JP2016038265A - 糖鎖アレイ及びその製造方法 - Google Patents

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渉 高田
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雅哲 豊田
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創平 舩岡
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【課題】検出シグナルの強度が向上した糖鎖アレイ及びその製造方法を提供する。【解決手段】本発明は、複数の糖鎖が基板上に固定されている糖鎖アレイであって、前記基板の表面には活性エステル基を有する重合体が被覆されており、前記糖鎖はタンパク質に結合しており、結合タンパク質を介して前記基板上に固定されている糖鎖アレイに関する。本発明は、また、複数の糖鎖が基板上に固定されている糖鎖アレイの製造方法であって、基板の表面に活性エステル基を有する重合体を被覆する工程と、糖鎖をタンパク質に結合させる工程と、前記糖鎖を結合させたタンパク質を、結合タンパク質を介して前記活性エステル基を有する重合体で被覆した基板に固定する工程を含む糖鎖アレイの製造方法に関する。【選択図】なし

Description

本発明は、糖鎖を認識する分子を検出することができる糖鎖アレイ及びその製造方法に関する。
生化学分野において、近年、核酸、タンパク質に続く第三の鎖として糖鎖分子が注目されている。糖鎖は多くの毒素などのタンパク質や、ウィルスなどの病原体の受容体であり、糖鎖が癌、感染症などの疾患と関連していることが確認されている。そこで、糖鎖と検出対象物質の相互作用を検出することにより、疾患の判断などを行うことができる。
特許文献1では、共鳴ミラー法を用いて、インフルエンザウイルスとレセプター糖鎖の結合を調べることで、インフルエンザウイルスを確認している。
しかし、特許文献1に記載の方法では、一回の作業で複数の糖鎖と検出対象物質との相互作用を検出できないという問題があった。
特開2001−264333号公報
本発明は、上記に鑑み、一回の作業で複数の糖鎖と検出対象物質との相互作用を検出でき、かつ検出シグナルの強度が向上した糖鎖アレイ及びその製造方法を提供する。
本発明は、複数の糖鎖が基板上に固定されている糖鎖アレイであって、前記基板の表面には活性エステル基を有する重合体が被覆されており、前記糖鎖はタンパク質に結合しており、結合タンパク質を介して前記基板上に固定されていることを特徴とする糖鎖アレイに関する。
本発明は、また、複数の糖鎖が基板上に固定されている糖鎖アレイの製造方法であって、基板の表面に活性エステル基を有する重合体を被覆する工程と、糖鎖をタンパク質に結合させる工程と、前記糖鎖を結合させたタンパク質を、結合タンパク質を介して前記活性エステル基を有する重合体で被覆した基板に固定する工程を含む糖鎖アレイの製造方法に関する。
本発明は、糖鎖をタンパク質に結合させ、結合タンパク質を介して活性エステル基を有する重合体で被覆した基板に固定することで、糖鎖を認識する分子の検出シグナルの強度が向上した糖鎖アレイを提供することができる。
アルブミン(BSA)と、アルブミンに結合した6'‐シアリルラクトース(BSA/6SL)をSDS−PAGEにて展開した結果を示す写真である。レーン4、6、8及び10は、BSAをSDS−PAGE展開した結果を示し、レーン5、7、9及び11は、BSA/6SLをSDS−PAGE展開した結果を示す。
本発明者らは、複数の糖鎖が基板上に固定されている糖鎖アレイにおいて、インフルエンザウイルスなどの糖鎖を認識する分子の検出シグナルを向上することについて鋭意検討した結果、活性エステル基を有する重合体で被覆した基板を用いるとともに、糖鎖をタンパク質に結合させ、結合タンパク質を介して糖鎖を該基板上に固定することにより、検出対象物質(糖鎖を認識する分子)の検出シグナルの強度が向上することを見出し、本発明に至った。糖鎖アレイでは、通常、糖鎖を直接基板上に固定するが、本発明では、糖鎖をタンパク質に結合させ、結合タンパク質を介して糖鎖を基板上に固定することにより、単位面積あたりの糖鎖を固定量が増加し、それゆえ、検出対象物質と反応する糖鎖量が増加し、検出シグナルの強度が向上していると推測される。糖鎖を結合させたタンパク質において、1つのタンパク質に複数個の糖鎖が結合することにより、基板上の単位面積あたりの糖鎖の固定量が増加していると推測される。
本発明において、「糖鎖アレイ」とは、複数の糖鎖を基板上に配置したものを意味する。糖鎖チップとも言われるものである。前記複数の糖鎖は、1種類の糖鎖であってもよく、2種類以上の糖鎖であってもよい。
本発明において、「糖鎖」とは、単糖類が2つ以上、グリコシド結合により繋がりあった多糖を意味する。糖鎖は、1種類の単糖類から構成されるもの(ホモ糖鎖)であってもよく、2種類以上の単糖類から構成されるもの(ヘテロ糖鎖)であってもよい。糖鎖を構成する単糖類の種類、個数については特に制限はなく、また単糖類間のグリコシド結合はα結合、β結合のいずれであってもよい。糖鎖は天然由来のものであってもよく、天然由来のものに人工的に官能基の付加や置換などの修飾を加えたものであってもよく、化学的に合成されたものであってもよい。単糖類としては、単糖やその誘導体を用いればよく、特に限定されない。例えば、グルコース、ガラクトース、マンノース、フコース、キシロース、N−アセチルグルコサミン、N−アセチルガラクトサミン、シアル酸などの単糖及びこれらの誘導体などが挙げられる。
本発明において、前記糖鎖が結合するタンパク質(以下において、単に「結合タンパク質」とも記す。)としては、糖鎖を多価に結合するタンパク質であればよく、該タンパク質を構成するアミノ酸の種類、個数については特に制限はない。また、前記結合タンパク質は、天然タンパク質であってもよく、合成タンパク質であってもよい。天然タンパク質としては、例えば、植物、動物、微生物(菌やウィルスなど)などの天然物から、分離精製して得られる天然物由来のタンパク質が挙げられる。合成タンパク質としては、例えば、無細胞タンパク質合成系(例えば、網状赤血球抽出液、小麦胚芽抽出液)、大腸菌、動物細胞、昆虫細胞、植物細胞などを用い、遺伝学的手法により合成されたものであってもよく、自動合成装置などを用いて化学的に合成されたものであってもよい。前記結合タンパク質としては、糖鎖をより多く結合させやすいという観点から、人為的に糖鎖修飾を施さなければ糖鎖を有しないタンパク質が好ましい。人為的に糖鎖修飾を施さなければ糖鎖を有しておらず、糖鎖をより多く結合させやすいという観点から、天然物由来のものであればアルブミン、リボヌクレアーゼAが好ましく、大腸菌を用いて遺伝学的手法により合成されたタンパク質、化学的に合成されたタンパク質が好ましい。
前記糖鎖を結合させたタンパク質の調製方法としては特に制限はなく、例えば、前記糖鎖の還元末端と前記タンパク質のアミノ基とを結合させる方法(還元的アミノ化反応)、前記糖鎖の還元末端をブロモアセチル化し、前記タンパク質のシステイン中のチオール基と共有結合させる方法、前記糖鎖の還元末端にアミノ基を導入し、前記タンパク質のカルボキシル基と共有結合させる方法、前記糖鎖を化学的に結合させたアミノ酸を重合反応により連結し、タンパク質を合成する方法などが挙げられる。糖鎖の還元末端に新たな官能基を導入する必要がなく、反応が簡便であるという観点から、還元的アミノ化反応が好ましい。
前記糖鎖を結合させたタンパク質において、タンパク質1分子あたりの糖鎖の平均結合本数は、糖鎖やンパク質の種類、前述の糖鎖を結合させたタンパク質の調製方法などによるが、通常1〜40本である。基板上の単位面積あたりの糖鎖の固定量を増加させる観点から、タンパク質1分子あたりの糖鎖の平均結合本数は、2本以上であることが好ましく、5本以上であることがより好ましい。
前記基板の素材は、固相基板を形成することができるものであればよく、特に限定されない。例えば、ガラス、樹脂、金属などを用いることができるが、表面処理の容易性、量産性の観点から、樹脂が好ましく、熱可塑性樹脂がより好ましい。基板の形状は特に限定されないが、例えば、スライドガラス形状、マルチウェルプレートなどが好ましい。
前記糖鎖アレイを蛍光観察に用いる場合は、前記熱可塑性樹脂は、蛍光発生量の少ないものが好ましい。蛍光発生量の少ない樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどの直鎖状ポリオレフィン樹脂;環状ポリオレフィン樹脂;含フッ素樹脂などを用いることが好ましく、耐熱性、耐薬品性、低蛍光性、成形性に特に優れる飽和環状ポリオレフィン樹脂を用いることがより好ましい。本願において、飽和環状ポリオレフィン樹脂とは、環状オレフィン構造を有する単独重合体又は環状オレフィンとα−オレフィンとの共重合体に水素添加した飽和重合体を指す。
基板表面と、表面に被覆される活性エステル基を有する重合体との密着性を高めるために、基板表面を活性化することが好ましい。活性化する手段としては、酸素雰囲気下、アルゴン雰囲気下、窒素雰囲気下、空気雰囲気下などの条件下でプラズマ処理する方法、ArF、KrFなどのエキシマレーザーで処理する方法などが挙げられる。処理が簡便に行えるという観点から、酸素雰囲気下でプラズマ処理する方法が好ましい。
前記基板の表面は、活性エステル基を有する重合体で被覆されている。前記重合体は、活性エステル基を有すればよく、特に限定されない。
前記活性エステル基は、例えば、末端に活性エステル基を有するエチレン系不飽和重合性モノマー(a)に由来することが好ましい。前記末端に活性エステル基を有するエチレン系不飽和重合性モノマー(a)は、下記一般式[1]で表される、(メタ)アクリル基と活性エステル基が炭素数1〜10のアルキレングリコール残基又はアルキレン基の連鎖を介して結合したモノマーであることが好ましい。
一般式[1]中、Rは水素原子又はメチル基を示し、Xは炭素数1〜10のアルキレングリコール残基又はアルキレン基を示し、Wは活性エステル基を示し、pはXの平均付加モル数であって1〜100の整数を示し、pが2以上100以下の整数である場合、繰り返されるXは、それぞれ同一であってもよく、異なっていてもよい。
一般式[1]において、Xがアルキレン基である場合、アルキレン基Xの炭素数は1〜10であり、好ましくは1〜6である。アルキレン基の繰り返し数pは1〜100の整数であり、好ましくは1〜20であり、より好ましくは1〜10であり、最も好ましくは1〜6である。pの値が上記範囲内であることで、タンパク質の非特異吸着を効果的に抑制することができる。
一般式[1]において、Xがアルキレングリコール残基である場合、アルキレングリコール残基Xの炭素数は1〜10であり、好ましくは1〜6であり、より好ましくは2〜4であり、更に好ましくは2〜3であり、最も好ましくは2である。炭素数が前記範囲内であると、タンパク質の非特異吸着の抑制に特に優れる。また、アルキレングリコール残基Xの繰り返し数pは1〜100の整数であり、好ましくは2〜100の整数であり、より好ましくは2〜95の整数であり、さらに好ましくは4〜90の整数である。前記繰り返し数pが前記範囲内であると、タンパク質の非特異吸着の抑制に特に優れる。
本発明に使用する「活性エステル基」は、エステル基の片方の置換基に酸性度の高い電子求引性基を有して求核反応に対して活性化されたエステル群、すなわち反応活性の高いエステル基を意味するものとして、各種の化学合成、例えば高分子化学、ペプチド合成などの分野で慣用されているものである。実際的には、フェノールエステル類、チオフェノールエステル類、N−ヒドロキシアミンエステル類、複素環ヒドロキシ化合物のエステル類などがアルキルエステルなどに比べてはるかに高い活性を有する活性エステル基として知られている。
前記活性エステル基としては、例えば、p−ニトロフェニル活性エステル基、N−ヒドロキシスクシンイミド活性エステル基、コハク酸イミド活性エステル基、フタル酸イミド活性エステル基、5−ノルボルネン−2、3−ジカルボキシイミド活性エステル基などが挙げられるが、保存安定性と反応性のバランスの観点から、p−ニトロフェニル活性エステル基又はN−ヒドロキシスクシンイミド活性エステル基が好ましく、p−ニトロフェニル活性エステル基がより好ましい。
本発明において、「アルキレングリコール残基」とは、アルキレングリコール(HO−R−OH、ここでRはアルキレン基)の片側端末又は両端末の水酸基が他の化合物と縮合反応した後に残る「アルキレンオキシ基」(−R−O−、ここでRはアルキレン基)を意味する。例えば、メチレングリコール(HO−CH−OH)の「アルキレングリコール残基」はメチレンオキシ基(−CH−O−)であり、エチレングリコール(HO−CH−CH−OH)の「アルキレングリコール残基」はエチレンオキシ基(−CH−CH−O−)である。
前記活性エステル基を有する重合体は、前記末端に活性エステル基を有するエチレン系不飽和重合性モノマー(a)に由来する第1繰り返し構成単位を含むものであればよいが、前記末端に活性エステル基を有するエチレン系不飽和重合性モノマー(a)に由来する第1繰り返し構成単位に加えて、一つのエチレン性二重結合及びアルキレングリコール残基を有するエチレン系不飽和重合性モノマー(b)に由来する第2繰り返し構成単位を有していてもよい。第2繰り返し構造単位を有することにより、タンパク質等の非特異吸着を抑制することができる。前記一つのエチレン性二重結合及びアルキレングリコール残基を有するエチレン系不飽和重合性モノマー(b)は、特に限定されないが、一般式[2]で表される、(メタ)アクリル基と炭素数1〜10のアルキレングリコール残基Yの連鎖を含むモノマーであることが好ましい。
一般式[2]において、Rは水素原子又はメチル基を、Rは水素原子、メチル基又はエチル基を示し、Yは炭素数1〜10のアルキレングリコール残基を示し、qはYの平均付加モル数であって1〜100の整数であり、qが2以上100以下の場合は、繰り返されるアルキレングリコール残基Yの炭素数は同一であってもよく、異なっていてもよい。
一般式[2]において、アルキレングリコール残基Yの炭素数は、好ましくは1〜6であり、より好ましくは2〜4であり、更に好ましくは2〜3であり、最も好ましくは2である。アルキレングリコール残基Yの繰り返し数qは、好ましくは2〜100の整数であり、更に好ましくは2〜95の整数であり、最も好ましくは3〜90の整数である。
一般式[2]で表される、(メタ)アクリル基と炭素数1〜10のアルキレングリコール残基Yの連鎖を含むモノマーとしては、例えば、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコールメタクリレート;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどの水酸基の一置換エステルの(メタ)アクリレート類;グリセロールモノ(メタ)アクリレート;ポリプロピレングリコールを側鎖とする(メタ)アクリレート;2−メトキシエチル(メタ)アクリレート;2−エトキシエチル(メタ)アクリレート;メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート;エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレートなどが挙げられる。中でも、タンパク質の非特異的吸着の少なさ及び入手性から、エチレングリコール残基の平均繰り返し数が1〜100であるメトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート及びエトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレートからなる群から選ばれる一種以上であることが好ましい。本発明において、「(メタ)アクリレート」とは、メタクリレート又はアクリレートを意味する。
前記活性エステル基を有する重合体は、前記第1繰り返し構成単位及び第2繰り返し構成単位に加えて、一つのエチレン性二重結合及び架橋可能な官能基を有するエチレン系不飽和重合性モノマー(c)に由来する第3繰り返し構成単位を有してもよい。
前記架橋可能な官能基はその架橋反応が高分子化合物合成中に進行しないものであれば特に制限されるものではなく、例えば加水分解によりシラノール基を生成する官能基、エポキシ基、(メタ)アクリル基、グリシジル基などが用いられる。架橋処理が容易なことから加水分解によりシラノール基を生成する官能基、エポキシ基、グリシジル基が好ましく、より低温で架橋できることから加水分解によりシラノール基を生成する官能基が好ましい。本発明において、(メタ)アクリル基は、メタクリル基又はアクリル基を意味する。
前記一つのエチレン性二重結合及び架橋可能な官能基を有するエチレン系不飽和重合性モノマー(c)としては、例えば、3−(メタ)アクリロキシプロペニルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルビス(トリメチルシロキシ)メチルシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルジメチルメトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルジメチルエトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリス(メトキシエトキシ)シラン、8−(メタ)アクリロキシオクタニルトリメトキシシラン、11−(メタ)アクリロキシウンデニルトリメトキシシランなどの(メタ)アクリロキシアルキルシラン化合物などを挙げることができる。中でも3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルジメチルメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルジメチルエトキシシランがアルキレングリコール残基を有するエチレン系不飽和重合性モノマーとの共重合性が優れている点、入手が容易である点などから好ましい。これらのアルコキシシリル基を有するエチレン系不飽和重合性モノマーは、単独又は2種以上の組み合わせで用いられる。
前記活性エステル基を有する重合体としては、上述した末端に活性エステル基を有するエチレン系不飽和重合性モノマー(a)を少なくとも含むモノマー混合物を重合して得られる重合体を用いることができる。或いは、前記活性エステル基を有する重合体としては、上述した末端に活性エステル基を有するエチレン系不飽和重合性モノマー(a)と、必要に応じて、一つのエチレン性二重結合及びアルキレングリコール残基を有するエチレン系不飽和重合性モノマー(b)及び一つのエチレン性二重結合及び架橋可能な官能基を有するエチレン系不飽和重合性モノマー(c)を共重合して得られる重合体を用いてもよい。前記活性エステル基を有する重合体は、タンパク質を固定化する性質を持つポリマーで、活性エステル基がタンパク質を固定化する役割を果たす。
前記活性エステル基を有する重合体において、各構成単位は、ランダム、ブロック、グラフトなどのいずれの形態の結合方式で結合されてもよい。
前記活性エステル基を有する重合体の重合方法は、特に限定されるものではないが、合成の容易さから、末端に活性エステル基を有するエチレン系不飽和重合性モノマー(a)を含む混合物を、重合開始剤存在下、溶媒中でラジカル重合することが好ましい。必要に応じて、末端に活性エステル基を有するエチレン系不飽和重合性モノマー(a)を含む混合物に、一つのエチレン性二重結合及びアルキレングリコール残基を有するエチレン系不飽和重合性モノマー(b)及び一つのエチレン性二重結合及び架橋可能な官能基を有するエチレン系不飽和重合性モノマー(c)を添加してもよい。
前記重合開始剤としては通常のラジカル開始剤を用いればよく、特に限定されない。例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(以下「AIBN」という。)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)などのアゾ化合物、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウリルなどの有機過酸化物などを用いることができる。
基板表面への活性エステル基を有する重合体の被覆方法については、例えば、(i)有機溶剤に活性エステル基を有する重合体を0.05〜10重量%濃度になるように溶解した活性エステル基を有する重合体溶液を調製し、(ii)該活性エステル基を有する重合体溶液を浸漬、吹きつけなどの公知の方法で基板表面に塗布した後、(iii)塗布した活性エステル基を有する重合体溶液を室温下ないしは加温下にて乾燥させることにより行われる。前記乾燥処理において、乾燥を加温下で行う場合は、共重合体が熱により変性されない温度範囲内、例えば、60〜120℃で5分間〜100時間加熱処理するのが好ましい。本発明において、室温とは、25℃を意味する。
前記有機溶剤としては、エタノール、メタノール、t−ブチルアルコール、ベンゼン、トルエン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジクロロメタン、クロロホルム、アセトン、メチルエチルケトンなどの単独溶媒又はこれらの混合溶剤が使用される。中でも、エタノール、メタノール、メチルエチルケトンが、樹脂基板を変性させず、乾燥させやすいため好ましい。また、エタノール、メタノール、メチルエチルケトンは、溶液中で高分子化合物を加水分解させる場合にも、水と任意の割合で混ざるので好ましい。
基板の表面を活性エステル基を有する重合体で被覆することで、糖鎖を結合させたタンパク質を、タンパク質を介して基板上に固定することができる。糖鎖を結合させたタンパク質におけるタンパク質のアミノ基と、基板の表面における活性エステル基が結合することになる。
本発明において、糖鎖を結合させたタンパク質を基板上に固定化する際には、糖鎖を結合させたタンパク質を溶解又は分散した液体を基板に付着することが好ましい。例えば、スポッターを使用して、糖鎖を結合させたタンパク質を溶解又は分散した液体を基板に点着する(スポット)方法がより好ましい。点着後、例えば、室温から80℃において1時間から24時間静置することにより、糖鎖を結合させたタンパク質がタンパク質を介して基板の表面に固定化される。具体的には、タンパク質のアミノ基と基板上の活性エステル基が結合することで、糖鎖を結合させたタンパク質がタンパク質を介して基板の表面に固定化される。
糖鎖を結合させたタンパク質の溶解液又は糖鎖を結合させたタンパク質の分散液は、pHが5.0〜11.0であることが好ましく、pHが6.0〜10であることがより好ましい。糖鎖を結合させたタンパク質の溶解液又は糖鎖を結合させたタンパク質の分散液において、糖鎖を結合させたタンパク質の濃度は特に限定されないが、例えば20〜1000μmol/mlであることが好ましい。
糖鎖を結合させたタンパク質を溶解又は分散する溶液としては、pH5〜11の各種緩衝液が好適に用いられる。pH5〜11の各種緩衝液としては、特に限定されないが、例えば、炭酸ナトリウム緩衝液、炭酸水素ナトリウム緩衝液、リン酸カリウム緩衝液、リン酸二水素カリウム緩衝液、リン酸水素二カリウム緩衝液、トリス塩酸緩衝液、トリス酢酸緩衝液、PBS、クエン酸ナトリウム緩衝液、酢酸ナトリウム緩衝液、HEPES(N−2−hydroxyetylpiperazine−N’−ethanesulphonic acid)緩衝液、MOPS(3−(N−morpholino)propanesulphonicacid)緩衝液などが用いられる。
糖鎖を結合させたタンパク質を基板上に固定した後、糖鎖を結合させたタンパク質を固定化した部分以外の基板表面の活性エステル基を不活性化処理する。不活性化処理は、アルカリ化合物又は一級アミノ基を有する化合物で行うことが好ましい。アルカリ化合物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどを好ましく用いることができる。一級アミノ基を有する化合物としては、メチルアミン、エチルアミン、ブチルアミン、グリシン、9−アミノアクアジン、アミノブタノール、4−アミノ酪酸、アミノカプリル酸、2−アミノエタノール(エタノールアミンともいう。)などを好ましく用いることができる。また、緩衝液で洗浄することで、糖鎖を結合させたタンパク質以外の他の物質の基板表面への非特異的吸着を抑制することが可能となる。
上記のように、糖鎖を結合させたタンパク質を、タンパク質を介して、活性エステル基を被覆した基板上に固定した糖鎖アレイは、検出対象物質(糖鎖を認識する分子)が微量である場合も、効果的に検出対象物質と糖鎖との相互作用を検出することが可能である。糖鎖を認識する分子としては、糖鎖を認識するものであればよく、特に限定されない。例えば、糖鎖を認識する抗体、糖鎖を認識するタンパク質(例えば、レクチンなど)などが挙げられる。
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明する。本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
<p−ニトロフェニルオキシカルボニル−ポリエチレングリコールメタクリレート(MEONP)の合成例1>
0.01molのポリエチレングリコールモノメタクリレート(Blenmer PE‐200(n=4)、日本油脂社製)を20mLのクロロホルムに溶解させた後、−30℃まで冷却した。−30℃に保ちながらこの溶液に、予め調製した0.01molのp−ニトロフェニルクロロフォーメート(Aldrich製)と0.01molのトリエチルアミン(和光純薬社製)及びクロロホルム20mLの均一溶液をゆっくりと滴下した。−30℃にて1時間反応させた後、さらに2時間溶液を攪拌した。その後反応液から塩をろ過により除去し、溶媒を留去してp−ニトロフェニルオキシカルボニル−ポリエチレングリコールメタクリレート(MEONP)を得た。得られたモノマー(MEONP)を重クロロホルム溶媒中1H‐NMRで測定し、エチレングリコール残基が4.5単位含まれていることを確認した。
<活性エステル基を有する重合体の合成例1>
ポリエチレングリコールメチルエーテルメタクリレート(別名メトキシポリエチレングリコールメタクリレート)(PEGMA、数平均分子量Mn:468、新中村化学株式会社製)、MEONP、3−メタクリロキシプロピルジメチルエトキシシラン(MPDES、GELEST,INC.製)を順にそれぞれ0.90mol/L、0.05mol/L、0.05mol/Lになるように脱水エタノールに溶解させ、モノマー混合溶液を作製した。そこにさらに0.002mol/Lの2,2‐アゾビスイソブチロニトリル(AIBN、和光純薬社製)を添加し、均一になるまで該モノマー混合溶液を撹拌した。その後、アルゴンガス雰囲気下、60℃で4時間反応させた後、反応溶液をジエチルエーテル中に滴下し、沈殿を収集した。得られた活性エステル基(p−ニトロフェニル基)を有する共重合体(A)を重クロロホルム溶媒中1H‐NMRで測定し、0.7ppm付近に現れるMPDESのSiに結合したメチレンに帰属されるピーク、3.4ppm付近に現れるPEGMAの末端メトキシ基に帰属されるピーク、7.4ppm及び8.3ppm付近に現れるMEONPのベンゼン環に帰属されるピーク、それぞれの積分値より、この共重合体(A)の組成比を算出した。共重合体(A)において、PEGMAに由来する繰り返し構成単位は90mol%であり、MEONPに由来する繰り返し構成単位は5mol%であり、MPDESに由来する繰り返し構成単位は4mol%であった。
(実施例1)
(1)糖鎖を結合させたタンパク質の作製
還元アミノ反応により、タンパク質のアミノ基と糖鎖の還元末端を結合させて、糖鎖を結合させたタンパク質を調製した。具体的には、まず、300μg(5μmol)のヒト由来アルブミン(SIGMA社製、以下において、「BSA」とも記す。)と、1mg(1000μmol)の6’‐シアリルラクトース(Dextra社製、以下において、「6SL」とも記す。)を、33mgのシアノ水素化ホウ素ナトリウム及び20μLのリン酸緩衝液(0.2M、pH6.8)の存在下で、60℃で4時間反応させた。その後、微量サンプル透析キット(Mini Dialysis Kit 8 kDa cut−off、 up to 250μl,GEヘルスケア社製)で透析し、アルブミンに結合した6’‐シアリルラクトース(以下において、「BSA/6SL」とも記す。)を得た。
得られたBSA/6SLと、BSA/6SLの製造に用いたBSAを、SDS‐PAGEにて展開し、タンパク質染色試薬(Gelcode(登録商標)ブルー染色試薬、サーモサイエンティフィック社製)にて染色した。SDS−PAGE後のゲルの染色結果を図1に示した。図1において、レーン1、14〜17はブランク(blank)である。レーン2、13では5μlの分子量マーカー(Marker、BIO−RAD社製、品名「Precision Plus Protein Standards (Dual Color)」)、レーン3、12では1μlの分子量マーカーを電気泳動させた。レーン4、6、8及び10ではBSAを電気泳動させ、レーン5、7、9及び11ではBSA/6SLを電気泳動させた。レーン4におけるBSAの質量を1とした場合、レーン6、8及び10においてBSAの質量は、それぞれ、2.5、5及び10である。また、レーン5におけるBSA/6SLの質量を1とした場合、レーン7、9及び11において、BSA/6SLの質量は、それぞれ、2.5、5及び10である。
図1に示しているとおり、BSAを電気泳動させたレーン4、レーン6、レーン8及びレーン10においては、BSAに対応する約66kDaのタンパク質のバンドが確認された。一方、BSA/6SLを電気泳動させたレーン5、レーン7、レーン9及びレーン11では、タンパク質のバンドが上(高分子量側)にシフトしており、BSAと6SLが結合していることが確認された。
(2)活性エステル基を有する重合体で被覆された基板の作製
飽和環状ポリオレフィン樹脂(5−メチル−2−ノルボルネンの開環重合体の水素添加物、水素添加率:実質的に100%、熱変形温度:123℃)を用い、射出成形により、スライドガラス形状(寸法:76mm×26mm×1mm)に加工して固相基板を作成した。酸素雰囲気下のプラズマ処理によって基板表面に酸化処理を施した。酸化処理した固相基板を上記で得られた共重合体(A)の0.3重量%エタノール混合溶液に浸漬した後、この基板を100℃にて72時間加熱乾燥することにより、基板と共重合体(A)を化学的に結合させて、表面が活性エステル基を有する重合体で被覆された基板(以下において、活性エステル基被覆基板とも記す。)を得た。
(3)糖鎖を結合させたタンパク質の固定化
上記(1)で得られた糖鎖を結合させたタンパク質(BSA/6SL)をpH9.5のリン酸二水素カリウム緩衝液(0.6mol/LのKHPO4、0.05mol/LのHBO、0.05重量%のアルギン酸プロピレングリコール、0.005重量%のn‐オクチル‐β‐グルコシドを含む)に濃度が200μmol/Lになるように希釈した。自動スポッターを用いて、上記で得られた活性エステル基被覆基板上にBSA/6SLの希釈液を3箇所スポットした。その後、室温の環境下で1時間静置することにより、糖鎖を結合させたタンパク質(BSA/6SL)の固定化を行った。糖鎖を結合させたタンパク質(BSA/6SL)におけるアミノ基と、基板上の活性エステル基が結合して、基板上に糖鎖を結合させたタンパク質が固定された。その後、基板を0.1mol/Lのエタノールアミン(和光純薬工業(株)製、鹿特級)と0.1mol/Lのトリス緩衝液(SIGMA社製)とからなる水溶液(pH9.5)に1時間浸漬することにより、固定化反応後の残りの活性エステル基を失活させた。
(実施例2)
pH9.5のリン酸二水素カリウム緩衝液に代えて、0.3mol/Lのリン酸緩衝液(pH8.5)を用い、糖鎖を結合させたタンパク質(BSA/6SL)を濃度が200μmol/Lになるように希釈した以外は、実施例1と同様にして、糖鎖を結合させたタンパク質を活性エステル基被覆基板上に固定した。
(比較例1)
<糖鎖の固定化>
6'‐シアリルラクトースを酢酸ナトリウム緩衝液で200μmol/Lの濃度になるように希釈した。次に、自動スポッターを用いて、実施例1と同様にして得られた活性エステル基被覆基板上に、上記で得られた6'‐シアリルラクトースの希釈液(以下において、単に「6SLの希釈液」と記す。)を3箇所スポットした後、室温の環境下で1時間静置し、糖鎖の固定化反応を行った。その後、基板を0.1mol/Lのエタノールアミン(和光純薬工業(株)製、鹿特級)と0.1mol/Lのトリス緩衝液(SIGMA社製)とからなる水溶液(pH9.5)に1時間浸漬することにより、固定化反応後の残りの活性エステル基を失活させた。
(比較例2)
<アミノオキシ基を有する重合体で被覆された基板の作製>
飽和環状ポリオレフィン樹脂(5−メチル−2−ノルボルネンの開環重合体の水素添加物、水素添加率:実質的に100%、熱変形温度:123℃)を用い、射出成形により、スライドガラス形状(寸法:76mm×26mm×1mm)に加工して固相基板を作製した。得られた固相基板を2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(MPC)、n−ブチルメタクリレート(BMA)、N−[2−[2−[2−(t−ブトキシカルボニルアミノオキシアセチルアミン)エトキシ]エトキシ]エチル]−メタクリアミド(OA)の共重合体(共重合体において、各モノマーに由来する繰り返し構成単位のモル比は26:66:8である)の0.3重量%エタノール混合溶液に浸漬した後、室温で0.5時間乾燥することにより、表面がアミノオキシ基を有する重合体で被覆された基板(以下において、アミノオキシ基被覆基板とも記す。)を得た。
<糖鎖の固定化>
自動スポッターを用いて、上記で得られたアミノオキシ基被覆基板上に、比較例1と同様にして得られた6SLの希釈液(濃度200μmol/L)を3箇所スポットした。その後、室温の環境下で1時間静置することにより、糖鎖の固定化を行った。
実施例1〜2及び比較例1〜2における糖鎖の固定化を行った基板に対し、下記のようにして、糖鎖を認識する分子との反応性を調べた。
<糖鎖を認識する分子との反応>
ラクトースを認識するタンパク質であるSNA(レクチンの一種)をビオチン化標識したビオチン化SNA(VECTOR LABORATORIES社製、「B−1085」)をトリス緩衝液(pH7.5、0.05重量%のTween20を含む)に濃度が100μg/mLになるように溶解した。得られたビオチン化SNA溶液を、糖鎖を固定した基板の表面を浸すようにして基板と接触させ、室温で2時間静置することにより、糖鎖(6SL)とビオチン化SNAとを反応させた。反応後、室温において、基板をトリス緩衝液(pH7.5、0.05重量%のTween20を含む)で2分間洗浄した
<蛍光標識反応>
Cy3−ストレプトアビジン(GE Healthcare社製)をトリス緩衝液(pH7.5、0.05重量%のTween20を含む)で2μg/mLになるように希釈した。この希釈溶液を25℃にて30分間、糖鎖を認識する分子と反応させた基板と接触させることによりビオチン化SNAとCy3−ストレプトアビジンを結合させて蛍光標識反応を実施した。反応後、室温において、基板をトリス緩衝液(pH7.5、0.05wt%のTween20を含む)で2分間洗浄した。その後、遠心分離機を用いて基板を遠心乾燥させた。
実施例1〜2及び比較例1〜2の蛍光標識反応後の基板について、蛍光量の測定を行い、スポットシグナル強度値を評価した。蛍光量の測定には、PerkinElmer社製のバイオチップスキャナー「ScanArray」を用いた。測定条件は、レーザー出力90%、PMT感度50%、励起波長633nm、測定波長670nm、解像度10μmであった。結果を下記表1に示した。
表1の結果から分かるように、活性エステル基を有する重合体で被覆した基板に、糖鎖を結合させたタンパク質を固定した実施例1及び実施例2の基板では、糖鎖(ラクトース)を認識する分子(レクチン)の特異的なシグナルが観察されていた。糖鎖を結合させたタンパク質におけるタンパク質のアミノ基と、基板上の活性エステル基を結合させることにより、糖鎖を結合させたタンパク質を、タンパク質を介して活性エステル基を有する重合体で被覆した基板に固定することができた。
活性エステル基を有する重合体で被覆した基板に、糖鎖(還元末端を有する)の固定化を行った比較例1では、スポットシグナル強度値がバックグラウンド値とほぼ同等であり、ラクトース(糖鎖)を認識するSNA(レクチン)の特異的なシグナルが観察されず、糖鎖が基板に固定されていないことが確認された。一方、アミノオキシ基を有する重合体で被覆された基板に、糖鎖(還元末端を有する)の固定化を行った比較例2では、ラクトース(糖鎖)を認識する分子(レクチン)の特異的なシグナルが観察されていた。糖鎖の還元末端と、基板上のアミノオキシ基が結合することにより、糖鎖が基板上に固定されている。
実施例1及び実施例2におけるスポットシグナル強度値が、比較例2におけるスポットシグナル強度値より2〜3倍高かった。BSAなどのタンパク質に糖鎖を結合させ、糖鎖を結合させたタンパク質を、活性エステル基を有する重合体を被覆した基板に固定することにより、基板上の単位面積あたりの糖鎖の固定量が増加し検出シグナルが向上することが分かった。
本発明の糖鎖アレイを用いれば、検出対象物質が微量である場合も、効果的に検出対象物質と糖鎖との相互作用を検出することが可能である。

Claims (5)

  1. 複数の糖鎖が基板上に固定されている糖鎖アレイであって、
    前記基板の表面には活性エステル基を有する重合体が被覆されており、
    前記糖鎖はタンパク質に結合しており、結合タンパク質を介して前記基板上に固定されていることを特徴とする糖鎖アレイ。
  2. 前記糖鎖を結合させたタンパク質において、糖鎖の還元末端とタンパク質のアミノ基が結合している請求項1に記載の糖鎖アレイ。
  3. 前記糖鎖を結合させたタンパク質におけるタンパク質のアミノ基と、前記基板の表面を被覆した重合体における活性エステル基が結合している請求項1又は2に記載の糖鎖アレイ。
  4. 前記活性エステル基は、下記の一般式[1]で表されるモノマーに由来する請求項1〜3のいずれか1項に記載の糖鎖アレイ。
    (一般式[1]中、Rは水素原子又はメチル基を示し、Xは炭素数1〜10のアルキレングリコール残基又はアルキレン基を示し、Wは活性エステル基を示し、pはXの平均付加モル数であって1〜100の整数を示し、pが2以上100以下の整数である場合、繰り返されるXは、それぞれ同一であってもよく、異なっていてもよい。)
  5. 複数の糖鎖が基板上に固定されている糖鎖アレイの製造方法であって、
    基板の表面に活性エステル基を有する重合体を被覆する工程と、
    糖鎖をタンパク質に結合させる工程と、
    前記糖鎖を結合させたタンパク質を、結合タンパク質を介して前記活性エステル基を有する重合体で被覆した基板に固定する工程を含む糖鎖アレイの製造方法。
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