JP5894780B2 - 磁気記録媒体の製造方法 - Google Patents

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本発明は、磁気記録媒体の製造方法に関するものである。
磁気記録再生装置の一種であるハードディスク装置(HDD)は、現在その記録密度が年率50%以上増えており、今後も増加傾向が続くと言われている。ハードディスク装置の記録密度の増加に伴って、高記録密度化に適した磁気ヘッド及び磁気記録媒体の開発が進められている。
現在市販されている磁気記録再生装置には、磁気記録媒体として、磁性膜内の磁化容易軸が垂直に配向した、いわゆる垂直磁気記録媒体が搭載されているものがある。垂直磁気記録媒体は、高記録密度化した際にも記録ビット間の境界領域における反磁界の影響が小さく、鮮明なビット境界が形成されるため、ノイズの増加が抑えられる。しかも、垂直磁気記録媒体は、高記録密度化に伴う記録ビット体積の減少が少なくて済むため、熱揺らぎ特性に優れている。
また、磁気記録媒体の更なる高記録密度化という要望に応えるべく、磁気ヘッドとして、垂直磁性層に対する書き込み能力に優れた単磁極ヘッドを用いることが検討されている。具体的には、記録層である垂直磁性層と非磁性基板との間に、裏打ち層と称される軟磁性材料からなる層を設けることにより、単磁極ヘッドと磁気記録媒体との間における磁束の出入りの効率を向上させた磁気記録媒体が提案されている。
また、垂直磁気記録媒体の記録再生特性および熱揺らぎ特性を向上させるために、配向制御層を用い、多層の磁性層を形成して、それぞれの磁性層の結晶粒子を連続した柱状晶とし、これにより磁性層の垂直配向性を高めることが提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
また、磁気記録媒体の配向制御層(下地層)としてRuを用いること、配向制御層を2層構造とし、初期層部分は低ガス圧で形成し、表面部分は初期層部分よりも高いガス圧で成膜することが提案されている(例えば、特許文献2を参照)。
また、Ruは、柱状晶の頂部にドーム状の凸部が形成されるものであるため、この凸部上に磁性層等の結晶粒子を成長させ、成長した結晶粒子の分離構造を促進し、結晶粒子を孤立化させて、磁性粒子を柱状に成長させる効果を有することが知られている(例えば、特許文献3を参照)。
特開2004−310910号公報 特開2004−22138号公報 特開2007−272990号公報
ところで、磁気記録媒体に対する高記録密度化の要求は留まることがなく、磁気記録媒体には今まで以上に高い特性の向上が求められている。具体的に、磁気記録媒体の記録密度を高めるためには、上述した配向制御層を構成する結晶を微細化し、この上に形成される柱状構造の磁性粒子を微細化する必要がある。
本発明は、このような従来の事情に鑑みて提案されたものであり、垂直磁性層の高い垂直配向性を維持し、更なる高記録密度化を可能とした磁気記録媒体の製造方法、そのような製造方法を用いて製造された磁気記録媒体、並びにそのような磁気記録媒体を備える磁気記録再生装置を提供することを目的とする。
本発明は、以下の手段を提供する。
(1) 少なくとも非磁性基板の上に、軟磁性裏打ち層と、シード層と、中間層と、垂直磁性層とを順次積層した磁気記録媒体の製造方法であって、
前記シード層として、共晶組織を構成する2種類以上の元素を含み、且つ、柱状の結晶核がドット状に分散された共晶合金膜を形成した後に、この共晶合金膜の表面に対してエッチング処理を施すことで、前記結晶核が表面から突出した微結晶膜を形成することを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
(2) 前記共晶合金膜をスパッタ成膜した後に、フッ素、塩素、水素、酸素の中から選ばれる元素を少なくとも1つ以上含むエッチングガスを用いて、この共晶合金膜の表面に対してエッチング処理を施すことで、前記結晶核が表面から突出した微結晶膜を形成することを特徴とする前項(1)に記載の磁気記録媒体の製造方法。
(3) 前記シード層として、共晶組織を構成する少なくともAl、Si、Ge、Cの中から選ばれる一の元素と、この一の元素よりもエッチングレートの低いAl、Pd、Ag、Au、Sb、Ru、Cu、Pt、Coの中から選ばれる他の元素とを含み、且つ、柱状の結晶核がドット状に分散された共晶合金膜を形成した後に、この共晶合金膜の表面に対してエッチング処理を施すことで、前記他の元素を含む結晶核が表面から突出した微結晶膜を形成することを特徴とする前記(1)又は(2)に記載の磁気記録媒体の製造方法。
(4) 前記シード層として、AlRu、AlCuの何れかを含み、且つ、柱状の結晶核がドット状に分散された共晶合金膜を形成した後に、この共晶合金膜の表面に対してエッチング処理を施すことで、Ru、Cuの何れかを含む結晶核が表面から突出した微結晶膜を形成することを特徴とする前項(3)に記載の磁気記録媒体の製造方法。
(5) 前記シード層として、AlSi、PdSi、AgSi、AuSiの何れかを含み、且つ、柱状の結晶核がドット状に分散された共晶合金膜を形成した後に、この共晶合金膜の表面に対してエッチング処理を施すことで、Al、Pd、Ag、Auの何れかを含む結晶核が表面から突出した微結晶膜を形成することを特徴とする前項(3)に記載の磁気記録媒体の製造方法。
(6) 前記シード層として、AlGe、PdGe、AgGe、AuGe、SbGeの何れかを含み、且つ、柱状の結晶核がドット状に分散された共晶合金膜を形成した後に、この共晶合金膜の表面に対してエッチング処理を施すことで、Al、Pd、Ag、Au、Sbの何れかを含む結晶核が表面から突出した微結晶膜を形成することを特徴とする前項(3)に記載の磁気記録媒体の製造方法。
(7) 前記シード層として、RuC、PtC、CoCの何れかを含み、且つ、柱状の結晶核がドット状に分散された共晶合金膜を形成した後に、この共晶合金膜の表面に対してエッチング処理を施すことで、Ru、Pt、Coの何れかを含む結晶核が表面から突出した微結晶膜を形成することを特徴とする前項(3)に記載の磁気記録媒体の製造方法。
(8) 前記軟磁性裏打ち層として、アモルファス構造を有するCo合金膜を形成する前項(1)〜(7)の何れか一項に記載の磁気記録媒体の製造方法。
(9) 前記中間層として、Ru又はRu合金膜を形成することを特徴とする前項(1)〜(8)の何れか一項に記載の磁気記録媒体の製造方法。
(10) 前記垂直磁性層を構成する結晶粒子が前記中間層を構成する結晶粒子と共に厚み方向に連続した柱状晶を構成するように、前記シード層を起点にして各層を結晶成長させることを特徴とする前項(1)〜(9)の何れか一項に記載の磁気記録媒体の製造方法。
(11) 少なくとも非磁性基板の上に、軟磁性裏打ち層と、シード層と、中間層と、垂直磁性層とが、この順で積層された磁気記録媒体であって、
前記シード層は、結晶核が表面から突出した微結晶膜からなり、
前記中間層及び前記垂直磁性層は、前記結晶核を起点にして、それぞれの結晶粒子が厚み方向に連続した柱状晶を構成していることを特徴とする磁気記録媒体。
(12) 前記シード層は、Al、Pd、Ag、Au、Sb、Ru、Pt、Coの中から選ばれる元素を含む結晶核が表面から突出した微結晶膜からなることを特徴とする前項(11)に記載の磁気記録媒体。
(13) 前記軟磁性裏打ち層は、アモルファス構造を有するCo合金膜からなることを特徴とする前項(11)又は(12)に記載の磁気記録媒体。
(14) 前記中間層は、Ru又はRu合金膜からなることを特徴とする前項(12)〜(13)の何れか一項に記載の磁気記録媒体。
(15) 前項(1)〜(10)の何れか一項に記載の製造方法により製造された磁気記録媒体、又は、前項(11)〜(14)の何れか一項に記載の磁気記録媒体と、
前記磁気記録媒体に対する情報の記録再生を行う磁気ヘッドとを備えることを特徴とする磁気記録再生装置。
以上のように、本発明では、シード層を起点にして、中間層から垂直磁性層の最上層に至るまで厚み方向に連続して結晶成長させた各層の柱状晶を、微細且つ均質な粒径を有する結晶粒子によって構成することができる。これにより、垂直磁性層の高い垂直配向性を維持し、更なる高記録密度化を可能とした磁気記録媒体、並びにそのような磁気記録媒体を備えた磁気記録再生装置を提供することが可能である。
各層の柱状晶が基板面に対して垂直に成長した状態を示す断面図である。 AlSi合金の状態図である。 56Al−44Si合金の結晶組織を模式的に示した図であり、(a)はその平面図、(b)はその断面図、(c)はそのエッチング後の断面図である。 87.4Al−12.6Si合金の結晶組織を模式的に示した図であり、(a)はその平面図、(b)はその断面図、(c)はそのエッチング後の断面図である。 92Al−8Si合金の結晶組織を模式的に示した図であり、(a)はその平面図、(b)はその断面図、(c)はそのエッチング後の断面図である。 本発明を適用した磁気記録媒体の特徴部分を模式的に示す断面図である。 本発明を適用した磁気記録媒体の一例を示す断面図である。 磁性層と非磁性層との積層構造を拡大して示す断面図である。 磁気記録再生装置の一例を示す斜視図である。
以下、本発明を適用した磁気記録媒体及び磁気記録再生装置について、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の説明で用いる図面は、特徴をわかりやすくするために、便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らないものとする。
上述したように、多層化した磁性層の垂直配向性を高め、なお且つ、磁性粒子を微細化し、その結晶粒径を均質化する(粒径分布のばらつきを小さくする)ためには、軟磁性裏打ち層(SUL)と垂直磁性層との間に配置される配向制御層(本発明のシード層及び中間層を含む層)を構成する結晶粒子を微細化し、その結晶粒径を均質化する必要がある。
すなわち、図1に示すように、配向制御層11には、この配向制御層11を構成する各柱状晶S’の頂部をドーム状の凸とする凹凸面11aが形成され、この凹凸面11aから厚み方向に磁性層(又は非磁性層)12の結晶粒子が柱状晶S1’となって成長する。また、この柱状晶S1’の上に形成される非磁性層(又は磁性層)13及び最上層の磁性層14の結晶粒子も、柱状晶S1’に連続した柱状晶S2’,S3’となってエピタキシャル成長する。
このように、磁性層12〜14を多層化した場合、これら各層12〜14を構成する結晶粒子は、配向制御層11から最上層の磁性層14に至るまで連続した柱状晶S1’〜S3’となってエピタキシャル成長を繰り返す。なお、図1に示す層13は、グラニュラー構造を有する層であり、この層13を形成する柱状晶S2の周囲には酸化物15が形成されている。
したがって、配向制御層11の結晶粒子を微細化し、その結晶粒径を均質化すれば、この配向制御層11を構成する各柱状晶Sを高密度化し、更に、これら各柱状晶S’の頂部から厚み方向に柱状に成長する各層12〜14の柱状晶S1’〜S3’も高密度化することが可能となる。
ここで、非磁性基板の上に、CoFe合金等からなる軟磁性裏打ち層と、NiWからなるシード層と、Ruからなる中間層と、CoCrPt合金等からなる垂直磁性層とを、この順で積層した構造を有する垂直磁気記録媒体を例示する。
この垂直磁気記録媒体において、軟磁性裏打ち層は、アモルファス構造を有している。シード層は、このアモルファス構造を有する軟磁性裏打ち層の面上において、微細な結晶核を形成する。そして、中間層であるRuは、このシード層の結晶核を起点(種結晶)にして、c軸配向した柱状晶を形成する。さらに、この中間層の上に形成される垂直磁性層も、c軸配向した柱状晶となる。
したがって、中間層及び垂直磁性層は、シード層の結晶核を起点(種結晶)にして、それぞれの結晶粒子が厚み方向に連続した柱状晶を構成するため、その下にあるシード層の結晶核を微細化し、均質化することができれば、これら中間層及び垂直磁性層の結晶粒子を微細化し、その結晶粒径を均質化することが可能となると考えられる。
しかしながら、本発明者らによる検証の結果、上記NiWを用いたシード層では、軟磁性裏打ち層の面上に
不均質な大きさの結晶膜を形成するために、その上に形成した中間層の柱状晶の均質化に限界があるとの結論に至った。すなわち、上記NiWを用いたシード層では、中間層において大きな柱状晶や小さな柱状晶が生じてしまい、その柱状晶の密度分布にばらつきが生じることがわかった。
そこで、本発明者らは、このような知見に基づいて更なる検討を行った。例えば、上述したアモルファス構造を有する軟磁性裏打ち層の上に、AlSi共晶合金膜を5nm程度の膜厚でスパッタ成膜する。この場合、結晶粒径の揃った微細な共晶合金膜を形成することができる。
一方、この微細な共晶合金膜の上に中間層としてRu膜を形成した場合、Ru膜は共晶合金膜を構成する結晶粒子からは核発生せず、微細且つ均質な粒径を有する柱状晶とはならないことがわかった。
ここで、AlSi合金の状態図を図2に示し、そのAlとSiの組成比(%)が、(1)Al:Si=56:44となる場合と、(2)Al:Si=87.4:12.6となる場合と、(3)Al:Si=92:8となる場合について、それぞれ液相(L)から固層(α+β)まで冷却したときの結晶組織を図3〜図5に示す。
なお、図3は、(1)56Al−44Si合金の結晶組織を模式的に示した図であり、(a)はその平面図、(b)はその断面図、(c)はそのエッチング後の断面図である。図4は、(2)87.4Al−12.6Si合金の結晶組織を模式的に示した図であり、(a)はその平面図、(b)はその断面図、(c)はそのエッチング後の断面図である。図5は、(3)92Al−8Si合金の結晶組織を模式的に示した図であり、(a)はその平面図、(b)はその断面図、(c)はそのエッチング後の断面図である。
(1)56Al−44Si合金の場合、図2に示すように、液相(L)から共晶温度(577±1℃)まで冷却される間に、固相Si(初晶β)が析出し、この液相(L)中のSiが12.6%に達するまでAlが濃縮される。そして、共晶温度よりも低い温度まで冷却されることで、固相87.4Al−12.6Si(共晶α+β)が析出する。これにより、図3(a),(b)に示すように、柱状の結晶核(共晶AlSi)がSi結晶(初晶Si)中にドット状(島状)に分散した結晶組織(過共晶組織)が形成される。
そして、このような結晶組織を有する56Al−44Si合金膜をスパッタ成膜した後、その表面に対してCFガスを用いたエッチング処理を施したところ、この合金膜中で相対的にエッチングレートが低いAlを含む結晶核が残存し、この結晶核よりもエッチングレートが高いSi結晶が除去された。その結果、図3(c)に示すような結晶核が表面から突出した微結晶膜が形成された。
(2)87.4Al−12.6Si合金の場合、図2に示すように、液相(L)から共晶温度よりも低い温度まで冷却されることで、固相87.4Al−12.6Si(共晶α+β)が析出する。これにより、図4(a),(b)に示すように、AlとSiの微結晶が混じり合った結晶組織(共晶組織)が形成される。
そして、このような結晶組織を有する87.4Al−12.6Si合金膜をスパッタ成膜した後、その表面に対してCFガスを用いたエッチング処理を施した。その結果、図4(c)に示すように、87.4Al−12.6Si合金膜が除去された。なお、このときのエッチング条件は、上記図3に示す場合よりも除去効果の高い条件でエッチングを行う必要があった。
(3)92Al−8Si合金の場合、図2に示すように、液相(L)から共晶温度まで冷却される間に、固相Al(初晶α)が析出し、この液相(L)中のSiが12.6%に達するまでSiが濃縮される。そして、共晶温度よりも低い温度まで冷却されることで、固相87.4Al−12.6Si(共晶α+β)が析出する。これにより、図5(a),(b)に示すように、柱状の結晶核(共晶AlSi)がAl結晶(初晶Al)中にドット状(島状)に分散した結晶組織(亜共晶組織)が形成される。
そして、このような結晶組織を有する92Al−8Si合金膜をスパッタ成膜した後、その表面に対してCFガスを用いたエッチング処理を施したところ、この合金膜中で相対的にエッチングレートが低いAl結晶が残存し、このAl結晶よりもエッチングレートが高いSiを含む結晶核が除去された。その結果、図5(c)に示すようなAl結晶の間に凹部を有する微結晶膜が形成された。なお、このときのエッチング条件は、上記図3に示す場合よりも除去効果の高い条件でエッチングを行う必要があった。
本発明者らは、上記知見に基づいて、上記(1)の結晶核が表面から突出した微結晶膜上にRu膜を成膜した。その結果、結晶核を起点にしてRuの均一な柱状晶が形成されることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以上のような知見に基づいてなされたものであり、少なくとも非磁性基板の上に、軟磁性裏打ち層と、シード層と、中間層と、垂直磁性層とを、この順で積層した磁気記録媒体を製造する際に、シード層として、共晶組織を構成する2種類以上の元素を含み、且つ、柱状の結晶核がドット状に分散された共晶合金膜を形成した後に、この共晶合金膜の表面に対してエッチング処理を施すことで、結晶核が表面から突出した微結晶膜を形成することを特徴とする。
これにより、シード層が微細且つ均質な結晶核を構成することになり、このシード層を形成する微結晶膜が有する凸状の結晶核を起点(種結晶)にして、中間層から垂直磁性層の最上層に至るまで厚み方向に連続して結晶成長させた各層の柱状晶を、微細且つ均質な粒径を有する結晶粒子によって構成することが可能である。
また、シード層としては、共晶組織を構成する少なくともAl、Si、Ge、Cの中から選ばれる一の元素と、この一の元素よりもエッチングレートの低いAl、Pd、Ag、Au、Sb、Ru、Pt、Coの中から選ばれる他の元素とを含み、且つ、柱状の結晶核がドット状に分散された共晶合金膜を形成した後に、この共晶合金膜の表面に対してエッチング処理を施すことで、結晶核が表面から突出した微結晶膜を形成することが好ましい。
このうち、上記一の元素としてAlを含む共晶合金膜を形成する場合は、AlRu、AlCuの何れかを含み、且つ、柱状の結晶核がドット状に分散された共晶合金膜を形成した後に、この共晶合金膜の表面に対してエッチング処理を施すことで、Ru、Cuの何れかを含む結晶核が表面から突出した微結晶膜を形成することが好ましい。
一方、上記一の元素としてSiを含む共晶合金膜を形成する場合は、AlSi、PdSi、AgSi、AuSiの何れかを含み、且つ、柱状の結晶核がドット状に分散された共晶合金膜を形成した後に、この共晶合金膜の表面に対してエッチング処理を施すことで、Al、Pd、Ag、Auの何れかを含む結晶核が表面から突出した微結晶膜を形成することが好ましい。
一方、上記一の元素としてGeを含む共晶合金膜を形成する場合は、AlGe、PdGe、AgGe、AuGe、SbGeの何れかを含み、且つ、柱状の結晶核がドット状に分散された共晶合金膜を形成した後に、この共晶合金膜の表面に対してエッチング処理を施すことで、Al、Pd、Ag、Au、Sbの何れかを含む結晶核が表面から突出した微結晶膜を形成することが好ましい。
一方、上記一の元素としてCを含む共晶合金膜を形成する場合は、RuC、PtC、CoCの何れかを含み、且つ、柱状の結晶核がドット状に分散された共晶合金膜を形成した後に、この共晶合金膜の表面に対してエッチング処理を施すことで、Ru、Pt、Coの何れかを含む結晶核が表面から突出した微結晶膜を形成することが好ましい。
これらの共晶合金膜は、その合金組成にも依存するものの、その膜厚を例えば4〜10nmの範囲とすることが好ましい。共晶合金膜の膜厚が4nmより薄くなると、この共晶合金膜が部分的に島状となり、連続膜とならない場合がある。また、共晶合金膜を構成する結晶粒子の粒径が均質とならない場合がある。一方、共晶合金膜の膜厚が10nmより厚くなると、この共晶合金膜を構成する結晶粒子が粗大化してしまい、上記Ruの微細な柱状晶を形成することが困難となる。
本発明では、上記共晶合金膜の表面に対してエッチング処理を施す方法として、例えば、フッ素(F)、塩素(Cl)、水素(H)、酸素(O)の中から選ばれる元素を少なくとも1つ以上含むエッチングガスを用いたドライエッチングを行うことが好ましい。特に、AlSi共晶合金膜の場合、AlとSiのエッチング選択比が高いCFガスやSFガスなどを好適に用いることができる。この場合、Alよりもエッチングレートの低いSiをドライエッチングにより選択的に除去することが可能である。
また、例えばAlRuやAlSi、AlCuなどの共晶合金膜の表面に対してエッチング処理を施す場合には、塩素(Cl)ガスを好適に用いることができる。特に、AlCu共晶合金膜の場合、AlとCuのエッチング選択比が高いClガスを好適に用いることができる。この場合、RuやSi、Cuよりもエッチングレートの低いAlをドライエッチングにより選択的に除去することが可能である。
このように、Alを含む共晶合金膜は、その合金組成やエッチングガスの選択によって、上記エッチングより選択的に除去される一の元素となったり、上記エッチング後に凸状の結晶核を形成する他の元素となったりする。
なお、共晶合金膜中の結晶核は、複数組成を含む合金であってもよい。一方、共晶合金膜中の結晶核以外の相(マトリックス)については、単一組成からなることが好ましい。また、先に析出する元素(初晶)がマトリックスを形成し易い。
また、エッチングガスとしては、希ガス族を用いることも可能である。この場合、共晶合金膜中のエッチング速度の差を利用して上記凸状の結晶核を形成することが可能である。
本発明の特徴部分について、図2を参照しながら更に詳細に説明する。
本発明では、図2において模式的に示すように、非磁性基板30の上に、軟磁性裏打ち層31として、例えばアモルファス構造を有するCo合金膜を形成する。
そして、本発明では、この軟磁性裏打ち層31の上に、シード層32として、例えばAlSiやPdSiなどの共晶合金膜をスパッタ成膜した後、この共晶合金膜をドライエッチングすることによって、当該共晶合金膜中のSiを選択的に除去する。これにより、AlやPdを含む結晶核32aが表面から突出した微結晶膜が形成される。
その後は、シード層32の上に、例えばRuやRu合金からなる中間層33を形成する。これにより、中間層33を構成する結晶粒子は、シード層32の結晶核32aと1:1で対応しながら、厚み方向に連続した柱状晶S1となってエピタキシャル成長する。
また、この中間層33を構成する各柱状晶S1の頂部には、ドーム状の凸部33aが形成される。これにより、この凸部33a上に形成される垂直磁性層34の結晶粒子を1:1で対応させながら、厚み方向に連続した柱状晶S2となるようにエピタキシャル成長させることができる。
以上のように、本発明では、上述したシード層32の結晶核を起点(種結晶)にして、中間層33から垂直磁性層34の最上層に至るまで厚み方向に連続して結晶成長させた各層の柱状晶S1,S2を、微細且つ均質な粒径を有する結晶粒子によって構成することが可能である。
したがって、本発明によれば、垂直磁性層の高い垂直配向性を維持し、更なる高記録密度化を可能とした磁気記録媒体、並びにそのような磁気記録媒体を備えた磁気記録再生装置を提供することが可能である。
図3は、本発明を適用した磁気記録媒体の一例を示したものである。
この磁気記録媒体は、図3に示すように、非磁性基板1の上に、軟磁性裏打ち層2と、シード層9と、中間層3と、垂直磁性層4と、保護層5と、潤滑層6とを順次積層した構造を有している。
垂直磁性層4は、非磁性基板1側から、下層の磁性層4aと、中層の磁性層4bと、上層の磁性層4cとの3層を含み、磁性層4aと磁性層4bとの間に下層の非磁性層7aと、磁性層4bと磁性層4cとの間に上層の非磁性層7bを含むことで、これら磁性層4a〜4cと非磁性層7a,7bとが交互に積層された構造を有している。
非磁性基板1としては、例えば、アルミニウムやアルミニウム合金などの金属材料からなる金属基板を用いてもよく、例えば、ガラスや、セラミック、シリコン、シリコンカーバイド、カーボンなどの非金属材料からなる非金属基板を用いてもよい。また、これら金属基板や非金属基板の表面に、例えばメッキ法やスパッタ法などを用いて、NiP層又はNiP合金層が形成されたものを用いることもできる。
ガラス基板としては、例えば、アモルファスガラスや結晶化ガラスなどを用いることができ、アモルファスガラスとしては、例えば、汎用のソーダライムガラスや、アルミノシリケートガラスなどを用いることができる。また、結晶化ガラスとしては、例えば、リチウム系結晶化ガラスなどを用いることができる。セラミック基板としては、例えば、汎用の酸化アルミニウムや、窒化アルミニウム、窒化珪素などを主成分とする焼結体、又はこれらの繊維強化物などを用いることができる。
非磁性基板1は、その平均表面粗さ(Ra)が2nm(20Å)以下、好ましくは1nm以下であるとことが、磁気ヘッドを低浮上させた高記録密度記録に適している点から好ましい。また、表面の微小うねり(Wa)が0.3nm以下(より好ましくは0.25nm以下。)であることが、磁気ヘッドを低浮上させた高記録密度記録に適している点から好ましい。また、端面のチャンファー部の面取り部と、側面部との少なくとも一方の表面平均粗さ(Ra)が10nm以下(より好ましくは9.5nm以下。)のものを用いることが、磁気ヘッドの飛行安定性にとって好ましい。なお、微少うねり(Wa)は、例えば、表面荒粗さ測定装置P−12(KLM−Tencor社製)を用い、測定範囲80μmでの表面平均粗さとして測定することができる。
また、非磁性基板1は、Co又はFeが主成分となる軟磁性裏打ち層2と接することで、表面の吸着ガスや、水分の影響、基板成分の拡散などにより、腐食が進行する可能性がある。この場合、非磁性基板1と軟磁性裏打ち層2の間に密着層を設けることが好ましく、これにより、これらを抑制することが可能となる。なお、密着層の材料としては、例えば、Cr、Cr合金、Ti、Ti合金など適宜選択することが可能である。また、密着層の厚みは2nm(30Å)以上であることが好ましい。
軟磁性裏打ち層2は、磁気ヘッドから発生する磁束の基板面に対する垂直方向成分を大きくするために、また情報が記録される垂直磁性層4の磁化の方向をより強固に非磁性基板1と垂直な方向に固定するために設けられている。この作用は、特に記録再生用の磁気ヘッドとして垂直記録用の単磁極ヘッドを用いる場合に、より顕著なものとなる。
軟磁性裏打ち層2としては、例えば、Feや、Ni、Coなどを含むアモルファス若しくは微結晶構造の軟磁性材料を用いることができる。具体的な軟磁性材料としては、例えば、CoFe系合金(CoFeTaZr、CoFeZrNbなど。)、FeCo系合金(FeCo、FeCoVなど。)、FeNi系合金(FeNi、FeNiMo、FeNiCr、FeNiSiなど。)、FeAl系合金(FeAl、FeAlSi、FeAlSiCr、FeAlSiTiRu、FeAlOなど。)、FeCr系合金(FeCr、FeCrTi、FeCrCuなど。)、FeTa系合金(FeTa、FeTaC、FeTaNなど。)、FeMg系合金(FeMgOなど。)、FeZr系合金(FeZrNなど。)、FeC系合金、FeN系合金、FeSi系合金、FeP系合金、FeNb系合金、FeHf系合金、FeB系合金などを挙げることができる。
その他にも、軟磁性裏打ち層2としては、Coを80原子%以上含有し、Zr、Nb、Ta、Cr、Mo等のうち少なくとも1種を含有し、アモルファス若しくは微結晶構造を有するCo合金を用いることができる。この具体的な材料としては、例えば、CoZr、CoZrNb、CoZrTa、CoZrCr、CoZrMo系合金などを好適なものとして挙げることができる。
軟磁性裏打ち層2は、2層の軟磁性膜から構成されており、2層の軟磁性膜の間にはRu膜を設けることが好ましい。Ru膜の膜厚を0.4〜1.0nm、又は1.6〜2.6nmの範囲で調整することで、2層の軟磁性膜がAFC構造となり、このようなAFC構造を採用することで、いわゆるスパイクノイズを抑制することができる。
シード層9及び中間層3は、直上の層の配向性や結晶サイズを制御する配向制御層として機能するためのものである。これらシード層9及び中間層3には、上述した図2に示すシード層32及び中間層33を順に積層したものを採用できるため、その説明を省略するものとする。
また、中間層3と垂直磁性層4の間には、非磁性下地層8を設けることが好ましい。中間層3直上の垂直磁性層4の初期部には、結晶成長の乱れが生じやすく、これがノイズの原因となる。この初期部の乱れた部分を非磁性下地層8で置き換えることで、ノイズの発生を抑制することができる。
非磁性下地層8は、Coを主成分とし、さらに酸化物を含んだ材料からなることが好ましい。Crの含有量は、25原子%以上50原子%以下とすることが好ましい。酸化物としては、例えばCr、Si、Ta、Al、Ti、Mg、Coなどの酸化物を用いることが好ましく、その中でも特に、TiO、Cr、SiOなどを好適に用いることができる。酸化物の含有量としては、磁性粒子を構成する、例えばCo、Cr、Pt等の合金を1つの化合物として算出したmol総量に対して、3mol%以上18mol%以下であることが好ましい。
また、非磁性下地層8は、酸化物を2種類以上添加した複合酸化物からなることが好ましい。その中でも特に、Cr−SiO、Cr−TiO、Cr−SiO−TiOなどを好適に用いることができる。さらに、CoCr−SiO、CoCr−TiO、CoCr−Cr−SiO、CoCr−TiO−Cr、CoCr−Cr−TiO−SiOなどを好適に用いることができる。また、結晶成長の観点からPtを添加してもよい。
非磁性下地層8の厚みは、0.2nm以上3nm以下であることが好ましい。3nmの厚さを超えると、Hc及びHnの低下が生じるために好ましくない。
磁性層4aは、Coを主成分とし、さらに酸化物を含んだ材料からなり、この酸化物としては、例えばCr、Si、Ta、Al、Ti、Mg、Coなどの酸化物を用いることが好ましい。その中でも特に、TiO、Cr、SiOなどを好適に用いることができる。また、磁性層4aは、酸化物を2種類以上添加した複合酸化物からなることが好ましい。その中でも特に、Cr−SiO、Cr−TiO、Cr−SiO−TiOなどを好適に用いることができる。
磁性層4aは、図4に示すように、酸化物41を含む層中に磁性粒子(磁性を有した結晶粒子)42が分散していることが好ましい。また、磁性粒子42は、磁性層4a,4b、更には磁性層4cを上下に貫いた柱状構造を形成していることが好ましい。このような構造を有することにより、磁性層4aの磁性粒子42の配向及び結晶性を良好なものとし、結果として高密度記録に適した信号/ノイズ比(S/N比)を得ることができる。
このような構造を得るためには、含有させる酸化物41の量及び磁性層4aの成膜条件が重要となる。すなわち、酸化物41の含有量としては、磁性粒子42を構成する、例えばCo、Cr、Pt等の合金を1つの化合物として算出したmol総量に対して、3mol%以上18mol%以下であることが好ましい。さらに好ましくは6mol%以上13mol%以下である。
磁性層4a中の酸化物41の含有量として上記範囲が好ましいのは、この磁性層4aを形成した際、磁性粒子42の周りに酸化物41が析出し、磁性粒子42の孤立化及び微細化が可能となるためである。一方、酸化物41の含有量が上記範囲を超えた場合には、酸化物41が磁性粒子42中に残留し、磁性粒子42の配向性及び結晶性を損ね、更には磁性粒子42の上下に酸化物41が析出し、結果として磁性粒子42が磁性層4a〜4cを上下に貫いた柱状構造が形成されなくなるため好ましくない。また、酸化物41の含有量が上記範囲未満である場合には、磁性粒子42の分離及び微細化が不十分となり、結果として記録再生時におけるノイズが増大し、高密度記録に適した信号/ノイズ比(S/N比)が得られなくなるため好ましくない。
磁性層4a中のCrの含有量は、20原子%以下(さらに好ましくは6原子%以上16原子%以下)であることが好ましい。Crの含有量を上記範囲としたのは、磁性粒子42の磁気異方性定数Kuを下げ過ぎず、また、高い磁化を維持し、結果として高密度記録に適した記録再生特性と十分な熱揺らぎ特性が得られるからである。
一方、Crの含有量が上記範囲を超えた場合には、磁性粒子42の磁気異方性定数Kuが小さくなるため熱揺らぎ特性が悪化し、また、磁性粒子42の結晶性及び配向性が悪化することで、結果として記録再生特性が悪くなるため好ましくない。また、Crの含有量が上記範囲未満である場合には、磁性粒子42の磁気異方性定数Kuが高いため、垂直保磁力が高くなり過ぎ、データを記録する際、磁気ヘッドで十分に書き込むことができず、結果として高密度記録に適さない記録特性(OW)となるため好ましくない。
磁性層4a中のPtの含有量は、8原子%以上25原子%以下であることが好ましい。Ptの含有量を上記範囲としたのは、8原子%未満であると、垂直磁性層4に必要な磁気異方性定数Kuが低くなるためである。一方、25原子%を超えると、磁性粒子42の内部に積層欠陥が生じ、その結果磁気異方性定数Kuが低くなる。したがって、高密度記録に適した熱揺らぎ特性及び記録再生特性を得るためには、Ptの含有量を上記範囲とすることが好ましい。
また、Ptの含有量が上記範囲を超えた場合には、磁性粒子42中にfcc構造の層が形成され、結晶性及び配向性が損なわれるおそれがあるため好ましくない。一方、Ptの含有量が上記範囲未満である場合には、高密度記録に適した熱揺らぎ特性を得るための磁気異方性定数Kuが得られないため好ましくない。
磁性層4aは、Co、Cr、Pt、酸化物41の他に、B、Ta、Mo、Cu、Nd、W、Nb、Sm、Tb、Ru、Reの中から選ばれる1種類以上の元素を含むことができる。上記元素を含むことにより、磁性粒子42の微細化を促進、又は結晶性や配向性を向上させることができ、より高密度記録に適した記録再生特性、熱揺らぎ特性を得ることができる。
また、上記元素の合計の含有量は、8原子%以下であることが好ましい。8原子%を超えた場合、磁性粒子42中にhcp相以外の相が形成されるため、磁性粒子42の結晶性及び配向性が乱れ、結果として高密度記録に適した記録再生特性及び熱揺らぎ特性が得られないため好ましくない。
磁性層4aに適した材料としては、例えば、90(Co14Cr18Pt)−10(SiO){Cr含有量14原子%、Pt含有量18原子%、残部Coからなる磁性粒子を1つの化合物として算出したモル濃度が90mol%、SiOからなる酸化物組成が10mol%}、92(Co10Cr16Pt)−8(SiO)、94(Co8Cr14Pt4Nb)−6(Cr)の他、(CoCrPt)−(Ta)、(CoCrPt)−(Cr)−(TiO)、(CoCrPt)−(Cr)−(SiO)、(CoCrPt)−(Cr)−(SiO)−(TiO)、(CoCrPtMo)−(TiO)、(CoCrPtW)−(TiO)、(CoCrPtB)−(Al)、(CoCrPtTaNd)−(MgO)、(CoCrPtBCu)−(Y)、(CoCrPtRu)−(SiO)などの組成物を挙げることができる。
磁性層4bには、磁性層4aと同様の材料を用いることができるため、説明を省略するものとする。また、磁性層4bは、層中に磁性粒子(磁性を有した結晶粒子)42が分散していることが好ましい。この磁性粒子42は、図4に示すように、磁性層4a,4b、更には磁性層4cを上下に貫いた柱状構造を形成していることが好ましい。このような構造を形成することにより、磁性層4bの磁性粒子42の配向及び結晶性を良好なものとし、結果として高密度記録に適した信号/ノイズ比(S/N比)が得ることができる。
磁性層4cは、Coを主成分とするとともに酸化物を含まない材料から構成することが好ましく、図4に示すように、層中の磁性粒子42が磁性層4a中の磁性粒子42から柱状にエピタキシャル成長している構造であることが好ましい。この場合、磁性層4a〜4cの磁性粒子42が、各層において1対1に対応して、柱状にエピタキシャル成長することが好ましい。また、磁性層4bの磁性粒子42が磁性層4a中の磁性粒子42からエピタキシャル成長していることで、磁性層4bの磁性粒子42が微細化され、さらに結晶性及び配向性がより向上したものとなる。
磁性層4c中のCrの含有量は、10原子%以上24原子%以下であることが好ましい。Crの含有量を上記範囲とすることで、データの再生時における出力が十分確保でき、更に良好な熱揺らぎ特性を得ることができる。一方、Crの含有量が上記範囲を超える場合には、磁性層4cの磁化が小さくなり過ぎるため好ましくない。また、Cr含有量が上記範囲未満である場合には、磁性粒子42の分離及び微細化が十分に生じず、記録再生時のノイズが増大し、高密度記録に適した信号/ノイズ比(S/N比)が得られなくなるため好ましくない。
また、磁性層4cは、Co、Crの他に、Ptを含んだ材料であってもよい。磁性層4c中のPtの含有量は、6原子%以上20原子%以下であることが好ましい。Ptの含有量が上記範囲にある場合には、高記録密度に適した十分な保磁力を得ることができ、更に記録再生時における高い再生出力を維持し、結果として高密度記録に適した記録再生特性および熱揺らぎ特性を得ることができる。
一方、Ptの含有量が上記範囲を超えた場合には、磁性層4c中にfcc構造の相が形成され、結晶性及び配向性が損なわれるおそれがあるため好ましくない。また、Ptの含有量が上記範囲未満である場合には、高密度記録に適した熱揺らぎ特性を得るための磁気異方性定数Kuが得られないため好ましくない。
磁性層4cは、Co、Cr、Ptの他に、B、Ta、Mo、Cu、Nd、W、Nb、Sm、Tb、Ru、Re、Mnの中から選ばれる1種類以上の元素を含むことができる。上記元素を含むことにより、磁性粒子42の微細化を促進、又は結晶性や配向性を向上させることができ、より高密度記録に適した記録再生特性及び熱揺らぎ特性を得ることができる。
また、上記元素の合計の含有量は、16原子%以下であることが好ましい。一方、16原子%を超えた場合には、磁性粒子42中にhcp相以外の相が形成されるため、磁性粒子42の結晶性及び配向性が乱れ、結果として高密度記録に適した記録再生特性、熱揺らぎ特性が得られないため好ましくない。
磁性層4cに適した材料としては、特に、CoCrPt系、CoCrPtB系を挙げることできる。CoCrPtB系の場合、CrとBの合計の含有量は、18原子%以上28原子%以下であることが好ましい。
磁性層4cに適した材料としては、例えば、CoCrPt系では、Co14〜24Cr8〜22Pt{Cr含有量14〜24原子%、Pt含有量8〜22原子%、残部Co}、CoCrPtB系では、Co10〜24Cr8〜22Pt0〜16B{Cr含有量10〜24原子%、Pt含有量8〜22原子%、B含有量0〜16原子%、残部Co}が好ましい。その他の系でも、CoCrPtTa系では、Co10〜24Cr8〜22Pt1〜5Ta{Cr含有量10〜24原子%、Pt含有量8〜22原子%、Ta含有量1〜5原子%、残部Co}、CoCrPtTaB系では、Co10〜24Cr8〜22Pt1〜5Ta1〜10B{Cr含有量10〜24原子%、Pt含有量8〜22原子%、Ta含有量1〜5原子%、B含有量1〜10原子%、残部Co}の他にも、CoCrPtBNd系、CoCrPtTaNd系、CoCrPtNb系、CoCrPtBW系、CoCrPtMo系、CoCrPtCuRu系、CoCrPtRe系などの材料を挙げることができる。
垂直磁性層4の垂直保磁力(Hc)は、3000[Oe]以上とすることが好ましい。保磁力が3000[Oe]未満である場合には、記録再生特性、特に周波数特性が不良となり、また、熱揺らぎ特性も悪くなるため、高密度記録媒体として好ましくない。
垂直磁性層4の逆磁区核形成磁界(−Hn)は、1500[Oe]以上であることが好ましい。逆磁区核形成磁界(−Hn)が1500[Oe]未満である場合には、熱揺らぎ耐性に劣るため好ましくない。
垂直磁性層4は、磁性粒子の平均粒径が3〜12nmであることが好ましい。この平均粒径は、例えば垂直磁性層4をTEM(透過型電子顕微鏡)で観察し、観察像を画像処理することにより求めることができる。
垂直磁性層4の厚みは、5〜20nmとすることが好ましい。垂直磁性層4の厚みが上記未満であると、十分な再生出力が得られず、熱揺らぎ特性も低下する。また、垂直磁性層4の厚さが上記範囲を超えた場合には、垂直磁性層4中の磁性粒子の肥大化が生じ、記録再生時におけるノイズが増大し、信号/ノイズ比(S/N比)や記録特性(OW)に代表される記録再生特性が悪化するため好ましくない。
保護層5は、垂直磁性層4の腐食を防ぐとともに、磁気ヘッドが媒体に接触したときに媒体表面の損傷を防ぐためのもので、従来公知の材料を使用することができ、例えばC、SiO、ZrOを含むものを使用することが可能である。保護層5の厚みは、1〜10nmとすることがヘッドと媒体の距離を小さくできるので高記録密度の点から好ましい。
潤滑層6には、例えば、パーフルオロポリエーテル、フッ素化アルコール、フッ素化カルボン酸などの潤滑剤を用いることが好ましい。
本発明では、非磁性基板1側の磁性層をグラニュラー構造の磁性層とし、保護層5側の磁性層を、酸化物を含まない非グラニュラー構造の磁性層とすることが好ましい。このような構成とすることにより、磁気記録媒体の熱揺らぎ特性、記録特性(OW)、S/N比等の各特性の制御・調整をより容易に行うことが可能となる。
また、本発明では、上記垂直磁性層4を4層以上の磁性層で構成することも可能である。例えば、上記磁性層4a,4bに加えて、グラニュラー構造の磁性層を3層で構成し、その上に、酸化物を含まない磁性層4cを設けた構成とし、また、酸化物を含まない磁性層4cを2層構造として、磁性層4a,4bの上に設けた構成とすることができる。
また、本発明では、垂直磁性層4を構成する3層以上の磁性層間に非磁性層7(図5では符号7a,7bで示す。)を設けることが好ましい。非磁性層7を適度な厚みで設けることで、個々の膜の磁化反転が容易になり、磁性粒子全体の磁化反転の分散を小さくすることができる。その結果S/N比をより向上させることが可能である。
垂直磁性層4を構成する磁性層間に設ける非磁性層7としては、hcp構造を有する材料を用いることが好ましい。具体的には、例えば、Ru、Ru合金、CoCr合金、CoCrX1合金(X1は、Pt、Ta、Zr、Re,Ru、Cu、Nb、Ni、Mn、Ge、Si、O、N、W、Mo、Ti、V、Zr、Bの中から選ばれる少なくとも1種又は2種以上の元素を表す。)などを好適に用いることができる。
垂直磁性層4を構成する磁性層間に設ける非磁性層7として、CoCr系合金を用いる場合には、Coの含有量は、30〜80原子%の範囲であることが好ましい。この範囲であれば、磁性層間のカップリングを小さく調整することが可能であるからである。
また、垂直磁性層4を構成する磁性層間に設ける非磁性層7として、hcp構造を有する合金として、Ru以外では、例えばRu、Re、Ti、Y、Hf、Znなどの合金も用いることができる。
また、垂直磁性層4を構成する磁性層間に設ける非磁性層7として、その上下の磁性層の結晶性や配向性を損ねない範囲で、他の構造をとる金属や合金などを使用することもできる。具体的には、例えば、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Ir、Mo、W、Ta、Nb、V、Bi、Sn、Si、Al、C、B、Cr又はそれらの合金を用いることができる。特に、Cr合金としては、CrX2(X2は、Ti、W、Mo、Nb、Ta、Si、Al、B、C、Zrの中から選ばれる少なくとも1種又は2種以上の元素を表す。)などを好適に用いることが可能である。この場合のCrの含有量は60原子%以上とすることが好ましい。
また、垂直磁性層4を構成する磁性層間に設ける非磁性層7としては、上記合金の金属粒子が酸化物、金属窒化物、又は金属炭化物中に分散した構造のものを用いることが好ましい。さらに、この金属粒子が非磁性層7を上下に貫いた柱状構造を有することがより好ましい。このような構造とするためには、酸化物、金属窒化物、又は金属炭化物を含んだ合金材料を使用することが好ましい。具体的には、酸化物として、例えば、SiO、Al、Ta、Cr、MgO、Y、TiOなど、金属窒化物として、例えば、AlN、Si、TaN、CrNなど、金属炭化物として、例えば、TaC、BC、SiCなどをそれぞれ用いることができる。さらに、例えば、CoCr−SiO、CoCr−TiO、CoCr−Cr、CoCrPt−Ta、Ru−SiO、Ru−Si、Pd−TaCなどを用いることができる。
垂直磁性層4を構成する磁性層間に設ける非磁性層7中の酸化物、金属窒化物、又は金属炭化物の含有量としては、垂直磁性膜の結晶成長や結晶配向を損なわない含有量であることが好ましい。また、酸化物、金属窒化物、又は金属炭化物の含有量としては、合金に対して、4mol%以上30mol%以下であることが好ましい。
この非磁性層7中の酸化物、金属窒化物、又は金属炭化物の含有量が上記範囲を超える場合には、金属粒子中に酸化物、金属窒化物、又は金属炭化物が残留し、金属粒子の結晶性や配向性を損ねるほか、金属粒子の上下にも酸化物、金属窒化物、又は金属炭化物が析出してしまい、金属粒子が非磁性層7を上下に貫く柱状構造となりにくくなり、この非磁性層7の上に形成された磁性層の結晶性や配向性を損ねるおそれがあるため好ましくない。一方、この非磁性層7中の酸化物、金属窒化物、又は金属炭化物の含有量が上記範囲未満である場合には、酸化物、金属窒化物、又は金属炭化物の添加による効果が得られないため好ましくない。
(磁気記録再生装置)
図5は、本発明を適用した磁気記録再生装置の一例を示すものである。
この磁気記録再生装置は、上記図3に示す構成を有する垂直磁気記録媒体50と、垂直磁気記録媒体50を回転駆動させる媒体駆動部51と、垂直磁気記録媒体50に情報を記録再生する磁気ヘッド52と、この磁気ヘッド52を垂直磁気記録媒体50に対して相対運動させるヘッド駆動部53と、記録再生信号処理系54とを備えている。また、記録再生信号処理系54は、外部から入力されたデータを処理して記録信号を磁気ヘッド52に送り、磁気ヘッド52からの再生信号を処理してデータを外部に送ることが可能となっている。
本発明を適用した磁気記録再生装置では、上記垂直磁気記録媒体の更なる高記録密度化という要望に応えるべく、磁気ヘッド52に垂直磁性層5に対する書き込み能力に優れた単磁極ヘッドを用いることが好ましい。そして、上記垂直磁気記録媒体50では、このような単磁極ヘッドに対応するために、非磁性基板1と垂直磁性層4との間に軟磁性裏打ち層2を設けて、単磁極ヘッドと垂直磁性層4との間の磁束の出入りの効率向上を図ることができる。
また、磁気記録再生装置では、再生素子として巨大磁気抵抗効果(GMR)を利用したGMR素子などを有した、より高記録密度に適した磁気ヘッド52を用いることができる。
上記磁気記録再生装置によれば、上記磁気記録媒体50に本発明を適用した磁気記録媒体を採用することで、磁性粒子の微細化と磁気的な孤立化が促進され、再生時におけるS/N比を大幅に向上することができ、また熱揺らぎ特性も向上させることができ、さらに優れた記録特性(OW)を有した媒体を得ることができ、このため高密度記録に適した優れた磁気記録再生装置とすることができる。
以下、実施例により本発明の効果をより明らかなものとする。なお、本発明は、以下の実施例に限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することができる。
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(実施例1)
実施例1では、先ず、洗浄済みのガラス基板(コニカミノルタ社製、外形2.5インチ)を、DCマグネトロンスパッタ装置(アネルバ社製C−3040)の成膜チャンバ内に収容して、到達真空度1×10−5Paとなるまで成膜チャンバ内を減圧排気した後、このガラス基板の上に、Crターゲットを用いて、層厚10nmの密着層を成膜した。また、この密着層の上に、基板温度を100℃以下とし、Co−20Fe−5Zr−5Ta{Fe含有量20原子%、Zr含有量5原子%、Ta含有量5原子%、残部Co}のターゲットを用いて、層厚25nmの軟磁性層を成膜し、この上に層厚0.7nmのRu層を成膜した後、再びCo−20Fe−5Zr−5Taのターゲットを用いて、層厚25nmの軟磁性層を成膜して、これを軟磁性裏打ち層とした。
次に、軟磁性裏打ち層の上に、56Al−44Si共晶ターゲットを用いて、スパッタ圧力0.5Paとして層厚5nmのシード層を形成した。次いで、AlSi薄膜の表面を、CFガスを40sccm、反応容器内の圧力を0.5Pa、RFパワーを200W、基板バイアスを15Wとして、10秒間ドライエッチングを行った。
次に、Ruターゲットを用いて、層厚20nmの配向制御層を成膜した。なお、配向制御層を成膜する際は、スパッタ圧力を0.8Paとして層厚10nmのRuを成膜した後、スパッタ圧力を1.5Paとして層厚10nmのRuを成膜した。
次に、配向制御層の上に、91(Co15Cr16Pt)−6(SiO)−3(TiO){Cr含有量15原子%、Pt含有量18原子%、残部Coの合金を91mol%、SiOからなる酸化物を6mol%、TiOからなる酸化物を3mol%}のターゲットを用いて、層厚9nmの磁性層を成膜した。なお、このときのスパッタ圧力は2Paとした。
次に、磁性層の上に、92(Co11Cr18Pt)−5(SiO)−3(TiO){Cr含有量11原子%、Pt含有量18原子%、残部Coの合金を92mol%、SiOからなる酸化物を5mol%、TiOからなる酸化物を3mol%}のターゲットを用いて、層厚6nmの磁性層を成膜した。なお、このときのスパッタ圧力は2Paとした。
この段階で、グラニュラー構造を有する磁性層の平面TEM観察を行い、その磁性粒子の平均粒径<D>[nm]、及び、この平均粒径で規格化した粒径分散σ/<D>[%]を測定した。なおCo20Cr14Pt3Bの磁性層を形成する前に測定を行うのは、磁性粒子の平均粒径を評価し易くするためである。
その結果、実施例1では、表1に示すように、<D>は5.5nm、σ/<D>は7.2%であった。
次に、磁性層の上に、Co20Cr14Pt3B{Cr含有量20原子%、Pt含有量14原子%、B含有量3原子%、残部Co}のターゲットを用いて、層厚7nmの磁性層を成膜した。なお、このときのスパッタ圧力は0.6Paとした。
次に、磁性層の上に、CVD法により層厚3.0nmの保護層を成膜し、次いで、ディッピング法によりパーフルオロポリエーテルからなる潤滑膜を1nm形成することによって、実施例1の磁気記録媒体を得た。
そして、実施例1の磁気記録媒体について、保磁力分散「ΔHc/Hc」、「SNR[dB]」、オーバーライト特性「OW[dB]」、ビットエラーレート「BER」を測定し、記録再生特性の評価を行った。
なお、SNR、OW、BERの測定については、米国Guzik社製リードライトアナライザ1632及びスピンスタンドS1701MPを用いた。
そして、SNRについては、線記録密度750kFCIでの出力をS、線記録密度1500kFCIでのrms(root mean square)値)をNとして、出力対ノイズ比を算出した。
一方、OWについては、線記録密度750kFCIの信号を記録した後、線記録密度100kFCIの信号を上書きした前後の750kFCIの信号の再生出力比(減衰率)として算出した。
一方、BERについては、同様に線記録密度1500kFCIで信号を記録したときの「−log(エラービット数/総ビット数)」で算出した。
その結果、実施例1では、上記表1に示すように、ΔHc/Hcは0.067、SNRは20.7dB、OWは35.1dB、BERは5.81であった。
(実施例2〜16)
実施例2〜16では、共晶ターゲットを用いたシード層の組成を上記表1に示す材料とし、同様にエッチングガスを上記表1とした以外は、実施例1と同様にグラニュラー磁性層までを成膜した。
そして、実施例1〜16について、作製したグラニュラー磁性層の平面TEM観察を行い、その磁性粒子の平均粒径<D>、及び、この平均粒径で規格化した粒径分散σ/<D>を測定した。
その結果、上記表1に示すように、実施例1〜16のうち、実施例1の56Al44Si共晶合金の平均粒径<D>が5.5nmと最も小さい値となった。
また、実施例2〜16の「ΔHc/Hc」、「SNR」、「OW」、「BER」の各評価結果を上記表1に示す。
(比較例1)
比較例1では、実施例1と同様に、洗浄済みのガラス基板(コニカミノルタ社製、外形2.5インチ)を、DCマグネトロンスパッタ装置(アネルバ社製C−3040)の成膜チャンバ内に収容して、到達真空度1×10−5Paとなるまで成膜チャンバ内を減圧排気した後、このガラス基板の上に、Crターゲットを用いて、層厚10nmの密着層を成膜した。また、この密着層の上に、基板温度を100℃以下とし、Co−20Fe−5Zr−5Ta{Fe含有量20原子%、Zr含有量5原子%、Ta含有量5原子%、残部Co}のターゲットを用いて、層厚25nmの軟磁性層を成膜し、この上に層厚0.7nmのRu層を成膜した後、再びCo−20Fe−5Zr−5Taのターゲットを用いて、層厚25nmの軟磁性層を成膜して、これを軟磁性裏打ち層とした。
次に、軟磁性裏打ち層の上に、92Al−8Si共晶ターゲットを用いて、スパッタ圧力0.5Paとして層厚5nmのシード層を形成した。次いで、AlSi薄膜の表面を、CFガスを40sccm、反応容器内の圧力を0.5Pa、RFパワーを300W、基板バイアスを40Wとして、20秒間ドライエッチングを行った。このとき、実施例1〜16の凸部とは違い、凹部を有する微結晶膜が形成された。
次に、Ruターゲットを用いて、層厚20nmの配向制御層を成膜した。なお、配向制御層を成膜する際は、スパッタ圧力を0.8Paとして層厚10nmのRuを成膜した後、スパッタ圧力を1.5Paとして層厚10nmのRuを成膜した。
次に、Ruターゲットを用いて、層厚20nmの配向制御層を成膜した。なお、配向制御層を成膜する際は、スパッタ圧力を0.8Paとして層厚10nmのRuを成膜した後、スパッタ圧力を1.5Paとして層厚10nmのRuを成膜した。
次に、配向制御層の上に、91(Co15Cr16Pt)−6(SiO)−3(TiO){Cr含有量15原子%、Pt含有量18原子%、残部Coの合金を91mol%、SiO2からなる酸化物を6mol%、TiOからなる酸化物を3mol%}のターゲットを用いて、層厚9nmの磁性層を成膜した。なお、このときのスパッタ圧力は2Paとした。
次に、磁性層の上に、92(Co11Cr18Pt)−5(SiO)−3(TiO){Cr含有量11原子%、Pt含有量18原子%、残部Coの合金を92mol%、SiOからなる酸化物を5mol%、TiOからなる酸化物を3mol%}のターゲットを用いて、層厚6nmの磁性層を成膜した。なお、このときのスパッタ圧力は2Paとした。
この段階で、グラニュラー構造を有する磁性層の平面TEM観察を行った。その結果、比較例1では、上記表1に示すように、<D>は9.3nm、σ/<D>は16.4%であり、実施例1に比べて、磁性粒子間の境界層が薄く、粒子の分離が十分になされていないことを確認した。
次に、磁性層の上に、Co20Cr14Pt3B{Cr含有量20原子%、Pt含有量14原子%、B含有量3原子%、残部Co}のターゲットを用いて、層厚7nmの磁性層を成膜した。なお、このときのスパッタ圧力は0.6Paとした。
次に、磁性層の上に、CVD法により層厚3.0nmの保護層を成膜し、次いで、ディッピング法によりパーフルオロポリエーテルからなる潤滑膜を1nm形成することによって、比較例1の磁気記録媒体を得た。
そして、比較例1の磁気記録媒体について、実施例1と同様に記録再生特性の評価を行ったところ、ΔHc/Hcが0.164、SNRが17.1dB、OWが38.8dB、BERが3.10であった。
(比較例2)
比較例2では、シード層としてNiWを用いた以外は、実施例1と同様に磁気記録媒体を作製した。具体的には、Ni−6W{W含有量6原子%、残部Ni}ターゲットを用いて、スパッタ圧力0.6Paで層厚を5nmとした。なお、シード層を形成した後のドライエッチングは行わなかった。
そして、この比較例2の磁気記録媒体についても、実施例1と同様に磁性粒子の大きさ及び記録再生特性の評価を行った。その結果、比較例2では、上記表1に示すように、<D>が8.8nm、σ/<D>が13.8、ΔHc/Hcが0.122、SNRが18.8dB、OWが32.5dB、BERが3.81であった。
1…非磁性基板
2…軟磁性裏打ち層
3…中間層
4…垂直磁性層
4a…下層の磁性層
4b…中層の磁性層
4c…上層の磁性層
5…保護層
6…潤滑層
7…非磁性層
7a…下層の非磁性層
7b…上層の非磁性層
8…非磁性下地層
9…シード層
11…配向制御層
11a…凹凸面
12〜14…磁性層又は非磁性層
S,S1〜S3…柱状晶
30…非磁性基板
31…軟磁性裏打ち層
32…シード層
32a…結晶核
33…中間層
34…垂直磁性層
50…磁気記録媒体
51…媒体駆動部
52…磁気ヘッド
53…ヘッド駆動部
54…記録再生信号処理系

Claims (7)

  1. 少なくとも非磁性基板の上に、軟磁性裏打ち層と、シード層と、中間層と、垂直磁性層とを順次積層した磁気記録媒体の製造方法であって、
    前記シード層として、AlRu、AlCuの何れかを含み、且つ、柱状の結晶核がドット状に分散された共晶合金膜をスパッタ成膜した後に、フッ素、塩素、水素、酸素の中から選ばれる元素を少なくとも1つ以上含むエッチングガスを用いて、この共晶合金膜の表面に対してエッチング処理を施すことで、Ru、Cuの何れかを含む結晶核が表面から突出した微結晶膜を形成することを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
  2. 少なくとも非磁性基板の上に、軟磁性裏打ち層と、シード層と、中間層と、垂直磁性層とを順次積層した磁気記録媒体の製造方法であって、
    前記シード層として、AlSi、PdSi、AgSi、AuSiの何れかを含み、且つ、柱状の結晶核がドット状に分散された共晶合金膜をスパッタ成膜した後に、フッ素、塩素、水素、酸素の中から選ばれる元素を少なくとも1つ以上含むエッチングガスを用いて、この共晶合金膜の表面に対してエッチング処理を施すことで、AlPdAgAuの何れかを含む結晶核が表面から突出した微結晶膜を形成することを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
  3. 少なくとも非磁性基板の上に、軟磁性裏打ち層と、シード層と、中間層と、垂直磁性層とを順次積層した磁気記録媒体の製造方法であって、
    前記シード層として、AlGe、PdGe、AgGe、AuGe、SbGeの何れかを含み、且つ、柱状の結晶核がドット状に分散された共晶合金膜をスパッタ成膜した後に、フッ素、塩素、水素、酸素の中から選ばれる元素を少なくとも1つ以上含むエッチングガスを用いて、この共晶合金膜の表面に対してエッチング処理を施すことで、Al、Pd、Ag、Au、Sbの何れかを含む結晶核が表面から突出した微結晶膜を形成することを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
  4. 少なくとも非磁性基板の上に、軟磁性裏打ち層と、シード層と、中間層と、垂直磁性層とを順次積層した磁気記録媒体の製造方法であって、
    前記シード層として、RuC、PtC、CoCの何れかを含み、且つ、柱状の結晶核がドット状に分散された共晶合金膜をスパッタ成膜した後に、フッ素、塩素、水素、酸素の中から選ばれる元素を少なくとも1つ以上含むエッチングガスを用いて、この共晶合金膜の表面に対してエッチング処理を施すことで、Ru、Pt、Coの何れかを含む結晶核が表面から突出した微結晶膜を形成することを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
  5. 前記軟磁性裏打ち層として、アモルファス構造を有するCo合金膜を形成する請求項1〜の何れか一項に記載の磁気記録媒体の製造方法。
  6. 前記中間層として、Ru又はRu合金膜を形成することを特徴とする請求項1〜の何れか一項に記載の磁気記録媒体の製造方法。
  7. 前記垂直磁性層を構成する結晶粒子が前記中間層を構成する結晶粒子と共に厚み方向に連続した柱状晶を構成するように、前記シード層を起点にして各層を結晶成長させることを特徴とする請求項1〜の何れか一項に記載の磁気記録媒体の製造方法。
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