JP2004220680A - 磁気記録媒体、その製造方法および磁気記録再生装置 - Google Patents

磁気記録媒体、その製造方法および磁気記録再生装置 Download PDF

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Kazuo Kobayashi
一雄 小林
Kenji Shimizu
謙治 清水
Akira Sakawaki
彰 坂脇
Hiroshi Sakai
浩志 酒井
Kazuyuki Hikosaka
和志 彦坂
Takayuki Iwasaki
剛之 岩崎
Soichi Oikawa
壮一 及川
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Abstract

【課題】記録再生時の記録再生特性を向上させ、高密度の情報の記録再生を可能とする。
【解決手段】この発明は、非磁性基板1上に、少なくとも、軟磁性下地膜2と、直上の膜の配向性を制御する配向制御膜3と、磁化容易軸が基板1に対し主に垂直に配向した垂直磁気記録膜5と、保護膜6とが設けられた磁気記録媒体であって、配向制御膜3が少なくともSc、Ti、Co、Zn、Y、Zr、Tc、Hf、Re、Tl、La、Ce、Pr、Nd、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Lu、Beの2種以上を含み、かつそれらが状態図においてhcp構造をとるようにした、ことを特徴としている。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、垂直磁気記録膜とその垂直磁気記録膜の配向性を制御する配向制御膜とを備えた磁気記録媒体、その製造方法および磁気記録再生装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
磁気記録再生装置の1種であるハードディスク装置(HDD)は、現在その記録密度が年率60%以上で増えており、今後もその傾向は続くと言われている。その為に高記録密度に適した磁気記録用ヘッドの開発、磁気記録媒体の開発が進められている。
【0003】
現在、市販されている磁気記録再生装置に搭載されている磁気記録媒体は、主に、磁性膜内の磁化容易軸が基板に対して水平に配向した面内磁気記録媒体である。ここで磁化容易軸とは、磁化の向き易い軸のことであり、Co基合金の場合、Coのhcp構造のc軸のことである。
【0004】
このような面内磁気記録媒体では、高記録密度化すると記録ビットの1ビットあたりの磁性層の体積が小さくなりすぎ、熱揺らぎ効果により記録再生特性が悪化する可能性がある。また、高記録密度化した際に、記録ビット間の境界領域で発生する反磁界の影響により媒体ノイズが増加する傾向がある。
【0005】
これに対し、磁性膜内の磁化容易軸が主に垂直に配向した、いわゆる垂直磁気記録媒体は、高記録密度化に伴う記録ビット体積の減少が少なくてすむため、熱揺らぎ効果に強く、また高記録密度化した際に、記録ビット間の境界領域における反磁界の影響が小さく、鮮明なビット境界が形成されるため、ノイズの増加が抑えられる。そこで、近年大きな注目を集めており、垂直磁気記録に適した媒体の構造が提案されている。
【0006】
一方、磁気記録媒体の更なる高記録密度化の要望に対して、垂直磁気記録膜に対する書きこみ能力に優れている単磁極ヘッドを用いることが近年検討されている。そのようなヘッドに対応するために、記録層である垂直磁気記録膜と基板との間に、裏打ち層と称される軟磁性材料からなる層を設けることにより、単磁極ヘッドと磁気記録媒体との間の磁束の出入りの効率を向上させた磁気記録媒体が提案されている。
【0007】
しかしながら、上記のように単に裏打ち層を設けた磁気記録媒体を用いた場合では、記録再生時の記録再生特性において満足できるものではなく、記録再生特性に優れる磁気記録媒体が要望されていた。
【0008】
一般に垂直磁気記録媒体は、基板上に裏打ち層(軟磁性下地層)を設け、その上に磁性層の磁化容易軸を基板面に対して垂直に配向させる配向制御膜、Co合金からなる垂直磁気記録膜および保護膜を順に積層して構成されている。この中で、磁気記録媒体の記録再生特性を改善するには、垂直磁気記録膜に対して、ノイズの低い磁性材料を使うのは勿論であるが、層構造についても幾つかの改善手法が提案されている(例えば、特許文献1〜3参照)。
【0009】
【特許文献1】
特開平8−180360号公報
【特許文献2】
特開昭63−211117号公報
【特許文献3】
特許第2669529号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記の特許文献1〜3は次のような課題を有している。すなわち、特許文献1には、CoとRuからなる下地膜を非磁性基板とCo合金垂直磁気記録膜との間に用いることにより、Co合金垂直磁気記録膜のc軸配向性を向上させる方法が提案されている。しかしながら、CoとRuからなる下地膜は結晶粒径が大きくなり、その結果Co合金垂直磁気記録膜中の磁性粒子径が大きくなり、媒体ノイズが大きくなり、更なる高密度化は困難である。
【0011】
また特許文献2には、炭素含有下地膜を基板とCo合金垂直磁気記録膜との間に用いることが、提案されている。しかしながら、炭素含有下地膜を用いると、炭素含有下地膜はアモルファス構造下地膜であるために、垂直磁気記録膜のc軸配向性が悪化するため、その結果、熱揺らぎ耐性が悪化し、更なる高記録密度化は困難である。
【0012】
さらに特許文献3には、非磁性基板と六方晶系の磁気記録膜との間にTi下地膜を設け、Ti下地膜に他の元素を含有させることにより、Ti合金下地膜と六方晶系の磁性合金膜との間の格子の整合性を高め、六方晶系の磁性合金膜のc軸配向性を向上させる方法が提案されている。しかしながら、特許第2669529号公報の中で言及されているTiに含有する元素はTiのまわりに偏析することなく、大部分は合金としてbccまたは、fcc構造になる。このため六方晶系の磁性合金膜との整合性は大きく改善されない。その結果、媒体ノイズの大きな低減はできず、更なる高記録密度化は困難である。
【0013】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、磁気記録密度を向上することができるとともに、記録再生時の記録再生特性を向上させ、高密度の情報の記録再生を可能とする磁気記録媒体、その製造方法および磁気記録再生装置を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明は以下の構成を採用した。
【0015】
(1)非磁性基板上に、少なくとも、軟磁性下地膜と、直上の膜の配向性を制御する配向制御膜と、磁化容易軸が基板に対し主に垂直に配向した垂直磁気記録膜と、保護膜とが設けられ、前記配向制御膜が少なくともSc、Ti、Co、Zn、Y、Zr、Tc、Hf、Re、Tl、La、Ce、Pr、Nd、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Lu、Beの2種以上を含み、かつそれらが状態図においてhcp構造をとることを特徴とする磁気記録媒体。
【0016】
(2)(1)に記載の磁気記録媒体において、配向制御膜がTiZr、TiHf、ZrHf合金のいずれかであることを特徴とする磁気記録媒体。
【0017】
(3)(1)乃至(2)のいずれか1項に記載の磁気記録媒体において、配向制御膜の厚さが0.5nm以上30nm以下であることを特徴とする磁気記録媒体。
【0018】
(4)(1)乃至(3)のいずれか1項に記載の磁気記録媒体において、垂直磁気記録膜が少なくともCoとPtを含む材料からなることを特徴とする磁気記録媒体。
【0019】
(5)非磁性基板上に、少なくとも、軟磁性下地膜と、直上の膜の配向性を制御する配向制御膜と、磁化容易軸が基板に対し主に垂直に配向した垂直磁気記録膜と、保護膜とを順次形成する磁気記録媒体の製造方法において、上記配向制御膜は、少なくともSc、Ti、Co、Zn、Y、Zr、Tc、Hf、Re、Tl、La、Ce、Pr、Nd、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Lu、Beの2種以上を含み、かつそれらが状態図においてhcp構造をとるようにする、ことを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
【0020】
(6)磁気記録媒体と、該磁気記録媒体に情報を記録再生する磁気ヘッドとを備えた磁気記録再生装置であって、磁気ヘッドが単磁極ヘッドであり、磁気記録媒体が、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の磁気記録媒体、若しくは請求項5に記載の製造方法で製造した磁気記録媒体であることを特徴とする磁気記録再生装置。
【0021】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の磁気記録媒体の実施形態の一例を示す図である。ここに示されている磁気記録媒体は、非磁性基板1上に、軟磁性下地膜2と、配向制御膜3と、中間膜4と、垂直磁気記録膜5と、保護膜6と潤滑膜7とが順次形成された構成となっている。以下、非磁性基板1側から順にその構成を説明する。
【0022】
[非磁性基板]
非磁性基板1としては、アルミニウム、アルミニウム合金等の金属材料からなる金属基板を用いてもよいし、ガラス、セラミック、シリコン、シリコンカーバイド、カーボンなどの非金属材料からなる非金属基板を用いてもよい。
【0023】
ガラス基板としては、アモルファスガラス、結晶化ガラスがあり、アモルファスガラスとしては汎用のソーダライムガラス、アルミノシリケートガラスを使用できる。また、結晶化ガラスとしては、リチウム系結晶化ガラスを用いることができる。セラミック基板としては、汎用の酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、窒化珪素などを主成分とする焼結体や、これらの繊維強化物などが使用可能である。
【0024】
非磁性基板は、平均表面粗さRaが2nm(20Å)以下、好ましくは1nm以下であることがヘッドを低浮上させた高記録密度記録に適している点から望ましい。
【0025】
また、表面の微小うねり(Wa)が0.3nm以下(より好ましくは0.25nm以下)であることがヘッドを低浮上させた高記録密度記録に適している点から好ましい。
【0026】
さらに、端面のチャンファー部の面取り部、側面部の少なくとも一方のいずれの表面平均粗さRaが10nm以下(より好ましくは9.5nm以下)のものを用いることが磁気ヘッドの飛行安定性にとって好ましい。尚、この微少うねり(Wa)は、例えば、表面荒粗さ測定装置P−12(KLA−Tencor社製)を用い、測定範囲80μmでの表面平均粗さとして測定することができる。
【0027】
[軟磁性下地膜]
軟磁性下地膜2は、磁気ヘッドから発生する磁束の基板に対する垂直方向成分を大きくするためと、情報が記録される垂直磁気記録膜5の磁化の方向をより強固に基板1と垂直な方向に固定するために設けられているものである。この作用は特に記録再生用の磁気ヘッドとして垂直記録用の単磁極ヘッドを用いる場合に、より顕著なものとなるので好ましい。
【0028】
上記軟磁性下地膜2は、軟磁性材料からなるもので、この材料としては、Fe、Ni、Coを含む材料を用いることができる。
【0029】
この材料としては、FeCo系合金(FeCo、FeCoVなど)、FeNi系合金(FeNi、FeNiMo、FeNiCr、FeNiSiなど)、FeAl系合金(FeAl、FeAlSi、FeAlSiCr、FeAlSiTiRu、FeAlOなど)、FeCr系合金(FeCr、FeCrTi、FeCrCuなど)、FeTa系合金(FeTa、FeTaC、FeTaNなど)、FeMg系合金(FeMgOなど)、FeZr系合金(FeZrNなど)、FeC系合金、FeN系合金、FeSi系合金、FeP系合金、FeNb系合金、FeHf系合金、FeB系合金などを挙げることができる。
【0030】
またFeを60at%以上含有するFeAlO、FeMgO、FeTaN、FeZrN等の微結晶構造、あるいは微細な結晶粒子がマトリクス中に分散されたグラニュラー構造を有する材料を用いてもよい。
【0031】
軟磁性下地膜2の材料としては、上記のほか、Coを80at%以上含有し、Zr、Nb、Ta、Cr、Mo等のうち少なくとも1種を含有するCo合金を用いることができ、CoZr、CoZrNb、CoZrTa、CoZrCr、CoZrMo系合金などを好適なものとして挙げることができる。
【0032】
軟磁性下地膜2の保磁力Hcは100(Oe)以下(好ましくは20(Oe)以下)とするのが好ましい(1Oeは約79A/m)。
【0033】
この保磁力Hcが上記範囲を超えると、軟磁気特性が不十分となり、再生波形がいわゆる矩形波から歪みをもった波形になるため好ましくない。
【0034】
さらに、軟磁性下地膜2の飽和磁束密度Bs(T)と軟磁性下地膜2の膜厚t(nm)との積Bs・t(T・nm)が40(T・nm)以上(好ましくは60(T・nm)以上)であること好ましい。このBs・tが上記範囲未満であると、再生波形が歪みをもつようになったり、OW特性が悪化するため好ましくない。尚、層の膜厚は、例えばTEM(透過型電子顕微鏡)で観察することにより求めることができる。
【0035】
軟磁性下地膜2の最表面(配向制御膜3側の面)は、軟磁性下地膜2を構成する材料が部分的、あるいは完全に酸化されて構成されていることが好ましい。即ち、軟磁性下地膜2の表面(配向制御膜3側の面)およびその近傍に、軟磁性下地膜2を構成する材料が部分的に酸化されるか、もしくは前記材料の酸化物を形成して配されていることが好ましい。
【0036】
これにより、軟磁性下地膜2の表面の磁気的な揺らぎを抑えることができるので、この磁気的な揺らぎに起因するノイズが低減して、磁気記録媒体の記録再生特性を改善することができる。また、軟磁性下地膜2上に形成される配向制御膜3の結晶粒を微細化して、記録再生特性を改善することができる。
【0037】
上述のように軟磁性下地膜2の表面(配向制御膜3側の面)およびその近傍を、部分的あるいは完全に酸化させるには、例えば軟磁性下地膜2を形成した後、酸素を含む雰囲気に曝す方法、軟磁性下地膜2の表面に近い部分を成膜する際のプロセス中に酸素を導入する方法などによって容易に実施できる。具体的には、軟磁性下地膜2の表面を酸素に曝す場合では、酸素単体、あるいは酸素をアルゴンや窒素などのガスで希釈したガス雰囲気中に0.3〜20秒程度保持しておけばよい。また、大気中に曝すようにしても良い。特に酸素をアルゴンや窒素などのガスで希釈したガスを用いる場合には、軟磁性下地膜2表面の酸化の度合いの調節が容易になるので、安定した製造を行うことができる。また、軟磁性下地膜2の成膜用のガスに酸素を導入する方法では、例えば成膜法としてスパッタ法を用いるならば、成膜時間の1部のみに酸素を導入したプロセスガスを用いてスパッタを行えば良い。このプロセスガスとしては、例えばアルゴンに酸素を体積率で0.05〜50%(好ましくは0.1〜20%)程度混合したガスが好適に用いられる。
【0038】
[配向制御膜]
配向制御膜3は、直上に設けられた中間膜4および/または垂直磁気記録膜5の配向性や粒径を制御するものである。
【0039】
本発明の磁気記録媒体において、配向制御膜3は少なくともSc、Ti、Co、Zn、Y、Zr、Tc、Hf、Re、Tl、La、Ce、Pr、Nd、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Lu、Beの2種以上を含み、かつそれらが状態図においてhcp構造をとる組成材料からなる。本発明ではこのように、単独でhcp構造を取る元素同士を2種以上混合した合金で、かつその合金も状態図においてhcp構造をとるものを配向制御膜として使用するので、垂直磁性膜の垂直配向性が高まり,また磁性膜の結晶粒の最適化がはかられる。これにより磁気記録媒体の熱揺らぎ耐性の向上,媒体ノイズの低減を図ることができ、磁気記録密度を向上することができる。
【0040】
上記配向制御膜3は特にTiZr、TiHf、ZrHf合金のいずれかであることが好ましい。以上に示した材料を用いることにより記録再生特性を向上することができる。
【0041】
また、配向制御膜3は、その材料の融点が800(K)以上であることが好ましい。即ち融点が800(K)未満である材料にて配向制御膜3を形成すると、表面粗さRaが大きくなり、記録再生ヘッドの浮上高さを十分に低くすることができないため、高記録密度化することが難しいためである。
【0042】
さらに、配向制御膜3は、その厚さを0.5nm以上30nm以下(特に1〜12nm)とするのが好ましい。即ち配向制御膜3の厚さが上記範囲であるとき、垂直磁気記録膜5の垂直配向性が特に高くなり、かつ記録時における磁気ヘッドと軟磁性下地膜2との距離を小さくすることができるので、再生信号の分解能を低下させることなく記録再生特性を高めることができるからである。
【0043】
この厚さが上記範囲未満であると、垂直磁気記録膜5における垂直配向性が低下し、記録再生特性および熱揺らぎ耐性が劣化する。また、この厚さが上記範囲を超えると、磁性結晶粒が粗大化し垂直磁気記録膜5の記録再生特性が劣化する。また記録時における磁気ヘッドと軟磁性下地膜2との距離が大きくなるため、再生信号の分解能や再生出力が低下するため好ましくない。
【0044】
また、配向制御膜3の表面形状は、垂直磁気記録膜5、保護膜6の表面形状に影響を与えるため、磁気記録媒体の表面凹凸を小さくして、記録再生時における磁気ヘッド浮上高さを低くするには、配向制御膜3の表面平均粗さRaを2nm以下とするのが好ましい。
【0045】
この表面平均粗さRaを2nm以下とすることによって、磁気記録媒体の表面凹凸を小さくし、記録再生時における磁気ヘッド浮上高さを十分に低くし、記録密度を高めることができる。
【0046】
さらに、配向制御膜3は、成膜用のガスとして、その上に設けられる垂直磁気記録膜を微細化する目的で、酸素や窒素を含んだプロセスガスを用いて成膜したものが好ましい。例えば、スパッタ法を用いて形成されたものである場合は、プロセスガスとして、アルゴンに酸素を体積率で0.05〜50%(好ましくは0.1〜20%)程度混合したガス、アルゴンに窒素を体積率で0.01〜20%(好ましくは0.02〜10%)程度混合したガスを用いて形成したものが好ましい。
【0047】
[中間膜]
図示実施例のように配向制御膜3と垂直磁気記録膜5との間に、中間膜4を設けるようにしても良い。
【0048】
この中間膜4にはhcp構造を有する材料を用いるのが好ましく、特に、CoCr合金やCoCrY1合金やCoY1合金(ここで、Y1:Pt、Ta、Zr、Ru,Nb、Cu、Re、Ni、Mn、Ge、Si、O、NおよびBのうちの1種または2種以上)を用いるのが好適である。
【0049】
また、中間膜4のCoの含有量は30〜70at%であることが好ましい。
【0050】
さらに、中間膜4の厚さは、垂直磁気記録膜5における磁性粒子の粗大化による記録再生特性の悪化や、磁気ヘッドと軟磁性下地膜2との距離が大きくなることによる記録分解能の低下を起こさないようにするために、30nm以下(より好ましくは20nm以下)とするのが好ましい。
【0051】
このような中間膜4を設けることによって、垂直磁気記録膜5の垂直配向性を高めることができるので、垂直磁気記録膜5の保磁力を高め、記録再生特性および熱揺らぎ耐性をさらに向上させることができる。
【0052】
[垂直磁気記録膜]
垂直磁気記録膜5は、その磁化容易軸が基板に対して主に垂直方向に向いたものであり、少なくともCo、Ptを含んだ材料からなることが好ましい。
【0053】
なかでも特に、少なくともCo、Cr、Ptを含んだ材料からなり、Crの含有量が14at%以上24at%以下(好ましくは16at%以上22at%以下)、Ptの含有量が14at%以上24at%以下(好ましくは15at%以上20at%以下)であることが好ましい。尚、主に垂直方向に向いたものとは垂直方向の保磁力Hc(P)と面内方向の保磁力Hc(L)がHc(P)>Hc(L)である垂直磁気記録膜のことである。さらに、Bを0.1以上5at%以下含んだ材料からなることが好ましい。これにより、磁性粒子間の交換結合を低減することができ、記録再生特性を改善することが可能となる。
【0054】
このような材料の組成において、Crの含有量が14at%未満であると、磁性粒子間の交換結合が大きくなり、その結果磁気クラスター径が大きくなり、ノイズが増大するため好ましくない。また、Crの含有量が24at%を超えると、保磁力および残留磁化(Mr)と飽和磁化(Ms)の比Mr/Msが低下するため好ましくない。Ptの含有量が14at%未満であると、記録再生特性の改善効果が不十分であるとともに、残留磁化(Mr)と飽和磁化(Ms)の比Mr/Msが低下し熱揺らぎ耐性が悪化するため好ましくない。また、Ptの含有量が24at%を超えると、ノイズが増大するため好ましくない。
【0055】
上記垂直磁気記録膜5がCoCrPt系合金からなる場合においては、B以外にも任意の元素を添加することも可能である。特に限定されるものではないが、Ta、Mo、Nb、Hf、Ir、Cu、Ru、Nd、Zr、Wなどを挙げることができる。
【0056】
また、垂直磁気記録膜5は、このほかにも、Zr、Nb、Re、V、Ni、Mn、Ge、Si、O、Nなどから選ばれる少なくとも1種類以上の元素を添加した合金を用いることもできる。
【0057】
この垂直磁気記録膜5は、CoCrPt系材料からなる1層構造とすることもできるし、組成の異なる材料からなる2層以上の構造とすることもできる。
【0058】
2層以上の構造とする場合、Co系合金(CoCr、CoB、Co−SiO等)とPd系合金(PdB、Pd−SiO等)の積層材料やCoTbやCoNd等のアモルファス材料とCoCrPt系材料の複層構造とすることもできる。あるいは、CoCrPt系材料を第1垂直磁気記録膜として設け、組成の異なるCoCrPt系材料を第2垂直磁気記録膜とすることができる。また、CoCrPt系材料を第1垂直磁気記録膜として設け、CoNdを第2垂直磁気記録膜として設けることができる。
【0059】
垂直磁気記録膜のΔθ50が2〜10°の範囲であることが好ましい。
【0060】
このΔθ50は、2°未満であると、配向制御膜3から垂直磁気記録膜5までの磁化の向きが均一となり磁性粒子間の磁気的結合が大きくなる。その結果、磁性粒子径に関わりなく、磁気クラスター径が大きくなり、媒体ノイズが増加し、記録再生特性が劣化するため好ましくない。
【0061】
一方、Δθ50が10°を超えると、配向制御膜3から垂直磁気記録膜5までの結晶配向性が劣化するため、磁気異方性の低下や残留磁化(Ms)と飽和磁化(Mr)の比Mr/Msが悪化し、熱揺らぎ耐性が悪化するため好ましくない。
【0062】
これに対し、Δθ50を2〜10°に設定した場合には配向制御膜3から垂直磁気記録膜5までの結晶配向性を良好にして熱揺らぎ特性を良好とし、しかも磁化容易軸の方向をある程度不均一化し、磁化の相互作用を抑え、優れたノイズ特性、記録再生特性を得ることができる。
【0063】
ここでいうΔθ50とは、当該膜の結晶面の傾き分布を示すものであり、具体的には、膜表面における特定の配向面に関するロッキング曲線のピークの半値幅をいう。Δθ50は、数値が小さいほど当該膜の結晶配向性が高いということができる。
【0064】
以下、Δθ50を測定する方法の一例を説明する。
(1)ピーク位置決定
図2に示すように、表面側に垂直磁気記録膜5が形成されたディスクDに、入射X線21を照射し、回折X線22を回折X線検出器23によって検出する。
【0065】
検出器23の位置は、この検出器23によって検出される回折X線22の入射X線21に対する角度(入射X線21の延長線24に対する回折X線22の角度)が、入射X線21のディスクD表面に対する入射角θの2倍、すなわち2θとなるように設定する。
【0066】
入射X線21を照射する際には、ディスクDの向きを変化させることにより入射X線21の入射角θを変化させるとともに、これに連動させて、検出器23の位置を、回折X線22の入射X線21に対する角度が2θ(すなわち入射X線21の入射角θの2倍の角度)を維持するように変化させつつ、回折X線22の強度を検出器23により測定するθ―2θスキャン法を行う。
【0067】
これによって、θと回折X線22の強度の関係を調べ、回折X線22の強度が最大となるような検出器23の位置を決定する。この回折X線22の強度が最大となるような検出器23の位置における、回折X線22の入射X線21に対する角度2θを2θpという。得られた角度2θpより、膜表面において支配的な結晶面を知ることができる。
【0068】
(2)ロッキング曲線の決定
図3に示すように、検出器23を、回折X線22の角度2θが2θpとなった位置に固定した状態で、ディスクDの向きを変化させることにより入射X線21の入射角θを変化させ、入射角θと、検出器23によって検出された回折X線22の強度との関係を示すロッキング曲線を作成する。
【0069】
検出器23の位置を、回折X線22の角度2θが2θpとなった位置に固定するため、ロッキング曲線は、膜表面の結晶面のディスクD面に対する傾きの分布を表すものとなる。
【0070】
図4はロッキング曲線の例を示す図である。Δθ50とは、このロッキング曲線において当該配向面を示すピークの半値幅をいう。
【0071】
垂直磁気記録膜5の厚さは、7〜60nm(より好ましくは10〜40nm)とするのが好ましい。この垂直磁気記録膜5の厚さが7nm以上であると、十分な磁束が得られ、再生時における出力が低くならず、出力波形がノイズ成分にうずもれてしまうことがないので、より高記録密度に適した磁気記録再生装置として動作するので好ましい。また、垂直磁気記録膜5の厚さが60nm以下であると、垂直磁気記録膜5内の磁性粒子の粗大化を抑えることができ、ノイズの増大といった記録再生特性の劣化が生じるおそれがないため好ましい。
【0072】
また、垂直磁気記録膜5は、結晶粒子の平均粒径が5〜15nmであることが好ましい。この平均粒径は、例えば垂直磁気記録膜5の結晶粒子をTEM(透過型電子顕微鏡)で観察し、観察像を画像処理することにより求めることができる。
【0073】
垂直磁気記録膜5の保磁力は、3000(Oe)以上とすることが好ましい。この保磁力が3000(Oe)未満であると、高記録密度における必要な分解能が得られず、また熱揺らぎ耐性が劣るため好ましくない。
【0074】
加えて、垂直磁気記録膜5の残留磁化(Mr)と飽和磁化(Ms)の比Mr/Msが0.9以上であることが好ましい。このMr/Msが0.9未満の磁気記録媒体は、熱揺らぎ耐性に劣るため好ましくない。
【0075】
ここで磁気特性としての逆磁区形成磁界(−Hn)およびΔHc/Hcについて図5〜図7を用いて説明する。逆磁区形成磁界(−Hn)は、図5に示すように、VSMなどにより求めたMH曲線において、磁化が飽和した状態から外部磁界を減少させる過程で外部磁界が0となる点a、MH曲線の磁化が0である点bでのMH曲線の接線を延長した線と飽和磁化との交点を点cとすると、Y軸から点cまでの距離[Oe]で表すことができる。
【0076】
なお、逆磁区形成磁界(−Hn)は、点cが外部磁界が負である領域にある場合に正の値をとり(図5に示した状態)、逆に点cが外部磁界が正である領域にある場合に負の値をとる(図6に示した状態)。
【0077】
図7をもとに、ΔHc/Hcについて説明する。ΔHcは、MH曲線において、負の最大残留磁化(−Ms)状態からのメジャー曲線のMs/2における磁界強度と、負の保磁力(−Hc)状態からのマイナー曲線のMs/2における磁界強度との差である。ΔHc/Hcは、上記ΔHcとHcとの比の値である。
【0078】
垂直磁気記録膜5の逆磁区核形成磁界(−Hn)は、0以上2500Oe以下であることが好ましい。この逆磁区核形成磁界(−Hn)が、0未満の磁気記録媒体は、熱揺らぎ耐性に劣るため好ましくない。また、逆磁区核形成磁界(−Hn)の上限は、2500Oeとされている。それ以上の逆磁区核形成磁界(−Hn)を得ようとすると、磁性粒子の磁気的な分離が不充分となり、活性化磁気モーメント(vIsb)が増大し、結果として記録再生時におけるノイズが増加するといったことがことおきやすくなるため好ましくない。
【0079】
垂直磁気記録膜5のΔHc/Hcは0.3以下であることが好ましい。このΔHc/Hcが0.3以下であると、磁性粒子の粒径のばらつきが小さくなるので、垂直磁気記録膜の垂直方向への保磁力がより均一となるので、記録再生特性および熱揺らぎ耐性が悪化することを抑えることができるので好ましい。
【0080】
[保護膜]
保護膜6は垂直磁気記録膜5の腐食を防ぐとともに、磁気ヘッドが媒体に接触したときに媒体表面の損傷を防ぐためのもので、従来公知の材料を使用でき、例えばC、SiO、ZrOを含むものが使用可能である。
【0081】
保護膜6の厚さは、1〜10nmとすると、ヘッドと垂直磁気記録膜5の距離を小さくできるので高記録密度の点から望ましい。
【0082】
[潤滑膜]
潤滑膜7には従来公知の材料、例えばパーフルオロポリエーテル、フッ素化アルコール、フッ素化カルボン酸などを用いるのが好ましい。
【0083】
本実施形態の磁気記録媒体にあっては、配向制御膜が少なくともSc、Ti、Co、Zn、Y、Zr、Tc、Hf、Re、Tl、La、Ce、Pr、Nd、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Lu、Beの2種以上を含み、かつそれらが状態図においてhcp構造をとる組成材料からなるので、より高記録密度で使用した時に記録再生特性が向上(例えば、ノイズの低減)しているので、高密度の情報の記録再生が可能な磁気記録媒体となる。
【0084】
[製造方法]
次に、実施形態の磁気記録媒体の製造方法の一例を説明する。 まず、非磁性基板1上にスパッタ法などにより、軟磁性下地膜2を形成し、その後必要に応じてこの軟磁性下地膜2の表面およびその近傍を、部分的あるいは完全に酸化させる。次いで配向制御膜3、中間膜4、垂直磁気記録膜5をスパッタ法などにより形成する。続いて保護膜6をCVD法、イオンビーム法、スパッタ法などにより形成する。その後、ディッピング法、スピンコート法などにより潤滑膜7を形成する。
【0085】
以下、工程ごとに説明する。
【0086】
[軟磁性下地膜の形成工程]
必要に応じて非磁性基板1を洗浄し、この非磁性基板1を成膜装置のチャンバ内に設置する。また、必要に応じて非磁性基板1は、例えばヒーターを用いて100〜400℃に加熱される。そしてこの非磁性基板1上に、軟磁性下地膜2と、配向制御膜3と、中間膜4と、垂直磁気記録膜5を各層の材料と同じ組成の材料を原料とするスパッタターゲットを用いてDC或いはRFマグネトロンスパッタ法により形成する。膜を形成するためのスパッタの条件は例えば次のように設定する。形成に用いるチャンバ内は真空度が10−5〜10−7Paとなるまで排気する。チャンバ内に非磁性基板1を収容して、スパッタガスとして、たとえばArガスを導入して放電させてスパッタ成膜をおこなう。このとき、供給するパワーは0.05〜5kWとし、放電時間と供給するパワーを調節することによって、所望の膜厚を得ることができ、具体的には、50〜400nmの膜厚で形成するのが好ましい。
【0087】
軟磁性下地膜2を形成する際には、既に例示した各種軟磁性材料からなるスパッタターゲット(溶解による合金ターゲットまたは燒結合金ターゲット)を用いるのが軟磁性下地膜を容易に形成できるので好ましい。
【0088】
軟磁性下地膜2を形成した後に、既に説明したようにその表面(配向制御膜3側の面)を部分的にあるいは完全に酸化させる工程、例えば軟磁性下地膜2を形成した後、酸素を含む雰囲気に曝す方法や、軟磁性下地膜2の表面に近い部分を成膜する際のプロセス中に酸素を導入する方法を実施することが好ましい。
【0089】
[配向制御膜の形成工程]
軟磁性下地膜2を形成後、配向制御膜3を、放電時間と供給するパワーを調節することによって配向制御膜3を1〜20nm(より好ましくは1〜10nm)の膜厚で形成する。
【0090】
配向制御膜3を形成する際には、既に例示した各種配向制御膜の材料からなるスパッタターゲットを用いるのが配向制御膜を容易に形成できるので好ましい。配向制御膜3の形成に用いるスパッタ用ターゲットの材料は、少なくともSc、Ti、Co、Zn、Y、Zr、Tc、Hf、Re、Tl、La、Ce、Pr、Nd、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Lu、Beの2種以上を含み、かつそれらが状態図においてhcp構造をとる合金である。
【0091】
また、配向制御膜3の成膜用のガスには、既に説明したようにその上に設けられる垂直磁気記録膜を微細化する目的で、酸素や窒素を導入しても良い。
【0092】
[垂直磁気記録膜の形成工程]
配向制御膜3を形成した後、垂直磁気記録膜5を成膜する。垂直磁気記録膜を形成する際には、既に例示した各種垂直磁気記録膜の材料からなるスパッタターゲットを用いるのが垂直磁気記録膜を容易に形成できるので好ましい。
【0093】
[中間膜の形成工程]
また、既に説明したように下地層の配向制御膜3と垂直磁気記録膜5との間に中間膜4を設け、垂直磁気記録膜5の垂直配向性を高め、垂直磁気記録膜5の保磁力を高め、記録再生特性および熱揺らぎ耐性の更なる向上を図るようにしても良い。
【0094】
[保護膜の形成工程]
垂直磁気記録膜5を形成した後、公知の方法、例えばスパッタ法、プラズマCVD法またはそれらの組み合わせを用いて保護膜6、たとえばカーボンを主成分とする保護膜を形成する。
【0095】
[潤滑膜の形成工程]
さらに、保護膜6上には必要に応じて例えばパーフルオロポリエーテルなどのフッ素系潤滑剤をディップ法、スピンコート法などを用いて塗布し潤滑膜7を形成する。
【0096】
これらの各工程からなる本発明の第2の発明である磁気記録媒体の製造方法にあっては、スパッタ法などを用いて実施でき、製造した磁気記録媒体は、配向制御膜が少なくともSc、Ti、Co、Zn、Y、Zr、Tc、Hf、Re、Tl、La、Ce、Pr、Nd、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Lu、Beの2種以上を含み、かつそれらが状態図においてhcp構造をとる組成材料からなる磁気記録媒体であるので、より高記録密度で使用した時に記録再生特性が向上(例えば、ノイズの低減)し、熱減磁耐性が向上しているので、高密度の情報の記録再生が可能な磁気記録媒体となる。
【0097】
図8は、本発明の第1の発明であって且つ第2の発明にて製造される磁気記録媒体を用いた磁気記録再生装置の例を示す図であり、本発明の第3の発明の一例である。図8(a)はその全体構成を、図8(b)は磁気ヘッドを示している。ここに示す磁気記録再生装置は、非磁性基板の両面に積層して形成した磁気記録媒体8と、磁気記録媒体8を回転駆動させる媒体駆動部9と、磁気記録媒体8に情報を記録再生する磁気ヘッド10と、ヘッド駆動部11と、記録再生信号処理系12とを備えている。記録再生信号処理系12は、入力されたデータを処理して記録信号を磁気ヘッド10に送ったり、磁気ヘッド10からの再生信号を処理してデータを出力することができるようになっている。
【0098】
磁気ヘッド10としては、垂直記録用の単磁極ヘッドを例示することができる。図8(b)に示すように、この単磁極ヘッドとしては、主磁極10aと、補助磁極10bと、これら連結部10cに設けられたコイル10dとを有する構成のものを好適に用いることができる。
【0099】
この磁気記録再生装置は、前記構成の磁気記録媒体8を用いているので、記録再生特性を高めることができ、高記録密度化を図ることができる。
【0100】
【実施例】
以下、実施例を示して本発明の作用効果を明確にする。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0101】
(実施例1)
洗浄済みのガラス基板(オハラ社製、外直径2.5インチ)をDCマグネトロンスパッタ装置(アネルバ社製C−3010)の成膜チャンバ内に収容して、到達真空度1×10−5Paとなるまで成膜チャンバ内を排気した後、このガラス基板上に89Co−4Zr−7Nb(Co含有量89at%、Zr含有量4at%、Nb含有量7at%)のターゲットを用いて200nmの軟磁性下地膜2をスパッタ法により成膜した。この膜の飽和磁束密度Bs(T)と膜厚t(nm)の積Bs・t(T・nm)が240(T・nm)であることを振動式磁気特性測定装置(VSM)で確認した。
【0102】
次いで、基板を240℃に加熱して、上記軟磁性下地膜上に、50Ti−50Hfターゲットを用いて8nmの配向制御膜3を形成した。65Co−30Cr−5B(Co含有量65at%、Cr含有量30at%、B含有量5at%)ターゲットを用いて5nmの中間膜4、64Co−17Cr−17Pt−2B(Co含有量64at%、Cr含有量17at%、Pt含有量17at%、B含有量2at%)ターゲットを用いて20nmの垂直磁気記録膜5を順次形成した。なお、上記スパッタリング工程においては、成膜用のプロセスガスとしてアルゴンを用い、圧力0.6Paにて成膜した。
【0103】
次いで、CVD法により5nmの保護膜6を形成した。
【0104】
次いで、ディッピング法によりパーフルオロポリエーテルからなる潤滑膜7を形成し、磁気記録媒体を得た。この内容を表1に示す。
【0105】
(実施例2〜15)
表1に示したように配向制御膜3の組成と厚さを変えた以外は、実施例1に準じて磁気記録媒体を作成した。
【0106】
(比較例1〜8)
配向制御膜3の構成材料及び厚さを表1に示すとおりにした以外は、実施例1に準じて磁気記録媒体を作製した。なお、比較例4はZrとReとからなるが、hcp構造をとるものではない。
【0107】
これら実施例および比較例の磁気記録媒体について、Δθ50、静磁気特性および記録再生特性を評価した。記録再生特性の評価は、米国GUZIK社製リードライトアナライザRWA1632、およびスピンスタンドS1701MPを用いて測定した。
【0108】
記録再生特性の評価には、書き込みを単磁極、再生部にGMR素子を用いたヘッドを用いて、記録周波数条件を線記録密度600kFCIとして測定した。この試験結果を表1に示す。
【0109】
【表1】
Figure 2004220680
【0110】
表1より、配向制御膜3が、少なくともSc、Ti、Co、Zn、Y、Zr、Tc、Hf、Re、Tl、La、Ce、Pr、Nd、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Lu、Beの2種以上を含み、かつそれらが状態図においてhcp構造をとることを特徴とする組成材料からなる合金である実施例1〜15では、Δθ50が6〜10°の範囲にあり、このため配向制御膜3から垂直磁気記録膜5までの結晶配向性を良好にして熱揺らぎ特性を良好とし、しかも磁化容易軸の方向をある程度不均一化し、磁化の相互作用を抑えることができる。その結果エラーレートが改善されており、比較例1〜8に比較して、優れた記録再生特性を得ることができた。
【0111】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の磁気記録媒体およびその製造方法にあっては、非磁性基板上に、少なくとも軟磁性下地膜と直上の膜の配向性を制御する配向制御膜と、磁化容易軸が基板に対し主に垂直に配向した垂直磁気記録膜と、保護膜とを設け、その配向制御膜が少なくともSc、Ti、Co、Zn、Y、Zr、Tc、Hf、Re、Tl、La、Ce、Pr、Nd、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Lu、Beの2種以上を含み、かつそれらが状態図においてhcp構造をとる組成材料からなるようにしたので、磁気記録密度を向上することができるとともに、より高記録密度で使用した時に記録再生特性を向上(例えば、ノイズの低減)させることができ、高密度の情報の記録再生が可能となる。
【0112】
また、本発明の磁気記録再生装置では、磁気ヘッドに単磁気ヘッドを用い、磁気記録媒体に本発明の磁気記録媒体を用いたので、記録再生特性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の磁気記録媒体の第1の実施形態の一例を示す一部断面図である。
【図2】Δθ50の測定方法を説明する説明図である。
【図3】Δθ50の測定方法を説明する説明図である。
【図4】ロッキング曲線の一例を示すグラフである。
【図5】逆磁区形成磁界(−Hn)の一例を示すグラフである。
【図6】逆磁区形成磁界(−Hn)の他の例を示すグラフである。
【図7】ΔHc/Hcの一例を示すグラフである。
【図8】本発明の磁気記録再生装置の1例を示す概略図であり、(a)は全体構成を示し、(b)は磁気ヘッドを示す。
【符号の説明】
1 非磁性基板
2 軟磁性下地膜
3 配向制御膜
4 中間膜
5 垂直磁気記録膜
6 保護膜
7 潤滑膜
8 磁気記録媒体
9 媒体駆動部
10 磁気ヘッド
10a 主磁極
10b 補助磁極
10c 連結部
10d コイル
11 ヘッド駆動部
12 記録再生信号処理系
23 検出器
D ディスク

Claims (6)

  1. 非磁性基板上に、少なくとも、軟磁性下地膜と、直上の膜の配向性を制御する配向制御膜と、磁化容易軸が基板に対し主に垂直に配向した垂直磁気記録膜と、保護膜とが設けられ、前記配向制御膜が少なくともSc、Ti、Co、Zn、Y、Zr、Tc、Hf、Re、Tl、La、Ce、Pr、Nd、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Lu、Beの2種以上を含み、かつそれらが状態図においてhcp構造をとることを特徴とする磁気記録媒体。
  2. 請求項1に記載の磁気記録媒体において、配向制御膜がTiZr、TiHf、ZrHf合金のいずれかであることを特徴とする磁気記録媒体。
  3. 請求項1乃至2のいずれか1項に記載の磁気記録媒体において、配向制御膜の厚さが0.5nm以上30nm以下であることを特徴とする磁気記録媒体。
  4. 請求項1乃至3のいずれか1項に記載の磁気記録媒体において、垂直磁気記録膜が少なくともCoとPtを含む材料からなることを特徴とする磁気記録媒体。
  5. 非磁性基板上に、少なくとも、軟磁性下地膜と、直上の膜の配向性を制御する配向制御膜と、磁化容易軸が基板に対し主に垂直に配向した垂直磁気記録膜と、保護膜とを順次形成する磁気記録媒体の製造方法において、
    上記配向制御膜は、少なくともSc、Ti、Co、Zn、Y、Zr、Tc、Hf、Re、Tl、La、Ce、Pr、Nd、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Lu、Beの2種以上を含み、かつそれらが状態図においてhcp構造をとるようにする、ことを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
  6. 磁気記録媒体と、該磁気記録媒体に情報を記録再生する磁気ヘッドとを備えた磁気記録再生装置であって、磁気ヘッドが単磁極ヘッドであり、磁気記録媒体が、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の磁気記録媒体、若しくは請求項5に記載の製造方法で製造した磁気記録媒体であることを特徴とする磁気記録再生装置。
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