JP2018053093A - 吸着制御表面を有する高分子基材及びその製造方法 - Google Patents

吸着制御表面を有する高分子基材及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】血液などの分析や薬剤製造に使用するための高分子基材であって、容器内への溶液の残存又はタンパク質の吸着を制御し、基材からの高分子の溶出や表面層の剥離がなく、及び/又は均質な表面層を有する上記高分子基材で構成される容器等を提供することを目的とする。【解決手段】少なくとも1種の含フッ素化合物、及び/又は少なくとも1種の含フッ素化合物の繰り返し単位で構成された重合体が、高分子材料の少なくとも表面の一部に化学結合を介して結合している高分子基材であって、該高分子基材表面の接触角90°以上かつ滑落角45°以下であることを特徴とする上記高分子材料を提供する。【選択図】なし

Description

本発明は、容器等の表面へのタンパク質等の吸着を制御する表面加工を施した高分子基材及びその製造方法に関する。
分析や薬剤製造などに用いられる容器やチューブには、ポリプロピレン系の樹脂製容器が一般に用いられるが、タンパク質の疎水性相互作用により、その表面へのタンパク質の吸着が問題になる。このような問題を解決するために、容器等の内表面を親水化してタンパク質の吸着を抑制する方法が広く採用されている。しかし、タンパク質濃度が高い溶液の場合、容器の表面が親水性化されていると工程操作において、液切れが悪く、容器内へのタンパク質残留量が多くなり、正確な分析を妨げ、タンパク質をロスしてしまうという問題がある。これまで、タンパク質の吸着を抑えるために、ポリプロピレン系樹脂を改質した樹脂組成物を用いた容器も提案されているが、容器表面へのタンパク質の付着の問題を十分に解決するものではなかった(特許文献1)。このような問題を解決するために、表面が撥水性の特性をもつものとして、フッ素樹脂(テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA))製のものがあるが、非常に高価であり、消耗品として使用するには適さない。一方、入手し易い価格帯であるポリプロピレン系樹脂の表面をフッ素化させるために、含フッ素モノマーを重合させる技術が特許文献2に開示されているが、基材と化学的に反応しておらず、溶出や剥離を抑えることができない。
一般的には、容器等の内表面に対する表面改質又は表面加工に関して、機能性材料を高分子基材に混合(練り込み)成形する技術(特許文献3)、高分子基材表面に機能性材料を塗布加工することにより物理的に付着させる技術(特許文献4)が報告されている。しかしながら、これらの技術には、上記と同様に、付加された機能性材料が経時的に外部に溶出又は剥離するなど、耐久面で問題があり、人体への悪影響など、安全面において懸念される。そこで、機能性材料の高分子基材への密着性を向上させる目的で、化学結合を利用して高分子基材表面に機能性材料を付加する研究も進められている(特許文献5)。この化学結合を利用した方法としては、置換基同士の化学反応を用いる方法(特許文献6)、及び光照射又は放射線照射といった高エネルギー付与により生成したラジカルを利用した方法が知られている。後者では、γ線、X線等の放射線や、電子線、紫外線等の光、放電により発生する電離した気体(即ち、プラズマ)を照射源とする方法を用いたグラフト重合付加が挙げられる。例えば、ダイヤモンド様薄膜表面へのプラズマ照射により生体適合性分子材料をグラフト重合付加させ、膜の超親水性化を狙った例(特許文献7)や、低温プラズマ処理を用いて、塩化ビニル樹脂表面に含フッ素分子材料をグラフト重合及び/又は共重合付加させることで表面改質し、可塑剤の溶出の低減を試みた例(特許文献8)が挙げられる。また、高分子基材表面にグラフト重合が可能な重合体を予め存在させ、プラズマ照射前又は後にラジカル重合性化合物を付与することにより、表面を高潤滑化し、血液適合性の向上を狙った例も報告されている(特許文献9)。
しかしながら、これまで、容器等の内表面を超撥水性にすることにより、優れたタンパク質吸着抑制、撥水、防汚、血液吸着抑制、細胞付着抑制を持たせた高分子基材は開発されていない。
国際公開第2011/058914号 特開平6−136062号公報 国際公開第2007/114134号 特許第3992370号公報 特表2011−518907号公報 特表2001−500407号公報 特開2008−230880号公報 特開昭59−44322号公報 特開平4−159337号公報
本発明は、血液などの分析や薬剤製造など前提とした用途向けに、容器内への溶液の残存又はタンパク質の吸着を抑制しながら、溶出や表面層の剥離がなく、及び/又は均質な表面層を有する高分子製の容器等を提供することを目的とする。
本発明者は、高分子製容器等の容器内への溶液の残存又は内表面へのタンパク質等の吸着を抑制するために、フッ素原子を含有する化合物に基づく構成単位を含有する機能性材料を用いることにより、表面エネルギーを低下させる表面加工を行い、表面を超撥水性にすることに成功し、上記課題を解決できることを見出した。
即ち、本発明は、かかる知見に基づいてさらなる試行錯誤を経て完成されたものであり、以下の実施形態を提供するものである。
[1]少なくとも1種の含フッ素化合物、及び/又は少なくとも1種の含フッ素化合物の繰り返し単位で構成された重合体が、高分子材料の少なくとも表面の一部に化学結合を介して結合している高分子基材であって、該高分子基材表面の接触角90°以上かつ滑落角45°以下であること、及び/又は表面自由エネルギーが20mJ/m以下であることを特徴とする上記高分子基材。
[2]含フッ素化合物が、アクリレート系化合物、アクリル酸系化合物、アクリルアミド系化合物、スチレン系化合物、アクリロニトリル系化合物、ビニルピロリドン系化合物、ビニルエーテル系化合物、及びピロール系化合物からなる群から選択される少なくとも1種の化合物において、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子に置換されている、上記[1]に記載の高分子基材。
[3]含フッ素化合物が、一般式(I):
CH2=C(−X)−C(=O)−Y−Z−Rf (I)
[式中、
Xは、水素原子、炭素数1〜21の直鎖状又は分岐状のアルキル基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、CFX12基(ここで、X1及びX2は、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子である)、シアノ基、炭素数1〜21の直鎖状若しくは分岐状のフルオロアルキル基、置換若しくは非置換のベンジル基又は置換若しくは非置換のフェニル基であり;
Yは、−O−又は−NH−であり;
Zは、炭素数1〜10の脂肪族基、炭素数6〜10の芳香族基若しくは環状脂肪族基、−CH2CH2N(R1)SO2−基(ここで、R1は炭素数1〜4のアルキル基である)、−CH2CH(OZ1)CH2−基(ここで、Z1は水素原子又はアセチル基である)、−(CH2m−SO2−(CH2n−基、−(CH2m−S−(CH2n−基(ここで、mは1〜10、nは0〜10である)、又は−(CH2m−COO−基(mは1〜10である)であり;そして
Rfは、ヘテロ原子を有していてもよい、炭素数1〜20の直鎖状又は分岐状のフルオロアルキル基である]
で表される、上記[1:に記載の高分子基材。
[4]Xが、水素原子又は炭素数1〜21の直鎖状又は分岐状のアルキル基であり;Yが、−O−であり;Zが、炭素数1〜10の脂肪族基であり;そして、Rfが、炭素数1〜20の直鎖状又は分岐状のフルオロアルキル基である、上記[3]に記載の高分子基材。
[5]高分子材料が、C−H結合を有することを特徴とする、上記[1]〜[4]のいずれかに記載の高分子基材。
[6]少なくとも1種の含フッ素化合物、及び/又は少なくとも1種の含フッ素化合物の繰り返し単位で構成された重合体がグラフト重合により高分子材料の表面に化学結合していることを特徴とする請求項5に記載の高分子基材。
[7]タンパク質吸着抑制、撥水、撥油、防汚、血液吸着抑制、及び/又は細胞付着抑制のために使用されることを特徴とする、上記[1]〜[6]のいずれかに記載の高分子基材。
[8]工業用、医療用、又は実験用の、容器、バッグ、チューブ、メンブレン、ディッシュ、プレート、又はフラスコとして用いられる、上記[1]〜[7]のいずれかに記載の高分子基材。
[9]紫外線照射によるグラフト重合により、少なくとも1種の含フッ素化合物、及び/又は少なくとも1種の含フッ素化合物の繰り返し単位で構成された重合体を高分子材料の表面に化学結合を介して結合させる工程を含む、上記[1]〜[8]に記載の高分子基材を製造する方法。
本発明は、接触角が大きく、かつ滑落角が小さい高分子基材であって、撥水及び撥油性に優れ、タンパク質の吸着を抑制できる高分子基材を提供できる。
以下、本発明の高分子基材、その用途及びその製造方法について具体的に説明する。
1.本発明の高分子基材
本発明の高分子基材は、少なくとも1種の含フッ素化合物、及び/又は少なくとも1種の含フッ素化合物の繰り返し単位で構成された重合体が、高分子材料の少なくとも表面の一部に化学結合を介して結合している高分子基材であって、該高分子基材表面の接触角90°以上かつ滑落角45°以下であることを特徴とする上記高分子材料である。
(1)高分子基材
本発明の高分子基材は、タンパク質吸着抑制、撥水、撥油、防汚、血液吸着抑制、及び/又は細胞付着抑制等が望まれるものであればよく、特に限定されない。また、高分子基材としては、限定されないが、公知のものの中から用途に応じて幅広く選択することができる。例えば、工業用、医療用又は実験用の高分子基材として従来使用されているものの中から用途に応じて適宜選択することができる。例えば、医療器具、人工臓器、整形材料、生体適合材料、膜材料、細胞培養器材、再生医療材料及び実験器具等に用いられるものが挙げられる。より具体的には、医療器具として、輸液バッグ、血液回路、細胞培養バッグ、細胞保存バッグ、創傷被覆材、癒着防止材、タンパク質又は細胞の注入器具(シリンジ及びカテーテル等)、バイアル等が挙げられる。人工臓器及び整形材料として、人工心臓、人工腎臓、人工肺、人工骨、人工皮膚及び人工関節等が挙げられる。膜材料として、血漿分離膜、白血球除去膜、輸血用フィルター及びウイルス除去膜等が挙げられる。細胞培養器材として、細胞培養ディッシュ、細胞培養プレート及び細胞培養フラスコ等が挙げられる。再生医療材料として、再生医療用スキャフォールド等が挙げられる。実験器具として、マイクロチューブ、試験管、プレート、フラスコ等の容器;スポイト、ピペット、ピペットチップ、シリンジ等の分注器具;各種チューブ;電気泳動器具、プロテインチップ(マイクロアレイ)等の解析用機器等が挙げられる。
高分子基材の材料としては、限定されないが、汎用性の樹脂を用いることができる。例えば、ガラス類、プラスチック類、セラミックス及び金属等が挙げられる。具体的には、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリメチルペンテン、ポリウレタン、ウレタンアクリレート及びポリメチルメタクリレート等のアクリル系樹脂、並びにポリアミド、ポリカーボネート、ポリアセタール、共役結合を持つ天然ゴム、共役結合を持つ合成ゴム及びシリコーンゴム、ポリグリコール酸、ポリ乳酸、乳酸−グリコール酸共重合体、ポリアミノ酸、ポリリンゴ酸,ポリジオキサン、ポリ−ε−カプロラクトン及び乳酸−ε−カプロラクトン共重合体等の生分解性高分子材料等が挙げられる。材料はこれらを2種以上含むブレンドポリマー又はポリマーアロイであってもよい。
高分子基材は、本発明の効果を妨げない限り、必要に応じて、表面処理がされていてもよいし、表面にさらに他の層を有していてもよい。また、高分子基材は、フィルム又はシート状であってもよく、この場合、上記の各樹脂それぞれからなる複数の層で構成される積層フィルム又はシートであってもよい。
(2)含フッ素化合物
本発明において、用語「含フッ素化合物」とは、分子内にフッ素原子を含有する重合可能な単量体を意味する。含フッ素化合物は、常温で気体状のモノマーであってもよく、又は常温で液状のモノマーであってもよいが、後者を用いた場合にはより簡便に製造できるため好ましい。
常温で液状の含フッ素化合物としては、限定されないが、アクリレート系化合物、アクリル酸系化合物、アクリルアミド系化合物、スチレン系化合物、アクリロニトリル系化合物、ビニルピロリドン系化合物、ビニルエーテル系化合物、及びピロール系化合物等において、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子に置換されたものが挙げられる。
アクリレート系化合物としては、限定されないが、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルアクリレート、n−プロピルメタクリレート、イソプロピルアクリレート、イソプロピルメタクリレート、ラウリルアクリレート、ステアリルアクリレート等のα,β−エチレン性不飽和カルボン酸エステル;2−ヒドロキシルエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、3−ヒドロキシプロピルメタクリレート等のα,β−エチレン性不飽和カルボン酸のヒドロキシアルキルエステル;並びにジエチレングリコールメタクリレートのようなα,β−エチレン性不飽和カルボン酸のアルコキシアルキルエステル等が挙げられる。
アクリル酸系化合物としては、限定されないが、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、無水マレイン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸等が挙げられる。アクリルアミド系モノマーとしては、限定されないが、アクリルアミド、メチロールメタクリルアミド等が挙げられる。スチレン系モノマーとしては、限定されないが、スチレン、アルキルスチレン等が挙げられる。
本発明によれば、使用される含フッ素化合物は、フッ素原子を含有するラジカル重合性モノマーであることが好ましい。より好ましい含フッ素化合物として、例えば、カルボキシル基に対して直接又は2価の有機基を介してエステル結合又はアミド結合したフルオロアルキル基を有し、α位に置換基を有することのある、アクリル酸エステル(即ち、フルオロアルキル基含有アクリル酸エステル)及びアクリルアミド(即ち、フルオロアルキル基含有アクリルアミド)等が挙げられる。このような含フッ素化合物を用いることにより、表面自由エネルギーがより低く、かつより不活性であるという好ましい特性を高分子基材に付与できる。
フルオロアルキル基含有アクリル酸エステル又はフルオロアルキル基含有アクリルアミドの好ましい具体例としては、一般式:
CH2=C(−X)−C(=O)−Y−Z−Rf (I)
[式中、
Xは、水素原子、炭素数1〜21の直鎖状又は分岐状のアルキル基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、CFX12基(ここで、X1及びX2は、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子である)、シアノ基、炭素数1〜21の直鎖状若しくは分岐状のフルオロアルキル基、置換若しくは非置換のベンジル基又は置換若しくは非置換のフェニル基であり;
Yは、−O−又は−NH−であり;
Zは、炭素数1〜10の脂肪族基、炭素数6〜10の芳香族基若しくは環状脂肪族基、−CH2CH2N(R1)SO2−基(ここで、R1は炭素数1〜4のアルキル基である)、−CH2CH(OZ1)CH2−基(ここで、Z1は水素原子又はアセチル基である)、−(CH2m−SO2−(CH2n−基、−(CH2m−S−(CH2n−基(ここで、mは1〜10、nは0〜10である)、又は−(CH2m−COO−基(mは1〜10である)であり;そして
Rfは、ヘテロ原子を有していてもよい、炭素数1〜20の直鎖状又は分岐状のフルオロアルキル基である]
で表されるアクリル酸エステル又はアクリルアミドが例示され得る。
上記一般式(I)において、Rfで表されるフルオロアルキル基は、少なくとも1個の水素原子がフッ素原子で置換された、ヘテロ原子を有していてもよいアルキル基であり、全ての水素原子がフッ素原子で置換された、ヘテロ原子を有していてもよいパーフルオロアルキル基も包含するものである。
上記一般式(I)で表されるアクリル酸エステル又はアクリルアミドでは、Rfが炭素数1〜12の直鎖状又は分岐状のフルオロアルキル基(パーフルオロアルキル基を含む)であることが好ましく、特に、炭素数1〜3の直鎖状又は分岐状のフルオロアルキル基であることが好ましい。より具体的には、Rf基の例として、−CF3、−CF2CHF2、−CF2CF3、−(CF22CHF2、−(CF22CF3、−CF(CF32、−(CF23CHF2、−(CF23CF3、−CF2CF(CF32、−C(CF33、−(CF24CHF2、−(CF24CF3、−(CF22CF(CF32、−CF2C(CF33、−CF(CF3)CF2CF2CF3、−(CF25CHF2、−(CF25CF3、及び−(CF23CF(CF32等が挙げられる。
上記一般式で表されるアクリル酸エステル又はアクリルアミドの具体例は、次の通りである。なお、下記の式中、Rfは、炭素数が1〜6、好ましくは1〜3である、フルオロアルキル基、好ましくは上記で列挙されたものである。
CH2=C(−H)−C(=O)−O−CH2−Rf
CH2=C(−H)−C(=O)−O−(CH22−Rf
CH2=C(−H)−C(=O)−O−(CH23−Rf
CH2=C(−H)−C(=O)−O−C64−Rf
CH2=C(−Cl)−C(=O)−O−(CH22−Rf
CH2=C(−H)−C(=O)−O−(CH22N(−CH3)SO2−Rf
CH2=C(−H)−C(=O)−O−(CH22N(−C25)SO2−Rf
CH2=C(−H)−C(=O)−O−CH2CH(−OH)CH2−Rf
CH2=C(−H)−C(=O)−O−CH2CH(−OCOCH3)CH2−Rf
CH2=C(−H)−C(=O)−O−(CH22−S−Rf
CH2=C(−H)−C(=O)−O−(CH22−S−(CH22−RfCH2=C(−H)−C(=O)−O−(CH23−SO2−Rf
CH2=C(−H)−C(=O)−O−(CH22−SO2−(CH22−Rf
CH2=C(−H)−C(=O)−NH−(CH22−Rf
CH2=C(−CH3)−C(=O)−O−CH2−Rf
CH2=C(−CH3)−C(=O)−O−(CH22−Rf
CH2=C(−CH3)−C(=O)−O−(CH23−Rf
CH2=C(−CH3)−C(=O)−O−C64−Rf
CH2=C(−CH3)−C(=O)−O−(CH22N(−CH3)SO2−Rf
CH2=C(−CH3)−C(=O)−O−(CH22N(−C25)SO2−Rf
CH2=C(−CH3)−C(=O)−O−CH2CH(−OH)CH2−Rf
CH2=C(−CH3)−C(=O)−O−CH2CH(−OCOCH3)CH2−Rf
CH2=C(−CH3)−C(=O)−O−(CH22−S−Rf
CH2=C(−CH3)−C(=O)−O−(CH22−S−(CH22−Rf
CH2=C(−CH3)−C(=O)−O−(CH23−SO2−Rf
CH2=C(−CH3)−C(=O)−O−(CH22−SO2−(CH22−Rf
CH2=C(−CH3)−C(=O)−NH−(CH22−Rf
CH2=C(−F)−C(=O)−O−(CH22−S−Rf
CH2=C(−F)−C(=O)−O−(CH22−S−(CH22−Rf
CH2=C(−F)−C(=O)−O−(CH22−SO2−Rf
CH2=C(−F)−C(=O)−O−(CH22−SO2−(CH22−Rf
CH2=C(−F)−C(=O)−NH−(CH22−Rf
CH2=C(−Cl)−C(=O)−O−(CH22−S−Rf
CH2=C(−Cl)−C(=O)−O−(CH22−S−(CH22−Rf
CH2=C(−Cl)−C(=O)−O−(CH22−SO2−Rf
CH2=C(−Cl)−C(=O)−O−(CH22−SO2−(CH22−Rf
CH2=C(−Cl)−C(=O)−NH−(CH22−Rf
CH2=C(−CF3)−C(=O)−O−(CH22−S−Rf
CH2=C(−CF3)−C(=O)−O−(CH22−S−(CH22−Rf
CH2=C(−CF3)−C(=O)−O−(CH22−SO2−Rf
CH2=C(−CF3)−C(=O)−O−(CH22−SO2−(CH22−Rf
CH2=C(−CF3)−C(=O)−NH−(CH22−Rf
CH2=C(−CF2H)−C(=O)−O−(CH22−S−Rf
CH2=C(−CF2H)−C(=O)−O−(CH22−S−(CH22−Rf
CH2=C(−CF2H)−C(=O)−O−(CH22−SO2−Rf
CH2=C(−CF2H)−C(=O)−O−(CH22−SO2−(CH22−Rf
CH2=C(−CF2H)−C(=O)−NH−(CH22−Rf
CH2=C(−CN)−C(=O)−O−(CH22−S−Rf
CH2=C(−CN)−C(=O)−O−(CH22−S−(CH22−Rf
CH2=C(−CN)−C(=O)−O−(CH22−SO2−Rf
CH2=C(−CN)−C(=O)−O−(CH22−SO2−(CH22−Rf
CH2=C(−CN)−C(=O)−NH−(CH22−Rf
CH2=C(−CF2CF3)−C(=O)−O−(CH22−S−Rf
CH2=C(−CF2CF3)−C(=O)−O−(CH22−S−(CH22−Rf
CH2=C(−CF2CF3)−C(=O)−O−(CH22−SO2−Rf
CH2=C(−CF2CF3)−C(=O)−O−(CH22−SO2−(CH22−Rf
CH2=C(−CF2CF3)−C(=O)−NH−(CH22−Rf
CH2=C(−F)−C(=O)−O−(CH23−S−Rf
CH2=C(−F)−C(=O)−O−(CH23−S−(CH22−Rf
CH2=C(−F)−C(=O)−O−(CH23−SO2−RfCH2=C(−F)−C(=O)−O−(CH23−SO2−(CH22−Rf
CH2=C(−F)−C(=O)−NH−(CH23−Rf
CH2=C(−Cl)−C(=O)−O−(CH23−S−Rf
CH2=C(−Cl)−C(=O)−O−(CH23−S−(CH22−Rf
CH2=C(−Cl)−C(=O)−O−(CH23−SO2−Rf
CH2=C(−Cl)−C(=O)−O−(CH23−SO2−(CH22−Rf
CH2=C(−CF3)−C(=O)−O−(CH23−S−Rf
CH2=C(−CF3)−C(=O)−O−(CH23−S−(CH22−Rf
CH2=C(−CF3)−C(=O)−O−(CH23−SO2−Rf
CH2=C(−CF3)−C(=O)−O−(CH23−SO2−(CH22−Rf
CH2=C(−CF2H)−C(=O)−O−(CH23−S−Rf
CH2=C(−CF2H)−C(=O)−O−(CH23−S−(CH22−Rf
CH2=C(−CF2H)−C(=O)−O−(CH23−SO2−Rf
CH2=C(−CF2H)−C(=O)−O−(CH23−SO2−(CH22−Rf
CH2=C(−CN)−C(=O)−O−(CH23−S−Rf
CH2=C(−CN)−C(=O)−O−(CH23−S−(CH22−Rf
CH2=C(−CN)−C(=O)−O−(CH23−SO2−Rf
CH2=C(−CN)−C(=O)−O−(CH23−SO2−(CH22−Rf
CH2=C(−CF2CF3)−C(=O)−O−(CH23−S−Rf
CH2=C(−CF2CF3)−C(=O)−O−(CH23−S−(CH22−Rf
CH2=C(−CF2CF3)−C(=O)−O−(CH23−SO2−Rf
CH2=C(−CF2CF3)−C(=O)−O−(CH22−SO2−(CH22−Rf。
上記一般式(I)で表されるアクリル酸エステル又はアクリルアミドのより好ましい具体例としては、CH2=C(−H)−C(=O)−O−CH2−Rf、CH2=C(−H)−C(=O)−O−(CH22−Rf、CH2=C(−H)−C(=O)−O−(CH23−Rf、CH2=C(−CH3)−C(=O)−O−CH2−Rf、CH2=C(−CH3)−C(=O)−O−(CH22−Rf、CH2=C(−CH3)−C(=O)−O−(CH23−Rfであり、さらにより好ましくは、CH2=C(−H)−C(=O)−O−CH2−CF3、CH2=C(−H)−C(=O)−O−CH2−CF2CHF2、CH2=C(−H)−C(=O)−O−CH2−(CF23CHF2、CH2=C(−CH3)−C(=O)−O−CH2−(CF23CHF2、CH2=C(−H)−C(=O)−O−(CH22−(CF25CF3である。
上記したいずれものフルオロアルキル基含有アクリル酸エステル又はフルオロアルキル基含有アクリルアミドは、任意に選択のうえ、一種単独又は二種以上混合して用いることができる。
また、含フッ素化合物として、常温で気体状のものを用いることができる。この場合、限定されないが、プラズマ処理により気体状の含フッ素化合物を高分子基材の表面の一部に結合させることができる。この場合、気体状のフッ素含有化合物として重合性のものを使用し、プラズマ処理により高分子基材の表面を高分子薄膜で覆ってもよい。また、気体状のフッ素含有化合物として非重合性のものを使用し、プラズマ処理によりこのフッ素含有化合物を高分子基材の表面に結合させることにより表面改質を行ってもよい。
プラズマ処理の条件としては、高分子基材や気体状の含フッ素化合物の種類等に応じて適宜設定することができる。通常、気体状のフッ素含有化合物の存在下でいわゆる低温プラズマ処理を行う。しかしながら、真空又は大気圧のいずれにおける処理も不均一となる傾向がある。これに対して、本発明によれば、含フッ素化合物(モノマー)溶液+UV照射を用いる方法により処理が均一にされ、また、細かい形状や複雑な形状にもモノマー溶液を行き渡らせることができる。
(3)含フッ素化合物の重合体
本発明の高分子基材に使用される含フッ素化合物の重合体は、少なくとも1種の含フッ素化合物に基づく繰り返し単位を含有する重合体である。本発明の重合体の繰り返し単位の基となる含フッ素化合物は、上記(2)において具体的に記載した含フッ素化合物であってもよく、さらに別のフッ素含有化合物を用いることができる。なお、いずれの場合であっても、繰り返し数は、限定されないが、1〜10回、具体的には、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10回である。
含フッ素化合物の重合体の構成単位として、上記(2)の含フッ素化合物と同様に、例えば、フルオロアルキル基含有アクリル酸エステルを用いてもよい。フルオロアルキル基含有アクリル酸エステルを用いることにより、表面自由エネルギーがより低く、かつより不活性であるという好ましい特性を高分子基材に付与できる。
含フッ素化合物の重合体は、上記(2)の含フッ素化合物とともに用いられる場合、該含フッ素化合物の少なくとも一種と同一の含フッ素化合物に基づく繰り返し単位を少なくとも一種含有する重合体であってもよい。あるいは、含フッ素化合物の重合体は、含フッ素化合物に基づく繰り返し単位として、上記(2)の含フッ素化合物とはいずれも異なる含フッ素化合物に基づく繰り返し単位のみを含有する重合体であってもよい。
別の態様において、含フッ素化合物の重合体は、分子内にフッ素原子を含有しない化合物に基づく繰り返し単位をさらに含んでいてもよい。そのような繰り返し単位の基礎となる化合物としては、限定されないが、アクリル系化合物及びメタクリル系化合物等が挙げられる。
本発明においては、表面自由エネルギーを低下させ、後述するような所望の接触角及び滑落角を示す高分子基材を提供することができれば、容器等の内表面に化学結合させて結合させた本発明の含フッ素化合物と該含フッ素化合物の重合体の比率は限定されない。上記において、「化学結合」には、共有結合、配位結合、イオン結合、水素結合及びファンデルワールス結合が含まれるが、例えば、容器内への溶液の残存又はタンパク質の吸着を抑制しながら、溶出や表面層の剥離がなく、及び/又は均質な表面層を有する高分子製の容器を得るために、共有結合であることが好ましい。
2.本発明の高分子基材の用途
本発明の高分子基材は、工業用、医療用又は実験用の基材として使用できる。医療用又は実験用の本発明の高分子基材は、生体成分、例えば、タンパク質、血液、細胞と接触して用いられるものであり、その具体的な用途は限定されず、幅広く使用することができる。一般的に、医療用基材として使用する場合、例えば、医療器具、人工臓器、整形材料、生体適合材料、膜材料、細胞培養器材及び再生医療材料等として、又はその材料若しくは部品等として使用できる。また、実験用基材として使用する場合、例えば、各種実験器具として、又はその材料若しくは部品等として使用できる。さらに、工業用基材として使用する場合は、例えば、各種プラスチック製の器具や工具として使用することができる。別の態様では、上記に列挙した器具類を防汚目的として、本発明の高分子基材を用いてもよい。
医療用又は実験用基材の形状としては、特に限定されず用途に応じて適宜選択することができるが、例えば、チューブ、シート、フィルター、メンブレン、バッグ、バイアル、ディッシュ、プレート、フラスコ等が挙げられる。より具体的には、医療器具として、輸液バッグ、血液回路、細胞培養バッグ、細胞保存バッグ、創傷被覆材、癒着防止材、タンパク質又は細胞の注入器具(シリンジ及びカテーテル等)、バイアル等が挙げられる。また、人工臓器及び整形材料として、人工心臓、人工腎臓、人工肺、人工骨、人工皮膚及び人工関節等が挙げられる。膜(メンブレン)材料として、血漿分離膜、白血球除去膜、輸血用フィルター及びウイルス除去膜等が挙げられる。細胞培養器材として、細胞培養ディッシュ、細胞培養プレート及び細胞培養フラスコ等が挙げられる。再生医療材料として、再生医療用スキャフォールド等が挙げられる。実験器具として、マイクロチューブ、試験管、遠沈管、プレート等の容器;スポイト、ピペット、ピペットチップ、シリンジ等の分注器具;各種チューブ;電気泳動器具、プロテインチップ(マイクロアレイ)等の解析用機器等が挙げられる。
3.本発明の高分子基材の製造方法
本発明の高分子基材は、含フッ素化合物及び/又は含フッ素化合物に基づく繰り返し単位を含有する重合体を、少なくとも表面の一部に化学結合を介して結合させる工程を含む方法によって得ることができる。
本発明の上記製造方法においては、紫外線(UV)照射又は放射線照射によるグラフト重合により、ラジカル重合性の含フッ素化合物、及び/又はラジカル重合性の含フッ素化合物に基づく繰り返し単位を含有する重合体を、少なくとも表面の一部に化学結合を介して結合させることが好ましい。
上記工程において、含フッ素化合物及び重合体を溶解させる溶媒は、任意の汎用溶剤を用いることができ、限定されないが、例えば、常温下において沸点120℃以下、特に60〜110℃のものが好ましい。具体例として、炭化水素系溶剤、ケトン系溶剤、及びアルコール系溶剤等を挙げることができる。炭化水素系溶剤としては、限定されないが、酢酸エチル及びヘキサン等が挙げられる。ケトン系溶剤としては、限定されないが、メチルイソブチルケトン及びアセトン等が挙げられる。アルコール系溶剤としては、メタノール、エタノール、n(又はi)−プロパノール及び2(又はn)−ブタノール等が挙げられる。含フッ素化合物及び重合体を溶解させる溶媒として、一種の溶媒のみを用いてもよいし、二種以上の溶媒を混合して用いてもよい。溶媒には、さらに必要に応じて添加剤を添加して用いてもよい。
ラジカル重合法としては、限定されないが、UV照射、電子線照射(EB)、γ線照射、プラズマ処理、コロナ処理及び有機重合反応等が挙げられる。本発明によれば、例えば、含フッ素化合物を基材からグラフト重合させ、均一な表面層を形成させるために、UV照射によるグラフト重合が好ましい。
上記の通り、本発明は、例えば、UV照射によるグラフト重合により、少なくとも1種の含フッ素化合物、及び/又は少なくとも1種の含フッ素化合物の繰り返し単位で構成された重合体を高分子材料の表面に化学結合を介して結合させる工程を含む方法を提供するが、以下には、含フッ素アクリレートモノマーを用いた場合の製造例を示す。本発明の含フッ素アクリレートモノマーがグラフト重合により表面に結合させるために使用される高分子材料としては、C−H結合を有する材料が好ましい。このような高分子材料表面にUV照射し、該表面に立ち上がった炭素ラジカルを起点にして、含フッ素アクリレートモノマーをグラフト重合させることができる。
このグラフト重合では、含フッ素アクリレートモノマーの濃度が濃い条件、又はUVの長時間照射によりグラフト重合とは別に単独重合も進行しゲルが生成することがある。したがって、高分子材料表面でグラフト重合を行うには、UVを照射する時間及びモノマー反応液の濃度を最適にすることが望ましい。
そこで、本発明の製造方法におけるグラフト重合の好ましい形態を以下に示す。まず、含フッ素アクリレートモノマー(例えば、ビスコート13F)及び開始剤(例えば、アセトン)を溶媒(例えば、メタノール、エタノール、又はイソプロピルアルコール)に混合又は溶解させたモノマー反応液を用意する。この場合、溶媒に添加する含フッ素アクリレートモノマーの最終濃度は、約0.1〜3.0mol/L、好ましくは約0.3〜1.5mol/Lである。また、溶媒に添加する開始剤の最終濃度は、約0.01〜0.3mol/L、好ましくは約0.03〜0.15mol/Lである。続いて、モノマー反応液と高分子材料を接触させる形で、温度を一定に保ち、UV照射する。例えば、モノマー反応液を入れた高分子材料(例えば、ポリプロピレン製遠心管)を恒温水槽に入れた状態で、反応温度(約50〜80℃、好ましくは約55〜70℃、より好ましくは約60〜68℃、さらに好ましくは約65℃)を一定に保ち、恒温水槽(ガラス製)の外側からUV照射する。UV照射時間は、UV強度、必要とする表面層厚などに応じて設定する。この場合、UV照射時間としては、5〜120分が好ましく、例えば、5、10、15、20、25、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120分が挙げられる。
上記のグラフト重合法により、高分子材料表面に含フッ素アクリレートが存在してフッ素化されていることは、例えば、X線光電子分光分析法を用いた表面分析により確認することができる。
4.本発明の製造方法により製造した高分子基材の評価
フッ素樹脂は、分極率が低い。一般的に、極性の低い化学構造を有する材料は、他の材料との分子間の相互作用が小さいため、接触角が大きくなり、滑落角が小さくなる傾向がある。これらの特徴は、パーフルオロアルキル鎖骨格のCFやCFの極性の低さに由来すると考えられる。中でも、含フッ素アクリレートモノマーのパーフルオロアルキル鎖鎮が長いもので、高い効果が得られる。
パーフルオロアルキル鎖が短い場合、含フッ素アクリレートモノマーのエステル基の極性の影響を受け、CFやCFの低い極性由来の効果が相殺される。一方、パーフルオロアルキル鎖が長い場合、エステル基の極性の影響は受けにくいが、パーフルオロアルキル鎖が長すぎる場合、立体障害が大きくなり、重合反応性が顕著に低下するため、優れた効果が得られない傾向がある。さらに、末端基がCF基で構成されている場合、より優れた効果が得られる。これは、CFの極性がCHFなどの他の基と比較して極性が低いためである。
上記に示した高分子基材の効果は、高分子材料にグラフト重合された含フッ素化合物により形成される表面についての撥水性及び非剥離性の評価を接触角及び滑落角を測定することによって行うことができる。接触角及び滑落角の測定は、全自動接触角計Dmo−401(協和界面科学株式会社製)を用いて液滴を高分子基材表面に滴下後、5秒後の接触角を測定することにより行ってもよい。測定環境は、JIS R3257に準じて、温度15〜20℃、相対湿度50〜70%とする。こうした環境下で測定した場合、本発明の高分子基材の接触角は、好ましくは90°以上、より好ましく95°、さらに好ましくは100°、さらにより好ましくは105°、なおより好ましくは110°である。また、滑落角は、45°以下、好ましくは40°以下、より好ましくは35°以下、さらに好ましくは30°以下、さらにより好ましくは25°以下である。このような値の接触角及び滑落角であれば、タンパク質等の容器等への吸着を顕著に抑制することができる。
本発明の高分子基材は、上述した接触角及び滑落角の特徴に代えて又はそれに加えて、非粘着性の指標となる表面自由エネルギーによっても特徴付けることができる。表面自由エネルギーは、対象物表面を複数の溶媒(例えば、蒸留水、ジヨードメタン)を用いて接触角を測定することによって得られるが、本発明の高分子基材の表面自由エネルギーは、好ましくは20mJ/m以下、より好ましくは18mJ/m以下、さらに好ましくは14mJ/m以下である。また、このような表面自由エネルギーの下限は、グラフト重合された含フッ素化合物の構造の影響が大きいため、例えば、8mJ/m以上であり得る。本発明の高分子基材の表面自由エネルギーが上記範囲内にあれば、タンパク質等の吸着に対して優れた抑制効果を発現できる。
後述する実施例に示されるように、本発明の表面加工は、接触角が大きく、滑落角が小さく、撥水及び/又は撥油性に優れ、容器内への溶液の残存又はタンパク質の吸着が少ないという特徴を有する。また、表面と化学的に結合しているために、撥水性塗料などと異なり、水、有機溶剤などへ溶出せず、剥離しないという特徴がある。
以下の実施例により、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。
実施例1〜3:含フッ素アクリレートモノマーをグラフト重合させた容器の作製
容器内面に含フッ素アクリレートモノマーをグラフト重合させた容器を作製し、各種試験に用いた。含フッ素アクリレートモノマーとして、大阪有機化学工業株式会社より購入したビスコート3F、8F及び13Fをグラフト重合に用い、それぞれをグラフト重合させた容器を実施例1〜3とした。上記モノマーをグラフト重合させる容器として、15ml容量のプロピレン(PP)製遠沈管(住友ベークライト(株)製 MS‐56150)を用いた。なお、ビスコート3F、8F及び13Fの構造は以下の通りである。
ビスコート3F
Figure 2018053093
2,2,2−トリフルオロエチルアクリレート
ビスコート8F
Figure 2018053093
1H,1H,5H−オクタフルオロペンチルアクリレート
ビスコート13F
Figure 2018053093
1H,1H,2H,2H−トリデカフルオロオクチルアクリレート
[製造方法]
各種含フッ素アクリレートモノマー(液状)の濃度0.200mol/L、アセトン(開始剤)の濃度0.02mol/Lのメタノール溶液を調製し、30分間、窒素バブリングを行うことにより脱気した。モノマー溶液を15mL容量のプロピレン(PP)製遠沈管に移し、恒温水槽で65℃の熱を与えながら15分間UV照射することにより表面処理を行った。光源には、高圧水銀ランプ(セン特殊光源株式会社製HL1000DL−1)を使用した。
上記実施例に対する比較例1〜3として以下を用いた。
比較例1:(市販品)未処理PP製遠沈管
比較例2:(市販品)親水性コーティングPET遠沈管(住友ベークライト製、プロテオセーブ(登録商標)SS)
比較例3:従来のフッ素系塗料(ダイキン製、オプトコート)をコーティングした遠沈管
[確認方法]
上記で製造された容器の内表面に含フッ素アクリレートがグラフト重合されていることを確認するために、以下のように、X線光電子分光分析法(XPS)による測定を行った。実施例1と比較例1の容器を使用し、それらの内表面をXPSにより測定した。測定には、X線光電子分光分析装置((株)島津製作所製Kratos AXIS‐ULTRA DLD)を使用した。X線源はMGKα線であり、電源10kV、電流20mAで測定した。得られたスペクトルのピーク分離を行い、ピーク面積の比からC原子に対するF原子の原子比を求めた。その結果、実施例1は、含フッ素アクリレートモノマーのグラフト重合により、容器表面がフッ素化されていることが確認された(表1参照)。
Figure 2018053093
実施例4:接触角及び滑落角並びに表面自由エネルギーの測定
実施例1〜3及び比較例1〜3として得られた遠沈管について、接触角及び滑落角を測定した。接触角測定及び滑落角測定には純水を用い、接触角測定は液滴2μL、滑落角測定は液滴30μLを用いて行った。測定装置はDMo−401(協和界面科学株式会社製)を用いた。結果を下記の表2に示す。
Figure 2018053093
さらに、実施例1〜3及び比較例1について表面自由エネルギーを測定した。かかる表面自由エネルギーは、溶媒に水、ジヨードメタン、α-ブロモナフタレンを用い、拡張Fowkesの理論による表面自由エネルギー解析を行うことで算出した。結果を下記の表3に示す。
Figure 2018053093
各ビスコートでグラフト重合した高分子基材表面の接触角は90°以上であり、また滑落角は45°以下であった。さらに、表面自由エネルギーは、実施例1〜3のいずれも20mJ/m以下であった。このように、本発明の方法によって製造された高分子基材は、非常に撥水性が高く、液切れが良いことが示された。
実施例5:タンパク質吸着量の測定
容器内面に吸着したタンパク質の残存量を評価するために、ビシンコニン酸(BCA)を用いたタンパク質の比色定量化(BCA法)を行った。本実施例では、測定の簡便化のため、所定濃度に調整されたタンパク質溶液と試薬キットを用いて、分光光度計により発色具合を測定した。
血中のアルブミン濃度を参考に45mg/mLのアルブミン水溶液を調製した。次にアルブミン溶液をビスコート13F処理遠沈管、比較例1、比較例2、比較例3に15mL滴下し、37℃で1時間インキュベートした後に、3000rpmで10分間遠心分離した。内容物を他の容器へ空け、逆さまにして10分間放置し、内容物を除去した。その後、各容器へリン酸緩衝液を15 mL入れた。各容器の未知の濃度のタンパク質溶液0.1mL、希釈標準溶液2mLを混合させ室温で2時間試薬と反応させた後に分光光度計を用いて562nmの吸光度を測定し、タンパク質の残存量を計算した(表4参照)。
Figure 2018053093
表4に示すように、実施例3で調製した高分子基材表面に対するアルブミン吸着は、比較例1〜3と比べて、顕著に抑制することができることが示された。
なお、上記のアルブミン吸着量の測定については、以下に示すように、アルブミン溶液及び希釈標準溶液を調製し、及び検量線を作成した。
(1)4.5×10μg/mLのアルブミン溶液の調製
和光純薬工業株式会社製のアルブミン9.0gとリン酸緩衝液を合わせて200mLとし、45mg/mLのアルブミン水溶液を(pH=7.2)を調製した。
(2)希釈標準溶液の調製及び検量線の作成
(a)希釈標準溶液
和光純薬工業株式会社製試薬キットのビシンコニン酸溶液、硫酸銅(II)溶液を50:1の容量比で混合して、希釈標準溶液を調製した。
(b)標準液
濃度調整されたアルブミン溶液(2000μg/mL)をリン酸緩衝液で希釈し、250、500、1000、2000μg/mLの標準溶液を用意した。
(c)検量線
チューブに0.1mLの各アルブミン標準液を加えた後、希釈標準溶液を2mL加え、室温で2時間反応させた(定量範囲20〜2000μg/mL)。次に、それぞれの溶液をセルに移し、分光光度計を用いて562nmの吸光度を測定した。各濃度の溶液と吸光度から、検量線を作成した(図示せず)。
実施例6:表面層の溶出試験
実施例1〜3及び比較例1〜3について有機溶剤に暴露させ場合、性能が低下しないかを評価した。有機溶剤には、クロロホルム、メタノール、イソプロピルアルコール、アセトンを用いた。各有機溶剤に2時間浸漬させた後、実施例4と同様に接触角及び滑落角を測定した。結果を表5に示す。
Figure 2018053093
表4に示すように、実施例1〜3の高分子基材では、各種有機溶剤に対して、含フッ素アクリレートの溶出が観察されなかった。
実施例7:表面層の剥離試験
実施例1〜3及び比較例1〜3について、摩擦による機能層の剥離実験を行った。性能の変化は接触角及び滑落角の変化から判断した。結果を表6に示す。
Figure 2018053093
表6に示すように、親水性樹脂がコーティングされた比較例2、フッ素系塗料が塗布された比較例3は、摩擦により接触角及び滑落角に変化が見られ、機能層が剥離したことが確認された。一方で本発明の高分子基材は、機能層が高分子材料の表面と化学結合を介して固定化されているため、摩擦による接触角及び滑落角の変化は見られず、機能層の剥離は確認されなかった。
本願に引用される全ての刊行物、特許出願、特許及び他の参考文献は、参照によりその全体が、参照が存在する文及び/又は段落に関連する教示のために、組み込まれる。
本発明の高分子基材は、表面層が均一であり、容器内への溶液の残存が少なく又は容器表面へタンパク質が吸着しにくく、溶剤に溶出せず、摩擦などによる表面層の剥離が起こらないため、血液などの生体由来の成分と接する容器等などに特に有用である。

Claims (9)

  1. 少なくとも1種の含フッ素化合物、及び/又は少なくとも1種の含フッ素化合物の繰り返し単位で構成された重合体が、高分子材料の少なくとも表面の一部に化学結合を介して結合している高分子基材であって、該高分子基材表面の接触角90°以上かつ滑落角45°以下であること、及び/又は表面自由エネルギーが20mJ/m以下であることを特徴とする上記高分子基材。
  2. 含フッ素化合物が、アクリレート系化合物、アクリル酸系化合物、アクリルアミド系化合物、スチレン系化合物、アクリロニトリル系化合物、ビニルピロリドン系化合物、ビニルエーテル系化合物、及びピロール系化合物からなる群から選択される少なくとも1種の化合物において、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子に置換されている、請求項1に記載の高分子基材。
  3. 含フッ素化合物が、一般式(I):
    CH2=C(−X)−C(=O)−Y−Z−Rf (I)
    [式中、
    Xは、水素原子、炭素数1〜21の直鎖状又は分岐状のアルキル基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、CFX12基(ここで、X1及びX2は、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子である)、シアノ基、炭素数1〜21の直鎖状若しくは分岐状のフルオロアルキル基、置換若しくは非置換のベンジル基又は置換若しくは非置換のフェニル基であり;
    Yは、−O−又は−NH−であり;
    Zは、炭素数1〜10の脂肪族基、炭素数6〜10の芳香族基若しくは環状脂肪族基、−CH2CH2N(R1)SO2−基(ここで、R1は炭素数1〜4のアルキル基である)、−CH2CH(OZ1)CH2−基(ここで、Z1は水素原子又はアセチル基である)、−(CH2m−SO2−(CH2n−基、−(CH2m−S−(CH2n−基(ここで、mは1〜10、nは0〜10である)、又は−(CH2m−COO−基(mは1〜10である)であり;そして
    Rfは、ヘテロ原子を有していてもよい、炭素数1〜20の直鎖状又は分岐状のフルオロアルキル基である]
    で表される、請求項1に記載の高分子基材。
  4. Xが、水素原子又は炭素数1〜21の直鎖状又は分岐状のアルキル基であり;Yが、−O−であり;Zが、炭素数1〜10の脂肪族基であり;そして、Rfが、炭素数1〜20の直鎖状又は分岐状のフルオロアルキル基である、請求項3に記載の高分子基材。
  5. 高分子材料が、C−H結合を有することを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の高分子基材。
  6. 少なくとも1種の含フッ素化合物、及び/又は少なくとも1種の含フッ素化合物の繰り返し単位で構成された重合体がグラフト重合により高分子材料の表面に化学結合していることを特徴とする請求項5に記載の高分子基材。
  7. タンパク質吸着抑制、撥水、撥油、防汚、血液吸着抑制、及び/又は細胞付着抑制のために使用されることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の高分子基材。
  8. 工業用、医療用、又は実験用の、容器、バッグ、チューブ、メンブレン、ディッシュ、プレート、又はフラスコとして用いられる、請求項1〜7のいずれか1項に記載の高分子基材。
  9. 紫外線照射によるグラフト重合により、少なくとも1種の含フッ素化合物、及び/又は少なくとも1種の含フッ素化合物の繰り返し単位で構成された重合体を高分子材料の表面に化学結合を介して結合させる工程を含む、請求項1〜8のいずれか1項に記載の高分子基材を製造する方法。
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