JP2011111533A - 機能性塗膜 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】(A)、(B)の各成分を含んだ有機無機複合塗膜であって、(A)成分と(B)成分の質量比率がA/B=1000/100〜400/100、膜厚が10〜1000nm、塗膜の屈折率が1.3〜1.48であることを特徴とする機能性塗膜。
(A)成分;粒子径が1nm〜400nmの金属酸化物
(B)成分;粒子径が10nm〜800nmの重合体エマルジョン粒子
前記(B)成分は、以下の(b1)〜(b4)の各成分、
(b1)成分:加水分解性珪素化合物、
(b2)成分:水酸基、カルボキシル基、アミド基、アミノ基、エーテル基よりなる群から選ばれる少なくとも1種の官能基を含有するビニル単量体、
(b3)成分:乳化剤、
(b4)成分:水、
を含む重合原液を重合して得られる重合体エマルジョン粒子である。
【選択図】なし
Description
特許文献2では透明性と防汚性に優れた有機・無機複合組成物が開示されているが、反射防止に関する開示は十分にはなされていない。
すなわち、本発明は以下の通りである。
(1)(A)、(B)の各成分を含んだ有機無機複合塗膜であって、(A)成分と(B)成分の質量比率がA/B=1000/100〜400/100、膜厚が10〜1000nm、塗膜の屈折率が1.3〜1.48であることを特徴とする機能性塗膜。
(B)成分;粒子径が10nm〜800nmの重合体エマルジョン粒子
前記(B)成分は、以下の(b1)〜(b4)の各成分、
(b1)成分:加水分解性珪素化合物、
(b2)成分:水酸基、カルボキシル基、アミド基、アミノ基、エーテル基よりなる群から選ばれる少なくとも1種の官能基を含有するビニル単量体、
(b3)成分:乳化剤、
(b4)成分:水、
を含む重合原液を重合して得られる重合体エマルジョン粒子である。
(A)成分と(B)成分との質量比がA/B=150/100〜450/100であり、
(A)成分と(C)成分との質量比がC/A=0.2/100〜300/100であることを特徴とする上記(1)記載の機能性塗膜。
R1 nSiX4−n (1)
(式1において、R1は水素又は炭素数1〜10のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、又はこれらの置換基を表し、Xは加水分解基を表し、nは0〜3の整数である。)
X3Si−R2 n−SiX3 (2)
(式2において、Xは加水分解基を表し、R2は炭素数1〜6のアルキレン基又はフェニレン基を表し、nは0又は1である。)
R3−(O−Si(OR3)2)n−OR3 (3)
(式3において、R3は炭素数1〜6のアルキル基を表し、nは2〜8の整数である。)
(A)成分:粒子径が1nm〜400nmの金属酸化物、
(B)成分:粒子径が10nm〜800nmの重合体エマルジョン粒子、
を含み、
前記(B)成分は、以下の(b1)〜(b4)の各成分、
(b1)成分:加水分解性珪素化合物、
(b2)成分:水酸基、カルボキシル基、アミド基、アミノ基、エーテル基よりなる群から選ばれる少なくとも1種の官能基を含有するビニル単量体、
(b3)成分:乳化剤、
(b4)成分:水、
を含む重合原液を重合して得られる重合体エマルジョン粒子である。
また、前記(A)成分が、前記(B)成分と相互作用しながら前記(B)成分の粒子間に連続層を形成して存在することが好ましい。この場合、得られるコーティング組成物の光線透過率、耐候性、防汚性がより向上し得る。
ここで、前記(A)成分として2種以上のこれら金属酸化物を併用することもできる。
このような導電性を有する金属酸化物としては、例えば、錫をドープした酸化インジウム(ITO)、アンチモンをドープした酸化錫(ATO)、酸化スズ、酸化亜鉛等を挙げることができる。
前記(A)成分を用いる際の形態としては、例えば、粉体、分散液、ゾル等が挙げられる。
ここでいう分散液、またはゾルとは、前記(A)成分が水及び/又は親水性有機溶媒中に0.01〜80質量%、好ましくは0.1〜50質量%の濃度で、一次粒子及び/又は二次粒子として分散された状態を意味する。
なお、本実施の形態における数平均粒子径(単に、「粒子径」と略記することがある)とは、後述する実施例の方法に準じて測定された値である。
これらコロイダルシリカは、ゾル−ゲル法で調製して使用することもでき、市販品を利用することもできる。ゾル−ゲル法で調製する場合には、WernerStober et al;J.Colloidand Interface Sci.,26, 62−69 (1968)、RickeyD.Badley et al;Lang muir 6, 792−801 (1990)、色材協会誌,61 [9] 488−493(1988) などを参照できる。コロイダルシリカは、二酸化ケイ素を基本単位とするシリカの水または水溶性溶媒の分散体であり、その粒子径は1〜400nmであることが必要であり、好ましくは、1〜100nm、より好ましくは5〜50nmである。粒子径が1nm以上であれば、塗液の貯蔵安定性が良好であり、400nm以下の場合は、透明性が良好となる。上記範囲の粒子径のコロイダルシリカは、水性分散液の状態で、酸性、塩基性のいずれであっても用いることができ、混合する水性分散体(B)の安定領域に応じて、適宜選択することができる。水を分散媒体とする酸性のコロイダルシリカとしては、例えば市販品として日産化学工業(株)製スノーテックス(商標)−O、スノーテックス−OS、スノーテックス−OL、スノーテックス−OUP、スノーテックス−UP、旭電化工業(株)製アデライト(商標)AT−20Q、クラリアントジャパン(株)製クレボゾール(商標)20H12、クレボゾール30CAL25などが利用できる。
(b1)成分:加水分解性珪素化合物、
(b2)成分:水酸基、カルボキシル基、アミド基、アミノ基、エーテル基よりなる群から選ばれる少なくとも1種の官能基を含有するビニル単量体、
(b3)成分:乳化剤、
(b4)成分:水、
を含む重合原液を重合して得られる重合体エマルジョン粒子である。このようにして得られる(B)成分としては、前記(b1)成分に由来する水酸基と、前記(b2)成分の重合生成物とが、水素結合等により複合化されたものを用いることが好適である。
SiWxRy (4)
(式中、Wは炭素数1〜20のアルコキシ基、水酸基、炭素数1〜20のアセトキシ基、ハロゲン原子、水素原子、炭素数1〜20のオキシム基、エノキシ基、アミノキシ基、アミド基から選ばれた少なくとも1種の基を表す。Rは、直鎖状又は分岐状の炭素数が1〜30個のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、及び置換されていないか又は炭素数1〜20のアルキル基若しくは炭素数1〜20のアルコキシ基若しくはハロゲン原子で置換されている炭素数6〜20のアリール基から選ばれる少なくとも1種の炭化水素基を表す。xは1以上4以下の整数であり、yは0以上3以下の整数である。また、x+y=4である。)
メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、イソプロピルトリメトキシシラン、イソプロピルトリエトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、n−ブチルトリエトキシシラン、n−ペンチルトリメトキシシラン、n−ヘキシルトリメトキシシラン、n−ヘプチルトリメトキシシラン、n−オクチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、3,3,3−トリフロロプロピルトリメトキシシラン、3,3,3−トリフロロプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、2−ヒドロキシエチルトリメトキシシラン、2−ヒドロキシエチルトリエトキシシラン、2−ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、2−ヒドロキシプロピルトリエトキシシラン、3−ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、3−ヒドロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−イソシアナートプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアナートプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、3−(メタ)アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アタクリルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリ−n−プロポキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリイソプロポキシシラン、3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン等のトリアルコキシシラン類;
トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン等のモノアルコキシシラン類;
等を挙げることができる。また、これらは、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
更に、前記(b1)成分としては、チオール基を有するシランカップリング剤や、以下の(b1−1)成分、
(b1−1)成分:ビニル重合性基を有する加水分解性珪素化合物
を含んでも良い。これらを用いた場合、得られる機能性塗膜の長期防汚染性が良好となり好適である。
上記チオール基を有するシランカップリング剤としては、例えば、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン等、を挙げることができる。
また、前記(b1)成分としては、以下の(b1−2)成分、
(b1−2)成分:環状シロキサンオリゴマー
を含んでいても良い。当該(b1−2)成分を用いた場合、得られる機能性塗膜の柔軟性がより良好となり好適である。
(R’2SiO)m (5)
(式中、R’は、水素原子、直鎖状又は分岐状の炭素数が1〜30個のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、及び置換されていないか又は炭素数1〜20のアルキル基若しくは炭素数1〜20のアルコキシ基若しくはハロゲン原子で置換されている炭素数6〜20のアリール基から選ばれる少なくとも1種を表す。mは整数であり、2≦m≦20である。)
中でも、反応性等の点からオクタメチルシクロテトラシロキサン等の環状ジメチルシロキサンオリゴマーが好ましい。
前記(b1)成分と、後述する(B)成分との比(b1)/(B)(質量比)としては、重合安定性の観点から、好ましくは0.01/100〜80/100、より好ましくは0.1/100〜70/100、さらには0.2/100〜40/100である。
また、前記(b1−1)成分と、前記(b2)成分との比(b1−1)/(b2)(質量比)としては、重合安定性の観点から、好ましくは0.1/100〜100/100、より好ましくは0.5/100〜50/100である。
他方、前記(b1−2)成分と、前記(B)成分との比(b1−2)/(B)(質量比)としては、親水性の観点から、好ましくは0.01/100〜20/100、より好ましくは0.5/100〜5/100である。
また、前記(b1−2)成分と、前記(b2)成分との比(b1−2)/(b2)(質量比)としては、重合安定性の観点から、好ましくは0.5/100〜50/100、より好ましくは1.0/100〜20/100である。
水酸基含有ビニル単量体としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートもしくは4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートの如き、各種のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類;2−ヒドロキシエチルビニルエーテルもしくは4−ヒドロキシブチルビニルエーテルの如き、各種の水酸基含有ビニルエーテル類;2−ヒドロキシエチルアリルエーテルの如き、各種の水酸基含有アリルエーテル類;ポリエチレングリコールなどで以て代表されるような、種々のポリエーテルポリオールと、(メタ)アクリル酸などで以て代表されるような、種々の不飽和カルボン酸とから得られるポリオキシアルキレングリコールのモノエステル類;前掲したような各種の水酸基含有単量体類と、ε−カプロラクトンなどで以て代表されるような、種々のラクトン類との付加物;またはグリシジル(メタ)アクリレートなどで以て代表されるような、種々のエポキシ基含有不飽和単量体と、酢酸などで以て代表されるような、種々の酸類との付加物;さらには、(メタ)アクリル酸などで以て代表されるような、種々の不飽和カルボン酸類と、「カーデュラE」(オランダ国シェル社製の商品名)などで以て代表されるような、α−オレフィンのエポキサイド以外の、種々のモノエポキシ化合物との付加物などのような種々の水酸基含有ビニル単量体類などが挙げられる。
アジピン酸モノビニルまたはコハク酸モノビニルの如き、各種の飽和ジカルボン酸のモノビニルエステル類;無水コハク酸、無水グルタル酸、無水フタル酸または無水トリメリット酸の如き、各種の飽和ポリカルボン酸の無水物類と前掲した各種の水酸基含有ビニル系単量体類との付加反応生成物;さらには、前掲したような各種のカルボキシル基含有単量体類とラクトン類を付加反応せしめて得られるような単量体類などである。
前記(b2)成分と、前記(B)成分との比(b2)/(B)(質量比)としては、重合安定性の観点から、好ましくは0.05/1〜1/1、より好ましくは0.1/1〜0.8/1、さらには0.2/1〜0.5/1である。
また、前記(b2)成分と、前記(A)成分との比(b2)/(A)(質量比)としては、(A)成分との水素結合性や配合安定性の観点から、好ましくは0.05/1〜1/1より好ましくは0.1/1〜0.8/1、さらには0.2/1〜0.5/1である。
である。
アルキルトリメチルアンモニウムブロミド、アルキルピリジニウムブロミド、イミダゾリニウムラウレート等の四級アンモニウム塩、ピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩型のカチオン性界面活性剤;
ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンオキシプロピレンブロックコポリマー、ポリオキシエチレンジスチリルフェニルエーテル等のノニオン型界面活性剤;
等が挙げられる。これらは1種を単独で、又は2種以上を併用することができる。
上記反応性乳化剤としてより具体的には、例えば、スルホン酸基又はスルホネート基を有するビニル単量体、硫酸エステル基を有するビニル単量体やそれらのアルカリ金属塩、アンモニウム塩、ポリオキシエチレン等のノニオン基を有するビニル単量体、4級アンモニウム塩を有するビニル単量体等を挙げることができる。
スルホン酸基のアンモニウム塩、ナトリウム塩又はカリウム塩のような置換基が結合しているビニル基を有するビニルスルホネート化合物;
等が挙げられる。
上記スルホン酸基のアンモニウム塩、ナトリウム塩又はカリウム塩のような置換基により一部が置換されたコハク酸基を有する化合物の具体例としては、アリルスルホコハク酸塩が挙げられる。より詳しくは、例えば、エレミノールJS−2(商品名)(三洋化成(株)製)、ラテムルS−120、S−180A又はS−180(商品名)(花王(株)製)等を挙げることができる。
前記(b3)成分の使用量としては、重合安定性の観点から、前記(B)成分100質量部に対して、好ましくは10質量部以下、より好ましくは0.001〜5質量部である。
前記重合原液には、(b1)〜(b4)成分に加え、更に種々の成分を混合することができる。
(b5)成分:(b2)成分と共重合可能な他のビニル単量体、
を混合することができる。このような(b5)成分を用いることは、生成する重合生成物の特性(ガラス転移温度、分子量、水素結合力、極性、分散安定性、耐候性、加水分解性珪素化合物(b1)の重合生成物との相溶性等)を制御する観点から好適である。
前記(b5)成分としては、例えば、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル類の他、エポキシ基含有ビニル単量体、カルボニル基含有ビニル単量体、アニオン型ビニル単量体のような官能基を含有する単量体、等を挙げることができる。
また、前記重合原液には、連鎖移動剤を混合することができる。
更に、前記重合原液には分散安定剤を混合することができる。
これらの分散安定剤の使用量としては、重合体エマルジョン粒子(B)100質量部に対して、好ましくは10質量部以下であり、より好ましくは0.001〜5質量部である。
上述した重合原液の重合は、重合触媒の存在下で実施するのが好ましい。
前記(b2)成分の重合触媒としては、熱又は還元性物質などによってラジカル分解してビニル単量体の付加重合を起こさせるラジカル重合触媒が好適である。水溶性又は油溶性の過硫酸塩、過酸化物、アゾビス化合物等が好ましく使用される。より具体的には、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素、t−ブチルヒドロパーオキシド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、2,2−アゾビスイソブチロニトリル、2,2−アゾビス(2−ジアミノプロパン)ヒドロクロリド、2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等が挙げられる。
前記(B)成分を得る方法としては、乳化剤がミセルを形成するのに十分な量の水の存在下に前記(b1)成分と前記(b2)成分とを重合する、いわゆる乳化重合が適している。
なお、重合原液の配合としては、重合安定性の観点から、最終固形分量が0.1〜70質量%、好ましくは1〜55質量%の範囲になるように前記(b1)〜(b4)の各成分を配合するのが好ましい。
前記(B)成分としては、得られるコーティング組成物を用いて形成される塗膜の基材密着性、塗膜間の密着性を向上させる観点から、コア層と、当該コア層を被覆する1層又は2層以上のシェル層とを備えたコア/シェル構造を有することが好ましい。そして、当該コア/シェル構造を形成する方法としては、前記乳化重合を多段で行なう、多段乳化重合が非常に有用である。
前記コア/シェル構造は、例えば、透過型電子顕微鏡等による形態観察や粘弾性測定による解析等により観察することができる。
前記コア/シェル構造のコア層のガラス転移温度(Tg)としては、好ましくは0℃以下である。この場合、得られる機能性塗膜の室温における柔軟性に優れ、厚膜化した場合の割れ等が生じにくくなるため好ましい。
なお、本実施の形態におけるTgは示差走査熱量測定装置(DSC)にて測定することができる。
前記(A)成分と前記(B)成分の比(A)/(B)(質量比)としては、1000/100〜400/100、より好ましくは150/100〜350/100、さらには200/100〜300/100である。この範囲で配合されたコーティング組成物からは、塗膜屈折率が低く、光線透過率が高い防汚染性に優れた機能性塗膜が実現し得るため好ましい。
前記光安定剤としては、例えば、ヒンダードアミン系光安定剤が好ましく用いられる。中でも、分子内にラジカル重合性の二重結合を有するラジカル重合性光安定剤が好ましい。
また、これらの有機系紫外線吸収剤や、光安定剤、各種添加剤成分は、前記(A)成分及び前記(B)成分と単に配合することも可能であるし、前記(B)成分を合成する際に共存させることも可能である。
R1 nSiX4−n(1)
(式中、R1は水素または炭素数1〜10のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基を表す。またこれらの置換基上にさらにハロゲン基、ヒドロキシ基、メルカプト基、アミノ基、(メタ)アクリロイル基、エポキシ基等の官能基を有していても良い。Xは加水分解基を表し、nは0〜3の整数である。加水分解基とは加水分解により水酸基が生じる基であればよく、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシルオキシ基、アミノ基、フェノキシ基、オキシム基等が挙げられる。)
X3Si−R2 n−SiX3(2)
(式中、Xは加水分解基を表し、R2は炭素数1〜6のアルキレン基またはフェニレン基を表す。また、nは0または1である)
R3−(O−Si(OR3)2)n−OR3(3)
(式中、R3は炭素数1〜6のアルキル基を表す。nは2〜8の整数である。)
また、前記(A)成分と前記(C)成分の質量比は、好ましくはC/A=0.2/100〜300/100であり、好ましくはC/A=1/100〜100/100、さらにはC/A=30/100〜75/100である。C/Aは、高温条件下での接触角を下げるという観点から0.2/100以上、機能性塗膜の強度の観点から300/100である。
また、強化ガラスや合わせガラス、複層ガラスなども目的に応じて使用することができる。
樹脂としてはアクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、環状ポリオレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、エチレン−フルオロエチレン共重合体などが例示でき、これら樹脂基材には耐候性を付与する目的で紫外線吸収剤などの耐候剤等を更に練り込んでも良い。
本発明のコーティング組成物は、特に限定されるものではないが、水等の溶媒等に溶解乃至分散させた状態として調製することができる。
ここで本発明の光線透過率とは日本電色工業製NDH2000によって測定された全光線透過率のことである。
Vo=n4/3πd3
Va(%)=Vo/V1×100
Vb(%)=(Ncal−Nmeas)/(Ncal−1)×100
V2=(dtγcosθ/4η)0.5
d:管径、t:接触時間、γ:表面張力、θ:接触角、η:粘度
この吸水量(V2)と塗膜の体積(V3)から空隙率Vc(%)を換算することができる。
Vc(%)=V2/V3×100
また、本発明で使用することができる空隙率が20%未満ある場合は塗膜の強度が向上するため反射鏡などに使用することができる。反射鏡に使用する場合、空隙率は10〜20%がさらに好ましい。
尚、本実施の形態に言う「塗膜」は、必ずしも連続膜である必要はなく、不連続膜、島状分散膜等の態様であっても構わない。
1.全光線透過率
濁度計(日本電色工業製NDH2000)を用い、JIS−K7105に準じて機能性塗膜の全光線透過率を測定した。
2.屈折率
膜厚計(大塚電子製FE−3000)を用い、機能性塗膜の屈折率(633nm)を測定した。
3.接触角
機能性塗膜の塗膜の最表面に脱イオン水の水滴を乗せ、23℃で10秒放置した後、接触角計(協和界面科学製 CA−X150型接触角計)を用いて測定した。
4.空孔径、空隙率
電子顕微鏡を用いて塗膜表面を25万倍で観察し、その表面の空孔径の最大直径、最大幅を求めた。さらに、外接円相当径を求めた。塗膜体積は1辺1000nmの正方形の面積と膜厚から求め、その結果から空隙率を算出した。
かくはん機、還流冷却器、滴下槽及び温度計を取りつけた反応容器に、水212部及び「アデカリアソープSE1025N」の25%水溶液1部を投入し、反応容器内を80℃とした。次に、アクリル酸2部、ダイアセトンアクリルアミド2部、メタクリル酸メチル51部、アクリル酸ブチル5部、2-ヒドロキシメタクリル酸エチル1部を混合し、該モノマー混合液に、「アデカリアソープSE1025N」の25%水溶液10部、過硫酸アンモニウムの2%水溶液10部の混合液とをホモジナイザーによりプレ乳化液とし、滴下槽より反応容器中へ2時間かけて添加した。添加中及び添加が終了してからさらに1時間、反応容器中の温度を80℃に保った。この段階でのエマルジョンの数平均粒径は10nmであった。引き続き、過硫酸アンモニウムの2%水溶液10部、N-イソプロピルアクリルアミド140部と水600部の混合液とアクリル酸ブチル5g、フェニルトリメトキシシラン10g、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン0.2gを滴下槽より該反応容器内に添加し始め、2.5時間かけて添加を終了させた。添加中及び添加終了後1時間、反応容器内液温を80℃に保った後、50℃まで冷却し、エタノールの60%水溶液780部を徐々に該反応容器内に添加した。エタノール水溶液の添加終了後室温まで冷却し、固形分10%に調整した。数平均粒径が100nmの重合体エマルジョン粒子(B−1)水分散体エマルジョンを得た。
還流冷却器、滴下槽、温度計および撹拌装置を有する反応器に、イオン交換水1600g、ドデシルベンゼンスルホン酸6gを投入した後、撹拌下で温度を80℃に加温した。これに、ジメチルジメトキシシラン185g、フェニルトリメトキシシラン117gの混合液を反応容器中の温度を80℃に保った状態で約2時間かけて滴下し、その後、反応容器中の温度が80℃の状態で約1時間撹拌を続行した。次にアクリル酸ブチル86g、フェニルトリメトキシシラン133g、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン1.3gの混合液とジエチルアクリルアミド137g、アクリル酸3g、反応性乳化剤(商品名「アデカリアソープSR-1025」、旭電化(株)製、固形分25%水溶液)13g、過硫酸アンモニウムの2質量%水溶液40g、イオン交換水1900gの混合液を、反応容器中の温度を80℃に保った状態で約2時間かけて同時に滴下した。さらに反応容器中の温度が80℃の状態で約2時間撹拌を続行した後、室温まで冷却し、100メッシュの金網で濾過した後、イオン交換水で固形分を10.0質量%に調整し、数平均粒子径70nmの重合体エマルジョン粒子(B)水分散体を得た。
日産化学工業(株)製商品名「スノーテックOS」((A)成分)を水で希釈して固形分10質量%の分散液(数平均粒子径8nm)に調整し、製造例1で合成した重合体エマルジョンを配合し、表1に示す配合にてコーティング組成物を得た。
得られたコーティング組成物を膜厚250nmになるように白板ガラス(厚み2mm、6×6cm角)の上に、スピンコートした後、70℃、30分間乾燥させて機能性塗膜を得た。
表1に示す配合にてコーティング組成物を得た他は実施例1と同様にして機能性塗膜を得た。
表1に示す配合にてコーティング組成物を得た他は実施例1と同様にして機能性塗膜を得た。
日産化学工業(株)製商品名「スノーテックOS」((A)成分)を水で希釈して固形分10質量%の分散液(数平均粒子径8nm)に調整し、製造例2で合成した重合体エマルジョンを配合し、テトラエトキシシラン(C)として信越化学社製商品名「KBE−04」を表1に示す配合にてコーティング組成物を得た。
得られたコーティング組成物を膜厚250nmになるように白板ガラス(厚み2mm、6×6cm角)の上に、スピンコートした後、70℃、30分間乾燥させて機能性塗膜を得た。
表1に示す配合にてコーティング組成物を得た他は実施例4と同様にして機能性塗膜を得た。
基材のガラスのみを用いて評価した。
表1に示す配合にてコーティング組成物を得た他は実施例1と同様にして機能性塗膜を得た。
Claims (3)
- (A)、(B)の各成分を含んだ有機無機複合塗膜であって、(A)成分と(B)成分の質量比率がA/B=1000/100〜400/100、膜厚が10〜1000nm、塗膜の屈折率が1.3〜1.48であることを特徴とする機能性塗膜。
(A)成分;粒子径が1nm〜400nmの金属酸化物
(B)成分;粒子径が10nm〜800nmの重合体エマルジョン粒子
前記(B)成分は、以下の(b1)〜(b4)の各成分、
(b1)成分:加水分解性珪素化合物、
(b2)成分:水酸基、カルボキシル基、アミド基、アミノ基、エーテル基よりなる群から選ばれる少なくとも1種の官能基を含有するビニル単量体、
(b3)成分:乳化剤、
(b4)成分:水、
を含む重合原液を重合して得られる重合体エマルジョン粒子である。 - (C)成分:下記式(1)、下記式(2)、又は下記式(3)で示される珪素化合物の加水分解縮合物を更に含み、
(A)成分と(B)成分との質量比がA/B=150/100〜450/100であり、
(A)成分と(C)成分との質量比がC/A=0.2/100〜300/100であることを特徴とする請求項1記載の機能性塗膜。
R1 nSiX4−n (1)
(式1において、R1は水素又は炭素数1〜10のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、又はこれらの置換基を表し、Xは加水分解基を表し、nは0〜3の整数である。)
X3Si−R2 n−SiX3 (2)
(式2において、Xは加水分解基を表し、R2は炭素数1〜6のアルキレン基又はフェニレン基を表し、nは0又は1である。)
R3−(O−Si(OR3)2)n−OR3 (3)
(式3において、R3は炭素数1〜6のアルキル基を表し、nは2〜8の整数である。) - 塗膜表面の空孔径が2〜500nmであることを特徴とする請求項1または請求項2記載の機能性塗膜。
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