JP2019159202A - 反射防止フィルム - Google Patents
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Abstract
【課題】反射光の色味及び皮脂汚れの目立ち易さの角度依存性を抑制する効果に優れる反射防止フィルムを提供する。【解決手段】上記課題を解決するために、フィルムの一方面に、易接着層を介して、高屈折率ハードコート層、中屈折率層、低屈折率層がこの順で設けられており、前記の高屈折率ハードコート層と中屈折率層、低屈折率層の屈折率が高屈折率ハードコート層>中屈折率層>低屈折率層の順であり、前記の易接着層の膜厚が5〜30nm、屈折率が1.63〜1.67であり、前記の高屈折率ハードコート層の屈折率が1.63〜1.67、膜厚が0.5〜10μmで、且つ、前記の易接着層との屈折率差の絶対値が0.02以下であり、前記の中屈折率層の屈折率が1.52〜1.60、膜厚が130〜155nmであり、前記の低屈折率層の屈折率が1.29〜1.34、膜厚が70〜95nmである反射防止フィルムを提供する。【選択図】なし
Description
本発明は、タッチパネルの表面等に適用される反射防止フィルムに関し、特に、反射光の着色抑制効果の高い反射防止フィルムに関するものである。
近年、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、及びエレクトロルミネセンスディスプレイなどの画像表示の大画面化が進んでいる。このような大画面の表示装置では、正面から観察しても画面の左右両端は出射角度が大きくなる。また、タブレット型の携帯情報端末に代表されるタッチパネル付きの表示装置においては、画面と人間の目との距離が近くなる為、大画面でなくても、画面の左右両端は出射角が大きくなる場合がある。また、表示装置が凸面状の場合も、左右両端の出射角が大きくなる。このため、出射角が異なる範囲においての色味の均一性と耐指紋性が重要となる。
この課題に対して、例えば特許文献1では、角度変化による色味の急変を抑制できるものの指紋等の皮脂汚れの付着などが目立つという欠点があった。また、例えば特許文献2では、反射防止層の表面にフッ素化合物を含む防汚層を設ける手法が開示されている。この手法では、皮脂汚れの付着を完全に防止するものではなく、正面からの視認ではある程度の耐指紋効果が得られるが、角度をつけて視認すると耐指紋効果が得られず非常に目立つという欠点があった。
そこで、本発明の目的とするところは、反射光の色味及び皮脂汚れの目立ち易さの角度依存性を抑制する効果に優れる反射防止フィルムを提供することにある。
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意研究し、色味の問題を生じる反射防止フィルムは、正面方向から離れた角度(40度)から観察した場合に、色味及び皮脂汚れの付着を感じやすい知見を得た。そして本発明者らはさらに鋭意研究した結果、正反射での光学干渉をもとに設計するのではなく、あえて正面方向から離れた角度(40度)の光学干渉をもとに設計することで正面方向から離れた角度(40度)の反射光の色味及び皮脂汚れの目立ち易さを抑制し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は下記の〔1〕および〔2〕である。
すなわち、本発明は下記の〔1〕および〔2〕である。
〔1〕フィルムの一方面に、易接着層を介して、高屈折率ハードコート層、中屈折率層、低屈折率層がこの順で設けられており、
前記の高屈折率ハードコート層と中屈折率層、低屈折率層の屈折率が
高屈折率ハードコート層 > 中屈折率層 > 低屈折率層 の順であり、
前記の易接着層の膜厚が5〜30nm、屈折率が1.63〜1.67であり、
前記の高屈折率ハードコート層の屈折率が1.63〜1.67、膜厚が0.5〜10μmで、且つ、前記の易接着層との屈折率差の絶対値が0.02以下であり、
前記の中屈折率層の屈折率が1.52〜1.60、膜厚が130〜155nmであり、
前記の低屈折率層の屈折率が1.29〜1.34、膜厚が70〜95nmである反射防止フィルム。
〔2〕前記のフィルムの他方面に粘着層が積層されている、請求項1に記載の反射防止フィルム。
前記の高屈折率ハードコート層と中屈折率層、低屈折率層の屈折率が
高屈折率ハードコート層 > 中屈折率層 > 低屈折率層 の順であり、
前記の易接着層の膜厚が5〜30nm、屈折率が1.63〜1.67であり、
前記の高屈折率ハードコート層の屈折率が1.63〜1.67、膜厚が0.5〜10μmで、且つ、前記の易接着層との屈折率差の絶対値が0.02以下であり、
前記の中屈折率層の屈折率が1.52〜1.60、膜厚が130〜155nmであり、
前記の低屈折率層の屈折率が1.29〜1.34、膜厚が70〜95nmである反射防止フィルム。
〔2〕前記のフィルムの他方面に粘着層が積層されている、請求項1に記載の反射防止フィルム。
本発明によれば、特定の屈折率と膜厚で設計されたハードコート層、高屈折率層、及び低屈折率層をこの順で積層した反射防止層を設けていることで、視感度反射率を低下させて的確に反射防止機能を発揮させることができる。同時に、正面方向から離れた角度(40度)の反射光の色味及び皮脂汚れの目立ち易さを抑制できる。すなわち、本発明によれば、反射光の色味及び皮脂汚れの目立ち易さの角度依存性を抑制する効果に優れる反射防止フィルムを提供することができる。
本実施形態の反射防止フィルムは、透明基材フィルムの一方面に、易接着層を介して、高屈折率ハードコート層、中屈折率層、及び低屈折率層が、この順で順次形成されている。以下に、この反射防止フィルムの構成要素について順に説明する。
〔透明基材フィルム〕
透明基材フィルムは、ポリエステル樹脂やポリカーボネート樹脂、トリアセチルセルロース樹脂、ノルボルネン系樹脂、シクロオレフィン樹脂からなるフィルムを使用できる。ポリエステル樹脂からなるフィルムとしては東レ(株)製PETフィルム(ルミラーU−403)、ポリカーボネート樹脂からなるフィルムとしては帝人化成(株)製ポリカーボネートフィルム(PC−2151)、トリアセチルセルロース樹脂からなるフィルムとしては富士フィルム(株)製トリアセチルセルロースフィルム(フジタック)、ノルボルネン系樹脂からなるフィルムとしてはJSR(株)製アートンフィルム、シクロオレフィン樹脂からなるフィルムとしては日本ゼオン(株)製ゼオノアフィルム(ZF14,ZF16)等が挙げられるが、加工性、コスト等の観点からポリエステル樹脂からなるポリエステルフィルムが好ましい。
透明基材フィルムは、ポリエステル樹脂やポリカーボネート樹脂、トリアセチルセルロース樹脂、ノルボルネン系樹脂、シクロオレフィン樹脂からなるフィルムを使用できる。ポリエステル樹脂からなるフィルムとしては東レ(株)製PETフィルム(ルミラーU−403)、ポリカーボネート樹脂からなるフィルムとしては帝人化成(株)製ポリカーボネートフィルム(PC−2151)、トリアセチルセルロース樹脂からなるフィルムとしては富士フィルム(株)製トリアセチルセルロースフィルム(フジタック)、ノルボルネン系樹脂からなるフィルムとしてはJSR(株)製アートンフィルム、シクロオレフィン樹脂からなるフィルムとしては日本ゼオン(株)製ゼオノアフィルム(ZF14,ZF16)等が挙げられるが、加工性、コスト等の観点からポリエステル樹脂からなるポリエステルフィルムが好ましい。
〔ポリエステルフィルム〕
ポリエステルフィルムは、加工性、コスト、及び汎用性の観点から、ポリエチレンテレフタレート(PET:屈折率(n)=1.65)が好ましい。
ポリエステルフィルムは、加工性、コスト、及び汎用性の観点から、ポリエチレンテレフタレート(PET:屈折率(n)=1.65)が好ましい。
フィルムの厚みは特に限定されないが、例えば、25〜400μmである。下限としては、好ましくは50μm以上であり、より好ましくは75μm以上である。上限としては、好ましくは250μm以下であり、より好ましくは150μm以下であり、特に好ましくは120μm以下である。フィルムの厚みが上記の範囲内であれば、耐指紋性反射防止フィルムの製造時及び使用時における取り扱い性等の点で好適である。なお、フィルムには、各種の添加剤が含有されていてもよい。そのような添加剤としては、例えば紫外線吸収剤、帯電防止剤、安定剤、可塑剤、滑剤、難燃剤などが挙げられる。
〔易接着層〕
易接着層は、光学的な悪影響を及ぼすことなく、フィルムとハードコート層との密着性を高める機能を有している。この易接着層の膜厚は5〜30nmである。下限としては、好ましくは10nm以上であり、より好ましくは15nm以上である。上限としては、好ましくは25nm以下であり、より好ましくは20nm以下である。この易接着層の膜厚が5nm未満の場合はフィルムとハードコート層との密着性が保てない。一方、易接着層の膜厚が30nmを超える場合、易接着層が光学的な悪影響を及ぼし、干渉縞が多くなる。また、易接着層の屈折率はフィルムや後述するハードコート層との屈折率差から発生する干渉縞を防ぐために、1.63〜1.67、好ましくは1.64〜1.66とする。
易接着層は、光学的な悪影響を及ぼすことなく、フィルムとハードコート層との密着性を高める機能を有している。この易接着層の膜厚は5〜30nmである。下限としては、好ましくは10nm以上であり、より好ましくは15nm以上である。上限としては、好ましくは25nm以下であり、より好ましくは20nm以下である。この易接着層の膜厚が5nm未満の場合はフィルムとハードコート層との密着性が保てない。一方、易接着層の膜厚が30nmを超える場合、易接着層が光学的な悪影響を及ぼし、干渉縞が多くなる。また、易接着層の屈折率はフィルムや後述するハードコート層との屈折率差から発生する干渉縞を防ぐために、1.63〜1.67、好ましくは1.64〜1.66とする。
〔易接着層用樹脂組成物〕
易接着層を形成する材料としては特に限定されないが、前述のように易接着層は干渉縞を防ぐ目的で屈折率の調整が必要となる。易接着層の形成方法としては、例えば高屈折率樹脂や高屈折率微粒子を含有させることで所望の屈折率を得ることができる。
易接着層を形成する材料としては特に限定されないが、前述のように易接着層は干渉縞を防ぐ目的で屈折率の調整が必要となる。易接着層の形成方法としては、例えば高屈折率樹脂や高屈折率微粒子を含有させることで所望の屈折率を得ることができる。
高屈折率樹脂としては、分子中に芳香族環を含む樹脂が挙げられる。特に、縮合多環式芳香族環を含む樹脂が好ましく用いられる。縮合多環式芳香族環としては、ナフタレン環やアントラセン環及びフルオレン環が挙げられる。このような縮合多環式芳香族環を含む樹脂としては、例えばポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂等の高分子化合物が好ましく、特にポリエステル樹脂は、分子中に比較的多くの縮合多環式芳香族環を導入することができるのでより好ましい。
ポリエステル樹脂は、一般的にカルボン酸成分とグリコール成分から重縮合して得られる。分子中にナフタレン環を有するポリエステル樹脂は、カルボン酸成分として、1,4−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等のナフタレン環を有するジカルボン酸を用いることによって合成することができる。
易接着層の屈折率を高めるために易接着層に含有させる金属酸化物微粒子としては、例えば酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化錫、酸化アンチモン、酸化セリウム、酸化鉄、アンチモン酸亜鉛、酸化錫ドープ酸化インジウム(ITO)、アンチモンドープ酸化錫(ATO)、リンドープ酸化錫、アルミニウムドープ酸化亜鉛、ガリウムドープ酸化亜鉛、フッ素ドープ酸化錫等が挙げられる。これらの中でも、酸化ジルコニウムあるいは酸化チタンが好ましく用いられる。これらの金属酸化物微粒子は単独で用いてもよいし、複数併用してもよい。
易接着層用樹脂組成物における金属酸化物微粒子の含有量は、光学的な影響を及ぼさないかぎり特に限定されないが、密着性の観点から高屈折率樹脂100質量部に対して35〜85質量部である。下限としては、好ましくは40質量部以上であり、より好ましくは50質量部以上である。上限としては、好ましくは80質量部以下であり、より好ましくは70質量部以下である。金属酸化物微粒子の含有量を前記の範囲内とすることで、ベースとなる高屈折率樹脂の含有量が相対的に少なくなることを防ぎ、易接着層の脆化を抑制することができる。
易接着層用樹脂組成物は架橋剤を含有することが好ましい。このような架橋剤としては、例えばメラミン系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、カルボジイミド系架橋剤、イソシアネート系架橋剤、アジリジン系架橋剤、エポキシ系架橋剤が挙げられる。これらの中でも、メラミン系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、カルボジイミド系架橋剤が好ましく用いられる。易接着層用樹脂組成物における架橋剤の含有量は、高屈折率樹脂100質量部に対して10〜20質量部が好ましい。
易接着層は、更に滑り性や耐ブロッキング性の向上のために、金属酸化物微粒子以外の有機あるいは無機の粒子を含有することが好ましい。このような粒子としては特に限定されないが、例えばシリカ、炭酸カルシウム、ゼオライト粒子などの無機粒子や、アクリル粒子、シリコーン粒子、ポリイミド粒子、テフロン(登録商標)粒子、架橋ポリエステル粒子、架橋ポリスチレン粒子、架橋重合体粒子、コアシェル粒子などの有機粒子が挙げられる。これらの粒子の中でも、シリカが好ましく、更にコロイダルシリカが好ましく用いられる。
有機あるいは無機の粒子の平均粒子径は、光学的な影響をおよぼさない限り特に限定されないが、滑り性や耐ブロッキング性を向上させるという観点から30nm以上が好ましい。平均粒子径の上限は500nm以下が好ましい。
易接着層用樹脂組成物における前記の粒子の含有量は、光学的な影響をおよぼさない限り、また、層間の密着性に影響をおよぼさない限り特に限定されないが、高屈折率樹脂100質量部に対して0.5〜5質量部が好ましい。
易接着層をフィルム上に設けるためには、易接着層用樹脂組成物をフィルムの表面に塗工することで行われる。塗工は、任意の段階で実施することができるが、フィルムの製造過程で実施することが好ましい。塗工方法としては、公知の任意の塗工法を用いることができる。例えば、グラビアコート法、ロールブラッシュ法、スプレーコート法、エアーナイフ法、コイルバー法、ディップコート法などが挙げられる。塗布前にフィルムにコロナ処理等を施してから、易接着層を塗工してもよい。
〔高屈折率ハードコート層〕
高屈折率ハードコート層は、反射防止フィルムの表面強度を担保するための層である。ハードコート層の屈折率は易接着層との干渉縞の影響を少なくするため、また、他層との干渉バランスを調整するため1.63〜1.67、好ましくは1.64〜1.66とし、且つ、易接着層との屈折率差の絶対値を±0.02以下とする。また、ハードコート層の膜厚は、0.5〜10μmであり、下限としては、好ましくは1μm以上であり、より好ましくは2μm以上である。上限としては、好ましくは8μm以下であり、より好ましくは6μm以下である。ハードコート層の膜厚が0.5μm未満の場合には、十分な表面強度が得られないため好ましくない。その一方、膜厚が10μmを超える場合には、反りの問題が生じるため好ましくない。
高屈折率ハードコート層は、反射防止フィルムの表面強度を担保するための層である。ハードコート層の屈折率は易接着層との干渉縞の影響を少なくするため、また、他層との干渉バランスを調整するため1.63〜1.67、好ましくは1.64〜1.66とし、且つ、易接着層との屈折率差の絶対値を±0.02以下とする。また、ハードコート層の膜厚は、0.5〜10μmであり、下限としては、好ましくは1μm以上であり、より好ましくは2μm以上である。上限としては、好ましくは8μm以下であり、より好ましくは6μm以下である。ハードコート層の膜厚が0.5μm未満の場合には、十分な表面強度が得られないため好ましくない。その一方、膜厚が10μmを超える場合には、反りの問題が生じるため好ましくない。
〔高屈折率ハードコート層用樹脂組成物〕
ハードコート層は、紫外線硬化型樹脂、光重合開始剤、及び屈折率調整のための金属酸化物微粒子を含む組成物からなるハードコート層用樹脂組成物を、易接着層上に直接塗布した後に硬化することにより形成される。
ハードコート層は、紫外線硬化型樹脂、光重合開始剤、及び屈折率調整のための金属酸化物微粒子を含む組成物からなるハードコート層用樹脂組成物を、易接着層上に直接塗布した後に硬化することにより形成される。
ハードコート層を形成する紫外線硬化型樹脂としては、この種の反射防止フィルムにおいて従来から一般的に使用されている、紫外線を照射することにより硬化反応を生じる公知の樹脂であればその種類は特に制限されない。そのような樹脂として、例えば単官能(メタ)アクリレート、多官能(メタ)アクリレート、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂などが挙げられる。なお、本明細書において(メタ)アクリレートとは、アクリレートとメタクリレートの双方を含む総称を意味する。また、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル系、及び(メタ)アクリロイルの記載も同様である。
ハードコート層用樹脂組成物には、その他の成分として各種添加剤を含有させることもできる。当該添加剤としては、例えば、無機又は有機の微粒子状充填剤、無機又は有機の微粒子状顔料、及び金属酸化物微粒子以外の無機又は有機微粒子、重合体、重合開始剤、重合禁止剤、酸化防止剤、分散剤、界面活性剤、光安定剤及びレベリング剤等の添加剤が挙げられる。また、ウェットコーティング法において成膜後乾燥させる限りは、任意の量の溶媒を添加することができる。
光重合開始剤は、紫外線(UV)等の活性エネルギー線によりハードコート層用樹脂組成物を硬化させて塗膜を形成する際の重合開始剤として用いられる。光重合開始剤としては、活性エネルギー線照射により重合を開始するものであれば特に限定されず、公知の化合物を使用できる。例えば、アセトフェノン系重合開始剤、ベンゾイン系重合開始剤、ベンゾフェノン系重合開始剤、チオキサントン系重合開始剤等が挙げられる。アセトフェノン系重合開始剤としては、例えば1−ヒドロキシシクロへキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフェリノプロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン等が挙げられる。ベンゾイン系重合開始剤としては、例えばベンゾイン、2,2−ジメトキシ1,2−ジフェニルエタン−1−オン等が挙げられる。ベンゾフェノン系重合開始剤としては、例えばベンゾフェノン、[4−(メチルフェニルチオ)フェニル]フェニルメタノン、4−ヒドロキシベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン等が挙げられる。チオキサントン系重合開始剤としては、例えば2−クロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン等が挙げられる。
ハードコート層用樹脂組成物における光重合開始剤の含有量は、紫外線硬化型樹脂100質量部に対して0.1〜10質量部とすればよい。光重合開始剤の含有量が前記の範囲内であれば、活性エネルギー線硬化型樹脂の硬化を十分行うことができる。
金属酸化物微粒子は、紫外線硬化型樹脂に分散させ、塗膜を形成した際にハードコート層の屈折率を調整できるものが選択される。当該金属酸化物微粒子としては、例えばアンチモン酸亜鉛、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化セリウム、酸化アルミニウム、酸化タンタル、酸化イットリウム、酸化イッテルビウム、酸化ジルコニウム、酸化インジウム錫、酸化ケイ素、アンチモン含有酸化錫からなる群から選択される少なくとも1種が好ましい。ハードコート層用樹脂組成物における金属酸化物微粒子の含有量は、紫外線硬化型樹脂100質量部に対して2〜400質量部とすればよい。
金属酸化物微粒子の平均粒子径は、10〜150nmとすることが好ましい。この平均粒子径を前記の範囲内とすることで、ハードコートの層の透明性を十分確保することができる。
更に、ハードコート層は、その他添加剤を含有していても良い。その他の添加剤としては、帯電防止剤、表面調整剤等が挙げられる。帯電防止剤として、ATO微粒子、ITO微粒子などのような導電性金属酸化物微粒子や、PEDOTのような導電性ポリマーや、4級アンモニウム塩などの界面活性剤を使用することができる。表面調整剤としては、ポリジメチルシロキサンなどのシリコン系レベリング剤や、アクリル系レベリング剤を使用することができる。
〔中屈折率層〕
次に、中屈折率層について説明する。中屈折率層は、後述の低屈折率層との有意な屈折率差により、反射防止効果を発現させるための層である。中屈折率層の屈折率は、高屈折率ハードコート層よりも低く設定される。
次に、中屈折率層について説明する。中屈折率層は、後述の低屈折率層との有意な屈折率差により、反射防止効果を発現させるための層である。中屈折率層の屈折率は、高屈折率ハードコート層よりも低く設定される。
中屈折率層の屈折率は、1.52〜1.60とする。下限値としては、好ましくは1.54以上であり、より好ましくは1.55以上である。上限値としては、好ましくは1.58以下であり、より好ましくは1.56以下である。中屈折率層の屈折率が1.52未満の場合、或いは1.60を超える場合には、他の層との屈折率差から生じる干渉のバランスが悪くなり、反射防止性や反射色を損ねてしまう。
中屈折率層の膜厚は、130〜155nmとする。下限値としては、好ましくは135nm以上であり、より好ましくは140nm以上である。上限値としては、好ましくは150nm以下であり、より好ましくは145nm以下である。中屈折率層の膜厚が130nmを下回る場合や、155nmを上回る場合は、他層との干渉バランスが崩れ反射防止性や反射色を損ねてしまう。
〔中屈折率層用樹脂組成物〕
中屈折率層を構成する材料は、上記屈折率の範囲において、従来から反射防止フィルム等に用いられる公知のものであれば特に制限されず、ベースとなる有機材料に、屈折率調整用の金属酸化物微粒子を適宜添加したものを用いることができる。
中屈折率層を構成する材料は、上記屈折率の範囲において、従来から反射防止フィルム等に用いられる公知のものであれば特に制限されず、ベースとなる有機材料に、屈折率調整用の金属酸化物微粒子を適宜添加したものを用いることができる。
例えば、重合硬化したものの屈折率が1.5〜1.8の重合性単量体を含む組成物に、屈折率調整用としてハードコート層と同様の金属酸化物微粒子を適量添加して、最終的な屈折率を1.52〜1.60に調整すればよい。中でも、導電性や帯電防止能の観点より、酸化錫、酸化アンチモン及びITO等の金属酸化微粒子が好ましい。重合硬化した後の屈折率が1.6〜1.8となる重合性単量体としては、2−ビニルナフタレン、4−ブロモスチレン、9−ビニルアントラセン等が挙げられる。
また、多官能ウレタンアクリレートまたは多官能(メタ)アクリレートと金属酸化物微粒子とを含む混合物も好適に使用される。多官能ウレタンアクリレートとしては、ペンタエリスリトールトリアクリレートヘキサメチレンジイソシアネートウレタンプレポリマー、ペンタエリスリトールトリアクリレートトルエンジイソシアネートウレタンプレポリマー、ペンタエリスリトールトリアクリレートイソホロンジイソシアネートウレタンプレポリマー、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートヘキサメチレンジイソシアネートウレタンプレポリマーなどが挙げられる。このような材料における市販されているものとしては、日本合成化学工業(株)製の紫光UV7600B、UV7630、UV7640Bが挙げられる。
多官能(メタ)アクリレートとしては、紫外線や電子線のような活性エネルギー線を照射することにより硬化反応を生じる紫外線硬化型樹脂を使用でき、その種類は特に制限されない。この多官能(メタ)アクリレートとしては、例えばジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ビス(3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシ)ヘキサン等の多官能アルコール(メタ)アクリル誘導体や、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリウレタン(メタ)アクリレート、さらに紫外線硬化性ハードコート材として市販されているもの等が挙げられる。
中屈折率層用樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲において、その他の成分として各種添加剤を添加することができる。そのような添加剤としては、例えば、光重合開始剤、分散剤、界面活性剤、光安定剤及びレベリング剤等の添加剤が挙げられる。
光重合開始剤としては、紫外線照射による重合開始能を有するものであれば何れでもよい。例えば、1−ヒドロキシシクロへキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフェリノプロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン等のアセトフェノン系重合開始剤、ベンゾイン、2,2−ジメトキシ1,2−ジフェニルエタン−1−オン等のベンゾイン系重合開始剤、ベンゾフェノン、[4−(メチルフェニルチオ)フェニル]フェニルメタノン、4−ヒドロキシベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル) ベンゾフェノン等のベンゾフェノン系重合開始剤、2−クロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン等のチオキサントン系重合開始剤等が挙げられる。これらの光重合開始剤は単独又は混合物として用いることができる。
〔低屈折率層〕
次に、低屈折率層について説明する。低屈折率層は、ハードコート層及び高屈折率層よりも屈折率の低い層であって、高屈折率層との有意な屈折率差により反射防止効果を発現させる。低屈折率層は、高屈折率層と共に反射防止層を構成する層である。低屈折率層の屈折率は、1.29〜1.34の範囲である。下限値としては、好ましくは1.30以上であり、より好ましくは1.31以上である。上限値としては、好ましくは1.33以下であり、より好ましくは1.32以下である。該屈折率が1.29未満の場合には十分に硬い層を形成することが困難である。一方、屈折率が1.34を超える場合には中屈折率層との屈折率差が小さ過ぎて中屈折率層と低屈折率層との界面での反射が弱くなり、反射防止性能が十分に発揮されない場合がある。
次に、低屈折率層について説明する。低屈折率層は、ハードコート層及び高屈折率層よりも屈折率の低い層であって、高屈折率層との有意な屈折率差により反射防止効果を発現させる。低屈折率層は、高屈折率層と共に反射防止層を構成する層である。低屈折率層の屈折率は、1.29〜1.34の範囲である。下限値としては、好ましくは1.30以上であり、より好ましくは1.31以上である。上限値としては、好ましくは1.33以下であり、より好ましくは1.32以下である。該屈折率が1.29未満の場合には十分に硬い層を形成することが困難である。一方、屈折率が1.34を超える場合には中屈折率層との屈折率差が小さ過ぎて中屈折率層と低屈折率層との界面での反射が弱くなり、反射防止性能が十分に発揮されない場合がある。
低屈折率層の膜厚は、70〜95nmである。下限としては、好ましくは75nm以上であり、より好ましくは80nm以上である。上限値としては、好ましくは90nm以下であり、より好ましくは85nm以下である。低屈折率層の膜厚が70nm未満の場合や95nmを超える場合は他層との干渉バランスが崩れ、反射防止性や反射色を損ねてしまう。
低屈折率層は、低屈折率層形成用組成物を中屈折率層上に塗布した後に硬化することにより形成される。低屈折率層形成用組成物は、活性エネルギー線硬化性樹脂と、低屈折率層の屈折率を積極的に低減させるための中空シリカ微粒子とを含有する。
低屈折率層は、低屈折率層形成用組成物を中屈折率層上に塗布した後に硬化することにより形成される。低屈折率層形成用組成物は、活性エネルギー線硬化性樹脂と、低屈折率層の屈折率を積極的に低減させるための中空シリカ微粒子とを含有する。
〔低屈折率層用樹脂組成物〕
低屈折率層を形成する活性エネルギー線硬化型樹脂としては、紫外線や電子線のような活性エネルギー線を照射することにより硬化反応を生じる多官能(メタ)アクリレートであれば、その種類は特に制限されない。この種のフィルムにおいて低屈折率層を形成する樹脂としては、一般的には多官能(メタ)アクリレートのほかにγ―アクリロキシプロピルトリメトキシシラン等の反応性珪素化合物等を出発原料とするものも用いられるが、生産性及び硬度を両立させる観点より、活性エネルギー線硬化性の多官能(メタ)アクリレートを主成分として含む組成物が好ましい。
低屈折率層を形成する活性エネルギー線硬化型樹脂としては、紫外線や電子線のような活性エネルギー線を照射することにより硬化反応を生じる多官能(メタ)アクリレートであれば、その種類は特に制限されない。この種のフィルムにおいて低屈折率層を形成する樹脂としては、一般的には多官能(メタ)アクリレートのほかにγ―アクリロキシプロピルトリメトキシシラン等の反応性珪素化合物等を出発原料とするものも用いられるが、生産性及び硬度を両立させる観点より、活性エネルギー線硬化性の多官能(メタ)アクリレートを主成分として含む組成物が好ましい。
活性エネルギー線硬化性多官能(メタ)アクリレートとしては特に制限されず、例えばジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ビス(3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシ)ヘキサン等の多官能アルコールの(メタ)アクリル誘導体や、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート及びポリウレタン(メタ)アクリレート等が挙げられる。
活性エネルギー線硬化性多官能(メタ)アクリレートは、含フッ素モノマーであってもよい。フッ素原子がフッ化メチレン基又はフッ化メチン基として分子中に導入された構造を有する含フッ素モノマーは、フッ素原子のほぼ全量がフッ化メチレン基又はフッ化メチン基として分子中に導入されたモノマーであり、多官能モノマーである限り、公知の全てのモノマーが使用可能である。すなわち、2個以上(多官能)のモノマーのいずれであってもよく、それらの混合物であってもよい。これらの含フッ素化合物は、硬化皮膜の強度及び硬度を高めることができる。また、硬化皮膜表面の耐擦傷性及び耐摩耗性も向上させることができる。含フッ素化合物の中では、架橋構造を形成でき、硬化皮膜の強度や硬度が高い点から、含フッ素多官能(メタ)アクリレートが好ましい。
中空シリカ微粒子における中空部の空隙率は、40〜45%が好ましい。中空シリカ微粒子の空隙率が40%未満では、当該中空シリカ微粒子自体の屈折率が高くなり、低屈折率層の屈折率を有意に低くできない。また、中空シリカ微粒子の含有量を多くせざるを得なくなることで、低屈折率層が脆くなる。一方、空隙率が45%を超えると、中空シリカ微粒子自体が脆くなる。また、中空シリカ微粒子の平均粒子径は低屈折率層の膜厚以下とすることが好ましい。具体的には、10〜95nmが好ましい。また、中空シリカ微粒子は、必要に応じて重合性二重結合を有するシランカップリング剤で変性することも好ましい。これにより、活性エネルギー線硬化型樹脂への分散性が向上する。
中空シリカ微粒子は、シリカ(二酸化珪素、SiO2)がほぼ球状に形成され、その外殻内に中空部を有する微粒子である。外殻の厚みは1〜60nm程度であり、屈折率は1.20〜1.29という低い屈折率である。中空部に屈折率が1.0の空気を含んでいることから、多官能(メタ)アクリレートの硬化により形成される硬化皮膜について低屈折率化及び低反射率化を図ることができる。また、シリカ微粒子という無機微粒子により、硬化皮膜の耐擦傷性及び耐摩耗性を向上させることができる。
低屈折率層の屈折率は、ベース樹脂である活性エネルギー線硬化型樹脂と中空シリカ微粒子の配合割合を適宜調整することで設定できる。具体的には、中空シリカ微粒子の含有量は、活性エネルギー線硬化型樹脂との合計量100質量部中に、35〜55質量部が好ましい。この含有量が前記の範囲内であると、得られる硬化皮膜の低屈折率化及び低反射率化を図ることができ、硬化皮膜表面に耐擦傷性及び耐摩耗性を付与することができる。変性中空シリカ微粒子を使用する場合、当該変性中空シリカ微粒子のシランカップリング剤に含まれる(メタ)アクリロイルオキシ基と、多官能(メタ)アクリレートの重合性二重結合とが共重合して結合される結果、変性中空シリカ微粒子の機能と多官能(メタ)アクリレートの機能とが相乗的に、かつ持続して発現される。
低屈折率層は、低屈折率層形成用組成物を活性エネルギー線により重合硬化したり、熱分解型重合開始剤や光重合開始剤の存在下に重合硬化したりすることにより得られる。これらの中では、光重合開始剤を配合した低屈折率層形成用組成物を高屈折率層の表面に塗布した後、不活性ガス雰囲気下で紫外線を照射して重合硬化させる方法が簡便で好ましい。
光重合開始剤としては、紫外線照射による重合開始能を有するものであれば何れでもよい。例えば、アセトフェノン系重合開始剤、ベンゾイン系重合開始剤、ベンゾフェノン系重合開始剤、及びチオキサントン系重合開始剤等が挙げられる。アセトフェノン系重合開始剤としては、1−ヒドロキシシクロへキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフェリノプロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン等が挙げられる。ベンゾイン系重合開始剤としては、ベンゾイン、2,2−ジメトキシ1,2−ジフェニルエタン−1−オン等が挙げられる。ベンゾフェノン系重合開始剤としては、ベンゾフェノン、[4−(メチルフェニルチオ)フェニル]フェニルメタノン、4−ヒドロキシベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン等が挙げられる。チオキサントン系重合開始剤としては、2−クロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン等が挙げられる。これらの光重合開始剤は単独又は混合物として用いることができる。
光重合開始剤の含有量は、活性エネルギー線硬化型樹脂と中空シリカ微粒子との合計量100質量部に対して、0.1〜10質量部であることが好ましい。光重合開始剤の含有量を前記の範囲内とすることで低屈折率層形成用組成物を十分硬化させることができ、重合硬化後の硬化皮膜の屈折率の上昇を抑制することができる。紫外線照射に用いられる紫外線灯の種類は、一般的に用いられているものであれば特に制限されず、例えば低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ等が使用される。
紫外線照射の条件として、照射量は10mJ以上が好ましい。照射量の上限は、この種の紫外線照射における常法に従って決定される。照射線量が10mJより少ない場合には、重合硬化後に形成される硬化皮膜に十分な硬度が得られない。また、重合硬化後に、さらに紫外線照射による後硬化を行ってもよい。紫外線照射時の酸素濃度は、重合硬化時及び後硬化時とも、窒素、アルゴン等の不活性ガスを吹き込む等により1000ppm以下に抑えることが良好な重合硬化性を得るために好ましい。
また、低屈折率層には、その機能を損なわない限りその他の機能を有していてもよく、添加剤などを添加して帯電防止性や防汚性、滑り性、紫外線吸収などの機能を1種又は2種以上付与することができる。特に、防汚性を発現する添加剤はその効果により耐指紋性を向上させることができる。
なお、低屈折率層には耐指紋性を向上させる目的で、公知のポリシロキサン系あるいはフッ素系の防汚剤を適宜添加することが好ましい。ポリシロキサン系化合物の好ましい例としては、例えばアクリル基を有するポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン、ポリエーテル変性ジメチルシロキサン、アクリル基を有するポリエステル変性ジメチルシロキサン、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン、ポリエステル変性ポリジメチルシロキサン、アラルキル変性ポリメチルアルキルシロキサン、などが挙げられる。
一方、防汚剤として用いられるフッ素系化合物は、低屈折率層との結合形成あるいは相溶性に寄与する置換基を有していることが好ましい。該置換基は同一であっても異なっていても良く、複数個あっても良い。好ましい置換基の例としてはアクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、アリール基、シンナモイル基、エポキシ基、オキセタニル基、水酸基、ポリオキシアルキレン基、カルボキシル基、アミノ基などが挙げられる。フッ素系化合物は、フッ素原子を含まない化合物とのポリマーであってもオリゴマーであってもよく、分子量に特に制限はない。
〔高屈折率ハードコート層、中屈折率層及び低屈折率層の形成〕
高屈折率ハードコート層、中屈折率層及び低屈折率層の形成方法は特に制限されず、例えばドライコーティング法、ウェットコーティング法等の塗工方法により各塗液を透明基材フィルム上に順に塗布し、硬化させる方法を採用することができる。塗工方法としては、生産性や生産コストの面より、特にウェットコーティング法が好ましい。ウェットコーティング法は公知の方法でよく、例えばロールコート法、ダイコート法、スピンコート法、そしてディップコート法等が代表的なものとして挙げられる。これらの中では、ロールコート法等、連続的に塗膜を形成できる方法が生産性の点より好ましい。形成された塗膜は、加熱や紫外線、電子線等の活性エネルギー線照射によって硬化反応を行うことにより硬化被膜を形成することができる。
高屈折率ハードコート層、中屈折率層及び低屈折率層の形成方法は特に制限されず、例えばドライコーティング法、ウェットコーティング法等の塗工方法により各塗液を透明基材フィルム上に順に塗布し、硬化させる方法を採用することができる。塗工方法としては、生産性や生産コストの面より、特にウェットコーティング法が好ましい。ウェットコーティング法は公知の方法でよく、例えばロールコート法、ダイコート法、スピンコート法、そしてディップコート法等が代表的なものとして挙げられる。これらの中では、ロールコート法等、連続的に塗膜を形成できる方法が生産性の点より好ましい。形成された塗膜は、加熱や紫外線、電子線等の活性エネルギー線照射によって硬化反応を行うことにより硬化被膜を形成することができる。
上記のウェットコーティング法等に使用する溶媒は、この種の反射防止フィルム等において各層形成用の塗液に従来から使用されている公知のものであれば特に制限は無く、例えばアルコール系、ケトン系、エステル系の溶媒が適時選択できる。フィルム表面の乾燥ムラ等を考慮して、蒸気圧の異なる複数の溶媒を用いることが好ましい。蒸気圧の異なる複数の溶媒を用いることで、乾燥後のフィルム表面の状態を良好なものとすることができる。
上記のウェットコーティング法等で塗工された後の乾燥は、乾燥機等を用いて適宜行えばよい。乾燥温度は、溶媒の蒸気圧や固形分濃度によって適宜設定することができるが、フィルム表面の乾燥ムラやゆず肌等を防ぐために、段階的に温度を上げて乾燥することが好ましい。乾燥時間は、溶媒の蒸気圧や固形分濃度によって適宜設定すればよい。
〔粘着層〕
フィルムの他方面には、耐指紋性反射防止フィルムに貼着性を付与するために、粘着層が設けられる。粘着層を形成する材料は特に制限されるものではないが、例えばアクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ウレタン系粘着剤等の粘着剤が挙げられる。中でも、粘着力の観点からアクリル系粘着剤が好ましく、再剥離性の観点からシリコーン系粘着剤が好ましい。
フィルムの他方面には、耐指紋性反射防止フィルムに貼着性を付与するために、粘着層が設けられる。粘着層を形成する材料は特に制限されるものではないが、例えばアクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ウレタン系粘着剤等の粘着剤が挙げられる。中でも、粘着力の観点からアクリル系粘着剤が好ましく、再剥離性の観点からシリコーン系粘着剤が好ましい。
粘着層を形成する方法は特に限定されないが、ウェットコーティング法により塗布膜を形成した後、熱硬化、紫外線硬化、電子線硬化等により硬化膜を得る従来公知の方法を用いることができる。また、この接着層には、その機能を損なわない限りその他の機能を有していてもよい。例えば、紫外線吸収剤や色素や添加剤などを添加して、特定波長域の光の遮断、コントラストの向上、色調の補正、耐久性付与等の機能を1種又は2種以上付与することができる。
〔反射防止フィルムの利用〕
本実施形態の反射防止フィルムは、高い防汚性、かつ、高い反射防止効果を求められる用途に好適に用いることができる。特に、電子画像表示装置の表面に使用することができる。電子画像表示装置としては、例えばタッチネル、電子黒板、プラズマディスプレイ、液晶表示装置、有機ELディスプレイ等が挙げられる。そして、その画面表面に直接、又は画面の前面に配置される板に接着層を介して密着させて用いることができる。
本実施形態の反射防止フィルムは、高い防汚性、かつ、高い反射防止効果を求められる用途に好適に用いることができる。特に、電子画像表示装置の表面に使用することができる。電子画像表示装置としては、例えばタッチネル、電子黒板、プラズマディスプレイ、液晶表示装置、有機ELディスプレイ等が挙げられる。そして、その画面表面に直接、又は画面の前面に配置される板に接着層を介して密着させて用いることができる。
以下に、製造例、実施例及び比較例を挙げて本発明について具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、各例における「部」は質量部を、「%」は質量%を表す。
〔易接着層形成用組成物の調製〕
(易接着層形成用組成物α1)
下記のナフタレン環含有のポリエステル樹脂を100質量部、酸化ジルコニウムを60質量部、メラミン系架橋剤(メチロール型メラミン系架橋剤(三和ケミカル(株)製の「ニカラック MW12LF」))を15質量部、平均粒子径が190nmのコロイダルシリカを1質量部混合し、易接着形成用組成物α1とした。
(易接着層形成用組成物α1)
下記のナフタレン環含有のポリエステル樹脂を100質量部、酸化ジルコニウムを60質量部、メラミン系架橋剤(メチロール型メラミン系架橋剤(三和ケミカル(株)製の「ニカラック MW12LF」))を15質量部、平均粒子径が190nmのコロイダルシリカを1質量部混合し、易接着形成用組成物α1とした。
(ナフタレン環含有のポリエステル樹脂)
下記の共重合組成からなるポリエステル樹脂である。
・カルボン酸成分:
テレフタル酸 35モル%
2,6−ナフタレンジカルボン酸 9モル%
5−Naスルホイソフタル酸 6モル%
・グリコール成分:
エチレングリコール 49モル%
ジエチレングリコール 1モル%。
下記の共重合組成からなるポリエステル樹脂である。
・カルボン酸成分:
テレフタル酸 35モル%
2,6−ナフタレンジカルボン酸 9モル%
5−Naスルホイソフタル酸 6モル%
・グリコール成分:
エチレングリコール 49モル%
ジエチレングリコール 1モル%。
得られた易接着形成用組成物α1によって易接着層を形成した場合の屈折率を、次の方法により求めた。その結果を表1に示す。なお、後述の各層形成用組成物についても、それぞれ同様に屈折率を求め、その結果を各表に示す。
[屈折率]
屈折率1.65のPETフィルム〔商品名:「A4100」、東洋紡(株)製〕を基材として、測定したい被膜を100nmの膜厚で形成し、反射分光膜厚計(大塚電子(株)製「FE3000」を持いてフィルム上に形成された被膜について270〜1040nmの範囲で絶対反射率を測定した。得られた絶対反射率のスペクトルの実測値から、代表的な波長分散の近似式としてn−Cauchyの分散式を引用し、未知のパラメーターを絶対反射率のスペクトル非線形最小二乗法によって求めて、波長589nmにおける屈折率を算出した。
屈折率1.65のPETフィルム〔商品名:「A4100」、東洋紡(株)製〕を基材として、測定したい被膜を100nmの膜厚で形成し、反射分光膜厚計(大塚電子(株)製「FE3000」を持いてフィルム上に形成された被膜について270〜1040nmの範囲で絶対反射率を測定した。得られた絶対反射率のスペクトルの実測値から、代表的な波長分散の近似式としてn−Cauchyの分散式を引用し、未知のパラメーターを絶対反射率のスペクトル非線形最小二乗法によって求めて、波長589nmにおける屈折率を算出した。
(易接着層形成用組成物α2〜α5)
α1と同じ材料を、表1に示す配合(質量部)にてα1と同様に調整した。
α1と同じ材料を、表1に示す配合(質量部)にてα1と同様に調整した。
〔高屈折率ハードコート層形成用組成物の調製〕
(ハードコート層形成用組成物β1)
金属酸化物微粒子としてアンチモンドープ酸化錫の30質量%メチルエチルケトン分散液(アンチモンドープ酸化錫の平均粒子径98nm、石原産業(株)製、SNS−10M)を固形分換算で22質量部、紫外線硬化型樹脂として多官能アクリレート化合物(6官能のジペンタエリスリトールヘキサアクリレートと5官能のジペンタエリスリトールペンタアクリレートとの混合物、平均官能基数5.5、日本化薬(株)製、DPHA)78質量部、及び光重合開始剤としてUVラジカル開始剤(チバスペシャルティケミカルズ(株)製、イルガキュア184)5質量部を撹拌混合し、ハードコート層形成用組成物β1とした。
(ハードコート層形成用組成物β1)
金属酸化物微粒子としてアンチモンドープ酸化錫の30質量%メチルエチルケトン分散液(アンチモンドープ酸化錫の平均粒子径98nm、石原産業(株)製、SNS−10M)を固形分換算で22質量部、紫外線硬化型樹脂として多官能アクリレート化合物(6官能のジペンタエリスリトールヘキサアクリレートと5官能のジペンタエリスリトールペンタアクリレートとの混合物、平均官能基数5.5、日本化薬(株)製、DPHA)78質量部、及び光重合開始剤としてUVラジカル開始剤(チバスペシャルティケミカルズ(株)製、イルガキュア184)5質量部を撹拌混合し、ハードコート層形成用組成物β1とした。
(ハードコート層形成用組成物β2〜β3)
β1と同じ材料を、表2に示す配合(質量部)にてβ1と同様に調整した。
β1と同じ材料を、表2に示す配合(質量部)にてβ1と同様に調整した。
〔中屈折率層形成用組成物の調製〕
(中屈折率層形成用組成物γ1)
金属酸化物微粒子として酸化ジルコニウム微粒子分散液(シーアイ化成(株)製 ZRMEK25%−F47)を固形分換算で29質量部、活性エネルギー線硬化型樹脂としてウレタンアクリレート(分子量1400、60℃における粘度が2500〜4500Pa・s、日本合成化学工業(株)製、紫光UV7600B)を69質量部、光重合開始剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、イルガキュア907)を5質量部、及びメチルイソブチルケトン500質量部を混合し、高屈折率層形成用組成物γ1を得た。
(中屈折率層形成用組成物γ2〜γ4)
γ1と同じ材料を、表3に示す配合(質量部)にてγ1と同様に調整した。
(中屈折率層形成用組成物γ1)
金属酸化物微粒子として酸化ジルコニウム微粒子分散液(シーアイ化成(株)製 ZRMEK25%−F47)を固形分換算で29質量部、活性エネルギー線硬化型樹脂としてウレタンアクリレート(分子量1400、60℃における粘度が2500〜4500Pa・s、日本合成化学工業(株)製、紫光UV7600B)を69質量部、光重合開始剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、イルガキュア907)を5質量部、及びメチルイソブチルケトン500質量部を混合し、高屈折率層形成用組成物γ1を得た。
(中屈折率層形成用組成物γ2〜γ4)
γ1と同じ材料を、表3に示す配合(質量部)にてγ1と同様に調整した。
〔重合性二重結合をもつ含フッ素化合物の製造〕
四つ口フラスコにパーフルオロ−(1,1,9,9−テトラハイドロ−2,5−ビスフ
ルオロメチル−3,6−ジオキサノネノール)[CH2=CF−CF2−0−CF(CF3)CF2−O−CF(CF3)CH2OH]104部と、ビス(2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7−ドデカフルオロヘプタノイル)パーオキサイドの8%パーフルオロヘキサン溶液11部とを注入した。そして、その中空部を窒素置換した後、窒素気流下20℃で24時間撹拌して高粘度の固体を得た。得られた固体をジエチルエーテルに溶解させたものをパーフルオロヘキサンに注ぎ、分離後に真空乾燥させて無色透明なポリマーを得た。
このポリマーを19F−NMR(核磁気共鳴スペクトル)、1H−NMR、IR(赤外線吸収スペクトル)により分析したところ、上記含フッ素アリルエーテルの構造単位からなる側鎖末端に水酸基を有する含フッ素ポリマーであった。GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフ)により測定した数平均分子量は72,000、質量平均分子量は118,000であった。
得られたヒドロキシル基含有含フッ素アリルエーテルポリマー5部、メチルエチルケトン(MEK)43部、及びピリジン1部を四つ口フラスコ中に仕込み、5℃以下に氷冷した。続いて、窒素気流下で撹拌しながらα−フルオロアクリル酸フルオライド1部をMEK9部に溶解したものを10分間かけて滴下した。そして、重合性二重結合をもつ含フッ素化合物として含フッ素反応性ポリマーの溶液を得た。含フッ素反応性ポリマーのフッ素含有率は64%であった。
得られたMEK溶液の固形分は13%であり、19F−NMRにより分析した結果、α−フルオロアクリロイル基の導入率は40モル%であった。
四つ口フラスコにパーフルオロ−(1,1,9,9−テトラハイドロ−2,5−ビスフ
ルオロメチル−3,6−ジオキサノネノール)[CH2=CF−CF2−0−CF(CF3)CF2−O−CF(CF3)CH2OH]104部と、ビス(2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7−ドデカフルオロヘプタノイル)パーオキサイドの8%パーフルオロヘキサン溶液11部とを注入した。そして、その中空部を窒素置換した後、窒素気流下20℃で24時間撹拌して高粘度の固体を得た。得られた固体をジエチルエーテルに溶解させたものをパーフルオロヘキサンに注ぎ、分離後に真空乾燥させて無色透明なポリマーを得た。
このポリマーを19F−NMR(核磁気共鳴スペクトル)、1H−NMR、IR(赤外線吸収スペクトル)により分析したところ、上記含フッ素アリルエーテルの構造単位からなる側鎖末端に水酸基を有する含フッ素ポリマーであった。GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフ)により測定した数平均分子量は72,000、質量平均分子量は118,000であった。
得られたヒドロキシル基含有含フッ素アリルエーテルポリマー5部、メチルエチルケトン(MEK)43部、及びピリジン1部を四つ口フラスコ中に仕込み、5℃以下に氷冷した。続いて、窒素気流下で撹拌しながらα−フルオロアクリル酸フルオライド1部をMEK9部に溶解したものを10分間かけて滴下した。そして、重合性二重結合をもつ含フッ素化合物として含フッ素反応性ポリマーの溶液を得た。含フッ素反応性ポリマーのフッ素含有率は64%であった。
得られたMEK溶液の固形分は13%であり、19F−NMRにより分析した結果、α−フルオロアクリロイル基の導入率は40モル%であった。
〔低屈折率層形成用組成物の調製〕
(低屈折率層成用組成物L1)
中空シリカ微粒子50質量部、上記の重合性二重結合をもつ含フッ素化合物50質量部、光重合開始剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、イルガキュア907)5質量部、シリコン添加剤(ビックケミー・ジャパン(株)製、BYKUV−3570)8質量部、含フッ素アクリル化合物(信越化学工業(株)製、KY1203)10質量部、アルミナ添加剤(ビックケミー・ジャパン(株)製、NANOBYKUV−3601)0.5質量部、及びイソプロピルアルコール2000質量部を混合し、低屈折率層用組成物L1を得た。
(低屈折率層形成用組成物L2〜L3)L1と同じ材料を、表4に示す配合(質量部)にてL1と同様に調整した。また
低屈折率層成用組成物L3の製造の際には、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬(株)製、商品名「DPHA」)を用いた。
(低屈折率層成用組成物L1)
中空シリカ微粒子50質量部、上記の重合性二重結合をもつ含フッ素化合物50質量部、光重合開始剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、イルガキュア907)5質量部、シリコン添加剤(ビックケミー・ジャパン(株)製、BYKUV−3570)8質量部、含フッ素アクリル化合物(信越化学工業(株)製、KY1203)10質量部、アルミナ添加剤(ビックケミー・ジャパン(株)製、NANOBYKUV−3601)0.5質量部、及びイソプロピルアルコール2000質量部を混合し、低屈折率層用組成物L1を得た。
(低屈折率層形成用組成物L2〜L3)L1と同じ材料を、表4に示す配合(質量部)にてL1と同様に調整した。また
低屈折率層成用組成物L3の製造の際には、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬(株)製、商品名「DPHA」)を用いた。
<実施例1>
二軸延伸ポリエステルフィルム(厚さ100μm、屈折率1.65)の一方面に、前記の易接着層形成用組成物α1を乾燥膜厚が15nmとなるようグラビアコート法で塗布して易接着積層PETを作製した。
続いて、前記の易接着積層PETの易接着層上にハードコート層形成用組成物β1を、乾燥膜厚1.5μmになるようにスピンコート法で塗布後、紫外線照射装置(アイグラフィックス社製、120W高圧水銀灯)を用いて400mJの紫外線を照射して硬化させることにより、ハードコートフィルムを作製した。
次に、前記のハードコートフィルムのハードコート層上に中屈折率層形成用組成物γ1を乾燥膜厚が130nmになるようにスピンコート法で塗布後、紫外線照射装置(アイグラフィックス社製、120W高圧水銀灯)を用いて、窒素雰囲気下で400mJの紫外線を照射して硬化させた。さらにその上に、低屈折率層形成用組成物L1を乾燥膜厚が95nmになるようにスピンコート法で塗布後、紫外線照射装置(アイグラフィックス社製、120W高圧水銀灯)を用いて、窒素雰囲気下で400mJの紫外線を照射して硬化させ、反射防止性フィルムを得た。
得られた反射防止性フィルムについて視感度反射率、反射色ΔE40°−0°、耐指紋性ΔEA°−N°、色味変化の見え具合、及び指紋の見え具合の評価を以下に記載する方法で行い、それらの結果を表5、6に示す。
二軸延伸ポリエステルフィルム(厚さ100μm、屈折率1.65)の一方面に、前記の易接着層形成用組成物α1を乾燥膜厚が15nmとなるようグラビアコート法で塗布して易接着積層PETを作製した。
続いて、前記の易接着積層PETの易接着層上にハードコート層形成用組成物β1を、乾燥膜厚1.5μmになるようにスピンコート法で塗布後、紫外線照射装置(アイグラフィックス社製、120W高圧水銀灯)を用いて400mJの紫外線を照射して硬化させることにより、ハードコートフィルムを作製した。
次に、前記のハードコートフィルムのハードコート層上に中屈折率層形成用組成物γ1を乾燥膜厚が130nmになるようにスピンコート法で塗布後、紫外線照射装置(アイグラフィックス社製、120W高圧水銀灯)を用いて、窒素雰囲気下で400mJの紫外線を照射して硬化させた。さらにその上に、低屈折率層形成用組成物L1を乾燥膜厚が95nmになるようにスピンコート法で塗布後、紫外線照射装置(アイグラフィックス社製、120W高圧水銀灯)を用いて、窒素雰囲気下で400mJの紫外線を照射して硬化させ、反射防止性フィルムを得た。
得られた反射防止性フィルムについて視感度反射率、反射色ΔE40°−0°、耐指紋性ΔEA°−N°、色味変化の見え具合、及び指紋の見え具合の評価を以下に記載する方法で行い、それらの結果を表5、6に示す。
[膜厚]
膜厚の測定は、光学積層体の断面をTEM写真で観察することにより行った。
[視感度反射率]
測定面の裏面反射を除くため、裏面をサンドペーパーで粗し、黒色塗料で塗りつぶしたものを分光光度計(日本分光(株)製、商品名:V−760DS)により、光の波長380nm〜780nmの5°、−5°正反射スペクトルを測定した。得られる380nm〜780nmの分光反射率と、CIE標準イルミナントD65の相対分光分布を用いて、JIS Z8701で想定されているXYZ表色系における、反射による物体色の三刺激値Yを視感度反射率(%)とした。
膜厚の測定は、光学積層体の断面をTEM写真で観察することにより行った。
[視感度反射率]
測定面の裏面反射を除くため、裏面をサンドペーパーで粗し、黒色塗料で塗りつぶしたものを分光光度計(日本分光(株)製、商品名:V−760DS)により、光の波長380nm〜780nmの5°、−5°正反射スペクトルを測定した。得られる380nm〜780nmの分光反射率と、CIE標準イルミナントD65の相対分光分布を用いて、JIS Z8701で想定されているXYZ表色系における、反射による物体色の三刺激値Yを視感度反射率(%)とした。
[反射色ΔE40°−0°]
反射防止フィルムの透明基材の高屈折率層側とは反対側の面に、透明粘着剤(屈折率:1.49)を介して黒色板(屈折率:1.49)を貼り合せたサンプルを作製した。作製したサンプルの低屈折率層側の表面に対して垂直に入射する光の入射角を0度として、入射角0度、40度でサンプルに光を入射させ、該入射光の反射光のLab表色系のL*値、a*値及びb*値を測定した。そして、次の式からΔEの数値を算出した。
反射防止フィルムの透明基材の高屈折率層側とは反対側の面に、透明粘着剤(屈折率:1.49)を介して黒色板(屈折率:1.49)を貼り合せたサンプルを作製した。作製したサンプルの低屈折率層側の表面に対して垂直に入射する光の入射角を0度として、入射角0度、40度でサンプルに光を入射させ、該入射光の反射光のLab表色系のL*値、a*値及びb*値を測定した。そして、次の式からΔEの数値を算出した。
L*値、a*値及びb*値の測定装置は、分光光度計(日本分光(株)製、商品名:V−760DS 及び測定ユニット:ARMV−919)を用いて、視野角は2度、光源はD65、測定波長は380〜780nm)を0.5nm間隔とした。
[耐指紋性ΔEA°−N°]
反射防止フィルム上に指紋を付着させ、ネル布(白ネル・金塊グレード)を使用して500gf/cm2荷重で1往復摩擦して指紋を塗り広げた。一方、裏面反射を除くため、耐指紋性反射防止フィルムの裏面をサンドペーパーで粗し、黒色塗料で塗りつぶした。そのうえで、分光光度計(日本分光(株)製、商品名:V−760DS 及び測定ユニット:ARMV−919)により、指紋が付着している部分と付着していない部分におけるそれぞれ、光の波長350nm〜850nmの40°反射スペクトルを測定し、該入射光の反射光のLab表色系のL*値、a*値及びb*値を測定した。そして、次の式からΔEの数値を算出した(A:指紋が付着している部分の40°反射光を測定した値、N:指紋が付着していない部分の40°反射光を測定した値)。
反射防止フィルム上に指紋を付着させ、ネル布(白ネル・金塊グレード)を使用して500gf/cm2荷重で1往復摩擦して指紋を塗り広げた。一方、裏面反射を除くため、耐指紋性反射防止フィルムの裏面をサンドペーパーで粗し、黒色塗料で塗りつぶした。そのうえで、分光光度計(日本分光(株)製、商品名:V−760DS 及び測定ユニット:ARMV−919)により、指紋が付着している部分と付着していない部分におけるそれぞれ、光の波長350nm〜850nmの40°反射スペクトルを測定し、該入射光の反射光のLab表色系のL*値、a*値及びb*値を測定した。そして、次の式からΔEの数値を算出した(A:指紋が付着している部分の40°反射光を測定した値、N:指紋が付着していない部分の40°反射光を測定した値)。
L*値、a*値及びb*値の測定装置は、分光光度計(日本分光(株)製、商品名:V−760DS 及び測定ユニット:ARMV−919)を用いて、視野角は2度、光源はD65、測定波長は380〜780nm)を0.5nm間隔とした。
[色味変化の見え具合]
裏面反射の影響をなくすため、ハードコート層を設けた面と反対側の面を黒色塗料で塗りつぶしたサンプルを作製した。暗室内で3波長蛍光灯を光源として映り込ませて、正反射光が確認できる位置から目視でサンプル表面の色味を観察した。そして、観察の際に蛍光灯直下でサンプルを、蛍光灯に対して垂直(0度)から40度まで変化するように移動させた。この観察で色味の変化を目視で評価した。
◎:色味の変化が認識できない,○:色味の変化を少し認識できる,×:急激な色味の変化が見られる。
[色味変化の見え具合]
裏面反射の影響をなくすため、ハードコート層を設けた面と反対側の面を黒色塗料で塗りつぶしたサンプルを作製した。暗室内で3波長蛍光灯を光源として映り込ませて、正反射光が確認できる位置から目視でサンプル表面の色味を観察した。そして、観察の際に蛍光灯直下でサンプルを、蛍光灯に対して垂直(0度)から40度まで変化するように移動させた。この観察で色味の変化を目視で評価した。
◎:色味の変化が認識できない,○:色味の変化を少し認識できる,×:急激な色味の変化が見られる。
[指紋の見え具合]
耐指紋性反射防止フィルムに屈折率1.49の指紋を10nmで積層させ、成分付着前後の外観変化を評価した。なお、評価は真正面に対して40度斜めの位置から目視で観察して評価を行った。比較対象としてガラス板(日本板硝子(株)製FL2.0)を使用し、ガラス板に指紋が付着した場合よりも、指紋が見え難いものを○、さらに見え難いものを◎、同程度のものを×とした。
耐指紋性反射防止フィルムに屈折率1.49の指紋を10nmで積層させ、成分付着前後の外観変化を評価した。なお、評価は真正面に対して40度斜めの位置から目視で観察して評価を行った。比較対象としてガラス板(日本板硝子(株)製FL2.0)を使用し、ガラス板に指紋が付着した場合よりも、指紋が見え難いものを○、さらに見え難いものを◎、同程度のものを×とした。
表5に示した結果より、実施例1〜4では良好な反射防止性能を有し、かつ、角度依存による反射光の色味変化が小さい。さらに、正面方向から離れた角度(40度)から観察した場合の指紋が目立ち難い。
一方、表6に示した結果より、比較例1では、中屈折率層の屈折率が1.63であり、ハードコート層の屈折率より高いため、角度依存による色味変化及び耐指紋性が悪い結果となった。比較例2では、中屈折率層、低屈折率層の屈折率がそれぞれ1.70、1.40であり、中屈折率層の屈折率がハードコート層の屈折率より高いため、角度依存による色味変化及び耐指紋性が悪い結果となった。比較例3、4では、中屈折率層の屈折率がそれぞれ1.63、1.70であり、ハードコート層の屈折率より高いため、正面方向から離れた角度(40度)から観察した場合の指紋が目立つ結果となった。比較例5では、ハードコート層の屈折率が1.70と高く角度依存による色味変化及び耐指紋性が悪い結果となった。
一方、表6に示した結果より、比較例1では、中屈折率層の屈折率が1.63であり、ハードコート層の屈折率より高いため、角度依存による色味変化及び耐指紋性が悪い結果となった。比較例2では、中屈折率層、低屈折率層の屈折率がそれぞれ1.70、1.40であり、中屈折率層の屈折率がハードコート層の屈折率より高いため、角度依存による色味変化及び耐指紋性が悪い結果となった。比較例3、4では、中屈折率層の屈折率がそれぞれ1.63、1.70であり、ハードコート層の屈折率より高いため、正面方向から離れた角度(40度)から観察した場合の指紋が目立つ結果となった。比較例5では、ハードコート層の屈折率が1.70と高く角度依存による色味変化及び耐指紋性が悪い結果となった。
Claims (2)
- フィルムの一方面に、易接着層を介して、高屈折率ハードコート層、中屈折率層、低屈折率層がこの順で設けられており、
前記の高屈折率ハードコート層と中屈折率層、低屈折率層の屈折率が
高屈折率ハードコート層 > 中屈折率層 > 低屈折率層 の順であり、
前記の易接着層の膜厚が5〜30nm、屈折率が1.63〜1.67であり、
前記の高屈折率ハードコート層の屈折率が1.63〜1.67、膜厚が0.5〜10μmで、且つ、前記の易接着層との屈折率差の絶対値が0.02以下であり、
前記の中屈折率層の屈折率が1.52〜1.60、膜厚が130〜155nmであり、
前記の低屈折率層の屈折率が1.29〜1.34、膜厚が70〜95nmである反射防止フィルム。 - 前記のフィルムの他方面に粘着層が積層されている、請求項1に記載の反射防止フィルム。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2018048307A JP2019159202A (ja) | 2018-03-15 | 2018-03-15 | 反射防止フィルム |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2018048307A Pending JP2019159202A (ja) | 2018-03-15 | 2018-03-15 | 反射防止フィルム |
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Country | Link |
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-
2018
- 2018-03-15 JP JP2018048307A patent/JP2019159202A/ja active Pending
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
RD02 | Notification of acceptance of power of attorney |
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