JP4083494B2 - 磁気記録媒体、その製造方法、および磁気記録再生装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、磁気記録媒体、その製造方法、およびこの磁気記録媒体を用いた磁気記録再生装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、磁性膜内の磁化容易軸が主に基板に対し平行に配向した面内磁気記録媒体が広く用いられている。面内磁気記録媒体では、記録密度を高めた際に、記録ビット境界での反磁界の影響により媒体ノイズが増加することがある。
これに対し、磁性膜内の磁化容易軸が主に基板に対し垂直に配向した垂直磁気記録媒体は、高記録密度化した場合でも、ビット境界での反磁界の影響が小さく、境界が鮮明な記録磁区が形成されるため、熱揺らぎ特性およびノイズ特性を高めることができることから、大きな注目を集めている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
近年では、磁気記録媒体のさらなる高記録密度化が要望されており、垂直磁性膜に対する書込能力に優れる単磁極ヘッドを用いるために、記録層である垂直磁性膜と基板との間に、裏打ち層と称される軟磁性材料からなる層を設け、単磁極ヘッドと磁気記録媒体との間の磁束の出入りの効率を向上させた磁気記録媒体が提案されている。
しかしながら、裏打ち層を設けた場合でも、記録再生時の記録再生特性や、耐熱減磁耐性、記録分解能において満足できるものはなく、これらの特性に優れた磁気記録媒体が要望されていた。
特許第2769511号公報には、結晶配向促進層のc軸の配向分散角Δθ50を7度以下とすることが提案されている。また、特開平6−76260号公報には、fcc構造のc軸の配向分散角Δθ50を10度以下とすることが提案されている。
しかしながら、結晶配向促進層の配向分散を所定の角度以下にしただけでは、垂直磁性膜の特性改善には不十分である。
結晶配向促進層と垂直磁性膜の界面での垂直磁性膜の初期成長を考えると、結晶配向促進層と垂直磁性膜の配向の差が小さい場合には、磁性膜の結晶粒径が大きくなるおそれがある。逆に配向の差が大きすぎる場合には、垂直磁性膜の初期成長部分が厚くなり、記録再生特性、熱揺らぎ耐性が悪化する。
結晶配向促進層と垂直磁性膜の配向分散を適切な値とすることにより、垂直磁性膜成長時の核発生を促し、結晶粒を微細化するとともに、初期成長部分の厚さを抑え、熱揺らぎ耐性の悪化を防ぐことが可能となる。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、記録再生特性、耐熱減磁耐性を向上させ高密度の記録再生を可能とする磁気記録媒体、その製造方法、および磁気記録再生装置を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明の磁気記録媒体では、非磁性基板上に、少なくとも軟磁性材料からなる軟磁性下地膜と、直上の膜の配向性を制御する配向制御膜と、磁化容易軸が基板に対し主に垂直に配向した垂直磁性膜と、保護膜とが設けられ、配向制御膜が、hcp構造を有し、かつ(0002)配向面のΔθ50が、3〜10度とされており、配向制御膜のΔθ50(ori)と、垂直磁性膜のΔθ50(mag)との差(Δθ50(mag)−Δθ50(ori))が、1〜8度とされており、さらに、配向制御膜は、Ti、Zn、Y、Zr、Ru、Re、Gd、Tb、Coのうちから選ばれる1種または2種以上を50at%以上含有するものであり、垂直磁性膜が、Co合金、CoCrPt系合金、CoPt系合金の内、少なくともいずれかを含有する合金からなることを特徴とする。
配向制御膜は、さらに、V、Cr、Mn、Fe、Co、Niのうちから選ばれる1種または2種以上を含有する構成とすることができる。
配向制御膜は、B、C、N、O、Pのうちから選ばれる1種または2種以上を含有する構成とすることができる。
本発明では、配向制御膜と垂直磁性膜の間に、非磁性中間膜が設けられ、この非磁性中間膜が、Coを40〜70at%含む材料からなる構成を採用できる。
配向制御膜は、グラニュラー構造を有し、かつ平均結晶粒径が4〜20nmである構成とすることができる。
【0005】
本発明の磁気記録媒体は、非磁性基板上に、少なくとも軟磁性材料からなる軟磁性下地膜と、直上の膜の配向性を制御する配向制御膜と、磁化容易軸が基板に対し主に垂直に配向した垂直磁性膜と、保護膜とが設けられ、配向制御膜が、fcc構造を有し、かつ(111)配向面のΔθ50が、3〜10度とされており、配向制御膜のΔθ50(ori)と、垂直磁性膜のΔθ50(mag)との差(Δθ50(mag)−Δθ50(ori))が、1〜8度とされており、前記垂直磁性膜は、Co合金、CoCrPt系合金、CoPt系合金の内、少なくともいずれかを含有する合金からなる構成とすることができる。
配向制御膜は、Ni、Cu、Pd、Ag、Pt、Ir、Au、Alのうちから選ばれる1種または2種以上を50at%以上含有する構成とすることができる。
配向制御膜は、B、C、N、O、P、Cr、Siのうちから選ばれる1種または2種以上を含有する構成とすることができる。
垂直磁性膜の逆磁区核形成磁界(−Hn)は、0(Oe)以上であることが好ましい。
【0006】
本発明の磁気記録媒体は、軟磁性下地膜と配向制御膜との間に、配向制御下地膜が設けられている構成とすることができる。
配向制御下地膜は、Ti、Zn、Y、Zr、Ru、Re、Gd、Tb、Hfのうち1種または2種以上を主成分とする材料で構成することができる。
配向制御下地膜は、B2構造を有する材料で構成することができる。
本発明の磁気記録媒体は、非磁性基板と軟磁性下地膜との間に、面内磁気異方性を有する硬磁性材料からなる面内硬磁性膜が設けられている構成とすることができる。
【0007】
本発明の磁気記録媒体の製造方法は、非磁性基板上に、少なくとも軟磁性材料からなる軟磁性下地膜と、直上の膜の配向性を制御する配向制御膜と、磁化容易軸が基板に対し主に垂直に配向した垂直磁性膜と、保護膜とを設ける磁気記録媒体の製造方法であって、配向制御膜を、hcp構造またはfcc構造を有し、かつ(0002)配向面または(111)配向面のΔθ50が、3〜10度とされ、前記配向制御膜のΔθ50(ori)と、前記垂直磁性膜のΔθ50(mag)との差(Δθ50(mag)−Δθ50(ori))が、1〜8度とされたものとし、垂直磁性膜を、Co合金、CoCrPt系合金、CoPt系合金の内、少なくともいずれかを含有する合金から形成することを特徴とする。
【0008】
本発明の磁気記録再生装置は、磁気記録媒体と、該磁気記録媒体に情報を記録再生する磁気ヘッドとを備え、磁気記録媒体が、上記本発明の磁気記録媒体であることを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の磁気記録媒体の第1実施形態を示すもので、ここに示す磁気記録媒体は、非磁性基板1上に、軟磁性下地膜2と、配向制御膜3と、垂直磁性膜4と、保護膜5と、潤滑膜6とが設けられて構成されている。
基板1としては、磁気記録媒体用基板として一般に用いられているNiPメッキ膜を有するアルミニウム合金基板、ガラス基板(結晶化ガラス、強化ガラス等)、セラミックス基板、カーボン基板、シリコン基板、シリコンカーバイド基板を挙げることができる。またこれらの基板にNiP膜をメッキ法やスパッタ法などにより形成した基板を挙げることができる。
基板1の表面の平均粗さRaは、0.01〜2nm(好ましくは0.05〜1.5nm)とするのが好適である。
表面平均粗さRaがこの範囲未満であると、媒体への磁気ヘッドの吸着や、記録再生時の磁気ヘッド振動が起こりやすくなる。また表面平均粗さRaがこの範囲を越えるとグライド特性が不十分となりやすい。
【0010】
軟磁性下地膜2は、垂直磁性膜4における磁化を、より強固に基板1と垂直な方向に固定するために設けられているものである。
軟磁性下地膜2を構成する軟磁性材料としては、Feを60at%以上含有するFe合金を用いることができる。この材料としては、FeCo系合金(FeCo、FeCoVなど)、FeNi系合金(FeNi、FeNiMo、FeNiCr、FeNiSiなど)、FeAl系合金(FeAl、FeAlSi、FeAlSiCr、FeAlSiTiRuなど)、FeCr系合金(FeCr、FeCrTi、FeCrCuなど)、FeTa系合金(FeTa、FaTaCなど)、FeC系合金、FeN系合金、FeSi系合金、FeP系合金、FeNb系合金、FeHf系合金を挙げることができる。
軟磁性下地膜2は、FeAlO、FeMgO、FeTaN、FeZrNなどの微細結晶を有する構造とすることができる。また微細結晶がマトリクス中に分散されたグラニュラー構造を有する構成とすることもできる。
軟磁性下地膜2には、Coを80at%以上含有し、Zr、Nb、Ta、Cr、Mo等のうち少なくとも1種以上を含有するCo合金を用いることができる。例えば、CoZr、CoZrNb、CoZrTa、CoZrCr、CoZrMoなどを好適なものとして挙げることができる。
また、軟磁性下地膜2は、アモルファス構造を有する合金からなるものとすることもできる。
【0011】
軟磁性下地膜2は、その飽和磁束密度Bsが0.8T以上であることが好ましい。飽和磁束密度Bsが0.8Tより小さい場合には、再生波形の制御が難しくなり、ノイズが増加する。また膜を厚く形成する必要が生じ、生産性の低下を招くおそれがある。
軟磁性下地膜2の保磁力は、200(Oe)(15.8×103A/m)以下とするのが好ましい。保磁力が上記範囲を越えると、ノイズ増加の原因となる。
【0012】
軟磁性下地膜2の厚さは、軟磁性下地膜2を構成する材料の飽和磁束密度Bsによって適宜設定される。
すなわち、軟磁性下地膜2を構成する材料の飽和磁束密度Bsと、軟磁性下地膜2の膜厚tの積であるBs・tが、30T・nm以上(好ましくは60T・nm以上)であることが望ましい。
【0013】
軟磁性下地膜2の表面(配向制御膜3側の面)は、軟磁性下地膜2を構成する材料が部分的または完全に酸化されていることが好ましい。
この酸化部分(酸化層)の厚さは0.1nm以上3nm未満とするのが好ましい。
軟磁性下地膜2が酸化された状態はオージェ電子分光法、SIMS法などにより確認することができる。また軟磁性下地膜2表面の酸化部分(酸化層)の厚さは、例えば媒体断面の透過型電子顕微鏡(TEM)写真により求めることができる。
【0014】
配向制御膜3は、直上に位置する垂直磁性膜4の配向性や結晶粒径を制御するために設けられた膜である。
本実施形態の磁気記録媒体において、配向制御膜3は、hcp構造を有する材料から構成されている。
配向制御膜3の材料としては、Ti、Zn、Y、Zr、Ru、Re、Gd、Tb、Coのうちから選ばれる1種または2種以上を50at%以上含有する材料を用いるのが好ましい。
なかでも特に、RuとReのうち少なくともいずれかを用いるのが好ましい。
【0015】
この材料としては、Ti、Zn、Y、Zr、Ru、Re、Gd、Tb、Coのうちから選ばれる1種または2種以上を50at%以上含有し、かつV、Cr、Mn、Fe、Co、Niのうちから選ばれる1種または2種以上を含むものを用いることもできる。具体例としては、RuCr、RuCo、ReV、ZrNi、RuCrMnを挙げることができる。
配向制御膜3中において、V、Cr、Mn、Fe、Co、Niの含有量は、0.1at%以上、50at%未満とするのが好ましい。
【0016】
配向制御膜3の材料としては、Ti、Zn、Y、Zr、Ru、Re、Gd、Tb、Coのうちから選ばれる1種または2種以上を50at%以上含有し、かつB、C、N、O、Pのうちから選ばれる1種または2種以上を含有するものを用いることもできる。具体例としては、RuB、RuC、ZrN、ReBOを挙げることができる。
配向制御膜3中において、B、C、N、O、Pの含有量は、0.1at%以上、50at%未満とするのが好ましい。
【0017】
配向制御膜3には、Ti、Zn、Y、Zr、Ru、Re、Gd、Tb、Coのうちから選ばれる1種または2種以上を50at%以上含有し、かつSi酸化物、Zr酸化物、Ti酸化物、Al酸化物のうちから選ばれる1種または2種以上を含む合金を用いることもできる。
具体例としては、Ru−SiO2、Ru−ZrO2、Re−Al2O3を挙げることができる。
配向制御膜3中において、上記酸化物(Si酸化物、Zr酸化物、Ti酸化物、Al酸化物のうち1種以上)の含有率は、0.1〜40at%とするのが好適である。
【0018】
配向制御膜3は、AgGe系合金、CuGe系合金、RuNb系合金のうちいずれかからなる構成とすることもできる。
例えば、25Ag75Ge、50Cu50Ge、75Ru25Nbなどのhcp構造の金属間化合物材料が使用できる。
【0019】
配向制御膜3は、微細な結晶粒がマトリクス中に分散されたグラニュラー構造を有する構成とすることもできる。
この結晶粒の平均粒径は、4〜20nmとするのが好ましい。この平均結晶粒径が上記範囲未満であると熱揺らぎ特性が低下し、上記範囲を越えるとノイズ特性が劣化する。
なお熱揺らぎ特性とは、熱揺らぎによる出力低下に関する性質をいう。
【0020】
本実施形態の磁気記録媒体において、配向制御膜3の(0002)配向面のΔθ50は、3〜10度(好ましくは4〜8度)の範囲とされている。
配向制御膜3のΔθ50は、上記範囲未満であると記録再生特性が劣化し、上記範囲を越えると熱揺らぎ特性が劣化する。
ここでいうΔθ50とは、当該膜の結晶面の傾き分布を示すものであり、具体的には、配向制御膜3の表面における特定の配向面に関するロッキング曲線のピークの半値幅をいう。Δθ50は、数値が小さいほど当該膜の結晶配向性が高いということができる。
【0021】
以下、配向制御膜3表面の配向面(0002)に関するΔθ50を測定する方法の一例を説明する。
(1)ピーク位置決定
図2に示すように、表面側に配向制御膜3が形成されたディスクDに、入射X線21を照射し、回折X線22を回折X線検出器23によって検出する。
検出器23の位置は、この検出器23によって検出される回折X線22の入射X線21に対する角度(入射X線21の延長線24に対する回折X線22の角度)が、ディスクD表面に対する入射X線21の入射角θの2倍、すなわち2θとなるように設定する。
入射X線21を照射する際には、ディスクDの向きを変化させることにより入射X線21の入射角θを変化させるとともに、これに連動させて、検出器23の位置を、入射X線21に対する回折X線22の角度が2θ(すなわち入射X線21の入射角θの2倍の角度)を維持するように変化させつつ、回折X線22の強度を検出器23により測定するθ−2θスキャン法を行う。
これによって、回折X線22の強度と入射角θとの関係を調べ、回折X線22の強度が最大となるような検出器23の位置を決定する。この検出器位置における回折X線22の入射X線21に対する角度2θを、2θpという。
得られた角度2θpより、配向制御膜3表面において支配的な結晶面を知ることができる。
【0022】
(2)ロッキング曲線の決定
図3に示すように、検出器23を、回折X線22の角度2θが2θpとなった位置に固定した状態で、ディスクDの向きを変化させることにより入射X線21の入射角θを変化させ、入射角θと、検出器23によって検出された回折X線22の強度との関係を示すロッキング曲線を作成する。
検出器23の位置を、回折X線22の角度2θが2θpとなった位置に固定するため、ロッキング曲線は、配向制御膜3表面の結晶面のディスクD面に対する傾きの分布を表すものとなる。
図4は、ロッキング曲線の例を示すものである。Δθ50とは、このロッキング曲線において当該配向面を示すピークの半値幅をいう。
【0023】
配向制御膜3の厚さは50nm以下(好ましくは30nm以下)とするのが好適である。
この膜厚が上記範囲を越えると、配向制御膜3内で結晶粒の粒径が大きくなり、垂直磁性膜4における磁性粒子が粗大化しやすくなる。また記録再生時における磁気ヘッドと軟磁性下地膜2との距離が大きくなり、再生信号の分解能が低下し、ノイズ特性が劣化するため好ましくない。
配向制御膜3は、薄すぎれば垂直磁性膜4の結晶配向性が劣化するため、厚さが0.1nm以上となるように形成するのが好ましい。
【0024】
垂直磁性膜4は磁化容易軸が基板に対し主に垂直に配向した磁性膜であり、この垂直磁性膜4には、Co合金を用いることが好ましい。
Co合金としては、CoCrPt合金、CoPt合金を例示できる。またこれらの合金にTa、Zr、Nb、Cu、Re、Ru、V、Ni、Mn、Ge、Si、B、O、Nなどから選ばれる少なくとも1種の元素を添加した合金を用いることができる。
垂直磁性膜4は、厚さ方向に均一な単層構造とすることもできるし、遷移金属(Co、Co合金)からなる層と貴金属(Pt、Pd等)からなる層とを積層した多層構造とすることもできる。遷移金属層には、Coを用いることもできるし、CoCrPt系合金、CoPt系合金等のCo合金を用いることもできる。
【0025】
垂直磁性膜4の厚さは、目的とする再生出力によって適宜最適化すればよいが、単層構造型と多層構造型とのいずれの場合においても、厚すぎる場合には、ノイズ特性の悪化や分解能の低下等の問題が起こりやすいため、厚さを100nm以下(好ましくは8〜100nm)とするのが好適である。
【0026】
垂直磁性膜4のΔθ50(mag)と配向制御膜3のΔθ50(ori)との差(Δθ50(mag)−Δθ50(ori))は、1〜8度(好ましくは2〜6度)とされている。
Δθ50(mag)−Δθ50(ori)が上記範囲未満であると、ノイズ特性が悪化し、上記範囲を越えると、熱揺らぎ特性が劣化する。
垂直磁性膜4のΔθ50(mag)とは、(0002)配向面のΔθ50をいう。
【0027】
垂直磁性膜4の逆磁区核形成磁界(−Hn)は、0(Oe)以上とするのが好ましい。この逆磁区核形成磁界(−Hn)が上記範囲未満であると、熱揺らぎ耐性が低下する。
図5に示すように、逆磁区核形成磁界(−Hn)とは、履歴曲線(MH曲線)において、磁化が飽和した状態(符号c)から外部磁場を減少させる過程で、外部磁場が0となる点aから、磁化反転が始まる点bまでの距離(Oe)で表すことができる。
逆磁区核形成磁界(−Hn)は、次のように定義することもできる。
すなわちMH曲線において、外部磁場を減少させる過程で磁化が0となる点dでの接線と、飽和磁化を示す直線との交点をbとすると、逆磁区核形成磁界(−Hn)は、Y軸(M軸)から点bまでの距離(Oe)で表すことができる。
なお、逆磁区核形成磁界(−Hn)は、外部磁場が負となる領域に点bがある場合に正の値をとり(図5を参照)、逆に、外部磁場が正となる領域に点bがある場合に負の値をとる(図6を参照)。
逆磁区核形成磁界(−Hn)の測定には、軟磁性下地膜2の影響を除くため、基板1、配向制御膜3、垂直磁性膜4、保護膜5のみからなるディスクを用い、このディスクについて振動式磁気特性測定装置またはカー効果測定装置を用いて測定を行うのが好適である。また磁気記録媒体をそのまま用いて、振動式磁気特性測定装置またはカー効果測定装置により逆磁区核形成磁界(−Hn)を測定することもできる。
【0028】
保護膜5は、垂直磁性膜4の腐食を防ぐとともに、磁気ヘッドが媒体に接触したときに媒体表面の損傷を防ぎ、かつ磁気ヘッドと媒体の間の潤滑特性を確保するためのもので、従来公知の材料を使用することが可能である。
例えばC、SiO2、ZrO2の単一組成とすることもできるし、これらを主成分とし他元素を含む材料を使用することもできる。
保護膜5の厚さは、1〜10nmの範囲とするのが好ましい。
【0029】
潤滑膜6には、パーフルオロポリエーテル、フッ素化アルコール、フッ素化カルボン酸など公知の潤滑剤を使用することができる。その種類および膜厚は、使用される保護膜や潤滑剤の特性に応じて適宜設定することができる。
【0030】
上記構成の磁気記録媒体を製造するには、図1に示す基板1上に、スパッタ法などにより軟磁性下地膜2を形成し、次いで、必要に応じてこの軟磁性下地膜2の表面に酸化処理を施し、次いで配向制御膜3、垂直磁性膜4を順次スパッタ法などにより形成する。
【0031】
軟磁性下地膜2の表面に酸化処理を施す場合には、軟磁性下地膜2を形成した後、軟磁性下地膜2を酸素含有ガスに曝す方法や、軟磁性下地膜2の表面に近い部分を成膜する際にプロセスガス中に酸素を導入する方法を採ることができる。
この軟磁性下地膜2の表面酸化によって、軟磁性下地膜2の表面の磁気的な揺らぎを抑え、かつ配向制御膜3の結晶粒を微細化してノイズ特性の改善効果を得ることができる。
また軟磁性下地膜2表面の酸化部分(酸化層)によって、軟磁性下地膜2からの腐食性物質が媒体表面に移動するのを抑え、媒体表面の腐食の発生を防ぐことができる。
【0032】
配向制御膜3を形成するにあたって、Δθ50を上記範囲(3〜10度)に設定するには、例えばスパッタ法により配向制御膜3を形成する際の温度、プロセスガス圧力、成膜レート、ターゲット−基板間距離等を最適化する方法をとることができる。
例えば、Δθ50を上記範囲にするには、配向制御膜3を形成する際の温度条件を100〜300℃とするのが好ましい。またプロセスガスの圧力は0.3〜20Paとするのが好ましい。また成膜レートは1〜10nm/secとするのが好ましい。またターゲット−基板間距離は20〜150mmとするのが好ましい。
温度、プロセスガス圧力、成膜レート、ターゲット−基板間距離などの条件が上記範囲未満または上記範囲を越える場合には、Δθ50が過小または過大となり、ノイズ特性、記録再生特性、熱揺らぎ特性などが劣化しやすくなる。
【0033】
垂直磁性膜4を、単層構造(厚さ方向に均一な構造)とする場合には、この垂直磁性膜4を構成する材料からなるターゲットを用いて垂直磁性膜4を形成することができる。
垂直磁性膜4を、遷移金属層と貴金属層からなる多層構造とする場合には、遷移金属(Co、Co合金)からなる第1のターゲットと、貴金属(Pt、Pd等)からなる第2のターゲットを交互に用いてスパッタリングを行うことにより垂直磁性膜4を構成する。
【0034】
保護膜5の形成方法としては、カーボンターゲットを用いたスパッタ法を用いることができる。またCVD法、イオンビーム法を用いることもできる。
また、SiO2やZrO2のターゲットを用いたRFスパッタ、あるいはSiやZrのターゲットを用い、プロセスガスとして酸素を含むガスを用いる反応性スパッタによって、SiO2やZrO2からなる保護膜5を形成する方法などを適用することができる。
CVD法、イオンビーム法を用いる場合には、極めて硬度の高い保護膜5を形成することができ、スパッタ法により形成された保護膜に比べ、大幅に薄くすることが可能となるため、記録再生時のスペーシングロスを小さくし、高密度の記録再生を行うことができる。
次いで、ディップコーティング法、スピンコート法などにより潤滑膜6を形成する。
【0035】
本実施形態の磁気記録媒体では、配向制御膜3がhcp構造を有し、かつ(0002)配向面のΔθ50が、3〜10度とされ、垂直磁性膜4のΔθ50(mag)と配向制御膜3のΔθ50(ori)との差(Δθ50(mag)−Δθ50(ori))(以下、Δθ50差という)を、1〜8度とされているので、ノイズ特性、記録再生特性等を高め、しかも優れた熱揺らぎ特性が得られる。したがって、高記録密度化が可能となる。
【0036】
配向制御膜3のΔθ50を上記範囲とすることによって、優れた磁気特性が得られる理由について、以下に考察する。
本発明者は、鋭意検討の結果、配向制御膜3のΔθ50が、垂直磁性膜4における磁気クラスター径に大きな影響を及ぼすことを見出した。
すなわち、配向制御膜3のΔθ50が小さ過ぎる場合には、垂直磁性膜4において磁化の向きが均一となり磁性粒子間の磁気的結合が大きくなる。その結果、磁性粒子径に関わりなく、磁気クラスター径が大きくなり、媒体ノイズが増加し、記録再生特性が劣化する。
一方、配向制御膜3のΔθ50が大き過ぎる場合には、垂直磁性膜4において結晶配向性が劣化するため、磁気異方性の低下や角型比の劣化が起き、熱揺らぎ特性が悪化する。
これに対し、配向制御膜3のΔθ50を3〜10度に設定した場合には、垂直磁性膜4の配向性を良好にして熱揺らぎ特性を良好とし、しかも磁化容易軸の方向をある程度不均一化し、磁化の相互作用を抑え、優れたノイズ特性、記録再生特性を得ることができる。
【0037】
またΔθ50差を、1〜8度とすることによって、優れた磁気特性が得られる理由は明らかでないが、以下に示す推察が可能である。
配向制御膜3の材料の結晶の構成(結晶構造や格子定数)と、垂直磁性膜4の材料の結晶の構成とが等しいか、または似通っている場合には、配向制御膜3と垂直磁性膜4との間のΔθ50差が小さくなる。
このような場合には、配向制御膜3と垂直磁性膜4との間で原子の配列状態に大きな違いがないため、これらの界面において結晶粒界形成の契機となり得る箇所が少なくなると考えられる。
このため、垂直磁性膜4の成長初期において結晶粒界が形成されにくくなり、その結果、垂直磁性膜4において結晶粒が不均一かつ粗大となり、ノイズ特性が劣化すると考えられる。
一方、配向制御膜3と垂直磁性膜4との間で、材料の結晶の構成(結晶構造や格子定数)が大きく異なっている場合には、配向制御膜3と垂直磁性膜4との間のΔθ50差が非常に大きくなる。
この場合には、垂直磁性膜4の初期成長時において結晶構造が乱れることを原因として、配向性が著しく劣る結晶が形成されてしまい、保磁力低下による出力特性の悪化や、分解能低下による記録再生特性の劣化などが起こりやすくなる。
これに対し、配向制御膜3の材料の結晶の構成(結晶構造や格子定数)と、垂直磁性膜4の材料の結晶の構成とが異なるものの、その差がわずかである場合、すなわち垂直磁性膜4の結晶配向が配向制御膜3に比べ、わずかに(Δθ50差が1〜8度となる程度に)不均一となる場合には、配向制御膜3と垂直磁性膜4との間での原子の配列状態が異なるため、これらの界面において結晶粒界形成の契機となり得る箇所が多くなると考えられる。
このため、垂直磁性膜4の成長初期において結晶粒界の形成が促され、その結果、垂直磁性膜4において結晶粒が均一かつ微細となり、ノイズ特性が良好となる。
さらには、垂直磁性膜4の初期成長時において結晶配向の乱れを最小限に抑え、熱揺らぎ特性の悪化を防ぐことができる。
以上の理由により、Δθ50差を上記範囲とすることによって、ノイズ特性や記録再生特性を劣化させることなく、熱揺らぎ特性を向上させることができるという推察が可能である。
【0038】
また軟磁性下地膜2が設けられているので、記録再生時において、磁気ヘッドと軟磁性下地膜2との間に磁路が形成され、磁気ヘッドにおける磁束の出入りが効率化される。このため、高密度の記録再生が可能となる。
【0039】
また、上記磁気記録媒体の製造方法によれば、配向制御膜3を、hcp構造を有し、かつ(0002)配向面のΔθ50が3〜10度であり、Δθ50差が1〜8度であるものとするので、ノイズ特性、記録再生特性等を悪化させることなく、優れた熱揺らぎ特性を得ることができる。したがって、高記録密度化が可能となる。
【0040】
次に、本発明の磁気記録媒体の第2の実施形態を、図1を利用して説明する。
本実施形態の磁気記録媒体では、配向制御膜3がfcc構造を有する材料から構成されている。
fcc構造を有する配向制御膜3の材料としては、Ni、Cu、Pd、Ag、Pt、Ir、Au、Alのうちから選ばれる1種または2種以上を50at%以上含有する材料を用いるのが好ましい。
この材料の具体例としては、NiCr、Ni、Au−SiO2、Cu、PdB、を挙げることができる。
配向制御膜3は、Ni、Cu、Pd、Ag、Pt、Ir、Au、Alのうちから選ばれる1種または2種以上を50at%以上含有し、かつB、C、N、O、P、Cr、Siのうちから選ばれる1種または2種以上を含有する構成とすることもできる。
【0041】
配向制御膜3は、(111)配向面のΔθ50が、3〜10度とされている。
配向制御膜3のΔθ50は、上記範囲未満であると、磁化反転が起こりやすくなり熱揺らぎ特性が劣化する。またΔθ50が上記範囲を越えると、出力特性やノイズ特性の劣化を招く。
【0042】
垂直磁性膜4のΔθ50(mag)と配向制御膜3のΔθ50(ori)との差(Δθ50(mag)−Δθ50(ori))(Δθ50差)は、1〜8度(好ましくは2〜6度)とされている。
Δθ50(mag)−Δθ50(ori)が上記範囲未満であると、ノイズ特性が悪化し、上記範囲を越えると、熱揺らぎ特性が劣化する。
また垂直磁性膜4の逆磁区核形成磁界(−Hn)は、0(Oe)以上とするのが好ましい。
逆磁区核形成磁界(−Hn)が上記範囲未満であると、熱揺らぎ耐性が低下する。
【0043】
本実施形態の磁気記録媒体では、配向制御膜3がfcc構造を有し、かつ(111)配向面のΔθ50が3〜10度とされ、Δθ50差が1〜8度とされているので、上述の通り、磁気特性(出力特性、ノイズ特性、記録再生特性など)の向上を図り、しかも熱揺らぎ特性の劣化を防ぐことができる。
したがって、高記録密度化が可能となる。
【0044】
図7は、本発明の磁気記録媒体の第3の実施形態を示すものである。この磁気記録媒体では、軟磁性下地膜2と配向制御膜3との間に、配向制御下地膜7が設けられている点で、上記第1の実施形態の磁気記録媒体と異なる。
配向制御下地膜7には、Ti、Zn、Y、Zr、Ru、Re、Gd、Tb、Hfのうち1種または2種以上を主成分とする材料を用いることができる。
また、配向制御下地膜7の材料としては、B2構造を有する材料を用いることもできる。
B2構造を有する材料としては、NiAl、FeAl、CoFe、CoZr、NiTi、AlCo、AlRu、CoTiのうち1種または2種以上の合金を主成分とするものが使用できる。
また、この合金にCr、Mo、Si、Mn、W、Nb、Ti、Zr、B、O、N等の元素を添加した材料を用いることもできる。
配向制御下地膜7の厚さは、30nm以下とするのが好ましい。この厚さが上記範囲を越えると、垂直磁性膜4と軟磁性下地膜2との距離が大きくなるため分解能およびノイズ特性が劣化する。配向制御下地膜7の厚さは、0.1nm以上とするのが好ましい。
【0045】
図8は、本発明の磁気記録媒体の第4の実施形態を示すものである。この磁気記録媒体では、配向制御膜3と垂直磁性膜4との間に、非磁性材料からなる非磁性中間膜8が設けられている点で、上記第1の実施形態の磁気記録媒体と異なる。
非磁性中間膜8には、Co合金を用いることができる。
このCo合金としては、CoCrを用いることができる。またTa、Zr、Nb、Cu、Re、Ru、Ni、Mn、Ge、Si、O、N、Bから選ばれる1種または2種以上の元素をCoCrに添加した合金を用いることができる。
またTa、Zr、Nb、Cu、Re、Ru、Ni、Mn、Ge、Si、O、N、Bから選ばれる1種または2種以上の元素と、Coとを含む非磁性のCo合金を用いることもできる。
Co合金中のCo含有率は、40〜70at%とするのが好ましい。この含有率が上記範囲未満であると、垂直磁性膜4の結晶配向性を向上させる効果が不十分となる。また含有率が上記範囲を越えると、非磁性中間膜8が磁化されやすくなり、磁気記録媒体の磁気特性が悪化する。
非磁性中間膜8は、厚すぎると垂直磁性膜4と軟磁性下地膜2との距離が大きくなることにより分解能が低下しノイズ特性が悪化するため、20nm以下とするのが好ましく、10nm以下とするのがより好ましい。
非磁性中間膜8を設けることによって、垂直磁性膜4の配向性を向上させ、保磁力を高め、優れた出力特性を得ることができる。
【0046】
図9は、本発明の磁気記録媒体の第5の実施形態を示すものである。この磁気記録媒体では、非磁性基板1と軟磁性下地膜2との間に、面内磁気異方性を有する硬磁性材料からなる面内硬磁性膜9と、面内下地膜10とが設けられている点で、上記第1の実施形態の磁気記録媒体と異なる。
面内硬磁性膜9に用いられる材料としては、CoCr合金、特にCoCrPtX(Xは、B、Ta、Cu、Zr、Nb、Re、Ni、Mn、Ge、Si、O、Nのうちから選ばれる1種または2種以上)を主成分とするものを用いることができる。
CoCrPtXとしては、CoCrPtB、CoCrPtTa、CoCrPtBCuを用いるのが好ましい。
面内硬磁性膜9の材料としては、遷移金属と希土類元素との合金からなる磁性材料、例えばCoSm合金、CoPr合金を挙げることもできる。
面内硬磁性膜9は、保磁力Hcが500(Oe)以上(好ましくは1000(Oe)以上)であることが好ましい。
面内硬磁性膜9の厚さは、20〜150nm(好ましくは40〜70nm)とするの好ましい。
面内硬磁性膜9は、軟磁性下地膜2が基板半径方向の磁壁を形成しないようにするため、基板中心から放射状の方向に磁化され、硬磁性膜と軟磁性下地膜2が交換結合していることが好ましい。
面内下地膜10は、硬磁性膜9の直下に設けられ、その材料としては、CrまたはCr合金を挙げることができる。
面内下地膜10に用いられるCr合金の例としては、CrMo系、CrTi系、CrW系、CrMo系、CrV系、CrSi系、CrNb系の合金を挙げることができる。
【0047】
面内硬磁性膜9を設けることによって、軟磁性下地膜2が形成する巨大な磁区によるスパイクノイズの発生を防ぐことができ、エラーレート特性に優れ、高密度記録が可能な磁気記録媒体を得ることができる。これは、以下の理由による。
軟磁性下地膜2は、保磁力が小さく磁化の方向が変わりやすいために、基板1の面内方向に巨大な磁区を形成する。この軟磁性下地膜2中の磁区の境界である磁壁は、スパイクノイズ発生の原因となり、磁気記録媒体のエラーレートを低下させる要因となることがある。
面内硬磁性膜9を軟磁性下地膜2と基板1との間に設けることにより、硬磁性膜9と軟磁性下地膜2との間の交換結合によって軟磁性下地膜2の磁化方向を強制的に基板1半径方向に向け、上記巨大磁区が形成されないようにすることができる。このため、スパイクノイズ発生を防ぐことができる。
【0048】
図10は、本発明の磁気記録媒体の第6の実施形態を示すものである。この磁気記録媒体では、非磁性基板1と面内下地膜10との間に、シード膜11が設けられている点で図9に示す磁気記録媒体と異なる。
シード膜11は、直上に形成される面内下地膜10の結晶配向性を高め、かつ結晶粒を微細化するためのもので、その材料としては、NiAl、FeAl、CoFe、CoZr、NiTi、AlCo、AlRu、CoTiのうち1種または2種以上を主成分とするものが使用できる。
本実施形態では、シード膜11を設けることによって、面内硬磁性膜9の結晶配向性を高め、磁気異方性を向上させ、媒体ノイズをさらに低く抑えることができる。
【0049】
図11は、本発明の磁気記録媒体の第7の実施形態を示すものである。ここに示す磁気記録媒体では、垂直磁性膜4と保護膜5との間に、磁化安定膜12が設けられている点で図1に示す磁気記録媒体と異なる。
磁化安定膜12の材料としては、軟磁性下地膜2に用い得る材料として例示したものを使用できる。
磁化安定膜12の保磁力Hcは200(Oe)以下(好ましくは50(Oe)以下)とするのが好ましい。
磁化安定膜12の飽和磁束密度Bsは、0.4T以上(好ましくは1T以上)とするのが好ましい。
また、磁化安定膜12の飽和磁束密度膜厚積Bs・tは7.2T・nm以下であること好ましい。このBs・tが上記範囲を越えると再生出力が低下する。
磁化安定膜12は、表面(保護膜5側または垂直磁性膜4側の面)およびその近傍(表面から所定の深さの領域)において、構成材料が部分的または全体的に酸化された構成とすることができる。
【0050】
本実施形態では、磁化安定膜12を設けることによって、垂直磁性膜4の表面における磁化の揺らぎを抑えることができる。
このため、漏れ磁束が揺らぎの影響を受けなくなり、再生出力が増加する。
また磁化安定膜12が設けられていることにより、垂直磁性膜4の垂直方向の磁化と、軟磁性下地膜2および磁化安定膜12の面内方向の磁化が、閉回路を形成するようになる。この作用により、垂直磁性膜4の磁化がより強固に固定されるため、熱揺らぎ耐性が向上する。
また磁化安定膜12の表面が酸化された構成とする場合には、磁化安定膜12の表面の磁気的な揺らぎを抑えることができるため、この磁気的な揺らぎに起因するノイズを低減し、磁気記録媒体の記録再生特性を改善することができる。
【0051】
図12は、本発明に係る磁気記録再生装置の一例を示す断面構成図である。
この図に示す磁気記録再生装置は、上記構成の磁気記録媒体30と、この磁気記録媒体30を回転駆動させる媒体駆動部31と、磁気記録媒体30に対して情報の記録再生を行う磁気ヘッド32と、磁気ヘッド32を駆動させるヘッド駆動部33と、記録再生信号処理系34とを備えている。
記録再生信号系34は、入力されたデータを処理して記録信号を磁気ヘッド32に送ったり、磁気ヘッド32からの再生信号を処理してデータを出力することができるようになっている。
【0052】
磁気ヘッド32としては、単磁極ヘッドを用いることができる。
図13は、単磁極ヘッドの一例を示すもので、単磁極ヘッド32は、磁極35と、コイル36とから概略構成されている。磁極35は、幅の狭い主磁極37と幅広の補助磁極38とを有する側面視略コ字状に形成され、主磁極37は、記録時に垂直磁性膜4に印加される磁界を発生し、再生時に垂直磁性膜4からの磁束を検出することができるようになっている。
【0053】
単磁極ヘッド32を用いて、磁気記録媒体30への記録を行う際には、主磁極37の先端から発せられた磁束が、垂直磁性膜4を、基板1に対し垂直な方向に磁化させる。
この際、磁気記録媒体30には軟磁性下地膜2が設けられているため、単磁極ヘッド32の主磁極37からの磁束は、垂直磁性膜4、軟磁性下地膜2を通じて補助磁極38へと導かれ、閉磁路を形成する。
この閉磁路が単磁極ヘッド32と磁気記録媒体30との間に形成されることにより、磁束の出入りの効率が増し、高密度の記録再生が可能になる。
なお、軟磁性下地膜2と補助磁極38との間の磁束は、主磁極37と軟磁性下地膜2との間の磁束に対し逆向きになるが、補助磁極38の面積は主磁極37に比べて十分に広いので、補助磁極38からの磁束密度は十分に小さくなり、この補助磁極38からの磁束により垂直磁性膜4の磁化が影響を受けることはない。
また本発明では、磁気ヘッドとして、単磁極ヘッド以外のもの、例えば再生部に巨大磁気抵抗(GMR)素子を備えた複合型薄膜磁気記録ヘッドを用いることもできる。
【0054】
本実施形態の磁気記録再生装置は、磁気記録媒体30の配向制御膜3がhcp構造またはfcc構造を有し、かつ(0002)配向面または(111)配向面のΔθ50が、3〜10度とされ、Δθ50差が1〜8度とされているので、上述の通り、磁気特性(出力特性、ノイズ特性、記録再生特性など)の向上を図り、しかも熱揺らぎ特性の劣化を防ぐことができる。
したがって、高記録密度化が可能となる。
【0055】
【実施例】
以下、実施例を示して本発明の作用効果を明確にする。
(実施例1)
洗浄済みのガラス基板1(オハラ社製、外径2.5インチ)をDCマグネトロンスパッタ装置(アネルバ社製C−3010)の成膜チャンバ内に収容し、到達真空度1×10−5Paとなるまで成膜チャンバ内を排気した後、このガラス基板1上に、92Co4Ta4Zrからなる軟磁性下地膜2(厚さ150nm)を形成した。
次いで、軟磁性下地膜2上に、Ruからなる配向制御膜3(厚さ20nm)、65Co17Cr16Pt2Bからなる垂直磁性膜4(厚さ25nm)を形成した。
上記各膜を形成する際には、プロセスガスとしてアルゴンを用い、ガス圧力は0.5Paに設定した。また成膜時の温度条件は200℃とした。
次いで、垂直磁性膜4上にCVD法を用いてカーボンからなる保護膜5を形成した。次いで、ディップコーティング法によりパーフルオロポリエーテルからなる潤滑膜6を形成し、磁気記録媒体を得た(表1を参照)。
なお上記合金材料の記載において、aAbBは、a(at%)A−b(at%)Bを示す。例えば65Co17Cr16Pt2Bは、65at%Co−17at%Cr−16at%Pt−2at%B(Co含有率65at%、Cr含有率17at%、Pt含有率16at%、B含有率2at%)を意味する。
【0056】
(実施例2〜5)
配向制御膜3および垂直磁性膜4を形成する際に、温度、プロセスガス圧力、成膜レート、ターゲット−基板間距離を調節することによって、Δθ50を変化させて磁気記録媒体を作製した。その他の条件は実施例1に準じて定めた(表1を参照)。
【0057】
(実施例6、7)
配向制御膜3の材料および厚さを表1に示す通りとして磁気記録媒体を作製した。その他の条件は実施例1に準じて定めた(表1を参照)。
【0058】
(実施例8、9)
軟磁性下地膜2と配向制御膜3との間に配向制御下地膜7を設けて磁気記録媒体を作製した。その他の条件は実施例1に準じて定めた(表1を参照)。
【0059】
(実施例13、14)
配向制御膜3の材料および厚さを表1に示す通りとして磁気記録媒体を作製した。その他の条件は実施例1に準じて定めた(表1を参照)。
【0060】
(比較例3)
配向制御膜3の材料および厚さを表1に示す通りとして磁気記録媒体を作製した。その他の条件は実施例1に準じて定めた(表1を参照)。
【0061】
(実施例15〜17)
配向制御膜3の材料および厚さを表2に示す通りとして磁気記録媒体を作製した。その他の条件は実施例1に準じて定めた(表2を参照)。
【0062】
(実施例18)
軟磁性下地膜2と配向制御膜3との間に配向制御下地膜7を設けて磁気記録媒体を作製した。配向制御膜3にはNiを用いた。その他の条件は実施例15に準じて定めた(表2を参照)。
【0063】
(実施例19〜21)
配向制御膜3の材料および厚さを表2に示す通りとして磁気記録媒体を作製した。その他の条件は実施例15に準じて定めた(表2を参照)。
【0064】
(比較例4、5)
配向制御膜3および垂直磁性膜4を形成する際に、温度、プロセスガス圧力、成膜レート、ターゲット−基板間距離を調節することによってΔθ50を変化させて磁気記録媒体を作製した。その他の条件は実施例15に準じて定めた(表2を参照)。
【0065】
(実施例22〜24及び参考例)
配向制御膜3および垂直磁性膜4を形成する際に、温度、プロセスガス圧力、成膜レート、ターゲット−基板間距離を調節することによってΔθ50を変化させて磁気記録媒体を作製した。その他の条件は実施例15に準じて定めた(表3を参照)。
【0066】
(実施例26〜33)
軟磁性下地膜2の材料および厚さを表4に示す通りとして磁気記録媒体を作製した。その他の条件は実施例1に準じて定めた(表4を参照)。
【0067】
(実施例34〜37)
非磁性基板1と軟磁性下地膜2との間に、シード膜11、面内下地膜10、面内硬磁性膜9を設け、軟磁性下地膜2の材料に表5に示すものを用いて、磁気記録媒体を作製した。その他の条件は実施例1に準じて定めた(表5を参照)。
【0068】
(実施例38)
非磁性基板1と軟磁性下地膜2との間に、面内下地膜10、面内硬磁性膜9を設けて磁気記録媒体を作製した。その他の条件は実施例1に準じて定めた(表5を参照)。
【0069】
(実施例39〜46)
垂直磁性膜4の材料および厚さを表6に示す通りとして磁気記録媒体を作製した。その他の条件は実施例1に準じて定めた(表6を参照)。
【0070】
(実施例47〜50)
軟磁性下地膜2の表面を酸素含有ガス(曝露ガス)に曝すことによって、軟磁性下地膜2に酸化処理を施すこと以外は実施例1に準じて磁気記録媒体を作製した。曝露ガスとしては、純酸素(100%O2)、または酸素アルゴン混合ガス(混合比:50vol%O2−50vol%Ar)を用いた。
この磁気記録媒体の構成、および上記曝露によって軟磁性下地膜2の表面に形成された酸化層の厚さを表7に示す。
【0071】
(実施例51)
軟磁性下地膜2を形成する際に、プロセスガス(成膜ガス)として、Ar(100%)を用い、次いで酸素アルゴン混合ガス(混合比:10vol%O2−90vol%Ar)を用いること以外は実施例1に準じて磁気記録媒体を作製した(表7を参照)。
酸素アルゴン混合ガスの使用によって、軟磁性下地膜2の表面付近に酸化層が形成された。この酸化層の厚さを表7に併せて示す。
【0072】
(実施例52〜59)
非磁性中間膜8を設けること以外は実施例1に準じて磁気記録媒体を作製した(表8を参照)。
【0073】
(実施例60〜64)
磁化安定膜12を設けること以外は実施例1に準じて磁気記録媒体を作製した(表9を参照)。
【0074】
各磁気記録媒体の配向制御膜3および垂直磁性膜4のΔθ50をX線回折法により測定した。このΔθ50は、hcp構造を有する材料からなる膜では(0002)配向面に関して測定し、fcc構造を有する材料からなる膜では(111)配向面に関して測定した。
また各磁気記録媒体の磁気特性をGUZIK社製リードライトアナライザRWA1632、およびスピンスタンドS1701MP、振動式磁気特性測定装置(VSM)、Kerr効果測定装置を用いて測定した。
磁気特性の評価には、磁気ヘッドとして単磁極ヘッドを用い、線記録密度600kFCI(再生時)にて測定を行った。
熱揺らぎ耐性の評価は、基板を70℃に加熱して線記録密度50kFCIにて書き込みをおこなった後、書き込み後1秒後の再生出力に対する出力の低下率(%/decade)を、(So−S)×100/(So×3)に基づいて算出した。この式において、Soは磁気記録媒体に信号記録後1秒経過時の再生出力を示し、Sは1000秒後の再生出力を示す。
試験結果を表1〜9に示す。
【0075】
【表1】
【0076】
【表2】
【0077】
【表3】
【0078】
【表4】
【0079】
【表5】
【0080】
【表6】
【0081】
【表7】
【0082】
【表8】
【0083】
【表9】
【0084】
表1および表2より、Δθ50を3〜10度の範囲とした実施例では、Δθ50をそれ以外の範囲に設定した比較例に比べ、優れた記録再生特性および熱揺らぎ特性が得られたことがわかる。
表1ないし表3より、Δθ50(mag)−Δθ50(ori)を1〜8度とすることによって、優れた記録再生特性および熱揺らぎ特性が得られたことがわかる。
表4より、軟磁性下地膜2のBs・tを30T・nm以上とすることによって、優れた記録再生特性が得られたことがわかる。
表5より、面内硬磁性膜9を設けることによって、十分な記録再生特性が得られたことがわかる。
表6より、垂直磁性膜4の厚さを8〜100nmとすることによって、十分な記録再生特性および熱揺らぎ特性が得られたことがわかる。
表7より、軟磁性下地膜2への酸化処理によって、記録再生特性を向上させることができたことがわかる。
表8より、非磁性中間膜8を設けることによって、記録再生特性および熱揺らぎ特性を向上させることができたことがわかる。
表9より、磁化安定膜12を設けることによって、再生出力を向上させることができたことがわかる。
【0085】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の磁気記録媒体にあっては、配向制御膜が、hcp構造またはfcc構造を有し、かつ(0002)配向面または(111)配向面のΔθ50が3〜10度とされ、配向制御膜のΔθ50(ori)と垂直磁性膜のΔθ50(mag)との差(Δθ50(mag)−Δθ50(ori))が、1〜8度とされているので、出力特性、ノイズ特性、記録再生特性等の磁気特性を悪化させることなく、優れた熱揺らぎ特性を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の磁気記録媒体の第1の実施形態を示す一部断面図である。
【図2】 Δθ50の測定方法を説明する説明図である。
【図3】 Δθ50の測定方法を説明する説明図である。
【図4】 ロッキング曲線の一例を示すグラフである。
【図5】 履歴曲線の一例を示すグラフである。
【図6】 履歴曲線の他の例を示すグラフである。
【図7】 本発明の磁気記録媒体の第3の実施形態を示す一部断面図である。
【図8】 本発明の磁気記録媒体の第4の実施形態を示す一部断面図である。
【図9】 本発明の磁気記録媒体の第5の実施形態を示す一部断面図である。
【図10】 本発明の磁気記録媒体の第6の実施形態を示す一部断面図である。
【図11】 本発明の磁気記録媒体の第7の実施形態を示す一部断面図である。
【図12】 本発明の磁気記録再生装置の一例を示す概略構成図である。
【図13】 図12に示す磁気記録再生装置に使用される磁気ヘッドの一例を示す構成図である。
【符号の説明】
1…非磁性基板、2…軟磁性下地膜、3…配向制御膜、4…垂直磁性膜、5…保護膜、30…磁気記録媒体、32…磁気ヘッド
Claims (16)
- 非磁性基板上に、少なくとも軟磁性材料からなる軟磁性下地膜と、直上の膜の配向性を制御する配向制御膜と、磁化容易軸が基板に対し主に垂直に配向した垂直磁性膜と、保護膜とが設けられ、
前記配向制御膜は、hcp構造を有し、かつ(0002)配向面のΔθ50が、3〜10度とされており、前記配向制御膜のΔθ50(ori)と、前記垂直磁性膜のΔθ50(mag)との差(Δθ50(mag)−Δθ50(ori))が、1〜8度とされており、
さらに、前記配向制御膜は、Ti、Zn、Y、Zr、Ru、Re、Gd、Tb、Coのうちから選ばれる1種または2種以上を50at%以上含有するものであり、
前記垂直磁性膜は、Co合金、CoCrPt系合金、CoPt系合金の内、少なくともいずれかを含有する合金からなることを特徴とする磁気記録媒体。 - 前記配向制御膜は、さらに、V、Cr、Mn、Fe、Co、Niのうちから選ばれる1種または2種以上を含有するものであることを特徴とする請求項1記載の磁気記録媒体。
- 前記配向制御膜は、さらに、B、C、N、O、Pのうちから選ばれる1種または2種以上を含有するものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の磁気記録媒体。
- 前記配向制御膜と前記垂直磁性膜の間に、非磁性中間膜が設けられ、この非磁性中間膜は、Coを40〜70at%含む材料からなるものであることを特徴とする請求項1〜3のうちいずれか1項記載の磁気記録媒体。
- 前記配向制御膜は、グラニュラー構造を有し、かつ平均結晶粒径が4〜20nmであることを特徴とする請求項1〜4のうちいずれか1項記載の磁気記録媒体。
- 非磁性基板上に、少なくとも軟磁性材料からなる軟磁性下地膜と、直上の膜の配向性を制御する配向制御膜と、磁化容易軸が基板に対し主に垂直に配向した垂直磁性膜と、保護膜とが設けられ、
前記配向制御膜は、fcc構造を有し、かつ(111)配向面のΔθ50が、3〜10度とされており、前記配向制御膜のΔθ50(ori)と、前記垂直磁性膜のΔθ50(mag)との差(Δθ50(mag)−Δθ50(ori))が、1〜8度とされており、
前記垂直磁性膜は、Co合金、CoCrPt系合金、CoPt系合金の内、少なくともいずれかを含有する合金からなることを特徴とする磁気記録媒体。 - 前記配向制御膜は、Ni、Cu、Pd、Ag、Pt、Ir、Au、Alのうちから選ばれる1種または2種以上を50at%以上含有するものであることを特徴とする請求項6記載の磁気記録媒体。
- 前記配向制御膜が、Niであることを特徴とする請求項7記載の磁気記録媒体。
- 前記配向制御膜は、B、C、N、O、P、Cr、Siのうちから選ばれる1種または2種以上を含有するものであることを特徴とする請求項7又は8に記載の磁気記録媒体。
- 前記垂直磁性膜の逆磁区核形成磁界(−Hn)が0(Oe)以上であることを特徴とする請求項1〜9のうちいずれか1項記載の磁気記録媒体。
- 前記軟磁性下地膜と前記配向制御膜との間に、配向制御下地膜が設けられていることを特徴とする請求項1〜10のうちいずれか1項記載の磁気記録媒体。
- 前記配向制御下地膜は、Ti、Zn、Y、Zr、Ru、Re、Gd、Tb、Hfのうち1種または2種以上を主成分とする材料からなるものであることを特徴とする請求項11記載の磁気記録媒体。
- 前記配向制御下地膜は、B2構造を有する材料からなるものであることを特徴とする請求項11または12記載の磁気記録媒体。
- 前記非磁性基板と前記軟磁性下地膜との間に、面内磁気異方性を有する硬磁性材料からなる面内硬磁性膜が設けられていることを特徴とする請求項1〜13のうちいずれか1項記載の磁気記録媒体。
- 非磁性基板上に、少なくとも軟磁性材料からなる軟磁性下地膜と、直上の膜の配向性を制御する配向制御膜と、磁化容易軸が基板に対し主に垂直に配向した垂直磁性膜と、保護膜とを設ける磁気記録媒体の製造方法であって、
前記配向制御膜を、hcp構造またはfcc構造を有し、かつ(0002)配向面または(111)配向面のΔθ50が、3〜10度とされ、前記配向制御膜のΔθ50(ori)と、前記垂直磁性膜のΔθ50(mag)との差(Δθ50(mag)−Δθ50(ori))が、1〜8度とされたものとし、
前記垂直磁性膜を、Co合金、CoCrPt系合金、CoPt系合金の内、少なくともいずれかを含有する合金から形成することを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。 - 磁気記録媒体と、該磁気記録媒体に情報を記録再生する磁気ヘッドとを備え、
前記磁気記録媒体が、請求項1〜14の何れか1項に記載の磁気記録媒体であることを特徴とする磁気記録再生装置。
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