JP6233042B2 - インモールド成形用反射防止フィルム及びそれを用いた成形物 - Google Patents
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Description
更に、ハードコート層と色調補正層1との間に、色調補正層2を備えたことで、より視認性に優れた指紋の拭取り性に優れるインモールド成形に適した反射防止フィルムを提供することができる。
加えて、熱可塑性透明基材フィルムが、ポリカーボネート層とポリメチルメタクリレート層との2層構造からなり、前記ハードコート層をポリメチルメタクリレート層上に形成したことで、印刷特性に優れた指紋の拭取り性に優れるインモールド成形に適した反射防止フィルムを提供することができる。
本実施形態のインモールド成形に適した反射防止フィルムは、熱可塑性透明基材フィルムの一方の面にハードコート層が積層されており、ハードコート層側の最表層として色調補正層1が積層された構成である。また、ハードコート層と色調補正層1との間には、色調補正層2を設けることもできる。
熱可塑性透明基材フィルムは、ポリカーボネート樹脂、又はポリメチルメタクリレート樹脂からなるフィルムを使用でき、特に、ポリカーボネート層及びポリメチルメタクリレート層との2層構造からなるフィルムが好ましい。透明基材フィルムの膜厚は通常30〜250μm、好ましくは125〜188μmである。また、熱可塑性透明基材フィルムの屈折率は、1.49〜1.59であることが好ましい。
ハードコート層は、表面硬度向上のため熱可塑性透明基材フィルム上に設けられる。ハードコート層の屈折率は、1.49〜1.59であることが好ましい。屈折率が1.49未満の場合、熱可塑性透明基材フィルムとハードコート層との屈折率差が大きくなり、干渉縞が発生するため好ましくない。屈折率が1.59よりも大きい場合、屈折率を大きくするためにハードコート層へ高屈折率材料を多く添加する必要があるが、高屈折率材料に起因した光の吸収及び、光の散乱が発生し、ハードコート層が着色し、且つ、全光線透過率が低下するため好ましくない。またハードコート層の乾燥硬化後の膜厚は、1〜20μmが好ましい。膜厚が1μmより薄い場合は、十分な表面硬度が得られないため好ましくない。膜厚が20μmより厚い場合は、屈曲性の低下等の問題が生じるため好ましくない。ハードコート層は、下記ハードコート層用樹脂組成物を硬化させてなる。
本発明のハードコート層用樹脂組成物は、この種のハードコート層に一般的に用いられる材料であれば特に制限されないが、アクリル変性不飽和ジカルボン酸(無水物)グラフト化ポリオレフィン(A)及び少なくとも1種の紫外線硬化型樹脂(B)の少なくとも一方と、光重合開始剤(C)とを含有してなるものが好ましい。光重合開始剤(C)とともにアクリル変性不飽和ジカルボン酸(無水物)グラフト化ポリオレフィン(A)を含有することにより、熱可塑性透明基材フィルムに対して優れた密着性を発揮することができ、紫外線硬化型樹脂(B)を少なくとも1種を含有することにより、適度な流動性を付与することができる。
色調補正層1の屈折率は、ハードコート層の屈折率、更に、色調補正層2が存在する場合は色調補正層2の屈折率より低く設定されることを要件とし、その屈折率は1.33〜1.46が好ましい。該屈折率が1.33未満の場合には、塗膜中に含まれる屈折率を低下させるために配合する微粒子の量が多くなり、十分に硬い層を形成することが困難である。その一方、屈折率が1.46を超える場合には十分な反射防止性能を得ることが難しい。また、色調補正層1は0.05〜0.25μmであることが好ましい。色調補正層1は、色調補正層1用樹脂組成物を紫外線等により硬化させた硬化物からなり、その組成を以下において説明する。
色調補正層1用樹脂組成物は、(a)フッ素含有紫外線硬化型樹脂5.0〜15.0質量%、(b)アクリル基を有するポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン又はアクリル基を有するポリエステル変性ポリジメチルシロキサン2.0〜8.0質量%、(c)(a)及び(b)と共重合可能な紫外線硬化型樹脂9.0〜70.0質量%、(d)中空シリカ微粒子22.0〜83.0質量%、(e)光重合開始剤1.0〜10.0質量%からなり、(b)の質量%が、(a)の質量%より少なく、更に、(a)(b)(c)(d)(e)の合計は、100質量%である。
続いて、色調補正層2について説明する。該色調補正層2は、上述の色調補正層1との有意な屈折率差により、反射防止効果を向上させるための層である。色調補正層2の屈折率は、ハードコート層及び色調補正層1より高く設定されており、色調補正層2の屈折率は1.6〜2.1である。この屈折率が1.6より小さい場合、反射防止性能を向上することができない。一方、屈折率が2.1を超える色調補正層2を形成することは現状では困難である。また、色調補正層2の乾燥硬化後の膜厚は、0.05〜0.25μmが好ましい。上記範囲外では、光の干渉による反射防止の効果が不十分となる。更に、色調補正層2は、金属酸化物微粒子と活性エネルギー線硬化型樹脂とを混合してなる色調補正層2用樹脂組成物を紫外線等により硬化させた硬化物からなる。
この色調補正層2用樹脂組成物を構成する材料としては、前記色調補正層2の屈折率の範囲において、金属酸化物微粒子及び紫外線硬化型樹脂を任意に用いることができる。金属酸化物微粒子は、屈折率を積極的に高めるために配合されるものである。金属酸化物微粒子としては、例えば酸化亜鉛、酸化チタン、酸化セリウム、酸化アルミニウム、酸化シラン、酸化アンチモン、酸化ジルコニウム、酸化錫、ITO等の微粒子が挙げられる。特に、導電性や帯電防止能の観点より、酸化錫、酸化アンチモン及びITOが好ましく、高屈折率の観点より、酸化チタン、酸化セリウム、酸化亜鉛及び酸化ジルコニウムが好ましい。金属酸化物微粒子の平均粒子径は色調補正層2の厚みを大きく超えないことが好ましく、特に0.15μm以下であることが好ましい。金属酸化物微粒子の平均粒子径が色調補正層2の厚みより大きくなると、光の散乱が生じる等、色調補正層2の光学性能が低下する傾向にある。
ハードコート層、色調補正層2及び色調補正層1は、各樹脂組成物を透明基材フィルム上へ順に塗布した後に、活性エネルギー線照射により硬化することで形成される。ハードコート層用樹脂組成物、色調補正層2用樹脂組成物及び色調補正層1用樹脂組成物の塗布方法は特に制限されず、例えばロールコート法、スピンコート法、ディップコート法、スプレーコート法、バーコート法、ナイフコート法、ダイコート法、インクジェット法、グラビアコート法等公知のいかなる方法も採用できる。また、活性エネルギー線の種類は特に制限されないが、利便性等の観点から紫外線を用いることが好ましい。尚、ハードコート層の透明基材フィルムに対する密着性を向上させるために、予め透明基材フィルム表面にコロナ放電処理等の前処理を施すことも可能である。また、塗工性の観点から、各樹脂組成物は溶媒に希釈し塗工することが好ましい。溶媒としては、各層形成用の塗液に従来から使用されている公知のものであれば特に制限は無く、例えばアルコール系、ケトン系、エステル系の溶媒が適時選択できる。
本発明の成形物は、反射防止フィルムの色調補正層1が表面に位置するようにインモールド成形された構成である。インモールド成形に用いられる熱可塑性樹脂は、インモールド成形に従来から使用されている公知の樹脂のうち、透明であり反射防止フィルムに融着する樹脂であれば特に限定されず、例えばポリカーボネートなどが適宜選択される。
インモールド成形物は、反射防止フィルムの色調補正層1とは反対側の面を射出成形金型内のキャビティに向くように保持し、溶融させた熱可塑性樹脂を金型内に注入することによって、前記反対側の面に熱可塑性樹脂が融着するように形成される。熱可塑性樹脂の溶融温度、金型への注入圧力は、熱可塑性樹脂の種類等に応じて適宜選択される。
各実施例及び比較例において、熱可塑性透明基材フィルムとしては、以下のものを使用した。
ポリカーボネートフィルム(PC)
住友化学株式会社製「C000」188μm
ポリメチルメタクリレートフィルム(PMMA)
住友化学株式会社製「S014G」188μm
ポリカーボネート層とポリメチルメタクリレート層との2層構造からなるフィルム(PC/PMMA)
住友化学株式会社製「C001」188μm
ハードコート層用樹脂組成物として、次の原料を使用し、各原料を下記表1に記載した組成にて混合し、ハードコート層用樹脂組成物HC1−1を調製した。尚、各材料の配合量は、固形分の質量%を記載している。ハードコート層用樹脂組成物の各原料としては、以下の通りである。
アクリル変性不飽和ジカルボン酸(無水物)グラフト化ポリオレフィン(A)
下記製造例1で合成した水酸基含有メタクリレート変性無水マレイン酸グラフト化ポリオレフィン(A1)
紫外線硬化型樹脂(B)
ダイセル・サイテック(株)製「EBECRYL8402」
日本化薬(株)製「KAYARAD DPCA−20」
共栄社化学(株)製「ライトアクリレート1.9ND−A」
光重合開始剤(C)
チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製「IRGACURE184(I−184)」
〔製造例1:アクリル変性不飽和ジカルボン酸(無水物)グラフト化ポリオレフィンの合成〕
高分子ポリオレフィン(プロピレンと1−ブテンとの共重合体:三井化学社製「タフマーXR110T」)を攪拌機および温度計を備えた反応容器に入れ、360℃まで昇温して溶融させ、窒素気流下で80分間加熱することにより、熱減成による低分子ポリオレフィン(a1)を得た。
次に、攪拌機、温度計および冷却管を備えた反応容器に、前記低分子ポリオレフィン(a1)160部を入れ、窒素気流下で180℃まで昇温して溶融させたのち、無水マレイン酸25部と1−ドデセン20部を加え、均一に混合した。次いで、あらかじめ調製したキシレン20部にジクミルパーオキサイド1部を溶解させた溶液を180℃を維持しながら2時間かけて滴下し、滴下後さらに180℃で2時間攪拌し、無水マレイン酸のグラフト化反応を行なった。その後、減圧下でキシレンおよび1−ドデセンを留去して、無水マレイン酸グラフト化ポリオレフィン(aa1)を得た。
次に、攪拌機、温度計および冷却管を備えた反応容器に、前記無水マレイン酸グラフト化ポリオレフィン(aa1)450部を入れ、窒素気流下で105℃まで昇温し、該温度を維持するようにしながらトルエン300部を攪拌下で徐々に滴下した。次いで、水酸基含有メタクリレート(ダイセル化学工業社製「プラクセルFM4:CH2=C(CH3)COO(CH2)2O[CO(CH2)5O]nH」)135部を添加し、攪拌しながら同温度で3時間反応させたのち、冷却し、水酸基含有メタクリレート変性無水マレイン酸グラフト化ポリオレフィン(A1)の溶液を得た。得られた溶液の固形分濃度は66.1%であった。
(1)PETフィルム〔商品名「A4100」、東洋紡績(株)製〕上に、バーコーターにより、各層用塗液をそれぞれ乾燥硬化後の膜厚で100〜500nmになるように層の厚さを調整して塗布した。乾燥後、紫外線照射装置〔岩崎電気(株)製〕により窒素雰囲気下で120W高圧水銀灯を用いて、400mJの紫外線を照射して硬化し、屈折率測定用フィルムを作製した。
(2)作製したフィルムの裏面をサンドペーパーで荒らし、黒色塗料で塗りつぶしたものを反射分光膜厚計〔「FE-3000」、大塚電子(株)製〕により、反射スペクトルを測定した。
(3)反射スペクトルより読み取った反射率から、下記に示すn-Cauchyの波長分散式(式1)の定数を求め、光の波長589nmにおける屈折率を求めた。
N(λ)=a/λ4+b/λ2+c (式1)
a、b、c:波長分散定数
色調補正層2用樹脂組成物として、次の原料を使用し、各原料を下記表2に記載した組成にて混合し、色調補正層2用樹脂組成物H1−1〜H1−4を調製した。尚、各材料の配合量は、固形分の質量%を記載している。色調補正層2用樹脂組成物の各原料としては、以下の通りである。
金属酸化物微粒子
シーアイ化成(株)製「ZRMEK25%−F47」(酸化ジルコニウム微粒子分散液)
シーアイ化成(株)製「RTTMIBK15WT%−N24」(酸化チタン微粒子分散液)
紫外線硬化型樹脂
日本合成化学工業(株)製「紫光UV−7600B」
光重合開始剤
チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製「IRGACURE907(I−907)、IRGACURE184(I−184)」
色調補正層1用樹脂組成物として次の原料を使用し、各原料を下記表3、4に記載した組成にて、(a)フッ素含有紫外線硬化型樹脂と、(b)アクリル基を有するポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン又はアクリル基を有するポリエステル変性ポリジメチルシロキサンと、(c)(a)及び(b)と共重合可能な紫外線硬化型樹脂と、(d)中空シリカ微粒子と、(e)光重合開始剤とを混合し、色調補正層1用樹脂組成物L1−1〜L1−15、L2−1〜L2−12を調製した。尚、各材料の配合量は、固形分の質量%を記載している。色調補正層1用樹脂組成物の各原料としては、以下の通りである。
(a)フッ素含有紫外線硬化型樹脂
ダイキン工業(株)製「オプツールDAC−HP」
DIC(株)製「メガファックRS−75」
(b)アクリル基を有するポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン又はアクリル基を有するポリエステル変性ポリジメチルシロキサン
ビックケミー・ジャパン(株)製「BYK−UV 3500,BYK−UV 3530, BYK−UV 3570」
(c)(a)及び(b)と共重合可能な紫外線硬化型樹脂
日本化薬(株)製「KAYARAD DPHA」
日本合成化学工業(株)製「紫光UV−7600B」
(d)中空シリカ微粒子
日揮触媒化成(株)製「アクリル修飾中空シリカ微粒子 スルーリアNAU」
(e)光重合開始剤
チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製「IRGACURE907(I−907)、IRGACURE184(I−184)」
住友化学(株)製ポリメチルメタクリレートフィルム「S014G、188μm」の一面に、ハードコート用樹脂組成物(HC1−1)及び溶媒(メチルイソブチルケトン)を1:1の割合で混合したハードコート層用塗液をバーコーターにて硬化後の膜厚が2μmとなるように塗布し、120W高圧水銀灯にて400mJの紫外線を照射して硬化させることによりハードコート層を形成した。
次に、このハードコート層上に、色調補正層1用樹脂組成物(L1−1)及び溶媒(メチルイソブチルケトン)を1:5の割合で混合した色調補正層1用塗液をバーコーターにて硬化後の膜厚が0.1μmとなるように塗布し、窒素雰囲気下、120W高圧水銀灯にて400mJの紫外線を照射して硬化させることにより反射防止フィルム(F1−1)を作製した。
得られた反射防止フィルムについて、指紋拭取り性、耐擦傷性、最小反射率、印刷特性を下記方法で測定した。その結果を下記表5に示す。
熱可塑性透明基材フィルム、ハードコート用樹脂組成物、色調補正層1用樹脂組成物を下記表5に記載した材料及び各層の組合せとした以外は、実施例1−1と同様にして、反射防止フィルム(F1−2〜F1−15)を作製した。得られた反射防止フィルムについて、指紋拭取り性、耐擦傷性、最小反射率、印刷特性を下記方法で測定した。その結果を下記表5に示す。なお、熱可塑性透明基材フィルムとして「PC/PMMA」を用いた際は、ポリメチルメタクリレート層(PMMA層)上に各種層を形成した。
人工指脂液(尿素1g、乳酸4.6g、ピロリン酸ナトリウム8g、食塩7g、エタノール20mLを蒸留水で1Lに希釈したもの)1滴を反射防止フィルム表面(色調補正層1表面)に滴下する。その後、日本製紙クレシア(株)製キムワイプを用い、人工指脂液を馴染ませる。続いて、東レ(株)製トレシーを用いて5往復拭取りを実施した後、表面の跡を目視で観察し下記の3段階で評価した。
○:人工指脂液の跡が無い場合
△:人工指脂液の跡が一部残る場合
×:人工指脂液の跡が残る場合
反射防止フィルム表面を#0000のスチールウールに250gfの荷重をかけて、ストローク幅25mm、速度30mm/secで10往復摩擦したあとの表面を目視で観察し、以下の○、×で評価した。
※スチールウールは約10mmφにまとめ、表面が均一になるようにカット、摩擦して均したものを使用した。
○:傷が0〜10本
×:傷が11本以上
反射防止フィルムの裏面反射を防ぐため、裏面をサンドペーパーで粗し、黒色塗料で塗り潰したものを分光光度計[日本分光(株)製、商品名:U−best560]により、光の波長380nm〜780nmの5°、−5°正反射スペクトルを測定した。得られた反射スペクトルより、最小反射率(%)を読み取った。
色調補正層1と反対側の熱可塑性透明基材フィルム上へ、帝国インキ製造(株)製インキ(ISX−971−墨)をバーコーターにて硬化後の膜厚が20μmとなるように塗布した後、90℃で90分間加熱乾燥を実施した。その後、インキ面にニチバン(株)製セロテープ(登録商標)を貼り付け、セロテープ(登録商標)を剥がした際のインキの剥れの状態を下記の3段階で評価した。
◎:剥れ無し
○:一部剥れあり
×:全て剥れた
住友化学(株)製ポリメチルメタクリレートフィルム「S014G、188μm」の一面に、ハードコート用樹脂組成物(HC1−1)及び溶媒(メチルイソブチルケトン)を1:1の割合で混合したハードコート層用塗液をバーコーターにて硬化後の膜厚が2μmとなるように塗布し、120W高圧水銀灯にて400mJの紫外線を照射して硬化させることによりハードコート層を形成した。
次に、このハードコート層上に、色調補正層2用樹脂組成物(H−1)及び溶媒(メチルイソブチルケトン)を1:5の割合で混合した色調補正層2用塗液をバーコーターにて硬化後の膜厚が0.1μmとなるように塗布し、窒素雰囲気下、120W高圧水銀灯にて400mJの紫外線を照射して硬化させることにより色調補正層2を形成した。
最後に、この色調補正層2上に、色調補正層1用樹脂組成物(L1−1)及び溶媒(メチルイソブチルケトン)を1:5の割合で混合した色調補正層1用塗液をバーコーターにて硬化後の膜厚が0.1μmとなるように塗布し、窒素雰囲気下、120W高圧水銀灯にて400mJの紫外線を照射して硬化させることにより反射防止フィルム(F2−1)を作製した。
得られた反射防止フィルムについて、指紋拭取り性、耐擦傷性、最小反射率、印刷特性を上記方法で測定した。結果を下記表6に示す。
熱可塑性透明基材フィルム、ハードコート用樹脂組成物、色調補正層2用樹脂組成物、色調補正層1用樹脂組成物を下記表6に記載した材料及び各層の組合せとした以外は、実施例2−1と同様にして、反射防止フィルム(F2−2〜F2−15)を作製した。得られた反射防止フィルムについて、指紋拭取り性、耐擦傷性、最小反射率、印刷特性を上記方法で測定した。その結果を下記表6に示す。なお、熱可塑性透明基材フィルムとして「PC/PMMA」を用いた際は、ポリメチルメタクリレート層(PMMA層)上に各種層を形成した。
実施例1−1〜1−15、実施例2−1〜2−15の各反射防止フィルム(F1−1〜F1−15、F2−1〜F2−15)の色調補正層1とは反対側の面が溶融したポリカーボネート樹脂に接するように射出成形金型内のキャビティに保持し、360℃程度の温度で溶融させたポリカーボネート樹脂を、29400kPaの圧力にて金型内に注入し、放冷した。すなわち、成形と同時に融着するインモールド成形融着法にてインモールド成形用反射防止フィルムの融着を行うことで、成形物上に反射防止機能が付与された。
得られた成形物について、指紋拭取り性、耐擦傷性、最小反射率を上記方法で測定した。結果を下記表7、表8に示す。
熱可塑性透明基材フィルム、ハードコート用樹脂組成物、色調補正層1用樹脂組成物を下記表7に記載した材料及び各層の組合せとした以外は、実施例1−1と同様にして、反射防止フィルム(F3−1〜F3−12)を作製した。得られた反射防止フィルムについて、指紋拭取り性、耐擦傷性、最小反射率、印刷特性を上記方法で測定した。その結果を下記表9に示す。
熱可塑性透明基材フィルム、ハードコート用樹脂組成物、色調補正層2用樹脂組成物、色調補正層1用樹脂組成物を下記表8に記載した材料及び各層の組合せとした以外は、実施例2−1と同様にして、反射防止フィルム(F4−1〜F4−13)を作製した。得られた反射防止フィルムについて、指紋拭取り性、耐擦傷性、最小反射率、印刷特性を上記方法で測定した。その結果を下記表10に示す。
比較例1−1〜1−12、比較例2−1〜2−13の各反射防止フィルム(F3−1〜F3−12、F4−1〜F4−13)の色調補正層1とは反対側の面が溶融したポリカーボネート樹脂に接するように射出成形金型内のキャビティに保持し、360℃程度の温度で溶融させたポリカーボネート樹脂を、29400kPaの圧力にて金型内に注入し、放冷した。すなわち、成形と同時に融着するインモールド成形融着法にてインモールド成形用反射防止フィルムの融着を行うことで、成形物上に反射防止機能が付与された。
得られた成形物について、指紋拭取り性、耐擦傷性、最小反射率を上記方法で測定した。結果を下記表11、表12に示す。
更に、実施例2−1〜2−15では、ハードコート層と色調補正層1との間に、本発明で規定される範囲にて色調補正層2を形成したことから、より視認性に優れ、防汚性に優れたインモールド成形に適した反射防止フィルムを作製することが出来た。
実施例3−1〜3−15、実施例4−1〜4−15では、実施例1−1〜1−15、実施例2−1〜2−15のインモールド成形用反射防止フィルムを用いたインモールド成形融着法によって作製した成形物においても、視認性に優れ、防汚性に優れることを実証することが出来た。
その一方、比較例1−1〜1−9、及び比較例2−1〜2−9は、(a)フッ素含有紫外線硬化型樹脂と、(b)アクリル基を有するポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン又はアクリル基を有するポリエステル変性ポリジメチルシロキサンの配合が適切でないことから、指紋拭取り性が悪い結果となった。比較例1−10、及び比較例2−10は、光開始剤の配合量が本発明で規定される範囲外であることから、耐擦傷性が低く、硬度に劣る結果となった。比較例1−11、及び比較例2−11は、フッ素含有紫外線硬化型樹脂でなく、フッ素を含有し紫外線硬化しない樹脂を用いたことから、耐擦傷性が弱い結果となった。比較例1−12、及び比較例2−12は、アクリル基を有するポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン又はアクリル基を有するポリエステル変性ポリジメチルシロキサンでなく、アクリル基を含有しないポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンを用いたことから、耐擦傷性が弱い結果となった。比較例2−13は、色調補正層2用樹脂組成物が本発明で規定される範囲外であることから、ハードコート層と色調補正層1との間に色調補正層2を形成したにも係らず、実施例2−1〜2−15のように更なる反射率の低減には至らなかった。
比較例3−1〜3−12、比較例4−1〜4−13では、比較例1−1〜1−12、比較例2−1〜2−13のインモールド成形用反射防止フィルムを用いたインモールド成形融着法によって作製した成形物において、視認性及び防汚性の両立を図るには至らなかった。
Claims (4)
- 熱可塑性透明基材フィルム上にハードコート層を有し、熱可塑性透明基材フィルム上のハードコート層側の最表層として色調補正層1を備えるインモールド成形用反射防止フィルムであって、
前記色調補正層1は、
(a)フッ素含有紫外線硬化型樹脂5.0〜15.0質量%、
(b)アクリル基を有するポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン又はアクリル基を有するポリエステル変性ポリジメチルシロキサン2.0〜8.0質量%、
(c)(a)及び(b)と共重合可能な紫外線硬化型樹脂9.0〜70.0質量%、
(d)中空シリカ微粒子22.0〜83.0質量%、
(e)光重合開始剤1.0〜10.0質量%
からなる色調補正層1用樹脂組成物(但し、(a)(b)(c)(d)(e)の合計は、100質量%である。)を硬化させてなり、(b)の質量%が、(a)の質量%より少ないことを特徴とするインモールド成形用反射防止フィルム。 - 前記ハードコート層と前記色調補正層1との間に、金属酸化物微粒子と紫外線硬化型樹脂からなり、前記色調補正層1の屈折率より高い1.6〜2.1の屈折率を有する色調補正層2が備えられていることを特徴とする請求項1に記載のインモールド成形用反射防止フィルム。
- 前記熱可塑性透明基材フィルムが、ポリカーボネート層とポリメチルメタクリレート層との2層構造からなり、前記ハードコート層はポリメチルメタクリレート層上に形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のインモールド成形用反射防止フィルム。
- 請求項1から3のいずれかに記載のインモールド成形用反射防止フィルムの色調補正層1が設けられていない面に、熱可塑性樹脂を融着させて成形されていることを特徴とする成形物。
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