JP2016071307A - インサート成形用反射防止フィルム及びそれを用いた樹脂成形品 - Google Patents

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Abstract

【課題】反射防止性、及び指紋の付着防止性や拭取り性に優れ、且つハードコート層を有していてもインサート成形に適している反射防止フィルムを提供する。
【解決手段】熱可塑性透明基材フィルム上に、ハードコート層、中屈折率層、高屈折率層、低屈折率層の4層がこの順で設けられている。低屈折率層は、(a)C2〜C7のパーフルオロアルキル鎖を含有する(メタ)アクリレート5.0〜15.0質量%と、(b)アクリル基を有するポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン又はアクリル基を有するポリエステル変性ポリジメチルシロキサン2.0〜8.0質量%と、(c)前記(a)成分及び(b)成分と共重合可能な重合性二重結合をもつ含フッ素化合物9.0〜70.0質量%と、(d)中空シリカ微粒子22.0〜83.0質量%と、(e)光重合開始剤1.0〜10.0質量%とからなる低屈折率層用組成物を硬化させてなる。
【選択図】なし

Description

本発明は、タッチパネルの表面等に適用される反射防止フィルムに関し、特に、防汚性及び反射防止性に優れ、且つインサート成形に適した反射防止フィルムと、それを用いた樹脂成形品に関するものである。
現在、画像表示部に直接触れることにより、情報を入力できるデバイスとしてタッチパネルが広く用いられている。当該タッチパネルは、外光が写りこんで反射されると画像の視認性が低下するため、その表面には、一般的に反射防止フィルムが貼着される。従来一般の反射防止フィルムは、フィルム基材に、硬度を高めるハードコート層を含む反射防止層が形成されたものである。また、タッチパネルは、ほぼ日常的に外気と接触したり人の手に触れられるため、汚れや指紋などがその表面に付着し、視認性の悪化や美観を損ねたりする問題もある。
この問題を解決するために、外光の反射防止性と共に防汚性も兼ね備えた反射防止フィルムが、例えば特許文献1や特許文献2に提案されている。特許文献1は、熱可塑性透明基材フィルムの一方の面に、ハードコート層と低屈折率層とを積層した反射防止フィルムであって、低屈折率層にポリジメチルシロキサン構造を有するシリコーン材料を加えることで、防汚性の付与が図られている。また、特許文献2は、熱可塑性透明基材フィルムの一方面に、ハードコート層と低屈折率層、及び必要に応じてハードコート層と低屈折率層との間に該ハードコート層よりも屈折率の高い高屈折率層を積層した反射防止フィルムであって、フッ素系界面活性剤を低屈折率層へ加えることで、防汚性の付与が図られている。具体的には、低屈折率層は、多官能(メタ)アクリル系化合物とフッ素系界面活性剤とを、多官能(メタ)アクリル系化合物:フッ素系界面活性剤=99.9:0.1〜90:10(重量比)の割合で含有する。
特開2011−154177号公報 特開2008−122603号公報
しかし、特許文献1に記載の反射防止フィルムでは、マジックインキなどに対する汚れ防止性能は優れるが、低屈折率層にポリジメチルシロキサン構造を有するシリコーン材料を加えただけでは、指紋の付着防止性や付着した指紋の拭取り性に対する性能が不足する課題を有する。また、反射防止層がハードコート層の他に低屈折率層の1層のみで構成されているため、視感度波長範囲(光の波長500〜650nm)において反射防止性にバラツキ(強弱)があった。
また、特許文献2に記載の反射防止フィルムでは、フッ素系界面活性剤の配合量が少ないため、指紋の付着防止性や付着した指紋の拭取り性が不足するといった課題があった。
さらに、反射防止層がハードコート層の他に低屈折率層と高屈折率層の2層のみで構成されているため、やはり視感度波長範囲(光の波長500〜650nm)において反射防止性にバラツキ(強弱)があった。
ところで、従来、反射防止フィルムは、ディスプレイ表面に貼付されるのが一般的であったが、樹脂を射出成形すると同時に成形品の表面に一体化するインサート成形が可能となれば、ディスプレイの製造工程を短縮することができる。しかし、特許文献1、2の反射防止フィルムは、貼付(接着)することを目的としており、インサート成形に適するものではなかった。仮にインサート成形に用いようとしたとしても、ハードコート層により硬度が高められているため、インサート成形時に金型の曲面形状に追従しにくく、クラックが生じやすかった。
そこで、本発明の目的とするところは、反射防止性、及び指紋の付着防止性や拭取り性に優れ、且つハードコート層を有していてもインサート成形に適している反射防止フィルムを提供することにある。
そのための手段として、本発明のインサート成型用反射防止フィルムは、熱可塑性透明基材フィルム上に、ハードコート層、中屈折率層、高屈折率層、低屈折率層の4層がこの順で設けられている。前記低屈折率層の屈折率は、前記4層のうちで最も低く、前記高屈折率層の屈折率は、前記4層のうちで最も高く、前記中屈折率層の屈折率は、前記ハードコート層及び前記低屈折率層の屈折率より高く且つ前記高屈折率層の屈折率より低い。前記低屈折率層は、(a)C2〜C7のパーフルオロアルキル鎖を含有する(メタ)アクリレート5.0〜15.0質量%と、(b)アクリル基を有するポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン又はアクリル基を有するポリエステル変性ポリジメチルシロキサン2.0〜8.0質量%と、(c)前記(a)成分及び(b)成分と共重合可能な重合性二重結合をもつ含フッ素化合物9.0〜70.0質量%と、(d)中空シリカ微粒子22.0〜83.0質量%と、(e)光重合開始剤1.0〜10.0質量%とからなり、前記(b)成分の含有量が前記(a)成分の含有量より少なく、且つ、前記(a)〜(e)成分の合計が100質量%である低屈折率層用組成物を硬化させてなる。前記ハードコート層は、アクリル変性不飽和ジカルボン酸(無水物)グラフト化ポリオレフィン(A)を含む。
このとき、前記ハードコート層の屈折率が1.50〜1.56、前記中屈折率層の屈折率が1.57〜1.63、前記高屈折率層の屈折率が1.77〜1.83、前記低屈折率層の屈折率が1.29〜1.37であることが好ましい。
また、前記ハードコート層の屈折率をnHC、膜厚をdHC、前記中屈折率層の屈折率をnM、膜厚をdM、前記高屈折率層の屈折率をnH、膜厚をdH、前記低屈折率層の屈折率をnL、膜厚をdLとした場合、下記(I)〜(IV)が成り立つことが好ましい。
nM-nHC≧0.05・・・(I)
450nm/4nM<dM<560nm/4nM・・・(II)
450nm/2nH<dH<560nm/2nH・・・(III)
450nm/4nL<dL<560nm/4nL・・・(IV)
また、前記熱可塑性透明基材フィルムが、ポリカーボネート層とポリメチルメタクリレート層との二層構造からなり、前記ハードコート層はポリメチルメタクリレート層上に形成されているのも好ましい。
これらのインサート成型用反射防止フィルムを表面に備えた樹脂成形品も提供される。
なお、本発明において「(メタ)アクリレート」とは、「アクリレート」と「メタクリレート」の双方を含む意味である。また、本発明において数値範囲を示す「○○〜××」とは、特に明示しない限り「○○以上××以下」を意味する。
本発明の反射防止フィルムによれば、熱可塑性透明基材フィルム上に、ハードコート層、中屈折率層、高屈折率層、及び低屈折率層をこの順で積層した4層構造の反射防止層を設けていることで、視感度反射率を低下させて的確に反射防止機能を発揮させることができる。そして、低屈折率層用組成物の組成を適切に設定したことで、指紋の付着防止性や拭取り性に優れる。また、ハードコート層は、アクリル変性不飽和ジカルボン酸(無水物)グラフト化ポリオレフィン(A)を含み、インサート成形時に金型内で加熱されると適度に軟化するため、クラックを生じにくい。
このとき、ハードコート層の屈折率を1.50〜1.56、中屈折率層の屈折率を1.57〜1.63、高屈折率層の屈折率を1.77〜1.83、及び低屈折率層の屈折率を1.29〜1.37に設定することで、より効果的に反射防止機能を発揮させることができる。
また、上記式(I)〜(IV)が同時に成り立つよう設定することで、光の波長500〜650nmの視感度波長範囲において反射率をフラット化することができ、反射光の着色を抑制することができる。
<反射防止フィルム>
本実施形態の反射防止フィルムは、熱可塑性透明基材フィルムの一方面に、ハードコート層、中屈折率層、高屈折率層、及び低屈折率層が、熱可塑性透明基材フィルム側からこの順で形成されている。この反射防止フィルムは、後述するように、インサート成形に適しており、射出成形時に金型内に保持され、樹脂の成形と同時に表面に一体化される。以下に、この反射防止フィルムの構成要素について順に説明する。
〔熱可塑性透明基材フィルム〕
熱可塑性透明基材フィルムは、ポリカーボネート樹脂、又はポリメチルメタクリレート樹脂からなるフィルムを使用でき、特に、ポリカーボネート層及びポリメチルメタクリレート層との二層構造からなるフィルムが好ましい。この場合、ポリメチルメタクリレート層上にハードコート層を積層するのが望ましい。そうすると、ハードコート組成物にアクリル樹脂(アクリル基を有するモノマーの硬化物)を含む場合、ハードコート層とポリメチルメタクリレート層の屈折率が近いため、反射光の干渉ムラが生じにくい。加えて、メチルメタクリレート層とハードコート層の材質が類似しているため、メチルメタクリレート層とハードコート層との密着性に優れる。一方、ポリカーボネート層はポリメチルメタクリレート層に比べガラス転移点(Tg)が高いため、ポリカーボネート層に加飾印刷することで、インサート成形時にインク流れが生じにくくなる。また、熱可塑性透明基材フィルムの屈折率は、1.49〜1.59であることが好ましい。
熱可塑性透明基材フィルムの膜厚は、通常25〜400μm程度、好ましくは25〜200μm程度である。また、これらの熱可塑性透明基材フィルムには、ハードコート層と熱可塑性透明基材フィルムとの密着力を高めるため、易接着層と呼ばれる層を設けることもできる。熱可塑性透明基材フィルムには、各種の添加剤が含有されていてもよい。そのような添加剤として、例えば紫外線吸収剤、帯電防止剤、安定剤、可塑剤、滑剤、難燃剤等が挙げられる。
〔ハードコート層〕
ハードコート層は、反射防止フィルムの表面強度を担保するための層である。ハードコート層は、ハードコート層用樹脂組成物を硬化させることにより形成される。ハードコート層は、波長589nmの光に対する屈折率が1.50〜1.56の範囲内のものが好ましい。ハードコートの屈折率が1.50未満の場合、或いは1.56を超える場合には、熱可塑性透明基材フィルムとハードコート層の屈折率差から生じる干渉により、干渉ムラが顕著に表れるため好ましくない。
また、ハードコート層の膜厚は、1〜15μmが好ましい。ハードコート層の膜厚が1μm未満の場合には、十分な表面強度が得られないため好ましくない。その一方、膜厚が15μmを超える場合には、インサート成形においてハードコート層にクラックが生じやすくなるため好ましくない。
〔ハードコート層用樹脂組成物〕
ハードコート層用樹脂組成物は、ハードコート機能を発揮するベースとなる樹脂材料にアクリル変性不飽和ジカルボン酸(無水物)グラフト化ポリオレフィン(A)を添加したものである。例えば、ハードコート層用樹脂組成物は、アクリル変性不飽和ジカルボン酸(無水物)グラフト化ポリオレフィン(A)と、紫外線硬化型樹脂(B)と、光重合開始剤(C)とを、含む。光重合開始剤(C)により紫外線硬化型樹脂(B)の硬化を促進して反射防止フィルムの表面強度を確保するとともに、アクリル変性不飽和ジカルボン酸(無水物)グラフト化ポリオレフィン(A)を含有することにより、得られたハードコート層はインサート成形時に金型内で加熱された際に適度に軟化し、熱可塑性透明基材フィルムに対して優れた密着性を発揮しながら金型に追従することができる。
アクリル変性不飽和ジカルボン酸(無水物)グラフト化ポリオレフィン(A)は、ポリオレフィン由来の構造単位と不飽和ジカルボン酸(無水物)由来の構造単位とアクリル由来の構造単位とからなるものであり、ポリオレフィン成分と不飽和ジカルボン酸(無水物)成分とアクリル成分とから得ることができる。なお、以下に説明するこれら各成分(ポリオレフィン成分、不飽和ジカルボン酸(無水物)成分、アクリル成分)は、それぞれ1種のみであってもよいし2種以上であってよい。
前記アクリル変性不飽和ジカルボン酸(無水物)グラフト化ポリオレフィン(A)を構成するポリオレフィン成分としては、例えば、炭素数4〜12のα−オレフィンの1種以上とプロピレンとを必須構成単位とする共重合体が好ましく挙げられる。ここで、炭素数4〜12のα−オレフィンとしては、例えば、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、4−メチル−1−ペンテン等が挙げられ、中でも、1−ブテン、1−ペンテン、1−デセン、4−メチル−1−ペンテンが好ましく、1−ブテンが最も好ましい。これら炭素数4〜12のα−オレフィンが前記ポリオレフィン成分中に占める割合は、15〜70モル%であることが好ましい。ただし、前記炭素数4〜12のα−オレフィンおよびプロピレン以外のオレフィンをも構成単位とする共重合体においては、例えばエチレンをも構成単位とする場合(例えば、プロピレン/1−ブテン/エチレン共重合体のような場合)には、前記ポリオレフィン成分中に占めるエチレンの割合は1モル%以下であるのが好ましく、0.5モル%以下であるのがより好ましく、0.1モル%以下であるのがさらに好ましい。
前記アクリル変性不飽和ジカルボン酸(無水物)グラフト化ポリオレフィン(A)を構成するポリオレフィン成分は、高分子ポリオレフィンからの熱減成ポリオレフィン、すなわち高分子ポリオレフィンを高温で熱分解して得られる低分子ポリオレフィンであることが好ましい。高分子ポリオレフィンからの熱減成ポリオレフィンは、末端や分子内に比較的多くの二重結合が均一に存在するものであり、不飽和ジカルボン酸(無水物)のグラフト化が容易であるので、一般には上げることが難しいと考えられている後述の不飽和ジカルボン酸(無水物)付加率を後述する比較的高い範囲にまで向上させることができる。熱減成ポリオレフィンを得る方法としては、例えば、数平均分子量15000〜150000の高分子ポリオレフィンを、有機過酸化物の存在下では180〜300℃、有機過酸化物の非存在下では300〜450℃で、0.5〜1時間加熱するようにすればよい。好ましくは有機過酸化物の非存在下で加熱する方法が好ましい。
前記アクリル変性不飽和ジカルボン酸(無水物)グラフト化ポリオレフィン(A)を構成するポリオレフィン成分の数平均分子量は、500〜40000であるのが好ましく、1500〜30000であるのがより好ましい。
前記アクリル変性不飽和ジカルボン酸(無水物)グラフト化ポリオレフィン(A)を構成する不飽和ジカルボン酸(無水物)成分としては、例えば、マレイン酸、フマール酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、シクロヘキセンジカルボン酸、シクロヘプテンジカルボン酸、アコニット酸等の不飽和ジカルボン酸;無水マレイン酸、無水シトラコン酸、無水イタコン酸などの不飽和ジカルボン酸無水物や、前記不飽和ジカルボン酸無水物と炭素数1〜5のアルキルアルコールとのエステル化物等が挙げられる。
前記アクリル変性不飽和ジカルボン酸(無水物)グラフト化ポリオレフィン(A)を構成するアクリル成分としては、例えば4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどの水酸基含有(メタ)アクリレート等のような活性水素を有するアクリル成分や、例えば2−アクリロイルエチルイソシアネート等のようなイソシアナート基を含有するアクリル成分が挙げられ、さらには、メチル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸エステル等もアクリル成分として用いることができる。なお、本明細書では、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート及びメタクリレートを指す。
前記ポリオレフィン成分と前記不飽和ジカルボン酸(無水物)成分と前記アクリル成分とからアクリル変性不飽和ジカルボン酸(無水物)グラフト化ポリオレフィン(A)得る方法は、特に制限されないが、例えば、ポリオレフィン成分に不飽和ジカルボン酸(無水物)成分をグラフト付加したのち、アクリル成分を反応させる方法等により得ることができる。なお、上記各方法における具体的な反応条件等については、通常の有機合成の手法に従い、適宜設定すればよい。例えば、アクリル成分を反応させる際に、(メタ)アクリル酸エステルをアクリル成分とする場合には、例えばジクミルパーオキサイド等の水素引き抜き能を有する有機過酸化物を用いればよい。
アクリル変性不飽和ジカルボン酸(無水物)グラフト化ポリオレフィン(A)は、融点が、成形時の樹脂温度よりも低く、インサート成形時に反射防止フィルムに加わる温度よりも低いことが必要となる。インサート成形時に反射防止フィルムに加わる温度は、金型の温度よりも高くなることが一般的であるため、金型の温度よりも低いことが好ましい。これにより、インサート成形時に反射防止フィルムにクラックを生じにくい。また、高温においてもハードコート層が熱可塑性透明基材フィルムに対して優れた密着性を発現し、ハードコート層に剥離を生じさせることなく、さらには、金型温度が高い状態で冷却することなく直ちに型開きすることができるようになる。ここで、アクリル変性不飽和ジカルボン酸(無水物)グラフト化ポリオレフィン(A)の融点は、92℃以上であるのが好ましい。融点が92℃未満であると、高温での密着性が不充分となり、金型温度が高い状態で冷却することなく直ちに型開きすると、塗膜に剥離を生じる場合がある。融点が95℃以上であるとより好ましい。一方、アクリル変性不飽和ジカルボン酸(無水物)グラフト化ポリオレフィン(A)の融点は、112℃以下であるのが好ましい。融点が112℃を超えると、得られるハードコート層に濁りが生じやすくなる。また、得られるハードコート層の耐水性が低下し、ハードコート層に水分が浸透しやすくなるため、熱可塑性透明基材フィルムとの密着性を低下させ、層間剥離を引き起こすおそれがある。融点が110℃以下であるとより好ましい。なお、融点は、示差走査熱分析(DSC)により測定される。
アクリル変性不飽和ジカルボン酸(無水物)グラフト化ポリオレフィン(A)は、その構造中に占める不飽和ジカルボン酸(無水物)由来の構造単位の割合(すなわち、不飽和ジカルボン酸(無水物)の付加率)が5〜15質量%であるのが好ましい。これにより、一般に極性が高い紫外線硬化型樹脂(後述する成分B)との相溶性が向上することとなり、その結果、濁りのない塗膜を得ることができるのである。より好ましくは、アクリル変性不飽和ジカルボン酸(無水物)グラフト化ポリオレフィン(A)における不飽和ジカルボン酸(無水物)の付加率は、6〜13質量%である。アクリル変性不飽和ジカルボン酸(無水物)グラフト化ポリオレフィン(A)における不飽和ジカルボン酸(無水物)の付加率が5質量%未満であると、得られる塗膜に濁りが生じるとともに、耐水性も低下しやすい。一方、アクリル変性不飽和ジカルボン酸(無水物)グラフト化ポリオレフィン(A)における不飽和ジカルボン酸(無水物)の付加率が15質量%を超えると、耐水性が低下しやすい。なお、アクリル変性不飽和ジカルボン酸(無水物)グラフト化ポリオレフィン(A)における不飽和ジカルボン酸(無水物)の付加率は、例えば、赤外線分析(IR)におけるカルボニル基のピーク比から算出すればよい。
アクリル変性不飽和ジカルボン酸(無水物)グラフト化ポリオレフィン(A)の数平均分子量は、特に制限されないが、例えば、600〜50100であるのが好ましく、1600〜30100であるのがより好ましい。数平均分子量が小さすぎると、塗膜物性が低下する傾向があり、一方、大きすぎると、得られる塗膜に濁りが生じることがあると同時に、流動性が低下してコーティング時の作業性を損なう恐れがある。
紫外線硬化型樹脂(B)の具体例としては、例えば、ウレタン(メタ)アクリレート(オリゴマー)、エポキシ(メタ)アクリレート(オリゴマー)、ポリエステル(メタ)アクリレート(オリゴマー)、ポリエーテル(メタ)アクリレート(オリゴマー)、(メタ)アクリレート(オリゴマー)等が挙げられる。紫外線硬化型樹脂(B)は、従来公知の方法によって得ることができる。
紫外線硬化型樹脂(B)の重量平均分子量は、100〜50000であるのが好ましい。重量平均分子量が100未満であると、塗膜物性が低下する傾向があり、一方、50000を超えると、流動性が低下する傾向がありコーティング時の作業性を損なう恐れがある。
光重合開始剤(C)は、紫外線(UV)等の活性エネルギー線によりハードコート層用樹脂組成物を硬化させて塗膜を形成する際の重合開始剤として用いられる。光重合開始剤(C)としては、活性エネルギー線照射により重合を開始するものであれば特に限定されず、公知の化合物を使用できる。例えば、1−ヒドロキシシクロへキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフェリノプロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン等のアセトフェノン系重合開始剤、ベンゾイン、2,2−ジメトキシ1,2−ジフェニルエタン−1−オン等のベンゾイン系重合開始剤、ベンゾフェノン、[4−(メチルフェニルチオ)フェニル]フェニルメタノン、4−ヒドロキシベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン等のベンゾフェノン系重合開始剤、2−クロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン等のチオキサントン系重合開始剤等が挙げられる。
光重合開始剤(C)の配合比は、(C)/〔(A)+(B)〕=0.1/100〜10/100(質量比)である。光重合開始剤(C)が前記範囲より少ないと、重合が不充分となり、密着性を発揮できなくなる。一方、前記範囲より多いと、不必要に多くなるだけであり、好ましくない。
ハードコート層用樹脂組成物には、必要に応じて、表面調製剤、レベリング剤、紫外線吸収剤、紫外線安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、消泡剤等の従来公知の添加物を、本発明の効果を損なわない範囲で含有していても良い。
ハードコート層用樹脂組成物の調製に用いられる希釈溶剤は、ハードコート層用樹脂組成物の粘度を調整するために用いられ、非重合性のものであれば特に制限されない。係る希釈溶剤により、主にハードコート層用樹脂組成物を熱可塑性透明基材フィルム上に容易に塗布することができる。
希釈溶剤としては、例えばトルエン、キシレン、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、エチルセルソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、ジアセトンアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、3−メトキシブタノール等が挙げられる。
以上のハードコート層用樹脂組成物を熱可塑性透明基材フィルム上に塗布した後、活性エネルギー線を照射して硬化させることにより、熱可塑性透明基材フィルム上にハードコート層を積層することができる。ハードコート層用樹脂組成物を熱可塑性透明基材フィルム上に塗布する方法としては、ロールコート法、スピンコート法、ディップコート法、ハケ塗り法、スプレーコート法、バーコート法、ナイフコート法、ダイコート法、グラビアコート法、カーテンフローコート法、リバースコート法、キスコート法、コンマコート法等公知のいかなる方法も採用される。塗布に際しては、密着性を向上させるために、予め熱可塑性透明基材フィルム表面にコロナ放電処理等の前処理を施すことが好ましい。
活性エネルギー線の照射に用いられる活性エネルギー線源としては、例えば高圧水銀ランプ、ハロゲンランプ、キセノンランプ、窒素レーザ、電子線加速装置、放射性元素等の線源が使用される。活性エネルギー線の照射量は、紫外線の波長365nmでの積算光量として、50〜5000mJ/cmであることが好ましい。照射量が50mJ/cm未満のときには、ハードコート層用組成物の硬化が不十分となるため好ましくない。一方、5000mJ/cmを超えるときには、紫外線硬化型樹脂(B)が着色する傾向を示すため好ましくない。
〔中屈折率層〕
次に、中屈折率層について説明する。中屈折率層は、中屈折率層用組成物を硬化させることにより形成される。中屈折率層は、後述する高屈折率層との有意な屈折率差及び後述の低屈折率層との有意な屈折率差により、反射防止効果を発現させるための層である。中屈折率層の屈折率は、ハードコート層及び低屈折率層よりも高く、かつ、高屈折率層よりも低く設定される。中屈折率層は、589nmの光に対する屈折率が1.57〜1.63の範囲内のものが好ましい。中屈折率層の屈折率が1.57未満の場合、或いは1.63を超える場合には、中屈折率層と他の層との屈折率差から生じる干渉のバランスが悪くなり、反射スペクトルをフラットにすることが困難となる。
また、ハードコート層の屈折率をnHC、膜厚をdHC、中屈折率層の屈折率をnM、膜厚をdMとした場合、下記(I)及び(II)が成り立つことが好ましい。
nM-nHC≧0.05・・・(I)
450nm/4nM<dM<560nm/4nM・・・(II)
nM-nHC<0.05となる場合、ハードコート層との屈折率差が小さくなることで、ハードコート層と中屈折率層界面での反射光と中屈折率層と高屈折率層界面での反射光の強め合うような干渉が弱くなるため、反射防止性能が十分に発揮されない場合がある。また、反射スペクトルがフラットにならず(W字型になってしまう)、反射色の色ムラが目立ってしまう。また、dMを450nm/4nM以下とすると、ハードコート層と中屈折率層界面での反射光と中屈折率層と高屈折率層界面での反射光の最もの強め合う波長(最大反射率波長)域が380nm以下となってしまうため、中屈折率層上へ高屈折率層及び低屈折率層を設けた際に、反射率を効果的に下げることが困難となる場合がある。また、dMが560nm/4nM以上の場合、ハードコート層と中屈折率層界面での反射光と中屈折率層と高屈折率層界面での反射光の最も強め合う波長(最大反射率波長)域が780nm以上となってしまうため、中屈折率層上へ高屈折率層及び低屈折率層を設けた際に、反射率を効果的に下げることが困難となる場合がある。
〔中屈折率層用組成物〕
中屈折率層は、前記中屈折率層の屈折率の範囲において、従来より反射防止フィルム等に用いられる公知のものであれば特に制限されず、中屈折率層用組成物としては、ベースとなる有機材料に、屈折率調整用の無機材料を適宜添加したものを用いることができる。
例えば、重合硬化したものの屈折率が1.6〜1.8の重合性単量体を含む組成物に、屈折率調整用の無機材料として、例えば酸化亜鉛、酸化チタン、酸化セリウム、酸化アルミニウム、酸化シラン、酸化アンチモン、酸化ジルコニウム、酸化錫、ITO等の微粒子を添加すればよい。中でも、導電性や帯電防止能の観点より、酸化錫、酸化アンチモン及びITO等の微粒子が好ましい。重合硬化した後の屈折率が1.6〜1.8となる重合性単量体としては、2−ビニルナフタレン、4−ブロモスチレン、9−ビニルアントラセン等が挙げられる。
また、多官能ウレタンアクリレートまたは多官能(メタ)アクリレートと金属酸化物微粒子とを含む混合物も好適に使用される。多官能ウレタンアクリレートとしては、ペンタエリスリトールトリアクリレートヘキサメチレンジイソシアネートウレタンプレポリマー、ペンタエリスリトールトリアクリレートトルエンジイソシアネートウレタンプレポリマー、ペンタエリスリトールトリアクリレートイソホロンジイソシアネートウレタンプレポリマー、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートヘキサメチレンジイソシアネートウレタンプレポリマーなどが挙げられる。このような材料における市販されているものとしては、日本合成化学工業(株)製の紫光UV7600B、UV7630、UV7640Bが挙げられる。
多官能(メタ)アクリレートとしては、紫外線や電子線のような活性エネルギー線を照射することにより硬化反応を生じる樹脂を使用でき、その種類は特に制限されない。この多官能(メタ)アクリレートとしては、例えばジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ビス(3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシ)ヘキサン等の多官能アルコール(メタ)アクリル誘導体や、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリウレタン(メタ)アクリレート、さらに紫外線硬化性ハードコート材として市販されているもの等が挙げられる。
中屈折率層を構成する材料は、その上にオーバーコートされる高屈折率層と同じ材料で配合されることが、中屈折率層と高屈折率層の層間の密着性を高めることができるため、好ましい。例えば、高屈折率層が酸化チタン及びウレタンアクリレートの組成物で形成される場合、中屈折率層に使用される組成物も酸化チタンとウレタンアクリレートの混合物で形成される方が好ましい。
中屈折率層用組成物には、本発明の効果を損なわない範囲において、その他の成分として各種添加剤を添加することができる。そのような添加剤としては、例えば、光重合開始剤、分散剤、界面活性剤、光安定剤及びレベリング剤等の添加剤が挙げられる。
光重合開始剤としては、ハードコート層で用いられるものと同じものを用いることができる。光重合開始剤は単独又は混合物として用いることができる。
〔高屈折率層〕
次に、高屈折率層について説明する。高屈折率層は、高屈折率層用組成物を硬化させることにより形成される。高屈折率層は、前述した中屈折率層との有意な屈折率差及び後述の低屈折率層との有意な屈折率差により、反射防止効果を発現させるための層である。高屈折率層の屈折率は、ハードコート層及び中屈折率層及び低屈折率層のいずれの層よりも高く設定される。
高屈折率層は、589nmの光に対する屈折率が1.77〜1.83の範囲内のものが好ましい。高屈折率層の屈折率が1.77未満の場合、或いは1.83を超える場合には、中屈折率層と他の層との屈折率差から生じる干渉のバランスが悪くなり、反射スペクトルをフラットにすることが困難となる。
また、高屈折率層の屈折率をnH、膜厚をdHとした場合、好ましくは、下記(III)が成り立つように設定される。
450nm/2nH<dH<560nm/2nH・・・(III)
dHを450nm/2nM以下とすると、高屈折率層を設けた際に最小反射率波長(反射率が最小となる光の波長)が380nm以下となってしまい、低屈折率層を設けた際に可視光領域の反射率が単調増加になるような反射スペクトルとなってしまうため、反射スペクトルをフラットにすることが困難となる場合がある。一方、dHが560nm/2nM以上の場合、高屈折率層を設けた際に最小反射率波長(反射率が最小となる光の波長)が650nm以上となってしまい、低屈折率層を設けた際に可視光領域の反射率が単調減少になるような反射スペクトルとなってしまうため、反射スペクトルをフラットにすることが困難となる場合がある。
〔高屈折率層用組成物〕
高屈折率層は、前記高屈折率層の屈折率の範囲において、従来より反射防止フィルム等に用いられる公知のものであれば特に制限されず、高屈折率層用組成物としては、ベースとなる有機材料に、屈折率調整用の無機材料を適宜添加したものを用いることができる。ベースとなる有機材料や屈折率調整用の無機材料としては、中屈折率層と同様のものを使用でき、これらの材料の組み合わせや配合バランスにより、求める屈折率に調整すればよい。
高屈折率層を構成する材料は、その下地としてコートされる中屈折率層と同じ材料で配合されることが、中屈折率層と高屈折率層の層間の密着性を高めることができるため、好ましい。例えば、中屈折率層が酸化チタン及びウレタンアクリレートの組成物で形成される場合、高屈折率層に使用される組成物も酸化チタンとウレタンアクリレートの混合物で形成される方が好ましい。
高屈折率層用組成物には、本発明の効果を損なわない範囲において、その他の成分として各種添加剤を添加することができる。そのような添加剤としては、例えば、中屈折率層と同様の光重合開始剤、分散剤、界面活性剤、光安定剤及びレベリング剤等の添加剤が挙げられる。
〔低屈折率層〕
次に、低屈折率層について説明する。低屈折率層は、低屈折率層用組成物を硬化させることにより形成される。低屈折率層の屈折率は、ハードコート層、中屈折率層、及び高屈折率層の屈折率より低く設定されることを要件とし、その589nmの光に対する屈折率屈折率は1.29〜1.37の範囲であるのが好ましい。該屈折率が1.29未満の場合には十分に硬い層を形成することが困難である場合がある。その一方、屈折率が1.37を超える場合には十分な視感度反射率を得ることが難しい。
また、低屈折率層の屈折率をnL、膜厚をdLとした場合、好ましくは、下記(IV)が成り立つように設定される。
450nm/4nL<dL<560nm/4nL・・・(IV)
dLを450nm/4nL以下とすると、低屈折率層を設けた際に最小反射率波長(反射率が最小となる光の波長)が380nm以下となってしまい、低屈折率層を設けた際に可視光領域の反射率が単調増加になるような反射スペクトルとなってしまうため、反射スペクトルをフラットにすることが困難となる場合がある。一方、dLが560nm/4nL以上の場合、低屈折率層を設けた際に最小反射率波長(反射率が最小となる光の波長)が650nm以上となってしまい、低屈折率層を設けた際に可視光領域の反射率が単調減少になるような反射スペクトルとなってしまうため、反射スペクトルをフラットにすることが困難となる場合がある。
〔低屈折率層用組成物〕
低屈折率層用組成物は、(a)C2〜C7のパーフルオロアルキル鎖を含有する(メタ)アクリレートと、(b)アクリル基を有するポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン又はアクリル基を有するポリエステル変性ポリジメチルシロキサンと、(c)(a)成分及び(b)成分と共重合可能な重合性二重結合をもつ含フッ素化合物と、(d)中空シリカ微粒子と、(e)光重合開始剤とからなる。なお、(b)成分の含有量は(a)成分の含有量より少ない。
〔(a)成分〕
(a)C2〜C7のパーフルオロアルキル鎖を含有する(メタ)アクリレートは、防汚性機能を発現するためのものであり、低屈折率層表面を触った際に付着する指紋の付着性を弱めることができる。C2〜C7のパーフルオロアルキル鎖を含有する(メタ)アクリレートの例としては、具体的には、下記化学式(1)で示されるものや下記化学式(2)に示されるものが挙げられる。

( 式中、nは0〜100の整数である。また、X はHまたはCHである。)

( 式中、Xはパーフルオロアルキル基又はパーフルオロポリエーテルを表す。)
(a)C2〜C7のパーフルオロアルキル鎖を含有する(メタ)アクリレートは、低屈折率層用組成物中に5.0〜15.0質量%含まれる。含有量が5.0質量%未満では、低屈折率層表面を触った際の指紋の付着性を効果的に弱めることが出来ない。一方、15.0質量%を超えると、指紋の拭取り性が悪化する。
〔(b)成分〕
(b)アクリル基を有するポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン又はアクリル基を有するポリエステル変性ポリジメチルシロキサンは、低屈折率層表面に付着した指紋の拭取り性を向上するためのものである。
アクリル基を有するポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン又はアクリル基を有するポリエステル変性ポリジメチルシロキサンの基本骨格(ポリジオルガノシロキサン)は、下記に示す一般式(3)で表され、重合性反応基を1分子中に少なくとも2つ、好ましくは2〜8つ有する化合物である。
一般式(3)中のA及びBは、直鎖状又は分岐状の有機基であり、アルキル鎖(炭素数1〜30)、パーフルオロアルキル鎖(炭素数1〜10)、アリールアルキル鎖、脂肪族乃至芳香族(ポリ)エステル鎖(該有機鎖の部分的な分子量100〜3000)、脂肪族乃至芳香族(ポリ)エーテル鎖(該有機鎖の部分的な分子量100〜3000)及び脂肪族乃至芳香族(ポリ)ウレタン鎖(該有機鎖の部分的な分子量100〜3000)からなる群より選ばれる少なくとも1種の骨格を有しており、該有機基中には重合性反応基が導入されており、分子内においてAとBは同一でも異なっていてもよく、A同士又はB同士においても同一でも異なっていてもよい。但し、A及びBに導入されている重合性反応基の数は、1分子当り2つ、好ましくは2〜8つ有する化合物である。さらに、重合性反応基は、合成の簡便さからBに導入されている方がより好ましい。一般式(3)中のcは、ポリシロキサン骨格の長さをc+1の形で表すものであり、好ましくは3〜250、より好ましくは6〜100の整数である。
重合性反応基としては、少なくともアクリル基が導入される。導入されるアクリル基としては、反応性に優れる点でアクリロイルオキシ基が好ましい。また、アクリロイルオキシ基と共に、(メタ)アクリロイルオキシ基やα−フルオロアクリロイルオキシ基等を導入することもできる。重合性反応基とポリシロキサン骨格との間の結合方式としては、従来公知の結合方式、例えば(ポリ)エーテル型、(ポリ)エステル型、(ポリ)エステル型と(ポリ)ウレタン型とを組み合わせた結合方式、(ポリ)エーテル型と(ポリ)ウレタン型とを組み合わせた結合方式、(ポリ)エステル型と(ポリ)エーテル型とを組み合わせた結合方式等の全てを採用することができる。
例えば、ポリエステル型とポリウレタン型とを組み合わせた結合方式の場合、ポリジオルガノシロキサン分子の構造は、下記の一般式(4)に示されているような基本骨格を有し、ポリシロキサン部位から延びる側鎖のうち、3つ以上の側鎖の末端には、重合性反応基が結合している。
一般式(4)中のXは3〜250の整数、好ましくは6〜100の整数であり、Y及びZはY+Zが3以上、好ましくは4〜20であることを満たすような整数であり、m及びnはいずれも1〜10の整数である。mとnは同じでも異なっていてもよいが、同じである方がアクリル基を有するポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン又はアクリル基を有するポリエステル変性ポリジメチルシロキサンを簡便に調製できる点で好ましい。
一般式(4)中のRは、直鎖状アルキル基(炭素数1〜30)、パーフルオロアルキル基(炭素数1〜10)、アリールアルキル基、ポリエステル基(該側鎖の部分的な分子量200〜2000であり、Si原子にはアルキル鎖を介して結合している)、ポリエーテル基(該側鎖の部分的な分子量200〜2000であり、Si原子にアルキル鎖を介して結合している)のいずれかである。分子内においてRは同一でも異なっていてもよいが、アクリル基を有するポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン又はアクリル基を有するポリエステル変性ポリジメチルシロキサンの調製が簡便であることから同一である方がより好ましい。また、使用時における樹脂との相溶性等の観点から、Rはメチル基である場合が最も汎用的で好ましい。
一般式(4)中のRは炭素数3〜30、好ましくは3〜15の直鎖又は分岐鎖であり、該鎖上にはウレタン結合を少なくとも2つ有し、該ウレタン結合を介してポリシロキサン骨格及びRと結合されている(但し、Rはポリジオルガノシロキサン1分子中に3つ以上含まれるように結合している)。分子内においてRは同一でも異なっていてもよいが、アクリル基を有するポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン又はアクリル基を有するポリエステル変性ポリジメチルシロキサンの調製が簡便であることから同一である方がより好ましい。
一般式(4)中のRは、ポリエステル骨格、好ましくは3つ以上のエステル結合を含むポリエステル骨格を有する部位であり、末端には前述のような重合性反応基、好ましくは(メタ)アクリロイル基が結合されている。分子内においてRは同一でも異なっていてもよいがアクリル基を有するポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン又はアクリル基を有するポリエステル変性ポリジメチルシロキサンの調製が簡便であることから同一である方がより好ましい。また、使用時における樹脂との相溶性等の観点から、Rは3以上のカプロラクトンからなるポリカプロラクトン骨格を有する場合が最も汎用的で好ましい。
一般式(4)中のRは、水素、フッ素及びメチル基のいずれかであり、分子内においてR4は同一でも異なっていてもよいが、アクリル基を有するポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン又はアクリル基を有するポリエステル変性ポリジメチルシロキサンの調製が簡便であることから同一である方がより好ましい。
次に、上記のようなポリエステル型とポリウレタン型とを組み合わせた結合方式を用いた場合のより具体的な例を、その製造方法の一例と共にいくつか記載する。但し、下記の製造方法についての例は、アクリル基を有するポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン又はアクリル基を有するポリエステル変性ポリジメチルシロキサンが下記の例に限定されることを意味するものではない。
例えば、従来公知の方法により得られる平均式(5)で表されるポリジメチルシロキサン、一般式(6)で表されるトリイソシアネート、及びエチレングリコールモノメタクリレートを用いたε−カプロラクトンの開環重合により調製される、一般式(7)で表される重合性反応基含有ポリエステルを1:2:4のモル比で用い、従来公知のウレタン結合形成反応により、平均式(8)で表されるポリジメチルシロキサン化合物が得られる。このとき、トリイソシアネート(6)中へポリジメチルシロキサン(5)を加えていきポリジメチルシロキサン(5)の両末端にウレタン結合を形成させた後に、重合性反応基含有ポリエステル(7)とのウレタン結合形成を行なうことで、副生成物〔例えばポリジメチルシロキサン(5)とトリイソシアネート(6)のみからなる副生成物や、重合性反応基含有ポリエステル(7)とトリイソシアネート(6)のみからなる副生成物等〕の生成を抑え、高収率で目的とするポリジメチルシロキサン(8)を得ることができる。
ここで、平均式(5)・(8)中のdは15〜20の整数、eは1〜5の整数、一般式(6)中のfは4〜8の整数、一般式(7)及び平均式(8)中のgは3〜5の整数である。また、平均式(5)・(8)において、Meはメチル基を表す。
この他にも、例えば従来公知の方法により得られた平均式(9)で表されるポリジメチルシロキサン、一般式(10)で表されるジイソシアネート、及びペンタエリスリトールトリアクリレートを用いたε−カプロラクトンの開環重合により調製される、一般式(11)で表される重合性反応基含有ポリエステルを1:2:2のモル比で用いて、従来公知のウレタン結合形成反応により、平均式(12)で表されるポリジメチルシロキサン化合物が得られる。このとき、ジイソシアネート(10)中へポリジメチルシロキサン(9)を加えていきポリジメチルシロキサン(9)の両末端にウレタン結合を形成させた後に、重合性反応基含有ポリエステル(11)とのウレタン結合形成を行なうことで、副生成物〔例えばポリジメチルシロキサン(9)とジイソシアネート(10)のみからなる副生成物や、重合性反応基含有ポリエステル(11)とジイソシアネート(10)のみからなる副生成物等〕の生成を抑え、高収率で目的とするポリジメチルシロキサン(12)を得ることができる。
ここで、平均式(9)中のhは25〜35の整数、iは1〜5の整数、一般式(10)中のjは5〜10の整数、及び一般式(11)中のkは3〜5の整数である。なお、平均式(12)において、hは29、iは5、jは6、及びkは5である。
さらに、例えば上記の2例を組み合わせて平均式(9)で表されるポリジメチルシロキサン、トリイソシアネート(6)、及び重合性反応基含有ポリエステル(11)を1:2:4のモル比で反応させ、(12)のアクリロイロキシ基を有するポリジメチルシロキサンを得ることもできる。
なお、この他にも、重合性反応基を有するポリエステル部分とポリウレタン部分を結合させた後にシロキサン骨格へ導入する方法や、重合性反応基の導入を最後に行なう方法等によりポリジメチルシロキサンを合成することも可能である。通常、一般式(3)で表される化合物は、単独乃至2種以上組み合わせで使用することができる。
また、重合性反応基を1分子中に1つ有するオルガノポリシロキサン、例えば、片末端(メタ)アクリロイロキシ変性ポリジメチルシロキサン、前記の特定構造を有するポリジオルガノシロキサン(アクリル基を有するポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン又はアクリル基を有するポリエステル変性ポリジメチルシロキサン)とを組み合わせて使用することもできる。
(b)アクリル基を有するポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン又はアクリル基を有するポリエステル変性ポリジメチルシロキサンは、低屈折率層用組成物中に、2.0〜8.0質量%含まれる。含有量が2.0質量%未満では、低屈折率層表面に付着した指紋の拭取り性が向上しない。一方、8.0質量%を越えると、低屈折率層表面を触った際の指紋の付着性を弱めることが出来ない。
〔(c)成分〕
(c)(a)成分及び(b)成分と共重合可能な重合性二重結合をもつ含フッ素化合物は、低屈折率層へ硬度を付与する事が出来る。(c)(a)成分及び(b)成分と共重合可能な重合性二重結合をもつ含フッ素化合物は、低屈折率層用組成物中に9.0〜70.0質量%含まれる。含有量が9.0質量%未満では、低屈折率層の硬度不足や、透過率の低下が生じる。一方、70.0質量%を越えると、指紋の拭取り性が向上しない。
(c)(a)成分及び(b)成分と共重合可能な重合性二重結合をもつ含フッ素化合物としては、特に制限されるものではないが、例えば含フッ素単官能(メタ)アクリレート、含フッ素多官能(メタ)アクリレート、含フッ素イタコン酸エステル、含フッ素マレイン酸エステル等の単量体、それらの重合体、及び重合性二重結合をもつ含フッ素反応性ポリマー等が挙げられる。
含フッ素単官能(メタ)アクリレートとしては、例えば1−(メタ)アクリロイロキシ−1−パーフルオロアルキルメタン、1−(メタ)アクリロイロキシ−2−パーフルオロアルキルエタン等が挙げられる。パーフルオロアルキル基は炭素数1〜8の直鎖状、分枝状又は環状のものが挙げられる。
含フッ素多官能(メタ)アクリレートとしては、含フッ素2官能(メタ)アクリレート、含フッ素3官能(メタ)アクリレート及び含フッ素4官能(メタ)アクリレートが好ましい。含フッ素2官能(メタ)アクリレートとしては、例えば1,2−ジ(メタ)アクリロイルオキシ−3−パーフルオロアルキルブタン、2−ヒドロキシ−1H,1H,2H,3H,3H−パーフルオロアルキル−2’,2’−ビス{(メタ)アクリロイルオキシメチル}プロピオナート、α,ω−ジ(メタ)アクリロイルオキシメチルパーフルオロアルカン等が挙げられる。パーフルオロアルキル基は炭素数1〜11の直鎖状、分枝状又は環状のものが、パーフルオロアルカン基は直鎖状のものが好ましい。これらの含フッ素2官能(メタ)アクリレートは、使用に際して単独又は混合物として用いることができる。
含フッ素3官能(メタ)アクリレートの例としては、例えば、2−(メタ)アクリロイルオキシ−1H,1H,2H,3H,3H−パーフルオロアルキル−2’,2’−ビス{(メタ)アクリロイルオキシメチル}プロピオナート等が挙げられる。パーフルオロアルキル基は炭素数1〜11の直鎖状、分枝状又は環状のものが好ましい。
含フッ素4官能(メタ)アクリレートの例としては、α,β,ψ,ω−テトラキス{(メタ)アクリロイルオキシ}−αH,αH,βH,γH,γH,χH,χH,ψH,ωH,ωH−パーフルオロアルカン等が好ましい。パーフルオロアルカン基は炭素数1〜14の直鎖状のものが好ましい。使用に際しては、含フッ素4官能(メタ)アクリレートは、単独又は混合物として用いることができる。
また、重合性二重結合をもつ含フッ素反応性ポリマーとしては、含フッ素エチレン性モノマーに由来する主鎖を有し、架橋硬化のための反応性基をもつものである。反応性基としては、(メタ)アクリロイルオキシ基、α−フルオロアクリロイルオキシ基、エポキシ基等が挙げられる。このような溶媒可溶性で重合性二重結合をもつ含フッ素反応性ポリマーは高分子量であるため、フッ素を含有しながらも成膜性が良好で、成膜後に反応性基を利用して架橋硬化することで硬化層を得ることができる。
係る重合性二重結合をもつ含フッ素反応性ポリマーは、重合性二重結合をもつ基の含有率が通常1〜20質量%、好ましくは5〜15質量%であり、また質量(重量)平均分子量が通常1,000〜500,000、好ましくは3,000〜200,000である。具体的な含フッ素反応性ポリマーとしては、下記一般式(13)で示されるパーフルオロ−(1,1,9,9−テトラハイドロ−2,5−ビストリフルオロメチル−3,6−ジオキサノネノール)を、下記一般式(14)で示される過酸化物で重合させて得られるホモポリマーに、α−フルオロアクリル酸フルオライド:CH2=CFCOFを反応させて水酸基をフルオロアクリレートに置換した生成物が挙げられる。
〔(d)成分〕
(d)中空シリカ微粒子は、屈折率を積極的に低くするために配合されるものである。中空シリカ微粒子の屈折率は製法によって異なるが、1.25〜1.37であることが好ましい。中空シリカ微粒子としては、屈折率を低くするものであれば特に限定されず、公知の中空シリカ微粒子を使用できる。具体的には、日揮触媒化成(株)製アクリル修飾中空シリカ微粒子スルーリア4320等が挙げられる。
(d)中空シリカ微粒子は、低屈折率層中に22.0〜83.0質量%含まれることが好ましい。(d)中空シリカ微粒子の含有量が22.0質量%未満では、低屈折率層の屈折率を後述の範囲とすることが出来ない。一方、(d)中空シリカ微粒子の含有量が83.0質量%より多いと、塗膜強度が弱くなるため好ましくない。
〔(e)成分〕
(e)光重合開始剤は、紫外線(UV)等の活性エネルギー線により低屈折率層用組成物を硬化させて塗膜を形成する際の重合開始剤として用いられる。(e)光重合開始剤としては、活性エネルギー線照射により重合を開始するものであれば特に限定されず、公知の化合物を使用できる。例えば、1−ヒドロキシシクロへキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン等のアセトフェノン系重合開始剤、ベンゾイン、2,2−ジメトキシ1,2−ジフェニルエタン−1−オン等のベンゾイン系重合開始剤、ベンゾフェノン、[4−(メチルフェニルチオ)フェニル]フェニルメタノン、4−ヒドロキシベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン等のベンゾフェノン系重合開始剤、2−クロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン等のチオキサントン系重合開始剤等が挙げられる。
(e)光重合開始剤は、低屈折率層用組成物中に1.0〜10.0質量%含まれる。(e)光重合開始剤の含有量が1.0質量%未満では、低屈折率層の硬化が不十分となる。一方、(e)光重合開始剤の含有量が10.0質量%を超えると、光重合開始剤が不必要に多くなり好ましくない。なお、上記(a)〜(e)成分の合計含有量は100質量%である。
〔ハードコート層、中屈折率層、高屈折率層及び低屈折率層の形成〕
ハードコート層、中屈折率層、高屈折率層及び低屈折率層の形成方法は特に制限されず、例えばドライコーティング法、ウェットコーティング法等の塗布方法により、各層用組成物を適宜溶剤で希釈して調整した各塗液を熱可塑性透明基材フィルムの一方面に、順に塗布し、硬化させる方法を採用することができる。塗布方法としては、生産性や生産コストの面より、特にウェットコーティング法が好ましい。ウェットコーティング法は公知の方法でよく、例えばロールコート法、ダイコート法、スピンコート法、そしてディップコート法等が代表的なものとして挙げられる。これらの中では、ロールコート法等、連続的に塗膜を形成できる方法が生産性の点より好ましい。形成された塗膜は、加熱や紫外線、電子線等の活性エネルギー線照射によって硬化反応を行うことにより硬化被膜を形成することができる。
<樹脂成形品>
本実施形態の成形物は、インサート成形融着法にて、樹脂を成形すると同時に、その成形物の表面に反射防止フィルムを一体化して得られる。例えば、反射防止フィルムを射出成形金型内のキャビティに保持し、溶融した樹脂を金型内に注入することで、表面に防眩性反射防止フィルムが一体化された成形物を得ることができる。
本実施形態の反射防止フィルムは、高い防汚性、かつ、高い反射防止効果を求められる樹脂成形品に好適に用いることができる。特に、電子画像表示装置の表面に使用することができる。電子画像表示装置としては、例えばタッチネル、カーナビ、電子黒板、プラズマディスプレイ、液晶表示装置、有機ELディスプレイ等が挙げられる。
以下に、実施例及び比較例を挙げて前記実施形態をさらに具体的に説明するが、本発明はそれら実施例の範囲に限定されるものではない。
〔熱可塑性透明基材フィルム〕
各実施例及び比較例において、熱可塑性透明基材フィルムとしては、以下のものを使用した。
ポリメチルメタクリレートフィルム(PMMA)
住友化学株式会社製「S014G」188μm
ポリカーボネートフィルム(PC)
住友化学(株)製「C000」188μm
ポリカーボネート層とポリメチルメタクリレート層との二層構造からなるフィルム(PC/PMMA)
住友化学株式会社製「C003」200μm
(ハードコート層用塗液α1−1及びα1−2の調製)
次の原料を使用し、各原料を下記表1に記載した組成にて混合し、ハードコート層用塗液α1−1及びα1−2を調製した。尚、各材料の配合量は、固形分の質量%を記載している。
<アクリル変性不飽和ジカルボン酸(無水物)グラフト化ポリオレフィン(A)>
下記製造例1で合成した水酸基含有メタクリレート変性無水マレイン酸グラフト化ポリオレフィン(A1)
<紫外線硬化型樹脂(B)>
ダイセル・サイテック(株)製「EBECRYL8402」
日本化薬(株)製「KAYARAD DPCA−20」
共栄社化学(株)製「ライトアクリレート1.9ND−A」
<光重合開始剤(C)>
チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製「IRGACURE184(I−184)」
<金属酸化物微粒子(D)>
シリカ微粒子(分散液)日産化学工業(株)製「MIBK−ST(固形分濃度30%)」
酸化チタン微粒子(分散液)CIKナノテック(株)製「RTTMIBK15WT%−N24(固形分濃度15%)」
〈製造例1:アクリル変性不飽和ジカルボン酸(無水物)グラフト化ポリオレフィン(A1)の合成〉
高分子ポリオレフィン(プロピレンと1−ブテンとの共重合体:三井化学社製「タフマーXR110T」)を攪拌機および温度計を備えた反応容器に入れ、360℃まで昇温して溶融させ、窒素気流下で80分間加熱することにより、熱減成による低分子ポリオレフィン(a1)を得た。
次に、攪拌機、温度計および冷却管を備えた反応容器に、前記低分子ポリオレフィン(a1)160部を入れ、窒素気流下で180℃まで昇温して溶融させたのち、無水マレイン酸25部と1−ドデセン20部を加え、均一に混合した。次いで、あらかじめ調製したキシレン20部にジクミルパーオキサイド1部を溶解させた溶液を180℃を維持しながら2時間かけて滴下し、滴下後さらに180℃で2時間攪拌し、無水マレイン酸のグラフト化反応を行なった。その後、減圧下でキシレンおよび1−ドデセンを留去して、無水マレイン酸グラフト化ポリオレフィン(aa1)を得た。
次に、攪拌機、温度計および冷却管を備えた反応容器に、前記無水マレイン酸グラフト化ポリオレフィン(aa1)450部を入れ、窒素気流下で105℃まで昇温し、該温度を維持するようにしながらトルエン300部を攪拌下で徐々に滴下した。次いで、水酸基含有メタクリレート(ダイセル化学工業社製「プラクセルFM4:CH2=C(CH3)COO(CH2)2O[CO(CH2)5O]nH」)135部を添加し、攪拌しながら同温度で3時間反応させたのち、冷却し、水酸基含有メタクリレート変性無水マレイン酸グラフト化ポリオレフィン(A1)の溶液を得た。得られた溶液の固形分濃度は66.1%であった。
(ハードコート層用塗液α2〜α5の調製)
α1−1と同じ材料を、表1に示す配合(質量部)にてα1と同様に調整した。なお、製造例α2〜α5には、シリカ微粒子(分散液)として日産化学工業(株)製、MIBK−ST(固形分濃度30%、粒子径15nm)、酸化チタン微粒子(分散液)としてCIKナノテック(株)製、RTTMIBK15WT%−N24をそれぞれ使用した。
(中屈折率層用塗液β1の調製)
紫外線硬化型樹脂としてウレタンアクリレート〔分子量1400、60℃における粘度が2500〜4500Pa・s、日本合成化学工業(株)製、紫光UV7600B〕76質量部、酸化チタン微粒子(分散液)〔CIKナノテック(株)製、RTTMEK25WT%−F02〕を固形分換算で24質量部、光重合開始剤〔チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、イルガキュア907〕を5質量部、及びメチルエチルケトン500質量部を混合し、中屈折率層用塗液(含酸化チタン微粒子硬化性塗液)を得た。
(中屈折率層用塗液β2〜β5の調製)
β1と同じ材料を、表2に示す配合(質量部)にてβ1と同様に調整した。
(高屈折率層用塗液γ1〜γ6の調製)
β1と同じ材料を、表3に示す配合(質量部)にてβ1と同様に調整した。なお、DPHAは、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートである。
((c)含フッ素化合物δ1の製造)
四つ口フラスコにパーフルオロ−(1,1,9,9−テトラハイドロ−2,5−ビスフルオロメチル−3,6−ジオキサノネノール)104部とビス(2,2,3,3,4,45,5,6,6,7,7−ドデカフルオロヘプタノイル)パーオキサイドの8質量%パーフルオロヘキサン溶液11部を入れた。そして、その中空部を窒素置換した後、窒素気流下20℃で24時間撹拌して高粘度の固体を得た。得られた固体をジエチルエーテルに溶解させたものをパーフルオロヘキサンに注ぎ、分離後に真空乾燥させてヒドロキシル基含有含フッ素アリルエーテル重合体である無色透明なポリマーを得た。
このポリマーを19F−NMR(核磁気共鳴スペクトル)、H−NMR、IR(赤外線吸収スペクトル)により分析したところ、ヒドロキシル基含有含フッ素アリルエーテル重合体である無色透明なポリマーの構造単位からなる側鎖末端に水酸基を有する含フッ素ポリマーであった。GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフ)により測定した数平均分子量は72,000、質量平均分子量は118,000あった。
得られたヒドロキシル基含有含フッ素アリルエーテルポリマー5部とメチルエチルケトン(MEK)43部、ピリジン1部を四つ口フラスコ中に仕込み、5℃以下に氷冷した。そして、窒素気流下で撹拌しながらα−フルオロアクリル酸フルオライド1部をMEK9部に溶解したものを10分間かけて滴下した。これにより、(a)成分及び(b)成分と共重合可能な重合性二重結合をもつ含フッ素化合物δ1の溶液を得た。
(低屈折率層用塗液LL1−1の調製)
低屈折率層用塗液LL1-1は、イソプロピルアルコール(IPA)を溶媒として、固形分濃度が5質量%となるように、(a)C2〜C7のパーフルオロアルキル鎖を含有する(メタ)アクリレート〔信越化学工業(株)製、DAC−HP〕5.0質量%と、(b)アクリル基を有するポリエステル変性ポリジメチルシロキサン〔ビックケミー・ジャパン(株)製、BYKUV−3570〕4.0質量%と、(c)溶媒可溶性の含フッ素反応性ポリマー(δ1)を固形分換算で43質量%と、(d)粒子径が60nmの中空シリカ微粒子〔日輝触媒化成工業株式会社製、スルーリア4320〕43質量%と、(e)光重合開始剤〔BASFジャパン株式会社製、イルガキュア907(I−907)〕5質量%とを混合して得た。
(低屈折率層用塗液LL1−2〜LL1−18の調製)
表4に示す配合(質量%)にて、LL1−1と同様に調整した。なお、(a)成分である「RS−75」は、DIC(株)製のC2〜C7のパーフルオロアルキル鎖を含有する(メタ)アクリレートである。また、(b)成分であるBYKUV−3500及びBYKUV−3530は、ビックケミー・ジャパン(株)製のアクリル基を有するポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンである。また、(e)成分であるI−184は、BASFジャパン株式会社製のイルガキュア184である。
(低屈折率層用塗液LL2−1〜LL2−12の調製)
表5に示す配合(質量%)にて、LL1−1と同様に調整した。なお、(a)成分である「F−558」は、DIC(株)製のC2〜C7のパーフルオロアルキル鎖を含有する(メタ)アクリレートである。また、(b)成分であるBYKUV331は、ビックケミー・ジャパン(株)製のアクリル基を有さないポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンである。
(実施例1−1)
ハードコート層形成用塗液α1を、住友化学(株)製ポリメチルメタクリレートフィルム「S014G、188μm」の一面に、ロールコーターにて乾燥膜厚が2μmとなるように塗布し、80℃で2分間乾燥した。なお、上記乾燥膜厚が実質的にハードコート層の膜厚である。その後、120W高圧水銀灯〔日本電池(株)製〕により紫外線を照射し(積算光量300mJ/cm)、ハードコート層用組成物を硬化させてハードコート層を形成した。
次いで、このハードコート層上に中屈折率層用塗液β1を、乾燥時の厚さが86nmとなるように塗布した後、窒素雰囲気下で紫外線照射装置(アイグラフィックス社製、120W高圧水銀灯)を用いて300mJの紫外線を照射し、中屈折率層用組成物を硬化させて中屈折率層を形成した。
さらに、この中屈折率層上に高屈折率層用塗液γ1を、乾燥時の厚さが142nmとなるように塗布した後、窒素雰囲気下で紫外線照射装置(アイグラフィックス社製、120W高圧水銀灯)を用いて300mJの紫外線を照射し、高屈折率層用組成物を硬化させて高屈折率層を形成した。
最後に、この高屈折率層上に低屈折率層用塗液LL1-1を乾燥時の厚さが99nmとなるように塗布した後、窒素雰囲気下で紫外線照射装置(アイグラフィックス社製、120W高圧水銀灯)を用いて300mJの紫外線を照射し、低屈折率層用組成物を硬化させて低屈折率層を形成した。
(実施例1−2〜1−23)
表6〜表8に示す構成にて、実施例1−1と同様に作製した。なお、熱可塑性透明基材フィルムとして「PC/PMMA」を用いた際は、ポリメチルメタクリレート層(PMMA層)上に各種層を形成した。
(比較例1−0〜1−13)
表9、表10に示す構成にて、実施例1-1と同様に作製した。なお、熱可塑性透明基材フィルムとして「PC/PMMA」を用いた際は、ポリメチルメタクリレート層(PMMA層)上に各種層を形成した。
得られた各実施例及び比較例の反射防止フィルムについて、下記特性を測定し評価した。その結果も表6〜表10に示す。
<膜厚>
膜厚の測定は、光学積層体の断面をTEM写真で観察することにより行った。
<屈折率(硬化膜屈折率)>
一方の面に易接着層が付与されている屈折率1.65のPETフィルム〔商品名:「A4100」、東洋紡(株)製〕を基材として、易接着層が付与されていない面上に測定したい被膜を100nm程度の膜厚で形成し、測定用フィルムを作成した。反射分光膜厚計(大塚電子(株)製「FE3000」を持いてフィルム上に形成された被膜について270〜1040nmの範囲で絶対反射率を測定した。得られた絶対反射率のスペクトルの実測値から、代表的な波長分散の近似式としてn-Cauchyの分散式を引用し、未知のパラメーターを絶対反射率のスペクトル非線形最小二乗法によって求めて、波長589nmにおける屈折率を算出した。
<視感度反射率>
測定面の裏面反射を除くため、裏面をサンドペーパーで粗し、黒色塗料で塗り潰したものを分光光度計〔日本分光(株)製、商品名:U−best560〕により、光の波長380nm〜780nmの5°、−5°正反射スペクトルを測定した。得られる光の波長380nm〜780nmの分光反射率と、CIE標準イルミナントD65の相対分光分布を用いて、JIS Z8701で想定されているXYZ表色系における、反射による物体色の三刺激値Yを視感度反射率(%)とした。
<500〜650nmの領域における反射率の最大値と最小値の差>
測定面の裏面反射を除くため、裏面をサンドペーパーで粗し、黒色塗料で塗り潰したものを分光光度計〔日本分光(株)製、商品名:U−best560〕により、光の波長380nm〜780nmの5°、−5°正反射スペクトルを測定した。得られる光の波長380nm〜780nmの分光反射率の500〜650nmの領域における反射率の最大値と最小値の差を読み取った。
<指紋拭取り性>
人工指脂液(尿素1g、乳酸4.6g、ピロリン酸ナトリウム8g、食塩7g、エタノール20mLを蒸留水で1Lに希釈したもの)を1滴反射防止フィルム表面に滴下する。その後、日本製紙クレシア(株)製キムワイプを用い、人工指脂液を馴染ませる。続いて、東レ(株)製トレシーを用いて5往復拭取りを実施した後、表面の跡を目視で観察し下記の3段階で評価した。
○:人工指脂液の跡が無い場合
△:人工指脂液の跡が一部残る場合
×:人工指脂液の跡が残る場合
<成形品におけるクラックの有無>
以下の条件にてインサート成形にて樹脂成形品を作成し、目視にて確認し、クラック等の亀裂の有無を確認した。
○:クラック等の亀裂なし、△:曲面部分に僅かにクラック等の亀裂あり、×:クラック等の亀裂が目立つ
インサート成形用反射防止フィルムの成形品への融着:反射防止フィルムを熱可塑性透明基材フィルムが溶融したポリカーボネート樹脂に接するように(平面形状と曲率半径R=0.5mmとなる曲面形状を有する)射出成形金型内のキャビティに保持し、360℃程度の温度で溶融させたポリカーボネート樹脂を、29400kPaの圧力にて金型内に注入し、放冷した。すなわち、成形と同時に融着するインサート成形融着法にて反射防止フィルムフィルムの融着を行うことで、成形品上に反射防止層が付与された。
<耐擦傷性>
反射防止フィルム表面を#0000のスチールウールに100gfの荷重をかけて、ストローク幅25mm、速度30mm/secで10往復摩擦したあとの表面を目視で観察し、以下の◎、○、×で評価した。スチールウールは約10mmφにまとめ、表面が均一になるようにカット、摩擦して均したものを使用した。
◎:傷が0〜10本 ○:傷が11本から20本 ×:傷が21本以上
<着色抑制効果>
10cm×10cmサイズのガラス板の片面にアクリル系粘着シートを使用して反射防止フィルムを貼り合せ、もう片方の面に黒色フィルムを貼り合せたサンプルを作製した。このサンプルを、三波長蛍光灯管の下で観察し、裏面の黒色フィルムの黒色が、自然な黒色に見える場合を○、反射防止フィルムの着色があり自然な黒には見えないが、黒っぽく見える場合を△、黒色が白茶けたり、反射防止フィルムの着色がきつく、黒っぽく見えない場合を× として評価した。
<反射色abクロマ及び彩度Cab*>
測定面の裏面反射を除くため、裏面をサンドペーパーで粗し、黒色塗料で塗り潰したものを分光光度計〔日本分光(株)製、商品名:U−best560〕により、光の波長380nm〜780nmの5°、−5°正反射スペクトルを測定した。得られる光の波長380nm〜780nmの分光反射率と、CIE標準イルミナントD65の相対分光分布を用いて、JISZ8720に規定される色空間CIE1976L*a*b*表色系を計算し、求めたa*、b*値から彩度Cab*={(a*)2+(b*)21/2を計算した。
表6〜表8に示される各実施例の結果より、熱可塑性透明基材フィルム上に、ハードコート層、中屈折率層、高屈折率層、低屈折率層の4層がこの順で設けられており、低屈折率層の屈折率は4層のうちで最も低く、高屈折率層の屈折率は4層のうちで最も高く、中屈折率層の屈折率は、ハードコート層及び低屈折率層の屈折率より高く且つ高屈折率層の屈折率より低く設定されていることにより、視感度反射率が0.5%未満と低く、優れた反射防止機能を発揮することができる。且つ、光の波長500〜650nmの領域における反射率の最大値と最小値の差が1%以下となり、この波長領域の光に対する反射率をフラット化して、反射防止機能のばらつきを抑制することができる。これに対し、比較例1−13から、中屈折率層よりもハードコート層の屈折率が高い場合には、反射防止機能を発揮しつつも、反射光の着色抑制効果が劣る問題が生じた。
また、表6〜表8に示される各実施例の結果より、低屈折率層が、(a)C2〜C7のパーフルオロアルキル鎖を含有する(メタ)アクリレート5.0〜15.0質量%と、(b)アクリル基を有するポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン又はアクリル基を有するポリエステル変性ポリジメチルシロキサン2.0〜8.0質量%と、(c)前記(a)成分及び(b)成分と共重合可能な重合性二重結合をもつ含フッ素化合物9.0〜70.0質量%と、(d)中空シリカ微粒子22.0〜83.0質量%と、(e)光重合開始剤1.0〜10.0質量%とからなり、(b)成分の含有量が(a)成分の含有量より少ないことで、指紋拭取り性に優れることが明らかとなった。これに対し表9〜表10の結果より、比較例1−1〜1−9は、それぞれ下記の理由により指紋拭き取り性が悪い。
比較例1-1:(a)成分の含有量が少ない。
比較例1-2:(a)成分の含有量が多い。
比較例1-3:(b)成分がない。
比較例1-4:(b)成分の含有量が少ない。
比較例1-5:(b)成分の含有量が多い。
比較例1-6:(b)成分の含有量が多く、かつ、(b)>(a)。
比較例1-7:(a)成分の含有量と(b)成分の含有量が等しい。
比較例1-8:(a)成分の含有量が(b)成分の含有量より少ない。
比較例1-9:(a)成分の含有量と(b)成分の含有量が等しい。
また、比較例1−10の結果から、低屈折率層に(e)光重合開始剤を含まない場合は、耐擦傷性が劣ることから、表面硬度が十分でないことがわかる。また、(a)成分又は(b)成分に重合性基のない化合物を使用した比較例1−11及び比較例1−12でも、耐擦傷性が劣り、ハードコート層の硬度が十分でなく、(c)成分が(a)成分及び(b)成分の双方と共重合することで、表面硬度を担保しながら、指紋拭取り性を得られることが明らかとなった。
また、表6〜表8に示される各実施例の結果と比較例1−0(表9)の結果より、ハードコート層がアクリル変性不飽和ジカルボン酸(無水物)グラフト化ポリオレフィン(A)を含むと、インサート成形時にクラックが生じにくいことが明らかとなった。ここで、比較例1−2及び1−3の結果も併せて参照すると、ハードコート層が厚くなるほど曲面形状でクラックが生じやすくなる傾向があり、ハードコート層は20μm未満であるのが好ましい。より好ましくは、ハードコート層は15μm以下である。
また、実施例1−20〜1−23と他の実施例の結果との比較から、下記(I)〜(IV)式を満たすと、反射光の着色を抑制する効果が高まることが明らかとなった。
nM-nHC≧0.05・・・(I)
450nm/4nM<dM<560nm/4nM・・・(II)
450nm/2nH<dH<560nm/2nH・・・(III)
450nm/4nL<dL<560nm/4nL・・・(IV)

Claims (5)

  1. 熱可塑性透明基材フィルム上に、ハードコート層、中屈折率層、高屈折率層、低屈折率層の4層がこの順で設けられており、
    前記低屈折率層の屈折率は、前記4層のうちで最も低く、
    前記高屈折率層の屈折率は、前記4層のうちで最も高く、
    前記中屈折率層の屈折率は、前記ハードコート層及び前記低屈折率層の屈折率より高く且つ前記高屈折率層の屈折率より低く、
    前記低屈折率層が、
    (a)C2〜C7のパーフルオロアルキル鎖を含有する(メタ)アクリレート5.0〜15.0質量%と、
    (b)アクリル基を有するポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン又はアクリル基を有するポリエステル変性ポリジメチルシロキサン2.0〜8.0質量%と、
    (c)前記(a)成分及び(b)成分と共重合可能な重合性二重結合をもつ含フッ素化合物9.0〜70.0質量%と、
    (d)中空シリカ微粒子22.0〜83.0質量%と、
    (e)光重合開始剤1.0〜10.0質量%とからなり、
    前記(b)成分の含有量が前記(a)成分の含有量より少なく、且つ、前記(a)〜(e)成分の合計が100質量%である低屈折率層用組成物を硬化させてなり、
    前記ハードコート層は、アクリル変性不飽和ジカルボン酸(無水物)グラフト化ポリオレフィン(A)を含む、インサート成形用反射防止フィルム。
  2. 前記ハードコート層の屈折率が1.50〜1.56、
    前記中屈折率層の屈折率が1.57〜1.63、
    前記高屈折率層の屈折率が1.77〜1.83、
    前記低屈折率層の屈折率が1.29〜1.37
    である、請求項1に記載のインサート成形用反射防止フィルム。
  3. 前記ハードコート層の屈折率をnHC、膜厚をdHC、前記中屈折率層の屈折率をnM、膜厚をdM、前記高屈折率層の屈折率をnH、膜厚をdH、前記低屈折率層の屈折率をnL、膜厚をdLとした場合、下記(I)〜(IV)が成り立つ、請求項1または請求項2に記載のインサート成形用反射防止フィルム。
    nM-nHC≧0.05・・・(I)
    450nm/4nM<dM<560nm/4nM・・・(II)
    450nm/2nH<dH<560nm/2nH・・・(III)
    450nm/4nL<dL<560nm/4nL・・・(IV)
  4. 前記熱可塑性透明基材フィルムが、ポリカーボネート層とポリメチルメタクリレート層との二層構造からなり、
    前記ハードコート層はポリメチルメタクリレート層上に形成されている、請求項1から請求項3のうちいずれか一項に記載のインサート成形用反射防止フィルム。
  5. 請求項1から請求項4のうちいずれか一項に記載のインサート成形用反射防止フィルムを表面に備える、樹脂成形品。
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