JP2004009420A - 低反射転写箔、成型品の製造方法及び成型品 - Google Patents

低反射転写箔、成型品の製造方法及び成型品 Download PDF

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Yuzo Nakamura
中村 祐三
Hirotomo Miyake
三宅 弘倫
Hidesato Mano
眞野 英里
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Abstract

【課題】低反射率を最大限に発揮させて、外光の映り込みを抑えるとともに、ディスプレイ等の耐傷性を確保することができる低反射転写箔及び成型品の製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】離型性を有する基体シート上に、低屈折率層、高屈折率層、中屈折率層がこの順に積層されてなる低反射層と、ハードコート層と、接着層とがこの順次積層されて構成される低反射転写箔及び上記転写箔を射出成型金型内に挟み込み、接着層側に溶融樹脂を射出して樹脂成型品を形成すると同時に、該成型品表面に前記転写箔を接着させるか、あるいは、上記転写箔の接着層側を樹脂成型品に重ね、基体シート裏面上から熱圧をかけて成型品表面に前記転写箔を接着させて、その後離型性を有する基体シートを剥離することからなる成型品の製造方法。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は低反射転写箔、成型品の製造方法及び成型品に関し、より詳細には、低屈折率層、高屈折率層、中屈折率層がこの順に積層されてなる低反射層を有してなる低反射転写箔、成型品の製造方法及び成型品に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
近年、携帯用の電子機器の急速な普及に伴い、これらの電子機器のディスプレイには、高画質等のディスプレイ本来の機能を発揮させながら、外光の反射によるコントラスト低下や像の映り込みを防止するために、光学干渉の原理を用いて反射率を低減する加工が施されている。
【0003】
このような反射率を低減する加工の一つとして、ディスプレイの最表面に低反射層を有するフィルムを貼付したり、低反射層を有する転写箔を用いて低反射層をディスプレイの最表面に配置させる方法があり、低反射層としては、例えば、フッ素含有の無機物又は有機物が用いられている。
【0004】
しかし、これらの含フッ素化合物は、所定の低反射率を確保するためには薄膜化することが必要になるとともに、含フッ素化合物には凝集力がないために、ディスプレイ等の最表面に配置する層としては、耐傷性が十分でない。一方、耐傷性を確保するために厚膜化すると、十分な低反射機能が発揮されない。つまり、含フッ素化合物を用いた場合には、耐傷性の確保と低反射率化とはトレードオフの関係にあるという課題があった。
【0005】
本発明は上記課題に鑑みなされたものであり、低反射率を最大限に発揮させて、外光の映り込みを抑えるとともに、ディスプレイ等の耐傷性を確保することができる低反射転写箔及び成型品の製造方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、離型性を有する基体シート上に、低屈折率層、高屈折率層、中屈折率層がこの順に積層されてなる低反射層と、ハードコート層と、接着層とがこの順次積層されて構成される低反射転写箔が提供される。
【0007】
また、上記転写箔を射出成型金型内に挟み込み、接着層側に溶融樹脂を射出することにより樹脂成型品を形成するのと同時に、該樹脂成型品の表面に前記転写箔を接着させるか、あるいは、上記転写箔の接着層側を樹脂成型品に重ね、基体シート裏面上から熱圧をかけることにより樹脂成型品の表面に前記転写箔を接着させて、その後離型性を有する基体シートを剥離することからなる成型品の製造方法が提供される。
さらに、上記転写箔を用いて表面に低反射層が形成されてなる成型品が提供される。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の低反射転写箔は、主として、基体シートの表面に低反射層が配置して構成される。このような低反射転写箔は、被転写体に転写箔を張り付けて転写した後、基体シートが被転写体から剥離除去されることにより、被転写体の最表面に低反射層が配置される。
【0009】
本発明の低反射転写箔に使用される基体シートは、離型性を有するものであれば特に限定されるものではなく、変形又は屈曲可能なプラスチックによるフィルムが適当である。例えば、ポリエステル、セルロースアセテート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリビニルアセタール、ポリエーテルケトン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアクリル酸メチル、ポリメタクリル酸メチル、ポリカーボネート、ポリウレタン等の延伸又は未延伸の透明プラスチックフィルム等が挙げられる。基体シートの厚みは特に限定されるものではなく、例えば、3〜500μm程度が挙げられる。
【0010】
上記の基体シート自体は、後述する転写層を基体シートから剥離した際に基体シート側に低反射層が全く残らないような離型性を有しているか、離型性が付与されたもの(例えば、ワックス類、高級脂肪酸の塩又はエステル類、フッ化アルキル化合物、ポリビニルアルコール、低分子量ポリエチレン等の離型剤が添加される等)であればよい。また、上記基体シートが、低反射層に対して、十分な離型性を有しないものであれば、基体シート上であって、低反射層との間に、離型層を形成することが適当である。
【0011】
離型層は、例えば、アクリル系樹脂、メラミン系樹脂、エポキシ系樹脂、エポキシメラミン系樹脂、アミノアルキッド系樹脂、シリコン系樹脂、フッ素系樹脂、オレフィン系樹脂又はこれらの複合型樹脂等により形成することができる。離型層は、例えば、グラビアコート法、ロールコート法、スプレーコート法、リップコート法、ディップコート法、スピンコート法、バーコート法、押出しコート法、スクリーンコート法、リバースロールコート法、マイクログラビアコート法、フレキソコート法等のそれ自体公知の方法により、上記材料を基体シート上に塗布し、乾燥して形成することができる。この場合の離型層の厚みは、例えば、0.1〜10μm程度が挙げられる。
【0012】
本発明の低反射転写箔における低反射層は、基体シート側から、低屈折率層、高屈折率層及び中屈折率層がこの順に積層されてなる。
低反射層は、転写箔が付与される製品の表面の屈折率を低減させることができる層であれば、特に限定されるものではない。低反射機能としては、入射光の20%程度以下、好ましくは10%程度以下、さらに好ましくは5%程度以下に反射光を抑える機能が挙げられる。
【0013】
低屈折率層は、3層構造の低反射転写箔のなかで最も屈折率が低く設定された層であり、例えば、1.5程度以下の屈折率を有していることが適当であり、好ましくは1.3〜1.5程度である。低屈折率層は、屈折率を低く抑えることができる材料であれば、どのようなものから構成されていてもよい。例えば、含フッ素樹脂が適当である。特に、架橋した含フッ素樹脂等が好ましい。具体的には、含フッ素樹脂として、フルオロオレフィン系モノマー;含フッ素脂肪族環構造を有するモノマー;パーフルオロアルキル基含有モノマー;含フッ素(メタ)アクリレート;含フッ素ビニルモノマー;ポリパーフルオロアルキレン化合物;ポリパーフルオロアルキレンオキシド化合物等によって構成されるポリマー又はコポリマーの1種又は2種以上の混合物が挙げられる。これらのポリマー又はコポリマーは、その構成要素として架橋官能基を有していてもよいし、有していなくてもよいが、架橋官能基を有していない場合には、さらに架橋官能性基付与のためのモノマーを構成要素として含有していることが好ましい。この場合、架橋官能性基を有するモノマーは、含フッ素樹脂を構成する全モノマーに対して1〜50重量%程度含有されていることが適当である。
【0014】
フルオロオレフィン系のモノマーとしては、フルオロエチレン、テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、ヘキサフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン等が挙げられる。
含フッ素脂肪族環構造を有するモノマーとしては、トリフルオロシクロヘキサン、テトラフルオロシクロヘキサン、テトラフルオロシクロヘキセン等が挙げられる。
パーフルオロアルキル基含有モノマーとしては、パーフルオロ−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール、(メタ)アクリル酸の部分又は完全フッ素化アルキルエステル誘導体、例えば、ビスコート6F(大阪有機化学製)、M−2020(ダイキン製)、下記式(I)で表されるパーフルオロアルキル基含有(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0015】
含フッ素(メタ)アクリレートとしては、例えば、下記式(II)で表される(メタ)アクリル酸誘導体が挙げられる。
含フッ素ビニルモノマーとしては、ビニルフルオライド、ビニリデンフルオライド、完全又は部分フッ素化ビニルエーテル等が挙げられる。
ポリパーフルオロアルキレン化合物としては、下記式(III)で表される化合物が挙げられる。
ポリパーフルオロアルキレンオキシド化合物としては、下記式(IV)で表される化合物が挙げられる。
【0016】
また、架橋官能性付与のためのモノマーとしては、グリシジルメタクリレート、ビニルトリメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルグリシジルエーテル等のように分子内にあらかじめ架橋性官能基を有するビニルモノマー;カルボキシル基、ヒドロキシル基、アミノ基、スルホン酸基等を有するビニルモノマー(例えば(メタ)アクリル酸、メチロール(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、アリルアクリレート、ヒドロキシアルキルビニルエーテル、ヒドロキシアルキルアリルエーテル等)が挙げられる。
【0017】
なかでも、パーフルオロアルキル基含有モノマーおよび/又は含フッ素(メタ)アクリレートとからなるコポリマーが好ましく、特に、式(I)
CH=C(R)CO−CH3−i−(R)(I)
(式中、Rは水素原子又はメチル基、iは1〜3の整数、Rは(CH−C2k+1、ただしjは0〜6の整数、kは1〜22の整数である)
で表されるパーフルオロアルキル基含有(メタ)アクリレートおよび/又は式(II)
CH=C(R)CO−A(II)
(式中、Rは水素原子又はメチル基、Aは水素原子、水酸基含有アルキル基、エポキシ基含有脂肪族アルキル基、エポキシ基含有環状アルキル基、イソシアナート基含有アルキル基又は(メタ)アクリロイルオキシ基含有ヒドロキシアルキル基である)
で表される架橋官能基含有(メタ)アクリル酸誘導体のプレポリマーを用いることがより好ましい。
【0018】
式(I)のRは、iが2〜3の場合には、それぞれ同一でもあっても異なっていてもよい。また、RのC2k+1は、直鎖、分岐又は環状であってもよい。
式(I)で示されるパーフルオロアルキル基含有(メタ)アクリレート、例えばiが1でjが0であるアクリレートCH=C(R)CO−CH−C2k+1は、炭素数k+1の脂肪酸がフッ素ガスによりフッ素化されたパーフルオロ脂肪酸を還元して得られるアルコールを(メタ)アクリル酸のエステルに誘導して得ることができる。
式(II)の水酸基含有アルキル基としては、炭素数1〜10のアルキル基に水酸基が置換されたものが好ましく、例えば、2−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシプロピル、4−ヒドロキシブチル等が挙げられる。
【0019】
エポキシ基含有脂肪族アルキル基としては、炭素数1〜10の脂肪族アルキル基にエポキシ基が置換されたものが好ましく、例えば、2,3−エポキシプロピル基等が挙げられる。
エポキシ基含有環状アルキル基としては、炭素数3〜10の環状アルキル基にエポキシ基が置換されたものが好ましく、例えば、
【0020】
【化1】
Figure 2004009420
【0021】
等が挙げられる。
イソシアナート基含有アルキル基としては、炭素数1〜10のアルキル基にイソシアナート基が置換されたものが好ましく、例えば、(CH−NCO等が挙げられる。
(メタ)アクリロイルオキシ基含有ヒドロキシアルキル基としては、炭素数1〜10のヒドロキシアルキル基に(メタ)アクリロイルオキシ基が置換されたものが好ましく、例えば、−CHCH(OH)CH−OCOC(R)=CH
【0022】
【化2】
Figure 2004009420
【0023】
(式中、Rは、水素原子又はメチル基)
等が挙げられる。
式(II)の架橋官能基含有(メタ)アクリル酸誘導体は、例えばアルコール、A−OHを、(メタ)アクリル酸のエステルに誘導して得ることができる。
【0024】
上記の式(I)および/又は式(II)からなるプレポリマーは、例えば、数平均分子量が1000〜100000程度(例えば、ゲルパーミュエーション・クロマトグラフィーで測定)であるが適当である。
式(I)および/又は式(II)からなるプレポリマーは、重合開始剤の存在下で、直接プレポリマー同士を又は式(II)の架橋官能基含有(メタ)アクリル酸誘導体の架橋官能基に対する反応性基を有する化合物を用いて、共重合させて含フッ素樹脂として使用することが好ましい。
【0025】
架橋官能基に対する反応性基を有する化合物は、水酸基、エポキシ基、イソシアナート基、(メタ)アクリロイル基、カルボキシル基及び酸無水物基から選択される1又は2以上の反応性基を有するものが好ましい。このような化合物としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のα、β−不飽和化合物が単独重合又は共重合した重合体;脂肪族ポリオール類、フェノール類、ポリアルキレングリコール類等のポリオール類;このポリオール類のいずれかにε−カプロラクトンが付加した付加物;グリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート等のα、β−不飽和化合物が単独重合又は共重合した重合体、エピクロルヒドリンとポリカルボン酸及びポリオールのいずれかとの反応により得られるポリグリシジル化合物、ビスフェノール型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂等のエポキシ基含有化合物;p−フェニレンジイソシアネート、ビフェニルジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、3,3−ジメチル−4,4−ビフェニレンジイソシアネート、1,4−テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサン−1,6−ジイソシアネート、メチレンビス(フェニルイソシアネート)、リジンメチルエステルジイソシアネート、ビス(イソシアネートエチル)フマレート、イソボロンジイソシアネート、メチルシクロヘキシルジイソシアネート、2−イソシアネートエチル−2,6−ジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート及びノルボルネンジイソシアネート等のジイソシアネート類;これらイソシアネート類のビュレット体、これらイソシアネート類のイソシアヌレート体、これらのイソシアネート類と前記ポリオール類とのアダクト体等のイソシアネート基含有化合物;ライトエステル、ライトアクリレート、エポキシエステル、ウレタンアクリレート(いずれも共栄社化学社製の商品名)等の(メタ)アクリロイル基含有化合物;(メタ)アクリル酸等のα、β−不飽和化合物が単独重合又は共重合した重合体、脂肪酸ポリカルボン酸、芳香族ポリカルボン酸等のカルボキシル基含有化合物;無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、ドデシル無水コハク酸、無水クロレンディック酸、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、無水トリメリット酸、メチルシクロヘキセンテトラカルボン酸無水物、ポリアゼライン酸無水物、スチレン−無水マレイン酸共重合体、α−オレフィン−無水マレイン酸共重合体等の酸無水物基含有化合物等が挙げられる。
【0026】
また、架橋官能基に対応する反応性基をもつ化合物は、反応性基として水酸基、エポキシ基、イソシアナート基、(メタ)アクリロイル基、カルボキシル基から選択される基を有し、かつフッ素を含有していることが好ましい。具体的には、上記の化合物が一部フッ素で置換されたもの、さらに、下記式(III)
Y−(O)−(CX−(CF−(CX−(O)−Y (III)
(式中、Xは水素原子、フッ素原子又はトリフルオロメチル基、Yは水素原子であってm及びrが1であるか、Yが2,3−エポキシプロピル基又は(メタ)アクリロイル基であってm及びrが0又は1であり、n及びqは0〜2の整数、pは2〜14の整数である)
で表される反応性基含有パーフルオロアルキレン化合物、又は下記式(IV)
Z−O−[(CX−(CF−O]−[(CF−O]
−[(CF−(CX−O]−Z    (IV)
(式中、Zは水素原子、2,3−エポキシプロピル基又は(メタ)アクリロイル基、Xは上記と同義、sは1〜6の整数、tは0〜4の整数、vは1〜4の整数、u及びwは1〜100の整数である)
で表される反応性基含有ポリパーフルオロアルキレンオキシド化合物が挙げられる。
【0027】
式(III)において、例えば、Yが2,3−エポキシプロピル基で、m及びrが1である化合物は、Yが水素原子で、m及びrが1であるジオール化合物とクロロメチルオキシランとをアルカリの存在下、脱塩反応することにより得られ、より具体的には、ヘキサデカフルオロデカンジオール−ジエポキシドであるフルオライトFE−16(共栄社化学社製の商品名)が挙げられる。また、このジオール化合物と(メタ)アクリル酸とを酸触媒存在下、脱水させてエステル化することにより、Yを(メタ)アクリロイル基とする化合物が得られる。より具体的には、ヘキサデカフルオロデカニルジアクリレートであるフルオライトFA−16(共栄社化学製の商品名)が挙げられる。
【0028】
式(IV)において、Zが水素原子のポリパーフルオロアルキレンオキシド化合物としては、例えば、FOMBLIN  Z−DIOL(オーシモント社製の商品名)が挙げられる。このポリパーフルオロアルキレンオキシド化合物と、クロロメチルオキシラン又は(メタ)アクリル酸とを反応させると、Zを2,3−エポキシプロピル基又は(メタ)アクリロイル基とする化合物を得ることができる。
【0029】
なお、一般に、含フッ素樹脂は、上記のモノマーまたプレポリマー等を、重合開始剤の存在下で、溶液重合、塊状重合、乳化重合、懸濁重合、加熱重合、紫外線ラジカル重合または紫外線カチオン重合等の方法により重合させて得ることができる。
【0030】
例えば、上記モノマー又はプレポリマー等の重合は、含フッ素樹脂の構成モノマーに対して、架橋官能基を有するモノマーを1〜50重量%程度、重合開始剤を0.1〜10重量%程度用いて行うことが適当である。特に、式(I)と式(II)との化合物に、式(II)の架橋官能基に対する反応性基を有する化合物を用いる場合には、式(I)と式(II)との化合物は、0:10〜10:0(重量)程度、このプレポリマーと重合開始剤とは、10〜100:0.1〜10(重量)程度が適当である。なお、含フッ素樹脂には、当該分野で公知の添加剤等をさらに用いてもよい。添加剤は、有機成分としてポリメチルメタクリレート(PMMA)等の有機フィラー、無機成分として酸化珪素等の酸化金属微粒子及びそのゾル、シランカップリング剤及びその部分加水分解物等の1種又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0031】
特に、式(I)と式(II)とからなるプレポリマーと式(II)の架橋官能基含有(メタ)アクリル酸誘導体の架橋官能基に対する反応性基を有する化合物とから構成される含フッ素樹脂は、このプレポリマーが、架橋官能基に対する反応性基をもつ化合物を介して架橋したものである。例えば、これら反応基をもつ化合物中の末端水酸基と、パーフルオロアルキル基含有プレポリマー中であって式(II)で示されるA由来のエポキシ基またはイソシアナート基とが反応し、パーフルオロアルキル基含有プレポリマーと反応性基をもつ化合物とが開環重合したり、付加重合したりする結果、三次元的に網目状に架橋される。
【0032】
あるいは、加熱重合、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、アゾイソブチロニトリル等の熱重合開始剤、トリフェニルホスフィン、3級アミン等の存在下、室温から200℃の反応条件での加熱重合で硬化させてもよい。また、紫外線カチオン重合、例えばトリアリルスルホニウム塩等の存在下、高圧水銀灯による約250〜1000mJ/cm照射の反応条件での紫外線カチオン重合で硬化させてもよい。さらに、紫外線ラジカル重合、例えば、ベンゾイン、ベンゾインアルキルエーテル、ベンゾフェノン等の存在下、高圧水銀灯による約250〜1000mJ/cm照射の反応条件での紫外線ラジカル重合で硬化させてもよい。
なお、含フッ素樹脂中のフッ素の含有量が多いほど、低屈折率層の屈折率が低下するため、含フッ素樹脂中のフッ素の量を調節して、所望の屈折率を得ることができる。
【0033】
低屈折率層は、例えば、0.05〜0.2μm程度の膜厚であることが適当である。
高屈折率層は、3層構造の低反射転写箔のなかで最も屈折率が高く設定された層であり、例えば、1.6〜2.4程度の屈折率を有していることが適当である。中屈折率層は、3層構造の低反射転写箔のなかで低屈折率層よりも屈折率が大きく、高屈折率層よりも屈折率が小さく設定された層であり、例えば、1.5〜2.0程度の屈折率を有していることが適当である。
【0034】
高屈折率層及び中屈折率層は、所望の屈折率に設定することができる材料であれば、どのようなものから構成されていてもよい。例えば、ポリアルキルメタクリレート(例えば、ポリメチルメタクリレート、ポリエチルメタクリレート、ポリプロピルメタクリレート等)、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル、ポリビニルナフタレン、ポリビニルカルバゾール、ポリウレア、ポリエステル、ポリアミン、ポリアミド等の1種又は2種以上の混合物等により形成することができる。なかでも、比較的屈折率が高いポリマーを用いることが好ましい。屈折率が高いポリマーの例としては、ポリスチレン、スチレン共重合体、ポリカーボネート、メラミン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂および環状(脂環式または芳香族)イソシアネートとポリオールとの反応で得られるポリウレタン等が挙げられる。なお、その他の環状(芳香族、複素環式、脂環式)基を有するポリマーや、フッ素以外のハロゲン原子を置換基として有するポリマーを用いてもよい。さらに、被膜形成能を有する有機金属化合物から、高屈折率層または中屈折率層を形成してもよい。有機金属化合物は、適当な媒体に分散し得るか、あるいは液状であることが好ましい。有機金属化合物の例としては、金属アルコレート(例、チタンテトラエトキシド、チタンテトラ−i−プロポキシド、チタンテトラ−n−プロポキシド、チタンテトラ−n−ブトキシド、チタンテトラ−sec−ブトキシド、チタンテトラ−tert−ブトキシド、アルミニウムトリエトキシド、アルミニウムトリ−i−プロポキシド、アルミニウムトリブトキシド、アンチモントリエトキシド、アンチモントリブトキシド、ジルコニウムテトラエトキシド、ジルコニウムテトラ−i−プロポキシド、ジルコニウムテトラ−n−プロポキシド、ジルコニウムテトラ−n−ブトキシド、ジルコニウムテトラ−sec−ブトキシド、ジルコニウムテトラ−tert−ブトキシド)、キレート化合物(例、ジ−イソプロポキシチタニウムビスアセチルアセトネート、ジ−ブトキシチタニウムビスアセチルアセトネート、ジ−エトキシチタニウムビスアセチルアセトネート、ビスアセチルアセトンジルコニウム、アルミニウムアセチルアセトネート、アルミニウムジ−n−ブトキシドモノエチルアセトアセテート、アルミニウムジ−i−プロポキシドモノメチルアセトアセテート、トリ−n−ブトキシドジルコニウムモノエチルアセトアセテート)、有機酸塩(例、炭酸ジルコニールアンモニウム)およびジルコニウム等が挙げられる。
【0035】
高屈折率層は、例えば、0.05〜0.2μm程度の膜厚であることが適当である。中屈折率層は、例えば、0.05〜0.2μm程度の膜厚であることが適当である。なお、上記のような材料を用いて高屈折率層及び中屈折率層を形成する場合には、さらに、無機粒子を添加して屈折率を調整してもよい。
【0036】
無機粒子としては、一次粒子の重量平均径が1〜150nm程度、好ましくは1〜80nmの粒子が挙げられる。無機粒子は、金属酸化物又は硫化物から形成された粒子であることが適当である。なかでも、金属酸化物であることが好ましい。金属酸化物又は硫化物としては、二酸化チタン(例、ルチル、ルチル/アナターゼの混晶、アナターゼ、アモルファス構造)、酸化錫、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化アンチモン、硫化亜鉛等が挙げられる。なかでも、酸化チタン、酸化錫、酸化インジウムが好ましい。無機粒子は、これらの金属酸化物又は硫化物を主成分とし、さらに他の元素を含むことができる。主成分とは、粒子を構成する成分の中で最も含有量(重量%)が多い成分を意味する。他の元素の例としては、Ti、Zr、Sn、Sb、Cu、Fe、Mn、Pb、Cd、As、Cr、Hg、Zn、Al、Mg、Si、PおよびSが挙げられる。なお、無機粒子は表面処理されていてもよい。表面処理は、無機化合物または有機化合物を用いて実施することができる。表面処理に用いる無機化合物の例としては、アルミナ、シリカ、酸化ジルコニウムおよび酸化鉄が挙げられる。表面処理に用いる有機化合物の例としては、ポリオール、アルカノールアミン、ステアリン酸、シランカップリング剤およびチタネートカップリング剤が挙げられる。二種類以上の表面処理を組み合わせて処理してもよい。無機粒子の形状は、米粒状、球形状、立方体状、紡錘形状または不定形状等のいずれでもよいし、これらの形状のものを二種類以上混合して用してもよい。
【0037】
高屈折率層および中屈折率層中の無機粒子の割合は、それぞれ5〜80重量%程度および0〜60重量%程度、好ましくは、それぞれ10〜60重量%程度および0〜40重量%程度である。
【0038】
無機粒子は、媒体に分散した分散体の状態で、高屈折率層および中屈折率層を形成するための塗布液に供される。無機微粒子の分散媒体としては、沸点が60〜170℃の液体を用いることが好ましい。分散溶媒の具体例としては、水、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、ベンジルアルコール)、ケトン(例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン)、エステル(例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、蟻酸メチル、蟻酸エチル、蟻酸プロピル、蟻酸ブチル)、脂肪族炭化水素(例えば、ヘキサン、シクロヘキサン)、ハロゲン化炭化水素(例えば、メチレンクロライド、クロロホルム、四塩化炭素)、芳香族炭化水素(例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン)、アミド(例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、n−メチルピロリドン)、エーテル(例えば、ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラハイドロフラン)、エーテルアルコール(例えば、1−メトキシ−2−プロパノール)が挙げられる。
【0039】
無機微粒子は、分散機を用いて媒体中に分散することができる。分散機としては、サンドグラインダーミル(例、ピン付きビーズミル)、高速インペラーミル、ペッブルミル、ローラーミル、アトライターおよびコロイドミル等が挙げられる。
ハードコート層としては、一般に、この低反射層が付された被着物にそれよりも高硬度を付与しうるものであればよく、例えば、JIS−K5400で示される鉛筆硬度試験で2H以上の硬度を有するもの、さらに3H以上の高度を有するもの、スチールウール摩耗において#0000スチールウールに200g/cmの荷重をかけ、可動距離2cm、2往復/秒で10往復後の表面に傷がつかないもの又はテーバー摩耗においてCS−10F輪で荷重500gで100回転後、ΔHが10以下のもの等が挙げられる。
ハードコート層は、紫外線、電子線等の活性エネルギー線照射硬化型樹脂、熱硬化型樹脂等により形成することができる。
【0040】
活性エネルギー線照射硬化型樹脂としては、例えば、塗膜形成要素である重合性二重結合を有するオリゴマー又はプレポリマーに反応性希釈剤を加え、任意に(紫外線硬化型樹脂の場合)光重合開始剤を加えたものを用いることができる。
重合性二重結合を有するオリゴマー又はプレポリマーとしては、ポリエステル系、ウレタン系、エポキシ系、ポリエーテル系、アクリル系等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
反応性希釈剤としては、2−エチルヘキシルアクリレート、ラウリルアクリレート、ジビニルベンゼン、トリメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等のビニル化合物等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0041】
光開始剤としては、ジエトキシアセトフェノン等のアセトフェノン系、イソブチルベンゾインエーテル等のベンゾインエーテル系、ベンジルジメチルケタール等のベンジルケタール系、ベンゾフェノン等のケトン系等が用いられる。これらは1種又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
熱硬化型樹脂としては、多官能アクリルオリゴマー系、シリカゾル系、ウレタン系、エポキシ系、メラミン系及びこれらの複合系等が用いられる。
ハードコート層は、離型層と同様の方法により形成することができる。ハードコート層の厚みは特に限定されるものではなく、例えば、1〜50μm程度が挙げられる。なお、ハードコート層は、帯電防止、耐光性及び電磁波シールドの少なくとも1つ以上の機能を併せもっていてもよい。
【0042】
なお、「帯電防止機能」とは、例えば、ハードコート層自体が、10〜1012Ω・cm程度、好ましくは10〜10Ω・cm程度の抵抗率を有しているものが挙げられる。ハードコート層に帯電防止機能を付与する方法としては、例えば、ハードコート層を構成する材料に、界面活性剤、導電性フィラー及び/又は導電性ポリマー等を1種又は2種以上組み合わせて添加する方法が挙げられる。なお、導電性ポリマーがそれ自体でハードコート層の機能を十分果たすことができる硬度を有するものであれば、ハードコート層は、導電性ポリマー単独で構成してもよい。これらの物質は、ハードコート層の総重量に対して、例えば、界面活性剤、導電性ポリマーの場合には5〜50重量%程度、導電性フィラーの場合には100〜400重量%程度の範囲で適宜増減して添加することが適当である。
【0043】
界面活性剤としては、アニオン系、カチオン系、両性イオン系、非イオン系のいずれもの界面活性剤が挙げられる。なかでも、カチオン界面活性剤が多く利用される。
導電性フィラーとしては、カーボンブラック、銅、ニッケル、銀、鉄又はこれらの複合粉等の金属粉;酸化亜鉛、酸化錫、酸化チタン等の金属酸化物粉等が挙げられる。
導電性ポリマーとしては、ポリピロール、ポリアニリン、ポリチオフェン等が挙げられる。
【0044】
「電磁波遮蔽機能」とは、例えば、シールド力60dB程度以上であることが挙げられる。ハードコート層に電磁波遮蔽機能を付与する方法としては、例えば、導電性フィラー又は磁性フィラーを添加する方法が挙げられる。これらの物質は、ハードコート層の総重量に対して、例えば、100〜400重量%程度の範囲で適宜増減して添加することが適当である。
導電性フィラーは上記と同様のものが挙げられ、磁性フィラーとしてはグラファイト、カーボン、鉄等が挙げられる。
【0045】
「耐光性機能」とは、室内又は車内の場合はフェードメータ試験100〜400時間程度の後、屋外の場合はウェザーメータ試験1000時間程度の後に、変化が認められない状態であることが挙げられる。ハードコート層に耐光性機能を付与する方法としては、例えば、ハードコート層に紫外線吸収剤、酸化防止安定剤等を添加する方法が挙げられる。これらの物質は、ハードコート層の総重量に対して、例えば、5〜20重量%程度の範囲で適宜増減して添加することが適当である。
紫外線吸収剤としては、例えば、ヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系、ヒドロキシフェニル−S−トリアジン等のトリアジン系等が挙げられる。
酸化防止安定剤としては、例えば、ハルスといわれるヒンダードアミン系光安定剤等が挙げられる。
【0046】
接着層としては、例えば、アクリル系樹脂、塩素化オレフィン系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、マレイン酸系樹脂、塩化ゴム系樹脂、環化ゴム系樹脂、ポリアミド系樹脂、クマロンインデン系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体系樹脂、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、スチレン系樹脂等が挙げられる。接着層の厚みは、例えば0.1〜5μm程度が挙げられる。接着層は、ハードコート層と同様に、それ自体公知の方法により形成することができる。
【0047】
本発明においては、ハードコート層と接着層との間に絵柄層が設けられていてもよい。絵柄層は、文字、模様等のいわゆる絵柄を、公知の顔料や染料等の着色材を含んだ各種印刷インキにて形成された層であり、例えば、0.5〜50μm程度の範囲の厚みで形成することができる。
【0048】
また、上記のほか、アンカー層、蒸着層等の任意の層が含まれていてもよい。アンカー層は、一種の接着剤層であり、例えば、ウレタン系、チタネート系、イソシアネート系、ポリエチレンイミン系等の接着剤により形成することができる。アンカー層の厚みは、例えば0.1〜5μm程度が挙げられる。
【0049】
また、本発明の成型品の製造方法によれば、上記転写箔を、射出成型金型内に挟み込み、接着剤層側に溶融樹脂を射出することにより樹脂成型品を形成する。これにより、成型品の表面に低反射層を接着させることができ、その後離型性を有する基体シートを剥離することにより、成型品表面に、低反射機能を付与することができる。
【0050】
ここで、成型品としては、特に限定されるものではないが、例えば、ワープロ、コンピュータ、テレビ、ディスプレイパネル、携帯電話等の各種のディスプレイ、液晶表示装置等に用いる偏光板の表面、透明プラスチック類からなるサングラスレンズ、度つきめがねレンズ、カメラのファインダーレンズ等の光学レンズ、各種計器の表示部、自動車、電車等の窓ガラス等が挙げられる。なお、これらの成型品は、樹脂以外の材料、例えば、ガラス等により形成されている場合であっても樹脂と同様の効果を発揮させることができる。
【0051】
溶融樹脂としては、上記偏光板の表面、光学レンズ、各種計器の表示部、自動車、電車等の窓ガラス等を構成し得るものであれば、その材料は特に限定されるものではなく、例えば、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂(ABS、AS、ポリフェニレンオキシドスチレン共重合体等)、ポリオレフィン系樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、シクロオレフィン系樹脂(ゼオノワ、日本ゼオン社製)、ポリカーボネート樹脂等の溶融状態のものが挙げられる。
なお、射出成型金型は、樹脂成型品を製造する際に、通常使用されるものであれば、どのようなものでも利用することができる。
また、本発明の別の成型品の製造方法によれば、上記転写箔の接着層側を成型品に重ね、基体シート裏面上から熱圧をかけることにより成型品の表面に低反射層を接着させることができ、その後離型性を有する基体シートを剥離することにより、成型品表面に、低反射機能を付与することができる。
例えば、基体シート裏面上からシリコンゴムロール等によって熱圧をかけることができ、この場合、シリコンゴムロール表面の温度は150〜250℃程度、圧力は5〜20kg/cm程度とすることが適当である。
以下に、本発明の低反射転写箔及びこれを用いた成型品の製造方法について具体的に説明する。
【0052】
合成例1:フッ素ポリマー溶液Aの調製
2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレート      45部
パーフルオロオクチルエチルアクリレート       45部
アクリル酸                        10部
アゾイソブチロニトリル                1.5部
メチルエチルケトン                  200部
を反応容器に仕込み、窒素雰囲気下80℃で7時間反応させて、ポリスチレン換算数平均分子量20000(ゲルパーミュエーション・クロマトグラフィーで測定)のポリマーのメチルエチルケトン溶液を得た。
得られたポリマー溶液をメチルエチルケトンで固形分5%まで希釈し、フッ素ポリマー溶液Aを得た。
【0053】
合成例2:低屈折率コーティング液Bの調製
フッ素ポリマー溶液A                 44部
1,10−ビス(2,3−エポキシプロポキシ)‐2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9−ヘキサデカフルオロデカン(フルオライトFE−16、共栄社化学社製)                         1部
メチルエチルケトン                    19部
トリフェニルホスフィン                0.1部
を混合して、低屈折率コーティング液Bを調製した。
【0054】
合成例3:アクリル樹脂溶液Cの合成
メチルメタアクリレート                  80部
メタアクリル酸                      20部
アゾイソブチロニトリル                    1部
イソプロピルアルコール                200部
を反応容器に仕込み、窒素雰囲気下80℃で7時間反応させて、ポリスチレン換算数平均分子量30000のポリマーのイソプロピルアルコール溶液を得た。
得られたポリマー溶液をさらにイソプロピルアルコールで固形分5%まで希釈し、アクリル樹脂溶液Cを得た。
【0055】
合成例4:高屈折率コーティング液Dの調製
合成例3のアクリル樹脂溶液C                 10部
平均粒径20nmの酸化チタン粒子             0.5部
イソプロピルアルコール                  9.5部
を混合して、高屈折率コーティング液Dを調製した。
【0056】
合成例5:中屈折率コーティング液Eの調製
合成例3のアクリル樹脂溶液C               12部
ビスフェノールAジグリシジルエーテル         0.2部
平均粒径20nmの酸化チタン粒子           0.2部
イソプロピルアルコール                7.6部
トリフェニルホスフィン               0.05部
を混合して、中屈折率コーティング液Eを調製した。
【0057】
合成例6:UV硬化型フッ素コーティング剤Fの調製
1,10−ビス(アクリロイルオキシ)‐2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9−ヘキサデカフルオロデカン(フルオライトFA−16、共栄社化学社製)    9.5部
1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニルケトン 0.5部
メチルエチルケトン                    90部
を混合して、UV硬化型フッ素コーティング剤Fを調製した。
【0058】
合成例7:高屈折率UV硬化型コーティング液Gの調製
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート          5部
平均粒径20nmの酸化チタン粒子              5部
1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニルケトン 0.5部
メチルエチルケトン              199.5部
を混合して、高屈折率UV硬化型コーティング液Gを調製した。
【0059】
合成例8:中屈折率UV硬化型コーティング液Hの調製
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート          8部
平均粒径20nmの酸化チタン粒子              2部
1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニルケトン 0.5部
メチルエチルケトン              199.5部
を混合して、中屈折率UV硬化型コーティング液Hを調製した。
【0060】
合成例9:UV硬化型ハードコーティング液Iの調製
UA−306H(共栄社化学社製)              10部
1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニルケトン 0.5部
メチルエチルケトン                24.5部
を混合して、UV硬化型ハードコーティング液Iを調製した。
【0061】
実施例1
離型処理が施された厚さ38μmのポリエチレンテレフタレートフィルム上に、低屈折率コーティング液Bを塗布し、150℃で3分間加熱して硬化し、膜厚0.1μmの低屈折率層を形成した。
この低屈折率層の上に、高屈折率コーティング液Dを塗布、乾燥し、膜厚0.1μmの高屈折率層を形成した。
この高屈折率層の上に、中屈折率コーティング液Eを塗布、乾燥し、膜厚0.1μmの中屈折率層を形成した。
【0062】
この中屈折率層上に、UV硬化型ハードコーティング剤Iを塗布し、100℃で30秒間加熱して乾燥し、UVを360mJ/cm照射して硬化し、膜厚5μmのハードコート層を形成した。
このハードコート層の上に、接着層としてアクリル系樹脂層を形成して、低反射層を有する転写箔を得た。
【0063】
実施例2
実施例1で、低屈折率層に使用した低屈折率コーティング液BをUV硬化型フッ素コーティング剤Fに、高屈折率層に使用した高屈折率コーティング剤Dを高屈折率UV硬化型コーティング液Gに、中屈折率層に使用した中屈折率コーティング剤Eを中屈折率UV硬化型コーティング液Hに変更した以外は、実施例1と同様にして低反射層を有する転写箔を得た。
【0064】
比較例1
中屈折率層を設けなかった以外は実施例1と同様にして低反射層を有する転写箔を得た。
【0065】
比較例2
ハードコート層を設けなかったこと以外は実施例3と同様に低反射層を有する転写箔を得た。
【0066】
試験例
実施例1〜2及び比較例1〜2で得られた転写箔を、射出成形金型に挟みこみ、成形動じ射出成型方にてアクリル樹脂を射出した。
冷却後、基体シートをはがして、低反射層を有する成型品を、それぞれ得た。
得られた成型品について、以下のように評価した。
【0067】
▲1▼反射率及び▲2▼反射率曲線の形状
大塚電子(株)製MCPD−7000にて550nmの反射率を測定した。
▲3▼耐スチールウール性
スチールウール#0000にて200g/cmの荷重をかけて、可動距離2cm、2往復/秒で10往復後の表面の傷つき具合を判定した。
▲4▼鉛筆硬度
JIS−K5400に準じて測定した。
得られた結果を表1及び図1に示す。
【0068】
【表1】
Figure 2004009420
【0069】
実施例3
実施例1で得られた転写箔を、射出成型金型に挟み込み、この金型を55℃に加熱した。成型同時転写法を利用して、240℃程度の温度で溶融させたアクリル樹脂(三菱レーヨン社製、アクリペットVH)を、樹脂圧力300kg/cmにて、金型に注入し、放冷した。
その後、基体シートをはがすことにより、表面に低反射層が転写された携帯電話用のディスプレイカバーを得た。
【0070】
実施例4
実施例1で得られた転写箔の接着層に、射出成型によってアクリル樹脂(三菱レーヨン社製、アクリペットVH)で形成された成型品を重ね合わせ、基体シート側から硬度80度のシリコンラバーのロールで加熱及び加圧して、転写層を成型品に接着させた。加熱条件は、シリコンラバーの表面温度が230℃であり、加圧は10kg/cmとした。
その後、基体シートをはがすことにより、表面に低反射層が転写された携帯電話用のディスプレイカバーを得た。
【0071】
【発明の効果】
本発明によれば、広範囲の波長にわたる低反射率を発揮させて外光の映り込みを抑え、かつディスプレイ等の耐傷性を確保することができる低反射転写箔を得ることができ、成型品の付加価値を向上させながら、価格の低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の低反射転写箔が付された被転写体の波長と反射率との関係を示すグラフである。

Claims (8)

  1. 離型性を有する基体シート上に、低屈折率層、高屈折率層、中屈折率層がこの順に積層されてなる低反射層と、ハードコート層と、接着層とがこの順に積層されて構成されることを特徴とする低反射転写箔。
  2. 低屈折率層が、含フッ素樹脂からなる請求項1に記載の低反射転写箔。
  3. 高屈折率層が、金属酸化物を含む請求項1又は2に記載の低反射転写箔。
  4. 中屈折率層が、金属酸化物を含む請求項1〜3のいずれか1つに記載の低反射転写箔。
  5. ハードコート層と接着層との間に絵柄層が設けられてなる請求項1〜4のいずれか1つに記載の低反射転写箔。
  6. 請求項1〜5のいずれか1つに記載の転写箔を射出成型金型内に挟み込み、接着層側に溶融樹脂を射出することにより樹脂成型品を形成するのと同時に、該樹脂成型品の表面に前記転写箔を接着させ、その後離型性を有する基体シートを剥離することからなる成型品の製造方法。
  7. 請求項1〜5のいずれか1つに記載の転写箔の接着層側を樹脂成型品に重ね、基体シート裏面上から熱圧をかけることにより樹脂成型品の表面に前記転写箔を接着させ、その後離型性を有する基体シートを剥離することからなる成型品の製造方法。
  8. 請求項1〜5のいずれか1つに記載の転写箔を用いて表面に低反射層が形成されてなる成型品。
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