JP2010072594A - 光学部材 - Google Patents
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Abstract
【課題】屈折率の異なる層を積層しながら、層数の増大を招くことなく反射光の多重干渉によるリップルの発生を防止することができる光学部材を提供する。
【解決手段】本発明に係る光学部材は、透明基材1に、粒子層2と、前記透明基材1とは異なる屈折率を有する一層以上の透明層3が順次積層され、前記粒子層2がアクリル樹脂硬化物とシリコーン樹脂粒子とを、前者/後者の質量比が60/40〜90/10となる範囲で含有すると共にこの粒子層2単独でのヘイズが0.1〜2.0%の範囲にあることを特徴とする。
【選択図】図1
【解決手段】本発明に係る光学部材は、透明基材1に、粒子層2と、前記透明基材1とは異なる屈折率を有する一層以上の透明層3が順次積層され、前記粒子層2がアクリル樹脂硬化物とシリコーン樹脂粒子とを、前者/後者の質量比が60/40〜90/10となる範囲で含有すると共にこの粒子層2単独でのヘイズが0.1〜2.0%の範囲にあることを特徴とする。
【選択図】図1
Description
本発明は、透明基材と、前記透明基材とは異なる屈折率を有する一層以上の透明層とが積層して積層されて構成される光学部材に関する。
透明基材と、前記透明基材とは異なる屈折率を有する一層以上の透明層とが積層して積層されて構成される光学部材としては、例えば透明層としてハードコート層を備える光学部材や、透明層として低屈折率層や高屈折率層を有することで反射防止機能を有する光学部材等がある。これらの光学部材は、ディスプレイやメガネレンズ等のハードコートや反射防止のためなどに利用されている(特許文献1参照)。
このような光学部材では、屈折率の異なる層が積層する場合、多重干渉により、本来ならば図2中に符号aで示すように下側に凸の滑らかなカーブを描くはずの反射光の分光波形中に、符号bで示すように小さな振幅の波が連続的に発生する現象(リップル)が起こる。このリップルの発生で光学部材の表面に外観ムラが現れるようになり、またこのリップルは反射防止用途の光学部材において反射防止性能の低下を招く原因ともなっていた。
そこで、そのような問題を解決するため、従来、隣り合う層間の屈折率を一致させたり、光学部材中の層の厚みを光学的に干渉が生じないレベルまで厚くしたり、厚みや屈折率の異なる多数の層を積層して多層化したりすることで、光学的な干渉の低減を図っていた。
しかし、隣り合う層間の屈折率の差を小さくすると、期待する反射防止効果を十分発現できないという問題がある。一方、光学部材を多層化するとコスト上昇を招くため、光学部材を構成する層の数をできるだけ少なくしたいという要請もある。
特開2006−256310号公報
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、屈折率の異なる層を積層しながら、層数の増大を招くことなく反射光の多重干渉によるリップルの発生を防止することができる光学部材を提供することを目的とする。
本発明に係る光学部材は、透明基材1に、粒子層2と、前記透明基材1とは異なる屈折率を有する一層以上の透明層3が順次積層され、前記粒子層2がアクリル樹脂硬化物とシリコーン樹脂粒子とを、前者/後者の質量比が60/40〜90/10となる範囲で含有すると共にこの粒子層単独でのヘイズが0.1〜2.0%の範囲にあることを特徴とする。
このため、粒子層2が充分な透明性を保ちつつ、その両側の透明基材1と透明層3との間の屈折率差による反射光の干渉を防ぐことができ、しかもこの粒子層2はアクリル樹脂硬化物により高い耐薬品性を発揮すると共に熱負荷がかけられた際に生じる応力が緩和されやすくなって耐クラック性が高くなり、更にシリコーン樹脂粒子によって高い膜硬度が実現される。
本発明では、上記シリコーン樹脂粒子の粒子径が、300nm以下であることが好ましい。この場合、光学部材の透明性が更に向上する。
また、本発明では、上記粒子層2の厚みが500nm以下であり、且つこの粒子層2に直接接する透明層3の厚みの1/3以下の厚みであることが好ましい。この場合、反射光の干渉を更に確実に防止することができる。
本発明によれば、透明基材1にこの透明基材1とは異なる屈折率を有する透明層3を積層しているにもかかわらず、層数の増大を招くことなく、透明基材1と透明層3との間の界面での反射に起因する反射光の多重干渉が抑制され、リップルの発生を防止することができるものである。
以下、本発明を実施するための最良の形態について説明する。
本発明に係る光学部材は、図1に示すように、透明基材1に、粒子層2と、前記透明基材1とは異なる屈折率を有する一層以上の透明層3が順次積層された構造を有する。
透明基材1としては、特に限定されるものではないが、例えば、ガラスに代表される無機系基材、アクリル樹脂、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンテレナフタレート、トリアセチルセルロース、ポリプロピレンに代表される有機系基材等が挙げられる。また透明基材1の形状は特に制限されないが、板状、フィルム状等が挙げられる。
粒子層2は、アクリル樹脂硬化物とシリコーン樹脂粒子とを、前者/後者の質量比が60/40〜90/10となる範囲で含有する。またこの粒子層2は、この粒子層2単独でのヘイズが0.1〜2.0%の範囲にある必要がある。
粒子層2のヘイズは、粒子層2中のシリコーン樹脂粒子の含有量及び膜厚、並びに粒子層2の厚みに影響を受け、シリコン樹脂粒子の含有量が増大すると粒子層2のヘイズが増大する傾向にあり、また、シリコン樹脂粒子の粒径に対する粒子層2の厚みの比率が大きくなると粒子層2のヘイズが低下すると共に前記比率が小さくなるとヘイズが増加する傾向がある。前記要因を適宜調整することで、粒子層2のヘイズを所望の範囲に調整することができる。
粒子層2は、アクリル樹脂とシリコーン樹脂粒子とを含有する粒子層コーティング材を透明基材1に塗布し、硬化成膜することで形成することができる。
アクリル樹脂としては、例えば多価アルコールのアクリル酸又はメタクリル酸エステルのような多官能性のアクリレート樹脂や、ジイソシアネート、多価アルコール及びアクリル酸又はメタクリル酸のヒドロキシアルキルエステル等から合成されるような多官能性のウレタンアクリレート樹脂などが挙げられる。
また、粒子層コーティング材は光重合開始剤を含有することで、紫外線等の電離放射線の照射を受けた場合の反応性が促進されていても良い。光重合開始剤としては、ベンゾフェノン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン等のような適宜のものが使用される。
また、シリコーン樹脂粒子は、中実の粒子であっても良く、また外殻内に一つの空洞を有する中空粒子や、多孔質粒子であっても良い。またシリコーン樹脂粒子の形状は特に制限されず、球状であっても異形状であってもよい。
このシリコーン樹脂粒子の平均一次粒子径は300nm以下であることが好ましく、100nm以下であれば更に好ましい。この平均一次粒子径が大きいと光学部材の透明性が低下するおそれがある。
また、シリコーン樹脂粒子の表面は、シラン系、チタン系、アルミニウム系、或いはジルコニウム系カップリング剤等の有機金属化合物で処理されていても良い。
また、粒子層コーティング材は、粘度調整等のために適宜の溶剤を含有しても良い。溶剤の種類は特に限定されないが、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;ハロゲン化炭化水素類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、あるいはこれらの混合物が挙げられる。特にケトン系の有機溶剤が使用されると、粒子層コーティング材の均一な塗布が容易になると共に、溶剤が適度な蒸発速度を有することで塗膜の乾燥むらが生じにくくなり、大面積の塗膜を均一に形成することが容易になる。
粒子層コーティング材を透明基材1の表面に塗装するにあたって、その方法は特に限定されるものではないが、例えば、刷毛塗り、スプレーコート、浸漬(ディッピング、ディップコート)、ロールコート(グラビア)、フローコート、カーテンコート、ナイフコート、スピンコート、テーブルコート、シートコート、枚葉コート、ダイコート、バーコート等の通常の各種塗装方法を選択することができる。
透明基材1に塗布された粒子層コーティング材の塗膜を硬化することにより、粒子層2を形成することができる。粒子層コーティング材が紫外線硬化性等の電離放射線硬化性を有する場合には、粒子層コーティング材の塗膜に電離放射線を照射することにより塗膜を硬化させることができる。
この粒子層2はアクリル樹脂硬化物中にシリコーン樹脂粒子が分散した構造を有するが、この粒子層2中におけるアクリル樹脂硬化物とシリコーン樹脂粒子の含有量は、上記の通り、前者/後者の質量比が60/40〜90/10の範囲となるようにする必要がある。アクリル樹脂硬化物の割合が前記範囲を超えて大きくなると粒子層2による十分な干渉防止効果が得られなくなり、またシリコーン樹脂粒子の割合が前記範囲を超えて大きくなると粒子層2の強度が低下してしまう。
この粒子層2の厚みは、500nm以下であることが好ましく、また、後述するハードコート層3a等のようなこの粒子層2に直接接触する透明層3の厚みの1/3以下の厚みであることが好ましい。この場合、反射光の干渉を更に確実に防止することができる。この厚みが大きすぎると、粒子層2のヘイズの増加を招くと共に反射光の干渉抑制効果が生じにくくなり、また粒子層2におけるシリコーン樹脂粒子が多重干渉の起点となるおそれも生じる。また、粒子層2の厚みの下限は特に制限されないが、粒子層2において充分に光を散乱させることで反射光の干渉を充分に抑制するためには、30nm以上の厚みがあることが好ましい。
この粒子層2に重ねて、透明基材1とは異なる屈折率を有する種々の透明層3を形成することができる。
透明層3の一例として、ハードコート層3aが挙げられる。本発明において、ハードコート層3aのJIS5600−5−4:1999による鉛筆硬度はH以上、より好ましくは2H以上にするのが好ましいが、ハードコート層3aの硬度を向上させるためには、反応性硬化型樹脂、即ち、熱硬化型樹脂と電離放射線硬化型樹脂の少なくとも一方を含むハードコートコーティング材を用いてハードコート層3aを形成するのが好ましい
前記熱硬化型樹脂としては、フェノール樹脂、尿素樹脂、ジアリルフタレート樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アミノアルキッド樹脂、珪素樹脂、ポリシロキサン樹脂等を使用することができ、これらの熱硬化性樹脂に必要に応じて架橋剤、重合開始剤、硬化剤、硬化促進剤、溶剤を加えて使用することもできる。
前記熱硬化型樹脂としては、フェノール樹脂、尿素樹脂、ジアリルフタレート樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アミノアルキッド樹脂、珪素樹脂、ポリシロキサン樹脂等を使用することができ、これらの熱硬化性樹脂に必要に応じて架橋剤、重合開始剤、硬化剤、硬化促進剤、溶剤を加えて使用することもできる。
また、前記電離放射線硬化型樹脂としては、好ましくは、アクリレート系の官能基を有するもの、例えば、比較的低分子量のポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アルキッド樹脂、スピロアセタール樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリチオールポリエン樹脂、多価アルコール等の多官能化合物の(メタ)アクリレート等のオリゴマー、プレポリマー、及び反応性希釈剤としてエチル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、スチレン、メチルスチレン、N−ビニルピロリドン等の単官能モノマー、並びに多官能モノマー、例えばトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等を比較的多量に含有するものが使用することができる。さらに、上記の電離放射線硬化型樹脂を紫外線硬化型樹脂とするには、この中に光重合開始剤を配合することが好ましい。光重合開始剤としてはアセトフェノン類、ベンゾフェノン類、α−アミロキシムエステル、チオキサントン類などを例示することができる。また、光重合開始剤に加えて光増感剤を用いてもよい。光増感剤としては、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン、チオキサントンなどを例示することができる。
また、ハードコートコーティング材中に高屈折率粒子、すなわち高屈折率の金属や金属酸化物の超微粒子を添加することで、ハードコート層3aに高屈折率粒子を含有させて屈折率を調整しても良い。高屈折率粒子は屈折率が1.6以上で粒径が0.5〜200nmのものが好ましい。高屈折率粒子の配合量はハードコート層3aに対して例えば5〜70体積%の範囲となるように調整される。前記高屈折率の金属や金属酸化物の超微粒子としては、チタン、アルミニウム、セリウム、イットリウム、ジルコニウム、ニオブ、アンチモンから選ばれる一つあるいは二つ以上の酸化物の粒子が挙げられ、具体的には、例えば、ZnO(屈折率1.90)、TiO2(屈折率2.3〜2.7)、CeO2(屈折率1.95)、Sb2O5(屈折率1.71)、SnO2、ITO(屈折率1.95)、Y2O3(屈折率1.87)、La2O3(屈折率1.95)、ZrO2(屈折率2.05)、Al2O3(屈折率1.63)等の微粉末が挙げられる。
このようなハードコートコーティング材を粒子層2に重ねて塗布し、必要に応じて乾燥した後、熱硬化性樹脂を含むハードコートコーティング材の場合は加熱し、電離線硬化性樹脂を含むハードコートコーティング材の場合は紫外線等の電離線を照射するなどして硬化成膜することで、ハードコート層3aが形成される。塗布方法は特に制限されず、スピンコート法、ディップ法、スプレー法、スライドコート法、バーコート法、ロールコーター法、メニスカスコーター法、フレキソ印刷法、スクリーン印刷法、ビードコーター法等の各種方法が採用される。
このハードコート層3aの屈折率は1.54〜1.90の範囲であることが好ましい。この屈折率が1.54より小さくなると特に反射防止用途の光学部材においては十分な反射防止効果が得られなくなるおそれがあり、またこの屈折率が1.90より大きくなるとハードコート層3aの高屈折率化のために高屈折率粒子を多く添加することとなって、耐摩耗性等の実用性が低下するおそれがある。また、ハードコート層3の屈折率は透明基材1の屈折率とは異なるものとなるように調整されるが、特に透明基材1とハードコート層3aとの屈折率差が0.02〜0.3の範囲となるように調整されると、このような屈折率差の範囲で本来生じるリップルを効果的に抑制することができる。この屈折率差が0.3より大きくなるとリップルを抑制しきなくなり、外観むらを充分に抑制することができなくなるおそれがある。
このハードコート層3aに重ねて、更に透明層3として低屈折率層3bを設けることで、光学部材の反射防止性を向上することもできる。低屈折率層3bは透明基材1及びハードコート層3aよりも屈折率の小さい層である。この低屈折率層3bは、ハードコート層3aの表面に低屈折率コーティング材を塗布成膜するなどして形成される。この低屈折率層3bは、屈折率が1.30〜1.45であることが好ましく、1.30〜1.40であることが更に好ましい。また、低屈折率層3bとハードコート層3aとの屈折率差は0.1〜0.5の範囲であることが好ましい。低屈折率層3bの厚みdは低屈折率層3bの屈折率をn、入射する光の波長をλとすると、nd=λ/4であることが好ましい。具体的には、低屈折率層3bの厚みは50〜400nmであることが好ましく、50〜200nmであることが更に好ましい。
低屈折率コーティング材は、バインダー材料自身が低屈折率である場合はバインダー材料のみで調製されても良く、また、バインダー材料に低屈折率粒子を含有させることで調製されても良い。バインダー材料としては、例えばシリコンアルコキシド、飽和炭化水素、ポリエーテルを主鎖として有するポリマー(UV硬化型樹脂、熱硬化型樹脂)等が挙げられる。またバインダー材料中にフッ素原子を含む単位が含まれていても良い。
低屈折率粒子は、屈折率が1.5以下であることが望ましい。具体的にはシリカ微粒子、中空シリカ微粒子、フッ化マグネシウム、フッ化リチウム、フッ化アルミニウム、フッ化カルシウム、フッ化ナトリウム等のフッ化物微粒子が好ましい。これら粒子を1種類もしくは2種類以上混合して使用する。これら低屈折率粒子には、バインダー材料の樹脂等との相溶性を持たせるための表面処理が施されていても良い。低屈折率微粒子の添加量は低屈折率層3bの全量に対して例えば20〜99体積%の範囲とすることができる。
このような低屈折率コーティング材をハードコート層3aに重ねて塗布し、加熱硬化等させて低屈折率層3bを形成することができる。
以下、本発明を実施例を示すことで更に詳述する。
[実施例1]
透明基材1として厚み100μm、屈折率1.65のポリエチレンテレフタレート製フィルムを用いた。
透明基材1として厚み100μm、屈折率1.65のポリエチレンテレフタレート製フィルムを用いた。
また、アクリレート樹脂(新中村化学工業株式会社製 NKオリゴ)、シリコーン樹脂粒子(平均粒径500nm;モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製 トスパール)、及び光重合開始剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製 Irgacure184)を、固形分基準重量比で70:30:2となるように配合し、さらにMEKとMIBKとの混合溶媒を加えて全固形分が5%となるように調製し、粒子層コーティング材を得た。
また、アクリレート樹脂(新中村化学工業株式会社製 NKオリゴ)、ZrO2ゾル(シーアイ化成株式会社製、ナノテックZrO2)、及び光重合開始剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製 Irgacure184)、固形分基準重量比で40:60:2となるように配合し、これにメチルエチルケトンを加えて全固形分の割合を20%とし、ハードコートコーティング材とした。
また、メチルシリケート(Si(OCH3)4;三菱化学株式会社製 MS51)208部に、イソプロパノール356部を加え、更に水18部及び0.01Nの塩酸水溶液18部(「H2O」/「OR」=0.5)を加えた。これに、中空シリカイソプロパノール分散ゾル(固形分20重量%、平均一次粒子径約35nm、外殻厚み約8nm、触媒化成工業株式会社製)を、中空シリカ/メチルシリケート(縮合化合物換算)の固形分基準での重量比が40/60となるように配合し、更にイソプロパノールを加えて全固形分の割合を5%とし、低屈折率コーティング材を得た。
上記透明基材1の一面に、上記粒子層コーティング材をワイヤーバーコーターで塗布し、80℃で5分間加熱乾燥した後、紫外線を400mJ/cm2の条件で照射して、厚み500nmの粒子層2を形成した。この粒子層2単独でのヘイズは2.0%である。このヘイズは、前記粒子層2と同一の単独膜を作製し、そのヘイズをヘイズメータ(日本電色工業社製 NDH2000)を使用して測定したものである。
この粒子層2に重ねて、ハードコートコーティング材をワイヤーバーコーターで塗布し、80℃で5分間加熱乾燥した後、紫外線を400mJ/cm2の条件で照射して、厚み2μm、屈折率1.71のハードコート層3aを形成した。
このハードコート層3aに重ねて、低屈折率コーティング材をワイヤーバーコーターで塗布し、120℃で5分間加熱することにより、厚み100nm、屈折率1.37の低屈折率層3bを形成した。
これにより、反射防止性能を有する光学部材を得た。
[実施例2]
実施例1において、粒子層コーティング材におけるアクリレート樹脂と、シリコーン樹脂粒子と、光重合開始剤との固形分基準重量比を80:20:2となるようにし、この粒子層コーティング材で厚み1μm、単独膜でのヘイズ2.0%の粒子層2を形成した。
実施例1において、粒子層コーティング材におけるアクリレート樹脂と、シリコーン樹脂粒子と、光重合開始剤との固形分基準重量比を80:20:2となるようにし、この粒子層コーティング材で厚み1μm、単独膜でのヘイズ2.0%の粒子層2を形成した。
それ以外は実施例1と同様にして、反射防止性能を有する光学部材を得た。
[実施例3]
実施例1において、粒子層コーティング材に配合するシリコーン樹脂粒子として平均粒径100nmのシリカゾル(日産化学製IPA−ST−ZL)用い、この粒子層コーティング材で厚み500nm、単独膜でのヘイズ1.0%の粒子層2を形成した。
実施例1において、粒子層コーティング材に配合するシリコーン樹脂粒子として平均粒径100nmのシリカゾル(日産化学製IPA−ST−ZL)用い、この粒子層コーティング材で厚み500nm、単独膜でのヘイズ1.0%の粒子層2を形成した。
それ以外は実施例1と同様にして、反射防止性能を有する光学部材を得た。
[実施例4]
実施例1において、粒子層コーティング材に配合するシリコーン樹脂粒子として平均粒径100nmのシリカゾル(日産化学製IPA−ST−ZL)用い、この粒子層コーティング材で厚み200nm、単独膜でのヘイズ1.5%の粒子層2を形成した。
実施例1において、粒子層コーティング材に配合するシリコーン樹脂粒子として平均粒径100nmのシリカゾル(日産化学製IPA−ST−ZL)用い、この粒子層コーティング材で厚み200nm、単独膜でのヘイズ1.5%の粒子層2を形成した。
それ以外は実施例1と同様にして、反射防止性能を有する光学部材を得た。
[実施例5]
実施例1において、粒子層コーティング材に配合するシリコーン樹脂粒子として平均粒径100nmのシリカゾル(日産化学製IPA−ST−ZL)用い、アクリレート樹脂と、シリコーン樹脂粒子と、光重合開始剤との固形分基準重量比を80:20:2となるようにし、この粒子層コーティング材で厚み100nm、単独膜でのヘイズ1.5%の粒子層2を形成した。
実施例1において、粒子層コーティング材に配合するシリコーン樹脂粒子として平均粒径100nmのシリカゾル(日産化学製IPA−ST−ZL)用い、アクリレート樹脂と、シリコーン樹脂粒子と、光重合開始剤との固形分基準重量比を80:20:2となるようにし、この粒子層コーティング材で厚み100nm、単独膜でのヘイズ1.5%の粒子層2を形成した。
それ以外は実施例1と同様にして、反射防止性能を有する光学部材を得た。
[比較例1]
粒子層2を形成しなかった以外は実施例1と同様にして、光学部材を得た。
粒子層2を形成しなかった以外は実施例1と同様にして、光学部材を得た。
[比較例2]
実施例1において、粒子層コーティング材におけるアクリレート樹脂と、シリコーン樹脂粒子と、光重合開始剤との固形分基準重量比を50:50:2となるようにし、この粒子層コーティング材で厚み500nm、単独膜でのヘイズ3.0%の粒子層2を形成した。
実施例1において、粒子層コーティング材におけるアクリレート樹脂と、シリコーン樹脂粒子と、光重合開始剤との固形分基準重量比を50:50:2となるようにし、この粒子層コーティング材で厚み500nm、単独膜でのヘイズ3.0%の粒子層2を形成した。
それ以外は実施例1と同様にして、反射防止性能を有する光学部材を得た。
[比較例3]
実施例1において、粒子層コーティング材にシリコーン樹脂粒子を配合せず、アクリレート樹脂と光重合開始剤との固形分基準重量比を100:2となるようにし、この粒子層コーティング材で厚み200nm、単独膜でのヘイズ0.05%の粒子層2を形成した。
実施例1において、粒子層コーティング材にシリコーン樹脂粒子を配合せず、アクリレート樹脂と光重合開始剤との固形分基準重量比を100:2となるようにし、この粒子層コーティング材で厚み200nm、単独膜でのヘイズ0.05%の粒子層2を形成した。
それ以外は実施例1と同様にして、反射防止性能を有する光学部材を得た。
[評価試験]
・外観むら評価
各実施例及び比較例で得られた光学部材を目視で観察し、外観むらの有無を確認した。
・外観むら評価
各実施例及び比較例で得られた光学部材を目視で観察し、外観むらの有無を確認した。
・透明性評価
各実施例及び比較例で得られた光学部材を目視で観察して、透明性の有無を確認すると共に、この光学部材のヘイズ値を、ヘイズメータ(日本電色工業社製 NDH2000)を使用して測定した。
各実施例及び比較例で得られた光学部材を目視で観察して、透明性の有無を確認すると共に、この光学部材のヘイズ値を、ヘイズメータ(日本電色工業社製 NDH2000)を使用して測定した。
・光学特性評価
各実施例及び比較例で得られた光学部材の透明基材1側の面を黒色に塗装し、その反対側の面での350〜800nmの波長域での表面反射光(5°正反射光)を、分光光度計(株式会社日立製作所製 U−4100)を使用して測定した。これにより得られた分光波形から、最も反射率の小さい波長の反射率(最小反射率)を導出した。
各実施例及び比較例で得られた光学部材の透明基材1側の面を黒色に塗装し、その反対側の面での350〜800nmの波長域での表面反射光(5°正反射光)を、分光光度計(株式会社日立製作所製 U−4100)を使用して測定した。これにより得られた分光波形から、最も反射率の小さい波長の反射率(最小反射率)を導出した。
また、この分光波形における連続的な振幅の小さい波の有無を目視で確認した。通常、反射率0.2〜0.3%程度以上に達する振幅の小さな波が確認された場合に目視でリップル有りと判定できる。
リップルが発生した場合には、波長450〜600nmの範囲での振幅の小さい波の極大値のうち最も反射率が大きいものと、この波の極小値のうち最も反射率が小さいものとの差(反射率差)を導出した。
以上の結果を表1に示す。
表1に示されるとおり、実施例1〜5では外観むらが認められず、透明性が高く、光反射性が低く、更にリップルの発生が抑制されて外観が改善されている。
これに対して、比較例1では外観むらがあり、透明性が低く、且つリップルが発生するものであり、また比較例2では透明性が低いと共に光反射性が高いものであり、また比較例3では外観むらがあると共にリップルが発生するものであった。
この結果、本発明では、より少ない層数で反射光の干渉を低減し、高い外観、反射防止性を発現することができることが、確認された。
1 透明基材
2 粒子層
3 透明層
2 粒子層
3 透明層
Claims (3)
- 透明基材に、粒子層と、前記透明基材とは異なる屈折率を有する一層以上の透明層が順次積層され、前記粒子層がアクリル樹脂硬化物とシリコーン樹脂粒子とを、前者/後者の質量比が60/40〜90/10となる範囲で含有すると共にこの粒子層単独でのヘイズが0.1〜2.0%の範囲にあることを特徴とする光学部材。
- 上記シリコーン樹脂粒子の粒子径が、300nm以下であることを特徴とする請求項1に記載の光学部材。
- 上記粒子層の厚みが500nm以下であり、且つこの粒子層に直接接する透明層の厚みの1/3以下の厚みであることを特徴とする請求項1又は2に記載の光学部材。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2008243192A JP2010072594A (ja) | 2008-09-22 | 2008-09-22 | 光学部材 |
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JP2010072594A true JP2010072594A (ja) | 2010-04-02 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2014074780A (ja) * | 2012-10-03 | 2014-04-24 | Dainippon Printing Co Ltd | 樹脂組成物、光学積層体、偏光板及び画像表示装置 |
JP2015521294A (ja) * | 2012-04-05 | 2015-07-27 | コーニング インコーポレイテッド | ディスプレイコンポーネントを提供するための方法及び装置 |
-
2008
- 2008-09-22 JP JP2008243192A patent/JP2010072594A/ja not_active Withdrawn
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JP2014074780A (ja) * | 2012-10-03 | 2014-04-24 | Dainippon Printing Co Ltd | 樹脂組成物、光学積層体、偏光板及び画像表示装置 |
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