JP2003266606A - 硬化被膜付き透明基材 - Google Patents

硬化被膜付き透明基材

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JP2003266606A
JP2003266606A JP2002068266A JP2002068266A JP2003266606A JP 2003266606 A JP2003266606 A JP 2003266606A JP 2002068266 A JP2002068266 A JP 2002068266A JP 2002068266 A JP2002068266 A JP 2002068266A JP 2003266606 A JP2003266606 A JP 2003266606A
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compound
porous
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binder component
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JP2002068266A
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English (en)
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Shinsuke Ochiai
伸介 落合
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Sumitomo Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 単層の反射防止膜だけで、十分な反射防止性
能を有する材料を提供する。 【解決手段】 基材表面に、多孔質微粒子と、多孔質
でない無機化合物微粒子と、硬化性化合物及び樹脂から
選ばれるバインダー成分とを含む組成物からの硬化被膜
が形成された透明基材が提供される。多孔質微粒子は、
シリカ微粒子であるのが好ましく、また、表面が被覆さ
れた二重構造を有する多孔質シリカ又はシリカを含む多
孔質複合酸化物であるのも有効である。バインダー成分
は、硬化性化合物、例えば、多官能ラジカル重合性化合
物や、カチオン重合性化合物、加水分解性有機ケイ素化
合物などであるのが有利であり、また、カチオン重合性
化合物としてオキセタン化合物を用い、所望により、エ
ポキシ化合物、多官能ラジカル重合性化合物、加水分解
性有機ケイ素化合物などを併用することもできる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、表面に反射防止性
の硬化被膜が形成された透明基材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、ディスプレイ用のガラスや樹脂等
の透明基材の表面には、反射防止膜などの機能性被膜が
形成され、利用されてきた。特にコストの面から、蒸着
法やスパッタリング法ではなく、反射防止材料を塗料に
して塗布することにより得られる被膜を形成した基材が
多く開発されている。例えば、特開平 8-100136 号公報
には、フッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンの
共重合体に、エチレン性不飽和基を有する重合性化合物
を配合した、反射防止膜を形成するのに用いられるフッ
素系塗料が記載されている。
【0003】しかしながら、従来用いられている反射防
止膜は、その反射防止性能が不十分であり、例えば上記
特開平 8-100136号公報に記載のものは、屈折率が1.4
3程度であって、十分な反射防止性能が得られなかっ
た。また、反射防止性能を高めるために反射防止層を高
屈折率層と低屈折率層からなる二層構成にすることが、
特開 2001-315242号公報に示されているが、この場合、
反射率が低くなるのは特定の波長を中心とする100〜
200nmの波長範囲だけであり、他の波長では反射率が
逆に高くなるために、反射光が干渉により強く着色する
という問題があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】そこで本発明者は、単
層の反射防止膜だけで、十分な反射防止性能を有する材
料を開発すべく、鋭意研究を行った結果、特定の組成物
を硬化して得られる被膜が、十分な反射防性能を有する
ことを見出し、本発明に至った。
【0005】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明は、基材
表面に、多孔質微粒子と、多孔質でない無機化合物微粒
子と、硬化性化合物及び樹脂から選ばれるバインダー成
分とを含む組成物からの硬化被膜が形成されている透明
基材を提供するものである。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明の透明基材は、表面に被膜
が形成されたものであって、この被膜は、次の三成分を
含む組成物から形成される。
【0007】(A)多孔質微粒子、(B)多孔質でない
無機化合物微粒子(以下、「多孔質でない」という語を
省略して、単に「無機化合物微粒子」と呼ぶことがあ
る)、並びに(C)硬化性化合物及び樹脂から選ばれる
バインダー成分。
【0008】したがってこの被膜は、バインダー成分で
ある硬化性化合物の硬化物中に、又はバインダー成分で
ある樹脂中に、多孔質微粒子と無機化合物微粒子の両者
が分散したものとなる。この被膜が適当な厚み及び屈折
率を有するようにすれば、反射防止層として作用する。
この被膜は、硬化性化合物又は樹脂中に多孔質微粒子及
び無機化合物微粒子を分散させた組成物からなる被膜を
基材上に形成し、バインダー成分が硬化性化合物である
場合にはその被膜を硬化させることによって、またバイ
ンダー成分が樹脂である場合にはその被膜から溶剤など
の揮発分を揮発させることによって、得ることができ
る。
【0009】多孔質微粒子は特に限定されないが、平均
粒径が5nm〜10μm の範囲にあるものが好ましく用い
られる。特に反射防止膜として被膜を形成する場合に
は、平均粒径が5nm〜100nmの範囲にある多孔質微粒
子がより好ましい。粒径があまり小さいものは工業的に
製造することが困難であり、また粒径があまり大きくな
ると、被膜の透明性などの光学性能が低下するため、好
ましくない。
【0010】多孔質微粒子としては、材料そのものの屈
折率が低く、かつ強度を有することから、多孔質シリカ
微粒子が好ましい。多孔質シリカ微粒子は、屈折率が
1.2〜1.4 程度であり、通常のシリカ微粒子の屈折
率1.46 に比べて屈折率が低く、反射防止材料を形成
するうえで好ましい。多孔質シリカ微粒子としては、例
えば、特開平 7-48527号公報に示されるように、アルコ
キシシランをアルカリの存在下で加水分解することによ
り得られる、高度に絡み合って枝分かれし、ポリマー状
に生成したシリカが挙げられる。
【0011】また多孔質微粒子として、表面が被覆され
た二重構造を有する多孔質シリカ又はシリカを含む多孔
質複合酸化物を用いることもできる。このような表面が
被覆された二重構造を有する多孔質シリカ又はシリカを
含む多孔質複合酸化物は、例えば、特開平 7-133105 号
公報に記載される方法などによって製造することができ
る。特に、表面が被覆されて二重構造になっている多孔
質シリカ微粒子は、粒子の細孔入口が閉塞されて粒子内
部の多孔性が保持されることから、好ましく用いられ
る。
【0012】無機化合物微粒子は、本発明においては上
記の多孔質微粒子から区別され、したがって多孔質でな
いものがこれに該当する。その種類は特に限定されない
が、例えば、それぞれ平均粒径が5nm〜10μm の範囲
にあるシリカ微粒子、アルミナ微粒子、酸化スズ微粒
子、酸化アンチモン微粒子、酸化インジウム微粒子のよ
うな金属酸化物微粒子、酸化スズ−アンチモン複合酸化
物微粒子、酸化インジウム−スズ複合酸化物微粒子のよ
うな複合酸化物微粒子などが挙げられる。中でもシリカ
微粒子は、材料そのものの屈折率が低く、かつ強度を有
することから、好ましく用いられる。このような無機化
合物微粒子を前述した多孔質微粒子とともに存在させる
ことにより、被膜硬度の向上や、帯電防止性などの他の
機能の付与が期待される。
【0013】本発明の硬化被膜は、後述するように塗料
化して形成されるため、無機化合物微粒子は、水又は有
機溶剤中に分散されたコロイド物の状態で用いるのが好
ましい。このような無機化合物微粒子のコロイドとして
は、通常のものを用いることができる。多孔質でないシ
リカ微粒子を例にとると、一般にシリカ微粒子コロイド
の状態で市販されており、例えば、“スノーテックス 2
0 ”、“スノーテックス C”、“スノーテックス IPA-S
T ”、“スノーテックス MIBK-ST”などの“スノーテッ
クス”シリーズとして日産化学工業(株)から販売され
ているものなどが挙げられる。
【0014】もちろん固体状のシリカ微粒子を塗料中に
添加することも可能である。固体状のシリカ微粒子も市
販されている。例えば、“AEROSIL 50”、“AEROSIL 13
0”などの“AEROSIL”シリーズとして日本アエロジル
(株)から販売されているもの、“Nipsil E 150K”、
“Nipsil E 200”などの“Nipsil”シリーズとして日本
シリカ工業(株)から販売されているものなどがある。
【0015】本発明に係る被膜は通常、バインダー成分
である硬化性化合物が硬化したものの中に、又はバイン
ダー成分である樹脂の中に、前述した多孔質微粒子及び
無機化合物微粒子が分散した状態で形成される。バイン
ダー成分はもちろん、硬化性化合物と樹脂との混合物で
あってもよい。
【0016】バインダー成分を構成する硬化性化合物と
しては、特に限定されないが、例えば、多官能ラジカル
重合性化合物、カチオン重合性化合物、加水分解性有機
ケイ素化合物などが、好ましいものとして挙げられる。
これらの化合物を2種類以上混合して用いることもでき
る。
【0017】多官能ラジカル重合性化合物は、分子中に
少なくとも2個の重合性官能基を有し、ラジカル重合に
よって硬化する化合物である。具体的には例えば、分子
中に少なくとも2個の(メタ)アクリロイルオキシ基を
有する化合物又はそのオリゴマー(以下、「多官能(メ
タ)アクリロイルオキシ化合物」と呼ぶことがある)で
あるのが好ましい。ここで、(メタ)アクリロイルオキ
シ基とは、アクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオ
キシ基をいい、その他本明細書において、(メタ)アク
リル酸、(メタ)アクリレートなどというときの「(メ
タ)」も同様の意味である。
【0018】上に示した多官能(メタ)アクリロイルオ
キシ化合物としては、例えば、エチレングリコールジ
(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メ
タ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メ
タ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)
アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)ア
クリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリ
レート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、ペンタ
グリセロールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリス
リトールトリ−又はテトラ−(メタ)アクリレート、ジ
ペンタエリスリトールトリ−、テトラ−、ペンタ−又は
ヘキサ−(メタ)アクリレート、トリス(メタ)アクリ
ロイルオキシエチルイソシアヌレートのような、多価ア
ルコールのポリ(メタ)アクリル酸エステル;環状ホス
ファゼン化合物のホスファゼン環に(メタ)アクリロイ
ルオキシ基が導入されたホスファゼン系(メタ)アクリ
レート化合物;分子中に少なくとも2個のイソシアナト
基を有するポリイソシアネート化合物と、ポリオールの
一部の水酸基が(メタ)アクリル酸エステル化された化
合物とを反応させて得られるウレタン(メタ)アクリレ
ート化合物;分子中に少なくとも2個のカルボニル基を
有するカルボン酸ハロゲン化物と、ポリオールの一部の
水酸基が(メタ)アクリル酸エステル化された化合物と
を反応させて得られるポリエステル(メタ)アクリレー
ト化合物などが挙げられる。これらの化合物は、それぞ
れ単独で、又は2種以上混合して用いることができる。
また、これらの各化合物が2量体、3量体などとなった
オリゴマーであってもよい。
【0019】多官能(メタ)アクリロイルオキシ化合物
には、市販されているものもあるので、それを用いるこ
ともできる。かかる市販品としては、例えば、“NKエ
ステル A-TMM-3L ”(新中村化学工業(株)製、ペンタ
エリスリトールトリアクリレート)、“NKエステル A
-9530 ”(新中村化学工業(株)製、ジペンタエリスリ
トールヘキサアクリレート)、“KAYARAD DPCA”(日本
化薬(株)製、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレ
ート)、“アロニックス M-8560 ”(東亞合成(株)
製、ポリエステルアクリレート化合物)、“ニューフロ
ンティア TEICA”(第一工業製薬(株)製、トリスアクリ
ロイルオキシエチルイソシアヌレート)、“PPZ ”(共
栄社化学(株)製、ホスファゼン系メタクリレート化合
物)などが例示される。また、溶剤と混合された状態で
市販されているものを用いることもでき、かかる溶剤混
合型の市販品としては、例えば、“アロニックス UV370
1 ”(東亞合成(株)製)、“ユニディック 17-813”
(大日本インキ化学工業(株)製)、“NKハード M-10
1”(新中村化学工業(株)製)などが挙げられる。
【0020】カチオン重合性化合物は、カチオン重合に
より硬化する化合物である。具体例としては、オキセタ
ン化合物やエポキシ化合物を挙げることができ、これら
の混合物を用いることもできる。
【0021】オキセタン化合物は、分子中に少なくとも
1個のオキセタン環を有する化合物である。このような
オキセタン化合物としては、種々のものが使用できる
が、好ましい化合物として、下記式(I)〜(III) で示
されるものを挙げることができる。
【0022】
【0023】式中、R1 は、水素、フッ素、アルキル
基、フルオロアルキル基、アリル基、アリール基又はフ
リル基を表し、mは1〜4の整数を表し、Zは酸素又は
硫黄を表し、R2 はmの値に応じて1〜4価の有機基を
表し、nは1〜5の整数を表し、pは0〜2の整数を表
し、R3 は水素又は不活性な1価の有機基を表し、R4
は加水分解可能な官能基を表す。
【0024】式(I)〜(III) において、R1 がアルキ
ル基の場合、その炭素数は1〜6程度であることがで
き、具体的には、メチル、エチル、プロキル、ブチルな
どが挙げられる。またフルオロアルキル基も、炭素数1
〜6程度であることができる。さらにアリール基は、典
型的にはフェニル又はナフチルであり、これらは他の基
で置換されていてもよい。
【0025】また、式(I)においてR2 で表される有
機基は、特に限定されないが、例えば、mが1の場合
は、アルキル基、フェニル基などが、mが2の場合は、
炭素数1〜12の直鎖又は分枝状アルキレン基、直鎖又
は分枝状のポリ(アルキレンオキシ)基などが、mが3
又は4の場合は、類似の多価官能基が挙げられる。
【0026】式(III) においてR3 で表される不活性な
1価の有機基として、典型的には炭素数1〜4のアルキ
ル基が挙げられ、またR4 で表される加水分解可能な官
能基としては、例えば、メトキシやエトキシなどを包含
する炭素数1〜5のアルコキシ基、塩素原子や臭素原子
のようなハロゲン原子などが挙げられる。
【0027】オキセタン化合物の中でも、分子内にシリ
ル基を有する化合物又はその加水分解縮合物が好ましく
用いられる。特に、前記式(III) の化合物をアルカリと
水の存在下で加水分解縮合させることによって得られ
る、オキセタニル基を複数有するシルセスキオキサン化
合物(ネットワーク状ポリシロキサン化合物)は、硬い
被膜を与えるため、本発明に用いる材料として好適であ
る。
【0028】エポキシ化合物は、分子内にエポキシ基を
少なくとも1個有する単量体であって、カチオン重合を
起こして硬化するものであれば、いずれも使用すること
ができる。例えば、フェニルグリシジルエーテル、エチ
レングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンジグ
リシジルエーテル、ビニルシクロヘキセンジオキサイ
ド、1,2,8,9−ジエポキシリモネン、3,4−エ
ポキシシクロヘキシルメチル 3′,4′−エポキシシ
クロヘキサンカルボキシレート、ビス(3,4−エポキ
シシクロヘキシル)アジペートなどが挙げられる。
【0029】カチオン重合性化合物としては、特に、オ
キセタン化合物を単独で、又はエポキシ化合物と組み合
わせて用いるのが好ましい。この場合、エポキシ化合物
は、オキセタン化合物100重量部に対し、通常0〜3
0重量部程度、好ましくは1〜20重量部程度の割合で
添加される。
【0030】加水分解性有機ケイ素化合物は、加水分解
性の基を分子内に少なくとも1個有し、ケイ素原子に有
機基が結合した化合物であって、具体的には、次の式
(IV)で示すことができる。
【0031】 Si(R5)q(R6)4-q (IV)
【0032】式中、R5 は水素又は不活性な1価の有機
基を表し、R6 は加水分解可能な官能基を表し、qは0
〜3の整数を表す。
【0033】式(IV)においてR5 で表される不活性な
1価の有機基として、典型的には、炭素数1〜4のアル
キル基、炭素数2〜4のアルケニル基、フェニルなどを
包含するアリール基などが挙げられる。またR6 で表さ
れる加水分解可能な官能基としては、例えば、メトキシ
やエトキシなどを包含する炭素数1〜5のアルコキシ
基、アセトキシやプロピオニルオキシのようなアシロキ
シ基、塩素原子や臭素原子のようなハロゲン原子、トリ
メチルシリルアミノのような置換シリルアミノ基などが
挙げられる。よく知られている加水分解性の有機ケイ素
化合物を大分類的に挙げると、アルコキシシラン化合
物、ハロゲン化シラン化合物、アシロキシシラン化合
物、シラザン化合物などがある。これらの有機ケイ素化
合物は、上記式(IV)におけるR5 又はR6 の一部とし
て、アリール基、ビニル基、アリル基、(メタ)アクリ
ロイルオキシ基、エポキシ基、アミノ基、メルカプト基
などの置換基を有していてもよい。
【0034】具体的な加水分解性有機ケイ素化合物とし
ては、例えば、メチルトリクロロシランのようなハロゲ
ン化シラン化合物、テトラメトキシシラン、テトラエト
キシシラン、メチルトリメトキシシラン、フェニルトリ
メトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジメチ
ルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ビニ
ルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ
−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(β−アミ
ノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、
N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチル
ジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキ
シシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシ
ラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシ
シラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメチルジメ
トキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシ
シラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシ
ランのようなアルコキシシラン化合物、ヘキサメチルジ
シラザンのようなシラザン化合物などが挙げられる。こ
れらは、それぞれ単独で、又は2種以上混合して用いる
ことができる。
【0035】加水分解性の有機ケイ素化合物は、ここに
示したような単量体であってもよいし、2量体〜10量
体程度のオリゴマー又は重合度が10を超えるポリマー
のような多量体であってもよい。さらには、上記のよう
な有機ケイ素化合物が加水分解された加水分解生成物で
あってもよい。加水分解生成物は、上記有機ケイ素化合
物に、塩酸、リン酸、酢酸のような酸、又は水酸化ナト
リウム、酢酸ナトリウムのような塩基を加えることによ
り、生成させることができる。
【0036】また、加水分解性有機ケイ素化合物とし
て、分子中にフッ素原子を有する化合物を用いることも
できる。分子中にフッ素原子を有する加水分解性有機ケ
イ素化合物は、加水分解性の基を分子内に少なくとも1
個有し、ケイ素原子にフッ素原子を有する有機基が結合
した化合物であって、具体的には、次の式(V)で示す
ことができる。
【0037】 Rf−R7−Si(R8)r(R9)3-r (V)
【0038】式中、Rf は炭素数1〜16の直鎖状又は
分岐状パーフルオロアルキル基、R7は2価の有機基、
8 は水素又は不活性な1価の有機基、R9 は加水分解
可能な官能基を表し、rは0〜2の整数を表す。
【0039】式(V)においてR7 は2価の有機基であ
り、具体的には次のような基が挙げられる。
【0040】−CH2CH2−、−CH2OCH2CH2
2−、−CONHCH2CH2CH2−、−CONHCH
2CH2NHCH2CH2CH2−、−SO2NHCH2CH2
CH2−、−CH2CH2OCONHCH2CH2CH2
など。
【0041】また、R8 は水素又は不活性な1価の有機
基であり、その具体例は、式(IV)中のR5 と同様であ
る。R9 は加水分解可能な官能基であり、その具体例
は、式(IV)中のR6 と同様である。
【0042】このような式(V)で示される分子中にフ
ッ素原子を有する加水分解性有機ケイ素化合物として、
具体的には例えば、次のようなものを挙げることができ
る。
【0043】CF3CH2CH2Si(OCH3)3 、C49
CH2CH2Si(OCH3)3 、C49CH2CH2Si(C
3)(OCH3)2 、C817CH2CH2Si(OCH3)
3 、C817CH2CH2Si(OC25)3 、C817CH
2CH2SiCl3 、(CF3)2CF(CF2)8CH2CH2
i(OCH3)3 、C1021CH2CH2Si(OCH3)3
1021CH2CH2SiCl3 など。
【0044】バインダー成分として樹脂を用いる場合、
かかる樹脂は、被膜を形成しうるものであれば特に限定
されないが、例えば、メタクリル酸、アクリル酸若しく
はそれらのエステル化合物を用いた単独重合体又はそれ
らの2種以上を用いた共重合体であるアクリル系樹脂
や、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリカーボ
ネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、セルロース系樹
脂、ポリビニルアルコール系樹脂、フッ素系樹脂などが
挙げられる。
【0045】本発明において、被膜を形成するために用
いる組成物中の各成分の割合は特に限定されないが、多
孔質微粒子と無機化合物微粒子とバインダー成分との合
計量を基準に、多孔質微粒子が通常20〜80重量%、
無機化合物微粒子が通常20〜80重量%、バインダー
成分が通常1〜60重量%の範囲である。多孔質微粒子
の量があまり少ないと、硬化被膜の屈折率が低下せず、
十分な反射防止機能が得られなくなる場合があり、また
その量があまり多いと、膜としての強度が低下する。反
射防止膜として被膜を形成する場合には、被膜の屈折率
が、好ましくは1.20〜1.45、より好ましくは1.
25〜1.41となるよう、多孔質微粒子の添加量を選
択するのが好ましい。その際の添加量は、多孔質微粒子
の屈折率によっても異なるが、通常は先述した範囲内で
あり、より好ましくは20〜70重量%である。またバ
インダー成分は、多孔質微粒子と無機化合物微粒子とバ
インダー成分との合計量を基準に、5重量%以上、さら
には10重量%以上とするのがより好ましい。
【0046】本発明に用いる基材は、透明なものであれ
ば特に限定されないが、例えば、ポリメチルメタクリレ
ート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン、メチ
ルメタクリレート−スチレン共重合体樹脂、アクリロニ
トリル−スチレン共重合体樹脂、トリアセチルセルロー
ス樹脂のような樹脂基材、また無機ガラスのような無機
基材などが挙げられる。特に、メチルメタクリレート−
スチレン共重合体は、吸湿による伸縮が小さく、反射防
止板の基材として適している。
【0047】基材は、板(シート)やフィルムなどのよ
うに、表面が平らなものであってもよいし、凸レンズや
凹レンズなどのように、表面が曲率を有する基材であっ
てもよい。また、表面に細かな凹凸が設けられていても
よい。樹脂基材である場合には、その表面にハードコー
ト層などの他の被膜が形成されていてもよい。
【0048】多孔質微粒子、無機化合物微粒子及びバイ
ンダー成分を含む組成物を基材上に塗布して被膜を形成
するためには、これらの各成分を含有する塗料として構
成する必要がある。塗料には通常、これらの各成分の他
に溶剤が含まれ、またバインダー成分の種類によっては
重合開始剤も含まれ、さらには必要に応じて各種添加剤
が含まれる。
【0049】バインダー成分が紫外線の照射により硬化
する化合物、例えば、多官能ラジカル重合性化合物やカ
チオン重合性化合物である場合には、硬化被膜を形成す
るために重合開始剤が必要となる。特に、多官能ラジカ
ル重合性化合物とカチオン重合性化合物とは、重合機構
が異なるため、それぞれ別個に重合開始剤の添加が必要
である。
【0050】多官能ラジカル重合性化合物のための重合
開始剤には、紫外線を照射することでラジカルを発生す
る化合物が好ましく用いられる。かかるラジカル重合開
始剤としては、ベンジル、ベンゾフェノンやその誘導
体、チオキサントン類、ベンジルジメチルケタール類、
α−ヒドロキシアルキルフェノン類、ヒドロキシケトン
類、アミノアルキルフェノン類、アシルホスフィンオキ
サイド類などが好適に使用される。
【0051】これらの重合開始剤は、それぞれ単独で用
いることができるほか、多くは二種類以上混合して用い
ることもできる。また、これらの各種重合開始剤は市販
されているので、そのような市販品を用いることができ
る。市販されている重合開始剤としては、例えば、チバ
・スペシャルティ・ケミカルズ(株)から販売されてい
る“IRGACURE 651”、“IRUGACURE 184”、“IRUGACURE
907”、“IRUGACURE500”、“DAROCURE 1173”など、
日本化薬(株)から販売されている“KAYACUREBP-10
0”、“KAYACURE DETX-S”など、川口薬品(株)から販
売されている“ハイキュア OBM”など、シェル化学
(株)から販売されている“QUANTACURE ITX”など、B
ASF社から販売されている“LUCIRIN TPO ”など、日
本シイベルヘグナー(株)から販売されている“ESACUR
E EB3”などを挙げることができる。
【0052】ラジカル重合開始剤は、多官能ラジカル重
合性化合物100重量部に対して、通常0.1〜20重
量部程度、好ましくは0.5〜10重量部程度の割合で
添加される。開始剤の量があまり少ないと、多官能ラジ
カル重合性化合物の紫外線重合性が十分に発揮されず、
またその量があまり多くなっても、増量効果が認められ
ず、経済的に不利であるとともに、被膜の光学特性の低
下をきたす可能性があるので、好ましくない。
【0053】また、カチオン重合性化合物のための重合
開始剤としては、紫外線を照射することでカチオンを発
生する化合物が用いられる。かかるカチオン重合開始剤
としては、例えば、次の各式で示されるジアゾニウム
塩、スルホニウム塩、ヨードニウム塩などのオニウム塩
が好適に使用される。
【0054】ArN2 +- 、(R)3+- 、(R)2
+-
【0055】式中、Arはアリール基を表し、Rはアリ
ール基又は炭素数1〜20のアルキル基を表し、一分子
内にRが複数回現れる場合は、それぞれ同一でも異なっ
ていてもよく、Z- は非塩基性でかつ非求核性の陰イオ
ンを表す。
【0056】上記各式において、Ar又はRで表される
アリール基も、典型的にはフェニルやナフチルであり、
これらは適当な基で置換されていてもよい。また、Z-
で表される陰イオンとして具体的には、テトラフルオロ
ボレートイオン(BF4 -)、テトラキス(ペンタフルオ
ロフェニル)ボレートイオン(B(C65)4 -)、ヘキサ
フルオロホスフェートイオン(PF6 -)、ヘキサフルオ
ロアーセネートイオン(AsF6 -)、ヘキサフルオロア
ンチモネートイオン(SbF6 -)、ヘキサクロロアンチ
モネートイオン(SbCl6 -)、硫酸水素イオン(HS
4 -)、過塩素酸イオン(ClO4 -)などが挙げられ
る。
【0057】これらのカチオン重合開始剤の多くは市販
されているので、そのような市販品を用いることができ
る。市販のカチオン重合開始剤としては、例えば、ダウ
ケミカル日本(株)から販売されている“サイラキュア
UVI-6990 ”、それぞれ旭電化工業(株)から販売され
ている“アデカオプトマー SP-150”及び “アデカオプ
トマー SP-170”、ローディアジャパン(株)から販売
されている“RHODORSILPHOTOINITIATOR 2074”などが挙
げられる。
【0058】これらのカチオン重合開始剤は、カチオン
重合性化合物100重量部に対し、通常0.1〜20重
量部程度、好ましくは0.5〜10重量部程度の割合で
添加される。開始剤の量があまり少ないと、カチオン重
合性化合物の紫外線重合性が十分に発揮されず、またそ
の量があまり多くなっても、増量効果が認められず、経
済的に不利であるとともに、被膜の光学特性の低下をき
たす可能性があるので、好ましくない。
【0059】なお、バインダー成分がラジカル重合性の
化合物とカチオン重合性の化合物の両方を含む場合に
は、上記のようなラジカル重合開始剤とカチオン重合開
始剤の両方を存在させればよい。また、バインダー成分
として加水分解性有機ケイ素化合物を組成物中に含む場
合には、硬化を促進するために、酸やアルカリ、有機金
属化合物や金属イオンなどの硬化触媒を含有させてもよ
い。
【0060】溶剤は、塗料の濃度や粘度、硬化後の膜厚
などを調整するために使用される。用いる溶剤は、適宜
選択すればよいが、例えば、メタノール、エタノール、
プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、2
−ブタノール、イソブタノール、tert−ブタノールのよ
うなアルコール類、2−エトキシエタノール、2−ブト
キシエタノール、3−メトキシプロパノール、1−メト
キシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノ
ールのようなアルコキシアルコール類、ジアセトンアル
コールのようなケトール類、アセトン、メチルエチルケ
トン、メチルイソブチルケトンのようなケトン類、トル
エン、キシレンのような芳香族炭化水素類、酢酸エチ
ル、酢酸ブチルのようなエステル類などが挙げられる。
溶剤の使用量は、基材の材質、形状、塗布方法、目的と
する被膜の膜厚などに応じて適宜選択されるが、通常
は、多孔質微粒子と無機化合物微粒子とバインダー成分
の合計100重量部あたり、 20〜10,000重量部
程度の範囲である。
【0061】また、塗料中には、安定化剤、酸化防止
剤、着色剤、レベリング剤などの添加剤が含有されてい
てもよい。特にシリコーンオイルは、レベリング性を向
上させるだけでなく、硬化被膜の表面の滑り性も向上さ
せ、表面硬度も向上させる効果があるので、添加するの
が好ましい。
【0062】シリコーンオイルとしては、通常のものが
使用でき、具体的には、ジメチルシリコーンオイル、フ
ェニルメチルシリコーンオイル、アルキル・アラルキル
変性シリコーオイル、フルオロシリコーンオイル、ポリ
エーテル変性シリコーンオイル、脂肪酸エステル変性シ
リコーンオイル、メチル水素シリコーンオイル、シラノ
ール基含有シリコーンオイル、アルコキシ基含有シリコ
ーンオイル、フェノール基含有シリコーンオイル、メタ
クリル変性シリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオ
イル、カルボン酸変性シリコーンオイル、カルビノール
変性シリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイ
ル、メルカプト変性シリコーンオイル、フッ素変性シリ
コーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイルなど
が例示される。これらシリコーンオイルは、それぞれ単
独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。シリ
コーンオイルの添加量は通常、多孔質微粒子と無機化合
物微粒子とバインダー成分との合計100重量部に対し
て、0〜20重量部である。その量が20重量部より多
いと、光学性能や膜強度が低下するため、好ましくな
い。
【0063】以上説明したような塗料を基材の表面に塗
布することにより、多孔質微粒子、無機化合物微粒子及
びバインダー成分からなる被膜が形成される。基材の表
面に塗料を塗布するにあたっては、通常と同様の方法、
例えば、マイクログラビアコート法、ロールコート法、
ディッピングコート法、フローコート法、スピンコート
法、ダイコート法、キャスト転写法、スプレーコート法
などの方法により塗布すればよい。
【0064】バインダー成分が樹脂である場合は、こう
して得られる被膜から溶剤を揮発させることで、その樹
脂中に多孔質微粒子及び無機化合物微粒子が分散した硬
化皮膜が形成される。溶剤の揮発は、室温で放置して行
ってもよいし、30〜100℃程度での加熱乾燥により
行ってもよい。乾燥時間は、基材の材質、形状、塗布方
法、目的とする被膜の膜厚などに応じて適宜選択され
る。この際、ある程度加熱して硬化を促進するのも有効
である。この説明からもわかるように、本発明でいう
「硬化被膜」とは、特にバインダー成分が樹脂自体であ
る場合には、硬化処理が施されていることを必須とする
ものではなく、溶剤を揮発させて固体とした程度の状態
を包含する意味である。
【0065】一方、バインダー成分が硬化性化合物を含
有する場合には、上記のようにして得られる被膜になん
らかの方法で硬化処理が施される。具体的には、バイン
ダー成分が多官能ラジカル重合性化合物やカチオン重合
性化合物のような紫外線硬化性の成分を含む場合は、紫
外線を照射することにより被膜を硬化させる。また、バ
インダー成分が加水分解性有機ケイ素化合物のような熱
硬化性の成分を含む場合は、加熱することにより被膜を
硬化させる。
【0066】紫外線を照射して硬化させる場合、紫外線
の照射時間は特に限定されないが、通常は 0.1〜60
秒程度の範囲である。紫外線は通常、10〜40℃程度
の雰囲気下で照射することができる。照射する紫外線の
照射エネルギーは、通常50〜3,000mJ/cm2程度で
ある。紫外線の照射量があまり少ないと、硬化が不十分
となり、膜の強度が低下する。また紫外線の照射量があ
まり多くなると、被膜や基材が劣化し、光学特性や機械
物性の低下をきたす可能性があるので、好ましくない。
【0067】塗料が溶剤を含有する場合、紫外線は、被
膜が溶剤を含有した状態のまま照射してもよいし、溶剤
を揮発させた後に照射してもよい。溶剤を揮発させる場
合には、室温で放置してもよいし、30〜100℃程度
で加熱乾燥してもよい。乾燥時間は、基材の材質、形
状、塗布方法、目的とする被膜の膜厚などに応じて適宜
選択される。紫外線照射によって硬化被膜を形成した
後、硬化被膜をより強固なものとするために、さらに加
熱処理を施してもよい。加熱温度と時間は適宜選択され
るが、通常50〜120℃で30分〜24時間程度であ
る。
【0068】被膜を加熱により硬化させる場合、加熱温
度と時間は特に限定されないが、通常は50〜120℃
の温度範囲で1分〜5時間程度が適用される。塗料が溶
剤を含有する場合、加熱硬化は、被膜が溶剤を含有した
状態のまま行ってもよいし、溶剤を揮発させた後に行っ
てもよい。溶剤を揮発させる場合には、室温で放置して
もよいし、30〜100℃で加熱乾燥してもよい。乾燥
時間は、基材の材質、形状、塗布方法、目的とする被膜
の膜厚などに応じて適宜選択される。
【0069】バインダー成分は、紫外線硬化性化合物と
熱硬化性化合物の両方を含むこともでき、この場合に
は、紫外線照射及び加熱を順次施して、被膜を硬化させ
る。この場合の紫外線照射と加熱の順序は任意であり、
どちらを先に行ってもよい。また、加熱硬化、紫外線照
射の順に行った後、さらに加熱するといったように、加
熱硬化を紫外線照射の前後に行うことも可能である。
【0070】形成された硬化被膜は、膜厚が通常0.0
1〜1μmの範囲となるようにするのが好ましい。膜厚
が0.01μmに満たなくても1μm を超えても、反射防
止膜としての機能が低下しやすい。
【0071】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに詳細に説
明するが、本発明はこれらの実施例によって限定される
ものではない。例中、含有量ないし使用量を表す%及び
部は、特記ないかぎり重量基準である。また、実施例で
得た基材は、以下の方法で反射率を評価した。
【0072】〔反射率の測定方法〕基材の測定面側とは
反対側の面をスチールウールで粗面化し、黒色ペンキを
塗って乾燥し、次いで測定面の入射角度5°における絶
対鏡面反射スペクトルを紫外線可視分光光度計〔“UV-3
100 ”、(株)島津製作所製〕を用いて測定し、反射率
が最小値を示す波長とその反射率の最小値を求めた。
【0073】実施例1 表面がエチルシリケートの加水分解物で被覆された粒径
20〜70nmの多孔質シリカ微粒子をイソプロピルアル
コール中に20%分散させたゾルを120部、粒径10
〜20nmのシリカ微粒子(非多孔質)をイソプロピルア
ルコール中に30%分散させたゾル(“スノーテックス
IPA-ST ”:日産化学工業(株)から入手)を100
部、3−エチル−3−〔{3−(トリエトキシシリル)
プロポキシ}メチル〕オキセタン〔式(III) において、
1=エチル、R4=エトキシ、n=3、p=0の化合
物〕の加水分解縮合物であるオキセタニルシルセスキオ
キサンを6部、光カチオン重合開始剤“RHODORSIL PHOT
OINITIATOR 2074 ”〔化学名:p−クミル−p−トリル
ヨードニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボ
レート、ローディアジャパン(株)から入手〕を 0.5
部、メチルハイドロジェンシリコーンオイル“KF99”
(信越化学工業(株)から入手)を 1.5部、イソプロ
ピルアルコールを 2,472部、及び2−ブトキシエタ
ノールを300部混合し、分散させて塗料を得た。
【0074】この塗料に、スチレン単位を約40%含む
メチルメタクリレート−スチレン共重合体樹脂板〔日本
アクリエース(株)製の“アクリエースMS”〕を浸漬
し、引上速度24cm/min でディップ塗布して、室温で
1分以上乾燥させた後、60℃で10分間乾燥させた。
乾燥後、高圧水銀ランプ〔ウシオ電機(株)製の“UVC-35
33”〕により約1,000mJ/cm2のエネルギーで紫外線
を照射して、反射防止性能を有する透明基材を得た。こ
の透明基材の評価結果を表1に示した。この基材の被膜
について、反射スペクトルから屈折率を計算すると1.
33 であり、同じく反射スペクトルから計算した膜厚
は139nmであった。この基材は、干渉色による反射光
の着色が少なかった。
【0075】実施例2 塗料の組成を次のように変えた以外は、実施例1と同様
にして、反射防止性能を有する透明基材を作製した。
【0076】 実施例1と同じ多孔質シリカ微粒子の20%ゾル 120部 実施例1と同じシリカ微粒子(非多孔質)の30%ゾル 80部 実施例1と同じオキセタン化合物 12部 実施例1と同じ光カチオン重合開始剤 0.5部 実施例1と同じシリコーンオイル 1.5部 イソプロピルアルコール 2,486部 2−ブトキシエタノール 300部
【0077】得られた透明基材の評価結果を表1に示し
た。この基材の被膜について、反射スペクトルから屈折
率を計算すると1.37 であり、同じく反射スペクトル
から計算した膜厚は128nmであった。この基材も、干
渉色による反射光の着色が少なかった。
【0078】実施例3 塗料の組成を次のように変えた以外は、実施例1と同様
にして、反射防止性能を有する透明基材を作製した。
【0079】 実施例1と同じ多孔質シリカ微粒子の20%ゾル 120部 シリカ微粒子の30%ゾル“スノーテックス MIBK-ST”*1) 80部 多官能ラジカル重合性化合物“NKハード M-101”*2) 15部 実施例1と同じシリコーンオイル 2部 メチルイソブチルケトン 2,783部 *1)“スノーテックス MIBK-ST”:粒径10〜20nmのシリカ微粒子(非多硬質) がメチルイソブチルケトン中に30%分散したゾル、日産化学工業(株)製。 *2)“NKハード M-101”:多官能ウレタンアクリレートオリゴマーを80%と 光ラジカル開始剤を含む溶液、新中村化学工業(株)製。
【0080】得られた透明基材の評価結果を表1に示し
た。この基材の被膜について、反射スペクトルから屈折
率を計算すると1.34 であり、同じく反射スペクトル
から計算した膜厚は112nmであった。この基材も、干
渉色による反射光の着色が少なかった。
【0081】実施例4 次の組成で塗料を調製した。
【0082】 実施例1と同じ多孔質シリカ微粒子の20%ゾル 90部 実施例3と同じ“スノーテックス IPA-ST”(30%ゾル) 60部 テトラエトキシシラン 24部 0.1N塩酸 24部 実施例1と同じシリコーンオイル 2部 イソプロピルアルコール 2,500部 2−ブトキシエタノール 300部
【0083】この塗料に、スチレン単位を約40%含む
メチルメタクリレート−スチレン共重合体樹脂板〔日本
アクリエース(株)製の“アクリエースMS”〕を浸漬
し、引上速度24cm/min でディップ塗布して、室温で
5分以上乾燥させた後、80℃で20分間加熱処理し、
反射防止性能を有する透明基材を得た。この透明基材の
評価結果を表1に示した。この基材の被膜について、反
射スペクトルから屈折率を計算すると1.32 であり、
同じく反射スペクトルから計算した膜厚は91nmであっ
た。この基材も、干渉色による反射光の着色が少なかっ
た。
【0084】
【表1】
【0085】
【発明の効果】本発明の硬化被膜を有する透明基材は、
反射防止性能に優れ、かつ反射光の干渉による着色も少
ないので、ディスプレイ等の保護板として有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C09D 183/00 C09D 183/00 201/00 201/00 G02B 1/11 G02B 1/10 A Fターム(参考) 2K009 AA04 BB02 BB13 BB24 BB28 CC09 CC26 CC42 DD02 DD05 DD06 4F100 AA20B AA20H AK12 AK25 AL01 AL05B AS00B AT00A BA02 DE01B DE10B EJ54 EJ542 EJ82 EJ822 EJ86 EJ862 GB41 JB12B JN06 JN06B JN18B YY00B 4J038 DB002 DF021 DL031 DL051 DL081 DL091 DL101 DL171 FA111 FA211 FA261 FA281 GA15 HA446 NA01 NA19

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基材表面に、多孔質微粒子と、多孔質でな
    い無機化合物微粒子と、硬化性化合物及び樹脂から選ば
    れるバインダー成分とを含む組成物からの硬化被膜が形
    成されていることを特徴とする透明基材。
  2. 【請求項2】多孔質微粒子が、多孔質のシリカ微粒子で
    ある請求項1に記載の透明基材。
  3. 【請求項3】多孔質微粒子が、表面を被覆された二重構
    造を有する多孔質シリカ又はシリカを含む多孔質複合酸
    化物である請求項1に記載の透明基材。
  4. 【請求項4】無機化合物微粒子が、多孔質でないシリカ
    微粒子である請求項1に記載の透明基材。
  5. 【請求項5】組成物中のバインダー成分が、多官能ラジ
    カル重合性化合物、カチオン重合性化合物及び加水分解
    性有機ケイ素化合物から選ばれる硬化性化合物の1種又
    は2種以上を含有する請求項1に記載の透明基材。
  6. 【請求項6】バインダー成分が、オキセタン化合物及び
    エポキシ化合物から選ばれるカチオン重合性化合物を含
    有する請求項5に記載の透明基材。
  7. 【請求項7】バインダー成分が、分子内にシリル基を有
    するオキセタン化合物又はその加水分解縮合物を主成分
    とするカチオン重合性化合物を含有する請求項5に記載
    の透明基材。
  8. 【請求項8】硬化被膜が、1.20〜1.45の屈折率及
    び0.01〜1μmの膜厚を有し、反射防止機能を有する
    被膜である請求項1〜7のいずれかに記載の透明基材。
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