JP2014066532A - 糖鎖固定用担体、その製造方法、および該糖鎖固定用担体に糖鎖もしくは糖鎖含有物質を固定した複合担体 - Google Patents

糖鎖固定用担体、その製造方法、および該糖鎖固定用担体に糖鎖もしくは糖鎖含有物質を固定した複合担体 Download PDF

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Abstract

【課題】糖鎖もしくは糖鎖含有物質の固定化能力に優れ、タンパク質等の非特異吸着が少ない糖鎖固定用担体およびその製造方法、並びに該糖鎖固定用担体に糖鎖もしくは糖鎖含有物質を固定した複合担体を提供する。
【解決手段】アルキレングリコール残基を有するエチレン系不飽和重合性モノマー(a)、糖鎖または糖鎖含有物質を固定化する官能基を有するエチレン系不飽和重合性モノマー(b)及び架橋可能な官能基を有するエチレン系不飽和重合性モノマー(c)を共重合して得られる高分子物質を担体表面に固定化していることにより糖鎖または糖鎖含有物質を固定化する糖鎖固定用担体を得る。
【選択図】なし

Description

本発明は、糖鎖固定用担体およびその製造方法、および該糖鎖固定用担体に糖鎖もしくは糖鎖含有物質を固定した複合担体に関する。
生化学分野において、近年、核酸、タンパク質に続く第三の鎖として糖鎖分子が注目されている。特に細胞の分化や癌化、免疫反応や受精などのかかわりが研究され、新たな医薬や医療材料を創製しようとする試みが続けられている。
また、糖鎖は多くの毒素、ウィルス及びバクテリアなどの受容体であり、また、癌のマーカーとしても注目されており、こちらの分野においても、同様に新たな医薬や医療材料を創製しようとする試みが続けられている。
しかしながら、糖鎖は、研究の重要性を認識されながら、その複雑な構造や多様性から、第一、第二の鎖である核酸、タンパク質に比較して研究の推進が著しく遅れている。
この研究を推進する目的で、糖鎖を精製するための方法が種々開発されている。また、糖鎖は、それ単独で機能を発揮するというより、細胞レセプターに対するリガンドとして機能する場合も多く確認され、それゆえに糖鎖に対するレセプターの解析に供するために、種々の糖鎖を固定化するための基材の開発も行われている(特許文献1、特許文献2)。
特許文献1には、三官能性スペーサーを用いて、第1に官能基に糖鎖、第2の官能基が固相担体、第3の官能基が発色団と結合させ糖鎖アレイを作製する方法が示されている。そして、実施例においては、糖鎖固定後に非特異吸着を防ぐために、ウシ血清アルブミンを用いたブロッッキング操作が記載されている。しかしながら、糖鎖固定後にブロッキング操作を行うことは煩雑である。
一方、特許文献2には、スペーサーを介して糖鎖を基材に固定化する方法が記載されておりスペーサーに親水性化合物を用いることで、非特異的吸着を抑制することが示されている。しかしながら、この方法においては、糖鎖の基材への固定化において、固相担体にハロゲン化アセチル基の導入の必要があり、基材の材質がガラスの場合においては、比較的容易であるが、汎用性に乏しい。また、前述のように糖鎖は多くの毒素、ウィルス及びバクテリアなどの受容体の研究にも使用されていることから、廃棄に際しては焼却処理が好ましく、材質がガラスであることは不利である
このように糖鎖を固定化するための適切な手法および基材の開発の遅れも相俟って、検出対象物質と糖鎖との相互作用の解析に有用な糖鎖が固定化された糖鎖アレイの開発も遅れているのが現状である。
特開2004−115616号公報 特開2006−078418号公報
本発明の課題は、糖鎖もしくは糖鎖含有物質の固定化能力に優れ、タンパク質等の非特異吸着が少ない糖鎖固定用担体およびその製造方法を提供すること、並びに該糖鎖固定用担体に糖鎖もしくは糖鎖含有物質を固定した複合担体を提供することである。
本発明は以下の通りである。
(1)糖鎖または糖鎖含有物質を固定化する担体であって、
アルキレングリコール残基を有するエチレン系不飽和重合性モノマー(a)、
糖鎖または糖鎖含有物質を固定化する官能基を有するエチレン系不飽和重合性モノマー(b)
及び架橋可能な官能基を有するエチレン系不飽和重合性モノマー(c)を
共重合して得られる高分子物質を担体表面に固定化していることを特徴とする糖鎖固定用担体。
(2)前記高分子物質を担体表面に固定化した後、さらに該高分子物質を架橋したことを特徴とする(1)記載の糖鎖固定用担体。
(3)前記アルキレングリコール残基を有するエチレン系不飽和重合性モノマー(a)が下記の一般式[1]で表されるモノマーである(1)または(2)に記載の糖鎖固定用担体。

(式中R1は水素原子またはメチル基を示し、R2は水素原子または炭素数1〜20のアルキル基を示す。Xは炭素数1〜10のアルキレングリコール残基を示し、pは1〜100の整数を示す。pが2以上の整数の場合、繰り返されるXは、同一であっても、または異なっていてもよい。)
(4)前記アルキレングリコール残基を有するエチレン系不飽和重合性モノマー(a)がメトキシポリエチレングリコールアクリレート又はメトキシポリエチレングリコールメタクリレートである(3)に記載の糖鎖固定用担体。
(5)前記メトキシポリエチレングリコールアクリレート及び/又はメトキシポリエチレングリコールメタクリレートのエチレングリコール残基の平均繰り返し数が3〜100である(4)に記載の糖鎖固定用担体。
(6)前記糖鎖または糖鎖含有物質を固定化する官能基を有するエチレン系不飽和重合性モノマー(b)が下記の一般式[2]で表されるモノマーである(1)乃至(5)いずれか1項に記載の糖鎖固定用担体。

(式中R3は水素原子またはメチル基を示し、Yはアルキレン基または炭素数1〜10の
アルキレングリコール残基を示す。Wは糖鎖または糖鎖含有物質を固定化する官能基を示す。qは1〜20の整数を示す。qが2以上20以下の整数である場合、繰り返されるYは、同一であっても、または異なっていてもよい。)
(7)前記糖鎖または糖鎖含有物質を固定化する官能基がp−ニトロフェニルエステル又はN−ヒドロキシスクシンイミドエステルである(6)に記載の糖鎖固定用担体。
(8)前記架橋可能な官能基を有するエチレン系不飽和重合性モノマー(c)の架橋可能な官能基が加水分解によりシラノール基を生成する官能基である(1)乃至(7)いずれか1項に記載の糖鎖固定用担体。
(9)前記架橋可能な官能基を有するエチレン系不飽和重合性モノマー(c)が下記の一般式[3]で表されるアルコキシシリルを有するモノマーである(8)に記載の糖鎖固定用担体。

(式中R4は水素原子またはメチル基を示し、Zは炭素数1〜20のアルキレン基を示す。A1、A2、A3の内、少なくとも1個は加水分解可能なアルコキシ基であり、その他はアルキル基を示す。)
(10)前記高分子物質を含む溶液を担体表面に塗布した後、該高分子物質を架橋させることを特徴とする(1)乃至(9)いずれか1項に記載の糖鎖固定用担体の製造方法。
(11)(1)乃至(9)いずれか1項に記載の糖鎖固定用担体に、糖鎖もしくは糖鎖含
有物質を固定化した複合担体。
(12)前記糖鎖もしくは糖鎖含有物質が単糖、2糖以上の糖鎖、糖アミノ酸、糖ペプチド、糖タンパク質、糖脂質、グリコサミノグリカン、グリコシルホスファチジルイノシトール、ペプチドグリカン、リポ多糖、及びそれらの誘導体から選ばれる少なくとも一つの物質である(11)に記載の複合担体。
(13)前記糖鎖もしくは糖鎖含有物質が分子中に少なくとも一つのアミノ基を有する(12)に記載の複合担体。
(14)前記担体がバイオチップ用基板である(1)乃至(13)いずれか1項に記載の糖鎖固定用担体または複合担体。
(15)前記基板がプラスチック製である(14)に記載の糖鎖固定用担体または複合担体。
(16)前記プラスチックが飽和環状ポリオレフィンである(15)に記載の糖鎖固定用担体または複合担体。
本発明によれば、糖鎖もしくは糖鎖含有物質の固定化能力に優れ、タンパク質等の非特異吸着が少なく、洗浄工程においても溶解したり劣化したりしない化学的・物理的安定性を有する糖鎖固定用担体を提供でき、更に該固定用担体に糖鎖もしくは糖鎖含有物質を固定することにより、それらが特異的に結合する物質を選択的に捕捉できる複合担体を提供することができる。特に担体を基板とした場合、SN比の高いバイオチップ用基板を提供することができる。
本発明の糖鎖捕捉用担体は、アルキレングリコール残基を有するエチレン系不飽和重合
性モノマー(a)、糖鎖もしくは糖鎖含有物質を固定化する官能基を有するエチレン系不飽和重合性モノマー(b)及び架橋可能な官能基を有するエチレン系不飽和重合性モノマー(c)を共重合して得られる高分子物質を担体表面に固定化していることを特徴とする。この高分子物質は、生理活性物質の非特異的吸着を抑制する性質、糖鎖もしくは糖鎖含有物質を固定化する性質および高分子鎖同士を架橋させる性質を併せ持つポリマーで、アルキレングリコール残基がタンパク質等の非特異的吸着を抑制し、糖鎖もしくは糖鎖含有物質を固定化する官能基でリガンドとなる物質を固定化することにより、該リガンドと特異的に結合する物質を選択的に捕捉することができる。
本発明に使用するアルキレングリコール残基を有するエチレン系不飽和重合性モノマー(a)は、特に構造を限定しないが、一般式[1]で表される(メタ)アクリル基と炭素数1〜10のアルキレングリコール残基Xの連鎖からなる化合物であることが好ましい。
式中のアルキレングリコール残基X の炭素数は1〜10であり、より好ましくは1〜
6であり、更に好ましくは2〜4であり、より更に好ましくは2〜3であり、最も好ましくは2である。アルキレングリコール残基Xの繰り返し数pは1〜100の整数であり、より好ましくは2〜100の整数であり、更に好ましくは2〜95の整数であり、最も好ましくは4〜90の整数である。繰り返し数2以上100以下の場合は、繰り返されるアルキレングリコール残基Xの炭素数は同一であっても、異なっていてもよい。
アルキレングリコール残基を有するエチレン系不飽和重合性モノマー(a)としては、例えばメトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールを側鎖とする(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール (メタ)アクリレート、エトキシポリエチレング
リコール(メタ)アクリレート等が挙げられるが、入手性からメトキシポリエチレングリコールメタクリレートが好ましい。
本発明に用いる糖鎖または糖鎖含有物質を固定化する官能基を有するエチレン系不飽和重合性モノマー(b)の官能基としては、アミノ基やヒドラジド基、オキシルアミノ基など糖鎖の還元末端と反応する官能基や、糖鎖または糖鎖含有物質に付随する官能基や物質と反応する官能基が好ましい。具体的な例としては、アルデヒド基、活性エステル基、エポキシ基、アミノ基、イソシアネート基、イソチオシアネート基、ヒドロキシル基、マレイミド基、アジド基、スルホネート基、受容体基、ビオチンなどがあるがこれらに限定されない。
これらの中でも糖鎖の多くが還元末端を有することから、アミノ基やヒドラジド基、オキシルアミノ基が好ましい。また、アミノ基を有する糖鎖もしくは糖鎖含有物質を固定化する場合は、アルデヒド基、活性エステル基、エポキシ基が好ましく、なかでもアミノ基との反応性と保存安定性のバランスから活性エステル基が最も好ましい。
なお、1級アミンなどラジカル重合の阻害剤として働く官能基やイソシアネートなど加熱により反応が進行しやすい官能基については、予め保護基で保護するのが好ましい。保
護基の種類は、その官能基が保護されれば特に制限はない。アミノ基、オキシルアミノ基、ヒドラジド基などの1級アミンを有する官能基にはtert−ブトキシカルボニル基(BOC基)、ベンジルオキシカルボニル基(Z基)が用いられる。中でも、脱保護のしやすさからtert−ブトキシカルボニル基(BOC基)が好ましい。また、イソシアネートはピラゾールやピラゾール誘導体で保護することができる。
脱保護条件は保護基に応じて適宜選択してよい。例えばtert−ブトキシカルボニル基(BOC基)の脱保護は、トリフルオロ酢酸、塩酸、塩酸−ジオキサン溶液、塩酸−酢酸エチル溶液など強酸を作用させるとよい。脱保護のタイミングは任意であるが、より活性の高い状態で糖鎖または糖鎖含有物質と反応させる方が有利であることから、それらとの反応の直前に行うのが好ましい。
本発明に使用する「活性エステル基」は、エステル基の片方の置換基に酸性度の高い電子求引性基を有して求核反応に対して活性化されたエステル群、すなわち反応活性の高いエステル基を意味するものとして、各種の化学合成、たとえば高分子化学、ペプチド合成等の分野で慣用されているものである。実際的には、フェノールエステル類、チオフェノールエステル類、N−ヒドロキシアミンエステル類、複素環ヒドロキシ化合物のエステル類等がアルキルエステル等に比べてはるかに高い活性を有する活性エステル基として知られている。
このような活性エステル基としては、たとえばp−ニトロフェニル活性エステル基、N−ヒドロキシスクシンイミド活性エステル基、コハク酸イミド活性エステル基、フタル酸イミド活性エステル基、5−ノルボルネン−2、3−ジカルボキシイミド活性エステル基
等が挙げられるが、p−ニトロフェニル活性エステル基又はN−ヒドロキシスクシンイミド活性エステル基が好ましく、p−ニトロフェニル活性エステル基が最も好ましい。
本発明に使用する糖鎖または糖鎖含有物質を固定化する官能基を有するエチレン系不飽和重合性モノマー(b)は、特に構造を限定しないが、下記の一般式[2]で表される(メタ)アクリル基と糖鎖または糖鎖含有物質を固定化する官能基が炭素数1〜10のアルキレングリコール残基の連鎖またはアルキレン基を介して結合した化合物であることが好ましい。
式[2]で、アルキレングリコール残基Yの炭素数は1〜10であり、より好ましくは1〜6であり、更に好ましくは2〜4であり、より更に好ましくは2〜3であり、最も好ましくは2である。アルキレングリコール残基Yの繰り返し数qは1〜20の整数であり、より好ましくは2〜18の整数であり、更に好ましくは3〜16の整数であり、最も好ましくは4〜14の整数である。繰り返し数2以上20以下の場合は、繰り返されるアルキレングリコール残基の炭素数は同一であっても、異なっていてもよい。
本発明に使用する糖鎖または糖鎖含有物質を固定化する官能基を有するエチレン系不飽和重合性モノマー(b)の望ましい組成比は1〜50mol%であり、好ましくは1〜30 mol% 、最も好ましくは1〜20mol%である。
本発明に使用する架橋可能な官能基を有するエチレン系不飽和重合性モノマー(c)は、架橋可能な官能基の反応が高分子物質合成中に進行しないものであれば特に制限されるものではない。
架橋可能な官能基としては、例えば加水分解によりシラノール基を生成する官能基や各種架橋剤と反応する基が挙げられる。高分子物質に含まれる架橋可能な官能基と架橋剤の官能基の組み合わせは、架橋が可能であれば特に限定されず、例えば、エポキシ基とアミノ基、グリシジル基とアミノ基、カルボキシル基とカルボジイミド基、カルボキシル基とエポキシ基、水酸基とイソシアネート基、カルボニル基とヒドラジノ基、エポキシ基とヒドラジノ基などが用いられるが、架橋剤が不要で架橋処理が容易なことから加水分解によりシラノール基を生成する官能基が好ましい。
加水分解によりシラノール基を生成する官能基とは、水と接触すると容易に加水分解を受けシラノール基を生成する基であり、例えば、ハロゲン化シリル基、アルコキシシリル基、フェノキシシリル基、アセトキシシリル基等を挙げることができる。ハロゲンを含まないことからアルコキシシリル基、フェノキシシリル基、アセトキシシリル基が好ましく、なかでもシラノール基を生成し易い点からアルコキシシリル基が最も好ましい。
加水分解によりシラノール基を生成する官能基を有するエチレン系不飽和重合性モノマーは、(メタ)アクリル基とアルコキシシリル基が炭素数1〜20のアルキル鎖を介して、または直接結合した一般式[3]で表されるエチレン系不飽和重合性モノマーであることが好ましい。
アルコキシシリル基を含有するエチレン系不飽和重合性モノマーとしては、例えば、3−(メタ)アクリロキシプロペニルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルビス(トリメチルシロキシ)メチルシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルジメチルメトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルジメチルエトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−( メタ)アクリロキシプ
ロピルトリス(メトキシエトキシ)シラン、8−(メタ)アクリロキシオクタニルトリメトキシシラン、11−(メタ)アクリロキシウンデニルトリメトキシシラン等の(メタ)アクリロキシアルキルシラン化合物等を挙げることができる。なかでも3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルジメチルメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルジメチルエトキシシランがアルキレングリコール残基を有するエチレン系不飽和重合性モノマーとの共重合性が優れている点、入手が容易である点等から好ましい。これらのアルコキシシリル基を有するエチレン系不飽和重合性モノマーは、単独または2種以上の組み合わせで用いられる。
本発明に使用する架橋可能な官能基を有するエチレン系不飽和重合性モノマー(c)の
望ましい組成比は1〜20mol%であり、好ましくは2〜15mol% 、最も好ましくは2
〜10mol% である。
本発明の高分子物質の合成方法は、特に限定されるものではないが、合成の容易さから、少なくともアルキレングリコール残基を有するエチレン系不飽和重合性モノマー(a)、糖鎖または糖鎖含有物質を固定化する官能基を有するエチレン系不飽和重合性モノマー(b)および架橋可能基を有するエチレン系不飽和重合性モノマー(c)を含む混合物を、重合開始剤存在下、溶媒中でラジカル重合することが好ましい。
溶媒としてはそれぞれのエチレン系不飽和重合性モノマーが溶解するものであればよく、例えば、メタノール、エタノール、t−ブチルアルコール、ベンゼン、トルエン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジクロロメタン、クロロホルム、メチルエチルケトン、アセトン等を挙げることができる。これらの溶媒は、単独または2種以上の組み合わせで用いられる。プラスチック基材に該高分子物質を塗布する場合は、エタノール、メタノールが基材を変性させないため好ましい。
重合開始剤としては通常のラジカル開始剤ならいずれでもよく、例えば、2,2’−アゾビスイソブチルニトリル(以下「AIBN」という)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)等のアゾ化合物、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウリル等の有機過酸化物等を挙げることができる。
本発明の高分子物質の化学構造は、少なくともアルキレングリコール残基、糖鎖または糖鎖含有物質を固定化する官能基及び架橋可能な官能基を有する各エチレン系不飽和重合性モノマーが共重合されたものであれば、その結合方式がランダム、ブロック、グラフト等いずれの形態をなしていてもかまわない。
本発明の高分子物質の分子量は、高分子物質と未反応のエチレン系不飽和重合性モノマーとの分離精製が容易になることから、数平均分子量は5000以上が好ましく、10000以上がより好ましい。
本発明の高分子物質で担体表面を被覆することにより、該担体にタンパク質等の非特異的吸着を抑制する性質、特定の糖鎖または糖鎖含有物質を固定化する性質を容易に付与することが可能である。さらに、該高分子物質は高分子鎖同士を架橋させる性質を併せ持つことから、担体表面を被覆した後に、架橋させることが可能である。これにより、担体上の高分子に不溶性を付与することができ、担体洗浄による高分子物質の流出を低減することができる。
担体表面への高分子物質の被覆は、例えば有機溶剤に高分子物質を0 . 0 5 〜 1
0 重量% 濃度になるように溶解した高分子溶液を調製し、浸漬、吹きつけ等の公知の方法で担体表面に塗布した後、室温下ないしは加温下にて乾燥させることにより行われる。その後、架橋可能な官能基に応じた任意の方法で高分子鎖同士を架橋させる。架橋可能な官能基が加水分解によりシラノール基を生成する官能基の場合の高分子物質の被覆については、有機溶剤中に水を含有させた混合溶液を用いてもよい。含有される水により加水分解が生じ、該合成高分子中にシラノール基が生成し、さらに加熱することにより高分子鎖同士が結合され、高分子物質が不溶になる。
含水量が少ないとシラノール基の生成が不十分で、架橋結合が弱くなる。一方、含水量が多くなると高分子物質が溶媒に不溶となる恐れがある。理論上加水分解によりシラノール基を生成するのに必要な水が含有されていれば十分であるが、溶液の調製の容易さを考えると、含水量が約0 .01〜15重量% 程度のものが好ましい。
有機溶剤としてはエタノール、メタノール、t−ブチルアルコール、ベンゼン、トルエン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジクロロメタン、クロロホルム、アセトン、メチルエチルケトン等の単独溶媒またはこれらの混合溶剤が使用される。中でも、エタノール、メタノールがプラスチック担体を変性させず、乾燥させやすいため好ましい。また、溶液中で高分子物質を加水分解させる場合にも、水と任意の割合で混ざるので好ましい。
本発明の高分子物質を溶解した溶液を担体表面に塗布した後、乾燥させる工程において、高分子物質中のシラノール基は、他の高分子物質中のシラノール基、水酸基、アミノ基等と脱水縮合して架橋を形成する。さらに担体表面に水酸基、カルボニル基、アミノ基などがある場合も同様に脱水縮合し、担体表面と化学的に結合することができる。
シラノール基の脱水縮合により形成される共有結合は加水分解されにくい性質があるので、担体表面に被覆された高分子物質は容易に溶解したり、担体から脱離してしまうことはない。シラノール基の脱水縮合は加熱処理により促進される。高分子物質が熱により変成されない温度範囲内、例えば、60〜120℃で5分間〜100時間加熱処理するのが好ましい。
本発明に使用する糖鎖固定用担体の素材は、ガラス、プラスチック、金属その他を用いることができるが、表面処理の容易性、量産性の観点から、プラスチックが好ましく、熱可塑性樹脂がより好ましい。
担体の形状は特に制限を受けるものではないが、バイオチップとして用いる場合、例えばスライドガラス形状の基板や、マルチウェルプレート等が好適に用いられる。
糖鎖固定用担体をバイオチップとして用いる場合、熱可塑性樹脂としては、蛍光発生量の少ないものが好ましく、たとえばポリエチレン、ポリプロピレン等の直鎖状ポリオレフィン、環状ポリオレフィン、含フッ素樹脂等を用いることが好ましく、耐熱性、耐薬品性、低蛍光性、成形性に特に優れる飽和環状ポリオレフィンを用いることがより好ましい。ここで飽和環状ポリオレフィンとは、環状オレフィン構造を有する重合体単独または環状オレフィンとα−オレフィンとの共重合体を水素添加した飽和重合体をさす。
担体表面と表面に被覆される高分子物質との密着性を高めるために、基材表面を活性化することが好ましい。活性化する手段としては酸素雰囲気下、アルゴン雰囲気下、窒素雰囲気下、空気雰囲気下などの条件下でプラズマ処理する方法、ArF、KrFなどのエキシマレーザーで処理する方法があるが、酸素雰囲気下でプラズマ処理する方法が好ましい。
本発明の糖鎖固定用担体を使用して各種の糖鎖または糖鎖含有物質を固定化することができる。固定化する糖鎖または糖鎖含有物質は、単糖、2糖以上の糖鎖、糖アミノ酸、糖ペプチド、糖タンパク質、糖脂質、グリコサミノグリカン、グリコシルホスファチジルイノシトール、ペプチドグリカン、リポ多糖、及びそれらの誘導体などがある。担体表面に固定化した高分子物質の糖鎖または糖鎖含有物質を固定化する官能基が、糖の還元末端と反応する官能基である場合は、還元末端を有する糖をpH4.0〜6.0の緩衝液中に溶解し、担体上でその溶液を室温〜100℃、10分〜24時間静置することで固定できる。
一方、糖鎖または糖鎖含有物質を固定化する官能基が、活性エステル基などアミノ基と反応する基である場合は、糖鎖または糖鎖含有物質にアミノ基が必要である。アミノ基を有する糖鎖や糖アミノ酸、糖ペプチドまたは糖タンパク質をpH7.0〜10.0の緩衝液中に溶解し、担体上でその溶液を室温〜100℃、10分〜24時間静置することで固定できるが、アミノ基を持たない糖鎖の場合はそれを導入する必要がある。この場合、アミ
ノ基は還元末端側に導入されていることが好ましい。
こうして得られた糖鎖または糖鎖含有物質を固定化した複合担体は、十分な量の糖鎖または糖鎖含有物質が化学結合で強固に固定化され、さらにタンパク質等の非特異吸着が少ないことから、該糖鎖または糖鎖含有物質と特異的に結合する物質を選択的に捕捉することができる。特に、担体が基板である場合、バイオチップとして好適に用いることができる。
本発明において糖鎖または糖鎖含有物質をバイオチップ用基板上に固定化する際には、糖鎖または糖鎖含有物質を溶解又は分散した液体を点着する方法が好ましい。点着後、静置すると、糖鎖または糖鎖含有物質が基板上の官能基と化学的に結合し糖鎖物質が表面に固定化される。例えばアミノ基を有する糖鎖を用いた場合は、前に示した方法を適用できる。
糖鎖または糖鎖含有物質をバイオチップ用基板上に固定化した後は、糖鎖物質を固定化した部分以外の基板表面の官能基を不活性化処理するのが好ましい。基板の官能基が活性エステル基やアルデヒド基などの場合はアルカリ化合物、あるいは一級アミノ基を有する化合物で行うことが好ましい。
アルカリ化合物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、ホウ酸ナトリウム、水酸化リチウム、リン酸カリウムなどを好ましく用いることができる。
一級アミノ基を有する化合物としては、メチルアミン、エチルアミン、ブチルアミン、グリシン、9−アミノアクアジン、アミノブタノール、4−アミノ酪酸、アミノカプリル酸、アミノエタノール、5−アミノ2,3−ジヒドロー1,4−ペンタノール、アミノエタンチオール塩酸塩、アミノエタンチオール硫酸、2−(2−アミノエチルアミノ)エタノール、リン酸二水素2−アミノエチル、硫酸水素アミノエチル、4−(2−アミノエチル)モルホリン、5−アミノフルオレセイン、6−アミノヘキサン酸、アミノヘキシルセルロース、p−アミノ馬尿酸、2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール、5−アミノイソフタル酸、アミノメタン、アミノフェノール、2−アミノオクタン、2−アミノオクタン酸、1−アミノ2−プロパノール、3−アミノ−1−プロパノール、3−アミノプロペン、3−アミノプロピオニトリル、アミノピリジン、11−アミノウンデカン酸、アミノサリチル酸、アミノキノリン、4−アミノフタロニトリル、3−アミノフタルイミド、p−アミノプロピオフェノン、アミノフェニル酢酸、アミノナフタレンなどを好ましく用いることができ、アミノエタノール、グリシンが最も好ましい。
また、前記不活性化処理工程では、基板の官能基と結合しなかった糖鎖または糖鎖含有物質も同時に洗浄・除去することができることが多い。除去できない場合は、不活性化処理前に基板を洗浄することで除去することが好ましい。例えば基板を超純水、界面活性剤含有緩衝液等で1〜5分間浸漬し洗浄することで、除去できる。
このように糖鎖または糖鎖含有物質を固定化することによって得られたバイオチップは免疫診断システム、糖鎖マイクロアレイシステム、マイクロフルイディスクデバイスを含めた多くの分析システムにおいて使用することができる。
(p−ニトロフェニルオキシカルボニル−ポリエチレングリコールメタクリレート(MEONP)の合成)
0.01molのポリエチレングリコールモノメタクリレート(Blenmer PE−200(n=4)、日本油脂(株)製)を20mLのクロロホルムに溶解させた後、−30℃まで冷却した。−30℃に保ちながらこの溶液に、予め作成しておいた0.01molのp−ニトロフェニルクロロフォーメート(Aldrich製)と0.01molのトリエチルアミン(和光純薬(株)製)及びクロロホルム20mLの均一溶液をゆっくりと滴下した。−30℃にて1h反応させた後、さらに2時間溶液を攪拌した。その後反応液から塩をろ過により除去し、溶媒を留去してp−ニトロフェニルオキシカルボニル−ポリエチレングリコールメタクリレート(MEONP)を得た。得られたモノマーを重クロロホルム溶媒中1H―NMRで測定し、エチレングリコール残基が平均4.5単位含まれていることを確認した。
(高分子物質の合成例)
ポリエチレングリコールメチルエーテルメタクリレート(別名メトキシポリエチレングリコールメタクリレート)(PEGMA、数平均分子量Mn=約475、Aldrich製)、p−ニトロフェニルオキシカルボニル−ポリエチレングリコールメタクリレート(MEONP)、3−メタクリロキシプロピルジメチルエトキシシラン(MPDES、GELEST,INC.製)をそれぞれ順に0.90mol/L、0.05mol/L、0.05mol/L、になるように脱水エタノールに溶解させ、モノマー混合溶液を作製した。そこにさらに0.002mol/Lの2,2−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN、和光純薬(株)製)を添加し、均一になるまで該モノマー混合溶液を撹拌した。その後、アルゴンガス雰囲気下、60℃で4時間反応させた後、反応溶液をジエチルエーテル中に滴下し、沈殿を収集した。得られた高分子物質を重クロロホルム溶媒中1H―NMRで測定し、0.13ppm付近に現れるMPDESのSiに結合したメチル基に帰属されるピーク、3.4ppm付近に現れるPEGMAの末端メトキシ基に帰属されるピーク、7.4ppmおよび8.29ppm付近に現れるMEONPのベンゼン環に帰属されるピーク、それぞれの積分値より、この高分子物質の組成比を算出した。表1に結果を示した。
(固定化基板の作製)
マイクロアレイの作製には住友ベークライト製、環状ポリオレフィン樹脂製のスライドガラス形状のプラスチックス基板を使用した。
酸素雰囲気下のプラズマ処理によって基板表面に酸化処理を施した。この固相基板を高分子物質の合成例にて得られた高分子物質の0.3重量%エタノール溶液に浸漬、室温で風乾後100℃にて60時間加熱乾燥することにより、基板表面にアルキレングリコール残基を有するエチレン系不飽和重合性モノマー、活性エステル基を有するエチレン系不飽和重合性モノマー及び架橋可能な官能基有するエチレン系不飽和重合性モノマーからなる高分子物質を含む層を導入した。
(糖鎖の固定化)
2種類の糖鎖(ELICITYL社、GM3−aminopropyl(品番:GLY090AP、以下GM3と記載)、Blood group A triasose−aminoproryl(品番:GLY034AP、以下Aと記載))を溶液1で50μMに調製し、基板上にスポットした後に室温で1時間静置して基板に糖鎖を固定化した。
<溶液1>300mM リン酸緩衝液(pH8.5)+0.005% Tween20
(活性エステルの不活性化処理)
基板を溶液2に1時間浸漬した後に純水で洗浄し、基板を乾燥させた。
<溶液2>100mM ほう酸緩衝液(pH8.5)+0.01% Tween20,25mM Ethanoleamine
(固定糖鎖の検出)
Aのみが有するフコースと特異的に結合するレクチンであるAALレクチンのビオチン標識体であるBiotin標識AALレクチン(J−オイルミルズ社、J201)を、下記溶液で10ug/mLに調製した。
溶液:50mM Tris・HCl(pH7.5)、100mM NaCl、
1mM CaCl2、MnCl2、MgCl2、0.05%Tween20
基板上に溶液を展開し、室温で2時間反応した。
反応後、下記溶液で洗浄後に更に純水で洗浄し、基板を乾燥させた。
溶液:50mM Tris・HCl(pH7.5)、100mM NaCl、
1mM CaCl2、MnCl2、MgCl2
Cy3−Streptavidin(GEヘルスケア社、PA43001)を下記溶液で0.5μg/mLに調製し、室温で1時間、基板上で反応させた。
溶液:50mM Tris・HCl(pH7.5)、100mM NaCl、
1mM CaCl2、MnCl2、MgCl2、0.05%Tween20
反応後、下記溶液で洗浄後に更に純水で洗浄し、基板を乾燥させた。
溶液:50mM Tris・HCl(pH7.5)、100mM NaCl、
1mM CaCl2、MnCl2、MgCl2
測定はマイクロアレイリーダー、ScanArrayLite(PerkinElmer製)を用いてCy3の蛍光強度を測定した。(Laser=90、PMT=50)
結果を下表に示す。
フコースを含む糖鎖“A”を特異的に検出できた。
本発明により、高機能な糖鎖固定用担体を製造することが可能になり、さらに該糖鎖固定用担体に糖鎖もしくは糖鎖含有物質を固定した複合担体を用いることによりバイオチップを簡便に得ることができ、免疫診断システム、糖鎖マイクロアレイシステム、マイクロフルイディスクデバイスを含めた多くの分析システムにおいて使用することができる。

Claims (16)

  1. 糖鎖または糖鎖含有物質を固定化する担体であって、
    アルキレングリコール残基を有するエチレン系不飽和重合性モノマー(a)、
    糖鎖または糖鎖含有物質を固定化する官能基を有するエチレン系不飽和重合性モノマー(b)
    及び架橋可能な官能基を有するエチレン系不飽和重合性モノマー(c)を
    共重合して得られる高分子物質を担体表面に固定化していることを特徴とする糖鎖固定用担体。
  2. 前記高分子物質を担体表面に固定化した後、さらに該高分子物質を架橋したことを特徴とする請求項1記載の糖鎖固定用担体。
  3. 前記アルキレングリコール残基を有するエチレン系不飽和重合性モノマー(a)が下記の一般式[1]で表されるモノマーである請求項1または2に記載の糖鎖固定用担体。


    (式中R1は水素原子またはメチル基を示し、R2は水素原子または炭素数1〜20のアルキル基を示す。Xは炭素数1〜10のアルキレングリコール残基を示し、pは1〜100の整数を示す。pが2以上の整数の場合、繰り返されるXは、同一であっても、または異なっていてもよい。)
  4. 前記アルキレングリコール残基を有するエチレン系不飽和重合性モノマー(a)がメトキシポリエチレングリコールアクリレート又はメトキシポリエチレングリコールメタクリレートである請求項3に記載の糖鎖固定用担体。
  5. 前記メトキシポリエチレングリコールアクリレート及び/又はメトキシポリエチレングリコールメタクリレートのエチレングリコール残基の平均繰り返し数が3〜100である請求項4に記載の糖鎖固定用担体。
  6. 前記糖鎖または糖鎖含有物質を固定化する官能基を有するエチレン系不飽和重合性モノマー(b)が下記の一般式[2]で表されるモノマーである請求項1乃至5いずれか1項に記載の糖鎖固定用担体。


    (式中R3は水素原子またはメチル基を示し、Yはアルキレン基または炭素数1〜10のアルキレングリコール残基を示す。Wは糖鎖または糖鎖含有物質を固定化する官能基を示す。qは1〜20の整数を示す。qが2以上20以下の整数である場合、繰り返されるYは、同一であっても、または異なっていてもよい。)
  7. 前記糖鎖または糖鎖含有物質を固定化する官能基がp−ニトロフェニルエステル又はN−ヒドロキシスクシンイミドエステルである請求項6に記載の糖鎖固定用担体。
  8. 前記架橋可能な官能基を有するエチレン系不飽和重合性モノマー(c)の架橋可能な官能基が加水分解によりシラノール基を生成する官能基である請求項1乃至7いずれか1項に記載の糖鎖固定用担体。
  9. 前記架橋可能な官能基を有するエチレン系不飽和重合性モノマー(c)が下記の一般式[3]で表されるアルコキシシリルを有するモノマーである請求項8に記載の糖鎖固定用担体。


    (式中R4は水素原子またはメチル基を示し、Zは炭素数1〜20のアルキレン基を示す。A1、A2、A3の内、少なくとも1個は加水分解可能なアルコキシ基であり、その他はアルキル基を示す。)
  10. 前記高分子物質を含む溶液を担体表面に塗布した後、該高分子物質を架橋させることを特徴とする請求項1乃至9いずれか1項に記載の糖鎖固定用担体の製造方法。
  11. 請求項1乃至9いずれか1項に記載の糖鎖固定用担体に、糖鎖もしくは糖鎖含有物質を固定化した複合担体。
  12. 前記糖鎖もしくは糖鎖含有物質が単糖、2糖以上の糖鎖、糖アミノ酸、糖ペプチド、糖タンパク質、糖脂質、グリコサミノグリカン、グリコシルホスファチジルイノシトール、ペプチドグリカン、リポ多糖、及びそれらの誘導体から選ばれる少なくとも一つの物質である請求項11に記載の複合担体。
  13. 前記糖鎖もしくは糖鎖含有物質が分子中に少なくとも一つのアミノ基を有する請求項12に記載の複合担体。
  14. 前記担体がバイオチップ用基板である請求項1乃至13いずれか1項に記載の糖鎖固定用担体または複合担体。
  15. 前記基板がプラスチック製である請求項14に記載の糖鎖固定用担体または複合担体。
  16. 前記プラスチックが飽和環状ポリオレフィンである請求項15に記載の糖鎖固定用担体または複合担体。


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