JP2002352409A - 磁気記録媒体、その製造方法、および磁気記録再生装置 - Google Patents

磁気記録媒体、その製造方法、および磁気記録再生装置

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JP2002352409A
JP2002352409A JP2001154449A JP2001154449A JP2002352409A JP 2002352409 A JP2002352409 A JP 2002352409A JP 2001154449 A JP2001154449 A JP 2001154449A JP 2001154449 A JP2001154449 A JP 2001154449A JP 2002352409 A JP2002352409 A JP 2002352409A
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JP2001154449A
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English (en)
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Kenji Shimizu
謙治 清水
Akira Sakawaki
彰 坂脇
Hiroshi Sakai
浩志 酒井
Futoshi Nakamura
太 中村
Kazuyuki Hikosaka
和志 彦坂
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Toshiba Corp
Resonac Holdings Corp
Original Assignee
Showa Denko KK
Toshiba Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ノイズ特性を劣化させることなく、生産効率
を向上させることが可能な磁気記録媒体、その製造方
法、および磁気記録再生装置を提供する。 【解決手段】 非磁性基板1と、軟磁性下地膜4との間
に、面内下地膜2と、磁化容易軸が主に面内方向に向い
た面内硬磁性膜3とが形成され、面内下地膜2は、Cr
またはCr合金からなるものであり、面内硬磁性膜3
は、CoCrPtX系合金(Xは、B、Ta、Cu、Z
r、Nb、Re、Ni、Mn、Ge、Si、O、Nのう
ちから選ばれる1種または2種以上)を主成分とするも
のである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、磁気記録媒体、そ
の製造方法、およびこの磁気記録媒体を用いた磁気記録
再生装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】磁性膜内の磁化容易軸が主に基板に対し
垂直に配向した垂直磁気記録媒体は、高記録密度化した
場合でも、ビット境界での反磁界の影響が小さく、境界
が鮮明な記録磁区が形成されるため、熱揺らぎ特性およ
びノイズ特性を高めることができることから、大きな注
目を集めている。近年では、基板と垂直磁性膜との間
に、軟磁性材料からなる軟磁性下地膜(いわゆる裏打ち
層)を設け、磁気ヘッドと磁気記録媒体との間の磁束の
出入りの効率を向上させた磁気記録媒体が提案されてい
る。軟磁性下地膜は、保磁力が小さく磁化方向が変化し
やすいため巨大な磁区を形成する。この磁区の境界であ
る磁壁は、スパイクノイズ発生の原因となることがあ
る。このため、基板と軟磁性下地膜との間に硬磁性材料
からなる硬磁性膜を設け、この硬磁性膜と軟磁性下地膜
との磁気的交換結合により、軟磁性下地膜の磁化方向を
強制的に基板半径方向に向け、上記磁区の形成によるス
パイクノイズ発生を防ぐことが検討されている。この硬
磁性膜を設けた磁気記録媒体としては、特開平5−27
7687号公報に開示されたものがある。この公報に開
示された磁気記録媒体は、軟磁性下地膜の下に、SmC
o合金またはCoCrTaからなる面内永久磁石膜が設
けられている。軟磁性下地膜の厚さは、25〜200n
mが例示されている。この磁気記録媒体では、この面内
永久磁石膜によって上記ノイズ発生を防ぐことができ
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】磁気記録媒体の製造に
おいて、成膜には、通常、スパッタ法が用いられる。ス
パッタ法は他の成膜方法に比べ成膜速度が低いため、生
産効率が低くなりやすい方法である。上記従来の磁気記
録媒体では、軟磁性下地膜を薄く形成することによって
生産効率の向上を図ることができるが、その場合には、
軟磁性下地膜の下に設けられた面内永久磁石膜からのノ
イズによって、得られた磁気記録媒体のノイズ特性が劣
化する問題があった。本発明は、上記事情に鑑みてなさ
れたもので、ノイズ特性を劣化させることなく、生産効
率を向上させることが可能な磁気記録媒体、その製造方
法、および磁気記録再生装置を提供することを目的とす
る。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者は、軟磁性下地
膜を薄く形成した際のノイズ特性劣化の問題が、硬磁性
膜を原因として生じるノイズによるものであり、軟磁性
下地膜の薄膜化によってノイズ特性が劣化するのは、記
録再生時に磁気ヘッドと硬磁性膜との距離が小さくなる
ために、硬磁性膜に起因するノイズが増加することが原
因となっていることを見出し、この知見に基づいて本発
明を完成した。すなわち本発明の磁気記録媒体は、非磁
性基板と軟磁性下地膜との間に、面内下地膜と、磁化容
易軸が主に面内方向に向いた面内硬磁性膜とが形成さ
れ、面内下地膜は、CrまたはCr合金からなるもので
あり、面内硬磁性膜は、CoCrPtX系合金(Xは、
B、Ta、Cu、Zr、Nb、Re、Ni、Mn、G
e、Si、O、Nのうちから選ばれる1種または2種以
上)を含むものであることを特徴とする。軟磁性下地膜
の磁化回復率は、0.85以上とするのが好ましい。面
内硬磁性膜の保磁力角型比S*は、0.6以上であるこ
とが好ましい。本発明の磁気記録媒体では、面内硬磁性
膜の保磁力Hcが1000(Oe)以上、飽和磁化Ms
が200(memu/cm3)以上、600(memu
/cm3)未満であり、厚さが10nm以上、100n
m未満であることが好ましい。軟磁性下地膜の膜厚は、
50〜200nmとするのが好ましい。本発明の磁気記
録媒体の製造方法は、非磁性基板と軟磁性下地膜との間
に、面内下地膜を設け、その上に磁化容易軸が主に面内
方向に向いた面内硬磁性膜を設け、面内下地膜を、Cr
またはCr合金からなるものとし、面内硬磁性膜を、C
oCrPtX系合金(Xは、B、Ta、Cu、Zr、N
b、Re、Ni、Mn、Ge、Si、O、Nのうちから
選ばれる1種または2種以上)を含むものとすることを
特徴とする。本発明の磁気記録再生装置は、磁気記録媒
体と、該磁気記録媒体に情報を記録再生する磁気ヘッド
とを備え、磁気記録媒体が、非磁性基板と軟磁性下地膜
との間に、面内下地膜と、磁化容易軸が主に面内方向に
向いた面内硬磁性膜とが形成され、面内下地膜は、Cr
またはCr合金からなるものであり、面内硬磁性膜は、
CoCrPtX系合金(Xは、B、Ta、Cu、Zr、
Nb、Re、Ni、Mn、Ge、Si、O、Nのうちか
ら選ばれる1種または2種以上)を含むものであること
を特徴とする。
【0005】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の第1実施形態を
示すものである。ここに示す磁気記録媒体は、非磁性基
板1上に、面内下地膜2と、面内硬磁性膜3と、軟磁性
下地膜4と、配向制御膜5と、垂直磁性膜6と、保護膜
7と、潤滑膜8とが順次設けられて構成されている。基
板1としては、磁気記録媒体用基板として一般に用いら
れているNiPメッキ膜を有するアルミニウム合金基
板、ガラス基板(結晶化ガラス、強化ガラス等)、セラ
ミックス基板、カーボン基板、シリコン基板、シリコン
カーバイド基板を挙げることができる。またこれらの基
板にNiP膜をメッキ法やスパッタ法などにより形成し
た基板を挙げることができる。基板1の表面の平均粗さ
Raは、0.01〜2nm(好ましくは0.05〜1.
5nm)とするのが好適である。表面平均粗さRaがこ
の範囲未満であると、媒体への磁気ヘッドの吸着や、記
録再生時の磁気ヘッド振動が起こりやすくなる。また表
面平均粗さRaがこの範囲を越えるとグライド特性が不
十分となりやすい。
【0006】面内下地膜2は、直上に位置する面内硬磁
性膜3の結晶配向性を高めるためのもので、Crまたは
Cr合金が用いられる。面内下地膜2に用いられるCr
合金の例としては、CrMo系、CrTi系、CrW
系、CrMo系、CrV系、CrSi系、CrNb系の
合金を挙げることができる。このCr合金におけるCr
の含有率は、60at%以上(好ましくは75at%以
上)とするのが好ましい。このCr含有率が上記範囲未
満であると、面内硬磁性膜3の結晶配向性が劣化し、面
内硬磁性膜3において保磁力などの磁気特性が低下す
る。この面内下地膜2の厚さは、1〜100nm(好ま
しくは2〜50nm)とするのが好適である。
【0007】面内硬磁性膜3は、軟磁性下地膜4におけ
る磁区形成を抑え、スパイクノイズ発生を防ぐためのも
ので、磁化容易軸が主に面内方向(基板面に沿う方向)
に配向した磁性膜である。本実施形態の磁気記録媒体に
おいて、面内硬磁性膜3は、CoCrPtX系合金(X
は、B、Ta、Cu、Zr、Nb、Re、Ni、Mn、
Ge、Si、O、Nのうちから選ばれる1種または2種
以上)を含むものである。特に、CoCrPtX系合金
を主成分とするものであることが好ましい。なお主成分
とは当該成分を50at%を越えて含むことを意味す
る。このCoCrPtX系合金としては、CoCrPt
B系合金、CoCrPtTa系合金、CoCrPtBC
u系合金を用いるのが好ましい。
【0008】面内硬磁性膜3には、Crを10〜26a
t%、Ptを1〜16at%、Xを0.5〜10at%
含み、残部が実質的にCoからなるCoCrPtXを用
いるのが好ましい。Crの含有率を上記範囲とするのが
好ましいのは、この含有率が上記範囲未満では磁性膜内
におけるCr偏析が起こりにくくなり磁性粒子の分散が
不十分となってノイズが増加し、上記範囲を越えると保
磁力Hcが低下するためである。Ptの含有率を上記範
囲とするのが好ましいのは、この含有率が上記範囲未満
では保磁力Hcが低くなり、上記範囲を越えるとノイズ
が大きくなる傾向があるためである。Xの含有率を上記
範囲にするのが好ましいのは、この含有率が上記範囲未
満ではノイズが増加する傾向があり、上記範囲を越える
と保磁力Hcが低くなるためである。
【0009】面内硬磁性膜3の保磁力角型比S*は、
0.6以上(好ましくは0.7以上)とするのが好まし
い。保磁力角型比S*が上記範囲を下回ると、軟磁性下
地膜4の磁化回復率が低下する。
【0010】面内硬磁性膜3の保磁力Hcは、1000
(Oe)以上(好ましくは2000(Oe)以上)とす
るのが好適である。この保磁力Hcが上記範囲未満であ
ると、面内硬磁性膜3が外部磁場により磁化反転しやす
くなり、スパイクノイズが増加する。面内硬磁性膜3の
飽和磁化Msは、200memu/cm3以上、600
memu/cm3未満(好ましくは300〜500me
mu/cm3)とするのが好適である。この飽和磁化M
sが上記範囲未満であると、軟磁性下地膜4と面内硬磁
性膜3の結合磁界が小さくなりスパイクノイズが発生し
やすくなる。また軟磁性下地膜4の表面側の磁化揺らぎ
によるノイズが増加する。また飽和磁化Msが上記範囲
を越えると、この面内硬磁性膜3を発生源とするノイズ
が増加する。面内硬磁性膜3の厚さは、10nm以上、
100nm未満(好ましくは45〜80mm)とするの
が好ましい。この厚さが上記範囲未満であると、軟磁性
下地膜4と面内硬磁性膜3の結合磁界が小さくなりスパ
イクノイズが発生しやすくなる。また厚さが上記範囲を
越えると、この面内硬磁性膜3を発生源とするノイズが
増加する。
【0011】軟磁性下地膜4は、情報を記録する垂直磁
性膜6の磁化をより強固に基板1と垂直な方向に固定す
るために設けられているものである。軟磁性下地膜4を
構成する軟磁性材料としては、Feを60at%以上含
有するFe合金を用いることができる。この材料として
は、FeCo系合金(FeCo、FeCoVなど)、F
eNi系合金(FeNi、FeNiMo、FeNiC
r、FeNiSiなど)、FeAl系合金(FeAl、
FeAlSi、FeAlSiCr、FeAlSiTiR
uなど)、FeCr系合金(FeCr、FeCrTi、
FeCrCuなど)、FeTa系合金(FeTa、Fa
TaCなど)、FeC系合金、FeN系合金、FeSi
系合金、FeP系合金、FeNb系合金、FeHf系合
金を挙げることができる。軟磁性下地膜4は、FeAl
O、FeMgO、FeTaN、FeZrNなどからなる
微細結晶を有する構造とすることができる。またこの微
細結晶がマトリクス中に分散されたグラニュラー構造と
することもできる。軟磁性下地膜4には、Coを80a
t%以上含有し、Zr、Nb、Ta、Cr、Mo等のう
ち少なくとも1種以上を含有するCo合金を用いること
もできる。例えば、CoZr、CoZrNb、CoZr
Ta、CoZrCr、CoZrMoなどを好適なものと
して挙げることができる。また、軟磁性下地膜4は、ア
モルファス構造をなす合金からなるものとすることもで
きる。
【0012】軟磁性下地膜4の磁化回復率は、0.85
以上(好ましくは0.9以上)に設定するのが好まし
い。この磁化回復率が上記範囲を下回ると、軟磁性下地
膜4内の磁区形成に起因するノイズが増加する。以下、
この磁化回復率について説明する。図2に示すように、
履歴曲線(MH曲線)において、磁化が飽和した状態
(符号aで示す位置)から外部磁場を減少させる過程
で、外部磁場が0となる位置bにおける磁化をMm+
する。外部磁場をさらに減少させると、符号cに示す位
置において軟磁性下地膜4の磁化減少率が大きくなり、
符号dに示す位置で軟磁性下地膜4の磁化が完全に反転
する(磁化反転位置)。この位置においては、面内硬磁
性膜3の磁化は未だ反転していない。この状態から外部
磁場を0となるまで増加させたとき(符号eで示す位
置)の磁化をMm-とする。上記磁化回復率は、Mm-
Mm+で表すことができる。また、磁化回復率の測定の
際には、磁化反転位置dを、外部磁場が−100(O
e)となる位置と考え、磁化飽和位置aから外部磁場を
−100(Oe)まで減少させ、次いで外部磁場を0
(Oe)まで増加させることによってMm-、Mm+を定
める方法をとることができる。
【0013】軟磁性下地膜4は、その飽和磁束密度Bs
が1T以上(好ましくは1.4T以上)であることが好
ましい。飽和磁束密度Bsが上記範囲未満であると、再
生波形の制御が難しくなり、膜を厚くする必要が生じ、
生産効率の低下を招く。軟磁性下地膜4の保磁力は、2
00(Oe)(15.8×103A/m)以下とするの
が好ましい。保磁力が上記範囲を越えると、磁気ヘッド
と軟磁性下地膜4との間に形成される閉磁路における磁
束の出入りの効率が低下し、記録特性が劣化する。
【0014】軟磁性下地膜4の厚さは、50〜200n
mとすることができる。この厚さが上記範囲未満である
と、磁気ヘッドと軟磁性下地膜4との間に形成される閉
磁路における磁束の出入りの効率が低下し、記録特性が
劣化する。また厚さが上記範囲を越えると、成膜に長時
間を要するようになり生産効率の低下を招く。軟磁性下
地膜4の厚さは、軟磁性下地膜4を構成する材料の飽和
磁束密度に応じて適宜設定することもできる。すなわ
ち、軟磁性下地膜を構成する材料の飽和磁束密度Bs
と、軟磁性下地膜4の膜厚tの積であるBs・tを、5
0T・nm以上(好ましくは100T・nm以上)とす
るのが望ましい。このBs・tが上記範囲未満である
と、磁気ヘッドと軟磁性下地膜4との間に形成される閉
磁路における磁束の出入りの効率が低下し、記録特性が
劣化する。Bs・tは、100〜300T・nmとする
のがより好ましい。Bs・tを上記範囲を越える値に設
定する場合には、膜を厚く形成する必要があり、生産性
が低下する。
【0015】軟磁性下地膜4は、表面(配向制御膜5側
の面)において、構成材料が部分的または完全に酸化さ
れた構成とすることができる。この酸化部分(酸化層)
の厚さは0.1nm以上3nm未満とするのが好まし
い。軟磁性下地膜4が酸化された状態はオージェ電子分
光法、SIMS法などにより確認することができる。ま
た軟磁性下地膜4表面の酸化部分(酸化層)の厚さは、
例えば媒体断面の透過型電子顕微鏡(TEM)写真によ
り求めることができる。
【0016】配向制御膜5は、直上に位置する垂直磁性
膜6の配向性や結晶粒径を制御するために設けられた膜
である。配向制御膜5の材料としては、hcp構造また
はfcc構造をとるものを例示できる。hcp構造をと
る材料としては、Ti、Zn、Y、Zr、Ru、Re、
Gd、Tb、Hfのうちから選ばれる1種または2種以
上を50at%以上含有するものを例示できる。具体例
としては、RuCr、HfB、HfCo、HfCr、E
rC、Ru−SiO2、Hf−SiO2、Hf−Al23
を挙げることができる。fcc構造をとる材料として
は、Ni、Cu、Pd、Ag、Pt、Ir、Au、Al
のうちから選ばれる1種または2種以上を50at%以
上含有するものを例示できる。具体例としては、NiC
rN、PdB、PdCr、AgCo、Ir−SiO2
Al−Al23を挙げることができる。
【0017】配向制御膜5の厚さは100nm以下(好
ましくは50nm以下)とするのが好適である。この膜
厚が上記範囲を越えると、配向制御膜5内で結晶粒の粒
径が大きくなり、垂直磁性膜6における磁性粒子が粗大
化しやすくなる。また記録再生時における磁気ヘッドと
軟磁性下地膜4との距離が大きくなり、再生信号の分解
能が低下し、ノイズ特性が劣化するため好ましくない。
配向制御膜5は、薄すぎれば垂直磁性膜6の結晶配向性
が劣化し記録再生特性が劣化するため、厚さが2nm以
上となるように形成するのが好ましい。
【0018】垂直磁性膜6は磁化容易軸が基板に対し主
に垂直に配向した磁性膜であり、この垂直磁性膜6に
は、Co合金を用いることが好ましい。Co合金として
は、CoCrPt合金、CoPt合金を例示できる。ま
たこれらの合金にTa、Zr、Nb、Cu、Re、R
u、V、Ni、Mn、Ge、Si、B、O、Nなどから
選ばれる少なくとも1種の元素を添加した合金を用いる
ことができる。また垂直磁性膜6には、非晶質構造をと
る材料、例えばTbFeCo系合金などの希土類元素合
金を用いることもできる。垂直磁性膜6は、厚さ方向に
均一な単層構造とすることもできるし、遷移金属(C
o、Co合金)からなる層と貴金属(Pt、Pd等)か
らなる層とを積層した多層構造とすることもできる。遷
移金属層には、Coを用いることもできるし、CoCr
Pt系合金、CoPt系合金等のCo合金を用いること
もできる。
【0019】垂直磁性膜6の厚さは、目的とする再生出
力によって適宜最適化すればよいが、単層構造型と多層
構造型のいずれの場合においても、厚すぎる場合には、
ノイズ特性の悪化や分解能の低下等の問題が起こりやす
いため、厚さを100nm以下(好ましくは3〜100
nm)とするのが好適である。また垂直磁性膜4の逆磁
区核形成磁界(−Hn)は、0(Oe)以上とするのが
好ましい。逆磁区核形成磁界(−Hn)が上記範囲未満
であると、熱揺らぎ耐性が低下する。逆磁区核形成磁界
(−Hn)とは、履歴曲線(MH曲線)において、磁化
が飽和した状態から外部磁場を減少させる過程で、外部
磁場が0となる点(例えば図2において符号bで示す位
置)から磁化減少率が急に大きくなる点(例えば図2に
おいて符号cで示す位置)までの距離(Oe)で表され
る数値である。なお、逆磁区核形成磁界(−Hn)は、
磁化減少率が急に大きくなる点が、外部磁場が負となる
領域にある場合に正の値をとり、逆に、この点が、外部
磁場が正となる領域にある場合に負の値をとる。
【0020】保護膜7は、垂直磁性膜6の腐食を防ぐと
ともに、磁気ヘッドが媒体に接触したときに媒体表面の
損傷を防ぎ、かつ磁気ヘッドと媒体の間の潤滑特性を確
保するためのもので、従来公知の材料を使用することが
可能である。例えばC、SiO2、ZrO2の単一組成、
またはこれらを主成分とし他元素を含むものが使用可能
である。保護膜7の厚さは、1〜10nmの範囲とされ
ることが望ましい。
【0021】潤滑膜8には、パーフルオロポリエーテ
ル、フッ素化アルコール、フッ素化カルボン酸など公知
の潤滑剤を使用することができる。その種類および膜厚
は、使用される保護膜や潤滑剤の特性に応じて適宜設定
することができる。
【0022】上記構成の磁気記録媒体を製造するには、
図1に示す基板1上に、スパッタ法などにより面内下地
膜2、面内硬磁性膜3、軟磁性下地膜4を形成し、次い
で、必要に応じてこの軟磁性下地膜4の表面に酸化処理
を施し、次いで配向制御膜5、垂直磁性膜6、保護膜7
を順次スパッタ法などにより形成する。次いで、ディッ
プコーティング法、スピンコート法などにより潤滑膜8
を形成する。軟磁性下地膜4の表面に酸化処理を施す場
合には、軟磁性下地膜4を形成した後、軟磁性下地膜4
を酸素含有ガスに曝す方法や、軟磁性下地膜4の表面に
近い部分を成膜する際に、プロセスガス中に酸素を導入
する方法を採ることができる。この軟磁性下地膜4の表
面酸化によって、軟磁性下地膜4の表面の磁気的な揺ら
ぎを抑え、かつ軟磁性下地膜4上に形成される配向制御
膜5の結晶粒を微細化してノイズ特性の改善効果を得る
ことができる。また軟磁性下地膜4表面の酸化部分(酸
化層)によって、軟磁性下地膜4からの腐食性物質が媒
体表面に移動するのを抑え、媒体表面の腐食の発生を防
ぐことができる。
【0023】保護膜7の形成方法としては、カーボンタ
ーゲットを用いたスパッタ法や、CVD法、イオンビー
ム法を用いることができる。CVD法、イオンビーム法
を用いる場合には、極めて硬度の高い保護膜7を形成す
ることができるため、スパッタ法により形成された保護
膜に比べ、大幅に薄くすることが可能となる。よって、
記録再生時のスペーシングロスを小さくし、高密度の記
録再生を行うことができる。
【0024】本実施形態の磁気記録媒体では、非磁性基
板1と軟磁性下地膜4との間に、面内下地膜2と面内硬
磁性膜3が設けられているので、面内硬磁性膜3と軟磁
性下地膜4との間に磁気的な交換結合を形成させ、軟磁
性下地膜4の磁化方向を強制的に基板半径方向に向ける
ことができる。このため、軟磁性下地膜4において磁区
が形成されないようにし、スパイクノイズ発生を防ぐこ
とができる。
【0025】この磁気記録媒体は、面内硬磁性膜3がC
oCrPtX系合金(Xは、B、Ta、Cu、Zr、N
b、Re、Ni、Mn、Ge、Si、O、Nのうちから
選ばれる1種または2種以上)を含むものであるので、
SmCo合金からなる硬磁性膜を有する従来品に比べ、
面内硬磁性膜3における面内方向の結晶配向性を良好と
するとともに、磁性粒子の微細化を図ることができる。
このため、面内硬磁性膜3を原因とするノイズ発生を低
く抑えることができる。また面内下地膜2を設けたの
で、面内硬磁性膜3の面内方向の結晶配向性をさらに高
めるとともに、磁性粒子をいっそう微細化することがで
きる。このため、ノイズをさらに低減することができ
る。よって、軟磁性下地膜4を薄く形成した場合でもノ
イズの増加を抑えることができる。従って、軟磁性下地
膜4を薄膜化することによって生産効率を高めることが
でき、しかも優れたノイズ特性を得ることができる。
【0026】また上記製造方法によれば、非磁性基板1
と軟磁性下地膜4との間に、面内下地膜2と面内硬磁性
膜3とを設けるので、面内硬磁性膜3を原因とするノイ
ズを抑えることができる。従って、軟磁性下地膜4を薄
膜化することによって生産効率を高めることができ、し
かも優れたノイズ特性を得ることができる。
【0027】図3は、本発明の磁気記録媒体の第2の実
施形態を示すものである。ここに示す磁気記録媒体は、
非磁性基板1と面内下地膜2との間に、シード膜9が設
けられている点で図1に示す磁気記録媒体と異なる。シ
ード膜9は、直上に形成される面内下地膜2の結晶配向
性を高めるためのもので、その材料としては、NiA
l、FeAl、CoFe、CoZr、NiTi、AlC
o、AlRu、CoTi、CrTaのうち1種または2
種以上を主成分とするものが使用できる。本実施形態で
は、シード膜9を設けることによって、面内下地膜2お
よび面内硬磁性膜3の結晶配向性を高め、媒体ノイズを
さらに低く抑えることができる。
【0028】図4は、本発明の磁気記録媒体の第3の実
施形態を示すものである。ここに示す磁気記録媒体は、
面内下地膜2と面内硬磁性膜3との間に、面内中間膜1
0が設けられている点で図1に示す磁気記録媒体と異な
る。面内中間膜10は、面内硬磁性膜3の結晶配向性を
高めるためのもので、その材料としては、非磁性のCo
合金を用いることができる。このCo合金としては、C
r、Ta、Zr、Nb、Cu、Re、Ru、Ni、M
n、Ge、Si、O、N、Bから選ばれる1種または2
種以上の元素をCoに添加した合金を用いることができ
る。なかでも特に、CoCr合金を用いるのが好まし
い。面内中間膜10の厚さは、1〜20nmとするのが
好ましい。本実施形態では、面内中間膜10を設けるこ
とによって、面内硬磁性膜3において配向性を向上さ
せ、面内硬磁性膜3における保磁力Hcなどの磁気特性
を高めることができる。
【0029】図5は、本発明の磁気記録媒体の第4の実
施形態を示すものである。ここに示す磁気記録媒体で
は、軟磁性下地膜4と配向制御膜5の間に、配向制御下
地膜11が設けられている点で図1に示す磁気記録媒体
と異なる。配向制御下地膜11は、配向制御膜5の結晶
配向性を高めるためのもので、その材料としては、B2
構造をなすものを用いるのが好ましい。この材料として
は、NiAl、FeAl、CoFe、CoZr、NiT
i、AlCo、AlRu、CoTiのうち1種または2
種以上の合金を主成分とするものが使用できる。またこ
れらの合金にCr、Mo、Si、Mn、W、Nb、T
i、Zr、B、O、N等の元素を添加した材料を用いる
こともできる。配向制御下地膜11の厚さは、30nm
以下とするのが好ましい。この厚さが上記範囲を越える
と、垂直磁性膜6と軟磁性下地膜4との距離が大きくな
り、分解能が低下し、ノイズ特性が劣化する。配向制御
下地膜11の厚さは、0.1nm以上とするのが好まし
い。本実施形態では、配向制御下地膜11を設けること
によって、配向制御膜5および垂直磁性膜6の配向性を
高め、垂直磁性膜6において保磁力Hcなどの磁気特性
を高めることができる。
【0030】図6は、本発明の磁気記録媒体の第5の実
施形態を示すものである。ここに示す磁気記録媒体で
は、配向制御膜5と垂直磁性膜6との間に、非磁性中間
膜12が設けられている点で図1に示す磁気記録媒体と
異なる。非磁性中間膜12は、垂直磁性膜6の結晶配向
性を高めるためのもので、その材料としては、非磁性の
Co合金を用いることができる。このCo合金として
は、Cr、Ta、Zr、Nb、Cu、Re、Ru、N
i、Mn、Ge、Si、O、N、Bから選ばれる1種ま
たは2種以上の元素をCoに添加した合金を用いること
ができる。なかでも特に、CoCr合金を用いるのが好
ましい。非磁性中間膜12は、厚すぎると垂直磁性膜6
と軟磁性下地膜4との距離が大きくなることにより分解
能が低下しノイズ特性が悪化するため、20nm以下と
するのが好ましく、10nm以下とするのがより好まし
い。本実施形態では、非磁性中間膜12を設けることに
よって、垂直磁性膜6の配向性を向上させ、保磁力Hc
などの磁気特性を高めることができる。
【0031】図7は、本発明の磁気記録媒体の第6の実
施形態を示すものである。ここに示す磁気記録媒体で
は、垂直磁性膜6と保護膜7との間に、磁化安定膜13
が設けられている点で図1に示す磁気記録媒体と異な
る。磁化安定膜13の材料としては、軟磁性下地膜4に
用い得る材料として例示したものを使用できる。磁化安
定膜13の保磁力Hcは200(Oe)以下(好ましく
は50(Oe)以下)とするのが好ましい。磁化安定膜
13の飽和磁束密度Bsは、0.4T以上(好ましくは
1T以上)とするのが好ましい。また、磁化安定膜13
の飽和磁束密度膜厚積Bs・tは7.2T・nm以下で
あること好ましい。このBs・tが上記範囲を越えると
再生出力が低下する。
【0032】磁化安定膜13は、表面において構成材料
が部分的、あるいは完全に酸化されている構成とするこ
とができる。すなわち磁化安定膜13の表面(保護膜7
側または垂直磁性膜6側の面)およびその近傍(表面か
ら所定の深さの領域)において、構成材料が部分的また
は全体的に酸化された構成とすることができる。
【0033】本実施形態では、磁化安定膜13を設ける
ことによって、垂直磁性膜6の表面における磁化の揺ら
ぎを抑えることができる。このため、漏れ磁束が揺らぎ
の影響を受けなくなり、再生出力が増加する。また磁化
安定膜13が設けられていることにより、垂直磁性膜6
の垂直方向の磁化と、軟磁性下地膜4および磁化安定膜
13の面内方向の磁化が、閉回路を形成するようにな
る。この作用により、垂直磁性膜6の磁化がより強固に
垂直方向に固定されるため、熱揺らぎ耐性が向上する。
また磁化安定膜13の表面が酸化された構成とする場合
には、磁化安定膜13の表面の磁気的な揺らぎを抑える
ことができるため、この磁気的な揺らぎに起因するノイ
ズを低減し、磁気記録媒体の記録再生特性を改善するこ
とができる。
【0034】図8は、本発明に係る磁気記録再生装置の
一例を示す断面構成図である。この図に示す磁気記録再
生装置は、上記構成の磁気記録媒体20と、この磁気記
録媒体20を回転駆動させる媒体駆動部21と、磁気記
録媒体20に対して情報の記録再生を行う磁気ヘッド2
2と、磁気ヘッド22を駆動させるヘッド駆動部23
と、記録再生信号処理系24とを備えている。記録再生
信号系24は、入力されたデータを処理して記録信号を
磁気ヘッド22に送ったり、磁気ヘッド22からの再生
信号を処理してデータを出力することができるようにな
っている。
【0035】磁気ヘッド22としては、単磁極ヘッドを
用いるのが好ましい。図9は、単磁極ヘッドの一例を示
すもので、単磁極ヘッド22は、磁極25と、コイル2
6とから概略構成されている。磁極25は、幅の狭い主
磁極27と幅広の補助磁極28とを有する側面視略コ字
状に形成され、主磁極27は、記録時に垂直磁性膜6に
印加される磁界を発生し、再生時に垂直磁性膜6からの
磁束を検出することができるようになっている。
【0036】単磁極ヘッド22を用いて、磁気記録媒体
20への記録を行う際には、主磁極27の先端から発せ
られた磁束が、垂直磁性膜6を、基板1に対し垂直な方
向に磁化させる。この際、磁気記録媒体20には軟磁性
下地膜4が設けられているため、単磁極ヘッド22の主
磁極27からの磁束は、垂直磁性膜6、軟磁性下地膜4
を通じて補助磁極28へと導かれ、閉磁路を形成する。
この閉磁路が単磁極ヘッド22と磁気記録媒体20との
間に形成されることにより、磁束の出入りの効率が増
し、高密度の記録再生が可能になる。また本発明では、
磁気ヘッドとして、単磁極ヘッド以外のもの、例えば再
生部に巨大磁気抵抗(GMR)素子を備えた複合型薄膜
磁気記録ヘッドを用いることもできる。
【0037】本実施形態の磁気記録再生装置は、磁気記
録媒体20が、非磁性基板1と軟磁性下地膜4との間
に、面内下地膜2と面内硬磁性膜3とを設けた構成とさ
れているので、面内硬磁性膜3を原因とするノイズを抑
えることができる。よって、軟磁性下地膜4を薄膜化す
ることによって生産効率を高めることができ、しかも優
れたノイズ特性を得ることができる。従って、高密度の
記録再生が可能となる。
【0038】
【実施例】以下、実施例を示して本発明の作用効果を明
確にする。 (実施例1)洗浄済みのガラス基板1(オハラ社製、外
径2.5インチ)をDCマグネトロンスパッタ装置(ア
ネルバ社製C−3010)の成膜チャンバ内に収容し、
到達真空度1×10-5Paとなるまで成膜チャンバ内を
排気した後、このガラス基板1上に、50Ni50Al
からなるシード膜9(厚さ50nm)、94Cr6Mo
からなる面内下地膜2(厚さ15nm)、61Co22
Cr12Pt5Bからなる面内硬磁性膜3(厚さ50n
m)、92Co4Ta4Zrからなる軟磁性下地膜4
(厚さ150nm)を形成した。振動式磁気特性測定装
置(VSM)を用いた測定の結果、軟磁性下地膜4のB
sは1.3Tであることを確認した。軟磁性下地膜4の
静磁気特性を、Kerr効果測定装置を用いて測定した
ところ、保磁力は4570(Oe)、逆磁区核形成磁界
(−Hn)は750(Oe)であった。上記成膜時に
は、プロセスガスとしてアルゴンを用い、ガス圧力は
0.5Paに設定した。また成膜時の温度条件は200
℃とした。次いで、CVD法を用いてカーボンからなる
保護膜7を形成した。次いで、ディップコーティング法
によりパーフルオロポリエーテルからなる潤滑膜8を形
成し、磁気記録媒体を得た(表1を参照)。なお上記合
金材料の記載において、aAbBは、a(at%)A−
b(at%)Bを示す。例えば61Co22Cr12P
t5Bは、61at%Co−22at%Cr−12at
%Pt−5at%B(Co含有率61at%、Cr含有
率22at%、Pt含有率12at%、B含有率5at
%)を意味する。
【0039】(比較例1)面内硬磁性膜3の材料として
表1に示すものを用いること以外は実施例1に準じて磁
気記録媒体を作製した(表1を参照)。
【0040】(比較例2)面内下地膜2の材料として表
1に示すものを用いること以外は実施例1に準じて磁気
記録媒体を作製した(表1を参照)。
【0041】(比較例3)シード膜9、面内下地膜2を
設けず、面内硬磁性膜3にSmCoを用いること以外は
実施例1に準じて磁気記録媒体を作製した(表1を参
照)。
【0042】(比較例4)シード膜9、面内下地膜2、
面内硬磁性膜3を設けないこと以外は実施例1に準じて
磁気記録媒体を作製した(表1を参照)。
【0043】(実施例2)軟磁性下地膜4上に、50N
i50Alからなる配向制御下地膜11(厚さ8n
m)、Ruからなる配向制御膜5(厚さ10nm)、6
5Co17Cr16Pt2Bからなる垂直磁性膜6(厚
さ25nm)を形成したこと以外は実施例1に準じて磁
気記録媒体を作製した(表2を参照)。透過型電子顕微
鏡(TEM)を用いた観察の結果、垂直磁性膜6におけ
る平均結晶粒径は9nmであった。
【0044】(比較例5)面内硬磁性膜3の材料として
表2に示すものを用いること以外は実施例2に準じて磁
気記録媒体を作製した(表2を参照)。
【0045】(比較例6)面内下地膜2の材料として表
2に示すものを用いること以外は実施例2に準じて磁気
記録媒体を作製した(表2を参照)。
【0046】(比較例7)シード膜9、面内下地膜2を
設けず、面内硬磁性膜3にSmCoを用いること以外は
実施例2に準じて磁気記録媒体を作製した(表2を参
照)。
【0047】(比較例8)シード膜9、面内下地膜2、
面内硬磁性膜3を設けないこと以外は実施例2に準じて
磁気記録媒体を作製した(表2を参照)。
【0048】(実施例3〜14)面内硬磁性膜3に表3
に示す材料を用いること以外は実施例1に準じて磁気記
録媒体を作製した(表3を参照)。
【0049】(実施例15、16)軟磁性下地膜4の磁
化回復率を表4に示すとおりとすること以外は実施例1
に準じて磁気記録媒体を作製した(表4を参照)。
【0050】(実施例17、18)面内硬磁性膜3の保
磁力角型比S*を表5に示すとおりとすること以外は実
施例1に準じて磁気記録媒体を作製した(表5を参
照)。
【0051】(実施例19〜28)軟磁性下地膜4の材
料および厚さを表6に示すとおりとすること以外は実施
例2に準じて磁気記録媒体を作製した(表6を参照)。
【0052】(実施例29〜40)配向制御下地膜11
および配向制御膜5の材料および厚さを表7に示すとお
りとすること以外は実施例2に準じて磁気記録媒体を作
製した(表7を参照)。
【0053】(実施例41〜49)垂直磁性膜6の材料
および厚さを表8に示すとおりとすること以外は実施例
2に準じて磁気記録媒体を作製した(表8を参照)。
【0054】(実施例50〜53)軟磁性下地膜4の表
面を酸素含有ガス(曝露ガス)に曝すことによって、軟
磁性下地膜4に酸化処理を施すこと以外は実施例2に準
じて磁気記録媒体を作製した。曝露ガスとしては、純酸
素(100%O2)、または酸素アルゴン混合ガス(混
合比:50vol%O2−50vol%Ar)を用い
た。この磁気記録媒体の構成、および上記曝露によって
軟磁性下地膜4の表面に形成された酸化層の厚さを表9
に示す。
【0055】(実施例54)軟磁性下地膜4を形成する
際に、プロセスガス(成膜ガス)として、Ar(100
%)を用い、次いで酸素アルゴン混合ガス(混合比:1
0vol%O2−90vol%Ar)を用いること以外
は実施例2に準じて磁気記録媒体を作製した。酸素アル
ゴン混合ガスの使用によって、軟磁性下地膜4の表面付
近に酸化層が形成された。この酸化層の厚さを表9に併
せて示す。
【0056】(実施例55〜62)非磁性中間膜12を
設け、この非磁性中間膜12の材料および厚さを表10
に示すとおりとすること以外は実施例2に準じて磁気記
録媒体を作製した(表10を参照)。
【0057】(実施例63〜67)磁化安定膜13を設
け、この磁化安定膜13の材料および厚さを表11に示
すとおりとすること以外は実施例2に準じて磁気記録媒
体を作製した(表11を参照)。
【0058】(実施例68〜70)面内硬磁性膜3を形
成する際の温度条件を変化させることによって、面内硬
磁性膜3の保磁力を変えること以外は実施例1に準じて
磁気記録媒体を作製した(表12を参照)。
【0059】各磁気記録媒体の磁気特性を、振動式磁気
特性測定装置(VSM)、GUZIK社製リードライト
アナライザRWA1632、およびスピンスタンドS1
701MPを用いて測定した。測定結果を表1〜12に
示す。熱揺らぎ耐性の評価は、基板を70℃に加熱して
線記録密度50kFCIにて書き込みをおこなった後、
書き込み後1秒後の再生出力に対する出力の低下率(%
/decade)を、(So−S)×100/(So×
3)に基づいて算出した。この式において、Soは磁気
記録媒体に信号記録後1秒経過時の再生出力を示し、S
は1000秒後の再生出力を示す。
【0060】
【表1】
【0061】
【表2】
【0062】
【表3】
【0063】
【表4】
【0064】
【表5】
【0065】
【表6】
【0066】
【表7】
【0067】
【表8】
【0068】
【表9】
【0069】
【表10】
【0070】
【表11】
【0071】
【表12】
【0072】表1および表2より、非磁性基板1と軟磁
性下地膜4との間に、CoCrPtBからなる面内硬磁
性膜3を設けた実施例では、硬磁性膜にCoPtやSm
Coを用いた比較例に比べ、優れたノイズ特性が得られ
たことがわかる。また下地膜2にCr合金を用いた実施
例では、下地膜にVを用いた比較例に比べ、優れたノイ
ズ特性が得られたことがわかる。表3より、面内硬磁性
膜3の飽和磁化Msを200(memu/cm3)以
上、600(memu/cm3)未満の範囲とし、かつ
面内硬磁性膜3の厚さを10nm以上、100nm未満
の範囲とすることによって、ノイズ低減が可能となった
ことがわかる。表4より、軟磁性下地膜4の磁化回復率
を0.85以上とすることによって、ノイズ低減が可能
となったことがわかる。表5より、面内硬磁性膜3の保
磁力角型比S*を0.6以上とすることによって、ノイ
ズ低減が可能となったことがわかる。表6より、軟磁性
下地膜4の飽和磁束密度Bsを1T以上(特に1.4T
以上)とすることによって、記録再生特性を向上させる
ことができたことがわかる。また軟磁性下地膜4を厚く
形成し、Bs・tを50T・nm以上とすることによっ
て、特に優れた記録再生特性が得られたことがわかる。
表7より、配向制御膜5に表7に示す材料を用いた場合
には、優れた記録再生特性が得られたことがわかる。表
8より、垂直磁性膜6に表8に示す材料を用いた場合に
は、優れた記録再生特性が得られたことがわかる。表9
より、軟磁性下地膜4の酸化によって、優れた記録再生
特性が得られたことがわかる。表10より、非磁性中間
膜12を設けることによって、記録再生特性および熱揺
らぎ特性の点で優れた結果が得られたことがわかる。表
11より、磁化安定膜13を設けることによって、記録
再生特性および熱揺らぎ特性の点で優れた結果が得られ
たことがわかる。表12より、面内硬磁性膜3の保磁力
を1000(Oe)以上とすることによって、記録再生
特性に優れた磁気記録媒体が得られたことがわかる。ま
た保磁力を2000(Oe)以上とすることによって、
さらに優れた結果が得られたことがわかる。
【0073】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の磁気記録
媒体にあっては、非磁性基板と軟磁性下地膜との間に、
面内下地膜と、磁化容易軸が主に面内方向に向いた面内
硬磁性膜とが形成され、面内下地膜は、CrまたはCr
合金からなるものであり、面内硬磁性膜は、CoCrP
tX系合金(Xは、B、Ta、Cu、Zr、Nb、R
e、Ni、Mn、Ge、Si、O、Nのうちから選ばれ
る1種または2種以上)を含むものであるので、面内硬
磁性膜を原因とするノイズを抑えることができる。よっ
て、軟磁性下地膜を薄く形成した場合でもノイズの増加
を抑えることができる。従って、軟磁性下地膜を薄膜化
することによって生産効率を高めることができ、しかも
優れたノイズ特性を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の磁気記録媒体の第1の実施形態を
示す一部断面図である。
【図2】 磁化回復率を説明するための説明図であ
る。
【図3】 本発明の磁気記録媒体の第2の実施形態を
示す一部断面図である。
【図4】 本発明の磁気記録媒体の第3の実施形態を
示す一部断面図である。
【図5】 本発明の磁気記録媒体の第4の実施形態を
示す一部断面図である。
【図6】 本発明の磁気記録媒体の第5の実施形態を
示す一部断面図である。
【図7】 本発明の磁気記録媒体の第6の実施形態を
示す一部断面図である。
【図8】 本発明の磁気記録再生装置の一実施形態を
示す概略構成図である。
【図9】 図8に示す磁気記録再生装置に使用される
磁気ヘッドの一例を示す構成図である。
【符号の説明】
1…非磁性基板、2・・・面内下地膜、3・・・面内硬磁性
膜、4…軟磁性下地膜、5…配向制御膜、6…垂直磁性
膜、7…保護膜、20…磁気記録媒体、22…磁気ヘッ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 坂脇 彰 千葉県市原市八幡海岸通5番の1 昭和電 工エイチ・ディー株式会社内 (72)発明者 酒井 浩志 千葉県市原市八幡海岸通5番の1 昭和電 工エイチ・ディー株式会社内 (72)発明者 中村 太 神奈川県川崎市幸区柳町70番地 株式会社 東芝柳町工場内 (72)発明者 彦坂 和志 神奈川県川崎市幸区柳町70番地 株式会社 東芝柳町工場内 Fターム(参考) 5D006 BB02 CA03 CA05 CA06 DA03 DA08 EA03 FA09 5D112 AA03 AA04 AA24 BD03 BD04 FA04

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非磁性基板上に、少なくとも軟磁性材
    料からなる軟磁性下地膜と、直上の膜の配向性を制御す
    る配向制御膜と、磁化容易軸が基板に対し主に垂直に配
    向した垂直磁性膜と、保護膜とが設けられ、 非磁性基板と軟磁性下地膜との間に、面内下地膜と、磁
    化容易軸が主に面内方向に向いた面内硬磁性膜とが形成
    され、 面内下地膜は、CrまたはCr合金からなるものであ
    り、 面内硬磁性膜は、CoCrPtX系合金(Xは、B、T
    a、Cu、Zr、Nb、Re、Ni、Mn、Ge、S
    i、O、Nのうちから選ばれる1種または2種以上)を
    含むものであることを特徴とする磁気記録媒体。
  2. 【請求項2】 軟磁性下地膜の磁化回復率が0.85
    以上であることを特徴とする請求項1記載の磁気記録媒
    体。
  3. 【請求項3】 面内硬磁性膜の保磁力角型比S*が0.
    6以上であることを特徴とする請求項1または2記載の
    磁気記録媒体。
  4. 【請求項4】 面内硬磁性膜の保磁力Hcが1000
    (Oe)以上、飽和磁化Msが200(memu/cm
    3)以上、600(memu/cm3)未満であり、厚さ
    が10nm以上、100nm未満であることを特徴とす
    る請求項1〜3のうちいずれか1項記載の磁気記録媒
    体。
  5. 【請求項5】 軟磁性下地膜の膜厚が50〜200n
    mであることを特徴とする請求項1〜4のうちいずれか
    1項記載の磁気記録媒体。
  6. 【請求項6】 非磁性基板上に、少なくとも軟磁性材
    料からなる軟磁性下地膜と、直上の膜の配向性を制御す
    る配向制御膜と、磁化容易軸が基板に対し主に垂直に配
    向した垂直磁性膜と、保護膜とを形成する磁気記録媒体
    の製造方法であって、 非磁性基板と軟磁性下地膜との間に、面内下地膜と、磁
    化容易軸が主に面内方向に向いた面内硬磁性膜とを順次
    形成し、面内下地膜を、CrまたはCr合金からなるも
    のとし、面内硬磁性膜を、CoCrPtX系合金(X
    は、B、Ta、Cu、Zr、Nb、Re、Ni、Mn、
    Ge、Si、O、Nのうちから選ばれる1種または2種
    以上)を含むものとすることを特徴とする磁気記録媒体
    の製造方法。
  7. 【請求項7】 磁気記録媒体と、該磁気記録媒体に情
    報を記録再生する磁気ヘッドとを備えた磁気記録再生装
    置であって、 磁気記録媒体は、非磁性基板上に、少なくとも軟磁性材
    料からなる軟磁性下地膜と、直上の膜の配向性を制御す
    る配向制御膜と、磁化容易軸が基板に対し主に垂直に配
    向した垂直磁性膜と、保護膜とが設けられ、 非磁性基板と軟磁性下地膜との間に、面内下地膜と、磁
    化容易軸が主に面内方向に向いた面内硬磁性膜とが形成
    され、 面内下地膜は、CrまたはCr合金からなるものであ
    り、 面内硬磁性膜は、CoCrPtX系合金(Xは、B、T
    a、Cu、Zr、Nb、Re、Ni、Mn、Ge、S
    i、O、Nのうちから選ばれる1種または2種以上)を
    含むものであることを特徴とする磁気記録再生装置。
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