JP2007293301A - 光学フィルム、偏光板、画像表示装置、及び光学フィルムの製造方法 - Google Patents

光学フィルム、偏光板、画像表示装置、及び光学フィルムの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】高硬度で耐擦傷性に優れ、カール発生が少ない光学フィルムを提供すること。更には、そのような光学フィルムを用いた偏光板や画像表示装置を提供すること。
【解決手段】支持体上に、ハードコート層用塗布組成物を硬化してなる層と、オーバーコート層用塗布組成物を硬化してなる層とをこの順に有する光学フィルムであって、該ハードコート層用塗布組成物及び該オーバーコート層用塗布組成物が、1分子中に重合性官能基を複数個有する化合物を含有し、かつ少なくとも該オーバーコート層用塗布組成物が、重合性官能基を少なくとも3つ有する化合物を含有する光学フィルム。
【選択図】なし

Description

本発明は、光学フィルム、偏光板、画像表示装置、及び光学フィルムの製造方法に関する。
近年、ディスプレイ装置は家庭で使用され一般ユーザーの取り扱いに対してもタフネスが要求されるようになってきている。例えば液晶表示装置(LCD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)、陰極管表示装置(CRT)、SED(Surface-Conduction Electron-emitter Display)などのような様々な画像表示装置においては、その表面に用いられる光学フィルムには、高い物理強度(耐擦傷性など)、透明性、耐薬品性、耐候性(耐湿熱性、耐光性など)が要求される。また、外光の反射や像の映り込みによるコントラスト低下を防止するために、防眩性能や反射防止性能が要求されている。また、日常の取り扱いで表面に汚れや埃がつきにくいという防汚性や防塵性が要求されている。
特許文献1には高いハードコート性を示す材料として、ジペンタエリスリトールとトリペンタエリスリトールとテトラペンタエリスリトールの混合物と(メタ)アクリル酸の反応物を含有するハードコート剤用感光性樹脂組成物が記載されている。これら材料は、一定の効果はあるものの更なる硬度上昇やカール低減が望まれていた。
また、特許文献2には、防眩性層の上にさらにクリア硬化樹脂層を設けることにより、耐アルカリ性を改良した積層体が記載されている。該積層体の上に蒸着で光学薄膜を形成して耐光性、及び耐湿熱性を改善している。該積層体は、一定の耐擦傷性を示すものの、ディスプレイ表面での使用も想定すると更なる改良が望まれていた。
特開2002−235018号公報 特開2004−50535号公報
本発明の目的は、高硬度で耐擦傷性に優れ、カール発生が少ない光学フィルムを提供することにある。更には、防汚性に優れ、低反射で防眩性が付与された光学フィルムを提供することにある。また、更にはそのような光学フィルムを用いた偏光板やディスプレイ装置を提供することにある。
本発明者らは、上述の課題を解消すべく鋭意検討した結果、下記の構成とすることにより、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は下記の構成である。
(1)支持体上に、ハードコート層用塗布組成物を硬化してなるハードコート層と、オーバーコート層用塗布組成物を硬化してなるオーバーコート層とをこの順に有する光学フィルムであって、該ハードコート層用塗布組成物及び該オーバーコート層用塗布組成物が、1分子中に重合性官能基を複数個有する化合物を含有し、かつ少なくとも該オーバーコート層用塗布組成物が、1分子中に重合性官能基を少なくとも3つ有する化合物を含有する光学フィルム。
(2)前記オーバーコート層用塗布組成物に含有される1分子中に重合性官能基を複数個有する化合物の重量平均分子量(MOC)と前記ハードコート層用塗布組成物に含有される1分子中に重合性官能基を複数個有する化合物の重量平均分子量(MHC)との比(MOC/MHC)が、1.0以上100以下である前記1に記載の光学フィルム。
(3)前記オーバーコート層の膜厚が、0.15μm以上10μm以下である前記1又は2に記載の光学フィルム。
(4)前記1分子中に重合性官能基を複数個有する化合物が、水素結合性基を有するモノマーである前記1〜3のいずれかに記載の光学フィルム。
(5)前記1分子中に重合性官能基を複数個有する化合物が、イソシアヌル酸エトキシ変性ジアクリレートである前記1〜4のいずれかに記載の光学フィルム。
(6)前記1分子中に重合性官能基を複数個有する化合物が、多分岐ポリマー(HB)を核とし、その分岐枝末端に光硬化性及び/又は熱硬化性反応基が結合された硬化性多分岐ポリマー(RHB)である前記1〜5のいずれかに記載の光学フィルム。
(7)前記ハードコート層用塗布組成物及びオーバーコート層用塗布組成物の少なくとも1つは無機微粒子を含有する前記1〜6のいずれかに記載の光学フィルム。
(8)前記オーバーコート層が、平均粒子径1nm以上1μm以下のシリカを主成分とする無機微粒子を含有する前記7に記載の光学フィルム。
(9)前記オーバーコート層用塗布組成物に含有される無機微粒子が、粒子の表面及び/又は内部に空孔を有する前記7又は8に記載の光学フィルム。
(10)前記無機微粒子が、導電性粒子である前記7〜9のいずれかに記載の光学フィルム。
(11)前記ハードコート層用塗布組成物又はオーバーコート層用塗布組成物が、オルガノシラン化合物及び/又はその加水分解物及び/又はその縮合物を含有する前記1〜10のいずれかに記載の光学フィルム。
(12)前記オーバーコート層用塗布組成物が、反応性シリコーン及び反応性フッ素化合物の少なくとも一種を含有する前記1〜11のいずれかに記載の光学フィルム。
(13)オーバーコート層の表面自由エネルギーが、30mN/m以下である前記1〜12のいずれかに記載の光学フィルム。
(14)オーバーコート層とハードコート層はその界面で、両層を形成する重合性化合物及び/又は無機微粒子の組成が徐々に変化している前記1〜13のいずれかに記載の光学フィルム。
(15)オーバーコート層とハードコート層はその界面で更に別の界面混合層を形成している前記1〜14のいずれかに記載の光学フィルム。
(16)オーバーコート層の屈折率が1.25〜1.49である前記1〜15のいずれかに記載の光学フィルム。
(17)オーバーコート層の表面から100nm深さまでの平均屈折率が1.25〜1.49である前記1〜16のいずれかに記載の光学フィルム。
(18)ハードコート層が光拡散粒子を含有する前記1〜17のいずれかに記載の光学フィルム。
(19)防眩性を有する前記1〜18のいずれかに記載の光学フィルム。
(20)支持体の厚みが、15μm以上60μm以下である前記1〜19のいずれかに記載の光学フィルム。
(21)光学フィルムのオーバーコート層用塗布組成物を硬化してなる層上に、更に低屈折率層を有する前記1〜20のいずれかに記載の光学フィルム。
(22)偏光膜と、該偏光膜の両側に設けられた保護フィルムとを有する偏光板であって、該保護フィルムの少なくとも一方が、前記1〜21のいずれかに記載の光学フィルムである偏光板。
(23)前記1〜21に記載の光学フィルム、又は前記22に記載の偏光板を有する画像表示装置。
(24)支持体上に、1分子中に重合性官能基を複数個有する化合物を含有するハードコート層用塗布組成物を塗布する工程、該化合物の反応率が0%以上50%以下になるよう硬化させる工程、重合性官能基を少なくとも3つ有する化合物を含有するオーバーコート層用塗布組成物を塗布する工程、及び該オーバーコート層用塗布組成物を硬化させる工程をこの順に有する光学フィルムの製造方法。
(25)前記ハードコート層用塗布組成物を塗布後、塗布された支持体を巻き取ることなく、その上に前記オーバーコート層用塗布組成物を塗布する前記24に記載の光学フィルムの製造方法。
(26)支持体上に、1分子中に重合性官能基を複数個有する化合物を含有するハードコート層用塗布組成物と重合性官能基を少なくとも3つ有する化合物を含有するオーバーコート層用塗布組成物を同時に塗布する光学フィルムの製造方法。
本発明によれば、高硬度、優れた耐擦傷性、及び低カールに優れる光学フィルムが提供できる。また、ある態様において、さらに防汚性に優れ、低反射である光学フィルムが提供できる。本発明の光学フィルムを用いた偏光板及び画像表示装置(ディスプレイ装置)は、外光や背景の映り込みが少ない、視認性が高い等の光学特性に優れる。
以下、本発明を詳細に説明する。なお、本明細書において、数値が物性値、特性値等を表す場合に、「(数値1)〜(数値2)」という記載は「(数値1)以上(数値2)以下」の意味を表す。また、本明細書において、「(メタ)アクリレート」との記載は、「アクリレート及びメタクリレートの少なくともいずれか」の意味を表す。「(メタ)アクリル酸」等も同様である。
本発明の光学フィルムは、支持体上に、ハードコート層用塗布組成物を硬化してなる層と、オーバーコート層用塗布組成物を硬化してなる層とをこの順に有する光学フィルムであって、該ハードコート層用塗布組成物及び該オーバーコート層用塗布組成物が、1分子中に重合性官能基を複数個有する化合物を含有し、かつ少なくとも該オーバーコート層用塗布組成物が、1分子中に重合性官能基を少なくとも3つ有する化合物を含有する光学フィルムである。
オーバーコート層用塗布組成物中の重合性化合物の少なくとも1種には、重合性官能基を1分子内に3つ以上含むことが必須であり、更に好ましくは重合性官能基を1分子内に4以上250以下含むものであり、最も好ましくは重合性官能基を1分子内に6以上64以下含むものである。
ハードコート層中の重合性化合物の少なくとも1種には、重合性官能基を1分子内に、好ましくは2つ以上32以下、より好ましくは2つ以上6つ以下含有する。これによりハードコート層とオーバーコート層とにおいてそれぞれの層自身及び界面が強力に化学的に結合することができ、高硬度の光学フィルムが得られる。
1.本発明のハードコート層及びオーバーコート層に使用する材料
1−1.1分子中に重合性官能基を複数個有する化合物
本発明のハードコート層及びオーバーコート層は、それぞれ1分子中に複数個の重合性官能基を有する化合物を含有する塗布組成物を塗設・硬化することにより形成できる。重合性官能基は、特に限定されないが、ラジカル重合性基又はカチオン重合性基が好ましく、特に好ましくはラジカル重合性基である。1分子内にラジカル重合性基とカチオン重合性基を含有することもできる。1分子中の重合性基の数は、少なくとも2個であり、ハードコート層では2個以上6個以下、オーバーコート層では6個以上64個以下であることがより好ましい。
水酸基を有する化合物の水酸基と反応する化合物の組み合わせとして、含水酸基オリゴマー、ポリマーに対して、各種アミノ化合物を硬化剤として用いることも好ましい。
1−1−1.{ラジカル重合性モノマー(MA1)}
ラジカル重合性基としては、(メタ)アクリロイル基、ビニルオキシ基、スチリル基、アリル基等のエチレン性不飽和基等が挙げられ、中でも、(メタ)アクリロイル基が好ましい。またラジカル重合性モノマーとしては、分子内に2個以上のラジカル重合性基を有する多官能モノマーを含有することが好ましい。ラジカル重合性基を有する多官能モノマーは、二種類以上を併用してもよい。ラジカル重合性モノマーの分子量は、ハードコート層に用いる場合には好ましくは290〜800、より好ましくは290〜600であり、オーバーコート層に用いる場合には350〜1000、より好ましくは400〜800である。
ラジカル重合性多官能モノマーとしては、末端エチレン性不飽和結合を少なくとも2個有する化合物から選ばれることが好ましい。好ましくは、分子中に2〜6個の末端エチレン性不飽和結合を有する化合物である。このような化合物群はポリマー材料分野において広く知られるものであり、本発明においては、これらを特に限定なく用いることができる。
ラジカル重合性モノマー(MA1)の例としては、不飽和カルボン酸(例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸等)や、そのエステル類、アミド類が挙げられ、好ましくは、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコール化合物とのエステル、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミド類が挙げられる。また、ヒドロキシル基、アミノ基、メルカプト基等の求核性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル類や、アミド類と、単官能もしくは多官能イソシアネート類、エポキシ類との付加反応物、多官能のカルボン酸との脱水縮合反応物等も好適に使用される。また、イソシアナート基やエポキシ基等の、親電子性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル又はアミド類と、単官能もしくは多官能のアルコール類、アミン類又はチオール類との反応物も好適である。また、別の例として、上記の不飽和カルボン酸の代わりに、不飽和ホスホン酸、スチレン等に置き換えられた化合物群を使用することも可能である。
脂肪族多価アルコール化合物としては、アルカンジオール、アルカントリオール、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサントリオール、イノシトール、シクロヘキサンジメタノール、ペンタエリトリトール、ソルビトール、ジペンタエリトリトール、トリペンタエリトリトール、グリセリン、ジグリセリン等が挙げられる。これら脂肪族多価アルコール化合物と、不飽和カルボン酸との重合性エステル化合物(モノエステル又はポリエステル)、例えば、特開2001−139663号公報段落番号[0026]〜[0027]記載の化合物が挙げられる。
その他の重合性エステルの例としては、例えば、ビニル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレートや、特公昭46−27926号公報、特公昭51−47334号公報及び特開昭57−196231号公報に記載の脂肪族アルコール系エステル類、特開平2−226149号公報等に記載の芳香族系骨格を有するもの、特開平1−165613号公報に記載のアミノ基を有するものなども好適に用いられる。
また、脂肪族多価アミン化合物と不飽和カルボン酸とから形成される重合性アミドの具体例としては、メチレンビス−(メタ)アクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−(メタ)アクリルアミド、ジエチレントリアミントリス(メタ)アクリルアミド、キシリレンビス(メタ)アクリルアミド、特公昭54−21726号公報に記載のシクロヘキシレン構造を有するものなどを挙げることができる。
また、1分子中に2個以上の重合性ビニル基を含有するビニルウレタン化合物(特公昭48−41708号公報等)、ウレタンアクリレート類(特公平2−16765号公報、特開平2005−272702号公報 例示化合物 PETA―IPDI―PETA、PETA−TDI−PETA、HEA−IPDI−HEA、U―15HA等)、エチレンオキサイド系骨格を有するウレタン化合物(特公昭62−39418号公報等)、ポリエステルアクリレート類(特公昭52−30490号公報等)、更に、「日本接着協会誌」20巻7号300〜308頁(1984年)に記載の光硬化性モノマー及びオリゴマーも使用することができる。
特に高屈折率モノマーの例としては、ビス(4−メタクリロイルチオフェニル)スルフィド、ビニルナフタレン、ビニルフェニルスルフィド、4−メタクリロキシフェニル−4’−メトキシフェニルチオエーテル等を用いることができる。
カールの低減には、下記に記載のイソシアヌル酸エトキシ変性ジアクリレート(特開2005−103973号公報に記載)の化合物も好ましい。
Figure 2007293301
上記化合物は、3官能以上のアクリレートと併用することで、低カールで耐擦傷性に優れる塗膜を形成することができる。特開2002−235018号公報に記載の、ジペンタエリスリトール(a)とトリペンタエリスリトール(b)とテトラペンタエリスリトール(c)及び任意成分としてペンタエリスリトール(d)の混合物(I)と(メタ)アクリル酸の反応物である(メタ)アクリル酸エステル混合物(合成例1、2の化合物)を用いることも好ましい。
水素結合性基を有するモノマーは、同じ硬度でもカール低減に有効な傾向を有しており好ましい。水素結合性官能基の例としては、アミド基、アミノ基、ウレタン基、アシル基、アシルアミノ基、アシルオキシ基、スルファモイル基、水酸基、シラノール基等が挙げられる。特に好ましくは、ウレタン結合性の基を含有する化合物である。
1−1−2.{カチオン重合性モノマー(MA2)}
次に、カチオン重合性基含有の化合物(カチオン重合性モノマー)(MA2)について説明する。
本発明に用いられるカチオン重合性モノマー(MA2)は、活性エネルギー線感受性カチオン重合開始剤の存在下に、活性エネルギー線を照射したときに重合反応及び/又は架橋反応を生ずる化合物のいずれであってもよく、代表例としては、エポキシ化合物、環状チオエーテル化合物、環状エーテル化合物、スピロオルソエステル化合物、ビニルエーテル化合物などを挙げることができる。本発明では前記したカチオン重合性有機化合物のうちの1種を用いても2種以上を用いてもよい。
カチオン重合性モノマー(MA2)としては、1分子中のカチオン重合性基の数は2〜10個が好ましく、特に好ましくは2〜5個である。該化合物の分子量は3000以下であることが好ましく、より好ましくは200〜2000の範囲、特に好ましくは400〜1500の範囲である。この範囲であれば、皮膜形成過程での揮発が問題となることなく、硬化性組成物との相溶性の点でも問題なく、好ましい。
前記のカチオン重合性モノマー(MA2)の1つであるエポキシ化合物としては脂肪族エポキシ化合物及び芳香族エポキシ化合物が挙げられる。
脂肪族エポキシ化合物としては、例えば、脂肪族多価アルコール又はそのアルキレンオキサイド付加物のポリグリシジルエーテル、脂肪族長鎖多塩基酸のポリグリシジルエステル、グリシジル(メタ)アクリレート等のホモポリマーやコポリマーなどを挙げることができる。さらに、前記のエポキシ化合物以外にも、例えば、脂肪族高級アルコールのモノグリシジルエーテル、高級脂肪酸のグリシジルエステル、エポキシ化大豆油、エポキシステアリン酸ブチルエポキシステアリン酸オクチル、エポキシ化アマニ油、エポキシ化ポリブタジエンなどを挙げることができる。また、脂環式エポキシ化合物としては、少なくとも1個の脂環族環を有する多価アルコールのポリグリシジルエーテル、或いは不飽和脂環族環(例えば、シクロヘキセン、シクロペンテン、ジシクロオクテン、トリシクロデセン等)含有化合物を過酸化水素、過酸等の適当な酸化剤でエポキシ化して得られるシクロヘキセンオキサイド又はシクロペンテンオキサイド含有化合物などを挙げることができる。
また、芳香族エポキシ化合物としては、例えば少なくとも1個の芳香核を有する1価又は多価フェノール或いはそのアルキレンオキサイド付加体のモノ又はポリグリシジルエーテルを挙げることができる。これらのエポキシ化合物として、例えば、特開平11−242101号明細書中の段落番号[0084]〜[0086]記載の化合物、特開平10−158385号明細書中の段落番号[0044]〜[0046]記載の化合物等が挙げられる。
これらのエポキシ化合物のうち、迅速硬化性を考慮すると、芳香族エポキシド及び脂環式エポキシドが好ましく、特に脂環式エポキシドが好ましい。本発明では、上記エポキシ化合物の1種を単独で使用してもよいが、2種以上を適宜組み合わせて使用してもよい。
環状チオエーテル化合物としては、上記のエポキシ環がチオエポキシ環となる化合物が挙げられる。
環状エーテルとしてのオキセタニル基を含有する化合物としては、具体的には、例えば特開2000−239309号明細書中の段落番号[0024]〜[0025]に記載の化合物等が挙げられる。これらの化合物は、エポキシ基含有化合物と併用することが好ましい。
スピロオルソエステル化合物としては、例えば特表2000−506908号公報等記載の化合物を挙げることができる。
ビニル炭化水素化合物としては、スチレン化合物、ビニル基置換脂環炭化水素化合物(ビニルシクロヘキサン、ビニルビシクロヘプテン等)、ビニルオキシ化合物(前記のラジカル重合性化合物で記載の内容と同様のもの)、プロペニル化合物{“J.Polymer Science:Part A: Polymer Chemistry”,32巻,2895頁(1994年)記載等}、アルコキシアレン化合物{“J.Polymer Science: Part A: Polymer Chemistry”,33巻,2493頁(1995年)記載等}、ビニル化合物{“J.Polymer Science: Part A: Polymer Chemistry”,34巻,1015頁(1996年)、特開2002−29162号公報等記載}、イソプロペニル化合物{“J.Polymer Science: Part A: Polymer Chemistry”,34巻,2051頁(1996年)記載等}等を挙げることができる。
これらは2種以上を適宜組み合わせて使用してもよい。
水酸基を有する化合物と水酸基と反応する化合物の組み合わせとして、含水酸基オリゴマー、ポリマーに対して、各種アミノ化合物を硬化剤として用いることも好ましい。架橋性化合物として用いられるアミノ化合物は、例えば、ヒドロキシアルキルアミノ基及びアルコキシアルキルアミノ基のいずれか一方又は両方を合計で2個以上含有する化合物であり、具体的には、例えば、メラミン系化合物、尿素系化合物、ベンゾグアナミン系化合物、グリコールウリル系化合物等を挙げることができる。これら化合物の硬化には、有機酸又はその塩を用いるのが好ましい。
1−1−3.[硬化性多分岐ポリマー(RHB)]
本発明のハードコート層及び又はオーバーコート層用硬化性組成物は、多分岐ポリマー(HB)を核とし、且つ分岐枝末端に光硬化性及び/又は熱硬化性反応基を結合した硬化性多分岐ポリマー(RHB)を含有することが好ましい。更には、該硬化性多分岐ポリマー(RHB)に含有される光硬化性及び/又は熱硬化性反応基が、ラジカル重合性基、カチオン重合性基、加水分解性基置換のシリル基から選ばれる硬化性反応基(以下、単に硬化性基ということがある)であることが好ましい。
[核となる多分岐ポリマー(HB)]
本発明の光硬化性及び/又は熱硬化性多分岐ポリマー(RHB)は、多分岐ポリマー(HB)を核(コア)とし、且つ分岐枝末端に光硬化性及び/又は熱硬化性反応基を結合させた、高度に『枝分れした(樹枝状)』巨大分子である。例示すれば、図1又は図2で示される化合物である。
図1に示したように、中心部より三次元放射状に分枝が広がり、更にその末端から分枝を有する部位を含む化合物である。また、図2に示すように、全ての方向に均一に成長していなくても、分枝部が放射状に広がっている場合であれば、本発明で用いることができる樹枝状化合物である。具体的には、核となる多分岐ポリマー(HB)は、デンドリマー、ハイパーブランチポリマー及びスターバーストポリマーからなる群から選択される少なくとも1種以上によって構成されることが好ましい。
核となる多分岐ポリマー(HB)は、多価の基核を中心として2つ以上の規則性樹枝状分岐である分岐鎖延長単位に結合している化合物である。その多価の基核は、連結基を形成する反応性基(a)を少なくとも2つ以上有する化合物であり、この基核となる化合物の該反応性基(a)と化学結合して連結基を形成する反応性基(b)を1つと、反応性基(a)を少なくとも2つ以上有する化合物(分岐鎖延長化合物)との化学反応を繰り返すことによって延長された構造を有する高分岐ポリマーであることが好ましい。
多分岐ポリマー(HB)として具体的には、多分岐ポリ尿素、多分岐ポリウレタン、多分岐ポリアミドアミン、多分岐ポリアミド、多分岐ポリエステル、多分岐ポリカーボネート、多分岐ポリカルボシラン、多分岐ポリカルボシロキサン、多分岐ポリカルボシラゼン、多分岐ポリエーテル、多分岐ポリ(エーテルケトン)、多分岐ポリ(プロピレンイミン)、多分岐ポリアルキルアミン、これらのコポリマー等が挙げられる。
このような多分岐ポリマーは、例えば、岡田鉦彦編集、「デンドリマーの科学と機能」pp29〜31、((株)アイピーシ、2000年刊)、同書、第2章、石津浩二編集、「分岐ポリマーのナノテクノロジー」第6章、((株)アイピーシ、2000年刊)、COMPREHENSIVE SUPERMOLECULAR、10、Chapter26(PeramonPress、NewYork、1995年刊)等に記載の内容のものを挙げることができる。好ましくは、多分岐ポリアミドアミン、多分岐ポリアミド、多分岐ポリエステル、多分岐ポリカルボシラン、多分岐ポリカルボシロキサン、多分岐ポリエーテル、多分岐ポリ(エーテルケトン)、多分岐ポリアルキルアミンが挙げられる。
核(コア)となる多分岐ポリマー(HB)の多価の基核は、有機残基、窒素原子、ケイ素原子又はリン原子を核とする多官能性化合物であれば、特に限定はない。有機残基としては、炭素原子、芳香族炭化水素環(ベンゼン環、ナフタレン環、ビフェニル環、フェナントレン環、トリフェニレン環等)、酸素、窒素、硫黄から選ばれる少なくとも1つのヘテロ原子を含有する単環式もしくは多環式の環構造を有する複素環(例えば、ピラジン環、ヒドロピラジン環、ピペラジン環、トリアジン環、ヒドロトリアジン環、フェナジン環、キサンテン環、チオキサンテン環等)、カリックスアレン構造、アザクリプタント構造、クラウンエーテル構造、ポルフィリン構造等が挙げられる。これらもまた特に限定されるものではない。
本発明の核となる多分岐ポリマー(HB)は、重縮合サイクルによって調製された分子であることが好ましい。各サイクルは、基核の反応性官能基の全てと、分岐鎖延長化合物の1当量とを反応させることを含む。サイクルの数(n)により「第n世代」の多分岐分子と称される。本発明では、第1世代〜第6世代のものが好ましい。特に好ましくは第2世代〜第4世代のものである。
本発明の核となる多分岐ポリマー(HB)において、分岐鎖延長単位中に環状構造を含有することが好ましい。更には環状構造(環構造ともいう。)とアルキレン鎖構造とを含有することが特に好ましい。
環状構造は、脂環式環構造及び芳香環構造から選ばれるものである。脂環式環構造としては、単環式、多環式、架橋環式の炭素数5〜22脂肪族環状炭化水素が挙げられ、その具体例としては、シクロペンタン、シクロペンテン、シクロペンタジエン、シクロヘキサン、シクロヘキセン、シクロヘキサジエン、シクロヘプタン、シクロヘプテン、シクロへプタジエン、シクロオクタン、シクロオクテン、シクロオクタジエン、シクロオクタトリエン、シクロノナン(cyclononane)、シクロノネン(cyclononene)、シクロデカン、シクロデセン、シクロデカンジエン、シクロデカトリエン、シクロウンデカン、シクロドデカン、ビシクロヘプタン、ビシクロヘキサン、ビシクロヘキセン、トリシクロヘキセン、ノルカラン、ノルピナン、ノルボルナン、ノルボルネン、トリシクロヘプタン、トリシクロヘプテン、デカリン、アダマンタン等の環構造炭化水素等)が挙げられる。
芳香環としては、アリール環(例えば、ベンゼン、ナフタレン、ジヒドロナフタレン、インデン、フルオレン、アセナフチレン、アセナフテン、ビフェニレン等)、酸素原子、硫黄原子、窒素原子の何れかを少なくとも1個含有する単環式もしくは多環式の環構造を有する複素環基(複素環基としては、例えば、フラニル基、テトラヒドロフラニル基、ピラニル基、ピロイル基、クロメニル基、フェノキサチイニル基、インダゾイル基、ピラゾイル基、ピリジル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、インドイル基、イソインドイル基、キノニイル基、ピロリジニル基、ピロリニル基、イミダゾリニル基、ピラゾリジニル基、ピペリジニル基、ピペラジニル基、モルホリニル基、チエニル基、ベンゾチエニル基等)等が挙げられる。アリール環は炭素数6〜18のアリール環であることが好ましい。
分岐鎖延長単位が含有するアルキレン鎖は、炭素数1〜22のアルキレン基が好ましく、より好ましくは炭素数1〜12のアルキレン基である。また、上記の環状構造とアルキレン鎖は直接結合していてもよいし、他の2価の連結基を介して結合していてもよい。2価の連結基としては、−O−、−S−、−COO−、−OCO−、−NHCOO−、−NHCONH−、−SO2−、−CO−、−CON(Q1)−、−SO2N(Q1)−等が挙げられる。(ここで、Q1は水素原子又は炭素数1〜6の置換されていてもよい脂肪族基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、2−クロロエチル基、2−ブロモエチル基、2−シアノエチル基、2−メトキシエチル基、等)を表す。
核となる多分岐ポリマー(HB)の、分岐鎖延長化合物との反応により構成される分岐鎖延長単位は、ポリエステル構造、ポリアミド構造、ポリアミンアミド構造から選ばれる態様であることが好ましい。これらの分岐鎖延長単位を含んでなる硬化性多分岐ポリマーは、形成される硬化膜の膜強度が一層向上するので好ましい。更には、これらの多分岐ポリマー(HB)は、逐次重合反応により容易に合成できることから、安価な材料として供給されることから好ましい。
核となる多分岐ポリマー(HB)の分岐枝は、上記のように分岐延長化合物と反応性を有する反応性基(a)が末端構造となる。分岐枝末端の反応性基(a)としては、カルボキシ基、ヒドロキシ基、アミノ基、エポキシ基等が挙げられる。また、本発明の核となる多分岐ポリマーは、分岐枝の末端の反応性基(a)の基数が6〜128個を有するものが好ましく、更には8〜64個を有するものが好ましい。
質量平均分子量は、一般に約1,000〜約50,000であり、好ましくは約1500〜約20,000を有するものが挙げられる。この範囲において、硬化反応が充分に進行し且つ得られた硬化膜の膜強度が保持できる。
多分岐ポリマー(HB)の平均の枝分れ度(DB)は、1分子当たりの分枝基の数平均率、すなわち「末端基、分枝基及び線状基の総数」に対する「末端基+分枝基」の割合として文献に定義されている。理想的なデンドロン(dendron)及びデンドリマーについては、枝分れ度は1である。理想的な線状ポリマーについては、枝分れ度は0に近い。枝分れ度(DB)は、ハウカー(Hawker)C.J.,;リー(Lee),R.;フレチェット(Frechet),J.M.J.,“J.Am. Chem. Soc.”,(1991年)113巻4583頁において定義されているように以下の数式で表される(下記数式中、Ntは末端基の数を表し、Nbは分枝基の数を表し、NIは線状基の数を表す)。
Figure 2007293301
本発明で使用される多分岐分子の枝分れ度(DB)は、デンドリマー(理想的な場合、1の枝分れ度を有する)から0.25の範囲である。より典型的には0.25〜0.80の枝分れ度を有するような多分岐ポリマーは容易に製造することができ、デンドリマーと比べて比較的安価である。要するに、多分岐分子が放射状に拡がった形態を形成していることが好ましい。更に好ましい枝分れ度は、0.3〜0.8のものである。
[硬化性多分岐ポリマー(RHB)の架橋性硬化基]
本発明の硬化性多分岐ポリマー(RHB)は、上記の多分岐ポリマー(HB)の分岐枝末端の少なくとも一部に、光及び/又は熱により架橋反応する硬化性基を有する。
核となる多分岐ポリマー(HB)(以下、単に「コア分子」と称することもある)の全分岐枝数中の5%以上の分岐枝が、硬化性基を含有することが好ましい。これにより十分なフィルムの膜の強度が発現される。より好ましくは10%〜90%である。
架橋反応する硬化性基は、同一でも異なってもよい。架橋反応する硬化性基は、特に限定されないが、例えば活性水素原子を有する基(例えば、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、カルバモイル基、メルカプト基、β−ケトエステル基、ヒドロシリル基、シラノール基等)、ラジカル重合可能な不飽和2重結合を有する基、カチオン重合可能な基、酸無水物含有基、加水分解性シリル基(例えばアルコキシシリル基、アシルオキシシリル基等)、求核剤によって置換され得る基(活性ハロゲン原子、スルホン酸エステル等)、イソシアナート基(保護されており、加熱によりイソシアナート基を発生するブロックイソシアナート基でもよい)等が挙げられる。架橋反応する硬化性基は、ラジカル重合性基、カチオン重合性基、及び加水分解性シリル基から選ばれる少なくとも一つであることが好ましい。以下に、これらの基について説明する。
(ラジカル重合性基)
ラジカル重合性基としては、下記一般式(1)で示される硬化性基が挙げられる。
Figure 2007293301
一般式(1)中、V11は−COO−、−OCO−、−CH2OCO−、−CH2COO−、−O−、−CONHCOO−、−CONHCO−、−SO2−、−CO−、−CON(Q11)−、−SO2N(Q11)−又はフェニレン基(以下フェニレン基をPhで表すこともある。
ただしPhは1,2−、1,3−及び1,4−フェニレン基を含む)を表す。ここで、Q11は、水素原子又は炭素数1〜8の置換されていてもよい脂肪族基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、2−クロロエチル基、2−ブロモエチル基、2−シアノエチル基、2−メトキシエチル基、ベンジル基、フロロベンジル基、メチルベンジル基、シクロヘキシルメチル基、2−エトキシエチル基、3−メトキシプロピル基等)を表す。V11の好ましい態様として、−COO−、−OCO−、−CONH−、−CH2OCO−、−CH2COO−、−O−、フェニレン基が挙げられる。a11及びa12は同じでも異なってもよく、水素原子、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、シアノ基、アルキル基(例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等)又は−CH2COOR11基(R11はアルキル基を表す。例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基等)を表す。
これらの重合性基は、コア分子の分岐枝の末端の反応性基(a)と化学結合反応(後述する)した有機残基に直接結合してもよいし、連結基を介して結合してもよい。ここで連結基とは、総原子数1〜22個の連結基(ここでいう総原子数には、炭素原子、窒素原子又はケイ素原子に結合する水素原子を除く)を表す。連結基としては炭素原子−炭素原子結合(一重結合又は二重結合)、炭素原子−ヘテロ原子結合(ヘテロ原子としては例えば、酸素原子、イオウ原子、窒素原子、ケイ素原子等)、ヘテロ原子−ヘテロ原子結合等から構成される原子団の任意の組合せで構成される。例えば、原子団としては下記のものが挙げられる。好ましくは直接結合又は総原子数1〜12の連結基である。
Figure 2007293301
ここで、z11、z12は、それぞれ、水素原子、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、シアノ基、ヒドロキシル基、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等)等を示す。z13、z14は、それぞれ、水素原子、炭素数1〜8の炭化水素基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ベンジル基、フェネチル基、フェニル基、トリル基等)などを示す。z15は、水素原子又は炭素数1〜8の炭化水素基(例えば、上記のz13と同様のもの)を表す。
(カチオン重合性基)
本発明におけるカチオン重合性基は、活性エネルギー線感受性カチオン重合開始剤の存在下、活性エネルギー線を照射したときに重合反応及び/又は架橋反応を生ずる重合性基を含有する官能基が挙げられる。具体的には、エポキシ基、環状エーテル基、環状アセタール基、環状ラクトン基、環状チオエーテル基、スピロオルソエステル化合物、ビニルオキソ基等が挙げられる。より具体的には、後述するカチオン重合性モノマー(MA2)の中で例示する化学構造のものを挙げることができる。これらの光カチオン重合性基は、コア分子の分岐枝に直接結合しても連結基を介して結合しても何れでもよい。
(加水分解性シリル基)
硬化性反応基としての性能をもつ、加水分解性基置換のシリル基としては、下記一般式(2)の構造をもつものが挙げられる。このような加水分解性基置換のシリル基は、コア分子の分岐枝に直接結合しても連結基を介して結合しても何れでもよい。一般式(2)
(R21O)3-a(R22aSi−
上記一般式(2)中、(R21O)基は、アルコキシ基(R21が脂肪族基の場合)又はアシルオキシ基(R21が−COR20の場合)を表わし、加水分解してシラノール基[典型的には(HO)3-a−Si(R22a−]となり縮重合反応が進行する。R21が脂肪族基の場合、炭素数1〜8の置換されていてもよい直鎖又は分岐の脂肪族基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、トリフロロエチル基、メトキシメチル基、ベンジル基、フェネチル基、シクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基等)が挙げられる。R21が−COR20の場合のR20は炭化水素基を表し、好ましくは炭素数1〜6の置換されていてもよい直鎖又は分岐の脂肪族基(具体的には前記R21の脂肪族基と同義であり、具体例も同じものが挙げられる)、置換されていてもよいフェニル基(例えばフェニル基、メトキシフェニル基、フロロフェニル基、トリル基、キシリル基、等)が挙げられる。その中でも、好ましい(R21O)基としては、(R21O)基の加水分解反応性及び、脱離して副生したアルコール類又はカルボン酸類の、塗膜の乾燥工程での乾燥性の点から、炭素数1〜4のアルコキシ基又は炭素数1〜3のアシルオキシ基が挙げられる。R22は炭化水素基を表し、好ましくは炭素数1〜12の脂肪族基又は炭素数6〜12のアリール基を表す。これらの炭化水素基は置換されていてもよい。具体的には、後記する非重合性の結合基の置換基R01と同様の内容のものが挙げられる。
本発明の硬化性多分岐ポリマー(RHB)は、全分岐枝中の一部に非重合性の炭化水素基が結合した構造、すなわち、他の非重合性の結合基で化学修飾された構造であってもよい。このような末端結合基としては、−OR01、−OCOR01、−COOR01、−CONHR01、−NHCOR01、−NHSO201、−N(R01)(R02)、−OOCNHR01、−NHCONHR01等が挙げられる。
ここで、R01、R02は炭素数1〜32の炭化水素基を表す。炭化水素基としては、脂肪族基、アリール基又は複素環基を表す。脂肪族基としては、炭素数1〜32の直鎖状又は分岐状のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ナノデシル基、エイコサニル基、ヘネイコサニル基、ドコサニル基等)、炭素数2〜32の直鎖状又は分岐状のアルケニル基(例えば、ビニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、オクテニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、テトラデセニル基、ヘキサデセニル基、オクタデセニル基、エイコセニル基、ドコセニル基、ブタジエニル基、ペンタジエニル基、ヘキサジエニル基、オクタジエニル基等)、炭素数2〜22の直鎖状又は分岐状のアルキニル基(例えば、エチニル基、プロピニル基、ブチニル基、ヘキシニル基、オクタニル基、デカニル基、ドデカニル基等);炭素数5〜22の脂環式炭化水素基(脂環式炭化水素基としては、単環式、多環式、架橋環式の脂肪族環状炭化水素基が挙げられ、その具体例としては、シクロペンタン、シクロペンテン、シクロペンタジエン、シクロヘキサン、シクロヘキセン、シクロヘキサジエン、シクロヘプタン、シクロヘプテン、シクロへプタジエン、シクロオクタン、シクロオクテン、シクロオクタジエン、シクロオクタトリエン、シクロノナン、シクロノネン、シクロデカン、シクロデセン、シクロデカンジエン、シクロデカトリエン、シクロウンデカン、シクロドデカン、ビシクロヘプタン、ビシクロヘキサン、ビシクロヘキセン、トリシクロヘキセン、ノルカラン、ノルピナン、ノルボルナン、ノルボルネン、ノルボルナジエン、トリシクロヘプタン、トリシクロヘプテン、デカリン、アダマンタン等の環構造炭化水素等)が挙げられる。
これらの中で、炭素数1〜18の直鎖状、炭素原子数3〜18の分岐状、及び炭素原子数5〜16の環状の脂肪族基がより好ましい。
上記の脂肪族基は、置換基を有していてもよく、その導入し得る置換基としては、水素を除く一価の非金属原子団が用いられる。非金属原子団の具体的な例としては、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、ニトロ基、−OH基、−OR011、−SR011、−COR011、−COOR011、−OCOR011、−SO2011、−NHCONHR011、−N(R012)COR011、−N(R012)SO2011、−N(R013)(R014)、−CON(R013)(R014)、−SO2N(R013)(R014)、−P(=O)(R015)(R016)、−OP(=O)(R015)(R016)、−Si(R017)(R018)(R019)、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、炭素数2〜18のアルキニル基、炭素数5〜10の脂環式炭化水素基、炭素数6〜18のアリール基(アリール環としては、ベンゼン、ナフタレン、ジヒドロナフタレン、インデン、フルオレン、アセナフチレン、アセナフテン、ビフェニレン等)、酸素原子、硫黄原子、窒素原子のいずれかを少なくとも1個含有する単環式又は多環式の環構造を有する複素環基(複素環基としては、例えば、フラニル基、テトラヒドロフラニル基、ピラニル基、ピロイル基、クロメニル基、フェノキサチイニル基、インダゾイル基、ピラゾイル基、ピリジル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、インドイル基、イソインドイル基、キノニイル基、ピロリジニル基、ピロリニル基、イミダゾリニル基、ピラゾリジニル基、ピペリジニル基、ピペラジニル基、モルホリニル基、チエニル基、ベンゾチエニル基等)等が挙げられる。
これらのアルケニル基、アルキニル基、脂環式炭化水素基、アリール基、複素環基は、更に置換基を有していてもよく、その置換基としては、前記の脂肪族基に導入し得る基として例示したものと同様のものが挙げられる。
前記R011は、炭素数1〜22の脂肪族基、炭素数6〜18のアリール基、又は複素環基を表す。R011における脂肪族基は前記R01で表される脂肪族基と同義である。R011におけるアリール基としては、前記R01で表される、脂肪族基に導入し得る置換基として例示したアリール基と同様のものが挙げられる。かかるアリール基は、更に置換基を有していてもよく、その置換基としては、前記R01において、脂肪族基に導入し得る置換基として例示したものと同様のものが挙げられる。R012は、水素原子又はR011基と同様のものを表す。
前記R013及びR014は、それぞれ独立に、水素原子、又はR011と同様のものを表し、R013とR014とは互いに結合して、N原子を含有する5員又は6員の環を形成してもよい。
前記R015及びR016は、それぞれ独立に、炭素数1〜22の脂肪族基、炭素数6〜14のアリール基、又は−OR011を表す。R015及びR016における脂肪族基は、前記R01で表される脂肪族基と同義である。R015及びR016におけるアリール基としては、前記R01において、脂肪族基に導入し得る置換基として例示したアリール基と同様のものが挙げられる。かかるアリール基は更に置換基を有していてもよく、その置換基としては、前記R01において脂肪族基に導入し得る置換基として例示したものと同様のものが挙げられる。
前記R017、R018及びR019は、それぞれ独立に、炭素数1〜22の炭化水素基又は−OR020を表すが、これらの置換基の内少なくとも1つは炭化水素基を表す。炭化水素基は前記R01で示される脂肪族基及びアリール基と同様のものを表し、−OR020は前記−OR011と同様の内容を表す。
前記の極性基におけるR01、R02のアリール基としては、前記R01において脂肪族基に導入し得る置換基として例示したアリール基と、同様のものが挙げられる。また、かかるアリール基は更に置換基を有していてもよく、その導入し得る置換基としては、前記R01において脂肪族基に導入し得る置換基として例示したものと同様のものが挙げられる。
前記の極性基においてR01、R02で表される複素環基としては、前記R01において脂肪族基に導入し得る置換基として例示した複素環基と、同様のものが挙げられる。また、かかる複素環基は更に置換基を有していてもよく、その導入し得る置換基としては、前記R01で表される脂肪族基に導入し得る置換基として例示したものと同様のものが挙げられる。
末端結合基が[−N(R01)(R02)]におけるR02は、水素原子又は上記のR01と同一の内容を表す。
なお、本発明における硬化性多分岐ポリマー(RHB)が、反射防止膜の低屈折率層のマトリックスに用いられる場合、マトリックスの屈折率を高くならないようにするため、上記の非重合性化学修飾基として含フッ素炭化水素基を選択することが好ましい。含フッ素炭化水素基としては、炭素数1〜20の含フッ素アルキル基が好ましい。特に好ましくは炭素数2〜12のものが好ましい。具体的には、後述の低屈折率層用フッ素化合物のフルオロアルキル基と同様のものが挙げられる。
これらの非重合性の末端結合基からなる分岐枝の分子中における割合は、全分岐枝数中の0〜95%であることが好ましく、より好ましくは5〜80%、特に好ましくは10〜50%である。この範囲内で、硬化膜の強度や湿度安定性がより良好となる。
本発明の硬化性多分岐ポリマー(RHB)は、従来公知の段階的合成法(Divergent法)、ABx型化合物の重縮合反応等の合成方法で、核となる多分岐ポリマーを合成し、これの分岐枝末端の極性基を、従来公知の合成方法に従って特定の置換基で修飾することにより得ることができる。
核となる多分岐ポリマー(HB)としては、D.A.Tomalia、etal.,“Angew. Chem. Int. Ed. Engl.”,29巻138頁(1990年);Roovers,J.,“Advances in Polymer Science”,143巻1頁(Springer,New York刊)(1999年);J.C.Salamone,Ed.,“Polymeric Materials Encyclopedia,”5巻3049頁(CRC Press,New York刊(1996年);柿本雅明、「高分子」、47巻804頁(1998年)、及び前記の成書記載の引用文献等に記載の内容が挙げられる。
核となる多分岐ポリマー(HB)の具体例として、例えばポリアミノ系多分岐ポリマーとしては、例えばブチレンジアミンとアクリロニトリルを反応させ、末端のニトリル基をアミンに還元する反応を1ステップとし、この反応を繰り返すことにより得られるプロピレンイミン系多分岐ポリマー(WO093/14147号公報、US5,530,092号明細書、特公平7−330631号公報);アミンを求核成分にし、パラジウム触媒を用いた開環重合反応によるアミン系多分岐ポリマー{M.Suzuki, et al.,“Macromolecules”,31巻1716頁(1998年)};アンモニアやエチレンジアミンにメチルアクリレートをマイケル付加し、更にエステルアミド交換反応により末端に2級アミノ基を導入する反応を1ステップとし、必要に応じて、繰り返し反応させることにより得られるアミドアミン系多分岐ポリマー(WO084/02705号公報、特公平6−70132号公報);ポリアミド系多分岐ポリマー{S.C.E.Backson, et al.,“Macromol. Symp.”,77巻1頁(1994年)、特開2000−86758号公報、特開2000−256459号公報等};ポリフェニレンエステル系多分岐ポリマー{K.L.Wooley, et al.,“Polymer Journal”,26巻187頁(1994年)};ポリエーテルケトン系多分岐ポリマー{C.J.Hawker,“Macromolecules”,29巻4370頁(1996年)};ポリウレタン又はポリウレア系多分岐ポリマー{R.Spindler,“Macromolecules”,26巻4809頁(1993年)、A.Kumar,“Chem. Commun.”,1629頁(1998年)等};ポリエーテル系多分岐ポリマー{V.Percec et al.“Macromolecules”,27巻4441頁(1994年)、C.J.Hawker, et al.“J.Am. Chem. Soc.”,112巻7638頁(1990年)、特開2001−206886号公報、特開2002−37823号公報等};ヒドロキシル基で終結するポリエステル系多分岐ポリマー(US5,418,301号明細書、WO096/12754号公報、特表2003−522266号公報等);カルボキシル基で終結するポリエステル系多分岐ポリマー(S.R.Turner, et al.“Macromolecules”,27巻1611頁(1994年)、特開平11−60540号公報等);エポキシ基を含む基で終結するポリエステル系多分岐ポリマー(US5,663,247号明細書、WO096/13558号公報等)などを例示できる。本発明はこれらに限定されるものではない。
核となる多分岐ポリマー(HB)として、例えば、脂肪族ポリエステル系多分岐ポリマー類の“BOLTORN”(商品名、Perstorp社製)、ポリプロピルアミノ系多分岐ポリマー類(DSM社製)、ポリ(アミドアミン)多分岐ポリマー類の“STARBURST”(PAMAN社製)、“Dendrimer”(商品名、Aldrich社製)等の市販されているものを用いることができる。
硬化性多分岐ポリマー(RHB)として硬化性基を有する化合物は、コアとなる多分岐ポリマー(HB)の分岐枝末端の極性基−すなわち前記のように、多分岐ポリマー(HB)の中心の基核から分岐鎖延長単位が、反応性基(b)の残基を基核方向にし、複数の反応性基(a)の残基を外側にして、何世代かにわたって化学結合することにより延びてきた末端の未反応の反応性基(a)−(−OH、−NH2、−COOH、エポキシ基等)と反応して共有結合する反応性基と、硬化性基を有する化合物との高分子反応により容易に合成することができる。これらの反応の組み合わせは従来公知のものが挙げられ、特に限定されない。具体的には、例えば、下記表に記載の反応性基の組み合わせで、特定の極性基に修飾変化を加える。
Figure 2007293301
硬化性多分岐ポリマー(RHB)は、例えば、日本化学会編「新実験化学講座14、有機化合物の合成と反応〔II〕、〔III〕」、丸善(株)、(1977年刊)等に詳細に記載された方法を用いて合成することができる。
具体的化合物として、特開2005−76005号公報に記載のポリエステルポリオールデント゛リマー化合物(a)とエチレン性不飽和基含有モノカルボン酸(b)との反応生成物であるエチレン性不飽和基含有ポリエステル型デント゛リマー化合物(合成例1)を用いることができる。また、非重合性の末端結合基を分岐枝の末端に導入する方法も同様にして行うことができる。
重合性化合物MAは、硬化性多分岐高分子(RHB)100質量部当たり、1〜500質量部程度の添加量が好ましく、特に、硬化性多分岐高分子(RHB)100質量部当たり、5〜100質量部程度の添加量とすることが好ましい。
上記したラジカル重合性化合物とカチオン重合性化合物とを、ラジカル重合性化合物:カチオン重合性化合物の質量比で、90:10〜20:80の割合で含有していることが好ましく、80:20〜30:70の割合で含有していることがより好ましい。
本発明に使用できる化合物は、特開2006−10829号公報の合成例1〜16に記載の化合物(RHB−1)〜(RHB−16)を挙げることができる。
1−1−4.[硬化性含フッ素ポリマー]
本発明では、オーバーコート層の屈折率を低下させるために、前記オーバーコート層用塗布組成物に含フッ素の重合性ポリマーを添加することができる。具体的化合物は後述の2−4−1.(1)低屈折率層で用いることのできる架橋性若しくは重合性の官能基を含有するポリマーを挙げることができる。オーバーコート層に低屈折率材料を用いる場合でも、オーバーコート層は、ハードコート層との界面でnλ/4(nはオーバーコート層の屈折率、λは観察波長、代表的には550nm)の光学干渉を利用して反射率を下げる膜厚を有する態様では使用しない。
1−1−5.ハードコート層とオーバーコート層の重合性化合物の使用方法
本発明では、オーバーコート層用塗布組成物に含有される重合性化合物の重量平均分子量(MOC)が、ハードコート層用塗布組成物に含有される重合性化合物の重量平均分子量(MHC)以上であることが、カール、耐擦傷性改良、防汚剤の固定化などの観点から好ましい。MOC/MHC比は、1.0以上100以下が好ましく、1.0以上15.0以下がより好ましく、さらに好ましくは1.1以上6.0以下である。MOC/MHC比をこの範囲に設定することで、カール、及び/又は耐擦傷性を良好に保つことができる。MOC/MHC比が1.0未満では、カールを満足する場合には、耐擦傷性と防汚性が不十分であり、耐擦傷性を満足する場合にはカールが悪化することがある。
カール改良や耐擦傷性改良に重合性化合物の高分子量化の効果は1000〜10000程度までの高分子量化が最も効果的であり、それ以上では効果が飽和する傾向にある。更に100000を超える高分子量化は重合性官能基の反応率の低下や化合物合成時の工程の煩雑さが加わり実用性が低下する。
MOCおよびMHCの値は、MOC/MHC比が、1.0以上100以下を満たせば特に限定されないが、MHCは290〜1000、かつMOCは290〜100000の組み合わせが好ましく、、MHCは290〜600、かつMOCは290〜50000の組み合わせがより好ましく、MHCは300〜600、かつMOCは300〜9000の組み合わせが最も好ましい。MHCは300〜600、かつMOCは300〜3600の組み合わせが特に好ましい。
なお、各層の重量平均分子量は、その層内に含有される1分子中に複数個の重合性官能基を有する化合物が複数の構造の化合物からなる場合には、それら構成成分の質量割合を加重平均した分子量とする。
なお、前記オーバーコート層用塗布組成物に含有される1分子中に複数個の重合性官能基を有する化合物は、単独又は複数使用されてよい。前記重合性化合物が複数存在する場合、重合性化合物の重量平均分子量は、それらの質量加重平均で平均分子量を定義する。重合性化合物の分子量は、TSKgel GMHxL、TSKgel G4000HxL、TSKgel G2000HxL(何れも東ソー(株)製の商品名)のカラムを使用したGPC分析装置により、溶媒THF、示差屈折計検出によるポリスチレン換算で算出することができる。
1−2.無機微粒子
本発明のハードコート層及びオーバーコート層は、無機微粒子を含有することができる。本発明においては、必ずしも両層に微粒子を含有することは必須ではなく、目的により両層の無機粒子の種類及び含率を調節することができる。
鉛筆硬度及びカール防止の観点からは、ハードコート層の無機微粒子含率がオーバーコート層の無機微粒子含率より大きい態様が好ましく。オーバーコート層に無機微粒子を含まない態様をとることも可能である。耐擦傷性改良の観点からは、オーバーコート層に無機微粒子を導入することが好ましい。
無機粒子としては、珪素、ジルコニウム、チタン、アルミニウム、インジウム、亜鉛、錫、アンチモンのうちより選ばれる少なくとも一つ金属の酸化物、具体例としては、SiO、ZrO、TiO、Al、In、ZnO、SnO、Sb、ITO等が挙げられる。その他BaSO、CaCO、タルクおよびカオリンなどが含まれる。また、これらが複合され形成された粒子も使用することができる。
本発明に使用する無機粒子の粒径は、分散媒体中でなるべく微細化されていることが好ましく、平均粒子径は1〜1000nmであることが好ましい。更に好ましくは5〜150nmであり、最も好ましくは10〜100nmである。無機粒子を100nm以下に微細化することで透明性を損なわないフィルムを形成できる。無機粒子の粒子径は、光散乱法や電子顕微鏡写真により測定できる。無機粒子の比表面積は、10〜400m/gであることが好ましく、20〜200m/gであることがさらに好ましく、30〜150m/gであることが最も好ましい。
本発明において、カール改良の観点からは、無機粒子含率は1〜70%、好ましくは2〜50%、更に好ましくは5〜40%である。
本発明の好ましい態様では、無機微粒子として、低屈折率粒子、導電性粒子又は高屈折粒子を用いることができる。以下それぞれについて説明する。
1−2−1.低屈折率無機微粒子
オーバーコート層には、表面の反射を低下させるため低屈折率の無機粒子を用いることが好ましい。低屈折率層の粒子としては、フッ化マグネシウムやシリカの微粒子が挙げられる。特に、屈折率、分散安定性、コストの点でシリカ微粒子が好ましい。
シリカ微粒子は、結晶質でも、アモルファスのいずれでも良く、また単分散粒子でも、所定の粒径を満たすならば凝集粒子でも構わない。形状は、球径が最も好ましいが、不定形であっても問題無い。
[表面又は内部に空孔を有する無機微粒子(シリカ粒子)]
屈折率をより低下させる目的のためには、粒子の表面及び又は内部に空孔を有する無機微粒子(好ましくはシリカ粒子)を用いることが好ましい。該空孔を有するシリカ粒子は、屈折率が1.10〜1.40が好ましく、更に好ましくは1.15〜1.35、最もに好ましくは1.17〜1.30である。ここでの屈折率は粒子全体として屈折率を表す。空孔を有するシリカの空隙率は、好ましくは10〜75%、更に好ましくは25〜70%、最も好ましくは35〜65%である。この範囲であれば、粒子自身の分散性、粒子自身の強度、塗膜の硬度が良好である。
空孔を有するシリカの製造方法は、例えば特開2001−233611や特開2002−79616に記載されている。特にシェルの内部に空洞を有している粒子で、そのシェルの細孔が閉塞されている粒子が特に好ましい。なお、これらシリカ粒子の屈折率は特開2002−79616に記載の方法で算出することができる。本発明において空孔含有シリカの比表面積は、20〜300m/gが好ましく、更に好ましくは30〜120m/g、最も好ましくは40〜90m/gである。表面積は窒素を用いBET法で求めることが出来る。
低屈折率の微粒子の平均粒径は、平均粒子径は1〜1000nmであることが好ましい。更に好ましくは5〜150nmであり、最も好ましくは10〜100nmである。平均粒子サイズの異なる粒子を併用することも好ましく、10nm〜40nmの粒子と40〜100nmの粒子を併用することが耐擦傷性の点で好ましい。低屈折率粒子の塗設量は、1mg/m〜500mg/mが好ましく、より好ましくは5mg/m〜200mg/m、更に好ましくは10mg/m〜100mg/mである。この範囲にすることで、耐擦傷性、カール、防汚性のバランスが良くなる。
本発明において中空シリカの比表面積は、20〜300m/gが好ましく、更に好ましくは30〜120m/g、最も好ましくは40〜90m/gである。表面積は窒素を用いBET法で求めることが出来る。
1−2−2.導電性粒子
本発明のフィルムには導電性を付与するために、各種の導電性粒子が使用できる。
導電性粒子は、金属の酸化物または窒化物から形成することが好ましい。金属の酸化物または窒化物の例には、酸化錫、酸化インジウム、酸化亜鉛および窒化チタンが含まれる。酸化錫および酸化インジウムが特に好ましい。導電性無機粒子は、これらの金属の酸化物または窒化物を主成分とし、さらに他の元素を含むことができる。主成分とは、粒子を構成する成分の中で最も含有量(質量%)が多い成分を意味する。他の元素の例には、Ti、Zr、Sn、Sb、Cu、Fe、Mn、Pb、Cd、As、Cr、Hg、Zn、Al、Mg、Si、P、S、B、Nb、In、Vおよびハロゲン原子が含まれる。酸化錫および酸化インジウムの導電性を高めるために、Sb、P、B、Nb、In、Vおよびハロゲン原子を添加することが好ましい。Sbを含有する酸化錫(ATO)およびSnを含有する酸化インジウム(ITO)が特に好ましい。ATO中のSbの割合は、3〜20質量%であることが好ましい。ITO中のSnの割合は、5〜20質量%であることが好ましい。
導電性無機粒子の一次粒子の平均粒子径は、1〜150nmであることが好ましく、5〜100nmであることがさらに好ましく、5〜70nmであることが最も好ましい。形成される帯電防止層中の導電性無機粒子の平均粒子径は、1〜200nmであり、5〜150nmであることが好ましく、10〜100nmであることがさらに好ましく、10〜80nmであることが最も好ましい。導電性無機粒子の平均粒子径は、粒子の質量を重みとした平均径であり、光散乱法や電子顕微鏡写真により測定できる。
導電性無機粒子の比表面積は、10〜400m/gであることが好ましく、20〜200m/gであることがより好ましく、30〜150m/gであることがさらに好ましい。
<粒子内部が多孔質または中空である導電性粒子>
本発明において用いることのできる導電性粒子のなかでも、空隙を導入することで屈折率を低下させた粒子内部が多孔質または中空である導電性粒子について説明する。発明の導電性微粒子は、粒子内部が多孔質または中空であってかつ導電性を有する微粒子である限り、如何なる組成や構造の微粒子であってもよい。本発明の好ましい導電性微粒子は、高気孔率(高空隙率)の微粒子を核としてその外側に導電性物質のシェル層を設けたコア/シェル型複合微粒子と、酸、アルカリ又は有機溶剤可溶の微粒子を核としてその外側に導電性物質のシェル層を設けて複合微粒子を形成させた後、酸、アルカリ又は有機溶剤の処理を行なって核粒子を除去して内部空孔を形成させた内部空孔型中空微粒子とが挙げられる。
いずれにおいても、核粒子は導電性であっても、非導電性であってもかまわない。
前者、すなわちコア/シェル型複合微粒子の場合、核粒子としては、高気孔率微粒子でかつシェル付け可能である限り種類を問わないが、好ましい核粒子はシリカゲル、合成又は天然ゼオライト、カーボンブラック、フラーレン、多孔酸化チタンを挙げることができる。特にシリカゲルが好ましい。
後者、すなわち内部空包型中空微粒子の場合、製造過程に用いる核粒子としては、酸、アルカリ又は有機溶剤の処理によってシェル層を通して溶解・流失可能である限り種類を問わないが、好ましい核粒子は周期律表の2A,2B,3A及び5B族元素から選ばれる金属の金属酸化物微粒子であり、中でもZnO、Y、Sb微粒子が好ましい。
コア/シェル型複合微粒子の場合、シェル付けの方法としては、金属アルコキシドを用いるゾルゲル変換法、カップリング剤又はその加水分解物を介する金属超微粒子付加法、導電性物質のドーピング法などを挙げることができる。
例えば、特開平7−133105号や特開2001−233611号に記載の方法で製造したSiO粒子表面にこれらの金属のアルコキシドなどを用いてゾルゲル法により上記無機微粒子を直接形成してもよい。
また、内部空包型中空微粒子の場合、核粒子とシェル物質の組合せとしては、ZnO、Y、Sbなどの微粒子の表面をATO、ITO、SnOなどの超微粒子もしくはこれらの薄膜で被覆したのち、内部の微粒子を酸又はアルカリ水溶液で溶出させることにより中空の導電性無機微粒子を形成する方法を用いることができる。シリカ粒子の表面を酸化アンチモンで被覆した粒子については、特開2005−119909号公報に記載されている。
一方、Au、Ag、Cu、Sn、Al、Ni、Fe、Rhなどの金属やAl−Cu、Cu−Niなどの合金は、着色しているものの1.7以下の比較的低い屈折率を有し、かつ高い導電性を示すことが知られている。したがってこれらの金属(合金)超微粒子を導電性微粒子のシェルとして少量用いることでも実質的に高い透明性を有し、かつ低い屈折率の導電性微粒子が形成できる。
本発明の中空の導電性微粒子の好ましい形態であるカップリング剤によるシェル付けによるコア/シェル型複合微粒子について説明する。
導電性微粒子は、平均粒子径が2〜100nmである半導体微粒子又は絶縁体微粒子を核粒子としてその表面に、少なくとも1種のカップリング剤もしくはその加水分解物を介して、平均粒子径1〜20nmの金属超微粒子フィラーを結合させた複合微粒子である。本発明においては上記半導体微粒子又は絶縁体微粒子の核粒子は透明でかつ屈折率1.70以下の化合物が望ましい。かかる化合物としてはAl、SiOなどが挙げられる。カップリング剤は、分子中に反応基を2つ以上有し、その中の少なくとも一つが半導体又は絶縁体微粒子と結合し、残りの少なくとも一つが金属超微粒子と結合することにより、半導体又は絶縁体微粒子と金属超微粒子との橋かけを行なうものである。カップリング剤はその加水分解物が半導体又は絶縁体微粒子と金属超微粒子との橋かけを行なうものであってもよい。
好ましいカップリング剤は下記一般式[I]で表わせる化合物である。
一般式[I]: M―(R)
一般式[I]において、MはSi又はAlを表わし、nはMの原子価に相当する整数を表す。Rは有機性基を表し、n個のRは同じでも異なっていてもよく、n個のRのうち少なくとも2つは半導体微粒子、絶縁体微粒子又は金属超微粒子と反応性を有する基である。
Rで表わされる有機性基のうち、半導体微粒子、絶縁体微粒子又は金属超微粒子と反応性を有する基としては、例えば、(1)ビニル基、アリルオキシ基、アクリロキシ基、メタクリロキシ基、イソシアナト基、ホルミル基、エポキシ基、スチリル基、ウレイド基、ハロゲンなどの反応性基、又はこれらを末端に有するアルキル基、(2)末端に−SH、−CN、−NH、−SOOH、−SOOH、−OPO(OH)、−COOHなどの吸着性の基を有するアルキル基、(3)メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、n−プロポキシ基、t−ブトキシ基、n−ブトキシ基などアルコキシ基、及び(4)フェノキシ基が挙げられる。これらのアルキル基、アルコキシ基及びフェノキシ基としては、炭素数が8以下のものが望ましい。また、これらのアルキル基、アルコキシ基及びフェノキシ基はさらに置換基を有していてもよい。Rで表わされる残りの有機性基としては任意のものでよいが、好ましくは炭素数が8以下のものである。
以下に、カップリング剤の具体例を列挙するがこれらに限定されるものではない。
N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノフェノキシジメチルビニルシラン、アミノフェニルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、ビス(トリメトキシシリルプロピル)アミン、(p−クロロメチル)フェニルトリメトキシシラン、(3−グリシドキシプロピル)トリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、(3−グリシドキシプロピル)−3−メルカプトプロピルジメトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、テトラエトキシシラン、アミノフェニルアルミニウムジメトキシド、アルミニウムイソプロポキシドなど。
金属超微粒子は、20℃における比抵抗が20μΩ・cm以下(好ましくは10μΩ・cm以下、より好ましくは6μΩ・cm以下)である金属または合金(複合金属)からなるものであることが好ましい。一般的に、金属または合金の物性値は、バルクと粒子とでは異なることが知られているが、前記比抵抗の範囲は、金属または合金のバルクの値をいう。したがって、かかる物性値は「化学便覧(日本化学会編)」、「分析化学便覧(日本分析化学会編)」などの文献に記載されている。
上記条件を満足する金属としては、Au、Ag、Cu、Zn、Cd、Al、In、Tl、Sn、Co、Ni、Fe、Pd、Ir、Mo、Pt、Ru、Rh、Wなどが挙げられる。これらの中でもAu、Ag、Cu、Pt、Pd、Ni、RuおよびSnが比抵抗が小さくかつ酸化されにくいので好ましい。前記金属超微粒子が合金からなる場合、Au、Ag、Cu、Pt、Pd、Ni、RuおよびSnの少なくとも1種含有する合金を用いるのが好ましい。かかる合金としては、Cu−Zn、Cu−Sn、Al−Cu、Cu−Sn−P、Cu−Ni、Au−Ag−Cu、Au−Zn、Au−Ni、Ag−Cu−Zn、Ag−Cu−Zn−Sn、Sn−Pb、Ag−In、Cu−Ag−Ni、Ag−Pdなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。合金中の各金属の組成比については特に制限はなく、種々選択できる。また、金属および合金は不純物元素を含んでいてもよいが、その量は1%未満であるのが好ましい。不純物元素としては、Cr、Sb、Bi、Rhなどの金属、また金属以外にも、P、B、C、N、Sなどの非金属、Na、Kなどのアルカリ金属、およびMg、Caなどのアルカリ土類金属が挙げられる。これらの不純物元素は、1種もしくは2種以上含有されていてもよい。
コア/シェル型複合微粒子は、核粒子の質量当たり、金属超微粒子が少なくとも1/10倍質量結合していることが好ましく、1/5倍質量結合していることがさらに好ましい。
本発明において導電性微粒子は、屈折率が1.20〜2.00であることが好ましく、1.30〜1.80であることがさらに好ましく、1.30〜1.70であることが特に好ましく、1.35〜1.65であることが最も好ましい。
導電性微粒子の粉体抵抗は低いほどよく、好ましくは1×10Ω・cm以下、より好ましくは1×10Ω・cm以下、さらに好ましくは1×10Ω・cm以下、特に好ましくは1×10Ω・cm以下である。粉体抵抗は、例えば試料粉体を9.8MPa(100kg/cm)の圧力で成形して、圧粉体とし、その直流抵抗を測定して求めることができる。例えば、特開平6−92636に記載されている。
導電性微粒子の一次粒子の平均粒子径は可視光波長領域以下(すなわち400nm以下)であることが必要であるが、1〜200nmであることが好ましく、より好ましくは1〜100nm、さらに好ましくは1〜80nmである。粒子が内部空包型粒子の場合、粒子の外殻を形成するシエル部の厚みは、1〜100nmが好ましく、より好ましくは1〜50nm、最も好ましくは1〜20nmである。導電性微粒子の形状は、米粒状、球形状、立方体状、紡錘形状、棒状、不定形状又はそれらの混合形状のいずれであってもよい。ここでいう平均粒子径は、それぞれの微粒子の最大径の平均値で表し、例えば紡錘状などの場合、各微粒子の長軸径の平均値を平均粒子径とする。導電性微粒子の粒子径は、電子顕微鏡写真により少なくとも1000個の粒子について測定した平均粒子径によって定義される。
1−2−3.高屈折率粒子
ハードコート層又はオーバーコート層の屈折率を調節するため、及び硬化収縮を低減するために、チタン、ジルコニウム、インジウム、亜鉛、錫、アンチモン、のうちより選ばれる少なくとも1種の金属の酸化物を含有することができる。該高屈折微粒子の平均粒子径は1〜150nmであることが好ましい。更に好ましくは1〜100nmであり、最も好ましくは2〜60nmである。
高屈折率な無機フィラーの具体例としては、TiO2、ZrO2、Al23、In23、ZnO、SnO2、Sb23、ITO、等が挙げられる。TiO2及びZrO2が高屈折率化の点で特に好ましい。
TiOを主成分とする粒子の結晶構造は、ルチル、ルチル/アナターゼの混晶、アナターゼ、アモルファス構造が主成分であることが好ましく、特にルチル構造が主成分であることが好ましい。
TiOを主成分とする粒子に、Co(コバルト)、Al(アルミニウム)及びZr(ジルコニウム)から選ばれる少なくとも1つの元素を含有することで、TiOが有する光触媒活性を抑えることができ、本発明のフィルムの耐候性を改良することができる。
特に、好ましい元素はCo(コバルト)である。また2種類以上を併用することも好ましい。
本発明のTiOを主成分とする無機粒子は、表面処理により特開2001−166104号公報記載のごとく、コア/シェル構造を有していても良い。
1−2−4.無機粒子の表面処理
本発明で使用する無機粒子は、分散液中あるいは塗布液中で、分散安定化を図るために、あるいはバインダー成分との親和性、結合性を高めるために、プラズマ放電処理やコロナ放電処理のような物理的表面処理、界面活性剤やカップリング剤等による化学的表面処理がなされていても良い。
表面処理は、無機化合物または有機化合物の表面処理剤を用いて実施することができる。表面処理に用いる無機化合物の例には、コバルトを含有する無機化合物(CoO,Co,Coなど)、アルミニウムを含有する無機化合物(Al,Al(OH)など)、ジルコニウムを含有する無機化合物(ZrO,Zr(OH)など)、ケイ素を含有する無機化合物(SiOなど)、鉄を含有する無機化合物(Feなど)などが含まれる。
コバルトを含有する無機化合物、アルミニウムを含有する無機化合物、ジルコニウムを含有する無機化合物が特に好ましく、コバルトを含有する無機化合物、Al(OH)、Zr(OH)が最も好ましい。
表面処理に用いる有機化合物の例には、ポリオール、アルカノールアミン、ステアリン酸、シランカップリング剤およびチタネートカップリング剤が含まれる。シランカップリング剤が最も好ましい。特にシランカップリング剤(オルガノシラン化合物)、その部分加水分解物、およびその縮合物の少なくとも一種で表面処理されていることが好ましい。
チタネートカップリング剤としては、例えば、テトラメトキシチタン、テトラエトキシチタン、テトライソプロポキシチタンなどの金属アルコキシド、プレンアクト(KR−TTS、KR−46B、KR−55、KR−41Bなど;味の素(株)製)などが挙げられる。
表面処理に用いる有機化合物の例には、ポリオール、アルカノールアミン、その他アニオン性基を有する有機化合物などが好ましく、特に好ましいのは、カルボキシル基、スルホン酸基、又は、リン酸基を有する有機化合物である。ステアリン酸、ラウリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸などが好ましく用いることができる。
表面処理に用いる有機化合物は、さらに、架橋又は重合性官能基を有することが好ましい。架橋、又は、重合性官能基としては、ラジカル種による付加反応・重合反応が可能なエチレン性不飽和基(例えば(メタ)アクリル基、アリル基、スチリル基、ビニルオキシ基等)、カチオン重合性基(エポキシ基、オキセタニル(oxetanyl)基、ビニルオキシ基等)、重縮合反応性基(加水分解性シリル基等、N−メチロール基)等が挙げられ、好ましくはエチレン性不飽和基を有する基である。
これらの表面処理は、2種類以上を併用することもでき、アルミニウムを含有する無機化合物とジルコニウムを含有する無機化合物を併用することが、特に好ましい。
無機粒子がシリカである場合、カップリング剤の使用が特に好ましい。カップリング剤としては、アルコキシメタル化合物(例、チタンカップリング剤、シランカップリング剤)が好ましく用いられる。なかでも、シランカップリング処理が特に有効である。
上記カップリング剤は、低屈折率層の無機フィラーの表面処理剤として該層塗布液調製以前にあらかじめ表面処理を施すために用いられるが、該層塗布液調製時にさらに添加剤として添加して該層に含有させることが好ましい。
シリカ微粒子は、表面処理前に、媒体中に予め分散されていることが、表面処理の負荷軽減のために好ましい。
本発明に好ましく用いることのできる表面処理剤および表面処理用の触媒の具体的化合物は、例えば、WO2004/017105号に記載のオルガノシラン化合物および触媒を挙げることができる。
1−3.オルガノシラン化合物
本発明のフィルムを構成する層のうちの少なくとも1層は、その層を形成する塗布液中に、オルガノシラン化合物及び/又はその加水分解物及び/又はその部分縮合物の少なくとも一種の成分、いわゆるゾル成分(以降このように称する場合もある)を含有することが耐擦傷性の点で好ましい。
オルガノシラン化合物は、下記一般式1で表されるものが好ましい。
一般式1:(R−Si(X)4−m
上記一般式1において、R1は置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基を表す。アルキル基としては、炭素数1〜30のアルキル基か好ましく、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは1〜6のものである。アルキル基の具体例として、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ヘキシル、デシル、ヘキサデシル等が挙げられる。アリール基としてはフェニル、ナフチル等が挙げられ、好ましくはフェニル基である。
Xは、水酸基または加水分解可能な基を表し、例えばアルコキシ基(炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましい。例えばメトキシ基、エトキシ基等が挙げられる)、ハロゲン原子(例えばCl、Br、I等)、及びRCOO(Rは水素原子または炭素数1〜6のアルキル基が好ましい。例えばCHCOO、CCOO等が挙げられる)で表される基が挙げられ、好ましくはアルコキシ基であり、特に好ましくはメトキシ基またはエトキシ基である。
mは1〜3の整数を表し、好ましくは1〜2である。
Xが複数存在するとき、複数のXはそれぞれ同じであっても異なっていても良い。
1に含まれる置換基としては特に制限はないが、ハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素等)、水酸基、メルカプト基、カルボキシル基、エポキシ基、アルキル基(メチル、エチル、i−プロピル、プロピル、t−ブチル等)、アリール基(フェニル、ナフチル等)、芳香族ヘテロ環基(フリル、ピラゾリル、ピリジル等)、アルコキシ基(メトキシ、エトキシ、i−プロポキシ、ヘキシルオキシ等)、アリールオキシ(フェノキシ等)、アルキルチオ基(メチルチオ、エチルチオ等)、アリールチオ基(フェニルチオ等)、アルケニル基(ビニル、1−プロペニル等)、アシルオキシ基(アセトキシ、アクリロイルオキシ、メタクリロイルオキシ等)、アルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル、エトキシカルボニル等)、アリールオキシカルボニル基(フェノキシカルボニル等)、カルバモイル基(カルバモイル、N−メチルカルバモイル、N,N−ジメチルカルバモイル、N−メチル−N−オクチルカルバモイル等)、アシルアミノ基(アセチルアミノ、ベンゾイルアミノ、アクリルアミノ、メタクリルアミノ等)等が挙げられ、これら置換基は更に置換されていても良い。
1は置換アルキル基もしくは置換アリール基であることが好ましい。中でも、下記一般式2で表されるビニル重合性の置換基を有するオルガノシラン化合物が好ましい。
一般式2
Figure 2007293301
上記一般式2において、Rは水素原子、メチル基、メトキシ基、アルコキシカルボニル基、シアノ基、フッ素原子、または塩素原子を表す。アルコキシカルボニル基としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基などが挙げられる。水素原子、メチル基、メトキシ基、メトキシカルボニル基、シアノ基、フッ素原子、および塩素原子が好ましく、水素原子、メチル基、メトキシカルボニル基、フッ素原子、および塩素原子が更に好ましく、水素原子およびメチル基が特に好ましい。
Yは単結合もしくは*−COO−**、*−CONH−**または*−O−**を表し、単結合、*−COO−**および*−CONH−**が好ましく、単結合および*−COO−**が更に好ましく、*−COO−**が特に好ましい。*は=C(R)−に結合する位置を、**はLに結合する位置を表す。
Lは2価の連結鎖を表す。具体的には、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアリーレン基、内部に連結基(例えば、エーテル、エステル、アミドなど)を有する置換もしくは無置換のアルキレン基、内部に連結基を有する置換もしくは無置換のアリーレン基が挙げられ、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアリーレン基、内部に連結基を有するアルキレン基が好ましく、無置換のアルキレン基、無置換のアリーレン基、内部にエーテルあるいはエステル連結基を有するアルキレン基が更に好ましく、無置換のアルキレン基、内部にエーテルあるいはエステル連結基を有するアルキレン基が特に好ましい。置換基は、ハロゲン、水酸基、メルカプト基、カルボキシル基、エポキシ基、アルキル基、アリール基等が挙げられ、これら置換基は更に置換されていても良い。
lはl=100−mの数式を満たす数を表し、mは0〜50の数を表す。mは0〜40の数がより好ましく、0〜30の数が特に好ましい。
〜R5は、ハロゲン原子、水酸基、無置換のアルコキシ基、もしくは無置換のアルキル基が好ましい。R〜Rは塩素原子、水酸基、無置換の炭素数1〜6のアルコキシ基がより好ましく、水酸基、炭素数1〜3のアルコキシ基が更に好ましく、水酸基もしくはメトキシ基が特に好ましい。
は水素原子、アルキル基を表す。アルキル基はメチル基、エチル基などが好ましい。Rは前述の一般式1のRと同義であり、水酸基もしくは無置換のアルキル基がより好ましく、水酸基もしくは炭素数1〜3のアルキル基が更に好ましく、水酸基もしくはメチル基が特に好ましい。
一般式1の化合物は2種類以上を併用しても良い。特に一般式2の化合物は一般式1の化合物2種類を出発原料として合成される。以下に一般式1の化合物および一般式2で表される化合物の出発原料の具体例を示すが、限定されるものではない。
Figure 2007293301
Figure 2007293301
Figure 2007293301
Figure 2007293301
Figure 2007293301
Figure 2007293301
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M-48 メチルトリメトキシシラン
上記化合物のうち、重合性基を含有するオルガノシランとしては(M−1)、(M−2)、及び(M−25)が特に好ましい。
本発明の効果を得るためには、オルガノシランの加水分解物および/またはその部分縮合物における前記ビニル重合性基を含有するオルガノシランの含有量は、30質量%〜100質量%が好ましく、50質量%〜100質量%がより好ましく、70質量%〜95質量%が更に好ましい。前記ビニル重合性基を含有するオルガノシランの含有量が30質量%より少ないと、固形分が生じたり、液が濁ったり、ポットライフが悪化したり、分子量の制御が困難(分子量の増大)であったり、重合性基の含有量が少ないために重合処理を行った場合の性能(例えば反射防止膜の耐傷性)の向上が得られにくいために好ましくない。一般式2で表される化合物を合成する場合は、前記ビニル重合性基を含有するオルガノシランとして(M−1)、(M−2)、ビニル重合性基を有さないオルガノシランとして(M−19)〜(M−21)および(M−48)の中からそれぞれ1種をそれぞれ上記の量を組み合わせて用いると好ましい。
本発明に用いられるゾル成分は上記オルガノシランを加水分解および/または部分縮合することにより調製される。
加水分解縮合反応は加水分解性基(X)1モルに対して0.05〜2.0モル、好ましくは0.1〜1.0モルの水を添加し、本発明に用いられる触媒の存在下、25〜100℃で、撹拌することにより行われる。
本発明のオルガノシランの加水分解物およびその部分縮合物の少なくともいずれかにおいて、ビニル重合性基を含有するオルガノシランの加水分解物およびその部分縮合物いずれかの重量平均分子量は、分子量が300未満の成分を除いた場合に、450〜20000が好ましく、500〜10000がより好ましく、550〜5000が更に好ましく、600〜3000が更に好ましい。
オルガノシランの加水分解物および/またはその部分縮合物における分子量が300以上の成分のうち、分子量が20000より大きい成分は10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましく、3質量%以下であることが更に好ましい。10質量%より多く含有すると、そのようなオルガノシランの加水分解物および/またはその部分縮合物を含有する硬化性組成物を硬化させて得られる硬化皮膜は、透明性や基板との密着性が劣る場合がある。
ここで、重量平均分子量及び分子量は、TSKgel GMHxL、TSKgel G4000HxL、TSKgel G2000HxL(何れも東ソー(株)製の商品名)のカラムを使用したGPC分析装置により、溶媒THF、示差屈折計検出によるポリスチレン換算で表した分子量であり、含有量は、分子量が300以上の成分のピーク面積を100%とした場合の、前記分子量範囲のピークの面積%である。
分散度(重量平均分子/数平均分子量)は3.0〜1.1が好ましく、2.5〜1.1がより好ましく、2.0〜1.1が更に好ましく、1.5〜1.1が特に好ましい。
本発明のオルガノシランの加水分解物および部分縮合物の29Si−NMR分析により一般式1のXが−OSiの形で縮合している状態を確認できる。この時、Siの3つの結合が−OSiの形で縮合している場合(T3)、Siの2つの結合が−OSiの形で縮合している場合(T2)、Siの1つの結合が−OSiの形で縮合している場合(T1)、Siが全く縮合していない場合を(T0)とした場合、縮合率α:
α=(T3×3+T2×2+T1×1)/3/(T3+T2+T1+T0)
で表され、縮合率は0.2〜0.95が好ましく、0.3〜0.93がより好ましく、0.4〜0.9がとくに好ましい。縮合率が、0.1より小さいと加水分解や縮合が十分でなく、モノマー成分が増えるため硬化が十分でなく、0.95より大きいと加水分解や縮合が進みすぎ、加水分解可能な基が消費されてしまうため、バインダーポリマー、樹脂基板、無機微粒子などの相互作用が低下してしまい、これらを用いても効果が得られにくくなる。
本発明で用いるオルガノシラン化合物の加水分解物および部分縮合物について詳細を説明する。
オルガノシランの加水分解反応、それに引き続く縮合反応は、一般に触媒の存在下で行われる。触媒としては、塩酸、硫酸、硝酸等の無機酸類;シュウ酸、酢酸、酪酸、マレイン酸、クエン酸、ギ酸、メタンスルホン酸、トルエンスルホン酸等の有機酸類;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア等の無機塩基類;トリエチルアミン、ピリジン等の有機塩基類;トリイソプロポキシアルミニウム、テトラブトキシジルコニウム、テトラブチルチタネート、ジブチル錫ジラウレート等の金属アルコキシド類;Zr、TiまたはAlなどの金属を中心金属とする金属キレート化合物等;KF、NH4Fなどの含F化合物が挙げられる。上記触媒は単独で使用しても良く、或いは複数種を併用しても良い。
上記オルガノシラン化合物の加水分解物および部分縮合物の含有量は、比較的薄膜である反射防止層の場合は少なく、厚膜であるハードコート層や防眩層の場合は多いことが好ましい。含有量は効果の発現、屈折率、膜の形状・面状等を考慮すると、含有層(添加層)の全固形分の0.1〜50質量%が好ましく、0.5〜30質量%がより好ましく、1〜15質量%が最も好ましい。
1−4.防汚性改良素材
1−4−1、反応性シリコーン又はフッ素化合物
本発明のオーバーコート層には、防汚性、耐水性、耐薬品性、滑り性等の特性を付与する目的で、公知のシリコーン系あるいはフッ素系の防汚剤、滑り剤等を適宜添加することができる。
これらの添加剤を添加する場合にはオーバーコート全固形分の0.01〜20質量%の範囲で添加されることが好ましく、より好ましくは0.05〜10質量%の範囲で添加される場合であり、特に好ましくは0.1〜5質量%の場合である。
1−4−2.[シリコーン系化合物]
次にシリコーン系化合物について説明する。
本発明では滑り性付与による耐擦傷性向上、及び防汚性の付与を目的としてポリシロキサン構造を有する化合物を用いることができる。化合物の構造は特に制限はなく、ジメチルシリルオキシ単位を繰り返し単位として複数個含む、化合物鎖の末端及び/又は側鎖に置換基を有するものが好ましい。また、ジメチルシリルオキシを繰り返し単位として含む化合物鎖中にはジメチルシリルオキシ以外の構造単位を含んでもよい。以後シリコーン系化合物と称する。
置換基は同一であっても異なっていても良く、複数個あることが好ましい。好ましい置換基の例としてはアクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、アリール基、シンナモイル基、オキセタニル基、フルオロアルキル基、ポリオキシアルキレン基、カルボキシル基、アミノ基、エポキシ基などを含む基が挙げられる。シリコーン系化合物の膜内での固定性向上、防汚性向上の観点からは、分子内に(メタ)アクリロイル基又はエポキシ基を2つ以上含有する化合物が好ましく、更に好ましくは4つ以上含有する化合物である。分子量に特に制限はないが、10万以下であることが好ましく、5万以下であることがより好ましく、3000〜30000であることが特に好ましく、5000〜20000であることが最も好ましい。シリコーン系化合物のシリコーン原子含有量には特に制限はないが18.0質量%以上であることが好ましく、25.0〜37.0質量%であることが特に好ましく、30.0〜37.0質量%であることが最も好ましい。
好ましいシリコーン系化合物の例としては信越化学(株)製、X−22−160AS、X−22−162C、X−22−163C、X−22−164B、X22−164C、X−22−170DX、X−22−173DX、X−22−174DX、X−22−176D、X−22−176DX、X−22−176F、X−22−1821、X−22−2426、KF−105、KF−6001、KF−6002、KF−6003、(以上商品名)やチッソ(株)製、FM−0411、FM−0421、FM−0425、FM−0725、FM−1121、FM−4411、FM−4421、FM−4425、FM−5511、FM−5521、FM−5525、FM−6611、FM−6621、FM−6625、FM−7725、FM−DA11、FM−DA21、FM−DA25(以上商品名)やGelest製、CMS−626、CMS−222、DMS−U22、RMS−033、RMS−083、UMS−182、DMS−H21、DMS−H31、HMS−301、FMS121、FMS123、FMS131、FMS141、FMS221(以上商品名)などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
これらの添加剤を添加する場合にはオーバーコート全固形分の0.01〜20質量%の範囲で添加されることが好ましく、より好ましくは0.05〜10質量%の範囲で添加される場合であり、特に好ましくは0.1〜5質量%の場合である。
1−4−3.含フッ素化合物
防汚剤として用いられるフッ素系化合物としては、フルオロアルキル基を有する化合物が好ましい。該フルオロアルキル基は炭素数1〜20であることが好ましく、より好ましくは1〜10であり、直鎖(例えば−CFCF,−CH(CFH,−CH(CFCF,−CHCH(CFH等)であっても、分岐構造(例えばCH(CF,CHCF(CF,CH(CH)CFCF,CH(CH)(CFCFH等)であっても、脂環式構造(好ましくは5員環または6員環、例えばパーフルオロシクロへキシル基、パーフルオロシクロペンチル基またはこれらで置換されたアルキル基等)であっても良く、エーテル結合を有していても良い(例えばCH2OCHCFCF,CHCHOCHH,CHCHOCHCH17,CHCHOCFCFOCFCFH等)。該フルオロアルキル基は同一分子中に複数含まれていてもよい。
フッ素系化合物は、さらにオーバーコート層皮膜との結合形成あるいは相溶性に寄与する置換基を有していることが好ましい。該置換基は同一であっても異なっていても良く、複数個あることが好ましい。好ましい置換基の例としてはアクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、アリール基、シンナモイル基、エポキシ基、オキセタニル基、水酸基、ポリオキシアルキレン基、カルボキシル基、アミノ基などが挙げられる。フッ素系化合物はフッ素原子を含まない化合物とのポリマーであってもオリゴマーであってもよく、分子量に特に制限はない。フッ素系化合物のフッ素原子含有量には特に制限は無いが20質量%以上であることが好ましく、30〜70質量%であることが特に好ましく、40〜70質量%であることが最も好ましい。好ましいフッ素系化合物の例としてはダイキン化学工業(株)製、R−2020、M−2020、R−3833、M−3833(以上商品名)、大日本インキ(株)製、メガファックF−171、F−172、F−179A、ディフェンサMCF−300(以上商品名)などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
オーバーコート層の防汚性の向上、塗膜の耐擦傷性改良の観点からは、(メタ)アクリレート基を有する含フッ素化合物が特に好ましい。以下好ましい構造について説明する。
[フッ素原子を含むテロマー型アクリレート]
フッ素原子を含むテロマー型アクリレート例えば下記一般式(T−1)で示される重合度nがk以上である含フッ素(メタ)アクリル酸エステルの混合物(以下、「フッ素原子を含むテロマー型アクリレート」あるいは単に「テロマー」とも呼ぶ)である。この混合物は、重合度nがそれぞれk、k+1、k+2、...であるテロマーの混合物である。尤も、この混合物は、テロメリゼーションの条件および反応混合物の分離条件等によって、nがkより小さいテロマー等を不可避的に含むことがある。
防汚剤としての上記硬化性樹脂の具体的な例としては、下記一般式(T−1)の基Rf(CF2CF2)nR2CH2CH2O−のnがそれぞれk、k+1、k+2、...である複数の含フッ素(メタ)アクリル酸エステルを含む混合物である。
一般式(T−1): Rf(CF2CF2nCH2CH22OCOCR1=CH2
式中、Rfは、炭素数が1〜10であるフルオロアルキル基のいずれかを示し、R1は水素原子またはメチル基を示し、R2は単結合またはアルキレン基を示し、nは重合度を示す整数であり、重合度nはk(kは3以上の整数のいずれかを示す)以上である。一般式(T−1)におけるフッ素原子を含むテロマー型アクリレートとしては、(メタ)アクリル酸の部分または完全フッ素化アルキルエステル誘導体類等が挙げられる。
本発明に用いられるフッ素原子を含むテロマー型アクリレートの具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるわけではない。
Figure 2007293301
[炭素数10のフルオロアルキル基を有するアクリレート]
本発明では、好ましい含フッ素防汚剤として以下の一般式(T−2)で表される化合物が挙げられる。
一般式(T−2)
Figure 2007293301
(式中、X及びYは(メタ)アクリロイルオキシ基又は水酸基のいずれかであり、少なくとも一方は(メタ)アクリロイルオキシ基である。)
一般式(T−2)で表される含フッ素(メタ)アクリル酸エステルは、この末端にトリフルオロメチル基(CF3−)をもつ炭素数10のフルオロアルキル基を有しており、この含フッ素(メタ)アクリル酸エステルは少量でもトリフルオロメチル基が表面に有効に配向される。フルオロアルキルの炭素数が少ないとオーバーコート層表面への配向性が低下する傾向にある。炭素数11以上のフルオロアルキル基を有する含フッ素(メタ)アクリル酸エステルは、製造や入手が困難である。
一般式(T−2)で表される含フッ素(メタ)アクリル酸エステルの具体例としては、1−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシ−4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,11,11,12,12,13,13,13−ヘンエイコサフルオロトリデカン、2−(メタ)アクリロイルオキシ−1−ヒドロキシ−4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,11,11,12,12,13,13,13−ヘンエイコサフルオロトリデカン及び1,2−ビス(メタ)アクリロイルオキシ4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,11,11,12,12,13,13,13−ヘンエイコサフルオロトリデカン等が挙げられる。
[パーフルオロポリエーテル基を有するアクリレート]
本発明において、防汚性に加えて表面の滑り性向上にも特に有用な材料として、パーフルオロポリエーテル基含有アクリレート系化合物をあげることができる。なかでも、ヘプタフルオロプロピレンオキサイド基含有アクリレートが好ましい。化合物例を以下に挙げるが、これらに限定されるものではない。
(FC-1) :HFPO-C(O)N(H)CH2CH20C(O)CH=CH2
(FC-2) :HFPO-C(O)N(H)CH2CH20CH2CH20C(O)CH=CH2
(FC-3) :HFPO-C(O)N(H)CH2CH2CH2N(H)CH3と TMPTAの等モルのマイケル付加物(FC-4) :HFPO-C(O)N(H)C(CH20C(O)CH=CH2)2CH2CH3
(FC-5) :HFPO-C(O)N(H)C(CH20C(O)CH=CH2)2H
ここで、HFPO-は、 F(CF(CF3)CF20)aCF(CF3)- を表し、sの平均値は 6 〜 7(例えば 6.3)である。TMPTAはトリメチロールプロパントリアクリレートを表す。
これら化合物の合成方法については、国際特許公報WO2005/113690に記載されている。これらの添加剤を添加する場合にはオーバーコート全固形分の0.01〜20質量%の範囲で添加されることが好ましく、より好ましくは0.05〜15質量%の範囲で添加される場合であり、特に好ましくは0.1〜10質量%の場合である。
1−5.透光性粒子
本発明の態様の内、ハードコート層又はオーバーコート層の少なくとも1層が光拡散層であることが好ましい。両層のうち光拡散層はどちらでもかまわないが、ハードコート層が光拡散層である態様が特に好ましい。光を拡散させる方法の1つの好ましい態様として、透光性粒子と透光性樹脂から光拡散層を形成することができる。透光性粒子と透光性樹脂により散乱光プロファイル及びヘイズ値を調整する。本発明では、1種類の粒子を用いるほかに、2種類以上の粒径およびまたは材質の透光性微粒子を用いることが好ましい。
透光性微粒子の屈折率と、光拡散層全体を構成する透光性樹脂の屈折率(前述の層の屈折率調整のために無機微粒子、等を透光性樹脂に添加した場合は、その光学的な平均屈折率)との差が0.03乃至0.30であることが好ましい。屈折率差が0.03未満の場合は、両者の屈折率の差が小さすぎて、光拡散効果を得にくく、屈折率差が0.30よりも大きい場合は、光拡散性が大きすぎて、フィルム全体が白化する。屈折率差は、0.06乃至0.25がより好ましく、0.09乃至0.20が最も好ましい。
本発明における、拡散効果付与を主目的とする(表示品位を上げる(視角特性改善))ための透光性微粒子(第1の透光性微粒子)の粒子径は、0.5から3.5μmであり、0.5μm乃至2.0μmであることがより好ましい。粒子径の調整により、光散乱の角度分布を得ることができる。
本発明に好適な光拡散層は、前記透光性粒子と光拡散層全体を構成する透光性樹脂との屈折率差と透光性微粒子の粒径との適切な組み合わせにして調整することが、視角特性と白化(ボケ)を両立させる点で特に好ましい。
拡散効果が大きければ大きい程、視角特性は向上する。しかし、表示品位という点で正面の明るさを維持するためには、出来る限り透過率を高めることも必要である。前記粒子径を0.5μm以下とした場合、散乱の効果が大きく、視角特性は向上するが、後方散乱が大きくなり明るさの減少が大きい。一方、2.0μm以上とした場合は、散乱効果が小さくなり、視角特性の向上は小さくなっていく。従って、前記粒子径は、0.6μm乃至1.8μmが好ましく、0.7μm乃至1.6μmが最も好ましい。
また、拡散効果付与を主目的としない透光性微粒子(第2の透光性微粒子)をさらに添加することも好ましい。拡散フィルムの表面に凹凸を設け、映り込み防止機能を設ける等に用いられる。第2の透光性微粒子の粒子径は第1の透光性粒子の粒子径より大きいことが好ましく、2.5μm乃至10.0μmであることが更に好ましい。これにより、好適な表面散乱を付与することができ、防眩性を付与することができる。良好な表示品位を達成するには、外光の写り込みを防止する事も必要である。表面のヘイズ値が低いほど外光による白ちゃけ感が小さくなり、明瞭なディスプレイ表示を得ることができるが、表面ヘイズ値が低すぎると、映り込みが大きくなるため、最外層に光拡散層の屈折率よりも低い屈折率の低屈折率層を設け、低反射率化する等が必要になる。表面ヘイズ値を制御するには、第2の透光性微粒子により樹脂層表面に適度な凹凸を設けることが好ましいが、この限りではない。粒子径を2.5μm以下にした場合、所望の表面凹凸を設ける場合に、層の厚みを薄くせざるを得ず、膜硬度の点で好ましくなく、一方、10μm以上にした場合、粒子1個1個の重量が大きくなるため、塗布液中の粒子沈降安定性の点で必ずしも好ましくない。従って、第2の透光性微粒子の粒子径は、2.7μm乃至9μmが好ましく、3μm乃至8μmが最も好ましい。
表面に凹凸を形成するために、上記の第1及び/又は第2の粒子を凝集させることもできる。各微粒子が均一に分散している場合に比較して、多様な表面構造を形成することが可能となる。凝集の粒子数としては、2〜100個が好ましく、より好ましくは5〜50個である。これら粒子は、光学フィルム内で支持体と平行な同一平面に存在しても良いが、3次元的に立体構造をとることが凹凸の形成に有効である。これら粒子の凝集体は、一定間隔又はランダムにフィルム内に存在することができる。
第2の透光性粒子の屈折率は光拡散層全体を構成する透光性樹脂の屈折率との差が第1の透光性粒子より小さいことが好ましい。該第2の透光性粒子の屈折率と、光拡散層を構成する透光性樹脂の屈折率との屈折率差は、0.00〜0.20が好ましく、更に好ましくは0.00〜0.09である。
表面凸凹は、表面粗さRaが0.5μm以下であることが好ましく、0.3μm以下であることが更に好ましく、最も好ましくは、0.2μm以下である。表面粗さRa(中心線平均粗さ)の測定は、JIS−B0601に準じて行える。
光拡散層のヘイズ値、特に透過光の拡散に寄与が大きい内部散乱へイズ(内部ヘイズ)は、視角特性改良効果と強い相関関係がある。バックライトから出射された光が視認側の偏光板表面に設置された光拡散層で拡散されることにより、視角特性が改善される。しかし、拡散されすぎると正面輝度が減少するため、光拡散層の内部ヘイズは、45%以上80%以下が好ましく、45%以上70%以下がより好ましく、45%以上60%以下が特に好ましい。内部散乱へイズを上昇させる方法として、拡散性付与を目的とする透光性微粒子の粒子濃度を上げる、もしくは、塗布膜厚を上げる、さらには、粒子と樹脂の屈折率差を大きくするなどの方法がある。
本発明における、表示品位を上げる(視角特性改善)ためには、ゴニオフォトメータの散乱光プロファイルの出射角0°の光強度に対する30°の散乱光強度は特定の範囲内にするのが特に好ましい。ゴニオフォトメータの散乱光プロファイルの出射角0°の光強度に対する30°の散乱光強度は、視覚特性の点から0.05%以上が好ましく、正面輝度をあまり下げない点からは0.3%以下が好ましい。従って、本発明の光散乱層は0.05〜0.3%であることが好ましく、0.05〜0.2%であることがより好ましく、0.05〜0.15%であることが特に好ましい。上記の内部ヘイズの好ましい範囲と同時に満たすことが更に好ましい。
本発明の偏光板の表面散乱起因のヘイズ(表面ヘイズ)は、映り込み低減と白茶け感低減の両立の観点から、0.1〜30%が好ましく、10%以下が更に好ましく、5%以下が特に好ましい。外光による白茶け感低減を重視するのであれば、4%以下が好ましく、2%以下が更に好ましい。表面ヘイズを低減すると映り込みが大きくなるため、低屈折率層を設け、5度入射における積分反射率の450nmから650nmまでの波長領域での平均値を3.0%以下にすることが好ましく、2.0%以下がより好ましく、最も好ましくは1.0%以下である。本発明における、表示品位を上げる(視角特性改善)ことに関しては、前述の内部散乱性の調整が必要であるが、同時に表面ヘイズおよび/または反射率を好適な範囲にすることで、明室下でのコントラストが改善され、最も好ましい効果を発現できる。
前記透光性微粒子は、単分散の有機微粒子であっても、無機微粒子であってもよい。粒径にばらつきがないほど、散乱特性にばらつきが少なくなり、曇価の設計が容易となる。前記透光性微粒子としては、プラスチックビーズが好適であり、特に透明度が高く、透光性樹脂との屈折率差が前述のような数値になるものが好ましい。有機微粒子としては、ポリメチルメタクリレートビーズ(屈折率1.49)、アクリル−スチレン共重合体ビーズ(屈折率1.54)、メラミンビーズ(屈折率1.57)、ポリカーボネートビーズ(屈折率1.57)、スチレンビーズ(屈折率1.60)、架橋ポリスチレンビーズ(屈折率1.61)、ポリ塩化ビニルビーズ(屈折率1.60)、ベンゾグアナミン−メラミンホルムアルデヒドビーズ(屈折率1.68)等が用いられる。無機微粒子としては、シリカビーズ(屈折率1.44〜1.46)、アルミナビーズ(屈折率1.63)等が用いられる。透光性微粒子は、透光性樹脂100質量部に対して5〜30質量部含有させるとよい。
上記のような透光性微粒子の場合には、樹脂組成物(透光性樹脂)中で透光性微粒子が沈降し易いので、沈降防止のためにシリカ等の無機フィラーを添加してもよい。なお、無機フィラーは添加量が増す程、透光性微粒子の沈降防止に有効であるが、塗膜の透明性に悪影響を与える。従って、好ましくは、粒径0.5μm以下の無機フィラーを、透光性樹脂に対して塗膜の透明性を損なわない程度に、0.1質量%未満程度含有させるとよい。
透光性樹脂としては、主として紫外線・電子線によって硬化する樹脂、即ち、電離放射線硬化型樹脂、電離放射線硬化型樹脂に熱可塑性樹脂と溶剤を混合したもの、熱硬化型樹脂の3種類が使用される。ハードコート性を付与するためには、電離放射線硬化型樹脂が主成分であることが好ましい。光拡散層の厚さは通常1.5μm〜30μm、好ましくは3μm〜20μmとすると良い。光拡散層がハードコート層としての機能を兼ねる場合が一般的であるが、光拡散層の厚さが1.5μmよりも薄くなると、ハードコート性が十分でなくなる方向であり、一方、30μmよりも厚くなると、カールや脆性の点で好ましくない方向である。透光性樹脂の屈折率は、低屈折率層を設ける場合は、好ましくは1.46〜2.00であり、より好ましくは1.48〜1.90であり、更に好ましくは1.50〜1.80である。なお、透光性樹脂の屈折率は、透光性微粒子を含まずに測定した光拡散層平均の値である。光拡散層の屈折率が小さすぎると反射防止性が低下する。大きすぎると、反射光の色味が強くなり、好ましくない方向である。この点から上記範囲が好ましい。光拡散層の屈折率の設定は、反射防止性と反射光色味の点から所望の値に設定する
1―6.重合開始剤
[光開始剤]
光ラジカル重合開始剤としては、アセトフェノン類、ベンゾイン類、ベンゾフェノン類、ホスフィンオキシド類、ケタール類、アントラキノン類、チオキサントン類、アゾ化合物、過酸化物類(特開2001−139663号等)、2,3−ジアルキルジオン化合物類、ジスルフィド化合物類、フルオロアミン化合物類、芳香族スルホニウム類、ロフィンダイマー類、オニウム塩類、ボレート塩類、活性エステル類、活性ハロゲン類、無機錯体、クマリン類などが挙げられる。
アセトフェノン類の例には、2,2−ジメトキシアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアセトフェノン、1−ヒドロキシ−ジメチルフェニルケトン、1−ヒドロキシ−ジメチル−p−イソプロピルフェニルケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−4−メチルチオ−2−モルフォリノプロピオフェノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン、4−フェノキシジクロロアセトフェノン、4−t−ブチル−ジクロロアセトフェノン、が含まれる。
活性ハロゲン類としては、具体的には、若林 等の“Bull Chem.Soc Japan”42巻、2924頁(1969年)、米国特許第3,905,815号明細書、特開平5−27830号、M.P.Hutt“Jurnal of Heterocyclic Chemistry”1巻(3号),(1970年)等に記載の化合物が挙げられ、特に、トリハロメチル基が置換したオキサゾール化合物:s−トリアジン化合物が挙げられる。より好適には、少なくとも一つのモノ、ジまたはトリハロゲン置換メチル基がs−トリアジン環に結合したs−トリアジン誘導体が挙げられる。具体的な例にはS−トリアジンやオキサチアゾール化合物が知られており、2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−s−トリアジン、2−(p−スチリルフェニル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−s−トリアジン、2−(3−Br−4−ジ(エチル酢酸エステル)アミノフェニル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−s−トリアジン、2−トリハロメチル−5−(p−メトキシフェニル)−1,3,4−オキサジアゾールが含まれる。具体的には特開昭58−15503のp14〜p30、特開昭55−77742のp6〜p10、特公昭60−27673のp287記載のNo.1〜No.8、特開昭60−239736のp443〜p444のNo.1〜No.17、US−4701399のNo.1〜19などの化合物が特に好ましい。
上記活性ハロゲン類の具体例は以下の通りである。
Figure 2007293301
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これらの開始剤は単独でも混合して用いても良い。「最新UV硬化技術」,(株)技術情報協会,1991年,p.159、及び、「紫外線硬化システム」 加藤清視著、平成元年、総合技術センター発行、p.65〜148にも種々の例が記載されており本発明に有用である。
市販の光ラジカル重合開始剤としては、日本化薬(株)製のKAYACURE(DETX−S,BP−100,BDMK,CTX,BMS,2−EAQ,ABQ,CPTX,EPD,ITX,QTX,BTC,MCAなど)、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製のイルガキュア(651,184,500,819,907,369,1173,1870,2959,4265,4263など)、サートマー社製のEsacure(KIP100F,KB1,EB3,BP,X33,KT046,KT37,KIP150,TZT)等およびそれらの組み合わせが好ましい例として挙げられる。
光重合開始剤は、多官能モノマー100質量部に対して、0.1〜15質量部の範囲で使用することが好ましく、より好ましくは1〜10質量部の範囲である。
<光増感剤>
光重合開始剤に加えて、光増感剤を用いてもよい。光増感剤の具体例として、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン、ミヒラーケトンおよびチオキサントン、などを挙げることができる。
更にアジド化合物、チオ尿素化合物、メルカプト化合物などの助剤を1種以上組み合わせて用いてもよい。
市販の光増感剤としては、日本化薬(株)製のKAYACURE(DMBI,EPA)などが挙げられる。
<熱開始剤>
熱ラジカル開始剤としては、有機あるいは無機過酸化物、有機アゾ及びジアゾ化合物等を用いることができる。
具体的には、有機過酸化物として過酸化ベンゾイル、過酸化ハロゲンベンゾイル、過酸化ラウロイル、過酸化アセチル、過酸化ジブチル、クメンヒドロぺルオキシド、ブチルヒドロぺルオキシド、無機過酸化物として、過酸化水素、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム等、アゾ化合物として2,2‘−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(プロピオニトリル)、1,1‘−アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)等、ジアゾ化合物としてジアゾアミノベンゼン、p−ニトロベンゼンジアゾニウム等が挙げられる。
本発明では上述した熱酸発生剤の他に光照射により酸を発生する化合物、すなわち感光性酸発生剤をさらに添加しても良い。該感光性酸発生剤は当該硬化性樹脂組成物の塗膜に感光性を付与し、例えば、光等の放射線を照射することによって当該塗膜を光硬化させることを可能にする物質である。この感光性酸発生剤としては、例えば、(1)ヨードニウム塩、スルホニウム塩、ホスホニウム塩、ジアゾニウム塩、アンモニウム塩、ピリジニウム塩等の各種オニウム塩;(2)β−ケトエステル、β−スルホニルスルホンとこれらのα−ジアゾ化合物等のスルホン化合物;(3)アルキルスルホン酸エステル、ハロアルキルスルホン酸エステル、アリールスルホン酸エステル、イミノスルホネート等のスルホン酸エステル類;(4)スルホンイミド化合物類;(5)ジアゾメタン化合物類;その他を挙げることができ、適宜使用することができる。
感光性酸発生剤は、単独で、又は2種以上を併用することができ、さらに前記熱酸発生剤と併用することもできる。感光性酸発生剤の使用割合は、硬化性樹脂組成物中の含フッ素ポリマー100質量部に対して、好ましくは0〜20質量部、さらに好ましくは0.1〜10質量部である。感光性酸発生剤の割合が該上限値以下であれば、得られる硬化膜の強度が優れたものとなり、透明性も良好なので好ましい。
感光性酸発生剤の使用割合は、硬化性樹脂組成物100質量部に対して、好ましくは0.01〜10質量部、さらに好ましくは0.1〜5重量部である。
その他、具体的な化合物や使用法として、例えば特開2005―43876号記載の内容などを用いることができる。
1−7.界面活性剤
本発明のフィルムには、特に塗布ムラ、乾燥ムラ、点欠陥等の面状均一性を確保するために、フッ素系、シリコーン系の何れかの界面活性剤、あるいはその両者を光拡散層形成用の塗布組成物中に含有することが好ましい。特にフッ素系の界面活性剤は、より少ない添加量において、塗布ムラ、乾燥ムラ、点欠陥等の面状故障を改良する効果が現れるため、好ましく用いることができる。面状均一性を高めつつ、高速塗布適性を持たせることにより生産性を高めることができる。
フッ素系の界面活性剤の好ましい例としては、フルオロ脂肪族基含有共重合体(「フッ素系ポリマー」と略記することもある)が挙げられ、該フッ素系ポリマーは、下記(i)のモノマーに相当する繰り返し単位を含む、あるいは下記(ii)のモノマーに相当する繰り返し単位を含むアクリル樹脂、メタアクリル樹脂、及びこれらに共重合可能なビニル系モノマーとの共重合体が有用である。
(i)下記一般式イで表されるフルオロ脂肪族基含有モノマー
一般式イ
Figure 2007293301
一般式イにおいて、R11は水素原子またはメチル基を表し、Xは酸素原子、イオウ原子または−N(R12)−を表し、mは1以上6以下の整数、nは2〜4の整数を表す。R12は水素原子または炭素数1〜4のアルキル基、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基を表し、好ましくは水素原子またはメチル基である。Xは酸素原子が好ましい。
(ii)前記(i)と共重合可能な下記一般式ロで示されるモノマー
一般式ロ
Figure 2007293301
一般式ロにおいて、R13は水素原子またはメチル基を表し、Yは酸素原子、イオウ原子または−N(R15)−を表し、R15は水素原子または炭素数1〜4のアルキル基、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基を表し、好ましくは水素原子またはメチル基である。Yは酸素原子、−N(H)−、および−N(CH)−が好ましい。
14は置換基を有しても良い炭素数4以上20以下の直鎖、分岐または環状のアルキル基を表す。R14のアルキル基の置換基としては、水酸基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、カルボキシル基、アルキルエーテル基、アリールエーテル基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子などのハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、アミノ基等があげられるがこの限りではない。炭素数4以上20以下の直鎖、分岐または環状のアルキル基としては、直鎖及び分岐してもよいブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、オクタデシル基、エイコサニル基等、また、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等の単環シクロアルキル基及びビシクロヘプチル基、ビシクロデシル基、トリシクロウンデシル基、テトラシクロドデシル基、アダマンチル基、ノルボルニル基、テトラシクロデシル基、等の多環シクロアルキル基が好適に用いられる。
本発明で用いられるフッ素系ポリマー中に用いられるこれらの一般式イで示されるフルオロ脂肪族基含有モノマーの量は、該フッ素系ポリマーの各単量体に基づいて10モル%以上であり、好ましくは15〜70モル%であり、より好ましくは20〜60モル%の範囲である。
本発明で用いられるフッ素系ポリマーの好ましい質量平均分子量は、3000〜100,000が好ましく、5,000〜80,000がより好ましい。
本発明で用いられるフッ素系ポリマーの好ましい添加量は、塗布液に対して0.001〜5質量%の範囲であり、好ましくは0.005〜3質量%の範囲であり、更に好ましくは0.01〜1質量%の範囲である。フッ素系ポリマーの添加量が0.001質量%未満では効果が不十分であり、また5質量%より多くなると、塗膜の乾燥が十分に行われなくなったり、塗膜としての性能(例えば反射率、耐擦傷性)に悪影響を及ぼす。また、発明においては、ハードコート層及びオーバーコート層ともに界面活性剤を含有することができるが、ハードコート層中の絶対含有量がオーバーコート層中の絶対含有量よりも少ないことが2層を重ねたときの面状安定性の点で好ましい。また、後述のように2層を同時に塗設する場合には、ハードコート層中の界面活性剤の量は少ないほうが好ましく、特に添加しない態様をとることもできる。
1−8.増粘剤
本発明のフィルムは、塗布液の粘度を調整するために増粘剤を用いてもよい。ここでいう増粘剤とは、それを添加することにより液の粘度が増大するものを意味し、添加することにより塗布液の粘度が上昇する大きさとして好ましくは0.05〜50cP(0.05〜50mPa.s)であり、さらに好ましくは0.10〜20cP(0.1〜20mPa.s)であり、最も好ましくは0.10〜10cP(0.10〜10mPa.s)である。
このような増粘剤としては以下のものが挙げられるが、これに限定されない。
ポリ−ε−カプロラクトン、ポリ−ε−カプロラクトン ジオール、ポリ−ε−カプロラクトン トリオール、ポリビニルアセテート、ポリ(エチレン アジペート)、ポリ(1,4−ブチレン アジペート)、ポリ(1,4−ブチレン グルタレート)、ポリ(1,4−ブチレン スクシネート)、ポリ(1,4−ブチレン テレフタレート)、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(2−メチル−1,3−プロピレンアジペート)、ポリ(2−メチル−1,3−プロピレン グルタレート)、ポリ(ネオペンチルグリコールアジペート)、ポリ(ネオペンチルグリコール セバケート)、ポリ(1,3−プロピレンアジペート)、ポリ(1,3−プロピレン グルタレート)、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルアセタール、ポリビニルプロパナール、ポリビニルヘキサナール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、セルロースアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースアセテートブチレート。
この他にも、特開平8−325491号記載のスメクタイト、フッ素四珪素雲母、ベントナイト、シリカ、モンモリロナイト及びポリアクリル酸ソーダ、特開平10−219136エチルセルロース、ポリアクリル酸、有機粘土など、公知の粘度調整剤やチキソトロピー性付与剤を使用することが出来る。
1−9.塗布溶剤
本発明の各層を形成するための塗布組成物に用いられる溶剤としては、各成分を溶解または分散可能であること、塗布工程、乾燥工程において均一な面状となり易いこと、液保存性が確保できること、適度な飽和蒸気圧を有すること、等の観点で選ばれる各種の溶剤が使用できる。
溶媒は2種類以上のものを混合して用いることができる。特に、乾燥負荷の観点から、常圧室温における沸点が100℃以下の溶剤を主成分とし、乾燥速度の調整のために沸点が100℃以上の溶剤を少量含有することが好ましい。
沸点が100℃以下の溶剤としては、例えば、ヘキサン(沸点68.7℃)、ヘプタン(98.4℃)、シクロヘキサン(80.7℃)、ベンゼン(80.1℃)などの炭化水素類、ジクロロメタン(39.8℃)、クロロホルム(61.2℃)、四塩化炭素(76.8℃)、1,2−ジクロロエタン(83.5℃)、トリクロロエチレン(87.2℃)などのハロゲン化炭化水素類、ジエチルエーテル(34.6℃)、ジイソプロピルエーテル(68.5℃)、ジプロピルエーテル(90.5℃)、テトラヒドロフラン(66℃)などのエーテル類、ギ酸エチル(54.2℃)、酢酸メチル(57.8℃)、酢酸エチル(77.1℃)、酢酸イソプロピル(89℃)などのエステル類、アセトン(56.1℃)、2−ブタノン(メチルエチルケトンと同じ、79.6℃)などのケトン類、メタノール(64.5℃)、エタノール(78.3℃)、2−プロパノール(82.4℃)、1−プロパノール(97.2℃)などのアルコール類、アセトニトリル(81.6℃)、プロピオニトリル(97.4℃)などのシアノ化合物類、二硫化炭素(46.2℃)などがある。このうちケトン類、エステル類が好ましく、特に好ましくはケトン類である。ケトン類の中では2−ブタノンが特に好ましい。
沸点が100℃以上の溶剤としては、例えば、オクタン(125.7℃)、トルエン(110.6℃)、キシレン(138℃)、テトラクロロエチレン(121.2℃)、クロロベンゼン(131.7℃)、ジオキサン(101.3℃)、ジブチルエーテル(142.4℃)、酢酸イソブチル(118℃)、シクロヘキサノン(155.7℃)、2−メチル−4−ペンタノン(MIBKと同じ、115.9℃)、1−ブタノール(117.7℃)、N,N−ジメチルホルムアミド(153℃)、N,N−ジメチルアセトアミド(166℃)、ジメチルスルホキシド(189℃)などがある。好ましくは、シクロヘキサノン、2−メチル−4−ペンタノンである。
1−10.その他
本発明のフィルムには、前記の成分以外に、樹脂、カップリング剤、着色防止剤、着色剤(顔料、染料)、消泡剤、レベリング剤、難燃剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、接着付与剤、重合禁止剤、酸化防止剤、表面改質剤などを添加することもできる。
1−11.支持体
本発明のフィルムの支持体としては、透明樹脂フィルム、透明樹脂板、透明樹脂シートや透明ガラスなど、特に限定は無い。透明樹脂フィルムとしては、セルロースアシレートフィルム(例えば、セルローストリアセテートフィルム(屈折率1.48)、セルロースジアセテートフィルム、セルロースアセテートブチレートフィルム、セルロースアセテートプロピオネートフィルム)、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエーテルスルホンフィルム、ポリアクリル系樹脂フィルム、ポリウレタン系樹脂フィルム、ポリエステルフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリスルホンフィルム、ポリエーテルフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリエーテルケトンフィルム、(メタ)アクリルニトリルフィルム等が使用できる。
<セルロースアシレートフィルム>
その中でも、透明性が高く、光学的に複屈折が少なく、製造が容易であり、偏光板の保護フィルムとして一般に用いられているセルロースアシレートフィルムが好ましく、セルローストリアセテートフィルムが特に好ましい。又、透明支持体の厚さは通常20μm〜1000μm程度が一般的である。ディスプレイ表面用としては、20μm〜500μmが好ましく、更に好ましくは30μm〜150μmであり、最も好ましくは15μm〜60μmである。
本発明ではセルロースアシレートフィルムに、酢化度が59.0〜61.5%であるセルロースアセテートを使用することが好ましい。
酢化度とは、セルロース単位質量当たりの結合酢酸量を意味する。酢化度は、ASTM:D−817−91(セルロースアセテート等の試験法)におけるアセチル化度の測定および計算に従う。
セルロースアシレートの粘度平均重合度(DP)は、250以上であることが好ましく、290以上であることがさらに好ましい。
また、本発明に使用するセルロースアシレートは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるMw/Mn(Mwは質量平均分子量、Mnは数平均分子量)の値が1.0に近いこと、換言すれば分子量分布が狭いことが好ましい。具体的なMw/Mnの値としては、1.0〜1.7であることが好ましく、1.3〜1.65であることがさらに好ましく、1.4〜1.6であることが最も好ましい。
一般に、セルロースアシレートの2,3,6位の水酸基は全体の置換度の1/3づつに均等に分配されるわけではなく、6位水酸基の置換度が小さくなる傾向がある。本発明ではセルロースアシレートの6位水酸基の置換度が、2,3位に比べて多いほうが好ましい。
全体の置換度に対して6位の水酸基が32%以上アシル基で置換されていることが好ましく、更には33%以上、特に34%以上であることが好ましい。さらにセルロースアシレートの6位アシル基の置換度が0.88以上であることが好ましい。6位水酸基は、アセチル基以外に炭素数3以上のアシル基であるプロピオニル基、ブチロイル基、バレロイル基、ベンゾイル基、アクリロイル基などで置換されていてもよい。各位置の置換度の測定は、NMRによって求めることができる。
本発明ではセルロースアシレートとして、特開平11−5851号公報の段落「0043」〜「0044」[実施例][合成例1]、段落「0048」〜「0049」[合成例2]、段落「0051」〜「0052」[合成例3]に記載の方法で得られたセルロースアセテートを用いることができる。
<ポリエチレンテレフタレートフィルム>
本発明では、ポリエチレンテレフタレートフィルムも、透明性、機械的強度、平面性、耐薬品性および耐湿性共に優れており、その上安価であり好ましく用いられる。
透明プラスチックフィルムとその上に設けられるハードコート層との密着強度をより向上させるため、透明プラスチックフィルムは易接着処理が施されたされたものであることが更に好ましい。
市販されている光学用易接着層付きPETフィルムとしては東洋紡績社製コスモシャインA4100、A4300等が挙げられる。
2.本発明の光学フィルムの構成
柔軟な支持体上にハードコート層を形成する光学フィルムにおいて、ハードコート層を形成する重合性化合物の硬化後の硬度と該光学フィルムのカールは、重合反応が硬化収縮を伴う反応を利用している限りにおいては大きくは相反するものである。重合性化合物の構造でその解決を計る試みがなされてきたが、更なる硬度向上や支持体の薄層化の要請があり更なる改良が求められている。
ハードコート層を空間的に均一な組成から形成される1層だけでこの要請を満たすのは限界がある。光学フィルムの鉛直方向(積層方向)において、重合性化合物の組成分布を変えることにより、これらの課題を解決しようとするのが本発明の主旨である。すなわち、MOC/MHC比を特定範囲に設定することで上記目的を達成しようというものである。硬化膜の硬度と重合性化合物の分子量とは大きな相関があり、300〜100000程度の分子量領域において、分子量の高い場合、硬度が高い傾向にある。
高硬度・高耐擦傷性と低カールの両立に対して、光学フィルムの表面側に高分子量で高硬度の塗膜を選択的に形成することが、均一な組成の場合に比較して有効である。すなわち、鉛筆硬度に代表される硬度は、塗膜全体の硬度に支配され、スチールウール擦りに代表される耐擦傷性は表層の0.1〜1.0μm程度の領域の硬度に大きく支配される。
また、カールは、硬化収縮の大きい層の厚さが薄いこと、硬化収縮の異なる層の界面が明瞭でないことが有効であることを見出した。
本発明の光学フィルムでは、上記に加えて、ディスプレイの表面フィルムとして、防汚性、低反射性が好ましい性能として要求される。防汚性向上に対して、本願の構成をとることで以下に示すように有利な点がある。
1層構成のハードコート層に、単純にシリコーンやフッ素化合物を添加するのではなく、2層構成にした上層のオーバーコート層にのみ添加することで、ハードコート層下部の不必要な防汚剤の量を減らすことができ、光学フィルムの硬度を稼ぐことができる。また、オーバーコート層に含まれる分子量が高く1分子あたりの官能基の数の多い化合物とともに硬化することで防汚剤の固定性が強くなり、防汚性、耐久性が向上する。
低反射性に対して、本発明の構成をとることで以下に示すように有利な点がある。従来の光学干渉を利用する方法では、干渉層の塗布厚の制御が重要で、膜厚ムラが生ずると干渉のムラが起こり、色味の変化が大きくなってしまう。それに対して、本発明のオーバーコート層は、光学干渉を積極的に利用していないため、塗布厚の変動に鈍感な光学フィルムを形成することができる。低屈折率の重合性化合物や低屈折率の無機微粒子を含有することでオーバーコート層表面の屈折率を下げることで表面の反射を低下させ、好ましくはオーバーコート層とハードコート層の屈折率界面を明瞭でなくすことでムラの発生を抑制した光学フィルムが得られる。該屈折率界面を明瞭でなくすための手段としては、未硬化のままハードコート層上にオーバーコート層を設けたり、同時重層を行うことができる。
2−1.ハードコート層及びオーバーコート層の厚み
本発明の光学フィルムにおいては、ハードコート層を設けることが必須であり、オーバーコート層も含めて塗布し最終的に硬化した状態での鉛筆硬度が2H以上であることが好ましい。ハードコート層は1.5μm〜30μmが好ましく、更に好ましくは3μm〜20μmである。オーバーコート層は、0.15μm〜10μmが好ましく、更に好ましくは0.25μm〜6μmである。オーバーコート層に硬化性多分岐ポリマー(RHB)を含む場合には、耐擦傷性の改良効果が大きく、オーバーコート層を薄層化することができ、0.15μm〜6μmが好ましく、更に好ましくは0.25μm〜2μmである。また、ハードコート層とオーバーコート層の合計の厚みは、1.6μm〜30μmが好ましく、更に好ましくは3.0μm〜20μmである。
ハードコート層に対するオーバーコート層の硬化後の厚みは、0.5%〜70%が好ましく、更に好ましくは3.0〜40%、最も好ましくは5.0〜25%である。この比率にすることで、硬度・耐擦傷性・カールを両立することが可能となる。
また、後述の様にハードコート層とオーバーコート層の界面が明瞭でない態様をとることもできる。また、ハードコート層に対して、組成を変えたオーバーコート層を2層以上設けることもできる。特に各層の組成を徐々に変える必要がある場合には、多層のオーバーコート層を用いることが好ましい。ハードコート層とオーバーコート層の界面が明瞭でないことで、硬化収縮や硬度の急激な変化が抑制され、カールの低減、耐擦傷性(界面での剥離)の改良に有効である。
2−2.各層の物性
[屈折率]
本発明のハードコート層の屈折率は、特に制限はないが、1.46〜2.00が好ましく、更に好ましくは1.49〜1.65である。支持体に隣接してハードコート層を設ける場合には、支持体との屈折率差を0.02以下にすることで干渉ムラを低減できるので好ましい。オーバーコート層の屈折率にも特に制限はないが、1.25〜2.00が好ましく、更に好ましくは1.25〜1.90である。ディスプレイ材料の最表面に用いる光学フィルムの最上層に用いる場合には、1.25〜1.49が好ましく、更に好ましくは1.30〜1.47である。また、後述の様にオーバーコート層とハードコート層の界面が明瞭でないときには、オーバーコート層の表面から100nm深さまでの平均屈折率が1.25〜1.49であることが好ましく、更に好ましくは1.30〜1.47である。
特に、指紋付着跡を目立ちにくくするためには、1.45〜1.48にすることで指紋の油脂と屈折率が近くなり有効である。また、光学フィルムに防眩性が付与されていると更に指紋跡が視認されにくくなり特に有効である。
一方、オーバーコート層の上に更に光学干渉層として低屈折率層を設ける場合には、オーバーコート層の屈折率は1.46〜2.00が好ましく、1.49〜2.00が更に好ましく、1.58〜1.70が最も好ましい。高屈折率化するには、オーバーコート層用の無機微粒子として高屈折率のものを使用する態様が好ましい。
また、後述の様にオーバーコート層とハードコート層の界面が明瞭でないときには、オーバーコート層の表面から100nm深さまでの平均屈折率が1.46〜2.00が好ましく、1.49〜2.00が更に好ましい。
[硬化収縮率]
光学フィルムの硬度・耐擦傷性の向上とカール発生の低減の観点からは、一般的な多官能の(メタ)アクリレート系モノマーを用いた場合には、オーバーコート層の厚みをハードコート層の厚みの70%以下として、ハードコート層のバインダーの硬化収縮率をオーバーコート層のバインダーの硬化収縮率よりも小さくすることが好ましい。一方、オーバーコート層に硬化性多分岐ポリマー(RHB)を含む場合には、オーバーコート層の硬化収縮率をハードコート層より大きくする必要はなく、硬度・耐擦傷性とカール低減の両立がしやすい。硬化収縮率は下記方法で算出した。
体積収縮率:D=(S−S')/S×100
(S:硬化前の比重、S':硬化後の比重、比重はJIS K−7112のB法ピクノメーター法により測定)
[表面物性]
本発明の光学フィルムは、オーバーコート層が最上層である態様が好ましい態様の一つである。該態様においてオーバーコート層の表面物性の測定方法及び好ましい範囲を以下に説明する。
(接触角)
本発明の光学フィルムの表面の接触角は純水に対して94度以上であることが好ましく。97度以上であることがさらに好ましく、101度以上であることが最も好ましい。接触角は、以下の方法で測定することができる。
接触角計[“CA−X”型接触角計、協和界面科学(株)製]を用い、乾燥状態(20℃/65%RH)で、液体として純水を使用して直径1.0mmの液滴を針先に作り、これをフィルムの表面に接触させてフィルム上に液滴を作った。フィルムと液体とが接する点における、液体表面に対する接線とフィルム表面がなす角で、液体を含む側の角度を接触角とする。
(表面自由エネルギー)
本発明の光学フィルムの表面自由エネルギーは30mN/m以下であることが好ましく、20mN/m以下であることがより好ましい。本発明のフィルムの表面自由エネルギー(γs:単位、mN/m)はD.K.Owens:J.Appl.Polym.Sci.,13,1741(1969)を参考に、反射防止フィルム上で実験的に求めた純水とヨウ化メチレンCHのそれぞれの接触角から求めることができる。
(動摩擦係数)
表面滑り性の指標として動摩擦係数を用いることができる。本発明の光学フィルムは、0.02以上0.30以下が好ましく、更に好ましくは0.02以上0.25以下、最も好ましくは0.05以上0.20以下である。上記範囲にすることで防汚性と耐擦傷性を良好に保つことができる。動摩擦係数は試料を25℃60%で24時間調湿した後、HEIDON−14動摩擦測定機により5mmφステンレス鋼球、荷重100g、速度60cm/minにて測定した値を用いた。
2−3.ハードコート層とオーバーコート層の界面
本発明においては、ハードコート層とオーバーコート層の境界が明瞭であってもよいが、界面密着、耐擦傷性、干渉ムラ防止の観点からその界面が明瞭でない構成も好ましい。
好ましい第1の態様としては、両層の組成が徐々に変化している態様が挙げられる。本発明において、組成とは、重合性化合物及び/又は微粒子の硬化膜中の構成比率を言う。
該態様においては、組成変化層の厚みは0.05μm〜5μmが好ましく、更に好ましくは0.1μm〜2μmである。オーバーコート層成分単独とハードコート層成分単独の屈折率が0.02以上異なる場合には、組成変化層の厚みは0.05μm〜1μmであることが特に好ましい。組成変化層とは、その上端から下端の間で、組成がバルクのオーバーコート層の組成からバルクのハードコート層の組成に徐々に変化する層である。
好ましい第2の態様としては、ハードコート層とオーバーコート層がその界面で更に別の界面混合層を形成しているものである。該態様においては、界面混合層の厚みは、0.05μm〜1μmが好ましく、更に好ましくは0.05μm〜0.5μmである。
好ましい第3の態様としては、ハードコート層とオーバーコート層の成分が、その界面で相分離した海島構造又は共連続相を形成しているものである。該態様においては、相分離した島構造部分の球相当直径は、0.01μm〜1μmが好ましく、0.02〜0.3μmが更に好ましく、最も好ましくは0.02〜0.15μmである。これら界面が明瞭でない態様のうち第1の態様が特に好ましい。
これら界面状態は、ハードコート層に浸透しやすいオーバーコート層の成分を用いることや、オーバーコート層に抽出されやすい成分をハードコート中に含ませることに加えて、後述する製造方法により制御することが可能である。
2−4.その他の光学機能層
本発明の光学フィルムは、ハードコート層とそれに隣接するオーバーコート層に加えて、支持体とハードコート層の間又はオーバーコート層の上層に、更に別の光学機能層を設けることができる。例えば、干渉ムラ(虹ムラ)防止層、帯電防止層(ディスプレイ側からの表面抵抗値を下げる等の要求がある場合、表面等へのゴミつきが問題となる場合)、ガスバリアー層、水吸収層(防湿層)、密着改良層、防汚層(汚染防止層)、中屈折率層、高屈折率層、低屈折率層等が挙げられる。特に好ましい態様としては、オーバーコート層の上に低屈折率層を設ける態様である。
支持体から近い順に中屈折率層、高屈折率層、低屈折率層を塗設し、反射防止フィルムを作成する場合、高屈折率層の屈折率は、1.65乃至2.40であることが好ましく、1.70乃至2.20であることがさらに好ましい。中屈折率層の屈折率は、低屈折率層の屈折率と高屈折率層の屈折率との間の値となるように調整する。中屈折率層の屈折率は、1.55乃至1.80であることが好ましい。
2−4−1.低屈折率層
本発明のオーバーコート層の上に、オーバーコート層の屈折率よりも低い屈折率の層を適切な膜厚で塗設することにより、反射防止性能が得られ、外光の映り込みが抑えられ、明室環境下でのコントラストを上げることができるため、画像表示装置としてはより好ましいものとなる。
低屈折率層を形成する素材について以下に説明する。本発明の低屈折率層は、含フッ素化合物を主成分としてなる硬化性組成物、又は分子内に複数個の結合性基を有するモノマーと低屈折率の粒子を含有する硬化組成物を塗布硬化して、屈折率が1.20〜1.50の範囲に調節したものである。1.25〜1.45が好ましく。1.30〜1.40が更に好ましい。
好ましい硬化物組成の態様としては、(1)架橋性若しくは重合性の官能基を有する含フッ素ポリマーを含有する組成物、(2)含フッ素のオルガノシラン材料の加水分解縮合物を主成分とする組成物、(3)2個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーと中空構造を有する無機微粒子を含有する組成物、の少なくとも一つを用いることができる。これにより、フッ化マグネシウムやフッ化カルシウムを用いた低屈折率層に比べ、最外層として用いても耐擦傷性に優れた光学フィルムが得られる。硬化した低屈折率層表面の動摩擦係数は、好ましくは0.03〜0.15、水に対する接触角は好ましくは90〜120度である。
(1)架橋性若しくは重合性の官能基を有する含フッ素化合物
架橋性若しくは重合性の官能基を有する含フッ素化合物としては、含フッ素モノマーと架橋性または重合性の官能基を有するモノマーの共重合体を挙げることができる。含フッ素モノマーとしては、例えばフルオロオレフィン類(例えばフルオロエチレン、ビニリデンフルオライド、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロ−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール等)、(メタ)アクリル酸の部分または完全フッ素化アルキルエステル誘導体類(例えばビスコート6FM(大阪有機化学製)やM−2020(ダイキン製)等)、完全または部分フッ素化ビニルエーテル類等である。
架橋性基付与のためのモノマーとしては、1つの態様としては、グリシジルメタクリレートのように分子内にあらかじめ架橋性官能基を有する(メタ)アクリレートモノマーを挙げることができる。又別の態様としては、水酸基等の官能基を有するモノマーを用い含フッ素共重合体を合成後、さらにそれら置換基を修飾して架橋性若しくは重合性の官能基を導入するモノマーを使用する方法である。これらモノマーとしては、カルボキシル基、ヒドロキシル基、アミノ基、スルホン酸基等を有する(メタ)アクリレートモノマー(例えば(メタ)アクリル酸、メチロール(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、アリルアクリレート等)が挙げられる。後者の態様は特開平10−25388号公報および特開平10−147739号公報により開示されている。
上記含フッ素共重合体には、溶解性、分散性、塗布性、防汚性、帯電防止性などの観点から、適宜共重合可能な成分を含むことができる。特に防汚性・滑り性付与のためには、シリコーンを導入することが好ましく、主鎖にも側鎖にも導入することができる。
主鎖へのポリシロキサン部分構造導入方法は、例えば特開平6−93100号公報に記載のアゾ基含有ポリシロキサンアミド(市販のものではVPS-0501、1001(商品名;ワコー純薬工業(株)社製))等のポリマー型開始剤を用いる方法が挙げられる。また、側鎖に導入する方法は、例えばJ.Appl.Polym.Sci.2000,78,1955、特開昭56−28219号公報等に記載のごとく、反応性基を片末端に有するポリシロキサン(例えばサイラプレーンシリーズ(チッソ株式会社製)など)を高分子反応によって導入する方法、ポリシロキサン含有シリコンマクロマーを重合させる方法によって合成することができ、どちらの方法も好ましく用いることができる。
上記のポリマーに対して、特開2000−17028号公報に記載のごとく適宜重合性不飽和基を有する硬化剤を併用してもよい。また、特開2002−145952号に記載のごとく含フッ素の多官能の重合性不飽和基を有する化合物との併用も好ましい。多官能の重合性不飽和基を有する化合物の例としては、上記の2個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーを挙げることができる。また、特開2004−170901号公報に記載のオルガノランの加水分解縮合物も好ましく、特に(メタ)アクリロイル基を含有するオルガノシランの加水分解縮合物が好ましい。これら化合物は、特にポリマー本体に重合性不飽和基を有する化合物を用いた場合に耐擦傷性改良に対する併用効果が大きく好ましい。
ポリマー自身が単独で十分な硬化性を有しない場合には、架橋性化合物を配合することにより、必要な硬化性を付与することができる。例えばポリマー本体に水酸基を含有する場合には、各種アミノ化合物を硬化剤として用いることが好ましい。架橋性化合物として用いられるアミノ化合物は、例えば、ヒドロキシアルキルアミノ基及びアルコキシアルキルアミノ基のいずれか一方又は両方を合計で2個以上含有する化合物であり、具体的には、例えば、メラミン系化合物、尿素系化合物、ベンゾグアナミン系化合物、グリコールウリル系化合物等を挙げることができる。これら化合物の硬化には、有機酸又はその塩を用いるのが好ましい。
これら含フッ素ポリマーの具体例は、特開2003−222702号公報、特開2003−183322号公報等に記載されている。
(2)含フッ素のオルガノシラン材料の加水分解縮合物
含フッ素のオルガノシラン化合物の加水分解縮合物を主成分とする組成物も屈折率が低く、塗膜表面の硬度が高く好ましい。フッ素化アルキル基に対して片末端又は両末端に加水分解性のシラノールを含有する化合物とテトラアルコキシシランの縮合物が好ましい。具体的組成物は、特開2002−265866号公報、特開2002−317152号公報に記載されている。
(3)2個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーと中空構造を有する無機微粒子を含有する組成物
更に別の好ましい態様として、低屈折率の粒子とバインダーからなる低屈折率層が挙げられる。低屈折率粒子としては、有機でも無機でも良いが、内部に空孔を有する粒子が好ましい。中空粒子の具体例は、特開2002−79616号公報に記載のシリカ系粒子に記載されている。粒子屈折率は1.15〜1.40が好ましく、1.20〜1.30が更に好ましい。バインダーとしては、上記ハードコート層及びオーバーコート層の頁で述べた二個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーを挙げることができる。
本発明の低屈折率層には、上記の1−6.重合開始剤で述べた重合開始剤を添加することが好ましい。ラジカル重合性化合物を含有する場合には、該化合物に対して1〜10質量部、好ましくは1〜5質量部の重合開始剤を使用できる。
本発明の低屈折層には、無機粒子を併用することができる。耐擦傷性を付与するために、低屈折率層の厚みの15%〜150%、好ましくは30%〜100%、更に好ましくは45%〜60%の粒径を有する微粒子を使用することができる。
本発明の低屈折率層には、防汚性、耐水性、耐薬品性、滑り性等の特性を付与する目的で、公知のポリシロキサン系あるいはフッ素系の防汚剤、滑り剤等を適宜添加することができる。
3.本発明の光学フィルムの製造方法
3−1.塗布液物性
本発明の塗布方式は液物性により塗布可能な上限の速度が大きく影響を受けるため、塗布する瞬間の液物性、特に粘度及び表面張力を制御する必要がある。粘度については2.0[mPa・sec]以下であることが好ましく、更に好ましくは1.5[mPa・sec]以下、最も好ましくは1.0[mPa・sec]以下である。塗布液によってはせん断速度により粘度が変化するものもあるため、上記の値は塗布される瞬間のせん断速度における粘度を示している。塗布液にチキソトロピー剤を添加して、高せん断のかかる塗布時は粘度が低く、塗布液にせん断が殆どかからない乾燥時は粘度が高くなると乾燥時のムラが発生しにくくなり、好ましい。
液物性ではないが、透明支持体に塗り付けられる塗布液の量も塗布可能な上限の速度に影響を与える。透明支持体に塗り付けられる塗布液の量は2.0〜5.0[cc/m]であることが好ましい。透明支持体に塗り付けられる塗布液の量を増やすと塗布可能な上限の速度が上がるため好ましいが、透明支持体に塗り付けられる塗布液の量を増やしすぎると乾燥にかかる負荷が大きくなるため、液処方・工程条件によって最適な透明支持体に塗り付けられる塗布液の量を決めることが好ましい。
塗布液の表面張力については、15〜36[mN/m]の範囲にあることが好ましい。レベリング剤を添加するなどして表面張力を低下させることは乾燥時のムラが抑止されるため好ましい。一方、表面張力が下がりすぎると塗布可能な上限の速度が低下してしまうため、17[mN/m]から32[mN/m]の範囲がより好まく、19[mN/m]から26[mN/m]の範囲が更に好ましい。透光性粒子を含む層においては、粒子の沈降防止の観点で4cp以上の粘度に調製することが好ましく、6cp以上の粘度に調製することが更に好ましい。
3−2.塗布
本発明のフィルムの各層は以下の塗布方法により形成することができるが、この方法に制限されない。ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法やエクストルージョンコート法(ダイコート法)(米国特許2681294号明細書参照)、マイクログラビアコート法等の公知の方法が用いられ、その中でもマイクログラビアコート法、ダイコート法が好ましい。
特にハードコート層の上にオーバーコート層や低屈折率層などのように2層以上を塗設する場合は、一つの塗布装置で2層以上を同時に塗設する方法(特開2002−86050号、特開2003−260400号、特開平7−108213号明細書参照)や、塗布・乾燥・硬化装置を多段階に並べることで、1回の巻取りで2層以上塗布する方法(特開2003−205264号参照)が好ましい。特に、本発明の様に、ハードコート層とオーバーコート層の重合性化合物の構造や組成が異なったり、両層に含有される粒子が異なる場合には、界面密着、干渉ムラ防止、カール改良などの観点で、2層以上を同時に塗布したり、以下に述べる方法によりハードコート層を塗布後重合率の低いままオーバーコート層を塗布することが好ましい。
3−3.硬化
3−3−1.硬化条件
本発明のフィルムは溶剤の乾燥の後に、ウェブで電離放射線及び/又は熱により各塗膜を硬化させるゾーンを通過させ、塗膜を硬化することができる。
本発明における電離放射線種は特に制限されるものではなく、皮膜を形成する硬化性組成物の種類に応じて、紫外線、電子線、近紫外線、可視光、近赤外線、赤外線、X線などから適宜選択することができが、紫外線、電子線が好ましく、特に取り扱いが簡便で高エネルギーが容易に得られるという点で紫外線が好ましい。
また、電子線も同様に使用できる。電子線としては、コックロフトワルトン型、バンデグラフ型、共振変圧型、絶縁コア変圧器型、直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器から放出される50〜1000keV、好ましくは100〜300keVのエネルギーを有する電子線を挙げることができる。
照射条件はそれぞれのランプによって異なるが、照射光量は10mJ/cm以上が好ましく、更に好ましくは、50mJ/cm〜10000mJ/cmであり、特に好ましくは、50mJ/cm〜2000mJ/cmである。
電離放射線を照射する時間については0.7秒以上60秒以下が好ましく、0.7秒以上10秒以下がより好ましい。0.5秒以下では、硬化反応が完了することができず、十分な硬化を行うことができない。また長時間低酸素条件を維持することは、設備が大型化し、多量の不活性ガスが必要であり好ましくない。
酸素濃度は6体積%以下の雰囲気で電離放射線硬化性化合物の架橋反応、又は、重合反応により硬化することが好ましく、更に好ましくは酸素濃度が4体積%以下、特に好ましくは酸素濃度が2体積%以下、最も好ましくは1体積%以下である。必要以上に酸素濃度を低減するためには、窒素などの不活性ガスの多量の使用量が必要であり、製造コストの観点から好ましくない。
酸素濃度を10体積%以下にする手法としては、大気(窒素濃度約79体積%、酸素濃度約21体積%)を別の気体で置換することが好ましく、特に好ましくは窒素で置換(窒素パージ)することである。
硬化の際、フィルム面が40℃以上170℃以下で加熱されることが好ましい。40℃以下では加熱の効果は少なく、170℃以上では基材の変形などの問題が生じる。更に好ましい温度は60℃〜100℃である。フィルム面の温度とは硬化しようとする層の膜面温度を指す。またフィルムが前記温度になる時間は、UV照射開始から0.1秒以上、300秒以下が好ましく、更に10秒以下が好ましい。フィルム面の温度を上記の温度範囲に保つ時間が短すぎると、皮膜を形成する硬化性組成物の反応を促進できず、逆に長すぎてもフィルムの光学性能が低下し、また設備が大きくなるなどの製造上の問題も生じる。
加熱する方法に特に限定はないが、ロールを加熱してフィルムに接触させる方法、加熱した窒素を吹き付ける方法、遠赤外線あるいは赤外線の照射などが好ましい。特許2523574号に記載の回転金属ロールに温水や蒸気・オイルなどの媒体を流して加熱する方法も利用できる。加熱の手段としては誘電加熱ロールなどを使用しても良い。
本発明では、支持体上に積層された少なくとも一層を複数回の電離放射線により硬化することができる。この場合、少なくとも2回の電離放射線が酸素濃度3体積%を超えることのない連続した反応室で行われることが好ましい。複数回の電離放射線照射を同一の低酸素濃度の反応室で行うことにより、硬化に必要な反応時間を有効に確保することができる。特に高生産性のため製造速度をあげた場合には、硬化反応に必要な電離放射線のエネルギーを確保するために複数回の電離放射線照射が必要となる。これにより、塗膜面内の硬化進行の均一性が保たれ、面状故障を減らすのに有効である。
紫外線照射は、構成する複数の層それぞれに対して1層設ける毎に照射してもよいし、積層後照射してもよい。あるいはこれらを組み合わせて照射してもよい。生産性の点から、多層を積層後、紫外線を照射することが好ましい。
本発明では、ハードコート層が未反応の重合性化合物を含有したままオーバーコート層を塗設し、その後に更に硬化を進めることが好ましい。オーバーコート層を塗設する前のハードコート層の重合性化合物の重合率は、0〜70%が好ましく、更に好ましくは0〜50%、最も好ましくは10〜30%である。上記範囲に重合率を調節することで、界面混合をコントロールでき、ムラ防止、界面密着強化が達成できる。重合率は、高分子分析ハンドブック(日本分析化学会高分子分析懇談会編)に記載されている方法を用いることができる。具体的には、例えば(メタ)アクロイルオキシ基による重合反応の場合には、塗布済みのハードコート層中バインダーの(メタ)アクロイルオキシ基の炭素―炭素二重結合(C=C)起因の810cm−1付近の赤外吸収ピーク面積Aとアシル基(C=O)起因の1720cm−1付近の赤外吸収ピーク面積Bを重合反応前後で測定し、[(重合後のA/B)/(重合前のA/B)]*100により二重結合の消失度を算出し、これを重合率(%)とする。
3−3−2.感光波長の異なる重合開始剤を使用する方法
本発明において、ハードコート層の重合性化合物の反応率を制御する方法として、以下に示す感光波長の異なる2種以上の重合開始剤を用いる態様をとることができる。本発明の光学フィルムの製造方法においては、「感光波長域での長波長側の吸収末端が異なる2種類以上の重合開始剤を含んでなるハードコート層を、該重合開始剤の少なくとも1種(a)が実質的に感光せず、且つ該重合開始剤の少なくとも1種(b)が感光する波長の電離放射線照射し硬化させ(工程1)、その後、該ハードコート層の上に、少なくとも1種の重合開始剤(c)を含むオーバーコート層用塗布液を塗布して、重合開始剤(a)及び(c)が感光する波長の電離放射線照射を行い(工程2)、ハードコート層とオーバーコート層を硬化させる塗布・製造方法」が好ましい。
実質的に感光しないとは、工程1で使用する電離放射線照射により減少する二重結合と、工程1および2で使用する電離放射線照射により減少する二重結合の比とが30%以下であることを意味する。この比は10%以下が好ましく、3%以下がより好ましい。二重結合量は、上記の赤外吸収ピーク面積比により測定。算出できる。
オーバーコート層の硬化時にハードコート層の開始剤も感光させることで、酸素による硬化阻害などの影響を受けにくくなり、層の硬化を充分に行うことを可能とし、硬度が上がり、耐擦傷性が向上する。
実際の好ましい態様としては、例えば、工程1としてハードコート層に、近紫外線に感光領域のある重合開始剤(a)と、紫外線にのみ感光領域のある重合開始剤(b)を併用して近紫外線を照射し、次に、工程2として、紫外線にのみ感光領域のある重合開始剤(c)を含むオーバーコート層を塗布し、紫外線照射し、この2つの工程により、硬化させる方法が挙げられる。
また、別の好ましい態様は、工程1としてハードコート層に、近紫外線に感光領域のある重合開始剤(a)と、紫外線にのみ感光領域のある重合開始剤(b)を併用して、(a)と(b)の一部のみが重合開始する量の紫外線を照射し、次に、工程2として、紫外線にのみ感光領域のある重合開始剤(c)を含むオーバーコート層を塗布し、近紫外線及び紫外線を照射し、この2つの工程により、硬化させる方法が挙げられる。この方法では、下層のハードコート層の下部にまで近紫外光が届きやすく、鉛筆硬度の向上に有利である。
ハードコート層の重合開始剤(a)と(b)の絶対量及び割合を調節することで、工程1でのハードコート層の重合率及び工程2まで終了した後の重合率を制御することが容易である。
感光波長の異なる重合開始剤としては、以下の中から選ばれることが好ましい。
感光波長が近紫外領域にある重合開始剤としては、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド{“DAROCUR TPO”(商品名);チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製}、フェニレンビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−ホスフィンオキシド{“IRGACURE 819”(商品名);チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製};ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルホスフィンオキシドなどのホスフィンオキシド類、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントンなどのチオキサントン、N−メチルアクリドン、ビス(ジメチルアミノフェニル)ケトン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタン−1−オン{“IRGACURE 369”(商品名);チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製}などのケトン類、1,2−オクタンジオン−1−[4−(フェニルチオ)−2,2−(O−ベンゾイルオキシム)]などのオキシム類などの、400nm付近まで吸収末端がある化合物が好ましい。ホスフィンオキシド類が、作製したフィルムの着色を少なく、照射後の消色が大きいため、特に好ましい。
上記の重合開始剤とは感光波長域が異なっていて併用することができる重合開始剤として、主に紫外域に吸収のある開始剤を挙げると、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン{“IRGACURE 651”(商品名);チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製}、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン{“IRGACURE 184”(商品名);チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製}、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンゾフェノン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン{“IRGACURE 907”(商品名);チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製}などのアセトフェノン類、ベンゾイン類、ベンゾフェノン類、ケタール類、アントラキノン類などの公知の開始剤を挙げることができる。
硬化性組成物に対する重合開始剤の量は、1質量%以上10質量%以下が好ましい。重合開始剤の量が該下限値以上であれば、反応が十分に進行して望ましい硬度を得ることができ、該上限値以下で有れば、得られる硬化層(以下、皮膜ともいう。)が着色したり、深さ方向に硬度が変化したりするなどの不具合が生じにくいので、この範囲で使用することが好ましい。
前記近紫外領域に吸収のある重合開始剤と前記紫外域に吸収のある重合開始剤とを併用する場合に、両者の使用量の比(近紫外:紫外)は、上記添加量の範囲であれば、特に制限はない。オーバーコート層を硬化する波長の紫外線(電離放射線)を吸収する、ハードコート層含有の重合開始剤(a)の量は、着色、硬度などに問題がない範囲で多い量が好ましい。
ハードコート層の硬化の工程1において用いる電離放射線としては、用いる重合開始剤、硬化性組成物の種類に応じて適宜選択することができる。例えば、近紫外領域の光を照射する場合には、400〜480nmの波長域の光を主に放射するランプ{放射ピークが400〜480nmにあるランプ、例えば、400〜480nm(好ましくは420nm±20nm)に放射ピークを持つように蛍光体を設けた熱陰極蛍光ランプ}からの放射光や、放射波長の分布が広いメタルハライドランプなどの光を、短波長カットフィルターで短波長側(例えば380nm以下)の発光をカットした光を用いることができる。近紫外線の照射量としては、30〜1000mJ/cm2が好ましく、50〜700mJ/cm2が更に好ましい。
工程2で、硬化性組成物を含むオーバーコート層形成用塗布液を塗布した後、硬化に用いる電離放射線としては、用いる重合開始剤、硬化性組成物の種類に応じて適宜選択することができる。重合開始剤(a)及び(c)が感光する波長のものであれば特に制限はないが、紫外線による照射が好ましい。重合速度が早く、設備をコンパクトにでき、選択できる化合物種が豊富で、且つ低価格であることから紫外線硬化が好ましい。紫外線の場合は、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、キセノンアーク、メタルハライドランプ等が利用できる。紫外線の照射量としては、30〜1000mJ/cm2が好ましく、50〜700mJ/cm2が更に好ましい。
3−4.鹸化処理
本発明のフィルムを2枚の偏光膜の表面保護フィルムの内の一方として用いて偏光板を作成する際には、偏光膜と貼り合わせる側の表面を親水化することで、接着面における接着性を改良することが好ましい。以下の方法のいずれをとることもできる。
a.アルカリ液に浸漬する法
b.アルカリ液を塗布する方法
c.ラミネートフィルムで保護して鹸化する方法
d.中途層まで形成後にアルカリ液に浸漬する方法
e.予め鹸化済のトリアセチルセルロースフィルムに塗布層層を形成する方法
4.本発明の使用形態
本発明のフィルムは、液晶表示装置(LCD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)や陰極管表示装置(CRT)のような画像表示装置に用いられる。本発明に従う光学フィルターは、プラズマディスプレイパネル(PDP)または陰極管表示装置(CRT)など公知の画像表示装置上に用いることができる。
<液晶表示装置>
本発明のフィルム、偏光板は、液晶表示装置等の画像表示装置に有利に用いることができ、ディスプレイの最表層に用いることが好ましい。液晶表示装置は、液晶セルおよびその両側に配置された二枚の偏光板を有し、液晶セルは、二枚の電極基板の間に液晶を担持している。さらに、光学異方性層が、液晶セルと一方の偏光板との間に一枚配置されるか、あるいは液晶セルと双方の偏光板との間に二枚配置されることもある。
液晶セルは、TNモード、VAモード、OCBモード、IPSモードまたはECBモードであることが好ましい。
<タッチパネル>
本発明のフィルムは、特開平5−127822号公報、特開2002−48913号公報等に記載されるタッチパネルなどに応用することができる。
<有機EL素子>
本発明のフィルムは、有機EL素子等の基板(基材フィルム)や保護フィルムとして用いることができる。
本発明のフィルムを有機EL素子等に用いる場合には、特開平11−335661号、特開平11−335368号、特開2001−192651号、特開2001−192652号、特開2001−192653号、特開2001−335776号、特開2001−247859号、特開2001−181616号、特開2001−181617号、特開2002−181816号、特開2002−181617号、特開2002−056976号等の各公報記載の内容を応用することができる。また、特開2001−148291号、特開2001−221916号、特開2001−231443号の各公報記載の内容と併せて用いることが好ましい。
本発明を詳細に説明するために、以下に実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、特別の断りの無い限り、「部」及び「%」は質量基準である。
光学フィルムの作成例(実施例1)
下記表に示すハードコート層用塗布液(HCL−1)〜(HCL−7)、及びオーバーコート層用塗布液(OCL−1)〜(OCL−12)を調製した。
Figure 2007293301
Figure 2007293301
表中の構成成分は固形分の質量百分率で示す。使用した化合物の詳細を以下に示す。
MANDA:
(2官能アクリレート、KAYARAD MANDA、日本化薬(株)製、分子量312)
PETA:
(ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレートの混合物、日本化薬(株)製、平均分子量約300)
DPHA:
(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートの混合物、日本化薬(株)製、平均分子量540)
M−215:
(イソシアヌル酸EO変性ジアクリレート、東亜合成(株)製、分子量369)
ウレタンヘキサアクリレート:
(分子内に2つのウレタン結合を有する6官能アクリレート、特開2005−272702の化合物PETA−IPDI−PETA、分子量488)
RHB−10:
(デンドリマー型12官能アクリレート、特開2006−10829号公報の例示化合物RHB−10、分子量3324)
RHB−17:
(デンドリマー型14官能アクリレート、下記合成例1の化合物、分子量2280)
IRG184:
(光重合開始剤、イルガキュア184、日本チバガイギー(株)製)
IRG369:
(光重合開始剤、イルガキュア369、日本チバガイギー(株)製)
MIBK−ST:
(コロイダルシリカ、平均粒子径約12nm、固形分30%、日産化学(株)製)
IPA−ST−L:
(コロイダルシリカ、平均粒子径約50nm、固形分30%、日産化学(株)製)
IPA−ST−ZL:
(コロイダルシリカ、平均粒子径約90nm、固形分30%、日産化学(株)製)
低屈折率シリカ:
(直径約60nm、内部に空隙を有するシリカ、屈折率1.25、表面処理剤として、トリメチルメトキシシラン3%およびアクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン7%を含む、固形分濃度33%、MIBK分散液、特開2002−79616の実施例4に準じサイズを変更して作製)
MEK:(メチルエチルケトン)
MIBK:(メチルイソブチルケトン)
IPA:(イソプロピルアルコール)
(RHB−17の合成)
特許第2574201号の記載に準じて、還流冷却機、攪拌機、温度計、温度調節装置、及び水分離機を備えた反応機に、多分岐ポリマー(HB−1)としてペルストルプ アー・ベー社製BOLTORN H20(OH価:510mgKOH/g)55.0gと、アクリル酸39.6g(0.55モル)、反応溶媒としてトルエン63.4g、重合禁止剤としてハイドロキノン0.143g、酸触媒としてメタンスルホン酸0.953gを仕込み、反応温度100〜115℃で生成水を溶媒と共沸除去しながら反応させ、生成水が7.8mlに達したところで反応を終了した。反応混合物をトルエン40gに溶解し、25%苛性ソーダ水溶液で中和した後、15%食塩水20gで3回洗浄した。溶媒を減圧留去して硬化性多分岐ポリマー(RHB-17)を得た。硬化性多分岐ポリマー(RHB-17)のOH価は68mgKOH/gであり、反応性基である水酸基から硬化性反応基への変換率は87モル%であった。
(光学フィルム(101)の作製)
膜厚80μm、幅1340mmのトリアセチルセルロースフィルム“TAC−TD80U”{富士フイルム(株)製}上に、前記ハードコート層用塗料(HCL-1)をマイクログラビア塗工方式で、搬送速度30m/分の条件で塗布し、60℃で150秒乾燥の後、窒素パージ(酸素濃度0.05%以下)しながら、160W/cmの空冷メタルハライドランプ{アイグラフィックス(株)製}を用いて、放射照度400mW/cm、照射エネルギー量20mJ/cmの紫外線を照射して塗布層を硬化させ、膜厚5.0μmのハードコート層を作製した。
得られたハードコート層の上に、前記オーバーコート層用塗料(OCL−1)をダイコーター塗工方式で、硬化後の膜厚が3.0μmになるように調節しながら、搬送速度30m/分の条件で塗布し、60℃で150秒乾燥の後、窒素パージ(酸素濃度0.05%以下)しながら、160W/cmの空冷メタルハライドランプ{アイグラフィックス(株)製}を用いて、放射照度400mW/cm、照射エネルギー量240mJ/cmの紫外線を照射して塗布層を硬化させ、試料101を得た。
得られた試料101に対して、ハードコート層とオーバーコート層の組成を下記表に示すように変更した試料102〜117を作製した。
(光学フィルムの評価)
得られたフィルムについて、以下の項目の評価を行った。
(評価1)カール度
光学フィルム試料を20cm×20cmのサイズに切り取り、4隅が浮き上がっている面を上向きにして、25℃、60%RHの環境下で水平な机上に置いた。24時間経過後に各4隅の机面からの浮き上がり距離を定規で測定し、4隅の平均をとった。平均値を以下の基準でクラス分けして評価した。
◎ : 5mm未満
○ : 5〜10mm未満
○△: 10〜20mm未満
△ : 20〜40mm未満
× : 40mm以上
(評価2)スチールウール耐擦傷性評価(SW)
ラビングテスターを用いて、以下の条件でこすりテストを行った。
評価環境条件:25℃、60%RH
こすり材:試料と接触するテスターのこすり先端部(1cm×1cm)にスチールウール((株)日本スチールウール製、No.0000)を巻いて、動かないようバンド固定した。その上で下記条件の往復こすり運動を与えた。
移動距離(片道):13cm、こすり速度:13cm/秒、
荷重:500g/cm、先端部接触面積:1cm×1cm、
こすり回数:10往復。
こすり終えた試料の裏側に油性黒インキを塗り、反射光で目視観察して、こすり部分の傷を、以下の基準で評価した。
○:非常に注意深く見ても、全く傷が見えない。
○△:非常に注意深く見ると僅かに弱い傷が見える。
△:弱い傷が見える。
△×:中程度の傷が見える。
×:一目見ただけで分かる傷がある。
◎:○評価を得たものを更に上記条件で追加擦り試験を行っても
全く傷が見えない。
(評価3)鉛筆硬度評価
耐傷性の指標としてJIS K 5400に記載の鉛筆硬度評価を行った。反射防止フィルムを温度25℃、湿度60%RHで2時間調湿した後、JIS S 6006に規定する試験用鉛筆を用いて、1kgの荷重にて評価を行った。
評価結果を下記表に示す。
Figure 2007293301
上記表によれば、本発明に従いオーバーコート層が重合性官能基を1分子中に3つ以上含有する化合物を含む光学フィルムは、カール、耐擦傷性、硬度の点で優れることが分かる。特に、硬化性多分岐ポリマー(RHB)や無機粒子を使用した場合の耐擦傷性の改良が著しいことがわかる。
(実施例2)
表5に示すオーバーコート層用塗布液(OCL−13)〜(OCL−24)を調製した。
Figure 2007293301
上記表中の構成成分は固形分の質量百分率で示す。使用した化合物の詳細を以下に示す。
FM−0421:
(水酸基変性ジメチルシロキサン、平均分子量約5000、チッソ(株)製)
X22−164C:
(両末端メタクリル変性ジメチルシロキサン、平均分子量約5000、信越化学(株)製)
RMS−033:
(アクリル変性ジメチルシロキサン、平均分子量約25000、Gelest社製)
例示化合物(a-10):
(含フッ素テロマー型アクリレート、本文例示化合物)
FAA:
(本文の一般式(T−2)の含フッ素化合物、1−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシ−4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,11,11,12,12,13,13,13−ヘンエイコサフルオロトリデカン)
FC−1:
(本文のパーフルオロポリエーテル基を有するアクリレート)
FC−3:
(本文のパーフルオロポリエーテル基を有するアクリレート)
導電性粒子:
(特開2005−119909の実施例1に準じて作製した酸化アンチモン被覆シリカ微粒子、20%イソプロピルアルコール分散液、平均粒子サイズ60nm、屈折率1.41、体積抵抗1500Ω・cm、無機粒子固形分当たり4%のメタクリル系シランカップリング剤(信越化学(株)製:KBM−503)で表面処理)
得られたハードコート層及びオーバーコート層用塗布液を用いて、以下の光学フィルムを作製した。
(光学フィルム(201)の作製)
膜厚80μm、幅1340mmのトリアセチルセルロースフィルム“TAC−TD80U”{富士フイルム(株)製}上に、ハードコート層用塗料(HCL-5)をマイクログラビア塗工方式で、搬送速度30m/分の条件で塗布し、60℃で150秒乾燥の後、窒素パージ(酸素濃度0.05%以下)しながら、160W/cmの空冷メタルハライドランプ{アイグラフィックス(株)製}を用いて、放射照度400mW/cm、照射エネルギー量20mJ/cmの紫外線を照射して塗布層を硬化させ、膜厚4.6μmのハードコート層を作製した。
得られたハードコート層の上に、上記オーバーコート層用塗料(OCL−4)をダイコーター塗工方式で、硬化後の膜厚が0.4μmになるように調節しながら、搬送速度30m/分の条件で塗布し、60℃で150秒乾燥の後、窒素パージ(酸素濃度0.05%以下)しながら、160W/cmの空冷メタルハライドランプ{アイグラフィックス(株)製}を用いて、放射照度400mW/cm、照射エネルギー量240mJ/cmの紫外線を照射して塗布層を硬化させ、試料201を得た。
得られた試料201に対して、ハードコート層とオーバーコート層の組成を下記表に示すように変更した試料202〜213を作製した。
Figure 2007293301
(光学フィルムの評価)
得られたフィルムについて、実施例1の評価に加えて、以下の項目の評価を行った。
(評価4)防汚耐久性
光学フィルムをガラス面上に粘着剤で固定し、25℃60RH%の条件下で黒マジック「マッキー極細(商品名:ZEBRA製)」のペン先(細)にて直径5mmの円形を3周書き込み、5秒後に10枚重ねに折り束ねたベンコット(商品名、旭化成(株))でベンコットの束がへこむ程度の荷重で20往復拭き取る。マジック跡が拭き取りで消えなくなるまで前記の書き込みと拭き取りを前記条件で繰り返し、拭き取りできた回数により防汚性を評価した。消えなくなるまでの回数は10回以上であることが好ましく、30回以上であることが更に好ましい。
(評価5)表面自由エネルギー
25℃60RH%の条件下で、純水とヨウ化メチレンで接触角を測定し、本文記載の方法で表面自由エネルギーを算出した。
評価結果を下記表に示す。
Figure 2007293301
上記表によれば、本発明に従いオーバーコート層が、重合性官能基を1分子中に3つ以上含有する化合物を含み、更に防汚剤を含有する光学フィルムは、カール、耐擦傷性、硬度、防汚性の点で優れることが分かる。特に、防汚剤がオーバーコート構成バインダーと重合可能な基を有する場合に、防汚性・耐擦傷性・鉛筆硬度が改良されることが分かる。また、硬化性多分岐ポリマー(RHB)を併用した場合に防汚耐久性が改良されることがわかる。また、オーバーコート層に導電性粒子を含む試料213に対して、以下の塵埃除去性の評価を行った結果、3回以内に塵埃が除去でき、塵埃除去性に優れていた。
(評価6)塵埃除去性
本発明のフィルムをモニターに張り付け、モニター表面に塵埃(布団、衣服の繊維屑)を振りかけ、クリーニングクロスで塵埃を拭き取り、塵埃除去性を評価した。6回の拭取りで完全に取除けることが好ましく、3回以内の拭き取りで塵埃が完全に取り除けることが更に好ましい。
(実施例3)
下記表に示すオーバーコート層用塗布液(OCL−25)〜(OCL−32)を調製した。
Figure 2007293301
上記表中の構成成分は固形分の質量百分率で示す。使用した化合物の詳細を以下に示す。
オルガノシラン:
(3−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン(KBM―5103、信越化学工業(株))の6〜9量体の加水分解縮合物)
IRG651:
(光重合開始剤、イルガキュア651、日本チバガイギー(株)製)
含F重合性ポリマー:
(含フッ素含シリコーン型メタクリロイルオキシ基含有ポリマー、特開2003−183322の実施例3の化合物A−3に準じて合成、分子量約32000)
得られたハードコート層及びオーバーコート層用塗布液を用いて、以下の光学フィルム(301〜308)を作製した。
Figure 2007293301
(光学フィルム(301A)の作製)
膜厚80μm、幅1340mmのトリアセチルセルロースフィルム“TAC−TD80U”{富士フイルム(株)製}上に、ハードコート層用塗料(HCL-5)をダイコーターで、搬送速度30m/分の条件で塗布し、60℃で150秒乾燥の後、窒素パージ(酸素濃度0.05%以下)しながら、160W/cmの空冷メタルハライドランプ{アイグラフィックス(株)製}を用いて、放射照度400mW/cm、照射エネルギー量80mJ/cmの紫外線を照射して塗布層を硬化させ、膜厚5.5μmのハードコート層を作製した。ハードコート層の重合率を本文記載の方法で測定した結果75%であった。
得られたハードコート層の上に、上記オーバーコート層用塗布液(OCL−25)をダイコーター塗工方式で、硬化後の膜厚が0.5μmになるように調節しながら、搬送速度30m/分の条件で塗布し、60℃で150秒乾燥の後、窒素パージ(酸素濃度0.05%以下)しながら、160W/cmの空冷メタルハライドランプ{アイグラフィックス(株)製}を用いて、放射照度400mW/cm、照射エネルギー量240mJ/cmの紫外線を照射して塗布層を硬化させ、試料301Aを得た。この試料の塗布・硬化製造条件を製造工程Aとする。
(光学フィルム(301B)の作製)
光学フィルム(301A)のハードコート層の作製において、ハードコート層の光重合時の照射エネルギー量を20mJ/cmに変更した以外は光学フィルム(301A)のハードコート層の作製と同様にしてハードコート層を作製した。このハードコート層の重合率を本文記載の方法で測定した結果45%であった。
得られたハードコート層の上に、上記オーバーコート層用塗布液(OCL−25)を上記光学フィルム(301A)と同様に塗布・硬化させた。このようにして得られた光学フィルムを試料301Bとする。この試料の塗布・硬化製造条件を製造工程Bとする。
(光学フィルム(301C)の作製)
光学フィルム(301A)のハードコート層の作製において、ハードコート層に光照射することなく乾燥のみ行った。得られたハードコート層の上に、上記オーバーコート層用塗布液(OCL−25)を上記光学フィルム(301A)と同様に塗布・硬化させた。このようにして得られた光学フィルムを試料301Cとする。この試料の塗布・硬化製造条件を製造工程Cとする。
(光学フィルム(301D)の作製)
膜厚80μm、幅1340mmのトリアセチルセルロースフィルム“TAC−TD80U”{富士フイルム(株)製}をロール形態で巻き出して、同時重層塗布機を用いて、ハードコート層用塗布液(HCL−5)と、オーバーコート層用塗布液(OCL−25)とを同時に塗出し、搬送速度30m/分の条件で塗布し、60℃で150秒乾燥の後、さらに窒素パージ下で160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度400mW/cm2、照射量240mJ/cm2の紫外線を照射して塗布層を硬化させ、機能層を形成し、巻き取った。このようにして得られた試料を301Dとする。この試料の塗布・硬化製造条件を製造工程Dとする。
得られた試料301A〜301Dに対して、ハードコート層とオーバーコート層の組成を下記表に示すように変更し、対応する製造工程条件B〜Dで製造し、試料302B〜308Dを作製した。
Figure 2007293301
(光学フィルムの評価)
得られたフィルムについて、実施例2で行った評価に加え、以下の評価を行った。
(評価7)ハードコート層とオーバーコート層界面観察
上記表中で、層界面とは、界面の混合の様子を表したものである。層界面は、各光学フィルムを50nmの厚さの切片として、その断面を透過型電子顕微鏡を用いて15万倍の写真を撮影し、界面の混合の様子を観察した。
上記表によれば、本発明の試料は、カール、耐擦傷性、硬度、防汚性の点で優れることが分かる。特に、ハードコート層の重合率を低くし、その上にオーバーコート層を塗設した試料はカールが改良される傾向を有していた。また、製造方法C及び製造方法Dにより作製した試料は、層界面が勾配を有して組成が変化したり、混合層を形成しており、カールが低減されていた。製造方法C及びDでは、ハードコート層の重合性化合物が未硬化のままオーバーコート層が塗設されたため、オーバーコート層の成分が未硬化のハードコート層に部分的に拡散して、界面で粒子密度の勾配を有したり、混合層が形成されたと推察している。
試料305C、305D、306C、306D、307C、307D、308C及び308Dは干渉ムラが認められず、反射率が3.0〜3.3%の範囲にあり、試料301Aの4.3%に対して1%強反射率が低下しており反射防止性能に優れていた。また、これら試料は指紋の跡が特に目立ちにくく、指紋のふき取り性にも優れていた。これは、これら試料のオーバーコート層が防汚剤を有しており、指紋の油脂をはじきやすいことに加えて、光学フィルム表面の屈折率が低く指紋の油脂の屈折率(1.45〜1.48)と近いことにより、指紋の跡が目立ちにくいことが原因である。更に防汚剤が指紋の除去を容易にしている。また、導電粒子を含有する試料307B〜308Dは、塵埃除去性にも優れていた。(反射率の測定は以下の様に行った。光学フィルムの裏面を粗面化処理した後、黒色のインクで光吸収処理(380〜780nmにおける透過率が10%未満)を行った。分光光度計{日本分光(株)製}を用いて、380〜780nmの波長領域において、入射角5°における分光反射率を測定した。結果には450〜650nmの平均反射率を用いた。)
(実施例4)
表11に示すハードコート層用塗布液(HCL−8)〜(HCL−10)を調製した。
Figure 2007293301
それぞれ使用した化合物を以下に示す。
架橋スチレン粒子:
(SX−350、平均粒径3.5μm架橋ポリスチレン粒子{屈折率1.60、綜研化学(株)製})
架橋アクリル−スチレン粒子:
(平均粒径3.5μm{屈折率1.55、綜研化学(株)製})
架橋アクリル粒子:
(MX−300、平均粒径3.0μm架橋アクリル粒子{屈折率1.49、綜研化学(株)製})
シリカ粒子:
(サイシリア430、平均粒径2.5μmシリカ粒子、富士シリシア(株)製)
PMMA:
(ポリメチルメタアクリレート、分子量80000)
(光学フィルム(401)の作製)
膜厚80μm、幅1340mmのトリアセチルセルロースフィルム“TAC−TD80U”{富士フイルム(株)製}上に、ハードコート層用塗料(HCL-8)をダイコーターで、搬送速度30m/分の条件で塗布し、60℃で150秒乾燥の後、窒素パージ(酸素濃度0.05%以下)しながら、160W/cmの空冷メタルハライドランプ{アイグラフィックス(株)製}を用いて、放射照度400mW/cm、照射エネルギー量20mJ/cmの紫外線を照射して塗布層を硬化させ、膜厚7.2μmのハードコート層を作製した。
得られたハードコート層の上に、実施例1で用いた上記オーバーコート層用塗料(OCL−5)をダイコーター塗工方式で、硬化後の膜厚が0.4μmになるように調節しながら、搬送速度30m/分の条件で塗布し、60℃で150秒乾燥の後、窒素パージ(酸素濃度0.05%以下)しながら、160W/cmの空冷メタルハライドランプ{アイグラフィックス(株)製}を用いて、放射照度400mW/cm、照射エネルギー量240mJ/cmの紫外線を照射して塗布層を硬化させ、試料401を得た。
得られた試料401に対して、ハードコート層とオーバーコート層の組成を表12に示すように変更した試料402〜436を作製した。
Figure 2007293301
(光学フィルムの評価)
得られたフィルムについて、実施例2に準じた評価を行った。その結果、本発明に従えば、カール、耐擦傷性に優れる試料が得られることが分かった。また、オーバーコート層用塗布液に防汚剤を含有する試料は防汚性特に耐久性に優れることが分かった。また特に、オーバーコート層用塗布液(OCL-15)、(OCL-18)、(OCL-20)及び(OCL-21)を用いた試料では、黒のしまりのある防眩性を有する光学フィルムが得られた。
また、オーバーコート層用塗布液(OCL-30)及び(OCL-31)を用いた試料では、防眩性を有しているため、実施例3の試料よりも更に指紋の跡が特に目立ちにくく、指紋のふき取り性にも優れていた。
(実施例5)
実施例3の製造工程Bにおいて、ハードコート層を重合させる際に、390nm以下のシャープカットフィルターを介して光照射を行ったところ、長波吸収を有する光重合開始剤IRG369が主として反応し、ハードコート層の重合率を50%以下の特定値に制御するのが容易であった。
(実施例6)
以下に示すオーバーコート層用塗布液(OCL−33)〜(OCL−34)及び、低屈折率層用塗布液(LnL−1)〜(LnL−4)を調製した。
(オーバーコート層用塗布液(OCL−33)の調製)
DPHA(ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物、日本化薬(株)製)38.0g、PETA(ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレートの混合物、日本化薬(株)製、)10.0g、光重合開始剤(イルガキュア369(商品名)、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、分子量367)2.0gをメチルイソブチルケトン110g、シクロヘキサノン7.0gに溶解した。その後ZrO2分散液(平均粒子径5〜20nm、メチルイソブチルケトン分散液20%、住友大阪セメント(株)製)250.0gを加え攪拌し、オーバーコート層用塗布液(OCL−33)を調製した。このオーバーコート層用塗布液のMOCは492、硬化物の屈折率は1.62であった。
(オーバーコート層用塗布液(OCL−34)の調製)
DPHA(ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物、日本化薬(株)製)18.0g、PETA(ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレートの混合物、日本化薬(株)製、)10.0g、RHB−17(デンドリマー型14官能アクリレート、実施例1の化合物)20.0g、光重合開始剤(イルガキュア369(商品名)、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、分子量367)2.0gをメチルイソブチルケトン110g、シクロヘキサノン7.0gに溶解した。その後ZrO分散液(平均粒子径5〜20nm、メチルイソブチルケトン分散液20%、住友大阪セメント(株)製)250.0gを加え攪拌し、オーバーコート層用塗布液(OCL−34)を調製した。このオーバーコート層用塗布液のMOCは1215、硬化物の屈折率は1.62であった。
(低屈折率層用塗布液(LnL−1)の調製)
熱架橋性含フッ素ポリマー(特開平11−189621公報実施例1に記載の含フッ素含シリコーン熱硬化ポリマー)4.52g、硬化剤(サイメル303;商品名、日本サイテックインダストリーズ(株)製)1.13g、硬化触媒(キャタリスト4050;商品名、日本サイテックインダストリーズ(株)製)0.11g、コロイダルシリカ分散液(MEK−ST−L;商品名、日産化学(株)、固形分濃度30%、平均粒子サイズ約50nm)1.5g、シリカ分散液B(中空シリカのシクロヘキサノン分散液、シリカに対して重合性官能基含有表面処理剤15%使用、固形分濃度23%)15.0g、ゾル液a2.5g、光重合開始剤(PM980M、分子量527、和光純薬製)0.60g、およびメチルエチルケトン114gを添加、攪拌の後、孔径1μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して、低屈折率層用塗布液(LnL−1)を調製した。
(低屈折率層用塗布液(LnL−2)の調製)
ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物(DPHA、日本化薬(株)製)2.65g、シリカ分散液B(中空シリカ分散液、シリカに対して重合性官能基含有表面処理剤15%使用、固形分濃度23%)30.0g、ゾル液a2.93g、反応性シリコーンX−22−164C(商品名;信越化学工業社製)0.15g、含フッ素化合物F3035(商品名;日本油脂株式会社製、固形分濃度30%)0.15g、光重合開始剤(イルガキュア369(商品名)、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、分子量367)0.20gおよびメチルエチルケトン103g、シクロヘキサノン3.5gを添加、攪拌の後、孔径1μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して、低屈折率層用塗布液(LnL−2)を調製した。
(低屈折率層用塗布液(LnL−3)の調製)
ラジカル重合性含フッ素ポリマー(特開2003−222702号公報に記載の含フッ素含シリコーンラジカル重合性ポリマーP9)5.22g、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物(DPHA、日本化薬(株)製)0.50g、シリカ分散液B(中空シリカ分散液、固形分濃度23%)15.0g、ゾル液a4.4g、反応性シリコーンRMS−033(商品名;Gelest社製)0.15g、光重合開始剤イルガキュア369(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、分子量367)0.17gおよびメチルエチルケトン114g、シクロヘキサノン3.5gを添加、攪拌の後、孔径1μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して、低屈折率層用塗布液(LnL−3)を調製した。
(低屈折率層用塗布液(LnL−4)の調製)
コルコートN103(オルガノオルガノシロキサンオリゴマ−(平均分子量950、コルコート社製)(2%)245質量部、オプスターJTA105(含フッ素オルガノシロキサンオリゴマー(5%)、ポリエチレングリコール、ヘキサメチロールメラミン、酸発生剤含有、JSR社製)100質量部、オプスタ−JTA105A(硬化剤(5%)、JSR社製)1質量部、中空シリカ分散液A(30%)23質量部、酢酸ブチル365質量部を混合し、低屈折率層用塗布液(LnL−4)を調製した。
使用した分散液を以下に示す。
中空シリカ分散液A:(中空シリカ微粒子ゾル、平均粒子径65nm、シェル厚み8nm、シリカ粒子の屈折率1.28、特開2002−79616の調製例4に準じサイズを変更して調製、IPA分散液、固形分30%)、
中空シリカ分散液B:中空シリカ分散液A中のシリカに対して、表面処理剤として3−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン15質量部で表面修飾し、修飾後シクロヘキサノンに溶媒置換し固形分濃度を23%とした。)
(ゾル液a)
攪拌機、還流冷却器を備えた反応器、メチルエチルケトン120部、アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン(KBM―5103、信越化学工業(株)製)100部、ジイソプロポキシアルミニウムエチルアセトアセテート3部を加え混合したのち、イオン交換水30部を加え、60℃で4時間反応させたのち、室温まで冷却し、ゾル液を得た。質量平均分子量は1600であり、オリゴマー成分以上の成分のうち、分子量が1000〜20000の成分は100%であった。また、ガスクロマトグラフィー分析から、原料のアクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランは全く残存していなかった。固形分の濃度が29%になるようにメチルエチルケトンで調節してゾル液aとした。
続いて、表13に示す構成で、ハードコート層、オーバーコート層、低屈折率層を塗設した。ハードコート層の硬化条件は紫外線照射エネルギー量20mJ/cm、オーバーコート層の硬化条件は紫外線照射エネルギー量20mJ/cmで行い、低屈折率層は下記の条件で硬化させた。
(LnL−1、LnL−4を使用した光学フィルムの硬化条件)
90℃で150秒乾燥の後、110℃で10分の熱硬化を行った。その後に窒素パージ(酸素濃度0.05%以下)しながら、160W/cmの空冷メタルハライドランプ{アイグラフィックス(株)製}を用いて、放射照度400mW/cm、照射エネルギー量240mJ/cmの紫外線を照射して塗布層を硬化させた。
(LnL−2、LnL−3を使用した光学フィルムの硬化条件)
90℃で150秒乾燥の後、窒素パージ(酸素濃度0.05%以下)しながら、160W/cmの空冷メタルハライドランプ{アイグラフィックス(株)製}を用いて、放射照度400mW/cm、照射エネルギー量240mJ/cmの紫外線を照射して塗布層を硬化させた。
Figure 2007293301
得られた試料を、実施例2に準じて評価した結果、本発明の試料は、低カールで、耐擦傷性に優れることが確認され、更に低屈折率層を塗設した試料は、反射率が低いことが確認された。
(実施例7)
実施例1において、支持体の厚みを40μmに変更した試料を作成した。実施例1と同様の評価を行った結果を下記表に示す。
Figure 2007293301
上記表によれば、本発明のハードコート層とオーバーコート層を組み合わせることにより、カールの発生が少なく、耐擦傷性、防汚性に優れる光学フィルムが得られることが確認された。実施例1に対して支持体の膜厚を下げることでカールの程度が悪化する方向にあるが、本発明のデンドリマーや無機粒子を用いたオーバーコート層を用いた場合には、カールの悪化が抑えられていることがわかる。
また、市販されている光学用易接着層付きPETフィルムである東洋紡績社製コスモシャインA4100、A4300を用いて実施例1の層構成の組み合わせを評価した結果同様の結果であった。
(実施例8)
[光学フィルムの鹸化処理]
実施例1〜実施例7の試料の裏面を以下に示す条件で鹸化処理を行った。
アルカリ浴:1.5mol/dm水酸化ナトリウム水溶液、55℃−120秒。
第1水洗浴:水道水、60秒。
中和浴:0.05mol/dm硫酸、30℃−20秒。
第2水洗浴:水道水、60秒。
乾燥:120℃、60秒
[光学フィルム付き偏光板の作製]
延伸したポリビニルアルコールフィルムに、ヨウ素を吸着させて偏光膜を作製した。実施例1の鹸化処理済みの反射防止フィルムに、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、該反射防止フィルムの支持体(トリアセチルセルロース)側が偏光膜側となるように偏光膜の片側に貼り付けた。光学補償層を有する視野角拡大フィルム「ワイドビューフィルムSA12B」{富士フイルム(株)製}を鹸化処理し、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、偏光膜のもう一方の側に貼り付けた。このようにして偏光板を作製した。
作製した本発明の偏光板を装着したTNモードの透過型液晶表示装置を評価した結果、視認性、防塵性、耐擦傷性に優れた表示装置が作製できることが確認された。
(実施例9)
実施例3の光学フィルム(試料305C、305D、306C、306D、307C、307D、308C及び308D)を、有機EL表示装置の表面のガラス板に粘着剤を介して貼り合わせたところ、ガラス表面での反射が抑えられ、視認性の高い表示装置が得られた。
(実施例10)
実施例3の光学フィルム(試料305C、305D、306C、306D、307C、307D、308C及び308D)において、透明支持体として易接着層付きPET(東洋紡製コスモシャインA4100、膜厚188μm)を用いた以外は同様にして光学フィルムを作製した。前面板なしの42インチプラズマディスプレイ(パイオニア製ダイレクトカラーフィルター方式PDU−42H6A1)の表面フィルムを剥がし、本発明の光学フィルムを粘着剤で貼り付けたところ低反射、耐擦傷、防汚性に優れることが確認された。
(実施例11)
実施例3の光学フィルム(試料305C、305D、306C、306D、307C、307D、308C及び308D)を有機ELディスプレイの表面に低屈折率層が外側になるように粘着剤で貼り付けたところ、低反射、耐擦傷、防汚性に優れることが確認された。
(実施例12)
反射型液晶ディスプレイおよび半透過型液晶ディスプレイの表面の保護膜として、低屈折率層が外側になるように実施例3の光学フィルムを用いたところ、低反射、耐擦傷、防汚性に優れることが確認された。
本発明に用いることができる、中心部より三次元放射状に分枝が広がり、更にその末端から分枝を有する部位を含む化合物の例である。 全ての方向に均一に成長していなくても、分枝部が放射状に広がっている、本発明で用いることができる樹枝状化合物の例である。

Claims (26)

  1. 支持体上に、ハードコート層用塗布組成物を硬化してなるハードコート層と、オーバーコート層用塗布組成物を硬化してなるオーバーコート層とをこの順に有する光学フィルムであって、該ハードコート層用塗布組成物及び該オーバーコート層用塗布組成物が、1分子中に重合性官能基を複数個有する化合物を含有し、かつ少なくとも該オーバーコート層用塗布組成物が、1分子中に重合性官能基を少なくとも3つ有する化合物を含有する光学フィルム。
  2. 前記オーバーコート層用塗布組成物に含有される1分子中に重合性官能基を複数個有する化合物の重量平均分子量(MOC)と前記ハードコート層用塗布組成物に含有される1分子中に重合性官能基を複数個有する化合物の重量平均分子量(MHC)との比(MOC/MHC)が、1.0以上100以下である請求項1に記載の光学フィルム。
  3. 前記オーバーコート層の膜厚が、0.15μm以上10μm以下である請求項1又は2に記載の光学フィルム。
  4. 前記1分子中に重合性官能基を複数個有する化合物が、水素結合性基を有するモノマーである請求項1〜3のいずれかに記載の光学フィルム。
  5. 前記1分子中に重合性官能基を複数個有する化合物が、イソシアヌル酸エトキシ変性ジアクリレートである請求項1〜4のいずれかに記載の光学フィルム。
  6. 前記1分子中に重合性官能基を複数個有する化合物が、多分岐ポリマー(HB)を核とし、その分岐枝末端に光硬化性及び/又は熱硬化性反応基が結合された硬化性多分岐ポリマー(RHB)である請求項1〜5のいずれかに記載の光学フィルム。
  7. 前記ハードコート層用塗布組成物及びオーバーコート層用塗布組成物の少なくとも1つは無機微粒子を含有する請求項1〜6のいずれかに記載の光学フィルム。
  8. 前記オーバーコート層が、平均粒子径1nm以上1μm以下のシリカを主成分とする無機微粒子を含有する請求項7に記載の光学フィルム。
  9. 前記オーバーコート層用塗布組成物に含有される無機微粒子が、粒子の表面及び/又は内部に空孔を有する請求項7又は8に記載の光学フィルム。
  10. 前記無機微粒子が、導電性粒子である請求項7〜9のいずれかに記載の光学フィルム。
  11. 前記ハードコート層用塗布組成物又はオーバーコート層用塗布組成物が、オルガノシラン化合物及び/又はその加水分解物及び/又はその縮合物を含有する請求項1〜10のいずれかに記載の光学フィルム。
  12. 前記オーバーコート層用塗布組成物が、反応性シリコーン及び反応性フッ素化合物の少なくとも一種を含有する請求項1〜11のいずれかに記載の光学フィルム。
  13. オーバーコート層の表面自由エネルギーが、30mN/m以下である請求項1〜12のいずれかに記載の光学フィルム。
  14. オーバーコート層とハードコート層はその界面で、両層を形成する重合性化合物及び/又は無機微粒子の組成が徐々に変化している請求項1〜13のいずれかに記載の光学フィルム。
  15. オーバーコート層とハードコート層はその界面で更に別の界面混合層を形成している請求項1〜14のいずれかに記載の光学フィルム。
  16. オーバーコート層の屈折率が1.25〜1.49である請求項1〜15のいずれかに記載の光学フィルム。
  17. オーバーコート層の表面から100nm深さまでの平均屈折率が1.25〜1.49である請求項1〜16のいずれかに記載の光学フィルム。
  18. ハードコート層が光拡散粒子を含有する請求項1〜17のいずれかに記載の光学フィルム。
  19. 防眩性を有する請求項1〜18のいずれかに記載の光学フィルム。
  20. 支持体の厚みが、15μm以上60μm以下である請求項1〜19のいずれかに記載の光学フィルム。
  21. 光学フィルムのオーバーコート層用塗布組成物を硬化してなる層上に、更に低屈折率層を有する請求項1〜20のいずれかに記載の光学フィルム。
  22. 偏光膜と、該偏光膜の両側に設けられた保護フィルムとを有する偏光板であって、該保護フィルムの少なくとも一方が、請求項1〜21のいずれかに記載の光学フィルムである偏光板。
  23. 請求項1〜21に記載の光学フィルム、又は請求項22に記載の偏光板を有する画像表示装置。
  24. 支持体上に、1分子中に重合性官能基を複数個有する化合物を含有するハードコート層用塗布組成物を塗布する工程、該化合物の反応率が0%以上50%以下になるよう硬化させる工程、重合性官能基を少なくとも3つ有する化合物を含有するオーバーコート層用塗布組成物を塗布する工程、及び該オーバーコート層用塗布組成物を硬化させる工程をこの順に有する光学フィルムの製造方法。
  25. 前記ハードコート層用塗布組成物を塗布後、塗布された支持体を巻き取ることなく、その上に前記オーバーコート層用塗布組成物を塗布する請求項24に記載の光学フィルムの製造方法。
  26. 支持体上に、1分子中に重合性官能基を複数個有する化合物を含有するハードコート層用塗布組成物と重合性官能基を少なくとも3つ有する化合物を含有するオーバーコート層用塗布組成物を同時に塗布する光学フィルムの製造方法。
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