JP2016031773A - 磁気記録媒体、及び磁気記録再生装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】磁性粒子の良好な結晶配向性と低粒径分散が得られ、良好な記録再生特性を有し、高密度記録を可能とする磁気記録媒体を得る。【解決手段】非磁性基板上に、fcc構造を持つ、Ni合金またはAg合金からなる配向制御層、Agと、Geと、Al、Mg、Au、及びTiからなる群から選択される金属Xとからなる非磁性シード層、及びRuまたはRu合金からなる非磁性中間層、及び磁気記録層を具備する。配向制御層は非磁性シード層と接触している。【選択図】図1
Description
本発明の実施形態は、磁気記録媒体、及び磁気記録再生装置に関する。
コンピュータを中心に利用されている情報記録、再生を行う磁気記憶装置(HDD)は、その大容量、安価性、データアクセスの速さ、データ保持の信頼性などの理由により、家庭用ビデオデッキ、オーディオ機器、車載ナビゲーションシステムなど様々な分野で利用されている。HDDの利用の幅が広がるにつれ、その記憶容量の高密度化の要求も増し、近年HDDの高密度化開発はますます激しさを増している。
現在市販されているHDDの磁気記録方式として、いわゆる垂直磁気記録方式が近年主流となっている。垂直磁気記録方式は、情報を記録する磁気記録層を構成する磁性結晶粒子が、基板に対して垂直方向にその磁化容易軸を持つ。このため、高密度化の際にも記録ビット間の反磁界の影響が少なく、また高密度化においても静磁気的に安定である。垂直磁気記録媒体は、一般に、基板と、記録時に磁気ヘッドから発生する磁束を集中させる役割を担う軟磁性下地層と、垂直磁気記録層の磁性結晶粒を(00.1)面配向させ、かつその配向分散を低減する非磁性シード層及び/または非磁性下地層と、硬質磁性材料を含む垂直磁気記録層と、垂直磁気記録層の表面を保護する保護層から形成されている。
磁性結晶粒子が非磁性物質からなる粒界領域に取り囲まれた、いわゆるグラニュラ構造を有するグラニュラ型記録層は、磁性結晶粒子同士が非磁性粒界領域によって二次元的に、物理的に孤立化された構造となっているため、磁性粒子間に働く磁気的な交換相互作用が低減される。このため、記録・再生特性における遷移ノイズが低減でき、限界ビットサイズを低減することが可能となる。その反面、グラニュラ型記録層では粒子間の交換相互作用が低減されているため、粒子の組成、粒径の分散に伴う反転磁界の分散が増大してしまう傾向があり、記録・再生特性における遷移ノイズやジッターノイズの増大を招く傾向がある。
また、記録ビットサイズの下限値はグラニュラ型記録層の磁性結晶粒径に強く依存しているため、HDDの高記録密度化には、グラニュラ型記録層の粒径微細化を行う必要がある。グラニュラ型記録層の粒径微細化法としては、微細な結晶粒径を有する下地層を用いて、その上に積層されるグラニュラ型記録層粒径を微細化する手法がある。下地層の粒径を微細化するために、例えば、非磁性シード層を工夫したり、下地層をグラニュラ化したりする等の方法が考えられる。
本発明の実施形態は、磁性粒子の良好な結晶配向性と低粒径分散が得られ、良好な記録再生特性を有し、高密度記録を可能とする磁気記録媒体、及びこれを用いた磁気記録再生装置を提供することを目的とする。
実施形態によれば、非磁性基板、
該非磁性基板上に形成され、面心立方格子(fcc)を持つ、ニッケル合金または銀合金からなる配向制御層、
該配向制御層上に接触して形成され、銀と、ゲルマニウムと、アルミニウム、マグネシウム、金、及びチタンからなる群から選択される金属Xとからなる非磁性シード層、
該非磁性シード層上に形成された、ルテニウムまたはルテニウム合金からなる非磁性中間層、及び
該非磁性中間層上に形成された磁気記録層を具備することを特徴とする磁気記録媒体が提供される。
該非磁性基板上に形成され、面心立方格子(fcc)を持つ、ニッケル合金または銀合金からなる配向制御層、
該配向制御層上に接触して形成され、銀と、ゲルマニウムと、アルミニウム、マグネシウム、金、及びチタンからなる群から選択される金属Xとからなる非磁性シード層、
該非磁性シード層上に形成された、ルテニウムまたはルテニウム合金からなる非磁性中間層、及び
該非磁性中間層上に形成された磁気記録層を具備することを特徴とする磁気記録媒体が提供される。
以下、実施の形態について、図面を参照して説明する。
実施形態にかかる磁気記録媒体は、非磁性基板、非磁性基板上に形成されたfcc構造を持つNi合金またはAg合金からなる配向制御層、配向制御層と接触して形成されたAgGe−X(但し、XはAl,Mg,Au,Tiからなる群から選択される)からなる非磁性シード層、非磁性シード層上に形成された非磁性中間層、及び非磁性中間層上に形成された垂直磁気記録層を有する。
図1に、実施形態にかかる垂直磁気記録媒体の構成を表す断面図を示す。
図示するように、この垂直磁気記録媒体100は、非磁性基板1上に、密着層2、軟磁性層3、fcc構造を持つ配向制御層4、非磁性シード層5、非磁性中間層6、垂直磁気記録層7、及び保護層8を順に設けた構造を有する。
実施形態によれば、fcc構造を持つNi合金またはAg合金からなる配向制御層を用いることで、垂直磁気記録層の結晶配向性を改善することができる。
また、実施形態にかかる非磁性シード層を用いることで垂直磁気記録層のピッチ分散を低減させることができる。これらの配向制御層と非磁性シード層をそれぞれ接触させることで、垂直磁気記録層の良好な結晶配向性と低ピッチ分散を同時に実現でき、媒体ノイズを低減することができる。
配向制御層は、fcc構造を持ち、Ni合金またはAg合金からなる。
Ni合金に添加する金属としては、W、Cr,Mo,C等が挙げられる。
Ag合金に添加する金属としては、Ni,Ge,Cu,Pd,Nd等が挙げられる。
Ni合金に添加される金属は5原子%ないし30原子%であることが好ましい。5原子%未満であると、Niが磁性を持ち始め、磁気的なノイズとなり記録再生特性が悪化する傾向があり、30原子%を超えると、Ni合金またはAg合金がfcc構造を保てなくなりアモルファス構造となって、結晶配向性が悪化する傾向がある。
Ag合金に添加する金属は、50原子%以下であることが好ましい。50原子%を超えると、fcc構造以外の構造となり、アモルファス化して、結晶配向性が悪くなる傾向がある。
非磁性シード層は、ピッチ分散の低い柱状のAg−X(X=Al,Mg,Au,Ti)粒子とそれを取り囲むGe粒界とからなるAgGe−X(X=Al,Mg,Au,Ti)から形成されることが好ましい。AgGe−XにはさらにSiを添加することができる。この非磁性シード層を使用することにより、垂直磁気記録層のピッチ分散をより低減させることができる。
非磁性シード層は、Agと、Al,Mg,Au,Tiからなる群から少なくとも1種の添加金属を主成分とするfcc構造を持つ結晶粒子と、結晶粒子を取り囲み、アモルファス構造を持つGeからなる粒界層からなることが好ましい。なお、Siを添加する場合、粒界層がGe−Siから形成される。
非磁性シード層に添加される金属(X=Al,Mg,Au,Ti)の含有量は、AgとGeとXの合計の原子量に対し3原子%ないし20原子%であることが好ましい。3原子%未満であると、添加の効果が得られない傾向があり、20原子%を越えると、添加金属が多すぎて、Ag粒子の結晶構造が壊されて結晶配向性が悪化する傾向がある。AgGe−XにさらにSiを添加する場合、非磁性シード中の銀と、ゲルマニウムと、金属Xと、ケイ素との合計の原子量に対しケイ素の含有量は、20原子%以下であることが好ましい。20原子%を越えると、粒界物質が多すぎて、非磁性シード層がアモルファス化する傾向がある。
非磁性シード層は、不活性ガス雰囲気下で0.05ないし0.3Paの圧力下でスパッタリングすることにより形成することができる。これにより、ピッチ分散の小さい柱状のAg−X(X=Al,Mg,Au,Ti)粒子とそれを取り囲むGe粒界からなる層が得られる。
非磁性シード層のゲルマニウム含有量は、55原子%ないし70原子%であることが好ましい。55原子%未満であると、粒界物質が少ないために、粒子同士が繋がり、粒径分散が悪化する傾向があり、70原子%を越えると、粒界物質が多すぎて、Ag粒子の結晶構造が壊されて結晶配向性が悪化する傾向がある。
実施形態に使用可能な基板としては、たとえばガラス基板、Al系合金基板、セラミック基板、カーボン基板、酸化表面を有するSi単結晶基板などがあげられる。ガラス基板としては、アモルファスガラスおよび結晶化ガラスが挙げられる。アモルファスガラスとしては、汎用のソーダライムガラス、アルミノシリケートガラスが挙げられる。結晶化ガラスとしては、リチウム系結晶化ガラスが挙げられる。セラミック基板としては、汎用の酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、窒化珪素などを主成分とする焼結体や、これらの繊維強化物などが挙げられる。基板としては、上述した金属基板や非金属基板の表面にメッキ法やスパッタ法を用いてNiP層などの薄膜が形成されたものを用いることもできる。基板上への薄膜の形成方法としてスパッタリングのみならず、真空蒸着や電解メッキなどでも同様の効果を得ることができる。
非磁性基板と配向制御層との間には、さらに、非磁性基板から順に、密着層、軟磁性下地層(SUL)、及び非磁性下地層などを設けることができる。
密着層は、基板との密着性の向上のために設けられる。密着層の材料としては、非晶質構造を持つ、Ti、Ta、W、Cr、Ptやこれらを含む合金、またはこれらの酸化物もしくは窒化物を用いることができる。密着層は例えば5ないし30nmの厚さを有し得る。5nm未満では、充分な密着性を確保することができず膜が剥がれる現象が起きやすくなる傾向があり、30nmを越えると、プロセス時間が長くなりスループットが悪くなる傾向がある。
SULは、垂直磁磁気記録層を磁化するための単磁極ヘッドからの記録磁界を水平方向に通して、磁気ヘッド側へ還流させるという磁気ヘッドの機能の一部を担っており、磁界の記録層に急峻で充分な垂直磁界を印加させ、記録再生効率を向上させる作用を有する。軟磁性下地層には、Co,FeまたはNiを含む材料を用いることができる。このような材料として、Coと、Zr、Hf、Nb、Ta、Ti、及びYのうち少なくとも1種とを含有するCo合金を挙げることができる。Co合金は70原子%以上のCoが含むことができる。このようなCo合金は、スパッタ法により製膜した場合にアモルファス層が形成されやすい。アモルファス軟磁性材料は、結晶磁気異方性、結晶欠陥および粒界がないため、非常に優れた軟磁性を示すとともに、媒体の低ノイズ化を図ることができる。アモルファス軟磁性材料としては、たとえばCoZr、CoZrNbおよびCoZrTa系合金などを挙げることができる。他の軟磁性下地層の材料として、CoFe系合金たとえばCoFe、CoFeVなど、FeNi系合金たとえばFeNi、FeNiMo、FeNiCr、FeNiSiなど、FeAl系合金、FeSi系合金たとえばFeAl、FeAlSi、FeAlSiCr、FeAlSiTiRu、FeAlOなど、FeTa系合金たとえばFeTa、FeTaC、FeTaNなど、FeZr系合金たとえばFeZrNなどを挙げることができる。また、Feを60原子%以上含有するFeAlO、FeMgO、FeTaN、FeZrNなどの微結晶構造または微細な結晶粒子がマトリクス中に分散されたグラニュラ構造を有する材料を用いることもできる。軟磁性下地層は例えば10ないし100nmの厚さを有し得る。10nm未満では、磁気ヘッドからの記録磁界を充分取り込めずに記録再生効率を向上させることができない傾向があり、100nmを越えると、プロセス時間が長くなりスループットが悪くなる傾向がある。さらに、スパイクノイズ防止のために軟磁性下地層を複数の層に分け、0.5ないし1.5nmの非磁性分断層を挿入することで反強磁性結合させることができる。非磁性分断層として、例えばRu、Ru合金、Pd、Cu、Ptなどを用いることができる。また、CoCrPt、SmCo、FePtなどの面内異方性を持つ硬磁性膜またはIrMn、PtMnなどの反強磁性体からなるピン層と軟磁性下地層とを交換結合させることができる。交換結合力を制御するために、非磁性分断層の上下に磁性膜たとえばCoなど、または非磁性膜たとえばPtなどを積層することができる。
非磁性中間層は、その上に形成される磁気記録層の磁性粒子を孤立させる役割と磁気記録層の結晶性を改善させる働きを持っている。そのような非磁性中間層の材料としては、Ru、またはRuとCr,Mo,Co,Mn,Siからなる群から選択される少なくとも1種の金属との合金があげられる。非磁性中間層は例えば5ないし30nmの厚さを有し得る。5nm未満では、充分な結晶配向性を確保することができない傾向がある。30nmを越えると、磁気ヘッドとSULまでの距離(スペーシング)が広がってしまい、磁気記録層への書き込みが弱くなり、記録再生特性が悪化する傾向がある。
実施形態に使用可能な磁気記録層は、鉄またはコバルトから選ばれるいずれか一種とプラチナを主成分とすることができる。また、基板に対して垂直方向に磁気異方性を持った垂直磁気記録層を用いることが望ましい。垂直磁気記録層を用いると、高密度化した場合に、記録ドットから出る外部磁界が周囲の記録ドットの信号を保つ方向に働くため、熱揺らぎによって信号が消えにくく、高密度化を達成しやすいという傾向を持っている。
磁気記録層の厚さは、例えば3ないし30nm、さらには5ないし15nmにすることができる。この範囲であると、より高記録密度に適した磁気記録再生装置を作製することができる。磁気記録層の厚さが3nm未満であると、再生出力が低過ぎてノイズ成分の方が高くなる傾向がある。磁気記録層の厚さが30nmを超えると、再生出力が高過ぎて波形を歪ませる傾向がある。磁気記録層は二層以上の積層膜にすることもできるが、その際は、積層した合計を上述の範囲内にすることができる。磁気記録層の保磁力は、237000A/m(3000Oe)以上とすることができる。保磁力が237000A/m(3000Oe)未満であると、熱揺らぎ耐性が劣る傾向がある。磁気記録層の垂直角型比は、0.8以上であることが好ましい。垂直角型比が0.8未満であると、熱揺らぎ耐性に劣る傾向がある。
Coを用いたグラニュラ型記録層の場合、磁気記録層のPt含有量は、10原子%以上25原子%以下であることが好ましい。Pt含有量として上記範囲が好ましいのは、磁気記録層に必要な一軸結晶磁気異方性定数(Ku)が得られ、さらに磁性粒子の結晶配向性が良好であり、結果として高密度記録に適した熱揺らぎ特性、記録再生特性が得られるためである。Pt含有量が上記範囲を超えた場合も、上記範囲未満である場合も、どちらも高密度記録に適した熱揺らぎ特性に十分なKuが得られない傾向がある。
実施形態に使用可能な保護層は、磁気記録層の腐食を防ぐとともに、磁気ヘッドが媒体に接触したときに媒体表面の損傷を防ぐ目的で設けられる。保護層の材料としては、たとえばCを含むものが挙げられる。保護層の厚さは1ないし10nmとすることが好ましい。これにより、ヘッドと媒体の距離を小さくできるので、高密度記録が可能である。カーボンは、sp2結合炭素(グラファイト)とsp3結合炭素(ダイヤモンド)に分類できる。耐久性、耐食性はsp3結合炭素のほうが優れるが、結晶質であることから表面平滑性はグラファイトに劣る。通常、カーボンの製膜はグラファイトターゲットを用いたスパッタリング法で形成される。この方法では、sp2結合炭素とsp3結合炭素が混在したアモルファスカーボンが形成される。sp3結合炭素の割合が大きいものはDLC(Diamond−like Carbon)と呼ばれ、耐久性、耐食性に優れ、アモルファスであることから表面平滑性にも優れるため、磁気記録媒体の表面保護層として利用されている。化学気相成長法(CVD法)によるDLCの製膜は、原料ガスをプラズマ中で励起、分解し、化学反応によってDLCを生成させるため、条件を合わせることで、よりsp3結合炭素に富んだDLCを形成することができる。
図2に、実施形態にかかる磁気記録再生装置の一例を、一部分解した斜視図を示す。
実施形態にかかる磁気記録再生装置70において、実施形態にかかる情報を記録するための剛構成の磁気ディスク62はスピンドル63に装着されており、図示しないスピンドルモータによって一定回転数で回転駆動される。磁気ディスク62にアクセスして情報の記録再生を行う磁気ヘッドを搭載したスライダーは、薄板状の板ばねからなるサスペンション65の先端に取付けられている。サスペンション65は図示しない駆動コイルを保持するボビン部等を有するアーム66の一端側に接続されている。
アーム66の他端側には、リニアモータの一種であるボイスコイルモータ67が設けられている。ボイスコイルモータ67は、アーム66のボビン部に巻き上げられた図示しない駆動コイルと、それを挟み込むように対向して配置された永久磁石および対向ヨークにより構成される磁気回路とから構成されている。
アーム66は、固定軸の上下2カ所に設けられた図示しないボールベアリングによって保持され、ボイスコイルモータ67によって回転揺動駆動される。すなわち、磁気ディスク62上におけるスライダー64の位置は、ボイスコイルモータ67によって制御される。
実施例
以下、実施例を示し、実施形態をより具体的に説明する。
以下、実施例を示し、実施形態をより具体的に説明する。
実施例1、および比較例1ないし4
実施例1にかかる垂直磁気記録媒体は図1と同様の構成を有する。図3から図7には、それぞれ比較例1から比較例4にかかる垂直磁気記録媒体を表す概略的な断面図を示す。
実施例1にかかる垂直磁気記録媒体は図1と同様の構成を有する。図3から図7には、それぞれ比較例1から比較例4にかかる垂直磁気記録媒体を表す概略的な断面図を示す。
非磁性ガラス基板1(コニカミノルタ社製アモルファス基板MEL6、直径2.5インチ)を、DCマグネトロンスパッタ装置(キヤノンアネルバ社製C−3010)の製膜チャンバー内に収容して、到達真空度1×10−5Paとなるまで製膜チャンバー内を排気した。この基板1上に、製膜チャンバー内に、ガス圧が0.7PaとなるようにArガスを導入して、密着層2として、Cr−25%TiをDC500Wで10nm形成した。次いで、密着層3として、Co−20原子%Fe−7原子%Ta−5原子%Zrを、DC500Wで、40nm形成した。次いで、配向制御層4として、Ni−5原子%Wを、DC500Wで、5nm形成した。次いで、製膜チャンバー内に、ガス圧が0.1PaとなるようにArガスを導入して、非磁性シード層5として、DC100Wで、Ag−60原子%Ge−10原子%Al膜を5nm形成した。次いで、再び製膜チャンバー内に、ガス圧が0.7PaとなるようにArガスを導入して、非磁性中間層6として、Ruを、DC500Wで10nm形成し、さらにガス圧を6Pa変更して、Ruを、DC500Wで10nm形成し、合計20nmのRu非磁性中間層6を得た。その後、垂直磁気記録層7として、(Co−18原子%Pt−14原子%Cr)−10モル%SiO2を、DC500Wで12nm形成した。次いで、CVD法により、2.5nmのDLC保護層8を形成した。次いで、ディッピング法により図示しない潤滑剤を塗布し、実施形態に係る垂直磁気記録媒体100を得た。
図3に示すように、AgGe−Alシード層5を製膜しない以外は、実施例1の媒体と同様にして作製し、比較例1に係る垂直磁気記録媒体200を得た。
図4に示すように、NiW配向性制御層4を製膜しない以外は、実施例1の媒体と同様にして作製し、比較例2にかかる垂直磁気記録媒体300を得た。
図5に示すように、Ta下地層9をNiW配向制御層4とAgGe−Alシード層5の間に形成した以外は、実施例1の媒体と同様にして作製し、比較例3に係る垂直磁気記録媒体400を得た。
図6に示すように、NiW配向制御層4とAgGe−Alシード層5を、形成する順序を逆にした以外は、実施例1の媒体と同様にして作製し、比較例4に係る垂直磁気記録媒体500を得た。
実施例1、および比較例1ないし4により得られる磁気記録媒体の構成を以下に示す。
実施例1の構成
非磁性ガラス基板1/CrTi密着層2/CoFeTaZr軟磁性層3/NiW配向制御層4/AgGe−Al非磁性シード層5/Ru非磁性中間層6/CoCrPt−SiO2垂直磁気記録層7/C保護層8
比較例1の構成
非磁性ガラス基板1/CrTi密着層2/CoFeTaZr軟磁性層3/NiW配向制御層4/Ru非磁性中間層6/CoCrPt−SiO2垂直磁気記録層7/C保護層8
比較例2の構成
非磁性ガラス基板1/CrTi密着層2/CoFeTaZr軟磁性層3/AgGe−Al非磁性シード層5/Ru非磁性中間層6/CoCrPt−SiO2垂直磁気記録層7/C保護層8
比較例3の構成
非磁性ガラス基板1/CrTi密着層2/CoFeTaZr軟磁性層3/NiW配向制御層4/Ta下地層9/AgGe−Al非磁性シード層5/Ru非磁性中間層6/CoCrPt−SiO2垂直磁気記録層7/C保護層8
比較例4の構成
非磁性ガラス基板1/CrTi密着層2/CoFeTaZr軟磁性層3/AgGe−Al非磁性シード層5/NiW配向制御層4/Ru非磁性中間層6/CoCrPt−SiO2垂直磁気記録層7/C保護層8
得られた実施例1および比較例1ないし4の媒体に対して、以下のようにして、測定及び評価を行った。
非磁性ガラス基板1/CrTi密着層2/CoFeTaZr軟磁性層3/NiW配向制御層4/AgGe−Al非磁性シード層5/Ru非磁性中間層6/CoCrPt−SiO2垂直磁気記録層7/C保護層8
比較例1の構成
非磁性ガラス基板1/CrTi密着層2/CoFeTaZr軟磁性層3/NiW配向制御層4/Ru非磁性中間層6/CoCrPt−SiO2垂直磁気記録層7/C保護層8
比較例2の構成
非磁性ガラス基板1/CrTi密着層2/CoFeTaZr軟磁性層3/AgGe−Al非磁性シード層5/Ru非磁性中間層6/CoCrPt−SiO2垂直磁気記録層7/C保護層8
比較例3の構成
非磁性ガラス基板1/CrTi密着層2/CoFeTaZr軟磁性層3/NiW配向制御層4/Ta下地層9/AgGe−Al非磁性シード層5/Ru非磁性中間層6/CoCrPt−SiO2垂直磁気記録層7/C保護層8
比較例4の構成
非磁性ガラス基板1/CrTi密着層2/CoFeTaZr軟磁性層3/AgGe−Al非磁性シード層5/NiW配向制御層4/Ru非磁性中間層6/CoCrPt−SiO2垂直磁気記録層7/C保護層8
得られた実施例1および比較例1ないし4の媒体に対して、以下のようにして、測定及び評価を行った。
まず透過型電子顕微鏡(TEM)測定を用いて、非磁性シード層および垂直磁気記録層の膜平面方向の粒子構造を観測した。また、エネルギー分散型X線分光(TEM−EDX)を用いて、粒子や粒界の組成も分析した。
平面TEM分析により観測した結果を用いて、非磁性シード層および垂直磁気記録層のピッチ解析を以下の手順で行った。
倍率50ないし200万倍の平面TEM像の中から,粒子数が少なく見積もっても100個以上ある任意の像をコンピュータに画像情報として取り込んだ。この画像情報を画像処理することにより、個々の結晶粒子の輪郭および重心を抽出した。隣り合う粒子間の重心間距離から粒子間の平均ピッチとピッチ分散を導出し、粒界幅は粒子の重心と重心を結ぶ線上の粒界幅を測定し、それらの平均値を粒界幅とした。次いで、これらの媒体のシード層および垂直磁気記録層の結晶配向性(Δθ50)をX線回折装置(XRD、スペクトリス社製、Xpert−MRD)を用いて、ロッキングカーブを測定することで調査した。
実施例1および比較例1ないし4の媒体のピッチ解析および結晶性評価の結果を下記表1に示す。
比較例1、比較例4を除く、実施例1および比較例2ないし4の媒体について、AgGe−Al膜は、平均粒径6nm程度の結晶質のAg−Al粒子と、粒界幅1.9nm程度の非晶質のGe粒界からなることが分かった。この時、平均ピッチは7.9nm、ピッチ分散は11.2%であった。また実施例1および比較例1、3、4の媒体について、NiW層は結晶粒子がNiWからなり結晶粒子同士は互いに接しており、粒界幅が実質的に0であった。この時、NiW粒子の平均粒径は9nmであり、ピッチ分散は21.4%であった。
続いて、垂直磁気記録層については、実施例1の媒体および比較例1ないし4の媒体において、粒子は結晶質のCoCrPtからなり、粒界は非晶質SiO2からなることが分かった。実施例1の媒体の垂直磁気記録層のΔθ50は2.8deg、平均ピッチは8.1nm、ピッチ分散は12.5%と良好であった。一方、比較例1、4の媒体において、垂直磁気記録層のΔθ50は、2.7、3.6degと良好であるものの、平均粒径は9.2ないし9.3nmであり、ピッチ分散は22ないし22.6%と実施例1の媒体より悪化していることが分かった。また、比較例2、比較例3の媒体において、垂直磁気記録層の平均ピッチは7.8nm、ピッチ分散は16.2ないし16.3nmと比較的良好であった。しかし、垂直磁気記録層のΔθ50は、13ないし13.3degと実施例1の媒体より大幅に悪化していることが分かった。
続いて、これらの媒体において、記録再生特性を評価した。記録再生特性の評価は、米国GUZIK社製リードライトアナライザRWA1632、およびスピンスタンドS1701MPを用いて測定した。記録再生特性の評価には、書き込みにシールド付(シールドは、磁気ヘッドから出る磁束を収束させる働きを持つ)のシングルポール磁極であるシールディットポール磁極、再生部にTMR素子を用いたヘッドを用いて、記録周波数の条件を線記録密度1400kBPIとして測定した。結果を表1に示す。本願の実施例1の媒体は、23.1dBと比較例1ないし4の媒体と比べて良好な記録再生特性を示すことが分かった。
以上をまとめると、比較例2、3の媒体において、垂直磁気記録層のピッチ分散が比較例1の媒体に比べて改善しているものの、実施例1の媒体に比べるとやや悪く、かつ結晶配向性が10deg以上と大幅に悪化している。また比較例1,4の媒体においては、結晶配向性が実施例1の媒体と同等であるものの、ピッチ分散が20%以上と大幅に悪いことが分かった。すなわち、比較例1ないし4の媒体は、ピッチ分散の改善と結晶配向性の改善を両立できていない。よって、比較例の記録再生特性は、実施例1の媒体に比べて悪化していることが分かった。一方、実施例1の媒体は、シード層の粒子構造を垂直磁気記録層まで伝達しつつ、結晶配向性の改善も維持することで、低ピッチ分散と良結晶配向性が両立できていることが分かった。結果、記録再生特性も良好であった。
実施例2ないし6、および比較例5ないし8
非磁性シード層5を下記表2の通り変化させた以外は、実施例1の媒体と同様にして作製し、図1と同様の構成を有する実施例2ないし4および比較例5ないし8に係る垂直磁気記録媒体を得た。
非磁性シード層5を下記表2の通り変化させた以外は、実施例1の媒体と同様にして作製し、図1と同様の構成を有する実施例2ないし4および比較例5ないし8に係る垂直磁気記録媒体を得た。
また、図7に示すように、配向制御層4の代わりに、Ag系配向制御層10を形成すること以外は、実施例1の媒体と同様にして、実施例5,6に係る垂直磁気記録媒体600を得た。
実施例2ないし6、および比較例5ないし8により得られる磁気記録媒体の構成を以下に示す。
実施例2ないし4の構成
非磁性ガラス基板1/CrTi密着層2/CoFeTaZr軟磁性層3/NiW配向制御層4/AgGe−X非磁性シード層5(X=Mg,Au,Ti)/Ru非磁性中間層6/CoCrPt−SiO2垂直磁気記録層7/C保護層8
実施例5、6の構成
非磁性ガラス基板1/CrTi密着層2/CoFeTaZr軟磁性層3/Ag系配向制御層10/AgGe−Al非磁性シード層5/Ru非磁性中間層6/CoCrPt−SiO2垂直磁気記録層7/C保護層8
比較例5ないし8の構成
非磁性ガラス基板1/CrTi密着層2/CoFeTaZr軟磁性層3/NiW配向制御層4/AgGe−X非磁性シード層5(X=Pt,Pd,Ru,Cr)/Ru非磁性中間層6/CoCrPt−SiO2垂直磁気記録層7/C保護層8
これらの媒体のシード層5に対して、平面方向のTEM分析およびTEM−EDX分析を行った。実施例2ないし6の媒体のシード層5について、AgGe−X膜は粒径6nm程度のfcc構造を持つ結晶質のAg−X粒子(X=Al,Mg,Au,Ti)と、粒界幅1ないし2nm程度のアモルファス構造のGe粒界からなることが分かった。この時、ピッチ分散は11ないし12%程度と低ピッチ分散であった。
非磁性ガラス基板1/CrTi密着層2/CoFeTaZr軟磁性層3/NiW配向制御層4/AgGe−X非磁性シード層5(X=Mg,Au,Ti)/Ru非磁性中間層6/CoCrPt−SiO2垂直磁気記録層7/C保護層8
実施例5、6の構成
非磁性ガラス基板1/CrTi密着層2/CoFeTaZr軟磁性層3/Ag系配向制御層10/AgGe−Al非磁性シード層5/Ru非磁性中間層6/CoCrPt−SiO2垂直磁気記録層7/C保護層8
比較例5ないし8の構成
非磁性ガラス基板1/CrTi密着層2/CoFeTaZr軟磁性層3/NiW配向制御層4/AgGe−X非磁性シード層5(X=Pt,Pd,Ru,Cr)/Ru非磁性中間層6/CoCrPt−SiO2垂直磁気記録層7/C保護層8
これらの媒体のシード層5に対して、平面方向のTEM分析およびTEM−EDX分析を行った。実施例2ないし6の媒体のシード層5について、AgGe−X膜は粒径6nm程度のfcc構造を持つ結晶質のAg−X粒子(X=Al,Mg,Au,Ti)と、粒界幅1ないし2nm程度のアモルファス構造のGe粒界からなることが分かった。この時、ピッチ分散は11ないし12%程度と低ピッチ分散であった。
一方、比較例5ないし8の媒体のシード層5について、AgGe−X膜(X=Pt,Pd,Ru,Cr)が粒子と粒界に分離せずに、膜面に一様なアモルファス構造を取っていることが分かった。これはPt,Pd,Ru,Crの添加により、粒子構造が壊されてしまったものと考えられる。
これらの媒体に対して、実施例1と同様に、結晶配向性、平均ピッチ、ピッチ分散、記録再生特性を調査した。表2の通り、実施例2ないし6の媒体は、比較例5ないし8の媒体と比べて改善が見られ、これにより、比較例5ないし8よりも記録再生特性の改善が見られている。
実施例7ないし10、および比較例9ないし11
非磁性シード層5のAl添加量を下記表3の通り変化させた以外は、実施例1の媒体と同様にして、図1と同様の構成を有する、実施例7ないし10および比較例9ないし11に係る垂直磁気記録媒体を得た。
非磁性シード層5のAl添加量を下記表3の通り変化させた以外は、実施例1の媒体と同様にして、図1と同様の構成を有する、実施例7ないし10および比較例9ないし11に係る垂直磁気記録媒体を得た。
実施例7ないし10、および比較例9ないし11の構成を以下に示す。
非磁性ガラス基板1/CrTi密着層2/CoFeTaZr軟磁性層3/NiW配向制御層4/AgGe−Al非磁性シード層5/Ru非磁性中間層6/CoCrPt−SiO2垂直磁気記録層7/C保護層8
これらの媒体のシード層に対して、平面方向のTEM分析およびTEM−EDX分析を行った。実施例1、7ないし10の媒体のシード層について、AgGe−Al膜は粒径6nm程度のfcc構造を持つ結晶質のAg−Al粒子と、粒界幅1ないし2nm程度の非晶質のGe粒界からなることが分かった。この時、ピッチ分散は11ないし12%程度で低ピッチ分散であった。一方、比較例9の媒体のシード層について、AgGe膜は粒径6nm程度の結晶質のAg粒子と、粒界幅1ないし2nm程度の非晶質のGe粒界からなることが分かった。しかし、ピッチ分散は19%程度と実施例1、7ないし10の媒体に比べてピッチが悪化していることが分かった。次いで、比較例10、11の媒体のシード層について、AgGe−Al膜が粒子と粒界構造を取らずに、膜面に一様なアモルファス構造を取っていることが分かった。これは添加物質であるAlの量が多すぎて粒子構造が壊されてしまったものと考えられる。
これらの媒体のシード層に対して、平面方向のTEM分析およびTEM−EDX分析を行った。実施例1、7ないし10の媒体のシード層について、AgGe−Al膜は粒径6nm程度のfcc構造を持つ結晶質のAg−Al粒子と、粒界幅1ないし2nm程度の非晶質のGe粒界からなることが分かった。この時、ピッチ分散は11ないし12%程度で低ピッチ分散であった。一方、比較例9の媒体のシード層について、AgGe膜は粒径6nm程度の結晶質のAg粒子と、粒界幅1ないし2nm程度の非晶質のGe粒界からなることが分かった。しかし、ピッチ分散は19%程度と実施例1、7ないし10の媒体に比べてピッチが悪化していることが分かった。次いで、比較例10、11の媒体のシード層について、AgGe−Al膜が粒子と粒界構造を取らずに、膜面に一様なアモルファス構造を取っていることが分かった。これは添加物質であるAlの量が多すぎて粒子構造が壊されてしまったものと考えられる。
実施例11ないし13、比較例12ないし17
シード層のGeの組成量を40原子%ないし85原子%まで変更させたAgGe−Alターゲットを用いて、シード層5を形成した以外は、実施例1と同様にして作製し、図1と同様の構成を有する、実施例11ないし13、比較例12ないし17に係る垂直磁気記録媒体を得た。
シード層のGeの組成量を40原子%ないし85原子%まで変更させたAgGe−Alターゲットを用いて、シード層5を形成した以外は、実施例1と同様にして作製し、図1と同様の構成を有する、実施例11ないし13、比較例12ないし17に係る垂直磁気記録媒体を得た。
実施例11ないし13、および比較例12ないし17の構成を以下に示す。
非磁性ガラス基板1/CrTi密着層2/CoFeTaZr軟磁性層3/NiW配向制御層4/AgGe−Al非磁性シード層5/Ru非磁性中間層6/CoCrPt−SiO2垂直磁気記録層7/C保護層8
これらの媒体のシード層5に対して、平面方向のTEM分析およびTEM−EDX分析を行った。実施例1、11ないし13の媒体のシード層について、AgGe−Al膜は粒径6nm程度のfcc構造を持つ結晶質のAg−Al粒子と、粒界幅1ないし2nm程度の非晶質のGe粒界からなることが分かった。この時、ピッチ分散は11ないし12%程度で低ピッチ分散であった。一方、比較例12ないし14の媒体のシード層について、数個のAg−Al粒子が繋がったような構造を取っていることが分かった。これは、粒界物質であるGe量が少なすぎて、Ag−Al粒子間を十分に分断できていないためと考えられる。次に、比較例15ないし17の媒体のシード層について、AgGe−Al膜が粒子と粒界構造を取らずに、膜面に一様なアモルファス構造を取っていることが分かった。これは粒界物質であるGe量が多すぎて、粒子構造が壊されてしまったものと考えられる。これらの媒体に対して、実施例1と同様に記録再生特性を調査した。表4の通り、実施例1、11ないし13の媒体は、比較例12ないし17の媒体と比べて良好な記録再生特性を持つことが分かった。
これらの媒体のシード層5に対して、平面方向のTEM分析およびTEM−EDX分析を行った。実施例1、11ないし13の媒体のシード層について、AgGe−Al膜は粒径6nm程度のfcc構造を持つ結晶質のAg−Al粒子と、粒界幅1ないし2nm程度の非晶質のGe粒界からなることが分かった。この時、ピッチ分散は11ないし12%程度で低ピッチ分散であった。一方、比較例12ないし14の媒体のシード層について、数個のAg−Al粒子が繋がったような構造を取っていることが分かった。これは、粒界物質であるGe量が少なすぎて、Ag−Al粒子間を十分に分断できていないためと考えられる。次に、比較例15ないし17の媒体のシード層について、AgGe−Al膜が粒子と粒界構造を取らずに、膜面に一様なアモルファス構造を取っていることが分かった。これは粒界物質であるGe量が多すぎて、粒子構造が壊されてしまったものと考えられる。これらの媒体に対して、実施例1と同様に記録再生特性を調査した。表4の通り、実施例1、11ないし13の媒体は、比較例12ないし17の媒体と比べて良好な記録再生特性を持つことが分かった。
実施例14ないし18、比較例18ないし19
シード層に、さらにSiを添加し、そのSiの組成量を0原子%ないし30原子%まで変更させたAgGe−Al−Siターゲットを用いて、シード層5を形成した以外は、実施例1と同様にして、図1と同様の構成を有する、実施例14ないし18、比較例18ないし19に係る垂直磁気記録媒体を得た。
シード層に、さらにSiを添加し、そのSiの組成量を0原子%ないし30原子%まで変更させたAgGe−Al−Siターゲットを用いて、シード層5を形成した以外は、実施例1と同様にして、図1と同様の構成を有する、実施例14ないし18、比較例18ないし19に係る垂直磁気記録媒体を得た。
実施例14ないし18、および比較例18ないし19の構成を以下に示す。
非磁性ガラス基板1/CrTi密着層2/CoFeTaZr軟磁性層3/NiW配向制御層4/AgGe−Al−Si非磁性シード層5/Ru非磁性中間層6/CoCrPt−SiO2垂直磁気記録層7/C保護層8
これらの媒体のシード層5に対して、平面方向のTEM分析およびTEM−EDX分析を行った。実施例14ないし18の媒体のシード層について、AgGe−Al−Si膜は粒径6nm程度のfcc構造を持つ結晶質のAg−Al粒子と、粒界幅1ないし2nm程度の非晶質のGe−Si粒界からなることが分かった。この時、ピッチ分散は11ないし12%程度(垂直磁気記録層は12ないし13%)で低ピッチ分散であった。一方、比較例18ないし19の媒体のシード層について、AgGe−Al−Si膜が粒子と粒界構造を取らずに、膜面に一様なアモルファス構造を取っていることが分かった。これは粒界物質であるGe−Si量が多すぎて、粒子構造が壊されてしまったものと考えられる。
これらの媒体のシード層5に対して、平面方向のTEM分析およびTEM−EDX分析を行った。実施例14ないし18の媒体のシード層について、AgGe−Al−Si膜は粒径6nm程度のfcc構造を持つ結晶質のAg−Al粒子と、粒界幅1ないし2nm程度の非晶質のGe−Si粒界からなることが分かった。この時、ピッチ分散は11ないし12%程度(垂直磁気記録層は12ないし13%)で低ピッチ分散であった。一方、比較例18ないし19の媒体のシード層について、AgGe−Al−Si膜が粒子と粒界構造を取らずに、膜面に一様なアモルファス構造を取っていることが分かった。これは粒界物質であるGe−Si量が多すぎて、粒子構造が壊されてしまったものと考えられる。
これらの媒体に対して、実施例1と同様に、垂直磁気記録層の結晶配向性、平均ピッチ、ピッチ分散、記録再生特性を調査した。表5の通り、実施例14ないし18の媒体は、比較例18、19の媒体より、良好な記録再生特性を持つことが分かった。
実施例19ないし21
シード層の組成を下記表6の通りに変化させた以外は、実施例1と同様にして、図1と同様の構成を有する、実施例19ないし21に係る垂直磁気記録媒体100を得た。
シード層の組成を下記表6の通りに変化させた以外は、実施例1と同様にして、図1と同様の構成を有する、実施例19ないし21に係る垂直磁気記録媒体100を得た。
実施例19ないし21の構成を以下に示す。
非磁性ガラス基板1/CrTi密着層2/CoFeTaZr軟磁性層3/NiW配向制御層4/AgGe−X−Si非磁性シード層5(X=Al,Mg,Au,Ti)/Ru非磁性中間層6/CoCrPt−SiO2垂直磁気記録層7/C保護層8
これらの媒体に対して、実施例1と同様に、垂直磁気記録層の結晶配向性、平均ピッチ、ピッチ分散、記録再生特性を調査した。下記表6の通り、実施例19ないし21の媒体は、比較例の媒体より、良好な記録再生特性を持つことが分かった。
これらの媒体に対して、実施例1と同様に、垂直磁気記録層の結晶配向性、平均ピッチ、ピッチ分散、記録再生特性を調査した。下記表6の通り、実施例19ないし21の媒体は、比較例の媒体より、良好な記録再生特性を持つことが分かった。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
1…基板、2…密着層、3…密着層、4…配向制御層、5…非磁性シード層、6…非磁性中間層、7…垂直磁気記録層、8…保護層、100,200,300,400,500,600…垂直磁気記録媒体
Claims (7)
- 非磁性基板、
該非磁性基板上に形成され、面心立方格子構造を持つ、ニッケル合金または銀合金からなる配向制御層、
該配向制御層上に接触して形成され、銀と、ゲルマニウムと、アルミニウム、マグネシウム、金、及びチタンからなる群から選択される少なくとも1種の金属Xとからなる非磁性シード層、
該非磁性シード層上に形成された、ルテニウムまたはルテニウム合金からなる非磁性中間層、及び
該非磁性中間層上に形成された磁気記録層を具備することを特徴とする磁気記録媒体。 - 非磁性基板、
該非磁性基板上に形成され、面心立方格子構造を持つ、ニッケル合金または銀合金からなる配向制御層、
該配向制御層上に接触して形成され、銀と、ゲルマニウムと、ケイ素と、アルミニウム、マグネシウム、金、及びチタンからなる群から選択される少なくとも1種の金属Xとからなる非磁性シード層、
該非磁性シード層上に形成された、ルテニウムまたはルテニウム合金からなる非磁性中間層、及び
該非磁性中間層上に形成された磁気記録層を具備することを特徴とする磁気記録媒体。 - 前記非磁性シード層は、銀と、アルミニウム、マグネシウム、金、及びチタンからなる群から選択される金属Xとからなる面心立方格子構造を持つ粒子、及び該粒子間に設けられた非晶質のゲルマニウムケイ素粒界を含む請求項2に記載の磁気記録媒体。
- 前記非磁性シード中の銀と、ゲルマニウムと、金属Xと、ケイ素との合計の原子量に対しケイ素の含有量は、20原子%以下である請求項2または3に記載の磁気記録媒体。
- 前記非磁性シード層は、銀と、アルミニウム、マグネシウム、金、及びチタンからなる群から選択される金属Xとからなる面心立方格子構造を持つ粒子、及び該粒子間に設けられた非晶質のゲルマニウム粒界を含む請求項1ないし4のいずれか1項に記載の磁気記録媒体。
- 前記非磁性シード層中の銀と、ゲルマニウムと、金属Xとの合計の原子量に対し金属Xの含有量は、3ないし20原子%である請求項1ないし5のいずれか1項に記載の磁気記録媒体。
- 請求項1ないし6のいずれか1項に記載の磁気記録媒体と、前記磁気記録媒体を支持および回転駆動する機構と、前記磁気記録媒体に対して情報の記録を行うための素子及び記録された情報の再生を行うための素子を有する磁気ヘッドと、前記磁気ヘッドを前記磁気記録媒体に対して移動自在に支持したキャリッジアッセンブリとを具備する磁気記録再生装置。
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