JP2016020822A - 分析用担体、その製造方法および使用方法 - Google Patents

分析用担体、その製造方法および使用方法 Download PDF

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Abstract

【課題】生理活性物質を固定化することができる担体、特に好ましくは、生理活性物質を固定化することができ且つ非特異吸着が抑制された担体を簡便に作製し、提供する。【解決手段】コア部と捕捉部を有する分析用担体であって、コア部の表面に重合体が固定化されており、コア部への重合体の結合数が0.001本/nm2ないし0.5本/nm2であることを特徴とする。【選択図】なし

Description

本発明は、生理活性物質を固定化するための分析用担体、該分析用担体の製造方法に関するものである。
一般的に生理活性物質固定化のための分析用担体は、粒子、基板、繊維、フィルター、膜、シートの形状で提供される。
担体が粒子の場合、カラムや容器に充填して、生理活性物質の反応、分離、精製等を行うため、あるいは診断ツールのために用いられる。また、担体が基板の場合は、前記同様に診断ツールなどに用いられる。さらに繊維、フィルター、膜、シートの場合は大量の分離、精製ツール等に用いられる。
このような目的の場合、担体表面に確実に生理活性物質を固定化することが必須であり、そのため、以前は樹脂に対する物理化学吸着による生理活性物質の固定が主流であったが、現在では、生理活性物質の剥離を防ぐ目的で、担体表面に官能基を導入し、生理活性物質を化学結合により固定化する方法が採用されるようになった。
これにより、生理活性物質の剥離を防ぐとともに、分子量や構造によらず確実に生理活性物質を固定化することが可能となった。
特許文献1には、磁性体を内包する樹脂製マイクロビーズを乳化重合により作製し、ビーズ表面の官能基にエチレングリコールジグリシジルエーテルを反応させ、モノクローナル抗体を結合させる方法が記載されている。
一方、特許文献2には、入手容易な汎用樹脂製マイクロビーズを基材として、その表面を加水分解し、表面に精製したカルボン酸に親水性のスペーサー分子を結合させ、さらにスペーサー分子の官能基に生理活性物質を結合し、親水性により非特異吸着を抑制する方法が記載されている。
しかしながら、特許文献1の方法では、マイクロビーズを重合により作製する工程が必要で、煩雑であるとともに、必要な粒径、粒度分布を制御することが困難である。
また、特許文献2の方法により得られるマイクロビーズは、加水分解によりカルボン酸を生じる樹脂を基材として用いる必要があり、当該マイクロビーズを、そのスペーサー分子に固定した生理活性物質に親和性の高い物質を捕捉するために使用する場面において、生体由来の夾雑物を多く含む検体を接触させると非特異吸着を抑制しきれない可能性が高いという問題もあった。
特開2005−241547号公報 特開2009−031130号公報
本発明は上記実情に鑑み成し遂げられたものであり、生理活性物質を固定化することができる担体、特に好ましくは、生理活性物質を固定化させることができ、且つ非特異吸着が抑制された担体を簡便に作製し、提供することを目的とする。
また、本発明の他の目的は、上記した生理活性物質固定化用担体の上に生理活性物質を固定した担体を提供することを目的とする。
本発明は以下の通りである。
(1)コア部と捕捉部を有する分析用担体であって、
コア部の表面に捕捉部を有する重合体が結合されており、
前記重合体が、側鎖に非特異吸着抑制構造を有する第1ユニットと、
側鎖の末端に生理活性物質を固定化しうる捕捉部を有する第2ユニットと
を有し、
かつ、コア部への表面に結合されている重合体の数が0.001本/nm以上0.5本/nm以下である、
分析用担体。

(2)重合体の非特異吸着抑制構造がベタイン構造を有するものである、
(1)に記載の分析用担体。

(3)前記生理活性物質を固定化しうる構造が、活性エステル構造を有するものである、(1)または(2)に記載の分析用担体。

(4)前記第1ユニットが下記(化1)で表される、(2)または(3)に記載の分析用担体。

( 式中R1は水素原子またはメチル基を示し、R2はベタイン構造を有する官能基を示
す。Xは−O−,−S−,−NH−,−CO−,−CONH−で中断されてもよい炭素数0〜20の炭化水素鎖を示す。)

(5)前記ベタイン構造がホスホリルコリン基である、(2)ないし(4)のいずれかに記載の分析用担体。

(6)前記第2ユニットが、下記(化2)で表される、(3)ないし(5)のいずれかに記載の分析用担体。

( 式中R3は水素原子またはメチル基を示し、Yは炭素数1〜10のアルキレングリコ
ール残基またはアルキレン基を示す。Wは活性エステルを示す。qは1〜100の整数を示す。qが2以上100以下の整数である場合、繰り返されるYは、それぞれ同一であっても、異なっていてもよい。)

(7)前記活性エステル構造が、p−ニトロフェニルエステル構造またはN−ヒドロキシスクシンイミドエステル構造である(3)ないし(6)に記載の分析用担体。

(8)コア部に重合体を結合するための基が、
重合性官能基、または連鎖移動基である、
(1)ないし(7)に記載の分析用担体。

(9)コア部に重合体を結合するための重合性官能基が、
メタクリル基、アクリル基、及びビニル基のいずれか1種以上である、
(8)に記載の分析用担体。

(10)コア部に重合体を結合するための連鎖移動基が、
メルカプト基である(8)に記載の分析用担体。

(11)コア部の表面への重合性官能基、または連鎖移動基の導入が、重合性官能基、または連鎖移動基を有するシランカップリング剤によってなされる(8)ないし(10)に記載の分析用担体。

(12)前記シランカップリング剤が重合性官能基、または連鎖移動基を有するアルコキシシランである(11)に記載の分析用担体。

(13)コア部が無機材料を含む、
(1)ないし(12)に記載の分析用担体。

(14)前記無機材料が無機酸化物である、
(13)に記載の分析用担体。

(15)無機酸化物が酸化ケイ素である、
(13)ないし(14)に記載の分析用担体。

(16)コア部の形状が粒子、平板、繊維、フィルター、膜、シートのいずれかである、(13)ないし(15)に記載の分析用担体。

(17)分析用担体であって、コア部に結合している重合体中の活性エステルを介して生理活性物質を固定化したものである、
(1)ないし(16)に記載の分析用担体。

(18)生理活性物質が、生体由来物質や生体外で合成される低分子有機化合物である、(17)に記載の分析用担体。

(19)分析用担体の製造方法であって、
(1)重合性官能基、または連鎖移動基を有するアルコキシシランを酸性溶液中で加水分解する工程、
(2)重合性官能基、または連鎖移動基を有するアルコキシシランの酸性溶液中でコア部を加熱する工程、
(3)重合性官能基、または連鎖移動基を有するアルコキシシランを化学結合させたコア部に、重合性モノマーを重合させる工程
を含む、
請求項1ないし(16)に記載の分析用担体の製造方法。

(20)重合反応がラジカル重合反応であることを特徴とする、
(19)に記載の分析用担体の製造方法。

(21)分析用担体の製造方法であって、
(4)(19)に記載の分析用担体に、生理活性物質を接触させ、固定化する工程
をさらに含む、
分析用担体の製造方法。

(22)生理活性物質を固定化させた分析用担体に、標的生体物質を接触させることにより標的生体物質を捕捉する、
分析用担体の使用方法。
前記のとおり、生理活性物質を固定化する重合体の結合数を前記量に規定することにより、生理活性物質を効率的に固定化することができる担体、特に反応触媒を必要とせず生理活性物質を固定化することができ、且つ非特異吸着を抑制した担体を簡便に作製し、提供することが可能となった。
以下、本発明の分析用担体、その製造方法および使用方法について説明する。
本発明の分析用担体は、コア部と捕捉部を有する分析用担体であって、コア部の表面に生理活性物質を固定化可能な捕捉部を有する重合体が結合されている。ここで、筆者らは、生理活性物質を固定化することのできる重合体の、コア部へ結合させる数を一定数にすることで、効率的に生理活性物質を固定化することができることを見出した。このメカニズムについては、重合体のモビリティを高くすることによる効果で、生理活性物質を効率的に固定化できることを推定している。
具体的には、コア部への重合体の結合数が0.001本/nm〜0.5本/nmであり、より好ましくは0.001本/nm〜0.3本/nmであり、さらに好ましくは0.01本/nm〜0.3本/nmである。コア部への結合数を上記の数にすることにより、コア部の生理活性物質の固定化能を高くすることが可能となる。この結合数を上記の数にする方法としては、例えば、重合体を生成するための官能基を、上記の範囲になるようにコア部に導入し、この官能基を起点として重合体を生成する方法が挙げられる。該官能基の導入量を制御するには、コア部表面に該官能基を導入する際、それとは異なる官能基を導入する試薬を共存させるとよい。たとえばシリカ粒子に、重合開始基となる連鎖移動基を導入する場合、連鎖移動基を有するシランカップリング剤と連鎖移動基を持たないシランカップリング剤の比率を変えた反応溶液を作製し、これをシリカ粒子表面に反応させると、連鎖移動基を有するシランカップリング剤の比率に応じて連鎖移動基の導入量を制御することができる。
また、前記重合体は、生理活性物質が捕捉する標的生体物質以外のタンパク質等の非特異吸着を抑制しうる第1ユニットと、官能基として側鎖の末端に生理活性物質を固定化す
る機能を有する第2ユニットと、を有することを特徴とする。
第1ユニットが、後述の生理活性物質によって捕捉可能な標的生体物質以外のタンパク質等の非特異吸着を抑制する役割を果たす。
また、第2ユニットが、側鎖の末端に生理活性物質を固定化する機能を有することにより、さまざまな生理活性物質を効率良く、かつ簡易にコア部に固定化することを可能とする。これにより、該標的生体物質を特異的に捕捉できるようになる。
生理活性物質によって捕捉可能な物質以外のタンパク質等の非特異吸着を抑制しうる第1ユニットとしては、例えば、側鎖にポリエチレングリコール、水酸基、ベタイン構造などを有するユニットが挙げられ、特に非特異吸着性が高いという観点からベタイン構造が好ましい。
側鎖の末端に生理活性物質を固定化する機能を有する第2ユニットとしては、例えば、側鎖の末端に活性エステル、カルボキシル基、エポキシ基、アミノ基および/またはこれを保護機で保護したもの、チオール基、シランカップリング剤など加水分解等でシラノール基を生成する基、アミノオキシ基および/またはこれを保護機で保護したもの、ヒドラジド基および/またはこれを保護機で保護したものを有するユニットが挙げられ、特にアミノ基やカルボキシル基を有することの多い生理活性物質との反応性の高い活性エステル構造が好ましい。
また、我々は、第1ユニットと、第2ユニットとの組み合わせを種々検討した結果、側鎖にベタイン構造を有する第1ユニットと、側鎖の末端に活性エステル構造を有する第2ユニットの組み合わせが、きわめて効率よく、かつ簡易にアミノ基を有する生理活性物質を固定化することができ、さらには生理活性物質を固定化したコア部が、高感度に標的生体物質を捕捉しうることを見出した。すなわち、本発明の分析用担体の最良の形態としては、生理活性物質を固定化する機能を有する担体であって、具体的には、担体表面に重合体が結合されており、前記重合体は、側鎖にベタイン構造を有する第1ユニットと、側鎖の末端に活性エステル構造を有する第2ユニットと、を有するものが挙げられる。
前記側鎖にベタイン構造を有する第1ユニットは、例えば下記(化1)で示される。

(式中R1は水素原子またはメチル基を示し、R2はベタイン構造を有する官能基を示す。Xは−O−,−S−,−NH−,−CO−,−CONH−で中断されてもよい炭素数0〜20の炭化水素鎖を示す。)
前記(化1)を構成するためのモノマーとしては、例えばカルボキシベタイン系モノマー、スルホベタイン系モノマー、ホスホベタイン系モノマー、ホスホリルコリン系モノマーなどが挙げられる。
カルボキシベタイン系モノマーの具体例としては、例えばジメチル(2−メタクリロイ
ルオキシエチル)(2−カルボキシラトエチル)アミニウム、ジメチル(2−アクリロイルオキシエチル)(2−カルボキシラトエチル)アミニウム、ジメチル(2−メタクリロイルオキシエチル)(3−カルボキシラトプロピル)アミニウム、ジメチル(2−アクリロイルオキシエチル)(3−カルボキシラトプロピル)アミニウム、ジメチル(2−メタクリロイルオキシエチル)(4−カルボキシラトブチル)アミニウム、ジメチル(2−アクリロイルオキシエチル)(4−カルボキシラトブチル)アミニウム、ジメチル(2−メタクリロイルオキシエチル)(カルボキシラトメチル)アミニウム、ジメチル(2−アクリロイルオキシエチル)(カルボキシラトメチル)アミニウム等が挙げられる。
スルホベタイン系モノマーの具体例としては、例えばジメチル(2−メタクリロイルオキシエチル)(2−スルホナトエチル)アミニウム、ジメチル(2−アクリロイルオキシエチル)(2−スルホナトエチル)アミニウム、ジメチル(2−メタクリロイルオキシエチル)(3−スルホナトプロピル)アミニウム、ジメチル(2−アクリロイルオキシエチル)(3−スルホナトプロピル)アミニウム、ジメチル(2−メタクリロイルオキシエチル)(4−スルホナトブチル)アミニウム、ジメチル(2−アクリロイルオキシエチル)(4−スルホナトブチル)アミニウム、ジメチル(2−メタクリロイルオキシエチル)(スルホナトメチル)アミニウム、ジメチル(2−アクリロイルオキシエチル)(スルホナトメチル)アミニウム等が挙げられる。
ホスホベタイン系モノマーの具体例としては、例えばジメチル(2−メタクリロイルオキシエチル)(2−ホスホナトエチル)アミニウム、ジメチル(2−アクリロイルオキシエチル)(2−ホスホナトエチル)アミニウム、ジメチル(2−メタクリロイルオキシエチル)(3−ホスホナトプロピル)アミニウム、ジメチル(2−アクリロイルオキシエチル)(3−ホスホナトプロピル)アミニウム、ジメチル(2−メタクリロイルオキシエチル)(4−ホスホナトブチル)アミニウム、ジメチル(2−アクリロイルオキシエチル)(4−ホスホナトブチル)アミニウム、ジメチル(2−メタクリロイルオキシエチル)(ホスホナトメチル)アミニウム、ジメチル(2−アクリロイルオキシエチル)(ホスホナトメチル)アミニウム等が挙げられる。
また、ホスホリルコリン系モノマーの具体例としては、例えば2−(メタ)アクリロイルオキシエチルホスホリルコリン、2−(メタ)アクリロイルオキシエトキシエチルホスホリルコリン、6−(メタ)アクリロイルオキシヘキシルホスホリルコリン、10−(メタ)アクリロイルオキシエトキシノニルホスホリルコリン、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルホスホリルコリン、2−(メタ)アクリロイルオキシブチルホスホリルコリン等が挙げられる。
重合体中にベタイン構造を有することにより、血清や細胞ライセート等に含まれるタンパク質等の非特異吸着を大きく抑制することができる。なかでも、ホスホリルコリン系モノマーを使用した重合体は非特異吸着の抑制効果が高く、好ましい。特に、モノマーとしては、入手容易性から2−(メタ)アクリロイルオキシエチルホスホリルコリンが最も好ましい。
次に、前記側鎖の末端に活性エステル構造を有する第2ユニットとしては、下記(化2)で示されるように、活性エステル構造がアルキレン基または炭素数1〜10のアルキレングリコール残基Yの連鎖を介して結合した化合物であることが挙げられる。

(繰り返し構造)
( 式中R3は水素原子またはメチル基を示し、Yはアルキレン基または炭素数1〜10
のアルキレングリコール残基を示す。Wは活性エステル構造を示す。qは1〜100の整数を示す。qが2以上100以下の整数である場合、繰り返されるYは、それぞれ同一であっても、異なっていてもよい。)
前記式(2)中のYがアルキレン基である場合、qは1〜100の整数であり、好ましくは1〜20であり、より好ましくは1〜10であり、最も好ましくは1〜6である。qの値が前記範囲内であることにより、タンパク質等の非特異吸着抑制に優れる。
前記式(2)中のYがアルキレングリコール残基である場合、アルキレングリコール残基Yの炭素数は1〜10であり、好ましくは1〜6であり、より好ましくは2〜4であり、更に好ましくは2〜3であり、最も好ましくは2である。炭素数が前記範囲内であると、特にタンパク質等の非特異吸着抑制に優れる。
また、アルキレングリコール残基Yの繰り返し数qは、特に限定されるものではないが、好ましくは1〜100の整数であり、より好ましくは2〜100の整数であり、更に好ましくは2〜95の整数であり、最も好ましくは4〜90の整数である。前記繰り返し数qが前記範囲内であると、特にタンパク質等の非特異吸着抑制に優れる。
本発明の使用する「活性エステル構造」は、エステル基の片方の置換基に酸性度の高い電子求引性基を有して求核反応に対して活性化されたエステル群、すなわち反応活性の高いエステル構造を意味するものとして、各種の化学合成、たとえば高分子化学、ペプチド合成等の分野で慣用されているものである。実際的には、フェノールエステル類、チオフェノールエステル類、N−ヒドロキシアミンエステル類、複素環ヒドロキシ化合物のエステル類等がアルキルエステル等に比べてはるかに高い活性を有する活性エステル構造として知られている。
このような活性エステル構造としては、たとえばp−ニトロフェニル活性エステル、N−ヒドロキシスクシンイミド活性エステル、コハク酸イミド活性エステル、フタル酸イミド活性エステル、5−ノルボルネン−2、3−ジカルボキシイミド活性エステル等が挙げ
られるが、p−ニトロフェニル活性エステル又はN−ヒドロキシスクシンイミド活性エステルが好ましく、保存安定性と反応性のバランスからp−ニトロフェニル活性エステルが最も好ましい。
これら活性エステル構造は、活性エステル構造を有するモノマーを重合することで重合体に組み込んでもよいし、あるいは、活性エステル構造を導入しうる官能基を有する重合体をあらかじめ合成しておき、後から活性エステル構造を導入してもよい。
前記重合体の第1ユニットと、第2ユニットとの共重合比(第1ユニット/第2ユニット)は、特に限定されないが、例えば97/3〜5/95であることが挙げられ、特に90/10〜10/90であることが好ましい。共重合比が前記範囲内であると、特に非特
異吸着を効果的に抑制するとともに、生理活性物質を固定化する効果に優れる。
前記共重合比は、例えばX線光電子分光分析(XPS)で元素組成を評価することで算出できる。
本発明の重合体の化学構造は、その結合方式がランダム、ブロック、グラフトなどの形態であることが挙げられ、なかでも、第1ユニットと第2ユニットを含むランダム共重合体であることが好ましい。これにより、第2ユニットの側鎖の末端に存在する活性エステル構造が分散するために、有効に作用することができる。
前記重合体の重量平均分子量は、特に限定されないが、例えば5000〜1000000であることが挙げられ、特に10000〜100000であることが好ましい。重量平均分子量が前記範囲内であると、合成時のハンドリングがよく、また、タンパク質等の非特異吸着を効果的に抑制することができる。
次に重合体のコア部への結合方法について述べる。
コア部に重合体を結合するための方法としては、例えばコア部の表面に導入した重合性官能基または連鎖移動基を介して重合体を生成する方法が挙げられる。なお、重合性官能基の例としては、例えばメタクリル基、アクリル基、及びビニル基のいずれかが挙げられ、これらを1種または2種以上組合せも良い。また、連鎖移動基の例としては、例えばメルカプト基が挙げられる。これらの基をコア部に導入するには、これらの基を有するシランカップリング剤とコア部を結合させる方法が挙げられる。本発明の一態様において使用する具体的な試薬については後述する。
前記シランカップリング剤としては、例えばメタクリロキシプロピルジメチルメトキシシラン、メタクリロキシプロピルジメチルエトキシシラン、メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、3−メルカプトプロピルジメチルメトキシシラン、3−メルカプトプロピルジメチルエトキシシラン、メルカプトエチルトリエトキシシランが挙げられる。
シランカップリング剤により、重合体をコア部に結合させる具体的な方法としては、面に存在する水酸基との間のカップリング反応による方法等があげられる。
前記シランカップリング剤を用いることで、重合体がコア部表面から脱離することを防ぐことができることから、分析用担体しての使用時に、繰り返される加熱処理や、洗浄工程における重合体の溶解を防ぐことが可能であり、さらに、重合体の脱離に伴い発生する、非特異吸着抑制成分および活性エステル構造の低減が抑制され、化学的、物理的安定した分析用担体を提供することが可能となる。
また、活性エステル構造の低減を防ぐことで、生理活性物質の固定化量を高く維持できることから、該生理活性物質が特異的に捕捉する物質(標的生体物質)の捕捉量が大きくなり、かつ、非特異吸着抑制成分の低減が抑制されていることから標的生体物質以外のタンパク質等に対する非特異吸着が少なくなり、S/N比の高い分析用担体を提供することができる。
前記コア部の基材は、特に限定されるものではなく、有機材料、無機材料を問わず用い
ることができる。有機材料としては、例えばアフィニティクロマトグラフィーの担体として用いられる多孔性のアガロース粒子(商品名:Sepharose)、デキストラン粒子(商品名:Sephadex)の他に、ポリアクリルアミドゲル(商品名:Bio−Gel P、バイオラッド社)、ポリスチレン、エチレン−無水マレイン酸共重合物、ポリメタクリル酸メチル、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリアミド、アクリル系樹脂等の各種樹脂材料等が挙げられる。また、無機材料としては、金、銀、白金、パラジウム、イリジウム、ロジウム、オスミウム、鉄、銅、コバルト、アルミニウムおよびこれらの合金や無機酸化物等が挙げられる。
これらの中でも無機酸化物が粒子自体の強度が高い点で好ましく、さらに酸化ケイ素が取り扱いやすく最も好ましい。また、酸化ケイ素をコア部として用いると、Si-O結合が疎水性低分子化合物の吸着を抑制することが知られており好ましい(文献 特開2008-107310参照)。
コア部の形状は、例えば粒子、基板、繊維、フィルター、膜、シートなどの形態が挙げられるが、中でも粒子状であるものが表面に重合体が固定化しやすいため、好ましい。なお、基板状のコア部としては、例えばスライドガラス形状の平板状の基板や、マルチウェルプレート等を挙げることができる。
粒子状のコア部の場合、平均粒径は、目的および用途に応じて適宜選択される。特に、無機物の場合、粒径の制御が困難な乳化重合や懸濁重合で有機物の粒子を製造する方法に比較して、粒径の制御が容易である。
具体的に、本発明の分析用担体に用いる粒子の粒径としては、用途によっても異なるが、一般的に平均粒径が数nm〜100μm程度のものが挙げられ、100nm〜50μmが好ましく、1μm〜40μmがさらに好ましい。前記担体の平均粒径が前記範囲内であると、特に生理活性物質の固定化量とハンドリングの良さとのバランスに優れる。このような平均粒径は、例えば粒度分布計で測定することができる。
また、本発明の分析用担体は、生理活性物質を固定化し、その生理活性物質が標的生体物質を特異的に捕捉することができる。
上記生理活性物質を固定化する方法としては、コア部に化学結合している重合体中の活性エステル構造を介して固定化することが挙げられる。
また、上記生理活性物質の一例としては、生体由来物質や生体外で合成される低分子有機化合物などが挙げられる。生体由来物質としては、例えば免疫蛋白質、酵素、微生物、核酸、低分子有機化合物、非免疫蛋白質、免疫グロブリン結合性蛋白質、糖、糖結合性蛋白質、糖鎖、脂肪酸もしくは脂肪酸エステル、あるいはリガンド結合能を有するポリペプチドもしくはオリゴペプチド、脂質、ホルモン、サイトカイン、ウイルス、細胞、微生物、アミノ酸が挙げられ、さらにその複合体、誘導体やそれらの人為的合成物などを含む。また、生体外で合成される低分子有機化合物としては、ビタミン、薬剤、環境ホルモンなどが挙げられる。
(重合体結合担体の作製)
重合体を化学結合させた重合体結合担体の製造方法としては、例えば、
(1)重合性官能基、または連鎖移動基を有するアルコキシシランを酸性溶液中で加水分解する工程、
(2)重合性官能基、または連鎖移動基を有するアルコキシシランの酸性溶液中でコア部を加熱する工程、
(3)重合性官能基、または連鎖移動基を有するアルコキシシランを結合させたコア部に、重合性モノマーを重合させる工程
を含むことが挙げられる。
以下、上記例について詳細を述べる。
本発明の重合体の作製方法は、重合の容易さから、例えばコア部表面に、重合性官能基、または連鎖移動基を有するシランカップリング剤を結合させ、生理活性物質が捕捉する物質以外のタンパク質等の非特異吸着を抑制しうるモノマーと、活性エステル構造を有する重合性モノマーおよび該コア部を含む混合物を、重合開始剤存在下、溶媒中でラジカル重合することが挙げられる。
重合性官能基または連鎖移動基を有するシランカップリング剤としては、前述のシランカップリング剤を好適に用いることができる。シランカップリング剤がアルコキシシランの場合、加水分解により生成されたシラノール基が、コア部表面の水酸基、アミノ基、カルボニル基、シラノール基等と脱水縮合して共有結合を形成する。シラノール基の脱水縮合により形成される共有結合は加水分解されにくい性質があるので、核となる粒子表面に固定化された重合体は容易に溶解したり、核となる粒子から脱離してしまうことはない。シラノール基の脱水縮合は加熱処理により促進される。高分子物質が熱により変成されない温度範囲内、例えば、60〜180℃で5分間〜24時間加熱処理するのが好ましい。また、前記シランカップリング剤のコア部への結合数については、前記のとおり0.001本/nm〜0.5本/nmであり、より好ましくは0.001本/nm〜0.3本/nmであり、さらに好ましくは0.01本/nm〜0.3本/nmであるが、その結合数の測定方法については、例えば実施例に記載した方法等が挙げられる。
その後、コア部表面に結合したカップリング剤を基点として、重合体を重合する。重合する際の条件としては、例えば温度が40℃〜100℃、重合時間は1時間〜48時間であることが挙げられる。
また、溶媒としてはそれぞれのモノマーが溶解するものであればよく、例えば、2−ブタノン、メタノール、エタノール、t−ブチルアルコール、ベンゼン、トルエン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジクロロメタン、クロロホルムなどを挙げることができる。これらの溶媒は、単独または2種以上の組み合わせで用いられる。
また、結合数を上記の数にする方法としては、例えば後述するとおりシランカップリング剤の溶液中の濃度を調整することなどが挙げられる。ただし、重合体の結合数が減少すると、コア部への生体分子の非特異吸着量が増加する恐れがあるので、親水性基を導入できるシランカップリング剤を併用するとよい。親水性基を導入できるシランカップリング剤としてはN−(3-TRIETHOXYSILYLPROPYL)GLUCONAMI
DE、BIS(2−HYDROXYETHYL)−3−AMINOPROPYLTRIETHOXYSILANE、N−(HYDROXYETHYL)−N−METHYLAMINOPROPYLTRIMETHOXYSILANE、HYDROXYMETHYLTRIETHOXYSILANEなどが挙げられる。
本発明の目的を達成するための、前記処理を行うシランカップリング剤の溶液中の濃度については、前記重合性官能基または連鎖移動基を有するシランカップリング剤と前記親水性基を導入できるシランカップリング剤全体で例えば0.01〜10wt%であることが
挙げられ、0.1〜5wt%が好ましく、1〜5wt%であることがより好ましい。また、前記重合性官能基または連鎖移動基を有するシランカップリング剤と前記親水性基を導入できるシランカップリング剤の割合は、例えば50:50〜0.1:99.9であることが挙げられ、30:70〜0.1:99.9であることが好ましく、10:90〜0.1:99.9であることがより好ましい。シランカップリング剤の濃度及び前記重合性官能基または連鎖移動基を有するシランカップリング剤と前記親水性基を導入できるシランカップ
リング剤の割合が上記の範囲であることで、コア部の単位面積あたりの重合体の結合数を前記の範囲とすることができ、その結果分析用担体の生理活性物質の固定化能を高くすることが可能となる。
重合開始剤としては通常のラジカル開始剤ならいずれでもよく、例えば、2,2’−アゾビスイソブチルニトリル(以下「AIBN」という)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1 −カルボニトリル)などのアゾ化合物、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウリル
などの有機過酸化物などを挙げることができる。
また、本発明の重合体の作製方法は、コア部表面に重合開始基を共有結合させ、前記生理活性物質が捕捉する標的生体物質以外のタンパク質等の非特異吸着を抑制しうるモノマーと、前記活性エステル構造を有する重合性モノマーおよび該コア部を含む混合物を、溶媒中でリビングラジカル重合してもよい。
リビングラジカル重合には様々な方法があるが、特に制限を受けるものではなく、原子移動ラジカル重合、可逆的付加-開裂連鎖移動重合、ニトロキシドを介したラジカル重合
などを好適に用いることができる。
さらには、予め重合した重合体をコア部表面に結合させてもよい。この場合、例えば該重合体の溶液を調製し、浸漬、吹きつけ等の公知の方法でコア部表面に塗布した後、室温下ないしは加温下にて乾燥させることにより化学結合を行う。
前述の重合体の溶液濃度は特に制限されるものではないが、一例として0.05重量%以上であることが挙げられ、好ましくは0.1〜30重量%、より好ましくは0.1〜20重量%、さらに好ましくは0.3〜10重量%であることが挙げられる。重合体溶液中の重合体濃度が上記範囲内にあることにより、重合体の、コア部へ化学結合させる数を一定数にすることができ、効率的に生理活性物質を固定化することができる。
(生理活性物質の固定化)
本発明において生理活性物質をコア部に固定化する方法としては、
(4)前記記載の分析用担体に、生理活性物質を接触させる工程
をさらに含むことが挙げられ、具体的には、例えば、生理活性物質を溶解又は分散させた液体を付着する方法が挙げられる。生理活性物質を溶解又は分散した液体のpHは5.0〜11.0であることが好ましく、pH6.0〜10がより好ましい。pHが上記範囲であることにより、固定化を効率よく行うことができるとともに、生理活性物質の変性・分解を抑制することが可能となる。
生理活性物質付着後は、アミノエタノール等のアミノ基を有する低分子物質でコア部を処理し未反応の活性エステルを失活させてしまうことが好ましい。
前記生理活性物質は、例えば、前述した物質が挙げられる。
前記、生理活性物質を化学結合させた分析用担体に、標的生体物質を接触させることにより標的生体物質の捕捉が可能となる。
以下、本発明を実施例および比較例に基づいて詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
<実施例1>
(p−ニトロフェニルオキシカルボニル−ポリエチレングリコールメタクリレート(MEONP)の重合)
0.01molのポリエチレングリコールモノメタクリレート(Blenmer PE−200(n=4)、日本油脂(株)製)を20mLのクロロホルムに溶解させた後、−30℃まで冷却した。−30℃に保ちながらこの溶液に、予め作製しておいた0.01molのp−ニトロフェニルクロロフォーメート(Aldrich製)と0.01molのトリエチルアミン(和光純薬(株)製)及びクロロホルム20mLの均一溶液をゆっくりと滴下した。−30℃にて1h反応させた後、さらに2時間溶液を攪拌した。その後反応液から塩をろ過により除去し、溶媒を留去してp−ニトロフェニルオキシカルボニル−ポリエチレングリコールメタクリレート(MEONP)を得た。得られたモノマーを重クロロホルム溶媒中1H―NMRで測定し、エチレングリコール残基が平均4.5単位含まれていることを確認した。
(コア部表面への連鎖移動基の導入)
メルカプトプロピルジメチルメトキシシラン(東京化成工業株式会社製、M0928)0.05mLとN−(3-TRIETHOXYSILYLPROPYL)GLUCONA
MIDE, 50%inEthanol(Gelest社製、SIT8189.0)9.
9mLをpH3.0の酢酸水溶液50mLとエタノール45mLとの混合液に添加し、シランカップリング剤を加水分解した後に、シリカ粒子(平均粒径5μm、細孔径1000Å、富士シリシア化学株式会社製SMB1000−5)10gを投入し70℃で2時間攪拌した後、吸引ろ過により反応溶液からシリカ粒子を回収し、100℃で1時間加熱した。その後、エタノールで分散させてよく振盪した後、遠心分離により上澄みを除去し乾燥させた。
(コア部表面への重合体の結合)
2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(以下MPCモノマーと記載、日本油脂株式会社製)と先に合成したMEONPを、エタノールに溶解させ、モノマー混合溶液を作製した。総モノマー濃度は0.9mol/L、それぞれのモル比はMPCモノマー、MEONPの順に80:20である。そこにAIBNを0.03mol/Lになるように添加し、均一になるまで撹拌した。その後、上記の連鎖移動基を導入したシリカ粒子10gを投入し、アルゴンガス雰囲気下、70℃で22時間反応させた。次いで、遠心分離により反応溶液からシリカ粒子を回収し、エタノールに分散させ、よく振盪した後、吸引ろ過により粒子を回収し、乾燥させた。
(コア部表面への重合体の結合本数の推定)
コア部への重合体の結合数については、以下の方法で算出した。
シランカップリング剤処理した粒子および、さらに重合体を結合させた粒子それぞれ20mgを異なるプラスチック容器に入れ、リン酸緩衝液(pH8.0)2mLと純水8mLを加えた。そこに、DTNB溶液(5,5’−dithiobis(2−nitrobenzoic acid(株式会社 同仁化学研究所製 D029)4mgをpH7.0の
リン酸緩衝液1mLに溶解したもの)66μL加えた。1時間転倒混和したのち、メルカプト基とDTNBとの反応により生じた5−mercapto−2−nitrobenzoic acidの412nmにおける吸光度測定を測定し、モル吸光係数15500か
らメルカプト基量を求め、単位重量あたりの粒子の表面積から、単位面積当たりのメルカプト基量を求めた。そして、シランカップリング剤処理した粒子と、さらに重合体を結合させた粒子の単位面積当たりのメルカプト基量の差を、重合体の結合数とみなした。本実施例の場合、重合体の結合数0.04本/nmであった。
(1次抗体固定化)
実施例1で得られた粒子各20mgに対し、50μg/mLに調製したCRP抗体(Abnova製)のりん酸水素二カリウム溶液1mLを加え、室温にて1晩転倒混和した。0.05%Tween20含有PBSで3回洗浄した。さらに0.1mol/Lの2−アミノエタノール(溶媒:pH9.5、0.05mol/LのTris−HCl緩衝液)で室温下、1時間処理し、活性エステルの不活性化を行った。
(CRPとの反応)
CRP抗体を固定化した粒子5mgに3μg/mLに調製したCRPのPBS溶液1mLを加え、室温にて1時間転倒混和した。遠心分離で粒子を回収後0.05%Tween20含有PBSで3回洗浄した。
(2次抗体との反応)
CRPを反応させた粒子に、1μg/mLに調製したHRP標識化CRP抗体(Abnova製)溶液を1mL加え、室温にて1時間転倒混和した。遠心分離で粒子を回収後0.05%Tween20含有PBSで3回洗浄した。
(CRP捕捉量の定量)
HRP標識化CRP抗体を反応させた粒子を、住友ベークライト株式会社製ペルオキシダーゼ発色キットを用いて発色させ、450nmの吸光度を測定することによりCRPの捕捉量を見積もった。
また、本実施例の粒子にCRP抗体を固定化せずに不活化のみを行ったものに対して、上記と同様にCRPとの反応、2次抗体との反応を実施し、CRPの非特異吸着量の定量を行った。
<実施例2>
実施例1のコア部表面への連鎖移動基の導入工程で、メルカプトプロピルジメチルメトキシシランの処方量を0.5mL、N−(3-TRIETHOXYSILYLPROPY
L)GLUCONAMIDE, 50% in Ethanolの処方量を9.9mLに変
更した以外は実施例1と同様に、連鎖移動基の導入し、さらに重合体を結合させた粒子を作製した。実施例1と同様に、シランカップリング剤処理した粒子と、さらに重合体を結合させた粒子の単位面積当たりのメルカプト基量の差から重合体の結合数を見積もったところ、重合体の結合は0.42本/nmであった。
実施例1と同様に、CRP抗体を固定化した粒子およびCRP抗体を固定化せずに不活化のみを行ったものに対して、上記と同様にCRPとの反応、2次抗体との反応を実施し、CRP捕捉量の定量を行った。
<比較例>
実施例のコア部表面への連鎖移動基の導入工程で、メルカプトプロピルジメチルメトキシシランの処方量を5mL、N−(3-TRIETHOXYSILYLPROPYL)G
LUCONAMIDE, 50% in Ethanolの処方量を0mLに変更した以外
は実施例と同様に、連鎖移動基の導入し、さらに重合体を結合させた粒子を作製した。実施例と同様に、シランカップリング剤処理した粒子と、さらに重合体を結合させた粒子の単位面積当たりのメルカプト基量の差から重合体の結合数を見積もったところ、重合体の結合は1.0本/nmであった。
実施例と同様に、CRP抗体を固定化した粒子およびCRP抗体を固定化せずに不活化のみを行ったものに対して、上記と同様にCRPとの反応、2次抗体との反応を実施し、CRP捕捉量の定量を行った。
いずれも不活性化粒子は450nmにおける吸光度が低く、CRPの非特異吸着が抑制できていることが分かる。一方、抗体固定化粒子については、実施例・比較例とも不活性化粒子よりも450nmにおける吸光度が高いことから、特異的にCRP捕捉できていることが分かる。さらに実施例は比較例よりも吸光度が高いことから、CRPがより多く捕捉できていることがわかる。
本発明により生理活性物質を固定化することができる担体、特に反応触媒を必要とせず生理活性物質を固定化することができ、且つ非特異吸着を抑制した担体を簡便に作製し、提供することが可能となった。




Claims (22)

  1. コア部と捕捉部を有する分析用担体であって、
    コア部の表面に捕捉部を有する重合体が結合されており、
    前記重合体が、側鎖に非特異吸着抑制構造を有する第1ユニットと、
    側鎖の末端に生理活性物質を固定化しうる捕捉部を有する第2ユニットと
    を有し、
    かつ、コア部への表面に結合されている重合体の数が0.001本/nm以上0.5本/nm以下である、
    分析用担体。
  2. 重合体の非特異吸着抑制構造がベタイン構造を有するものである、
    請求項1に記載の分析用担体。
  3. 前記生理活性物質を固定化しうる構造が、活性エステル構造を有するものである、
    請求項1または2に記載の分析用担体。
  4. 前記第1ユニットが下記化1で表される、請求項2または3に記載の分析用担体。

    ( 式中R1は水素原子またはメチル基を示し、R2はベタイン構造を有する官能基を示
    す。Xは−O−,−S−,−NH−,−CO−,−CONH−で中断されてもよい炭素数0〜20の炭化水素鎖を示す。)
  5. 前記ベタイン構造がホスホリルコリン基である、請求項2ないし4のいずれかに記載の分析用担体。
  6. 前記第2ユニットが、下記化2で表される、請求項3ないし5のいずれかに記載の分析用担体。

    ( 式中R3は水素原子またはメチル基を示し、Yは炭素数1〜10のアルキレングリコ
    ール残基またはアルキレン基を示す。Wは活性エステルを示す。qは1〜100の整数を示す。qが2以上100以下の整数である場合、繰り返されるYは、それぞれ同一であっても、異なっていてもよい。)
  7. 前記活性エステル構造が、p−ニトロフェニルエステル構造またはN−ヒドロキシスクシンイミドエステル構造である請求項3ないし6に記載の分析用担体。
  8. コア部に重合体を結合するための基が、
    重合性官能基、または連鎖移動基である、
    請求項1ないし7に記載の分析用担体。
  9. コア部に重合体を結合するための重合性官能基が、
    メタクリル基、アクリル基、及びビニル基のいずれか1種以上である、
    請求項8に記載の分析用担体。
  10. コア部に重合体を結合するための連鎖移動基が、
    メルカプト基である請求項8に記載の分析用担体。
  11. コア部の表面への重合性官能基、または連鎖移動基の導入が、重合性官能基、または連鎖移動基を有するシランカップリング剤によってなされる請求項8ないし10に記載の分析用担体。
  12. 前記シランカップリング剤が重合性官能基、または連鎖移動基を有するアルコキシシランである請求項11に記載の分析用担体。
  13. コア部が無機材料を含む、
    請求項1ないし12に記載の分析用担体。
  14. 前記無機材料が無機酸化物である、
    請求項13に記載の分析用担体。
  15. 無機酸化物が酸化ケイ素である、
    請求項13ないし14に記載の分析用担体。
  16. コア部の形状が粒子、平板、繊維、フィルター、膜、シートのいずれかである、
    請求項13ないし15に記載の分析用担体。
  17. 分析用担体であって、コア部に結合している重合体中の活性エステルを介して生理活性物質を固定化したものである、
    請求項1ないし16に記載の分析用担体。
  18. 生理活性物質が、生体由来物質や生体外で合成される低分子有機化合物である、請求項17に記載の分析用担体。
  19. 分析用担体の製造方法であって、
    (1)重合性官能基、または連鎖移動基を有するアルコキシシランを酸性溶液中で加水分解する工程、
    (2)重合性官能基、または連鎖移動基を有するアルコキシシランの酸性溶液中で担体を加熱する工程、
    (3)重合性官能基、または連鎖移動基を有するアルコキシシランを結合させた担体に、重合性モノマーを重合させる工程
    を含む、
    請求項1ないし16に記載の分析用担体の製造方法。
  20. 重合反応がラジカル重合反応であることを特徴とする、
    請求項19に記載の分析用担体の製造方法。
  21. 分析用担体の製造方法であって、
    請求項1ないし請求項19に記載の分析用担体に、生理活性物質を接触させ、固定化する工程
    (4)請求項19に記載の分析用担体に、生理活性物質を接触させ、固定化する工程
    をさらに含む、
    分析用担体の製造方法。
  22. 生理活性物質を固定化させた分析用担体に、標的生体物質を接触させることにより標的生体物質を捕捉する、
    分析用担体の使用方法。



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