JP2018197829A - 防眩性反射防止フィルム及びそれを備えた画像表示装置 - Google Patents
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Abstract
Description
[1]透明基材フィルム上に、防眩性ハードコート層、高屈折率層、低屈折率層がこの順で積層されており、前記防眩性ハードコート層が、活性エネルギー線硬化型樹脂と、ポリマー成分とを含み、前記低屈折率層の屈折率が1.29〜1.37、膜厚が0.06〜0.13μmであり、前記高屈折率層の屈折率をnH、前記防眩性ハードコート層の屈折率をnAG、前記高屈折率層の膜厚をdH、防眩性ハードコート層の算術平均粗さをRaとした場合、下記条件(1)・(2)・(3)を同時に満たす、防眩性反射防止フィルム。
0.03≦nH−nAG≦0.20・・・(1)
0.12μm≦dH≦0.30μm・・・(2)
0.05μm≦Ra≦0.30μm・・・(3)
[2]視感反射率RSCIが1.0%以下である、前記の[1]に記載の防眩性反射防止フィルム。
[3]ディスプレイの画像を表示する側の最表面に、前記の[1]または[2]に記載の防眩性反射防止フィルムを備えている、画像表示装置。
本発明の防眩性反射防止フィルム(以下、単に防眩性フィルムともいう)は、透明基材フィルム上(一方面)に、防眩性ハードコート層、高屈折率層、及び低屈折率層が、透明基材フィルム側からこの順で積層されてなる。この防眩性フィルムは、画像表示装置におけるディスプレイの画像を表示する側の最表面に配置される。画像表示装置としては、特に高精細な液晶ディスプレイ、タッチパネルディスプレイ、有機ELディスプレイ、又はカーナビゲーションシステムが挙げられる。
透明基材フィルムを形成する材料は、透明性が良好で光透過性に優れているものであれば特に限定されず、この種のフィルムにおいて従来から使用されている公知の材料を使用できる。例えば、トリアセチルセルロース(TAC),ジアセチルセルロース,プロピオニルセルロース,ブチリルセルロース,アセチルプロピオニルセルロース,ニトロセルロース等の誘導体,ポリエチレンテレフタレート(PET),シクロシクロオレフィンポリマー(COP),シクロオレフィンコポリマー(COC),ポリカーボネート(PC),ポリメチルメタクリレート(PMMA)などからなる単層又は二層シートを使用できる。中でも、光学異方性がなく光透過率が良い点から、トリアセチルセルロース(TAC)が好ましい。
防眩性ハードコート層は、ハードコート層として所要の強度及び硬度を有していると共に、その表面に凹凸を有する。この表面凹凸に外光が反射して拡散される(表面拡散性)ことで、防眩性を発現する。なお、防眩性ハードコート層の表面凹凸は、防眩性ハードコート層の膜厚に依存する。防眩性ハードコート層は、少なくとも活性エネルギー線硬化型樹脂と、ポリマー成分とを含有する防眩性ハードコート層用組成物を硬化して形成される。
活性エネルギー線硬化型樹脂は防眩性ハードコート層のベース成分であり、単官能単量体、多官能単量体、ビニル基や(メタ)アクリロイル基を有するオリゴマー、及びビニル基や(メタ)アクリロイル基を有する重合体の中から1種又は2種以上を使用できる。なお、(メタ)アクリロイル基とは、アクリロイル基又はメタクリロイル基を意味する。また、後述の(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はメタクリレートを意味する。
ポリマー成分は、防眩性ハードコート層用組成物中に溶解する化合物であり、そのような化合物としては、重量平均分子量1,000〜500,000、好ましくは1,100〜400,000、より好ましくは1,200〜300,000の熱可塑性樹脂や、(メタ)アクリロイル基を有する重合体等が挙げられる。熱可塑性樹脂としては、スチレン系樹脂、スチレン・(メタ)アクリル系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、有機酸ビニルエステル系樹脂、ビニルエーテル系樹脂、ポリエステル系樹脂、熱可塑性ポリウレタン樹脂、セルロース誘導体、などが挙げられる。(メタ)アクリロイル基を有する重合体としては、例えば(メタ)アクリルモノマーを重合または共重合した樹脂、(メタ)アクリルモノマーと他のエチレン性不飽和二重結合を有するモノマーとを共重合した樹脂、(メタ)アクリルモノマーと他のエチレン性不飽和二重結合およびエポキシ基を有するモノマーとを反応させた樹脂、(メタ)アクリルモノマーと他のエチレン性不飽和二重結合およびイソシアネート基を有するモノマーとを反応させた樹脂などが挙げられる。中でも、スチレン・(メタ)アクリル系樹脂が防眩性を最適に発現する観点から好ましい。
光重合開始剤は、活性エネルギー線硬化型樹脂に紫外線等の活性エネルギー線を照射して重合を開始させるためのものである。光重合開始剤としては、例えばベンゾフェノン類、アセトフェノン類、α−アミロキシムエステル、ミヒラーベンゾイルベンゾエート、テトラメチルチュウラムモノサルファイド、チオキサントン類等の中から1種又は2種以上を使用できる。具体的には、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフェリノプロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、ベンゾイン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、ベンゾフェノン、[4−(メチルフェニルチオ)フェニル]フェニルメタノン、4−ヒドロキシベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン2−クロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、α−アミロキシムエステル、ミヒラーベンゾイルベンゾエート、テトラメチルチュウラムモノサルファイド等が挙げられる。
高屈折率層は防眩性ハードコート層よりも屈折率が高く、低屈折率層と共に反射防止層を構成する層であって、低屈折率層との相対関係によって反射防止機能を発現するものである。高屈折率層は、ベースとなる活性エネルギー線硬化型樹脂と、光重合開始剤と、金属酸化物微粒子を含有する高屈折率層用組成物を硬化して形成される。
低屈折率層は防眩性ハードコート層よりも屈折率が低く、高屈折率層と共に反射防止層を構成する層であって、高屈折率層との相対関係によって反射防止機能を発現するものである。低屈折率層は、(a)C2〜C7のパーフルオロアルキル鎖を含有する(メタ)アクリレートと、(b)アクリル基を有するポリエステル変性ポリジメチルシロキサンと、(c)(a)成分及び(b)成分と共重合可能な重合性二重結合をもつ含フッ素化合物と、(d)中空シリカ微粒子と、(e)光重合開始剤とを含有する、低屈折率層用組成物を硬化して形成される。
C2〜C7のパーフルオロアルキル鎖を含有する(メタ)アクリレートは、低屈折率層の表面を触った際の指紋の付着性を弱めることができる。C2〜C7のパーフルオロアルキル鎖を含有する(メタ)アクリレートとしては、具体的には、ダイキン工業(株)製オプツールDAC−HP,DIC(株)製メガファックRS−75等が挙げられる。C2〜C7のパーフルオロアルキル鎖を含有する(メタ)アクリレートは、低屈折率層用組成物中に3〜15質量%、好ましくは5〜10質量%含まれる。
アクリル基を有するポリエステル変性ポリジメチルシロキサンは、低屈折率層表面に付着した指紋の拭取り性を良好にすることが出来る。アクリル基を有するポリエステル変性ポリジメチルシロキサンとしては、具体的には、ビックケミー・ジャパン(株)製BYK−UV3500,BYK−UV3530,BYK−UV3570等が挙げられる。
(a)成分及び(b)成分と共重合可能な重合性二重結合をもつ含フッ素化合物は、低屈折率層へ硬度を付与する事が出来る。この含フッ素化合物は、低屈折率層用組成物中に3〜70質量%、好ましくは5〜50質量%含まれる。含有量が3質量%未満では、低屈折率層の硬度不足により耐擦傷性が低下する。一方、70質量%を越えると、防眩性フィルムの視感反射率が低下する。
中空シリカ微粒子は、屈折率を積極的に低くするために配合されるものである。中空シリカ微粒子の屈折率は製法によって異なるが、1.25〜1.37であることが好ましい。中空シリカ微粒子としては、屈折率を低くするものであれば特に限定されず、公知の中空シリカ微粒子を使用できる。具体的には、日揮触媒化成(株)製アクリル修飾中空シリカ微粒子スルーリア4320等が挙げられる。
光重合開始剤としては、防眩性ハードコート層や高屈折率層で使用するものと同種のものを使用できる。光重合開始剤は、低屈折率層用組成物中に0.1〜10質量%、好ましくは1〜7質量%含まれる。なお、上記(a)〜(e)成分の合計含有量は100質量%である。
防眩性ハードコート層、高屈折率層、及び低屈折率層を形成するには、各層用の組成物を塗布し、活性エネルギー線を照射して硬化させることにより硬化させる方法を採用することができる。
以上のように構成される防眩性反射防止フィルムは、画像表示装置における液晶ディスプレイやタッチパネルディスプレイ、有機ELディスプレイ等のディスプレイの画像を表示する側の最表面に配置されて用いられる。これにより防眩性及び反射防止性を発揮でき、画像の視認性が向上する。特に、高精細なディスプレイにおいてその効果が大きい。ここで、高精細とは、画像を形成する画素が小さく、表示される画像の解像度が高いものをいう。具体的には、画像1インチ当たりの画素密度が150ppi(Pixel Per Inch)以上である。係るディスプレイを備える画像表示装置は、防眩性反射防止フィルムを備えることによって、外景の写り込みが抑えられ、良好な画像視認性を有する。
〔防眩性ハードコート層用組成物:AG1の調製〕
活性エネルギー線硬化型樹脂として6官能ウレタンアクリレート(分子量1400、60℃における粘度が2500〜4500Pa・s、日本合成化学工業(株)製、「紫光UV7600B」)100質量部、ポリマー成分としてスチレン・(メタ)アクリル系樹脂(三菱レイヨン(株)製、「BR−50」)38質量部、光重合開始剤としてチバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、「イルガキュア184(I−184)」5質量部からなる防眩性ハードコート用層組成物に、希釈溶剤としてメチルエチルケトン120質量部を混合した。
活性エネルギー線硬化型樹脂として6官能ウレタンアクリレート(分子量1400、60℃における粘度が2500〜4500Pa・s、日本合成化学工業(株)製、「紫光UV7600B」)95質量部、光重合開始剤としてチバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、「イルガキュア184(I−184)」5質量部、透光性有機微粒子として架橋アクリル−スチレン共重合樹脂の微粒子(積水化成品(株)製、「SSX−108LXE」(粒子径の揃った単分散な微粒子)、平均粒子径8.0μm、屈折率1.545)5質量部からなる防眩性ハードコート層用組成物に、希釈溶剤としてメチルエチルケトン95質量部を混合した。
<屈折率の測定>
硬化被膜表面の反射スペクトルを反射分光膜厚計FE−3000(大塚電子製)により測定して、得られた反射スペクトルを基に589nmの光に対する屈折率を算出した。
活性エネルギー線硬化型樹脂としてウレタンアクリレート〔分子量1400、60℃における粘度が2500〜4500Pa・s、日本合成化学工業(株)製、「紫光UV7600B」〕50質量%、光重合開始剤としてチバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、「イルガキュア184(I−184)」5質量%、及び金属酸化物微粒子としてアンチモン酸亜鉛(日産化学工業(株)製、「セルナックスCX−603M−F2」アンチモン酸亜鉛微粒子分散液)45質量%(固形分換算)からなる高屈折率層用組成物に、希釈溶剤としてIPA(イソプロピルアルコール)を固形分濃度が10%となるように混合した。
表2に示す材料を表2に示す割合で混合し、H1と同様に調製した。なお、表2に示す配合量は、固形分換算値である。また、表2にのみ示す各材料の詳細は、次のとおりである。
酸化ジルコニウム:CIKナノテック(株)製「ZRMEK25wt%−F47」(酸化ジルコニウム微粒子分散液)
酸化チタン:シーアイ化成(株)製「RTTMIBK15WT%−N24」(酸化チタン微粒子分散液)
四つ口フラスコにパーフルオロ−(1,1,9,9−テトラハイドロ−2,5−ビスフルオロメチル−3,6−ジオキサノネノール)104質量部と、ビス(2,2,3,3,4,45,5,6,6,7,7−ドデカフルオロヘプタノイル)パーオキサイドの8質量%パーフルオロヘキサン溶液11質量部を入れた。そして、その中空部を窒素置換した後、窒素気流下20℃で24時間撹拌して高粘度の固体を得た。得られた固体をジエチルエーテルに溶解させたものをパーフルオロヘキサンに注ぎ、分離後に真空乾燥させてヒドロキシル基含有含フッ素アリルエーテル重合体である無色透明なポリマーを得た。
イソプロピルアルコール(IPA)を溶媒として、固形分濃度が5質量%となるように、(a)C2〜C7のパーフルオロアルキル鎖を含有する(メタ)アクリレート〔信越化学工業(株)製「DAC−HP」〕5質量%と、(b)アクリル基を有するポリエステル変性ポリジメチルシロキサン〔ビックケミー・ジャパン(株)製「BYKUV−3570」〕4質量%と、(c)含フッ素化合物(δ1)を固形分換算で43質量%と、(d)粒子径が60nmの中空シリカ微粒子〔日輝触媒化成工業(株)製「スルーリア4320」〕43質量%と、(e)光重合開始剤〔BASFジャパン(株)製「イルガキュア907(I−907)」〕5質量%とを混合して得た。
表3に示す材料を表3に示す割合で混合し、L1と同様に調製した。なお、表3に示す配合量は、固形分換算値である。また、表3にのみ示す各材料の詳細は、次のとおりである。
スルーリア2320:日輝触媒化成工業(株)製「スルーリア2320」、粒子径が50nmの中空シリカ微粒子
OD2H2A:下記一般式(3)で示される1,10−ジアクリロイルオキシ−2,9−ジヒドロキシ−4,4,5,5,6,6,7,7−オクタフルオロデカン
防眩性ハードコート層用組成物AG1に、酢酸エチル(EtOAc)35質量部、及び2−プロパノール〔IPA〕22質量部を混合して調製し、防眩性ハードコート層形成用塗液を調製した。この防眩性ハードコート層形成用塗液を、透明基材フィルムとして厚さ80μmのトリアセチルセルロース(TAC)フィルム上にロールコーターにて乾燥膜厚が3.0μmとなるように塗布し、80℃で2分間乾燥した。その後、120W高圧水銀灯〔日本電池(株)製〕により紫外線を照射し(積算光量400mJ/cm2)、硬化させて防眩性ハードコート層を形成した。
表4,5に示す材料を表4,5に示す膜厚で塗布し、実施例1と同様に乾燥硬化させて、実施例2〜9及び比較例1〜10の防眩性反射防止フィルムを作製した。
表面粗さ測定器〔(株)小坂研究所製、型名 Surfcorder SE500〕を用い走査範囲4mm、走査速度0.2mm/sの条件で、JIS B0601−1994の規定に準拠して算術平均粗さRa(μm)を測定した。
測定面の裏面反射を除くため、フィルムの裏面をサンドペーパーで粗し、黒色塗料で塗り潰した形態にて調整した。調整したフィルムの測定面を日本電色(株)製「SD6000」により測定し、JIS Z 8701で規定されているXYZ表色系(CIE標準イルミナントD65)における、反射による物体色の三刺激値Yを算出した。
防眩性フィルムの防眩層側とは逆の面を黒マジックインキで塗りつぶし、ルーバーなしのむき出し蛍光灯(2000 lx)を5度の角度から映し、−5度の方向から観察した場合と、45度の角度から映し、−45度の方向から観察した場合の反射像のボケの程度を以下の基準で評価した。
○:−5度では蛍光灯の輪郭がわずかに観察される程度だが、−45度では輪郭が比較的明瞭に分かる程度
×:−5度でも、−45度でも蛍光灯の輪郭がはっきり見える。
液晶表示装置の視認側表面に防眩性フィルムを粘着層を介して貼合し黒しまり感を官能評価した。評価法は、真正面から電源オフ時の黒味、電源オン時の黒味(黒い画像)をそれぞれのフィルムで比較し、以下の基準で評価した。黒味の強いほど画面のしまり感も強いという基準で評価した。
○:黒味が強く、画面が強くしまって見える。
×:グレー味が強く、画面のしまり感がない。
反射防止フィルム表面を♯0000のスチールウールに250gfの荷重をかけて、ストローク幅25mm、速度30mm/secで10往復摩擦したあとの表面を目視で観察し、以下の基準で評価した。スチールウールは約10mmφにまとめ、表面が均一になるようにカット、摩擦して均したものを使用した。
○:傷が0〜10本 △:傷が11〜20本 ×:傷が21本以上
Claims (3)
- 透明基材フィルム上に、防眩性ハードコート層、高屈折率層、低屈折率層がこの順で積層されており、
前記防眩性ハードコート層が、活性エネルギー線硬化型樹脂と、ポリマー成分とを含み、
前記低屈折率層の屈折率が1.29〜1.37、膜厚が0.06〜0.13μmであり、
前記高屈折率層の屈折率をnH、前記防眩性ハードコート層の屈折率をnAG、前記高屈折率層の膜厚をdH、防眩性ハードコート層の算術平均粗さをRaとした場合、下記条件(1)・(2)・(3)を満たす、防眩性反射防止フィルム。
0.03≦nH−nAG≦0.20・・・(1)
0.12μm≦dH≦0.30μm・・・(2)
0.05μm≦Ra≦0.30μm・・・(3) - 視感反射率RSCIが1.0%以下である、請求項1に記載の防眩性反射防止フィルム。
- ディスプレイの画像を表示する側の最表面に、請求項1または請求項2に記載の防眩性反射防止フィルムを備えている、画像表示装置。
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