JP4362509B2 - 反射防止フィルムおよびその製造方法 - Google Patents
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Description
さらに、特許文献4には無機系化合物と有機系化合物との複合微粒子を含んでなる低屈折率組成物が、該有機系化合物として分子量1,000以上のものを必須とする場合に低屈折率材料として好適に用いることができることが示されている。しかしながら、本公報で提案されている低屈折率層は屈折率が1.3を超えるようなものしかなかった。
このようにこれまで多くの物質が低屈折率材料として検討されていたが、1層の塗工で十分な反射防止効果を得るに足る低い屈折率を実現できる材料、塗工方法にはまだ検討の余地が残されていた。また湿式の塗工によって空隙を有する低屈折率層を形成するようなコーティング材料は用いる溶媒の種類によって影響を受けやすく、コーティング組成物として溶媒の選択が非常に重要であるが、これまで関連する報告が無かった。
本発明の他の目的および利点は、以下の説明から明らかになろう。
(a)Si、Al、TiおよびZrよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素の酸化物から実質的になる無機微粒子およびその表面を被覆する有機ポリマーからなる被覆微粒子、
(b)バインダー樹脂および
(c)沸点が100℃以上であり且つ水と混和できる有機溶剤
からなる塗液をフィルム基材の少なくとも片面上に塗布し、次いで塗膜を100〜150℃で20〜60秒間乾燥させて空隙を有する低屈折率層を形成せしめる、ことを特徴とする、フィルム基材と低屈折率層からなる反射防止フィルムの製造方法によって達成される。
フィルム基材および
フィルム基材の少なくとも片面上の空隙を有する低屈折率層
からなり、上記低屈折率層は
(a)Si、Al、TiおよびZrよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素の酸化物から実質的になる無機微粒子およびその表面を被覆する有機ポリマーからなる被覆微粒子、および
(b)バインダー樹脂からなり、そして
屈折率が1.10〜1.29の範囲にある、
ことを特徴とする、反射防止フィルムによって達成される。
本発明の反射防止フィルムの層構成について、まず、図1および図2を用いて説明する。図1および図2は、本発明の反射防止フィルムの層構成を説明するための概略断面図である。図1および図2中の、符号1は空隙を有する低屈折率層、符号2はフィルム基材、符号3はハードコート層を表す。すなわち、本発明の反射防止フィルムは、典型的には、空隙を有する低屈折率層1とフィルム基材2からなるか、あるいは空隙を有する低屈折率層1、ハードコート層3およびフィルム基材2からなる。なお、本発明は、これらの図1および図2の反射防止フィルムに限定されず、本発明の反射防止フィルムには、その他に他の機能層などを有するものも含まれることは以下の説明から容易に理解されよう。
次に、本発明の反射防止フィルムの製造法について先ず説明する。
この塗液は、(a)Si、Al、TiおよびZrよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素の酸化物から実質的になる無機微粒子およびその表面を被覆する有機ポリマーからなる被覆微粒子、(b)バインダー樹脂および(c)沸点が100℃以上の有機溶剤からなる。
上記無機微粒子としては、Siの酸化物から実質的になるものが好ましい。
これら無機微粒子はアルコキシドの部分加水分解物もしくは加水分解物の縮合によって形成されるものが好ましい。この場合アルコキシドとは上記元素にアルコキシ基(−OR基)が結合した物質を意味する。このときRは低級アルキル基であり、例えばメチル基、エチル基、ノルマルプロピル基、イソプロピル基、ノルマルブチル基、イソブチル基が好適である。かかる無機微粒子は一部に水酸基や、アルコキシ基を含有することが好ましい。アルコキシ基は無機微粒子と、後述の無機微粒子を改質する目的の有機ポリマーやバインダー樹脂との親和性を向上させたり、2者の間に化学結合を形成させることができる。また、有機溶剤中での該無機微粒子の分散性を向上させる作用がある。アルコキシドはその中心元素の価数に応じたアルコキシ基を有するが、本発明においてはアルコキシ基を3〜4個含有するアルコキシドが好ましい。
上記無機微粒子の粒径は5〜200nmの範囲にあるのが好ましい。
本発明において、上記被覆微粒子の粒径は、5〜200nmの範囲であることが好ましい。5nm未満であると粒子の表面エネルギーが高くなるために塗液中で凝集しやすくなり、200nmを超えると得られたコーティング膜の透明性が十分でなくなる。
バインダー樹脂(b)としては特に限定されないが、アルキル系ポリマー、ウレタン結合を有するポリマー、エステル結合を有するポリマー、エーテル結合を有するポリマー、アクリル系のポリマーなどが挙げられる。これらの中でも、透明性に優れる点から、アクリル系ポリマーが好ましい。アクリル系ポリマーとしては特に限定されないが、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートのような単官能アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレートのような2官能アクリレート等のアクリル基を有するモノマーから重合されるポリマーが挙げられる。また、アクリル基を少なくとも一方の末端に持つアルキルポリマー、エーテルポリマー等や、さらにはこれらのポリマーの側鎖に反応性の官能基:例えば水酸基、カルボキシル基、アミノ基、エポキシ基、メルカプト基、オキサゾリン基等を有するポリマーも好適に用いることができる。本発明においてはこれらのようなアクリル基を有するポリマーもアクリル系ポリマーと称することとする。これらのポリマーの中でも、後述の硬化剤との反応を考慮すると、構造の一部に水酸基を含有するアクリル系ポリマーが好ましい。
ところで、前述の通り、低屈折率層は、単に屈折率が低ければ低いほどよいわけではなく、用いられるフィルム基材の屈折率に応じて、それぞれ振幅条件を満たす最適な屈折率がある。例えばフィルム基材がポリエチレンナフタレートフィルムの場合は、前述の特開2003−292805号公報で提案されたような屈折率、すなわち、屈折率1.3以上の低屈折率層でも良好な反射防止性能が得られるが、ポリエチレンテレフタレートフィルムやトリアセチルセルロースの如きフィルム基材の場合には、屈折率1.3以上の低屈折率層では良好な反射防止性能は望めない。しかしながら、本発明方法によれば、屈折率1.10〜1.29の如きより低い屈折率の低屈折率層をフィルム基材の表面に形成することに成功したのである。
本発明におけるフィルム基材としては、特に制限はないが、その素材としては、例えば(メタ)アクリル樹脂、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレンやポリプロピレンの如きポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリエチレンナフタレート(PEN)の如きポリエステル及びこれらの共重合体あるいはこれらの(共)重合体をアミノ基、エポキシ基、ヒドロキシル基、カルボニル基の如き官能基で一部変性した樹脂、トリアセチルセルロース(TAC)からなるフィルムが好適である。これらのフィルム基材のうち、機械特性や透明性の点からポリエステル(PET、PENおよびそれらの共重合体)フィルムおよびトリアセチルセルロース(TAC)フィルムが特に好ましい。また、低屈折率層の屈折率が1.29以下の場合、特にポリエチレンテレフタレートフィルムおよびトリアセチルセルロースフィルムが好ましい。フィルム基材の厚みは特に制限されないが、200μm以下が好ましい。200μmより厚い場合は剛性が強すぎて、得られた反射防止フィルムのディスプレイへの貼り付け時の取り扱いが困難となる。
(R1O)nMR2 m−n
ここで、R1およびR2は互に独立に炭素数1〜4のアルキル基であり、MはAl、Si、TiまたはZrであり、そしてmはMの原子価に等しい数であり、nは2〜mの数である、
で表わされるアルコキシ化合物をさらに含有することが好ましい。
かかるアルコキシ化合物は、被覆微粒子を低屈折率層内に固定させる機能を有する。
上記式で示される化合物の中でも、加水分解可能な物質が好ましく、具体的にはメチルトリアセトキシシラン、ジメチルジアセトキシシラン、トリメチルアセトキシシラン、テトラアセトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトライソブトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、フェニルトリエトキシシランなどが好ましい。また、上記低屈折率層を形成するバインダー樹脂と被覆微粒子の表面を被覆する有機ポリマーの加水分解縮合を効率よく進行させるためには触媒を含有することもできる。触媒としては酸性触媒または塩基性触媒を用いることができる。酸性触媒としては、例えば塩酸、硝酸の如き無機酸、酢酸、クエン酸、プロピオン酸、しゅう酸、p−トルエンスルホン酸等の有機酸等が好適である。塩基性触媒としては、例えばアンモニア、トリエチルアミン、トリプロピルアミンの如き有機アミン化合物、ナトリウムメトキシド、カリウムメトキシド、カリウムエトキシド、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムの如きアルカリ金属化合物などが好適である。
十分な加水分解を進めるために必要な塗液のエージング時間は塗液のpH、環境温湿度に依存するが、1時間以上エージングするのが好ましい。
本発明における塗液は、さらに、バインダー樹脂(b)の架橋剤を含有することができる。この架橋剤は、塗膜の乾燥時にバインダー樹脂(b)を架橋せしめて硬化させる。
上記塗液のフィルム基材への塗布は、フィルム基材そのものの上に行ってもよく、フィルムの上にハードコート層を設けたものをフィルム基材としてその上に行ってもよい。塗布はいずれの場合もフィルム基材の少なくとも片面上に行われる。従ってハードコート層を片面上に有するフィルム基材の場合には塗布は、ハードコート層上に行うことができ、あるいはハードコート層と反射面上に行うこともできる。ハードコート層は、例えばシラン、アクリルなどの有機化合物および、それらの複合化合物からなる。硬化の形態としては熱硬化及び放射線硬化のいずれであってもよい。特に放射線硬化系のハードコート層が好ましく、中でも紫外線(UV)硬化系のハードコート層が好ましく用いられる。
ハードコート層の形成に用いられるUV硬化系組成物としては、例えば、ウレタン−アクリレート系、エポキシ−アクリレート系、ポリエステル−アクリレート系のUV硬化性組成物を挙げることができる。またこれらハードコート層形成材料の中にはすべり性や硬さを出すために微粒子を添加することも可能である。ハードコート層を形成するには、フィルム基材の少なくとも片面上に組成物を塗布し、加熱、放射線(例えば紫外線)照射等により該組成物を硬化させればよい。
ハードコート層の厚みは、好ましくは0.5〜10μm、さらに好ましくは1〜5μmである。ハードコート層の厚みが下限未満であると十分なハードコート性が得られず、上限を超えるとブロッキングを起こしやすくなる場合がある。
本発明において、低屈折率層およびハードコート層を形成する際の塗布方法としては、任意の公知の方法が使用でき、例えばリップダイレクト法、コンマコーター法、スリットリバース法、ダイコーター法、グラビアロールコーター法、ブレードコーター法、スプレーコーター法、エアーナイフコート法、ディップコート法、バーコーター法等が好ましく挙げられる。熱硬化性樹脂をバインダーとして用いた場合には、それを含む塗液を基材に塗布し、加熱乾燥させて塗膜を形成させる。加熱条件としては80〜160℃で10〜120秒間、特に100〜150℃で20〜60秒間が好ましい。UV硬化性樹脂または電子線硬化性樹脂をバインダーとして用いた場合には、一般的には予備乾燥を行った後、紫外線照射または電子線照射を行なう。
また、これらをフィルム基材に塗布する場合は、必要に応じて、密着性、塗工性を向上させるための予備処理として、フィルム表面にコロナ放電処理、プラズマ放電処理などの物理的表面処理を施すか、または、製膜中または製膜後に有機樹脂系や無機樹脂系の塗料を塗布して塗膜密着層を形成する化学的表面処理を施すことが好ましい。塗膜密着層を形成した場合は、その上に塗工される低屈折層との干渉条件・振幅条件を満たすために材料の屈折率及び膜厚を注意して選ぶことが推奨される。
かくして、本発明によれば、前記の如く
フィルム基材および
フィルム基材の少なくとも片面上の空隙を有する低屈折率層からなり、上記低屈折率層は
(a)Si、Al、TiおよびZrよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素の酸化物から実質的になる無機微粒子およびその表面を被覆する有機ポリマーからなる被覆微粒子、および
(b)バインダー樹脂からなり、そして
屈折率が1.10〜1.29の範囲にある、
ことを特徴とする、反射防止フィルムが提供される。
上記の如く、本発明における低屈折率の発現は、塗膜形成時に溶剤の揮発を通じて塗膜内に空隙を形成させることによって実現されるものであり、その空隙率によって塗膜の平均屈折率が決まる。本発明における好ましい空隙率は15〜80%であり、好ましくは25〜70%、さらに好ましくは35%〜65%である。空隙率が下限よりも小さいと十分な低屈折率が得られず、空隙率が上限より高い場合は十分な塗膜強度が得られない可能性がある。
また、上記低屈折率層は、珪素原子を含有することが好ましい。珪素を含有する形態は、特に限定されないが、例えば無機微粒子の表面を被覆する有機ポリマーに含有されるのが好ましい。その例としては珪素主鎖ポリマー、シランカップリング剤、およびシランカップリング剤の部分加水分解物または加水分解物の縮合によって得られた珪素酸化物ポリマーなどが挙げられる。
上記保護層を形成する際の、加水分解や加水分解後の縮合反応を十分に進行させ、かつ十分な強度の塗膜を得るために通常触媒を用いる。このような触媒としては塗液が含有するアルコキシ化合物の加水分解縮合について記載した触媒と同じものを用いることができる。
上記保護層の厚みは、1〜15nmの範囲にあることが好ましい。保護層の厚みが1nm未満だと、低屈折率層を保護する効果が十分に得られず、一方、15nmを越えると、得られた層が低屈折率層との組み合わせで光の干渉が起こり、反射防止特性が大きく損なわれる。より好ましい保護層の厚みは、5〜13nm、特に好ましくは7〜12nmの範囲である。
本発明の反射防止フィルムは、表示装置の表示面に貼り合わせて、表示装置の表示面で外光が反射するのを抑制し、表示内容の視認性を向上させるために使用できる。具体的な表示装置としては、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、プラズマディスプレイなどの表示装置を挙げることができる。また、本発明の反射防止フィルムは、前述のような外光の反射防止に限らず、表示装置の表示面よりも内側に配置、すなわち表示装置内部の拡散板やプリズムシートに貼り合わせて、表示装置の内部から表示面に向けて放射される光の光線透過率を高めるためにも使用できる。特に省電力化が要求され、バックライトの光を効率よく表示面から放出されることが要求される液晶表示装置において好適に使用できる。また、これらの使用に限らず、例えばショウウィンドウに貼り合わせて使用することもできる。
紫外・可視分光光度計(島津製作所(株)製、製品名UV−3101PC)を用い、波長550nmの光に対して、入射方向から5度の方向の絶対反射率を測定した。
(2)低屈折率層の厚みおよび屈折率
低屈折率層の膜厚および屈折率は、反射分光膜厚計(大塚電子(株)製、商品名「FE−3000」)によって、300〜800nmの反射率を測定し、代表的な屈折率の波長分散の近似式としてn−k Cauchyの分散式を引用し、スペクトルの実測値とフィッティングさせることにより膜厚と屈折率を求めた。
(3)基材フィルムの屈折率
基材フィルムの屈折率はアッベの屈折計によって測定し、フィルムの製膜方向と製膜方向および厚み方向に直交する方向との屈折率を平均した値、すなわち面内方向における屈折率を用いた。
(4)フィルム基材とハードコートの厚さ
フィルム基材とハードコートの厚さは、打点式膜厚計で測定した。なお、フィルム基材とハードコート層が貼り合わされている場合は、まずその状態での厚みを測定し、ハードコート層を取り除いてフィルム基材の厚みを測定し、両者の差をハードコート層の厚みとして算出した。また、ハードコート層を形成する前のフィルム基材の厚みが測定できる場合は、その厚みをフィルム基材の厚みとし、ハードコート層を形成した後の厚みからフィルム基材の厚みを差し引いた値をハードコート層の厚みとした。
(5)空隙率
実施例および比較例に記載の方法で得られたフィルムの低屈折率層に、屈折率の異なる種々の25℃の液を滴下し、液の滴下箇所が最も透明に見える液の屈折率をアッベの屈折率計(D線589nm)によって測定し、その屈折率を粒子とバインダー成分の平均屈折率n1とした。得られた低屈折率層の(空隙を含んだ状態での)屈折率をn2としたとき、空隙率y(%)は下記の式で表わすことができる。
y={(n1−n2)/(n1−1)}×100
(6)耐擦傷性
10円玉にスチールウール#0000番を均一に貼り付け、その上に加重50gをかけて10往復こすり、傷の付き方を目視にて観察した。判定としては
○・・・強い傷はつかない
◎・・・傷がつかない
四つ口フラスコ内でイオン交換水179gにクエン酸1gを溶解させた液に、ヘプタデカフルオロデシルメチルジメトキシシラン10gをゆっくりと添加し、全量投入後10分間の攪拌を行った。その溶液中に平均粒径60nmの中空シリカ粒IPA分散ゾル(固形分20%、触媒化成工業(株)製)100gを攪拌しながら少量ずつ混合し、全量投入後液温を60℃に保ち2時間攪拌を行うことで粒子の表面処理を行った。処理後、エバポレーターを用いて溶媒を除いた後、窒素雰囲気下120℃で2時間の乾燥を行い。表面処理中空シリカ粒子(S−1)を約20g得た。
次にこのフラスコにメタノール900g、エタノール300g、イオン交換水550g、2重量%の濃度のアンモニア水50gを加えて1時間攪拌した後、さらにテトラメトキシシラン162g、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン18gを加え、白濁した液が透明になるまで6時間の攪拌を行って加水分解反応を進行させてコーティング前駆液(A)を作成した。
t−ブチルメタクリレート30g、2−ヒドロキシエチルメタクリレート70g、ブチルアクリレート100gを窒素雰囲気下110℃の温度に保った酢酸ブチル200gに滴下ロートを用いて混合した溶液に2,2’−アゾビスイソブチロニトリル2gを添加し、液を2時間加熱することで共重合を行いコーティング前駆液(B)を得た。
次にコーティング前駆液(A)180gに酢酸エチル320g、イソプロピルアルコール160g、レベリング剤としてシリコーンオイルを0.1g添加した溶液を3時間攪拌し、その溶液にコーティング前駆液(B)20gを滴下ロートを用いて徐々に混合し、全量滴下後3時間攪拌を行い、固形分濃度20%のコーティング主剤(C)を得た。
コーティング主剤(C)5g、メチルイソブチルケトン(以下、MIBKと称することがある。)66.2g、イソシアネート系硬化剤0.12gを混合して10分攪拌することで固形分濃度1.5%のコーティング液(D)を調整した。
コーティング液(D)をマイヤーバーによりフィルム基材の片面に塗工し、150℃の温度下1分で乾燥・硬化反応させて低屈折率層を得た。その際、マイヤーバーの番手に、膜厚110nmになるように調整した。また、フィルム基材としては、ポリエチレンテレフタレート(以下、PETと称することがある。)フィルム(帝人デュポンフィルム(株)製、商品名O3PF8W−100)を用いた。用いたPETフィルムの面内平均屈折率は1.65であった。得られた反射防止フィルムの特性を表1に示す。
実施例1と同様に作成したコーティング主剤(C)5gとMIBK49.9g、イソシアネート系硬化剤0.12gを混合して10分攪拌することで固形分濃度2.0%のコーティング液(E)を調整した。コーティング液(E)をマイヤーバーにて塗工し、150℃の温度下1分間で乾燥・硬化反応させて低屈折率層を得た。なお、マイヤーバーの番手にて塗膜厚みを102nmに調整し、反射防止フィルムとしての最適化を行った。フィルム基材としてはポリエチレンナフタレート(以下、PENと称することがある。)フィルム(帝人デュポンフィルム(株)製、商品名Q65−100)を用いた。用いたPENフィルムの面内平均屈折率は1.74であった。得られた反射防止フィルムの特性を表1に示す。
フッ素化有機化合物によって修飾された中空シリカ粒子とシランカップリング剤とを主成分とする市販の低屈折率層形成用コーティング主剤(F)(日本触媒(株)製、商品名PX2−LR7)5gとMIBK66.2g、イソシアネート系硬化剤0.12gを混合して10分攪拌することで固形分濃度1.5%のコーティング液(G)を調整した。このコーティング液(G)を、コーティング液(D)の代わりに用いた以外は、実施例1と同様な操作を繰り返した。得られた反射防止フィルムの特性を表1に示す。
フッ素化有機化合物によって修飾された中空シリカ粒子を含有し、シランカップリング剤を主成分とする低屈折率層形成用コーティング主剤(F)(日本触媒(株)製、商品名PX2−LR7)5gとMIBK49.9g、イソシアネート系硬化剤0.12gを混合して10分攪拌することで固形分濃度2.0%のコーティング液(H)を調整した。コーティング液(H)をコーティング液(E)の代わりに用い、かつ塗膜厚みを110nmに調整した以外は、実施例2と同様な操作を繰り返した。得られた反射防止フィルムの特性を表1に示す。
PETフィルム(帝人デュポンフィルム(株)製、商品名O3PF8W−100)上に紫外線硬化型ハードコート(大日精化(株)製、商品名:HC−8)をマイヤーバーにて塗工し、溶媒乾燥後に低圧UVランプにて紫外線を照射し、厚さ約5μmのハードコート層(HC)を形成した。得られたハードコートの屈折率は1.53であった。このハードコート層が形成された基材フィルムを用い、かつハードコート層の上に低屈折率層を形成した以外は、実施例3と同様な操作を繰り返した。得られた反射防止フィルムの特性を表1に示す。
基材フィルムとして、厚さ80μmのトリアセチルセルロース(TAC)フィルムを用いた以外は、実施例3と同様な操作を繰り返した。なお、TACフィルムの面内平均屈折率は1.49であった。得られた反射防止フィルムの特性を表1に示す。
MIBKの代わりに酢酸イソチブル(以下IBAcと略すことがある)を用いた以外は実施例3と同様な操作を繰返した。得られた反射防止フィルムの特性を表1に示す。
固形分濃度を変更した以外は実施例7と同様な操作を繰返した。得られた反射防止フィルムの特性を表1に示す。
MIBKの代わりにメチル−n−ブチルケトン(以下MBKと略すことがある)を用いた以外は実施例3と同様な操作を繰返した。得られた反射防止フィルムの特性を表1に示す。
固形分濃度を変更した以外は実施例9と同様な操作を繰返した。得られた反射防止フィルムの特性を表1に示す。
MIBKの代わりにトルエンを用いた以外は、実施例1と同様な操作を繰り返した。得られた反射防止フィルムの特性を表1に示す。
MIBKの代わりにトルエンを用いた以外は、実施例2と同様な操作を繰り返した。得られた反射防止フィルムの特性を表1に示す。
MIBKの代わりにメチルエチルケトン(以下、MEKと称することがある。)を用いた以外は、実施例1と同様な操作を繰り返した。得られた反射防止フィルムの特性を表1に示す。
MIBKの代わりにMEKを用いた以外は、実施例2と同様な操作を繰り返した。得られた反射防止フィルムの特性を表1に示す。
MIBKの代わりにトルエンを用いた以外は、実施例3と同様な操作を繰り返した。得られた反射防止フィルムの特性を表1に示す。
MIBKの代わりにトルエンを用いた以外は、実施例4と同様な操作を繰り返した。得られた反射防止フィルムの特性を表1に示す。
MIBKの代わりにMEKを用いた以外は、実施例3と同様な操作を繰り返した。得られた反射防止フィルムの特性を表1に示す。
MIBKの代わりにMEKを用いた以外は、実施例4と同様な操作を繰り返した。得られた反射防止フィルムの特性を表1に示す。
本発明によれば、同一の塗液を特定の溶剤で固形分濃度を調整して希釈して塗工することで得られる低屈折率層の屈折率が調整できる。またそれを利用することで各種フィルム基材の屈折率に適合させた屈折率を得ることができるので高性能な反射防止フィルムを提供することが可能となる。このことは下地の屈折率に関わらず1種類のコーティング材料からの1層のコーティングのみで高性能反射防止フィルムの生産を可能とし、その生産性を従来の製法より飛躍的に向上させることができることを意味している。しかも、従来では達成し得なかったような低い屈折率の低屈折率層を形成することも可能となり、その工業的価値はきわめて高い。
Claims (10)
- (a)Si、Al、TiおよびZrよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素の酸化物から実質的になる無機微粒子およびその表面を被覆する有機ポリマーからなる被覆微粒子、
(b)バインダー樹脂および
(c)沸点が100℃以上であり且つ水と混和できる有機溶剤
からなる塗液をフィルム基材の少なくとも片面上に塗布し、次いで塗膜を100〜150℃で20〜60秒間乾燥させて空隙を有する低屈折率層を形成せしめる、ことを特徴とする、フィルム基材と低屈折率層からなる反射防止フィルムの製造方法。 - 上記塗液が下記式
(R1O)nMR2 m−n
ここで、R1およびR2は互に独立に炭素数1〜4のアルキル基であり、MはAl、Si、TiまたはZrであり、そしてmはMの原子価に等しい数であり、nは2〜mの数である、
で表わされるアルコキシ化合物をさらに含有する請求項1に記載の方法。 - 上記塗液が架橋剤を含有しそして塗膜の乾燥時にバインダー樹脂(b)を架橋せしめて硬化させる請求項1に記載の方法。
- 有機溶剤が、ケトン系有機溶剤である請求項1記載の方法。
- 低屈折率層が、フッ素原子と珪素原子とを含有する請求項1に記載の方法。
- 被覆微粒子の平均粒径が、5〜200nmの範囲にある請求項1に記載の方法。
- 無機微粒子の表面を被覆する有機ポリマーが、アルキル系ポリマー、ウレタン結合を有するポリマー、エステル結合を有するポリマー、エーテル結合を有するポリマーおよびアクリル系ポリマーからなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載の方法。
- 無機微粒子の表面を被覆する有機ポリマーが、少なくとも一つのアルコキシ基を持つポリシロキサン基を有する請求項1に記載の方法。
- 有機溶剤の塗液中の割合が、塗液の重量を基準として、少なくとも70%以上であり且つ塗液中の固形分濃度が、0.5〜10%の範囲にある請求項1に記載の方法。
- フィルム基材の片面に、ハードコート層を形成し、ハードコート層が形成されたフィルム基材の少なくとも片面に低屈折率層を形成する請求項1に記載の方法。
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