JP2016040369A - ポリオレフィン樹脂水性分散体、およびそれを用いた接着剤、太陽電池バックシート、太陽電池モジュール - Google Patents
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Abstract
【課題】架橋剤が含まれているにもかかわらず粘度の上昇が抑制された水性分散体であって、接着剤として、均一に、広範囲に塗工することができ、加えて、接着剤として用いて作製した太陽電池バックシートにおいて、反りの発生を抑制することができるポリオレフィン樹脂水性分散体を提供する。【解決手段】酸変性ポリオレフィン樹脂(A)100質量部と、脂肪族ポリグリシジルエーテル(B)0.1〜30質量部と、水性媒体とを含有する水性分散体であって、酸変性ポリオレフィン樹脂(A)が、不飽和カルボン酸成分を0.1〜10質量%含有することを特徴とするポリオレフィン樹脂水性分散体。【選択図】なし
Description
本発明は、ポリオレフィン樹脂水性分散体、接着剤、太陽電池バックシートおよび太陽電池モジュールに関する。
ポリオレフィン樹脂は、力学特性や化学特性、リサイクル特性などが優れていることから包装材料の用途として大量に使用されている。しかし、通常、ポリオレフィン樹脂は分子中に極性基を含まないため、ポリオレフィン樹脂にコーティングや接着することが困難であった。
この問題の解決策の1つとして、ポリオレフィン樹脂の接着剤として、微細な分散粒子径からなる酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体を利用する方法が知られている。そして、耐熱性や物理的強度を向上するために、酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体に、架橋剤などの添加剤が添加されて使用されている。
この問題の解決策の1つとして、ポリオレフィン樹脂の接着剤として、微細な分散粒子径からなる酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体を利用する方法が知られている。そして、耐熱性や物理的強度を向上するために、酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体に、架橋剤などの添加剤が添加されて使用されている。
このように、接着性とともに各物性が向上した酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体を、太陽電池モジュール製造用の接着剤として使用することが開示されている(特許文献1)。
太陽電池は、複数の太陽電池モジュールが並列に接続されたものである。そして太陽電池モジュールは、一般的に、「ガラスなどからなる上層透明基材層」、「シリコーン系半導体などからなる太陽電池素子(セル)をオレフィン系共重合体などで封止した充填剤層」、および「接着層を介しての封止層やバリア層などからなる太陽電池バックシート」から構成されている。一般的に太陽電池モジュールは、「封止層と接着層とからなる太陽電池バックシート」を、「充填剤層」および「透明基材層」と積層して製造される。
太陽電池は、複数の太陽電池モジュールが並列に接続されたものである。そして太陽電池モジュールは、一般的に、「ガラスなどからなる上層透明基材層」、「シリコーン系半導体などからなる太陽電池素子(セル)をオレフィン系共重合体などで封止した充填剤層」、および「接着層を介しての封止層やバリア層などからなる太陽電池バックシート」から構成されている。一般的に太陽電池モジュールは、「封止層と接着層とからなる太陽電池バックシート」を、「充填剤層」および「透明基材層」と積層して製造される。
太陽電池モジュールは、ほとんどが屋外で、かつ30年以上という長期間使用されるため、太陽電池モジュールに使用される接着剤には、バックシートと充填剤層との十分な接着力や、高温多湿の環境下や雨水等による水分の浸入に対しても接着強度が低下しない性能(以下、耐候性と呼ぶことがある)が要求される。
特許文献1には、太陽電池モジュール用接着剤として、不飽和カルボン酸成分を0.1〜10質量%含有する酸変性ポリオレフィン樹脂を含む水性分散体を用いることにより、高温多湿環境下および酸性環境下での接着強度保持性に優れた接着層が得られることが開示されている。また、接着性や耐候性などをさらに向上させるために、架橋剤が添加されることがあった。
特許文献1には、太陽電池モジュール用接着剤として、不飽和カルボン酸成分を0.1〜10質量%含有する酸変性ポリオレフィン樹脂を含む水性分散体を用いることにより、高温多湿環境下および酸性環境下での接着強度保持性に優れた接着層が得られることが開示されている。また、接着性や耐候性などをさらに向上させるために、架橋剤が添加されることがあった。
しかしながら、特許文献1に記載の接着剤から形成された接着層を含む太陽電池バックシートは、作製後に、反りが発生することがあった。太陽電池バックシートに反りが発生すると、上層の透明基材層や太陽電池モジュールに応力負荷がかかり、太陽電池モジュールの長期使用に影響を及ぼす可能性がある。このような太陽電池バックシートの反りの発生は、温度変化によるところが大きく、太陽電池バックシート製造後の保存時にも起こる問題であり、反りの発生した太陽電池バックシートは、太陽電池モジュール製造において、加工性が低下することがあった。さらに、架橋剤を含有した接着剤を使用して作製された太陽電池バックシートにおいては、反りの程度が大きくなることがあった。
また、工業的に広く使用されている架橋剤の多くは、酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体に添加すると、水性分散体の粘度を上昇させる傾向にあり、架橋剤を含有する水性分散体は、広範囲にわたって均一に、かつ薄い塗工を行うことが困難であった。したがって、架橋剤を含有する水性分散体においては、固形分濃度を低下させずに、低粘度化することが求められていた。
本発明の課題は、架橋剤が含まれているにもかかわらず粘度の上昇が抑制された水性分散体であって、接着剤として、均一に、広範囲に塗工することができ、加えて、接着剤として用いて作製した太陽電池バックシートにおいて、反りの発生を抑制することができるポリオレフィン樹脂水性分散体を提供することである。
本発明者らは鋭意検討した結果、架橋剤として、特定の化学構造を有するエポキシ化合物を含有するポリオレフィン樹脂水性分散体が、上記課題を解決できることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明の要旨は、以下のとおりである。
(1)酸変性ポリオレフィン樹脂(A)100質量部と、脂肪族ポリグリシジルエーテル(B)0.1〜30質量部と、水性媒体とを含有する水性分散体であって、酸変性ポリオレフィン樹脂(A)が、不飽和カルボン酸成分を0.1〜10質量%含有することを特徴とするポリオレフィン樹脂水性分散体。
(2)脂肪族ポリグリシジルエーテル(B)を構成する脂肪族ポリオール成分が、ポリオール重合体および/または糖アルコールであることを特徴とする(1)に記載のポリオレフィン樹脂水性分散体。
(3)さらにポリウレタン樹脂および/または多価ヒドラジド化合物を含むことを特徴とする(1)または(2)に記載のポリオレフィン樹脂水性分散体。
(4)さらにシランカップリング剤(C)を含むことを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載のポリオレフィン樹脂水性分散体。
(5)シランカップリング剤(C)がエポキシ型シランカップリング剤であることを特徴とする(4)に記載のポリオレフィン樹脂水性分散体。
(6)上記(1)〜(5)のいずれかに記載のポリオレフィン樹脂水性分散体を含有してなる太陽電池バックシート用接着剤。
(7)上記(6)に記載の太陽電池バックシート用接着剤から形成された接着層と、封止層とを含むことを特徴とする太陽電池バックシート。
(8)さらにバリア層を含むことを特徴とする(7)に記載の太陽電池バックシート。
(9)充填剤で太陽電池素子を覆ってなる充填剤層と、(7)または(8)に記載の太陽電池バックシートとを含むことを特徴とする太陽電池モジュール。
(10)充填剤で太陽電池素子を覆ってなる充填剤層と、(7)または(8)に記載の太陽電池バックシートとを、太陽電池バックシートの接着層を介して熱圧着することを特徴とする太陽電池モジュールの製造方法。
(1)酸変性ポリオレフィン樹脂(A)100質量部と、脂肪族ポリグリシジルエーテル(B)0.1〜30質量部と、水性媒体とを含有する水性分散体であって、酸変性ポリオレフィン樹脂(A)が、不飽和カルボン酸成分を0.1〜10質量%含有することを特徴とするポリオレフィン樹脂水性分散体。
(2)脂肪族ポリグリシジルエーテル(B)を構成する脂肪族ポリオール成分が、ポリオール重合体および/または糖アルコールであることを特徴とする(1)に記載のポリオレフィン樹脂水性分散体。
(3)さらにポリウレタン樹脂および/または多価ヒドラジド化合物を含むことを特徴とする(1)または(2)に記載のポリオレフィン樹脂水性分散体。
(4)さらにシランカップリング剤(C)を含むことを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載のポリオレフィン樹脂水性分散体。
(5)シランカップリング剤(C)がエポキシ型シランカップリング剤であることを特徴とする(4)に記載のポリオレフィン樹脂水性分散体。
(6)上記(1)〜(5)のいずれかに記載のポリオレフィン樹脂水性分散体を含有してなる太陽電池バックシート用接着剤。
(7)上記(6)に記載の太陽電池バックシート用接着剤から形成された接着層と、封止層とを含むことを特徴とする太陽電池バックシート。
(8)さらにバリア層を含むことを特徴とする(7)に記載の太陽電池バックシート。
(9)充填剤で太陽電池素子を覆ってなる充填剤層と、(7)または(8)に記載の太陽電池バックシートとを含むことを特徴とする太陽電池モジュール。
(10)充填剤で太陽電池素子を覆ってなる充填剤層と、(7)または(8)に記載の太陽電池バックシートとを、太陽電池バックシートの接着層を介して熱圧着することを特徴とする太陽電池モジュールの製造方法。
本発明のポリオレフィン樹脂水性分散体は、固形分濃度を低下させずに低粘度化されているため、均一で薄膜の接着層を形成できる。本発明のポリオレフィン樹脂水性分散体を接着剤として用いることで、この接着剤から形成された接着層を有する太陽電池バックシートは、保管時の反り発生が抑制され、太陽電池モジュールとした際の充填剤との優れた接着性および耐候性も実現される。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のポリオレフィン樹脂水性分散体は、酸変性ポリオレフィン樹脂(A)、脂肪族ポリグリシジルエーテル(B)および水性媒体を含有するものである。
本発明のポリオレフィン樹脂水性分散体は、酸変性ポリオレフィン樹脂(A)、脂肪族ポリグリシジルエーテル(B)および水性媒体を含有するものである。
酸変性ポリオレフィン樹脂(A)は、主成分としてオレフィン成分を含有するものである。オレフィン成分は特に限定されないが、エチレン、プロピレン、イソブチレン、2−ブテン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン等の炭素数2〜6のアルケンが好ましく、これらの混合物でもよい。中でも、接着性を良好とするために、エチレン、プロピレン、イソブチレン、1−ブテン等の炭素数2〜4のアルケンがより好ましく、エチレン、プロピレンがさらに好ましく、エチレンが最も好ましい。
酸変性ポリオレフィン樹脂(A)は、接着性を向上させると共に、水性分散体とした場合の分散性向上の観点から、不飽和カルボン酸成分を含有することが必要である。
不飽和カルボン酸成分としては、アクリル酸、メタクリル酸、(無水)マレイン酸、(無水)イタコン酸、フマル酸、クロトン酸などのほか、不飽和ジカルボン酸のハーフエステル、ハーフアミドなどが挙げられる。中でもアクリル酸、メタクリル酸、(無水)マレイン酸が好ましく、特にアクリル酸、(無水)マレイン酸が好ましい。なお、「(無水)〜酸」とは、「〜酸または無水〜酸」を意味する。すなわち、(無水)マレイン酸とは、マレイン酸または無水マレイン酸を意味する。
不飽和カルボン酸成分は、オレフィン成分と共重合されていればよく、その形態は限定されず、共重合の状態としては、例えば、ランダム共重合、ブロック共重合、グラフト共重合(グラフト変性)などが挙げられる。
不飽和カルボン酸成分としては、アクリル酸、メタクリル酸、(無水)マレイン酸、(無水)イタコン酸、フマル酸、クロトン酸などのほか、不飽和ジカルボン酸のハーフエステル、ハーフアミドなどが挙げられる。中でもアクリル酸、メタクリル酸、(無水)マレイン酸が好ましく、特にアクリル酸、(無水)マレイン酸が好ましい。なお、「(無水)〜酸」とは、「〜酸または無水〜酸」を意味する。すなわち、(無水)マレイン酸とは、マレイン酸または無水マレイン酸を意味する。
不飽和カルボン酸成分は、オレフィン成分と共重合されていればよく、その形態は限定されず、共重合の状態としては、例えば、ランダム共重合、ブロック共重合、グラフト共重合(グラフト変性)などが挙げられる。
不飽和カルボン酸成分の含有量は、酸変性ポリオレフィン樹脂(A)の0.1〜10質量%であることが必要であり、分散性や耐候性の観点から、0.5〜8質量%であることが好ましく、1〜5質量%であることがより好ましく、2〜4質量%であることがさらに好ましい。不飽和カルボン酸成分の含有量が0.1質量%未満であると、酸変性ポリオレフィン樹脂(A)を水性分散体とすることが困難であり、不飽和カルボン酸成分の含有量が10質量%を超えると、得られる接着層は、耐候性が低下する傾向がある。
本発明において酸変性ポリオレフィン樹脂(A)は、充填剤との十分な接着性を得るために、(メタ)アクリル酸エステル成分を含有していることが好ましい。(メタ)アクリル酸エステル成分としては、(メタ)アクリル酸と炭素数1〜30のアルコールとのエステル化物が挙げられ、中でも入手し易さの点から、(メタ)アクリル酸と炭素数1〜20のアルコールとのエステル化物が好ましい。
(メタ)アクリル酸エステル成分の具体例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル等が挙げられる。これらの混合物でもよい。中でも、入手の容易さと接着性の観点から、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸オクチルがより好ましく、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチルがさらに好ましく、アクリル酸エチルが特に好ましい。なお、「(メタ)アクリル酸〜」とは、「アクリル酸〜またはメタクリル酸〜」を意味する。
これら(メタ)アクリル酸エステル成分は、酸変性ポリオレフィン樹脂(A)中に共重合されていればよく、その形態は限定されず、共重合の状態としては、例えば、ランダム共重合、ブロック共重合、グラフト共重合(グラフト変性)などが挙げられる。
(メタ)アクリル酸エステル成分の具体例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル等が挙げられる。これらの混合物でもよい。中でも、入手の容易さと接着性の観点から、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸オクチルがより好ましく、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチルがさらに好ましく、アクリル酸エチルが特に好ましい。なお、「(メタ)アクリル酸〜」とは、「アクリル酸〜またはメタクリル酸〜」を意味する。
これら(メタ)アクリル酸エステル成分は、酸変性ポリオレフィン樹脂(A)中に共重合されていればよく、その形態は限定されず、共重合の状態としては、例えば、ランダム共重合、ブロック共重合、グラフト共重合(グラフト変性)などが挙げられる。
(メタ)アクリル酸エステル成分の含有量は、酸変性ポリオレフィン樹脂(A)の0.1〜25質量%であることが好ましく、1〜20質量%であることがより好ましく、2〜18質量%であることがさらに好ましく、3〜15質量%であることが特に好ましい。(メタ)アクリル酸エステル成分の含有量が0.1質量%未満であると、得られる接着層は、接着性が低下する傾向にあり、含有量が25質量%を超えると、得られる接着層は、耐候性が低下する傾向にある。
酸変性ポリオレフィン樹脂(A)の具体例としては、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル−(無水)マレイン酸共重合体、エチレン−プロピレン−(メタ)アクリル酸エステル−(無水)マレイン酸共重合体、エチレン−ブテン−(メタ)アクリル酸エステル−(無水)マレイン酸共重合体、プロピレン−ブテン−(メタ)アクリル酸エステル−(無水)マレイン酸共重合体、エチレン−プロピレン−ブテン−(メタ)アクリル酸エステル−(無水)マレイン酸共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−(無水)マレイン酸共重合体、エチレン−プロピレン−(無水)マレイン酸共重合体、エチレン−ブテン−(無水)マレイン酸共重合体、プロピレン−ブテン−(無水)マレイン酸共重合体、エチレン−プロピレン−ブテン−(無水)マレイン酸共重合体、プロピレン−(無水)マレイン酸共重合体などが挙げられ、中でもエチレン−(メタ)アクリル酸エステル−(無水)マレイン酸共重合体が接着性の観点から最も好ましい。共重合体の形態はランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体などいずれでもよいが、入手が容易という点でランダム共重合体、グラフト共重合体が好ましい。
酸変性ポリオレフィン樹脂(A)は、耐候性の観点から、融点は70℃以上であることが好ましく、75〜200℃がより好ましく、80〜170℃がさらに好ましい。酸変性ポリオレフィン樹脂(A)の融点が70℃未満では、得られる接着層は、耐候性が低下する傾向にあり、酸変性ポリオレフィン樹脂(A)は、融点が200℃を超えると、水性分散化することが困難となる傾向にある。
酸変性ポリオレフィン樹脂(A)の190℃、2160g荷重におけるメルトフローレート値(JIS K7210:1999に準ずる)は、耐候性の観点から、300g/10分以下が好ましく、100g/10分以下がより好ましく、0.001〜50g/10分がさらに好ましく、0.01〜10g/10分が特に好ましく、0.1〜5g/10分が最も好ましい。分子量の目安となるメルトフローレート値が300g/10分を超えると、得られる接着層は、耐候性が低下する傾向にあり、酸変性ポリオレフィン樹脂(A)は、メルトフローレート値が0.001g/10分未満であると、水性分散化することが困難となる傾向にある。
本発明のポリオレフィン樹脂水性分散体は、低粘度化による接着層の均一化および太陽電池バックシートの反り抑制の観点から脂肪族ポリグリシジルエーテル(B)を含有することが必要である。
脂肪族ポリグリシジルエーテル(B)は、脂肪族ポリオールの水酸基の一部または全部がグリシジルエーテル化された化合物である。
本発明において、脂肪族ポリグリシジルエーテル(B)を構成する脂肪族ポリオール成分としては、直鎖状、分岐鎖状および環状の炭化水素の2以上の水素原子を水酸基に置換した化合物や、その重合体であって重合度が2以上であるポリオール重合体などが挙げられる。
脂肪族ポリグリシジルエーテル(B)を構成するポリオール成分が芳香族ポリオールであると、ポリオレフィン樹脂水性分散体を低粘度化することができず、また太陽電池バックシートの反りを抑制することができない。
脂肪族ポリオールとしては、特に限定されないが、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、シクロヘキサンジメタノールなどのジオールや、トリメチロールプロパンなどのトリオールや、グリセリン、エリスリトール、ソルビトール、キシリトール、マンニトール、ペンタエリスリトールなどの糖アルコールなどが挙げられる。またポリオール重合体としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリグリセリンなどが挙げられる。
脂肪族ポリグリシジルエーテル(B)は、脂肪族ポリオールの水酸基の一部または全部がグリシジルエーテル化された化合物である。
本発明において、脂肪族ポリグリシジルエーテル(B)を構成する脂肪族ポリオール成分としては、直鎖状、分岐鎖状および環状の炭化水素の2以上の水素原子を水酸基に置換した化合物や、その重合体であって重合度が2以上であるポリオール重合体などが挙げられる。
脂肪族ポリグリシジルエーテル(B)を構成するポリオール成分が芳香族ポリオールであると、ポリオレフィン樹脂水性分散体を低粘度化することができず、また太陽電池バックシートの反りを抑制することができない。
脂肪族ポリオールとしては、特に限定されないが、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、シクロヘキサンジメタノールなどのジオールや、トリメチロールプロパンなどのトリオールや、グリセリン、エリスリトール、ソルビトール、キシリトール、マンニトール、ペンタエリスリトールなどの糖アルコールなどが挙げられる。またポリオール重合体としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリグリセリンなどが挙げられる。
脂肪族ポリグリシジルエーテル(B)は、例えば、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンポリグリシジルエーテル、ジグリセリンポリグリシジルエーテル、ポリグリセリンポリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテルなどが挙げられ、合成方法としては、公知の方法が利用できる。中でも、太陽電池バックシートの反り抑制と接着性の観点から、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリグリセリンジグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテルが好ましく、ポリグリセリンポリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテルがより好ましい。これら脂肪族ポリグリシジルエーテル(B)は単独で使用しても、2種以上を混合して使用してもよい。また、これらは水または有機溶媒などを用いて適宜希釈して利用することが可能である。
脂肪族ポリグリシジルエーテル(B)のエポキシ当量は、接着性および耐候性の観点から、10〜500g/eq.であることが好ましく、100〜400g/eq.であることがより好ましい。脂肪族ポリグリシジルエーテル(B)のエポキシ当量が500g/eq.を超えると、得られる接着層は、接着性が劣る傾向にあり、エポキシ当量が10g/eq.未満であると、得られる接着層は、耐候性に劣る傾向にある。
本発明のポリオレフィン樹脂水性分散体における脂肪族ポリグリシジルエーテル(B)の含有量は、酸変性ポリオレフィン樹脂(A)100質量部に対して、0.1〜30質量部であることが必要であり、0.1〜20質量部であることが好ましく、1〜20質量部であることがより好ましく、5〜15質量部であることがさらに好ましい。脂肪族ポリグリシジルエーテル(B)の含有量が0.1質量部未満であると、得られる接着層は、接着性が劣ったり、太陽電池バックシートに反りが発生する傾向にある。一方、脂肪族ポリグリシジルエーテル(B)の含有量が30質量部を超えると、得られる接着層は、接着性、耐候性が低下する傾向にある。なお、脂肪族ポリグリシジルエーテル(B)の形態が溶液や分散体である場合、含有量は溶液や分散体中の固形分で算出する。
脂肪族ポリグリシジルエーテル(B)の市販品としては、阪本薬品工業社製「SR−2EG」(ジエチレングリコールジグリシジルエーテル)、「SR−GLG」(グリセリンポリグリシジルエーテル)、「SR−SEP」(ソルビトールポリグリシジルエーテル)、「SR−4GL」(ポリグリセリンポリグリシジルエーテル)、「SR−8EG」(ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル)、「SR−TMP」(トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル)、DIC社製「CR−5L」(ソルビトールポリグリシジルエーテル)、ナガセケムテックス社製「EX−216L」(シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル)、「EX−411」(ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル)などが挙げられる。
本発明のポリオレフィン樹脂水性分散体は、さらにポリウレタン樹脂および/または多価ヒドラジド化合物を含有することが好ましい。ポリウレタン樹脂や多価ジヒドラジド化合物を含有することで、接着性や耐候性などをさらに向上させることが可能である。ポリウレタン樹脂や多価ヒドラジド化合物の含有量は、目的とする接着性や耐候性に応じて適宜選択すればよい。
ポリウレタン樹脂とは、主鎖中にウレタン結合を含有する高分子であり、例えばポリオール化合物とポリイソシアネート化合物との反応で得られるものである。
ポリウレタン樹脂は、接着性や水性媒体への分散性の点から陰イオン性基を有していることが好ましい。陰イオン性基とは水性媒体中で陰イオンとなる官能基のことであり、例えば、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基などである。この中でもカルボキシル基を有していることが好ましい。
ポリウレタン樹脂は、接着性や水性媒体への分散性の点から陰イオン性基を有していることが好ましい。陰イオン性基とは水性媒体中で陰イオンとなる官能基のことであり、例えば、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基などである。この中でもカルボキシル基を有していることが好ましい。
ポリウレタン樹脂としては、接着性や耐候性の観点から、ポリカーボネート型ポリウレタン樹脂、ポリエーテル型ポリウレタン樹脂、ポリエステル型ポリウレタン樹脂が好ましく、ポリカーボネート型ポリウレタン樹脂、ポリエーテル型ポリウレタン樹脂がより好ましく、ポリエーテル型ポリウレタン樹脂が特に好ましい。
多価ヒドラジド化合物は、1分子中にヒドラジド基を2つ以上有する化合物である。
多価ヒドラジド化合物の例としては、オキサリルジヒドラジド、コハク酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、ドデカンジオヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、サリチル酸ジヒドラジド、シュウ酸ジヒドラジド、シクロヘキサントリカルボン酸トリヒドラジド、ブタントリカルボン酸トリヒドラジドなどが挙げられる。中でも、水溶性の観点からオキサリルジヒドラジド、コハク酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジドが好ましく、アジピン酸ジヒドラジドが最も好ましい。
多価ヒドラジド化合物の例としては、オキサリルジヒドラジド、コハク酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、ドデカンジオヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、サリチル酸ジヒドラジド、シュウ酸ジヒドラジド、シクロヘキサントリカルボン酸トリヒドラジド、ブタントリカルボン酸トリヒドラジドなどが挙げられる。中でも、水溶性の観点からオキサリルジヒドラジド、コハク酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジドが好ましく、アジピン酸ジヒドラジドが最も好ましい。
本発明のポリオレフィン樹脂水性分散体は、架橋剤として脂肪族ポリグリシジルエーテル(B)を含有するが、本発明の効果を損ねない範囲で、さらなる接着性向上の観点から、他の架橋剤を含有してもよい。他の架橋剤の例としては、オキサゾリン系架橋剤、カルボジイミド系架橋剤、イソシアネート系架橋剤、メラミン系架橋剤、アミン系架橋剤、ポリオールなどの酸変性ポリオレフィン樹脂(A)と反応し得る官能基を分子内に2個以上含有する化合物が挙げられる。他の架橋剤の含有量は、水性分散体の粘度や目的とする接着性などを勘案して適宜選択すればよく、酸変性ポリオレフィン樹脂(A)100質量部に対し0.1〜30質量部が好ましい。これらは単独で使用しても、2種類以上を併用してもよい。
本発明のポリオレフィン樹脂水性分散体は、シランカップリング剤(C)をさらに含有することが好ましい。シランカップリング剤(C)を含有することで、得られる接着層の接着性や耐候性をさらに向上させることができる。
シランカップリング剤(C)としては、例えば、メタクリル型シランカップリング剤、イソシアネート型シランカップリング剤、ウレイド型シランカップリング剤、メルカプト型シランカップリング剤、エポキシ型シランカップリング剤、アミノ型シランカップリング剤、ビニル型シランカップリング剤、スチリル型シランカップリング剤などが挙げられる。中でも、寸法安定性、水溶性、太陽電池バックシートの反り抑制および接着層の均一性の観点から、ウレイド型シランカップリング剤、エポキシ型シランカップリング剤、アミノ型シランカップリング剤が好ましく、エポキシ型シランカップリング剤がより好ましい。エポキシ型シランカップリング剤は、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、が好ましく、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランがより好ましい。
これらシランカップリング剤は、単独で使用しても、2種以上混合して使用してもよい。また、シランカップリング剤は、水溶液または水性分散体であるものを利用することが好ましい。
シランカップリング剤(C)としては、例えば、メタクリル型シランカップリング剤、イソシアネート型シランカップリング剤、ウレイド型シランカップリング剤、メルカプト型シランカップリング剤、エポキシ型シランカップリング剤、アミノ型シランカップリング剤、ビニル型シランカップリング剤、スチリル型シランカップリング剤などが挙げられる。中でも、寸法安定性、水溶性、太陽電池バックシートの反り抑制および接着層の均一性の観点から、ウレイド型シランカップリング剤、エポキシ型シランカップリング剤、アミノ型シランカップリング剤が好ましく、エポキシ型シランカップリング剤がより好ましい。エポキシ型シランカップリング剤は、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、が好ましく、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランがより好ましい。
これらシランカップリング剤は、単独で使用しても、2種以上混合して使用してもよい。また、シランカップリング剤は、水溶液または水性分散体であるものを利用することが好ましい。
シランカップリング剤(C)の含有量は、酸変性ポリオレフィン樹脂(A)100質量部に対して、0.01〜10質量部であることが好ましく、0.1〜5質量部であることがより好ましく、0.1〜3質量部であることがさらに好ましく、0.1〜1質量部であることが特に好ましい。シランカップリング剤(C)の含有量が0.01質量部未満であると、接着性の改善効果が小さく、含有量が10質量部を超えると、接着性、耐候性が低下する傾向にある。なお、シランカップリング剤(C)の形態が溶液や分散体である場合、その含有量は溶液や分散体中の固形分で算出する。
本発明のポリオレフィン樹脂水性分散体は、上述した樹脂や添加剤以外の樹脂や添加剤(その他の樹脂やその他の添加剤)を含有してもよい。
その他の樹脂としては、例えば、ポリエステル樹脂、塩素化ポリエチレン樹脂、塩素化ポリプロピレン樹脂、変性ナイロン樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、ポリ酢酸ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、スチレン−マレイン酸樹脂、スチレン−ブタジエン樹脂、ブタジエン樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン樹脂、ポリ(メタ)アクリロニトリル樹脂、(メタ)アクリルアミド樹脂などが挙げられる。
その他の添加剤としては、例えば、金属酸化物微粒子、粘着付与剤、ワックス類、紫外線吸収剤、レベリング剤、ヌレ剤、消泡剤、ワキ防止剤、顔料、染料、分散剤などが挙げられる。
これらは単独で使用しても、2種類以上を併用してもよい。また、これらは水溶性または水分散性のものが混合安定性の観点から好ましく、水性分散体または水溶液として用いることがより好ましい。
その他の樹脂としては、例えば、ポリエステル樹脂、塩素化ポリエチレン樹脂、塩素化ポリプロピレン樹脂、変性ナイロン樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、ポリ酢酸ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、スチレン−マレイン酸樹脂、スチレン−ブタジエン樹脂、ブタジエン樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン樹脂、ポリ(メタ)アクリロニトリル樹脂、(メタ)アクリルアミド樹脂などが挙げられる。
その他の添加剤としては、例えば、金属酸化物微粒子、粘着付与剤、ワックス類、紫外線吸収剤、レベリング剤、ヌレ剤、消泡剤、ワキ防止剤、顔料、染料、分散剤などが挙げられる。
これらは単独で使用しても、2種類以上を併用してもよい。また、これらは水溶性または水分散性のものが混合安定性の観点から好ましく、水性分散体または水溶液として用いることがより好ましい。
本発明のポリオレフィン樹脂水性分散体を構成する水性媒体は、水または水を主成分とする液体のことであり、後述する塩基性化合物や有機溶剤を含有してもよい。
本発明のポリオレフィン樹脂水性分散体における樹脂固形分濃度は特に限定されないが、接着層の均一性の観点から、1〜35質量%であることが好ましく、2〜35質量%であることがより好ましく、5〜30質量%であることがさらに好ましい。
本発明のポリオレフィン樹脂水性分散体の粘度は、500mPa・s以下であることが好ましく、300mPa・s以下であることがより好ましく、100mPa・s以下であることが特に好ましい。ポリオレフィン樹脂水性分散体は、粘度が500mPa・sを超えると、接着剤として、均一な薄膜の接着層を形成することが困難となる場合がある。
本発明のポリオレフィン樹脂水性分散体の製造方法としては、酸変性ポリオレフィン樹脂(A)の水性分散体に、脂肪族ポリグリシジルエーテル(B)と、必要であればポリウレタン樹脂や多価ヒドラジド化合物、シランカップリング剤(C)を添加し、混合する方法が好ましい。
酸変性ポリオレフィン樹脂(A)の水性分散体を製造する方法は特に限定されず、自己乳化法や強制乳化法など公知の方法を用いることができる。公知の方法の中でも、耐候性の観点から、不揮発性水性分散化助剤を実質的に使用しない方法を採用することが好ましい。具体的には、酸変性ポリオレフィン樹脂(A)と、水性媒体とを、密閉可能な容器中で加熱、攪拌する方法が挙げられる。
この様な方法で得られる酸変性ポリオレフィン樹脂(A)の水性分散体は、水性媒体中で酸変性ポリオレフィン樹脂(A)の不飽和カルボン酸成分を塩基性化合物によって中和することで得られるアニオン性の水性分散体となっていることが好ましい。中和によって生成したカルボキシルアニオン間の電気反発力によって微粒子間の凝集が防がれ、水性分散体に安定性が付与される。
この様な方法で得られる酸変性ポリオレフィン樹脂(A)の水性分散体は、水性媒体中で酸変性ポリオレフィン樹脂(A)の不飽和カルボン酸成分を塩基性化合物によって中和することで得られるアニオン性の水性分散体となっていることが好ましい。中和によって生成したカルボキシルアニオン間の電気反発力によって微粒子間の凝集が防がれ、水性分散体に安定性が付与される。
本発明に用いる塩基性化合物は、カルボキシル基を中和できるものであればよいが、本発明の効果を損なわないために、揮発性であることが好ましい。
塩基性化合物としては、接着層形成時に揮発するアンモニアまたは有機アミン化合物が、接着層の耐候性の観点から好ましく、中でも沸点が30〜250℃、さらには沸点が50〜200℃の有機アミン化合物がより好ましい。沸点が30℃未満であると、樹脂の水性化時に揮発する割合が多くなり、水性化が完全に進行しない場合がある。沸点が250℃を超えると、乾燥によって接着層を形成する際に、塩基性化合物を飛散させることが困難となり、接着層の耐候性が低下する場合がある。
塩基性化合物としては、接着層形成時に揮発するアンモニアまたは有機アミン化合物が、接着層の耐候性の観点から好ましく、中でも沸点が30〜250℃、さらには沸点が50〜200℃の有機アミン化合物がより好ましい。沸点が30℃未満であると、樹脂の水性化時に揮発する割合が多くなり、水性化が完全に進行しない場合がある。沸点が250℃を超えると、乾燥によって接着層を形成する際に、塩基性化合物を飛散させることが困難となり、接着層の耐候性が低下する場合がある。
有機アミン化合物の具体例としては、トリエチルアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、アミノエタノールアミン、N−メチル−N,N−ジエタノールアミン、イソプロピルアミン、イミノビスプロピルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、3−エトキシプロピルアミン、3−ジエチルアミノプロピルアミン、sec−ブチルアミン、プロピルアミン、メチルアミノプロピルアミン、3−メトキシプロピルアミン、モノエタノールアミン、モルホリン、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン等を挙げることができる。
塩基性化合物の添加量は、酸変性ポリオレフィン樹脂(A)中のカルボキシル基に対して0.5〜3.0当量であることが好ましく、0.8〜2.5当量であることがより好ましく、1.0〜2.0当量であることが特に好ましい。塩基性化合物の添加量が0.5当量未満では、塩基性化合物の添加効果が見られず、添加量が3.0当量を超えると、接着層形成時の乾燥時間が長くなったり、酸変性ポリオレフィン樹脂(A)水性分散体が着色する場合がある。
酸変性ポリオレフィン樹脂(A)の水性分散体を製造する際に有機溶剤を添加してもよい。有機溶剤を添加する場合、有機溶剤の含有量は、水性媒体中の40質量%以下であることが好ましく、1〜40質量%であることがより好ましく、2〜35質量%であることがさらに好ましく、3〜30質量%であることが特に好ましい。有機溶剤の含有量が40質量%を超えると、水性分散体の安定性が低下する場合がある。
有機溶剤は、沸点が30〜250℃であることが好ましく、50〜200℃であることがより好ましい。有機溶剤の沸点が30℃未満であると、樹脂の水性化時に揮発する割合が多くなり、水性化の効率が十分に高まらない場合がある。有機溶剤は、沸点が250℃を超えると、塗膜から乾燥によって飛散させることが困難であり、塗膜の耐水性が低下する場合がある。有機溶剤は2種以上を混合して使用してもよい。
有機溶剤は、樹脂の水性化促進に効果が高く、水性媒体中から有機溶剤を留去し易いという観点から、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルが好ましく、低温乾燥性の点からエタノール、n−プロパノール、イソプロパノールが特に好ましい。
酸変性ポリオレフィン樹脂(A)の水性分散体を製造する際に用いた水溶性有機溶媒などの有機溶剤は、水性分散化の後に一部またはすべてを、「ストリッピング」と呼ばれる脱溶媒処理によって系外へ留去させ、その含有量を低減させることも可能である。
ストリッピングの方法としては、常圧または減圧下で水性分散体を攪拌しながら加熱し、有機溶剤を留去する方法が挙げられる。また、水性媒体が留去されることにより、固形分濃度が高くなるので、水性分散体の固形分濃度は、このようなストリッピングによって有機溶剤を留去することや、水性媒体を添加して希釈することにより調整することができる。
ストリッピングの方法としては、常圧または減圧下で水性分散体を攪拌しながら加熱し、有機溶剤を留去する方法が挙げられる。また、水性媒体が留去されることにより、固形分濃度が高くなるので、水性分散体の固形分濃度は、このようなストリッピングによって有機溶剤を留去することや、水性媒体を添加して希釈することにより調整することができる。
上記の水性分散体製造方法によって、水性媒体中に酸変性ポリオレフィン樹脂(A)を分散することができるが、容器内の異物や少量の未分散樹脂を除くために、水性分散体を装置から払い出す際に、濾過工程を設けてもよい。濾過方法は限定されないが、例えば、300メッシュのステンレス製フィルター(線径0.035mm、平織)で加圧濾過(例えば空気圧0.5MPa)する方法が挙げられる。このような濾過工程を設けることで、異物や未分散樹脂が残存した場合であってもそれらを除去できるので、得られた水性分散体は実用上問題なく使用することができる。なお、酸変性ポリオレフィン樹脂(A)の水性分散体の外観は、通常、乳白色の液体である。
本発明の太陽電池バックシート用接着剤は、本発明のポリオレフィン樹脂水性分散体を含有するものである。
本発明の太陽電池バックシート用接着剤を使用することにより、充填剤で太陽電池素子を覆ってなる充填剤層と、これを封止するための封止層とを接着することができる。太陽電池モジュールを構成するこれら2層を接着する方法としては、封止層と本発明の接着剤から形成された接着層とを含む太陽電池バックシートを作製し、これを利用して充填剤層と接着することが好ましい。なお、太陽電池バックシートは、封止用保護シート、バックカバー、封止用シート、裏面封止シート、保護シート、裏面保護シートなどと呼ばれることもある。
本発明の太陽電池バックシート用接着剤を使用することにより、充填剤で太陽電池素子を覆ってなる充填剤層と、これを封止するための封止層とを接着することができる。太陽電池モジュールを構成するこれら2層を接着する方法としては、封止層と本発明の接着剤から形成された接着層とを含む太陽電池バックシートを作製し、これを利用して充填剤層と接着することが好ましい。なお、太陽電池バックシートは、封止用保護シート、バックカバー、封止用シート、裏面封止シート、保護シート、裏面保護シートなどと呼ばれることもある。
本発明の太陽電池バックシートは、本発明の太陽電池バックシート用接着剤から形成された接着層と封止層とを含むものである。
本発明の太陽電池バックシートにおける接着層は、封止層の上層側の面に形成される。ここで上層側とは、太陽電池モジュールとした際の、太陽光の受光面側のことであり、下層側とは受光面の反対側のことである。なお、両面発電タイプの太陽電池モジュールであっては、太陽光を直接受光する面側が上層側であり、間接光を受光する面側が下層側となる。
接着層の厚みは、0.01〜30μmであることが好ましく、0.1〜10μmであることがより好ましく、0.5〜6μmであることがさらに好ましく、0.5〜5μmであることが特に好ましく、0.5〜4μmであることが最も好ましい。接着層の厚みが0.01μm未満では、十分な接着性が得られず、厚みが30μmを超えると、接着性がさらに向上することがなく、しかも経済的に不利である。
本発明の太陽電池バックシートにおける接着層は、封止層の上層側の面に形成される。ここで上層側とは、太陽電池モジュールとした際の、太陽光の受光面側のことであり、下層側とは受光面の反対側のことである。なお、両面発電タイプの太陽電池モジュールであっては、太陽光を直接受光する面側が上層側であり、間接光を受光する面側が下層側となる。
接着層の厚みは、0.01〜30μmであることが好ましく、0.1〜10μmであることがより好ましく、0.5〜6μmであることがさらに好ましく、0.5〜5μmであることが特に好ましく、0.5〜4μmであることが最も好ましい。接着層の厚みが0.01μm未満では、十分な接着性が得られず、厚みが30μmを超えると、接着性がさらに向上することがなく、しかも経済的に不利である。
本発明の太陽電池バックシートにおける接着層は、本発明の接着剤を封止層表面に塗布して形成される。接着剤の塗布方法としては特に限定されず、公知の方法を用いることが可能であり、例えばグラビアロールコーティング、リバースロールコーティング、ワイヤーバーコーティング、リップコーティング、エアナイフコーティング、カーテンフローコーティング、スプレーコーティング、浸漬コーティング、はけ塗り法などが挙げられる。
上記方法によって封止層表面に接着剤を塗布した後、乾燥処理することにより、接着層を封止層表面に密着させて形成することができる。
乾燥方法としては、乾燥時間を短くできることや、上記架橋剤との反応を促進させるために、加熱法が好ましい。乾燥温度は、50〜200℃であることが好ましく、70〜180℃であることがより好ましく、80〜150℃であることがさらに好ましく、90〜120℃であることが特に好ましい。乾燥温度が50℃未満では、乾燥が不十分であったり、接着層の接着性が低下する傾向がある。乾燥温度が200℃を超えると、封止層が変形したり、変質する場合がある。また乾燥時間は特に限定されず、通常2〜600秒の範囲である。
上記方法によって封止層表面に接着剤を塗布した後、乾燥処理することにより、接着層を封止層表面に密着させて形成することができる。
乾燥方法としては、乾燥時間を短くできることや、上記架橋剤との反応を促進させるために、加熱法が好ましい。乾燥温度は、50〜200℃であることが好ましく、70〜180℃であることがより好ましく、80〜150℃であることがさらに好ましく、90〜120℃であることが特に好ましい。乾燥温度が50℃未満では、乾燥が不十分であったり、接着層の接着性が低下する傾向がある。乾燥温度が200℃を超えると、封止層が変形したり、変質する場合がある。また乾燥時間は特に限定されず、通常2〜600秒の範囲である。
次に本発明の太陽電池バックシートの構成材料である封止層について説明する。
封止層に用いられる基材としては、充填剤層を封止できるものであれば特に限定されないが、屋外での長期間の使用に耐えうるものが好ましく、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリシクロヘキサンジメタノールテレフタレートなどのポリエステル樹脂、ポリフッ化ビニル(PVF)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリエチレンテトラフルオロエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレンパーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体などのフッ素樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリメチルペンテンなどのポリオレフィン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアクリル樹脂、アルミ箔などの金属箔などが挙げられる。中でも、経済性や接着性の観点から、ポリエステル樹脂、フッ素樹脂が好ましく、具体的には、PET、PVF、PVDFがより好ましい。
封止層に用いられる基材としては、充填剤層を封止できるものであれば特に限定されないが、屋外での長期間の使用に耐えうるものが好ましく、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリシクロヘキサンジメタノールテレフタレートなどのポリエステル樹脂、ポリフッ化ビニル(PVF)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリエチレンテトラフルオロエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレンパーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体などのフッ素樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリメチルペンテンなどのポリオレフィン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアクリル樹脂、アルミ箔などの金属箔などが挙げられる。中でも、経済性や接着性の観点から、ポリエステル樹脂、フッ素樹脂が好ましく、具体的には、PET、PVF、PVDFがより好ましい。
PETなどのポリエステル樹脂を封止層として用いる場合は、加水分解を抑制するために、耐加水分解性を有するものを用いることが好ましい。耐加水分解性のポリエステル樹脂としては、数平均分子量が18000〜40000であり、環状オリゴマーの含有率が1.5質量%以下であり、固有粘度が0.5dl/g以上のものが挙げられ、さらに分子中の末端のカルボン酸がカルボジイミド化合物、エポキシ化合物、オキサゾリン化合物などで末端封鎖されていてもよい。
封止層の厚みは特に限定されないが、例えば、10〜500μmであり、20〜250μmであることが好ましい。
封止層は、他の層と積層した場合の接着性を向上させるために、コロナ放電処理、フレームプラズマ処理、大気圧プラズマ処理、低圧プラズマ処理、オゾン処理、電子線照射処理、紫外線照射処理、薬品処理、溶剤処理などで、表面処理されてもよい。さらに封止層は、水蒸気バリア性を付与させるために、アルミ蒸着膜、アルミナ蒸着膜、シリカ蒸着膜、アルミナ・シリカ二元蒸着などの蒸着膜を設けてもよい。
封止層は、他の層と積層した場合の接着性を向上させるために、コロナ放電処理、フレームプラズマ処理、大気圧プラズマ処理、低圧プラズマ処理、オゾン処理、電子線照射処理、紫外線照射処理、薬品処理、溶剤処理などで、表面処理されてもよい。さらに封止層は、水蒸気バリア性を付与させるために、アルミ蒸着膜、アルミナ蒸着膜、シリカ蒸着膜、アルミナ・シリカ二元蒸着などの蒸着膜を設けてもよい。
上記接着層と封止層を含む本発明の太陽電池バックシートは、水蒸気バリア性や強度を付与させる目的で、その他の層が、封止層の下層側に積層されていることが好ましい。
その他の層としては、水蒸気バリア性などのバリア性付与を目的としたバリア層や、強度付与を目的とした支持層、またそれらを接着させる接着剤層などが挙げられる。
このような太陽電池バックシートの構成としては、例えば上層側から、接着層/封止層/接着剤層/バリア層/接着剤層/支持層、接着層/封止層/接着剤層/バリア層、接着層/封止層/接着剤層/支持層などが例示でき、接着層/封止層/接着剤層/バリア層/接着剤層/支持層のように、バリア層と支持層を備えていることが好ましい。
これらの構成の太陽電池バックシートは、あらかじめ封止層とその他の層を積層し、次いで本発明の接着剤を封止層にコーティングして接着層を形成して製造してもよい。また封止層に本発明の接着剤をコーティングして接着層を設けた後、その他の層を積層して製造してもよい。
なお、本発明では、充填剤と太陽電池バックシートとの接着を担う層を接着層と呼び、その他の接着に用いる層を接着剤層と呼ぶ。
その他の層としては、水蒸気バリア性などのバリア性付与を目的としたバリア層や、強度付与を目的とした支持層、またそれらを接着させる接着剤層などが挙げられる。
このような太陽電池バックシートの構成としては、例えば上層側から、接着層/封止層/接着剤層/バリア層/接着剤層/支持層、接着層/封止層/接着剤層/バリア層、接着層/封止層/接着剤層/支持層などが例示でき、接着層/封止層/接着剤層/バリア層/接着剤層/支持層のように、バリア層と支持層を備えていることが好ましい。
これらの構成の太陽電池バックシートは、あらかじめ封止層とその他の層を積層し、次いで本発明の接着剤を封止層にコーティングして接着層を形成して製造してもよい。また封止層に本発明の接着剤をコーティングして接着層を設けた後、その他の層を積層して製造してもよい。
なお、本発明では、充填剤と太陽電池バックシートとの接着を担う層を接着層と呼び、その他の接着に用いる層を接着剤層と呼ぶ。
太陽電池バックシートに含まれるバリア層は、主に水蒸気バリア性付与を目的として積層され、水蒸気バリア性を有する層であれば特に限定されない。バリア層の水蒸気バリア性は、JIS−K7126に準じて測定された水蒸気透過度が3.0g/m2・24h以下であることが好ましく、1.0g/m2・24h以下であることがより好ましく、0.5g/m2・24h以下であることがさらに好ましい。バリア層は、水蒸気バリア性の他に、酸素バリア性なども備えていることが好ましい。
バリア層としては、例えば、アルミ蒸着フィルム、アルミナ蒸着フィルム、シリカ蒸着フィルム、シリカ/アルミナ二元蒸着フィルムなどの蒸着フィルム、アルミ箔などの金属箔、塩化ビニリデン、液晶ポリマーなどの樹脂フィルムが挙げられる。中でも、金属箔、蒸着フィルムが、水蒸気バリア性に優れ、好ましい。なお蒸着フィルムは、一般にポリエステル樹脂フィルムやポリアミド樹脂フィルムなどに蒸着されたものが多く、比較的水蒸気バリア性に優れるPETなどのポリエステル樹脂フィルムに蒸着されたものが好ましい。ポリエステル樹脂フィルムとして、前記耐加水分解性を有するポリエステル樹脂のフィルムを用いてもよい。
バリア層の厚みは特に限定されないが、例えば、3〜100μmであり、5〜50μmであることが好ましい。
バリア層としては、例えば、アルミ蒸着フィルム、アルミナ蒸着フィルム、シリカ蒸着フィルム、シリカ/アルミナ二元蒸着フィルムなどの蒸着フィルム、アルミ箔などの金属箔、塩化ビニリデン、液晶ポリマーなどの樹脂フィルムが挙げられる。中でも、金属箔、蒸着フィルムが、水蒸気バリア性に優れ、好ましい。なお蒸着フィルムは、一般にポリエステル樹脂フィルムやポリアミド樹脂フィルムなどに蒸着されたものが多く、比較的水蒸気バリア性に優れるPETなどのポリエステル樹脂フィルムに蒸着されたものが好ましい。ポリエステル樹脂フィルムとして、前記耐加水分解性を有するポリエステル樹脂のフィルムを用いてもよい。
バリア層の厚みは特に限定されないが、例えば、3〜100μmであり、5〜50μmであることが好ましい。
太陽電池バックシートに含まれる支持層は、主に太陽電池バックシートの強度を保持したり、外力から受ける衝撃や引っ掻きなどから、バリア層や太陽電池モジュールを保護することを目的として設けられるものであり、これらの効果がある基材であれば特に限定されない。
支持層の基材としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリシクロヘキサンジメタノールテレフタレートなどのポリエステル樹脂、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリエチレンテトラフルオロエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレンパーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体などのフッ素樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリメチルペンテンなどのポリオレフィン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアクリル樹脂、アルミ箔などの金属箔などが挙げられる。中でも、屋外での長期間使用に適性のある、ポリエステル樹脂、フッ素樹脂が好ましく用いられる。ポリエステル樹脂フィルムとしては、前記耐加水分解性を有するポリエステル樹脂のフィルムがより好ましい。
支持層の厚みは特に限定されず、例えば、10〜500μmであり、20〜250μmであることが好ましい。
支持層の基材としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリシクロヘキサンジメタノールテレフタレートなどのポリエステル樹脂、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリエチレンテトラフルオロエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレンパーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体などのフッ素樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリメチルペンテンなどのポリオレフィン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアクリル樹脂、アルミ箔などの金属箔などが挙げられる。中でも、屋外での長期間使用に適性のある、ポリエステル樹脂、フッ素樹脂が好ましく用いられる。ポリエステル樹脂フィルムとしては、前記耐加水分解性を有するポリエステル樹脂のフィルムがより好ましい。
支持層の厚みは特に限定されず、例えば、10〜500μmであり、20〜250μmであることが好ましい。
封止層、バリア層、支持層をそれぞれ接着する接着剤層としては、各層間の接着性に優れ、かつ耐候性に優れているものが好ましく、これらの効果を有している接着剤であれば特に限定されない。例えば、ウレタン樹脂からなる主剤と、イソホロンジイソシアネートとキシリレンジイソシアネートの混合物である硬化剤からなる2液のタイプのポリウレタン接着剤など公知の接着剤を用いることができる。また、本発明の接着剤を接着剤層の形成に用いることもできる。封止層、バリア層、支持層をそれぞれ積層する方法は特に限定されず、ドライラミネート法などの公知の方法を用いることができる。
本発明の太陽電池モジュールは、充填剤で太陽電池素子を覆ってなる充填剤層と、上記太陽電池バックシートとを含むものである。太陽電池バックシートに形成された接着層は、充填剤層と封止層との接着性に優れている。
充填剤層を構成する樹脂としては、オレフィン系共重合体、ポリビニルブチラール樹脂、ポリウレタン樹脂などが挙げられ、中でもオレフィン系共重合体からなる充填剤層は、接着層との接着性に優れている。
充填剤層に用いられるオレフィン系共重合体としては、透明性、耐久性など充填剤層としての特性を有していれば、特に限定されず、エチレン系共重合体、ポリプロピレン系共重合体などが挙げられ、透明性に優れるエチレン系共重合体が好ましい。エチレン系共重合体としては、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体やそれらの混合物などが挙げられ、透明性、耐候性に優れるとともに、太陽電池モジュールとするための成形性に優れるエチレン−酢酸ビニル共重合体がより好ましい。
エチレン−酢酸ビニル共重合体は、酢酸ビニル成分の含有量が20〜40質量%であることが好ましい。また、耐熱性や接着性などを向上させるために、有機過酸化物などで架橋したり、シランカップリング剤などを添加して用いることがより好ましい。これら有機過酸化物、シランカップリング剤やその他の添加剤の種類や添加量は限定されるものではなく、添加方法についても公知の方法を用いることができる。
充填剤層を構成する樹脂としては、オレフィン系共重合体、ポリビニルブチラール樹脂、ポリウレタン樹脂などが挙げられ、中でもオレフィン系共重合体からなる充填剤層は、接着層との接着性に優れている。
充填剤層に用いられるオレフィン系共重合体としては、透明性、耐久性など充填剤層としての特性を有していれば、特に限定されず、エチレン系共重合体、ポリプロピレン系共重合体などが挙げられ、透明性に優れるエチレン系共重合体が好ましい。エチレン系共重合体としては、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体やそれらの混合物などが挙げられ、透明性、耐候性に優れるとともに、太陽電池モジュールとするための成形性に優れるエチレン−酢酸ビニル共重合体がより好ましい。
エチレン−酢酸ビニル共重合体は、酢酸ビニル成分の含有量が20〜40質量%であることが好ましい。また、耐熱性や接着性などを向上させるために、有機過酸化物などで架橋したり、シランカップリング剤などを添加して用いることがより好ましい。これら有機過酸化物、シランカップリング剤やその他の添加剤の種類や添加量は限定されるものではなく、添加方法についても公知の方法を用いることができる。
充填剤層の厚みは、太陽電池素子を覆い十分に充填されるだけの厚みがあれば、特に限定されない。充填剤層の形成には、通常、厚みが100〜1000μmのシート、好ましくは、厚みが300〜800μmのシートが用いられる。太陽電池素子は、このような厚みの2枚の充填剤層形成用シートの間に挟みこまれた状態で積層され、充填剤層中、充填剤に覆われた形態で太陽電池モジュールに用いられる。
本発明の太陽電池モジュールを構成する太陽電池バックシートの接着層は、充填剤層と封止層との接着性に優れ、また高温多湿環境に暴露した後の接着性(耐候性)にも優れている。接着性、耐候性の評価は、後述する接着強度の測定で行うことができる。充填剤層と封止層との接着強度は、20N/10mm以上であることが好ましく、30N/10mm以上であることがより好ましく、40N/10mm以上であることがさらに好ましく、50N/10mm以上であることが特に好ましい。
本発明の太陽電池モジュールは、充填剤で太陽電池素子を覆ってなる充填剤層と、太陽電池バックシートとを、太陽電池バックシートの接着層を介して熱圧着することで製造することができる。
熱圧着温度は、90〜170℃であることが好ましく、100〜160℃であることがより好ましく、110〜150℃であることがさらに好ましい。熱圧着温度が90℃未満であると、接着性が十分ではなく、170℃を超えると、充填剤層が変形や変質する場合がある。熱圧着時間は、1〜60分であることが好ましく、3〜40分であることがより好ましく、5〜30分であることがさらに好ましい。熱圧着時間が1分未満であると、接着性が不十分な傾向があり、60分を超えると、生産性が低く、接着性が向上することもない。
熱圧着温度は、90〜170℃であることが好ましく、100〜160℃であることがより好ましく、110〜150℃であることがさらに好ましい。熱圧着温度が90℃未満であると、接着性が十分ではなく、170℃を超えると、充填剤層が変形や変質する場合がある。熱圧着時間は、1〜60分であることが好ましく、3〜40分であることがより好ましく、5〜30分であることがさらに好ましい。熱圧着時間が1分未満であると、接着性が不十分な傾向があり、60分を超えると、生産性が低く、接着性が向上することもない。
太陽電池モジュールは、一般的に、太陽電池素子を充填剤で覆ってなる充填剤層の上層側に、ガラスなどからなる上層透明基材層が設けられる。
本発明の太陽電池モジュールにおいて、太陽電池素子を充填剤で覆ってなる充填剤層の上層側に設ける上層透明基材層として、太陽電池モジュール自体に柔軟性、軽量化を付与する観点から、樹脂フィルム(シート)を用いてもよく、本発明の太陽電池バックシートを構成する封止層と同様の基材を用いてもよい。また、上層透明基材層と充填剤層との接着層として、本発明の接着剤を用いてもよい。
本発明の太陽電池モジュールにおいて、太陽電池素子を充填剤で覆ってなる充填剤層の上層側に設ける上層透明基材層として、太陽電池モジュール自体に柔軟性、軽量化を付与する観点から、樹脂フィルム(シート)を用いてもよく、本発明の太陽電池バックシートを構成する封止層と同様の基材を用いてもよい。また、上層透明基材層と充填剤層との接着層として、本発明の接着剤を用いてもよい。
上層透明基材層を設けた太陽電池モジュールを製造する方法は、特に限定されず、公知の方法を用いることができる。例えば、製造装置として、ゴム弾性を有するシートによって上下に区切られたラミネート室を備え、上下のラミネート室をそれぞれ真空にすることが可能で、かつ下側のラミネート室底面が加熱可能な太陽電池用ラミネーターを用いる。そして、第1ステップとして、90〜170℃に加熱した下側のラミネート室底面の上に、上層透明基材層、充填剤シート、太陽電池素子、充填剤シート、太陽電池バックシートをこの順にセットし(上層透明基材層が底面と接地)、第2ステップとして、上下ラミネート室を真空にし、第3ステップとして、上側のラミネート室を大気開放し、ゴム弾性を有するシートを太陽電池モジュール積層体に密着させ、太陽電池モジュール積層体を一体化(ラミネート)させ、第4ステップとして、下側のラミネート室を大気開放し、一体化した太陽電池モジュール積層体を取り出す方法が挙げられ、さらに必要に応じて、充填剤の架橋反応を促進するための加熱処理が設けられていてもよい。
以下の実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
各種の特性について、以下の方法で測定または評価した。
1.酸変性ポリオレフィン樹脂(A)の特性
(1)構成
1H−NMR分析(日本電子社製ECA500、500MHz)より求めた。テトラクロロエタン(d2)を溶媒とし、120℃で測定した。
1.酸変性ポリオレフィン樹脂(A)の特性
(1)構成
1H−NMR分析(日本電子社製ECA500、500MHz)より求めた。テトラクロロエタン(d2)を溶媒とし、120℃で測定した。
(2)融点
酸変性ポリオレフィン樹脂(A)10mgをサンプルとし、DSC(示差走査熱量測定)装置(パーキンエルマー社製 DSC7)を用いて、昇温速度10℃/分の条件で測定した。
酸変性ポリオレフィン樹脂(A)10mgをサンプルとし、DSC(示差走査熱量測定)装置(パーキンエルマー社製 DSC7)を用いて、昇温速度10℃/分の条件で測定した。
(3)メルトフローレート値(MFR)
JIS K7210:1999に基づき、190℃、2160g荷重の条件で測定した。
JIS K7210:1999に基づき、190℃、2160g荷重の条件で測定した。
2.接着剤の評価
(1)粘度
接着剤の粘度は、米国ブルックフィールド社製、B型デジタル粘度計DV−Iを用いて25℃で測定した。
(1)粘度
接着剤の粘度は、米国ブルックフィールド社製、B型デジタル粘度計DV−Iを用いて25℃で測定した。
(2)接着層の均一性
実施例ならびに比較例で作製した接着剤に、イソプロパノールを加え、固形分濃度を20質量%に調整した。濃度調整後の接着剤を、ワイヤーロッド(Webster社製、ワイヤーバーNo.10)を使用して、厚み38μmのPETフィルムに塗布し、100℃で、60秒間乾燥した。フィルム上に形成した接着層について、非接触式表面性状測定機(アメテック社製、タリサーフCCI6000)を用いて、三次元表面粗さにおける算術平均(Sa)を測定して、均一性を評価した。
評価の基準は以下の通りであり、実用上、○の評価であることが好ましい。
○:算術平均(Sa)が100nm未満
△:算術平均(Sa)が100nm以上、200nm未満
×:算術平均(Sa)が200nm以上
実施例ならびに比較例で作製した接着剤に、イソプロパノールを加え、固形分濃度を20質量%に調整した。濃度調整後の接着剤を、ワイヤーロッド(Webster社製、ワイヤーバーNo.10)を使用して、厚み38μmのPETフィルムに塗布し、100℃で、60秒間乾燥した。フィルム上に形成した接着層について、非接触式表面性状測定機(アメテック社製、タリサーフCCI6000)を用いて、三次元表面粗さにおける算術平均(Sa)を測定して、均一性を評価した。
評価の基準は以下の通りであり、実用上、○の評価であることが好ましい。
○:算術平均(Sa)が100nm未満
△:算術平均(Sa)が100nm以上、200nm未満
×:算術平均(Sa)が200nm以上
3.太陽電池バックシートの評価
(1)接着性評価(充填剤層と封止層の接着強度測定)
実施例ならびに比較例で作製した太陽電池バックシートについて、接着層面同士を向かい合わせ、その間に厚み600μmのエチレン−酢酸ビニル共重合体(三井ファブロ社製ソーラーエバSC50B)からなる充填剤シートを挟んだ状態で、ヒートプレス機で、シール圧0.1MPa/cm2、140℃、20分間の条件で熱圧着し、10mm幅で切り出したものを試験片とした。
試験片を20℃、65%RH雰囲気中で24時間調湿後、引張試験機(インテスコ社製精密万能材料試験機2020型)を用い、引張速度200mm/分の条件で、太陽電池バックシートの封止層と充填剤シートとの接着強度をT型剥離により測定した。測定は、5試験片で行い、その平均値を接着強度として、接着性を評価した。
(1)接着性評価(充填剤層と封止層の接着強度測定)
実施例ならびに比較例で作製した太陽電池バックシートについて、接着層面同士を向かい合わせ、その間に厚み600μmのエチレン−酢酸ビニル共重合体(三井ファブロ社製ソーラーエバSC50B)からなる充填剤シートを挟んだ状態で、ヒートプレス機で、シール圧0.1MPa/cm2、140℃、20分間の条件で熱圧着し、10mm幅で切り出したものを試験片とした。
試験片を20℃、65%RH雰囲気中で24時間調湿後、引張試験機(インテスコ社製精密万能材料試験機2020型)を用い、引張速度200mm/分の条件で、太陽電池バックシートの封止層と充填剤シートとの接着強度をT型剥離により測定した。測定は、5試験片で行い、その平均値を接着強度として、接着性を評価した。
(2)耐候性評価(高温多湿環境下での接着強度測定)
前記(1)の接着性評価の欄に記載された方法で作製した試験片を、85℃、85%RHに設定した恒温恒湿器内で3000時間暴露させた。その後、取り出した試験片を前記(1)と同様にして接着強度を測定した。測定は5試験片で行い、その平均値を高温多湿環境下での接着強度として、耐候性を評価した。
前記(1)の接着性評価の欄に記載された方法で作製した試験片を、85℃、85%RHに設定した恒温恒湿器内で3000時間暴露させた。その後、取り出した試験片を前記(1)と同様にして接着強度を測定した。測定は5試験片で行い、その平均値を高温多湿環境下での接着強度として、耐候性を評価した。
(3)反りの評価
実施例ならびに比較例で作製した太陽電池バックシートを、100mm×100mmの正方形に切り出したものを試験片とした。
試験片を、25℃、65%RH環境下、平坦な卓上で一週間静置させた後、反りが発生した試験片について、卓上から最も高い位置の高さを測定し、次の基準で太陽電池バックシートの反りを評価した。試験は、5試験片で実施し、その平均値を反りの評価とした。太陽電池バックシートとして用いる場合、実用上、高さは5.0mm未満であることが好ましい。
◎:高さが2.5mm未満
○:高さが2.5mm以上、5.0mm未満
△:高さが5.0mm以上、10mm未満
×:高さが10mm以上
実施例ならびに比較例で作製した太陽電池バックシートを、100mm×100mmの正方形に切り出したものを試験片とした。
試験片を、25℃、65%RH環境下、平坦な卓上で一週間静置させた後、反りが発生した試験片について、卓上から最も高い位置の高さを測定し、次の基準で太陽電池バックシートの反りを評価した。試験は、5試験片で実施し、その平均値を反りの評価とした。太陽電池バックシートとして用いる場合、実用上、高さは5.0mm未満であることが好ましい。
◎:高さが2.5mm未満
○:高さが2.5mm以上、5.0mm未満
△:高さが5.0mm以上、10mm未満
×:高さが10mm以上
実施例、比較例で使用する原材料は、下記のものを使用した。
酸変性ポリオレフィン樹脂(A)の水性分散体は、下記の方法で製造した。
酸変性ポリオレフィン樹脂(A)の水性分散体は、下記の方法で製造した。
<酸変性ポリオレフィン樹脂(A1)〜(A3)の水性分散体の製造>
英国特許2091745、米国特許4617366および米国特許4644044に記載された方法をもとに、酸変性ポリオレフィン樹脂(A1)〜(A3)として、無水マレイン酸含有量が異なるエチレン−アクリル酸エチル−無水マレイン酸共重合体を製造した。酸変性ポリオレフィン樹脂(A1)〜(A3)の特性を表1に示す。
撹拌機とヒーターを備えた2リットル容ガラス容器に、上記で得られた酸変性ポリオレフィン樹脂(A1)、(A2)または(A3)を50g、n−プロパノールを150g、2−ジメチルアミノエタノールを3g、蒸留水を297g仕込んだ。撹拌翼の回転速度を300rpmとして撹拌したところ、容器底部には樹脂粒状物の沈澱は認められず、浮遊状態となっていることが確認された。そこでこの状態を保ちつつ、10分後にヒーターの電源を入れ加熱した。系内温度を130℃に保ち、120分間撹拌して分散化させた。その後、回転速度300rpmのまま攪拌し、約80℃まで冷却したところで、系内を徐々に減圧して、n−プロパノールと水を除去した。n−プロパノールと水を300g以上除去した後、系内温度が35℃になったところで、水を添加して水性分散体中の固形分濃度が20質量%となるように調整し、180メッシュのステンレス製フィルターで加圧濾過して、乳白色の均一な酸変性ポリオレフィン樹脂(A1)〜(A3)の水性分散体をそれぞれ得た。
英国特許2091745、米国特許4617366および米国特許4644044に記載された方法をもとに、酸変性ポリオレフィン樹脂(A1)〜(A3)として、無水マレイン酸含有量が異なるエチレン−アクリル酸エチル−無水マレイン酸共重合体を製造した。酸変性ポリオレフィン樹脂(A1)〜(A3)の特性を表1に示す。
撹拌機とヒーターを備えた2リットル容ガラス容器に、上記で得られた酸変性ポリオレフィン樹脂(A1)、(A2)または(A3)を50g、n−プロパノールを150g、2−ジメチルアミノエタノールを3g、蒸留水を297g仕込んだ。撹拌翼の回転速度を300rpmとして撹拌したところ、容器底部には樹脂粒状物の沈澱は認められず、浮遊状態となっていることが確認された。そこでこの状態を保ちつつ、10分後にヒーターの電源を入れ加熱した。系内温度を130℃に保ち、120分間撹拌して分散化させた。その後、回転速度300rpmのまま攪拌し、約80℃まで冷却したところで、系内を徐々に減圧して、n−プロパノールと水を除去した。n−プロパノールと水を300g以上除去した後、系内温度が35℃になったところで、水を添加して水性分散体中の固形分濃度が20質量%となるように調整し、180メッシュのステンレス製フィルターで加圧濾過して、乳白色の均一な酸変性ポリオレフィン樹脂(A1)〜(A3)の水性分散体をそれぞれ得た。
<酸変性ポリオレフィン樹脂(A4)〜(A5)の水性分散体の製造>
酸変性ポリオレフィン樹脂(A4)として、エチレン−メタクリル酸共重合体である三井・デュポンポリケミカル社製ニュクレルAN42115C、また酸変性ポリオレフィン樹脂(A5)として、エチレン−メタクリル酸共重合体である同社製ニュクレルN0903HCを用いた。酸変性ポリオレフィン樹脂(A4)〜(A5)の特性を表1に示す。
撹拌機とヒーターを備えた2リットル容ガラス容器に、酸変性ポリオレフィン樹脂(A4)または(A5)を75g、n−プロパノールを175g、2−ジメチルアミノエタノールを20g、蒸留水を230g仕込んだ。撹拌翼の回転速度を300rpmとして撹拌したところ、容器底部には樹脂粒状物の沈澱は認められず、浮遊状態となっていることが確認された。そこでこの状態を保ちつつ、10分後にヒーターの電源を入れ加熱した。そして系内温度を150℃に保ってさらに120分間撹拌し分散化させた。その後、回転速度300rpmのまま攪拌しつつ約80℃まで冷却したところで、水を200g追加した後、系内を徐々に減圧して、n−プロパノールと水を除去した。n−プロパノールと水を350g以上除去した後、系内温度が35℃になったところで、水を添加して水性分散体の固形分濃度を20質量%となるように調整し、180メッシュのステンレス製フィルターで加圧濾過して、乳白色の均一な酸変性ポリオレフィン樹脂(A4)〜(A5)の水性分散体を得た。
酸変性ポリオレフィン樹脂(A4)として、エチレン−メタクリル酸共重合体である三井・デュポンポリケミカル社製ニュクレルAN42115C、また酸変性ポリオレフィン樹脂(A5)として、エチレン−メタクリル酸共重合体である同社製ニュクレルN0903HCを用いた。酸変性ポリオレフィン樹脂(A4)〜(A5)の特性を表1に示す。
撹拌機とヒーターを備えた2リットル容ガラス容器に、酸変性ポリオレフィン樹脂(A4)または(A5)を75g、n−プロパノールを175g、2−ジメチルアミノエタノールを20g、蒸留水を230g仕込んだ。撹拌翼の回転速度を300rpmとして撹拌したところ、容器底部には樹脂粒状物の沈澱は認められず、浮遊状態となっていることが確認された。そこでこの状態を保ちつつ、10分後にヒーターの電源を入れ加熱した。そして系内温度を150℃に保ってさらに120分間撹拌し分散化させた。その後、回転速度300rpmのまま攪拌しつつ約80℃まで冷却したところで、水を200g追加した後、系内を徐々に減圧して、n−プロパノールと水を除去した。n−プロパノールと水を350g以上除去した後、系内温度が35℃になったところで、水を添加して水性分散体の固形分濃度を20質量%となるように調整し、180メッシュのステンレス製フィルターで加圧濾過して、乳白色の均一な酸変性ポリオレフィン樹脂(A4)〜(A5)の水性分散体を得た。
<酸変性ポリオレフィン樹脂(A6)の水性分散体の製造>
酸変性ポリオレフィン樹脂(A6)として、エチレン−メタクリル酸共重合体である三井・デュポンポリケミカル社製ニュクレルN1560を用いた。酸変性ポリオレフィン樹脂(A6)の特性を表1に示す。
撹拌機とヒーターを備えた1リットル容ガラス容器に、酸変性ポリオレフィン樹脂(A6)を75g、イソプロパノールを50g、2−ジメチルアミノエタノールを7g、蒸留水を368g仕込んだ。撹拌翼の回転速度を300rpmとして撹拌したところ、容器底部には樹脂粒状物の沈澱は認められず、浮遊状態となっていることが確認された。そこでこの状態を保ちつつ、10分後にヒーターの電源を入れ加熱した。そして系内温度を130℃に保ってさらに120分間撹拌し分散化させた。その後、回転速度300rpmのまま攪拌しつつ約80℃まで冷却したところで、系内を徐々に減圧して、イソプロパノールと水を除去した。イソプロパノールと水を125g以上除去した後、系内温度が35℃になったところで、水を添加して水性分散体の固形分濃度を20質量%となるように調整し、180メッシュのステンレス製フィルターで加圧濾過して、乳白色の均一な酸変性ポリオレフィン樹脂(A6)の水性分散体を得た。
酸変性ポリオレフィン樹脂(A6)として、エチレン−メタクリル酸共重合体である三井・デュポンポリケミカル社製ニュクレルN1560を用いた。酸変性ポリオレフィン樹脂(A6)の特性を表1に示す。
撹拌機とヒーターを備えた1リットル容ガラス容器に、酸変性ポリオレフィン樹脂(A6)を75g、イソプロパノールを50g、2−ジメチルアミノエタノールを7g、蒸留水を368g仕込んだ。撹拌翼の回転速度を300rpmとして撹拌したところ、容器底部には樹脂粒状物の沈澱は認められず、浮遊状態となっていることが確認された。そこでこの状態を保ちつつ、10分後にヒーターの電源を入れ加熱した。そして系内温度を130℃に保ってさらに120分間撹拌し分散化させた。その後、回転速度300rpmのまま攪拌しつつ約80℃まで冷却したところで、系内を徐々に減圧して、イソプロパノールと水を除去した。イソプロパノールと水を125g以上除去した後、系内温度が35℃になったところで、水を添加して水性分散体の固形分濃度を20質量%となるように調整し、180メッシュのステンレス製フィルターで加圧濾過して、乳白色の均一な酸変性ポリオレフィン樹脂(A6)の水性分散体を得た。
<酸変性ポリオレフィン樹脂(A7)の水性分散体の製造>
アイソタクチック構造のホモポリプロピレン樹脂を窒素ガス通気下、常圧において、360℃で80分間の熱減成処理を施し、得られたポリプロピレン樹脂1000gをジャケット付き反応器に入れ、窒素置換後容器を密閉し、ヒーターの電源を入れ180℃まで昇温し溶融させた後、無水マレイン酸125gを加え、均一に混合した。そこに、ジクミルパーオキサイド6.3gを溶解させたキシレン125gを滴下し、180℃で3時間撹拌し反応させた。その後、減圧下でキシレンを留去し、得られた反応物を3kgのアセトン中に投入し、樹脂を固化させた。この樹脂を細かく切断し、ペレット状に加工し、さらにアセトンで2回洗浄したのち、減圧乾燥して酸変性ポリオレフィン樹脂(A7)として、プロピレン−(無水)マレイン酸共重合体を得た。酸変性ポリオレフィン樹脂(A7)の特性を表1に示す。
撹拌機とヒーターを備えた2リットル容ガラス容器に、150gの酸変性ポリオレフィン樹脂(A7)、60gのイソプロパノール、340gのテトラヒドロフラン、30gのジメチルアミノエタノールおよび420gの蒸留水を仕込み、撹拌翼の回転速度を300rpmとして撹拌したところ、容器底部には樹脂の沈澱は認められず、浮遊状態となっていることが確認された。そこでこの状態を保ちつつ、10分後にヒーターの電源を入れ加熱した。系内温度を150℃に保ってさらに60分間撹拌した後、ヒーターの電源を切り自然冷却した。
内温が80℃まで下がったところで容器を開封して、120.0gのテトラヒドロフラン、20.0gのジメチルアミノエタノールおよび100.0gの蒸留水からなる原料を追加投入した。その後、容器を密閉し、ヒーターの電源を入れ、撹拌翼の回転速度を300rpmの状態で再度加熱(再昇温)した。系内温度を140℃に保ってさらに60分間撹拌した後、ヒーターの出力を、内温80℃になるように調整した。
内温が80℃になったところで、真空ポンプを使って系内を徐々に減圧して、イソプロパノール、テトラヒドロフランと水を除去した。テトラヒドロフラン、イソプロパノールと水を800g以上除去した後、ヒーターの電源を切り、自然冷却した。系内温度が35℃になったところで、水を添加して水性分散体中の固形分濃度が20質量%となるように調整し、180メッシュのステンレス製フィルターで加圧濾過して、均一な酸変性ポリオレフィン樹脂(A7)の水性分散体を得た。
アイソタクチック構造のホモポリプロピレン樹脂を窒素ガス通気下、常圧において、360℃で80分間の熱減成処理を施し、得られたポリプロピレン樹脂1000gをジャケット付き反応器に入れ、窒素置換後容器を密閉し、ヒーターの電源を入れ180℃まで昇温し溶融させた後、無水マレイン酸125gを加え、均一に混合した。そこに、ジクミルパーオキサイド6.3gを溶解させたキシレン125gを滴下し、180℃で3時間撹拌し反応させた。その後、減圧下でキシレンを留去し、得られた反応物を3kgのアセトン中に投入し、樹脂を固化させた。この樹脂を細かく切断し、ペレット状に加工し、さらにアセトンで2回洗浄したのち、減圧乾燥して酸変性ポリオレフィン樹脂(A7)として、プロピレン−(無水)マレイン酸共重合体を得た。酸変性ポリオレフィン樹脂(A7)の特性を表1に示す。
撹拌機とヒーターを備えた2リットル容ガラス容器に、150gの酸変性ポリオレフィン樹脂(A7)、60gのイソプロパノール、340gのテトラヒドロフラン、30gのジメチルアミノエタノールおよび420gの蒸留水を仕込み、撹拌翼の回転速度を300rpmとして撹拌したところ、容器底部には樹脂の沈澱は認められず、浮遊状態となっていることが確認された。そこでこの状態を保ちつつ、10分後にヒーターの電源を入れ加熱した。系内温度を150℃に保ってさらに60分間撹拌した後、ヒーターの電源を切り自然冷却した。
内温が80℃まで下がったところで容器を開封して、120.0gのテトラヒドロフラン、20.0gのジメチルアミノエタノールおよび100.0gの蒸留水からなる原料を追加投入した。その後、容器を密閉し、ヒーターの電源を入れ、撹拌翼の回転速度を300rpmの状態で再度加熱(再昇温)した。系内温度を140℃に保ってさらに60分間撹拌した後、ヒーターの出力を、内温80℃になるように調整した。
内温が80℃になったところで、真空ポンプを使って系内を徐々に減圧して、イソプロパノール、テトラヒドロフランと水を除去した。テトラヒドロフラン、イソプロパノールと水を800g以上除去した後、ヒーターの電源を切り、自然冷却した。系内温度が35℃になったところで、水を添加して水性分散体中の固形分濃度が20質量%となるように調整し、180メッシュのステンレス製フィルターで加圧濾過して、均一な酸変性ポリオレフィン樹脂(A7)の水性分散体を得た。
実施例、比較例で用いた架橋剤、添加剤、シランカップリング剤を以下に示す。
<脂肪族ポリグリシジルエーテル(B)>
B1:ソルビトールポリグリシジルエーテル(DIC社製CR−5L、エポキシ当量170g/eq.)
B2:ポリグリセリンポリグリシジルエーテル(阪本薬品工業社製SR−4GL、エポキシ当量171g/eq.)
B3:トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル(阪本薬品工業社製SR−TMP、エポキシ当量140g/eq.)
<その他の架橋剤>
OX1:オキサゾリン基含有水溶性ポリマー(日本触媒社製エポクロスWS−700、オキサゾリン価220g/eq.、固形分濃度25質量%)
CD1:カルボジイミド基含有ポリマー(日清紡社製カルボジイミドV−02、NCN当量590g/eq.、固形分濃度40質量%)
IS1:ヘキサメチレンジイソシアネート(BASF社製HA−1000、固形分濃度100質量%)
EO4:ポリビスフェノールAポリグリシジルエーテル(三菱化学社製エピコート828、エポキシ当量190g/eq.)
EO5:ビスフェノール型トリグリシジルエーテル(プリンテック社製TECHMORE VG3101M80、エポキシ当量210g/eq.)
<シランカップリング剤>
C1:3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業社製KBM−403、分子量236)
C2:N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業社製KBM−603、分子量222)
<添加剤>
R600:水溶性ウレタン樹脂(楠本化成社製ネオレッツR−600、ポリエーテル型ポリウレタン樹脂、固形分濃度33質量%)
ADH:アジピン酸ジヒドラジド(大塚化学社製、固形分濃度100質量%、分子量174)
<脂肪族ポリグリシジルエーテル(B)>
B1:ソルビトールポリグリシジルエーテル(DIC社製CR−5L、エポキシ当量170g/eq.)
B2:ポリグリセリンポリグリシジルエーテル(阪本薬品工業社製SR−4GL、エポキシ当量171g/eq.)
B3:トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル(阪本薬品工業社製SR−TMP、エポキシ当量140g/eq.)
<その他の架橋剤>
OX1:オキサゾリン基含有水溶性ポリマー(日本触媒社製エポクロスWS−700、オキサゾリン価220g/eq.、固形分濃度25質量%)
CD1:カルボジイミド基含有ポリマー(日清紡社製カルボジイミドV−02、NCN当量590g/eq.、固形分濃度40質量%)
IS1:ヘキサメチレンジイソシアネート(BASF社製HA−1000、固形分濃度100質量%)
EO4:ポリビスフェノールAポリグリシジルエーテル(三菱化学社製エピコート828、エポキシ当量190g/eq.)
EO5:ビスフェノール型トリグリシジルエーテル(プリンテック社製TECHMORE VG3101M80、エポキシ当量210g/eq.)
<シランカップリング剤>
C1:3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業社製KBM−403、分子量236)
C2:N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業社製KBM−603、分子量222)
<添加剤>
R600:水溶性ウレタン樹脂(楠本化成社製ネオレッツR−600、ポリエーテル型ポリウレタン樹脂、固形分濃度33質量%)
ADH:アジピン酸ジヒドラジド(大塚化学社製、固形分濃度100質量%、分子量174)
実施例1
酸変性ポリオレフィン樹脂(A1)の水性分散体と、脂肪族ポリグリシジルエーテル(B1)を用いて、酸変性ポリオレフィン樹脂(A1)の水性分散体を撹拌しながら、酸変性ポリオレフィン樹脂(A1)100質量部に対して、脂肪族ポリグリシジルエーテル(B1)が10質量部になるように添加し、均一に分散させたポリオレフィン樹脂水性分散体(固形分濃度20質量%)を得た。
次いで封止層基材として、耐候性PET(数平均分子量20000、環状オリゴマー含有量0.5質量%以下、固有粘度0.7dl/g、カルボジイミド化合物により末端カルボン酸封鎖)のフィルム(厚み188μm)を用い、また前記ポリオレフィン樹脂水性分散体を太陽電池バックシート用接着剤として用いて、封止層基材の片面に接着剤をマイヤーバーでコーティングした後、100℃で2分間乾燥させ、厚さ3μmの接着層を形成して太陽電池バックシートを得た。得られた太陽電池バックシートを用いて、接着性評価、耐候性評価、反りの評価を行った。
酸変性ポリオレフィン樹脂(A1)の水性分散体と、脂肪族ポリグリシジルエーテル(B1)を用いて、酸変性ポリオレフィン樹脂(A1)の水性分散体を撹拌しながら、酸変性ポリオレフィン樹脂(A1)100質量部に対して、脂肪族ポリグリシジルエーテル(B1)が10質量部になるように添加し、均一に分散させたポリオレフィン樹脂水性分散体(固形分濃度20質量%)を得た。
次いで封止層基材として、耐候性PET(数平均分子量20000、環状オリゴマー含有量0.5質量%以下、固有粘度0.7dl/g、カルボジイミド化合物により末端カルボン酸封鎖)のフィルム(厚み188μm)を用い、また前記ポリオレフィン樹脂水性分散体を太陽電池バックシート用接着剤として用いて、封止層基材の片面に接着剤をマイヤーバーでコーティングした後、100℃で2分間乾燥させ、厚さ3μmの接着層を形成して太陽電池バックシートを得た。得られた太陽電池バックシートを用いて、接着性評価、耐候性評価、反りの評価を行った。
実施例2〜19、比較例1〜9
表2に示すように、酸変性ポリオレフィン樹脂(A)の水性分散体の種類、脂肪族ポリグリシジルエーテル(B)の種類と質量部を変更し、また、その他の架橋剤、添加剤、シランカップリング剤(C)を添加したポリオレフィン樹脂水性分散体を得た以外は、実施例1と同様の操作を行って、太陽電池バックシートを得た。得られた太陽電池バックシートを用いて、実施例1と同様の評価を行った。
表2に示すように、酸変性ポリオレフィン樹脂(A)の水性分散体の種類、脂肪族ポリグリシジルエーテル(B)の種類と質量部を変更し、また、その他の架橋剤、添加剤、シランカップリング剤(C)を添加したポリオレフィン樹脂水性分散体を得た以外は、実施例1と同様の操作を行って、太陽電池バックシートを得た。得られた太陽電池バックシートを用いて、実施例1と同様の評価を行った。
実施例20〜21
封止層基材として、実施例20では厚み100μmのPVFフィルム(デュポン社製テドラー)を、実施例21では厚み100μmのPVDFフィルム(電気化学工業社製デンカDXフィルム)を用いた以外は、実施例2と同様の操作を行って太陽電池バックシートを得た。得られた太陽電池バックシートを用いて、実施例1と同様の評価を行った。
封止層基材として、実施例20では厚み100μmのPVFフィルム(デュポン社製テドラー)を、実施例21では厚み100μmのPVDFフィルム(電気化学工業社製デンカDXフィルム)を用いた以外は、実施例2と同様の操作を行って太陽電池バックシートを得た。得られた太陽電池バックシートを用いて、実施例1と同様の評価を行った。
表2から明らかなように、実施例1〜21のポリオレフィン樹脂水性分散体は、不飽和カルボン酸成分を0.1〜10質量%含有する酸変性ポリオレフィン樹脂(A)と脂肪族ポリグリシジルエーテル(B)とを本発明で規定する比率で含有するため、それぞれの水性分散体を含有する接着剤から形成された接着層は、均一性に優れ、得られた太陽電池バックシートは、反りが抑制されたものであった。
また、実施例11〜19のように、架橋剤としてのオキサゾリン化合物、添加剤としてのポリウレタン樹脂や多価ヒドラジド化合物、もしくはシランカップリング剤(C)を含有する水性分散体の接着剤から形成された接着層は、含有しない実施例2のものに比べて、充填剤層と封止層との接着性、耐候性にさらに優れるものであった。
また、実施例11〜19のように、架橋剤としてのオキサゾリン化合物、添加剤としてのポリウレタン樹脂や多価ヒドラジド化合物、もしくはシランカップリング剤(C)を含有する水性分散体の接着剤から形成された接着層は、含有しない実施例2のものに比べて、充填剤層と封止層との接着性、耐候性にさらに優れるものであった。
比較例1の水性分散体からなる接着剤は、酸変性ポリオレフィン樹脂(A)中の不飽和カルボン酸成分の含有量が本発明で規定する量を超えたため、粘度が高く、得られた接着層は、均一性に劣り、接着性および耐候性に劣っていた。
比較例2、3の水性分散体からなる接着剤は、脂肪族ポリグリシジルエーテル(B)ではなく、芳香族ポリオールのグリシジルエーテルを用いたため、粘度が高く、接着層は均一性に劣り、接着性および耐候性でも劣り、反りの抑制も不十分であった。
比較例4〜8の水性分散体からなる接着剤は、脂肪族ポリグリシジルエーテル(B)を含有せず、また比較例5〜8において、架橋剤のオキサゾリン化合物やカルボジイミド化合物、イソシアネート化合物またはシランカップリング剤を含有しても、得られた接着層の均一性は、太陽電池バックシートとして用いるには不十分であり、得られた太陽電池バックシートは反りの抑制が不十分であった。
比較例9の水性分散体からなる接着剤は、脂肪族ポリグリシジルエーテル(B)の含有量が本発明で規定する量を超えたため、得られた接着層は、接着性および耐候性に劣っていた。
比較例2、3の水性分散体からなる接着剤は、脂肪族ポリグリシジルエーテル(B)ではなく、芳香族ポリオールのグリシジルエーテルを用いたため、粘度が高く、接着層は均一性に劣り、接着性および耐候性でも劣り、反りの抑制も不十分であった。
比較例4〜8の水性分散体からなる接着剤は、脂肪族ポリグリシジルエーテル(B)を含有せず、また比較例5〜8において、架橋剤のオキサゾリン化合物やカルボジイミド化合物、イソシアネート化合物またはシランカップリング剤を含有しても、得られた接着層の均一性は、太陽電池バックシートとして用いるには不十分であり、得られた太陽電池バックシートは反りの抑制が不十分であった。
比較例9の水性分散体からなる接着剤は、脂肪族ポリグリシジルエーテル(B)の含有量が本発明で規定する量を超えたため、得られた接着層は、接着性および耐候性に劣っていた。
Claims (10)
- 酸変性ポリオレフィン樹脂(A)100質量部と、脂肪族ポリグリシジルエーテル(B)0.1〜30質量部と、水性媒体とを含有する水性分散体であって、酸変性ポリオレフィン樹脂(A)が、不飽和カルボン酸成分を0.1〜10質量%含有することを特徴とするポリオレフィン樹脂水性分散体。
- 脂肪族ポリグリシジルエーテル(B)を構成する脂肪族ポリオール成分が、ポリオール重合体および/または糖アルコールであることを特徴とする請求項1に記載のポリオレフィン樹脂水性分散体。
- さらにポリウレタン樹脂および/または多価ヒドラジド化合物を含むことを特徴とする請求項1または2に記載のポリオレフィン樹脂水性分散体。
- さらにシランカップリング剤(C)を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずかに記載のポリオレフィン樹脂水性分散体。
- シランカップリング剤(C)がエポキシ型シランカップリング剤であることを特徴とする請求項4に記載のポリオレフィン樹脂水性分散体。
- 請求項1〜5のいずれかに記載のポリオレフィン樹脂水性分散体を含有してなる太陽電池バックシート用接着剤。
- 請求項6に記載の太陽電池バックシート用接着剤から形成された接着層と、封止層とを含むことを特徴とする太陽電池バックシート。
- さらにバリア層を含むことを特徴とする請求項7に記載の太陽電池バックシート。
- 充填剤で太陽電池素子を覆ってなる充填剤層と、請求項7または8に記載の太陽電池バックシートとを含むことを特徴とする太陽電池モジュール。
- 充填剤で太陽電池素子を覆ってなる充填剤層と、請求項7または8に記載の太陽電池バックシートとを、太陽電池バックシートの接着層を介して熱圧着することを特徴とする太陽電池モジュールの製造方法。
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-
2015
- 2015-08-12 JP JP2015159279A patent/JP2016040369A/ja active Pending
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