JP3963759B2 - 低屈折率組成物及び反射防止膜 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、低屈折率組成物及びそれを用いてなる反射防止膜に関する。
【0002】
【従来の技術】
反射防止膜は、ディスプレイ等の表示装置の表面反射を低減して光透過率を向上するために、表示装置の表面に形成されるものであるが、無機系の誘電体材料を蒸着又はスパッタで積層して形成されるドライコートタイプと、有機系材料を塗布して形成されるウェットコートタイプとがあり、コスト面からウェットコートタイプのものが市場を伸ばしている。このような反射防止膜には、単層又は複層形態により構成されるものがあるが、ガラスや、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)、トリアセチルセルロース(TAC)等のプラスチックフィルム等の基材上に、高屈折率層と低屈折率層とをこの順に基材表面から積層して形成される光学多層膜や、低屈折率粒子と高屈折率バインダーとにより構成される液晶ディスプレイ用光拡散シート等が挙げられる。
【0003】
低屈折率層を形成する材料としては、シリカ(1.46)、弗化マグネシウム(1.38)、弗化アルミニウム(1.33〜1.39)、弗化カルシウム(1.44)、弗化リチウム(1.36〜1.37)、弗化ナトリウム(1.32〜1.34)、弗化トリウム(1.45〜1.50)を配合したコーティング剤や、フッ素樹脂を用いて低屈折率化する手法が有力とされている。なお、括弧内の数値は屈折率を示している。一方、高屈折率層を形成する材料としては、酸化チタン、酸化亜鉛超微粒子を分散させたコーティング剤が用いられている。
【0004】
特開平10−182745号公報及び特開平10−182745号公報には、特定構造の含フッ素多官能(メタ)アクリル酸エステルを含有する単量体組成物を重合させてなる低屈折率材料が開示されている。また、特開2001−163906号公報には、平均粒径が5〜100nmのシリカゾル粒子と分子中にビニル基、アクリロイル基、メタクリロイル等の重合可能な不飽和結合を少なくとも3個以上を有するアクリル系化合物とを主成分とする低屈折率組成物において、該組成物中におけるシリカゾル粒子含有量が30〜80%で、中でも粒径50〜100nmのシリカゾル粒子が20%以上含有されている低屈折率組成物に関し、低い屈折率を有しかつ物理的強度にも優れ、安価で、生産性に優れることが開示されている。
【0005】
特開2001−262011号公報には、含フッ素多官能(メタ)アクリル酸エステルと、(メタ)アクリロオキシ基を有するシランカップリング剤及びフッ素含有シランカップリング剤によって変性されたコロイダルシリカとを特定割合で含む含フッ素硬化性塗液に関し、高い表面硬度を有し、低反射率で、各種基材表面等に使用可能であることが開示されている。
【0006】
特開2001−324604号公報には、透光性を有する基板上にコーティングにより形成された少なくとも3層からなる反射防止膜において、表面側から第1の層、第2の層、第3の層を有し、かつ第1の層と第3の層に平均粒径50〜100nmの微粒子を分散してなるノングレア機能を有する反射防止膜に関し、第1の層が低屈折率層であり、屈折率が1.44以下で5〜200nmの内部空洞を有するシリカゾルを含有することが好ましいことが開示されている。
【0007】
しかしながら、これらの技術においては、粒子径の異なったシリカ粒子を配合することによりコーティング膜中に空隙を形成させてナノポーラスにしたり、シリカ粒子をシランカップリング剤により処理したり、平均粒径の大きな微粒子を分散させたりして低屈折率を実現しようとしているが、これらと相違する手法により、ウェットコートタイプに適用することが容易であって、低屈折率材料としての性能に優れたものとし、各種の反射防止膜に好適に適応しうるようにするための工夫の余地があった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、低屈折率材料としての性能に優れた低屈折率組成物、及び、それを用いてなる反射防止膜を提供することを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、反射防止膜に用いられる低屈折率材料について種々検討した結果、無機系化合物と分子量が1000以上の有機系化合物との複合微粒子という特定された構成を有する複合微粒子を含んでなる組成物を用いると、波長550nmにおける屈折率(n)が1.30〜1.42となり、通常のシリカを配合した低屈折率材料が示す屈折率(n=1.45〜1.46)よりも低屈折率を発現し、低屈折率材料としての性能に優れたものとすることができることに着目し、このような組成物を反射防止膜用の低屈折率材料として好適に用いることができることを見いだし、上記課題をみごとに解決することができることに想到した。無機系化合物と分子量が1000以上の有機系化合物とにより複合微粒子を形成すると、複合微粒子中や、複合微粒子を含む低屈折率組成物から形成される膜中に空隙が存在し、このような空隙がシリカ粒子のみにより形成される空隙と異なって、より低屈折率を発現するものと考えられる。また、複合微粒子における有機系化合物が、フッ素原子を有する単量体を含む単量体成分を重合してなる重合体であると、更に屈折率を低くすることができることを見いだし、本発明に到達したものである。
【0010】
すなわち本発明は、無機系化合物と有機系化合物との複合微粒子を含んでなる低屈折率組成物であって、上記有機系化合物は、分子量が1000以上のものを必須としてなる低屈折率組成物である。
本発明はまた、上記低屈折率組成物を積層してなる反射防止膜でもある。
以下に、本発明を詳述する。
【0011】
本発明の低屈折率組成物は、無機系化合物と有機系化合物との複合微粒子を含んでなる。
上記複合微粒子としては、無機系化合物から形成される無機微粒子と、有機系化合物とが複合化及び/又は一体化してなる微粒子の形態が好適である。このような微粒子の形態としては、無機微粒子の表面に有機系化合物が固定されている形態、無機微粒子内に有機系化合物の一部又は全部が包含されている形態等が挙げられるが、中でも好ましい形態としては、無機微粒子の表面に有機系化合物の全部又は一部が固定され、無機微粒子の表面に有機系化合物の一部が固定されるときには無機微粒子内に有機系化合物の残りの一部が包含されている形態が挙げられる。なお、無機系化合物と有機系化合物との間で化学結合が形成されて固定されることが好ましい。本発明において、複合微粒子は1種又は2種以上を用いることができ、また、複合微粒子を構成する無機系化合物及び有機系化合物はそれぞれ1種又は2種以上を用いることができる。
【0012】
上記複合微粒子において、上記無機微粒子内に包含される有機系化合物の有無は、例えば、該複合微粒子を加熱し、有機系化合物を熱分解した後の微粒子の比表面積の測定値と、微粒子の直径から算出される比表面積の理論値とを比較することにより、確認することができる。すなわち、無機微粒子内に有機系化合物を包含している場合は、加熱によって有機系化合物が熱分解し、微粒子内に多数の細孔が生じるため、有機系化合物を熱分解した後の微粒子の比表面積が、微粒子の直径から算出される比表面積の理論値よりもかなり大きい値となる。
【0013】
本発明では、上記有機系化合物は、分子量が1000以上のものを必須としてなる。有機系化合物の分子量とは、有機系化合物が重合体である場合には数平均分子量を意味することになる。好ましくは、2000以上であり、また、100000以下である。より好ましくは、4000以上であり、また、30000以下である。Mn=100000を超えると、後述する有機溶剤に溶解しない場合があり好ましくない。Mn=1000より小さいと粒子の分散安定性が悪く、屈折率も1.45以上となる。なお、複合微粒子は、本発明の作用効果を損なわない限り、分子量が1000以上の有機系化合物と共に、分子量が1000未満の有機系化合物を含んでいてもよい。
【0014】
本発明における有機系化合物としては、重合体が好適であり、中でも、(メタ)アクリル樹脂、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル及びこれらの共重合体やアミノ基、エポキシ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基等の官能基で一部変性した樹脂から構成されるものが好適である。これらの中でも、有機系化合物が、(メタ)アクリル系樹脂、(メタ)アクリル−スチレン系樹脂、(メタ)アクリル−ポリエステル系樹脂等の(メタ)アクリル単位を含む有機重合体を必須とすることが好ましい。なお、有機系化合物の分子形状としては、直鎖状、分枝状、架橋構造の形状のものが好適である。
【0015】
本発明においては、上記有機系化合物は、フッ素原子を有する単量体を含む単量体成分を重合してなる重合体であることが好ましい。すなわち本発明における複合微粒子の好ましい形態としては、フッ素系単量体と無機微粒子とを複合化させてなる形態であり、より屈折率を低くすることが可能となる。また、より好ましくは、フッ素原子を有する単量体を3〜95質量%含む単量体成分を重合してなる重合体である。3質量%未満では、低屈折率化に大きく寄与しないおそれがあり、95質量%を超えると、粒子が凝集しやすい傾向にあり好ましくない。更に好ましくは、5〜80質量%である。フッ素原子を有する単量体としては、パーフルオロアルキル基と重合性2重結合基とを有する単量体が好適であり、パーフルオロアルキル基としては、パーフルオロメチル基、パーフルオロエチル基、パーフルオロプロピル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロヘキシル基、パーフルオロオクチル基、パーフルオロデシル基、パーフルオロドデシル基、パーフルオロテトラデシル基が好適である。このような単量体は、1種又は2種以上を用いることができる。
【0016】
上記フッ素原子を有する単量体(フッ素モノマー)の市販品として、以下のモノマー等が挙げられる。
ライトエステルFM−108、ライトエステルM−3F、ライトエステルM−4F(いずれも商品名、共栄社化学社製);CHEMINOX FAAC、CHEMINOX FAMAC、CHEMINOX FAAC−M、CHEMINOXFAMAC−M、CHEMINOX PFAE、CHEMINOX PFOE(いずれも商品名、日本メクトロン社製)。
【0017】
また、フッ素原子を有する単量体の他に下記の単量体を共重合することにより、本組成物から得られる皮膜の可とう性、耐溶剤性、耐スリキズ性等の皮膜物性が向上できる。
(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、無水マレイン酸等のカルボキシル基を有するモノマー;2−(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート等の酸性リン酸エステル系モノマー;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ヒドロキシ(メタ)アクリレート(例えば、ダイセル化学工業社製;商品名「プラクセルFM」)等の活性水素を持った基を有するモノマー;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロドデシル(メタ)アクリレート、tert−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル;(メタ)アクリルアミド、N,N′−ジメチルアミノメチル(メタ)アクリレート、イミド(メタ)アクリレート、N−メチロール(メタ)アクリルアミド等の含窒素モノマー;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート等の2個の重合性二重結合を有するモノマー;塩化ビニル、塩化ビニリデン等のハロゲン含有モノマー;スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等の芳香族系モノマー;ビニルエーテル;4−メタクリロイルオキシ1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン等の紫外線安定性単量体;2−[2′−ヒドロキシ−5′−(メタクロイルオキシエチル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール等の紫外線吸収性単量体;3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等の反応性シランやサイラプレーンFM−0711(商品名、チッソ社製)等の反応性シリコーン等が挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。これら他のモノマー成分も、単独で使用し得る他、必要により2種以上を併用できる。
【0018】
上記共重合体を製造する際の重合方法にも格別の制限はなく、従来公知の重合法、例えば溶液重合法、分散重合法、懸濁重合法、乳化重合法等を使用できる。溶媒としては、紫外線吸収性基を有するモノマーの溶解性の観点から非水系溶媒が好ましく、この場合の好ましい非水系溶媒の量は、全組成物中に占める比率で5〜97質量%の範囲が好ましい。溶液重合法を用いてモノマー成分を重合する際に用いられる溶媒としては、トルエン、キシレン、その他の芳香族系溶媒;iso−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール等のアルコール系溶媒;プロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等のエーテル系溶媒;酢酸ブチル、酢酸エチル、セロソルブアセテート等のエステル系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジアセトンアルコール等のケトン系溶媒;ジメチルホルムアミド等を使用できる。もちろん使用する溶媒の種類はこれらに限定されるものではない。これらの溶媒は1種のみを使用してもよいし、2種以上を混合溶媒として使用してもよい。溶媒の使用量は、得られる共重合体の濃度等を考慮し適宜定めればよい。
【0019】
また上記モノマー成分を共重合体させる際には、通常重合開始剤が使用されるが、重合開始剤としては、例えば2,2′−アゾビス−(2−メチルブチロニトリル)、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキサイド、ジ−tert−ブチルパーオキサイド等の通常のラジカル重合開始剤が挙げられる。重合開始剤の使用量は、要求される共重合体の要求特性等に応じて適宜決定すべきもので特に限定はないが、モノマー成分全量に対し0.01〜50質量%の範囲が好ましく、より好ましくは0.05〜20質量%の範囲である。
【0020】
本発明における無機系化合物としては、無機酸化物が好適である。無機酸化物とは、金属元素が主に酸素原子との結合を介して3次元のネットワークを構成した種々の含酸素金属化合物を意味する。無機酸化物を構成する金属元素としては、元素周期律表II〜VI族から選ばれる1種以上の元素が好ましく、より好ましくは、元素周期律表III〜V族から選ばれる1種以上の元素である。これらの中でも、Si、Al、Ti及びZrからなる群より選ばれる1種以上の元素が好ましく、最も好ましくは、Siである。また、無機酸化物中に、有機基、水酸基を有したり、後述する原料に由来する各種の基が残留したりしていてもよい。上記有機基としては、炭素数20以下の置換されていてもよいアルキル基、シクロアルキル基、アリール基及びアラルキル基からなる群より選ばれる少なくとも1種の基が好適である。
また、このような無機系化合物から形成される無機微粒子の形状としては、任意の粒子形状でよく、球状、針状、板状、鱗片状、破砕状等が好適である。
【0021】
上記複合微粒子中の無機系化合物の質量割合としては、無機系化合物と有機系化合物の全質量における無機系化合物の割合が40質量%以上であることが好ましく、また、99.5質量%以下であることが好ましい。40質量%未満の場合、屈折率が1.45以上の高屈折率となるおそれがあり、99.5質量%を超えると、微粒子が凝集するおそれがある。より好ましくは、50質量%以上であり、また、90質量%以下である。
【0022】
上記複合微粒子中の無機系化合物と有機系化合物との質量割合は、例えば、複合微粒子を1.33×10kPaの圧力下、130℃で24時間乾燥したものについて元素分析を行い、灰分を複合微粒子中の無機系化合物の含有量とすることにより測定することができる。
【0023】
本発明ではまた、上記複合微粒子が、アルコキシ基を有することが好ましい。アルコキシ基は、複合微粒子と有機媒体との親和性や、有機媒体中での複合微粒子の分散性を補足的に向上させる作用がある。アルコキシ基の含有量としては、複合微粒子1g当たり、0.01mmol以上が好ましく、また、50mmol以下が好ましい。なお、ここでいうアルコキシ基とは、微粒子を形成する金属元素に結合したRO基を意味する。ここで、Rは、置換されていてもよいアルキル基であり、微粒子中のRO基は、同一であっても異なっていてもよい。Rとしては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチルが好適である。
【0024】
上記複合微粒子の形状としては、特に限定されるものではなく、また、平均粒子径としては、5nm以上が好ましく、また、200nm以下が好ましい。5nm未満であると、複合微粒子の表面エネルギーが高くなるため、凝集等が起こりやすくなるおそれがあり、200nmを超えると、低屈折率組成物から形成される皮膜の透明性等の物性が低下するおそれがある。より好ましくは、100nm以下である。すなわち本発明における複合微粒子の好ましい形態としては、シリカ粒子と(メタ)アクリル系樹脂重合体とを構成成分とし、平均粒子径が5nm以上、また、100nm以下であるシリカ/アクリルポリマー複合ナノ微粒子である。
【0025】
本発明における複合微粒子の製造方法としては、例えば、シリカと有機系化合物との複合微粒子の製造方法としては、まず1分子当たりに少なくとも1個のポリシロキサン基が結合しており、かつ、該ポリシロキサン基中に少なくとも1個のSi−OR1基(式中、R1は、水素原子、置換されていてもよいアルキル基又はアシル基を表す。R1が1分子中に複数ある場合、複数のR1は同一であってもよく、異なってもよい。)を有する有機ポリマーを合成し、次いで、有機ポリマーを単独で又は加水分解可能な金属化合物と共に加水分解・縮合する複合微粒子の製造方法が好適である。
【0026】
上記製造方法における有機ポリマーは、有機鎖とポリシロキサン基から構成され、1分子当たり少なくとも1個のポリシロキサン基が結合しており、かつ、該ポリシロキサン基中に少なくとも1個のSi−OR1基を含有する構造を有するものである。このような有機ポリマーは、単独で、又は、後述する金属化合物と共に加水分解・縮合して複合微粒子を製造することができるものである。また、有機ポリマーの入手し易さ等から、有機ポリマー中のポリシロキサン基と有機鎖とは、Si−C結合、Si−O−C結合等を介して化学結合していることが好ましく、特に、結合部位が耐加水分解性に優れる点及び結合部位での交換反応等の好ましくない反応を受けにくいのが好ましいこと等から、ポリシロキサン基と有機鎖とは、Si−C結合を介して化学結合していることがより好ましい。
【0027】
上記有機ポリマーの構造としては、後述する有機溶剤及び/又は水に溶解するものであればよく、ポリシロキサン基が有機鎖にグラフトしたポリマー、ポリシロキサン基が有機鎖の片末端若しくは両末端に結合したポリマー又はポリシロキサン基をコアとして複数の直鎖状若しくは分枝状の有機鎖(複数の有機鎖は同じであってもよく、異なってもよい)が結合したポリマーが好適である。なお、ここで有機鎖とは、有機ポリマーにおいて、ポリシロキサン基以外の部分である。上記有機鎖中の主鎖は、炭素を主体とするものであり、主鎖結合にあずかる炭素原子が50〜100モル%を占め、残部がN、O、S、Si、P等の元素からなるものが容易に得られるため好ましい。上記有機鎖を構成する樹脂やその好ましい形態としては、上述した有機系化合物と同様である。すなわち本発明の低屈折率組成物における皮膜形成能の観点からは、(メタ)アクリル単位を必須に含む樹脂が好ましく、また、より低屈折率化を達成することができる観点からは、フッ素原子を有する単量体を含む単量体成分を重合してなる重合体が好ましい。
【0028】
上記Si−OR1基中のR1O基は、加水分解及び/又は縮合可能な官能基であって、有機ポリマー1分子当たり少なくとも1個あり、平均5個以上あるのが好ましく、20個以上あるのがより好ましい。R1O基の個数が多いほど、加水分解・縮合する反応点が増加し、より強固な骨格を形成する微粒子が得られることになる。ここでR1は、水素原子、置換されていてもよいアルキル基又はアシル基を表す。アルキル基、アシル基の炭素数としては、R1O基の加水分解速度が速いことから、炭素数1〜5のアルキル基、アシル基が好ましい。置換されているアルキル基、アシル基としては、上記アルキル基、アシル基の有する水素原子の1個又は2個以上が、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基;アセチル基、プロピオニル基等のアシル基;塩素、臭素等のハロゲン等で置換されてなる基が好適である。R1が1分子中に複数ある場合、複数のR1は互いに同一であってもよく、異なってもよい。R1としては、R1O基の加水分解・縮合速度が更に速くなることから、水素原子、メチル基、エチル基が好ましく、メチル基が最も好ましい。
【0029】
上記R1O基がSi原子と結合したSi−OR1基を1個以上有するポリシロキサン基とは、2個以上のSi原子がポリシロキサン結合(Si−O−Si結合)により直鎖状又は分枝状に連結してなる基である。ポリシロキサン基の有するSi原子の個数としては、上述したR1O基を多く含有できる点で、ポリシロキサン基1個当たりの平均で、4個以上が好ましく、11個以上がより好ましい。このようなポリシロキサン基としては、ポリメチルメトキシシロキサン基、ポリエチルメトキシシロキサン基、ポリメチルエトキシシロキサン基、ポリエチルエトキシシロキサン基、ポリフェニルメトキシシロキサン基、ポリフェニルエトキシシロキサン基が好適である。
【0030】
更に、ポリシロキサン基中のすべてのSi原子は、有機鎖との結合及びポリシロキサン結合(Si−O−Si結合)の他はR1O基とのみ結合していることが好ましい。このようなポリシロキサン基としては、ポリジメトキシシロキサン基、ポリジエトキシシロキサン基、ポリジイソプロポキシシロキサン基、ポリn−ブトキシシロキサン基が好適である。
【0031】
上記有機ポリマーの製造方法としては、以下に示す(1)〜(4)の方法が好適である。
(1)二重結合基やメルカプト基を有するようなシランカップリング剤の存在下、ラジカル重合性モノマーをラジカル(共)重合した後、得られた(共)重合体と後述するシラン化合物及び/又はその誘導体を共加水分解・縮合する方法。
(2)二重結合基やメルカプト基を有するようなシランカップリング剤と後述するシラン化合物及び/又はその誘導体を共加水分解・縮合した後、得られた共加水分解・縮合物(以下、重合性ポリシロキサンという)の存在下ラジカル重合性モノマーをラジカル(共)重合する方法。
【0032】
(3)二重結合基、アミノ基、エポキシ基、メルカプト基等の反応性基を有するようなシランカップリング剤と上記反応性基と反応するような基を有するポリマーを反応させた後、得られたポリマーと後述するシラン化合物及び/又はその誘導体を共加水分解・縮合する方法。
(4)二重結合基、アミノ基、エポキシ基、メルカプト基等の反応性基を有するようなシランカップリング剤と後述するシラン化合物及び/又はその誘導体を共加水分解・縮合した後、得られた上記反応性基を有するような共加水分解・縮合によって得られたものと上記反応性基と反応するような基を有するポリマーを反応させる方法。
上記(1)〜(4)の方法の中でも、より容易に有機ポリマーを得ることができる点から(2)の方法が好ましい。
【0033】
加水分解可能な金属化合物は、加水分解、更に縮合することにより3次元的にネットワークを形成することができる。このような金属化合物としては、金属ハロゲン化物、硝酸金属塩、硫酸金属塩、金属アンモニウム塩、有機金属化合物、アルコキシ金属化合物又はこれらの金属化合物の誘導体が好適であり、1種又は2種以上を用いることができる。
【0034】
金属化合物としては、金属化合物を構成する金属元素が元素周期律表のIII 族、IV族、V族の各元素からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属元素であるものが好ましい。これらの中でも、金属化合物を構成する金属元素がSi、Al、Ti及びZrからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属元素によって構成される金属化合物がより好ましい。また、金属化合物の加水分解速度と有機ポリマー中のポリシロキサン基が有するR1O基との加水分解速度が同等であれば、共加水分解・縮合反応を制御し易いため、金属化合物を構成する金属元素としては、Siが最も好ましい。
【0035】
上記金属化合物としては、以下のもの等が好適である。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
四塩化ケイ素、トリメチルクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、メチルトリクロロシラン、ジメチルエトキシシラン、フェニルトリヒドロキシシラン、トリメチルヒドロキシシラン、ジメチルジヒドロキシシラン。
【0036】
メチルトリアセトキシシラン、ジメチルジアセトキシシラン、トリメチルアセトキシシラン、テトラアセトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−(2−アミノエチルアミノプロピル)トリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジメトキシジメチルシラン、ジメトキシメチルシラン、ジエトキシメチルシラン、ジエトキシ−3−グリシドキシプロピルメチルシラン、3−クロロプロピルジメトキシメチルシラン、ジメトキシメチルフェニルシラン、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメトキシジエトキシシラン。
【0037】
塩化第1錫、塩化第2錫、メチル錫トリクロライド、ジメチル錫ジクロライド、トリメチル錫クロライド、ジブチル錫ジアセテート、トリブチル錫ハイドライド、トリメチル錫フォルメート、トリメチル錫アセテート、トリエチル錫ヒドロキシド、ジメチル錫ジメトキシド、トリメチル錫メトキシド、ジメチル錫ジエトキシド、ジブチル錫ジブトキシド。
【0038】
四塩化チタン、硫酸チタニル、メチルトリクロロチタン、ジメチルジクロロチタン、テトラメトキシチタン、テトラエトキシチタン、テトライソプロポキシチタン、テトラブトキシチタン、テトラ(2−エチルヘキシロキシ)チタン、ジエトキシジブトキシチタン、イソプロポキシチタントリオクタレート、ジイソプロポキシチタンジアクリレート、トリブトキシチタンステアレート、四塩化ジルコニウム、オキシ塩化ジルコニウム、ジルコニウムアセテート、ジルコニウムラクテート、テトラメトキシジルコニウム、テトラエトキシジルコニウム、テトライソプロポキシジルコニウム、テトラブトキシジルコニウム。
【0039】
上記金属化合物としてはまた、上記金属化合物の誘導体を使用することができる。金属化合物の誘導体とは、ハロゲン、NO3、SO4、アルコキシ基、アシロキシ基等の加水分解性基の一部をジカルボン酸基、オキシカルボン酸基、β−ジケトン基、β−ケトエステル基、β−ジエステル基、アルカノールアミン基等のキレート化合物を形成しうる基で置換した金属化合物又は上記金属化合物及び/若しくは上記キレート置換金属化合物を部分的に加水分解及び/若しくは縮合して得られるオリゴマー及びポリマー等である。
【0040】
上記キレート置換化合物としては、ジイソプロポキシチタンジアセチルアセトネート、オキシチタンジアセチルアセトネート、ジブトキシチタンビストリエタノールアミネート、ジヒドロキシチタンジラクテート、ジルコニウムアセチルアセトネート、アセチルアセトンジルコニウムブトキシド、トリエタノールアミンジルコニウムブトキシド、アルミニウムアセチルアセトネートが好適である。
【0041】
上記の中でも、金属化合物としては、下記一般式(1);
(R2O)mMR3 n-m (1)
(式中、Mは、Si、Al、Ti及びZrからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属元素を表す。R2は、水素原子、置換されていてもよいアルキル基又はアシル基を表す。R3は、置換されていてもよいアルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はアラルキル基を表す。nは、金属元素Mの価数を表す。mは、1〜nの整数を表す。R2及び/又はR3が1分子中に複数ある場合、複数のR2及び/又はR3は、同一であってもよく、異なってもよい。)で表される化合物及びその誘導体から選ばれる少なくとも1種を用いることが好ましい。
【0042】
上記一般式(1)表される金属化合物としては、メチルトリアセトキシシラン、ジメチルジアセトキシシラン、トリメチルアセトキシシラン、テトラアセトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロキシシラン、テトラブトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジメトキシジメチルシラン、ジメトキシメチルフェニルシラン、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメトキシジエトキシシラン、アルミニウムトリメトキシド、アルミニウムトリエトキシド、アルミニウムトリイソプロポキシド、アルミニウムトリブトキシド、ジメチルアルミニウムメトキシド、テトラメトキシチタン、テトラエトキシチタン、テトライソプロポキシチタン、テトラブトキシチタン、テトラ(2−エチルヘキシロキシ)チタン、ジエキトシジブトキシチタン、イソプロキシチタントリオクタレート、ジイソプロポキシチタンジアクリレート、トリブトキシチタンステアレート、ジルコニウムアセテート、テトラメトキシジルコニウム、テトラエトキシジルコニウム、テトライソプロポキシジルコニウム、テトラブトキシジルコニウムが好適である。また、一般式(1)で表される金属化合物の誘導体としては、ジイソプロポキシチタンジアセチルアセトネート、オキシチタンジアセチルアセトネート、ジブトキシチタンビストリエタノールアミネート、ジヒドロキシチタンジラクテート、ジルコニウムアセチルアセトネート、アセチルアセトンジルコニウムブトキシド、トリエタノールアミンジルコニウムブトキシド、アルミニウムアセチルアセトネートが好適である。
【0043】
更に、工業的に入手し易く、製造装置及び最終製品の諸物性に悪影響を及ぼすハロゲン等を含んでいない等の理由から、一般式(1)においてMがSiであるシラン化合物及びその誘導体から選ばれる少なくとも1種を用いることがより好ましい。シラン化合物としては、メチルトリアセトキシシラン、ジメチルジアセトキシシラン、トリメチルアセトキシシラン、テトラアセトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジメトキシジメチルシラン、ジメトキシメチルフェニルシラン、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメトキシジエトキシシランが好適である。また、シラン化合物の誘導体としては、上記シラン化合物の加水分解・縮合物が好適である。
【0044】
上記シラン化合物の中でも、アルコキシシラン化合物が原料として入手し易く特に好ましい。また、シラン化合物及びその誘導体が、Si(OR2)4及びその誘導体であると、加水分解・縮合速度が速く、より強固な骨格を形成した複合微粒子が得られる点で好ましい。
【0045】
本発明における複合微粒子は、有機ポリマーを単独又は上記金属化合物と共に加水分解・縮合して製造することができる。加水分解・縮合の方法としては特に限定されるものではないが、反応を容易に行えることから、溶液中で行うことが好ましい。なお、ここでいう溶液とは、後述する有機溶剤及び/又は水を含有する溶液であり、溶液の組成としては特に限定されるものではない。
【0046】
上記有機溶剤としては、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル等のエステル類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;テトラヒドロフラン等のエーテル類;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のアルコール類;塩化メチレン等のハロゲン化炭化水素類が好適であり、1種又は2種以上を用いることができる。これらの中でも、水と溶解可能なアルコール類、ケトン類、エーテル類を必須として用いることが好ましい。
【0047】
上記有機ポリマー単独又は有機ポリマーと金属化合物の加水分解・縮合は無触媒でも行うことができるが、酸性触媒又は塩基性触媒の1種又は2種以上を用いることができる。酸性触媒としては、塩酸、硫酸、硝酸、燐酸等の無機酸類;酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、p−トルエンスルホン酸等の有機酸類;酸性イオン交換樹脂が好適である。また、塩基性触媒としては、アンモニア;トリエチルアミン、トリプロピルアミン等の有機アミン化合物;ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムメトキシド、カリウムエトキシド、カリウム−t−ブトキシド、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属化合物;塩基性イオン交換樹脂が好適である。触媒としては、酸性触媒よりも塩基性触媒を用いると、加水分解・縮合によって得られる無機微粒子が、より強固な骨格を形成するために、好ましい。
【0048】
上記加水分解・縮合の際の原料組成としては、有機ポリマー、金属化合物、有機溶剤、触媒及び水等よりなる原料組成物全量に対して、有機ポリマーの量は、0.1〜80質量%が好ましく、0.5〜30質量%がより好ましい。金属化合物の量は、0〜80質量%が好ましく、0〜50質量%がより好ましい。有機溶剤の量は、0〜99.9質量%が好ましく、20〜99質量%がより好ましい。触媒の量は、0〜20質量%が好ましく、0〜10質量%がより好ましい。
【0049】
上記加水分解・縮合に用いる水の量は、有機ポリマー単独又は有機ポリマーと金属化合物が、加水分解・縮合によって粒子化する量であればよいが、加水分解・縮合をより充分に行い、粒子の骨格をより強固にするには、使用する水の量は多いほど好適である。具体的には、加水分解・縮合する加水分解性基に対する水のモル比が、0.1以上であることが好ましく、より好ましくは0.5以上、更に好ましくは1以上の条件で加水分解・縮合を行う。これにより、複合微粒子が得られる。
【0050】
上記加水分解・縮合の操作方法としては、上記有機ポリマー又はその溶液を、また、金属化合物も用いる場合は、金属化合物又はその溶液を、水を含有する溶液に添加し、反応温度が0〜100℃で、好ましくは0〜70℃で、5分間〜100時間攪拌することにより行われる。この際、有機ポリマー又はその溶液、金属化合物又はその溶液を混合して、又は、それぞれ別々に、一括、分割、連続等の任意の添加方法で反応できる。また、添加を逆にして、水を含有する溶液を、有機ポリマー又はその溶液や金属化合物又はその溶液中に添加してもよい。また、加水分解・縮合において、上記の触媒の1種又は2種以上を使用することができる。触媒の使用方法としては特に限定されず、あらかじめ水、有機溶剤、有機ポリマー、金属化合物に混合して使用することができる。反応終了後、加水分解・縮合によって生成した副生物及び触媒等をろ過や蒸留等で除去してもよく、得られた複合微粒子を反応混合物から単離する方法は、常法によることができ、溶媒の留去、遠心分離、再沈、限外ろ過等により単離、精製することができる。
【0051】
上記加水分解・縮合の方法としては、より狭い(シャープな)粒子径分布を有する複合微粒子を製造できる点で以下の方法がより好ましい。すなわち反応容器中に下記原料液(A)及び原料液(B)を、個別にかつ同時に供給して加水分解・縮合を行うことにより、複合微粒子がより好ましく製造される。
【0052】
原料液(A):有機ポリマー又は有機ポリマーと加水分解可能な金属化合物とを含有する液
原料液(B):水を必須とする液
また、反応容器中に原料液(A)及び原料液(B)と共に、個別にかつ同時に、下記原料液(C)を供給するのも好ましい。
【0053】
原料液(C):加水分解可能な金属化合物を含有する液
また、原料液(A)中に少なくとも1種の加水分解可能な金属化合物を含有させておいて上記の加水分解・縮合するのも好ましい。このような方法で加水分解・縮合を行うと、加水分解・縮合に伴う複合微粒子の析出過程をより制御しやすくなって、よりシャープな粒子径分布を有する複合微粒子が得られる。
【0054】
上記原料液(A)〜原料液(C)の、反応容器中への個別の供給とは、各原料液が反応容器中に供給される以前に、各原料液が混合することなく供給が行われることである。また、原料液(A)〜原料液(C)の、反応容器中への同時の供給とは、下記式で定義される任意の時間tにおける原料液(A)及び原料液(C)の原料液(B)に対する供給比Xa、Xcが、好ましくは0.1〜10で、より好ましくは0.3〜3で、特に好ましくは0.5〜2で供給されることである。
Xa=(a/A)/(b/B)
Xc=(c/C)/(b/B)
(式中、Aは、原料液(A)の全量を表す。Bは、原料液(B)の全量を表す。Cは、原料液(C)の全量を表す。aは、任意の時間tにおいて、既に供給された原料液(A)の量を表す。bは、任意の時間tにおいて、既に供給された原料液(B)の量を表す。cは、任意の時間tにおいて、既に供給された原料液(C)の量を表す。)
【0055】
本発明における複合微粒子の製造方法としてはまた、無機系化合物から形成される無機微粒子に有機系化合物を結合させる方法を好適に適用することができる。このような製造方法としては、無機微粒子にエチレン性不飽和基を有するカップリング剤を反応させて表面にエチレン性不飽和基を有する微粒子を製造する工程、該エチレン性不飽和基を表面に有する微粒子の存在下、不飽和単量体から構成される単量体成分を重合する工程を含む方法が好適である。
【0056】
上記カップリング剤としては、分子内にエチレン性不飽和基を有し、かつ、無機微粒子と反応して化学結合を形成できる加水分解性基を有するものであればよく、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン等のシリコン系カップリング剤;イソプロピルジ(メタ)アクリルイソステアロイルチタネート等のチタン系カップリング剤が好適であり、1種又は2種以上を用いることができる。
【0057】
上記表面にエチレン性不飽和基を有する微粒子を製造する工程において、カップリング剤を反応させる方法としては、反応を容易に行えることから、有機溶剤及び/又は水を媒体とする溶液中で反応を行う方法や、触媒を用いて反応を行う方法が好適である。触媒としては塩基性触媒がより好ましい。
【0058】
上記単量体成分を構成する不飽和単量体としては、上記有機系化合物を形成することができるものであればよく、1種又は2種以上を用いることができる。また、重合方法や重合条件としては、特に限定されるものではない。
【0059】
本発明の低屈折率組成物における複合微粒子の含有量としては、低屈折率組成物100質量%に対して、30質量%以上が好ましく、また、98質量%以下が好ましい。30質量%未満であると、屈折率が1.45以上となるおそれがあり、98質量%を超えると、成膜しなかったり不明瞭となるおそれがある。より好ましくは、40質量%以上であり、また、90質量%以下である。
【0060】
本発明の低屈折率組成物においては、該低屈折率組成物が硬化して形成される皮膜やフィルム等の硬化物の耐溶剤性、耐屈曲性、耐熱性、耐スリ傷性、耐候性、耐薬品性等の皮膜物性が向上することから、複合微粒子が架橋構造に組み込まれることが好ましい。このような硬化物を形成することができる低屈折率組成物としては、以下の形態のものが好適である。
【0061】
(1)官能基(X)を有する有機ポリマーを用いて、上述した方法により得られる官能基(X)を有する複合微粒子と、官能基(X)と反応するような官能基(Y)を2個以上有する硬化剤を含んでなる低屈折率組成物。
(2)官能基(X)を有する有機ポリマーを用いて、上述した方法により得られる官能基(X)を有する複合微粒子と、官能基(X)と反応するような官能基(Y)を有する有機ポリマーを用いて、上述した方法により得られる官能基(Y)を有する複合微粒子を含んでなる低屈折率組成物。
(3)官能基(X)を有する有機ポリマーを用いて、上述した方法により得られる官能基(X)を有する複合微粒子と、官能基(X)と反応するような官能基(Y)を2個以上有する硬化剤と、官能基(X)と反応するような官能基(W)を有する有機ポリマーを用いて、上述した方法により得られる官能基(W)を有する複合微粒子を含んでなる低屈折率組成物。
(4)上記(1)〜(3)において、更に官能基(X)を2個以上有する硬化剤を含んでなる低屈折率組成物。
【0062】
上記官能基(X)としては、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、エポキシ基、メルカプト基、オキサゾリン基、アルデヒド基、加水分解性シリル基、(メタ)アクリロイル基、ビニル基が好適であり、これらの中でも、水酸基、加水分解性シリル基、(メタ)アクリロイル基、ビニル基が好ましい。官能基(X)と反応する官能基(Y)、官能基(W)としては、イソシアネート基、エポキシ基、水酸基、メルカプト基、アミノ基、不飽和基、カルボキシル基、加水分解性シリル基、(メタ)アクリロイル基、ビニル基が好適である。
【0063】
上記硬化剤としては、複合微粒子が有する官能基と反応することができる官能基を1分子中に2個以上有する化合物や重合体、樹脂等を1種又は2種以上用いることができる。例えば、複合微粒子が水酸基を有する場合、多官能イソシアネート化合物、メラミン化合物、アミノプラスト樹脂が好適である。また、加水分解性シリル基を有する場合は、例えば、トリアルコキシシラン及びテトラアルコキシシラン又はそれらのアルキル化物の部分加水分解物、メチルトリアルコキシシラン及びフェニルトリアルコキシシランの混合物を加水分解したもの、コロイド状シリカ充填オルガノトリアルコキシシランの部分加水分解縮合物等のシリコーン系硬化性樹脂が挙げられる。市販品としては、例えば「Siコート2」(大八化学社製);「トスガード510」、「UVHC8553」、「UVHC8556」、「UVHC8558」(以上、東芝シリコーン社製);「KP−851」、「KP−854」、「X−12−2206」、「X−12−2400」(以上、信越シリコーン社製);「ソルガードNP720」、「ソルガードNP730」、「ソルガードRF0831」(以上、日本ダクロシャムロック社製)等が挙げられる。(メタ)アクリロイル基、ビニル基を有する場合は、多官能アクリル系樹脂等が挙げられる。多官能アクリル系樹脂としては、ポリオールアクリレート、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート等の樹脂を挙げることができる。
更に、他の重合体を併用することも可能である。かかる他の重合体としては、熱可塑性重合体、又は、単独若しくは架橋剤によって架橋硬化する硬化性重合体が例示される。これら他の重合体の種類や使用量は、本発明に係る低屈折率組成物の用途や要求特性に応じて適宜決定すればよい。当該他の重合体としては、例えば、塩化ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、シリコン樹脂等の熱可塑性重合体;ウレタン樹脂、シリコン樹脂、エポキシ樹脂等の単独硬化型の熱・紫外線・電子線硬化性重合体;ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂等の如き硬化剤によって硬化する熱硬化性重合体を挙げることができる。
【0064】
上記多官能イソシアネート化合物としては、脂肪族、脂環族、芳香族及びその他の多官能イソシアネート化合物やこれらの変性化合物が好適である。多官能イソシアネート化合物としては、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートのビウレット体、イソシアヌレート体等の3量体等;これらの多官能イソシアネート類とトリメチロールプロパン等の多価アルコールとの反応により生成される2個以上のイソシアネート基が残存する化合物;これらの多官能イソシアネート化合物をアルコール類、フェノール性水酸基を有する化合物、オキシム類、ラクタム類等のブロック剤で封鎖したブロックド多官能イソシアネート化合物が好適である。
【0065】
上記メラミン化合物としては、ジメチロールメラミン、トリメチロールメラミン、テトラメチロールメラミン、ペンタメチロールメラミン、ヘキサメチロールメラミン、イソブチルエーテル型メラミン、n−ブチルエーテル型メラミン、ブチル化ベンゾグアナミンが好適である。アミノプラスト樹脂としては、アルキルエーテル化メラミン樹脂、尿素樹脂、ベンゾグアナミン樹脂が好適である。
【0066】
本発明の低屈折率組成物が、上記多官能イソシアネート化合物、メラミン化合物及びアミノプラスト樹脂から選ばれる少なくとも1種の化合物を含有する場合は、架橋反応を促進させるために硬化触媒を更に使用するのが好ましい。硬化触媒としては、酸性又は塩基性の硬化触媒を使用できる。酸性硬化触媒としては、トルエンスルホン酸等の有機スルホン酸が好適である。また、塩基性硬化触媒としては、トリエチルアミン等のアミン系触媒;ジブチル錫ジラウレート等の有機錫化合物が好適である。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、必要に応じて助触媒を併用してもよい。
【0067】
本発明の低屈折率組成物中には、更に、バインダー等の樹脂や添加剤1種又は2種以上を混合してもよい。添加剤としては、各種レベリング剤、顔料分散剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、粘性改質剤、紫外線安定剤、金属不活性化剤、過酸化物分解剤、充填剤、補強剤、可塑剤、潤滑剤、乳化剤、カーボンブラック、蛍光性増白剤、帯電防止剤が好適である。
【0068】
本発明の低屈折率組成物には、必要に応じて顔料を1種又は2種以上添加してもよい。顔料としては、チタン白、透明酸化鉄等の無機顔料、溶性アゾ顔料が好適である。
【0069】
本発明の低屈折率組成物の使用形態としては、複合微粒子を種々の有機溶剤及び/又は水に分散させた分散体とすることが好ましい。分散媒としては、複合微粒子中の有機系化合物が溶解する有機溶剤及び/又は水が好ましい。このような有機溶剤としては、上述した複合微粒子を、有機ポリマー単独又は金属化合物と共に加水分解・縮合して製造する際に使用される有機溶剤が好適である。有機溶剤及び/又は水の使用量は、適宜設定すればよい。
【0070】
本発明の低屈折率組成物は、コーティング剤として、また、成形材料として好適であり、低屈折率を発現することができる皮膜やフィルムを形成することができるものである。本発明においてはまた、低屈折率組成物から形成される厚さ0.1μmの皮膜の波長550nmでの屈折率が、1.42以下であることが好ましく、低屈折率組成物から形成される皮膜やフィルムの屈折率がこのような範囲となるように、必須成分である複合微粒子やその他の成分の種類や使用量、種類や使用量を適宜設定することが好ましい。このような低屈折率を発現することができる低屈折率組成物は、本発明の好ましい形態の1つである。より好ましくは、屈折率が1.40以下である。
【0071】
本発明の低屈折率組成物は、上述したように低屈折率を発現することができるため、反射防止膜を構成する低屈折率層の材料としてや、液晶ディスプレイ用光拡散シートの材料等として好適に用いることができるものである。このように、本発明の低屈折率組成物から反射防止膜や液晶ディスプレイ用光拡散シートを形成することは、本発明の好ましい実施形態の1つである。これらの中でも、本発明の低屈折率組成物は、反射防止膜を構成する低屈折率層の材料として好適であり、本発明の低屈折率組成物を積層してなる反射防止膜もまた、本発明の1つである。
【0072】
本発明の低屈折率組成物を用いて低屈折率層を形成する方法としては、低屈折率組成物を基材等に塗布して硬化させることにより皮膜を形成する方法、低屈折率組成物をフィルム化し、基材等に積層する方法が好適である。
【0073】
上記基材としては、ガラス等の透明無機基材;ポリカーボネート(PC)、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレンテレフタレート(PET)、トリアセチルセルロース(TAC)等の透明有機基材が好適である。また、塗布方法としては、浸漬、ダイコート、刷毛塗り、ロールコート、スピンコート、バーコート、フレキソ印刷、スクリーン印刷の常法を好適に適用することができる。
【0074】
上記反射防止膜における低屈折率層の厚さとしては、乾燥時の膜厚が0.02μm以上が好ましく、また、0.3μm以下が好ましい。より好ましくは、0.04μm以上であり、また、0.2μm以下である。
【0075】
【実施例】
以下に実施例を揚げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0076】
重合性ポリシロキサン、有機ポリマー(P)及び有機ポリマー複合無機微粒子(複合微粒子)分散体(Z)を下記製造例1〜13により合成した。
(製造例1)
〔重合性ポリシロキサン(S−1)の合成〕
攪拌機、温度計及び冷却管を備えた300ミリリットルの四ツ口フラスコにテトラメトキシシラン144.5g、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン23.6g、水19g、メタノール30g、アンバーリスト15(商品名、ローム・アンド・ハース・ジャパン社製の陽イオン交換樹脂)5gを入れ、65℃で2時間攪拌し、反応させた。反応混合物を室温まで冷却した後、冷却管に代えて蒸留塔、これに接続させた冷却管及び流出口を設け、常圧下に80℃まで2時間かけて昇温し、メタノールが流出しなくなるまで同温度で保持した。更に、2.67×10kPaの圧力で90℃の温度で、メタノールが流出しなくなるまで同温度で保持し、反応を更に進行させた。再び、室温まで冷却した後、アンバーリスト15を濾別し、重合性ポリシロキサン(S−1)を得た。
【0077】
(製造例2)
〔有機ポリマー(P−1)の合成〕
攪拌機、滴下口、温度計、冷却管及びN2ガス導入口を備えた1リットルのフラスコに、有機溶剤として酢酸ブチル200gを入れN2ガスを導入し、攪拌しながらフラスコ内温を110℃まで加熱した。次いで製造例1で得られた重合性ポリシロキサン(S−1)12g、tert−ブチルメタクリレート19g、ブチルアクリレート94g、2−ヒドロキシエチルメタクリレート67g、ライトエステルFM−108(商品名、共栄社化学社製)48g、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル2gを混合した溶液を滴下口より2時間かけて滴下した。滴下後も同温度で1時間攪拌を続けた後、1,1′−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロへキサン0.2gを30分おきに2回添加し、更に2時間加熱して共重合を行い、有機ポリマー(P−1)が酢酸ブチルに溶解した溶液を得た。得られた有機ポリマーの重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)を表1に示す。なお評価は以下の方法で行った。
【0078】
GPC(ゲルパーミッションクロマトグラフィー)[東ソー社製、商品名「HLC−8120GPC」]を用いて測定した。なお、溶離液としてテトラヒドロフラン(THF)を用い、ポリスチレンを標準物質として用いた。
【0079】
(製造例3〜5)
〔有機ポリマー(P−2〜P−4)の合成〕表1に示した組成に変更した以外は製造例2と同様にして、有機ポリマー(P−2〜P−4)が酢酸ブチルに溶解した溶液を得た。得られた有機ポリマーの重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)を表1に示す。
【0080】
(製造例6)
〔有機ポリマー(P−5)の合成〕
攪拌機、滴下口、温度計、冷却管及びN2ガス導入口を備えた1リットルのフラスコに、有機溶剤として酢酸ブチル200gを入れN2ガスを導入し、攪拌しながらフラスコ内温を還流温度まで加熱した。次いで製造例1で得られた重合性ポリシロキサン(S−1)12g、tert−ブチルメタクリレート53g、ブチルアクリレート108g、2−ヒドロキシエチルメタクリレート67g、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル31gを混合した溶液を滴下口より4時間かけて滴下した。滴下後90℃で1時間攪拌を続けた後、同温度を維持し2,2′−アゾビスイソブチロニトリル0.5gを30分おきに5回添加した。更に110℃に昇温し1時間加熱して共重合を行い、有機ポリマー(P−5)が酢酸ブチルに溶解した溶液を得た。
得られた有機ポリマーの重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)を表1に示す。
【0081】
【表1】
【0082】
表1について、以下に説明する。モノマー組成において、HEMAとは、2−ヒドロキシエチルメタクリレートであり、MMAとは、メチルメタクリレートであり、t−BMAとは、tert−ブチルメタクリレートであり、BAとは、ブチルアクリレートであり、FM−108とは、ライトエステルFM−108(商品名、共栄社化学社製)であり、S−1とは、重合性ポリシロキサンである。
【0083】
(製造例7)
〔有機ポリマー複合無機微粒子分散体(Z−1)の合成〕
攪拌機、2つの滴下口(滴下口イ及び滴下口ロ)、温度計を備えた500mlの四ツ口フラスコに、酢酸ブチル200g、メタノール50gを入れておき、内温を20℃に調整した。次いでフラスコ内を攪拌しながら、製造例2で得た有機ポリマー(P−1)の酢酸ブチル溶液10g、テトラメトキシシラン30g、酢酸ブチル5gの混合液(原料液A)を滴下口イから、イオン水10g、25%アンモニア水5g、メタノール15gの混合液(原料液B)を滴下口ロから、2時間かけて滴下した。滴下後、滴下口に代えて流出口を設けた蒸留塔を接続して、同温度で30分間攪拌を続けた。更に、常庄下で80℃まで3時間かけて昇温し、メタノールが流出しなくなるまで同温度で保持した。更に、4.0×10kPaの圧力で100℃の温度で酢酸ブチルを留去し、有機ポリマー複合無機微粒子が酢酸ブチルに分散した有機ポリマー複合無機微粒子分散体(Z−1)を得た。得られた分散体の有機ポリマー複合無機微粒子濃度及び有機ポリマー複合無機微粒子中の無機微粒子と有機ポリマーの比率、平均粒子径を表3に示す。
【0084】
なお、評価は以下の方法で行った。
(有機ポリマー複合無機微粒子濃度)
有機ポリマー複合無機微粒子分散体を1.33×10kPaの圧力下、130℃で24時間乾燥し、下記の式より求めた。
(有機ポリマー複合無機微粒子濃度)(質量%)=(D/W)×100
式中の記載は、以下のとおりである。
D:乾燥後の有機ポリマー複合無機微粒子の重量(g)
W:乾燥前の有機ポリマー複合無機微粒子分散体の重量(g)
【0085】
(有機ポリマー複合無機微粒子中の無機微粒子と有機ポリマーの比率)
有機ポリマー複合無機微粒子分散体を1.33×10kPaの圧力下、130℃で24時間乾燥したものについて元素分析を行い、灰分を有機ポリマー複合無機微粒子中の無機物含有量とした。
【0086】
(平均粒子径)
透過型電子顕微鏡により粒子を撮影し、任意の100個の粒子の直径を読み取り、その平均を平均粒子径とした。
【0087】
(製造例8〜12)
〔有機ポリマー複合無機微粒子分散体(Z−2〜Z−6)の合成〕
有機溶剤、有機ポリマー(P)、アンモニア水、テトラメトキシシランの量を、表2に変更した以外は製造例7と同様にして、有機ポリマー複合無機微粒子分散体(Z−2〜Z−6)を得た。得られた分散体の有機ポリマー複合無機微粒子濃度及び有機ポリマー複合無機微粒子中の無機微粒子と有機ポリマーの比率、平均粒子径を表3に示す。
【0088】
(製造例13)
〔有機ポリマー複合無機微粒子分散体(Z−7)の合成〕
有機溶剤、モノマー(M)、アンモニア水、テトラメトキシシランの量を表2に変更した以外は製造例7と同様にした。微粒子の分散安定性が低下し、凝集物が発生し白濁溶液が得られた。モノマー(M)としては、反応性シランモノマーであるγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランを用いた。
【0089】
【表2】
【0090】
表2について、以下に説明する。Mとは、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(分子量:Fw=248)である。
【0091】
【表3】
【0092】
実施例1
製造例7で得られた複合シリカ微粒子の酢酸ブチル分散体(Z−1)100g、メチルエチルケトン300gを混合して塗布液とした。この塗布液をガラス基材にスピンコーターで塗布し、室温で15分、80℃で30分乾燥した。得られたガラスの透明性、屈折率及び膜厚の試験結果を表4に示す。
【0093】
なお、ガラス基材の評価は以下の方法で行った。
(透明性)
外観で塗膜の表面が均一な透明性を有している場合を「○」、透明性が損なわれた部分が認められる場合を「×」とした。
(屈折率)
反射分光膜厚計(大塚電子社製、商品名「FE−3000」)により、230nmから760nmの範囲で反射率を測定し、代表的な屈折率の波長分散の近似式としてnk_Cauchyの分散式を引用し、未知のパラメーターを絶対反射率のスペクトルの実測値から非線形最小二乗法によって求めて、波長550nmでの屈折率を求めた。
(膜厚)
反射分光膜厚計(大塚電子社製、商品名「FE−3000」)により測定した。
【0094】
実施例2〜5、実施例8
製造例8〜12で得られた複合シリカ微粒子の酢酸ブチル分散体(Z−2)〜(Z−6)を用いたこと以外は実施例1と同様にして塗布ガラス基材を得た。得られたガラスの透明性、屈折率及び膜厚の試験結果を表4に示す。
【0095】
実施例6
製造例7で得られた複合シリカ微粒子の酢酸ブチル分散体(Z−1)100g、イソシアネート硬化剤スミジュールN3300(商品名、住化バイエルウレタン社製)5.5g、メチルエチルケトン340gを混合して塗布液とした。この塗布液をガラス基材にスピンコーターで塗布し、室温で15分、80℃で30分乾燥した。得られたガラスの透明性、屈折率及び膜厚の試験結果を表4に示す。
【0096】
実施例7
製造例7で得られた有機ポリマー複合無機微粒子分散体(Z−1)100g、日本触媒社製アクリルポリマー「ユーダブルS−2840」(商品名)80g、メチルエチルケトン450gを混合して塗布液とした。この塗布液をガラス基材にスピンコーターで塗布し、室温で15分、80℃で30分乾燥した。得られたガラスの透明性、屈折率及び膜厚の試験結果を表4に示す。
【0097】
比較例1
コルコート社製シラノール系塗工液「コルコートP」(商品名)をガラス基材にスピンコーターで塗布し、室温で湿気硬化させて塗布ガラス基材を得た。得られたガラスの透明性、屈折率及び膜厚の試験結果を表4に示す。
【0098】
比較例2
製造例4で得られた有機ポリマー(P−3)100g、メチルエチルケトン390gを混合して塗布液とした。この塗布液をガラス基材にスピンコーターで塗布し、室温で15分、80℃で30分乾燥した。得られたガラスの透明性、屈折率及び膜厚の試験結果を表4に示す。
【0099】
【表4】
【0100】
【発明の効果】
本発明の低屈折率組成物は、上述の構成からなり、低屈折率を発現することができるため反射防止膜や液晶ディスプレイ用光拡散シート等を形成する低屈折率材料として好適なものである。
Claims (5)
- 無機系化合物と有機系化合物との複合微粒子を含んでなる表示装置用の反射防止膜用低屈折率材料であって、
該複合微粒子は、無機系化合物から形成される無機微粒子と、有機系化合物とが複合化及び/又は一体化してなる微粒子の形態であり、
有機ポリマーを合成し、次いで、有機ポリマーを単独で又は加水分解可能な金属化合物と共に加水分解・縮合したものであり、無機微粒子の表面に有機系化合物の一部が固定され、無機微粒子内に有機系化合物の残りの一部が包含されており、
該有機ポリマーは、フッ素原子を有する単量体を20〜95質量%含む単量体成分を重合してなり、数平均分子量が1000以上であり、1分子当たりに少なくとも1個のポリシロキサン基が結合しており、かつ、該ポリシロキサン基中に少なくとも1個のSi−OR 1 基(式中、R 1 は、水素原子、置換されていてもよいアルキル基又はアシル基を表す。R 1 が1分子中に複数ある場合、複数のR 1 は同一であってもよく、異なってもよい。)を有し、
該低屈折率材料から形成される皮膜の波長550nmでの屈折率が1.30〜1.42である
ことを特徴とする表示装置用の反射防止膜用低屈折率材料。 - 前記複合微粒子は、有機ポリマーを加水分解可能な金属化合物と共に加水分解・縮合したものである
ことを特徴とする請求項1記載の表示装置用の反射防止膜用低屈折率材料。 - 前記加水分解可能な金属化合物は、シラン化合物及びその誘導体から選ばれる少なくとも1種である
ことを特徴とする請求項1又は2記載の表示装置用の反射防止膜用低屈折率材料。 - 前記有機ポリマーは、(メタ)アクリル系樹脂重合体である
ことを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の表示装置用の反射防止膜用低屈折率材料。 - 請求項1〜4の何れかに記載の表示装置用の反射防止膜用低屈折率材料を積層してなることを特徴とする反射防止膜。
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