JP2018070716A - 共重合体、生体分子捕捉用の生理活性物質固定化ポリマー、コーティング組成物、および物品 - Google Patents
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Abstract
Description
構造単位Aは、式(1)で表される構造単位であり、
構造単位Bは、式(2)で表される構造単位および式(3)で表される構造単位から選択される少なくとも1つの構造単位である、共重合体が提供される:
また、本発明によれば、上記共重合体および溶剤を含むコーティング組成物が提供される。
また、本発明によれば、上記生理活性物質固定化ポリマーおよび溶剤を含む、コーティング組成物が提供される。
また、本発明によれば、基材と、前記基材上に形成された上記共重合体を含むポリマー層とを備える物品が提供される。
また、本発明によれば、基材と、前記基材上に形成された上記生理活性物質固定化ポリマーを含む生理活性物質固定化ポリマー層とを備える物品が提供される。
ここで、構造単位Aは、式(1)で表される構造単位であり、構造単位Bは、式(2)で表される構造単位および式(3)で表される構造単位から選択される少なくとも1つの構造単位である:
構造単位Cの原料となるモノマーとしては、式(4)の構造に対応する(メタ)アクリレートを使用でき、これは1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。このようなモノマーとしては、3−(メタクリロキシ)プロピルジメチルメトキシシラン、3−(メタクリルオキシ)プロピルジメチルエトキシシラン、3−(メタクリルオキシ)プロピルメチルジエトキシシラン、3−(メタクリルオキシ)プロピルメチルジメトキシシラン、3−(メタクリルオキシ)プロピルトリメトキシシラン、3−(メタクリルオキシ)プロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
構造単位Dの原料となるモノマーとしては、式(5)の構造に対応する(メタ)アクリレートを使用でき、これらは1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。このようなモノマーの例としては、メタクリロイルオキシエチル4−アジド桂皮酸エステル(MECAz)が挙げられる。
ポリマーPが式(6)で表される構造単位および式(7)で表される構造単位から選択される少なくとも1つの構造単位で表される構造単位Eを含むことにより、ポリマーPへの様々なタンパク質の非特異的吸着の抑制の汎用性を高めることが可能となる。
構造単位Eの原料となるモノマーとしては、式(6)または式(7)の構造に対応する(メタ)アクリレートを使用でき、これらは1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。式(6)の構造に対応する(メタ)アクリレートモノマーとしては、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(MPC)が挙げられる。また、式(7)の構造に対応する(メタ)アクリレートモノマーとしては、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(PEGMA)、メタクリル酸ジエチレングリコールモノメチルエーテル(DEGM)等が挙げられる。
炭素数1〜10の直鎖または分枝鎖のアルキルとしては、メチル、エチル、プロピル、メチルエチル、ブチル、1,2−ジメチルエチル、ペンチル、1−メチルブチル、2−メチルブチル、およびヘキシル等が挙げられる。炭素数3〜8の脂環式アルキルとしては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル等が挙げられる。
構造単位Fの原料となるモノマーとしては、式(8)の構造に対応する(メタ)アクリレートを使用でき、これは1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。このようなモノマーとしては、n−ブチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート等が挙げられる。
装置:ゲルパーミエーションクロマトグラフィー装置(日本分光株式会社製、LC−2000Plusシリーズ)
カラム:東ソー社製、TSK−GELALPHA−M、ALPHA−2500
検出器:液体クロマトグラム用RI検出器
測定温度:40℃
溶媒:メタノール/水=7/3(vol/vol)混合溶媒
試料濃度:0.05wt%
本発明のポリマーPの合成は、モノマー化合物の調製およびこれらの重合を含め、当該分野で公知の方法を用いて行うことができる。モノマー化合物は、市販の化合物を使用することができる。重合方法としては、例えば、ラジカル重合法が挙げられる。また、ラジカル重合法を用いる場合、ラジカル重合開始剤を用いて重合する方法が好適である。この場合、懸濁重合、溶液重合、分散重合、乳化重合等の方法を取ることができる。中でも、溶液重合が好ましい。溶液重合の際には、各モノマーを全量一括仕込みで行ってもよいし、一部を反応容器に仕込み、残りを滴下して行ってもよい。また、後述するように、基材上に重合性官能基や連鎖移動基等を導入し、基材上で上記ポリマーPを合成してもよい。
アゾ化合物としては、たとえば2,2'−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、ジメチル2,2'−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、1,1'−アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)(ABCN)等が挙げられ、これらのうち、いずれか1種以上を使用できる。
また、有機過酸化物としては、たとえば、ジターシャリブチルパーオキサイド(DTBP)、過酸化ベンゾイル(ベンゾイルパーオキサイド,BPO)および、メチルエチルケトンパーオキサイド(MEKP)等を挙げることができ、これらのうち、いずれか1種以上を使用できる。
ラジカル重合開始剤の量(モル数)は、原料として用いるモノマーの合計モル数の0.05%〜3%とすることが好ましい。重合開始剤の量を前記範囲内で適宜設定し、かつ、反応温度、反応時間を適宜設定することで、得られるポリマーの重量平均分子量(Mw)を10000〜1000000に調整することができる。
重合溶媒には、必要に応じて、他の添加剤を含めてもよい。
(ポリマーPの基材への適用)
本発明のポリマーPは、ポリマーPを含むコーティング組成物を基材へ塗布することにより、当該基材の表面に適用される。基材は、無機または有機材料からなる基材を用いることができる。この場合、コーティング組成物は、ポリマーPに加え、溶剤、および必要に応じて界面活性剤等の添加剤を含み得る。溶剤としては、水、エタノール、メタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、t−ブチルアルコール、n−ペンタノール、シクロヘキサノール等のアルコール、ベンゼン、トルエン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジクロロメタン、クロロホルム、アセトン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルエチルケトン、メチルブチルケトン、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、シクロヘキサノン等が挙げられる。これらの溶媒は、単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。中でも、アルコールが、プラスチック基材を変性させず、乾燥させやすいため好ましい。
本発明のポリマーPが担持された基材(以下、担体という)には、各種の生理活性物質または生理活性物質含有物質を固定化することができる。生理活性物質としては、例えば、糖、糖質、糖鎖、ペプチド、タンパク質、核酸、細胞、脂質などが挙げられる。また、糖鎖または糖鎖を含む物質としては、単糖、2糖以上の糖鎖、糖アミノ酸、糖ペプチド、糖タンパク質、糖脂質、グリコサミノグリカン、グリコシルホスファチジルイノシトール、ペプチドグリカン、リポ多糖、およびそれらの誘導体などがある。なお、あらかじめポリマーPに生理活性物質または生理活性物質含有物質を固定化して生理活性物質固定化ポリマーを作製し、その後これを基材に担持させてもよい。このような生理活性物質固定化ポリマーは、基材に担持せず、粒子状等にして単独で、生体物質捕捉用のポリマーとして使用することもできる。
こうして得られた生理活性物質または生理活性物質含有物質を固定化した担体は、十分な量の生理活性物質または生理活性物質含有物質が化学結合で強固に固定化され、さらに検出対象以外の非特異吸着を抑制できることから、該生理活性物質または生理活性物質含有物質と特異的に結合し得る物質を選択的に捕捉することができ、生体物質捕捉用担体として使用できる。例えば、担体が板状である場合、バイオチップとして好適に用いることができる。
純水またはバッファで洗浄する工程としては、上記のように担体の官能基と結合しなかった生理活性物質または生理活性物質含有物質も同時に洗浄・除去する工程や、過剰な検出対象物または非検出対象物を洗浄・除去する工程が挙げられる。また、担体は、前記記載のとおり、基材上に重合性官能基や連鎖移動基等を導入し、基材上で上記ポリマーPを合成することにより作製してもよいし、あらかじめポリマーPに生理活性物質または生理活性物質含有物質を固定化し、その後基材に担持させてもよい。
ここで、本発明において、優れた親水性とは、純水との接触角が80°以下の水濡れ性を呈する状態をいう。接触角の測定方法は、公知の方法を採用でき、たとえば、協和界面化学株式会社製「CA−Z」等の市販の装置を用いて測定する方法を採用することができる。上記方法により、純水に対する接触角が80°以下であれば、ポリマーP又は生理活性物質固定化ポリマーは優れた親水性を有し、優れた生体適合性を有すると判断することができる。
なお、好ましくは、この接触角は、5°以上60°以下であり、さらに好ましくは5°以上40°以下である。ポリマーPを含むポリマー層、または生理活性物質固定化ポリマー層の接触角は、基材の用途に基づいて変更することができ、例えば、ポリマーPを含むポリマー層、生理活性物質固定化ポリマー層の厚み、ポリマーPを構成するモノマーの種類およびその組成、ポリマー層の形成方法等を選択することにより、調整できる。
(HEAA/AEG/シランカップリング剤ポリマーの合成)
2.12g(18.4mmol)のN−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド(HEAA、東京化成工業製)、0.47g(1.0mmol)のp−ニトロフェニルオキシカルボニル−4,5−ポリエチレングリコールメタクリレート(AEG、株式会社ナード研究所製)、0.135g(0.6mmol)の3−(メタクリロキシ)プロピルジメチルメトキシシラン(Gelest社製)、および0.066g(0.4mmol)の2,2'−アゾビス(イソブチロニトリル)をエタノール10mLに溶解させた後、得られた混合溶液を反応容器内に導入した。次に、10分間アルゴンガスを吹き込んだ後密閉し、60℃で20時間反応させた。
得られた溶液を、撹拌しながら、ヘキサン:アセトン:エタノール混合溶媒(体積比6:3:1)400mL中に徐々に滴下し、滴下終了後1時間撹拌した後、静置して析出物を沈降させた。上清を除去し、残った析出物をエタノール200mLに再溶解し、エバポレーターで濃縮して、目的のポリマーを含むエタノール溶液を得た。得られたポリマー溶液の一部をサンプル瓶に移し、48時間真空乾燥させた後の重量を測定して、このポリマー溶液の濃度を算出し、この値を基に、塗布用の0.3wt%エタノール溶液を作製した。
(HEAA/AEG/シランカップリング剤/MPCポリマーの合成)
0.576g(5mmol)のN−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド(HEAA、東京化成工業製)、0.235g(0.5mmol)のp−ニトロフェニルオキシカルボニル−4,5−ポリエチレングリコールメタクリレート(AEG、株式会社ナード研究所製)、0.114g(0.5mmol)の3−(メタクリロキシ)プロピルジメチルメトキシシラン(Gelest社製)、1.18g(4mmol)の2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(MPC)、および0.033g(0.2mmol)の2,2'−アゾビス(イソブチロニトリル)をエタノール10mLに溶解させた後、得られた混合溶液を反応容器内に導入した。次に、10分間アルゴンガスを吹き込んだ後密閉し、60℃で20時間反応させた。
得られた溶液を、撹拌しながら、ヘキサン:アセトン:エタノール混合溶媒(体積比6:3:1)400mL中に徐々に滴下し、滴下終了後1時間撹拌した後、静置して析出物を沈降させた。上清を除去し、残った析出物をエタノール200mLに再溶解し、エバポレーターで濃縮して、目的のポリマーを含むエタノール溶液を得た。得られたポリマー溶液の一部をサンプル瓶に移し、48時間真空乾燥させた後の重量を測定して、このポリマー溶液の濃度を算出し、この値を基に、塗布用の0.3wt%エタノール溶液を作製した。
(HEAA/AEG/シランカップリング剤/PEGポリマーの合成)
0.576g(5mmol)のN−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド(HEAA、東京化成工業製)、0.235g(0.5mmol)のp−ニトロフェニルオキシカルボニル−4,5−ポリエチレングリコールメタクリレート(AEG、株式会社ナード研究所製)、0.114g(0.5mmol)の3−(メタクリロキシ)プロピルジメチルメトキシシラン(Gelest社製)、1.87g(4mmol)のポリエチレングリコールメチルエーテルメタクリレート(分子量475、アルドリッチ社製)、および0.033g(0.2mmol)の2,2'−アゾビス(イソブチロニトリル)をエタノール10mLに溶解させた後、得られた混合溶液を反応容器内に導入した。次に、10分間アルゴンガスを吹き込んだ後密閉し、60℃で20時間反応させた。
得られた溶液を、撹拌しながら、ヘキサン:アセトン:エタノール混合溶媒(体積比6:3:1)400mL中に徐々に滴下し、滴下終了後1時間撹拌した後、静置して析出物を沈降させた。上清を除去し、残った析出物をエタノール200mLに再溶解し、エバポレーターで濃縮して、目的のポリマーを含むエタノール溶液を得た。得られたポリマー溶液の一部をサンプル瓶に移し、48時間真空乾燥させた後の重量を測定して、このポリマー溶液の濃度を算出し、この値を基に、塗布用の0.3wt%エタノール溶液を作製した。
(HEAA/アミノオキシ/シランカップリング剤ポリマーの合成)
0.864g(7.5mmol)のN−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド(HEAA、東京化成工業製)、0.864g(2mmol)のN−[2−[2−[2−(t−ブトキシカルボニルアミノオキシアセチルアミノ)エトキシ]エトキシ]エチル]−メタクリルアミド(アミノオキシ、株式会社ナード研究所製)、0.114g(0.5mmol)の3−(メタクリロキシ)プロピルジメチルメトキシシラン(Gelest社製)、および0.033g(0.2mmol)の2,2'−アゾビス(イソブチロニトリル)をエタノール7mLに溶解させた後、得られた混合溶液を反応容器内に導入した。次に、10分間アルゴンガスを吹き込んだ後密閉し、60℃で20時間反応させた。
得られた溶液を、撹拌しながら、ヘキサン:アセトン:エタノール混合溶媒(体積比6:3:1)400mL中に徐々に滴下し、滴下終了後1時間撹拌した後、静置して析出物を沈降させた。上清を除去し、残った析出物をエタノール200mLに再溶解し、エバポレーターで濃縮して、目的のポリマーを含むエタノール溶液を得た。得られたポリマー溶液の一部をサンプル瓶に移し、48時間真空乾燥させた後の重量を測定して、このポリマー溶液の濃度を算出し、この値を基に、塗布用の0.3wt%エタノール溶液を作製した。
(HEAA/AEG/BMAポリマーの合成)
0.576g(5mmol)のN−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド(HEAA、東京化成工業製)、0.235g(0.5mmol)のp−ニトロフェニルオキシカルボニル−4,5−ポリエチレングリコールメタクリレート(AEG、株式会社ナード研究所製)、0.64g(4.5mmol)のメタクリル酸n−ブチル(BMA、関東化学株式会社製)、0.033g(0.2mmol)の2,2'−アゾビス(イソブチロニトリル)をエタノール7mLに溶解させた後、得られた混合溶液を反応容器内に導入した。次に、10分間アルゴンガスを吹き込んだ後密閉し、60℃で20時間反応させた。
得られた溶液を、撹拌しながら、ヘキサン:アセトン:エタノール混合溶媒(体積比6:3:1)400mL中に徐々に滴下し、滴下終了後1時間撹拌した後、静置して析出物を沈降させた。上清を除去し、残った析出物をエタノール200mLに再溶解し、エバポレーターで濃縮して、目的のポリマーを含むエタノール溶液を得た。得られたポリマー溶液の一部をサンプル瓶に移し、48時間真空乾燥させた後の重量を測定して、このポリマー溶液の濃度を算出し、この値を基に、塗布用の0.3wt%エタノール溶液を作製した。
(HEAA/AEGポリマーの合成1)
1.1g(9.5mmol)のN−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド(HEAA、東京化成工業製)、0.235g(0.5mmol)のp−ニトロフェニルオキシカルボニル−4,5−ポリエチレングリコールメタクリレート(AEG、株式会社ナード研究所製)、0.033g(0.2mmol)の2,2'−アゾビス(イソブチロニトリル)をエタノール7mLに溶解させた後、得られた混合溶液を反応容器内に導入した。次に、10分間アルゴンガスを吹き込んだ後密閉し、60℃で20時間反応させた。
得られた溶液を、撹拌しながら、ヘキサン:アセトン:エタノール混合溶媒(体積比6:3:1)400mL中に徐々に滴下し、滴下終了後1時間撹拌した後、静置して析出物を沈降させた。上清を除去し、残った析出物をエタノール200mLに再溶解し、エバポレーターで濃縮して、目的のポリマーを含むエタノール溶液を得た。得られたポリマー溶液の一部をサンプル瓶に移し、48時間真空乾燥させた後の重量を測定して、このポリマー溶液の濃度を算出し、この値を基に、塗布用の0.3wt%エタノール溶液を作製した。
(HEAA/AEGポリマーの合成2)
1.14g(9.9mmol)のN−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド(HEAA、東京化成工業製)、0.045g(0.1mmol)のp−ニトロフェニルオキシカルボニル−4,5−ポリエチレングリコールメタクリレート(AEG、株式会社ナード研究所製)、0.033g(0.2mmol)の2,2'−アゾビス(イソブチロニトリル)をエタノール7mLに溶解させた後、得られた混合溶液を反応容器内に導入した。次に、10分間アルゴンガスを吹き込んだ後密閉し、60℃で20時間反応させた。
得られた溶液を、撹拌しながら、ヘキサン:アセトン:エタノール混合溶媒(体積比6:3:1)400mL中に徐々に滴下し、滴下終了後1時間撹拌した後、静置して析出物を沈降させた。上清を除去し、残った析出物をエタノール200mLに再溶解し、エバポレーターで濃縮して、目的のポリマーを含むエタノール溶液を得た。得られたポリマー溶液の一部をサンプル瓶に移し、48時間真空乾燥させた後の重量を測定して、このポリマー溶液の濃度を算出し、この値を基に、塗布用の0.3wt%エタノール溶液を作製した。
(HEAA/AEGポリマーの合成3)
1.13g(9.8mmol)のN−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド(HEAA、東京化成工業製)、0.090g(0.2mmol)のp−ニトロフェニルオキシカルボニル−4,5−ポリエチレングリコールメタクリレート(AEG、株式会社ナード研究所製)、および0.033g(0.2mmol)の2,2'−アゾビス(イソブチロニトリル)をエタノール7mLに溶解させた後、得られた混合溶液を反応容器内に導入した。次に、10分間アルゴンガスを吹き込んだ後密閉し、60℃で20時間反応させた。
得られた溶液を、撹拌しながら、ヘキサン:アセトン:エタノール混合溶媒(体積比6:3:1)400mL中に徐々に滴下し、滴下終了後1時間撹拌した後、静置して析出物を沈降させた。上清を除去し、残った析出物をエタノール200mLに再溶解し、エバポレーターで濃縮して、目的のポリマーを含むエタノール溶液を得た。得られたポリマー溶液の一部をサンプル瓶に移し、48時間真空乾燥させた後の重量を測定して、このポリマー溶液の濃度を算出し、この値を基に、塗布用の0.3wt%エタノール溶液を作製した。
以下の方法を用いて、上記ポリマーからなるポリマー層の純水に対する接触角を測定した。
プラズマ処理済みの環状ポリオレフィン製のプラスチック基板を、上記の0.3重量%コーティング組成物に浸して1分間静置した。その後、この基板をコーティング組成物より取り出した。次いで、この基板の表面を乾燥させ、100℃、真空中で一晩静置することにより、表面がポリマーでコーティングされたプラスチック基板を得た。これを実施例のプラスチック基板として用いた。
比較例1として、プラズマ処理した、環状ポリオレフィン製のプラスチック基板を用いた。
以下の方法を用いて、上記ポリマーからなるポリマー層への生理活性物質固定化能、および得られた生理活性物質固定化担体の生体分子に対する捕捉能を測定した。
(生理活性物質固定化能の測定)
実施例1、2、3、5、6、7、および8において、プラズマ処理済みの環状ポリオレフィン製のプラスチック基板を、それぞれ、上述の合成例1、2、3、5、6、7、8で得られた0.3重量%コーティング組成物に浸して1分間静置した後、この基板をコーティング組成物より取り出した。次いで、この基板の表面を乾燥させ、100℃、真空中で一晩静置する事で、表面がポリマーでコーティングされたプラスチック基板を得た。これを実施例のプラスチック基板として用いた。
比較例1として、プラズマ処理した、環状ポリオレフィン製のプラスチック基板を用いた。
まず、ポリマー合成例4で得られたポリマーを塗布したプラスチック基板を2mol/L 塩酸に浸し、室温で3時間反応させた。基板を塩酸から取り出した後、純水で洗浄し、乾燥させた。塩酸と反応させた基板と、比較例として用いた基板とに、pH5.0の300mM 酢酸ナトリウム溶液で1mMに調製したルイスX糖鎖の溶液 1μLを滴下し、80℃で1時間反応させた。基板を純水で洗浄後に、2価の金属イオンを含有したトリス緩衝液で1μg/mLに調製したBiotin標識AALレクチン溶液に基板を浸し、室温で1時間反応させた。基板を純水で洗浄後、2価の金属イオンを含有したトリス緩衝液で2μg/mLに調製したCy3標識ストレプトアビジン溶液の中に基板を浸し、室温で1時間反応させた。基板を純水で洗浄して乾燥させた後、マイクロアレイ用スキャナ(GenePix 4000B)を用いて、シグナルとしてルイスX糖鎖溶液を滴下した部分と、バックグラウンドとして滴下していない部分の、ぞれぞれのCy3の蛍光強度を測定した。結果を以下の表2に、「蛍光強度−1」として合わせて示す。
実施例1−8において、以下の方法を用いて、生理活性物質を固定化したポリマーからなるポリマー層の、生体分子に対する吸着量を測定した。
プラズマ処理済みのポリスチレン製96ウェルプレートの各ウェルに、上記の0.3重量%コーティング組成物を100μL分注し、30分静置した。溶液を排出した後、ウェルの表面を乾燥させ、60℃、真空中で一晩静置する事で、表面がポリマーでコーティングされた96ウェルプレートを得た。また、ポリスチレン製96ウェルプレートをプラズマ処理したものを、比較例1として用いた。
Claims (18)
- 構造単位Aおよび構造単位Bを含む共重合体であって、
構造単位Aは、式(1)で表される構造単位であり、
構造単位Bは、式(2)で表される構造単位および式(3)で表される構造単位から選択される少なくとも1つの構造単位である、共重合体:
- ポリスチレン基板に、0.3wt%水またはアルコール溶液を塗布し、乾燥したとき、当該共重合体が塗布された前記ポリスチレン基板の、純水に対する接触角が、5°以上80°以下である、請求項1〜5に記載の共重合体。
- 請求項1〜6のいずれか一項に記載の共重合体と、前記共重合体に固定化された生理活性物質とを含む、生体分子捕捉用の生理活性物質固定化ポリマー。
- 請求項1〜6のいずれか一項に記載の共重合体および溶剤を含む、コーティング組成物。
- 請求項7に記載の生理活性物質固定化ポリマーおよび溶剤を含む、コーティング組成物。
- 基材と、前記基材上に形成された請求項1〜6のいずれか一項に記載の共重合体を含むポリマー層とを備える物品。
- 前記ポリマー層の、純水に対する接触角が、5°以上80°以下である、請求項10に記載の物品。
- 前記ポリマー層が、1nm以上100nm以下の厚みを有する、請求項10または11に記載の物品。
- バイオアッセイ用である、請求項10〜12のいずれか一項に記載の物品。
- 前記ポリマー層に固定化された生理活性物質をさらに含む、請求項10〜13のいずれかに記載の物品。
- 基材と、前記基材上に形成された請求項7に記載の生理活性物質固定化ポリマーを含む生理活性物質固定化ポリマー層とを備える物品。
- 前記生理活性物質固定化ポリマー層の、純水に対する接触角が、5°以上80°以下である、請求項15に記載の物品。
- 前記生理活性物質固定化ポリマー層が、1nm以上100nm以下の厚みを有する、請求項15または16に記載の物品。
- バイオアッセイ用である、請求項15〜17のいずれか一項に記載の物品。
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