JP2022142060A - 自立型タンパク質低吸着容器 - Google Patents

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Abstract

Figure 2022142060000001
【課題】収容領域を形成している容器内面へのタンパク質や細胞の吸着が少ない自立型のタンパク質低吸着容器を提供する。
【解決手段】樹脂素材により構成された平面状の底部および側壁部を備え、底部が載置面に設置された状態で自立可能であり、底部の内面および側壁部の内面が液体を収容する収容領域を形成し、さらに、底部の内面および側壁部の内面には、側鎖に親水性官能基を有する水溶性樹脂により構成された被覆層が形成され、且つ水溶性樹脂どうしの間ならびに水溶性樹脂と底部の内面および側壁部の内面との間が架橋されている、自立型タンパク質低吸着容器。
【選択図】図1

Description

本発明は、自立型タンパク質低吸着容器に関する。
タンパク質の分析や細胞の培養、保存などに用いられる生化学用の容器は、樹脂素材により構成されたものが多く用いられている。しかし、この樹脂素材により構成された生化学用の容器は、その容器の内面にタンパク質や細胞が吸着し易い場合がある。そして、臨床検査などにおいて、採取された尿や血液などに含まれるタンパク質が収容容器の内面に吸着してしまうと、タンパク質の検査値や回収量が実際より低くなり、診断を誤る可能性がある。また、細胞についても、培養時や保存時などにおいて容器の内面に細胞が吸着してしまうと、細胞を容器内から回収し難くなり、その回収率等が低下してしまう可能性がある。
このような課題を解決するために、生化学用の容器の内面にタンパク質や細胞を吸着し難くする処理を行う方法(低吸着処理方法)が知られている。例えば、特許文献1には、ポリスチレン製部材を反応容器に入れてオゾンガスを流通させ、表面に酸素を導入して親水性とし、このポリスチレン製部材の表面へのタンパク質の吸着を低減させる方法が開示されている。
特開平10-101820号公報
しかしながら、特許文献1に記載の方法によって樹脂層の表面に導入された、酸素により形成された親水性の極性基は、気相との接触により経時的に樹脂層の内部に潜り込むことが知られており、効果が経時的に低下してしまうという課題があった。
さらに、自立型の容器においては、通常、一定以上の面積を有する自立面(平面状の底部)を備えることから、容器内面に上記のような低吸着処理が施されている場合でも、タンパク質や細胞の回収ロスなどの点においてさらなる改善の余地があり、特に大容量の自立型の容器においてより改善の余地があった。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、収容領域を形成している容器内面へのタンパク質や細胞の吸着が少ない自立型のタンパク質低吸着容器を提供することを目的とする。
本発明に係る自立型タンパク質低吸着容器は、樹脂素材により構成された平面状の底部および側壁部を備え、底部が載置面に設置された状態で自立可能であり、この底部の内面および側壁部の内面がタンパク質または細胞を含む液体を収容する収容領域を形成し、さらに、この底部の内面および側壁部の内面には、側鎖に親水性官能基を有する水溶性樹脂により構成された被覆層が形成され、且つこの水溶性樹脂どうしの間ならびにこの水溶性樹脂と底部の内面および側壁部の内面との間が架橋されていることを特徴とする。
本発明によれば、収容領域を形成している容器内面へのタンパク質や細胞の吸着が少なく、これらの回収ロスなどを低減することが可能な自立型タンパク質低吸着容器を得ることができる。
本実施形態に係る自立型タンパク質低吸着容器の模式的な斜視図である。 本実施形態に係る自立型タンパク質低吸着容器からピペットにより試料(タンパク質または細胞を含む液体)を回収している状態を示した模式的な斜視図である。 本実施形態に係る自立型タンパク質低吸着容器の収容領域における容器内面を拡大して示した模式的な拡大断面図である。 本実施形態に係る自立型タンパク質低吸着容器の収容領域付近を示した模式的な断面図である。 本実施形態に係る自立型タンパク質低吸着容器の変形例の収容領域付近を示した模式的な断面図である。
以下、本発明に係る自立型タンパク質低吸着容器の実施形態を図面に基づいて説明する。
なお、以下に説明する実施形態は、本発明の理解を容易にするための一例に過ぎず、本発明を限定するものではない。すなわち、以下に説明する部材の形状、寸法、配置等については、本発明の趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物が含まれることは勿論である。
また、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、重複する説明は適宜省略する。なお、いずれの図面についても、便宜上、符号を付していない(省略している)箇所がある。さらに、図面に示された各部材の寸法比率は、発明の理解を容易にするために、実際の寸法比率とは異なる場合がある。
<概要>
まず、本実施形態に係る自立型タンパク質低吸着容器の概要について、図1および図2を参照して詳細に説明する。なお、図1は、本実施形態に係る自立型タンパク質低吸着容器100を模式的に示した斜視図である。また、図2は、本実施形態に係る自立型タンパク質低吸着容器100からピペット41によりタンパク質または細胞を含む液体43(試料)を回収している状態を模式的に示した斜視図である。
本実施形態に係る自立型タンパク質低吸着容器100は、図1および図2に示すような、樹脂素材により構成された平面状の底部11および側壁部13を備え、底部11が載置面に設置された状態で自立可能であり、底部11の内面11aおよび側壁部13の内面13aがタンパク質または細胞を含む液体43を収容する収容領域21を形成している。さらに、底部11の内面11aおよび側壁部13の内面13aには、側鎖に親水性官能基を有する水溶性樹脂により構成された被覆層51が形成され、且つこの水溶性樹脂どうしの間ならびにこの水溶性樹脂と底部11の内面11aおよび側壁部13の内面13aとの間が架橋されている。なお、この「内面」とは、本実施形態に係る自立型タンパク質低吸着容器100の各部材における容器内部側(収容領域21側)の面である。
そして、本実施形態に係る自立型タンパク質低吸着容器100は、少なくとも底部11および側壁部13が樹脂素材により構成されていれば良い。ここで、「樹脂素材により構成された」とは、樹脂素材が主材として含まれること(樹脂素材が部材の総質量の70質量%以上、より好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上含まれること)を意味し、本発明の効果に影響を与えない範囲内において添加剤などの樹脂素材以外の材料が含まれていても良い。なお、本実施形態に係る自立型タンパク質低吸着容器100は、その全体(備わる全ての部材)が樹脂素材により構成されていても良く、あるいは、底部11および側壁部13以外の部材の少なくとも一部が樹脂素材以外の材料(例えばガラスなど)により構成されても良いが、本実施形態に係る自立型タンパク質低吸着容器100の全体が樹脂素材(特に同じ樹脂素材)により構成されているのがより好ましい。本実施形態に係る自立型タンパク質低吸着容器100の製造(ブロー成形や射出成形など)がし易いからである。
この樹脂素材としては、例えば、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリメチルペンテン樹脂、エチレン-プロピレン共重合体等のポリオレフィン系樹脂または環状ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン樹脂等のポリスチレン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂等のポリアクリル系樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂等のメタクリル系樹脂、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系樹脂、ポリアクリロニトリル等のアクリル系樹脂、プロピオネート樹脂等の繊維素系樹脂、ポリカーボネート樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリサルホン樹脂、ポリエーテルサルホン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂などを用いることができる。これらは、1種単独で用いられていても良く、2種以上が併用されていても良い。これらの中でも、生化学用の容器に求められる成形性、透明性、放射線耐性(滅菌性)などの観点から、ポリエチレンテレフタレート樹脂を用いるのが特に好ましい。
また、この樹脂素材の重量平均分子量は、特に限定されるものではないが、10000以上500000以下が好ましく、20000以上100000以下がより好ましい。用いる樹脂素材の重量平均分子量がこの範囲内であると、成形性がより優れるからである。
なお、この重量平均分子量は、サイズ排除クロマトグラフィー法(Gel Permeation Chromatographyシステム、Shodex KF-800カラム、いずれも昭和電工社製、溶出溶媒:テトラヒドロフラン)により測定される値である。
このような樹脂素材を主材として、例えばブロー成形、射出成形、インジェクションブロー成形、真空成形などにより、本実施形態に係る自立型タンパク質低吸着容器100の底部11および側壁部13を形成することができ、さらには、本実施形態に係る自立型タンパク質低吸着容器100の全体を形成することもできる。
本実施形態に係る自立型タンパク質低吸着容器100の形状は、平面状の(略平面である)底部11と、この底部11と連設されている側壁部13とを備え、この平面状の底部11が載置面に設置された状態で自立可能であり、さらに底部11の内面11aおよび側壁部13の内面13aが液体43を収容する収容領域21を形成していれば、他は限定されない。例えば、図1および図2に示すような平面状の底部11および側壁部13を備える略方形のボトル形状であっても良く、あるいは、側壁部13が曲面により構成されている略円筒状のボトル形状であっても良い。また、底部11が平面状であるフラスコ形状(側壁部13が載置面の側から上部に向かってテーパー状に縮径している三角フラスコ形状など)や、シャーレ形状などであっても良い。
なお、本実施形態に係る自立型タンパク質低吸着容器100の収容領域21は、底部11の内面11aおよび側壁部13の内面13aに加えて、さらに他の部材の内面(例えば天部の内面など)により形成されていても良い。
そして、本実施形態に係る自立型タンパク質低吸着容器100には、試料等の導入口あるいは排出口や、脱気口などとなり得る1以上の開口部31が設けられていても良い。なお、この開口部31は、繰り返し開閉可能な構造を有していても良く、例えば、図1および図2に示すように、開口部31にネジ山が設けられており、キャップ33などにより封止することができる構造であっても良い。さらに、本実施形態に係る自立型タンパク質低吸着容器100には、これら以外の部材(例えば把持部など)が設けられていても良い。
また、本実施形態の自立型タンパク質低吸着容器100は、その収容領域21が50mL超、さらには100mL以上、さらには200mL以上のタンパク質または細胞を含む液体43を収容可能な容積を有していても良い。つまり、本実施形態の自立型タンパク質低吸着容器100の収容領域21に試料であるタンパク質を含む検体液や細胞を含む液体培地などを50mL超収容して、この収容領域21内において保存、反応、培養などを行うことができる容積を有していても良い。したがって、例えば開口部31が密閉できる構造である場合は、収容領域21の容積自体が50mL超であれば良く、開口部31が密閉できない構造である場合は、収容領域21が50mL超の液体43を収容した状態において後の作業に支障が出ない容積(収容領域21内の液体43が処理中などにおいて開口部31からこぼれ出にくい容積)であれば良い。本実施形態の自立型タンパク質低吸着容器100は、このような大容量の容器であっても、収容領域21を形成している容器内面へのタンパク質や細胞の吸着が少なく、且つ収容領域21からの液体43の回収がし易く、回収ロス等が少ないことが特徴である。
<収容領域を形成する容器内面の構成>
次に、本実施形態に係る自立型タンパク質低吸着容器100の収容領域21を形成する容器内面の構成について図3から図5を参照して詳細に説明する。なお、図3は、本実施形態に係る自立型タンパク質低吸着容器100の収容領域における容器内面(底部11の内面11aまたは側壁部13の内面13a)を拡大して示した模式的な拡大断面図である。図4および図5は、本実施形態に係る自立型タンパク質低吸着容器100の2つの異なる実施形態における収容領域21付近を示した模式的な断面図である。
本実施形態に係る自立型タンパク質低吸着容器100は、少なくとも収容領域21を形成している底部11の内面11aおよび側壁部13の内面13aに、側鎖に親水性官能基を有する水溶性樹脂により構成された被覆層51が形成されている。そして、この水溶性樹脂どうしの間、つまり被覆層51中の水溶性樹脂の分子間、ならびに、この水溶性樹脂(被覆層51中の水溶性樹脂分子)と底部11の内面11aとの間およびこの水溶性樹脂と側壁部13の内面13aとの間がいずれも架橋されている。このような被覆層51の形成により、収容領域21を形成する容器内面の表層に親水性官能基が含まれることとなり、収容領域21に収容された液体43に含まれるタンパク質や細胞が収容領域21を形成する容器内面に吸着し難くなる。
なお、本実施形態における「水溶性樹脂」とは、水分子とのイオン結合または水素結合により水和して水に溶解可能な樹脂であって、25℃の水100gに対して1.0g以上溶解可能なものである。また、「水溶性樹脂により構成された被覆層51」とは、上記のような水溶性樹脂を主成分(例えば80質量%以上、さらには90質量%以上含まれるもの)として含む被覆層51を意味し、この被覆層51に含まれる水溶性樹脂が架橋、硬化することにより被覆層51が非水溶性に変性しているものも包含される。つまり、水溶性樹脂を主成分とする材料を用いて形成された被覆層51でれば、架橋、硬化されて非水溶性となっているものであっても良い。
側鎖に親水性官能基を有する水溶性樹脂としては、例えば、ポリ酢酸ビニルのケン化物、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ポリアクリルアミド、ポリメタアクリルアミド、ポリヒドロキシエチルメタアクリレート、ポリペンタエリスリトールトリアクリレート、ポリペンタエリスリトールテトラアクリレート、ポリジエチレングリコールジアクリレート、およびそれらを構成するモノマー同士の共重合体、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンと他のモノマー(例えばブチルメタクリレート等)との共重合体等が挙げられる。これらの水溶性樹脂には、その一部に、さらに別の親水性官能基などが側鎖として付加されたものも包含される。そして、これらの中でも、ポリ酢酸ビニルのケン化物、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコールから選ばれる1種以上がより好ましい。これにより、タンパク質や細胞に対する刺激を抑制し、その質などをより向上することができるからである。そして、この水溶性樹脂の平均重合度は、特に限定されないが、収容領域21を形成する容器内面に均一な被膜が形成しやすく、かつ作業性が良好となることから、100~10000が好ましく、200~5000がより好ましい。
なお、ポリ酢酸ビニルのケン化物としては、例えば、ポリビニルアルコールまたはビニルアルコールと他の化合物との共重合体や、親水基変性、疎水基変性、アニオン変性、カチオン変性、アミド基変性またはアセトアセチル基のような反応基変性をさせた変性酢酸ビニルとビニルアルコールとのケン化物等が挙げられる。ポリ酢酸ビニルのケン化物のケン化度は、特に限定されないが、ポリ酢酸ビニル全体の20~100mol%が好ましく、50~95mol%がより好ましい。
そして、この被覆層51を構成する水溶性樹脂は、側鎖に親水性官能基を有するものであるが、さらに架橋、硬化のための官能基を有していても良く、あるいは、架橋、硬化のための官能基が親水性官能基またはその一部であっても良い。これらの官能基としては、例えば、水酸基、カルボニル基(カルボキシ基、アルデヒド基、ケトン基、エステル基、アミド基など)を含む官能基や、放射線反応性、感光性、熱反応性の官能基などが挙げられる。さらに、感光性の親水性官能基である、ジアゾ基、アジド基、ジアジド基等を含む官能基がより好ましいものとして挙げられる。
特に、300~500nmの波長の光照射により容易に架橋および硬化させることができ、且つタンパク質や細胞などの吸着量をより低減できることから、側鎖にアジド基および/またはカルボニル基を含む官能基を有する水溶性樹脂がより好ましく、側鎖に芳香族アジド基および/またはカルボニル基を含む官能基を有する水溶性樹脂がさらに好ましく、下記式(Ia)または下記式(Ib)で表される水溶性樹脂がさらに好ましい。
Figure 2022142060000002
Figure 2022142060000003
なお、上記式(Ia)中において、R1はカルボニルとアミンとを有する炭化水素基、R2、R3、R4、およびR5はいずれも水素またはアルキル基、r1は1~1000、r2は40~4995、r3は0~4000、nは1、2または3を示す。特に、R2、R3、R4、およびR5はいずれも水素であるのがより好ましい。
また、上記式(Ib)中において、Rはカルボニルとアミンとを有する炭化水素基、r1は1~1000、r2は40~4995、r3は0~4000を示す。
さらに、上記式(Ia)で表される水溶性樹脂は、下記式(IIa)で表される水溶性樹脂であるのがさらに好ましい。
なお、下記式(IIa)中において、Rはカルボニルとアミンとを有するアルキル基、r1は1~1000、r2は40~4995、r3は0~4000、nは1、2または3を示す。
Figure 2022142060000004
以上のような、側鎖に親水性官能基を有する水溶性樹脂を用いて、本実施形態に係る自立型タンパク質低吸着容器100の、少なくとも収容領域21を形成している底部11の内面11aおよび側壁部13の内面13aに被覆層51が形成される。なお、これ以外の部材の内面(例えば天部の内面など)にも、同様に上記した水溶性樹脂により構成された被覆層51が形成されていても良い。
そして、この被覆層51は、上記した水溶性樹脂が底部11の内面11aおよび側壁部13の内面13aに被覆され、光照射などによって被覆層51に含まれる水溶性樹脂の分子間どうしが架橋されて硬化することにより形成される。つまり、被覆層51の水溶性樹脂どうしの間が架橋されている構成である(例えば図3の架橋構造61)。この架橋は、水溶性樹脂の側鎖の官能基どうしにより形成されたものであるのが好ましい。なお、被覆層51中には、架橋されていない水溶性樹脂の分子が一部含まれていても良く、被覆層51としての構造を保つことができる程度に架橋、硬化された状態であれば良い。これにより、収容領域21に液体43を収容した際に被覆層51からの溶出物の量を低減させる事ができ、且つ物理的な刺激に対しても耐性を有する被覆層51を得ることができ、この被覆層51の低吸着能(タンパク質、細胞との低吸着性)が長期に維持される。ここで、図3の架橋構造61は、水溶性樹脂の分子どうしの間の架橋構造をわかり易く示したものであって、実際の架橋構造の大きさや数を表すものではない。
さらに、本実施形態に係る自立型タンパク質低吸着容器100では、被覆層51を構成する水溶性樹脂どうしの間だけでなく、被覆層51を構成する水溶性樹脂と底部11の内面11aおよび側壁部13の内面13aとの間も架橋されている(例えば図3の架橋構造63)。この架橋は、水溶性樹脂の側鎖の官能基と、底部11の内面11aまたは側壁部13の内面13aの官能基(後述する表面処理により形成された官能基など)により形成されたものであるのが好ましい。これにより、容器内面との接着性が高い被覆層51となる。つまり、被覆層51の安定性が高まっている。ここで、図3の架橋構造63も、水溶性樹脂の分子と底部11の内面11aまたは側壁部13の内面13aとの間の架橋構造をわかり易く示したものであって、これも実際の架橋構造の大きさや数を表すものではない。
そして、この被覆層51が形成される底部11の内面11aおよび側壁部13の内面13aは、その表面が、被覆層51の形成前において、親水化処理や表面処置官能基の形成処理などの表面処理が施されていても良い。このような表面処理としては、例えば含酸素官能基を形成する処理などが示される。この含酸素官能基を表面に形成することにより、上記した架橋(被覆層51の水溶性樹脂との間の架橋、図3の架橋構造63)がより形成し易くなる。含酸素官能基としては、カルボニル基(カルボキシ基、アルデヒド基、ケトン基、エステル基など)、水酸基、エーテル基、パーオキサイト基、エポキシ基などの極性を有した官能基が例示される。特に、含酸素官能基としてカルボニル基が形成される処理が施されているのがより好ましい。また、この表面処理としては、例えば、プラズマ処理、コロナ放電処理、エキシマレーザー処理、フレーム処理などを採用することができ、特にプラズマ処理を行うのがより好適である。
上記処理により形成される含酸素官能基の量としては、特に限定されないが、0.01~100nmol/cm2が好ましく、特に0.05~10nmol/cm2が好ましい。含酸素官能基の量がこの下限値未満であると所望の効果が十分に発揮されない可能性があり、上限値を超えると底部11または側壁部13自体の特性が変化して生化学用の容器としての要求性能を満たせなくなる可能性がある。
特に、被覆層51を構成する水溶性樹脂が芳香族アジド基を含む側鎖およびカルボニル基を含む側鎖を有し、底部11の内面11aおよび側壁部13の内面13aにカルボニル基が形成されており、水溶性樹脂の芳香族アジド基と水溶性樹脂のカルボニル基との間、ならびに水溶性樹脂の芳香族アジド基と底部11の内面11aおよび側壁部13の内面13aのカルボニル基との間が架橋されている構成であると好適である。これらの架橋は非常に形成し易く、より安定な被覆層51となり易いからである。
また、この被覆層51の厚さとしては、特に限定されるものではないが、例えば、0.1~50μmであるのが好ましく、0.5~20μmであるのがより好ましい。ここで、「被覆層51の厚さ」とは、被覆層51の表面(収容領域21側の表面)から底部11の内面11aおよび側壁部13の内面13aと接している面までの最短距離の長さである。以下においても同様である。
なお、この被覆層51の厚さは、エリプソメーターにより測定される。
そして、この被覆層51の厚さは、底部11の内面11aにおける被覆層51の厚さが均一であり、側壁部13の内面13aにおける被覆層51の厚さが均一であり、さらに、底部11の内面11aの被覆層51と、側壁部13の内面13aの被覆層51とが、厚さが均一であると好ましい。このように被覆層51の厚さが底部11の内面11aおよび側壁部13の内面13aにおいて全体として均一であると、収容領域21内での部位によるタンパク質、細胞の低吸着能の差が非常に少なく、収容領域21内での化学反応、酵素反応、細胞培養などを極めて安定的に行うことができるからである。ここで、「厚さが均一」とは、底部11の内面11aまたは側壁部13の内面13aにおいて、その被覆層51の厚さを任意に10か所測定したときの測定値のバラツキ(最大と最小の差)が0.1μm以内、より好ましくは0.05μm以内であることを意味する。
例えば、図4に示すように、底部11の内面11aに形成されている被覆層51の厚さが均一であり、側壁部13の内面13aに形成されている被覆層51の厚さも均一であり、さらに、底部11の内面11aに形成されている被覆層51と、側壁部13の内面13aに形成されている被覆層51とも、厚さが均一である、つまり底部11の内面11aおよび側壁部13の内面13aに形成されている被覆層51の厚さが全て均一であると、非常に好適である。
あるいは、この被覆層51の厚さは、底部11の内面11aにおいて、被覆層51の厚さがその中心部から側壁部13と接する端部側に向かって徐々に厚くなっており、さらに、側壁部13の内面13aにおいて、被覆層51の厚さが底部11と接する下部側から上部側に向かって徐々に厚くなっていると好ましい。収容領域21からタンパク質や細胞を含む液体43をピペット41などにより吸い上げて回収する際に、被覆層51が比較的薄い底部11の中心部にタンパク質や細胞が集まり易く、図2のように底部11の中心部においてピペット41などにより吸い上げを行うことによって、これらの回収がよりし易く且つ回収ロスも少なくなるからである。
例えば、図5に示すように、底部11の内面11aにおいて、形成されている被覆層51の厚さが底部11の中心部から側壁部13と接する端部側に向かって徐々に厚くなっており、さらに、側壁部13の内面13aにおいて、形成されている被覆層51の厚さが底部11と接する下部側から上部側に向かって徐々に厚くなっていると好適である。また、限定されるものではないが、底部11の端部における被覆層51の厚さは、側壁部13の下部における被覆層51の厚さよりも薄くなっているとより好ましい。つまり、図5の実施形態のように、底部11の中心部から側壁部13の上部側に向かって被覆層51の厚さが徐々に厚くなっているとより好適である。
なお、上記実施形態において、底部11の端部における被覆層51の厚さは、側壁部13の下部における被覆層51の厚さと同じであっても上記と同様の効果が発揮される。また、上記実施形態において、側壁部13の下部における被覆層51の厚さが、底部11の端部における被覆層51の厚さよりも薄くなっていても良い。これにより、側壁部13の内面13aにおける上部の被覆層51が必要以上に厚くなることを抑制できる。
一方で、本実施形態に係る自立型タンパク質低吸着容器100では、底部11の内面11aにおいて、被覆層51の厚さがその中心部から側壁部13と接する端部側に向かって徐々に薄くなっていても構わない。つまり、底部11の内面11aにおいて、中心部の被覆層51の厚さが最も厚くなっていても構わない。また、側壁部13の内面13aにおいて、被覆層51の厚さが底部11と接する下部側から上部側に向かって徐々に薄くなっていても構わない。つまり、側壁部13の内面13aにおいて、下部側の被覆層51の厚さが最も厚くなっていても構わない。
そして、底部11の内面11aにおける被覆層51の厚さの実施形態と、側壁部13の内面13aにおける被覆層51の厚さの実施形態とは、前述した実施形態の組み合わせ以外の組み合わせであっても構わない。例えば、底部11の内面11aにおいて、形成されている被覆層51の厚さが均一であるか、あるいは底部11の中心部から側壁部13と接する端部側に向かって徐々に薄くなっており、さらに、側壁部13の内面13aにおいては、形成されている被覆層51の厚さが底部11と接する下部側から上部側に向かって徐々に厚くなっている実施形態などであっても構わない。
収容領域21を形成する容器内面が以上のような構成である本実施形態に係る自立型タンパク質低吸着容器100は、収容領域21を形成する容器内面にタンパク質や細胞が吸着し難く、またこの収容領域21からタンパク質や細胞を含む液体43を回収し易く、タンパク質や細胞の回収ロスなどを低減させることができる。さらに、容器が大容量であっても回収等がし易いことも特徴である。
そして、本実施形態に係る自立型タンパク質低吸着容器100の収容領域21におけるタンパク質または細胞の吸着率は、限定されるものではないが、タンパク質の吸着率として20%以下であるのが好ましく、10%以下であるのがより好ましく、5%以下であるのがさらに好ましい(例えば0.0001~10%、さらには0.0002~5%など)。吸着率がこのような範囲内であると、臨床検査用検体保存容器などとしてより好適に用いることができる。
なお、このタンパク質の吸着率は、以下の式(1)で算出する。
吸着率(%)=吸着量/溶液中のタンパク質総量 (1)
具体的には、ヨウ素(125I)標識ウシ血清イムノグロブリンGを1.0E-6g/mL、1.0E-7g/mL、および1.0E-8g/mLの濃度にリン酸バッファー(pH7.4)を用いて希釈して各溶液を作製し、本実施形態に係る自立型タンパク質低吸着容器100の収容領域21にこれらを所定量分注し、37℃で1時間静置する。その後、0.05v/v%のTween20含有リン酸バッファーで3回洗浄を繰り返し、γ線カウンターで測定を行う。
そして、別途作成した検量線から容器内面に残留したヨウ素(125I)標識ウシ血清イムノグロブリンGの重量(吸着量)を求め、上記した式(1)を用いて各溶液濃度における吸着率を算出し、その平均値を出す。
<自立型タンパク質低吸着容器の製造方法>
次に、本実施形態に係る自立型タンパク質低吸着容器100の製造方法について説明する。
本実施形態に係る自立型タンパク質低吸着容器100の製造方法は、まず、前述したような樹脂素材により構成された材料を用いて、ブロー成形などによって平面状の底部11および側壁部13を備える所望の形状(平面状の底部11が載置面に設置された状態で自立可能な形状)の容器を成形する。必要に応じて、開口部31などの部材を設けても良い。そして、得られた容器の底部11の内面11aおよび側壁部13の内面13aに前述したような水溶性樹脂を主成分として含む材料を用いて被覆層51を形成する。なお、底部11の内面11aおよび側壁部13の内面13aに酸素雰囲気下でのプラズマ処理などの表面処理を施してから被覆層51を形成するのが好適である。
底部11の内面11aおよび側壁部13の内面13aに水溶性樹脂により構成された被覆層51を形成する方法としては、例えば、スピンコート、ディッピング、水溶性樹脂溶液を収容領域21内に分注した後、容器を傾けて溶液を排出する方法などを用いることができる。このような方法により、底部11の内面11aおよび側壁部13の内面13aに水溶性樹脂を主成分として含む材料の溶液を接触させた後、残留した溶媒等を乾燥させることによって被覆層51を形成することができる。
そして、この場合の水溶性樹脂は、20℃における粘度が好ましくは1mPa・s以上10mPa・s以下、より好ましくは2mPa・s以上7mPa・s以下となるように溶媒を用いて調製された溶液として使用するのが好適である。その際の溶媒は、水であるか、もしくは溶解度を高めるために水と有機溶媒との混合物を使用することができる。使用する水溶性樹脂溶液の粘度が上記範囲内であると、タンパク質や細胞の低吸着能が優れた被覆層51を容易に得ることができる。
また、残留した溶媒等の乾燥は、例えば本実施形態に係る自立型タンパク質低吸着容器100の開口部31を下方向(重力方向)に向けた状態で行う方法などを採用することができる。そして、前述したような、底部11の内面11aおよび側壁部13の内面13aに形成される被覆層51の厚さが全て均一となるような構成、あるいは、底部11の内面13aの被覆層51の厚さが中心部から端部側に向かって徐々に厚くなっており、側壁部13の内面13aの被覆層51の厚さが下部側から上部側に向かって徐々に厚くなっているような構成となるように調整しながら乾燥を行うとより好適である。
そして、形成された被覆層51の水溶性樹脂どうしの間および水溶性樹脂と所定の容器内面との間を架橋および硬化させて、非水溶性の硬化被膜に変性させる工程を行う。この工程は、前述したような光照射処理や、熱処理、放射線照射処理などによって行うことができ、作業性や、被覆層51を構成している水溶性樹脂の特性、底部11の内面11aおよび側壁部13の内面13aに形成されている官能基の種類などに応じて適宜選択すれば良い。なお、光照射処理(UV照射処理など)は、これらの中でも架橋、硬化処理を迅速に行うことができ、且つ簡易な設備で行うことができる方法である。
光照射により被覆層51を架橋、硬化させる場合の光源は、特に限定されないが、照度が5.0mW/cm2程度の超高圧水銀灯または0.1mW/cm2程度のUVランプを使用することができる。光照射による架橋、硬化は照度と照射時間で制御することができるため、照度の低い光源を用いる場合は照射時間を長くすればよく、反応性の高い感光基を選択した場合は蛍光灯下で架橋、硬化させることも可能である。例えば、5.0mW/cm2の超高圧水銀灯を使用した場合は1~10秒の照射で、0.1mW/cm2のUVランプを使用した場合は3~10分の照射で充分に架橋、硬化させることができる。
このようにして、被覆層51を非水溶性の硬化被膜に変性させることで、親水性官能基を表層に有する安定な被覆層51を構築することができる。そして、前述したような方法によって、底部11の内面11aおよび側壁部13の内面13aに予め水溶性樹脂が被覆された被覆層51を形成してから、この層を架橋および硬化させて非水溶性の硬化被膜に変性させることによって、所定の厚みの被覆層51を容易に得ることができる。
なお、架橋による硬化後に被覆層51の表面を水または水性溶媒によって洗浄することにより、未反応の水溶性樹脂の少なくとも一部を除去しても良い。例えば、未架橋の水溶性樹脂などの溶出物が確認された場合は、硬化後にこのような被覆層51の洗浄工程を入れることにより、溶出物の量を低減することができる。
さらに、必要であれば、上記のような被覆層51が形成された本実施形態に係る自立型タンパク質低吸着容器100について滅菌処理を行う。滅菌処理の方法は、例えば、エチレンオキサイドガス(EOG)滅菌、乾熱滅菌、蒸気滅菌、放射線滅菌等が挙げられるが、γ線あるいは電子線を用いた放射線滅菌が好ましく、大量生産を行う場合は放射線透過性の点からγ線滅菌が特に好ましい。
そして、放射線の吸収線量については特に限定されるものではないが、吸収線量が低すぎると十分に滅菌できない可能性があり、吸収線量が高すぎると容器本体や被覆層51などが劣化してしまう可能性があるため、例えば、吸収線量として1kGy以上50kGy以下が好ましく、5kGy以上30kGy以下が特に好ましい。これによって本実施形態に係る自立型タンパク質低吸着容器100を、その特性を維持したまま滅菌することができる。
以上のような製造方法により、収容領域21を形成している底部11の内面11aおよび側壁部13の内面13aへのタンパク質や細胞の吸着が少ない本実施形態に係る自立型タンパク質低吸着容器100を製造することができる。
そして、上記実施形態は、以下の技術思想を包含するものである。
(1)タンパク質または細胞を含む液体を収容する容器であって、樹脂素材により構成された平面状の底部および側壁部を備え、前記底部が載置面に設置された状態で自立可能であり、前記底部の内面および前記側壁部の内面が前記液体を収容する収容領域を形成し、さらに、前記底部の前記内面および前記側壁部の前記内面には、側鎖に親水性官能基を有する水溶性樹脂により構成された被覆層が形成され、且つ前記水溶性樹脂どうしの間ならびに前記水溶性樹脂と前記底部の前記内面および前記側壁部の前記内面との間が架橋されている、自立型タンパク質低吸着容器。
(2)前記底部の前記内面における前記被覆層の厚さが均一であり、前記側壁部の前記内面における前記被覆層の厚さが均一であり、さらに、前記底部の前記内面の前記被覆層と、前記側壁部の前記内面の前記被覆層とが、厚さが均一である、(1)に記載の自立型タンパク質低吸着容器。
(3)前記底部の前記内面において、前記被覆層の厚さが中心部から前記側壁部と接する端部側に向かって徐々に厚くなっており、前記側壁部の前記内面において、前記被覆層の厚さが前記底部と接する下部側から上部側に向かって徐々に厚くなっている、(1)に記載の自立型タンパク質低吸着容器。
(4)前記収容領域が50mL超の前記液体を収容可能な容積を有する、(1)~(3)のいずれか1つに記載の自立型タンパク質低吸着容器。
(5)前記被覆層を構成する前記水溶性樹脂が芳香族アジド基を含む側鎖およびカルボニル基を含む側鎖を有し、前記底部の前記内面および前記側壁部の前記内面にカルボニル基が形成されており、前記水溶性樹脂の前記芳香族アジド基と前記水溶性樹脂の前記カルボニル基との間、ならびに前記水溶性樹脂の前記芳香族アジド基と前記底部の前記内面および前記側壁部の前記内面の前記カルボニル基との間が架橋されている、(1)~(4)のいずれか1つに記載の自立型タンパク質低吸着容器。
(6)前記被覆層を構成する前記水溶性樹脂が、上記式(Ia)または上記式(Ib)で表される水溶性樹脂である、(1)~(5)のいずれか1つに記載の自立型タンパク質低吸着容器。
100 自立型タンパク質低吸着容器
11 底部
11a 底部の内面
13 側壁部
13a 側壁部の内面
21 収容領域
31 開口部
33 キャップ
41 ピペット
43 タンパク質または細胞を含む液体
51 被覆層
61 架橋構造(水溶性樹脂-水溶性樹脂)
63 架橋構造(水溶性樹脂-内面)

Claims (6)

  1. タンパク質または細胞を含む液体を収容する容器であって、
    樹脂素材により構成された平面状の底部および側壁部を備え、
    前記底部が載置面に設置された状態で自立可能であり、
    前記底部の内面および前記側壁部の内面が前記液体を収容する収容領域を形成し、
    さらに、前記底部の前記内面および前記側壁部の前記内面には、側鎖に親水性官能基を有する水溶性樹脂により構成された被覆層が形成され、且つ前記水溶性樹脂どうしの間ならびに前記水溶性樹脂と前記底部の前記内面および前記側壁部の前記内面との間が架橋されている、
    自立型タンパク質低吸着容器。
  2. 前記底部の前記内面における前記被覆層の厚さが均一であり、
    前記側壁部の前記内面における前記被覆層の厚さが均一であり、
    さらに、前記底部の前記内面の前記被覆層と、前記側壁部の前記内面の前記被覆層とが、厚さが均一である、請求項1に記載の自立型タンパク質低吸着容器。
  3. 前記底部の前記内面において、前記被覆層の厚さが中心部から前記側壁部と接する端部側に向かって徐々に厚くなっており、
    前記側壁部の前記内面において、前記被覆層の厚さが前記底部と接する下部側から上部側に向かって徐々に厚くなっている、請求項1に記載の自立型タンパク質低吸着容器。
  4. 前記収容領域が50mL超の前記液体を収容可能な容積を有する、請求項1~3のいずれか1項に記載の自立型タンパク質低吸着容器。
  5. 前記被覆層を構成する前記水溶性樹脂が芳香族アジド基を含む側鎖およびカルボニル基を含む側鎖を有し、
    前記底部の前記内面および前記側壁部の前記内面にカルボニル基が形成されており、
    前記水溶性樹脂の前記芳香族アジド基と前記水溶性樹脂の前記カルボニル基との間、ならびに前記水溶性樹脂の前記芳香族アジド基と前記底部の前記内面および前記側壁部の前記内面の前記カルボニル基との間が架橋されている、請求項1~4のいずれか1項に記載の自立型タンパク質低吸着容器。
  6. 前記被覆層を構成する前記水溶性樹脂が、下記式(Ia)または下記式(Ib)で表される水溶性樹脂である、請求項1~5のいずれか1項に記載の自立型タンパク質低吸着容器。
    Figure 2022142060000005
    (式(Ia)中、R1はカルボニルとアミンとを有する炭化水素基、R2、R3、R4、およびR5はいずれも水素またはアルキル基、r1は1~1000、r2は40~4995、r3は0~4000、nは1、2または3を示す。)
    Figure 2022142060000006
    (式(Ib)中、Rはカルボニルとアミンとを有する炭化水素基、r1は1~1000、r2は40~4995、r3は0~4000を示す。)
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