JP2011192326A - 磁気記録媒体及び磁気記録再生装置 - Google Patents

磁気記録媒体及び磁気記録再生装置 Download PDF

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Abstract

【課題】柱状晶の頂部にドーム状の凸部が形成された配向制御層を有し、なおかつ、平滑性が高く、記録再生特性に優れる高密度記録に適した磁気記録媒体を提供する。
【解決手段】非磁性基板の上に、軟磁性下地層と、直上の層の配向性を制御する配向制御層3と、磁化容易軸が前記非磁性基板に対して主に垂直に配向した垂直磁性層4とを、少なくとも積層してなる磁気記録媒体であって、前記配向制御層3が、磁性材料を20at%〜50at%の範囲内で含み、前記磁性材料がCoまたはFeであるRu合金層を含むものであり、前記垂直磁性層4が、前記配向制御層3を構成する結晶粒子と共に厚み方向に連続した柱状晶を含むものである磁気記録媒体とする。
【選択図】図2

Description

本発明は、磁気記録媒体及び磁気記録再生装置に関するものである。
磁気記録再生装置の一種であるハードディスク装置(HDD)は、現在その記録密度が年率50%以上増えており、今後も増加傾向が続くと言われている。それに伴って高記録密度化に適した磁気ヘッド及び磁気記録媒体の開発が進められている。
現在市販されている磁気記録再生装置には、磁気記録媒体として、磁性膜内の磁化容易軸が主に垂直に配向した、いわゆる垂直磁気記録媒体が搭載されている。垂直磁気記録媒体は、高記録密度化した際にも記録ビット間の境界領域における反磁界の影響が小さく、鮮明なビット境界が形成されるため、ノイズの増加が抑えられる。しかも、垂直磁気記録媒体は、高記録密度化に伴う記録ビット体積の減少が少なくて済むため、熱揺らぎ特性優れている。
また、磁気記録媒体の更なる高記録密度化という要望に応えるべく、垂直磁性層に対する書き込み能力に優れた単磁極ヘッドを用いることが検討されている。具体的には、記録層である垂直磁性層と非磁性基板との間に、裏打ち層と称される軟磁性材料からなる層を設けることにより、単磁極ヘッドと磁気記録媒体との間の磁束の出入りの効率を向上させた磁気記録媒体が提案されている。
また、垂直磁気記録媒体の記録再生特性、熱揺らぎ特性を向上させるために、配向制御層を用い、多層の磁性層を形成して、それぞれの磁性層の結晶粒子を連続した柱状晶とし、これにより磁性層の垂直配向性を高めることが提案されている(特許文献1参照)。
配向制御層としてはRuを用いることが提案されている(特許文献2参照)。Ruは、柱状晶の頂部にドーム状の凸部が形成されるものであるため、この凸部上に磁性層等の結晶粒子を成長させ、成長した結晶粒子の分離構造を促進し、結晶粒子を孤立化させて、磁性粒子を柱状に成長させる効果を有することが知られている(特許文献3参照)。
また、特許文献4には、基板上に、軟磁性下地層、非磁性中間層を介して垂直記録層が形成された垂直磁気記録媒体において、非磁性中間層がRuあるいはRuにCo,Fe,Cr,B,Moの中から選択される1種以上の元素を含む層であり、軟磁性下地層は、FeCo合金にTaを含有し、さらにBを5at%以上含有するものであり、垂直記録層はCoCrPtを主成分とする合金である垂直磁気記録媒体が記載されている。
また、通常、磁気記録媒体をHDD内で使用する場合、磁気記録媒体にサーボライタでサーボ信号等のパターンを磁気的に書き込んでから用いている。近年、磁気記録媒体にサーボ信号等のパターンを書き込む方法として、予め全てのサーボ信号等の情報が書き込まれたマスター情報担体の凸部に磁気記録媒体を密着させて、外部から磁界を加えることによって、マスター情報担体に書き込まれた信号を磁気記録媒体に磁気転写する方法が提案されている。このような方法として、例えば、特許文献5には、マスター情報担体の表面を磁気記録媒体の表面に接触させ、磁界を印加することにより、磁化パターンを磁気記録媒体に記録する記録方法が記載されている。
特開2004−310910号公報 特開平7−244831号公報 特開2007−272990号公報 特開2009−70444号公報 特開平10−40544号公報
現在、HDDには今まで以上の高記録密度化が求められている。高記録密度化を実現するためには、磁気記録媒体の表面を走行する磁気ヘッドの浮上高さを今まで以上に低減する必要がある。磁気ヘッドの浮上高さを低減するためには、磁気記録媒体の表面を今まで以上に平滑化する必要がある。
また、上述したように、最近、磁気転写によってサーボ信号等のパターンを磁気記録媒体に書き込む方法が検討されている。この方法を用いる場合、磁気記録媒体の表面に凹凸があると、磁気記録媒体に書き込んだサーボ信号等のパターンににじみが生じたり、マスター情報担体と磁気記録媒体との間に僅かなダストが噛み込まれて磁気転写できなかったりする場合があった。このため、磁気記録媒体の表面を今まで以上に平滑化することが要求されていた。
本発明は、上記事情に鑑みて提案されたものであり、高密度記録および磁気転写によるパターンの書き込みに適した高い表面平滑性を有する磁気記録媒体を提供することを課題とする。
本発明者は、上記課題を解決するために、以下に示すように。検討を重ねた。
垂直磁性層を構成する磁性粒子は、配向制御層の柱状晶の頂部から成長され、配向制御層を構成する柱状晶と磁性粒子とは、連続した柱状晶となっている。したがって、磁気記録媒体の表面の凹凸は、垂直磁性層を構成する磁性粒子に対応するものとなっている。
また、配向制御層がRuを用いたものである場合、配向制御層の表面の柱状晶の頂部にはドーム状の凸部が形成される。ドーム状の凸部は、凸部上に成長される垂直磁性層等の結晶粒子の分離構造を促進し、結晶粒子を孤立化させて、磁性粒子を柱状に成長させるものである。
したがって、配向制御層のドーム状の凸部の凸形状は、垂直磁性層の表面およびその表面に形成される保護層に引き継がれている。すなわち、磁気記録媒体の表面の凹凸は、配向制御層のRuの頂部に形成されたドーム状の凸部に起因するものとなっている。
以上のことから、配向制御層がRuを用いたものである場合、磁気記録媒体の表面の凹凸を緩和するには、Ruの頂部に形成されるドーム状の凸部の高さを低くして、ドーム状の凸部の凸形状を緩和すればよいと考えられる。
しかしながら、Ruの頂部に形成されるドーム状の凸部は、磁性粒子を柱状に成長させるものであるため、単に、ドーム状の凸部の凸形状を緩和すると、磁性粒子が柱状に成長しなくなり、磁気記録媒体の垂直配向性が低下してしまう。
そこで、本発明者は、Ruの頂部に形成されるドーム状の凸部の高さを低くしても、ドーム状の凸部上に磁性粒子を柱状に成長させることができる方法について鋭意検討した。
その結果、配向制御層を、CoまたはFeからなる磁性材料を20at%〜50at%の範囲内で含有させたRu合金層を含むものとすることで、Ruの頂部に形成されるドーム状の凸部の高さを低くできるとともに、磁性材料によって配向制御層の表面における磁性粒子の成長を促進させることができ、ドーム状の凸部の高さを低くしてもドーム状の凸部上に磁性粒子を柱状に成長させることができることを見出し、本願発明を完成させた。本発明は、以下の手段を提供する。
(1)非磁性基板の上に、軟磁性下地層と、直上の層の配向性を制御する配向制御層と、磁化容易軸が前記非磁性基板に対して主に垂直に配向した垂直磁性層とを、少なくとも積層してなる磁気記録媒体であって、前記配向制御層が、CoまたはFeからなる磁性材料を20at%〜50at%の範囲内で含有するRu合金層を含むものであり、前記垂直磁性層が、前記配向制御層を構成する結晶粒子と共に厚み方向に連続した柱状晶を含むものであることを特徴とする磁気記録媒体。
(2)前記配向制御層が、前記軟磁性下地層側に配置された第1配向制御層と、前記第1配向制御層の前記垂直磁性層側に配置された第2配向制御層とからなり、前記第1配向制御層が、柱状晶の核となる結晶を含むものであり、前記第2配向制御層が、前記核となる結晶に厚み方向に連続し、頂部にドーム状の凸部が形成された柱状晶を含むものであり、前記第1配向制御層と前記第2配向制御層のいずれか一方または両方が、前記Ru合金層を含むものであることを特徴とする(1)に記載の磁気記録媒体。
(3)(1)または(2)に記載の磁気記録媒体と、前記磁気記録媒体に対する情報の記録再生を行う磁気ヘッドとを備えることを特徴とする磁気記録再生装置。
本発明の磁気記録媒体は、配向制御層が、CoまたはFeからなる磁性材料を20at%〜50at%の範囲内で含有するRu合金層を含むものであるので、磁気記録媒体の表面の凹凸を緩和するために、Ru合金層の頂部に形成されるドーム状の凸部の高さを低くしても、磁性材料によって配向制御層の表面における磁性粒子の成長を促進させることができ、ドーム状の凸部上から磁性粒子が柱状に成長されたものとすることができる。したがって、本発明の磁気記録媒体によれば、磁気記録媒体の垂直磁性層の垂直配向性に優れ、かつ表面平滑性の高い、高密度記録に適した磁気記録媒体を実現できる。
また、本発明の磁気記録媒体は、表面平滑性の高いものとすることができるので、磁気転写によるパターンの書き込みを行った場合に、磁気記録媒体に書き込んだサーボ信号等のパターンににじみが生じたり、マスター情報担体と磁気記録媒体との間に僅かなダストが噛み込まれて磁気転写できなかったりすることを防止できる。したがって、本発明の磁気記録媒体は、磁気転写によるパターンの書き込みに適したものとものとなる。
また、本発明の磁気記録再生装置は、磁気記録媒体の垂直磁性層の垂直配向性に優れ、表面平滑性の高い本発明の磁気記録媒体を備えるものであるので、磁気ヘッドの浮上高さを今まで以上に低減でき、高記録密度化に対応可能なものとなる。
図1は、本発明の磁気記録媒体の一例を示したものである。 図2は、配向制御層と垂直磁性層との積層構造を説明するための拡大模式図であり、各層の柱状晶が基板面に対して垂直に成長した状態を示す断面図である。 図3は、垂直磁性層を構成する磁性層と非磁性層との積層構造を拡大して示した断面図である。 図4は、本発明の磁気記録再生装置の一例を示すものである。
以下、本発明の磁気記録媒体の製造方法及び磁気記録再生装置について、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の説明で用いる図面は、特徴をわかりやすくするために、便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。
(磁気記録媒体)
本発明は、非磁性基板の上に、軟磁性下地層と、直上の層の配向性を制御する配向制御層と、磁化容易軸が前記非磁性基板に対して主に垂直に配向した垂直磁性層とを、少なくとも積層してなる磁気記録媒体である。
図1は、本発明の磁気記録媒体の一例を示したものである。以下、本発明の磁気記録媒体の一例として、図1に示す磁気記録媒体を例に挙げて説明する。図1に示す磁気記録媒体は、非磁性基板1の上に、軟磁性下地層2と、配向制御層3と、非磁性下地層8と、垂直磁性層4と、保護層5と、潤滑層6とが順次積層された構造を有している。このうち、軟磁性下地層2と配向制御層3とが下地層を構成している。
「非磁性基板」
非磁性基板1としては、アルミニウムやアルミニウム合金などの金属材料からなる金属基板を用いてもよいし、ガラスや、セラミック、シリコン、シリコンカーバイド、カーボンなどの非金属材料からなる非金属基板を用いてもよい。また、非磁性基板1としては、これら金属基板や非金属基板の表面に、例えばメッキ法やスパッタ法などを用いて、NiP層又はNiP合金層が形成されたものを用いてもよい。
ガラス基板としては、例えば、アモルファスガラスや結晶化ガラスなどを用いることができ、アモルファスガラスとしては、例えば、汎用のソーダライムガラスや、アルミノシリケートガラスなどを用いることができる。また、結晶化ガラスとしては、例えば、リチウム系結晶化ガラスなどを用いることができる。セラミック基板としては、例えば、汎用の酸化アルミニウムや、窒化アルミニウム、窒化珪素などを主成分とする焼結体、又はこれらの繊維強化物などを用いることができる。
非磁性基板1は、その平均表面粗さ(Ra)が2nm(20Å)以下、好ましくは1nm以下であることが、磁気ヘッドを低浮上させた高記録密度記録に適している点から好ましい。また、表面の微小うねり(Wa)が0.3nm以下(より好ましくは0.25nm以下)であることが、磁気ヘッドを低浮上させた高記録密度記録に適している点から好ましい。また、端面のチャンファー部の面取り部と側面部との少なくとも一方の表面平均粗さ(Ra)が10nm以下(より好ましくは9.5nm以下)のものを用いることが、磁気ヘッドの飛行安定性にとって好ましい。なお、微少うねり(Wa)は、例えば、表面荒粗さ測定装置P−12(KLM−Tencor社製)を用い、測定範囲80μmでの表面平均粗さとして測定することができる。
また、非磁性基板1は、Co又はFeが主成分となる軟磁性下地層2と接することで、表面の吸着ガスや、水分の影響、基板成分の拡散などにより、腐食が進行する可能性がある。この場合、非磁性基板1と軟磁性下地層2の間に密着層を設けることが好ましく、これにより、これらを抑制することが可能となる。なお、密着層の材料としては、例えば、Cr、Cr合金、Ti、Ti合金など適宜選択することが可能である。また、密着層の厚みは2nm(30Å)以上であることが好ましい。また、密着層は、スパッタリング法などを用いて形成できる。
「軟磁性下地層」
非磁性基板の上には、軟磁性下地層2が形成される。軟磁性下地層2の形成方法は特に限られるものではなく、例えば、スパッタリング法などを用いることができる。
軟磁性下地層2は、磁気ヘッドから発生する磁束の基板面に対する垂直方向成分を大きくするために、また情報が記録される垂直磁性層4の磁化の方向をより強固に非磁性基板1と垂直な方向に固定するために設けられている。この作用は、特に記録再生用の磁気ヘッドとして垂直記録用の単磁極ヘッドを用いる場合に、より顕著なものとなる。
軟磁性下地層2としては、例えば、Feや、Ni、Coなどを含む軟磁性材料を用いることができる。具体的な軟磁性材料としては、例えば、CoFe系合金(CoFeTaZr、CoFeZrNbなど)、FeCo系合金(FeCo、FeCoVなど)、FeNi系合金(FeNi、FeNiMo、FeNiCr、FeNiSiなど)、FeAl系合金(FeAl、FeAlSi、FeAlSiCr、FeAlSiTiRu、FeAlOなど)、FeCr系合金(FeCr、FeCrTi、FeCrCuなど)、FeTa系合金(FeTa、FeTaC、FeTaNなど)、FeMg系合金(FeMgOなど)、FeZr系合金(FeZrNなど)、FeC系合金、FeN系合金、FeSi系合金、FeP系合金、FeNb系合金、FeHf系合金、FeB系合金などを挙げることができる。
また、軟磁性下地層2としては、Feを60at%(原子%)以上含有するFeAlO、FeMgO、FeTaN、FeZrN等の微結晶構造、又は微細な結晶粒子がマトリクス中に分散されたグラニュラー構造を有する材料を用いることができる。
その他にも、軟磁性下地層2としては、Coを80at%以上含有し、Zr、Nb、Ta、Cr、Mo等のうち少なくとも1種を含有し、アモルファス構造を有するCo合金を用いることができる。この具体的な材料としては、例えば、CoZr、CoZrNb、CoZrTa、CoZrCr、CoZrMo系合金などを好適なものとして挙げることができる。
軟磁性下地層2の保磁力Hcは、100(Oe)以下(好ましくは20(Oe)以下)とすることが好ましい。なお、1Oeは79A/mである。軟磁性下地層2の保磁力Hcが上記範囲を超えると、軟磁気特性が不十分となり、再生波形がいわゆる矩形波から歪みをもった波形になるため好ましくない。
軟磁性下地層2の飽和磁束密度Bsは、0.6T以上(好ましくは1T以上)とすることが好ましい。軟磁性下地層2のBsが上記範囲未満であると、再生波形がいわゆる矩形波から歪みをもった波形になるため好ましくない。
また、軟磁性下地層2の飽和磁束密度Bs(T)と軟磁性下地層2の層厚t(nm)との積Bs・t(T・nm)は、15(T・nm)以上(好ましくは25(T・nm)以上)であることが好ましい。軟磁性下地層2のBs・tが上記範囲未満であると、再生波形が歪みを持つようになり、OW(OverWrite)特性(記録特性)が悪化するため好ましくない。
軟磁性下地層2は、2層の軟磁性膜から構成されていることが好ましく、2層の軟磁性膜の間にはRu膜が設けられていることが好ましい。Ru膜の膜厚を0.4〜1.0nm、又は1.6〜2.6nmの範囲で調整することで、2層の軟磁性膜をAFC構造とすることができる。軟磁性下地層2が、このようなAFC構造を採用したものである場合、いわゆるスパイクノイズを抑制できる。
軟磁性下地層2の最表面(配向制御層3側の面)は、磁性下地層2を構成する材料が、部分的又は完全に酸化されていることが好ましい。例えば、軟磁性下地層2の表面(配向制御層3側の面)及びその近傍に、軟磁性下地層2を構成する材料が部分的に酸化されるか、若しくは上記材料の酸化物を形成して配されていることが好ましい。これにより、軟磁性下地層2の表面の磁気的な揺らぎを抑えることができ、磁気的な揺らぎに起因するノイズを低減して、磁気記録媒体の記録再生特性を改善することができる。
「配向制御層」
軟磁性下地層2の上には、配向制御層3が形成されている。配向制御層3は、垂直磁性層4の結晶粒を微細化し、記録再生特性を改善するものである。図1に示すように、本実施形態の配向制御層3は、軟磁性下地層2側に配置された第1配向制御層3aと、第1配向制御層3aの垂直磁性層4側に配置された第2配向制御層3bとからなる。
本実施形態の第1配向制御層3aおよび第2配向制御層3bは、磁性材料を20at%〜50at%の範囲内で含むRu合金層からなるものである。Ru合金層に含まれている磁性材料は、CoまたはFeである。
本実施形態においては、Ru合金層に磁性材料であるCoまたはFeが20at%〜50at%の範囲内で含有されているので、Ru合金層の成長表面に形成されるドームの高さを2nm未満に低くすることができ、磁気記録媒体の表面平滑性を向上させることができる。なお、Ru合金層の成長表面に形成されるドームの高さを2nm未満に低くした場合、ドームの頂部から柱状に磁性粒子が成長する確率が低くなり、磁気記録媒体の垂直配向性が不十分となる恐れがある。
しかし、本実施形態においては、Ru合金層に磁性材料であるCoまたはFeが20at%〜50at%の範囲内で含有されているので、磁性材料によってRu合金層の表面における磁性粒子の成長を促進させることができる。このため、本実施形態においては、Ru合金層の成長表面に形成されるドーム状の凸部の高さを2nm未満に低くしたとしても、ドーム状の凸部上に選択的に柱状の磁性粒子が成長されると考えられる。その結果、本実施形態では、表面平滑性が高く、しかも、垂直磁性層4の垂直配向性に優れた磁気記録媒体が得られる。
これに対し、配向制御層がRuのみからなる場合、Ru層の成長表面には通常高さ2〜3nm程度のドーム状の凸部が形成され、このドーム状の凸部の頂部から磁性粒子が成長する。配向制御層がRuのみからなる場合であっても、配向制御層の上に形成する磁性層を多層化したり、磁気記録媒体の表面に保護層を設けたりすることによって、Ru合金層の成長表面に形成されるドームの高さを低くすることなく、磁気記録媒体の表面を平滑化することは可能である。
しかし、多層化した磁性層の合計膜厚は20nm程度、保護層の膜厚は5nm程度であるため、これらの膜を設けたとしても、Ru層の成長表面に形成されるドーム状の凸部からなる2〜3nm程度の凹凸を完全になくすには不十分である。このため、配向制御層がRuのみからなる場合、配向制御層の上に形成する磁性層を多層化したり、磁気記録媒体の表面に保護層を設けたりした場合であっても、磁気記録媒体の表面には磁性粒子に対応して1nm程度の凹凸が形成されてしまう。
また、第1配向制御層3aおよび第2配向制御層3bを構成するRu合金層に含まれるCoまたはFeの含有量が上記範囲未満である場合、Ru合金の成長表面に形成されるドーム状の凸部の高さを十分に低くすることができなくなり、垂直磁性層の表面粗さが悪化する。また、Ru合金層に含まれるCoまたはFeの含有量が上記範囲を越えると、Ru合金層の成長表面にドーム状の凸部が形成されなくなり、磁性粒子の柱状成長が生じなくなる。
第1配向制御層3aは、配向制御層3の核発生密度を高めるためのものであり、配向制御層3を構成する柱状晶の核となる結晶を含むものである。本実施形態の第1配向制御層3aでは、図2に示すように、核となる結晶が成長してなる柱状晶S1の頂部に、ドーム状の凸部が形成されている。
第1配向制御層3aの層厚は、5nm以上であることが好ましい。第1配向制御層3aの層厚が上記範囲未満であると、Ru合金層の成長表面にドーム形状が生じにくくなる。
第1配向制御層3aは、スパッタリング法により、スパッタリングガス圧0.5Pa〜5Paの範囲内で形成することが好ましい。
第1配向制御層3aのスパッタリングガス圧を上記範囲とすることで、容易に配向制御層3を構成する柱状晶の核となる結晶を含む第1配向制御層3aが得られる。
第1配向制御層3aのスパッタリングガス圧が上記範囲未満であると、形成する膜の配向性が低下し、垂直磁性層4を構成する磁性粒子42を微細化する効果が不十分となる。また、第1配向制御層3aのスパッタリングガス圧が上記範囲を超えると、形成する膜の結晶性が低下し、膜の硬度が低くなり、磁気記録媒体の信頼性が低下する。
第2配向制御層3bは、図2に示すように、第1配向制御層3aに含まれる柱状晶S1の核となる結晶に厚み方向に連続し、頂部にドーム状の凸部が形成された柱状晶S2を含むものである。本実施形態においては、第2配向制御層3bは、第1配向制御層3aに含まれる核となる結晶が成長されてなる柱状晶S1の凸部上に成長され、第1配向制御層3aを構成する結晶粒子と共に厚み方向に連続した柱状晶S2からなる。
第2配向制御層3bの層厚は、10nm以上であることが好ましい。第2配向制御層3bの層厚が上記範囲未満であると、垂直磁性層4の配向性を高め、垂直磁性層4を構成する磁性粒子42を微細化する効果が不十分となり、良好なS/N比が得られない場合がある。
第2配向制御層3bに含まれるRu合金層は、第1配向制御層3aに含まれるRu合金層と同様のものを用いることができる。
なお、第2配向制御層3bに含まれるRu合金層は、第1配向制御層3aに含まれるRu合金層と同じ材料からなるものであってもよいし、異なる材料からなるものであってもよい。具体的には例えば、第1配向制御層3aおよび第2配向制御層3bのいずれか一方がCoRu合金層からなり、他方がFeRu合金層からなるものであってもよい。
第2配向制御層3aは、第1配向制御層3aと同様にして設けることができるが、スパッタリング法により、第1配向制御層3aよりも高い圧力であって、スパッタリングガス圧5Pa〜18Paの範囲内で形成することが好ましい。
第2配向制御層3bのスパッタリングガス圧を上記範囲とすることで、容易に第1配向制御層3aに含まれる柱状晶S1の核となる結晶に厚み方向に連続し、頂部にドーム状の凸部が形成された柱状晶S2を含む第2配向制御層3bが得られる。
第2配向制御層3bのスパッタリングガス圧が上記範囲未満であると、配向制御層3の上に成長される垂直磁性層4の結晶粒子を分離して、垂直磁性層の磁性粒子を微細化する効果が十分に得られなくなり、良好なS/N比および熱揺らぎ特性が得られにくくなる。また、第2配向制御層3bのスパッタリングガス圧が上記範囲を超えると、第2配向制御層3bの硬度が不十分となる場合がある。
また、本実施形態においては、第1配向制御層3aおよび第2配向制御層3bの両方を、磁性材料を20at%〜50at%の範囲内で含み、磁性材料がCoまたはFeであるRu合金層からなるものとしたが、第1配向制御層3aおよび第2配向制御層3bのいずれか一方が、上記Ru合金層であるものとしてもよい。また、本実施形態においては、配向制御層3が第1配向制御層3aおよび第2配向制御層3bの2層からなるものである場合を例に挙げたが、配向制御層3は1層からなるものであってもよいし、第1配向制御層3aおよび第2配向制御層3bのいずれか一方がまたは両方が複数層からなる3層以上のものであってもよい。
配向制御層3が1層からなるものである場合、配向制御層3は磁性材料を20at%〜50at%の範囲内で含み、磁性材料がCoまたはFeであるRu合金層からなるものとされる。また、配向制御層3が複数層からなるものである場合、上記のRu合金層は少なくとも1層含まれていればよく、例えば、Ru層や、磁性材料からなる結晶粒を含まないRu合金層など、上記のRu合金層以外の層を含んでいてもよい。
ここで、本実施形態の磁気記録媒体において、配向制御層を構成する結晶粒子と垂直磁性層を構成する磁性粒子との関係について図面を用いて説明する。
図2は、配向制御層と垂直磁性層との積層構造を説明するための拡大模式図であり、各層の柱状晶が基板面に対して垂直に成長した状態を示す断面図である。なお、図2においては、配向制御層を構成する第1配向制御層および第2配向制御層と垂直磁性層以外の部材の記載を省略して示している。
図2に示すように、第1配向制御層3a上には、第1配向制御層3aを構成する柱状晶S1の頂部をドーム状の凸とする凹凸面S1aが形成されている。第1配向制御層3aの凹凸面S1a上には、凹凸面S1aから厚み方向に第2配向制御層3bを構成する結晶粒子が柱状晶S2となって成長している。また、第2配向制御層3b上には、第2配向制御層3bを構成する柱状晶S2の頂部をドーム状の凸とする凹凸面S2aが形成されている。そして、第2配向制御層3bを構成する柱状晶S2の上には、垂直磁性層4の結晶粒子が柱状晶S3となって厚み方向に成長している。本実施形態においては、第2配向制御層3bのドーム状の凸部上に垂直磁性層4の結晶粒子が成長されることにより、成長した垂直磁性層4の結晶粒子の分離が促進され、垂直磁性層4の結晶粒子が孤立化されて柱状に成長されている。
このように、本実施形態の磁気記録媒体においては、第1配向制御層3aの柱状晶S1上に第2配向制御層3bの柱状晶S2と垂直磁性層4の柱状晶S3とが連続した柱状晶となってエピタキシャル成長されている。なお、本実施形態においては、図1に示すように、垂直磁性層4が多層化されている。多層化された垂直磁性層4の各層を構成する結晶粒子は、配向制御層3から最上層の垂直磁性層に至るまで連続した柱状晶となってエピタキシャル成長を繰り返している。
本実施形態においては、第1配向制御層3aを構成する結晶粒子を微細化かつ平滑化し、柱状晶S1を高密度化かつ成長表面を平滑化することで、柱状晶S1の頂部から厚み方向に柱状に成長する第2配向制御層3bの柱状晶S2および多層化された垂直磁性層4の柱状晶S3も高密度化されるとともに成長表面が平滑化されている。
「非磁性下地層」
本実施形態の磁気記録媒体においては、配向制御層3と垂直磁性層4の間に、非磁性下地層8が設けられている。なお、配向制御層3と垂直磁性層4の間には、非磁性下地層8が設けられていることが好ましいが、非磁性下地層8が設けられていなくてもよい。配向制御層3直上の垂直磁性層4の初期部には、結晶成長の乱れが生じやすく、これがノイズの原因となる。非磁性下地層8を設けることで、ノイズの発生を抑制できる。
また、非磁性下地層8は、配向制御層3の第1配向制御層3aおよび第2配向制御層3bの柱状晶S1,S2と連続した柱状晶として、配向制御層3の第2配向制御層3b上にエピタキシャル成長されている。
非磁性下地層8は、Crと酸化物とを含んだ材料からなるものであることが好ましい。Crの含有量は、25at%(原子%)以上50at%以下とすることが好ましい。酸化物としては、例えばCr、Si、Ta、Al、Ti、Mg、Coなどの酸化物を用いることが好ましく、その中でも特に、TiO、Cr、SiOなどを好適に用いることができる。酸化物の含有量としては、磁性粒子を構成する、例えばCo、Cr、Pt等の合金を1つの化合物として算出したmol総量に対して、3mol%以上18mol%以下であることが好ましい。
また、非磁性下地層8は、酸化物を2種類以上添加した複合酸化物からなることが好ましい。その中でも特に、Cr−SiO、Cr−TiO、Cr−SiO−TiOなどを好適に用いることができる。さらに、CoCr−SiO、CoCr−TiO、CoCr−Cr−SiO、CoCr−TiO−Cr、CoCr−Cr−TiO−SiOなどを好適に用いることができる。また、結晶成長の観点からPtを添加してもよい。
非磁性下地層8の厚みは、0.2nm以上3nm以下であることが好ましい。非磁性下地層8の厚さが3nmを超えると、Hc及びHnの低下が生じるために好ましくない。
「垂直磁性層」
非磁性下地層8の上には、垂直磁性層4が形成されている。図1に示すように、垂直磁性層4は、非磁性基板1側から、下層の磁性層4aと、中層の磁性層4bと、上層の磁性層4cとの3層を含むものである。本実施形態の磁気記録媒体では、磁性層4aと磁性層4bとの間に下層の非磁性層7aを含み、磁性層4bと磁性層4cとの間に上層の非磁性層7bを含むことで、これら磁性層4a〜4cと非磁性層7a,7bとが交互に積層された構造を有している。
各磁性層4a〜4c及び非磁性層7a,7bを構成する結晶粒子は、配向制御層3の第1配向制御層3aおよび第2配向制御層3bの柱状晶と連続した柱状晶として、非磁性下地層8上にエピタキシャル成長されている。
図3は、垂直磁性層を構成する磁性層と非磁性層との積層構造を拡大して示した断面図である。図3に示すように、垂直磁性層4を構成する磁性層4aは、グラニュラー構造の磁性層であり、Co、Cr、Ptを含む磁性粒子(磁性を有した結晶粒子)42と、酸化物41とを含むものであることが好ましい。
酸化物41としては、例えばCr、Si、Ta、Al、Ti、Mg、Coなどの酸化物を用いることが好ましい。その中でも特に、TiO、Cr、SiOなどを好適に用いることができる。また、磁性層4aは、酸化物を2種類以上添加した複合酸化物からなることが好ましい。その中でも特に、Cr−SiO、Cr−TiO、Cr−SiO−TiOなどを好適に用いることができる。
磁性粒子42は、磁性層4a中に分散していることが好ましい。また、磁性粒子42は、磁性層4a,4b、更には磁性層4cを上下に貫いた柱状構造を形成していることが好ましい。このような構造を有することにより、磁性層4aの配向及び結晶性が良好なものとなり、結果として高密度記録に適した信号/ノイズ比(S/N比)が得られる。
柱状構造の磁性粒子42を有する垂直磁性層4を得るためには、磁性層4aに含まれる酸化物41の含有量及び磁性層4aの成膜条件が重要となる。磁性層4aに含まれる酸化物41の含有量は、磁性粒子42を構成する、例えばCo、Cr、Pt等の合金を1つの化合物として算出したmol総量に対して、3mol%以上18mol%以下であることが好ましく、6mol%以上13mol%以下であることがより好ましい。
磁性層4a中の酸化物41の含有量として上記範囲が好ましいのは、磁性層4aを形成した際に磁性粒子42の周りに酸化物41が析出し、磁性粒子42の孤立化及び微細化が可能となるためである。一方、酸化物41の含有量が上記範囲を超えた場合には、酸化物41が磁性粒子42中に残留し、磁性粒子42の配向性及び結晶性を損ねたり、磁性粒子42の上下に酸化物41が析出して、磁性粒子42が磁性層4a〜4cを上下に貫いてなる柱状構造が形成されなくなったりするため好ましくない。また、酸化物41の含有量が上記範囲未満である場合には、磁性粒子42の分離及び微細化が不十分となり、結果として記録再生時におけるノイズが増大し、高密度記録に適した信号/ノイズ比(S/N比)が得られなくなるため好ましくない。
磁性層4a中のCrの含有量は、4at%以上19at%以下(さらに好ましくは6at%以上17at%以下)であることが好ましい。磁性層4a中のCrの含有量を上記範囲とした場合、磁性粒子42の磁気異方性定数Kuを下げ過ぎず、また、高い磁化を維持し、結果として高密度記録に適した記録再生特性と十分な熱揺らぎ特性が得られる。
一方、磁性層4a中のCrの含有量が上記範囲を超えた場合には、磁性粒子42の磁気異方性定数Kuが小さくなるため、熱揺らぎ特性が悪化し、また、磁性粒子42の結晶性及び配向性が悪化することで、結果として記録再生特性が悪くなるため好ましくない。また、Crの含有量が上記範囲未満である場合には、磁性粒子42の磁気異方性定数Kuが高くなるため、垂直保磁力が高くなり過ぎてデータを記録する際に、磁気ヘッドで十分に書き込むことができず、結果として高密度記録に適さない記録特性(OW)となるため好ましくない。
磁性層4a中のPtの含有量は、8at%以上20at%以下であることが好ましい。Ptの含有量が8at%未満であると、高密度記録に適した熱揺らぎ特性を得るために垂直磁性層4に必要な磁気異方性定数Kuが得られないため好ましくない。Ptの含有量が20at%を超えると、磁性粒子42の内部に積層欠陥が生じ、その結果、磁気異方性定数Kuが低くなる。また、Ptの含有量が上記範囲を超えた場合、磁性粒子42中にfcc構造の層が形成され、結晶性及び配向性が損なわれるおそれがあるため好ましくない。したがって、高密度記録に適した熱揺らぎ特性及び記録再生特性を得るためには、磁性層4a中Ptの含有量を上記範囲とすることが好ましい。
磁性層4aの磁性粒子42には、Co、Cr、Ptの他に、B、Ta、Mo、Cu、Nd、W、Nb、Sm、Tb、Ru、Reの中から選ばれる1種類以上の元素が含まれていてもよい。上記元素を含むことにより、磁性粒子42の微細化を促進、又は結晶性や配向性を向上させることができ、より高密度記録に適した記録再生特性、熱揺らぎ特性を得ることができる。
また、磁性粒子42中に含まれるCo、Cr、Ptの他の上記元素の合計の含有量は、8at%以下であることが好ましい。上記元素の合計の含有量が8at%を超えると、磁性粒子42中にhcp相以外の相が形成されるため、磁性粒子42の結晶性及び配向性が乱れ、結果として高密度記録に適した記録再生特性及び熱揺らぎ特性が得られないため好ましくない。
磁性層4aに適した材料としては、例えば、90(Co14Cr18Pt)−10(SiO){Cr含有量14at%、Pt含有量18at%、残部Coからなる磁性粒子を1つの化合物として算出したモル濃度が90mol%、SiOからなる酸化物組成が10mol%}、92(Co10Cr16Pt)−8(SiO)、94(Co8Cr14Pt4Nb)−6(Cr)の他、(CoCrPt)−(Ta)、(CoCrPt)−(Cr)−(TiO)、(CoCrPt)−(Cr)−(SiO)、(CoCrPt)−(Cr)−(SiO)−(TiO)、(CoCrPtMo)−(TiO)、(CoCrPtW)−(TiO)、(CoCrPtB)−(Al)、(CoCrPtTaNd)−(MgO)、(CoCrPtBCu)−(Y)、(CoCrPtRu)−(SiO)などを挙げることができる。
図3に示すように、垂直磁性層4を構成する磁性層4bも磁性層4aと同様に、グラニュラー構造の磁性層であり、Co、Cr、Ptを含む磁性粒子(磁性を有した結晶粒子)42と、酸化物41とを含むものであることが好ましい。
酸化物41は、Cr、Si、Ta、Al、Ti、Mg、Coの酸化物であることが好ましい。中でも特に、TiO、Cr、SiOを酸化物41として好適に用いることができる。また、磁性層4bを構成する酸化物41は、2種類以上の酸化物からなる複合酸化物であることが好ましい。中でも特に、Cr−SiO、Cr−TiO、Cr−SiO−TiOなどからなる複合酸化物を酸化物41として好適に用いることができる。
磁性層4bを構成する磁性粒子42は、磁性層4b中に分散していることが好ましい。磁性粒子42は、磁性層4a,4b、更には磁性層4cを上下に貫いた柱状構造を形成していることが好ましい。このような構造を形成することにより、磁性層4bの磁性粒子42の配向及び結晶性が良好なものとなり、結果として高密度記録に適した信号/ノイズ比(S/N比)が得られる。
磁性層4b中の酸化物41の含有量は、磁性粒子42を構成する、例えばCo、Cr、Pt等の化合物の総量に対して、3mol%以上18mol%以下であることが好ましく、さらに好ましくは6mol%以上13mol%以下である。磁性層4b中の酸化物41の含有量として上記範囲が好ましい理由は、垂直磁性層4を構成する磁性層4a中の酸化物41の含有量と同じである。
磁性層4b中のCrの含有量は、4at%以上18at%以下(さらに好ましくは8at%以上15at%以下)であることが好ましい。Crの含有量を上記範囲としたのは、磁性粒子42の磁気異方性定数Kuを下げ過ぎず、また、高い磁化を維持し、結果として高密度記録に適した記録再生特性と十分な熱揺らぎ特性が得られるためである。
一方、磁性層4b中のCrの含有量が上記範囲を超えた場合には、磁性粒子42の磁気異方性定数Kuが小さくなるため、熱揺らぎ特性が悪化し、また、磁性粒子42の結晶性及び配向性が悪化することで、結果として記録再生特性が悪くなるため好ましくない。また、Crの含有量が上記範囲未満である場合には、磁性粒子42の磁気異方性定数Kuが高くなるため、垂直保磁力が高くなり過ぎてデータを記録する際に、磁気ヘッドで十分に書き込むことができず、結果として高密度記録に適さない記録特性(OW)となるため好ましくない。
磁性層4b中のPtの含有量は、10at%以上22at%以下であることが好ましい。Ptの含有量が10at%未満であると、高密度記録に適した熱揺らぎ特性を得るために垂直磁性層4に必要な磁気異方性定数Kuが得られないため好ましくない。Ptの含有量が22at%を超えると、磁性粒子42の内部に積層欠陥が生じ、その結果、磁気異方性定数Kuが低くなる。また、Ptの含有量が上記範囲を超えた場合、磁性粒子42中にfcc構造の層が形成され、結晶性及び配向性が損なわれるおそれがあるため好ましくない。したがって、高密度記録に適した熱揺らぎ特性及び記録再生特性を得るためには、磁性層4b中Ptの含有量を上記範囲とすることが好ましい。
磁性層4bの磁性粒子42には、磁性層4aの磁性粒子42と同様に、Co、Cr、Ptの他に、B、Ta、Mo、Cu、Nd、W、Nb、Sm、Tb、Ru、Reの中から選ばれる1種類以上の元素が含まれていてもよい。上記元素を含むことにより、磁性粒子42の微細化を促進、又は結晶性や配向性を向上させることができ、より高密度記録に適した記録再生特性、熱揺らぎ特性を得ることができる。
また、磁性層4bの磁性粒子42中に含まれるCo、Cr、Ptの他の上記元素の合計の含有量は、磁性層4aの磁性粒子42と同様の理由により、8at%以下であることが好ましい。
垂直磁性層4を構成する磁性層4cは、図3に示すように、Co、Crを含む磁性粒子(磁性を有した結晶粒子)42を含み、酸化物41を含まないものであることが好ましい。磁性層4c中の磁性粒子42は、磁性層4a中の磁性粒子42から柱状にエピタキシャル成長しているものであることが好ましい。この場合、磁性層4a〜4cの磁性粒子42が、各層において1対1に対応して、柱状にエピタキシャル成長することが好ましい。また、磁性層4bの磁性粒子42が磁性層4a中の磁性粒子42からエピタキシャル成長していることで、磁性層4bの磁性粒子42が微細化され、さらに結晶性及び配向性が向上したものとなる。
磁性層4c中のCrの含有量は、10at%以上24at%以下であることが好ましい。Crの含有量を上記範囲とすることで、データの再生時における出力を十分確保でき、更に良好な熱揺らぎ特性を得ることができる。一方、Crの含有量が上記範囲を超える場合、磁性層4cの磁化が小さくなり過ぎるため好ましくない。また、Cr含有量が上記範囲未満である場合には、磁性粒子42の分離及び微細化が十分に生じず、記録再生時のノイズが増大し、高密度記録に適した信号/ノイズ比(S/N比)が得られなくなるため好ましくない。
また、磁性層4cを構成する磁性粒子42が、Co、Crの他にPtを含んだ材料である場合、磁性層4c中のPtの含有量は、8at%以上20at%以下であることが好ましい。Ptの含有量が上記範囲である場合、高記録密度に適した十分な保磁力を得ることができ、更に記録再生時における高い再生出力を維持し、結果として高密度記録に適した記録再生特性および熱揺らぎ特性が得られる。一方、磁性層4c中のPtの含有量が上記範囲を超えると、磁性層4c中にfcc構造の相が形成され、結晶性及び配向性が損なわれるおそれがあるため好ましくない。また、Ptの含有量が上記範囲未満である場合、高密度記録に適した熱揺らぎ特性を得るための磁気異方性定数Kuが得られないため好ましくない。
磁性層4cを構成する磁性粒子42は、非グラニュラー構造の磁性層であり、Co、Cr、Ptの他に、B、Ta、Mo、Cu、Nd、W、Nb、Sm、Tb、Ru、Re、Mnの中から選ばれる1種類以上の元素を含むことができる。上記元素を含むことにより、磁性粒子42の微細化を促進、又は結晶性や配向性を向上させることができ、より高密度記録に適した記録再生特性及び熱揺らぎ特性を得ることができる。
また、磁性層4cの磁性粒子42中に含まれるCo、Cr、Ptの他の上記元素の合計の含有量は、16at%以下であることが好ましい。上記元素の合計の含有量が16at%を超えると、磁性粒子42中にhcp相以外の相が形成されるため、磁性粒子42の結晶性及び配向性が乱れ、結果として高密度記録に適した記録再生特性、熱揺らぎ特性が得られないため好ましくない。
磁性層4cに適した材料としては、特に、CoCrPt系、CoCrPtB系を挙げることできる。CoCrPtB系としては、CrとBとの合計の含有量が18at%以上28at%以下であるものが好ましい。
磁性層4cに適した材料としては、例えば、CoCrPt系では、Co14〜24Cr8〜22Pt{Cr含有量14〜24at%、Pt含有量8〜22at%、残部Co}、CoCrPtB系では、Co10〜24Cr8〜22Pt0〜16B{Cr含有量10〜24at%、Pt含有量8〜22at%、B含有量0〜16at%、残部Co}が好ましい。その他の系としては、CoCrPtTa系では、Co10〜24Cr8〜22Pt1〜5Ta{Cr含有量10〜24at%、Pt含有量8〜22at%、Ta含有量1〜5at%、残部Co}、CoCrPtTaB系では、Co10〜24Cr8〜22Pt1〜5Ta1〜10B{Cr含有量10〜24at%、Pt含有量8〜22at%、Ta含有量1〜5at%、B含有量1〜10at%、残部Co}の他にも、CoCrPtBNd系、CoCrPtTaNd系、CoCrPtNb系、CoCrPtBW系、CoCrPtMo系、CoCrPtCuRu系、CoCrPtRe系などの材料を挙げることができる。
垂直磁性層4の垂直保磁力(Hc)は、3000[Oe]以上とすることが好ましい。保磁力が3000[Oe]未満である場合には、記録再生特性、特に周波数特性が不良となり、また、熱揺らぎ特性も悪くなるため、高密度記録媒体として好ましくない。
垂直磁性層4の逆磁区核形成磁界(−Hn)は、1500[Oe]以上であることが好ましい。逆磁区核形成磁界(−Hn)が1500[Oe]未満である場合には、熱揺らぎ耐性に劣るため好ましくない。
垂直磁性層4を構成する磁性粒子42の平均粒径は3〜12nmであることが好ましい。磁性粒子42の平均粒径は、例えば垂直磁性層4をTEM(透過型電子顕微鏡)で観察し、観察像を画像処理することにより求めることができる。
垂直磁性層4の厚みは、5〜20nmとすることが好ましい。垂直磁性層4の厚みが上記未満であると、十分な再生出力が得られず、熱揺らぎ特性も低下する。また、垂直磁性層4の厚さが上記範囲を超えると、垂直磁性層4中の磁性粒子42の肥大化が生じ、記録再生時におけるノイズが増大し、信号/ノイズ比(S/N比)や記録特性(OW)に代表される記録再生特性が悪化するため好ましくない。
本発明では、垂直磁性層4を構成する複数の磁性層4a,4b、4cのうち、非磁性基板1側の磁性層4aをグラニュラー構造の磁性層とし、保護層5側の磁性層4cを、酸化物を含まない非グラニュラー構造の磁性層とすることが好ましい。このような構成とすることにより、磁気記録媒体の熱揺らぎ特性、記録特性(OW)、S/N比等の各特性の制御・調整をより容易に行うことが可能となる。
また、本発明では、上記垂直磁性層4を4層以上の磁性層で構成することも可能である。例えば、上記磁性層4a,4bに加えて、さらにグラニュラー構造の磁性層を形成し、これら3層のグラニュラー構造の磁性層の上に、酸化物を含まない磁性層4cを設けた構成としてもよいし、酸化物を含まない磁性層4cを2層構造として、磁性層4a,4bの上に設けた構成としてもよい。
また、本発明では、垂直磁性層4を構成する複数の磁性層間に非磁性層7(図1および図3では符号7a,7bで示す)を設けることが好ましい。非磁性層7を適度な厚みで設けることで、個々の膜の磁化反転が容易になり、磁性粒子全体の磁化反転の分散を小さくすることができる。その結果S/N比をより向上させることが可能である。
非磁性層7の厚みは、垂直磁性層4を構成する各層の静磁結合を完全に切断しない範囲、具体的には0.1nm以上2nm以下(より好ましくは0.1以上0.8nm以下)とすることが好ましい。
本発明の3層以上の磁性層4a,4b,4cが強磁性結合(フェロ・カップリング結合、以下、FC結合と呼ぶ。)し、また、静磁結合が完全に切れた際には、M−Hループが2段階に反転するループになるために、容易に判別可能である。この2段ループが生じた場合は、磁気ヘッドからの磁界に対して磁気グレインが一斉に反転しないことを意味しており、その結果再生時のS/N比の著しい悪化や分解能の低下が生じるため好ましくない。
非磁性層7としてRu又はRu合金を用いた場合には、0.6nm以上1.2nm以下の範囲でAFC結合が生じる。本発明においては、AFC結合ではなく各磁性層4a,4b,4cがFCで静磁結合していることが必須である。
垂直磁性層4を構成する磁性層4a,4b,4c間に設ける非磁性層7としては、hcp構造を有する材料を用いることが好ましい。具体的には、例えば、Ru、Ru合金、CoCr合金、CoCrX合金(Xは、Pt、Ta、Zr、Re,Ru、Cu、Nb、Ni、Mn、Ge、Si、O、N、W、Mo、Ti、V、Zr、Bの中から選ばれる少なくとも1種又は2種以上の元素を表す)などを好適に用いることができる。
垂直磁性層4を構成する磁性層4a,4b,4c間に設ける非磁性層7として、CoCr系合金を用いる場合には、Coの含有量は、30〜80at%の範囲であることが好ましい。この範囲であれば、磁性層間のカップリングを小さく調整することが可能であるからである。
また、磁性層4a,4b,4c間に設ける非磁性層7として、hcp構造を有する合金を用いる場合、例えばRu、Re、Ti、Y、Hf、Znなどの合金も用いることができる。
また、垂直磁性層4を構成する磁性層4a,4b,4c間に設ける非磁性層7として、その上下の磁性層の結晶性や配向性を損ねない範囲で、他の構造をとる金属や合金などを使用することもできる。具体的には、例えば、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Ir、Mo、W、Ta、Nb、V、Bi、Sn、Si、Al、C、B、Cr又はそれらの合金を用いることができる。特に、Cr合金としては、CrX(Xは、Ti、W、Mo、Nb、Ta、Si、Al、B、C、Zrの中から選ばれる少なくとも1種又は2種以上の元素を表す。)などを好適に用いることが可能である。Cr合金中のCrの含有量は60at%以上とすることが好ましい。
また、垂直磁性層4を構成する磁性層4a,4b,4c間に設ける非磁性層7としては、上記合金の金属粒子が酸化物、金属窒化物、又は金属炭化物中に分散した構造のものを用いることが好ましい。さらに、この金属粒子が非磁性層7を上下に貫いた柱状構造を有することがより好ましい。このような構造とするためには、酸化物、金属窒化物、又は金属炭化物を含んだ合金材料を使用することが好ましい。具体的には、酸化物として、例えば、SiO、Al、Ta、Cr、MgO、Y、TiOなど、金属窒化物として、例えば、AlN、Si、TaN、CrNなど、金属炭化物として、例えば、TaC、BC、SiCなどをそれぞれ用いることができる。さらに、例えば、CoCr−SiO、CoCr−TiO、CoCr−Cr、CoCrPt−Ta、Ru−SiO、Ru−Si、Pd−TaCなどを用いることができる。
垂直磁性層4を構成する磁性層4a,4b,4c間に設ける非磁性層7中の酸化物、金属窒化物、又は金属炭化物の含有量としては、垂直磁性膜4の結晶成長や結晶配向を損なわない含有量であることが好ましく、非磁性層7を構成する合金に対して、4mol%以上30mol%以下であることが好ましい。
この非磁性層7中の酸化物、金属窒化物、又は金属炭化物の含有量が上記範囲を超える場合、合金の金属粒子中に酸化物、金属窒化物、又は金属炭化物が残留し、金属粒子の結晶性や配向性を損ねるほか、金属粒子の上下にも酸化物、金属窒化物、又は金属炭化物が析出してしまい、金属粒子が非磁性層7を上下に貫く柱状構造となりにくくなり、この非磁性層7の上に形成された磁性層の結晶性や配向性を損ねるおそれがあるため好ましくない。一方、この非磁性層7中の酸化物、金属窒化物、又は金属炭化物の含有量が上記範囲未満である場合には、酸化物、金属窒化物、又は金属炭化物の添加による効果が得られないため好ましくない。
「保護層」
垂直磁性層4上には保護層5が形成される。保護層5は、垂直磁性層4の腐食を防ぐとともに、磁気ヘッドが磁気記録媒体に接触したときの媒体表面の損傷を防ぐためのものである。保護層5としては、従来公知の材料を使用することができ、例えばC、SiO、ZrOを含むものを使用することが可能である。保護層5の厚みは、1〜10nmとすることが、磁気ヘッドと磁気記録媒体との距離を小さくできるので高記録密度の点から好ましい。保護層5は、例えば、CVD(化学気相成長)法などを用いて形成される。
「潤滑層」
保護層5上には潤滑層6が形成される。潤滑層6には、例えば、パーフルオロポリエーテル、フッ素化アルコール、フッ素化カルボン酸などの潤滑剤を用いることが好ましい。潤滑層6は、例えば、ディッピング法などを用いて形成される。
本実施形態の磁気記録媒体は、配向制御層3が、CoまたはFeからなる磁性材料を20at%〜50at%の範囲内で含有するRu合金層を含むものであるので、磁気記録媒体の表面の凹凸を緩和するために、Ru合金層の頂部に形成されるドーム状の凸部の高さを低くしても、磁性材料によって配向制御層3の表面における磁性粒子の成長を促進させることができ、ドーム状の凸部上から磁性粒子が柱状に成長されたものとすることができる。したがって、本発明の磁気記録媒体によれば、磁気記録媒体の垂直磁性層の垂直配向性に優れ表面平滑性の高い、高密度記録および磁気転写によるパターンの書き込みに適した磁気記録媒体を実現できる。
また、本実施形態の磁気記録媒体は、配向制御層3が、磁性材料を20at%〜50at%の範囲内で含み、磁性材料がCoまたはFeであるRu合金層を含むものであるので、配向制御層が磁性を発現するものとなる。したがって、本実施形態の磁気記録媒体では、配向制御層3を構成する結晶粒子と共に厚み方向に連続した柱状晶を含む垂直磁性層4を得るために、配向制御層3の厚みを厚くし、軟磁性下地層2と磁気ヘッドとの記録時における距離が大きくなったとしても、高密度記録に適した十分に高い記録特性(OW)が得られる。その結果、本実施形態の磁気記録媒体によれば、高密度記録に適した信号/ノイズ比(S/N比)、記録特性(OW)、及び熱揺らぎ特性を有する磁気記録媒体を実現できる。
また、本実施形態の磁気記録媒体は、垂直磁性層4が、配向制御層3を構成する結晶粒子と共に厚み方向に連続した柱状晶を含むものであるので、垂直磁性層4の垂直配向性が優れたものとなる。
また、本実施形態の磁気記録媒体は、配向制御層3が、軟磁性下地層2側に配置された第1配向制御層3aと、第1配向制御層3aの垂直磁性層4側に配置された第2配向制御層3bとからなり、第1配向制御層3aが、柱状晶の核となる結晶を含むものであり、第2配向制御層3bが、核となる結晶に厚み方向に連続し、頂部にドーム状の凸部が形成された柱状晶を含むものであり、第1配向制御層3aと第2配向制御層3bの両方が、磁性材料を20at%〜50at%の範囲内で含み、磁性材料がCoまたはFeであるRu合金層を含むものであるので、配向制御層3および垂直磁性層4を微細化かつ平滑化することができ、より高密度記録に適した高い記録特性(OW)を有するのものとなる。
(磁気記録再生装置)
図4は、本発明を適用した磁気記録再生装置の一例を示すものである。
この磁気記録再生装置は、図1に示す構成を有する磁気記録媒体50と、磁気記録媒体50を回転駆動させる媒体駆動部51と、磁気記録媒体50に情報を記録再生する磁気ヘッド52と、この磁気ヘッド52を磁気記録媒体50に対して相対運動させるヘッド駆動部53と、記録再生信号処理系54とを備えている。
記録再生信号処理系54は、外部から入力されたデータを処理して記録信号を磁気ヘッド52に送り、磁気ヘッド52からの再生信号を処理してデータを外部に送ることが可能となっている。本発明を適用した磁気記録再生装置に用いる磁気ヘッド52には、再生素子として巨大磁気抵抗効果(GMR)を利用したGMR素子などを有した、より高記録密度に適した磁気ヘッドを用いることができる。
図4に示す磁気記録再生装置は、本発明の磁気記録媒体の一例である図1に示す表面平滑性の高い磁気記録媒体50と、磁気記録媒体50に対する情報の記録再生を行う磁気ヘッド52とを備えるものであるので、高密度記録に適した信号/ノイズ比(S/N比)、記録特性(OW)、及び熱揺らぎ特性が得られる磁気記録媒体を備えた優れたものとなる。
以下、実施例により本発明の効果をより明らかなものとする。なお、本発明は、以下の実施例に限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することができる。
(比較例1〜5、実施例1〜6)
以下に示す製造方法により、磁気記録媒体を作製し、評価した。
まず、洗浄済みのガラス基板(コニカミノルタ社製、外形2.5インチ)を、DCマグネトロンスパッタ装置(アネルバ社製C−3040)の成膜チャンバ内に収容して、到達真空度1×10−5Paとなるまで成膜チャンバ内を排気した後、このガラス基板の上に、Crターゲットを用いて層厚10nmの密着層を成膜した。
このようにして得られた密着層の上に、Co−20Fe−5Zr−5Ta{Fe含有量20at%、Zr含有量5at%、Ta含有量5at%、残部Co}のターゲットを用いて100℃以下の基板温度で、層厚25nmの軟磁性層を成膜し、この上にRu層を層厚0.7nmで成膜し、さらにCo−20Fe−5Zr−5Taの軟磁性層を層厚25nmで成膜し、これを軟磁性下地層とした。
次に、軟磁性下地層の上に配向制御層を形成した。配向制御層は第1配向制御層と第2配向制御層の2層構造とし、各層の組成は表1に示すようにした。なお、第1配向制御層および第2配向制御層の膜厚は共に100Åとした。また、第1配向制御層の成膜圧力は1Pa、第2配向制御層の成膜圧力は8Paとした。
Figure 2011192326
その後、配向制御層上に、垂直磁性層を形成した。
まず、配向制御層上に、(Co15Cr16Pt)91−(SiO)6−(TiO)3{Cr含有量15at%、Pt含有量18at%、残部Coの合金を91mol%、SiOからなる酸化物を6mol%、Crからなる酸化物を3mol%、TiOからなる酸化物を3mol%}の組成の磁性層を、スパッタリングガス圧を2Paとして層厚9nmで成膜した。
次に、磁性層の上に、(Co30Cr)88−(TiO)12からなる非磁性層を層厚0.3nmで成膜した。
次に、非磁性層の上に、(Co11Cr18Pt)92−(SiO)5−(TiO)3からなる磁性層を、スパッタリングガス圧を2Paとして層厚6nmで成膜した。
次に、磁性層の上に、Ruからなる非磁性層を層厚0.3nmで成膜した。
次に、非磁性層の上に、Co20Cr14Pt3B{Cr含有量20at%、Pt含有量14at%、B含有量3at%、残部Co}からなるターゲットを用いて、スパッタリングガス圧を0.6Paとして磁性層を層厚7nmで成膜した。
次に、CVD法により層厚3.0nmの保護層を成膜し、次いで、ディッピング法によりパーフルオロポリエーテルからなる潤滑層を成膜し、磁気記録媒体を作製した。
このようにして得られた磁気記録媒体について、保磁力(Hc)、信号/ノイズ比(S/N)、記録特性(OW)、表面粗さを測定し、評価した。その結果を表1に示す。
なお、記録再生特性としての信号/ノイズ比(S/N)および記録特性(OW)の評価は、米国GUZIK社製のリードライトアナライザRWA1632及びスピンスタンドS1701MPを用いて行った。
また、磁気ヘッドには、書き込み側にシングルポール磁極を用い、読み出し側にTMR素子を用いたヘッドを使用した。
信号/ノイズ比(S/N)については、記録密度750kFCIとして測定した。
記録特性(OW)については、先ず、750kFCIの信号を書き込み、次いで100kFCIの信号を上書し、周波数フィルターにより高周波成分を取り出し、その残留割合によりデータの書き込み能力を評価した。
また、磁気記録媒体の表面形状を、AFM(原子間力顕微鏡)を用いて調べ、垂直磁性層を構成する磁性粒子に対応して形成された磁気記録媒体の表面の凹凸の段差を測定した。具体的には、磁性粒子によって生じた100個の凸部の高さを測定し、その高さの平均値を求め、表面粗さとした。
表1に示すように、実施例1〜実施例6の磁気記録媒体は、保磁力(Hc)、信号/ノイズ比(S/N)、記録特性(OW)、表面粗さが優れている。
これに対し、CoまたはFeの含有量が20at%未満である比較例1〜比較例3の磁気記録媒体では、信号/ノイズ比(S/N)、記録特性(OW)の評価は良好であるものの、垂直磁性層の表面粗さが大きくなっている。
また、CoまたはFeの含有量が50at%を超える比較例4および比較例5の磁気記録媒体は、垂直磁性層の表面粗さの評価は良好であるものの、信号/ノイズ比(S/N)、記録特性(OW)の評価が不十分となった。これは、比較例4および比較例5の磁気記録媒体においては、配向制御層を構成するRu合金層の成長表面におけるドーム状の凸部の形成不良により、磁性粒子の柱状成長が不十分となって、磁気記録媒体の垂直配向性が低下したことによるものと考えられる。
1…非磁性基板、2…軟磁性下地層、3…配向制御層、3a…第1配向制御層、3b…第2配向制御層、4…垂直磁性層、4a…下層の磁性層、4b…中層の磁性層、4c…上層の磁性層、5…保護層、6…潤滑層、7…非磁性層、7a…下層の非磁性層、7b…上層の非磁性層、8…非磁性下地層、15…酸化物、S1、S2、S3…柱状晶、S1a…凹凸面、41…酸化物、42…磁性粒子、50…磁気記録媒体、51…媒体駆動部、52…磁気ヘッド、53…ヘッド駆動部、54…記録再生信号処理系。

Claims (3)

  1. 非磁性基板の上に、軟磁性下地層と、直上の層の配向性を制御する配向制御層と、磁化容易軸が前記非磁性基板に対して主に垂直に配向した垂直磁性層とを、少なくとも積層してなる磁気記録媒体であって、
    前記配向制御層が、CoまたはFeからなる磁性材料を20at%〜50at%の範囲内で含有するRu合金層を含むものであり、
    前記垂直磁性層が、前記配向制御層を構成する結晶粒子と共に厚み方向に連続した柱状晶を含むものであることを特徴とする磁気記録媒体。
  2. 前記配向制御層が、前記軟磁性下地層側に配置された第1配向制御層と、前記第1配向制御層の前記垂直磁性層側に配置された第2配向制御層とからなり、
    前記第1配向制御層が、柱状晶の核となる結晶を含むものであり、前記第2配向制御層が、前記核となる結晶に厚み方向に連続し、頂部にドーム状の凸部が形成された柱状晶を含むものであり、
    前記第1配向制御層と前記第2配向制御層のいずれか一方または両方が、前記Ru合金層を含むものであることを特徴とする請求項1に記載の磁気記録媒体。
  3. 請求項1または請求項2に記載の磁気記録媒体と、前記磁気記録媒体に対する情報の記録再生を行う磁気ヘッドとを備えることを特徴とする磁気記録再生装置。
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