JP2018035213A - 太陽電池モジュール用接着剤、封止用保護シート及び太陽電池モジュール - Google Patents

太陽電池モジュール用接着剤、封止用保護シート及び太陽電池モジュール Download PDF

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昌平 坂下
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Abstract

【課題】
高温高湿環境下においても、低温と高温の温度変化が連続的に繰り返される環境下においても、充填剤層と封止用保護シートにおける封止層との接着性が、初期と変わらない接着強度で強固に接着し続けることのできる太陽電池モジュール用接着剤を提供する。
【解決手段】
不飽和カルボン酸成分を0.1〜10質量%含有する酸変性ポリオレフィン樹脂と、分子量が180以上3000以下の長鎖アルキル化合物を含有する太陽電池モジュール用接着剤。
【選択図】なし

Description

本発明は、太陽電池モジュールに用いる接着剤、封止用保護シート及び太陽電池モジュールに関するものである。詳しくは、積層体構造をなす太陽電池モジュールにおいて、充填剤層と封止層とを接着するための接着剤に関するものである。
従来から、化石燃料の代替エネルギー源として、太陽電池を利用したエネルギー源が注目されている。一般に太陽電池を構成する太陽電池モジュールは、シリコーン系半導体などからなる太陽電池素子(セル)を備え、太陽電池素子をオレフィン系共重合体などからなる充填剤で覆い、その充填剤層の太陽光を受光する上層側にガラスなどからなる上層透明基材層を積層し、充填剤層の下層側に封止層やバリア層などからなる封止用保護シートを積層した構成を有している。
太陽電池モジュールの多くは屋外で使用され、しかも30年以上の長期間使用されることもあるため、高温恒湿の環境下においても、温度変化が繰り返されるような環境下においても、性能が劣化しないこと(耐候性)が求められている。太陽電池モジュールに用いられる接着剤においては、上記のような環境下でも初期と変わらない優れた強度保持性が求められる。
高温高湿の環境下においても、太陽電池の充填剤層と封止層間が強固に接着し続ける太陽電池モジュールとしては、特定の架橋剤で架橋したエチレン−アクリル酸エステル共重合体からなる充填剤を用いる方法が特許文献1に開示されている。
特開2008−108948号公報
しかしながら、特許文献1記載の接着剤は、温度変化が繰り返される環境下において、充填剤層と封止層との接着性が経時的に低下する傾向にあることがわかった。
本発明は、上記のような問題を解決するものであり、低温と高温の温度変化が連続的に繰り返される環境下においても、充填剤層と封止用保護シートにおける封止層との接着性が、初期と変わらない接着強度で強固に接着し続けることのできる接着剤を提供することを技術的な課題とするものである。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、特定組成の酸変性ポリオレフィン樹脂と特定分子量の長鎖アルキル化合物を含む接着層を有する太陽電池モジュールを用いることで、高温環境下で長期間使用した場合の充填剤層と封止層間の接着性を維持できるだけでなく、温度変化が連続的に繰り返される環境下においても、経時的に接着性が低下せず強固に接着し続けることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明の要旨は以下の通りである。
(1)不飽和カルボン酸成分を0.1〜10質量%含有する酸変性ポリオレフィン樹脂と、分子量が180以上3000以下の長鎖アルキル化合物を含有する太陽電池モジュール用接着剤。
(2)酸変性ポリオレフィン樹脂が、(メタ)アクリル酸エステル成分を0.1〜25質量%含有する(1)に記載の太陽電池モジュール用接着剤。
(3)さらに、ポリウレタン樹脂、オキサゾリン系架橋剤、ヒドラジド系架橋剤のうちいずれかを含み、その含有量が酸変性ポリオレフィン樹脂100質量部に対して0.1〜50質量部である(1)または(2)に記載の太陽電池モジュール用接着剤。
(4)水及び/又は水溶性の有機溶媒を含有する(1)〜(3)のいずれかに記載の太陽電池モジュール用接着剤。
(5)(1)〜(4)のいずれかに記載の太陽電池モジュール用接着剤から形成された接着層と、封止層と、を含む封止用保護シート。
(6)さらにバリア層を含む(5)に記載の封止用保護シート。
(7)充填剤で太陽電池素子を覆ってなる充填剤層、接着層、および封止層が少なくともこの順に積層されてなる太陽電池モジュールであって、接着層が(1)〜(4)のいずれかに記載の太陽電池モジュール用接着剤から形成された接着層である太陽電池モジュール。
本発明の接着剤から形成される接着層によれば、低温と高温の温度変化が繰り返される環境下における充填剤層と封止層間の接着力の維持(以下、強度保持性(変温)と呼ぶ)や、高温環境下における接着力の長期的な維持(以下、強度保持性(恒温)と呼ぶ)に優れている。このことから、従来の接着層が用いられていた太陽電池モジュールに比べて、特に気温差が大きな地域においても長期間の屋外使用に耐えうる太陽電池モジュールを提供する。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の太陽電池モジュール用接着剤(以下、接着剤と略すことがある)は、不飽和カルボン酸成分を0.1〜10質量%含有する酸変性ポリオレフィン樹脂と、分子量が180以上3000以下の長鎖アルキル化合物を含有する。
本発明の接着剤に用いられる酸変性ポリオレフィン樹脂において、その主成分たるオレフィン成分としては、例えば、エチレン、プロピレン、イソブチレン、2−ブテン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセンなどの炭素数2〜6のアルケンが好ましく、これらの混合物を用いてもよい。中でも、層間の接着性を良好とするためにエチレン、プロピレン、イソブチレン、1−ブテンなどの炭素数2〜4のアルケンがより好ましく、エチレン、プロピレンがさらに好ましく、エチレンが最も好ましい。
本発明において、酸変性したポリオレフィン樹脂としては、不飽和カルボン酸成分により酸変性された樹脂を用いる。不飽和カルボン酸成分としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、フマル酸、クロトン酸等のほか、不飽和ジカルボン酸のハーフエステル、ハーフアミドなどが挙げられる。中でもアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸が好ましく、特にアクリル酸、無水マレイン酸が好ましい。
不飽和カルボン酸成分は、酸変性ポリオレフィン樹脂中に共重合されていればよく、その形態は限定されず、共重合の状態としては、例えば、ランダム共重合、ブロック共重合、グラフト共重合(グラフト変性)などが挙げられる。
酸変性ポリオレフィン樹脂における不飽和カルボン酸成分の含有量としては、0.1〜10質量%であり、0.5〜8質量%が好ましく、1〜5質量%がより好ましく、2〜4質量%がさらに好ましい。含有量が0.1質量%未満になると、水性分散体とすることが困難であり、一方、10質量%を超えると、接着剤の強度保持性(恒温)が低下する傾向がある。
本発明における酸変性ポリオレフィン樹脂は、十分な初期接着性を得るために、(メタ)アクリル酸エステル成分を含有していることが好ましい。
(メタ)アクリル酸エステル成分としては、(メタ)アクリル酸と炭素数1〜30のアルコールとのエステル化物が挙げられ、中でも入手のし易さの点から、(メタ)アクリル酸と炭素数1〜20のアルコールとのエステル化物が好ましい。
(メタ)アクリル酸エステル成分の具体例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ステアリルなどが挙げられ、これらを単独で又は混合して用いる。中でも、入手のしやすさと接着性向上の点から、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸オクチルが好ましく、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチルがより好ましく、アクリル酸エチルが特に好ましい。なお、「(メタ)アクリル酸〜」とは、「アクリル酸〜またはメタクリル酸〜」を意味する。
酸変性ポリオレフィン樹脂における、(メタ)アクリル酸エステル成分の含有量は、0.1〜25質量%であることが好ましく、1〜20質量%であることがより好ましく、2〜18質量%であることがさらに好ましく、3〜15質量%であることが特に好ましい。(メタ)アクリル酸エステル成分の含有量が0.1質量%未満になると、所望の初期接着性が得られない傾向にあり、一方、25質量%を超えると、強度保持性(恒温)が経時的に低下する傾向にある。
(メタ)アクリル酸エステル成分は、酸変性ポリオレフィン樹脂中に共重合されていることが好ましく、共重合の形態としては特に限定されず、例えば、ランダム共重合、ブロック共重合、グラフト共重合(グラフト変性)などが挙げられる。
酸変性ポリオレフィン樹脂の具体例としては、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル−無水マレイン酸共重合体、エチレン−プロピレン−(メタ)アクリル酸エステル−無水マレイン酸共重合体、エチレン−ブテン−(メタ)アクリル酸エステル−無水マレイン酸共重合体、プロピレン−ブテン−(メタ)アクリル酸エステル−無水マレイン酸共重合体、エチレン−プロピレン−ブテン−(メタ)アクリル酸エステル−無水マレイン酸共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−無水マレイン酸共重合体、エチレン−プロピレン−無水マレイン酸共重合体、エチレン−ブテン−無水マレイン酸共重合体、プロピレン−ブテン−無水マレイン酸共重合体、エチレン−プロピレン−ブテン−無水マレイン酸共重合体などが挙げられ、中でもエチレン−(メタ)アクリル酸エステル−無水マレイン酸共重合体が最も好ましい。共重合体の形態はランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体などのいずれでもよいが、入手が容易という点からランダム共重合体、グラフト共重合体が好適である。
酸変性ポリオレフィン樹脂の分子量が高くなるにつれ、接着剤の強度保持性(恒温および変温)は良好な傾向にある。したがって、分子量の目安となる190℃、2160g荷重におけるメルトフローレート値(JIS K7210:1999に準ずる)は、300g/10分以下が好ましく、100g/10分以下がより好ましく、0.001〜50g/10分がさらに好ましく、0.01〜10g/10分が特に好ましく、0.1〜5g/10分が最も好ましい。メルトフローレートが300g/10分を超えると、強度保持性(恒温および変温)が経時的に低下する傾向にあり、好ましくない。一方、0.001g/10分未満になると、樹脂の高分子量化に伴い、製造面において制約を受けることがある。
本発明において、接着層は前記した酸変性ポリオレフィン樹脂と後述する長鎖アルキル化合物を含有することを必要とする。前記接着層は、本発明の接着剤を塗布して形成した塗膜であることが好ましい。本発明の接着剤は、作業環境の観点から、水及び/又は水溶性の有機溶媒に分散してなる水性分散体であることが好ましいが、この限りではない。水性分散体を用いることで、後述する各種添加剤と混合することが容易となる。
本発明の接着剤が水性分散体である場合、水性分散体中における酸変性ポリオレフィン樹脂の数平均粒子径としては、1μm以下であることが好ましく、0.5μm以下がより好ましく、0.2μm以下がさらに好ましく、0.1μm以下が特に好ましい。
水性分散体において、酸変性ポリオレフィン樹脂中のカルボキシル基は、塩基性化合物によって中和されていることが好ましい。中和によって生成したカルボキシルアニオン間の電気反発力によって微粒子間の凝集が防がれ、水性分散体に安定性が付与される。水性化の際に用いる塩基性化合物としては、カルボキシル基を中和できるものであればよい。
水性分散体に添加する塩基性化合物としては、接着層形成時に揮発するアンモニア又は有機アミン化合物が接着層の耐水性向上の点から好ましく、中でも沸点が30〜250℃、さらには50〜200℃の有機アミン化合物が好ましい。沸点が30℃未満の場合は、後述する樹脂の水性化時に揮発する割合が多くなり、水性化が効率よく進行しないことがあり、好ましくない。一方、250℃を超えると、接着層形成時に乾燥により有機アミン化合物を揮発させ難くなり、結果、耐水性が低下することがあり、好ましくない。
有機アミン化合物の具体例としては、トリエチルアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、アミノエタノールアミン、N−メチル−N,N−ジエタノールアミン、イソプロピルアミン、イミノビスプロピルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、3−エトキシプロピルアミン、3−ジエチルアミノプロピルアミン、sec−ブチルアミン、プロピルアミン、メチルアミノプロピルアミン、3−メトキシプロピルアミン、モノエタノールアミン、モルホリン、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリンなどをあげることができる。
塩基性化合物の添加量としては、酸変性ポリオレフィン樹脂中のカルボキシル基に対して0.5〜3.0倍当量であることが好ましく、0.8〜2.5倍当量がより好ましく、1.01〜2.0倍当量が特に好ましい。0.5倍当量未満では、塩基性化合物の添加効果が認められず、一方、3.0倍当量を超えると、接着層形成時の乾燥時間が長くなったり、水性分散体が着色することがあり、いずれも好ましくない。
水性分散体においては、酸変性ポリオレフィン樹脂の水性化を促進し、分散粒子径を小さくするために、水性化の際に水溶性の有機溶媒を添加することが好ましい。水溶性の有機溶媒の使用量としては、水性媒体中の40質量%以下が好ましく、1〜40質量%であることがより好ましく、2〜35質量%がさらに好ましく、3〜30質量%が特に好ましい。なお、水性化の際に添加した水溶性の有機溶媒は、ストリッピングと呼ばれる脱溶剤操作で系外へ留去させて適度に減量してもよく、水溶性の有機溶媒量を低くしても、特に性能面での影響はない。
本発明において使用される水溶性の有機溶媒としては、沸点が30〜250℃のものが好ましく、50〜200℃のものが特に好ましい。これら水溶性の有機溶媒は2種以上を混合して使用してもよい。水溶性有機溶媒の沸点が30℃未満になると、樹脂の水性化時に揮発する割合が多くなり、水性化の効率が十分に高まらないことがあるため好ましくない。一方、250℃を超えると、水溶性の有機溶媒は樹脂形成時の乾燥により揮発させ難くなり、接着層の耐水性が低下することがあるため好ましくない。
上記の水溶性の有機溶媒の中でも、樹脂の水性化促進に効果が高く、しかも水性媒体中から有機溶媒を除去し易いという点から、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルが好ましく、低温乾燥性の点からエタノール、n−プロパノール、イソプロパノールが特に好ましい。
本発明において、水性分散体には界面活性剤や乳化剤などの不揮発性水性化助剤を実質的に含有していないことが、様々な条件における接着性の点で好ましい。
ここで不揮発性水性化助剤とは、樹脂の分散や安定化に寄与する不揮発性の化合物のことを意味する。不揮発性水性化助剤としては、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、ノニオン性(非イオン性)界面活性剤、両性界面活性剤、フッ素系界面活性剤、反応性界面活性剤、水溶性高分子などが挙げられ、一般に乳化重合に用いられるものの他、乳化剤類も含まれる。
例えば、アニオン性界面活性剤としては、高級アルコールの硫酸エステル塩、高級アルキルスルホン酸及びその塩、アルキルベンゼンスルホン酸およびその塩、ポリオキシエチレンアルキルサルフェート塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルサルフェート塩、ビニルスルホサクシネートなどが挙げられ、ノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、エチレンオキサイドプロピレンオキサイドブロック共重合体、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、エチレンオキサイド−プロピレンオキサイド共重合体等やポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルなどのソルビタン誘導体などが挙げられ、両性界面活性剤としては、ラウリルベタイン、ラウリルジメチルアミンオキサイド等が挙げられる。反応性界面活性剤としては、アルキルプロペニルフェノールポリエチレンオキサイド付加物やこれらの硫酸エステル塩、アリルアルキルフェノールポリエチレンオキサイド付加物やこれらの硫酸エステル塩、アリルジアルキルフェノールポリエチレンオキサイド付加物やこれらの硫酸エステル塩などの反応性2重結合を有する化合物が挙げられる。水溶性高分子としては、ポリビニルアルコール、カルボキシル基変性ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、変性デンプン、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸およびその塩などが挙げられる。
本発明において水性分散体を得るための方法は特に限定されない。例えば、酸変性ポリオレフィン樹脂、塩基性化合物、水、さらに必要に応じて水溶性の有機溶媒を、好ましくは密閉可能な容器中で加熱、攪拌する方法を採用することができ、この方法が最も好ましい。この方法によれば、不揮発性水性化助剤を実質的に添加しなくとも酸変性ポリオレフィン樹脂を良好に水性分散化することができる。
水性分散体における樹脂固形分濃度としては、特に限定されないが、コーティングのしやすさや接着層の厚みの調整しやすさなどの点から、水性分散体全質量に対して、1〜60質量%が好ましく、2〜50質量%がより好ましく、5〜30質量%がさらに好ましい。
本発明の接着剤は、酸変性ポリオレフィン樹脂に加えて分子量が180〜3000の長鎖アルキル化合物を含有している必要がある。長鎖アルキル化合物を含有することで、強度保持性(変温)に優れている。本発明における長鎖アルキル化合物とは、炭素数9以上の炭素鎖を含む化合物または高分子のことである。炭素鎖は直鎖のもの、側鎖を有するもの、環状構造を有するもののいずれでもよく、またこれらが混在していてもよい。また、炭素鎖中に不飽和結合が存在していてもよい。
長鎖アルキル化合物の具体例としては、ラウリン酸アミド、ステアリン酸アミド、ベヘン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミドなどの長鎖脂肪酸アミド、ポリエチレングリコールモノラウレート、ポリエチレングリコールモノステアレート、ポリエチレングリコールモノオレエート、ポリエチレングリコールジステアレートなどのポリエチレングリコール長鎖脂肪酸エステル、ポリオレフィンワックス、パラフィンワックス、酸化ポリオレフィンワックス、流動パラフィンなどが挙げられる。これらの化合物の中でも、強度保持性(変温)の観点から、長鎖脂肪酸アミド、ポリオレフィンワックス、パラフィンワックス、酸化ポリオレフィンワックスが好ましく、長鎖脂肪酸アミド、パラフィンワックスがより好ましく、パラフィンワックスが最も好ましい。
これらは、単体のみならず水性分散体や溶液の形態でも使用することができる。
本発明の接着剤に含有している長鎖アルキル化合物は、初期接着性および強度保持性(変温)の観点から分子量が180〜3000である必要があり、180〜2000が好ましい。接着剤中の長鎖アルキル化合物の分子量が180未満の場合、基材との初期接着性が悪化する場合がある。一方、分子量が3000を超える場合、強度保持性(変温)が経時的に低下する傾向にある。
なお、本発明の分子量とは分子量または数平均分子量を表す。主成分が単一化合物からなる長鎖アルキル化合物は分子量、主成分が複数の場合および高分子である場合は数平均分子量によって分子量を算出する。
分子量が180〜3000の長鎖アルキル化合物の市販品としては、中京油脂社製ハイミクロンL−271(ステアリン酸アミド、分子量283)、日本化成社製スリパックスE SA−20(エチレンビスステアリン酸アミド、分子量592)、花王社製エマノーン 3201M−V(エチレングリコールジステアレート、分子量618)などが挙げられる。
本発明の接着剤は、充填剤層と封止層間の初期接着性、強度保持性(恒温および変温)を良好なものとするため、酸変性ポリオレフィン樹脂以外の樹脂又は架橋剤を含有していることが好ましい。
酸変性ポリオレフィン樹脂以外の樹脂としては、例えば、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、塩素化ポリエチレン樹脂、塩素化ポリプロピレン樹脂、変性ナイロン樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ポリ酢酸ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビリニデン、スチレン−マレイン酸樹脂、スチレン−ブタジエン樹脂、ブタジエン樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン樹脂、ポリ(メタ)アクリロニトリル樹脂、(メタ)アクリルアミド樹脂などが挙げられる。これらは単独でも2種類以上を併用してもよい。
これらの中でも初期接着性や強度保持性(恒温および変温)、混合安定性に優れるなどの点でポリウレタン樹脂が好ましく用いられる。
ポリウレタン樹脂は、例えばポリオール化合物とポリイソシアネート化合物との反応で得られるものである。ポリウレタン樹脂を構成するポリオール成分としては、例えば、水、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、メチル−1,5−ペンタンジオール、1,8−オクタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコールなどの低分子量グリコール類、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトールなどの低分子量ポリオール類、エチレンオキサイドやプロピレンオキサイド単位を有するポリオール化合物、ポリエーテルジオール類、ポリエステルジオール類などの高分子量ジオール類、ビスフェノールAやビスフェノールFなどのビスフェノール類、ダイマー酸のカルボキシル基を水酸基に転化したダイマージオールなどが挙げられる。
一方、ポリイソシアネート成分としては、芳香族、脂肪族および脂環族の公知ジイソシアネート類の1種または2種以上の混合物を用いることができる。ジイソシアネート類の具体例としては、トリレンジジイソシアネート、4,4´−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジメチルジイソシアネート、リジンジイソシアネート、水添4,4´−ジフェニルメタンジイソシアネート、水添トリレンジジイソシアネート、ダイマー酸のカルボキシル基をイソシアネート基に転化したダイマージイソシアネート、及びこれらのアダクト体、ビウレット体、イソシアヌレート体などが挙げられ、中でも初期接着性、強度保持性(恒温および変温)を発現させやすい点でイソホロンジイソシアネートが好ましい。
本発明において、ポリウレタン樹脂を含有させる際は、混合安定性の点から、ポリウレタン樹脂の水溶液又は水性分散体を予め用意し、これを本発明の接着剤に含有させることが好ましい。
前記ポリウレタン樹脂の水性分散体の市販品としては、アデカ社製のアデカボンタイターシリーズ、第一工業製薬社製のスーパーフレックスシリーズ、楠本化成社製のNeoRezシリーズ、DIC社製のハイドランシリーズなどがある。
ポリウレタン樹脂の含有量としては、接着剤中の酸変性ポリオレフィン樹脂固形分100質量部に対して、0.1〜50質量部であることが好ましく、0.5〜40質量部がより好ましく、1〜30質量部がさらに好ましい。含有量が0.1質量部未満になると、ポリウレタン樹脂含有の効果が少なく、一方、50質量部を超えると、強度保持性(恒温および変温)が低下する傾向にある。
架橋剤としては、ヒドラジド系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、エポキシ系架橋剤、カルボジイミド系架橋剤、イソシアネート系架橋剤、メラミン系架橋剤、アミン系架橋剤及びポリオールなどの酸変性ポリオレフィン樹脂と反応し得る官能基を分子内に2個以上含有する化合物が使用でき、これらは単独でも2種類以上を併用してもよい。中でも強度保持性(恒温および変温)を良好にしたり、本発明の接着剤との混合安定性に優れるなどの点でオキサゾリン系架橋剤、ヒドラジド系架橋剤が好ましい。
オキサゾリン系架橋剤としては、分子中に2個以上のオキサゾリン基を有するものであり低分子化合物であっても重合体であってもよいが、重合体の方が良好な接着性を有するため好ましい。
低分子化合物のオキサゾリン系架橋剤としては、例えば、2,2′−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2′−メチレン−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2′−エチレン−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2′−トリメチレン−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2′−テトラメチレン−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2′−ヘキサメチレン−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2′−オクタメチレン−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2′−エチレン−ビス−(4,4′−ジメチル−2−オキサゾリン)、2,2′−p−フェニレン−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2′−m−フェニレン−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2′−m−フェニレン−ビス−(4,4′−ジメチル−2−オキサゾリン)、2,2′−(1,3−フェニレン)−ビス−(2−オキサゾリン)、ビス−(2−オキサゾリニルシクロヘキサン)スルフィドおよびビス−(2−オキサゾリニルノルボルナン)スルフィド等が挙げられる。
これらは単独でも2種類以上を併用してもよい。
重合体のオキサゾリン系架橋剤は、その構成成分として付加重合性オキサゾリンを必須とし、付加重合性オキサゾリンと共重合可能な単量体をも含むモノマー成分を重合させることにより得ることができる。
付加重合性オキサゾリンとしては、2−ビニル−2−オキサゾリン、2−ビニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−ビニル−5−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−5−メチル−2−オキサゾリンおよび2−イソプロペニル−5−エチル−2−オキサゾリンなどが挙げられ、これらは単独でも2種類以上を併用して使用してもよい。これらの中でも、2−イソプロペニル−2−オキサゾリンが入手の容易さや各種接着性を良好にするために好ましい。これら付加重合性オキサゾリンの使用量は、特に限定されないが、モノマー成分中5質量%以上とすることが好ましく、5〜90質量%がより好ましく、10〜60質量%がさらに好ましく、30〜60質量%が特に好ましい。
付加重合性オキサゾリンと共重合可能な単量体としては、オキサゾリン基と反応しないものから選ぶことが好ましく、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸メトキシポリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸とポリエチレングリコールとのモノエステル化物、(メタ)アクリル酸−2−アミノエチルおよびその塩、(メタ)アクリル酸のカプロラクトン変性物、(メタ)アクリル酸−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンおよび(メタ)アクリル酸−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン等の(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリル酸ナトリウム、(メタ)アクリル酸カリウムおよび(メタ)アクリル酸アンモニウム等の(メタ)アクリル酸塩;アクリロニトリルおよびメタクリロニトリル等の不飽和ニトリル;(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミドおよびN−(2−ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド等の不飽和アミド;酢酸ビニルおよびプロピオン酸ビニル等のビニルエステル;メチルビニルエーテルおよびエチルビニルエーテル等のビニルエーテル;エチレンおよびプロピレン等のα−オレフィン;塩化ビニル、塩化ビニリデンおよびフッ化ビニル等のハロゲン含有・α,β−不飽和脂肪族炭化水素;スチレン、α−メチルスチレンおよびスチレンスルホン酸ナトリウム等のα,β−不飽和芳香族炭化水素などが挙げられ、これらは単独でも2種類以上を併用して使用してもよい。
重合体のオキサゾリン系架橋剤の分子量は、数平均分子量で1000〜80000であることが好ましく、3000〜60000がより好ましく、5000〜40000がさらに好ましく、8000〜30000が特に好ましく、10000〜20000が最も好ましい。数平均分子量が1000未満の場合は、各種接着性の向上効果が得られない傾向にあり、80000を超えた場合は、重合体の製造が困難となる。
重合体のオキサゾリン系架橋剤の市販品としては、日本触媒社製エポクロスシリーズなどが挙げられる。より具体的には、水溶液タイプの「WS−500」、「WS−700」、水性分散体タイプの「K−1010E」、「K−1020E」、「K−1030E」、「K−2010E」、「K−2020E」、「K−2030E」などが挙げられる。
ヒドラジド系架橋剤としては、例えば、アジピン酸ジヒドラジド、シュウ酸ジヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド、コハク酸ジヒドラジド、グルタル酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、マレイン酸ジヒドラジド、フマル酸ジヒドラジド、イタコン酸ジヒドラジドなどの炭素原子を2〜10個、特に4〜6個含有するジカルボン酸ジヒドラジド;エチレン−1,2−ジヒドラジン、プロピレン−1,3−ジヒドラジン、ブチレン−1,4−ジヒドラジンなどの炭素原子を2〜4個有する脂肪族の水溶性ジヒドラジンなどが挙げられ、これらは1種又は2種以上を併用してもよい。これらの中でも、アジピン酸ジヒドラジドは、水に対する溶解性と各種性能のバランスとに優れており、好ましく使用できる。
ヒドラジド系架橋剤の市販品としては、大塚化学社製のアジピン酸ジヒドラジドやポリアクリル酸ジヒドラジドなどがある。
これら架橋剤の含有量としては、水性分散体中の酸変性ポリオレフィン樹脂固形分量100質量部に対して、0.1〜50質量部であることが好ましく、0.5〜40質量部がより好ましく、1〜30質量部がさらに好ましい。含有量が0.1質量部未満になると性能の改善効果が少なく、一方、50質量部を超えると性能改善の効果が期待できないばかりかかえって性能が低下することもある。なお、架橋剤の形態が溶液や分散体である場合、含有量としては、その溶液や分散体中の固形分で算出される。
本発明では、前記のように水性分散体中に酸変性ポリオレフィン樹脂以外の樹脂又は架橋剤を含有させてもよく、両者を併用してもよい。
上述の水性分散体からなる本発明の接着剤は、充填剤で太陽電池素子を覆ってなる充填剤層と、これを封止するための封止層との接着に好適に用いることができる。太陽電池モジュールを構成するこれら2層を接着する方法としては、封止層と本発明の接着剤からなる接着層とを含む封止用保護シートを利用することが好ましい。太陽電池モジュールでは、充填剤層、封止層に続き、封止層の下層側に必要に応じてバリア層など他の層を積層してもよく、封止層以下バリア層やその他の層を順次積層したものを封止用保護シートという。なお、封止用保護シートは、バックシート、バックカバー、封止用シート、裏面封止シート、保護シート、裏面保護シートなどと呼ばれることもある。
本発明の封止用保護シートにおける接着層は、封止層の上層側の面に積層されている必要がある。接着層の厚みは、0.01〜30μmの範囲とすることが好ましく、0.1〜10μmであることがより好ましく、0.5〜6μmであることがさらに好ましく、0.5〜5μmであることが特に好ましく、0.5〜4μmであることが最も好ましい。接着層の量が0.01μm未満では十分な初期接着性が得られず、30μmを超える場合は性能の向上効果がなく、しかも経済的に不利である。ここで上層とは、太陽電池モジュールとした際の、太陽光の受光面側のことであり、下層とは受光面の反対側のことである。なお、両面発電タイプの太陽電池モジュールであっても太陽光を直接受光する面側が上層であり、間接光を受光する面側が下層となる。
本発明の接着層は、本発明の接着剤をコーティングすることにより形成できる。コーティング方法としては特に限定されず、公知の方法を用いることが可能であり、例えばグラビアロールコーティング、リバースロールコーティング、ワイヤーバーコーティング、リップコーティング、エアナイフコーティング、カーテンフローコーティング、スプレーコーティング、浸漬コーティング、はけ塗り法などが採用できる。
これらの方法により充填剤層下層側、もしくは封止層上層側に均一にコーティングし、必要に応じて室温付近でセッティングした後、乾燥処理することにより、均一な接着層を充填剤層下層側、もしくは封止層上層側に密着させて形成することができる。
乾燥処理法としては、乾燥時間を短くできることや、上記架橋剤との反応を促進させるために、加熱処理法が好ましく採用できる。乾燥温度としては、50〜200℃の範囲が好ましく、70〜180℃がより好ましく、80〜150℃がさらに好ましく、90〜120℃が特に好ましい。乾燥温度が50℃未満では、乾燥効率が不十分であったり、層間の各種接着性が低下する傾向があり、一方、乾燥温度が200℃を超えると、封止層が変形又は変質することがある。他方、乾燥時間は特に限定されず、通常2〜600秒の範囲で行うとよい。
本発明では、前記したように接着剤をコーティングするだけで容易に接着層を形成でき、かつコーティング方法としても様々な方法が採用できる。このため、如何なる大きさの太陽電池の場合でもコストをかけずに容易に所望の接着層を形成することができる。
次に、本発明における封止用保護シートについて説明する。まず封止用保護シートにおける封止層としては、基材として充填剤を十分封止できるものを用いていれば、特に限定されない。基材としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(以下、PETと記すこともある)、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリシクロヘキサンジメタノールテレフタレートなどのポリエステル樹脂、ポリフッ化ビニル(以下、PVFと記すこともある)、ポリフッ化ビニリデン(以下、PVDFと記すこともある)、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリエチレンテトラフルオロエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレンパーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体などのフッ素樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリメチルペンテンなどのポリオレフィン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアクリル樹脂、アルミ箔(以下、AL箔と記すこともある)などの金属箔などが挙げられ、屋外での長期間の使用に耐えうるものであることが好ましい。中でも、ポリエステル樹脂、フッ素樹脂が好ましく、ポリエステル樹脂の中ではPETが、フッ素樹脂の中ではPVF、PVDFが経済性や層間の接着性などの観点から好ましい。
PETなどのポリエステル樹脂を封止層に用いる際は、加水分解を抑制するために、耐加水分解性のものを用いることが好ましい。耐加水分解性のポリエステル樹脂としては、数平均分子量が10000〜400000の範囲で、環状オリゴマーの含有率が1.5質量%以下、固有粘度が0.5dl/g以上のものが挙げられ、さらに分子中の末端のカルボン酸がカルボジイミド化合物、エポキシ化合物、オキサゾリン化合物などで末端封鎖されていてもよい。
封止層の厚みは特に限定されないが、例えば10〜500μmの範囲のものを用いることが可能であり、20〜250μmの範囲のものが好ましく用いられる。
また封止層は、他の層との積層した際の接着性を向上させるために、コロナ放電処理、フレームプラズマ処理、大気圧プラズマ処理、低圧プラズマ処理、オゾン処理、電子線照射処理、紫外線照射処理、薬品処理、溶剤処理などの表面処理がなされていてもよい。
さらに封止層は、水蒸気バリア性を付与させるために、アルミ蒸着膜、アルミナ蒸着膜、シリカ蒸着膜、アルミナ・シリカ二元蒸着などの蒸着膜を設けてあってもよい。
封止用保護シートにおけるバリア層は、主に水蒸気バリアを具現するための層であり、結果として水蒸気バリア性を達成できるものであれば、どのようなものでも使用できるが、例えば、アルミ蒸着フィルム、アルミナ蒸着フィルム、シリカ蒸着フィルム、シリカ/アルミナ二元蒸着フィルムなどの蒸着フィルム、アルミ箔などの金属箔、塩化ビニリデン、液晶ポリマーなどが挙げられる。これらの中でも、金属箔、蒸着フィルムが水蒸気バリア性に優れ好ましい。なお、蒸着フィルムは、一般にポリエステル樹脂フィルムやポリアミド樹脂フィルムなどに蒸着されていることが多いが、比較的水蒸気バリア性に優れるPETなどのポリエステル樹脂フィルムの蒸着フィルムが好ましい。ポリエステル樹脂フィルムとしては、前記耐加水分解性のポリエステル樹脂を用いてもよい。
バリア層における水蒸気バリア性の指標としては、JIS−K7126に準じて測定される水蒸気透過度が3.0g/m・24h以下であることが好ましく、1.0g/m・24h以下がより好ましく、0.5g/m・24h以下がさらに好ましい。バリア層は水蒸気バリア性と共に、酸素バリア性などのガスバリア性も備えていることが好ましい。
バリア層の厚みとしては、特に限定されないが、一般に3〜100μmの範囲とし、5〜50μmの範囲が好ましい。
また、前述のように、封止用保護シートには、封止層、バリア層以外に必要に応じてその他の層が含まれていてもよく、この場合、その他の層として、例えば、封止用保護シートの強度を保持したり、外力から受ける衝撃や引っ掻きなどから、バリア層や太陽電池モジュールを保護することを目的として支持層が設けられていることが好ましい。
支持層の基材としては、結果としてシートの強度保持などが達成できれば、どのようなものでも使用できる。例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリシクロヘキサンジメタノールテレフタレートなどのポリエステル樹脂、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリエチレンテトラフルオロエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレンパーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体などのフッ素樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリメチルペンテンなどのポリオレフィン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアクリル樹脂、アルミ箔などの金属箔などが挙げられる。中でも、屋外での長期間の使用に適性のある、ポリエステル樹脂、フッ素樹脂が好ましい。ポリエステル樹脂フィルムとしては、前記耐加水分解性のポリエステル樹脂がより好ましい。
支持層の厚みとしては、特に限定されないが、一般に10〜500μmの範囲とし、20〜250μmの範囲が好ましい。
本発明の太陽電池モジュールにおいては、その他の層として支持層を設けることが好ましいが、支持層以外にも必要に応じて幾層にも層を重ねることで、目的の封止用保護シートとしてもよい。支持層以外のその他の層に用いる基材としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリシクロヘキサンジメタノールテレフタレートなどのポリエステル樹脂、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリエチレンテトラフルオロエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレンパーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体などのフッ素樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリメチルペンテンなどのポリオレフィン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアクリル樹脂、アルミ箔などの金属箔などが挙げられる。
本発明の接着剤は、封止用保護シートにおいて好適に用いることができる。
本発明の封止用保護シートを構成する接着層は、充填剤との接着性に優れる。充填剤としては、オレフィン系共重合体、ポリビニルブチラール樹脂、ポリウレタン樹脂などが挙げられ、中でもオレフィン系共重合体からなる充填剤との接着性に優れている。
充填剤に用いられるオレフィン系共重合体としては、透明性、耐久性など充填剤特性を有していれば特に限定されず、エチレン系共重合体、ポリプロピレン系共重合体などが挙げられ、透明性に優れるエチレン系共重合体が好ましい。エチレン系共重合体としては、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体やそれらの混合物などが挙げられ、透明性、耐久性、太陽電池モジュールとするための成形性に優れるエチレン−酢酸ビニル共重合体がより好ましい。
充填剤としてエチレン−酢酸ビニル共重合体を用いる場合は、酢酸ビニル成分の含有量が20〜40質量%であることが好ましい。また、耐熱性や接着性などを向上させるために有機過酸化物などで架橋したり、シランカップリング剤などを添加して用いることがより好ましい。これら有機過酸化物、シランカップリング剤やその他の添加剤の種類や添加量、添加方法は公知の方法を用いることが可能である。
充填剤層の厚みは、太陽電池素子を覆い十分に充填されるだけの厚みがあれば、特に限定されない。充填剤層の形成には、通常厚みが100〜1000μmのシートが用いられ、厚みが300〜800μmのシートが好ましく用いられる。太陽電池素子は、このような厚みの充填剤シートと充填剤シートの間に挟みこまれた状態でラミネートし充填剤に覆われた形態で太陽電池モジュールに用いられる。
本発明における封止用保護シートの封止層は、前記充填剤層と本発明の接着層を介して熱圧着することで、充填剤層と封止層とを接着することができる。熱圧着温度としては、90〜170℃が好ましく、100〜160℃がより好ましく、110〜150℃がさらに好ましい。熱圧着温度が90℃未満では接着性が十分ではなく、170℃を超えると充填剤層が変形や変質する場合がある。熱圧着時間としては、1〜60分が好ましく、3〜40分がより好ましく、5〜30分がさらに好ましい。熱圧着時間が1分未満では初期接着性が不十分な傾向があり、60分を超えた場合は生産性が悪く、しかも接着性は変わらない。
本発明の太陽電池モジュールは、充填剤層と、封止用保護シートと、を含むものである。
太陽電池モジュールの構成としては、太陽電池素子を充填剤で覆った充填剤層の上層側に、ガラスなどからなる上層透明基材層が設けられることが一般的である。
近年では太陽電池モジュール自体に柔軟性を付与することを目的に、上層透明基材層として、樹脂フィルム(シート)を用いる場合があり、また本発明の封止用保護シートを構成する封止層と同様の基材層を用いられることも多い。その様な場合にあっては、上層透明基材層と充填剤層との接着層として、本発明の接着剤を用いることが可能である。
本発明の太陽電池モジュールの製造装置や製造方法は、特に限定されず公知の方法を用いることができ、例えば、ゴム弾性を有したシートによって上下に区切られたラミネート室を備え、上下のラミネート室をそれぞれ真空にすることが可能で、かつ下側のラミネート室底面が加熱することができる太陽電池用ラミネーターを用い、下記4つのステップを経て製造される。第1ステップとして90〜170℃に加熱した下側のラミネート室底面の上に、上層透明基材層、充填剤シート、太陽電池素子、充填剤シート、本発明の接着層を積層した封止用保護シートをこの順にセットする(上層透明基材層が底面と接地)。第2ステップとして上下ラミネート室を真空にする。第3ステップとして上側のラミネート室を大気開放しゴム弾性を有したシートを太陽電池モジュール積層体に密着させ、太陽電池モジュール積層体を一体化(ラミネート)させる。第4ステップとして下側のラミネート室を大気開放し一体化した太陽電池モジュール積層体を取り出す。たとえば、前記方法により太陽電池モジュールは製造され、さらに必要に応じて充填剤の架橋反応を促進するための加熱処理が設けられていてもよい。
このようにして得られた、本発明の封止用保護シートを用いた太陽電池モジュールは、封止用保護シートと充填剤層の接着性に優れている。封止用保護シートの封止層と充填剤層の接着性の評価法としては、前記のようにして得られた太陽電池モジュール積層体を用いて、封止用保護シートを剥離するのに必要な強度を引張試験機などを用いて測定する方法が挙げられるが、この場合は積層体の構成が複雑であるため封止用保護シートと充填剤層の層間以外の層間剥離や材料破壊が起こる場合があり、実際の封止用保護シートと充填剤層の層間剥離強度が求められないことがある。
前記のような問題を回避するための方法としては、例えば、積層体の構成が全く同じ2枚の封止用保護シートを用い、その封止用保護シートの接着層面同士を向かい合わせ、その間に充填剤シートを挟みこんだ状態(封止用保護シート/充填剤シート/封止用保護シート)で、ヒートプレス機などで加熱しつつ一定時間荷重を加えて接着させ試験片を作製する。試験片中の2枚の封止用保護シート間を剥離するのに必要な強度を、引張試験機などを用いて測定することで評価できる。この方法を用いることで、いずれの層間剥離や材料破壊であっても、封止用保護シートと充填剤層の接着性を求めることが可能である。この方法で求められる、封止用保護シートと充填剤層の好ましい接着力(初期接着性)としては、15mm幅に切り取った試験片の剥離強度で、20N/15mm以上であり、30N/15mm以上がより好ましく、40N/15mm以上がさらに好ましく、50N/15mmが特に好ましく、60N/15mmが最も好ましい。
また、本発明の封止用保護シートの接着層は、強度保持性(変温)および強度保持性(恒温)共に優れている。低温と高温の温度変化が繰り返される環境や長期的な高温環境における強度保持性の評価は、ダンプヒート試験を行って、これら2種類の強度保持性を測定することで、評価することができる。
すなわち、前記接着性評価で用いた試験片を、85℃−85%RHの高温高湿環境下で3000時間暴露した後に、封止用保護シートと充填剤層の剥離強度を、引張試験機などを用いて測定する恒温の強度保持性評価と、85℃−85%RHの環境下と、−80℃の環境下を繰り返し変化させ、両環境での暴露時間が合計3000時間になったところで封止用保護シートと充填剤層の剥離強度を測定する変温の強度保持性評価を行うことで評価できる。
このような方法で求められる、好ましい封止用保護シートと充填剤層の接着力としては、15mm幅に切り取った試験片の剥離強度で、20N/15mm以上であり、30N/15mm以上がより好ましく、40N/15mm以上がさらに好ましく、50N/15mmが特に好ましい。
以下に実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
各種の特性について、以下の方法で測定又は評価した。
1.酸変性ポリオレフィン樹脂の特性
(1)構成
H−NMR分析(日本電子社製ECA500、500MHz)より求めた。テトラクロロエタン(d)を溶媒とし、120℃で測定した。
(2)メルトフローレート値(MFR)
JIS K7210:1999記載(190℃、2160g荷重)の方法で測定した。
2.長鎖アルキル化合物の特性
(3)数平均分子量
GPC装置(東ソー社製、「型式HLC−8020GPC」、カラム:TSK−GEL)を用い、40℃で数平均分子量を測定した。溶離液として、オルトジクロロベンゼンを用いた。TSK標準ポリスチレン換算より求めた。
3.封止用保護シートの評価
(1)初期接着性評価
封止用保護シートの接着層面同士を向かい合わせ、その間に厚み600μmの太陽電池モジュール用エチレン−酢酸ビニル共重合体(三井ファブロ社製ソーラーエバSC50B)からなる充填剤シートを挟みこんだ状態で、ヒートプレス機(シール圧0.1MPa/cm)にて140℃で20分間プレスして、積層シートを作製した。室温まで冷却後、積層シートを15mm幅で切り出して試験片を得た。25℃の室温で1日後、試験片の封止用保護シートと封止用保護シートの層間を、引張試験機(インテスコ株式会社製インテスコ精密万能材料試験機2020型)を用い、引張速度200mm/分、T型剥離、25℃での剥離強度を測定した。測定はn=5で行い、測定値はその平均値とした。
(2)強度保持性(恒温)評価
(1)と同様の操作で得られた積層シートを、恒温恒湿器内で85℃−85%RHの環境下で3000時間暴露した後、室温まで冷却後15mm幅で切り出して試験片を得た。引張試験機(インテスコ株式会社製インテスコ精密万能材料試験機2020型)を用いて、引張速度200mm/分、T型剥離、気温25℃の条件で試験片の層間剥離強度を測定した。測定はn=5で行い、測定値はその平均値とした。
(3)強度保持性(変温)評価
(1)と同様の操作で得られた積層シートを、恒温恒湿器で85℃−85%RHの環境下で12時間暴露した後、−80℃の冷凍庫内に積層シートを移して再度12時間暴露した。
この操作を125回繰り返し、両環境での暴露時間の合計が3000時間に達した後、室温になるまで放置し、15mm幅で切り出して試験片を得た。引張試験機(インテスコ株式会社製インテスコ精密万能材料試験機2020型)を用いて、引張速度200mm/分、T型剥離、気温25℃の条件で試験片の層間剥離強度を測定した。測定はn=5で行い、測定値はその平均値とした。
強度保持性評価の評価基準としては、恒温試験、変温試験のいずれも処理前の層間剥離強度と比べ実用的には30%以上保持している必要があり、50%以上保持していることが好ましく、70%以上保持していることがより好ましい。
<酸変性ポリオレフィン樹脂>
酸変性ポリオレフィン樹脂としては、市販品であるボンダインTX8030(アルケマ社製、以下、TX8030とする)、ボンダインLX4110(アルケマ社製、以下、LX4110とする)、もしくは英国特許2091745号明細書、米国特許4617366号明細書、および米国特許644044号明細書に記載された方法に従って作製したもの(以下、PO1〜2とする)を用いた。酸変性ポリオレフィン樹脂の組成などを表1に示す。これら酸変性ポリオレフィン樹脂は以下に示す製造例1に示す方法で水性分散体として用いた。
<長鎖アルキル化合物>
長鎖アルキル化合物としては、特許第4986295号の製法を元に製造したパラフィンワックスの水性乳化分散体(以下PWとする)、市販品であるデカンアミド(東京化成工業社製、以下DAとする)、ハイミクロンL−271(中京油脂社製、長鎖脂肪酸アミド、以下L−271とする)、スリパックスE SA−20(日本化成社製、エチレンビスステアリン酸アミド、以下SA−20とする)、エマノーン 3201M−V(花王社製、エチレングリコールジステアレート、以下3201とする)、ルーカントA−5515(三井化学社製、エチレン/プロピレン/無水マレイン酸共重合体、以下5515)を用いた。これら長鎖アルキル化合物は酸変性ポリオレフィン樹脂の水性分散体に加えて用いた。
<ポリウレタン樹脂>
ポリウレタン樹脂としては、市販品であるスーパーフレックスシリーズ(第一工業製薬社製、以下FLEXとする)を用いた。
<架橋剤>
架橋剤としては、市販品であるエポクロスWS700(日本触媒社製、オキサゾリン系架橋剤、以下WS700とする)、アジピン酸ジヒドラジド(大塚化学社製、ヒドラジド系架橋剤、以下ADHとする)を用いた。
製造例1(酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体の製造)
撹拌機とヒーターを備えた1リットル容ガラス容器に、酸変性ポリオレフィン樹脂を100g、イソプロパノールを125.0g、トリエチルアミンを3.2g、蒸留水を271.8g仕込んだ。撹拌翼の回転速度を300rpmとして撹拌したところ、容器底部には樹脂粒状物の沈澱は認められず、浮遊状態となっていることが確認された。そこでこの状態を保ちつつ、10分後にヒーターの電源を入れ加熱した。そして系内温度を130℃に保ってさらに120分間撹拌した。その後、回転速度300rpmのまま攪拌しつつ約40℃まで送風冷却した後、300メッシュのステンレス製フィルター(線径0.035mm、平織)で加圧濾過(空気圧0.2MPa)し、乳白色の均一な酸変性ポリオレフィン樹脂の水性分散体を得た。
前記で得られた酸変性ポリオレフィン樹脂の水性分散体の固形分濃度は20質量%であった。酸変性ポリオレフィン樹脂の組成とその水性分散体の名称、粒子径を表1に示す。
なお、ポリオレフィン樹脂水性分散体の粒子径は、日機装社製、マイクロトラック粒度分布計UPA150を用い、樹脂の屈折率は1.5として求めた。
(実施例1)
酸変性ポリオレフィン樹脂の水性分散体TXEmの樹脂固形分100質量部に対し、長鎖アルキル化合物としてPWを10質量部加えて接着剤S−1を作製した。封止層基材として、耐候性PET(数平均分子量20000、環状オリゴマー含有量0.5質量%以下、固有粘度0.7dl/g、カルボジイミド化合物により末端カルボン酸封鎖)からなる厚み188μmのフィルムを用い、S−1を封止層基材の片面にマイヤーバーでコーティングした後、100℃で2分間乾燥させ、厚さ3μmの接着層を有する封止用保護シートを得た。得られた封止用保護シートを用いて、初期接着性評価、強度保持性(恒温および変温)評価を行った。
(実施例2〜3、比較例4)
酸変性ポリオレフィン樹脂の水性分散体として表2に示したものを用いた以外は、実施例1と同様の操作を行って接着剤S−2、S−3およびS−16を作製し、封止用保護シートを得た。得られた封止用保護シートを用いて、各種評価を行った。
(実施例4〜6、比較例5、6)
長鎖アルキル化合物の種類を表2に示したように変更し、接着剤S−4〜S−6、S−17、S−18をそれぞれ作製した以外は実施例2と同様の操作で封止用保護シートを得た。得られた封止用保護シートを用いて、各種評価を行った。
(実施例7)
実施例2で作製した接着剤S−2に、さらにポリウレタン樹脂(FLEX)をLXEmの樹脂固形分100質量部に対して、3質量部加えて接着剤S−7を作製した以外は実施例2と同様の操作で、封止用保護シートを得た。得られた封止用保護シートを用いて、各種評価を行った。
(実施例8)
FLEXの添加量をLXEmの樹脂固形分100質量部に対して30質量部に変更して接着剤S−8を作製した以外は実施例7と同様の操作で、封止用保護シートを得た。得られた封止用保護シートを用いて、各種評価を行った。
(実施例9)
実施例2で作製した接着剤S−2に、さらに架橋剤としてADHを0.1質量部加えて接着剤S−9を作製した以外は実施例2と同様の操作で、封止用保護シートを得た。得られた封止用保護シートを用いて、各種評価を行った。
(実施例10)
ADHの添加量をLXEmの樹脂固形分100質量部に対して30質量部に変更して接着剤S−10を作製した以外は実施例9と同様の操作で、封止用保護シートを得た。得られた封止用保護シートを用いて、各種評価を行った。
(実施例11)
実施例2で作製した接着剤S−2に、さらに架橋剤としてWS700を3.0質量部加えて接着剤S−11を作製した以外は実施例2と同様の操作で、封止用保護シートを得た。得られた封止用保護シートを用いて、各種評価を行った。
(実施例12)
実施例2で作製した接着剤S−2に、さらにFLEXとADHを表2に示した添加量加えて接着剤S−12を作製した以外、実施例2と同様の操作で封止用保護シートを得た。得られた封止用保護シートを用いて、各種評価を行った。
(比較例1)
FLEXのみを用いて接着剤S−13とした以外、実施例1と同様の操作で、封止用保護シートを得た。得られた封止用保護シートを用いて、各種評価を行った。
なお、表2における「剥離」とは接着力が著しく減少し、試験片の自重で封止用保護シートが簡単に剥離してしまい接着力の評価ができなかったことを表し、最も悪い結果を意味する。
(比較例2)
PWを加えない以外は、実施例2と同様の操作でS−14を作製し、封止用保護シートを得た。得られた封止用保護シートを用いて、各種評価を行った。
(比較例3)
FLEXの樹脂固形分100質量部に対し、PWを表2に示す含有量になるように添加し、接着剤S−15を作製した以外は、実施例1と同様の操作で封止用保護シートを得た。得られた封止用保護シートを用いて、各種評価を行った。
実施例1〜12、比較例1〜6の各種評価結果を表2に示す。
実施例1〜12の結果に示すように、長時間の高温環境下においても、高温環境下と低温環境下が連続的に変化する環境においても、充填剤層と封止用保護シートにおける封止層間の接着性は良好に維持されていた。特に、実施例7〜12の結果に示すように、さらに、ウレタン樹脂や架橋剤を含有させることで、接着性が向上した。
比較例1は、ウレタン樹脂の水性分散体が接着剤であったため、充填剤層と封止用保護シートにおける封止層間の強度保持性(恒温および変温)評価後の接着性が劣っていた。
比較例2では、本発明で規定する長鎖アルキル化合物を含んでいない接着剤であったため、強度保持性(変温)が劣っていた。
比較例3は、ウレタン樹脂と長鎖アルキル化合物の接着剤であり、酸変性ポリオレフィン樹脂を含有していなかったため、初期接着性に劣り、強度保持性(恒温および変温)評価において長鎖アルキル化合物を添加した効果が得られなかった。
比較例4は、酸変性ポリオレフィン樹脂における不飽和カルボン酸成分の含有量が本発明で規定する範囲を超えていたため、強度保持性(恒温および変温)が劣っていた。
比較例5は、接着剤における長鎖アルキル化合物の分子量が本発明で規定する範囲より小さかったため、充填剤層と封止用保護シートにおける封止層間の初期接着性が不足した。
比較例6は、接着剤における長鎖アルキル化合物の分子量が本発明で規定する範囲を超えていたため、強度保持性(変温)が経時的に低下した。
本発明において、長鎖アルキル化合物を含有することで温度変化への耐性が発現する理由は明らかではないが、酸変性ポリオレフィン樹脂と化学構造が比較的類似しており、かつ低分子量体であることから、充填剤層および封止層の体積変化への追随性が発現したためと推測される。

Claims (7)

  1. 不飽和カルボン酸成分を0.1〜10質量%含有する酸変性ポリオレフィン樹脂と、分子量が180以上3000以下の長鎖アルキル化合物を含有する太陽電池モジュール用接着剤。
  2. 酸変性ポリオレフィン樹脂が、(メタ)アクリル酸エステル成分を0.1〜25質量%含有する請求項1に記載の太陽電池モジュール用接着剤。
  3. さらに、ポリウレタン樹脂、オキサゾリン系架橋剤、ヒドラジド系架橋剤のうちいずれかを含み、その含有量が酸変性ポリオレフィン樹脂100質量部に対して0.1〜50質量部である請求項1または2に記載の太陽電池モジュール用接着剤。
  4. 水及び/又は水溶性の有機溶媒を含有する請求項1〜3のいずれかに記載の太陽電池モジュール用接着剤。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の太陽電池モジュール用接着剤から形成された接着層と、封止層と、を含む封止用保護シート。
  6. さらにバリア層を含む請求項5に記載の封止用保護シート。
  7. 充填剤で太陽電池素子を覆ってなる充填剤層、接着層、および封止層が少なくともこの順に積層されてなる太陽電池モジュールであって、接着層が請求項1〜4のいずれかに記載の太陽電池モジュール用接着剤から形成された接着層である太陽電池モジュール。
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