JP2017040829A - 光学反射フィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】温度の変化幅の大きい環境下や高湿環境下、または太陽光などの光照射を長時間受ける環境下であってもフィルム欠陥の発生が少ない光学反射フィルムを提供する。【解決手段】樹脂基材11と、高屈折率層および低屈折率層の積層体からなる光学反射層13と、を有する光学反射フィルムであって、10nm以上の厚さの酸化珪素を有するガラス層12を有し、高屈折率層および低屈折率層の少なくとも1層は、水溶性樹脂および金属酸化物粒子を含み、(1)および(2)の形態の少なくとも一方を有する、光学反射フィルム;(1)酸化珪素を有するガラス層が樹脂基材および光学反射層の間に配置される、(2)ハードコート層、樹脂基材および光学反射層がこの順に積層され、酸化珪素を有するガラス層が樹脂基材およびハードコート層の間に配置される。【選択図】図1

Description

本発明は光学反射フィルムに関する。
一般に、高屈折率層と低屈折率層とを、それぞれ光学的膜厚を調整して基材の表面に積層させた誘電体多層膜は、特定の波長の光を選択的に反射することが知られている。具体的には、光学反射フィルムは、各層の膜厚や屈折率を調整するだけで、反射波長をコントロールすることができ、近赤外線、紫外線または可視光などを選択的に反射することが可能である。例えば、誘電体多層膜を利用した赤外遮蔽フィルムは、建築用ガラスや車両用ガラスに貼付することにより、室内あるいは車内に入る太陽輻射エネルギーを遮蔽し、温度上昇、冷房負荷を低減することができる。
光学反射フィルムにおける誘電体多層膜は、蒸着法、スパッタなどの気相成膜法で、高屈折率層と低屈折率層とを交互に積層させることによって作製することができる。しかしながら、気相成膜法は製造コストが高く、大面積化が困難であり、耐熱性素材に限定される等の課題がある。
したがって、光学反射フィルムの製造の際には、製造コストが安く、大面積化が可能であり、基材の選択幅が広いといった観点から液相成膜法(ウェット)を用いるほうが有利である。液相成膜法を用いた技術として、たとえば、特許文献1には、水溶性高分子および金属酸化物微粒子の混合物を含む塗布液を、湿式塗布方式により基材上に塗布して積層することにより製造される赤外遮蔽フィルムが開示されている。
国際公開第2014/024873号
水溶性高分子および金属酸化物粒子を含む屈折率層を積層させた反射層を有する光学反射フィルムにおいては、温度の変化幅の大きい環境下や高湿環境下、または太陽光などの光照射を長時間受ける環境下では、フィルム内にクラック等が発生する場合があった。
そこで本発明は、温度の変化幅の大きい環境下や高湿環境下、または太陽光などの光照射を長時間受ける環境下であってもフィルム欠陥の発生が少ない光学反射フィルムを提供することを目的とする。
本発明の光学反射フィルムは、樹脂基材と、高屈折率層および低屈折率層の積層体である光学反射層と、を有する光学反射フィルムであって、10nm以上の厚さの酸化珪素を有するガラス層を有し、前記高屈折率層および前記低屈折率層の少なくとも1層は、水溶性樹脂および金属酸化物粒子を含み、下記(1)および(2)の形態の少なくとも一方を有する、光学反射フィルム;(1)前記酸化珪素を有するガラス層が前記樹脂基材および前記光学反射層の間に配置される、(2)ハードコート層、樹脂基材および光学反射層がこの順に積層され、前記酸化珪素を有するガラス層が前記樹脂基材および前記ハードコート層の間に配置される。
本発明によれば、温度の変化幅の大きい環境下や高湿環境下、または太陽光などの光照射を長時間受ける環境下であってもフィルム欠陥の発生が少ない光学反射フィルムを提供することが可能となる。
図1は第一実施形態の光学反射フィルムの一形態を示す断面模式図である 図2は第一実施形態の光学反射フィルムの他の形態を示す断面模式図である
本発明の第一実施形態は、樹脂基材と、高屈折率層および低屈折率層を積層した光学反射層と、を有する光学反射フィルムであって、10nm以上の厚さの酸化珪素を有するガラス層を有し、高屈折率層および前記低屈折率層の少なくとも1層は、水溶性樹脂および金属酸化物粒子を含み、下記(1)および(2)の形態の少なくとも一方を有する、光学反射フィルム;(1)前記酸化珪素を有するガラス層が前記樹脂基材および前記光学反射層の間に配置される、(2)ハードコート層、樹脂基材および光学反射層がこの順に積層され、前記酸化珪素を有するガラス層が前記樹脂基材および前記ハードコート層の間に配置される。
本形態において、(1)酸化珪素を有するガラス層が樹脂基材および光学反射層の間に配置される、および/または(2)ハードコート層、樹脂基材および光学反射層がこの順に積層され、酸化珪素を有するガラス層が樹脂基材およびハードコート層の間に配置される。
以下、酸化珪素を有するガラス層を単にガラス層とも称する。
酸化珪素を有するガラス層がかような位置に配置されることで、温度の変化幅の大きい環境下や高湿環境下、または太陽光などの光照射を長時間受ける環境下であってもフィルム欠陥の発生が抑制される。かような効果を発揮するメカニズムは以下のように推定される。なお、本発明は下記メカニズムに限定されない。
光学反射層は、水溶性樹脂および金属酸化物粒子を含む屈折率層を有する。かような系においては、系中の水溶性樹脂がフィルム周囲の水分を吸収しやすく、また、酸化チタンのような金属酸化物粒子が光によって触媒作用を示し、水溶性樹脂の結着性に影響を与えやすい。このため、周囲の環境の変化(温度、湿度、太陽光などの光照射など)によって、光学反射層の物性が変化し、光学反射層および樹脂基材の間で応力が発生しやすくなるとともに、光学反射層自体が脆くなる。かような応力の発生により、フィルム内にクラックなどの欠陥が発生しやすくなると考えられる。
一方で、酸化珪素を有するガラス層は、伸縮しにくい性質を有するため、光学反射層および樹脂基材の間で発生した応力に抗することができ、フィルム内に発生する欠陥を抑制することができると考えられる。さらに、酸化珪素を有するガラス層は、水蒸気や酸素などの侵入を遮断することができるため、光学反射層自体の物性変化を抑制することができる。
また、上記応力の緩和および水蒸気や酸素などの遮断は、ハードコート層を含むフィルムにおいては、ハードコート層および樹脂基材の間にガラス層が配置されても発揮されるものと考えられる。
以下、本発明の光学反射フィルムの構成要素について、詳細に説明する。なお、以下では、低屈折率層および高屈折率層を区別しない場合は、両者を含む概念として「屈折率層」と称する。
また、本明細書において、範囲を示す「X〜Y」は「X以上Y以下」を意味する。また、特記しない限り、操作および物性等の測定は室温(20〜25℃)/相対湿度40〜50%の条件で測定する。
〔光学反射フィルム〕
本発明に係る光学反射フィルムは、樹脂基材と、高屈折率層および低屈折率層の積層体からなる光学反射層と、を有する。
図1は第一実施形態の光学反射フィルムの一形態を示す断面模式図である。図1の光学反射フィルム10は、樹脂基材11、酸化珪素を有するガラス層12、および光学反射層13がこの順に配置されている。図1においては、樹脂基材11、酸化珪素を有するガラス層12、および光学反射層13が隣接して配置されているが、酸化珪素を有するガラス層12が樹脂基材11および光学反射層の間に配置される限りは、樹脂基材11と酸化珪素を有するガラス層12との間、酸化珪素を有するガラス層12と光学反射層13との間に他の層が配置されていてもよい。光学反射層13に発生する応力を緩和するという観点からは、少なくとも、酸化珪素を有するガラス層12は、光学反射層13に隣接していることが好ましい。
図2は第一実施形態の光学反射フィルムの他の形態を示す断面模式図である。図2の光学反射フィルム20は、ハードコート層14、酸化珪素を有するガラス層12、樹脂基材11、および光学反射層13がこの順に配置されている。図2においては、ハードコート層14、酸化珪素を有するガラス層12、樹脂基材11、および光学反射層13が隣接して配置されているが、酸化珪素を有するガラス層12が樹脂基材11およびハードコート層14の間に配置される限りは、ハードコート層14と酸化珪素を有するガラス層12との間、酸化珪素を有するガラス層12と樹脂基材11との間、樹脂基材11と光学反射層13との間に他の層が配置されていてもよい。光学反射層に発生する応力を緩和するという観点からは、少なくとも、酸化珪素を有するガラス層12は、樹脂基材11に隣接している、またはガラス層12が平滑層を有する樹脂基材11の平滑層に隣接していることが好ましい。
また、光学反射層で発生する応力をより効率的に緩和することができることから、光学反射フィルムは、少なくとも(1)酸化珪素を有するガラス層が樹脂基材および光学反射層の間に配置される形態を有することが好ましい。
[光学反射層]
光学反射層は、低屈折率層と高屈折率層とが積層されてなる構成を有する。好ましくは、光学反射層は低屈折率層および高屈折率層が交互に積層されてなり、より好ましくは、光学反射層は低屈折率層および高屈折率層が交互に積層されてなり、かつ、各屈折率層が水溶性樹脂および金属酸化物粒子を含む。光学反射層がこのように異なる屈折率を有する屈折率層を含む構成であることにより、所定の波長を有する光(例えば、赤外光)が入射した場合に、少なくともこの光の一部を反射して遮蔽効果(ひいては赤外光の場合には遮熱効果)を発揮することができる。
本形態において、反射層を構成する屈折率層が、低屈折率層であるか高屈折率層であるかは、隣接する屈折率層との屈折率の対比によって判断される。具体的には、ある屈折率層を基準層としたとき、当該基準層に隣接する屈折率層が基準層より屈折率が低ければ、基準層は高屈折率層である(隣接層は低屈折率層である)と判断される。一方、基準層より隣接層の屈折率が高ければ、基準層は低屈折率層である(隣接層は高屈折率層である)と判断される。したがって、屈折率層が高屈折率層であるか低屈折率層であるかは、隣接層が有する屈折率との関係で定まる相対的なものであり、ある屈折率層は、隣接層との関係によって高屈折率層にも低屈折率層にもなりうる。
また、高屈折率層を構成する成分(以下、高屈折率層成分)と低屈折率層を構成する成分(以下、低屈折率層成分)とが、二つの層の界面で混合され、高屈折率層成分と低屈折率層成分とを含む層(混合層)が形成される場合がある。この場合、混合層において、高屈折率層成分が50質量%以上である部位の集合を高屈折率層とし、低屈折率層成分が50質量%を超える部位の集合を低屈折率層とする。具体的には、低屈折率層および高屈折率層が、例えば、低屈折率層成分および高屈折率層成分として金属酸化物粒子を含有している場合、これらの積層膜における膜厚方向での金属酸化物濃度プロファイルを測定し、その組成によって、高屈折率層または低屈折率層とみなすことができる。積層膜の金属酸化物濃度プロファイルは、スパッタ法を用いて表面から深さ方向へエッチングを行い、XPS表面分析装置を用いて、最表面を0nmとして、0.5nm/minの速度でスパッタし、原子組成比を測定することで観測することができる。また、屈折率層成分に金属酸化物粒子が含有されておらず、屈折率層が有機バインダーのみから形成されている積層体においても、同様にして、有機バインダー濃度プロファイルにて、例えば、膜厚方向での炭素濃度を測定することにより混合領域が存在していることを確認し、さらにその組成をEDXにより測定することで、スパッタでエッチングされた各層を、高屈折率層または低屈折率層とみなすことができる。
隣接した層界面での反射は、層間の屈折率比に依存するのでこの屈折率比が大きいほど、反射率が高まる。また、単層膜でみたとき層表面における反射光と、層底部における反射光との光路差を、n・d=波長/4、で表される関係にすると位相差により反射光を強めあうよう制御でき、反射率を上げることができる。ここで、nは屈折率、またdは層の物理膜厚、n・dは光学膜厚である。この光路差を利用することで、反射を制御できる。この関係を利用して、各層の屈折率と膜厚を制御して、可視光や、近赤外光の反射を制御する。即ち、各層の屈折率、各層の膜厚、各層の積層のさせ方で、特定波長領域の反射率をアップさせることができる。
光学反射層の厚さは、特に制限されず、所望の機能が発揮されるように適宜設計されうる。光学反射層の厚さは、通常、1〜100μm程度である。
高屈折率層および低屈折率層の総層数の範囲は、好ましくは100層以下5層以上、より好ましくは45層以下5層以上である。なお、前記の好ましい高屈折率層および低屈折率層の総層数の範囲は、樹脂基材の片面にのみ積層される場合においても適応可能であり、基材の両面に同時に積層される場合においても適応可能である。樹脂基材の両面に積層される場合において、樹脂基材の一方の面と他方の面との高屈折率層および低屈折率層の総層数は、同じであってもよく、異なっていてもよい。また、本発明の光学反射フィルムにおいて、最下層(樹脂基材と接触する層)および最表層は、高屈折率層および低屈折率層のいずれであってもよい。しかしながら、低屈折率層が最下層および最表層に位置する層構成とすることにより、最下層の樹脂基材への密着性、最表層の吹かれ耐性、さらには最表層へのハードコート層等の塗布性や密着性に優れる。このため、本発明の光学反射フィルムとしては、最下層および最表層が低屈折率層である層構成が好ましい。
光学反射層の形成方法は特に限定されないが、水溶性樹脂を含むため水系塗布が可能となる。水系塗布は環境負荷の面から、また大面積化が可能となることから好ましい。水系塗布の方法としては、水溶性高分子および水系溶剤を用いた逐次重層塗布法;国際公開第2013/054912号[0144]〜[0156]に記載の同時重層塗布法;などの方法が挙げられる。
(水溶性樹脂)
水溶性樹脂は、有機溶剤を用いない水系塗布が可能であるため、環境負荷が少なく、また、柔軟性が高く、屈曲時の膜の耐久性が向上するため好ましい。水溶性樹脂としては、例えば、ポリビニルアルコール類、ポリビニルピロリドン類、ポリアクリル酸、アクリル酸−アクリルニトリル共重合体、アクリル酸カリウム−アクリルニトリル共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体、もしくはアクリル酸−アクリル酸エステル共重合体などのアクリル系樹脂、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸共重合体、もしくはスチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸−アクリル酸エステル共重合体などのスチレンアクリル酸樹脂、スチレン−スチレンスルホン酸ナトリウム共重合体、スチレン−2−ヒドロキシエチルアクリレート共重合体、スチレン−2−ヒドロキシエチルアクリレート−スチレンスルホン酸カリウム共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ビニルナフタレン−アクリル酸共重合体、ビニルナフタレン−マレイン酸共重合体、酢酸ビニル−マレイン酸エステル共重合体、酢酸ビニル−クロトン酸共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸共重合体などの酢酸ビニル系共重合体およびそれらの塩などの合成水溶性樹脂;ゼラチン、増粘多糖類などの天然水溶性高分子などが挙げられる。これらの中で、特に好ましい例としては、製造時のハンドリングと膜の柔軟性の点から、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン類およびそれを含有する共重合体、ゼラチン、増粘多糖類(特にセルロース類)が挙げられる。これらの水溶性樹脂は、1種単独で用いてもよいし、2種以上併用して用いてもよい。
ポリビニルアルコールには、ポリ酢酸ビニルを加水分解して得られる通常のポリビニルアルコールの他に、変性ポリビニルアルコールも含まれる。変性ポリビニルアルコールとしては、カチオン変性ポリビニルアルコール、アニオン変性ポリビニルアルコール、ノニオン変性ポリビニルアルコール、ビニルアルコール系ポリマーが挙げられる。
ポリビニルアルコールの具体的例示としては、国際公開第2013/054912号の[0075]〜[0079]に記載のものが挙げられる。
また、ポリビニルアルコールを硬化させるための硬化剤を使用してもよい。適用可能な硬化剤としては、例えば、ホウ酸およびその塩が好ましい。その他の硬化剤の具体例としては、国際公開第2013/054912号の[0091]〜[0096]に記載のものが挙げられる。
ゼラチンとしては、石灰処理ゼラチンのほか、酸処理ゼラチンを使用してもよく、さらにゼラチンの加水分解物、ゼラチンの酵素分解物を用いることもできる。また、国際公開第2013/054912号の[0081]〜[0082]に記載の硬膜剤を用いてもよい。
増粘多糖類としては、例えば、一般に知られている天然単純多糖類、天然複合多糖類、合成単純多糖類および合成複合多糖類を挙げることができ、これら多糖類の詳細については、「生化学辞典(第2版),東京化学同人出版」、「食品工業」第31巻(1988)21頁等を参照することができる。
水溶性樹脂の含有量は、膜の柔軟性や屈折率を考慮して適宜設定すればよいが、各屈折率層の全質量(固形分)に対し、5〜50質量%であることが好ましく、10〜40質量%であることがより好ましい。
(金属酸化物粒子)
金属酸化物粒子としては、金属酸化物を構成する金属が、Li、Na、Mg、Al、Si、K、Ca、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Rb、Sr、Y、Nb、Zr、Mo、Ag、Cd、In、Sn、Sb、Cs、Ba、La、Ta、Hf、W、Ir、Tl、Pb、Biおよび希土類金属からなる群より選ばれる1種または2種以上の金属の酸化物を用いることができる。
金属酸化物粒子は、平均粒径が好ましい順に100nm以下、1〜50nm、4〜40nmであることが好ましい。ここで、平均粒径は、平均一次粒径または体積平均粒径のいずれかを指す。金属酸化物粒子の平均粒径は、金属酸化物粒子が被覆処理されている場合(例えば、シリカ付着酸化チタン等)、金属酸化物粒子の平均粒径とは母体(シリカ付着酸化チタンの場合は、処理前の酸化チタン)の平均粒径を指すものとする。
各屈折率層における金属酸化物粒子の含有量は、屈折率層の全質量(固形分)に対して、20〜90質量%であることが好ましく、40〜80質量%であることがより好ましい。
低屈折率層においては、金属酸化物粒子として二酸化ケイ素(シリカ)を用いることが好ましく、酸性のコロイダルシリカゾルを用いることが特に好ましい。
高屈折率層に含有される金属酸化物としては、透明でより屈折率の高い高屈折率層を形成するために、チタン、ジルコニア等の高屈折率金属酸化物微粒子、すなわち、酸化チタン微粒子、酸化ジルコニア微粒子であることが好ましく、ルチル型(正方晶系)酸化チタン微粒子であることがより好ましい。
また、酸化チタン粒子としては、水系の酸化チタンゾルの表面を変性して分散状態を安定にしたものを用いてもよい。
酸化チタンゾルとしては、特開2008−266043号公報に記載の、酸化チタンゾル粒子を核とし、そのまわりにケイ素、スズおよびアンチモンの各水和酸化物よりなる複数の被覆層を有し、アンチモンの水和酸化物が最外側被覆層である透明酸化チタンゾルを用いてもよい。また、酸化チタンゾルとしては、国際公開第2009/044879号に記載の、酸化チタン−酸化スズ−酸化ジルコニウム−酸化タングステン複合コロイド粒子を核として、酸性酸化物のコロイド粒子により粒子表面が被覆された酸性酸化物被覆酸化チタン−酸化スズ−酸化ジルコニウム−酸化タングステン複合コロイド粒子、並びにこれらの複合コロイド粒子が分散されたゾルを用いてもよい。
また、高屈折率層に含まれる金属酸化物粒子としては、公知の方法で製造されたコアシェル粒子を用いることもできる。水系の酸化チタンゾルの調製方法としては、従来公知のいずれの方法も用いることができ、たとえば、特開昭63−17221号公報、特開平7−819号公報、特開平9−165218号公報、特開平11−43327号公報等に記載された事項を参照することができる。
さらに、酸化チタン粒子を含ケイ素の水和酸化物で被覆してもよい。ここで、「被覆」とは、酸化チタン粒子の表面の少なくとも一部に、含ケイ素の水和酸化物が付着されている状態を意味する。すなわち、金属酸化物粒子として用いられる酸化チタン粒子の表面が、完全に含ケイ素の水和酸化物で被覆されていてもよく、酸化チタン粒子の表面の一部が含ケイ素の水和酸化物で被覆されていてもよい。被覆された酸化チタン粒子の屈折率が含ケイ素の水和酸化物の被覆量により制御される観点から、酸化チタン粒子の表面の一部が含ケイ素の水和酸化物で被覆されることが好ましい。本明細書における「含ケイ素の水和酸化物」とは、無機ケイ素化合物の水和物、有機ケイ素化合物の加水分解物および/または縮合物のいずれでもよいが、シラノール基を有することが好ましい。特に、含ケイ素の水和酸化物としてはシリカの水和物が好ましい。
含ケイ素の水和酸化物で被覆された酸化チタン粒子の酸化チタンはルチル型であってもアナターゼ型であってもよい。含ケイ素の水和酸化物で被覆された酸化チタン粒子は、含ケイ素の水和酸化物で被覆されたルチル型の酸化チタン粒子がより好ましい。これは、ルチル型の酸化チタン粒子が、アナターゼ型の酸化チタン粒子より光触媒活性が低いため、高屈折率層や隣接した低屈折率層の耐候性が高くなり、さらに屈折率が高くなるという理由からである。
含ケイ素の水和酸化物の被覆量は好ましくは2〜30質量%、より好ましくは3〜10質量%、さらに好ましくは4〜8質量%である。被覆量が30質量%以下であると、高屈折率層の所望の屈折率化が得られ、被覆量が2質量%以上であると粒子を安定に形成することができるからである。
酸化チタン粒子を含ケイ素の水和酸化物で被覆する方法としては、従来公知の方法を用いることができ、例えば、特開平10−158015号公報(ルチル型酸化チタンへのSi/Al水和酸化物処理;チタン酸ケーキのアルカリ領域での解膠後酸化チタンの表面にケイ素および/またはアルミニウムの含水酸化物を析出させて表面処理する酸化チタンゾルの製造方法)、特開2000−204301号公報(ルチル型酸化チタンにSiとZrおよび/またはAlの酸化物との複合酸化物を被覆したゾル。水熱処理。)、特開2007−246351号公報(含水酸化チタンを解膠して得られる酸化チタンのヒドロゾルへ、安定剤として式R SiX4−n(式中RはC−Cアルキル基、グリシジルオキシ置換C−Cアルキル基またはC−Cアルケニル基、Xはアルコキシ基、nは1または2である。)のオルガノアルコキシシランまたは酸化チタンに対して錯化作用を有する化合物を添加、アルカリ領域でケイ酸ナトリウムまたはシリカゾルの溶液へ添加・pH調整・熟成することにより、ケイ素の含水酸化物で被覆された酸化チタンヒドロゾルを製造する方法)等に記載された事項を参照することができる。
(界面活性剤)
高屈折率層および低屈折率層には、塗布性の観点から界面活性剤を含有することが好ましい。
塗布時の表面張力調整のために用いられる界面活性剤としてアニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、両性界面活性剤などを用いることができるが、両性界面活性剤がより好ましい。
好ましく用いられる両性界面活性剤としては、アドミスルホベタイン型、カルボキシベタイン型、スルホベタイン型、イミダゾリウム型などがある。中でも、スルホベタイン型が塗布ムラの観点から好ましく、スルホベタイン型の製品としてはLSB−R、LSB(以上、川研ファインケミカル株式会社製)、アンヒトール(登録商標)20HD(花王株式会社製)等が挙げられる。
屈折率層における界面活性剤の含有量は、屈折率層の全固形分に対して、0.001〜1質量%であることが好ましく、0.005〜0.50質量%であることがより好ましい。
(その他の添加剤)
高屈折率層または低屈折率層には、例えば、特開昭57−74193号公報、同57−87988号公報および同62−261476号公報に記載の紫外線吸収剤、特開昭57−74192号公報、同57−87989号公報、同60−72785号公報、同61−146591号公報、特開平1−95091号公報および同3−13376号公報等に記載されている退色防止剤、特開昭59−42993号公報、同59−52689号公報、同62−280069号公報、同61−242871号公報および特開平4−219266号公報等に記載されている蛍光増白剤、硫酸、リン酸、酢酸、クエン酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム等のpH調整剤、消泡剤、ジエチレングリコール等の潤滑剤、防腐剤、帯電防止剤、マット剤等の公知の各種添加剤を含有していてもよい。
(製造方法)
水溶性樹脂を各屈折率層が含む場合には、水系塗布が可能となる。光学反射層の形成方法としては、水溶性高分子および水系溶剤を用いた逐次重層塗布法;国際公開第2013/054912号[0144]〜[0156]に記載の同時重層塗布法;などの方法が挙げられる。
[酸化珪素を有するガラス層]
酸化珪素を有するガラス層の膜厚(乾燥膜厚)は、10nm以上である。ガラス層の膜厚が10nm未満であると、温度、湿度などの外部環境の変化や光照射などによって生ずる光学反射層の物性変化により発生した応力に耐え切れず、フィルム内にクラックなどが発生しやすくなる。酸化珪素を有するガラス層の膜厚(乾燥膜厚)は、上記効果がより得られやすいことから、50nm以上であることが好ましい。
酸化珪素を有するガラス層の膜厚(乾燥膜厚)の上限は、ガラス層の脆弱性を低減する観点から、3000nm以下であることが好ましく、1500nm以下であることがより好ましい。また、ガラス層の膜厚(乾燥膜厚)は、本発明の効果がより発揮されやすいことから、10〜3000nmであることが好ましく、50〜500nmであることがより好ましい。
「ガラス層」とは、層内にアモルファス構造の酸化珪素(シリカガラス)を有するものである。このため、ガラス層は、メタロキサン骨格を有する化合物を含む。ガラス層がアモルファス構造の酸化珪素(シリカガラス)を含むことは、X線光電子分光法(XPS)によっても確認することができる。また、メタロキサン骨格を有する化合物は、有機であっても無機であってもよい。
酸化珪素を有するガラス層の形成方法は特に限定されないが、酸化珪素の無機物から形成される場合、真空成膜法により成膜することで形成できる。真空成膜法としては、例えば、抵抗加熱式真空蒸着法(例えば、高周波加熱法による真空蒸着法)、電子ビーム加熱式真空蒸着法、イオンプレーティング法、イオンビームアシスト真空蒸着法、スパッタ法などがある。
また、酸化珪素を有するガラス層は、ゾルゲル法またはポリシラザン法によっても形成することができる。かような方法によれば、ガラス層を実質的にアモルファス構造の酸化珪素(シリカガラス)から構成される層とすることができる。ここで、「実質的に」とは、層中85質量%以上(上限100質量%)がアモルファス構造の酸化珪素(シリカガラス)から構成されることを指し、好ましくは90質量%以上(上限100質量%)がアモルファス構造の酸化珪素(シリカガラス)から構成されることを指し、より好ましくは95質量%以上(上限100質量%)がアモルファス構造の酸化珪素(シリカガラス)から構成されることを指す。
ゾルゲル法としては、公知の方法によって合成したアルコキシシラン化合物の部分加水分解オリゴマーを使用できる。その合成方法の一例は以下の通りである。まず、アルコキシシラン化合物としてテトラメトキシシラン、またはテトラエトキシシランを用い、これを塩酸、硝酸等の酸触媒の存在下に所定量の水を加えて、副生するアルコールを除去しながら室温から80℃で反応させる。この反応によりアルコキシシランは加水分解し、更に縮合反応により一分子中にシラノール基またはアルコキシ基を2個以上有し、平均重合度4〜8のアルコキシシラン化合物の部分加水分解オリゴマーが得られる。次にこれに酢酸、マレイン酸等の硬化触媒を添加し、アルコール、グリコールエーテル系の有機溶剤に溶解させた溶液を得ることができる。そしてこれを通常の塗料における塗装方法により、基材等に塗布し、80〜140℃の温度で加熱硬化することによって透明な酸化珪素を有するガラス層を形成させる。なお、テトラアルコキシシランの代わりにジ(アルキルまたはアリール)ジアルコキシシラン、並びに/或いはモノ(アルキルまたはアリール)トリアルコキシシランを使用することにより、同様にポリシロキサン系の透明な酸化珪素を有するガラス層を製造することが可能である。
また、ポリシラザン法としては、ポリシラザンを塗布成膜し、メタロキサン骨格に転化する方法が挙げられる。当該材料を使用することによって、柔軟性(屈曲性)は維持したまま、高い耐候性を持つことができる。また、当該材料を使用して形成した酸化珪素を有するガラス層は、ガラス様の特性を示すため、耐傷性にも優れる。すなわち、本実施形態の好適な一実施形態は、ポリシラザンを塗布し、硬化することによって酸化珪素を有するガラス層を形成することを有する、上記実施形態の光学反射フィルムの製造方法である。
このような酸化珪素を有するガラス層の作製方法は、特に制限されない。例えば、下記一般式(1)、(2)または(3)で表されるポリシラザンを含む有機溶剤中に必要に応じて触媒を加えた溶液を塗布・乾燥(溶剤を蒸発により除去)した後、転化することによって、ガラス様の透明な酸化珪素を有するガラス層を形成できる。
上記一般式(1)において、R、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、置換または非置換の、アルキル基、アリール基、ビニル基または(トリアルコキシシリル)アルキル基である。この際、R、RおよびRは、それぞれ、同じであってもあるいは異なるものであってもよい。ここで、アルキル基としては、炭素原子数1〜8の直鎖、分岐鎖または環状のアルキル基が挙げられる。より具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などがある。また、アリール基としては、炭素原子数6〜30のアリール基が挙げられる。より具体的には、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基などの非縮合炭化水素基;ペンタレニル基、インデニル基、ナフチル基、アズレニル基、ヘプタレニル基、ビフェニレニル基、フルオレニル基、アセナフチレニル基、プレイアデニル基、アセナフテニル基、フェナレニル基、フェナントリル基、アントリル基、フルオランテニル基、アセフェナントリレニル基、アセアントリレニル基、トリフェニレニル基、ピレニル基、クリセニル基、ナフタセニル基などの縮合多環炭化水素基が挙げられる。(トリアルコキシシリル)アルキル基としては、炭素原子数1〜8のアルコキシ基で置換されたシリル基を有する炭素原子数1〜8のアルキル基が挙げられる。より具体的には、3−(トリエトキシシリル)プロピル基、3−(トリメトキシシリル)プロピル基などが挙げられる。上記R〜Rに場合によって存在する置換基は、特に制限はないが、例えば、アルキル基、ハロゲン原子、ヒドロキシル基(−OH)、メルカプト基(−SH)、シアノ基(−CN)、スルホ基(−SOH)、カルボキシル基(−COOH)、ニトロ基(−NO)などがある。なお、場合によって存在する置換基は、置換するR〜Rと同じとなることはない。例えば、R〜Rがアルキル基の場合には、さらにアルキル基で置換されることはない。これらのうち、好ましくは、R、RおよびRは、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、フェニル基、ビニル基、3−(トリエトキシシリル)プロピル基または3−(トリメトキシシリルプロピル)基である。
また、上記一般式(1)において、nは、整数であり、一般式(1)で表される構造を有するポリシラザンが150〜150,000g/モルの数平均分子量を有するように定められることが好ましい。
上記一般式(2)において、R1’、R2’、R3’、R4’、R5’およびR6’は、それぞれ独立して、水素原子、置換または非置換の、アルキル基、アリール基、ビニル基または(トリアルコキシシリル)アルキル基である。この際、R1’、R2’、R3’、R4’、R5’およびR6’は、それぞれ、同じであってもあるいは異なるものであってもよい。上記における、置換または非置換の、アルキル基、アリール基、ビニル基または(トリアルコキシシリル)アルキル基は、上記一般式(1)の定義と同様であるため、説明を省略する。
また、上記一般式(2)において、n’およびp’は、整数であり、一般式(2)で表される構造を有するポリシラザンが150〜150,000g/モルの数平均分子量を有するように定められることが好ましい。なお、n’およびp’は、同じであってもあるいは異なるものであってもよい。
上記一般式(2)のポリシラザンのうち、R1’、R3’およびR6’が各々水素原子を表し、R2’、R4’およびR5’が各々メチル基を表す化合物;R1’、R3’およびR6’が各々水素原子を表し、R2’、R4’が各々メチル基を表し、R5’がビニル基を表す化合物;R1’、R3’、R4’およびR6’が各々水素原子を表し、R2’およびR5’が各々メチル基を表す化合物が好ましい。
上記一般式(3)において、R1”、R2”、R3”、R4”、R5”、R6”、R7”、R8”およびR9”は、それぞれ独立して、水素原子、置換または非置換の、アルキル基、アリール基、ビニル基または(トリアルコキシシリル)アルキル基である。この際、R1”、R2”、R3”、R4”、R5”、R6”、R7”、R8”およびR9”は、それぞれ、同じであってもあるいは異なるものであってもよい。上記における、置換または非置換の、アルキル基、アリール基、ビニル基または(トリアルコキシシリル)アルキル基は、上記一般式(1)の定義と同様であるため、説明を省略する。
また、上記一般式(3)において、n”、p”およびq”は、整数であり、一般式(3)で表される構造を有するポリシラザンが150〜150,000g/モルの数平均分子量を有するように定められることが好ましい。なお、n”、p”およびq”は、同じであってもあるいは異なるものであってもよい。
上記一般式(3)のポリシラザンのうち、R1”、R3”およびR6”が各々水素原子を表し、R2”、R4”、R5”およびR8”が各々メチル基を表し、R9”が(トリエトキシシリル)プロピル基を表し、R7”がアルキル基または水素原子を表す化合物が好ましい。
一方、上記ポリシラザンのうち、式(1)においてR、RおよびRのすべてが水素原子であるパーヒドロポリシラザンが好ましい。一方、そのSiと結合する水素原子部分の一部がアルキル基等で置換されたオルガノポリシラザンは、メチル基等のアルキル基を有することにより下地との接着性が改善され、かつポリシラザンによるセラミック膜に靭性を持たせることができ、より(平均)膜厚を厚くした場合でもクラックの発生が抑えられる利点がある。このため、用途に応じて適宜、これらパーヒドロポリシラザンとオルガノポリシラザンとを選択してよく、混合して使用することもできる。
パーヒドロポリシラザンは、直鎖構造と6および8員環を中心とする環構造が存在した構造と推定されている。その分子量は数平均分子量(Mn)で約600〜2000程度(ポリスチレン換算)で、液体または固体の物質があり、その状態は分子量により異なる。
ポリシラザンは有機溶媒に溶解した溶液状態で市販されており、市販品をそのままガラス層形成用塗布液として使用することができる。ポリシラザン溶液の市販品としては、AZエレクトロニックマテリアルズ株式会社製のNN120−10、NN120−20、NAX120−20、NN110、NN310、NN320、NL110A、NL120、NL120A、NL120−20、NL150A、NP110、NP140、SP140等が挙げられる。
ポリシラザン法において、ポリシラザンの塗布方法は特に制限されないが、例えば、バーコート法、グラビアコート法、リバースコート法、ダイコート法等、従来公知のコーティング方法を挙げることができる。
塗布液中のポリシラザンの割合は、一般的には、ポリシラザン1〜80質量%であり、好ましくは5〜50質量%、より好ましくは10〜40質量%である。塗布液に用いられる溶剤としては、特に、水および反応性基(例えばヒドロキシ基またはアミン基)を含まず、ポリシラザンに対して不活性の有機系で好ましくは非プロトン性の溶剤が好適である。溶剤としては、例えば、脂肪族または芳香族炭化水素、ハロゲン炭化水素、酢酸エチルまたは酢酸ブチルのようなエステル、アセトンまたはメチルエチルケトンのようなケトン、テトラヒドロフラン、ジブチルエーテル、モノ−およびポリアルキレングリコールジアルキルエーテル(ジグライム類)のようなエーテルなどが挙げられる。これらの溶剤は1種単独で用いても2種以上併用してもよい。
塗布液はバインダーを含んでいてもよく、バインダーとしては、例えば、セルロースエーテルおよびセルロースエステル、例えばエチルセルロース、ニトロセルロース、セルロースアセテートまたはセルロースアセトブチレート、天然樹脂、例えばゴムもしくはロジン樹脂、または合成樹脂、例えば重合樹脂もしくは縮合樹脂、例えばアミノプラスト、特に尿素樹脂およびメラミンホルムアルデヒド樹脂、アルキド樹脂、アクリル樹脂、ポリエステルもしくは変性ポリエステル、エポキシド、ポリイソシアネートもしくはブロック化ポリイソシアネート、またはポリシロキサンなどが挙げられる。
上記塗布後は、塗膜を乾燥した後、硬化処理を行うことによって、ガラス層を形成することができる。ここで、乾燥条件は、塗膜から十分量の溶剤が蒸発できる条件であれば特に制限されず、また、乾燥と硬化とを兼ねてもよい。具体的には、乾燥温度(硬化温度)は、好ましくは10〜150℃である。また、乾燥(硬化)時間は、好ましくは0.5分〜5時間である。
硬化手段としては特に限定されず、真空紫外線照射、熱処理、およびこれらの組み合わせなどが挙げられる。
真空紫外線照射は、ポリシラザン内の原子間結合力より大きい100〜200nmの光エネルギーを用い、好ましくは100〜180nmの波長の光エネルギーを用い、原子の結合を光量子プロセスと呼ばれる光子のみの作用により、直接切断しながら活性酸素やオゾンによる酸化反応を進行させることで、比較的低温(約200℃以下)で、酸化ケイ素を含む膜の形成を行う方法である。なお、真空紫外線照射処理を行う際は、熱処理を併用することが好ましい。
本発明においての真空紫外線源は、100〜180nmの波長の光を発生させるものであればよいが、好適には約172nmに最大放射を有するエキシマラジエータ(例えば、Xeエキシマランプ)、約185nmに輝線を有する低圧水銀蒸気ランプ、並びに230nm以下の波長成分を有する中圧および高圧水銀蒸気ランプ、および約222nmに最大放射を有するエキシマランプである。
このうち、Xeエキシマランプは、波長の短い172nmの紫外線を単一波長で放射することから、発光効率に優れている。この光は、酸素の吸収係数が大きいため、微量な酸素でラジカルな酸素原子種やオゾンを高濃度で発生することができる。
また、波長の短い172nmの光のエネルギーは、有機物の結合を解離させる能力が高いことが知られている。この活性酸素やオゾンと紫外線放射が持つ高いエネルギーによって、短時間でポリシラザンを酸化珪素に転化できる。
エキシマランプは光の発生効率が高いため、低い電力の投入で点灯させることが可能である。また、光による温度上昇の要因となる波長の長い光は発せず、紫外線領域で、すなわち短い波長でエネルギーを照射するため、照射対象物の表面温度の上昇が抑えられる特徴を持っている。このため、熱の影響を受けやすいとされるPETなどのフレシキブルフィルム材料に適している。
真空紫外線照射時の酸素濃度は、酸化珪素転化の効率を考慮して、雰囲気ガス中10〜10000体積ppmとすることが好ましく、50〜5000体積ppmとすることが好ましい。
真空紫外線照射工程において、ポリシラザン塗膜が受ける塗膜面での該真空紫外線の照度は1mW/cm〜10W/cmであると好ましく、30mW/cm〜200mW/cmであることがより好ましい。1mW/cm以上であれば、転化効率が向上し、10W/cm以下であれば、塗膜に生じ得るアブレーションや、基材へのダメージを低減することができる。また、真空紫外線照射工程において、該真空紫外線のエネルギー照射量は、好ましくは10mJ〜100J/cm、より好ましくは10〜10000mJ/cm、さらに好ましくは500〜5000mJ/cmである。
熱硬化の場合の条件は、十分硬化処理を行うことができる(酸化珪素を有するガラス層が形成できる)条件であればよいが、50〜150℃の温度範囲内で10分〜5時間の熱処理を行うことが好ましい。
[樹脂基材]
本発明に係る光学反射フィルムは、光学反射層などを支持するための樹脂基材を含む。樹脂基材としては、種々の樹脂フィルムを用いることができ、ポリオレフィンフィルム(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、ポリエステルフィルム(ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート等)、ポリ塩化ビニル、3酢酸セルロース等を用いることができ、好ましくはポリエステルフィルムである。ポリエステルフィルムとしては、特に限定されるものではないが、ジカルボン酸成分とジオール成分を主要な構成成分とするフィルム形成性を有するポリエステルフィルムであることが好ましい。
樹脂基材の厚みは、10〜300μm、特に20〜150μmであることが好ましい。また、樹脂基材は、2枚重ねたものであってもよく、この場合、その種類が同じでも異なってもよい。
樹脂基材は、JIS R 3106−1998で示される可視光領域の透過率が85%以上であることが好ましく、特に90%以上であることが好ましい。樹脂基材が上記透過率以上であることにより、積層フィルムとしたときのJIS R 3106−1998で示される可視光領域の透過率を50%以上(上限:100%)にするという点で有利であり、好ましい。
樹脂基材の表面は、密着性向上のための公知の種々の処理、例えばコロナ放電処理、火炎処理、酸化処理、またはプラズマ処理等を行っていてもよく、必要に応じて上記処理を組み合わせて行っていてもよい。また、樹脂基材には易接着処理を行ってもよい。
[ハードコート層]
本発明において、「ハードコート層」とは、JIS K 5600−5−4:1999に準じた鉛筆硬度がHB以上の層であり、好ましくはH以上の層であり、より好ましくは2H以上の層である。ハードコート層の硬さは、折り曲げ等の外部応力がかかった際に層の破壊や剥がれなどが発生しない範囲で硬い方が耐傷性の点で好ましい。
光学反射フィルムにおいては、ハードコート層の膜厚は、1〜5μmであることが好ましく、1.5〜3μmであることがより好ましい。ハードコート層の膜厚を上記範囲とすることで、光学反射層とのカールバランスをとりやすくなる。また、ハードコート層の膜厚が1μm以上であれば十分な硬度を維持することができ、5μm以下であれば、応力によってハードコート層が割れたり劣化したりすることを防ぐことができる。さらに、ハードコート層の膜厚が5μm以下であれば、より高い可視光透過率が得られうる。
また、光学反射フィルムにおいて、光学反射層の膜厚に対するハードコート層の膜厚の比(ハードコート層の膜厚/光学反射層の膜厚)は、0.2〜3であることが好ましい。光学反射層の膜厚に対するハードコート層の膜厚の比を上記範囲とすることで、光学反射層とのカールバランスをとりやすくなる。その結果、より耐候性に優れる光学反射フィルムが得られうる。
ハードコート層の構成材料について特に制限はなく、従来公知の知見が参照されうる。ハードコート層は、例えば、ポリシロキサン系ハードコートに代表される無機系材料のほか、活性エネルギー線硬化樹脂等を使用することができる。
(ポリシロキサン系ハードコート)
ポリシロキサン系ハードコートは、一般式RSi(OR’)で示されるものが出発原料である。RおよびR’は、炭素数1〜10のアルキル基を表し、mおよびnは、m+n=4の関係を満たす整数である。具体的には、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−iso−プロポキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン、テトラ−sec−ブトキシシラン、テトラ−tert−ブトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリブトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルエトキシシラン、ジメチルメトキシシラン、ジメチルプロポキシシラン、ジメチルブトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン等が挙げられる。また、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、N−β−(N−アミノベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルメトキシシラン・塩酸塩、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、アミノシラン、メチルメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、オクタデシルジメチル[3−(トリメトキシシリル)プロピル]アンモニウムクロライドを用いることもできる。これらのメトキシ基、エトキシ基などの加水分解性基が水酸基に置換した状態のものが、一般的にポリオルガノシロキサン系ハードコートと称されている。これを基板上に塗布し、加熱硬化させることで、脱水縮合反応が促進し、硬化・架橋することで、ハードコート層が成膜される。これらのポリオルガノシロキサン系ハードコート中でも、加水分解によって脱離しない有機基がメチル基のものが最も耐候性が高い。また、メチル基であれば、ハードコート層の成膜後の表面にメチル基が均一かつ密に分布するため、転落角も低い。そのため、本用途では、メチルポリシロキサンを用いることが好ましい。
前記ポリオルガノシロキサン系ハードコートとして具体的には、サーコートシリーズ(動研製)、SR2441(東レ・ダウコーニング社)、Perma−NewTM 6000(California Hardcoating Company)などを利用することができる。
(活性エネルギー線硬化樹脂)
ハードコート層の形成材料として、活性エネルギー線硬化樹脂のような樹脂成分を使用することも好ましい。活性エネルギー線硬化樹脂とは、紫外線や電子線のような活性エネルギー線照射により架橋反応等を経て硬化する樹脂をいう。活性エネルギー線硬化樹脂としては、エチレン性不飽和二重結合を有するモノマーを含む成分が好ましく用いられ、紫外線や電子線のような活性線を照射することによって硬化させて活性エネルギー線硬化樹脂層が形成される。活性エネルギー線硬化樹脂としては紫外線硬化性樹脂や電子線硬化性樹脂等が代表的なものとして挙げられるが、紫外線照射によって硬化する樹脂が好ましい。
紫外線硬化性樹脂としては、例えば、紫外線硬化性ウレタンアクリレート系樹脂、紫外線硬化性ポリエステルアクリレート系樹脂、紫外線硬化性エポキシアクリレート系樹脂、紫外線硬化性ポリオールアクリレート系樹脂、または紫外線硬化性エポキシ樹脂等が好ましく用いられる。中でも、紫外線硬化性アクリレート系樹脂、特に紫外線硬化性ウレタンアクリレート系樹脂、紫外線硬化性ポリオールアクリレート系樹脂が好ましい。なお、これらの樹脂は単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
紫外線硬化性ウレタンアクリレート系樹脂は、一般にポリエステルポリオールにイソシアネートモノマー、またはプレポリマーを反応させて得られた生成物にさらに2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(以下アクリレートにはメタクリレートを包含するものとしてアクリレートのみを表示する)、2−ヒドロキシプロピルアクリレート等の水酸基を有するアクリレート系のモノマーを反応させることによって容易に得ることができる。例えば、特開昭59−151110号公報に記載の、ユニディック17−806(DIC(株)製)100部とコロネートL(東ソー(株)製)1部との混合物等が好ましく用いられる。紫外線硬化性ウレタンアクリレート樹脂としては、市販品を用いてもよく、市販品としては、ビームセット(登録商標)575、577(荒川化学工業株式会社製)、紫光(登録商標)UVシリーズなどを挙げることができる。
紫外線硬化性ポリエステルアクリレート系樹脂としては、一般にポリエステルポリオールに2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシアクリレート系のモノマーを反応させることにより形成されるものを挙げることができ、特開昭59−151112号公報に記載のものを用いることができる。
紫外線硬化性エポキシアクリレート系樹脂としては、エポキシアクリレートをオリゴマーとし、これに反応性希釈剤、光重合開始剤を添加し、反応させて生成するものを挙げることができ、特開平1−105738号公報に記載のものを用いることができる。
紫外線硬化性ポリオールアクリレート系樹脂に用いられる単量体としては、エチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタアクリレート等を挙げることができる。紫外線硬化性ポリオールアクリレート樹脂としては、市販品を用いてもよく、市販品としては、サートマーSR295、SR399(サートマー社製)などを挙げることができる。
ハードコート層における活性エネルギー線硬化樹脂の含有量は、特に限定されるものではなく、目的に応じて適宜設定することができる。例えば、耐傷性の点から、ハードコート層に対して、40〜99質量%であることが好ましい。
(光重合開始剤)
ハードコート層の形成材料として、活性エネルギー線硬化樹脂のような樹脂成分を使用する場合、ハードコート層には光重合開始剤を含有させることができる。光重合開始剤を含有させることによって、活性エネルギー線(紫外線)照射によるハードコート層の重合硬化反応を短時間に行うことができる。
光重合開始剤としては、べンゾイン、べンゾインメチルエーテル、べンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、べンジルメチルケタールなどのべンゾインとそのアルキルエーテル類;アセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンなどのアセトフェノン類;メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−アミルアントラキノンなどのアントラキノン類;チオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントンなどのチオキサントン類;アセトフェノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタールなどのケタール類;ベンゾフェノン、4,4−ビスメチルアミノべンゾフェノンなどのベンゾフェノン類およびアゾ化合物等を用いることができる。これらは単独でもまたは2種以上組み合わせても使用することができる。加えて、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミンなどの第3級アミン;2−ジメチルアミノエチル安息香酸、4−ジメチルアミノ安息香酸エチルなどの安息香酸誘導体等の光開始助剤などと組み合わせて使用することができる。光重合開始剤は市販品を用いてもよく、例えばイルガキュア(登録商標)−184、819、907、651、1700、1800、819、369、261、ダロキュア(登録商標)TPO、ダロキュア(登録商標)1173(以上、BASFジャパン株式会社製)、エザキュア−KIP150、TZT(以上、DKSHジャパン株式会社製)、カヤキュア(登録商標)BMS、DMBI(以上、日本化薬株式会社製)等が挙げられる。
ハードコート層の固形分中に含有される光重合開始剤は、ハードコート層の全固形分中、0.01〜10質量%であることが好ましく、0.1〜7質量%であることがさらに好ましい。光重合開始剤の含有量が0.01質量%以上であれば、十分な光硬化性が得られうる。また、光重合開始剤の含有量が10質量%以下であれば、ハードコート層の着色の発生が抑制できる。
また、光重合開始剤を用いる場合、光硬化性を向上させるために公知の各種染料や増感剤を添加することも可能である。さらにハードコート層を加熱により硬化させることのできる熱重合開始剤を光重合開始剤と併用することもできる。この場合、光硬化の後に加熱することによりハードコート層の重合硬化をさらに促進することが期待できる。
上記熱重合開始剤としては、特に限定されず、熱により分解し、重合硬化を開始する活性ラジカルを発生するものが挙げられる。例えば、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルハイドロパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、パラメンタンハイドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド等を使用することができる。また、熱重合開始剤のうち市販されているものとしては、例えば、パーブチル(登録商標)D、パーブチル(登録商標)H、パーブチル(登録商標)P、パーメンタ(登録商標)H(いずれも日油社製)等が好適に用いられる。これらの熱重合開始剤は、単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。
ハードコート層は、必要に応じて、各種添加剤を含んでもよい。添加剤としては、レベリング性、撥水性、滑り性等を付与するための界面活性剤等が挙げられる。界面活性剤の種類として、特に制限はなく、フッ素系界面活性剤、アクリル系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤等を用いることができる。特に塗布液のレベリング性、撥水性、滑り性という観点で、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤を用いることが好ましい。
ハードコート層の形成方法は特に制限されず、公知の方法が同様にしてあるいは適宜修飾して適用できる。例えば、ハードコート層形成用塗布液を基材上に塗布する方法が使用できる。
上記方法において、ハードコート層形成用塗布液を形成するのに使用される溶媒は特に制限されないが、例えば、炭化水素類(トルエン、キシレンなど)、アルコール類(メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、シクロヘキサノールなど)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなど)、エステル類(酢酸メチル、酢酸エチル、乳酸メチルなど)、グリコールエーテル類(プロピレングリコールモノエチルエーテルなど)などが挙げられる、これらの溶媒は、単独で使用してもあるいは2種以上の混合物の形態で使用してもよい。溶媒の量は特に制限されず、硬化樹脂を溶解、分散できる量において適宜設定される。例えば、ハードコート層形成用塗布液中の全固形分濃度が、10〜60質量%であることが好ましく、20〜50質量%であることがより好ましい。
また、上記方法において、ハードコート層形成用塗布液の塗布方法もまた特に制限されず、バーコート法、グラビアコート法、リバースコート法、ダイコート法等、従来公知のコーティング方法を挙げることができる。上記塗布後は、塗膜を乾燥した後、加熱または活性エネルギー線照射によって硬化処理を行う。ここで、乾燥条件は、用いられる溶媒を除去できる温度で適宜設定されるが、通常40〜120℃である。また、上記硬化処理を加熱により行う場合の、加熱条件は十分硬化処理を行うことができる条件であればよいが、50〜150℃の温度範囲内で30分〜数日間の熱処理を行うことが好ましい。また、上記硬化処理を活性エネルギー線照射によって行う場合の、活性エネルギー線照射条件は、特に制限されない。活性エネルギー線の照射波長、照度、光量によってその反応性が変わるため、使用する樹脂によって最適な条件を選択する必要がある。例えば、活性エネルギー線として紫外線ランプを用いる場合、その照度は50〜1500mW/cmが好ましい。照射エネルギー量は50〜1500mJ/cmが好ましい。
ハードコート層の下層(例えば、基材やガラス層)への密着性が得られない場合、ハードコート層を積層する前にアンカー層(プライマー層、樹脂接着層とも称する)を形成することができる。アンカー層の膜厚は特に限定されるものではないが、0.1〜10μm程度である。好適な例として、アンカー層を構成する樹脂としては、ポリビニルアセタール樹脂、アクリル樹脂が挙げられ、以下に例を示す。
〔ポリビニルアセタール樹脂〕
ポリビニルアセタール系樹脂とは、例えば、ポリビニルアルコールを少なくとも1種の適当なアルデヒドとの反応によりアセタール化した樹脂であり、具体的には、ポリビニルアセタール、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラールや部分的にホルマール化した部分を含むポリビニルブチラール、ポリビニルブチラールアセタール等の共重合アセタール等が挙げられる。これらのポリビニルアセタール系樹脂は、例えば、電気化学工業社製のデンカブチラール#2000L、#3000−1、#3000−K、#4000−1、#5000−A、#6000−C、デンカホルマール#20、#100、#200、積水化学工業社製のエスレックBシリーズBL−1、BL−2、BL−S、BM−1、BM−2、BH−1、BX−1、BX−10、BL−1、BL−SH、BX−L、エスレックKシリーズKS−10、エスレックKWシリーズKW−1、KW−3、KW−10、エスレックKXシリーズKX−1、KX−5等として入手が可能である。また、これらのポリビニルアセタール系樹脂は、その他の繰り返し単位を含有していても良い。
これらのポリビニルアセタール系樹脂のアセタール化度は5〜65mol%が好ましく、更に好ましくは水への溶解性と密着性の効果の観点から10〜50mol%である。
〔アクリル樹脂〕
アクリル樹脂としては、アクリル系モノマー、例えばメタクリル酸、アクリル酸、これらのエステルまたは塩、アクリルアミド、メタクリルアミドをポリマー構成成分とする樹脂が挙げられる。例えばアクリル酸;メタクリル酸;アクリル酸エステル、例えばアルキルアクリレート(例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、フェニルアクリレート、ベンジルアクリレート、フェニルエチルアクリレート等)、ヒドロキシ含有アルキルアクリレート(例えば、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート等);メタクリル酸エステル、例えばアルキルメタクリレート(例えば、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、t−ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、フェニルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、フェニルエチルメタクリレート等)、ヒドロキシ含有アルキルメタクリレート(例えば、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート等);アクリルアミド;置換アクリルアミド、例えばN−メチルアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N,N−ジメチロールアクリルアミド、N−メトキシメチルアクリルアミド等;メタクリルアミド;置換メタクリルアミド、例えばN−メチルメタクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N,N−ジメチロールメタクリルアミド、N−メトキシメチルメタクリルアミド等;アミノ基置換アルキルアクリレート、例えばN,N−ジエチルアミノエチルアクリレート;アミノ基置換アルキルメタクリレート、例えばN,N−ジエチルアミメタクリレート;エポキシ基含有アクリレート、例えばグリシジルアクリレート;エポキシ基含有メタクリレート、例えばグリシジルメタクリレート;アクリル酸の塩、例えばナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩;メタクリル酸の塩、例えばナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩が挙げられる。上述のモノマーは1種もしくは2種以上を併用することができる。メタクリル酸メチル−アクリル酸エチル−アクリル酸アンモニウム−アクリルアミド共重合体、メタクリルアミド−アクリル酸ブチル−アクリル酸ソーダ−メタクリル酸メチル−N−メチロールアクリルアミド系共重合体等が好ましく挙げられる。アクリル系樹脂はアクリルエマルジョン、アクリル水溶液、アクリルディスパージョン等として製造でき、また入手できる。
上記のこれらの樹脂は1種または2種以上の混合物として用いることができる。また、架橋剤としてイソシアネートを用いることができ、有機ジイソシアネート化合物としては、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等や脂環式ジイソシアネート類等の環状ジイソシアネート類、トリレンジイソシアネート、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート類、ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート類等が好適である。水系で用いる場合、ブロックイソシアネートを用いることもでき、例えば、Baxenden社の品番214を用いることができる。
[平滑層]
本発明において、樹脂基材とガラス層との間に、平滑層を有してもよい。特に、ポリシラザン化合物を塗布し、硬化することによって酸化珪素を有するガラス層を形成する場合には、平滑層の存在は特に有利である。平滑層は、突起等が存在する樹脂基材の粗面を平坦化するために設けられる。このような平滑層は、基本的には感光性材料、または、熱硬化性材料を硬化させて作製される。
平滑層の感光性材料としては、例えば、ラジカル反応性不飽和化合物を有するアクリレート化合物を含有する樹脂組成物、アクリレート化合物とチオール基を有するメルカプト化合物を含有する樹脂組成物、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート、ポリエチレングリコールアクリレート、グリセロールメタクリレート等の多官能アクリレートモノマーを溶解させた樹脂組成物等が挙げられる。具体的には、JSR株式会社製のUV硬化型有機/無機ハイブリッドハードコート材 OPSTAR(登録商標)シリーズを用いることができる。また、上記のような樹脂組成物の任意の混合物を使用することも可能であり、光重合性不飽和結合を分子内に1個以上有する反応性のモノマーを含有している感光性樹脂であれば特に制限はない。
熱硬化性材料として具体的には、クラリアント社製のトゥットプロムシリーズ(有機ポリシラザン)、セラミックコート株式会社製のSP COAT耐熱クリアー塗料、株式会社アデカ製のナノハイブリッドシリコーン、DIC株式会社製のユニディック(登録商標)V−8000シリーズ、EPICLON(登録商標)EXA−4710(超高耐熱性エポキシ樹脂)、信越化学工業株式会社製の各種シリコン樹脂、日東紡績株式会社製の無機・有機ナノコンポジット材料SSGコート、アクリルポリオールとイソシアネートプレポリマーとからなる熱硬化性ウレタン樹脂、フェノール樹脂、尿素メラミン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、シリコン樹脂等が挙げられる。この中でも特に耐熱性を有するエポキシ樹脂ベースの材料であることが好ましい。
平滑層の形成方法は、特に制限はないが、スピンコーティング法、スプレー法、ブレードコーティング法、ディップ法等のウエットコーティング法、あるいは、蒸着法等のドライコーティング法により形成することが好ましい。
平滑層の形成では、上述の感光性樹脂に、必要に応じて酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤等の添加剤を加えることができる。また、平滑層の積層位置に関係なく、いずれの平滑層においても、成膜性向上および膜のピンホール発生防止等のために適切な樹脂や添加剤を使用してもよい。
平滑層の厚さとしては、フィルムの耐熱性を向上させ、フィルムの光学特性のバランス調整を容易にする観点から、1〜10μmの範囲が好ましい。
平滑層の平滑性は、JIS B 0601:2001で規定される表面粗さで表現される値で、十点平均粗さRzが、10nm以上、30nm以下であることが好ましい。この範囲であれば、ガラス層を塗布形式で塗布した場合であっても、ワイヤーバー、ワイヤレスバー等の塗布方式で、平滑層表面に塗工手段が接触する場合であっても塗布性が損なわれることが少なく、また、塗布後の凹凸を平滑化することも容易である。
[光学反射フィルムの層構成]
光学反射フィルムは、樹脂基材上に高屈折率層および低屈折率層を積層した光学反射層を含む。該光学反射層は、基材の片面にのみ形成されていてもよいし、両面に形成されていてもよい。
光学反射フィルムは、基材の下または基材と反対側の最表面層の上に、さらなる機能の付加を目的として、導電性層、帯電防止層、易接着層(接着層)、防汚層、消臭層、流滴層、易滑層、耐摩耗性層、反射防止層、電磁波シールド層、紫外線吸収層、赤外線吸収層、印刷層、蛍光発光層、ホログラム層、剥離層、粘着層、接着層、上記高屈折率層および低屈折率層以外の赤外線カット層(金属層、液晶層)、着色層(可視光線吸収層)、合わせガラスに利用される中間膜層などの機能層の1つ以上を有していてもよい。
光学反射フィルムにおける上述の各種の機能層の積層順は、特に制限されない。
例えば、窓ガラスの室内側に光学反射フィルムを貼る(内貼り)仕様では、樹脂基材表面に、ガラス層、上記高屈折率層および低屈折率層を積層した光学反射層、粘着層の順に積層し、さらにこれらの層が積層されている側とは逆の側の基材表面にハードコート層を塗設する形態が好ましい一例として挙げられる。また、粘着層、樹脂基材、ガラス層、光学反射層、ハードコート層の順であってもよく、さらに他の機能層、樹脂基材、または赤外吸収剤などを有していてもよい。また、窓ガラスの室外側に本発明の光学反射フィルムを貼る(外貼り)仕様でも好ましい一例を挙げると、樹脂基材表面にガラス層、光学反射層、粘着層の順に積層し、さらにこれらの層が積層されている側とは逆の側の樹脂基材表面にハードコート層を塗設する構成である。内貼りの場合と同様に、粘着層、樹脂基材、ガラス層、光学反射層、ハードコート層の順であってもよく、さらに他の機能層基材、または赤外吸収剤などを有していてもよい。さらに、内貼り、外貼りのいずれの仕様においても、樹脂基材表面に、上記高屈折率層および低屈折率層を積層した光学反射層、粘着層の順に積層し、さらにこれらの層が積層されている側とは逆の側の基材表面にガラス層、ハードコート層をこの順に塗設する形態であってもよい。
[光学反射フィルムの応用:光学反射体]
本発明の光学反射フィルムは、幅広い分野に応用することができる。すなわち、本発明の他の形態によれば、上記光学反射フィルムが基体の少なくとも一方の面に設けられた、光学反射体が提供される。例えば、建物の屋外の窓や自動車窓等長期間太陽光に晒らされる設備(基体)に貼り合せ、熱線反射効果を付与する熱線反射フィルム等の窓貼用フィルム、農業用ビニールハウス用フィルム等として、主として耐候性を高める目的で用いられる。特に、本発明に係る光学反射フィルムが直接もしくは接着剤を介してガラスもしくはガラス代替樹脂等の基体に貼合されている部材には好適である。
基体の具体的な例としては、例えば、ガラス、ポリカーボネート樹脂、ポリスルホン樹脂、アクリル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリスルフィド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ポリイミド樹脂、ウレタン樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、スチレン樹脂、塩化ビニル樹脂、金属板、セラミック等が挙げられる。樹脂の種類は、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、電離放射線硬化性樹脂のいずれでもよく、これらを2種以上組み合わせて用いてもよい。基体は、押出成形、カレンダー成形、射出成形、中空成形、圧縮成形等、公知の方法で製造することができる。基体の厚みは特に制限されないが、通常0.1mm〜5cmである。
光学反射フィルムと基体とを貼り合わせる接着層または粘着層は、光学反射フィルムの日光(熱線)入射面側に設置することが好ましい。また、光学反射フィルムを、窓ガラスと基体との間に挟持すると、水分等の周囲のガスから封止でき耐久性に優れるため好ましい。本発明に係る赤外遮蔽フィルムを屋外や車の外側(外貼り用)に設置しても環境耐久性があって好ましい。
光学反射フィルムと基体とを貼り合わせる接着層または粘着層は、窓ガラスなどに貼り合わせたとき、光学反射フィルムが日光(熱線)入射面側にあるように設置することが好ましい。また光学反射フィルムを窓ガラスと基体との間に挟持すると、水分等周囲ガスから封止でき耐久性に好ましい。本発明の光学反射フィルムを屋外や車の外側(外貼り用)に設置しても環境耐久性があって好ましい。
適用可能な接着剤としては、光硬化性もしくは熱硬化性の樹脂を主成分とする接着剤を用いることができる。
接着剤は紫外線に対して耐久性を有するものが好ましく、アクリル系粘着剤またはシリコーン系粘着剤が好ましい。更に粘着特性やコストの観点から、アクリル系粘着剤が好ましい。特に剥離強さの制御が容易なことから、アクリル系粘着剤において、溶剤系およびエマルジョン系の中で溶剤系が好ましい。アクリル溶剤系粘着剤として溶液重合ポリマーを使用する場合、そのモノマーとしては公知のものを使用できる。
光学反射フィルムまたは光学反射体の断熱性能、日射熱遮へい性能は、一般的にJIS R 3209(1998)(複層ガラス)、JIS R 3106(1998)(板ガラス類の透過率・反射率・放射率・日射熱取得率の試験方法)、JIS R 3107(1998)(板ガラス類の熱抵抗および建築における熱貫流率の算定方法)に準拠した方法により求めることができる。
日射透過率、日射反射率、放射率、可視光透過率の測定は、(1)波長(300〜2500nm)の分光測光器を用い、各種単板ガラスの分光透過率、分光反射率を測定する。また、波長5.5〜50μmの分光測定器を用いて放射率を測定する。なお、フロート板ガラス、磨き板ガラス、型板ガラス、熱線吸収板ガラスの放射率は既定値を用いる。(2)日射透過率、日射反射率、日射吸収率、修正放射率の算出は、JIS R 3106(1998)に従い、日射透過率、日射反射率、日射吸収率、垂直放射率を算出する。修正放射率に関しては、JIS R 3107(1998)に示されている係数を、垂直放射率に乗ずることにより求める。断熱性、日射熱遮へい性の算出は、(1)厚さの測定値、修正放射率を用いJIS R 3209(1998)に従って複層ガラスの熱抵抗を算出する。ただし中空層が2mmを超える場合はJIS R 3107(1998)に従って中空層の気体熱コンダクタンスを求める。(2)断熱性は、複層ガラスの熱抵抗に熱伝達抵抗を加えて熱貫流抵抗で求める。(3)日射熱遮蔽性はJIS R 3106(1998)により日射熱取得率を求め、1から差し引いて算出する。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれにより限定されるものではない。なお、実施例において「部」または「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」または「質量%」を表す。また、特記しない限り、各操作は、室温(25℃)で行われる。
(実施例1)
<光学反射フィルム(赤外遮蔽フィルム)の製造>
1.ガラス層の形成
樹脂基材として、ポリエチレンテレフタレートフィルム(A4300、両面易接着層、厚さ:50μm、長さ200m×幅210mm、東洋紡株式会社製)を準備した。
上記PETフィルム上に、パーヒドロポリシラザン(PHPS)の20質量%ジブチルエーテル溶液(AZエレクトロニックマテリアルズ(株)製 NN320)を乾燥膜厚が100nmとなるようにバーコーティングで塗布し、100℃で5分間乾燥させた。Xeエキシマランプを用いて照度30mW/cmで1分間窒素ガス雰囲気下(酸素濃度0.1体積%)で波長172nmの真空紫外線を照射し、酸化珪素膜を形成した。
2.光学反射層(赤外反射層)の形成
(1)低屈折率層用塗布液の調製
コロイダルシリカの10質量%水溶液(スノーテックス(登録商標)OXS;日産化学工業株式会社製、平均一次粒径:4〜6nm)430部、ホウ酸の3質量%水溶液150部、水85部、ポリビニルアルコール(JP−45;重合度:4500;ケン化度:88mol%;日本酢ビ・ポバール株式会社製)の4質量%水溶液300部、界面活性剤(ソフタゾリンLSB−R;川研ファインケミカル株式会社製)の5質量%水溶液3部、を45℃でこの順に添加した。そして、純水で1000部に仕上げ、低屈折率層用塗布液を調製した。
(2)高屈折率層用塗布液の調製
あらかじめシリカ変性酸化チタン粒子の分散液を調製し、これに溶媒等を添加した。
シリカ変性酸化チタン粒子の分散液は以下のように調製した。
硫酸チタン水溶液を公知の手法により熱加水分解して酸化チタン水和物を得た。得られた酸化チタン水和物を水に懸濁させて、水性懸濁液(TiO濃度:100g/L)10Lを得た。これに水酸化ナトリウム水溶液(濃度10mol/L)30Lを撹拌下で添加し、90℃に昇温して、5時間熟成した。得られた溶液を塩酸で中和し、ろ過、水洗することで、塩基処理チタン化合物を得た。
次に、塩基処理チタン化合物をTiO濃度20g/Lになるよう純水に懸濁させて撹拌した。撹拌下、TiO量に対し0.4mol%の量のクエン酸を添加した。95℃まで昇温し、濃塩酸を塩酸濃度30g/Lとなるように加え、液温を維持して3時間撹拌した。ここで、得られた混合液のpHおよびゼータ電位を測定したところ、pHは1.4、ゼータ電位は+40mVであった。また、ゼータサイザーナノ(マルバーン社製)により粒径測定を行ったところ、体積平均粒径は35nm、単分散度は16%であった。
ルチル型酸化チタン粒子を含む20.0質量%酸化チタンゾル水系分散液1kgに純水1kgを添加して、10.0質量%酸化チタンゾル水系分散液を調製した。
上記の10.0質量%酸化チタンゾル水系分散液0.5kgに、純水2kgを加えた後、90℃に加熱した。その後、SiO濃度が2.0質量%のケイ酸水溶液1.3kgを徐々に添加した。得られた分散液をオートクレーブ中、175℃で18時間加熱処理を行い、さらに濃縮することで、SiOで被覆されたルチル型構造を有する酸化チタンを含む、20質量%のシリカ変性酸化チタン粒子の分散液(ゾル水分散液)を得た。
このように調製したシリカ変性酸化チタン粒子のゾル水分散液に溶媒等を添加して高屈折率層用塗布液を調製した。具体的には、シリカ変性酸化チタン粒子の20.0質量%ゾル水分散液320部、1.92質量%のクエン酸水溶液120部、ポリビニルアルコール(PVA−103、重合度:300、ケン化度:99mol%、株式会社クラレ製)の10質量%水溶液20部、3質量%のホウ酸水溶液100部、ポリビニルアルコール(PVA−124、重合度:2400、ケン化度:88mol%、株式会社クラレ製)の4質量%水溶液350部、界面活性剤(ソフタゾリンLSB−R、川研ファインケミカル株式会社製)5質量%水溶液1部を45℃でこの順に添加した。そして、純水で1000部に仕上げ、高屈折率層用塗布液を調製した。
(3)光学反射層(赤外反射層)の形成
9層重層塗布可能なスライドホッパー塗布装置を用い、低屈折率層用塗布液および高屈折率層用塗布液を45℃に保温しながら、45℃に加温した樹脂基材のガラス層上に、9層重層塗布を行った。この際、最下層および最上層は低屈折率層とし、それ以外は低屈折率層および高屈折率層がそれぞれ交互に積層されるように設定した。塗布量については、乾燥時の膜厚が低屈折率層は各層150nm、高屈折率層は各層130nmになるように調節した。なお、前記膜厚は、製造した赤外遮蔽フィルムを切断し、その切断面を電子顕微鏡により観察することで確認した。この際、2つの層間の界面を明確に観測することができない場合には、XPS表面分析装置により得た層中に含まれるTiOの厚さ方向のXPSプロファイルにより界面を決定した。
塗布直後、5℃の冷風を吹き付けてセットした。このとき、表面を指で触れても指に何もつかなくなるまでの時間(セット時間)は5分であった。
セット完了後、80℃の温風を吹き付けて乾燥させて、9層からなる重層塗布品を作製した。
3.ハードコート層の形成
(樹脂接着層)
上記で得られた基材上(PETフィルムの光学反射層形成面とは反対の面上)に10.0質量%のポリビニルアセタール樹脂のエタノール液(BX−L、アセタール化率:61mol%、積水化学工業株式会社製)を乾燥後の膜厚が1μmとなる塗布量で塗布し、70℃で乾燥させることにより、樹脂接着層を形成した。
(ハードコート層)
73部のペンタエリスリトールトリ/テトラアクリレート(NKエステルA−TMM−3、新中村化学工業株式会社製)と、5部のイルガキュア(登録商標)184(BASFジャパン株式会社製)と、1部のシリコーン系界面活性剤(KF−351A、信越化学工業株式会社製)と、10部のプロピレングリコールモノメチルエーテルと、70部の酢酸メチルと、70部のメチルエチルケトンと、を混合し、得られた混合液を孔径0.4μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して、ハードコート層用塗布液を調製した。
ハードコート層用塗布液を、マイクログラビアコーターを用いて上記の樹脂接着層上に塗布し、恒率乾燥区間温度50℃、減率乾燥区間温度70℃で乾燥した。この際、塗布量については、乾燥時の膜厚が3μmになるように調節した。窒素パージしながら、紫外線ランプを用いて得られた塗膜を硬化した。硬化条件は、酸素濃度:1.0体積%以下、照度:100mW/cm、照射量:0.2J/cmであった。
(実施例2)
実施例1において、パーヒドロポリシラザン(PHPS)の20質量%ジブチルエーテル溶液(AZエレクトロニックマテリアルズ(株)製 NN320)を乾燥膜厚が1000nmとなるように塗布したこと以外は、実施例1と同様にして赤外遮蔽フィルムを得た。
(実施例3)
実施例1において、パーヒドロポリシラザン(PHPS)の20質量%ジブチルエーテル溶液(AZエレクトロニックマテリアルズ(株)製 NN320)を乾燥膜厚が15nmとなるように塗布したこと以外は、実施例1と同様にして赤外遮蔽フィルムを得た。
(実施例4)
実施例1において、パーヒドロポリシラザン(PHPS)の20質量%ジブチルエーテル溶液(AZエレクトロニックマテリアルズ(株)製 NN320)を乾燥膜厚が10nmとなるように塗布したこと以外は、実施例1と同様にして赤外遮蔽フィルムを得た。
(実施例5)
<光学反射フィルム(赤外遮蔽フィルム)の製造>
1.光学反射層(赤外反射層)の形成
基材として、ポリエチレンテレフタレートフィルム(A4300、両面易接着層、厚さ:50μm、長さ200m×幅210mm、東洋紡株式会社製)を準備した。
該基材上に実施例1の赤外反射層の形成と同様にして赤外反射層を形成した。
2.ガラス層の形成
上記PETフィルム上(PETフィルムの光学反射層形成面とは反対の面上)に、実施例1と同様にしてガラス層を形成した。
3.ハードコート層の形成
上記で得られたガラス層上に実施例1と同様にして樹脂接着層およびハードコート層をこの順に形成した。
(実施例6)
<光学反射フィルム(赤外遮蔽フィルム)の製造>
1.第一のガラス層の形成
基材として、ポリエチレンテレフタレートフィルム(A4300、両面易接着層、厚さ:50μm、長さ200m×幅210mm、東洋紡株式会社製)を準備した。
上記PETフィルム上に、ガラス層の膜厚が50nmになるようにガラス層を形成したこと以外は実施例1と同様にして第一のガラス層を形成した。
2.赤外反射層の形成
該第一のガラス層上に実施例1の光学反射層(赤外反射層)の形成と同様にして赤外反射層を形成した。
3.第二のガラス層の形成
上記PETフィルム上(PETフィルムの光学反射層形成面とは反対の面上)に、ガラス層の膜厚が50nmになるようにガラス層を形成したこと以外は実施例1と同様にして第二のガラス層を形成した。
4.ハードコート層の形成
上記で得られた第二のガラス層上に実施例1と同様にして樹脂接着層およびハードコート層をこの順に形成した。
(実施例7)
実施例1のガラス層を下記のように形成したこと以外は、実施例1と同様にして赤外遮蔽フィルムを得た。
(ガラス層の形成)
基材として、ポリエチレンテレフタレートフィルム(A4300、両面易接着層、厚さ:50μm、長さ200m×幅210mm、東洋紡株式会社製)を準備した。
上記PETフィルム上(PETフィルムの光学反射層形成面とは反対の面上)に、真空装置を使用して1×10−5Torrの真空下でSiOを高周波加熱方式で蒸発させ、厚さ100nmのガラス層を形成した。
なお、いずれの実施例においても、ガラス層においてアモルファスシリカが形成されていることは、X線電子分光装置(XPS)によって確認した。
(比較例1)
実施例1において、パーヒドロポリシラザン(PHPS)の20質量%ジブチルエーテル溶液(AZエレクトロニックマテリアルズ(株)製アクアミカ NN320)を乾燥膜厚が5nmとなるように塗布したこと以外は、実施例1と同様にして赤外遮蔽フィルムを得た。
(比較例2)
実施例1において、ガラス層を形成しなかったこと以外は、実施例1と同様にして赤外遮蔽フィルムを得た。
(比較例3)
実施例6において、ガラス層に代えて、以下のようなポリメタクリル酸メチル層を形成したこと以外は、実施例6と同様にして、赤外遮蔽フィルムを得た。
(ポリメタクリル酸メチル層の形成)
ポリメチルメタクリレート(PMMA)樹脂(EMB457、三菱レイヨン株式会社製)、アクリルゴム(デルペットSRB215、旭化成ケミカルズ株式会社製)、および1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートを、固形分比率で17:3:2(質量比)となるように、固形分全体の濃度が0.5質量%となるようにメチルエチルケトン中で上記の成分を混合したものを調製した。得られた塗布液を、バーコート法にて塗布し80℃で1分間乾燥することにより、厚さ50nmのポリメタクリル酸メチル層を形成した。
<赤外遮蔽フィルムの評価>
上記実施例および比較例で得られた赤外遮蔽フィルムを、下記2つの保存条件にて保存した。
保存条件1(高温高湿条件下):相対湿度 85%RH:温度0〜85℃(100サイクル)
保存条件2(光存在下):キセノンランプ照射(装置:スガ試験機社製SX75(型番)、照度:180W/cm) 2000hr
保存後のサンプルを目視観察し、下記評価に従ってクラックを評価した。
5:まったくクラックは見られない
4:ルーペでは端部に微小なクラックがあるが実用上問題ない
3:目視で端部に微小なクラックがみられ、実用上に支障がある
2:クラックが中央部にも発生し、実用上に支障がある
1:膜全体にクラックが発生し、実用上に問題がある。
各フィルムの層構成、ガラス層の形成に用いた材料および形成方法、ガラス層の膜厚、ならびに得られた結果を下記表1に示す。
なお、各フィルムについて、分光光度計(積分球使用、株式会社日立製作所製、U−4000型)を用い、各赤外遮蔽フィルムの300nm〜2000nmの領域における透過率を測定した。いずれのフィルムにおいても、550nmにおける可視光透過率は60%以上であり、1200nmにおける赤外透過率は10%以下であった。
上記結果より、実施例1〜7の赤外遮蔽フィルムは、高温高湿保存後、および光劣化試験後であってもフィルム内のクラックの発生が少なかった。
10、20 光学反射フィルム、
11 樹脂基材、
12 酸化珪素を有するガラス層、
13 光学反射層、
14 ハードコート層。

Claims (4)

  1. 樹脂基材と、高屈折率層および低屈折率層の積層体からなる光学反射層と、を有する光学反射フィルムであって、
    10nm以上の厚さの酸化珪素を有するガラス層を有し、
    前記高屈折率層および前記低屈折率層の少なくとも1層は、水溶性樹脂および金属酸化物粒子を含み、
    下記(1)および(2)の形態の少なくとも一方を有する、光学反射フィルム;
    (1)前記酸化珪素を有するガラス層が前記樹脂基材および前記光学反射層の間に配置される、
    (2)ハードコート層、前記樹脂基材および前記光学反射層がこの順に積層され、前記酸化珪素を有するガラス層が前記樹脂基材および前記ハードコート層の間に配置される。
  2. 前記酸化珪素を有するガラス層の厚さが50nm以上である、請求項1に記載の光学反射フィルム。
  3. 少なくとも(1)前記酸化珪素を有するガラス層が前記樹脂基材および前記光学反射層の間に配置される、形態を有する、請求項1または2に記載の光学反射フィルム。
  4. ポリシラザン化合物を塗布し、硬化することによって酸化珪素を有するガラス層を形成することを有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の光学反射フィルムの製造方法。
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