JP2008241775A - 反射防止フイルムおよびその製造方法 - Google Patents

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泰 樋口
Takashi Mimura
尚 三村
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Abstract

【課題】防汚性に優れ反射防止層間の密着性が良好な反射防止フイルムと、生産性の優れた反射防止フイルムの製造方法を提供する。
【解決手段】基材フイルムの少なくとも片方の面に、ハードコート層、高屈折率層および低屈折率層がこの順に積層された反射防止フイルムであって、該高屈折率層は次の一般式(1)
Figure 2008241775

で示されるフルオレン化合物を含有し、該低屈折率層はシリカ粒子とバインダー成分を含有し、該低屈折率層表面の水接触角が90度以上であることを特徴とする反射防止フイルム。
【選択図】なし

Description

本発明は、反射防止フイルムとその製造方法、およびその反射防止フイルムを含む画像表示装置に関するものである。
反射防止フイルムは、一般に、陰極管表示装置(CRT)、プラズマディスプレイパネル(PDP)および液晶表示装置(LCD)のような画像表示装置において、外光の反射によるコントラスト低下や像の映り込みを防止するために、光学干渉の原理を用いて反射率を低減するようにディスプレイの最表面に配置される。それ故、使用環境により汚れの付着が起こり、引いては表示画像の視認性悪化を招くことは避けられないので、汚れの付着性を低減する必要がある。
反射防止フイルムには、通常、屈折率が基材フイルムの屈折率よりも小さい低屈折率の物質からなる反射防止被膜が使用されている。このような反射防止被膜の形成方法として、例えば、低屈折率物質層を蒸着やスパッタ法等により基材フイルムの表面に形成する方法が知られている(特許文献1参照。)が、この方法では真空中で形成する必要があるため、操作が煩雑であるという問題があった。
この問題を解決する手段として、低屈折率の硬化被膜を与え得る化合物を硬化されてなる反射防止被膜が知られている。この反射防止反射防止被膜は、低屈折率の硬化被膜を与え得る化合物を含有する反射防止被膜形成組成物を基材フイルムの表面に塗布後、硬化することにより形成されるものであるため、反射防止被膜を形成するための操作が簡便であることから、広く用いられている(特許文献2参照。)。
一方、反射防止被膜として、より広い波長領域の反射率を低減するために、屈折率の高い物質からなる層と屈折率の低い物質からなる層との多層の反射防止被膜を作製する、いわゆるマルチコーティングが知られている(特許文献3および特許文献4参照。)。
しかしながら、かかる多層の反射防止被膜を形成するには、基材の表面に、屈折率が高い硬化被膜を与え得る化合物を含有する反射防止被膜形成組成物を塗布硬化させた後、更に、屈折率が低い硬化被膜を与え得る化合物を含有する反射防止被膜形成組成物を塗布後、硬化させる必要があり、2回の塗布、硬化を必要とするものであり製造工程が煩雑となっている。
特開平06−130204号公報 特開平11−002702号公報 特開昭59−50401号公報 特開2006−035624号公報
本発明の目的は、汚れが付着しにくいと共に付着した汚れが容易にふき取ることが可能であり、多層からなる反射防止層間の密着性が良好な反射防止フイルムを提供することにある。
また、本発明の他の目的は、製造工程を簡略化することができ生産性に優れた反射防止フイルムの製造方法を提供することにある。
上記の目的を達成するために本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、反射防止フイルム表面の水接触角を大きくすると共に製造工程をより簡易化するため、高屈折率層と低屈折率層の2層を同時に成形可能な方法を見い出した。即ち、塗料組成物を塗布乾燥後硬化した際に低屈折率層を形成する成分であるシリカ粒子と、高屈折率層を形成する成分であるカルボキシフェニル基および/またはそのエステルが結合したフルオレン化合物とを混合し、かつ、成分中のシリカ粒子に含フッ素化合物を導入する工程を含む表面処理を行い塗料成分として用いることにより、1液を1回塗布と乾燥硬化させる工程のみで、高屈折率層と低屈折率層の2層を作製し、良好な反射防止性能を有するフイルムを製造することを見い出し、本発明に想到した。
本発明の反射防止フイルムは、基材フイルムの少なくとも片方の面に、ハードコート層、高屈折率層および低屈折率層がこの順に積層された反射防止フイルムであって、該高屈折率層は次の一般式(1)
Figure 2008241775
(上記一般式中、R1、R2、R3およびR4の少なくとも一カ所はカルボキシル基、カルボニル基を含むエステル残基から成り、前記官能基を有しない箇所は水素を表す。)で示されるカルボキシフェニル基および/またはそのエステル残基が結合したフルオレン化合物を含有し、該低屈折率層はシリカ粒子とバインダー成分を含有し、該低屈折率層表面の水接触角が90度以上であることを特徴とする反射防止フイルムである。
本発明の反射防止フイルムの好ましい態様によれば、前記のシリカ粒子の数平均粒子径は5〜200nmの範囲であり、好ましいシリカ粒子はフッ素処理された中空シリカ粒子である。
また、本発明の反射防止フイルムの製造方法は、ハードコート層を有する基材フイルムのハードコート面に、次の一般式(1)
Figure 2008241775
(上記一般式中、R1、R2、R3およびR4の少なくとも一カ所はカルボキシル基、カルボニル基を含むエステル残基から成り、前記官能基を有しない箇所は水素を表す。)で示されるカルボキシフェニル基および/またはそのエステル残基が結合したフルオレン化合物を含有する高屈折率層形成成分と、含フッ素化合物で表面処理が施された中空シリカ粒子を含有する低屈折率層形成成分とを混合した塗料組成物を塗布し、乾燥および硬化させることにより、ハードコート層側に高屈折率層、その上に低屈折率層が順に積層された膜を形成することを特徴とする反射防止フイルムの製造方法である。
本発明の反射防止フイルムの製造方法の好ましい態様によれば、前記の中空シリカ粒子は、次の一般式(2)および一般式(3)
A−R−Rf (2)
A−R−SiR (OR3−n (3)
(上記一般式中、Aは反応性二重結合基を表し、Rは炭素数1から3のアルキレン基またはそれらから導出されるエステル構造を表し、Rは水素または炭素数が1から4のアルキル基を表し、Rfはフルオロアルキル基を示し、nは0または1または2のいずれかを表し、それぞれ側鎖を構造中に持っていても良い。)で示される化合物で表面処理された中空シリカ粒子である。
本発明の反射防止フイルムは、好適にはそれを画像表示装置の一面に装着して使用することができる。
本発明によれば、汚れが付着しにくいと共に付着した汚れが容易にふき取ることが可能な表面に防汚性を付与した反射防止フイルムが得られる。また、多層からなる反射防止層間の密着性が良好な反射防止フイルムが得られる。
また、本発明によれば、1液の塗料組成物を1回塗布、乾燥および硬化するのみで、高屈折率層と低屈折率層の反射率の異なる複数の層を有する良好な反射防止性能を示す反射防止フイルムが成形可能である。そのため、反射防止フイルムの製造工程が簡略化可能となり、生産性に優れている。
本発明の反射防止フイルムは、基材フイルムの少なくとも片方の面に、ハードコート層、高屈折率層および低屈折率層がこの順に積層された反射防止フイルムであって、本発明の反射防止フイルムにおいては、フッ素処理工程を経たシリカ粒子由来の低屈折率層と、更にその低屈折率層の下層となるカルボキシフェニル基および/またはそのエステルが結合したフルオレン化合物含む高屈折率層とを、1液の塗料組成物を1回塗布、乾燥および硬化することにより成形することを特徴とする。
[反射防止フイルム]
反射防止フイルムは、反射防止膜と同意である。反射防止フイルムの必要性や要求される性能などは特開昭59−50401号公報に記載されているように、好ましくは0.03以上より好ましくは0.05以上の屈折率差を有する高屈折率層と低屈折率層を積層させて構成されることが好ましく、そして支持基材である基材フイルムから計測し最も離れた層は、低屈折率層であることが好ましい。屈折率差とは隣接する層間の屈折率を相対的に比較した値であり、相対的に屈折率が低い層を低屈折率層と呼び、相対的に屈折率が高い層を高屈折率層と呼ぶ。また、反射防止性能を補うために積層フイルム中に中屈折率層を設ける手法も特開昭59−50401号公報に記載されている。
本発明の反射防止フイルムは、1液の塗料組成物を基材フイルムに1回塗布、乾燥および硬化することによって、基材フイルム上に高屈折率層と、その上に低屈折率層が順に構成されることにより製造される。その際に、高屈折率層と低屈折率層との間には明確な界面があることが望ましい。また、本発明の反射防止フイルムの製造方法は、低屈折率層を誘導する組成物と高屈折率層を誘導する組成物と溶剤から調整される塗料組成物を、基材フイルムに塗布、乾燥および硬化することにより構成される。
反射防止フイルムとして良好な性能を示すには、分光測定において最低反射率(ボトム反射率)が好ましくは1.0%以下であり、より好ましくは0.7%以下であり、更に好ましくは0.5%以下である。また、デルタ反射率は、好ましくは2.5%以下であり、より好ましくは2.0%以下であり、更に好ましくは1.8%以下である。デルタ反射率が大きくなると、反射光線中の特定領域波長の反射が相対的に大きくなり、結果として反射光線に色目が付くことがある。
[最低反射率]
上記の最低反射率とは、光線反射スペクトルを測定した際に400nmから700nmの波長領域において反射率が最低になった値を指す。フイルムの反射防止性能を比較する場合、最低反射率は一つの指標となり、最低反射率の値が小さいほど反射防止性能が良好であると言える。
[デルタ反射率]
上記のデルタ反射率とは、光線反射スペクトルを測定した際に400nmから700nmの波長領域における最高反射率から最低反射率を引いた値を指す。フイルムの反射防止性能を比較する場合、デルタ反射率は一つの指標となり、デルタ反射率の値が小さいほど反射防止性能が良好であると言える。
[水接触角]
本発明の反射防止フイルムを構成する低屈折率層の表面の水接触角は、90度以上である。水接触角とは、物質表面に水滴が付着した際に見られる液滴が接触部分と作る角度を意味し、一般的に塗れ性の評価を行う際の指標として用いられる場合がある。この水接触角が大きくなると、その表面は水をはじきやすい、即ち塗れにくいことを意味し汚れが付着しにくく、付着してもふき取りやすいことを示す。本発明の反射防止フイルムの水接触角は90度以上であり、好ましくは90度以上150度以下であり、より好ましくは100度以上140度以下であり、更に好ましくは110度以上130度以下である。水接触角が90度未満では、反射防止フイルム表面に液滴が付着しやすくなるため、同時に汚れも付着しやすくなり、更に汚れを除去する際にもふき取り性が悪化する。また、水接触角が大き過ぎると表面に細かい水滴が付着し、画像表示装置とした場合表示画像が著しく劣化することがある。
[ハードコート層]
ハードコート層は、透明支持体である基材フイルムに耐傷性を付与するために設けられる。ハードコート層は、基材フイルムとその上の層との接着性を強化する機能も有する。
ハードコート層は、アクリル系ポリマー、ウレタン系ポリマー、エポキシ系ポリマー、シリコン系ポリマーやシリカ系化合物等を用いて形成することができる。顔料をハードコート層に添加してもよい。アクリル系ポリマーは、多官能アクリレートモノマーの重合反応により合成することが好ましい。ウレタン系ポリマーの例には、メラミンポリウレタンが含まれる。シリコン系ポリマーとしては、テトラアルコキシシランやアルキルトリアルコキシシラン等のシラン化合物と、グリシジル基やメタクリル基等の反応性基を有するシランカップリング剤との共加水分解物が好ましく用いられる。更にハードコート層は、上記のポリマーを2種類以上組み合わせて用いてもよい。シリカ系化合物としては、コロイダルシリカが好ましく用いられる。ハードコート層の強度は、1kg荷重の鉛筆硬度で、H以上であることが好ましく、より好ましくは2H以上であり、さらに好ましくは3H以上である。
ハードコート層の厚さとしては、硬度などの物性の観点から薄すぎると性能維持が難しくなるために好ましくなく、更に、厚すぎると透明性が失われる事があるので、0.5μmから20μmの範囲が好ましい。

[高屈折率層]
高屈折率層は、隣接する層よりも屈折率が高い層を意味する。高屈折率層は、好ましくは少なくとも次の一般式(1)
Figure 2008241775
(上記一般式中、R1、R2、R3およびR4の少なくとも一カ所はカルボキシル基、カルボニル基を含むエステル残基から成り、前記官能基を有しない箇所は水素を表す。)で示されるカルボキシフェニル基および/またはそのエステル残基が結合したフルオレン化合物を含むものであり、カルボン酸が反応してエステル化し分子中に架橋性官能基を有し、その架橋性官能基が硬化してなることが好ましい。
このようなフルオレン化合物の具体例としては、9,9−ビス(3−カルボキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(3−安息香酸アリル)フルオレン、9(3−カルボキシフェニル)−9−(3,4−ジカルボキシフェニル)フルオレンおよびこれら化合物のエステル誘導体を含む化合物が挙げられる。
高屈折率層の厚さは、反射光の光干渉の観点より、50nmから190nmであることが好ましく、更に好ましくは80nmから160nmの範囲である。高屈折率層膜厚とは、積層体中のハードコート層と低屈折率層との間に存在する相対的に屈折率が高い層の厚さを指し、塗布膜断面を透過型電子顕微鏡にて測定した際に観察される平均厚みのことである。
[上記の一般式(1)で示される化合物]
上記の一般式(1)で示される化合物は、分子中にフルオレン部位と、例えばベンゼンカルボン酸(カルボン酸から誘導されるエステルを含む)部位とを兼ね備えて成る化合物である。高屈折率層中の上記の一般式(1)で示される化合物は単一化合物でも良いし、2種以上の混合物であっても良い。ベンゼンカルボン酸の例としては、安息香酸やフタル酸が挙げられる。
安息香酸部位とは、分子中のベンゼン環の1カ所にカルボニル基を有する部位を示し、カルボニル基はカルボキシル基でも良いし、エステル構造であっても良い。カルボニル基がエステル構造である場合、そのエステル由来の分子中に架橋性部位および/または水素結合部位を有し、それぞれが架橋および/または水素結合をしていることが好ましい。
フタル酸部位とは、分子中のベンゼン環の2カ所にカルボニル基を有する部位を示し、カルボニル基はカルボン酸でも良いし、エステル構造であっても良い。カルボニル基がエステル構造である場合、そのエステル由来の分子中に架橋性部位および/または水素結合部位を有し、それぞれが、架橋および/または水素結合をしていることが好ましい。
架橋性部位と水素結合部位は、他の分子と反応可能な部位であり、例として、アクリル基、メタクリル基、グリシジル基、イソシアネート基、イソシアヌレート基、アミノ基、水酸基、酸無水物、チオール、ハロゲンおよびビニル基等が挙げられる。
高屈折率層は、更に金属酸化物を含むことができる。金属酸化物としては、ジルコニウム、アンチモン、亜鉛、スズ、セリウムおよびチタンからなる群から選ばれた金属の酸化物粒子であることが好ましく、より好ましくは、インジウム、アンチモンやスズなどから導出されるITOやATOが好ましく用いられる。
[低屈折率層]
低屈折率層は、基材フイルム上に積層される層であり、隣接する一層(空気層を除く)よりも相対的に屈折率が低い層である。屈折率を低下させる方法としては、フッ素系高分子化合物を用いる方法(特開2002−36457号公報参照。)や、密度を低下させる方法(特開平8−83581号公報参照。)が知られている。
本発明で低屈折率層に用いられるシリカ粒子とは、ケイ素化合物または有機珪素化合物の重合(縮合)体のいずれかからなる組成物を含んでいる粒子を指し、例として、SiOなどのケイ素化合物から導出される粒子の総称である。
シリカ粒子の形状は、積層後の屈折率の観点から球状が好ましく、また、中空を有するシリカ粒子および/または多孔質のシリカ粒子であることが好ましい。シリカ粒子が多面体構造であると、低屈折率層中で隙間無く積層する可能性があり、画像表示装置に必要な透明性が得られないことが考えられる。また、中空を有するシリカ粒子または多孔質を有するシリカ粒子を用いることにより、低屈折率層の密度を下げる効果が得られる。本発明では、中空と多孔質を有するシリカ粒子を中空シリカと称する。
更に中空シリカの構造としては、透過型電子顕微鏡で観察した際に、粒子内部空隙を有しており、その空隙の大きさは好ましくは0.3nm以上190nm以下であり、より好ましくは3nm以上180nm以下であり、更に好ましくは5nm以上180nm以下であり、その空隙は粒子内部に一カ所以上有している必要がある。
中空シリカの数平均粒子径は、好ましくは1nmから200nmであり、より好ましくは5nmから180nmであり、更に好ましくは10nmから150nmである。
中空シリカの平均粒子径が1nmよりも小さくなると低屈折率層中の空隙密度が低下することによる屈折率の上昇や透明度の低下が起こる場合がある。また、中空シリカの平均粒子径が200nmよりも大きくなると、低屈折率層の厚さが大きくなり良好な反射防止性能が得られなくなる場合がある。
ここで、中空シリカ粒子の数平均粒子径とは、透過型電子顕微鏡で中空シリカを測定した際に観測される球体の外径の平均値を示す。
低屈折率層中の組成として中空シリカ粒子が占める重量比率は、好ましくは1重量%から90重量%であり、より好ましくは5重量%から80重量%であり、更に好ましくは10重量%から重量70%である。中空シリカ粒子の添加量が少ないと良好な低屈折率が得られない場合があり、中空シリカ粒子の添加量が多すぎると、製膜性や高屈折率層との密着性が低下したり、高屈折率層とシリカ粒子由来の低屈折率層との境界の明確性が失われるなどの不具合が生じる場合がある。
低屈折率層膜厚とは、積層体中の表層となる中空シリカ粒子堆積層の厚さを指し、塗布膜断面を透過型電子顕微鏡にて測定した際に観察される平均厚みのことである。低屈折率層の厚さは、反射光の光干渉の観点より、50nmから190nmであることが好ましく、更に好ましくは80nmから160nmの範囲である。
本発明で用いられる低屈折率層に用いられる中空シリカ粒子は、フッ素を含む化合物等による表面処理工程を経て塗料成分として用いられることが好ましい。このフッ素を含む化合物等による表面処理工程は、一段階で行われても良いし、多段階で行われても良い。また、複数の段階でフッ素を含む化合物等を用いても良いし、一つの段階のみでフッ素を含む化合物等を用いても良い。
中空シリカの表面処理工程で用いられるフッ素を含む化合物は、単一でも良いし複数の異なる化合物を用いても良い。
本発明において、フッ素を含む化合物による表面処理工程とは、中空シリカに含フッ素化合物を化学的に修飾可能な工程を指す。中空シリカに直接含フッ素化合物を導入する方法としては、例えば、中空シリカと、1分子中にフッ素セグメントとシリルエーテル基(シリルエーテル基が加水分解されたシラノール基を含む)との両方を持つフルオロアルコキシシラン化合物を少なくとも1種類以上と、開始剤とを混合し、共に撹拌する方法がある。しかしながら、中空シリカ粒子に直接フッ素化合物を導入すると、反応性の制御が困難になったり、塗料化後塗布時に塗布斑等が発生しやすくなったりすることがある。
中空シリカ粒子を化学的に修飾し、含フッ素化合物を導入可能な他の方法としては、中空シリカ粒子を架橋成分で処理し官能基を有するフッ素化合物と反応させる方法がある。架橋成分とは、分子内にフッ素を有して無いが、1分子中にフッ素化合物と反応可能な部位と、中空シリカ粒子と反応可能な部位を少なくとも一カ所ずつ持っている化合物を指す。中空シリカ粒子との反応可能な部位としては、反応性の観点からシリルエーテルおよびシリルエーテルの加水分解物であることが好ましい。これら化合物は、一般的にシランカップリング剤と呼ばれ、その例としては、グリシドキシアルコキシシラン類、アミノアルコキシシラン類、アクリロイルシラン類、メタクリロイルシラン類、ビニルシラン類およびメルカプトシラン類などが挙げられる。
官能基を有するフッ素化合物としては、例えば、フルオロアルキルアルコール、フルオロアルキルエポキシド、フルオロアルキルハライド、フルオロアルキルアクリレート、フルオロアルキルメタクリレートおよびフルオロアルキルカルボキシレート(酸無水物およびエステル類を含む)などが挙げられる。
本発明で用いられる中空シリカ粒子のより好ましい形態は、中空シリカ粒子を、次の一般式(2)と一般式(3)
A−R−Rf (2)
A−R−SiR (OR3−n (3)
(上記一般式中、Aは反応性二重結合基を表し、Rは炭素数1から3のアルキレン基またはそれらから導出されるエステル構造を表し、Rは水素または炭素数が1から4のアルキル基を表し、Rfはフルオロアルキル基を示し、nは0または1または2のいずれかを表し、それぞれ側鎖を構造中に持っても良い。)で示される化合物で表面処理を行って用いることが好ましい。
上記の一般式(2)で示される化合物の具体例としては、2,2,2−トリフルオロエチルアクリレート、2,2,3,3,3−ペンタフロオロプロピルアクリレート、2−パーフルオロブチルエチルアクリレート、3−パーフルオロブチル−2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−パーフルオロヘキシルエチルアクリレート、3−パーフルオロヘキシル−2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−パーフルオロオクチルエチルアクリレート、3−パーフルオロオクチル−2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−パーフルオロデシルエチルアクリレート、2−パーフルオロ−3−メチルブチルエチルアクリレート、3−パーフルオロ−3−メトキシブチル−2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−パーフルオロ−5−メチルヘキシルエチルアクリレート、3−パーフルオロ−5−メチルヘキシル−2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−パーフルオロ−7−メチルオクチル−2−ヒドロキシプロピルアクリレート、テトラフルオロプロピルアクリレート、オクタフルオロペンチルアクリレート、ドデカフルオロヘプチルアクリレート、ヘキサデカフルオロノニルアクリレート、ヘキサフルオロブチルアクリレート、2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレート、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピルメタクリレート、2−パーフルオロブチルエチルメタクリレート、3−パーフルオロブチル−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−パーフルオロオクチルエチルメタクリレート、3−パーフルオロオクチル−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−パーフルオロデシルエチルメタクリレート、2−パーフルオロ−3−メチルブチルエチルメタクリレート、3−パーフルオロ−3−メチルブチル−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−パーフルオロ−5−メチルヘキシルエチルメタクリレート、3−パーフルオロ−5−メチルヘキシル−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−パーフルオロ−7−メチルオクチルエチルメタクリレート、3−パーフルオロ−7−メチルオクチルエチルメタクリレート、テトラフルオロプロピルメタクリレート、オクタフルオロペンチルメタクリレート、オクタフルオロペンチルメタクリレート、ドデカフルオロヘプチルメタクリレート、ヘキサデカフルオロノニルメタクリレート、1−トリフルオロメチルトリフルオロエチルメタクリレート、およびヘキサフルオロブチルメタクリレートなどが挙げられる。
また、上記の一般式(3)で示される化合物の具体例としては、アクリロキシエチルトリメトキシシラン、アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、アクリロキシブチルトリメトキシシラン、アクリロキシペンチルトリメトキシシラン、アクリロキシヘキシルトリメトキシシラン、アクリロキシヘプチルトリメトキシシラン、メタクリロキシエチルトリメトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、メタクリロキシブチルトリメトキシシラン、メタクリロキシヘキシルトリメトキシシラン、メタクリロキシヘプチルトリメトキシシラン、メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、およびこれら化合物中のメトキシ基が他のアルコキシル基および水酸基に置換された化合物を含む。
分子中にフッ素セグメントが無い上記の一般式(3)で示される化合物を用いることにより、簡便な反応条件で中空シリカ粒子表面を修飾することが可能となるばかりではなく、中空シリカ粒子表面に反応性を制御しやすい官能基を導入することが可能となり、その結果、簡便な反応条件で制御しながらフッ素セグメントを中空シリカ粒子表面に導入させることが可能になる。
低屈折率層中の組成としてフッ素が占める重量比率は、好ましくは0.1重量%から45重量%であり、より好ましくは1重量%から40重量%であり、更に好ましくは5重量%から35重量%である。フッ素の含有量が少ないと良好な層分離が形成されず、ひいては良好な反射防止性能が得られない場合があり、またフッ素の含有量が多すぎると、溶解性の低下や製膜性の悪化などの不具合が生じる場合がある。
低屈折率層は、中空シリカと前述した含フッ素化合物とが結合している化合物を含むことが好ましい。
[塗料組成物]
本発明の反射防止フイルムの製造方法では、上記の一般式(1)示されるカルボキシフェニル基および/またはそのエステルが結合したフルオレン化合物と、上記の含フッ素化合物で表面処理が施された中空シリカ粒子と、溶媒とを混合した塗料組成物が用いられる。
前述した中空シリカおよび一般式(2)および(3)に示される化合物は、1液の塗料組成物中では、未反応のままで存在しても良いし、縮合および/または重合体として存在していても良い。
本発明で用いられる塗料組成物としては更に、バインダー成分を含むことができる。バインダー成分は、製造性の観点から、熱および/または活性エネルギー線で硬化するバインダーであることが好ましく、バインダー成分は一種類であっても良いし、2種類以上を混合して用いても良い。熱で硬化する場合、製造コストの観点からその温度は常温から200℃であることが好ましい。また、活性エネルギー線を用いる場合は、汎用性の観点から電子線および/または紫外線であることが好ましい。
本発明で用いられる塗料組成物は、前記した低屈折率層構成成分と、前記した高屈折率層構成成分とさらに溶剤を含むものである。溶剤は、塗料組成物が塗布可能な状態にあれば、必要量および性状に制限はないため、一般的に塗料溶剤として用いられている溶剤を用いることができる。溶剤の具体例としては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノールなどのアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル等のグリコールエーテル類、トルエン、キシレンおよびスチレン等の芳香族炭化水素類等が挙げられる。
本発明で用いられる塗料組成物は、更に開始剤や硬化剤や触媒を含むことが好ましい。開始剤と触媒は中空シリカ粒子とバインダーとの反応を促進したり、バインダー間の反応を促進するために用いられる。
開始剤としては、塗料組成物をアニオン、カチオンおよびラジカル重合反応等による重合および/または縮合および/または架橋反応を開始あるいは促進せしめるものが好ましい。また、硬化剤としては、キレート化剤などに代表される多価金属化合物などが挙げられる。
開始剤、硬化剤および触媒は、公知または周知されているものを使用することができる。また、複数の開始剤を同時に用いても良いし、単独で用いても良い。さらに、酸性触媒や、熱重合開始剤や光重合開始剤を併用しても良い。酸性触媒の例としては、塩酸水溶液、蟻酸および酢酸などが挙げられる。熱重合開始剤の例としては、過酸化物やアゾ化合物が挙げられる。また、光重合開始剤の例としては、アリールケトン系化合物、含硫黄系化合物、アシルホスフィンオキシド系化合物およびアミン系化合物などが挙げられる。
開始剤および硬化剤の添加割合は、塗料組成物中の樹脂成分量に対して0.001重量%から30重量%が好ましく、より好ましくは0.05重量%から20重量%であり、更に好ましくは0.1重量%から10重量%である。
その他の成分として、本発明で使用する塗料組成物には更に、各種シランカップリング剤、界面活性剤、増粘剤およびレベリング剤などの添加剤を必要に応じて適宜添加しても良い。
[基材フイルム]
本発明で用いられる基材フイルムの材料としては、トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース、プロピオニルセルロース、ブチリルセルロース、アセチルプロピオニルセルロース、ニトロセルロース等のセルロースエステル、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリ−1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート、ポリエチレン−1,2−ジフェノキシエタン−4,4’−ジカルボキシレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、シンジオタクチックポリスチレン等のポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンおよびポリメチルペンテン等のポリオレフィン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアリレート、ポリエーテルイミド、ポリメチルメタクリレートおよびポリエーテルケトンなどが挙げられる。これらの中でも、トリアセチルセルロース、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレートおよびポリエチレンナフタレートが特に好ましく用いられる。
基材フイルムの光透過率は、80%以上であることが好ましく、より好ましくは86%以上である。また、基材フイルムのヘイズは、2.0%以下であることが好ましく、より好ましくは1.0%以下である。基材フイルムには、赤外線吸収剤あるいは紫外線吸収剤を添加してもよく、これらの添加量は、基材フイルムの0.01〜20重量%であることが好ましく、より好ましくは0.05〜10質量%である。
滑り剤として、不活性無機化合物の粒子を基材フイルムに添加してもよい。不活性無機化合物の例には、SiO、TiO、BaSO、CaCO、タルクおよびカオリン等が含まれる。
更に、基材フイルムに、表面処理を実施してもよい。表面処理の例には、薬品処理、機械的処理、コロナ放電処理、火焔処理、紫外線照射処理、高周波処理、グロー放電処理、活性プラズマ処理、レーザー処理、混酸処理およびオゾン酸化処理が含まれる。これらの中でも、グロー放電処理、紫外線照射処理、コロナ放電処理および火焔処理が好ましく、さらに好ましい処理はグロー放電処理と紫外線処理である。
基材フイルムの厚さは自己支持性及び透明性の観点から10μmから500μmのものが好ましく用いられる。
[その他の層]
反射防止フイルムには、さらに、防湿層、帯電防止層、下塗り層や保護層を設けてもよい。支持体には、接着層、シールド層および滑り層を設けてもよい。シールド層は、電磁波や赤外線を遮蔽するために設けられる。
[反射防止フイルムの製造方法]
本発明の反射防止フイルムは、ハードコート層を有する基材フイルムのハードコート面に、上記一般式(1)で示されるカルボキシフェニル基および/またはそのエステルが結合したフルオレン化合物を含有する高屈折率層形成成分と、含フッ素化合物で表面処理が施された中空シリカ粒子を含有する低屈折率層形成成分とを混合した塗料組成物を塗布し、乾燥および硬化させることにより製造することができる。
反射防止フイルム各層を形成する塗料組成物は、ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法およびグラビアコート法などの塗布方法により、基材フイルムに塗布することができる。本発明の反射防止フイルムの製造方法によれば、ハードコート層側に高屈折率層、その上に低屈折率層が積層した、高屈折率層と低屈折率層の2層を同時に形成することができる。これら2層の形成は、少なくとも本発明で用いられる高屈折率層形成成分と低屈折率層形成成分と溶媒とが混合された塗料組成物の塗布後、乾燥および硬化過程において成される。得られる反射防止フイルム中から完全に溶媒を除去することに加え、欠陥なく2層に分離させるという観点からも、乾燥工程では加熱することが好ましい。
加熱温度は、用いられる溶媒の沸点などから決定することができる。更に、乾燥後の形成層に対して熱またはエネルギー線を照射することによる硬化操作を行ってもよい。硬化を熱により行う場合、乾燥と硬化とを同時におこなってもよい。
本発明の反射防止フイルムは、液晶表示装置(LCD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)や陰極管表示装置(CRT)のような画像表示装置に適用することができる。反射防止フイルムは、高屈折率層が画像表示装置の画像表示面側になるように配置することができる。反射防止フイルムが基材フイルムを有する場合は、基材フイルム側を画像表示装置の画像表示面に接着する。反射防止フイルムは、更に、ケースカバー、光学用レンズ、眼鏡用レンズ、ウインドウシールド、ライトカバーやヘルメットシールドにも利用することができる。
次に、実施例に基づいて、本発明の反射防止フイルムとその製造方法について具体的に説明する。
[高屈折率層形成成分の調整]
[高屈折率層形成成分(a)の調整]
攪拌機、還流冷却管、ドライエアー導入管および温度計を備えた4口フラスコに、9,9−Bis(3,4−dicarboxyphenyl)fluorene Dianhydride(JFEケミカル株式会社製、商品名 BPAF)100.0g、アクリル酸2−ヒドロキシエチル(日本触媒株式会社製)50.7g、ヒドロキノン(和光純薬工業株式会社製)0.08g、およびシクロヘキサノン100.4gを仕込み、85℃の温度まで昇温した。次いで、これに触媒として1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン(東京化成工業株式会社製)1.51gを加え、85℃の温度で5時間攪拌し、室温まで冷却し、メチルイソブチルケトンにて固形分率が3.5%となるように希釈し高屈折率層形成成分(a)を得た。
[高屈折率層形成成分(b)の調整]
攪拌機、還流冷却管、ドライエアー導入管および温度計を備えた4口フラスコに、9,9−Bis(3,4−dicarboxyphenyl)fluorene Dianhydride(JFEケミカル株式会社製、商品名 BPAF)100.0g、アクリル酸2−ヒドロキシエチル(日本触媒株式会社製)50.7g、ヒドロキノン(和光純薬工業株式会社製)0.08g、シクロヘキサノン100.4gを仕込み85℃の温度まで昇温した。次いで、これに触媒として1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン(東京化成工業株式会社製)1.51gを加え、85℃の温度で5時間攪拌し、o-フェニルフェノールグリシジルエーテル(三光株式会社製 商品名 OPP-G)129.5g、シクロヘキサノン84.8gを加え、次いで触媒として、ジメチルベンジルアミン(和光純薬株式会社製)1.21gを加え、85℃の温度で6時間攪拌し、室温まで冷却し、メチルイソブチルケトンにて固形分率が3.5%となるように希釈し高屈折率層形成成分(b)を得た。
[高屈折率層形成成分(c)の調整]
攪拌機、還流冷却管、ドライエアー導入管および温度計を備えた4口フラスコに、アクリル酸2−ヒドロキシエチル(日本触媒株式会社製)50.7g、ヒドロキノン(和光純薬工業株式会社製)0.08g、およびシクロヘキサノン100.4gを仕込み85℃の温度まで昇温した。次いで、これに触媒として1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン(東京化成工業株式会社製)1.51gを加え、85℃の温度で5時間攪拌し、室温まで冷却し、メチルイソブチルケトンにて固形分率が3.5%となる様に希釈し“イルガキュア”(登録商標)907(チバスペシャリティーケミカルス社製)を固形分に対して3.0重量%となるように添加し高屈折率層形成成分(c)を得た。
[低屈折率層形成成分の調整]
[低屈折率層形成成分(a)の調整]
中空シリカ分散液である“スルーリア”(登録商標)TR−113(触媒化成工業株式会社製、数平均粒子径45nm)20gに、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン2.2gと5重量%蟻酸水溶液0.9gを撹拌しながら加え、次いで、2−ペルフルオロオクチルエチルアクリレート4.6gおよび2,2−アゾビスイソブチロニトリル0.1gを加えた後、30分間70℃の温度で加熱撹拌した。その後、イソプロピルアルコールを333g加えて希釈し、低屈折率層形成成分(a)とした。
[低屈折率層形成成分(b)の調整]
中空シリカ分散液である“スルーリア”(登録商標)TR−113(触媒化成工業株式会社製、数平均粒子径45nm)20gに、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン4.4gと5重量%蟻酸水溶液1.8gを撹拌しながら加え、次いで、2−ペルフルオロオクチルエチルアクリレート4.6gおよび2,2−アゾビスイソブチロニトリル0.2gを加えた後、30分間70℃の温度で加熱撹拌した。その後、イソプロピルアルコールを333g加えて希釈し、低屈折率層形成成分(b)とした。
[低屈折率層形成成分(c)の調整]
中空シリカ分散液である“スルーリア”(登録商標)TR−113(触媒化成工業株式会社製、数平均粒子径45nm)20gに、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン2.2gと5重量%蟻酸水溶液0.9gを撹拌しながら加え、30分間70℃の温度で加熱撹拌した。その後、イソプロピルアルコールを184g加えて希釈し、低屈折率層形成成分(c)とした。
[実施例1]
上記の高屈折率層形成成分(a)と上記の低屈折率層形成成分(a)とを、それぞれ重量比にて1:1となるように混合した塗料組成物を用いて、下記のようにして反射防止フイルムを製造した。
[実施例2]
上記の高屈折率層形成成分(a)と上記の低屈折率層形成成分(b)とを、それぞれ重量比にて1:1となるように混合した塗料組成物を用いて、下記のようにして反射防止フイルムを製造した。
[実施例3]
上記の高屈折率層形成成分(b)と上記の低屈折率層形成成分(b)とを、それぞれ重量比にて1:1となるように混合した塗料組成物を用いて、下記のようにして反射防止フイルムを製造した。
[比較例1]
上記の高屈折率層形成成分(a)とジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの3.5重量%イソプロピルアルコール溶液とをそれぞれ重量比にて1:1となるように混合した塗料組成物を用いて、下記のようにして反射防止フイルムを製造した。
[比較例2]
上記の高屈折率層形成成分(a)と上記の低屈折率層形成成分(c)とを、それぞれ重量比にて1:1となるように混合した塗料組成物を用いて、下記のようにして反射防止フイルムを製造した。
[比較例3]
上記の高屈折率層形成成分(b)と上記の低屈折率層形成成分(c)とを、それぞれ重量比にて1:1となるように混合した塗料組成物を用いて、下記のようにして反射防止フイルムを製造した。
[比較例4]
上記の低屈折率層形成成分(c)と上記の低屈折率層形成成分(a)とを、それぞれ重量比にて1:1となるように混合した塗料組成物を用いて、下記のようにして反射防止フイルムを製造した。
[反射防止フイルムの作製]
支持基材として、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂フイルム(基材フイルム)上に、ハードコートが施工されている“タフトップ”(登録商標)100L−C0T0(東レフイルム加工株式会社製)を用いた。この支持基材上に、バーコーター(#10)を用いて、実施例1〜3および比較例1〜4に記載した塗料組成物を塗布後、100℃の温度で1分間乾燥し、紫外線を300mJ/cm照射して硬化し反射防止フイルムを作製した。
[反射防止フイルムの評価]
上記のようにして作製した反射防止フイルムについて、次に示す性能評価を実施した。得られた結果を表1に示す。
[水接触角]
水接触角の測定は、協和界面科学株式会社製 FACE接触角計 CA−D型にてθ/2法を用いて測定した。
[反射防止性能]
反射防止性能の評価は、島津製作所製分光光度計UV−3100を用いて400nmから700nmの波長範囲において行い、評価基準は、光線反射率の最小値(ボトム反射率)が0.7%以下であり、かつデルタ反射率が2.5%以下であった場合は評価○とし、どちらか一方のみの基準を満たした場合は評価△とし、どちらの値も満たしていない場合は評価×とした。
[層分離性]
反射防止フイルムを塗布方向に対して垂直に切断し、その断面を透過型電子顕微鏡 日立製作所製H−7100FAで観察し、中空シリカ粒子によってその塗料成分(低屈折率層形成成分)から構成される低屈折率層に対して、明確な下層(高屈折率層)が確認された場合は評価○とし、下層が確認されない場合は評価×とした。
Figure 2008241775
本発明の反射防止フイルムは、防汚性に優れ反射防止層間の密着性に優れている。また、本発明の反射防止フイルムは、1液の塗料組成物を1回塗布乾燥硬化するのみで、高屈折率層と低屈折率層の反射率の異なる複数の層を有する良好な反射防止性能を示す反射防止フイルムを形成することができる。
本発明の反射防止フイルムは、液晶表示装置(LCD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)や陰極管表示装置(CRT)のような画像表示装置に適用することができ有用である。

Claims (6)

  1. 基材フイルムの少なくとも片方の面に、ハードコート層、高屈折率層および低屈折率層がこの順に積層された反射防止フイルムであって、該高屈折率層は次の一般式(1)
    Figure 2008241775
    (上記一般式中、R1、R2、R3およびR4の少なくとも一カ所はカルボキシル基、カルボニル基を含むエステル残基から成り、前記官能基を有しない箇所は水素を表す。)で示されるカルボキシフェニル基および/またはそのエステル残基が結合したフルオレン化合物を含有し、該低屈折率層はシリカ粒子とバインダー成分を含有し、該低屈折率層表面の水接触角が90度以上であることを特徴とする反射防止フイルム。
  2. シリカ粒子の数平均粒子径が5〜200nmである請求項1記載の反射防止フイルム。
  3. シリカ粒子がフッ素処理された中空シリカ粒子である請求項1または2記載の反射防止フイルム。
  4. ハードコート層を有する基材フイルムのハードコート面に、次の一般式(1)
    Figure 2008241775
    (上記一般式中、R1、R2、R3およびR4の少なくとも一カ所はカルボキシル基、カルボニル基を含むエステル残基から成り、前記官能基を有しない箇所は水素を表す。)で示されるカルボキシフェニル基および/またはそのエステル残基が結合したフルオレン化合物を含有する高屈折率層形成成分と、含フッ素化合物で表面処理が施された中空シリカ粒子を含有する低屈折率層形成成分とを混合した塗料組成物を塗布し、乾燥および硬化させることにより、ハードコート層側に高屈折率層、その上に低屈折率層が順に積層された膜を形成することを特徴とする反射防止フイルムの製造方法。
  5. 中空シリカ粒子が、次の一般式(2)および一般式(3)
    A−R−Rf (2)
    A−R−SiR (OR3−n (3)
    (上記一般式中、Aは反応性二重結合基を表し、Rは炭素数1から3のアルキレン基またはそれらから導出されるエステル構造を表し、Rは水素または炭素数が1から4のアルキル基を表し、Rfはフルオロアルキル基を示し、nは0または1または2のいずれかを表し、それぞれ側鎖を構造中に持っていても良い。)で示される化合物で表面処理された中空シリカ粒子である請求項4記載の反射防止フイルムの製造方法。
  6. 請求項1から3のいずれかに記載の反射防止フイルムが支持基材の少なくとも一面に施されてなる画像表示装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR101256552B1 (ko) * 2010-07-08 2013-04-19 주식회사 엘지화학 반사 방지 필름 및 이의 제조 방법

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