JP2018009137A - 重合体、コーティング組成物、および物品 - Google Patents

重合体、コーティング組成物、および物品 Download PDF

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佳樹 西川
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孝行 松元
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Abstract

【課題】親水性が向上され、生体物質に対して低吸着性であり、細胞傷害性が低減された、生体適合性の高い重合体、ならびにこれを用いたコーティング組成物および物品を提供する。【解決手段】式(1)で表される構造単位Aを含む重合体:【化1】(式(1)において、R11は、水素原子、またはメチル基であり、R12は、NH、または酸素原子であり、mは、0〜4の整数であり、R13は、水素原子、メチル基、水酸基、またはメトキシ基であり、*は結合を表す)。【選択図】なし

Description

本発明は、重合体、コーティング組成物、および物品に関する。より詳細には、生体適合性材料として有用な重合体、ならびにこの重合体を含む、コーティング組成物、および物品に関する。
従来、生体物質と接触する環境で用いられる材料、例えば、バイオアッセイまたは細胞培養等に用いられる容器に、生体適合性を付与する手段として、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(MPC)を用いることが提案されている。ホスホリルコリン基は、タンパク質等の生体物質に対する相互作用がきわめて弱く、生体物質の吸着や変性を抑制する性質を有する。
たとえば、特許文献1および特許文献2には、生体適合性を付与するためのホルホリルコリン基と、基材へ結合するためのアルコキシシリル基等を有する共重合体を用いて、材料に対して長期にわたり安定した表面親水性を付与する技術が記載されている。
特開2009−184300号公報 特開2015−63577号公報
本発明者らは、細胞培養において目的の細胞凝集塊を作製するにあたり、タンパク質や脂質の容器基材への吸着を抑制するとともに、細胞に対する相互作用をさらに低減させる必要があり、そのために基材の親水性をさらに向上させることが有用であることを見出した。
上記課題を解決する本発明によれば、親水性が向上され、生体物質に対して低吸着性であり、細胞傷害性が低減された、生体適合性の高い重合体、ならびにこれを用いたコーティング組成物および物品が提供される。
本発明によれば、式(1)で表される構造単位Aを含む重合体が提供される:
Figure 2018009137
(式(1)において、R11は、水素原子、またはメチル基であり、R12は、NH、または酸素原子であり、mは、0〜4の整数であり、R13は、水素原子、メチル基、水酸基、またはメトキシ基であり、*は結合を表す)。
また、本発明によれば、上記重合体および溶剤を含むコーティング組成物が提供される。
さらに、本発明によれば、基材と、前記基材上に形成された上記重合体を含む塗膜とを備える物品が提供される。
本発明によれば、優れた生体適合性を有する重合体、およびこれを用いたコーティング組成物および物品が提供される。
以下、本発明の実施の形態について説明する。
(ポリマーP)
本実施形態にしたがう重合体であるポリマーPは、以下の構造単位Aを含む。
ここで、構造単位Aは、式(1)で表される構造単位である。
Figure 2018009137
式(1)において、R11は、水素原子、またはメチル基であり、R12は、NH、または酸素原子であり、mは、0〜4の整数であり、R13は、水素原子、メチル基、水酸基、またはメトキシ基であり、*は結合を表す。式(1)において、得られるポリマーPの親水性を向上させる観点から、mは、2または3であることが好ましく、R13は、水酸基であることが好ましい。
ポリマーPは、式(1)で表される構造単位Aを含むことにより、優れた親水性を有する。このようなポリマーPで表面処理された基材は、高い親水性を有し、細胞傷害性がほとんどなく、優れた生体適合性と低吸着性を有するため、たとえば、細胞培養用の容器として用いた場合、細胞凝集塊を良好に作製することができる。
ここで、本発明において、優れた親水性とは、純水に対する接触角が50°以下の水濡れ性を呈する状態をいう。接触角の測定方法は、公知の方法を採用でき、たとえば、協和界面化学株式会社製「CA−Z」等の市販の装置を用いて測定する方法を採用することができる。上記方法により、純水に対する接触角が50°以下であれば、ポリマーPは優れた親水性を有し、優れた生体適合性を有すると判断することができる。
構造単位Aの原料となるモノマーとしては、式(1)の構造に対応する(メタ)アクリレートを使用でき、これらは1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。このようなモノマーとしては、例えば、N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド(HEAA)、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル(HEMA)、アクリル酸2−メトキシエチル等が挙げられる。
一実施形態においてポリマーPは、式(2)で表される構造単位および式(3)で表される構造単位から選択される少なくとも1つの構造単位Bを含んでもよい:
Figure 2018009137
式(2)において、R21は、水素原子、またはメチル基であり、*は結合を表す。
Figure 2018009137
式(3)において、R31は、水素、またはメチル基であり、R32は、水素原子、またはメチル基であり、*は結合を表し、nは、2〜100の整数である。式(3)において、得られるポリマーPに対するタンパク質の非特異的吸着を抑制する観点から、nは、3〜50であることが好ましい。
ポリマーPが式(2)で表される構造単位および式(3)で表される構造単位から選択される少なくとも1つの構造単位で表される構造単位Bを含むことにより、ポリマーPへのタンパク質の非特異的吸着がさらに抑制される。
構造単位Bの原料となるモノマーとしては、式(2)または式(3)の構造に対応する(メタ)アクリレートを使用でき、これらは1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。式(2)の構造に対応する(メタ)アクリレートモノマーとしては、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(MPC)が挙げられる。また、式(3)の構造に対応する(メタ)アクリレートモノマーとしては、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート(PEGMA)、(メタ)アクリル酸ジエチレングリコールモノメチルエーテル(DEGM)等が挙げられる。
一実施形態において、ポリマーPは、式(4)で表される構造単位Cを含んでもよい。
Figure 2018009137
式(4)において、R41は、水素原子、またはメチル基であり、sは、4であり、R42は、独立して、水素原子、またはメチル基であり、*は、結合を表す。式(4)において、好ましくは、R42はすべて水素原子であり、−Nは、パラ位に置換されている。
このような構造単位Cを有することにより、ポリマーPを基材に適用した場合、ポリマーPと基材との間の結合性を向上させることができる。したがって、ポリマーPを適用された基材が、加熱処理や洗浄処理等に供された場合、ポリマーPは基材から脱離することなくその表面に留まる。そのため、このような基材は、ポリマーPの脱離にともなう機能の低下が低減され、持続的な生体適合性を有し得る。
構造単位Cの原料となるモノマーとしては、式(4)の構造に対応する(メタ)アクリレートを使用でき、これらは1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。このようなモノマーの例としては、メタクリロイルオキシエチル4-アジド桂皮酸エステル(MECAz)が挙げられる。
一実施形態において、ポリマーPは、式(5)で表される構造単位Dを含んでもよい。
Figure 2018009137
式(5)において、R51は、水素原子、またはメチル基であり、R52、R53およびR54は、独立して、メトキシ基、エトキシ基、水素原子またはメチル基であり、ただし、R52、R53およびR54のうち1つ、2つまたは3つは、独立して、メトキシ基、またはエトキシ基であり、*は、結合を表し、pは、2〜10の整数である。好ましい実施形態において、式(5)におけるpは、2〜6であり、より好ましくは、2〜4である。
このような構造単位Dを有することにより、ポリマーPを基材に適用した場合、ポリマーPと基材との結合性を向上させることができる。そのため、ポリマーPが適用された基材は、持続的な生体適合性を有し得る。
構造単位Dの原料となるモノマーとしては、式(5)の構造に対応する(メタ)アクリレートを使用でき、これは1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。このようなモノマーとしては、3−(メタクリルオキシ)プロピルジメチルメトキシシラン、3−(メタクリルオキシ)プロピルジメチルエトキシシラン、3−(メタクリルオキシ)プロピルメチルジエトキシシラン、3−(メタクリルオキシ)プロピルメチルジメトキシシラン、3−(メタクリルオキシ)プロピルトリメトキシシラン、3−(メタクリルオキシ)プロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
一実施形態において、ポリマーPは、式(6)で表される構造単位Eを含む。
Figure 2018009137
式(6)において、R61は、水素原子、またはメチル基であり、R62は、炭素数1〜10の直鎖または分枝鎖のアルキル、あるいは炭素数3〜8の脂環式アルキル、あるいはこれらの組み合わせであり、*は、結合を表す。
炭素数1〜10の直鎖または分枝鎖のアルキルとしては、メチル、エチル、プロピル、メチルエチル、ブチル、1,2−ジメチルエチル、ペンチル、1−メチルブチル、2−メチルブチル、およびヘキシル等が挙げられる。炭素数3〜8の脂環式アルキレンとしては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル等が挙げられる。
このような構造単位Eを有することにより、ポリマーPを基材に適用した場合、ポリマーPと基材との結合性を向上させることができる。そのため、ポリマーPが適用された基材は、持続的な生体適合性を有し得る。
構造単位Eの原料となるモノマーとしては、式(6)の構造に対応する(メタ)アクリレートを使用でき、これは1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。このようなモノマーとしては、n−ブチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート等が挙げられる。
ポリマーPは、ランダム共重合体またはブロック共重合体であり得る。ランダム共重合体は、これを塗布した基材表面において均一な細胞非接着性が得られるため好ましい。
ポリマーPは、実質的に構造単位Aからなるポリマーであってもよいし、上述のさらなる構造単位を含むポリマーであってもよい。ポリマーPが、構造単位Aおよび構造単位Bを含む場合、ポリマーPにおける構造単位Aの含有率(モル%)は、10モル%以上99モル%以下であり、好ましくは15モル%以上70モル%以下であり、より好ましくは15%以上50モル%以下である。
また、ポリマーPにおける構造単位Bの含有率(モル%)は、1モル%以上90モル%以下であり、好ましくは30モル%以上85モル%以下であり、より好ましくは50%以上85%以下である。
上記範囲で構造単位Aおよび構造単位Bが含まれることにより、得られるポリマーPは、良好な生体適合性を有する。
ポリマーPが、構造単位C〜Eの少なくとも1つを含む場合、ポリマーPにおける構造単位C〜Eの合計の含有率は、1モル%以上10モル%以下であり、好ましくは、2モル%以上8モル%以下である。上記範囲で構造単位C〜Eの少なくとも1つを含むポリマーPは、良好な生体適合性を維持しつつ、基材への結合性を有する。
ポリマーPにおける各構造単位の含有量および組成は、以下で説明するポリマーPの製造において、重合反応に用いる原料モノマーの量を調整することにより制御できる。
また、ポリマーPの重量平均分子量Mwは、10000〜1000000であり、好ましくは、20000〜500000である。ポリマーPの数平均分子量Mnは、5000〜100000であり、好ましくは、10000〜80000である。重量平均分子量および数平均分子量が上記範囲内であることにより、ポリマーPは、その合成時における取扱い性が良好であるとともに、タンパク質の非特異的吸着を効果的に抑制することができる。
なお、重量平均分子量(Mw)、および数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定により得られる標準ポリオキシエチレンの検量線から求めた、ポリオキシエチレン換算値を用いる。本実施形態において、測定条件は以下の通りである。
装置:ゲルパーミエーションクロマトグラフィー装置(日本分光株式会社製、LC−2000Plusシリーズ)
カラム:東ソー社製、TSK−GELALPHA−M、ALPHA−2500
検出器:液体クロマトグラム用RI検出器
測定温度:40℃
溶媒:メタノール/水=7/3(vol/vol)混合溶媒
試料濃度:0.05wt%
(ポリマーPの製造方法)
本発明のポリマーPの合成は、モノマー化合物の調製およびこれらの重合を含め、当該分野で公知の方法を用いて行うことができる。モノマー化合物は、市販の化合物を使用することができる。重合方法としては、例えば、ラジカル重合法が挙げられる。また、ラジカル重合法を用いる場合、ラジカル重合開始剤を用いて重合する方法が好適である。この場合、懸濁重合、溶液重合、分散重合、乳化重合等の方法を取ることができる。中でも、溶液重合が好ましい。溶液重合の際には、各モノマーを全量一括仕込みで行ってもよいし、一部を反応容器に仕込み、残りを滴下して行ってもよい。
ラジカル重合法に用いることができるラジカル重合開始剤としては、アゾ化合物および有機過酸化物のうちのいずれか1種以上を使用できる。
アゾ化合物としては、たとえば2,2'−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、ジメチル2,2'−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、1,1'−アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)(ABCN)等が挙げられ、これらのうち、いずれか1種以上を使用できる。
また、有機過酸化物としては、たとえば、ジターシャリブチルパーオキサイド(DTBP)、過酸化ベンゾイル(ベンゾイルパーオキサイド,BPO)および、メチルエチルケトンパーオキサイド(MEKP)等を挙げることができ、これらのうち、いずれか1種以上を使用できる。
ラジカル重合開始剤の量(モル数)は、原料として用いるモノマーの合計モル数の0.05%〜3%とすることが好ましい。重合開始剤の量を前記範囲内で適宜設定し、かつ、反応温度、反応時間を適宜設定することで、得られるポリマーの重量平均分子量(Mw)を10000〜1000000の範囲に調整することができる。
ポリマーPの製造に用いられる重合溶媒は、重合反応に関与せず、かつ重合体と相溶性のある溶媒であれば特に制限されず、例えば、水、メタノール、エタノール、プロパノール、t−ブタノール、ベンゼン、トルエン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン、クロロホルム、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒およびこれらの混合溶媒等が挙げられる。これらの溶媒は、1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
重合溶媒には、必要に応じて、他の添加剤を含めてもよい。
(ポリマーPの用途)
本発明のポリマーPを含むコーティング組成物を用いて、無機または有機材料からなる基材の表面を修飾することができる。この場合、コーティング組成物は、ポリマーPに加え、溶剤、および必要に応じて界面活性剤等の添加剤を含み得る。溶剤としては、水、エタノール、メタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、t−ブチルアルコール、n−ペンタノール、シクロヘキサノール等のアルコール、ベンゼン、トルエン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジクロロメタン、クロロホルム、アセトン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルエチルケトン、メチルブチルケトン、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、シクロヘキサノン等が挙げられる。これらの溶媒は、単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。中でも、アルコールが、プラスチック基材を変性させず、乾燥させやすいため好ましい。
コーティング組成物に含まれるポリマーPの量は、適用される基材の種類、得られる膜の厚み、コーティング方法に依存して調整することができる。コーティング組成物中のポリマーPの濃度は、例えば、0.01重量%以上1.5重量%以下とすることができる。
表面修飾される基材の材料は、無機材料または有機材料であり得、例えば、無機物質としては、シリカ、アルミナ、ガラス、金属等が挙げられる。有機高分子物質としては、熱可塑性樹脂等が挙げられ、熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等の直鎖状ポリオレフィン樹脂;ポリスチレン樹脂;環状ポリオレフィン樹脂;含フッ素樹脂;ポリカーボネート樹脂等が挙げられる。中でも、耐熱性、耐薬品性、低蛍光性、成形性に特に優れる飽和環状ポリオレフィン樹脂を用いることが好ましい。本明細書において、飽和環状ポリオレフィン樹脂とは、環状オレフィン構造を有する単独重合体又は環状オレフィンとα−オレフィンとの共重合体に水素添加した飽和重合体を指す。また、基材の形状は、特に限定されないが、例えば、フィルム状、板状、ビーズ状、繊維状、および中空管状が挙げられる。
ポリマーPを含むコーティング組成物を用いて基材の表面修飾を行う方法としては、基材をコーティング組成物に浸漬する方法、またはコーティング組成物を、例えば、スプレー塗布により基材に塗布する方法が挙げられるが、これらに限定されず、当該分野において公知の他の手法により表面修飾を行うことができる。
ポリマーPが構造単位Cを有する場合、基材を、ポリマーPを含むコーティング組成物で表面修飾した後に、光照射するのが好ましい。光照射する条件としては、10mJ/cm以上1000mJ/cm以下が挙げられ、50mJ/cm以上800mJ/cm以下であることが好ましく、100mJ/cm以上700mJ/cm以下であることがさらに好ましい。光照射により、構造単位Cからナイトレンが発生し、これが基材またはポリマーPと反応する。これにより、ポリマーPを含むコーティング組成物と基材との結合性を向上させることができる。その結果、ポリマーPを含むコーティング組成物を適用した基材が、加熱処理や洗浄処理等に供された場合、ポリマーPは基材から脱離することなくその表面に留まりやすくなる。このような基材は、ポリマーPの脱離にともなう機能の低下が低減され、持続的な生理活性物質固定化能や親水性を有し得る。
ポリマーPが構造単位Dを有する場合、基材を、ポリマーPを含むコーティング組成物で表面修飾した後に、50〜120℃で5分間〜100時間加熱処理することが好ましい。加熱により構造単位Dから発生したシラノール基が、基材の官能基またはポリマーPのシラノール基などと脱水縮合することにより、ポリマーPを含むコーティング組成物と基材との結合性を向上させることができる。これにより、例えば、ポリマーPを含むコーティング組成物を適用した基材が加熱処理や洗浄処理等に供された場合、ポリマーPは基材から脱離することなくその表面に留まりやすくなる。このような基材は、ポリマーPの脱離にともなう機能の低下が低減され、持続的な生理活性物質固定化能や親水性を有し得る。
コーティング組成物の基材への塗布量は、親水性の発現と塗膜の均一性の観点から、ポリマーPの量に換算して、0.01〜10g/mとすることができ、0.1〜5g/mとすることが好ましい。
また、コーティング組成物を基材に塗布し、乾燥して得られるポリマーPからなる塗膜の厚みは、親水性の発現と塗膜の均一性の観点から、1nm以上100nm以下とすることができる。ポリマーPからなる塗布膜の厚みは、基材の用途に基づいて適宜変更することができる。
上記方法により基材の表面にポリマーPを適用して塗膜を設けることにより、基材表面の純水に対する接触角を、5°以上50°以下とすることができる。好ましくは、この接触角は、5°以上45°以下であり、より好ましくは、5°以上40°以下であり、さらに好ましくは、5°以上30°以下である。ポリマーPからなる塗膜の接触角は、基材の用途に基づいて変更することができ、例えば、塗膜の厚み、ポリマーPを構成するモノマーの種類およびその組成、塗膜形成方法等を選択することにより調整できる。
より具体的には、本実施形態のポリマーPは、ポリスチレン基板に、ポリマーPの0.3重量%水またはアルコール溶液を塗布し、乾燥したとき、このポリスチレン基板の、純水に対する接触角が、5°以上50°以下となり得る。好ましくは、この接触角は、5°以上45°以下であり、より好ましくは、5°以上40°以下であり、さらに好ましくは、5°以上30°以下である。
ポリマーPは、優れた親水性や低吸着性を有し、生体適合性材料として有用である。そのため、ポリマーPが塗布された基材は、細胞培養用容器、細胞保存容器、医療用デバイス、人工臓器、バイオチップ、バイオセンサ、バイオアッセイ用機器等の物品として使用され得る。
以下、実施例を参照して本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの例示に限定されるものではない。
(実施例1)
(HEAAポリマーの合成)
1.13g(9.8mmol)のN−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド(HEAA、東京化成工業製)、および0.033g(0.2mmol)の2,2'−アゾビス(イソブチロニトリル)をエタノール7mLに溶解させた後、得られた混合溶液を反応容器内に導入した。次に、10分間アルゴンガスを吹き込んだ後密閉し、60℃で20時間反応させた。
得られた溶液を、撹拌しながら、ヘキサン:アセトン:エタノール混合溶媒(体積比6:3:1)400mL中に徐々に滴下し、滴下終了後1時間撹拌した後、静置して析出物を沈降させた。上清を除去し、残った析出物をエタノール200mLに再溶解し、エバポレーターで濃縮して、目的のポリマーを含むエタノール溶液を得た。得られたポリマー溶液の一部をサンプル瓶に移し、48時間真空乾燥させた後の重量を測定して、このポリマー溶液の濃度を算出したところ、7.5wt%であった。
このポリマーは、数平均分子量(Mn)が28000であり、重量平均分子量(Mw)が115000であった。
なお、重量平均分子量(Mw)、および数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定により得られる標準ポリオキシエチレンの検量線から求めた、ポリオキシエチレン換算値を用いた。測定は以下の条件で行った。
装置:ゲルパーミエーションクロマトグラフィー装置(日本分光株式会社製、LC−2000Plusシリーズ)
カラム:東ソー社製、TSK−GELALPHA−M、ALPHA−2500
検出器:液体クロマトグラム用RI検出器
測定温度:40℃
溶媒:メタノール/水=7/3(vol/vol)混合溶媒
試料濃度:0.05wt%
(実施例2)
(HEAA/シランカップリング剤ポリマーの合成)
2.12g(18.4mmol)のN−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド(HEAA、東京化成工業製)、0.135g(0.6mmol)の3−メタクリロキシプロピルジメチルメトキシシラン(Gelest社製)、および0.066g(0.4mmol)の2,2'−アゾビス(イソブチロニトリル)をエタノール10mLに溶解させた後、得られた混合溶液を反応容器内に導入した。次に、10分間アルゴンガスを吹き込んだ後密閉し、60℃で20時間反応させた。
得られた溶液を、撹拌しながら、ヘキサン:アセトン:エタノール混合溶媒(体積比6:3:1)400mL中に徐々に滴下し、滴下終了後1時間撹拌した後、静置して析出物を沈降させた。上清を除去し、残った析出物をエタノール200mLに再溶解し、エバポレーターで濃縮して、目的のポリマーを含むエタノール溶液を得た。得られたポリマー溶液の一部をサンプル瓶に移し、48時間真空乾燥させた後の重量を測定して、このポリマー溶液の濃度を算出したところ、8.3wt%であった。
このポリマーは、数平均分子量(Mn)が32000であり、重量平均分子量(Mw)が147000であった。
(実施例3)
(MPC/HEAAポリマーの合成)
0.53g(1.80mmol)の2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(MPC)と、0.069g(0.6mmol)のN−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド(HEAA)とをエタノール2.6mlに溶解させた後、得られた混合溶液を、三方コックを取り着けた枝付き反応容器内に導入した。次に、この反応容器内に0.0049g(0.03mmol)の2,2'−アゾビスイソブチロニトリルを導入し、10分間アルゴンガスを吹き込んだ後密閉し、60℃で20時間反応させた。
得られた反応混合物を5mlのエタノールで希釈し、得られた溶液を、撹拌しながら、ヘキサン:アセトン:エタノール(体積比6:3:1)混合溶媒120ml中に徐々に滴下し、滴下終了後1時間撹拌した。その後、溶媒を減圧蒸留により除去し、残った粗生成物をエタノール30mlに再溶解した後、ろ過し、ろ液をエバポレーターで濃縮して、目的のポリマーを含むエタノール溶液(7.5g)を得た。得られたポリマー溶液の一部をサンプル瓶に移し、48時間真空乾燥させた後の重量を測定して、このポリマー溶液の濃度を算出したところ、7.7wt%であった。
また、得られたポリマーのH−NMR測定により、5〜6ppmのモノマー由来のピークが消失しているのを確認した。
上記結果は、MPCと、HEAAを、モル比75:25の仕込み比率で重合させることにより、96%の収率で目的のポリマーが生成したことを示すものである。
このポリマーは、数平均分子量(Mn)が29000であり、重量平均分子量(Mw)が137000であった。
(実施例4)
(MPC/HEMAポリマーの合成)
0.53g(1.80mmol)の2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(MPC)と、0.078g(0.6mmol)のメタクリル酸2−ヒドロキシエチル(HEMA)とをエタノール2.6mlに溶解させた後、得られた混合溶液を三方コックを取り着けた枝付き反応容器内に導入した。次に、反応容器内に0.0049g(0.03mmol)の2,2'−アゾビスイソブチロニトリルを導入し、10分間アルゴンガスを吹き込んだ後密閉し、60℃で20時間反応させた。
得られた反応混合物を5mlのエタノールで希釈し、得られた溶液を、撹拌しながら、ヘキサン:アセトン:エタノール(体積比7:2:1)混合溶媒120ml中に徐々に滴下し、滴下終了後1時間撹拌した。その後、溶媒を減圧蒸留により除去し、残った粗生成物をエタノール30mlに再溶解した後、ろ過し、ろ液をエバポレーターで濃縮して、目的のポリマーを含むエタノール溶液(5.9g)を得た。得られたポリマー溶液の一部をサンプル瓶に移し、48時間真空乾燥させた後の重量を測定して、このポリマー溶液の濃度を算出したところ、10.2wt%であった。
また、得られたポリマーのH−NMRの測定結果より、5〜6ppmのモノマー由来のピークが消失しているのを確認した。
上記結果は、MPCと、HEMAを、モル比75:25の仕込み比率で重合させることにより、99%の収率で目的のポリマーが生成したことを示すものである。
このポリマーは、数平均分子量(Mn)が38000であり、重量平均分子量(Mw)が361000であった。
(実施例5)
(PEGMA/HEAAポリマーの合成)
1.47g(3.14mmol)のポリエチレングリコールメタクリレート(新中村化学工業株式会社製、「M−90G」)(PEGMA)と、0.121g(1.07mmol)のN−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド(HEAA)とをエタノール4.4mlに溶解させた後、得られた混合溶液を三方コックを取り着けた枝付き反応容器内に導入した。次に、反応容器内に0.014g(0.085mmol)の2,2'−アゾビスイソブチロニトリルを導入し、10分間アルゴンガスを吹き込んだ後密閉し、60℃で6時間反応させた。
得られた反応混合物を5mlのエタノールで希釈し、得られた溶液を、撹拌しながら、ヘキサン:アセトン:エタノール(体積比6:3:1)混合溶媒240ml中に徐々に滴下し、滴下終了後1時間撹拌し、12時間冷蔵保管した。その後、溶媒を減圧蒸留により除去し、残った粗生成物をエタノール30mlに再溶解し、ろ過し、ろ液をエバポレーターにて濃縮して、目的のポリマーを含むエタノール溶液(5.3g)を得た。得られたポリマー溶液の一部をサンプル瓶に移し、48時間真空乾燥させた後の重量を測定して、このポリマー溶液の濃度を算出したところ、18.0wt%であった。
また、得られたポリマーのH−NMRの測定結果より、5〜6ppmのモノマー由来のピークが消失しているのを確認した。
上記結果は、PEGMAと、HEAAを、モル比で75:25の仕込み比率で重合させることにより、60%の収率で目的のポリマーが生成したことを示すものである。
このポリマーは、数平均分子量(Mn)が47000であり、重量平均分子量(Mw)が184000であった。
(実施例6)
(MPC/HEAA/MECAzポリマーの合成)
58g(5.35mmol)の2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(MPC)と、0.108g(0.36mmol)のメタクリロイルオキシエチル4-アジド桂皮酸エステル(MECAz)と、0.174g(1.52mmol)のN−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド(HEAA)とをエタノール6.5mlに溶解させた後、得られた混合溶液を三方コックを取り着けた枝付き反応容器内に導入した。次に、反応容器内に0.0132g(0.08mmol)の2,2'−アゾビスイソブチロニトリルを導入し、10分間アルゴンガスを吹き込んだ後密閉し、60℃で20時間反応させた。
得られた反応混合物を10mlのエタノールで希釈し、得られた溶液を、撹拌しながら、ヘキサン:アセトン:エタノール(体積比6:3:1)混合溶媒320ml中に徐々に滴下し、滴下終了後1時間撹拌した。その後、溶媒を減圧蒸留により除去し、残った粗生成物をエタノール50mlに再溶解した後、ろ過し、ろ液をエバポレーターで濃縮して、目的のポリマーを含むエタノール溶液(17.4g)を得た。得られたポリマー溶液の一部をサンプル瓶に移し、48時間真空乾燥させた重量を測定して、このポリマー溶液の濃度を算出したところ、10.0wt%であった。
また、得られたポリマーのH−NMR測定により、5〜6ppmのモノマー由来のピークが消失しているのを確認した。
上記結果は、MPCと、MECAzと、HEAAとを、モル比で74:5:21の仕込み比率で重合させることにより、92%の収率で目的のポリマーが生成したことを示すものである。
このポリマーは、数平均分子量(Mn)が19000であり、重量平均分子量(Mw)が71000であった。
(実施例7)
(MPC/HEMA/MECAzポリマーの合成)
1.58g(5.35mmol)の2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(MPC)と、0.108g(0.36mmol)のメタクリロイルオキシエチル4-アジド桂皮酸エステル(MECAz)と、0.197g(1.52mmol)のメタクリル酸2−ヒドロキシエチル(HEMA)とをエタノール6.5mlに溶解させた後、得られた混合溶液を三方コックを取り着けた枝付き反応容器内に導入した。次に、反応容器内に0.0132g(0.08mmol)の2,2'−アゾビスイソブチロニトリルを導入し、10分間アルゴンガスを吹き込んだ後密閉し、60℃で20時間反応させた。
得られた反応混合物を10mlのエタノールで希釈し、得られた溶液を、撹拌しながら、ヘキサン:アセトン:エタノール(体積比6:3:1)混合溶媒320ml中に徐々に滴下し、滴下終了後1時間撹拌した。その後、溶媒を減圧蒸留により除去し、残った粗生成物をエタノール50mlに再溶解し、ろ過し、ろ液をエバポレーターにて濃縮して、目的のポリマーを含むエタノール溶液(15.2g)を得た。得られたポリマー溶液の一部をサンプル瓶に移し、48時間真空乾燥させた後の重量を測定して、このポリマー溶液の濃度を算出したところ、12.0wt%であった。
また、得られたポリマーのH−NMR測定により、5〜6ppmのモノマー由来のピークが消失しているのを確認した。
上記結果は、MPCと、MECAzと、HEMAとを、モル比74:5:21の仕込み比率で重合させることにより、96%の収率で目的のポリマーが生成したことを示すものである。
このポリマーは、数平均分子量(Mn)が23000であり、重量平均分子量(Mw)は96000であった。
(比較例1)
比較例1のポリマーとして、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(MPC)とブチルメタクリレート(BMA)との共重合体である、MPC/BMAポリマー粉末(日油株式会社製の「Lipidure−CM5206」)を使用した。
(コーティング組成物の調製)
上記実施例で得られたポリマーを、溶液濃度が0.3重量%となるようにエタノールに溶解して、0.3重量%コーティング組成物を調製した。また、上記比較例1のポリマー粉末0.05gを、エタノール20mlに溶解し0.3重量%のコーティング組成物を調製した。
(接触角の測定)
以下の方法を用いて、上記ポリマーからなる塗膜の純水に対する接触角を測定した。
・被覆膜表面の水に対する接触角:プラズマ処理済みのポリスチレン容器に、上記の0.3重量%コーティング組成物を入れて5分間静置した後、このコーティング組成物を排出した。次いで、このポリスチレン容器の内側を乾燥させ、UV照射した後に、水洗し、乾燥することにより、内側がポリマーでコーティングされた容器を得た。
次に協和界面化学社製のCA−V型接触角計を用いて、ポリマーがコーティングされたポリスチレン容器の、純水に対する接触角を測定した。接触角の値は、超純水2.0μLを、測定対象の表面に滴下した後85秒の時点で測定した。結果を以下の表1に、「接触角−1」として示す。さらに、比較例2として、コーティング組成物を塗布していないプラズマ処理済のポリスチレン容器の純水に対する接触角を測定した。結果を表1に併せて示す。
(エタノール、水洗浄後接触角測定)
UV照射した後に、水洗、乾燥してポリマーコーティングした上記容器に、エタノールを添加した状態で、室温下で20分間静置した。その後、エタノールを排出し、容器を水洗し、乾燥した。乾燥後、前記の方法で接触角を測定した。結果を以下の表1に、「接触角−2」として示す。
(水洗浄3日後接触角測定)
UV照射した後に、水洗、乾燥してポリマーコーティングした上記容器に、水を添加した状態で、室温下で3日間静置し、その後、水洗し、乾燥した。乾燥後、前記の方法で接触角を測定した。結果を以下の表1に、「接触角−3」として示す。
(細胞培養用容器の作製および生体適合性評価)
(細胞培養用容器の作製)
基材として、ポリスチレン製の96穴ウェルプレート(住友ベークライト社製、9096U)を準備した。次に、このプレート表面に対し、BRANSON/IPC社製のプラズマ装置(SERIES7000)を用いて5分間の酸素プラズマ処理を実施した。
次いで、1ウェルにつき250μLの上記で調製したコーティング組成物を注入し5分間静置した。その後、このコーティング組成物をピペットでウェルから除去し、このプレートを裏返した。プレートを、25℃で12時間乾燥させた後、ウェルの内側をUVランプを用いて光照射して、コーティング組成物中のポリマーを硬化させた。このポリマーの硬化は、波長250nmのUV光を20mW/cm2で30秒間照射することにより行った。
次に、ウェルの内側を、超純水で3回繰り返し洗浄した後、乾燥させた。次いで、ウェルの内側に、γ線照射装置を用いて吸収線量が6kGyとなるようにγ線を照射(ラジエ工業社にて実施)した。上記工程により、実施例および比較例に係る滅菌済みの細胞培養容器を作製した。
(評価)
HepG2細胞(ヒト肝癌由来細胞)を用いた細胞凝集塊作製:90mmφの培養シャーレで培養し増殖させたHepG2細胞を、培養液(ダルベッコ改変MEM+10%ウシ胎児血清)に、10,000cells/mlの濃度で分散させることにより細胞懸濁液を調製した。次いで、この細胞懸濁液を、上述で作製した細胞培養容器に100μL/ウェルで分注し、37℃、5%CO雰囲気下にて3日間培養した。
3日後、各ウェル中の培養細胞を顕微鏡観察し、培養細胞の状態を以下の基準で評価した。結果を以下の表1に示す。
◎:良好な1つの細胞凝集塊が形成された。
○:良好な細胞凝集塊とともに、小さな細胞凝集塊が複数形成された。
×:細胞凝集塊は形成されず、細胞間接着が確認された。
Figure 2018009137
実施例1〜7で調製したポリマーのコーティング膜を有する容器は、コーティング膜形成後85秒の接触角(接触角−1)、エタノール/水洗浄後の接触角(接触角−2)、および水洗浄後3日の接触角(接触角−3)のいずれもが、50°より小さく、親水性に優れていた。実施例1〜7のポリマーでコーティングされた細胞培養容器中で細胞培養した場合、細胞が容器表面に吸着せず、細胞凝集塊が良好に形成された。一方、比較例1のポリマーのコーティング膜を有する容器は、純水に対する接触角が高く、これを用いて細胞培養した場合、細胞凝集塊が形成されなかった。また、比較例2のポリマーのコーティング膜を有さない容器は、純水に対する接触角が高く、これを用いて細胞培養した場合、細胞凝集塊が形成されなかった。

Claims (12)

  1. 式(1)で表される構造単位Aを含む重合体:
    Figure 2018009137
    (式(1)において、R11は、水素原子、またはメチル基であり、R12は、NH、または酸素原子であり、mは、0〜4の整数であり、R13は、水素原子、メチル基、水酸基、またはメトキシ基であり、*は結合を表す)。
  2. 式(2)で表される構造単位および式(3)で表される構造単位から選択される少なくとも1つの構造単位Bを含む、請求項1に記載の重合体:
    Figure 2018009137
    (式(2)において、R21は、水素原子、またはメチル基であり、*は結合を表す);
    Figure 2018009137
    (式(3)において、R31は、水素、またはメチル基であり、R32は、水素原子、またはメチル基であり、*は結合を表し、nは、2〜100の整数である。)。
  3. 式(4)で表される構造単位Cを含む、請求項1または2に記載の重合体。
    Figure 2018009137
    (式(4)において、R41は、水素原子、またはメチル基であり、sは、4であり、R42は、独立して、水素原子、またはメチル基であり、*は、結合を表す。)。
  4. 式(5)で表される構造単位Dを含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の重合体。
    Figure 2018009137
    (式(5)において、R51は、水素原子、またはメチル基であり、R52、R53およびR54は、独立して、メトキシ基、エトキシ基、水素原子またはメチル基であり、ただし、R52、R53およびR54のうち1つ、2つまたは3つは、独立して、メトキシ基、またはエトキシ基であり、*は、結合を表し、pは、2〜10の整数である。)。
  5. 式(6)で表される構造単位Eを含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の重合体。
    Figure 2018009137
    (式(6)において、R61は、水素原子、またはメチル基であり、R62は、炭素数1〜10の直鎖または分枝鎖のアルキル、あるいは炭素数3〜8の脂環式アルキル、あるいはこれらの組み合わせであり、*は、結合を表す。)。
  6. 重量平均分子量が10000以上1000000以下であり、数平均分子量が5000以上100000以下である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の重合体。
  7. ポリスチレン基板に、当該重合体の0.3重量%水またはアルコール溶液を塗布し、乾燥したとき、当該重合体が塗布された前記ポリスチレン基板の、純水に対する接触角が、5°以上50°以下である、請求項1〜6に記載の重合体。
  8. 請求項1〜7のいずれか一項に記載の重合体および溶剤を含む、コーティング組成物。
  9. 基材と、前記基材上に形成された請求項1〜7のいずれか一項に記載の重合体を含む塗膜とを備える物品。
  10. 前記塗膜の、純水に対する接触角が、5°以上50°以下である、請求項9に記載の物品。
  11. 前記塗膜が、1nm以上100nm以下の厚みを有する、請求項9または10に記載の物品。
  12. 細胞培養用容器である、請求項9〜11のいずれか一項に記載の物品。
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