以下、図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。本実施形態においては、原稿を色成分ごとに読み取って紙面上に画像形成出力する複写機能を含む複合機(MFP;Multi Function Peripheral)としての画像処理装置を例として説明する。
図1は、本実施形態に係る画像処理装置1のハードウェア構成を例示するブロック図である。図1に示すように、本実施形態に係る画像処理装置1は、一般的なサーバやPC(Personal Computer)等と同様の構成を含む。
すなわち、本実施形態に係る画像処理装置1は、CPU(Central Processing Unit)10、RAM(Random Access Memory)20、ROM(Read Only Memory)30、HDD(Hard Disk Drive)40及びI/F50がバス80を介して接続された構成である。また、I/F50にはLCD(Liquid Crystal Display)60及び操作部70が接続されている。
この他、画像処理装置1の場合、画像形成出力やスキャンを実行する専用デバイスが含まれる。例えば、専用デバイスには、画像形成出力対象の用紙を搬送する搬送機構や、紙面上に画像形成出力を実行するプロッタ装置、紙面上に出力された画像を読み取る読取装置等が含まれる。その他、専用デバイスには、高速に画像処理を行うための専用の演算装置が含まれてもよい。このような演算装置は、例えばASIC(Application Specific Integrated Circuit)として構成される。
CPU10は演算手段であり、画像処理装置1全体の動作を制御する。RAM20は、情報の高速な読み書きが可能な揮発性の記憶媒体であり、CPU10が情報を処理する際の作業領域として用いられる。ROM30は、読み出し専用の不揮発性記憶媒体であり、ファームウェア等のプログラムが格納されている。HDD40は、情報の読み書きが可能な不揮発性の記憶媒体であり、OS(Operating System)や各種の制御プログラム、アプリケーション・プログラム等が格納される。なお、HDDの他、SSD(Solid State Drive)等の半導体記憶装置を用いても良い。
I/F50は、バス80と各種のハードウェアやネットワーク等を接続し制御する。LCD60は、ユーザが画像処理装置1の状態を確認するための視覚的ユーザインタフェースである。操作部70は、キーボード、マウス、各種のハードボタン、タッチパネル等、ユーザが画像処理装置1に情報を入力するためのユーザインタフェースである。
このようなハードウェア構成において、ROM30やHDD40若しくは図示しない光学ディスク等の記憶媒体に格納されたプログラムがRAM20に読み出され、CPU10がそれらのプログラムに従って演算を行うことによりソフトウェア制御部が構成される。このようにして構成されたソフトウェア制御部と、ハードウェアとの組み合わせによって、本実施形態に係る画像処理装置1の機能を実現する機能ブロックが構成される。
次に、本実施形態に係る画像処理装置1の機能について説明する。図2は、本実施形態に係る画像処理装置1の機能構成を例示するブロック図である。図2に示すように、本実施形態に係る画像処理装置1は、コントローラ100、ADF(Auto Documennt Feeder:原稿自動搬送装置)110、スキャナユニット111、排紙トレイ112、ディスプレイパネル113、給紙テーブル114、プリントエンジン115、排紙トレイ116、ネットワークI/F117を有する。
また、コントローラ100は、主制御部101、エンジン制御部102、入出力制御部103、画像処理部104、操作表示制御部105及びACS判定部(Automatic Color Selector:自動カラー判定)を有する。図2に示すように、本実施形態に係る画像処理装置1は、スキャナユニット111、プリントエンジン115を有する複合機として構成されている。なお、図2においては、電気的接続を実線の矢印で示しており、用紙の流れを破線の矢印で示している。
ディスプレイパネル113は、画像処理装置1の状態を視覚的に表示する出力インタフェースであると共に、タッチパネルとしてユーザが画像処理装置1を直接操作し若しくは画像処理装置1に対して情報を入力する際の入力インタフェース(操作部)でもある。ネットワークI/F117は、画像処理装置1がネットワークを介して他の機器と通信するためのインタフェースであり、Ethernet(登録商標)、USB、Bluetooth(登録商標)、Wi−Fi(Wireless Fidelity)等のインタフェースが用いられる。
コントローラ100は、ソフトウェアとハードウェアとの組み合わせによって構成される。具体的には、ROM30やHDD40等の不揮発性記憶媒体に格納されたファームウェア等の制御プログラムが、RAM20にロードされ、それらのプログラムに従ってCPU10が演算を行うことにより構成されるソフトウェア制御部と集積回路などのハードウェアとによってコントローラ100が構成される。コントローラ100は、画像処理装置1全体を制御する制御部として機能する。
主制御部101は、コントローラ100に含まれる各部を制御する役割を担い、コントローラ100の各部に命令を与える。エンジン制御部102は、プリントエンジン115やスキャナユニット111等を制御若しくは駆動する駆動手段としての役割を担う。入出力制御部103は、ネットワークI/F117を介して画像処理装置1に接続された情報処理装置等から入力される信号や命令を主制御部101に入力する。また、主制御部101は、入出力制御部103を制御し、ネットワークI/F117を介して他の装置にアクセスする。
画像処理部104は、主制御部101の制御に従い、印刷出力すべき画像情報に基づいて描画情報を生成する。この描画情報とは、画像形成出力部であるプリントエンジン115が画像形成動作において形成すべき画像を描画するための情報である。また、画像処理部104は、スキャナユニット111から入力される撮像データを処理し、画像データを生成する。この画像データとは、スキャナ動作の結果物として画像処理装置1に格納され若しくはネットワークI/F117を介して他の機器に送信される情報である。操作表示制御部105は、ディスプレイパネル113に情報表示を行い若しくはディスプレイパネル113を介して入力された情報を主制御部101に通知する。
画像処理装置1がプリンタとして動作する場合は、まず、入出力制御部103が、ネットワークI/F117を介して印刷ジョブを受信する。入出力制御部103は、受信した印刷ジョブを主制御部101に転送する。主制御部101は、印刷ジョブを受信すると、画像処理部104を制御して印刷ジョブに含まれる文書情報若しくは画像情報に基づいて描画情報を生成する。
画像処理部104によって描画情報が生成されると、エンジン制御部102は、生成された描画情報に基づき、給紙テーブル114から搬送される記録媒体である用紙に対して画像形成を実行する。なお、記録媒体としては、上述した用紙の他、フィルム、プラスチック等のシート状の材料で、画像形成出力の対象物となるものであれば採用可能である。プリントエンジン115の具体的態様としては、インクジェット方式による画像形成機構や電子写真方式による画像形成機構等を用いることが可能である。プリントエンジン115によって画像形成が施された文書は排紙トレイ116に排紙される。
画像処理装置1がスキャナ、すなわち画像読取装置として動作する場合は、ユーザによるディスプレイパネル113の操作若しくはネットワークI/F117を介して外部の機器から入力されるスキャン実行指示に応じて、操作表示制御部105若しくは入出力制御部103が主制御部101にスキャン実行信号を転送する。主制御部101は、受信したスキャン実行信号に基づき、エンジン制御部102を制御する。
エンジン制御部102は、ADF110を駆動し、ADF110にセットされた撮像対象原稿をスキャナユニット111に搬送する。また、エンジン制御部102は、スキャナユニット111を駆動し、ADF110から搬送される原稿を撮像する。また、ADF110に原稿がセットされておらず、スキャナユニット111に直接原稿がセットされた場合、スキャナユニット111は、エンジン制御部102の制御に従い、セットされた原稿を撮像する。即ち、スキャナユニット111が撮像部として動作する。
撮像動作においては、スキャナユニット111に含まれるCCD等の撮像素子が原稿を光学的に走査し、副走査方向に順次移動しながら1ライン単位のRGB(Red、Green、Blue)各色成分を同時に読み取る。このようにして読み取られた光学情報に基づいた撮像情報が生成される。また、エンジン制御部102は、スキャナユニット111が生成した撮像情報を画像処理部104及びACS判定部140に転送する。
画像処理部104は、主制御部101の制御に従い、エンジン制御部102から受信した撮像情報に基づき画像情報を生成する。画像処理部104が生成した画像情報はHDD40等の画像処理装置1に装着された記憶媒体に保存される。画像処理部104によって生成された画像情報は、ユーザの指示に応じてそのままHDD40等に格納され若しくはネットワークI/F117を介して、入出力制御部103により外部の装置に送信される。
また、画像処理装置1が複写機として動作する場合は、エンジン制御部102がスキャナユニット111から受信した撮像情報若しくは画像処理部104が生成した画像情報に基づき、画像処理部104が描画情報を生成する。その描画情報に基づいてプリンタ動作の場合と同様に、エンジン制御部102がプリントエンジン115を駆動する。
また、画像処理装置1が複写機として動作する場合、ACS判定部140は、主制御部101の制御に従い、エンジン制御部102から受信した撮像情報に基づき、撮像された原稿がカラーか白黒かを判定し、判定結果をエンジン制御部102に対して出力する。エンジン制御部102は、ACS判定部140から出力された判定結果に応じてプリントエンジン115の動作を駆動する。
また、ACS判定部140は、原稿がカラーか白黒かを判定する前に、撮像情報であるRGB各色8bitで表現される画像(以降、「読取画像」とする)の色ずれを判定する。読取画像の色ずれは、ADF110による原稿搬送時の機械的な振動や搬送速度の不安定さ等による読み取りラインの位置ずれ(読取位置のずれ)により発生する読取画像を構成する色成分ごとの画像の画素の位置ずれである。このようなACS判定部140における色ずれ判定が、本実施形態の要旨の1つである。ACS判定部140の処理や判定結果に応じたプリントエンジン115の動作の詳細については後述する。
次に、本実施形態に係るプリントエンジン115の構成を説明する。図3は、本実施形態に係るプリントエンジン115の構成を例示する図である。図3に示すように、本実施形態に係るプリントエンジン115は、4組の現像器132Y、132M、132C、132K(以降、総じて現像器132とする)を備える現像部131及び1つの画像形成部127を含む構成であり、いわゆる4サイクルタイプといわれるものである。
また、給紙トレイ121から給紙ローラ122により分離給紙された用紙124は、レジストローラ123によって画像の転写位置に送り出されて一旦止められる。複数の現像器132K、132Y、132M、132Cには、互いに色の異なるブラック(BK)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)のトナーが収納されている。
画像形成に際しては、まず、画像形成部127が、ブラックのトナー画像を転写する。画像形成部127は、感光体としての感光体ドラム128、この感光体ドラム128の周囲に配置された帯電器129、光書き込み装置130、感光体クリーナ(図示せず)、除電器133等から構成されている。光書き込み装置130は、感光体ドラム128に対して光を照射するように構成されている。
画像形成に際し、感光体ドラム128の外周面は、暗中にて帯電器129により一様に帯電された後、光書き込み装置130からのブラック画像に対応した光源からの光により書き込みが行われ、静電潜像が形成される。現像器132Kは、この静電潜像をブラックトナーにより可視像化し、このことにより感光体ドラム128上にブラックのトナー画像が形成される。
このトナー画像は、感光体ドラム128と中間転写ベルト125とが当接若しくは最も接近する位置(転写位置)で、転写器134の働きにより中間転写ベルト125上に転写される。この転写により、中間転写ベルト125上にブラックのトナーによる画像が形成される。トナー画像の転写が終了した感光体ドラム128は、外周面に残留した不要なトナーが感光体クリーナにより払拭された後、除電器133により除電される。
ここで、プリントエンジン115の動作モードには、単色モード及びフルカラーモードがある。単色モードの場合、トナー画像の転写が終了し、中間転写ベルト125上に形成された中間転写画像は、転写器136により用紙124の紙面上に転写される。これにより、用紙124の紙面上に単色の画像が形成される。紙面上に画像が形成された用紙124は、搬送ベルト126によりさらに搬送され、定着器135にて画像を定着された後、画像処理装置1の外部に排紙される。
一方、フルカラーモードの場合、他の色の画像についても、ブラックのトナー画像形成及び中間転写ベルト125上へのトナー画像の転写プロセスを同様に繰り返して、中間転写ベルト125上に各色が重畳されたフルカラー画像が形成される。中間転写ベルト125上に形成された中間転写画像は、転写器136により用紙124の紙面上に転写される。これにより、用紙124の紙面上にフルカラーの画像が形成される。紙面上に画像が形成された用紙124は、搬送ベルト126によりさらに搬送され、定着器135にて画像を定着された後、画像処理装置1の外部に排紙される。
すなわち、単色モードにおいては、トナー画像の形成及び転写プロセスが1回行われるのみであるが、フルカラーモードでは、このプロセスが4回行われることになる。そのため、フルカラーモードは単色モードに比べて画像形成出力に時間がかかる。そこで、ACS判定部140が複写対象の原稿が白黒かカラーかを判定し、エンジン制御部102は、ACS判定部140による判定結果に応じて、プリントエンジン115の動作モードを変更する。これにより、原稿が白黒の場合は画像処理装置1が単色モードで動作するので、複写動作に余分な時間がかかることを防止することができる。
このような画像処理装置1において、読取画像を構成する各色の色ずれが起こっている場合、ACS判定部140は、原稿が白黒であるにも関わらず、カラーであると誤判定する場合がある。その結果、プリントエンジン115がフルカラーモードで動作するために、余分な時間がかかることになる。本実施形態の要旨は、ACS判定部140による判定において、読取画像を構成する各色の色ずれに起因する誤判定を防止することにある。以下、本実施形態に係るACS判定部140の機能構成を説明する。
図4は、本実施形態に係るACS判定部140の機能構成を例示するブロック図である。図4に示すように、本実施形態に係るACS判定部140は、エッジ検出部141、色ずれ判定部142、色ずれ画素処理部143及び色判定部144を含む。エッジ検出部141は、エンジン制御部102から入力されたRGB各色8bitで表現された読取画像を構成する色成分ごとのエッジを検出する。
色ずれ判定部142は、エッジ検出部141による色成分ごとのエッジの検出結果に基づいて、読取画像を構成する色成分ごとの画像の画素の位置ずれ(色ずれ)を判定する位置ずれ判定部として機能する。色ずれ画素処理部143は、色ずれ判定部142により色ずれと判定された画素(以降、「色ずれ画素」とする)を読取画像から除外する。色判定部144は、色ずれ画素処理部143により色ずれ画素が除外した読取画像に基づいて、読取画像が有彩色で構成されているか否かを判定し、判定結果をエンジン制御部102に対して出力する。以降、各構成部の具体的な処理を説明する。
図5は、エッジ検出部141及び色ずれ判定部142の処理を例示するフローチャートである。図5に示すように、まず、エッジ検出部141は、読取画像におけるRGB色成分ごとにエッジを検出する(S501)。図6は、エッジ検出フィルタを例示する図である。図6(a)〜(d)に示すように、エッジ検出部141は、例えば、5×5画素の4つのエッジ検出フィルタを用いて色成分ごとにエッジを検出する。なお、ここでは、読取画像におけるRGB色成分のうちR成分のエッジを検出する場合を例として説明する。
エッジ検出部141は、読取画像における各画素それぞれ注目画素として、注目画素に図6に示した4つのエッジ検出フィルタを適用した際のR成分の画素値(以降、エッジ量(R)とする)を算出する。エッジ検出部141は、算出したエッジ量(R)が所定の閾値以上である場合、その画素をR成分のエッジ(以降、「Rエッジ」とする)として検出する。また、エッジ検出部141は、同様に、エッジ量(G)及びエッジ量(B)をそれぞれ算出し、算出したエッジ量(G)が所定の閾値以上である場合、その画素を各色のエッジとして検出する。
なお、図6に示した5×5画素のエッジ検出フィルタを用いた場合、エッジ境界から2画素幅のエッジが検出される。また、本実施形態において、エッジ検出部141は、エッジ検出フィルタを用いてエッジを検出する場合を例として説明する。しかしながら、これは一例であり、エッジ検出部141はパターンマッチングによる方法等、エッジ検出はどのような方法で行われてもよい。
エッジ検出部141により色成分ごとのエッジが検出されると、色ずれ判定部142は、読取画像の1つの画素がRエッジ内に含まれているか否かを判定する(S502)。画素がRエッジ内に含まれている場合(S502/YES)、色ずれ判定部142は、その画素のR成分の画素値(以降、「R画素値」とする)を所定の画素値(ここでは例えば0(白)とする)に置換する(S503)。一方、画素がRエッジ外である場合(S502/NO)、色ずれ判定部142は、その画素のR画素値をRエッジ内である場合の所定の画素値とは異なる所定の画素値(ここでは例えば255(黒)とする)に置換する(S504)。
次に、色ずれ判定部142は、S502の処理で判定した画素と同じ画素がGエッジ内に含まれているか否かを判定する(S505)。画素がGエッジ内に含まれている場合(S505/YES)、色ずれ判定部142は、その画素のG画素値を0に置換する(S506)。一方、画素がGエッジ外である場合(S505/NO)、色ずれ判定部142は、その画素のG画素値を255に置換する(S507)。
次に、色ずれ判定部142は、S502の処理で判定した画素と同じ画素がBエッジ内に含まれているか否かを判定する(S508)。画素がBエッジ内に含まれている場合(S508/YES)、色ずれ判定部142は、その画素のB画素値を0に置換する(S509)。一方、画素がBエッジ外である場合(S508/NO)、色ずれ判定部142は、その画素のB画素値を255に置換する(S510)。
なお、S502〜S504の処理とS505〜S507の処理とS508〜S510の処理とは前後関係に制約はないため、逆の順序で実行されても良いし並列して実行されてもよい。
各色成分の画素値を所定の画素値に置換した色ずれ判定部142は、置換後の各色成分のすべての画素値が等しいか否かを判定する(S511)。すべての画素値が等しい場合(S511/YES)、色ずれ判定部142は、その画素で色ずれが発生していないと判定してS513の処理に進む。一方、画素値の少なくともいずれか1つが異なる場合(S511/NO)、色ずれ判定部142は、その画素で色ずれが発生していると判定して、その画素の読取画像における位置情報を色ずれ位置情報(詳細は後述する)として追加して(S512)、S513の処理に進む。
そして、色ずれ判定部142は、読取画像における全画素に対して処理を完了した場合(S513/YES)、処理を終了し、全画素に対して処理が完了していない場合(S513/NO)、処理が完了していない画素に対してS502以降の処理を繰り返す。
図7及び図8は、読取画像の直線部分における色ずれ判定処理に関する態様を例示する図である。図7(a)は、Rエッジに基づいて画素値が置換された画像を例示する図であり、図7(b)は、Gエッジに基づいて画素値が置換された画像を例示する図であり、図7(c)は、Bエッジに基づいて画素値が置換された画像を例示する図である。
図8は、図7(a)〜(c)の各画像を重ね合わせた図である。図8に示すように、図7(a)〜(c)の同じ位置の画素値がすべて等しい画素は白で示し、同じ位置の画素値のいずれかが異なる画素は斜線で示している。画素に色ずれが発生していない場合、各色成分のエッジは同じ位置であり各色成分のエッジに基づいて置換された画素値は等しくなるので、図8において斜線で示した画素は色ずれが発生していることを意味する。
また、図9及び図10は、読取画像のドット部分における色ずれ判定処理に関する態様を例示する図である。図9(a)は、Rエッジに基づいて画素値が置換された画像を例示する図であり、図9(b)は、Gエッジに基づいて画素値が置換された画像を例示する図であり、図9(c)は、Bエッジに基づいて画素値が置換された画像を例示する図である。
図10は、図9(a)〜(c)の各画像を重ね合わせた図である。図10に示すように、図9(a)〜(c)の同じ位置の画素値がすべて等しい画素は白で示し、同じ位置の画素値のいずれかが異なる画素は斜線で示している。なお、図7〜図10では、線部分とドット部分における色ずれ判定処理に関する態様を例として説明したが、画像は線とドットの組み合わせで構成されるので、読取画像の他の構成についても同様の方法で色ずれを判定することができる。
図11は、S512の処理において追加された色ずれ位置情報を例示する図である。図11に示すように、色ずれ位置情報は、色ずれと判定された各画素の読取画像における位置を示す座標の一覧である。例えば、読取画像の左角の座標を(0、0)とした場合の各画素の位置座標である。
色ずれ判定部142は、色ずれ判定を行った読取画像及び図11に示した色ずれ位置情報を、色ずれ画素処理部143に対して出力する。図12は、色ずれ画素処理部143の処理を例示するフローチャートである。図12に示すように、色ずれ画素処理部143は、色ずれ判定部142から入力された読取画像及び色ずれ位置情報に基づいて、読取画像の1つの画素が色ずれ位置の画素であるか否かを判定する(S1201)。具体的には、色ずれ画素処理部143は、読取画像の1つの画素の位置情報が色ずれ位置情報に含まれているか否かを判定する。
その画素が色ずれ位置の画素であると判定した場合(S1201/YES)、色ずれ画素処理部143は、その画素に色ずれを示すフラグ(以降「色ずれフラグ」とする)を付与して(S1202)、S1203の処理に進む。一方、その画素が色ずれ位置の画素ではないと判定した場合(S1201/NO)、色ずれ画素処理部143は、その画素に色ずれフラグを付与することなくS1203の処理に進む。
そして、色ずれ画素処理部143は、読取画像における全画素に対して処理を完了した場合(S1203/YES)、処理を終了し、全画素に対して処理が完了していない場合(S1203/NO)、処理が完了していない画素に対してS1201以降の処理を繰り返す。
色ずれ画素処理部143は、色ずれフラグを付与した読取画像を色判定部144に対して出力する。図13は、色判定部144の処理を例示するフローチャートである。図13に示すように、色判定部144は、色ずれ画素処理部143から入力された読取画像の1つの画素に色ずれフラグが付与されているか否かを判定する(S1301)。
色ずれフラグが付与されていない場合(S1301/NO)、色判定部144は、その画素におけるRGB最大差を算出する(S1302)。RGB最大差は、その画素のRGB色成分の各画素値のうちの最大値から最小値を引いた差分値である。RGB最大値を算出した色判定部144は、RGB最大値が所定の閾値T1以上であるか否かを判定する(S1303)。
RGB最大値がT1以上である場合(S1303/YES)、色判定部144は、その画素の色は有彩色であると判定し、有彩色と判定された画素の数(以降、「有彩画素数C」とする)を1加算する(S01304)。なお、有彩画素数Cの初期値は0であるとする。一方、RGB最大値がT1未満である場合(S1303/NO)、色判定部144は、その画素の色が無彩色であると判定し、S1305の処理に進む。
また、その画素に色ずれフラグが付与されている場合(S1301/YES)、色判定部144は、S1302〜S1304の処理を行うことなく、S1305の処理に進む。すなわち、色ずれフラグが付与されている画素は、有彩色であるか否かの判定から除外される。
そして、色判定部144は、読取画像における全画素に対して処理を完了した場合(S1305/YES)、処理を終了し、全画素に対して処理が完了していない場合(S1305/NO)、処理が完了していない画素に対してS1301以降の処理を繰り返す。
全画素に対して処理が完了すると、色判定部144は、有彩画素数Cが所定の閾値T2以上であるか否かを判定する(S1306)。有彩画素数CがT2以上である場合(S1306/YES)、色判定部144は、読取画像が有彩色で構成される画像(以降、「有彩色画像」とする)であると判定した信号をエンジン制御部102に対して出力する(S1307)。一方、有彩画素数CがT2未満である場合(S1306/NO)、色判定部144は、読取画像が無彩色で構成される画像(以降、「無彩色画像」とする)であると判定した信号をエンジン制御部102に対して出力する(S1308)。
エンジン制御部102は、色判定部144による色判定結果に基づいてプリントエンジン115を駆動する。具体的には、エンジン制御部102は、色判定部144から有彩色画像であると判定した信号が入力された場合、プリントエンジン115をフルカラーモードで動作するよう駆動する。一方、エンジン制御部102は、色判定部144から無彩色画像であると判定した信号が入力された場合、プリントエンジン115を単色モードで動作するよう駆動する。
以上説明したように、本実施形態に係る画像処理装置1は、読取画像を構成する色成分ごとのエッジを検出して、エッジの検出結果に基づいて色ずれが発生している画素を判定する。そして、画像処理装置1は、色ずれが発生している画素を除外した読取画像に基づいて、読取画像が有彩色で構成されているか否かを判定し、判定結果に基づいて画像形成出力の設定を変更し、出力の設定に従って読取画像を紙面上に画像形成出力する。これにより、色ずれが発生している画素を除外してACS判定を行うので、読取画像を構成する各色の色ずれに起因するACS判定における誤判定を防止することができる。
なお、上記実施形態においては、色ずれ判定を原稿全体に対して行う場合を例として説明した。その他、色ずれ判定を原稿の所定の領域のみに対して行うようにしてもよい。図14は、色ずれ判定を原稿の所定の領域のみに対して行う場合のACS判定部140の機能構成を例示する図である。図14に示すように、ACS判定部140は、図4に示した構成に切替制御部145が追加された構成である。以下、図4に示した構成と異なる処理のみを説明し、図4に示した構成と同様な処理については説明を省略する。
切替制御部145は、主制御部101から入力されるスキャナユニット111による原稿の読取処理を制御するライン走査制御信号を取得する。また、切替制御部145は、主制御部101から入力される色ずれ判定領域情報を取得する。図15は、ライン走査制御信号を例示する図である。図15に示すように、ライン走査制御信号は、原稿の読取領域として有効な領域であることを示す有効画像領域信号及び1ラインの主走査開始位置を示すライン同期信号である。
有効画像領域信号は、L(Low)信号からH(High)信号に切り替わったタイミングで原稿の読取処理が開始することを示す。図1に示すように、ライン同期信号は、L信号からH信号に切り替わったタイミングで1ラインの主走査が開始することを示す。すなわち、ライン同期信号がL信号からH信号に切り替わったタイミングで、副走査方向のライン位置が次のライン位置に移動したこと示す。そのため、切替制御部145は、ライン同期信号のL信号からH信号への切り替わりをカウントすることで副走査方向のライン位置を把握することができる。
色ずれ判定領域情報は、複写対象の原稿において色ずれ判定を行う領域(以降、「色ずれ判定領域」とする)を指定する情報である。例えば、色ずれ判定領域は、ライン単位で指定され、(領域開始ライン位置、領域終了ライン位置)で示すものとし、色ずれ判定領域の幅を任意に設定することができる。また、色ずれ判定領域が隣接しない複数の領域等である場合は、複数の色ずれ判定領域情報が設定されてもよい。
例えば、色ずれ判定領域情報は、画像処理装置1の管理者等によりディスプレイパネル113を介して予め設定されて主制御部101に入力される。例えば、ジター(用紙を搬送する搬送ローラの機械的な振動により用紙の端等に発生する黒帯)が発生しやすい領域が色ずれ発生領域として設定される。その他、例えば、主制御部101は、これまでに複写動作を行った原稿に対する色ずれ判定結果の履歴に基づいて、色ずれと判定されることが比較的多い領域を、色ずれ判定領域情報として設定するようにしてもよい。
切替制御部145は、このようなライン走査制御信号及び色ずれ判定領域情報に基づいて、エンジン制御部102から入力された読取画像に対する色ずれ判定を行うか否かを切替制御する。なお、本実施形態における読取画像は1ライン単位であるとする。具体的には、切替制御部145は、ライン同期信号に従って副走査方向のライン位置を把握し、現在のライン位置が色ずれ判定領域情報が示す領域内であるか否かを判定する。
現在のライン位置が色ずれ判定領域内である場合、切替制御部145は、色ずれ判定を行うために、エッジ検出部141が動作するよう制御を切り替える。エッジ検出部141が動作することにより、色ずれ判定部142が動作して色ずれ判定領域内における読取画像の色ずれ判定を行う。
一方、現在のライン位置が色ずれ判定領域外である場合、切替制御部145は、色ずれ判定をスキップするために、色ずれ画素処理部143が動作するよう制御を切り替える。この場合、色ずれ画素処理部143は、切替制御部145からの制御に従って色ずれ判定が行われていない読取画像を取得する。すなわち、この読取画像のいずれの画素にも色ずれフラグが付与されていないことになる。
このような構成により、色ずれ判定領域として設定された領域のみに色ずれ判定が行われるので、すべての領域において色ずれ判定を行うよりも処理負荷が軽減される。また、色ずれが発生する領域がある程度特定されている場合においては、このような構成によっても処理負荷が軽減されつつ、読取画像の色ずれに起因するACS判定部140による誤判定を防止することができる。
なお、特定の領域のみに色ずれ判定を行う実施形態において、切替制御部145は、ライン同期信号により副走査方向のライン位置を把握する場合を例として説明した。その他、1ライン走査する時間が予め定められ、切替制御部145は、有効画像領域信号がL信号からH信号へ切り替わったタイミングからその時間が経過するごとに副走査方向のライン位置が移動すると把握するようにしてもよい。
また、特定の領域のみに色ずれ判定を行う実施形態において、切替制御部145は、ACS判定部140に含まれる場合を例として説明したが、これは一例であり、ACS判定部140外に構成されてもよい。
なお、本実施形態に係るACS判定部140は、図2に示した構成の他、主制御部101やエンジン制御部102に含まれる構成としてもよい。また、本実施形態においては、色ずれ判定部142が色ずれ位置情報を追加し、色ずれ画素処理部143が色ずれ位置情報に基づいて色ずれが発生している画素に色ずれフラグを付与する場合を例として説明した。しかしながら、これは一例であり、色判定部144が各画素を色判定の対象から除外するか否かを判定できる態様であればよい。例えば、色ずれ判定部142が、色ずれが発生していると判定した画素に色ずれフラグを付与するようにしてもよいし、色判定部144が、色ずれ判定部142により生成された色ずれ位置情報に基づいて判定処理を行ってもよい。
また、本実施形態において、色判定部144は、色ずれ画素を除外した読取画像全体に基づいて色判定を行う場合を例として説明した。その他、色判定部144は、読取画像のうちの一部の領域に基づいて色判定を行ってもよい。この場合、色判定部144は、管理者等により予め設定された所定の領域において色ずれ画素を除外して色判定を行う。
なお、本施形態においては、画像処理装置1のプリントエンジン115の構成として、フルカラーモードと単色モードとで画像形成出力の時間に大きな違いのある4サイクル方式を例として説明した。しかしながら、本実施形態は、プリントエンジン115の他の構成として、例えば、無端状移動手段である搬送ベルトに沿って各色の感光体ドラムが並べられたいわゆるタンデム方式に対しても同様に適用可能である。タンデム方式の場合、4サイクル方式ほどフルカラーモードと単色モードとで画像形成出力の時間に違いはない。しかしながら、本実施形態によれば、ACS判定部140による誤判定を防止して、複写対象の原稿が白黒であるにも関わらず、フルカラーモードで画像形成出力することを防止することができるので、無駄に各色のトナーを消費することを防止することができる。