回路1501の間の配線であるデータ線DLに接続される。または、保護回路1506は、ゲートドライバ1504aと端子部1507との間の配線に接続することができる。または、保護回路1506は、ソースドライバ1504bと端子部1507との間の配線に接続することができる。なお、端子部1507は、外部の回路から表示装置に電源及び制御信号、及び画像信号を入力するための端子が設けられた部分をいう。
保護回路1506は、自身が接続する配線に一定の範囲外の電位が与えられたときに、該配線と別の配線とを導通状態にする回路である。
図22(A)に示すように、画素部1502と駆動回路部1504にそれぞれ保護回路1506を設けることにより、ESD(Electro Static Discharge:静電気放電)などにより発生する過電流に対する表示装置の耐性を高めることができる。ただし、保護回路1506の構成はこれに限定されず、例えば、ゲートドライバ1504aに保護回路1506を接続した構成、またはソースドライバ1504bに保護回路1506を接続した構成とすることもできる。あるいは、端子部1507に保護回路1506を接続した構成とすることもできる。
また、図22(A)においては、ゲートドライバ1504aとソースドライバ1504bによって駆動回路部1504を形成している例を示しているが、この構成に限定されない。例えば、ゲートドライバ1504aのみを形成し、別途用意されたソースドライバ回路が形成された基板(例えば、単結晶半導体膜、多結晶半導体膜で形成された駆動回路基板)を実装する構成としても良い。
また、図22(A)に示す複数の画素回路1501は、例えば、図22(B)に示す構成とすることができる。
図22(B)に示す画素回路1501は、液晶素子1570と、トランジスタ1550と、容量素子1560と、を有する。トランジスタ1550に先の実施の形態に示すトランジスタを適用することができる。
液晶素子1570の一対の電極の一方の電位は、画素回路1501の仕様に応じて適宜設定される。液晶素子1570は、書き込まれるデータにより配向状態が設定される。なお、複数の画素回路1501のそれぞれが有する液晶素子1570の一対の電極の一方に共通の電位(コモン電位)を与えてもよい。また、各行の画素回路1501の液晶素子1570の一対の電極の一方に異なる電位を与えてもよい。
例えば、液晶素子1570を有する表示装置の駆動方法としては、TN(Twisted Nematic)モード、STN(Super−Twisted Nematic)モード、VA(Vertical Alignment)モード、MVA(Multi−Domain Vertical Alignment)モード、PVA(Patterned Vertical Alignment)モード、IPS(In−Plane−Switching)モード、FFS(Fringe Field Switching)モード、ASM(Axially Symmetric Aligned Micro−cell)モード、OCB(Optically Compensated Birefringence)モード、FLC(Ferroelectric Liquid Crystal)モード、AFLC(AntiFerroelectric Liquid Crystal)モード、またはTBA(Transverse Bend Alignment)モードなどを用いてもよい。
また、表示装置の駆動方法としては、上述した駆動方法の他、ECB(Electrically Controlled Birefringence)モード、PDLC(Polymer Dispersed Liquid Crystal)モード、PNLC(Polymer Network Liquid Crystal)モード、ゲストホストモードなどがある。ただし、これに限定されず、液晶素子及びその駆動方式として様々なものを用いることができる。
m行n列目の画素回路1501において、トランジスタ1550のソース電極またはドレイン電極の一方は、データ線DL_nに電気的に接続され、他方は液晶素子1570の一対の電極の他方に電気的に接続される。また、トランジスタ1550のゲート電極は、走査線GL_mに電気的に接続される。トランジスタ1550は、オン状態またはオフ状態になることにより、データ信号のデータの書き込みを制御する機能を有する。
容量素子1560の一対の電極の一方は、電位が供給される配線(以下、電位供給線VL)に電気的に接続され、他方は、液晶素子1570の一対の電極の他方に電気的に接続される。なお、電位供給線VLの電位の値は、画素回路1501の仕様に応じて適宜設定される。容量素子1560は、書き込まれたデータを保持する保持容量としての機能を有する。
例えば、図22(B)の画素回路1501を有する表示装置では、例えば、図22(A)に示すゲートドライバ1504aにより各行の画素回路1501を順次選択し、トランジスタ1550をオン状態にしてデータ信号のデータを書き込む。
データが書き込まれた画素回路1501は、トランジスタ1550がオフ状態になることで保持状態になる。これを行毎に順次行うことにより、画像を表示できる。
また、図22(A)に示す複数の画素回路1501は、例えば、図22(C)に示す構成とすることができる。
図22(C)に示す画素回路1501は、トランジスタ1552、1554と、容量素子1562と、発光素子1572と、を有する。トランジスタ1552及びトランジスタ1554のいずれか一方または双方に先の実施の形態に示すトランジスタを適用することができる。
トランジスタ1552のソース電極及びドレイン電極の一方は、データ信号が与えられる配線(以下、信号線DL_nという)に電気的に接続される。さらに、トランジスタ1552のゲート電極は、ゲート信号が与えられる配線(以下、走査線GL_mという)に電気的に接続される。
トランジスタ1552は、オン状態またはオフ状態になることにより、データ信号のデータの書き込みを制御する機能を有する。
容量素子1562の一対の電極の一方は、電位が与えられる配線(以下、電位供給線VL_aという)に電気的に接続され、他方は、トランジスタ1552のソース電極及びドレイン電極の他方に電気的に接続される。
容量素子1562は、書き込まれたデータを保持する保持容量としての機能を有する。
トランジスタ1554のソース電極及びドレイン電極の一方は、電位供給線VL_aに電気的に接続される。さらに、トランジスタ1554のゲート電極は、トランジスタ1552のソース電極及びドレイン電極の他方に電気的に接続される。
発光素子1572のアノード及びカソードの一方は、電位供給線VL_bに電気的に接続され、他方は、トランジスタ1554のソース電極及びドレイン電極の他方に電気的に接続される。
発光素子1572としては、例えば有機エレクトロルミネセンス素子(有機EL素子ともいう)などを用いることができる。ただし、発光素子1572としては、これに限定されず、無機材料からなる無機EL素子を用いても良い。
なお、電位供給線VL_a及び電位供給線VL_bの一方には、高電源電位VDDが与えられ、他方には、低電源電位VSSが与えられる。
図22(C)の画素回路1501を有する表示装置では、例えば、図22(A)に示すゲートドライバ1504aにより各行の画素回路1501を順次選択し、トランジスタ1552をオン状態にしてデータ信号のデータを書き込む。
データが書き込まれた画素回路1501は、トランジスタ1552がオフ状態になることで保持状態になる。さらに、書き込まれたデータ信号の電位に応じてトランジスタ1554のソース電極とドレイン電極の間に流れる電流量が制御され、発光素子1572は、流れる電流量に応じた輝度で発光する。これを行毎に順次行うことにより、画像を表示できる。
また、本実施の形態においては、表示装置の表示素子として、液晶素子1570及び発光素子1572を有する構成について例示したが、これに限定されず、表示装置は様々な素子を有していてもよい。
上記素子は例えば、液晶素子、EL素子(有機物及び無機物を含むEL素子、有機EL素子、無機EL素子)、LED(白色LED、赤色LED、緑色LED、青色LEDなど)、トランジスタ(電流に応じて発光するトランジスタ)、電子放出素子、電子インク、電気泳動素子、グレーティングライトバルブ(GLV)、プラズマディスプレイ(PDP)、MEMS(マイクロ・エレクトロ・メカニカル・システム)を用いた表示素子、デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)、DMS(デジタル・マイクロ・シャッター)、MIRASOL(登録商標)、IMOD(インターフェアレンス・モジュレーション)素子、シャッター方式のMEMS表示素子、光干渉方式のMEMS表示素子、エレクトロウェッティング素子、圧電セラミックディスプレイ、カーボンナノチューブを用いた表示素子などの少なくとも一つを有している。これらの他にも、電気的または磁気的作用により、コントラスト、輝度、反射率、透過率などが変化する表示媒体を有していても良い。電子放出素子を用いた表示装置の一例としては、フィールドエミッションディスプレイ(FED)又はSED方式平面型ディスプレイ(SED:Surface−conduction Electron−emitter Display)などがある。液晶素子を用いた表示装置の一例としては、液晶ディスプレイ(透過型液晶ディスプレイ、半透過型液晶ディスプレイ、反射型液晶ディスプレイ、直視型液晶ディスプレイ、投射型液晶ディスプレイ)などがある。電子インク又は電気泳動素子を用いた表示装置の一例としては、電子ペーパーなどがある。なお、半透過型液晶ディスプレイや反射型液晶ディスプレイを実現する場合には、画素電極の一部、または、全部が、反射電極としての機能を有するようにすればよい。例えば、画素電極の一部、または、全部が、アルミニウム、銀、などを有するようにすればよい。さらに、その場合、反射電極の下に、SRAMなどの記憶回路を設けることも可能である。これにより、さらに、消費電力を低減することができる。
また、本実施の形態の表示装置の表示方式としては、プログレッシブ方式やインターレース方式等を用いることができる。また、カラー表示する際に画素で制御する色要素としては、RGB(Rは赤、Gは緑、Bは青を表す)の三色に限定されない。例えば、Rの画素とGの画素とBの画素とW(白)の画素の四画素から構成されてもよい。または、ペンタイル配列のように、RGBのうちの2色分で一つの色要素を構成し、色要素よって、異なる2色を選択して構成してもよい。またはRGBに、イエロー、シアン、マゼンタ等を一色以上追加してもよい。なお、色要素のドット毎にその表示領域の大きさが異なっていてもよい。ただし、開示する発明はカラー表示の表示装置に限定されるものではなく、モノクロ表示の表示装置に適用することもできる。
また、表示装置にバックライト(有機EL素子、無機EL素子、LED、蛍光灯など)に白色光(W)を設けてもよい。また、表示装置に着色層(カラーフィルタともいう。)を設けてもよい。着色層としては、例えば、レッド(R)、グリーン(G)、ブルー(B)、イエロー(Y)などを適宜組み合わせて用いることができる。着色層を用いることで、着色層を用いない場合と比べて色の再現性を高くすることができる。このとき、着色層を有する領域と、着色層を有さない領域と、を配置することによって、着色層を有さない領域における白色光を直接表示に利用しても構わない。一部に着色層を有さない領域を配置することで、明るい表示の際に、着色層による輝度の低下を少なくでき、消費電力を2割から3割程度低減できる場合がある。ただし、有機EL素子や無機EL素子などの自発光素子を用いてフルカラー表示する場合、R、G、B、Y、ホワイト(W)を、それぞれの発光色を有する素子から発光させても構わない。自発光素子を用いることで、着色層を用いた場合よりも、さらに消費電力を低減できる場合がある。
本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態に示す構成と適宜組み合わせて用いることができる。
(実施の形態4)
本実施の形態においては、本発明の一態様の半導体装置を有する表示装置、及び該表示装置に入力装置を取り付けた電子機器について、図23乃至図28を用いて説明を行う。
<タッチパネルに関する説明>
なお、本実施の形態において、電子機器の一例として、表示装置と、入力装置とを合わせたタッチパネル2000について説明する。また、入力装置の一例として、タッチセンサを用いる場合について説明する。
図23(A)(B)は、タッチパネル2000の斜視図である。なお、図23(A)(B)において、明瞭化のため、タッチパネル2000の代表的な構成要素を示す。
タッチパネル2000は、表示装置2501とタッチセンサ2595とを有する(図23(B)参照)。また、タッチパネル2000は、基板2510、基板2570、及び基板2590を有する。なお、基板2510、基板2570、及び基板2590はいずれも可撓性を有する。ただし、基板2510、基板2570、及び基板2590のいずれか一つまたは全てが可撓性を有さない構成としてもよい。
表示装置2501は、基板2510上に複数の画素及び該画素に信号を供給することができる複数の配線2511を有する。複数の配線2511は、基板2510の外周部にまで引き回され、その一部が端子2519を構成している。端子2519はFPC2509(1)と電気的に接続する。
基板2590は、タッチセンサ2595と、タッチセンサ2595と電気的に接続する複数の配線2598とを有する。複数の配線2598は、基板2590の外周部に引き回され、その一部は端子を構成する。そして、該端子はFPC2509(2)と電気的に接続される。なお、図23(B)では明瞭化のため、基板2590の裏面側(基板2510と対向する面側)に設けられるタッチセンサ2595の電極や配線等を実線で示している。
タッチセンサ2595として、例えば静電容量方式のタッチセンサを適用できる。静電容量方式としては、表面型静電容量方式、投影型静電容量方式等がある。
投影型静電容量方式としては、主に駆動方式の違いから自己容量方式、相互容量方式などがある。相互容量方式を用いると同時多点検出が可能となるため好ましい。
なお、図23(B)に示すタッチセンサ2595は、投影型静電容量方式のタッチセンサを適用した構成である。
なお、タッチセンサ2595には、指等の検知対象の近接または接触を検知することができる、様々なセンサを適用することができる。
投影型静電容量方式のタッチセンサ2595は、電極2591と電極2592とを有する。電極2591は、複数の配線2598のいずれかと電気的に接続し、電極2592は複数の配線2598の他のいずれかと電気的に接続する。
電極2592は、図23(A)(B)に示すように、一方向に繰り返し配置された複数の四辺形が角部で接続される形状を有する。
電極2591は四辺形であり、電極2592が延在する方向と交差する方向に繰り返し配置されている。
配線2594は、電極2592を挟む二つの電極2591と電気的に接続する。このとき、電極2592と配線2594の交差部の面積ができるだけ小さくなる形状が好ましい。これにより、電極が設けられていない領域の面積を低減でき、透過率のバラツキを低減できる。その結果、タッチセンサ2595を透過する光の輝度のバラツキを低減することができる。
なお、電極2591及び電極2592の形状はこれに限定されず、様々な形状を取りうる。例えば、複数の電極2591をできるだけ隙間が生じないように配置し、絶縁層を介して電極2592を、電極2591と重ならない領域ができるように離間して複数設ける構成としてもよい。このとき、隣接する2つの電極2592の間に、これらとは電気的に絶縁されたダミー電極を設けると、透過率の異なる領域の面積を低減できるため好ましい。
なお、電極2591、電極2592、配線2598などの導電膜、つまり、タッチパネルを構成する配線や電極に用いることのできる材料として、酸化インジウム、酸化錫、酸化亜鉛等を有する透明導電膜(例えば、ITOなど)が挙げられる。また、タッチパネルを構成する配線や電極に用いることのできる材料として、例えば、抵抗値が低い方が好ましい。一例として、銀、銅、アルミニウム、カーボンナノチューブ、グラフェン、ハロゲン化金属(ハロゲン化銀など)などを用いてもよい。さらに、非常に細くした(例えば、直径が数ナノメール)複数の導電体を用いて構成されるような金属ナノワイヤを用いてもよい。または、導電体を網目状にした金属メッシュを用いてもよい。一例としては、Agナノワイヤ、Cuナノワイヤ、Alナノワイヤ、Agメッシュ、Cuメッシュ、Alメッシュなどを用いてもよい。例えば、タッチパネルを構成する配線や電極にAgナノワイヤを用いる場合、可視光において透過率を89%以上、シート抵抗値を40Ω/cm2以上100Ω/cm2以下とすることができる。また、上述したタッチパネルを構成する配線や電極に用いることのできる材料の一例である、金属ナノワイヤ、金属メッシュ、カーボンナノチューブ、グラフェンなどは、可視光において透過率が高いため、表示素子に用いる電極(例えば、画素電極または共通電極など)として用いてもよい。
<表示装置に関する説明>
次に、図24(A)(B)を用いて、表示装置2501の詳細について説明する。図24(A)(B)は、図23(B)に示す一点鎖線X1−X2間の断面図に相当する。
表示装置2501は、マトリクス状に配置された複数の画素を有する。該画素は表示素子と、該表示素子を駆動する画素回路とを有する。
(表示素子としてEL素子を用いる構成)
まず、表示素子としてEL素子を用いる構成について、図24(A)を用いて以下説明を行う。なお、以下の説明においては、白色の光を射出するEL素子を適用する場合について説明するが、EL素子はこれに限定されない。例えば、隣接する画素毎に射出する光の色が異なるように、発光色が異なるEL素子を適用してもよい。
基板2510及び基板2570としては、例えば、水蒸気の透過率が10−5g/(m2・day)以下、好ましくは10−6g/(m2・day)以下である可撓性を有する材料を好適に用いることができる。または、基板2510の熱膨張率と、基板2570の熱膨張率とが、およそ等しい材料を用いると好適である。例えば、線膨張率が1×10−3/K以下、好ましくは5×10−5/K以下、より好ましくは1×10−5/K以下である材料を好適に用いることができる。
なお、基板2510は、EL素子への不純物の拡散を防ぐ絶縁層2510aと、可撓性基板2510bと、絶縁層2510a及び可撓性基板2510bを貼り合わせる接着層2510cと、を有する積層体である。また、基板2570は、EL素子への不純物の拡散を防ぐ絶縁層2570aと、可撓性基板2570bと、絶縁層2570a及び可撓性基板2570bを貼り合わせる接着層2570cと、を有する積層体である。
接着層2510c及び接着層2570cとしては、例えば、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミド(ナイロン、アラミド等)、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリウレタン、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、もしくはシリコーンなどのシロキサン結合を有する樹脂を含む材料を用いることができる。
また、基板2510と基板2570との間に封止層2560を有する。封止層2560は、空気より大きい屈折率を有すると好ましい。また、図24(A)に示すように、封止層2560側に光を取り出す場合は、封止層2560は光学素子を兼ねることができる。
また、封止層2560の外周部にシール材を形成してもよい。当該シール材を用いることにより、基板2510、基板2570、封止層2560、及びシール材で囲まれた領域にEL素子2550を有する構成とすることができる。なお、封止層2560として、不活性気体(窒素やアルゴン等)を充填してもよい。また、当該不活性気体内に、乾燥材を設けて、水分等を吸着させる構成としてもよい。また、上述のシール材としては、例えば、エポキシ系樹脂やガラスフリットを用いるのが好ましい。また、シール材に用いる材料としては、水分や酸素を透過しない材料を用いると好適である。
また、図24(A)に示す表示装置2501は、画素2505を有する。また、画素2505は、発光モジュール2580と、EL素子2550と、EL素子2550に電力を供給することができるトランジスタ2502tと、を有する。なお、トランジスタ2502tは、画素回路の一部として機能する。
また、発光モジュール2580は、EL素子2550と、着色層2567とを有する。また、EL素子2550は、下部電極と、上部電極と、下部電極と上部電極との間にEL層とを有する。
また、封止層2560が光を取り出す側に設けられている場合、封止層2560は、EL素子2550と着色層2567に接する。
着色層2567は、EL素子2550と重なる位置にある。これにより、EL素子2550が発する光の一部は着色層2567を透過して、図中に示す矢印の方向の発光モジュール2580の外部に射出される。
また、表示装置2501には、光を射出する方向に遮光層2568が設けられる。遮光層2568は、着色層2567を囲むように設けられている。
着色層2567としては、特定の波長域の光を透過する機能を有していればよく、例えば、赤色の波長域の光を透過するカラーフィルタ、緑色の波長域の光を透過するカラーフィルタ、青色の波長域の光を透過するカラーフィルタ、黄色の波長域の光を透過するカラーフィルタなどを用いることができる。各カラーフィルタは、様々な材料を用いて、印刷法、インクジェット法、フォトリソグラフィ技術を用いたエッチング方法などで形成することができる。
また、表示装置2501には、絶縁層2521が設けられる。絶縁層2521はトランジスタ2502t等を覆う。なお、絶縁層2521は、画素回路に起因する凹凸を平坦化するための機能を有する。また、絶縁層2521に不純物の拡散を抑制できる機能を付与してもよい。これにより、不純物の拡散によるトランジスタ2502t等の信頼性の低下を抑制できる。
また、EL素子2550は、絶縁層2521の上方に形成される。また、EL素子2550が有する下部電極には、該下部電極の端部に重なる隔壁2528が設けられる。なお、基板2510と、基板2570との間隔を制御するスペーサを、隔壁2528上に形成してもよい。
また、走査線駆動回路2504は、トランジスタ2503tと、容量素子2503cとを有する。なお、駆動回路を画素回路と同一の工程で同一基板上に形成することができる。
また、基板2510上には、信号を供給することができる配線2511が設けられる。また、配線2511上には、端子2519が設けられる。また、端子2519には、FPC2509(1)が電気的に接続される。また、FPC2509(1)は、ビデオ信号、クロック信号、スタート信号、リセット信号等を供給する機能を有する。なお、FPC2509(1)にはプリント配線基板(PWB)が取り付けられていても良い。
なお、トランジスタ2502t及びトランジスタ2503tのいずれか一方または双方に先の実施の形態に示すトランジスタを適用すればよい。本実施の形態で用いるトランジスタは、高純度化し、酸素欠損の形成を抑制した酸化物半導体膜を有する。該トランジスタは、オフ状態における電流値(オフ電流値)を低くすることができる。よって、画像信号等の電気信号の保持時間を長くすることができ、電源オン状態では書き込み間隔も長く設定できる。よって、リフレッシュ動作の頻度を少なくすることができるため、消費電力を抑制する効果を奏する。また、本実施の形態で用いるトランジスタは、比較的高い電界効果移動度が得られるため、高速駆動が可能である。例えば、このような高速駆動が可能なトランジスタを表示装置2501に用いることで、画素回路のスイッチングトランジスタと、駆動回路に使用するドライバトランジスタを同一基板上に形成することができる。すなわち、別途駆動回路として、シリコンウェハ等により形成された半導体装置を用いる必要がないため、半導体装置の部品点数を削減することができる。また、画素回路においても、高速駆動が可能なトランジスタを用いることで、高画質な画像を提供することができる。
(表示素子として液晶素子を用いる構成)
次に、表示素子として、液晶素子を用いる構成について、図24(B)を用いて以下説明を行う。なお、以下の説明においては、外光を反射して表示する反射型の液晶表示装置について説明するが、液晶表示装置はこれに限定されない。例えば、光源(バックライト、サイドライト等)を設けて、透過型の液晶表示装置、または反射型と透過型の両方の機能を備える液晶表示装置としてもよい。
図24(B)に示す表示装置2501は、図24(A)に示す表示装置2501と以下の点が異なる。それ以外の構成については、図24(A)に示す表示装置2501と同様である。
図24(B)に示す表示装置2501の画素2505は、液晶素子2551と、液晶素子2551に電力を供給することができるトランジスタ2502tと、を有する。
また、液晶素子2551は、下部電極(画素電極ともいう)と、上部電極と、下部電極と上部電極との間に液晶層2529と、を有する。液晶素子2551は、下部電極と上部電極との間に印加される電圧によって、液晶層2529の配向状態を変えることができる。また、液晶層2529中には、スペーサ2530aと、スペーサ2530bと、が設けられる。また、図24(B)において図示しないが、上部電極及び下部電極の液晶層2529と接する側に、それぞれ配向膜を設ける構成としてもよい。
液晶層2529としては、サーモトロピック液晶、低分子液晶、高分子液晶、高分子分散型液晶、強誘電性液晶、反強誘電性液晶等を用いることができる。これらの液晶材料は、条件により、コレステリック相、スメクチック相、キュービック相、カイラルネマチック相、等方相等を示す。また、液晶表示装置として、横電界方式を採用する場合、配向膜を用いないブルー相を示す液晶を用いてもよい。ブルー相を示す液晶を用いる場合、配向膜を設けなくてもよいのでラビング処理が不要となる。ラビング処理が不要となることで、ラビング処理時に引き起こされる静電破壊を防止することができ、作製工程中の液晶表示装置の不良や破損を軽減することができる。
スペーサ2530a、2530bは、絶縁膜を選択的にエッチングすることで得られる。スペーサ2530a、2530bとしては、基板2510と基板2570との間の距離(セルギャップ)を制御するために設けられる。なお、スペーサ2530a、2530bは、それぞれ大きさを異ならせてもよく、柱状または球状で設けると好ましい。また、図24(B)においては、スペーサ2530a、2530bを、基板2570側に設ける構成について例示したが、これに限定されず、基板2510側に設けてもよい。
また、液晶素子2551の上部電極は、基板2570側に設けられる。また、該上部電極と、着色層2567及び遮光層2568と、の間には絶縁層2531が設けられる。絶縁層2531は、着色層2567及び遮光層2568に起因する凹凸を平坦化する機能を有する。絶縁層2531としては、例えば、有機樹脂膜を用いればよい。また、液晶素子2551の下部電極は、反射電極としての機能を有する。図24(B)に示す表示装置2501は、外光を利用して下部電極で光を反射して着色層2567を介して表示する、反射型の液晶表示装置である。なお、透過型の液晶表示装置とする場合、下部電極に透明電極として機能を付与すればよい。
また、図24(B)に示す表示装置2501は、絶縁層2522を有する。絶縁層2522は、トランジスタ2502t等を覆う。なお、絶縁層2522は、画素回路に起因する凹凸を平坦化するための機能と、液晶素子の下部電極に凹凸を形成する機能と、を有する。これにより、下部電極の表面に凹凸を形成することが可能となる。したがって、外光が下部電極に入射した場合において、下部電極の表面で光を乱反射することが可能となり、視認性を向上させることができる。なお、透過型の液晶表示装置の場合、上記凹凸を設けない構成としてもよい。
<タッチセンサに関する説明>
次に、図25を用いて、タッチセンサ2595の詳細について説明する。図25は、図23(B)に示す一点鎖線X3−X4間の断面図に相当する。
タッチセンサ2595は、基板2590上に千鳥状に配置された電極2591及び電極2592と、電極2591及び電極2592を覆う絶縁層2593と、隣り合う電極2591を電気的に接続する配線2594とを有する。
電極2591及び電極2592は、透光性を有する導電材料を用いて形成する。透光性を有する導電性材料としては、酸化インジウム、インジウム錫酸化物、インジウム亜鉛酸化物、酸化亜鉛、ガリウムを添加した酸化亜鉛などの導電性酸化物を用いることができる。なお、グラフェンを含む膜を用いることもできる。グラフェンを含む膜は、例えば膜状に形成された酸化グラフェンを含む膜を還元して形成することができる。還元する方法としては、熱を加える方法等を挙げることができる。
例えば、透光性を有する導電性材料を基板2590上にスパッタリング法により成膜した後、フォトリソグラフィ法等の様々なパターニング技術により、不要な部分を除去して、電極2591及び電極2592を形成することができる。
また、絶縁層2593に用いる材料としては、例えば、アクリル、エポキシなどの樹脂、シリコーンなどのシロキサン結合を有する樹脂の他、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、酸化アルミニウムなどの無機絶縁材料を用いることもできる。
また、電極2591に達する開口が絶縁層2593に設けられ、配線2594が隣接する電極2591と電気的に接続する。透光性の導電性材料は、タッチパネルの開口率を高めることができるため、配線2594に好適に用いることができる。また、電極2591及び電極2592より導電性の高い材料は、電気抵抗を低減できるため配線2594に好適に用いることができる。
電極2592は、一方向に延在し、複数の電極2592がストライプ状に設けられている。また、配線2594は電極2592と交差して設けられている。
一対の電極2591が1つの電極2592を挟んで設けられる。また、配線2594は一対の電極2591を電気的に接続している。
なお、複数の電極2591は、1つの電極2592と必ずしも直交する方向に配置される必要はなく、0度を超えて90度未満の角度をなすように配置されてもよい。
また、配線2598は、電極2591または電極2592と電気的に接続される。また、配線2598の一部は、端子として機能する。配線2598としては、例えば、アルミニウム、金、白金、銀、ニッケル、チタン、タングステン、クロム、モリブデン、鉄、コバルト、銅、またはパラジウム等の金属材料や、該金属材料を含む合金材料を用いることができる。
なお、絶縁層2593及び配線2594を覆う絶縁層を設けて、タッチセンサ2595を保護してもよい。
また、接続層2599は、配線2598とFPC2509(2)を電気的に接続させる。
接続層2599としては、異方性導電フィルム(ACF:Anisotropic Conductive Film)や、異方性導電ペースト(ACP:Anisotropic Conductive Paste)などを用いることができる。
<タッチパネルに関する説明>
次に、図26(A)を用いて、タッチパネル2000の詳細について説明する。図26(A)は、図23(A)に示す一点鎖線X5−X6間の断面図に相当する。
図26(A)に示すタッチパネル2000は、図23(A)で説明した表示装置2501と、図25で説明したタッチセンサ2595と、を貼り合わせた構成である。
また、図26(A)に示すタッチパネル2000は、図24(A)で説明した構成の他、接着層2597と、反射防止層2569と、を有する。
接着層2597は、配線2594と接して設けられる。なお、接着層2597は、タッチセンサ2595が表示装置2501に重なるように、基板2590を基板2570に貼り合わせている。また、接着層2597は、透光性を有すると好ましい。また、接着層2597としては、熱硬化性樹脂、または紫外線硬化樹脂を用いることができる。例えば、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、またはシロキサン系樹脂を用いることができる。
反射防止層2569は、画素に重なる位置に設けられる。反射防止層2569として、例えば円偏光板を用いることができる。
次に、図26(A)に示す構成と異なる構成のタッチパネルについて、図26(B)を用いて説明する。
図26(B)は、タッチパネル2001の断面図である。図26(B)に示すタッチパネル2001は、図26(A)に示すタッチパネル2000と、表示装置2501に対するタッチセンサ2595の位置が異なる。ここでは異なる構成について詳細に説明し、同様の構成を用いることができる部分は、タッチパネル2000の説明を援用する。
着色層2567は、EL素子2550の下方に位置する。また、図26(B)に示すEL素子2550は、トランジスタ2502tが設けられている側に光を射出する。これにより、EL素子2550が発する光の一部は、着色層2567を透過して、図中に示す矢印の方向の発光モジュール2580の外部に射出される。
また、タッチセンサ2595は、表示装置2501の基板2510側に設けられている。
接着層2597は、基板2510と基板2590の間にあり、表示装置2501とタッチセンサ2595を貼り合わせる。
図26(A)(B)に示すように、発光素子から射出される光は、基板の上面及び下面のいずれか一方または双方に射出されればよい。
<タッチパネルの駆動方法に関する説明>
次に、タッチパネルの駆動方法の一例について、図27を用いて説明を行う。
図27(A)は、相互容量方式のタッチセンサの構成を示すブロック図である。図27(A)では、パルス電圧出力回路2601、電流検出回路2602を示している。なお、図27(A)では、パルス電圧が与えられる電極2621をX1−X6として、電流の変化を検知する電極2622をY1−Y6として、それぞれ6本の配線で例示している。また、図27(A)は、電極2621と、電極2622とが重畳することで形成される容量2603を示している。なお、電極2621と電極2622とはその機能を互いに置き換えてもよい。
パルス電圧出力回路2601は、X1−X6の配線に順にパルスを印加するための回路である。X1−X6の配線にパルス電圧が印加されることで、容量2603を形成する電極2621と電極2622との間に電界が生じる。この電極間に生じる電界が遮蔽等により容量2603の相互容量に変化を生じさせることを利用して、被検知体の近接、または接触を検出することができる。
電流検出回路2602は、容量2603での相互容量の変化による、Y1−Y6の配線での電流の変化を検出するための回路である。Y1−Y6の配線では、被検知体の近接、または接触がないと検出される電流値に変化はないが、検出する被検知体の近接、または接触により相互容量が減少する場合には電流値が減少する変化を検出する。なお電流の検出は、積分回路等を用いて行えばよい。
次に、図27(B)には、図27(A)で示す相互容量方式のタッチセンサにおける入出力波形のタイミングチャートを示す。図27(B)では、1フレーム期間で各行列での被検知体の検出を行うものとする。また図27(B)では、被検知体を検出しない場合(非タッチ)と被検知体を検出する場合(タッチ)との2つの場合について示している。なおY1−Y6の配線については、検出される電流値に対応する電圧値とした波形を示している。
X1−X6の配線には、順にパルス電圧が与えられ、該パルス電圧にしたがってY1−Y6の配線での波形が変化する。被検知体の近接または接触がない場合には、X1−X6の配線の電圧の変化に応じてY1−Y6の波形が一様に変化する。一方、被検知体が近接または接触する箇所では、電流値が減少するため、これに対応する電圧値の波形も変化する。
このように、相互容量の変化を検出することにより、被検知体の近接または接触を検知することができる。
<センサ回路に関する説明>
また、図27(A)ではタッチセンサとして配線の交差部に容量2603のみを設けるパッシブ型のタッチセンサの構成を示したが、トランジスタと容量とを有するアクティブ型のタッチセンサとしてもよい。アクティブ型のタッチセンサに含まれるセンサ回路の一例を図28に示す。
図28に示すセンサ回路は、容量2603と、トランジスタ2611と、トランジスタ2612と、トランジスタ2613とを有する。
トランジスタ2613はゲートに信号G2が与えられ、ソースまたはドレインの一方に電圧VRESが与えられ、他方が容量2603の一方の電極およびトランジスタ2611のゲートと電気的に接続する。トランジスタ2611は、ソースまたはドレインの一方がトランジスタ2612のソースまたはドレインの一方と電気的に接続し、他方に電圧VSSが与えられる。トランジスタ2612は、ゲートに信号G1が与えられ、ソースまたはドレインの他方が配線MLと電気的に接続する。容量2603の他方の電極には電圧VSSが与えられる。
次に、図28に示すセンサ回路の動作について説明する。まず、信号G2としてトランジスタ2613をオン状態とする電位が与えられることで、トランジスタ2611のゲートが接続されるノードnに電圧VRESに対応した電位が与えられる。次に、信号G2としてトランジスタ2613をオフ状態とする電位が与えられることで、ノードnの電位が保持される。
続いて、指等の被検知体の近接または接触により、容量2603の相互容量が変化することに伴い、ノードnの電位がVRESから変化する。
読み出し動作は、信号G1にトランジスタ2612をオン状態とする電位を与える。ノードnの電位に応じてトランジスタ2611に流れる電流、すなわち配線MLに流れる電流が変化する。この電流を検出することにより、被検知体の近接または接触を検出することができる。
トランジスタ2611、トランジスタ2612、及びトランジスタ2613に先の実施の形態に示すトランジスタを適用することができる。とくにトランジスタ2613に先の実施の形態に示すトランジスタを適用することにより、ノードnの電位を長期間に亘って保持することが可能となり、ノードnにVRESを供給しなおす動作(リフレッシュ動作)の頻度を減らすことができる。
本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態に示す構成と適宜組み合わせて用いることができる。
(実施の形態5)
本実施の形態では、本発明の一態様に係るトランジスタを用いた、電力が供給されない状況でも記憶内容の保持が可能で、かつ、書き込み回数にも制限が無い半導体装置(記憶装置)の一例について図29を用いて説明する。
<回路構成1>
図29(A)に示す半導体装置は、第1の半導体を用いたトランジスタ3020と第2の半導体を用いたトランジスタ3030、および容量素子3040を有している。なお、トランジスタ3030としては、先の実施の形態に記載したトランジスタを用いることができる。
トランジスタ3030は、オフ電流の小さいトランジスタが好ましい。トランジスタ3030は、例えば、酸化物半導体を用いたトランジスタを用いることができる。トランジスタ3030のオフ電流が小さいことにより、半導体装置の特定のノードに長期にわたり記憶内容を保持することが可能である。つまり、リフレッシュ動作を必要としない、またはリフレッシュ動作の頻度が極めて少なくすることが可能となるため、消費電力の低い半導体装置となる。
図29(A)において、第1の配線3001はトランジスタ3020のソースと電気的に接続され、第2の配線3002はトランジスタ3020のドレインと電気的に接続される。また、第3の配線3003はトランジスタ3030のソース、ドレインの一方と電気的に接続され、第4の配線3004はトランジスタ3030のゲートと電気的に接続されている。そして、トランジスタ3020のゲート、およびトランジスタ3030のソース、ドレインの他方は、容量素子3040の電極の一方と電気的に接続され、第5の配線3005は容量素子3040の電極の他方と電気的に接続されている。
図29(A)に示す半導体装置は、トランジスタ3020のゲートの電位が保持可能という特性を有することで、以下に示すように、情報の書き込み、保持、読み出しが可能である。
情報の書き込みおよび保持について説明する。まず、第4の配線3004の電位を、トランジスタ3030が導通状態となる電位にして、トランジスタ3030を導通状態とする。これにより、第3の配線3003の電位が、トランジスタ3020のゲート、および容量素子3040の電極の一方と電気的に接続するノードFGに与えられる。即ち、トランジスタ3020のゲートには、所定の電荷が与えられる(書き込み)。ここでは、異なる二つの電位レベルを与える電荷(以下Lowレベル電荷、Highレベル電荷という。)のどちらかが与えられるものとする。その後、第4の配線3004の電位を、トランジスタ3030が非導通状態となる電位にして、トランジスタ3030を非導通状態とすることにより、ノードFGに電荷が保持される(保持)。
トランジスタ3030のオフ電流が小さいため、ノードFGの電荷は長期間にわたって保持される。
次に情報の読み出しについて説明する。第1の配線3001に所定の電位(定電位)を与えた状態で、第5の配線3005に適切な電位(読み出し電位)を与えると、第2の配線3002は、ノードFGに保持された電荷量に応じた電位をとる。これは、トランジスタ3020をnチャネル型とすると、トランジスタ3020のゲートにHighレベル電荷が与えられている場合の見かけ上のしきい値電圧Vth_Hは、トランジスタ3020のゲートにLowレベル電荷が与えられている場合の見かけ上のしきい値電圧Vth_Lより低くなるためである。ここで、見かけ上のしきい値電圧とは、トランジスタ3020を「導通状態」とするために必要な第5の配線3005の電位をいうものとする。したがって、第5の配線3005の電位をVth_HとVth_Lの間の電位V0とすることにより、ノードFGに与えられた電荷を判別できる。例えば、書き込みにおいて、ノードFGにHighレベル電荷が与えられていた場合には、第5の配線3005の電位がV0(>Vth_H)となれば、トランジスタ3020は「導通状態」となる。一方、ノードFGにLowレベル電荷が与えられていた場合には、第5の配線3005の電位がV0(<Vth_L)となっても、トランジスタ3020は「非導通状態」のままである。このため、第2の配線3002の電位を判別することで、ノードFGに保持されている情報を読み出すことができる。
なお、メモリセルをアレイ状に配置する場合、読み出し時には、所望のメモリセルの情報を読み出さなくてはならない。ほかのメモリセルの情報を読み出さないためには、情報を読み出さないメモリセルにおいては、ノードFGに与えられた電荷によらずトランジスタ3020が「非導通状態」となるような電位、つまり、Vth_Hより低い電位を第5の配線3005に与えることで所望のメモリセルの情報のみを読み出せる構成とすればよい。または、情報を読み出さないメモリセルにおいては、ノードFGに与えられた電荷によらずトランジスタ3020が「導通状態」となるような電位、つまり、Vth_Lより高い電位を第5の配線3005に与えることで所望のメモリセルの情報のみを読み出せる構成とすればよい。
なお、上記においては、2種類の電荷をノードFGに保持する例について示したが、本発明に係る半導体装置はこれに限られるものではない。例えば、半導体装置のノードFGに3種類以上の電荷を保持できる構成としてもよい。このような構成とすることにより、当該半導体装置を多値化して記憶容量の増大を図ることができる。
<記憶装置の構造>
図30は、図29(A)に対応する半導体装置の断面図であり、トランジスタ3020及びトランジスタ3030のチャネル長方向、トランジスタ3030のチャネル幅方向、トランジスタ3020のチャネル幅方向をそれぞれ示している。図30に示す半導体装置は、トランジスタ3020と、トランジスタ3030と、容量素子3040と、を有する。また、トランジスタ3030および容量素子3040は、トランジスタ3020の上方に配置する。なお、上記においては、トランジスタ3020がnチャネル型トランジスタである場合について説明したが、トランジスタ3020がpチャネル型トランジスタであっても構わない。
図30ではトランジスタ3030として、図5(C)(D)に示すトランジスタ20において、さらに図3(A)(B)に示すトランジスタ12のように酸化物半導体上にトップゲート電極として機能する導電体504を設けた構造のトランジスタを用いた例を示している。ただし、本発明の一態様に係る半導体装置は、これに限定されるものではない。先の実施の形態において記載したトランジスタをトランジスタ3030として用いることができる。よって、トランジスタ3030については、適宜上述したトランジスタについての記載を参酌することができる。
図30に示すトランジスタ3020は、半導体基板450を用いたトランジスタである。トランジスタ3020は、半導体基板450中の領域472aと、半導体基板450中の領域472bと、絶縁体462と、導電体454と、を有する。
トランジスタ3020において、領域472aおよび領域472bは、ソース領域およびドレイン領域としての機能を有する。また、絶縁体462は、ゲート絶縁体としての機能を有する。また、導電体454は、ゲート電極としての機能を有する。したがって、導電体454に印加する電位によって、チャネル形成領域の抵抗を制御することができる。即ち、導電体454に印加する電位によって、領域472aと領域472bとの間の導通・非導通を制御することができる。
半導体基板450としては、例えば、シリコン、ゲルマニウムなどの単体半導体基板、または炭化シリコン、シリコンゲルマニウム、ヒ化ガリウム、リン化インジウム、酸化亜鉛、酸化ガリウムなどの半導体基板などを用いればよい。好ましくは、半導体基板450として単結晶シリコン基板を用いる。
半導体基板450は、p型の導電型を付与する不純物を有する半導体基板を用いる。ただし、半導体基板450として、n型の導電型を付与する不純物を有する半導体基板を用いても構わない。その場合、トランジスタ3020となる領域には、p型の導電型を付与する不純物を有するウェルを配置すればよい。または、半導体基板450がi型であっても構わない。
領域472aおよび領域472bは、n型の導電型を付与する不純物を有する領域である。このようにして、トランジスタ3020はnチャネル型トランジスタを構成する。
なお、トランジスタ3020は、領域460などによって隣接するトランジスタと分離される。領域460は、絶縁性を有する領域である。
図30に示す半導体装置は、絶縁体464と、絶縁体466と、絶縁体468と、導電体480aと、導電体480bと、導電体480cと、導電体478aと、導電体478bと、導電体478cと、導電体476aと、導電体476bと、導電体474aと、導電体474bと、導電体474cと、導電体496aと、導電体496bと、導電体496cと、導電体496dと、導電体498aと、導電体498bと、導電体498cと、絶縁体489と、絶縁体490と、絶縁体491と、絶縁体492と、絶縁体493と、絶縁体494と、導電体504と、絶縁体511aと、絶縁体511bと、導電体514と、導電体516aと、導電体516bと、を有する。
絶縁体464は、トランジスタ3020上に配置する。また、絶縁体466は、絶縁体464上に配置する。また、絶縁体468は、絶縁体466上に配置する。また、絶縁体489は、絶縁体468上に配置する。また、トランジスタ3030は、絶縁体489上に配置する。また、絶縁体493は、トランジスタ3030上に配置する。また、絶縁体494は、絶縁体493上に配置する。
絶縁体464は、領域472aに達する開口部と、領域472bに達する開口部と、導電体454に達する開口部と、を有する。また、開口部には、それぞれ導電体480a、導電体480bまたは導電体480cが埋め込まれている。
また、絶縁体466は、導電体480aに達する開口部と、導電体480bに達する開口部と、導電体480cに達する開口部と、を有する。また、開口部には、それぞれ導電体478a、導電体478bまたは導電体478cが埋め込まれている。
また、絶縁体468は、導電体478bに達する開口部と、導電体478cに達する開口部と、を有する。また、開口部には、それぞれ導電体476aまたは導電体476bが埋め込まれている。
また、絶縁体489は、トランジスタ3030のチャネル形成領域と重なる開口部と、導電体476aに達する開口部と、導電体476bに達する開口部と、を有する。また、開口部には、それぞれ導電体474a、導電体474bまたは導電体474cが埋め込まれている。
導電体474aは、トランジスタ3030のボトムゲート電極としての機能を有しても構わない。または、例えば、導電体474aに一定の電位を印加することで、トランジスタ3030のしきい値電圧などの電気特性を制御しても構わない。または、例えば、導電体474aとトランジスタ3030のトップゲート電極として機能する導電体504とを電気的に接続しても構わない。こうすることで、トランジスタ3030のオン電流を大きくすることができる。また、パンチスルー現象を抑制することができるため、トランジスタ3030の飽和領域における電気特性を安定にすることができる。
また、導電体504は、図30に示すようにトランジスタ3030の半導体を側面まで覆うように設けられることが好ましい。このような構成を有することで、トランジスタ3030の半導体を、導電体504及び導電体474aの電界によって電気的に囲むことができる。これにより、チャネルを誘起させるための電界を効果的に半導体に印加することができるため、トランジスタ3030の電流駆動能力が向上し、高いオン電流特性を得ることが可能となる。
また、絶縁体490は、導電体474bに達する開口部と、導電体474cに達する開口部と、を有する。なお、絶縁体490は上記実施の形態の絶縁体106に相当するため、詳細については絶縁体106の記載を参酌することができる。
また、絶縁体491は、導電体474bに達する開口部と、導電体474cに達する開口部と、を有する。なお、絶縁体491は上記実施の形態の絶縁体107に相当するため、詳細については絶縁体107の記載を参酌することができる。
また、絶縁体511aは、トランジスタ3030のゲート絶縁膜として機能する。なお、絶縁体511aは上記実施の形態の絶縁体114、絶縁体116、絶縁体118のいずれか一又は複数に相当するため、詳細については絶縁体114、絶縁体116又は絶縁体118の記載を参酌することができる。
また、絶縁体492は、トランジスタ3030のソース電極またはドレイン電極の一方である導電体516bを通って、導電体474bに達する開口部と、トランジスタ3030のソース電極またはドレイン電極の他方である導電体516aと絶縁体511bを介して重なる導電体514に達する開口部と、トランジスタ3030のゲート電極である導電体504に達する開口部と、トランジスタ3030のソース電極またはドレイン電極の他方である導電体516aを通って、導電体474cに達する開口部と、を有する。
また、絶縁体493は、トランジスタ3030のソース電極またはドレイン電極の一方である導電体516bを通って、導電体474bに達する開口部と、トランジスタ3030のソース電極またはドレイン電極の他方である導電体516aと絶縁体511bを介して重なる導電体514に達する開口部と、トランジスタ3030のゲート電極である導電体504に達する開口部と、トランジスタ3030のソース電極またはドレイン電極の他方である導電体516aを通って、導電体474cに達する開口部と、を有する。また、開口部には、それぞれ導電体496a、導電体496b、導電体496cまたは導電体496dが埋め込まれている。ただし、それぞれの開口部は、さらにトランジスタ3030などの構成要素のいずれかが有する開口部を介する場合がある。
また、絶縁体494は、導電体496aに達する開口部と、導電体496bに達する開口部と、導電体496cに達する開口部と、を有する。また、開口部には、それぞれ導電体498a、導電体498bまたは導電体498cが埋め込まれている。
絶縁体464、絶縁体466、絶縁体468、絶縁体489、絶縁体492、絶縁体493および絶縁体494としては、例えば、ホウ素、炭素、窒素、酸素、フッ素、マグネシウム、アルミニウム、シリコン、リン、塩素、アルゴン、ガリウム、ゲルマニウム、イットリウム、ジルコニウム、ランタン、ネオジム、ハフニウムまたはタンタルを含む絶縁体を、単層で、または積層で用いればよい。
絶縁体464、絶縁体466、絶縁体468、絶縁体489、絶縁体492、絶縁体493または絶縁体494の一以上は、水素などの不純物および酸素をブロックする機能を有する絶縁体を有することが好ましい。トランジスタ3030の近傍に、水素などの不純物および酸素をブロックする機能を有する絶縁体を配置することによって、トランジスタ3030の電気特性を安定にすることができる。
導電体480a、導電体480b、導電体480c、導電体478a、導電体478b、導電体478c、導電体476a、導電体476b、導電体474a、導電体474b、導電体474c、導電体496a、導電体496b、導電体496c、導電体496d、導電体498a、導電体498bおよび導電体498cとしては、例えば、ホウ素、窒素、酸素、フッ素、シリコン、リン、アルミニウム、チタン、クロム、マンガン、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ガリウム、イットリウム、ジルコニウム、モリブデン、ルテニウム、銀、インジウム、スズ、タンタルおよびタングステンを一種以上含む導電体を、単層で、または積層で用いればよい。例えば、合金や化合物であってもよく、アルミニウムを含む導電体、銅およびチタンを含む導電体、銅およびマンガンを含む導電体、インジウム、スズおよび酸素を含む導電体、チタンおよび窒素を含む導電体などを用いてもよい。
トランジスタ3020のソースまたはドレインは、導電体480bと、導電体478bと、導電体476aと、導電体474bと、導電体496cと、を介してトランジスタ3030のソース電極またはドレイン電極の一方である導電体516bと電気的に接続する。また、トランジスタ3020のゲート電極である導電体454は、導電体480cと、導電体478cと、導電体476bと、導電体474cと、導電体496dと、を介してトランジスタ3030のソース電極またはドレイン電極の他方である導電体516aと電気的に接続する。
容量素子3040は、トランジスタ3030のソース電極またはドレイン電極の他方である導電体516aと、導電体514と、絶縁体511bと、を有する。なお、絶縁体511bは、トランジスタ3030の絶縁体511aと同一工程を経て形成できるため、生産性を高めることができて好ましい場合がある。また、導電体514として、トランジスタ3030のゲート電極として機能する導電体504と同一工程を経て形成した層を用いると、生産性を高めることができて好ましい場合がある。
<回路構成2>
また、図29(B)に示す半導体装置は、トランジスタ3020を有さない点で図29(A)に示した半導体装置と異なる。この場合も図29(A)に示した半導体装置と同様の動作により情報の書き込みおよび保持動作が可能である。
図29(B)に示す半導体装置における、情報の読み出しについて説明する。トランジスタ3030が導通状態になると、浮遊状態である第3の配線3003と容量素子3040とが導通し、第3の配線3003と容量素子3040の間で電荷が再分配される。その結果、第3の配線3003の電位が変化する。第3の配線3003の電位の変化量は、容量素子3040の電極の一方の電位(または容量素子3040に蓄積された電荷)によって、異なる値をとる。
例えば、容量素子3040の電極の一方の電位をV、容量素子3040の容量をC、第3の配線3003が有する容量成分をCB、電荷が再分配される前の第3の配線3003の電位をVB0とすると、電荷が再分配された後の第3の配線3003の電位は、(CB×VB0+C×V)/(CB+C)となる。したがって、メモリセルの状態として、容量素子3040の電極の一方の電位がV1とV0(V1>V0)の2つの状態をとるとすると、電位V1を保持している場合の第3の配線3003の電位(=(CB×VB0+C×V1)/(CB+C))は、電位V0を保持している場合の第3の配線3003の電位(=(CB×VB0+C×V0)/(CB+C))よりも高くなることがわかる。
そして、第3の配線3003の電位を所定の電位と比較することで、情報を読み出すことができる。
この場合、メモリセルを駆動させるための駆動回路に上記第1の半導体が適用されたトランジスタを用い、トランジスタ3030として第2の半導体が適用されたトランジスタを駆動回路上に積層して配置する構成とすればよい。
以上に示した半導体装置は、酸化物半導体を用いたオフ電流の小さいトランジスタを適用することで、長期にわたって記憶内容を保持することが可能となる。つまり、リフレッシュ動作が不要となるか、またはリフレッシュ動作の頻度を極めて低くすることが可能となるため、消費電力の低い半導体装置を実現することができる。また、電力の供給がない場合(ただし、電位は固定されていることが好ましい)であっても、長期にわたって記憶内容を保持することが可能である。
また、該半導体装置は、情報の書き込みに高い電圧が不要であるため、素子の劣化が起こりにくい。例えば、従来の不揮発性メモリのように、フローティングゲートへの電子の注入や、フローティングゲートからの電子の引き抜きを行わないため、絶縁体の劣化といった問題が生じない。即ち、本発明の一態様に係る半導体装置は、従来の不揮発性メモリで問題となっている書き換え可能回数に制限はなく、信頼性が飛躍的に向上した半導体装置である。さらに、トランジスタの導通状態、非導通状態によって、情報の書き込みが行われるため、高速な動作が可能となる。
以上、本実施の形態に示す構成、方法などは、他の実施の形態に示す構成、方法などと適宜組み合わせて用いることができる。
(実施の形態6)
本実施の形態では、本発明の一態様の半導体装置に用いることのできる画素回路の構成について、図31(A)を用いて以下説明を行う。
<画素回路の構成>
図31(A)は、画素回路の構成を説明する図である。図31(A)に示す回路は、光電変換素子1360、トランジスタ1351、トランジスタ1352、トランジスタ1353、及びトランジスタ1354を有する。
光電変換素子1360のアノードは配線1316に接続され、カソードはトランジスタ1351のソース電極またはドレイン電極の一方と接続される。トランジスタ1351のソース電極またはドレイン電極の他方は電荷蓄積部(FD)と接続され、ゲート電極は配線1312(TX)と接続される。トランジスタ1352のソース電極またはドレイン電極の一方は配線1314(GND)と接続され、ソース電極またはドレイン電極の他方はトランジスタ1354のソース電極またはドレイン電極の一方と接続され、ゲート電極は電荷蓄積部(FD)と接続される。トランジスタ1353のソース電極またはドレイン電極の一方は電荷蓄積部(FD)と接続され、ソース電極またはドレイン電極の他方は配線1317と接続され、ゲート電極は配線1311(RS)と接続される。トランジスタ1354のソース電極またはドレイン電極の他方は配線1315(OUT)と接続され、ゲート電極は配線1313(SE)に接続される。なお、上記接続は全て電気的な接続とする。
なお、配線1314には、GND、VSS、VDDなどの電位が供給されていてもよい。ここで、電位や電圧は相対的なものである。そのため、GNDの電位の大きさは、必ずしも、0ボルトであるとは限らないものとする。
光電変換素子1360は受光素子であり、画素回路に入射した光に応じた電流を生成する機能を有する。トランジスタ1353は、光電変換素子1360による電荷蓄積部(FD)への電荷蓄積を制御する機能を有する。トランジスタ1354は、電荷蓄積部(FD)の電位に応じた信号を出力する機能を有する。トランジスタ1352は、電荷蓄積部(FD)の電位のリセットする機能を有する。トランジスタ1352は、読み出し時に画素回路の選択を制御する機能を有する。
なお、電荷蓄積部(FD)は、電荷保持ノードであり、光電変換素子1360が受ける光の量に応じて変化する電荷を保持する。
なお、トランジスタ1352とトランジスタ1354とは、配線1315と配線1314との間で、直列接続されていればよい。したがって、配線1314、トランジスタ1352、トランジスタ1354、配線1315の順で並んでもよいし、配線1314、トランジスタ1354、トランジスタ1352、配線1315の順で並んでもよい。
配線1311(RS)は、トランジスタ1353を制御するための信号線としての機能を有する。配線1312(TX)は、トランジスタ1351を制御するための信号線としての機能を有する。配線1313(SE)は、トランジスタ1354を制御するための信号線としての機能を有する。配線1314(GND)は、基準電位(例えばGND)を設定する信号線としての機能を有する。配線1315(OUT)は、トランジスタ1352から出力される信号を読み出すための信号線としての機能を有する。配線1316は電荷蓄積部(FD)から光電変換素子1360を介して電荷を出力するための信号線としての機能を有し、図31(A)の回路においては低電位線である。また、配線1317は電荷蓄積部(FD)の電位をリセットするための信号線としての機能を有し、図31(A)の回路においては高電位線である。
次に、図31(A)に示す各素子の構成について説明する。
<光電変換素子>
光電変換素子1360には、セレンまたはセレンを含む化合物(以下、セレン系材料とする)を有する素子、あるいはシリコンを有する素子(例えば、pin型の接合が形成された素子)を用いることができる。また、酸化物半導体を用いたトランジスタと、セレン系材料を用いた光電変換素子とを組み合わせることで信頼性を高くすることができるため好ましい。
<トランジスタ>
トランジスタ1351、トランジスタ1352、トランジスタ1353、およびトランジスタ1354は、非晶質シリコン、微結晶シリコン、多結晶シリコン、単結晶シリコンなどのシリコン半導体を用いて形成することも可能であるが、酸化物半導体を用いたトランジスタで形成することが好ましい。酸化物半導体でチャネル形成領域を形成したトランジスタは、極めてオフ電流が低い特性を示す特徴を有している。また、酸化物半導体でチャネル形成領域を形成したトランジスタとしては、例えば、先の実施の形態に示すトランジスタを用いることができる。
特に、電荷蓄積部(FD)と接続されているトランジスタ1351、及びトランジスタ1353のリーク電流が大きいと、電荷蓄積部(FD)に蓄積された電荷が保持できる時間が十分でなくなる。したがって、少なくとも当該二つのトランジスタに酸化物半導体を用いたトランジスタを使用することで、電荷蓄積部(FD)からの不要な電荷の流出を防止することができる。
図32に図31(A)に示す画素回路の構成に対応する半導体装置の一例の断面図を示す。なお、図32に示す断面図は、図31(A)に示す各素子の接続関係が同一の断面で示される例について図示している。図31(A)に示す画素回路の構成は図32に示す半導体装置の構造に限定されるものではない。
図32に示す半導体装置は、シリコン基板300に設けられたシリコンを用いたトランジスタ1352及びトランジスタ1354、トランジスタ1352、1354の上に積層して配置された酸化物半導体を用いたトランジスタ1351及びトランジスタ1353、ならびにシリコン基板300に設けられた光電変換素子1360を含む。光電変換素子1360はシリコン基板300に設けられたアノード361とカソード362を有する。各トランジスタおよび光電変換素子1360は、種々のプラグ370、配線371乃至373と電気的な接続を有する。これらは、図31(A)に示す回路構成のように電気的に接続されており、配線1311乃至1317と電気的に接続される。また、光電変換素子1360のアノード361は、低抵抗領域363を介してプラグ370と電気的に接続を有する。
また半導体装置は、シリコン基板300に設けられたトランジスタ1352、1354及び光電変換素子1360を有する層310と、層310と接して設けられ、配線371を有する層320と、層320と接して設けられ、トランジスタ1351およびトランジスタ1353を有する層330と、層330と接して設けられ、配線372および配線373を有する層340を備えている。
なお図32の断面図の一例では、シリコン基板300において、トランジスタ1352、1354が形成された面とは逆側の面に光電変換素子1360の受光面を有する構成とする。このような構成とすることで、各種トランジスタや配線などの影響を受けずに光路を確保することができる。そのため、高開口率の画素を形成することができる。なお、光電変換素子1360の受光面をトランジスタ1352、1354が形成された面と同じとすることもできる。
なお、シリコン基板300は、SOI基板であってもよい。また、シリコン基板300に替えて、ゲルマニウム、シリコンゲルマニウム、炭化シリコン、ヒ化ガリウム、ヒ化アルミニウムガリウム、リン化インジウム、窒化ガリウムまたは有機半導体を有する基板を用いることもできる。
ここで、トランジスタ1352、1354および光電変換素子1360を有する層310と、トランジスタ1351、1353を有する層330と、の間には絶縁体380が設けられる。ただし、絶縁体380の位置は限定されない。
トランジスタ1352、1354のチャネル形成領域近傍に設けられる絶縁体中の水素はシリコンのダングリングボンドを終端し、トランジスタ1352、1354の信頼性を向上させる効果がある。一方、トランジスタ1351、1353などの近傍に設けられる絶縁体中の水素は、酸化物半導体中にキャリアを生成する要因の一つとなる。そのため、トランジスタ1351、1353などの信頼性を低下させる要因となる場合がある。したがって、シリコン系半導体を用いたトランジスタの上層に酸化物半導体を用いたトランジスタを積層して設ける場合、これらの間に水素をブロックする機能を有する絶縁体380を設けることが好ましい。絶縁体380より下層に水素を閉じ込めることで、トランジスタ1352、1354の信頼性が向上させることができる。さらに、絶縁体380より下層から、絶縁体380より上層に水素が拡散することを抑制できるため、トランジスタ1351、1353などの信頼性を向上させることができる。
絶縁体380としては、例えば、酸素または水素をブロックする機能を有する絶縁体を用いる。
また、図32の断面図において、層310に設ける光電変換素子1360と、層330に設けるトランジスタとを重なるように形成することができる。そうすると、画素の集積度を高めることができる。すなわち、半導体装置の解像度を高めることができる。
また、図32ではトランジスタ1352、1354をシリコン基板300に形成する構成としたが、本実施の形態に示す半導体装置は、これにかぎられるものではない。例えば、トランジスタ1352、1354を酸化物半導体でチャネル形成領域を形成する構成としてもよい。このような構成とすることにより、トランジスタ1352、1354において、リーク電流を低減することができるので、配線1314または配線1315に不必要な電荷の出力が起こることを防ぐことができる。
<回路動作のタイミングチャート>
次に、図31(A)に示す回路の回路動作の一例について図31(B)に示すタイミングチャートを用いて説明する。
図31(B)では簡易に説明するため、各配線の電位は、二値変化する信号として与える。ただし、各電位はアナログ信号であるため、実際には状況に応じて二値に限らず種々の値を取り得る。なお、図31(B)に示す信号1401は配線1311(RS)の電位、信号1402は配線1312(TX)の電位、信号1403は配線1313(SE)の電位、信号1404は電荷蓄積部(FD)の電位、信号1405は配線1315(OUT)の電位に相当する。なお、配線1316の電位は常時”Low”、配線1317の電位は常時”High”とする。
時刻Aにおいて、配線1311の電位(信号1401)を”High”、配線1312の電位(信号1402)を”High”とすると、電荷蓄積部(FD)の電位(信号1404)は配線1317の電位(”High”)に初期化され、リセット動作が開始される。なお、配線1315の電位(信号1405)は、”High”にプリチャージしておく。
時刻Bにおいて、配線1311の電位(信号1401)を”Low”とするとリセット動作が終了し、蓄積動作が開始される。ここで、光電変換素子1360には逆方向バイアスが印加されるため、逆方向電流により、配電荷蓄積部(FD)(信号1404)が低下し始める。光電変換素子1360は、光が照射されると逆方向電流が増大するので、照射される光の量に応じて電荷蓄積部(FD)の電位(信号1404)の低下速度は変化する。すなわち、光電変換素子1360に照射する光の量に応じて、トランジスタ1354のソースとドレイン間のチャネル抵抗が変化する。
時刻Cにおいて、配線1312の電位(信号1402)を”Low”とすると蓄積動作が終了し、電荷蓄積部(FD)の電位(信号1404)は一定となる。ここで、当該電位は、蓄積動作中に光電変換素子1360が生成した電荷量により決まる。すなわち、光電変換素子1360に照射されていた光の量に応じて変化する。また、トランジスタ1351およびトランジスタ1353は、酸化膜半導体でチャネル形成領域を形成したオフ電流が極めて低いトランジスタで構成されているため、後の選択動作(読み出し動作)を行うまで、電荷蓄積部(FD)の電位を一定に保つことが可能である。
なお、配線1312の電位(信号1402)を”Low”とする際に、配線1312と電荷蓄積部(FD)との間における寄生容量により、電荷蓄積部(FD)の電位に変化が生じることがある。当該電位の変化量が大きい場合は、蓄積動作中に光電変換素子1360が生成した電荷量を正確に取得できないことになる。当該電位の変化量を低減するには、トランジスタ1351のゲート電極−ソース電極(もしくはゲート電極−ドレイン電極)間容量を低減する、トランジスタ1352のゲート容量を増大する、電荷蓄積部(FD)に保持容量を設ける、などの対策が有効である。なお、本実施の形態では、これらの対策により当該電位の変化を無視できるものとしている。
時刻Dに、配線1313の電位(信号1403)を”High”にすると、トランジスタ1354が導通して選択動作が開始され、配線1314と配線1315が、トランジスタ1352とトランジスタ1354とを介して導通する。そして、配線1315の電位(信号1405)は、低下していく。なお、配線1315のプリチャージは、時刻D以前に終了しておけばよい。ここで、配線1315の電位(信号1405)が低下する速さは、トランジスタ1352のソース電極とドレイン電極間の電流に依存する。すなわち、蓄積動作中に光電変換素子1360に照射されている光の量に応じて変化する。
時刻Eにおいて、配線1313の電位(信号1403)を”Low”にすると、トランジスタ1354が遮断されて選択動作は終了し、配線1315の電位(信号1405)は、一定値となる。ここで、一定値となる値は、光電変換素子1360に照射されていた光の量に応じて変化する。したがって、配線1315の電位を取得することで、蓄積動作中に光電変換素子1360に照射されていた光の量を知ることができる。
より具体的には、光電変換素子1360に照射されている光が強いと、電荷蓄積部(FD)の電位、すなわちトランジスタ1352のゲート電圧は低下する。そのため、トランジスタ1352のソース電極−ドレイン電極間に流れる電流は小さくなり、配線1315の電位(信号1405)はゆっくりと低下する。したがって、配線1315からは比較的高い電位を読み出すことができる。
逆に、光電変換素子1360に照射されている光が弱いと、電荷蓄積部(FD)の電位、すなわち、トランジスタ1352のゲート電圧は高くなる。そのため、トランジスタ1352のソース電極−ドレイン電極間に流れる電流は大きくなり、配線1315の電位(信号1405)は速く低下する。したがって、配線1315からは比較的低い電位を読み出すことができる。
本実施の形態は、他の実施の形態に記載した構成と適宜組み合わせて実施することが可能である。
(実施の形態7)
本実施の形態では、本発明の一態様の半導体装置を有する表示モジュール及び電子機器について、図33及び図34を用いて説明を行う。
<表示モジュールに関する説明>
図33に示す表示モジュール8000は、上部カバー8001と下部カバー8002との間に、FPC8003に接続されたタッチパネル8004、FPC8005に接続された表示パネル8006、バックライト8007、フレーム8009、プリント基板8010、バッテリ8011を有する。
本発明の一態様の半導体装置は、例えば、表示パネル8006に用いることができる。
上部カバー8001及び下部カバー8002は、タッチパネル8004及び表示パネル8006のサイズに合わせて、形状や寸法を適宜変更することができる。
タッチパネル8004は、抵抗膜方式または静電容量方式のタッチパネルを表示パネル8006に重畳して用いることができる。また、表示パネル8006の対向基板(封止基板)に、タッチパネル機能を持たせるようにすることも可能である。また、表示パネル8006の各画素内に光センサを設け、光学式のタッチパネルとすることも可能である。
バックライト8007は、光源8008を有する。なお、図33において、バックライト8007上に光源8008を配置する構成について例示したが、これに限定さない。例えば、バックライト8007の端部に光源8008を配置し、さらに光拡散板を用いる構成としてもよい。なお、有機EL素子等の自発光型の発光素子を用いる場合、または反射型パネル等の場合においては、バックライト8007を設けない構成としてもよい。
フレーム8009は、表示パネル8006の保護機能の他、プリント基板8010の動作により発生する電磁波を遮断するための電磁シールドとしての機能を有する。またフレーム8009は、放熱板としての機能を有していてもよい。
プリント基板8010は、電源回路、ビデオ信号及びクロック信号を出力するための信号処理回路を有する。電源回路に電力を供給する電源としては、外部の商用電源であっても良いし、別途設けたバッテリ8011による電源であってもよい。バッテリ8011は、商用電源を用いる場合には、省略可能である。
また、表示モジュール8000は、偏光板、位相差板、プリズムシートなどの部材を追加して設けてもよい。
<電子機器に関する説明>
図34(A)乃至図34(G)は、電子機器を示す図である。これらの電子機器は、筐体9000、表示部9001、スピーカ9003、操作キー9005(電源スイッチ、又は操作スイッチを含む)、接続端子9006、センサ9007(力、変位、位置、速度、加速度、角速度、回転数、距離、光、液、磁気、温度、化学物質、音声、時間、硬度、電場、電流、電圧、電力、放射線、流量、湿度、傾度、振動、におい又は赤外線を測定する機能を含むもの)、マイクロフォン9008、等を有することができる。
図34(A)乃至図34(G)に示す電子機器は、様々な機能を有することができる。例えば、様々な情報(静止画、動画、テキスト画像など)を表示部に表示する機能、タッチパネル機能、カレンダー、日付または時刻などを表示する機能、様々なソフトウェア(プログラム)によって処理を制御する機能、無線通信機能、無線通信機能を用いて様々なコンピュータネットワークに接続する機能、無線通信機能を用いて様々なデータの送信または受信を行う機能、記録媒体に記録されているプログラムまたはデータを読み出して表示部に表示する機能、等を有することができる。なお、図34(A)乃至図34(G)に示す電子機器が有することのできる機能はこれらに限定されず、様々な機能を有することができる。また、図34(A)乃至図34(G)には図示していないが、電子機器には、複数の表示部を有する構成としてもよい。また、該電子機器にカメラ等を設け、静止画を撮影する機能、動画を撮影する機能、撮影した画像を記録媒体(外部またはカメラに内蔵)に保存する機能、撮影した画像を表示部に表示する機能、等を有していてもよい。
図34(A)乃至図34(G)に示す電子機器の詳細について、以下説明を行う。
図34(A)は、携帯情報端末9100を示す斜視図である。携帯情報端末9100が有する表示部9001は、可撓性を有する。そのため、湾曲した筐体9000の湾曲面に沿って表示部9001を組み込むことが可能である。また、表示部9001はタッチセンサを備え、指やスタイラスなどで画面に触れることで操作することができる。例えば、表示部9001に表示されたアイコンに触れることで、アプリケーションを起動することができる。
図34(B)は、携帯情報端末9101を示す斜視図である。携帯情報端末9101は、例えば電話機、手帳又は情報閲覧装置等から選ばれた一つ又は複数の機能を有する。具体的には、スマートフォンとして用いることができる。なお、携帯情報端末9101は、スピーカ9003、接続端子9006、センサ9007等を省略して図示しているが、図34(A)に示す携帯情報端末9100と同様の位置に設けることができる。また、携帯情報端末9101は、文字や画像情報をその複数の面に表示することができる。例えば、3つの操作ボタン9050(操作アイコンまたは単にアイコンともいう)を表示部9001の一の面に表示することができる。また、破線の矩形で示す情報9051を表示部9001の他の面に表示することができる。なお、情報9051の一例としては、電子メールやSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)や電話などの着信を知らせる表示、電子メールやSNSなどの題名、電子メールやSNSなどの送信者名、日時、時刻、バッテリの残量、アンテナ受信の強度などがある。または、情報9051が表示されている位置に、情報9051の代わりに、操作ボタン9050などを表示してもよい。
図34(C)は、携帯情報端末9102を示す斜視図である。携帯情報端末9102は、表示部9001の3面以上に情報を表示する機能を有する。ここでは、情報9052、情報9053、情報9054がそれぞれ異なる面に表示されている例を示す。例えば、携帯情報端末9102の使用者は、洋服の胸ポケットに携帯情報端末9102を収納した状態で、その表示(ここでは情報9053)を確認することができる。具体的には、着信した電話の発信者の電話番号又は氏名等を、携帯情報端末9102の上方から観察できる位置に表示する。使用者は、携帯情報端末9102をポケットから取り出すことなく、表示を確認し、電話を受けるか否かを判断できる。
図34(D)は、腕時計型の携帯情報端末9200を示す斜視図である。携帯情報端末9200は、移動電話、電子メール、文章閲覧及び作成、音楽再生、インターネット通信、コンピュータゲームなどの種々のアプリケーションを実行することができる。また、表示部9001はその表示面が湾曲して設けられ、湾曲した表示面に沿って表示を行うことができる。また、携帯情報端末9200は、通信規格された近距離無線通信を実行することが可能である。例えば無線通信可能なヘッドセットと相互通信することによって、ハンズフリーで通話することもできる。また、携帯情報端末9200は、接続端子9006を有し、他の情報端末とコネクターを介して直接データのやりとりを行うことができる。また接続端子9006を介して充電を行うこともできる。なお、充電動作は接続端子9006を介さずに無線給電により行ってもよい。
図34(E)(F)(G)は、折り畳み可能な携帯情報端末9201を示す斜視図である。また、図34(E)が携帯情報端末9201を展開した状態の斜視図であり、図34(F)が携帯情報端末9201を展開した状態または折り畳んだ状態の一方から他方に変化する途中の状態の斜視図であり、図34(G)が携帯情報端末9201を折り畳んだ状態の斜視図である。携帯情報端末9201は、折り畳んだ状態では可搬性に優れ、展開した状態では、継ぎ目のない広い表示領域により表示の一覧性に優れる。携帯情報端末9201が有する表示部9001は、ヒンジ9055によって連結された3つの筐体9000に支持されている。ヒンジ9055を介して2つの筐体9000間を屈曲させることにより、携帯情報端末9201を展開した状態から折りたたんだ状態に可逆的に変形させることができる。例えば、携帯情報端末9201は、曲率半径1mm以上150mm以下で曲げることができる。
本実施の形態において述べた電子機器は、何らかの情報を表示するための表示部を有する。ただし、本発明の一態様の半導体装置は、表示部を有さない電子機器にも適用することができる。また、本実施の形態において述べた電子機器の表示部においては、可撓性を有し、湾曲した表示面に沿って表示を行うことができる構成、または折り畳み可能な表示部の構成について例示したが、これに限定されず、可撓性を有さず、平面部に表示を行う構成としてもよい。
本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態に示す構成と適宜組み合わせて用いることができる。
(実施の形態8)
本実施の形態では、本発明の一態様の表示モジュールの作製に用いることができる成膜装置について、図35を用いて説明する。
図35は本発明の一態様の表示モジュールの作製に用いることができる成膜装置3100を説明する図である。なお、成膜装置3100は、バッチ式のALD装置の一例である。
<成膜装置の構成例>
本実施の形態で説明する成膜装置3100は、成膜室3180と、成膜室3180に接続される制御部3182と、を有する(図35参照)。
制御部3182は、制御信号を供給する制御装置(図示せず)ならびに制御信号を供給される流量制御器3182a、流量制御器3182b、及び流量制御器3182cを有する。例えば、高速バルブを流量制御器に用いることができる。具体的にはALD用バルブ等を用いることにより、精密に流量を制御することができる。また、流量制御器、及び配管の温度を制御する加熱機構3182hを有する。
流量制御器3182aは、制御信号ならびに第1の原料、及び不活性ガスを供給され、制御信号に基づいて第1の原料または不活性ガスを供給する機能を有する。
流量制御器3182bは、制御信号ならびに第2の原料、及び不活性ガスを供給され、制御信号に基づいて第2の原料または不活性ガスを供給する機能を有する。
流量制御器3182cは、制御信号を供給され、制御信号に基づいて排気装置3185に接続する機能を有する。
<原料供給部>
なお、原料供給部3181aは、第1の原料を供給する機能を有し、流量制御器3182aに接続されている。
原料供給部3181bは、第2の原料を供給する機能を有し、流量制御器3182bに接続されている。
気化器または加熱手段等を原料供給部に用いることができる。これにより、固体の原料や液体の原料から気体の原料を生成することができる。
なお、原料供給部は2つに限定されず、3つ以上の原料供給部を有することができる。
<原料>
さまざまな物質を第1の原料に用いることができる。例えば、有機金属化合物、金属アルコキシド等を第1の原料に用いることができる。第1の原料と反応をするさまざまな物質を第2の原料に用いることができる。例えば、酸化反応に寄与する物質、還元反応に寄与する物質、付加反応に寄与する物質、分解反応に寄与する物質または加水分解反応に寄与する物質などを第2の原料に用いることができる。
また、ラジカル等を用いることができる。例えば、原料をプラズマ源に供給し、プラズマ等を用いることができる。具体的には酸素ラジカル、窒素ラジカル等を用いることができる。
ところで、第1の原料と組み合わせて用いる第2の原料は、室温に近い温度で反応する原料が好ましい。例えば、反応温度が室温以上200℃以下好ましくは50℃以上150℃以下である原料が好ましい。
<排気装置>
排気装置3185は、排気する機能を有し、流量制御器3182cに接続されている。なお、排出される原料を捕捉するトラップを排出口3184と流量制御器3182cの間に有してもよい。ところで、除害設備を用いて排気されたガス等を除害する。
<制御部>
制御部3182は、流量制御器を制御する制御信号または加熱機構を制御する制御信号等を供給する。例えば、第1のステップにおいて、第1の原料を加工部材の表面に供給する。そして、第2のステップにおいて、第1の原料と反応する第2の原料を供給する。これにより第1の原料は第2の原料と反応し、反応生成物が加工部材3110の表面に堆積することができる。
なお、加工部材3110の表面に堆積させる反応生成物の量は、第1のステップと第2のステップを繰り返すことにより、制御することができる。
なお、加工部材3110に供給される第1の原料の量は、加工部材3110の表面が吸着することができる量により制限される。例えば、第1の原料の単分子層が加工部材3110の表面に形成される条件を選択し、形成された第1の原料の単分子層に第2の原料を反応させることにより、極めて均一な第1の原料と第2の原料の反応生成物を含む層を形成することができる。
その結果、入り組んだ構造を表面に有する加工部材3110の表面に、さまざまな材料を成膜することができる。例えば3nm以上200nm以下の厚さを有する膜を、加工部材3110に形成することができる。
例えば、加工部材3110の表面にピンホールと呼ばれる小さい穴等が形成されている場合、ピンホールの内部に回り込んで成膜材料を成膜し、ピンホールを埋めることができる。
また、余剰の第1の原料または第2の原料を、排気装置3185を用いて成膜室3180から排出する。例えば、アルゴンまたは窒素などの不活性ガスを導入しながら排気してもよい。
<成膜室>
成膜室3180は、第1の原料、第2の原料および不活性ガスを供給される導入口3183と、第1の原料、第2の原料および不活性ガスを排出する排出口3184とを有する。
成膜室3180は、単数または複数の加工部材3110を支持する機能を有する支持部3186と、加工部材を加熱する機能を有する加熱機構3187と、加工部材3110の搬入および搬出をする領域を開閉する機能を有する扉3188と、を有する。
例えば、抵抗加熱器または赤外線ランプ等を加熱機構3187に用いることができる。また、加熱機構3187は、例えば80℃以上、100℃以上または150℃以上に加熱する機能を有する。ところで、加熱機構3187は、例えば室温以上200℃以下好ましくは50℃以上150℃以下の温度になるように加工部材3110を加熱する。
また、成膜室3180は、圧力調整器および圧力検知器を有していてもよい。
<支持部>
支持部3186は、単数または複数の加工部材3110を支持する。これにより、一回の処理ごとに単数または複数の加工部材3110に例えば絶縁膜を形成できる。
<膜の一例>
本実施の形態で説明する成膜装置3100を用いて、作製することができる膜の一例について説明する。
例えば、酸化物、窒化物、フッ化物、硫化物、三元化合物、金属またはポリマーを含む膜を形成することができる。
例えば、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、アルミニウムシリケート、ハフニウムシリケート、酸化ランタン、酸化珪素、チタン酸ストロンチウム、酸化タンタル、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ニオブ、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化イットリウム、酸化セリウム、酸化スカンジウム、酸化エルビウム、酸化バナジウムまたは酸化インジウム等を含む材料を成膜することができる。
例えば、窒化アルミニウム、窒化ハフニウム、窒化珪素、窒化タンタル、窒化チタン、窒化ニオブ、窒化モリブデン、窒化ジルコニウムまたは窒化ガリウム等を含む材料を成膜することができる。
例えば、銅、白金、ルテニウム、タングステン、イリジウム、パラジウム、鉄、コバルトまたはニッケル等を含む材料を成膜することができる。
例えば、硫化亜鉛、硫化ストロンチウム、硫化カルシウム、硫化鉛、フッ化カルシウム、フッ化ストロンチウムまたはフッ化亜鉛等を含む材料を成膜することができる。
例えば、チタンおよびアルミニウムを含む窒化物、チタンおよびアルミニウムを含む酸化物、アルミニウムおよび亜鉛を含む酸化物、マンガンおよび亜鉛を含む硫化物、セリウムおよびストロンチウムを含む硫化物、エルビウムおよびアルミニウムを含む酸化物、イットリウムおよびジルコニウムを含む酸化物等を含む材料を成膜することができる。
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。