JP2016047902A - 高分子化合物、コーティング材、コーティング材を被覆した成形体、並びにその製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
(1)下記一般式(1)で示される構造を有することを特徴とする高分子化合物。
(式中、R1、R3及びR6は互いに独立して、共重合して得られた状態の重合性原子団を表わし、−CH2−CH2−又は−CH2−C(CH3)−であり、;R2、R4及びR7は互いに独立して、置換基を有しても良いフェニル基又は−C(O)−、−C(O)O−
、−O−、もしくは−S−で示される基を表わし;R5は置換基を有しても良いフェニル基又は−OC(O)−、−C(O)−、−O−で示される基を表わし;l及びmは互いに独立して、2以上の整数を表わし;nは1以上の整数を表わし;a及びbは互いに独立して2以上の整数を表わし;cは0もしくは1以上の整数を表わす。;R1を含む構造単位とR3を含む構造単位とR6を含む構造単位はランダムな順序で結合するか、またはブロック状態で結合している。)
(2)一般式(1)のR2、R4、R5,またはR7がエステル基であり、l, mは2以上10以下の整数であり、nは1以上10以下の整数である、(1)に記載の高分子化合物。
(3)一般式(1)で示される構造を有する高分子化合物が下記一般式(2)で示される構造を有する(1)または(2)に記載の高分子化合物。
(4)一般式(1)及び(2)で示される構造の高分子化合物は、a/(a+b+c)の値が0.30以上0.90以下であり、b/(a+b+c)の値が0.10以上0.60以下であり、c/(a+b+c)の値が0以上0.50以下である(1)ないし(3)いずれか1つに記載の高分子化合物。
(5)(1)ないし(4)いずれか1つに記載の高分子化合物を含むコーティング材。
(6)コーティング材によって被覆された被覆部を有する成形体であって、前記コーティング材が(59記載のコーティング材である成形体。
(7)(6)記載の成形体用いて製造される生化学容器。
(8)(7)の生化学容器を用いて製造される細胞培養容器。
(9)成形体に(5)記載のコーティング材を塗布、乾燥する第一の工程と、光照射して前記コーティング材を硬化する第二の工程を有する、成形体の製造方法。
(10)前記第二の工程において、光照射量が10mJ/cm2以上1000mJ/cm2以下である、(9)に記載の成形体の製造方法。
可能となる。
(式中、R1、R3及びR6は互いに独立して、共重合して得られた状態の重合性原子団を表わし、−CH2−CH2−又は−CH2−C(CH3)−であり、;R2、R4及びR7は互いに独立して、置換基を有しても良いフェニル基又は−C(O)−、−C(O)O−、−O−、もしくは−S−で示される基を表わし;R5は置換基を有しても良いフェニル基又は−OC(O)−、−C(O)−、−O−で示される基を表わし;l及びmは互いに独立して、2以上の整数を表わし;nは1以上の整数を表わし;a及びbは互いに独立して2以上の整数を表わし;cは0もしくは1以上の整数を表わす。;R1を含む構造単位とR3を含む構造単位とR6を含む構造単位はランダムな順序で結合するか、またはブロック状態で結合している。)
(式中、R1、R3及びR6は互いに独立して、共重合して得られた状態の重合性原子団を表わし、−CH2−CH2−又は−CH2−C(CH3)−であり、;a、bは2以上の整
数であり、cは0もしくは1以上の整数であり;nは1以上10以下の整数であり;ホスホコリン基を含む側鎖を有する構造単位とアジドシンナモイル基を含む構造単位とアルキレート基を含む構造単位とはランダムな順序またはブロックな順序で結合している。)この構造、範囲にあることで、成形体とのより強固な結合、分子間のより強固な結合、かつ最適な親水性を有することによる細胞付着の効果を有する高分子化合物を得ることが可能となる。
なお、該コーティング材には、前記高分子化合物以外に溶剤、硬化剤、触媒、増感剤、カップリング剤、充填材などを添加してもよい。特に、溶剤としては、メタノール・エタノール・イソプロプルアルコールなどのアルコール系溶媒、酢酸エチルなどのエステル系溶媒、アセトンなどのケトン系溶媒などの極性溶媒、水、またはこれらの混合溶媒が好適に用いられ、その中でも水−エタノールの混合溶媒が溶解性の点で優れる。
また細胞培養容器としては、細胞を容器内部に入れて培養するものであれば特に形態は限定しないが、例えば、各種シャーレ、マルチウェルプレート、培養フラスコ、培養バッグが対象となる。
次に、成形体へのコーティング材の接触方法を下記に記す。
ることがさらに好ましい。
この条件により、ナイトレンを発生させてナイトレンと容器との結合、分子中に含まれるビニル基との反応等による架橋をさせるという効果を有する。
前記、高分子化合物と成形体が架橋することにより、成形体の表面から高分子化合物が脱離することがなくなり、安定した表面性状を得ることが出来る。
特に細胞培養容器においては、最終形態において滅菌が必須であるので、各種滅菌操作(放射線滅菌、プラズマ滅菌)によっても表面性状が変化しないという効果が得られる。
合成例1:モノマー(メタクリロイルオキシエチル4-アジド桂皮酸エステル:MECAz)の合成
テフロン(登録商標)製撹拌機、ジムロート冷却機、温度計、滴下漏斗を取り付けた四つ口フラスコを十分に乾燥した。この反応器に4−アジド桂皮酸18.9g(0.10モル)とN,N-ジメチルホルムアミド130mlを仕込み、乾燥窒素を流しながら室温下で撹拌した。4−アジド桂皮酸が完全に溶けた後、反応器を0℃付近まで冷却し、滴下漏斗を用いて塩化チオニル13.75g(0.115モル)を一時間かけて滴下した。全ての塩化チオニルを滴下後、反応器を65℃まで加熱して4時間反応を継続させた。その後、約40℃でN,N−ジメチルホルムアミドを減圧留去し、容器を移して室温で一昼夜、真空乾燥することで19.8gの4−アジド桂皮酸クロライドを得た。
得られた4−アジド桂皮酸クロライド10g(0.048モル)をテフロン(登録商標)製撹拌機、ジムロート冷却器、温度計、滴下漏斗を取り付けた四つ口フラスコにトルエン190ml、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)7.0g(0.054モル)と一緒に仕込み、撹拌しながら50℃に加熱した。そこにトリエチルアミン13gとトルエン190mlの混合液を滴下漏斗を用いて一時間かけて滴下した。滴下終了後更に4時間反応を継続させた。反応終了後塩酸塩を濾紙で濾捌後、濾液を5%HCl水溶液で抽出して分液ロート下層のHEMA水溶液を除いた。上層のトルエン溶液には無水の硫
酸ナトリウムを加えて脱水した後トルエンをエバポレートして除去し、真空乾燥機で一昼夜乾燥して14.6gのMECAzモノマーを得た。
重合例1:(MPC0.6−MECAz0.3−BMA0.1)の重合
2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(MPC)12.7g、メタクリロイルオキシエチル4-アジド桂皮酸エステル(MECAz)9.06g、ブチルメタクリ
レート(BMA)1.42gをエタノール100gに溶解し、四つ口フラスコに入れ、3
0分間窒素を吹き込んだ後、50℃でt−ブチルパーオキシネオデカノエート0.35gを加えて3時間反応させた後、60℃に上げ更に2時間反応を継続し、ポリマー溶液110gを得た。この溶液を400mlのエチルエーテル中にかき混ぜながら徐々に滴下し、析出した沈殿をろ過し、48時間真空乾燥を実施してポリマー粉末16.1gを得た。
重合例2:(MPC0.6−MECAz0.2−BMA0.2)の重合
2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(MPC)12.7g、メタクリロイルオキシエチル4-アジド桂皮酸エステル(MECAz)6.04g、ブチルメタクリ
レート(BMA)2.84gをエタノール90gに溶解し、四つ口フラスコに入れ、30
分間窒素を吹き込んだ後、50℃でt−ブチルパーオキシネオデカノエート0.35gを加えて3時間反応させた後、60℃に上げ更に2時間反応を継続し、ポリマー溶液105gを得た。この溶液を400mlのエチルエーテル中にかき混ぜながら徐々に滴下し、析
出した沈殿をろ過し、48時間真空乾燥を実施してポリマー粉末15.3gを得た。
重合例3:(MPC0.6−MECAz0.1−BMA0.3)の重合
2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(MPC)12.7g、メタクリロイルオキシエチル4-アジド桂皮酸エステル(MECAz)3.02g、ブチルメタクリ
レート(BMA)4.26gをエタノール90gに溶解し、四つ口フラスコに入れ、30
分間窒素を吹き込んだ後、50℃でt−ブチルパーオキシネオデカノエート0.35gを加えて3時間反応させた後、60℃に上げ更に2時間反応を継続し、ポリマー溶液98gを得た。この溶液を400mlのエチルエーテル中にかき混ぜながら徐々に滴下し、析出した沈殿をろ過し、48時間真空乾燥を実施してポリマー粉末14.2gを得た。
重合例4:(MPC0.7−MECAz0.3)の重合
2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(MPC)20.65g、メタクリロイルオキシエチル4-アジド桂皮酸エステル(MECAz)9.06gをエタノール1
30gに溶解し、四つ口フラスコに入れ、30分間窒素を吹き込んだ後、50℃でt−ブチルパーオキシネオデカノエート0.35gを加えて3時間反応させた後、60℃に上げ更に2時間反応を継続し、ポリマー溶液135gを得た。この溶液を600mlのエチルエーテル中にかき混ぜながら徐々に滴下し、析出した沈殿をろ過し、48時間真空乾燥を実施してポリマー粉末22.3gを得た。
重合例5:(MPC0.5−MECAz0.2−HxMA0.3)の重合
2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(MPC)14.25g、メタクリロイルオキシエチル4-アジド桂皮酸エステル(MECAz)6.04g、n−ヘキシル
メタクリレート(HxMA)5.1gをエタノール100gに溶解し、四つ口フラスコに
入れ、30分間窒素を吹き込んだ後、50℃でt−ブチルパーオキシネオデカノエート0.35gを加えて3時間反応させた後、60℃に上げ更に2時間反応を継続し、ポリマー溶液115gを得た。この溶液を520mlのエチルエーテル中にかき混ぜながら徐々に滴下し、析出した沈殿をろ過し、48時間真空乾燥を実施してポリマー粉末19.1gを得た。
重合例6:(MPC0.2−MECAz0.4−BMA0.4)の重合
2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(MPC)5.9g、メタクリロイルオキシエチル4-アジド桂皮酸エステル(MECAz)12.08g、ブチルメタクリ
レート(BMA)5.68gをエタノール100gに溶解し、四つ口フラスコに入れ、3
0分間窒素を吹き込んだ後、50℃でt−ブチルパーオキシネオデカノエート0.35gを加えて3時間反応させた後、60℃に上げ更に2時間反応を継続し、ポリマー溶液109gを得た。この溶液を400mlのエチルエーテル中にかき混ぜながら徐々に滴下し、析出した沈殿をろ過し、48時間真空乾燥を実施してポリマー粉末17.1gを得た。
重合例7:(MPC0.2−MECAz0.2−BMA0.6)の重合
2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(MPC)5.9g、メタクリロイルオキシエチル4-アジド桂皮酸エステル(MECAz)6.04g、ブチルメタクリレ
ート(BMA)8.52gをエタノール100gに溶解し、四つ口フラスコに入れ、30
分間窒素を吹き込んだ後、50℃でt−ブチルパーオキシネオデカノエート0.35gを加えて3時間反応させた後、60℃に上げ更に2時間反応を継続し、ポリマー溶液103gを得た。この溶液を400mlのエチルエーテル中にかき混ぜながら徐々に滴下し、析出した沈殿をろ過し、48時間真空乾燥を実施してポリマー粉末16.1gを得た。
比較重合例1:(MPC0.8−BMA0.2)の重合
2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(MPC)23.6g、ブチルメタ
クリレート(BMA)2.84gをエタノール100gに溶解し、四つ口フラスコに入れ
、30分間窒素を吹き込んだ後、50℃でt−ブチルパーオキシネオデカノエート0.35gを加えて3時間反応させた後、60℃に上げ更に2時間反応を継続し、ポリマー溶液118gを得た。この溶液を530mlのエチルエーテル中にかき混ぜながら徐々に滴下し、析出した沈殿をろ過し、48時間真空乾燥を実施してポリマー粉末21.8gを得た。
比較重合例2:(MPC0.5−BMA0.5)の重合
2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(MPC)14.75g、ブチルメタクリレート(BMA)7.1gをエタノール90gに溶解し、四つ口フラスコに入れ、
30分間窒素を吹き込んだ後、50℃でt−ブチルパーオキシネオデカノエート0.35gを加えて3時間反応させた後、60℃に上げ更に2時間反応を継続し、ポリマー溶液95gを得た。この溶液を400mlのエチルエーテル中にかき混ぜながら徐々に滴下し、析出した沈殿をろ過し、48時間真空乾燥を実施してポリマー粉末15.6gを得た。
比較重合例3:(MPC0.3−BMA0.7)の重合
2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(MPC)8.85g、ブチルメタクリレート(BMA)21.14gをエタノール110gに溶解し、四つ口フラスコに入
れ、30分間窒素を吹き込んだ後、50℃でt−ブチルパーオキシネオデカノエート0.35gを加えて3時間反応させた後、60℃に上げ更に2時間反応を継続し、ポリマー溶液122gを得た。この溶液を500mlのエチルエーテル中にかき混ぜながら徐々に滴下し、析出した沈殿をろ過し、48時間真空乾燥を実施してポリマー粉末22.9gを得た。
[コート処理生化学容器]
前記重合により得られたポリマー粉末を、超純水/メタノール=50/50に溶解し、0.5重量%のコート液を調製した。
生化学容器として、15mLポリプロピレン製遠沈管(住友ベークライト製、MS− )を用いた。前処理としてチューブにプラズマ処理装置 (BRANSON/IPC社製 SERIES7000)を用いてプラズマ処理(酸素プラズマ5分間)を行った。
遠沈管に15mLの先に調製したポリマー溶液を加えて1時間浸漬した後、遠沈管を裏返して溶液を充分廃棄した。ついで、25℃で12時間一次乾燥した後、UVランプで250nmのUV光を1.0mW/cm2×30秒間照射して水溶性樹脂を硬化させた。
硬化後、超純水で3回繰り返し洗浄し、乾燥させ本発明の生化学用容器(チューブ)を得た。
[生体由来物質吸着性]
(1)ウシ血清アルブミン吸着性
タンパク質吸着測定の一例として、ウシ血清アルブミンの吸着性を次のように評価した。
まず、コート材が容器に密着しているかどうかを確認するため、各実施例及び各比較例で得られたチューブに純水を各々5.0mLずつ分注し、37℃で1時間振とうさせた。
その後、純水を排出し、27℃12時間条件下で乾燥させ、ウシ血清アルブミン(23209 PIERCE社製)を0.5μg/mLに希釈した溶液を、実施例及び各比較例で得られたチューブに各々5.0mLずつ分注し、37℃で1時間インキュベートした後0.05容量%tween20入りリン酸緩衝液pH7.4で3回洗浄した。
次にブロッキングとして3.0重量%スキムミルク入りリン酸緩衝液pH7.4溶液を5.5mLずつ分注し、37℃で1時間インキュベートした後0.05容量%tween20入りリン酸緩衝液pH7.4で3回洗浄した。次にペルオキシターゼ標識坑ウシ血清
アルブミン抗体(55285 CAPPEL社製)をリン酸緩衝液pH7.4で1.0μg/mLに希釈した溶液を各チューブに5.0mLずつ分注し室温で30分インキュベートした後0.05容量%tween20入りリン酸緩衝液pH7.4で3回洗浄し、ぺルオキシターゼ用発色キット(SUMILON ML−1120T 住友ベークライト社製)を使用して発色させた後プレートリーダーを使用して450/630nmの吸光度を測定した。
別途作成した検量線から各チューブ本体に残留したペルオキシターゼ標識坑ウシ血清アルブミン抗体=ウシ血清アルブミンの重量を求め、吸着率を算出した。
また、コート材中の分子間架橋については次のように評価した。
各実施例及び各比較例で得られたチューブに純水:エタノール=50wt%:50wt%の混合溶液を各々5.0mLずつ分注し、27℃で1時間振とうさせた。その後、純水を排出し、27℃12時間条件下で乾燥させ、上記同様ウシ血清アルブミンの吸着率を算出した。
結果を表1に示す。
なお、表1中の◎、○、×は以下を表す。
生体由来物質密着性1 ◎:吸着率が0.1%未満(アルブミン吸着は極めて少ない=コート材の容器への密着性は非常に良好)、○:吸着率が0.1%以上1%未満(アルブ
ミン吸着はほとんど起こっていない=コート材の容器への密着性は良好) ×:吸着率が1%以上(アルブミンの吸着が多数発生=コート材の容器への密着性は悪い)
生体由来物質密着性2 ◎:吸着率が0.1%未満(アルブミン吸着は極めて少ない=コート材中の分子間架橋性は非常に良好)、○:吸着率が0.1%以上1%未満(アルブミ
ン吸着はほとんど起こっていない=コート材中の分子間架橋性は良好) ×:吸着率が1%以上(アルブミンの吸着が多数発生=コート材中の分子間架橋性は悪い)
[コート済み細胞培養容器]
コートする細胞培養容器として、ポリスチレン製24ウェルプレート成形品(住友ベークライト製)を準備し、酸素プラズマ処理を実施した(プラズマ装置:BRANSON/IPC社製 SERIES7000)。
1ウェルにつき500μLの先に調製したポリマー溶液を加えて1時間浸漬した後、プレートを裏返して溶液を充分廃棄した。ついで、25℃で12時間一次乾燥した後、UVランプで250nmのUV光を1.0mW/cm2×30秒間照射して水溶性樹脂を硬化
させた。硬化後、超純水で3回繰り返し洗浄し、乾燥させた後、γ線を吸収線量6.0kGyで照射(ラジエ工業株式会社)して滅菌済の本発明の細胞培養容器を得た。
[細胞培養]
(1)マウスES細胞を用いた胚様体形成細胞培養の一例として、マウスES細胞を次のように評価した。
まず、コート材が容器に密着しているかどうかを確認するため、各実施例及び各比較例で得られたチューブに純水を各々5.0mLずつ分注し、37℃で1時間振とうさせた。その後、純水を排出し、27℃12時間条件下で乾燥させ、マウスES細胞を培養液(ダルベッコ改変MEM+15%ウシ胎児血清)に7,500cells/mLの濃度で分散させた細胞懸濁液を調製し、前述の細胞培養容器に200μL/ウェルずつ、24ウェルに分注し、37℃、5%CO2雰囲気下にて5日間培養した。
5日後各ウェルについて、胚様体の形成を顕微鏡下で確認した。
(2)マウスES細胞胚葉体の心筋への分化の確認
次いで、培養された胚様体を24ウェルマルチプレート(住友ベークライト社製、MS−
80240)に1個/ウェルずつ移し替えた後、培養液(ダルベッコ改変MEM+15%ウシ胎児血清)を500μL/ウェルずつ分注し、5%CO2雰囲気下にて5日間培養した。
5日後、各ウェルについて、心筋細胞特有の拍動を顕微鏡下で確認した。また、コート材中の分子間架橋については次のように評価した。
各実施例及び各比較例で得られた細胞培養器に純水:エタノール=50wt%:50wt%の混合溶液を各々200μL/ウェルずつ、24ウェルに分注し、27℃で1時間振とうさせた。その後、純水を排出し、27℃12時間条件下で乾燥させ、上記同様心筋細胞特有の拍動を顕微鏡下で確認した。
結果を表2に示す。
なお、表2中の◎、○、×は以下を表す。
分化の確認1 ◎:24ウェル中、20ウェル以上で胚様体の形成が認められ、かつ心筋細胞特有の拍動が確認された=コート材の容器への密着性は非常に良好、○:24ウェル中、12ウェル以上20ウェル未満で胚様体の形成が認められ、かつ心筋細胞特有の拍動が確認された=コート材の容器への密着性は良好、×:24ウェル中、12ウェル未満で胚様体の形成が認められ、かつ心筋細胞特有の拍動が確認された=コート材の容器への密着性は悪い
分化の確認2 ◎:24ウェル中、20ウェル以上で胚様体の形成が認められ、かつ心筋細胞特有の拍動が確認された=コート材中の分子間架橋性は非常に良好、○:24ウェル中、12ウェル以上20ウェル未満で胚様体の形成が認められ、かつ心筋細胞特有の拍動が確認された=コート材中の分子間架橋性は良好、×:24ウェル中、12ウェル未満で胚様体の形成が認められ、かつ心筋細胞特有の拍動が確認された=コート材中の分子間架橋性は悪い
め、水−エタノール混合溶液でも溶解しなかった。一方、比較例の生化学容器は、コート材が十分に容器に密着しておらず、純水処理を行うことでコート材が剥離し、それが原因でウシ血清アルブミンの密着が発生した。また、コート材中の分子間の架橋度が不十分であったため、水−エタノール混合溶液で溶解した。
また、実施例の細胞培養容器は、コート材が十分に容器に密着しているため、純水処理を行っても細胞の分化が発生し、かつコート材中の分子間の架橋度が十分高いため、水−エタノール混合溶液でも溶解しなかった。一方、比較例の細胞培養容器は、コート材が十分に容器に密着しておらず、純水処理を行うことでコート材が剥離し、それが原因で細胞の分化が起こらなかった。また、コート材中の分子間の架橋度が不十分であったため、水−エタノール混合溶液で溶解した。
Claims (10)
- 下記一般式(1)で示される構造を有することを特徴とする高分子化合物。
(式中、R1、R3及びR6は互いに独立して、共重合して得られた状態の重合性原子団を表わし、−CH2−CH2−又は−CH2−C(CH3)−であり、;R2、R4及びR7は互いに独立して、置換基を有しても良いフェニル基又は−C(O)−、−C(O)O−、−O−、もしくは−S−で示される基を表わし;R5は置換基を有しても良いフェニル基又は−OC(O)−、−C(O)−、−O−で示される基を表わし;l及びmは互いに独立して、2以上の整数を表わし;nは1以上の整数を表わし;a及びbは互いに独立して2以上の整数を表わし;cは0もしくは1以上の整数を表わす。;R1を含む構造単位とR3を含む構造単位とR6を含む構造単位はランダムな順序で結合するか、またはブロック状態で結合している。)
- 一般式(1)のR2、R4、R5,またはR7がエステル基であり、l, mは2以上10以下の整数であり、nは1以上10以下の整数である、請求項1に記載の高分子化合物。
- 一般式(1)で示される構造を有する高分子化合物が下記一般式(2)で示される構造を有する請求項1または2に記載の高分子化合物。
(式中、R1、R3及びR6は互いに独立して、共重合して得られた状態の重合性原子団を表わし、−CH2−CH2−又は−CH2−C(CH3)−であり、;a、bは2以上の整数であり、cは0もしくは1以上の整数であり;nは1ないし10の整数であり;ホスホリルコリン基を含む側鎖を有する構造単位とアジドシンナモイル基を含む構造単位とアルキレート基を含む構造単位とはランダムな順序またはブロックな順序で結合している。)
- 一般式(1)及び(2)で示される構造の高分子化合物は、a/(a+b+c)の値が0.30以上0.90以下であり、b/(a+b+c)の値が0.10以上0.60以下であり、c/(a+b+c)の値が0以上0.50以下である、請求項1ないし3いずれか1項に記載の高分子化合物。
- 請求項1ないし4いずれか1項に記載の高分子化合物を含むコーティング材。
- コーティング材によって被覆された被覆部を有する成形体であって、前記コーティング材
が請求項5記載のコーティング材である成形体。
- 請求項6記載の成形体を用いて製造される生化学容器。
- 請求項7記載の生化学容器を用いて製造される細胞培養容器。
- 成形体に請求項5記載のコーティング材を塗布、乾燥する第一の工程と、光照射して前記コーティング材を硬化する第二の工程を有する、成形体の製造方法。
- 請求項9記載の第二の工程において、光照射量が10mJ/cm2以上1000mJ/cm2以下である、請求項9記載の成形体の製造方法。
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