JP4409085B2 - 磁気記録媒体、その製造方法、および磁気記録再生装置 - Google Patents

磁気記録媒体、その製造方法、および磁気記録再生装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、磁気記録媒体、その製造方法、およびこの磁気記録媒体を用いた磁気記録再生装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
現在市販されている磁気記録媒体は、磁性膜内の磁化容易軸が主に基板に対し水平に配向した面内磁気記録媒体がほとんどである。
このような面内磁気記録媒体では、高記録密度化するとビット体積が小さくなりすぎ、熱揺らぎ効果により記録再生特性が悪化する可能性がある。また、高記録密度化した際に、記録ビット境界での反磁界の影響により媒体ノイズが増加する。
これに対し、磁性膜内の磁化容易軸が主に垂直に配向した、いわゆる垂直磁気記録媒体は、高記録密度化した際にも、ビット境界での反磁界の影響が小さく、境界が鮮明な記録磁区が形成されるため低ノイズ化が可能であり、しかも比較的ビット体積が大きくても高記録密度化が可能であることから熱揺らぎ効果にも強く、近年大きな注目を集めており、垂直磁気記録に適した媒体の構造が提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
近年では、磁気記録媒体の更なる高記録密度化が要望されており、垂直磁性膜に対する書き込み能力に優れる単磁極ヘッドを用いるために、記録層である垂直磁性膜と基板との間に、裏打ち層と称される軟磁性材料からなる層を設け、単磁極ヘッドと、磁気記録媒体の間の磁束の出入りの効率を向上させた磁気記録媒体が提案されている。
しかしながら、従来の磁気記録媒体は、上記裏打ち層を設けた場合でも、記録再生時の記録再生特性や、耐熱減磁耐性、記録分解能において満足できるものではなく、これらの特性に優れる磁気記録媒体が要望されていた。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、記録再生特性、耐熱減磁耐性、および記録分解能を向上させ高密度の情報の記録再生が可能な磁気記録媒体、その製造方法、および磁気記録再生装置を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明は以下の構成を採用した。
本発明の磁気記録媒体は、非磁性基板上に少なくとも軟磁性下地膜と直上の膜の配向性を制御する配向制御膜と、磁化容易軸が基板に対し主に垂直に配向した垂直磁性膜と、保護膜とが設けられ、前記配向制御膜がB2構造をなす第1配向制御層上に、hcp構造をなす第2配向制御層を設けた構成とされており、第1配向制御層の厚さが0.1〜20nmであり、第2配向制御層の厚さが0.1〜50nmであり、さらに、配向制御膜と垂直磁性膜との間に、非磁性材料からなるとともにhcp構造を有する非磁性中間膜が設けられていることを特徴とする。
さらに第1配向制御層の厚さは1.5〜10nmであることが好ましい。
さらに第2配向制御層の厚さは2〜25nmであることが好ましい。
本発明の磁気記録媒体は、第1配向制御層はNiAl、FeAl、CoFe、CoZr、NiTi、AlCo、AlRu、CoTiのうち1種または2種以上の合金を主成分とする材料からなるものであることが好ましい。
本発明の磁気記録媒体は、第2配向制御層はTi、Zn、Y、Zr、Ru、Re、Gd、Tb、Hfのうち1種以上または2種以上を主成分とする材料からなるものであることが好ましい。
本発明の磁気記録媒体は、軟磁性下地膜の飽和磁束密度Bs(T)と該軟磁性下地膜の膜厚t(nm)との積Bs・t(T・nm)が40(T・nm)以上であることが好ましい。
さらに軟磁性下地膜の飽和磁束密度Bs(T)と該軟磁性下地膜の膜厚t(nm)との積Bs・t(T・nm)が60(T・nm)以上であることが好ましい
発明の磁気記録媒体は、軟磁性下地膜の垂直磁性膜側の表面の1部または全面が酸化されているが好ましい。
本発明の磁気記録媒体の製造方法は、非磁性基板上に、少なくとも軟磁性材料からなる軟磁性下地膜と、直上の膜の配向性を制御する配向制御膜と、磁化容易軸が基板に対し主に垂直に配向した垂直磁性膜と、保護膜とを設ける磁気記録媒体の製造方法であって、配向制御膜を、B2構造をなす第1配向制御層上に、hcp構造をなす第2配向制御層を設けた構成とし、第1配向制御層の厚さを、0.1〜20nmとし、第2配向制御層の厚さを、0.1〜50nmとし、さらに、配向制御膜と垂直磁性膜との間に、非磁性材料からなるとともにhcp構造を有する非磁性中間膜を設けることを特徴とする。
さらに第1配向制御層の厚さが、1.5〜10nmであることが好ましい。
さらに第2配向制御層の厚さが、2〜25nmであることが好ましい。
本発明の磁気記録媒体の製造方法は、軟磁性下地膜の表面を酸化させる工程を含むことが好ましい。
本発明の磁気記録再生装置は、磁気記録媒体と、該磁気記録媒体に情報を記録再生する磁気ヘッドとを備えた磁気記録再生装置であって、磁気ヘッドが単磁極ヘッドであり、磁気記録媒体が、非磁性基板上に少なくとも軟磁性材料からなる軟磁性下地膜と、直上の膜の配向性を制御する配向制御膜と、磁化容易軸が基板に対し主に垂直に配向した垂直磁性膜と、保護膜とが設けられ、配向制御膜はB2構造をなす第1配向制御層上に、hcp構造をなす第2配向制御層を設けた構成とされており、第1配向制御層の厚さが0.1〜20nmであり、第2配向制御層の厚さが0.1〜50nmであり、さらに、配向制御膜と垂直磁性膜との間に、非磁性材料からなるとともにhcp構造を有する非磁性中間膜が設けられていることを特徴とする。
さらに第1配向制御層の厚さが、1.5〜10nmであることが好ましい。
さらに第2配向制御層の厚さが、2〜25nmであることが好ましい。
さらに磁気記録媒体が、軟磁性下地膜の垂直磁性膜側の表面の1部または全面が酸化されていることが好ましい。
【0005】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の磁気記録媒体の第1の実施形態を示すもので、ここに示す磁気記録媒体は、非磁性基板1上に、軟磁性下地膜2と、配向制御膜3と、垂直磁性膜4と、保護膜5と潤滑膜6とが順次形成されて構成されている。
非磁性基板1としては、アルミニウム、アルミニウム合金等の金属材料からなる金属基板を用いてもよいし、ガラス、セラミック、シリコン、シリコンカーバイド、カーボンなどの非金属材料からなる非金属基板を用いてもよい。
ガラス基板としては、アモルファスガラス、結晶化ガラスがあり、アモルファスガラスとしては汎用のソーダライムガラス、アルミノケートガラス、アルミノシリケートガラスを使用できる。また、結晶化ガラスとしては、リチウム系結晶化ガラスを用いることができる。セラミック基板としては、汎用の酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、窒化珪素などを主成分とする焼結体や、これらの繊維強化物などが使用可能である。
非磁性基板1としては、上記金属基板、非金属基板の表面にメッキ法やスパッタ法によりNiP膜が形成されたものを用いることもできる。
基板1表面の平均粗さRaは、0.01〜2nm(好ましくは0.05〜1.5nm)が好ましい。表面平均粗さRaが上記範囲未満であると磁気ヘッドの媒体への吸着や磁気ヘッドの振動が起こりやすくなり、上記範囲を越えるとグライド特性が不充分となりやすい。
【0006】
軟磁性下地膜2は、磁気ヘッドから出る磁束の基板垂直方向成分を大きくするとともに、情報が記録される垂直磁性膜4の磁化を、より強固に基板1と垂直な方向に固定するために設けられているものである。この作用は特に、記録再生用の磁気ヘッドとして垂直記録用の単磁極ヘッドを用いる場合に、より顕著なものとなる。
【0007】
上記軟磁性下地膜2は、軟磁性材料からなるもので、この材料としては、Fe、Ni、Coを含む材料を用いることができる。
この材料としては、FeCo系合金(FeCo、FeCoVなど)、FeNi系合金(FeNi、FeNiMo、FeNiCr、FeNiSiなど)、FeAl系合金(FeAl、FeAlSi、FeAlSiCr、FeAlSiTiRu、FeAlOなど)、FeCr系合金(FeCr、FeCrTi、FeCrCuなど)、FeTa系合金(FeTa、FeTaC、FeTaNなど)、FeMg系合金(FeMgOなど)、FeZr系合金(FeZrNなど)、FeC系合金、FeN系合金、FeSi系合金、FeP系合金、FeNb系合金、FeHf系合金、FeB系合金などを挙げることができる。
またFeを60at%以上含有するFeAlO、FeMgO、FeTaN、FeZrN等の微結晶構造、あるいは微細な結晶粒子がマトリクス中に分散されたグラニュラー構造を有する材料を用いてもよい。
軟磁性下地膜2の材料としては、上記のほか、Coを80at%以上含有し、Zr、Nb、Ta、Cr、Mo等のうち少なくとも1種を含有し、アモルファス構造を有するCo合金を用いることができる。
この材料としては、CoZr、CoZrNb、CoZrTa、CoZrCr、CoZrMo系合金などを好適なものとして挙げることができる。
【0008】
軟磁性下地膜2の保磁力Hcは200(Oe)以下(好ましくは50(Oe)以下)とするのが好ましい。
この保磁力Hcが上記範囲を超えると、軟磁気特性が不十分となり、再生波形がいわゆる矩形波から歪みをもった波形になるため好ましくない。
軟磁性下地膜2の飽和磁束密度Bsは、0.4T以上(好ましくは1T以上)とするのが好ましい。このBsが上記範囲未満であると、再生波形がいわゆる矩形波から歪みをもった波形になるため好ましくない。
また、軟磁性下地膜2の飽和磁束密度Bs(T)と軟磁性下地膜2の膜厚t(nm)との積Bs・t(T・nm)は、40(T・nm)以上(好ましくは60(T・nm)以上)であること好ましい。このBs・tが上記範囲未満であると、再生波形が歪みをもつようになるため好ましくない。
また、軟磁性下地膜2の最大透磁率は、1000〜1000000(好ましくは100000〜500000)とするのが好ましい。
最大透磁率が上記範囲未満であると、記録時に磁気記録媒体への書き込みが不十分となり、十分な記録再生特性を得られなくなるおそれがある。なお、透磁率はCGS単位系で表した値である。
【0009】
軟磁性下地膜2の最表面(配向制御膜3側の面)は、軟磁性下地膜2を構成する材料が部分的、あるいは完全に酸化されていることが好ましい。
つまり、軟磁性下地膜2の表面(配向制御膜3側の面)およびその近傍(表面から所定の深さの領域)は、軟磁性下地膜2を構成する材料が部分的または全体的に酸化されて形成されていることが好ましい。
これにより、軟磁性下地膜2の表面の磁気的な揺らぎを抑えることができるので、この磁気的な揺らぎに起因するノイズを低減して、磁気記録媒体の記録再生特性を改善することができる。
また、軟磁性下地膜2上に形成される配向制御膜3の結晶粒を微細化して、記録再生特性を改善することができる。
また酸化により形成された酸化膜のバリア層的機能により、軟磁性下地膜2または非磁性基板1から腐食性物質が媒体表面に移動するのを抑え、媒体表面の腐食の発生を抑えることができる。
【0010】
この軟磁性下地膜2の表面の酸化部分は、例えば軟磁性下地膜2を形成した後、その表面を酸素を含む雰囲気に曝す方法や、軟磁性下地膜2の表面に近い部分を成膜する際のプロセス中に酸素を導入する方法により形成することができる。具体的には、軟磁性下地膜2の表面を酸素に曝す場合、ディスク(基板1上に軟磁性下地膜2を形成したもの)を、純酸素、あるいは酸素をアルゴンや窒素などのガスで希釈したガス雰囲気中に0.1〜30秒程度放置しておけばよい。また、上記ディスクを大気に曝すこともできる。
導入する酸素の量、酸素への曝露時間を適宜設定することにより、軟磁性下地膜2の酸化度合いを調節することができる。例えば、10-4〜10-6Paの真空度に対し、10-3Pa以上の酸素ガス圧の雰囲気に、上記ディスクを0.1〜30秒間曝すことによって、所定の酸化状態を得ることができる。
特に酸素をアルゴンや窒素などのガスで希釈したガスを用いる場合には、酸素の希釈度を適宜設定することによって、軟磁性下地膜2表面の酸化の度合いの調節が容易になるので、安定した製造を行うことができる。
また、軟磁性下地膜2の成膜用のガスに酸素を導入する場合には、例えば成膜法としてスパッタ法を用いるならば、成膜時間の1部のみに酸素を導入したプロセスガスを用いてスパッタを行えばよい。このプロセスガスとしては、例えばアルゴンに酸素を体積率で0.05%〜50%(好ましくは0.1〜20%)程度混合したガスが好適に用いられる。
酸化膜の厚さは、例えば透過型電子顕微鏡(TEM)による観察によって得られた断面図から求めることができる。また酸化された状態は、オージェ電子分光法、SIMS法などにより確認することができる。
【0011】
配向制御膜3は、直上に設けられた垂直磁性膜4の配向性や粒径を制御するもので、第1配向制御層3a上に第2配向制御層3bを設けた2層構造を有する。
第1配向制御膜3aにはB2構造をなす材料が用いられる。
B2構造をなす材料としては、NiAl、FeAl、CoFe、CoZr、NiTi、AlCo、AlRu、CoTiのうち1種または2種以上の合金を主成分とするものが使用できる。また、これらの合金にCr、Nb、V、W、Mo、B、O、N、Ru、Nd等のの元素を添加した材料を用いることもできる。
上記2元系合金(NiAl、FeAl、CoFe、CoZr、NiTi、AlCo、AlRu、CoTi)を用いる場合には、この合金を構成する2つの成分の含有率を、いずれも40〜60at%(好ましくは45〜55at%)とするのが好ましい。
【0012】
第1配向制御層3aの厚さは、次のように定めるのが好ましい。
図2は、上記構成の磁気記録媒体において、第1配向制御層3aの厚さと、垂直磁性膜4の(0002)面の配向性との関係を示すグラフである。
このグラフにおいて、横軸は第1配向制御層3aの厚さを示し、縦軸は垂直磁性膜4の(0002)面に相当するX線回折強度を示す。
このグラフに示すように、X線回折強度は、第1配向制御層3aの厚さが0.1〜20nmであるときに高い値を示し、以後、第1配向制御層3aの厚さが大きくなるにつれて低くなる。
このグラフより、垂直磁性膜4の垂直配向性は、第1配向制御層3aの厚さが0.1〜20nm(特に1.5〜10nm)であるときに高くなり、厚さをさらに大きくすると徐々に低下することがわかる。
【0013】
このため、本実施形態の磁気記録媒体では、第1配向制御層3aの厚さを0.1〜20nmとする。特に第1配向制御層3aの厚さが1.5〜10nmの範囲であるとき、垂直磁性膜4の垂直配向性が高くなり、かつ記録時における磁気ヘッドと軟磁性下地膜2との距離を小さくすることができるので、再生信号の分解能を低下させることなく記録再生特性を高めることができる。
この厚さが上記範囲未満であると、垂直磁性膜4における垂直配向性が低下し、記録再生特性および熱揺らぎ耐性が劣化する。
また、この厚さが上記範囲を超えると、垂直磁性膜4における垂直配向性が低下し、ノイズ特性および熱揺らぎ耐性が劣化する。また記録時における磁気ヘッドと軟磁性下地膜2との距離が大きくなるため、再生信号の分解能が低下するため好ましくない。
【0014】
第2配向制御層3bには、hcp構造をなす材料が用いられる。
このhcp構造をなす材料としては、Ti、Zn、Y、Zr、Ru、Re、Gd、Tb、Hfのうち1種または2種以上を用いるのが好ましい。なかでも特にRuを用いると、垂直磁性膜4の垂直配向性を高めることができるのが好ましい。
この材料としては、垂直磁性膜4に対する格子の整合性を考慮して、これらの材料にCo、Cr、Fe、Ni等を添加した合金を用いることができる。
またこの材料としては、結晶粒子の観点から、これらの材料にC、O、N、Si、Bを添加した合金を用いることもできる。
【0015】
第2配向制御層3bの厚さは、0.1〜50nm(好ましくは2〜25nm)とする。
この厚さが上記範囲未満であると、垂直磁性膜4における垂直配向性が低下し記録再生特性および熱揺らぎ耐性が劣化する。またこの厚さが上記範囲を超えると、第2配向制御層3bにおいて結晶粒子が粗大化し、垂直磁性膜4において結晶粒子が粗大化し記録再生特性が悪化する。また記録再生時における、磁気ヘッドと軟磁性下地膜2との距離が大きくなることから、再生信号の分解能が低下するため好ましくない。
【0016】
配向制御膜3の表面形状は、垂直磁性膜4、保護膜5の表面形状に影響を与えるため、磁気記録媒体の表面凹凸を小さくして、記録再生時における磁気ヘッド浮上高さを低くするには、配向制御膜3の表面平均粗さRaを2nm以下とするのが好ましい。
この表面平均粗さRaを2nm以下とすることによって、磁気記録媒体の表面凹凸を小さくし、記録再生時における磁気ヘッド浮上高さを十分に低くし、記録密度を高めることができる。
【0017】
配向制御膜3を形成する際には、第1配向制御層3aや第2配向制御層3bの成膜用のガスに酸素や窒素を導入し、その表面に酸化膜または窒化膜を形成してもよい。例えば、成膜法としてスパッタ法を用いるならば、プロセスガスとしては、アルゴンに酸素を体積率で0.05〜50%(好ましくは0.1〜20%)程度混合したガス、アルゴンに窒素を体積率で0.01〜20%(好ましくは0.02〜10%)程度混合したガスが好適に用いられる。
【0018】
垂直磁性膜4は、その磁化容易軸が基板に対し主に垂直に配向した磁性膜であり、磁性材料からなるものとすることができ、その材料としては、CoCr系、CoCrPt系、CoCrTa系、CoCrPtX1系、CoPtX1系(X1:Ta、Zr、Nb、Cu、Re、Ni、Mn、Ge、Si、O、N、およびBのうち1種または2種以上)の合金を用いるのが好ましい。
特に、垂直磁性膜4の垂直磁気異方性を高めるために、CoCrPtX1系、CoPtX1系(X1:Ta、Zr、Nb、Cu、Re、Ni、Mn、Ge、Si、O、N、およびBのうち1種または2種以上)の合金で、Pt含有量が8〜24at%であるものを用いることが好ましい。
また、垂直磁性膜4には、遷移金属(Co、Co合金,Fe、Fe合金など)と貴金属材料(Pd、Pd合金、Pt、Pt合金)とを多数回にわたって積層した構造を採用できる。
例えば、Co、CoX2、Fe、FeX2のいずれかからなる層と、Pd、PdX2、Pt、PtX2(X2:Cr、Pt、Ta、B、O、Ru、Siのうち1種または2種以上)のいずれかからなる層を多数回にわたって積層した構造を採用することができる。
上記に挙げたCoCr系、CoCrPt系、CoCrTa系、CoCrPtX1系、CoPtX1系や積層構造型の垂直磁性膜はいずれも多結晶構造であるが、本発明の磁気記録媒体は、非晶質構造の垂直磁性膜を適用することもできる。非晶質構造をなす材料としては、特に限定されるものではないが、TbFeCo系合金などの希土類元素を含む合金を用いることができる。
【0019】
垂直磁性膜4の厚さは、3〜100nm(好ましくは5〜50nm)とするのが好ましい。垂直磁性膜4の厚さが上記範囲未満であると、十分な磁束が得られず、再生出力が低下する。また、垂直磁性膜4の厚さが上記範囲を超えると、垂直磁性膜4内の磁性粒子の粗大化が起き、記録再生特性が低下するため好ましくない。
【0020】
なお、垂直磁性膜4は、組成、構造が異なる層を2層以上重ね合わせたものとしてもよい。
例えば、垂直磁性膜4は、複数の磁性層とそれら各磁性層間に形成されている中間層とからなり、前記中間層には結晶構造がB2構造である構成またはhcp構造である構成を用いることもできる。このときの、磁性層の組成、構造は互いに同じものとしても、異なるものとしてもよい。中間膜の材料としては限定されるものではないが、格子の整合性を考慮すると、RuやRuにCo、Cr、Fe、Ni、C、O、N、Si、B等を添加した合金や、CoCrにFe、Ni、Ru、Pt、Ta、C、O、N、Si、B等を添加した合金を用いるのが特に好ましい。
【0021】
垂直磁性膜4の保磁力は、3000(Oe)以上とすることが好ましい。保磁力が3000(Oe)より小さい磁気記録媒体は、高記録密度には不適であり、また熱揺らぎ耐性にも劣るため好ましくない。
【0022】
垂直磁性膜4は、結晶粒子の平均粒径が5〜15nmであることが好ましい。この平均粒径は、例えば垂直磁性膜4の結晶粒子をTEM(透過型電子顕微鏡)で観察し、観察像を画像処理することにより求めることができる。
【0023】
保護膜5は垂直磁性膜4の腐食を防ぐとともに、磁気ヘッドが媒体に接触したときに媒体表面の損傷を防ぐためのもので、従来公知の材料を使用でき、例えばC、SiO2、ZrO2を含むものが使用可能である。
保護膜5の厚さは、1〜10nmとするのが望ましい。
潤滑剤6には、パーフルオロポリエーテル、フッ素化アルコール、フッ素化カルボン酸などを用いるのが好ましい。
【0024】
上記構成の磁気記録媒体を製造するには、基板1上に、軟磁性下地膜2、配向制御膜3、垂直磁性膜4を順次、スパッタリング、真空蒸着、イオンプレーティングなどにより形成する。次いで保護膜5を、好ましくはプラズマCVD法、イオンビーム法、スパッタリング法により形成する。
潤滑剤6を形成するには、ディッピング法、スピンコート法などの従来公知の方法を採用することができる。
【0025】
上記構成の磁気記録媒体にあっては、配向制御膜3が、B2構造をなす第1配向制御層3a上に、hcp構造をなす第2配向制御層3bを設けた構造を有し、第1配向制御層3aの厚さが0.1〜20nm(好ましくは1.5〜10nm)であるので、熱揺らぎ耐性を高めるとともに、記録再生特性、記録分解能を高めることができる。
第1配向制御層3aの厚さを上記範囲とすることによって熱揺らぎ耐性を高めることができるのは以下の理由によると考えられる。
すなわち、B2構造をなす第1配向制御層3aの厚さを上記範囲としたとき、この第1配向制御層3aが垂直磁性膜4の配向性を最も高め得る表面状態となり、その結果、垂直磁性膜4における垂直磁性を向上し(図2参照)、磁気異方性を高めることができる。このため、優れた熱揺らぎ耐性が得られる。
なお、熱揺らぎとは、記録ビットが不安定となり記録したデータの熱消失が起こる現象をいい、磁気記録媒体装置においては、記録したデータの再生出力の経時的な減衰として現れる。
【0026】
第1配向制御層3aの厚さを上記範囲とすることによって記録再生特性を向上させることができるのは、この第1配向制御層3aの影響下で成長する第2配向制御層3b、垂直磁性膜4では、結晶粒子の微細化、孤立化、均一化が進行するためだと考えられる。
【0027】
第1配向制御膜3aの厚さを上記範囲とすることによって記録分解能を向上させることができるのは、磁気ヘッドと軟磁性膜2の距離を大きくすることなく垂直磁性膜4の垂直配向性を高めることができるためだと考えられる。
【0028】
図3は本発明の磁気記録媒体の第2の実施形態を示すもので、ここに示す磁気記録媒体では、配向制御膜3と垂直磁性膜4との間に、非磁性中間膜7が設けられている。
非磁性中間膜7にはhcp構造を有する非磁性材料を用いるのが好ましい。非磁性中間膜7には、非磁性のCoCr合金やCoCrX3合金やCoX3合金(X3:Pt、Ta、Zr、Ru,Nb、Cu、Re、Ni、Mn、Ge、Si、O、NおよびBのうち1種または2種以上)を用いるのが好適である。
非磁性中間膜7の厚さは、垂直磁性膜4における磁性粒子の粗大化による記録再生特性の悪化や、磁気ヘッドと軟磁性下地膜2との距離が大きくなることによる記録分解能の低下を起こさないようにするために、20nm以下(好ましくは10nm以下)とするのが好ましい。
本実施形態の磁気記録媒体においては、非磁性中間膜7を設けることによって、垂直磁性膜4の垂直配向性を高めることができるので、垂直磁性膜4の保磁力Hcを高め、記録再生特性および熱揺らぎ耐性をさらに向上させることができる。
【0029】
図4は、本発明の磁気記録媒体の第3の実施形態を示すもので、ここに示す磁気記録媒体では、非磁性基板1と軟磁性下地膜2との間に、磁気異方性が主に面内方向を向いた硬磁性膜8が設けられている。
硬磁性下地膜8にはCoSm合金や、CoCrCoX4合金(X4:Pt、Ta、Zr、Nb、Cu、Re、Ni、Mn、Ge、Si、O、NおよびBのうち1種または2種以上)を用いるのが好適である。
硬磁性膜8は、保磁力Hcが500(Oe)以上(好ましくは1000(Oe)以上)であることが好ましい。
硬磁性膜8の厚さは、20〜150nm(好ましくは40〜70nm)であることが好ましい。20nm未満であると、エラーレートを低くする効果が低下し、硬磁性下地膜8の厚さが150nmを超えると、配向制御膜3の表面平均粗さRaが大きくなるため好ましくない。
硬磁性膜8は、軟磁性下地膜2と交換結合しており、磁化方向が基板半径方向に向けられた構成とするのが好ましい。
硬磁性下地膜8を設けることによって、より効果的に軟磁性下地膜2での巨大な磁区の形成を抑えることができるので、磁壁によるスパイクノイズの発生を防止して、記録再生時のエラーレートを十分に低くすることができる。
【0030】
図5は、本発明の磁気記録媒体の第4の実施形態を示すもので、ここに示す磁気記録媒体では、垂直磁性膜4と保護膜5との間に軟磁性材料からなる磁化安定膜9が設けられている。
磁化安定膜9の材料としては、FeCo系合金(FeCo、FeCoVなど)、FeNi系合金(FeNi、FeNiMo、FeNiCr、FeNiSiなど)、FeAl系合金(FeAl、FeAlSi、FeAlSiCr、FeAlSiTiRu、FeAlOなど)、FeCr系合金(FeCr、FeCrTi、FeCrCuなど)、FeTa系合金(FeTa、FeTaC、FeTaNなど)、FeMg系合金(FeMgOなど)、FeZr系合金(FeZrNなど)、FeC系合金、FeN系合金、FeSi系合金、FeP系合金、FeNb系合金、FeHf系合金、FeB系合金などを挙げることができる。
またFeを60at%以上含有するFeAlO、FeMgO、FeTaN、FeZrN等の微結晶構造、あるいは微細な結晶粒子がマトリクス中に分散されたグラニュラー構造を有する材料を用いてもよい。
磁化安定膜9の材料としては、上記のほか、Coを80at%以上含有し、Zr、Nb、Ta、Cr、Mo等のうち少なくとも1種を含有し、アモルファス構造を有するCo合金を用いることができる。
この材料としては、CoZr、CoZrNb、CoZrTa、CoZrCr、CoZrMo系合金などを好適なものとして挙げることができる。
【0031】
磁化安定膜9の保磁力Hcは200(Oe)以下(好ましくは50(Oe)以下)とするのが好ましい。
磁化安定膜9の飽和磁束密度Bsは、0.4T以上(好ましくは1T以上)とするのが好ましい。
また、磁化安定膜9の飽和磁束密度Bs(T)と膜厚t(nm)との積Bs・t(T・nm)は7.2(T・nm)以下であること好ましい。このBs・tが上記範囲を超えると、再生出力が低下するため好ましくない。
また、磁化安定膜9の最大透磁率は、1000〜1000000(好ましくは100000〜500000)とするのが好ましい。
【0032】
磁化安定膜9は、磁化安定膜9を構成する材料が部分的、あるいは完全に酸化されて構成されていることが好ましい。つまり、磁化安定膜9の表面(保護膜5側もしくは垂直磁性膜4側の面)およびその近傍(表面から所定の深さの領域)において、磁化安定膜9を構成する材料が部分的または全体的に酸化されているのが好ましい。
これにより、磁化安定膜9の表面の磁気的な揺らぎを抑えることができるので、この磁気的な揺らぎに起因するノイズの低減して、磁気記録媒体の記録再生特性を改善することができる。
【0033】
垂直磁性膜4と保護膜5との間に軟磁性材料からなる磁化安定膜9を設けることにより、熱揺らぎ耐性の向上、再生出力の増加を図ることができる。
これは、垂直磁性膜4の表面に存在する磁化の揺らぎを、この磁化安定化膜9が安定化することにより、漏れ磁束が揺らぎの影響を受けなくなり、再生出力が増加するためであると考えられる。また、この磁化安定膜9が設けられていることにより、垂直磁性膜4の基板1に垂直な方向の磁化と、軟磁性下地膜2および磁化安定膜9の面内方向の磁化が、閉回路を形成する。この作用により、垂直磁性膜4の磁化がより強固に固定されるので、熱揺らぎ耐性が向上すると考えられる。
【0034】
図3〜図5に示す構成の磁気記録媒体は、図1に示す磁気記録媒体の製造工程(基板1上にスパッタ法などにより、軟磁性下地膜2を形成中、または形成後に軟磁性下地膜2の表面を酸化処理を施し、次いで配向制御膜3、垂直磁性膜4をスパッタ法などにより形成し、次いで保護膜5をCVD法、イオンビーム法、スパッタ法などにより形成する。次いで、ディッピング法、スピンコート法などにより潤滑膜6を形成する)において、必要に応じて基板1と軟磁性下地膜2との間に硬磁性膜8を形成する工程や、配向制御膜3と垂直磁性膜4との間に非磁性中間膜7を形成する工程や、垂直磁性膜4と保護膜5との間に磁化安定膜9を形成する工程や、磁化安定膜9の表面を酸化処理する工程を行うことによって製造することができる。
【0035】
図6は、上記磁気記録媒体を用いた磁気記録再生装置の例を示すものである。ここに示す磁気記録再生装置は、磁気記録媒体10と、磁気記録媒体10を回転駆動させる媒体駆動部11と、磁気記録媒体10に情報を記録再生する磁気ヘッド12と、ヘッド駆動部13と、記録再生信号処理系14とを備えている。記録再生信号処理系14は、入力されたデータを処理して記録信号を磁気ヘッド12に送ったり、磁気ヘッド12からの再生信号を処理してデータを出力することができるようになっている。
磁気ヘッド12としては、垂直記録用の単磁極ヘッドを例示することができる。
図6(b)に示すように、この単磁極ヘッドとしては、主磁極12aと、補助磁極12bと、これら連結部12cに設けられたコイル12dとを有する構成のものを好適に用いることができる。
【0036】
上記磁気記録再生装置によれば、上記磁気記録媒体10を用いるので、熱揺らぎ耐性および記録再生特性を高めることができる。
従って、データ消失などのトラブルを未然に防ぐとともに、高記録密度化を図ることができる。
なお、本明細書において、主成分とは当該成分を50at%を超えて含むことを指す。
【0037】
【実施例】
以下、実施例を示して本発明の作用効果を明確にする。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
洗浄済みのガラス基板1(オハラ社製、外径2.5インチ)をDCマグネトロンスパッタ装置(アネルバ社製C−3010)の成膜チャンバ内に収容して、到達真空度1×10-5Paとなるまで成膜チャンバ内を排気した後、このガラス基板上に89at%Co−4at%Zr−7at%Nbのターゲットを用いて、100℃以下の基板温度で100nmの軟磁性下地膜2をスパッタリングにより成膜した。この膜の飽和磁束密度Bs(T)と膜厚t(nm)の積Bs・t(T・nm)が200(T・nm)であることを振動式磁気特性測定装置(VSM)で確認した。
次いで、基板を200℃に加熱して、上記軟磁性下地膜2上に、50at%Ni−50at%Alからなる第1配向制御層3a(厚さ8nm)と、Ruからなる第2配向制御層3b(厚さ20nm)とからなる配向制御膜3を形成し、その後、62at%Co−20at%Cr−14at%Pt−4at%Bからなる垂直磁性膜4(厚さ30nm)を形成した。
上記スパッタリング工程においては、成膜用のプロセスガスとしてアルゴンを用い、ガス圧力0.5Paにて成膜を行った。
次いで、CVD法により5nmの保護膜5を形成した。
次いで、ディッピング法によりパーフルオロポリエーテルからなる潤滑膜6を形成し、磁気記録媒体を得た。
【0038】
(実施例2〜15)
実施例2〜15として、第1配向制御層3a、第2配向制御層3bの材料と厚さを表1に示すようにした以外は、実施例1と同様の作製工程にて磁気記録媒体を作製した(表1を参照)。
【0039】
(比較例1〜4)
比較例1〜4として、第1配向制御膜3aの厚さを0.1〜20nmの範囲外、または第2配向制御膜3bの厚さを0.1〜50nmの範囲外に設定した以外は、実施例1と同様の作製工程にて磁気記録媒体を作製した(表1を参照)。
【0040】
(実施例16〜19)
実施例16〜19として、軟磁性下地膜2の飽和磁束密度Bs(T)と軟磁性下地膜2の膜厚t(nm)との積Bs・t(T・nm)を表2に示すように設定した以外は、実施例1と同様の作製工程にて磁気記録媒体を作製した(表2を参照)。
【0041】
(実施例20〜23)
実施例20〜23として、軟磁性下地膜2の材料として表2に示すものを用いた以外は、実施例1と同様の作製工程にて磁気記録媒体を作製した(表2を参照)。
【0042】
(比較例5)
比較例5として、軟磁性下地膜2を設けない以外は、実施例1と同様の作製工程にて磁気記録媒体を作製した(表2を参照)。
【0043】
(実施例24〜31)
実施例24〜31として、垂直磁性膜4の材料と厚さを表3に示すようにした以外は、実施例1と同様の作製工程にて磁気記録媒体を作製した(表3を参照)。
【0044】
(実施例32〜38)
実施例32〜38として、配向制御層3と垂直磁性膜4との間に非磁性中間膜7を設け、この非磁性中間膜7の材料と厚さを表4に示すようにした以外は、実施例1と同様の作製工程にて磁気記録媒体を作製した(表4を参照)。
【0045】
(実施例39〜43)
実施例39〜43として、基板1と軟磁性下地膜2との間に硬磁性膜8を設け、この硬磁性膜8の材料と厚さを、表5に示すようにした以外は、実施例1と同様の作製工程にて磁気記録媒体を作製した(表5を参照)。
【0046】
(実施例44〜49)
実施例44〜49として、垂直磁性膜4と保護膜6との間に磁化安定膜9を設け、この磁化安定膜9の材料と厚さを表6に示すようにした以外は、実施例1と同様の作製工程にて磁気記録媒体を作製した(表6を参照)。
【0047】
(実施例49)
軟磁性下地膜2を形成した後、チャンバ内に純酸素(100vol%O2)を導入し、軟磁性下地膜2の表面を酸素に曝露し(曝露工程)、軟磁性下地膜2の表面に酸化膜を形成して磁気記録媒体を作製した(表7を参照)。
【0048】
(実施例50)
曝露工程において、軟磁性下地膜2を酸素に曝露する時間を変えることによって、酸化膜の厚さを変化させて磁気記録媒体を作製した(表7を参照)。
【0049】
(実施例51)
曝露工程において、軟磁性下地膜2を曝露するガスとして、純酸素に代えて表1に示すガスを用いて磁気記録媒体を作製した(表7を参照)。
【0050】
(実施例52、53)
曝露工程を行わず、これに代えて、軟磁性下地膜2を形成する成膜工程に用いるプロセスガスとして、酸素含有アルゴンガスを用いることにより酸化膜を形成して磁気記録媒体を作製した(表7を参照)。
【0051】
(実施例54、55)
軟磁性下地膜の材料として表7に示すものを用いること以外は実施例49と同様にして磁気記録媒体を作製した(表7を参照)。
【0052】
上記磁気記録媒体の静磁気特性をkerr効果測定装置を用いて測定した。
また、これら磁気記録媒体の記録再生特性および熱揺らぎ耐性をGUZIK社製リードライトアナライザRWA1632、およびスピンスタンドS1701MPを用いて測定した。
記録再生特性の評価には、磁気ヘッドとして、図6(b)に示すものと同様の垂直記録用の単磁極ヘッドを用い、再生出力を線記録密度50kFCIにて、エラーレートを線記録密度600kFCIにて測定した。
また、熱揺らぎ耐性の評価は、基板を70℃に加熱して線記録密度50kFCIにて書き込みをおこなった後、書き込み後1秒後の再生出力に対する出力の低下率(%/decade)を、(So−S)×100/(So×3)に基づいて算出した。この式において、Soは磁気記録媒体に信号記録後1秒経過時の再生出力を示し、Sは1000秒後の再生出力を示す。
【0053】
またX線回折試験および電子線回折の結果、各実施例において、第1配向制御膜3aがB2構造をなすものであり、第2配向制御膜3bがhcp構造をなすものであることが確認できた。各磁気記録媒体の静磁気特性、記録再生特性の測定結果を表1〜表7に示す。
なお。表1〜表7中、Co(0002)強度は垂直磁性膜4の(0002)面に相当するX線回折強度を示す。
【0054】
【表1】
Figure 0004409085
【0055】
【表2】
Figure 0004409085
【0056】
【表3】
Figure 0004409085
【0057】
【表4】
Figure 0004409085
【0058】
【表5】
Figure 0004409085
【0059】
【表6】
Figure 0004409085
【0060】
【表7】
Figure 0004409085
【0061】
表1の結果より、配向制御膜3が、B2構造をなす第1配向制御層3a上に、hcp構造をなす第2配向制御層3bを設けた構成とされており、第1配向制御層3aの厚さが0.1〜20nmであり、第2配向制御層3bの厚さが0.1〜50nmである実施例1〜15の磁気記録媒体は、上記層3a、3bを範囲外の厚さとした比較例1〜4の磁気記録媒体に比べて、エラーレートが大きく改善した。
【0062】
表2の結果より、軟磁性下地膜2を設けた磁気記録媒体は、軟磁性下地膜2を設けなかった比較例5の磁気記録媒体に比べて、エラーレートが大きく改善した。特に、軟磁性下地膜2の飽和磁束密度Bs(T)と軟磁性下地膜2の膜厚t(nm)との積Bs・t(T・nm)を40(T・nm)以上に設定した磁気記録媒体は、再生波形の歪みがなく、エラーレートの改善効果が大きい。
【0063】
表3の結果より、垂直磁性膜4を所定の組成、構造にした磁気記録媒体は、高いエラーレートを得ることができた。垂直磁性膜4の厚さを3〜100nmの範囲とした磁気記録媒体は、特に高いエラーレートを得ることができた。
【0064】
表4の結果より、非磁性中間膜7を設けた磁気記録媒体は、高いエラーレートを得ることができ、熱揺らぎ耐性も改善した。非磁性中間膜7の厚さを20nm以下とした磁気記録媒体は、特に高いエラーレートを得ることができた。
【0065】
表5の結果より、硬磁性膜8を設けた磁気記録媒体は、高いエラーレートを得ることができた。
【0066】
表6の結果より、磁化安定膜9を設けた磁気記録媒体は高いエラーレート、再生出力を得ることができ、熱揺らぎ耐性も改善した。磁化安定膜9の飽和磁束密度Bs(T)と磁化安定膜9の膜厚t(nm)との積Bs・t(T・nm)が2.4〜7.2(T・nm)の範囲に設定した磁気記録媒体は、特に高い再生出力を得ることができ、熱揺らぎ耐性も大きく改善した。
【0067】
表7の結果より、軟磁性下地膜2の表面を酸化させた磁気記録媒体は、エラーレートが大きく改善した。
【0068】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の磁気記録媒体にあっては、少なくとも軟磁性材料からなる軟磁性下地膜と、直上の膜の配向性を制御する配向制御膜と、磁化容易軸が基板に対し主に垂直に配向した垂直磁性膜と、保護膜とが設けられ、配向制御膜が、B2構造をなす第1配向制御層上に、hcp構造をなす第2配向制御層を設けた構成とされており、第1配向制御層の厚さが0.1〜20nmであり、第2配向制御層の厚さが0.1〜50nmであるので、記録再生特性を向上させるとともに、熱揺らぎ耐性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の磁気記録媒体の第1の実施形態を示す1部断面図である。
【図2】 第1配向制御層の厚さと、垂直磁性膜の(0002)面の配向性との関係を示すグラフである。
【図3】 本発明の磁気記録媒体の第2の実施形態を示す1部断面図である。
【図4】 本発明の磁気記録媒体の第3の実施形態を示す1部断面図である。
【図5】 本発明の磁気記録媒体の第4の実施形態を示す1部断面図である。
【図6】 本発明の磁気記録再生装置の1例を示す概略図であり、(a)は全体構成を示し、(b)は磁気ヘッドを示す。
【符号の説明】
1…非磁性基板、2…軟磁性下地膜、3…配向制御膜、3a…第1配向制御層、3b…第2配向制御層、4…垂直磁性膜、5…保護膜、6…潤滑膜、7…非磁性中間膜、8…硬磁性膜、9…磁化安定膜、10…磁気記録媒体、11…媒体駆動部、12…磁気ヘッド、12a…主磁極、12b…補助磁極、12c…連結部、12d…コイル、13…ヘッド駆動部、14…記録再生信号処理系

Claims (16)

  1. 非磁性基板上に、少なくとも軟磁性材料からなる軟磁性下地膜と、直上の膜の配向性を制御する配向制御膜と、磁化容易軸が基板に対し主に垂直に配向した垂直磁性膜と、保護膜とが設けられ、
    配向制御膜は、B2構造をなす第1配向制御層上に、hcp構造をなす第2配向制御層を設けた構成とされており、第1配向制御層の厚さが0.1〜20nmであり、第2配向制御層の厚さが0.1〜50nmであり、
    さらに、配向制御膜と垂直磁性膜との間に、非磁性材料からなるとともにhcp構造を有する非磁性中間膜が設けられていることを特徴とする磁気記録媒体。
  2. 第1配向制御層の厚さが、1.5〜10nmであることを特徴とする請求項1記載の磁気記録媒体。
  3. 第2配向制御層の厚さが、2〜25nmであることを特徴とする請求項1または2記載の磁気記録媒体。
  4. 第1配向制御層は、NiAl、FeAl、CoFe、CoZr、NiTi、AlCo、AlRu、CoTiのうち1種または2種以上の合金を主成分とする材料からなることを特徴とする請求項1乃至3記載のうちいずれか1項記載の磁気記録媒体。
  5. 第2配向制御層は、Ti、Zn、Y、Zr、Ru、Re、Gd、Tb、Hfのうち1種または2種以上を主成分とする材料からなることを特徴とする請求項1乃至4記載のうちいずれか1項記載の磁気記録媒体。
  6. 軟磁性下地膜の飽和磁束密度Bs(T)と該軟磁性下地膜の膜厚t(nm)との積Bs・t(T・nm)が40(T・nm)以上であることを特徴とする請求項1乃至5記載のうちいずれか1項記載の磁気記録媒体。
  7. 軟磁性下地膜の飽和磁束密度Bs(T)と該軟磁性下地膜の膜厚t(nm)との積Bs・t(T・nm)が60(T・nm)以上であることを特徴とする請求項1乃至6記載のうちいずれか1項記載の磁気記録媒体。
  8. 軟磁性下地膜の垂直磁性膜側の表面の1部または全面が酸化されていることを特徴とする請求項1乃至記載のうちいずれか1項記載の磁気記録媒体。
  9. 非磁性基板上に、少なくとも軟磁性材料からなる軟磁性下地膜と、直上の膜の配向性を制御する配向制御膜と、磁化容易軸が基板に対し主に垂直に配向した垂直磁性膜と、保護膜とを設ける磁気記録媒体の製造方法であって、
    配向制御膜を、B2構造をなす第1配向制御層上に、hcp構造をなす第2配向制御層を設けた構成とし、第1配向制御層の厚さを、0.1〜20nmとし、第2配向制御層の厚さを、0.1〜50nmとし、
    さらに、配向制御膜と垂直磁性膜との間に、非磁性材料からなるとともにhcp構造を有する非磁性中間膜を設けることを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
  10. 第1配向制御膜の厚さが1.5〜10nmであることを特徴とする請求項記載の磁気記録媒体の製造方法。
  11. 第2配向制御層の厚さが2〜25nmであることを特徴とする請求項または10記載の磁気記録媒体の製造方法。
  12. 軟磁性下地膜の表面を酸化させる工程を含むことを特徴とする請求項乃至11記載のうちいずれか1項記載の磁気記録媒体の製造方法。
  13. 磁気記録媒体と、該磁気記録媒体に情報を記録再生する磁気ヘッドとを備えた磁気記録再生装置であって、磁気ヘッドが単磁極ヘッドであり、磁気記録媒体が、非磁性基板上に少なくとも軟磁性材料からなる軟磁性下地膜と、直上の膜の配向性を制御する配向制御膜と、磁化容易軸が基板に対し主に垂直に配向した垂直磁性膜と、保護膜とが設けられ、配向制御膜は、B2構造をなす第1配向制御層上に、hcp構造をなす第2配向制御層を設けた構成とされており、第1配向制御層の厚さが0.1〜20nmであり、第2配向制御層の厚さが0.1〜50nmであり、さらに、配向制御膜と垂直磁性膜との間に、非磁性材料からなるとともにhcp構造を有する非磁性中間膜が設けられていることを特徴とする磁気記録再生装置。
  14. 磁気記録媒体が、第1配向制御層の厚さが、1.5〜10nmであることを特徴とする請求項13記載の磁気記録再生装置。
  15. 磁気記録媒体が、第2配向制御層の厚さが、2〜25nmであることを特徴とする請求項13または14いずれか1項記載の磁気記録再生装置。
  16. 磁気記録媒体が、軟磁性下地膜の垂直磁性膜側の表面の1部または全面が酸化されていることを特徴とする請求項13乃至15のうちいずれか1項記載の磁気記録再生装置。
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