JP2018173593A - 防眩性反射防止フィルム、及びそれを備える画像表示装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】視感反射率を抑制して人間が実際に感じるディスプレイ画像の視認性を向上した防眩性反射防止フィルムを提供する。【解決手段】 透明基材フィルムの一方の面上に防眩性ハードコート層、中屈折率層、高屈折率層、低屈折率層がこの順に積層されている。防眩性ハードコート層の表面粗さRaを0.05〜0.30μmに設定し、各屈折率層の屈折率と膜厚とが所定の関係式を満たすことによって、視感反射率を抑制できると共に優れた防眩性を実現でき、ディスプレイ画像の視認性を向上することができる。【選択図】なし
Description
本発明は、例えば液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、タッチパネルディスプレイ、及びカーナビゲーションシステム等の画像表示側の最表面に貼付して用いられる、画像表示装置用の防眩性反射防止フィルム、及びそれを備える画像表示装置に関する。
従来から、液晶ディスプレイ、タッチパネルディスプレイ、及びカーナビゲーションシステム等の各種画像表示装置では、画面(ディスプレイ)に外部からの光が映り込むと表示画像が見づらくなるという欠点があった。このため、ディスプレイ表面には、外部からの光を拡散するために、防眩性フィルムが配置されている。
しかし、ディスプレイにおける画像の視認性、特に黒濃度をはじめとする色再現性を向上するためには、外部からの光を拡散させる防眩性のみでは十分ではなく、ディスプレイ表面での反射率を低下させる必要がある。そのため、近年では防眩性と低反射性とを兼ね備えた防眩性反射防止フィルムが用いられている。
このような防眩性反射防止フィルムとして、例えば特許文献1が開示されている。特許文献1では、透明基材フィルムに、防眩性ハードコート層、高屈折率層、低屈折率層をこの順で積層した防眩性反射防止フィルムにおいて、防眩性ハードコート層を、活性エネルギー線硬化型樹脂、光重合開始剤、及び平均粒子径が6μm以上30μm未満の透光性有機微粒子を含有する防眩性ハードコート層形成用組成物により形成している。もしくは、防眩性ハードコート層を、活性エネルギー線硬化型樹脂と、ポリマー成分とを含有する防眩性ハードコート層用組成物を硬化して形成している。
しかし、特許文献1では反射率の基準として「積分球最小反射率」を用いている。積分球最小反射率は人間の視感度に基づくものではないため、反射率が低くても、その最小反射率の波長が人間の視感度から大きく外れていると、結局人間の目は反射する光を眩しく感じてしまうことがある。したがって、「積分球最小反射率」を基準に反射率を低下させても、人間が実際に感じる画像視認性が向上しないおそれがある。
これに対し、反射率の基準として、人間の視感度を反射率に重み付けして算出した「視感反射率」もある。これは、人間が感じる反射光の強さをそのまま表現した定量値に相当する。つまり、反射率の基準として視感反射率(RSCI)を用いることにより、人間が実際に感じる画像視認性を確実に向上させることができる。
そこで、本発明の目的とするところは、視感反射率を抑制して人間が実際に感じる画像の視認性を確実に向上できる防眩性反射防止フィルムと、これを備える画像表示装置を提供することにある。
そのための手段として、本発明は次の手段を採る。
透明基材フィルムの一方の面上に防眩性ハードコート層、中屈折率層、高屈折率層、低屈折率層がこの順に積層された防眩性反射防止フィルムであって、
中屈折率層の屈折率をnM、膜厚をdM、高屈折率層の屈折率をnH、膜厚をdH、低屈折率層の屈折率をnL、膜厚をdL、防眩性ハードコート層の表面粗さをRaとした場合、下記(1)〜(7)が成り立つことを特徴とする。
450nm/4nM≦dM≦560nm/4nM・・・(1)
450nm/2nH≦dH≦560nm/2nH・・・(2)
450nm/4nL≦dL≦560nm/4nL・・・(3)
1.57≦nM≦1.63・・・(4)
1.77≦nH≦1.83・・・(5)
1.29≦nL≦1.37・・・(6)
0.05μm≦Ra≦0.30μm・・・(7)
透明基材フィルムの一方の面上に防眩性ハードコート層、中屈折率層、高屈折率層、低屈折率層がこの順に積層された防眩性反射防止フィルムであって、
中屈折率層の屈折率をnM、膜厚をdM、高屈折率層の屈折率をnH、膜厚をdH、低屈折率層の屈折率をnL、膜厚をdL、防眩性ハードコート層の表面粗さをRaとした場合、下記(1)〜(7)が成り立つことを特徴とする。
450nm/4nM≦dM≦560nm/4nM・・・(1)
450nm/2nH≦dH≦560nm/2nH・・・(2)
450nm/4nL≦dL≦560nm/4nL・・・(3)
1.57≦nM≦1.63・・・(4)
1.77≦nH≦1.83・・・(5)
1.29≦nL≦1.37・・・(6)
0.05μm≦Ra≦0.30μm・・・(7)
本発明の画像表示装置は、上記防眩性反射防止フィルムをディスプレイの画像を表示する側の最表面に備えている。
なお、視感反射率(RSCI)とは、XYZ表色系のY値(三刺激値)の反射率であり、JIS Z 8701に準じて測定される反射率である。また、本発明ないし明細書において数値範囲を示す「○○〜××」とは、特に明示しない限り「○○以上××以下」を意味する。
本発明では、上記条件(1)〜(7)を満たすことで、防眩性ハードコート層で反射光が拡散されるために優れた防眩性を実現すると共に、中屈折率層、高屈折率層、及び低屈折率層によって反射光の強度が低減されることで視感反射率(RSCI)が0.5%以下になり、画像の視認性が向上する。視感反射率は人間が感じる反射光の強さをそのまま表現した定量値に相当するので、人間が実際に感じる画像視認性を確実に向上することができる。
[防眩性反射防止フィルム]
本発明の防眩性反射防止フィルム(以下、単に防眩性フィルムともいう)は、透明基材フィルム上(一方面)に、防眩性ハードコート層、中屈折率層、高屈折率層、及び低屈折率層が、透明基材フィルム側からこの順で積層されてなる。中屈折率層の屈折率(nM)及び膜厚(dM)、高屈折率層の屈折率(nH)及び膜厚(dH)、低屈折率層の屈折率(nL)及び膜厚(dL)、並びに防眩性ハードコート層の表面粗さ(Ra)は、下記(1)〜(7)を満たすよう設定されることを特徴とする。
450nm/4nM≦dM≦560nm/4nM・・・(1)
450nm/2nH≦dH≦560nm/2nH・・・(2)
450nm/4nL≦dL≦560nm/4nL・・・(3)
1.57≦nM≦1.63・・・(4)
1.77≦nH≦1.83・・・(5)
1.29≦nL≦1.37・・・(6)
0.05μm≦Ra≦0.30μm・・・(7)
この防眩性フィルムは、画像表示装置におけるディスプレイの画像を表示する側の最表面に配置される。画像表示装置としては、特に高精細な液晶ディスプレイ、タッチパネルディスプレイ、有機ELディスプレイ、又はカーナビゲーションシステムが挙げられる。
本発明の防眩性反射防止フィルム(以下、単に防眩性フィルムともいう)は、透明基材フィルム上(一方面)に、防眩性ハードコート層、中屈折率層、高屈折率層、及び低屈折率層が、透明基材フィルム側からこの順で積層されてなる。中屈折率層の屈折率(nM)及び膜厚(dM)、高屈折率層の屈折率(nH)及び膜厚(dH)、低屈折率層の屈折率(nL)及び膜厚(dL)、並びに防眩性ハードコート層の表面粗さ(Ra)は、下記(1)〜(7)を満たすよう設定されることを特徴とする。
450nm/4nM≦dM≦560nm/4nM・・・(1)
450nm/2nH≦dH≦560nm/2nH・・・(2)
450nm/4nL≦dL≦560nm/4nL・・・(3)
1.57≦nM≦1.63・・・(4)
1.77≦nH≦1.83・・・(5)
1.29≦nL≦1.37・・・(6)
0.05μm≦Ra≦0.30μm・・・(7)
この防眩性フィルムは、画像表示装置におけるディスプレイの画像を表示する側の最表面に配置される。画像表示装置としては、特に高精細な液晶ディスプレイ、タッチパネルディスプレイ、有機ELディスプレイ、又はカーナビゲーションシステムが挙げられる。
[透明基材フィルム]
透明基材フィルムを形成する材料は、透明性が良好で光透過性に優れているものであれば特に限定されず、この種のフィルムにおいて従来から使用されている公知の材料を使用できる。例えば、トリアセチルセルロース(TAC),ジアセチルセルロース,プロピオニルセルロース,ブチリルセルロース,アセチルプロピオニルセルロース,ニトロセルロース等の誘導体,ポリエチレンテレフタレート(PET),シクロシクロオレフィンポリマー(COP),シクロオレフィンコポリマー(COC),ポリカーボネート(PC),ポリメチルメタクリレート(PMMA)などからなる単層又は二層シートを使用できる。中でも、光学異方性がなく光透過率が良い点から、トリアセチルセルロース(TAC)が好ましい。
透明基材フィルムを形成する材料は、透明性が良好で光透過性に優れているものであれば特に限定されず、この種のフィルムにおいて従来から使用されている公知の材料を使用できる。例えば、トリアセチルセルロース(TAC),ジアセチルセルロース,プロピオニルセルロース,ブチリルセルロース,アセチルプロピオニルセルロース,ニトロセルロース等の誘導体,ポリエチレンテレフタレート(PET),シクロシクロオレフィンポリマー(COP),シクロオレフィンコポリマー(COC),ポリカーボネート(PC),ポリメチルメタクリレート(PMMA)などからなる単層又は二層シートを使用できる。中でも、光学異方性がなく光透過率が良い点から、トリアセチルセルロース(TAC)が好ましい。
透明基材フィルムの膜厚は特に限定されないが、10〜500μmが好ましい。膜厚が薄すぎると、防眩性フィルムの取扱性が悪くなると共に、その強度も低下する傾向にある。一方、膜厚が厚すぎると、不必要に厚くなって防眩性フィルムの取扱性が悪くなる。
[防眩性ハードコート層]
防眩性ハードコート層は、ハードコート層として所要の強度及び硬度を有していると共に、その表面に凹凸を有する。この表面凹凸に外光が反射して拡散される(表面拡散性)ことで、防眩性を発現する。防眩性ハードコート層は、防眩性ハードコート層用組成物を硬化して形成される。防眩性ハードコート層用組成物は、少なくとも活性エネルギー線硬化型樹脂と、光重合開始剤と、透光性有機微粒子とを含有する微粒子含有防眩性ハードコート層用組成物であってもよいし、活性エネルギー線硬化型樹脂と、ポリマー成分とを含有するポリマー含有防眩性ハードコート層用組成物であってもよい。なお、本明細書において単に「防眩性ハードコート層用組成物」と記載する場合は、「微粒子含有防眩性ハードコート層用組成物」及び「ポリマー含有防眩性ハードコート層用組成物」の総称を意味する。
防眩性ハードコート層は、ハードコート層として所要の強度及び硬度を有していると共に、その表面に凹凸を有する。この表面凹凸に外光が反射して拡散される(表面拡散性)ことで、防眩性を発現する。防眩性ハードコート層は、防眩性ハードコート層用組成物を硬化して形成される。防眩性ハードコート層用組成物は、少なくとも活性エネルギー線硬化型樹脂と、光重合開始剤と、透光性有機微粒子とを含有する微粒子含有防眩性ハードコート層用組成物であってもよいし、活性エネルギー線硬化型樹脂と、ポリマー成分とを含有するポリマー含有防眩性ハードコート層用組成物であってもよい。なお、本明細書において単に「防眩性ハードコート層用組成物」と記載する場合は、「微粒子含有防眩性ハードコート層用組成物」及び「ポリマー含有防眩性ハードコート層用組成物」の総称を意味する。
防眩性ハードコート層の表面凹凸を表す表面粗さ(算術平均粗さ)Raは0.05〜0.30μmであり、0.06〜0.25μmが好ましく、0.07〜0.20μmがより好ましい。Raが0.05μmより小さいと防眩性フィルムの防眩性が低くなり、外光を十分に拡散できなくなる。一方、Raが0.30μmより大きいと防眩性フィルムの視感反射率RSCIが高くなり、画像視認性が低下する。
防眩性ハードコート層の膜厚は、1.5〜30μmが好ましい。また、透光性有機微粒子を含有する防眩性ハードコート層の場合、4〜25μmがより好ましく、5〜20μmが更に好ましい。一方、ポリマーを含有する防眩性ハードコート層の場合、2.5〜8μmがより好ましく、3〜7μmが更に好ましい。防眩性ハードコート層の膜厚が1.5μmよりも薄い場合は、表面粗さRaを0.05μm以上にすることが難しくなる。一方、膜厚が30μmよりも厚い場合は、表面粗さRaを0.30μm以下にすることが難しくなる。
防眩性ハードコート層の屈折率は、1.49〜1.65が好ましく、1.50〜1.55がより好ましい。防眩性ハードコート層の屈折率がこの範囲を外れると、防眩性フィルムの視感反射率RSCIが高くなり、ディスプレイの画像視認性が低下する場合がある。
(活性エネルギー線硬化型樹脂)
活性エネルギー線硬化型樹脂は防眩性ハードコート層用組成物のベース成分であり、単官能単量体、多官能単量体、ビニル基や(メタ)アクリロイル基を有するオリゴマー、及びビニル基や(メタ)アクリロイル基を有する重合体の中から1種又は2種以上を使用できる。特に、柔軟性やゴム弾性といったウレタン樹脂の特徴を有し、透明基材フィルムへの追随性が良好で屈曲性に優れる硬化被膜が得られる点において、ウレタン(メタ)アクリレートが好ましい。なお、(メタ)アクリロイル基とは、アクリロイル基又はメタクリロイル基を意味する。(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はメタクリレートを意味する。
活性エネルギー線硬化型樹脂は防眩性ハードコート層用組成物のベース成分であり、単官能単量体、多官能単量体、ビニル基や(メタ)アクリロイル基を有するオリゴマー、及びビニル基や(メタ)アクリロイル基を有する重合体の中から1種又は2種以上を使用できる。特に、柔軟性やゴム弾性といったウレタン樹脂の特徴を有し、透明基材フィルムへの追随性が良好で屈曲性に優れる硬化被膜が得られる点において、ウレタン(メタ)アクリレートが好ましい。なお、(メタ)アクリロイル基とは、アクリロイル基又はメタクリロイル基を意味する。(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はメタクリレートを意味する。
ウレタン(メタ)アクリレートとしては、例えば単官能のウレタン(メタ)アクリレート、2官能のウレタン(メタ)アクリレート、3官能のウレタン(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの中でも、2官能のウレタン(メタ)アクリレート又は3官能のウレタン(メタ)アクリレートが好ましく、末端に(メタ)アクリロイル基を有する3官能のウレタン(メタ)アクリレートがより好ましい。
(光重合開始剤)
光重合開始剤は、活性エネルギー線硬化型樹脂に紫外線等の活性エネルギー線を照射して重合を開始させるためのものである。光重合開始剤としては、例えばベンゾフェノン類、アセトフェノン類、α−アミロキシムエステル、ミヒラーベンゾイルベンゾエート、テトラメチルチュウラムモノサルファイド、チオキサントン類等の中から1種又は2種以上を使用できる。具体的には、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフェリノプロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、ベンゾイン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、ベンゾフェノン、[4−(メチルフェニルチオ)フェニル]フェニルメタノン、4−ヒドロキシベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、α−アミロキシムエステル、ミヒラーベンゾイルベンゾエート、テトラメチルチュウラムモノサルファイド等が挙げられる。
光重合開始剤は、活性エネルギー線硬化型樹脂に紫外線等の活性エネルギー線を照射して重合を開始させるためのものである。光重合開始剤としては、例えばベンゾフェノン類、アセトフェノン類、α−アミロキシムエステル、ミヒラーベンゾイルベンゾエート、テトラメチルチュウラムモノサルファイド、チオキサントン類等の中から1種又は2種以上を使用できる。具体的には、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフェリノプロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、ベンゾイン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、ベンゾフェノン、[4−(メチルフェニルチオ)フェニル]フェニルメタノン、4−ヒドロキシベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、α−アミロキシムエステル、ミヒラーベンゾイルベンゾエート、テトラメチルチュウラムモノサルファイド等が挙げられる。
光重合開始剤の含有量は、活性エネルギー線硬化型樹脂と光重合開始剤との合計100質量部中、0.1〜20質量部が好ましく、1〜10質量部がより好ましい。光重合開始剤の含有量が過少では防眩性ハードコート層の硬化が不十分となり、過多では不必要に多量であって無駄になる。
(透光性有機微粒子)
透光性有機微粒子は、防眩性ハードコート層における光拡散機能、すなわち表面凹凸を積極的に形成するために含有される。透光性有機微粒子としては、スチレン−アクリル共重合樹脂、(メタ)アクリル樹脂(屈折率1.49)、塩化ビニル樹脂(屈折率1.54)、ポリスチレン樹脂(屈折率1.59)、ポリエチレン樹脂(屈折率1.53)、メラミン樹脂(屈折率1.57−1.60)、ポリカーボネート樹脂(屈折率1.59)等から選択される1種又は2種以上の樹脂微粒子を使用できる。中でも、屈折率の調整が容易な点から(メタ)アクリル樹脂又はスチレン−アクリル共重合樹脂が好ましい。スチレン−アクリル共重合樹脂は、両単量体の共重合組成を変化させることにより屈折率を任意に調整することができる点で、より好ましい。
透光性有機微粒子は、防眩性ハードコート層における光拡散機能、すなわち表面凹凸を積極的に形成するために含有される。透光性有機微粒子としては、スチレン−アクリル共重合樹脂、(メタ)アクリル樹脂(屈折率1.49)、塩化ビニル樹脂(屈折率1.54)、ポリスチレン樹脂(屈折率1.59)、ポリエチレン樹脂(屈折率1.53)、メラミン樹脂(屈折率1.57−1.60)、ポリカーボネート樹脂(屈折率1.59)等から選択される1種又は2種以上の樹脂微粒子を使用できる。中でも、屈折率の調整が容易な点から(メタ)アクリル樹脂又はスチレン−アクリル共重合樹脂が好ましい。スチレン−アクリル共重合樹脂は、両単量体の共重合組成を変化させることにより屈折率を任意に調整することができる点で、より好ましい。
透光性有機微粒子は、防眩性ハードコート層中及びその表面における光の拡散又は散乱を均一に行うために、できるだけ粒子径の揃った単分散なものであることが好ましい。透光性有機微粒子の平均粒子径は6〜30μmが好ましく、より好ましくは6〜25μmである。透光性有機微粒子の平均粒子径が過小では、防眩性フィルム内部の界面で生じる反射光を拡散させる効果が小さくなる。一方、透光性有機微粒子の平均粒子径が過大であると、表面粗さRaが大きくなる恐れがある。
透光性有機微粒子の配合量は、活性エネルギー線硬化型樹脂と光重合開始剤との合計100質量部に対して、1〜20質量部が好ましく、3〜10質量部がより好ましい。透光性有機微粒子の配合量が過少では、十分な防眩性が得られ難い。一方、透光性有機微粒子の配合量が過多では、白化等が生じて画像視認性が低下する。
(ポリマー成分)
ポリマー成分は、ポリマー含有防眩性ハードコート層用組成物中に溶解する化合物であり、そのような化合物としては、重量平均分子量1,000〜500,000の熱可塑性樹脂や(メタ)アクリロイル基を有する重合体等が挙げられる。熱可塑性樹脂としては、スチレン系樹脂、スチレン・(メタ)アクリル系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、有機酸ビニルエステル系樹脂、ビニルエーテル系樹脂、ポリエステル系樹脂、熱可塑性ポリウレタン樹脂、セルロース誘導体、などが挙げられる。(メタ)アクリロイル基を有する重合体としては、例えば(メタ)アクリルモノマーを重合または共重合した樹脂、(メタ)アクリルモノマーと他のエチレン性不飽和二重結合を有するモノマーとを共重合した樹脂、(メタ)アクリルモノマーと他のエチレン性不飽和二重結合およびエポキシ基を有するモノマーとを反応させた樹脂、(メタ)アクリルモノマーと他のエチレン性不飽和二重結合およびイソシアネート基を有するモノマーとを反応させた樹脂、などが挙げられる。中でも、スチレン・(メタ)アクリル系樹脂が防眩性を最適に発現する観点から好ましい。
ポリマー成分は、ポリマー含有防眩性ハードコート層用組成物中に溶解する化合物であり、そのような化合物としては、重量平均分子量1,000〜500,000の熱可塑性樹脂や(メタ)アクリロイル基を有する重合体等が挙げられる。熱可塑性樹脂としては、スチレン系樹脂、スチレン・(メタ)アクリル系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、有機酸ビニルエステル系樹脂、ビニルエーテル系樹脂、ポリエステル系樹脂、熱可塑性ポリウレタン樹脂、セルロース誘導体、などが挙げられる。(メタ)アクリロイル基を有する重合体としては、例えば(メタ)アクリルモノマーを重合または共重合した樹脂、(メタ)アクリルモノマーと他のエチレン性不飽和二重結合を有するモノマーとを共重合した樹脂、(メタ)アクリルモノマーと他のエチレン性不飽和二重結合およびエポキシ基を有するモノマーとを反応させた樹脂、(メタ)アクリルモノマーと他のエチレン性不飽和二重結合およびイソシアネート基を有するモノマーとを反応させた樹脂、などが挙げられる。中でも、スチレン・(メタ)アクリル系樹脂が防眩性を最適に発現する観点から好ましい。
ポリマー成分の配合量としては、活性エネルギー線硬化型樹脂100質量部に対して25〜45質量部が好ましく、30〜40質量部がより好ましい。25質量部よりも少ない場合は、防眩性が必要以上に強くなりすぎ、白くぼけた感じとなり表示コントラストが低下する。一方、45質量部よりも多い場合は、防眩性が弱く、外光がディスプレイ表面に写りこむことを防止することが困難となる。
防眩性ハードコート層用組成物には、本発明の効果を阻害しない範囲で、その他の成分を添加することもできる。例えば、金属酸化物微粒子、界面活性剤、光増感剤、安定化剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、酸化防止剤、表面調整剤、粒子分散剤等が挙げられる。
〔中屈折率層〕
次に、中屈折率層について説明する。中屈折率層は、中屈折率層用組成物を硬化させることにより形成される。中屈折率層は、後述する高屈折率層との有意な屈折率差及び後述の低屈折率層との有意な屈折率差により、反射防止効果を発現させるための層である。中屈折率層の屈折率は、防眩性ハードコート層及び低屈折率層よりも高く、かつ、高屈折率層よりも低く設定される。中屈折率層は、589nmの光に対する屈折率(nM)が1.57〜1.63であり、1.58〜1.60が好ましく、1.59〜1.61がより好ましい。中屈折率層の屈折率が1.57未満の場合、或いは1.63を超える場合には、中屈折率層と他の層との屈折率差から生じる干渉のバランスが悪くなり、反射スペクトルをフラットにすることが困難となるため、視感反射率が悪くなる。
次に、中屈折率層について説明する。中屈折率層は、中屈折率層用組成物を硬化させることにより形成される。中屈折率層は、後述する高屈折率層との有意な屈折率差及び後述の低屈折率層との有意な屈折率差により、反射防止効果を発現させるための層である。中屈折率層の屈折率は、防眩性ハードコート層及び低屈折率層よりも高く、かつ、高屈折率層よりも低く設定される。中屈折率層は、589nmの光に対する屈折率(nM)が1.57〜1.63であり、1.58〜1.60が好ましく、1.59〜1.61がより好ましい。中屈折率層の屈折率が1.57未満の場合、或いは1.63を超える場合には、中屈折率層と他の層との屈折率差から生じる干渉のバランスが悪くなり、反射スペクトルをフラットにすることが困難となるため、視感反射率が悪くなる。
また、中屈折率層の膜厚(dM)は、中屈折率層の屈折率(nM)に対して、下記(1)が成り立つように設定される。
450nm/4nM≦dM≦560nm/4nM・・・(1)
450nm/4nM≦dM≦560nm/4nM・・・(1)
dMが450nm/4nMより小さい場合、防眩性ハードコート層と中屈折率層との界面での反射光と、中屈折率層と高屈折率層との界面での反射光との最も強め合う波長(最大反射率波長)域が380nm以下となってしまうため、中屈折率層上へ高屈折率層及び低屈折率層を設けた際に、視感反射率を効果的に下げることが困難となる場合がある。また、dMが560nm/4nMより大きい場合、防眩性ハードコート層と中屈折率層との界面での反射光と、中屈折率層と高屈折率層との界面での反射光の最も強め合う波長(最大反射率波長)域が780nm以上となってしまうため、中屈折率層上へ高屈折率層及び低屈折率層を設けた際に、視感反射率を効果的に下げることが困難となる場合がある。
〔中屈折率層用組成物〕
中屈折率層は、前記中屈折率層の屈折率の範囲において、従来より反射防止フィルム等に用いられる公知のものであれば特に制限されず、中屈折率層用組成物としては、ベースとなる有機材料に、屈折率調整用の無機材料を適宜添加したものを用いることができる。
中屈折率層は、前記中屈折率層の屈折率の範囲において、従来より反射防止フィルム等に用いられる公知のものであれば特に制限されず、中屈折率層用組成物としては、ベースとなる有機材料に、屈折率調整用の無機材料を適宜添加したものを用いることができる。
例えば、重合硬化したものの屈折率が1.6〜1.8の重合性単量体を含む組成物に、屈折率調整用の無機材料として、例えば酸化亜鉛、酸化チタン、酸化セリウム、酸化アルミニウム、酸化シラン、酸化アンチモン、酸化ジルコニウム、酸化錫、ITO等の微粒子を添加すればよい。中でも、導電性や帯電防止能の観点より、酸化錫、酸化アンチモン及びITO等の微粒子が好ましい。重合硬化した後の屈折率が1.6〜1.8となる重合性単量体としては、2−ビニルナフタレン、4−ブロモスチレン、9−ビニルアントラセン等が挙げられる。
また、多官能ウレタンアクリレートまたは多官能(メタ)アクリレートと金属酸化物微粒子とを含む混合物も好適に使用される。多官能ウレタンアクリレートとしては、ペンタエリスリトールトリアクリレートヘキサメチレンジイソシアネートウレタンプレポリマー、ペンタエリスリトールトリアクリレートトルエンジイソシアネートウレタンプレポリマー、ペンタエリスリトールトリアクリレートイソホロンジイソシアネートウレタンプレポリマー、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートヘキサメチレンジイソシアネートウレタンプレポリマーなどが挙げられる。このような材料における市販されているものとしては、日本合成化学工業(株)製の紫光UV7600B、UV7630、UV7640Bが挙げられる。
多官能(メタ)アクリレートとしては、紫外線や電子線のような活性エネルギー線を照射することにより硬化反応を生じる樹脂を使用でき、その種類は特に制限されない。この多官能(メタ)アクリレートとしては、例えばジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ビス(3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシ)ヘキサン等の多官能アルコール(メタ)アクリル誘導体や、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリウレタン(メタ)アクリレート、さらに紫外線硬化性ハードコート材として市販されているもの等が挙げられる。
中屈折率層を構成する材料は、その上に積層される高屈折率層と同じ材料で配合されることが、中屈折率層と高屈折率層の層間の密着性を高めることができるため、好ましい。例えば、高屈折率層が酸化チタン及びウレタンアクリレートの組成物で形成される場合、中屈折率層に使用される組成物も酸化チタンとウレタンアクリレートの混合物で形成される方が好ましい。
中屈折率層用組成物には、本発明の効果を損なわない範囲において、その他の成分として各種添加剤を添加することができる。そのような添加剤としては、例えば、光重合開始剤、分散剤、界面活性剤、光安定剤及びレベリング剤等の添加剤が挙げられる。
〔高屈折率層〕
次に、高屈折率層について説明する。高屈折率層は、高屈折率層用組成物を硬化させることにより形成される。高屈折率層は、前述した中屈折率層との有意な屈折率差及び後述の低屈折率層との有意な屈折率差により、反射防止効果を発現させるための層である。高屈折率層の屈折率は、防眩性ハードコート層、中屈折率層及び低屈折率層のいずれの層よりも高く設定される。高屈折率層は、589nmの光に対する屈折率(nH)が1.77〜1.83であり、1.78〜1.82が好ましく、1.79〜1.81がより好ましい。高屈折率層の屈折率が1.77未満の場合、或いは1.83を超える場合には、高屈折率層と他の層との屈折率差から生じる干渉のバランスが悪くなり、反射スペクトルをフラットにすることが困難となるため、視感反射率が悪くなる。
次に、高屈折率層について説明する。高屈折率層は、高屈折率層用組成物を硬化させることにより形成される。高屈折率層は、前述した中屈折率層との有意な屈折率差及び後述の低屈折率層との有意な屈折率差により、反射防止効果を発現させるための層である。高屈折率層の屈折率は、防眩性ハードコート層、中屈折率層及び低屈折率層のいずれの層よりも高く設定される。高屈折率層は、589nmの光に対する屈折率(nH)が1.77〜1.83であり、1.78〜1.82が好ましく、1.79〜1.81がより好ましい。高屈折率層の屈折率が1.77未満の場合、或いは1.83を超える場合には、高屈折率層と他の層との屈折率差から生じる干渉のバランスが悪くなり、反射スペクトルをフラットにすることが困難となるため、視感反射率が悪くなる。
また、高屈折率層の膜厚(dH)は、高屈折率層の屈折率(nH)に対して、下記(2)が成り立つように設定される。
450nm/2nH≦dH≦560nm/2nH・・・(2)
450nm/2nH≦dH≦560nm/2nH・・・(2)
dHを450nm/2nHより小さくすると、高屈折率層を設けた際に最小反射率波長(反射率が最小となる光の波長)が380nm以下となってしまい、その上に低屈折率層を設けた際に可視光領域の反射率が単調増加になるような反射スペクトルとなってしまうため、反射スペクトルをフラットにすることが困難となり、視感反射率を十分に抑制できない場合がある。一方、dHが560nm/2nHより大きい場合、高屈折率層を設けた際に最小反射率波長(反射率が最小となる光の波長)が650nm以上となってしまい、その上に低屈折率層を設けた際に可視光領域の反射率が単調減少になるような反射スペクトルとなってしまうため、反射スペクトルをフラットにすることが困難となり、視感反射率を十分に抑制できない場合がある。
〔高屈折率層用組成物〕
高屈折率層は、前記高屈折率層の屈折率の範囲において、従来より反射防止フィルム等に用いられる公知のものであれば特に制限されず、高屈折率層用組成物としては、ベースとなる有機材料に、屈折率調整用の無機材料を適宜添加したものを用いることができる。ベースとなる有機材料や屈折率調整用の無機材料としては、中屈折率層と同様のものを使用でき、これらの材料の組み合わせや配合バランスにより、求める屈折率に調整すればよい。
高屈折率層は、前記高屈折率層の屈折率の範囲において、従来より反射防止フィルム等に用いられる公知のものであれば特に制限されず、高屈折率層用組成物としては、ベースとなる有機材料に、屈折率調整用の無機材料を適宜添加したものを用いることができる。ベースとなる有機材料や屈折率調整用の無機材料としては、中屈折率層と同様のものを使用でき、これらの材料の組み合わせや配合バランスにより、求める屈折率に調整すればよい。
高屈折率層を構成する材料は、その下地としてコートされる中屈折率層と同じ材料で配合されることが、中屈折率層と高屈折率層の層間の密着性を高めることができるため、好ましい。例えば、中屈折率層が酸化チタン及びウレタンアクリレートの組成物で形成される場合、高屈折率層に使用される組成物も酸化チタンとウレタンアクリレートの混合物で形成される方が好ましい。
高屈折率層用組成物には、本発明の効果を損なわない範囲において、その他の成分として各種添加剤を添加することができる。そのような添加剤としては、例えば、中屈折率層と同様の光重合開始剤、分散剤、界面活性剤、光安定剤及びレベリング剤等の添加剤が挙げられる。
〔低屈折率層〕
低屈折率層は、低屈折率層用組成物を硬化させることにより形成される。低屈折率層の屈折率は、防眩性ハードコート層、中屈折率層、及び高屈折率層の屈折率より低く設定されることを要件とし、その589nmの光に対する屈折率(nL)は1.29〜1.37であり、1.30〜1.36が好ましく、1.31〜1.35がより好ましい。該屈折率が1.29未満の場合には十分に硬い層を形成することが困難である場合がある。その一方、屈折率が1.37を超える場合には視感反射率を十分に抑制できない場合がある。
低屈折率層は、低屈折率層用組成物を硬化させることにより形成される。低屈折率層の屈折率は、防眩性ハードコート層、中屈折率層、及び高屈折率層の屈折率より低く設定されることを要件とし、その589nmの光に対する屈折率(nL)は1.29〜1.37であり、1.30〜1.36が好ましく、1.31〜1.35がより好ましい。該屈折率が1.29未満の場合には十分に硬い層を形成することが困難である場合がある。その一方、屈折率が1.37を超える場合には視感反射率を十分に抑制できない場合がある。
また、低屈折率層の膜厚(dL)は、低屈折率層の屈折率(nL)に対して、下記(3)が成り立つように設定される。
450nm/4nL≦dL≦560nm/4nL・・・(3)
450nm/4nL≦dL≦560nm/4nL・・・(3)
dLを450nm/4nLより小さくとすると、低屈折率層を設けた際に最小反射率波長(反射率が最小となる光の波長)が380nm以下となってしまい、低屈折率層を設けた際に可視光領域の反射率が単調増加になるような反射スペクトルとなってしまうため、反射スペクトルをフラットにすることが困難となり、視感反射率を十分に抑制できない場合がある。一方、dLが560nm/4nLより大きい場合、低屈折率層を設けた際に最小反射率波長(反射率が最小となる光の波長)が650nm以上となってしまい、低屈折率層を設けた際に可視光領域の反射率が単調減少になるような反射スペクトルとなってしまうため、反射スペクトルをフラットにすることが困難となり、視感反射率を十分に抑制できない場合がある。
〔低屈折率層用組成物〕
低屈折率層は、前記低屈折率層の屈折率の範囲において、従来より反射防止フィルム等に用いられる公知のものであれば特に制限されず、低屈折率層用組成物としては、ベースとなる有機材料に、屈折率調整用の無機材料を適宜添加したものを用いることができる。中でも、低屈折率層用組成物は、(a)C2〜C7のパーフルオロアルキル鎖を含有する(メタ)アクリレートと、(b)アクリル基を有するポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン又はアクリル基を有するポリエステル変性ポリジメチルシロキサンと、(c)(a)成分及び(b)成分と共重合可能な重合性二重結合をもつ含フッ素化合物と、(d)中空シリカ微粒子と、(e)光重合開始剤とを含有することが好ましい。なお、(b)成分の含有量は(a)成分の含有量より少ない。
低屈折率層は、前記低屈折率層の屈折率の範囲において、従来より反射防止フィルム等に用いられる公知のものであれば特に制限されず、低屈折率層用組成物としては、ベースとなる有機材料に、屈折率調整用の無機材料を適宜添加したものを用いることができる。中でも、低屈折率層用組成物は、(a)C2〜C7のパーフルオロアルキル鎖を含有する(メタ)アクリレートと、(b)アクリル基を有するポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン又はアクリル基を有するポリエステル変性ポリジメチルシロキサンと、(c)(a)成分及び(b)成分と共重合可能な重合性二重結合をもつ含フッ素化合物と、(d)中空シリカ微粒子と、(e)光重合開始剤とを含有することが好ましい。なお、(b)成分の含有量は(a)成分の含有量より少ない。
〔(a)成分〕
(a)C2〜C7のパーフルオロアルキル鎖を含有する(メタ)アクリレートは、防汚性機能を発現するためのものであり、低屈折率層表面を触った際に付着する指紋の付着性を弱めることができる。C2〜C7のパーフルオロアルキル鎖を含有する(メタ)アクリレートの例としては、具体的には、下記一般式(1)で示されるものや下記一般式(2)に示されるものが挙げられる。
(式中、nは0〜100の整数である。また、XはHまたはCH3である。)
(式中、Xはパーフルオロアルキル基又はパーフルオロポリエーテルを表す。)
(a)C2〜C7のパーフルオロアルキル鎖を含有する(メタ)アクリレートは、防汚性機能を発現するためのものであり、低屈折率層表面を触った際に付着する指紋の付着性を弱めることができる。C2〜C7のパーフルオロアルキル鎖を含有する(メタ)アクリレートの例としては、具体的には、下記一般式(1)で示されるものや下記一般式(2)に示されるものが挙げられる。
(a)C2〜C7のパーフルオロアルキル鎖を含有する(メタ)アクリレートは、低屈折率層用組成物中に5.0〜15.0質量%含まれることが好ましい。含有量が5.0質量%未満では、低屈折率層表面を触った際の指紋の付着性を効果的に弱めることが出来ない。一方、15.0質量%を超えると、指紋の拭取り性が悪化する。
〔(b)成分〕
(b)アクリル基を有するポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン又はアクリル基を有するポリエステル変性ポリジメチルシロキサンは、低屈折率層表面に付着した指紋の拭取り性を向上するためのものである。
(b)アクリル基を有するポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン又はアクリル基を有するポリエステル変性ポリジメチルシロキサンは、低屈折率層表面に付着した指紋の拭取り性を向上するためのものである。
アクリル基を有するポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン又はアクリル基を有するポリエステル変性ポリジメチルシロキサンの基本骨格(ポリジオルガノシロキサン)は、下記に示す一般式(3)で表され、重合性反応基を1分子中に少なくとも2つ、好ましくは2〜8つ有する化合物である。
一般式(3)中のA及びBは、直鎖状又は分岐状の有機基であり、アルキル鎖(炭素数1〜30)、パーフルオロアルキル鎖(炭素数1〜10)、アリールアルキル鎖、脂肪族乃至芳香族(ポリ)エステル鎖(該有機鎖の部分的な分子量100〜3000)、脂肪族乃至芳香族(ポリ)エーテル鎖(該有機鎖の部分的な分子量100〜3000)及び脂肪族乃至芳香族(ポリ)ウレタン鎖(該有機鎖の部分的な分子量100〜3000)からなる群より選ばれる少なくとも1種の骨格を有しており、該有機基中には重合性反応基が導入されており、分子内においてAとBは同一でも異なっていてもよく、A同士又はB同士においても同一でも異なっていてもよい。但し、A及びBに導入されている重合性反応基の数は、1分子当り2つ、好ましくは2〜8つ有する化合物である。さらに、重合性反応基は、合成の簡便さからBに導入されている方がより好ましい。一般式(3)中のcは、ポリシロキサン骨格の長さをc+1の形で表すものであり、好ましくは3〜250、より好ましくは6〜100の整数である。
重合性反応基としては、少なくともアクリル基が導入される。導入されるアクリル基としては、反応性に優れる点でアクリロイルオキシ基が好ましい。また、アクリロイルオキシ基と共に、(メタ)アクリロイルオキシ基やα−フルオロアクリロイルオキシ基等を導入することもできる。重合性反応基とポリシロキサン骨格との間の結合方式としては、従来公知の結合方式、例えば(ポリ)エーテル型、(ポリ)エステル型、(ポリ)エステル型と(ポリ)ウレタン型とを組み合わせた結合方式、(ポリ)エーテル型と(ポリ)ウレタン型とを組み合わせた結合方式、(ポリ)エステル型と(ポリ)エーテル型とを組み合わせた結合方式等の全てを採用することができる。
例えば、ポリエステル型とポリウレタン型とを組み合わせた結合方式の場合、ポリジオルガノシロキサン分子の構造は、下記の一般式(4)に示されているような基本骨格を有し、ポリシロキサン部位から延びる側鎖のうち、3つ以上の側鎖の末端には、重合性反応基が結合している。
一般式(4)中のXは3〜250の整数、好ましくは6〜100の整数であり、Y及びZはY+Zが3以上、好ましくは4〜20であることを満たすような整数であり、m及びnはいずれも1〜10の整数である。mとnは同じでも異なっていてもよいが、同じである方がアクリル基を有するポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン又はアクリル基を有するポリエステル変性ポリジメチルシロキサンを簡便に調製できる点で好ましい。
一般式(4)中のR1は、直鎖状アルキル基(炭素数1〜30)、パーフルオロアルキル基(炭素数1〜10)、アリールアルキル基、ポリエステル基(該側鎖の部分的な分子量200〜2000であり、Si原子にはアルキル鎖を介して結合している)、ポリエーテル基(該側鎖の部分的な分子量200〜2000であり、Si原子にアルキル鎖を介して結合している)のいずれかである。分子内においてR1は同一でも異なっていてもよいが、アクリル基を有するポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン又はアクリル基を有するポリエステル変性ポリジメチルシロキサンの調製が簡便であることから同一である方がより好ましい。また、使用時における樹脂との相溶性等の観点から、R1はメチル基である場合が最も汎用的で好ましい。
一般式(4)中のR2は炭素数3〜30、好ましくは3〜15の直鎖又は分岐鎖であり、該鎖上にはウレタン結合を少なくとも2つ有し、該ウレタン結合を介してポリシロキサン骨格及びR3と結合されている(但し、R3はポリジオルガノシロキサン1分子中に3つ以上含まれるように結合している)。分子内においてR2は同一でも異なっていてもよいが、アクリル基を有するポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン又はアクリル基を有するポリエステル変性ポリジメチルシロキサンの調製が簡便であることから同一である方がより好ましい。
一般式(4)中のR3は、ポリエステル骨格、好ましくは3つ以上のエステル結合を含むポリエステル骨格を有する部位であり、末端には前述のような重合性反応基、好ましくは(メタ)アクリロイル基が結合されている。分子内においてR3は同一でも異なっていてもよいがアクリル基を有するポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン又はアクリル基を有するポリエステル変性ポリジメチルシロキサンの調製が簡便であることから同一である方がより好ましい。また、使用時における樹脂との相溶性等の観点から、R3は3以上のカプロラクトンからなるポリカプロラクトン骨格を有する場合が最も汎用的で好ましい。
一般式(4)中のR4は、水素、フッ素及びメチル基のいずれかであり、分子内においてR4は同一でも異なっていてもよいが、アクリル基を有するポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン又はアクリル基を有するポリエステル変性ポリジメチルシロキサンの調製が簡便であることから同一である方がより好ましい。
次に、上記のようなポリエステル型とポリウレタン型とを組み合わせた結合方式を用いた場合のより具体的な例を、その製造方法の一例と共にいくつか記載する。但し、下記の製造方法についての例は、アクリル基を有するポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン又はアクリル基を有するポリエステル変性ポリジメチルシロキサンが下記の例に限定されることを意味するものではない。
例えば、従来公知の方法により得られる下記一般式(5)で表されるポリジメチルシロキサン、下記一般式(6)で表されるトリイソシアネート、及びエチレングリコールモノメタクリレートを用いたε−カプロラクトンの開環重合により調製される、下記一般式(7)で表される重合性反応基含有ポリエステルを1:2:4のモル比で用い、従来公知のウレタン結合形成反応により、下記一般式(8)で表されるポリジメチルシロキサン化合物が得られる。このとき、トリイソシアネート(6)中へポリジメチルシロキサン(5)を加えていきポリジメチルシロキサン(5)の両末端にウレタン結合を形成させた後に、重合性反応基含有ポリエステル(7)とのウレタン結合形成を行うことで、副生成物〔例えばポリジメチルシロキサン(5)とトリイソシアネート(6)のみからなる副生成物や、重合性反応基含有ポリエステル(7)とトリイソシアネート(6)のみからなる副生成物等〕の生成を抑え、高収率で目的とするポリジメチルシロキサン(8)を得ることができる。
ここで、一般式(5)・(8)中のdは15〜20の整数、eは1〜5の整数、一般式(6)中のfは4〜8の整数、一般式(7)及び一般式(8)中のgは3〜5の整数である。また、一般式(5)・(8)において、Meはメチル基を表す。
この他にも、例えば従来公知の方法により得られた下記一般式(9)で表されるポリジメチルシロキサン、下記一般式(10)で表されるジイソシアネート、及びペンタエリスリトールトリアクリレートを用いたε−カプロラクトンの開環重合により調製される下記一般式(11)で表される重合性反応基含有ポリエステルを1:2:2のモル比で用いて、従来公知のウレタン結合形成反応により、下記一般式(12)で表されるポリジメチルシロキサン化合物が得られる。このとき、ジイソシアネート(10)中へポリジメチルシロキサン(9)を加えていきポリジメチルシロキサン(9)の両末端にウレタン結合を形成させた後に、重合性反応基含有ポリエステル(11)とのウレタン結合形成を行うことで、副生成物〔例えばポリジメチルシロキサン(9)とジイソシアネート(10)のみからなる副生成物や、重合性反応基含有ポリエステル(11)とジイソシアネート(10)のみからなる副生成物等〕の生成を抑え、高収率で目的とするポリジメチルシロキサン(12)を得ることができる。
ここで、一般式(9)中のhは25〜35の整数、iは1〜5の整数、一般式(10)中のjは5〜10の整数、及び一般式(11)中のkは3〜5の整数である。
さらに、例えば上記の2例を組み合わせて一般式(9)で表されるポリジメチルシロキサン、トリイソシアネート(6)、及び重合性反応基含有ポリエステル(11)を1:2:4のモル比で反応させ、アクリロイロキシ基を有するポリジメチルシロキサン(12)を得ることもできる。
なお、この他にも、重合性反応基を有するポリエステル部分とポリウレタン部分を結合させた後にシロキサン骨格へ導入する方法や、重合性反応基の導入を最後に行う方法等によりポリジメチルシロキサンを合成することも可能である。通常、一般式(3)で表される化合物は、単独乃至2種以上組み合わせで使用することができる。
また、重合性反応基を1分子中に1つ有するオルガノポリシロキサン、例えば、片末端(メタ)アクリロイロキシ変性ポリジメチルシロキサン、前記の特定構造を有するポリジオルガノシロキサン(アクリル基を有するポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン又はアクリル基を有するポリエステル変性ポリジメチルシロキサン)とを組み合わせて使用することもできる。
(b)アクリル基を有するポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン又はアクリル基を有するポリエステル変性ポリジメチルシロキサンは、低屈折率層用組成物中に、2.0〜8.0質量%含まれることが好ましく、3.0〜7.0質量%であることがより好ましい。含有量が2.0質量%未満では、低屈折率層表面に付着した指紋の拭取り性が向上しない。一方、8.0質量%を越えると、低屈折率層表面を触った際の指紋の付着性を弱めることが出来ない。
〔(c)成分〕
(c)(a)成分及び(b)成分と共重合可能な重合性二重結合をもつ含フッ素化合物は、低屈折率層へ硬度を付与する事が出来る。(c)(a)成分及び(b)成分と共重合可能な重合性二重結合をもつ含フッ素化合物は、低屈折率層用組成物中に9.0〜70.0質量%含まれることが好ましく、19.0〜60.0質量%がより好ましい。含有量が9.0質量%未満では、低屈折率層の硬度不足や、透過率の低下が生じる。一方、70.0質量%を越えると、指紋の拭取り性が向上しない。
(c)(a)成分及び(b)成分と共重合可能な重合性二重結合をもつ含フッ素化合物は、低屈折率層へ硬度を付与する事が出来る。(c)(a)成分及び(b)成分と共重合可能な重合性二重結合をもつ含フッ素化合物は、低屈折率層用組成物中に9.0〜70.0質量%含まれることが好ましく、19.0〜60.0質量%がより好ましい。含有量が9.0質量%未満では、低屈折率層の硬度不足や、透過率の低下が生じる。一方、70.0質量%を越えると、指紋の拭取り性が向上しない。
(c)(a)成分及び(b)成分と共重合可能な重合性二重結合をもつ含フッ素化合物としては、特に制限されるものではないが、例えば含フッ素単官能(メタ)アクリレート、含フッ素多官能(メタ)アクリレート、含フッ素イタコン酸エステル、含フッ素マレイン酸エステル等の単量体、それらの重合体、及び重合性二重結合をもつ含フッ素反応性ポリマー等が挙げられる。
含フッ素単官能(メタ)アクリレートとしては、例えば1−(メタ)アクリロイロキシ−1−パーフルオロアルキルメタン、1−(メタ)アクリロイロキシ−2−パーフルオロアルキルエタン等が挙げられる。パーフルオロアルキル基は炭素数1〜8の直鎖状、分枝状又は環状のものが挙げられる。
含フッ素多官能(メタ)アクリレートとしては、含フッ素2官能(メタ)アクリレート、含フッ素3官能(メタ)アクリレート及び含フッ素4官能(メタ)アクリレートが好ましい。含フッ素2官能(メタ)アクリレートとしては、例えば1,2−ジ(メタ)アクリロイルオキシ−3−パーフルオロアルキルブタン、2−ヒドロキシ−1H,1H,2H,3H,3H−パーフルオロアルキル−2’,2’−ビス{(メタ)アクリロイルオキシメチル}プロピオナート、α,ω−ジ(メタ)アクリロイルオキシメチルパーフルオロアルカン等が挙げられる。パーフルオロアルキル基は炭素数1〜11の直鎖状、分枝状又は環状のものが、パーフルオロアルカン基は直鎖状のものが好ましい。これらの含フッ素2官能(メタ)アクリレートは、使用に際して単独又は混合物として用いることができる。
含フッ素3官能(メタ)アクリレートの例としては、例えば、2−(メタ)アクリロイルオキシ−1H,1H,2H,3H,3H−パーフルオロアルキル−2’,2’−ビス{(メタ)アクリロイルオキシメチル}プロピオナート等が挙げられる。パーフルオロアルキル基は炭素数1〜11の直鎖状、分枝状又は環状のものが好ましい。
含フッ素4官能(メタ)アクリレートの例としては、α,β,ψ,ω−テトラキス{(メタ)アクリロイルオキシ}−αH,αH,βH,γH,γH,χH,χH,ψH,ωH,ωH−パーフルオロアルカン等が好ましい。パーフルオロアルカン基は炭素数1〜14の直鎖状のものが好ましい。使用に際しては、含フッ素4官能(メタ)アクリレートは、単独又は混合物として用いることができる。
また、重合性二重結合をもつ含フッ素反応性ポリマーとしては、含フッ素エチレン性モノマーに由来する主鎖を有し、架橋硬化のための反応性基をもつものである。反応性基としては、(メタ)アクリロイルオキシ基、α−フルオロアクリロイルオキシ基、エポキシ基等が挙げられる。このような溶媒可溶性で重合性二重結合をもつ含フッ素反応性ポリマーは高分子量であるため、フッ素を含有しながらも成膜性が良好で、成膜後に反応性基を利用して架橋硬化することで硬化層を得ることができる。
係る重合性二重結合をもつ含フッ素反応性ポリマーは、重合性二重結合をもつ基の含有率が通常1〜20質量%、好ましくは5〜15質量%であり、また質量(重量)平均分子量が通常1,000〜500,000、好ましくは3,000〜200,000である。具体的な含フッ素反応性ポリマーとしては、下記一般式(13)で示されるパーフルオロ−(1,1,9,9−テトラハイドロ−2,5−ビストリフルオロメチル−3,6−ジオキサノネノール)を、下記一般式(14)で示される過酸化物で重合させて得られるホモポリマーに、α−フルオロアクリル酸フルオライド:CH2=CFCOFを反応させて水酸基をフルオロアクリレートに置換した生成物が挙げられる。
〔(d)成分〕
(d)中空シリカ微粒子は、屈折率を積極的に低くするために配合されるものである。中空シリカ微粒子の屈折率は製法によって異なるが、1.25〜1.37であることが好ましい。中空シリカ微粒子としては、屈折率を低くするものであれば特に限定されず、公知の中空シリカ微粒子を使用できる。具体的には、日揮触媒化成(株)製アクリル修飾中空シリカ微粒子 スルーリア4320等が挙げられる。
(d)中空シリカ微粒子は、屈折率を積極的に低くするために配合されるものである。中空シリカ微粒子の屈折率は製法によって異なるが、1.25〜1.37であることが好ましい。中空シリカ微粒子としては、屈折率を低くするものであれば特に限定されず、公知の中空シリカ微粒子を使用できる。具体的には、日揮触媒化成(株)製アクリル修飾中空シリカ微粒子 スルーリア4320等が挙げられる。
(d)中空シリカ微粒子は、低屈折率層用組成物中に22.0〜83.0質量%含まれることが好ましい。(d)中空シリカ微粒子の含有量が22.0質量%未満では、低屈折率層の屈折率を上述の範囲とすることが出来ない。一方、(d)中空シリカ微粒子の含有量が83.0質量%より多いと、塗膜強度が弱くなるため好ましくない。
〔(e)成分〕
(e)光重合開始剤は、紫外線(UV)等の活性エネルギー線により低屈折率層用組成物を硬化させて塗膜を形成する際の重合開始剤として用いられる。(e)光重合開始剤としては、活性エネルギー線照射により重合を開始するものであれば特に限定されず、公知の化合物を使用できる。例えば、1−ヒドロキシシクロへキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン等のアセトフェノン系重合開始剤、ベンゾイン、2,2−ジメトキシ1,2−ジフェニルエタン−1−オン等のベンゾイン系重合開始剤、ベンゾフェノン、[4−(メチルフェニルチオ)フェニル]フェニルメタノン、4−ヒドロキシベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン等のベンゾフェノン系重合開始剤、2−クロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン等のチオキサントン系重合開始剤等が挙げられる。
(e)光重合開始剤は、紫外線(UV)等の活性エネルギー線により低屈折率層用組成物を硬化させて塗膜を形成する際の重合開始剤として用いられる。(e)光重合開始剤としては、活性エネルギー線照射により重合を開始するものであれば特に限定されず、公知の化合物を使用できる。例えば、1−ヒドロキシシクロへキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン等のアセトフェノン系重合開始剤、ベンゾイン、2,2−ジメトキシ1,2−ジフェニルエタン−1−オン等のベンゾイン系重合開始剤、ベンゾフェノン、[4−(メチルフェニルチオ)フェニル]フェニルメタノン、4−ヒドロキシベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン等のベンゾフェノン系重合開始剤、2−クロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン等のチオキサントン系重合開始剤等が挙げられる。
(e)光重合開始剤は、低屈折率層用組成物中に1.0〜10.0質量%含まれることが好ましい。(e)光重合開始剤の含有量が1.0質量%未満では、低屈折率層の硬化が不十分となる。一方、(e)光重合開始剤の含有量が10.0質量%を超えると、光重合開始剤が不必要に多くなり好ましくない。なお、上記(a)〜(e)成分の合計含有量は100質量%である。
〔防眩性ハードコート層、中屈折率層、高屈折率層及び低屈折率層の形成〕
防眩性ハードコート層、中屈折率層、高屈折率層及び低屈折率層の形成方法は特に制限されず、例えばドライコーティング法、ウェットコーティング法等の塗布方法により、各層用組成物を適宜希釈溶剤で希釈して調整した各塗液を透明基材フィルムの一方面に、順に塗布し、硬化させる方法を採用することができる。塗布方法としては、生産性や生産コストの面より、特にウェットコーティング法が好ましい。ウェットコーティング法は公知の方法でよく、例えばロールコート法、ダイコート法、スピンコート法、そしてディップコート法等が代表的なものとして挙げられる。これらの中では、ロールコート法等、連続的に塗膜を形成できる方法が生産性の点より好ましい。形成された塗膜は、加熱や紫外線、電子線等の活性エネルギー線照射によって硬化反応を行うことにより硬化被膜を形成することができる。
防眩性ハードコート層、中屈折率層、高屈折率層及び低屈折率層の形成方法は特に制限されず、例えばドライコーティング法、ウェットコーティング法等の塗布方法により、各層用組成物を適宜希釈溶剤で希釈して調整した各塗液を透明基材フィルムの一方面に、順に塗布し、硬化させる方法を採用することができる。塗布方法としては、生産性や生産コストの面より、特にウェットコーティング法が好ましい。ウェットコーティング法は公知の方法でよく、例えばロールコート法、ダイコート法、スピンコート法、そしてディップコート法等が代表的なものとして挙げられる。これらの中では、ロールコート法等、連続的に塗膜を形成できる方法が生産性の点より好ましい。形成された塗膜は、加熱や紫外線、電子線等の活性エネルギー線照射によって硬化反応を行うことにより硬化被膜を形成することができる。
各層用組成物を希釈する希釈溶剤としては、例えばトルエン、キシレン、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、エチルセルソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、ジアセトンアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、3−メトキシブタノール等が挙げられる。
微粒子含有防眩性ハードコート層用組成物に関しては、防眩性ハードコート層の表面を欠陥がなく均一な表面とするために、透光性有機微粒子に対する非膨潤性溶剤を使用することが好ましい。非膨潤性溶剤とは、透光性有機微粒子を膨潤させない溶剤であり、具体的にはアルコール系溶剤が挙げられる。
活性エネルギー線の照射に用いられる活性エネルギー線源としては、例えば高圧水銀ランプ、ハロゲンランプ、キセノンランプ、窒素レーザ、電子線加速装置、放射性元素等の線源が使用される。活性エネルギー線の照射量は、紫外線の波長365nmでの積算光量として、50〜5000mJ/cm2であることが好ましい。
[画像表示装置]
以上のように構成される防眩性反射防止フィルムは、画像表示装置における液晶ディスプレイやタッチパネルディスプレイ、有機ELディスプレイ等のディスプレイの画像を表示する側の最表面に配置されて用いられる。これにより防眩性及び反射防止性を発揮でき、画像の視認性が向上する。特に、高精細なディスプレイにおいてその効果が大きい。ここで、高精細とは、画像を形成する画素が小さく、表示される画像の解像度が高いものをいう。具体的には、画像1インチ当たりの画素密度が150ppi(Pixel Per Inch)以上である。係るディスプレイを備える画像表示装置は、防眩性反射防止フィルムを備えることによって、外景の写り込みが抑えられ、良好な画像視認性を有する。
以上のように構成される防眩性反射防止フィルムは、画像表示装置における液晶ディスプレイやタッチパネルディスプレイ、有機ELディスプレイ等のディスプレイの画像を表示する側の最表面に配置されて用いられる。これにより防眩性及び反射防止性を発揮でき、画像の視認性が向上する。特に、高精細なディスプレイにおいてその効果が大きい。ここで、高精細とは、画像を形成する画素が小さく、表示される画像の解像度が高いものをいう。具体的には、画像1インチ当たりの画素密度が150ppi(Pixel Per Inch)以上である。係るディスプレイを備える画像表示装置は、防眩性反射防止フィルムを備えることによって、外景の写り込みが抑えられ、良好な画像視認性を有する。
画像表示装置のディスプレイとして具体的には、パーソナルコンピュータ、ワードプロセッサ、テレビジョン、携帯電話、携帯端末機、ゲーム機、自動現金引出し預け入れ装置、現金自動支払機、自動販売機、カーナビゲーション装置、セキュリティーシステム端末機等における画像を表示するディスプレイが挙げられる。
ディスプレイとしては、液晶ディスプレイやタッチパネルディスプレイや有機ELディスプレイ以外にも、プラズマディスプレイ、フィールドエミッションディスプレイ、プロジェクションディスプレイ、電子ペーパー、CRT(ブラウン管)等に用いられるトナー系ディスプレイ等が挙げられる。さらには、ディスプレイとして展示用ディスプレイ、例えばショウケース、ショウウィンドウ等のガラスケースやプラスチックケースに適用することも可能である。
以下に、製造例、実施例及び比較例を挙げて本発明の具体例について説明する。
(防眩性ハードコート用塗液AG1の調製)
活性エネルギー線硬化型樹脂としてウレタンアクリレート〔分子量1400、60℃における粘度が2500〜4500Pa・s、日本合成化学工業(株)製、「紫光UV7600B」(UV7600B)〕95.0質量部、光重合開始剤〔チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、「イルガキュア184(I−184)」〕5.0質量部、透光性有機微粒子として架橋アクリル−スチレン共重合樹脂の微粒子〔積水化成品(株)製「SSX−108LXE」(粒子径の揃った単分散な微粒子)、平均粒子径8.0μm、屈折率1.545〕5.0質量部からなる防眩性ハードコート用組成物に、希釈溶剤としてメチルエチルケトン(MEK)95.0質量部を混合して、防眩性ハードコート層用塗液AG1を調製した。
活性エネルギー線硬化型樹脂としてウレタンアクリレート〔分子量1400、60℃における粘度が2500〜4500Pa・s、日本合成化学工業(株)製、「紫光UV7600B」(UV7600B)〕95.0質量部、光重合開始剤〔チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、「イルガキュア184(I−184)」〕5.0質量部、透光性有機微粒子として架橋アクリル−スチレン共重合樹脂の微粒子〔積水化成品(株)製「SSX−108LXE」(粒子径の揃った単分散な微粒子)、平均粒子径8.0μm、屈折率1.545〕5.0質量部からなる防眩性ハードコート用組成物に、希釈溶剤としてメチルエチルケトン(MEK)95.0質量部を混合して、防眩性ハードコート層用塗液AG1を調製した。
(防眩性ハードコート用塗液AG2の調製)
防眩層用塗液として各材料を表1に記載した組成で混合して、防眩性ハードコート層用塗液AG2を調製した。なお、表1中の数値は質量部である。また、表1中にのみ記載される材料は以下のとおりである。
BR−50:スチレン・(メタ)アクリル系樹脂(三菱レイヨン(株)製BR−50)
MIBK:メチルイソブチルケトン
防眩層用塗液として各材料を表1に記載した組成で混合して、防眩性ハードコート層用塗液AG2を調製した。なお、表1中の数値は質量部である。また、表1中にのみ記載される材料は以下のとおりである。
BR−50:スチレン・(メタ)アクリル系樹脂(三菱レイヨン(株)製BR−50)
MIBK:メチルイソブチルケトン
(中屈折率層用塗液β1の調製)
紫外線硬化型樹脂としてウレタンアクリレート〔分子量1400、60℃における粘度が2500〜4500Pa・s、日本合成化学工業(株)製、紫光UV7600B〕76.0質量部、酸化チタン微粒子(分散液)〔CIKナノテック(株)製、RTTMEK25WT%−F02〕を固形分換算で24.0質量部、光重合開始剤〔チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、イルガキュア907(I−907)〕を5.0質量部、及びメチルエチルケトン500質量部を混合し、中屈折率層用塗液β1を得た。中屈折率層用塗液β1を硬化して得られた中屈折率層の屈折率の屈折率を下記方法で測定したところ1.60であった。
紫外線硬化型樹脂としてウレタンアクリレート〔分子量1400、60℃における粘度が2500〜4500Pa・s、日本合成化学工業(株)製、紫光UV7600B〕76.0質量部、酸化チタン微粒子(分散液)〔CIKナノテック(株)製、RTTMEK25WT%−F02〕を固形分換算で24.0質量部、光重合開始剤〔チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、イルガキュア907(I−907)〕を5.0質量部、及びメチルエチルケトン500質量部を混合し、中屈折率層用塗液β1を得た。中屈折率層用塗液β1を硬化して得られた中屈折率層の屈折率の屈折率を下記方法で測定したところ1.60であった。
<屈折率の測定>
(1)TACフィルム〔商品名「TD80UL」、富士フィルム(株)製〕上に、バーコーターにより、各塗液をそれぞれ乾燥硬化後の膜厚で100〜1000nmになるように層の厚さを調整して塗布した。乾燥後、紫外線照射装置〔岩崎電気(株)製〕により窒素雰囲気下で120W高圧水銀灯を用いて、400mJ/cm2の紫外線を照射して硬化し、屈折率測定用フィルムを作製した。
(2)作製したフィルムの裏面をサンドペーパーで荒らし、黒色塗料で塗りつぶしたものを反射分光膜厚計〔「FE−3000」、大塚電子(株)製〕により、反射スペクトルを測定した。
(3)反射スペクトルより読み取った反射率から、下記に示すn-Cauchyの波長分散式(式1)の定数を求め、光の波長589nmにおける屈折率を求めた。
N(λ)=a/λ4+b/λ2+c(式1)
(1)TACフィルム〔商品名「TD80UL」、富士フィルム(株)製〕上に、バーコーターにより、各塗液をそれぞれ乾燥硬化後の膜厚で100〜1000nmになるように層の厚さを調整して塗布した。乾燥後、紫外線照射装置〔岩崎電気(株)製〕により窒素雰囲気下で120W高圧水銀灯を用いて、400mJ/cm2の紫外線を照射して硬化し、屈折率測定用フィルムを作製した。
(2)作製したフィルムの裏面をサンドペーパーで荒らし、黒色塗料で塗りつぶしたものを反射分光膜厚計〔「FE−3000」、大塚電子(株)製〕により、反射スペクトルを測定した。
(3)反射スペクトルより読み取った反射率から、下記に示すn-Cauchyの波長分散式(式1)の定数を求め、光の波長589nmにおける屈折率を求めた。
N(λ)=a/λ4+b/λ2+c(式1)
(中屈折率層用塗液β2〜β5の調製)
中屈折率層用塗液β1と同じ材料を、表2に示す配合(質量部)にて用いた他は、β1と同様にして中屈折率層用塗液β2〜β5を調製した。なお、β2〜β5には、β1と同様に希釈溶剤としてメチルエチルケトン500質量部を用いたが、表2には表示しない。また、各塗液を硬化して得られる中屈折率層の屈折率も表2に示す。
中屈折率層用塗液β1と同じ材料を、表2に示す配合(質量部)にて用いた他は、β1と同様にして中屈折率層用塗液β2〜β5を調製した。なお、β2〜β5には、β1と同様に希釈溶剤としてメチルエチルケトン500質量部を用いたが、表2には表示しない。また、各塗液を硬化して得られる中屈折率層の屈折率も表2に示す。
(高屈折率層用塗液γ1の調製)
紫外線硬化型樹脂としてウレタンアクリレート〔分子量1400、60℃における粘度が2500〜4500Pa・s、日本合成化学工業(株)製、紫光UV7600B〕24.0質量部、酸化チタン微粒子(分散液)〔CIKナノテック(株)製、RTTMEK25WT%−F02〕を固形分換算で76.0質量部、光重合開始剤〔チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、イルガキュア907(I−907)〕を5.0質量部、及びメチルエチルケトン500質量部を混合し、高屈折率層用塗液γ1を得た。高屈折率層用塗液γ1を硬化して得られた高屈折率層の屈折率は1.80であった。
紫外線硬化型樹脂としてウレタンアクリレート〔分子量1400、60℃における粘度が2500〜4500Pa・s、日本合成化学工業(株)製、紫光UV7600B〕24.0質量部、酸化チタン微粒子(分散液)〔CIKナノテック(株)製、RTTMEK25WT%−F02〕を固形分換算で76.0質量部、光重合開始剤〔チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、イルガキュア907(I−907)〕を5.0質量部、及びメチルエチルケトン500質量部を混合し、高屈折率層用塗液γ1を得た。高屈折率層用塗液γ1を硬化して得られた高屈折率層の屈折率は1.80であった。
(高屈折率層用塗液γ2〜γ6の調製)
下記表3に示す材料及び配合(質量部)とした他は、γ1と同様にして高屈折率層用塗液γ2〜γ6を調製した。表3中のDPHAは、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬(株)製「KAYARAD DPHA」)である。また、γ2〜γ6には、γ1と同様に希釈溶剤としてメチルエチルケトン500質量部を用いたが、表3には表示しない。また、各塗液を硬化して得られる高屈折率層の屈折率も表3に示す。
下記表3に示す材料及び配合(質量部)とした他は、γ1と同様にして高屈折率層用塗液γ2〜γ6を調製した。表3中のDPHAは、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬(株)製「KAYARAD DPHA」)である。また、γ2〜γ6には、γ1と同様に希釈溶剤としてメチルエチルケトン500質量部を用いたが、表3には表示しない。また、各塗液を硬化して得られる高屈折率層の屈折率も表3に示す。
((c)含フッ素化合物δ1の製造)
四つ口フラスコにパーフルオロ−(1,1,9,9−テトラハイドロ−2,5−ビスフルオロメチル−3,6−ジオキサノネノール)104.0質量部とビス(2,2,3,3,4,45,5,6,6,7,7−ドデカフルオロヘプタノイル)パーオキサイドの8質量%パーフルオロヘキサン溶液11.0質量部を入れた。そして、その中空部を窒素置換した後、窒素気流下20℃で24時間撹拌して高粘度の固体を得た。得られた固体をジエチルエーテルに溶解させたものをパーフルオロヘキサンに注ぎ、分離後に真空乾燥させてヒドロキシル基含有含フッ素アリルエーテル重合体である無色透明なポリマーを得た。
四つ口フラスコにパーフルオロ−(1,1,9,9−テトラハイドロ−2,5−ビスフルオロメチル−3,6−ジオキサノネノール)104.0質量部とビス(2,2,3,3,4,45,5,6,6,7,7−ドデカフルオロヘプタノイル)パーオキサイドの8質量%パーフルオロヘキサン溶液11.0質量部を入れた。そして、その中空部を窒素置換した後、窒素気流下20℃で24時間撹拌して高粘度の固体を得た。得られた固体をジエチルエーテルに溶解させたものをパーフルオロヘキサンに注ぎ、分離後に真空乾燥させてヒドロキシル基含有含フッ素アリルエーテル重合体である無色透明なポリマーを得た。
このポリマーを19F−NMR(核磁気共鳴スペクトル)、1H−NMR、IR(赤外線吸収スペクトル)により分析したところ、ヒドロキシル基含有含フッ素アリルエーテル重合体である無色透明なポリマーの構造単位からなる側鎖末端に水酸基を有する含フッ素ポリマーであった。GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフ)により測定した数平均分子量は72,000、質量平均分子量は118,000であった。
得られたヒドロキシル基含有含フッ素アリルエーテルポリマー5.0質量部とメチルエチルケトン(MEK)43.0質量部、ピリジン1.0質量部を四つ口フラスコ中に仕込み、5℃以下に氷冷した。そして、窒素気流下で撹拌しながらα−フルオロアクリル酸フルオライド1.0質量部をMEK9.0質量部に溶解したものを10分間かけて滴下した。これにより、(a)成分及び(b)成分と共重合可能な重合性二重結合をもつ含フッ素化合物δ1の溶液を得た。
(低屈折率層用塗液LL1−1の調製)
低屈折率層用塗液LL1-1は、イソプロピルアルコール(IPA)を溶媒として、固形分濃度が5質量%となるように、(a)C2〜C7のパーフルオロアルキル鎖を含有する(メタ)アクリレート〔信越化学工業(株)製、DAC−HP〕5.0質量%と、(b)アクリル基を有するポリエステル変性ポリジメチルシロキサン〔ビックケミー・ジャパン(株)製、BYKUV−3570〕4.0質量%と、(c)溶媒可溶性の含フッ素反応性ポリマー(δ1)を固形分換算で43.0質量%と、(d)粒子径が60nmの中空シリカ微粒子〔日輝触媒化成工業株式会社製、スルーリア4320〕43.0質量%と、(e)光重合開始剤〔BASFジャパン株式会社製、イルガキュア907(I−907)〕5.0質量%とを混合して得た。低屈折率層用塗液LL1−1を硬化して得られた低屈折率層の屈折率は1.34であった。
低屈折率層用塗液LL1-1は、イソプロピルアルコール(IPA)を溶媒として、固形分濃度が5質量%となるように、(a)C2〜C7のパーフルオロアルキル鎖を含有する(メタ)アクリレート〔信越化学工業(株)製、DAC−HP〕5.0質量%と、(b)アクリル基を有するポリエステル変性ポリジメチルシロキサン〔ビックケミー・ジャパン(株)製、BYKUV−3570〕4.0質量%と、(c)溶媒可溶性の含フッ素反応性ポリマー(δ1)を固形分換算で43.0質量%と、(d)粒子径が60nmの中空シリカ微粒子〔日輝触媒化成工業株式会社製、スルーリア4320〕43.0質量%と、(e)光重合開始剤〔BASFジャパン株式会社製、イルガキュア907(I−907)〕5.0質量%とを混合して得た。低屈折率層用塗液LL1−1を硬化して得られた低屈折率層の屈折率は1.34であった。
(低屈折率層用塗液LL1−2〜LL1−18の調製)
下記表4に示す材料及び配合(質量%)とした他は、LL1−1と同様にして低屈折率層用塗液LL1−2〜LL1−18を調製した。なお、表4中にのみ示される各材料は以下のとおりである。また、各塗液を硬化して得られる低屈折率層の屈折率も表4に示す。
RS−75:C2〜C7のパーフルオロアルキル鎖を含有する(メタ)アクリレート(DIC(株)製、RS−75)
BYKUV−3500:ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン(ビックケミー・ジャパン(株)製、BYKUV−3500)
BYKUV−3530:ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン(ビックケミー・ジャパン(株)製、BYKUV−3530)
I−184:光重合開始剤(BASFジャパン株式会社製、イルガキュア184)
スルーリア2320:中空シリカ微粒子(日輝触媒化成工業株式会社製、スルーリア2320)
下記表4に示す材料及び配合(質量%)とした他は、LL1−1と同様にして低屈折率層用塗液LL1−2〜LL1−18を調製した。なお、表4中にのみ示される各材料は以下のとおりである。また、各塗液を硬化して得られる低屈折率層の屈折率も表4に示す。
RS−75:C2〜C7のパーフルオロアルキル鎖を含有する(メタ)アクリレート(DIC(株)製、RS−75)
BYKUV−3500:ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン(ビックケミー・ジャパン(株)製、BYKUV−3500)
BYKUV−3530:ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン(ビックケミー・ジャパン(株)製、BYKUV−3530)
I−184:光重合開始剤(BASFジャパン株式会社製、イルガキュア184)
スルーリア2320:中空シリカ微粒子(日輝触媒化成工業株式会社製、スルーリア2320)
(実施例1−1)
防眩姓ハードコート層用塗液AG1を、TACフィルム〔商品名「TD80UL」、富士フィルム(株)製〕の一面に、ロールコーターにて乾燥膜厚が6μmとなるように塗布し、80℃で2分間乾燥した。なお、上記乾燥膜厚が実質的に防眩性ハードコート層の膜厚である。その後、120W高圧水銀灯〔日本電池(株)製〕により紫外線を照射し(積算光量300mJ/cm2)、防眩性ハードコート層用塗液を硬化させて防眩性ハードコート層を形成した。防眩性ハードコート層の表面粗さRaを下記方法で測定したところ0.09μmであった。
防眩姓ハードコート層用塗液AG1を、TACフィルム〔商品名「TD80UL」、富士フィルム(株)製〕の一面に、ロールコーターにて乾燥膜厚が6μmとなるように塗布し、80℃で2分間乾燥した。なお、上記乾燥膜厚が実質的に防眩性ハードコート層の膜厚である。その後、120W高圧水銀灯〔日本電池(株)製〕により紫外線を照射し(積算光量300mJ/cm2)、防眩性ハードコート層用塗液を硬化させて防眩性ハードコート層を形成した。防眩性ハードコート層の表面粗さRaを下記方法で測定したところ0.09μmであった。
次いで、この防眩性ハードコート層上に中屈折率層用塗液β1を、乾燥時の厚さが86nmとなるように塗布した後、窒素雰囲気下で紫外線照射装置(アイグラフィックス社製、120W高圧水銀灯)を用いて300mJ/cm2の紫外線を照射し、中屈折率層用塗液を硬化させて中屈折率層を形成した。
さらに、この中屈折率層上に高屈折率層用塗液γ1を、乾燥時の厚さが142nmとなるように塗布した後、窒素雰囲気下で紫外線照射装置(アイグラフィックス社製、120W高圧水銀灯)を用いて300mJ/cm2の紫外線を照射し、高屈折率層用塗液を硬化させて高屈折率層を形成した。
最後に、この高屈折率層上に低屈折率層用塗液LL1-1を乾燥時の厚さが99nmとなるように塗布した後、窒素雰囲気下で紫外線照射装置(アイグラフィックス社製、120W高圧水銀灯)を用いて300mJ/cm2の紫外線を照射し、低屈折率層用塗液を硬化させて低屈折率層を形成した。このようにして、実施例1−1の防眩性反射防止フィルムを得た。
<表面粗さRaの測定>
防眩性ハードコート層の表面粗さ(算術平均粗さ)Ra(μm)は、表面粗さ測定器〔(株)小坂研究所製、型名 Surfcorder SE500〕を用い、走査範囲4mm、走査速度0.2mm/sの条件で、JIS B0601−1994の規定に準拠して測定した。
防眩性ハードコート層の表面粗さ(算術平均粗さ)Ra(μm)は、表面粗さ測定器〔(株)小坂研究所製、型名 Surfcorder SE500〕を用い、走査範囲4mm、走査速度0.2mm/sの条件で、JIS B0601−1994の規定に準拠して測定した。
(実施例1−2〜1−21、実施例2−1〜2−21、比較例1〜6)
表5、表6及び表7に示す各塗液及び膜厚とした他は、実施例1−1と同様に各防眩性反射防止フィルムを作製した。また、各防眩性反射防止フィルムの防眩性ハードコート層の表面粗さRaも表5、表6及び表7に示す。
表5、表6及び表7に示す各塗液及び膜厚とした他は、実施例1−1と同様に各防眩性反射防止フィルムを作製した。また、各防眩性反射防止フィルムの防眩性ハードコート層の表面粗さRaも表5、表6及び表7に示す。
得られた各防眩性反射防止フィルムの視感反射率及び防眩性を下記方法にて測定及び評価した。その試験結果も表5から表7に示す。
<視感反射率の測定>
測定面の裏面反射を除くため、各防眩性反射防止フィルムの裏面をサンドペーパーで粗し、黒色塗料で塗り潰した。そして、測定面の反射光を日本電色(株)製「SD6000」により測定し、JIS Z 8701で規定されているXYZ表色系(CIE標準イルミナントD65)における、反射による物体色の三刺激値Y(視感反射率RSCI)を算出した。なお、実用に供するためには、視感反射率が0.5%以下であることが望ましい。
測定面の裏面反射を除くため、各防眩性反射防止フィルムの裏面をサンドペーパーで粗し、黒色塗料で塗り潰した。そして、測定面の反射光を日本電色(株)製「SD6000」により測定し、JIS Z 8701で規定されているXYZ表色系(CIE標準イルミナントD65)における、反射による物体色の三刺激値Y(視感反射率RSCI)を算出した。なお、実用に供するためには、視感反射率が0.5%以下であることが望ましい。
<防眩性試験>
防眩性反射防止フィルムの防眩層側とは逆の面を黒マジックインキで塗りつぶし、ルーバーなしのむき出し蛍光灯(2000 lx)を5度の角度から映し、−5度の方向から観察した場合の反射像のボケの程度を以下の基準で評価した。
○:蛍光灯の輪郭がわずかに見える。
×:蛍光灯の輪郭がはっきり見える。
防眩性反射防止フィルムの防眩層側とは逆の面を黒マジックインキで塗りつぶし、ルーバーなしのむき出し蛍光灯(2000 lx)を5度の角度から映し、−5度の方向から観察した場合の反射像のボケの程度を以下の基準で評価した。
○:蛍光灯の輪郭がわずかに見える。
×:蛍光灯の輪郭がはっきり見える。
表5及び表6の結果から、実施例1−1〜1−21及び2−1〜2−21では全て視感反射率RSCIが0.5%以下の良好な結果であり、防眩性も良好であった。
一方、表7の結果から、比較例1は、中屈折率層、高屈折率層、及び低屈折率層の膜厚が薄すぎるため、視感反射率が悪かった。比較例2は、中屈折率層、高屈折率層、及び低屈折率層の膜厚が厚すぎるため、視感反射率が悪かった。比較例3は、防眩性ハードコート層の表面粗さRaが小さすぎるため、防眩性が悪かった。比較例4は防眩性ハードコート層の表面粗さRaが大きすぎるため、視感反射率が悪かった。比較例5は、中屈折率層及び高屈折率層の屈折率が大きすぎるため、視感反射率が悪かった。比較例6は、中屈折率層の屈折率が小さすぎ、且つ高屈折率層の屈折率が大きすぎるため、視感反射率が悪かった。
Claims (2)
- 透明基材フィルムの一方の面上に防眩性ハードコート層、中屈折率層、高屈折率層、低屈折率層がこの順に積層された防眩性反射防止フィルムであって、
前記中屈折率層の屈折率をnM、膜厚をdM、前記高屈折率層の屈折率をnH、膜厚をdH、前記低屈折率層の屈折率をnL、膜厚をdL、前記防眩性ハードコート層の表面粗さをRaとした場合、下記(1)〜(7)が成り立つことを特徴とする防眩性反射防止フィルム。
450nm/4nM≦dM≦560nm/4nM・・・(1)
450nm/2nH≦dH≦560nm/2nH・・・(2)
450nm/4nL≦dL≦560nm/4nL・・・(3)
1.57≦nM≦1.63・・・(4)
1.77≦nH≦1.83・・・(5)
1.29≦nL≦1.37・・・(6)
0.05μm≦Ra≦0.30μm・・・(7) - ディスプレイの画像を表示する側の最表面に、請求項1に記載の防眩性反射防止フィルムを備えている、画像表示装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2017072807A JP2018173593A (ja) | 2017-03-31 | 2017-03-31 | 防眩性反射防止フィルム、及びそれを備える画像表示装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2021051168A (ja) * | 2019-09-24 | 2021-04-01 | 日油株式会社 | 低カール性反射防止フィルム |
-
2017
- 2017-03-31 JP JP2017072807A patent/JP2018173593A/ja not_active Withdrawn
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JP7387141B2 (ja) | 2019-09-24 | 2023-11-28 | 東山フイルム株式会社 | 低カール性反射防止フィルム |
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