JP2011086350A - 磁気記録媒体の製造方法、磁気記録媒体及び磁気記録再生装置 - Google Patents

磁気記録媒体の製造方法、磁気記録媒体及び磁気記録再生装置 Download PDF

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Atsushi Hashimoto
篤志 橋本
Yuzo Sasaki
有三 佐々木
Gohei Kurokawa
剛平 黒川
Shin Saito
伸 斉藤
Ken Takahashi
高橋  研
Tomoyuki Maeda
知幸 前田
Akihiko Takeo
昭彦 竹尾
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Toshiba Corp
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Abstract

【課題】垂直磁性層の高い垂直配向性を維持し、更なる高記録密度化を可能とした磁気記録媒体の製造方法を提供する。
【解決手段】少なくとも非磁性基板の上に、軟磁性下地層11と、直上の層の配向性を制御する配向制御層12と、磁化容易軸が前記非磁性基板1に対して主に垂直に配向した垂直磁性層13とを積層してなる磁気記録媒体の製造方法であって、配向制御層12を構成する結晶粒子を基板面に対して斜め方向に結晶成長させながら一方向に規則的に配列した柱状晶S1を形成するステップと、垂直磁性層13を2層以上の磁性層14,15から構成し、各磁性層14,15を構成する結晶粒子を、配向制御層12を構成する柱状晶S1の各頂部から基板面に対して垂直な方向に結晶成長させながら厚み方向に連続した柱状晶S2,S3を形成するステップとを含む。
【選択図】図3

Description

本発明は、磁気記録媒体の製造方法、磁気記録媒体及び磁気記録再生装置に関するものである。
磁気記録再生装置の一種であるハードディスク装置(HDD)は、現在その記録密度が年率50%以上で増えており、今後もその傾向は続くと言われている。それに伴って高記録密度化に適した磁気ヘッド及び磁気記録媒体の開発が進められている。
現在、市販されている磁気記録再生装置に搭載されている磁気記録媒体は、記録磁性膜内の磁化容易軸が主に垂直に配向した、いわゆる垂直磁気記録媒体である。垂直磁気記録媒体は、高記録密度化した際にも、記録ビット間の境界領域における反磁界の影響が小さく、鮮明なビット境界が形成されるため、ノイズの増加が抑えられる。しかも高記録密度化に伴う記録ビット体積の減少が少なくて済むため、熱揺らぎ効果にも強い。このため、HDDはそのほとんどが垂直磁気記録方式に置き換わりつつある。
垂直磁気記録媒体では、記録磁性層と非磁性基板との間に、軟磁性材料から構成される裏打ち層を設けている。これは、書き込み時に単磁極ヘッドから放出される磁束の収斂性を高め、磁束勾配を急峻にすることにより書き込み磁界を高める役割を担っている。
垂直磁気記録媒体の記録再生特性、熱揺らぎ特性を向上させるために、裏打ち層と記録磁性層との間に配向制御層を形成することにより、磁性層の結晶粒子を連続した柱状晶とし、これにより磁性層の垂直配向性を高めることが提案されている(特許文献1を参照。)。また、この特許文献1には、配向制御層をスパッタリングにより形成するに際し、スパッタガス圧力を10Pa以上とすることにより磁性層の垂直磁気異方性を高めることが記載されている。
一方、配向制御層としてRuを用いることが開示されている(特許文献2を参照。)。Ruは、その柱状晶の頂部にドーム状の凸部を有するため、この凸部上に磁性層等の結晶粒子を成長させ、また成長した結晶粒子の分離構造を促進し、また結晶粒子を孤立化させ、磁性粒子を柱状に成長させる効果を有する旨が記載されている(特許文献3を参照。)。
一方、配向制御層として2つのRu層を使用し、基板側のRu層を低ガス圧(0.6Pa)、磁性層側のRu層を高ガス圧(10Pa)の2段で成膜することにより、1段で成膜するよりもS/N比を改善できることが報告されている(特許文献4を参照。)。
また、配向制御層として、fcc構造を有する元素とbcc構造を有する元素、又はhcp構造を有する元素との合金からなり、(111)面配向する結晶構造と、fcc構造とbcc構造、又はhcp構造の混合による層状不整格子(積層欠陥)を併せもつ材料を用いることが提案されている。(特許文献5を参照。)。
特開2004−310910号公報 特開平7−244831号公報 特開2007−272990号公報 特開2002−197630号公報 国際公開第07/129687号パンフレット
ところで、磁気記録媒体に対する高記録密度化の要求は留まることがなく、磁気記録媒体には今まで以上に高い特性の向上が求められている。具体的に、磁気記録媒体の記録密度を高めるためには、上述した配向制御層を構成する結晶の配向性を保ちつつ、配向制御層の表面凹凸形成を促進することにより、この上に形成される柱状構造の磁性粒子間の磁気分離を促進する必要がある。
上述のように、配向制御層を構成する結晶を微細化し、配向性を高めるためには、低ガス圧と高ガス圧のスパッタリングとをこの順で用いた2段成膜を用いる場合がある。しかしながら、高ガス圧のスパッタリングは、析出結晶をポーラス(低密度化)にし、形成する膜の結晶性を低下させる。すなわち、ガス圧が高くなることにより、スパッタ粒子の平均自由行程が短くなり、エネルギーが低下すること、並びに成長結晶内にガス分子が混入し易くなることに起因して、形成する膜の結晶性が低下することになる。
また、上記特許文献4に記載されるように、配向制御層を構成する結晶の配向性を維持しつつ表面凹凸を増強するため、低ガス圧と高ガス圧のスパッタリングをこの順で用いた2段成膜を用いる方法がある。しかしながら、高ガス圧でスパッタリングすると、スパッタ粒子の平均自由行程が短くなりエネルギーが低下すること、並びに成長結晶内にガス分子が混入し易くなることに起因して、どうしても形成される膜の結晶性を低下させ、スクラッチ耐性も劣化してしまう。このため、配向制御層を低ガス圧で形成しても、十分に表面凹凸が形成されるようなプロセスが望まれている。
また、上記特許文献5に記載の発明では、配向制御層に層状不整格子を導入して配向制御層を薄膜化し、結晶粒径の微細化と垂直配向性向上の両立を図っているが、更なる特性の向上が望まれている。
本発明は、このような従来の事情に鑑みて提案されたものであり、垂直磁性層の高い垂直配向性を維持し、更なる高記録密度化を可能とした磁気記録媒体の製造方法、そのような製造方法を用いて製造された磁気記録媒体、並びにそのような磁気記録媒体を備えた磁気記録再生装置を提供することを目的とする。
本発明は、以下の手段を提供する。
(1) 少なくとも非磁性基板の上に、軟磁性下地層と、直上の層の配向性を制御する配向制御層と、磁化容易軸が前記非磁性基板に対して主に垂直に配向した垂直磁性層とを積層してなる磁気記録媒体の製造方法であって、
前記配向制御層を構成する結晶粒子を基板面に対して斜め方向に結晶成長させながら一方向に規則的に配列した柱状晶を形成するステップと、
前記垂直磁性層を2層以上の磁性層から構成し、各磁性層を構成する結晶粒子を、前記配向制御層を構成する柱状晶の各頂部から基板面に対して垂直な方向に結晶成長させながら厚み方向に連続した柱状晶を形成するステップとを含むことを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
(2) 前記配向制御層を形成する際に、スパッタリング法を用いて、スパッタガス圧を1Pa以下とすることを特徴とする前項(1)に記載の磁気記録媒体の製造方法。
(3) 前記配向制御層を形成する際に、スパッタリング法を用いて、スパッタ粒子を基板面に対して斜影効果が得られる角度範囲で斜めに入射させることを特徴とする前項(1)又は(2)に記載の磁気記録媒体の製造方法。
(4) 前記配向制御層をスパッタリング法で形成する際に、前記スパッタ粒子の基板面に対する入射角度を、この基板面の垂線に対して20〜50゜の角度範囲とすることを特徴とする前項(3)又は(4)に記載の磁気記録媒体の製造方法。
(5) 前記配向制御層がRu層又はRuを主成分とする層を含むことを特徴とする前項(1)〜(4)の何れか一項に記載の磁気記録媒体の製造方法。
(6) 前記Ru層又はRuを主成分とする層を複数積層し、この複数積層した層の全てをスパッタリング法で形成することを特徴とする前項(1)〜(5)の何れか一項に記載の磁気記録媒体の製造方法。
(7) 前記配向制御層が、fcc構造を有する元素群のうち少なくとも1種を主成分とし、bcc構造を有する元素群から選ばれる元素との合金材料からなり、(111)配向する結晶構造と、fcc構造とbcc構造の混合による層状不整格子(積層欠陥)を併せもつ層を含むことを特徴とする前項(1)〜(4)の何れか一項に記載の磁気記録媒体の製造方法。
(8) 前記配向制御層が、fcc構造を有する元素群のうち少なくとも1種を主成分とし、hcp構造を有する元素群から選ばれる元素との合金材料からなり、(111)配向する結晶構造と、fcc構造とhcp構造の混合による層状不整格子(積層欠陥)を併せもつ層を含むことを特徴とする前項(1)〜(4)の何れか一項に記載の磁気記録媒体の製造方法。
(9) 少なくとも非磁性基板の上に、軟磁性下地層と、直上の層の配向性を制御する配向制御層と、磁化容易軸が前記非磁性基板に対して主に垂直に配向した垂直磁性層とを積層してなる磁気記録媒体であって、
前記配向制御層を構成する結晶粒子が基板面に対して斜め方向に結晶成長しながら一方向に規則的に配列した柱状晶を形成していると共に、
前記垂直磁性層が2層以上の磁性層から構成され、各磁性層を構成する結晶粒子が前記配向制御層を構成する柱状晶の各頂部から基板面に対して垂直な方向に結晶成長しながら厚み方向に連続した柱状晶を形成していることを特徴とする磁気記録媒体。
(10) 前記一方向がディスク状の非磁性基板における半径方向であることを特徴とする前項(9)に記載の磁気記録媒体の製造方法。
(11) 前記斜め方向に結晶成長した配向制御層を構成する柱状晶の角度が基板面の垂線に対して20〜50゜の範囲にあることを特徴とする前項(9)又は(10)に記載の磁気記録媒体。
(12) 前記配向制御層を構成する結晶粒子の粒径が5nm以下であることを特徴とする前項(9)〜(11)の何れか一項に記載の磁気記録媒体。
(13) 前記磁性層がグラニュラー構造を有することを特徴とする前項(9)〜(12)の何れか一項に記載の磁気記録媒体。
(14) 請求項(1)〜(8)の何れか一項に記載の製造方法により製造された磁気記録媒体又は前項(9)〜(13)の何れか一項に記載の磁気記録媒体と、
前記磁気記録媒体に対する情報の記録再生を行う磁気ヘッドとを備えることを特徴とする磁気記録再生装置。
以上のように、本発明によれば、高ガス圧のスパッタリングを行わずに、配向制御層を構成する柱状晶を微細化し、その密度を高めることができる。これにより、配向制御層を構成する柱状晶の各頂部から垂直磁性層の最上層に至るまで、磁性層を構成する柱状晶を微細化し、磁気記録媒体の記録密度を高めることが可能である。また、配向制御層を構成する結晶粒子を高密度化及び高硬度化することによって、その上に形成される磁性層のベースを安定させながら、磁気記録媒体の表面における傷付き耐性を向上させることが可能である。
したがって、本発明によれば、垂直磁性層の高い垂直配向性を達成し、更なる高記録密度化を可能とした信頼性の高い磁気記録媒体、並びにそのような磁気記録媒体を備えた磁気記録再生装置を提供することが可能である。
本発明を適用した磁気記録媒体の製造に用いられるスパッタ装置の一構成例を示す図である。 スパッタ粒子の基板面に対する入射角度を説明するための図である。 配向制御層及び垂直磁性層の結晶成長の状態を示す断面図である。 本発明を適用して製造される磁気記録媒体の一例を示す断面図である。 磁性層と非磁性層との積層構造を拡大して示す断面図である。 磁気記録再生装置の一例を示す斜視図である。 スパッタ装置が備えるコリメータシールドを説明するための図である。 実施例1−2のRu層の断面TEM像である。 Ru層の表面粗さとスパッタ粒子の入射角度との関係を示すグラフである。 Ruの配向分散とスパッタ粒子の入射角度との関係を示すグラフである。 Ruの配向分散とRu層形成時のガス圧力との関係を示すグラフである。 磁気記録媒体のHcとスパッタ粒子の入射角度との関係を示すグラフである。 磁気記録媒体のS/N比とスパッタ粒子の入射角度との関係を示すグラフである。 磁気記録媒体のS/N比とRu層形成時のガス圧力との関係を示すグラフである。 fcc構造の(111)面配向を示す模式図である。
以下、本発明を適用した磁気記録媒体の製造方法及び磁気記録再生装置について、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の説明で用いる図面は、特徴をわかりやすくするために、便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らないものとする。
本発明は、少なくとも非磁性基板の上に、軟磁性下地層と、直上の層の配向性を制御する配向制御層と、磁化容易軸が非磁性基板に対して主に垂直に配向した垂直磁性層とを積層してなる磁気記録媒体の製造方法であって、配向制御層を構成する結晶粒子を基板面に対して斜め方向に結晶成長させながら一方向に規則的に配列した柱状晶を形成するステップと、垂直磁性層を2層以上の磁性層から構成し、各磁性層を構成する結晶粒子を、配向制御層を構成する柱状晶の各頂部から基板面に対して垂直な方向に結晶成長させながら厚み方向に連続した柱状晶を形成するステップとを含むことを特徴とする。
また、配向制御層を形成する際は、スパッタリング法を用いて、スパッタ粒子を基板面に対して斜影効果が得られる角度範囲で斜めに入射させる。
ここで、本発明を適用した磁気記録媒体の製造方法に用いられるスパッタ装置(磁気記録媒体の製造装置)の一例を図1に示す。
このスパッタ装置は、図1に示すように、非磁性基板W上に配向制御層を形成する際に用いられるものであり、チャンバ100内に、非磁性基板Wと対向配置されたターゲット101と、非磁性基板Wとターゲット101との間に配置された遮蔽板102とをに備えている。また、このスパッタ装置には、スパッタガス等をチャンバ100内に導入する導入経路103と、チャンバ100内のスパッタガス等をチャンバ100から導出する導出経路104とが設けられている。
ターゲット101は、スパッタリングによりスパッタ粒子を放出する放出源であり、所定の厚みで円板状に形成された上記配向調整層の構成材料からなる。
遮蔽板102は、ターゲット101から放出されたスパッタ粒子の方向を定める方向設定手段であり、その中央部に円形状の通過口102aを有した円板からなる。そして、これら非磁性基板Wとターゲット101と遮蔽板102とは、互いの中心軸を一致させた状態で、所定の間隔をおいて互いに平行に配置されている。
なお、遮蔽板102には、耐熱性に優れ、不純物発生が少ない金属材料として、例えばステンレスやアルミニウム合金などを用いるのが好ましく、特に、付着した成膜粒子を除去する作業が容易であり、しかも安価なアルミニウム合金を用いることが好ましい。
また、スパッタ粒子の入射角度の精度を高めるためには、遮蔽板102を可能な限り薄く形成することが好ましい。例えば、外径2.5インチ(63.5mm)の非磁性基板Wを用いる場合には、遮蔽板102の厚みを1.5〜5mmの範囲とすることが好ましく、より好ましくは2〜4mmの範囲とする。
以上のようなスパッタ装置を用いて、非磁性基板W上に配向調整層を形成する際は、アルゴンなどのスパッタガスを導入経路103を通してチャンバ100内に導入すると共に、ターゲット101に給電しながら、ターゲット101から放出されたスパッタ粒子を非磁性基板Wに入射させる。
このとき、ターゲット101から放出されたスパッタ粒子のうち、遮蔽板102の通過口102aを通過したスパッタ粒子のみが非磁性基板Wに入射することになる。すなわち、遮蔽板102は、非磁性基板Wに入射するスパッタ粒子の方向を定めるものであり、この目的とする方向以外の方向に放出されたスパッタ粒子を遮断することによって、通過口102aを通過したスパッタ粒子のみが非磁性基板Wの基板面に対して斜めに入射することになる。具体的に、スパッタ粒子の非磁性基板Wに対する入射方向(上記一方向)は、ディスク状の非磁性基板Wにおける半径方向であり、スパッタ粒子は、この非磁性基板Wの内周側から外周側に向かって斜めに入射することになる。
したがって、非磁性基板Wの上に被着したスパッタ粒子は、基板面に対して斜め方向に結晶成長しながら、半径方向の内側から外側に向かって規則的に配列した配向制御層の柱状晶を形成することになる。
また、本発明では、図2に示すように、スパッタ粒子Sを非磁性基板Wの基板面に対して斜影効果が得られる角度範囲で斜めに入射させる。具体的に、スパッタ粒子Sの基板面Tに対する入射角度αは、この基板面Tの垂線Vに対して20〜50゜の角度範囲とすることが好ましい。
スパッタ粒子Sの入射角度αが20°未満であると、ほとんどのスパッタ粒子が基板面に対して垂直に入射するため、低ガス圧成膜では斜影効果による凹凸促進がほとんど期待できない。一方、スパッタ粒子Sの入射角度αが50゜を越えると、低ガス圧成膜においても斜影効果の影響が大きくなり表面凹凸は増強されるものの、スパッタ粒子のエネルギーが低いため膜の密着力が悪く結晶配向性が低下してしまう。したがって、スパッタ粒子Sの基板面Tに対する入射角度αは、この基板面Tの垂線Vに対して20〜50゜の角度範囲とすることが好ましく、より好ましくは、25〜40゜の角度範囲である。これにより、斜め方向に結晶成長した配向制御層を構成する柱状晶の角度も基板面の垂線に対して20〜50゜の角度範囲となる。
本発明では、スパッタ粒子の基板面に対する入射角度を上記範囲に設定することによって、高ガス圧のスパッタリングを行わずに、配向制御層を構成する柱状晶を微細化し、その密度を高めることができる。これにより、配向制御層を構成する柱状晶の各頂部から垂直磁性層の最上層に至るまで、磁性層を構成する柱状晶を微細化し、磁気記録媒体の記録密度を高めることができる。また、配向制御層を構成する結晶粒子を高密度化及び高硬度化することによって、その上に形成される磁性層のベースを安定させながら、磁気記録媒体の表面における傷付き耐性を向上させることが可能である。
以上のように、本発明は、磁性層の垂直配向性を高め、なお且つ、磁性粒子を微細化するためには、配向制御層を構成する結晶粒子を微細化し、また結晶性を高める必要があるとの考えに基づく。
すなわち、本発明を適用した磁気記録媒体は、少なくとも非磁性基板の上に、軟磁性下地層と、直上の層の配向性を制御する配向制御層と、磁化容易軸が前記非磁性基板に対して主に垂直に配向した垂直磁性層とを積層してなる磁気記録媒体であって、配向制御層を構成する結晶粒子が基板面に対して斜め方向に結晶成長しながら一方向に規則的に配列した柱状晶を形成していると共に、垂直磁性層が2層以上の磁性層から構成され、各磁性層を構成する結晶粒子が配向制御層を構成する柱状晶の各頂部から基板面に対して垂直な方向に結晶成長しながら厚み方向に連続した柱状晶を形成していることを特徴とする。
具体的に、本発明を適用した磁気記録媒体では、例えば図3に示すように、非磁性基板の上には、軟磁性下地層11を介して配向制御層12を構成する結晶粒子が基板面に対して斜め方向に結晶成長しながら非磁性基板Wの半径方向に規則的に配列した柱状晶S1を形成している。
この配向制御層12は、Ru層又はRuを主成分とする層を含むものであって、これらRu層又はRuを主成分とする層を複数積層し、この複数積層した層の全てを、上述したスパッタ装置を用いて、斜影効果が得られる範囲で斜め成膜した場合には、この配向制御層12を構成する各柱状晶S1の頂部12aを微細なドーム構造とすることができる。
また、配向制御層12は、垂直磁性層13を効率よく垂直配向させるために、fcc構造を有する元素と、bcc構造を有する元素又はhcp構造を有する元素との合金からなり、(111)面配向する結晶構造と、fcc構造とbcc構造又はhcp構造との混合による層状不整格子(積層欠陥)とを併せもつことが好ましい。なお、ここで言う配向制御層12としてのfcc構造、bcc構造、hcp構造とは、本発明の趣旨に鑑みれば、当然のことながら本発明の磁気記録媒体が実際に使用される環境下での結晶構造、すなわち、常温での結晶構造を指す。
そして、この配向制御層12上に形成される垂直磁性層13は、2層以上の磁性層14,15から構成され、これら磁性層14,15を構成する結晶粒子は、配向制御層12を構成する柱状晶S1の各頂部12aから基板面に対して垂直な方向に結晶成長しながら厚み方向に連続した柱状晶S2,S3を形成している。なお、図3に示す磁性層14は、グラニュラー構造を有する層であり、この磁性層13を形成する柱状晶S2の周囲には酸化物16が形成されている。
したがって、配向制御層12の結晶粒子を微細化すれば、この配向制御層12を構成する各柱状晶S1を高密度化し、更に、これら各柱状晶S1の頂部から厚み方向に柱状に成長する各磁性層14,15の柱状晶S2,S3も高密度化することが可能となる。
また、本発明では、配向制御層12を構成する結晶粒子の粒径を5nm以下とすることが好ましく、より好ましくは3nm以下とする。従来の配向制御層を構成する結晶粒子は、その粒径が6〜9nm程度であったが、本発明では、この結晶粒径を5nm以下とすることで、磁気記録媒体の磁性粒子密度を2倍以上に高めることが可能となり、その結果、磁気記録媒体の記録密度も2倍以上に高めることが可能となる。
(磁気記録媒体)
図4は、本発明を適用して製造される磁気記録媒体の一例を示したものである。
この磁気記録媒体は、図4に示すように、非磁性基板1の上に、軟磁性下地層2と、配向制御層3と、垂直磁性層4と、保護層5と、潤滑層6とを順次積層した構造を有している。
このうち、軟磁性下地層2と配向制御層3とが下地層を構成している。一方、垂直磁性層4は、非磁性基板1側から、下層の磁性層4aと、中層の磁性層4bと、上層の磁性層4cとの3層を含み、磁性層4aと磁性層4bとの間に下層の非磁性層7aと、磁性層4bと磁性層4cとの間に上層の非磁性層7bを含むことで、これら磁性層4a〜4cと非磁性層7a,7bとが交互に積層された構造を有している。
さらに、図示を省略するものの、各磁性層4a〜4c及び非磁性層7a,7bを構成する結晶粒子は、配向制御層3を構成する結晶粒子と共に、厚み方向に連続した柱状晶を形成している。
非磁性基板1としては、例えば、アルミニウムやアルミニウム合金などの金属材料からなる金属基板を用いてもよく、例えば、ガラスや、セラミック、シリコン、シリコンカーバイド、カーボンなどの非金属材料からなる非金属基板を用いてもよい。また、これら金属基板や非金属基板の表面に、例えばメッキ法やスパッタ法などを用いて、NiP層又はNiP合金層が形成されたものを用いることもできる。
ガラス基板としては、例えば、アモルファスガラスや結晶化ガラスなどを用いることができ、アモルファスガラスとしては、例えば、汎用のソーダライムガラスや、アルミノシリケートガラスなどを用いることができる。また、結晶化ガラスとしては、例えば、リチウム系結晶化ガラスなどを用いることができる。セラミック基板としては、例えば、汎用の酸化アルミニウムや、窒化アルミニウム、窒化珪素などを主成分とする焼結体、又はこれらの繊維強化物などを用いることができる。
非磁性基板1は、その平均表面粗さ(Ra)が2nm(20Å)以下、好ましくは1nm以下であるとことが、磁気ヘッドを低浮上させた高記録密度記録に適している点から好ましい。また、表面の微小うねり(Wa)が0.3nm以下(より好ましくは0.25nm以下。)であることが、磁気ヘッドを低浮上させた高記録密度記録に適している点から好ましい。また、端面のチャンファー部の面取り部と、側面部との少なくとも一方の表面平均粗さ(Ra)が10nm以下(より好ましくは9.5nm以下。)のものを用いることが、磁気ヘッドの飛行安定性にとって好ましい。なお、微少うねり(Wa)は、例えば、表面荒粗さ測定装置P−12(KLM−Tencor社製)を用い、測定範囲80μmでの表面平均粗さとして測定することができる。
また、非磁性基板1は、Co又はFeが主成分となる軟磁性下地層2と接することで、表面の吸着ガスや、水分の影響、基板成分の拡散などにより、腐食が進行する可能性がある。この場合、非磁性基板1と軟磁性下地層2の間に密着層を設けることが好ましく、これにより、これらを抑制することが可能となる。なお、密着層の材料としては、例えば、Cr、Cr合金、Ti、Ti合金など適宜選択することが可能である。また、密着層の厚みは2nm(30Å)以上であることが好ましい。
軟磁性下地層2は、磁気ヘッドから発生する磁束の基板面に対する垂直方向成分を大きくするために、また情報が記録される垂直磁性層4の磁化の方向をより強固に非磁性基板1と垂直な方向に固定するために設けられている。この作用は、特に記録再生用の磁気ヘッドとして垂直記録用の単磁極ヘッドを用いる場合に、より顕著なものとなる。
軟磁性下地層2としては、例えば、Feや、Ni、Coなどを含む軟磁性材料を用いることができる。具体的な軟磁性材料としては、例えば、CoFe系合金(CoFeTaZr、CoFeZrNbなど。)、FeCo系合金(FeCo、FeCoVなど。)、FeNi系合金(FeNi、FeNiMo、FeNiCr、FeNiSiなど。)、FeAl系合金(FeAl、FeAlSi、FeAlSiCr、FeAlSiTiRu、FeAlOなど。)、FeCr系合金(FeCr、FeCrTi、FeCrCuなど。)、FeTa系合金(FeTa、FeTaC、FeTaNなど。)、FeMg系合金(FeMgOなど。)、FeZr系合金(FeZrNなど。)、FeC系合金、FeN系合金、FeSi系合金、FeP系合金、FeNb系合金、FeHf系合金、FeB系合金などを挙げることができる。
また、軟磁性下地層2としては、Feを60at%(原子%)以上含有するFeAlO、FeMgO、FeTaN、FeZrN等の微結晶構造、又は微細な結晶粒子がマトリクス中に分散されたグラニュラー構造を有する材料を用いることができる。
その他にも、軟磁性下地層2としては、Coを80at%以上含有し、Zr、Nb、Ta、Cr、Mo等のうち少なくとも1種を含有し、アモルファス構造を有するCo合金を用いることができる。この具体的な材料としては、例えば、CoZr、CoZrNb、CoZrTa、CoZrCr、CoZrMo系合金などを好適なものとして挙げることができる。
軟磁性下地層2の保磁力Hcは、100(Oe)以下(好ましくは20(Oe)以下。)とすることが好ましい。なお、1Oeは79A/mである。この保磁力Hcが上記範囲を超えると、軟磁気特性が不十分となり、再生波形がいわゆる矩形波から歪みをもった波形になるため好ましくない。
軟磁性下地層2の飽和磁束密度Bsは、0.6T以上(好ましくは1T以上)とすることが好ましい。このBsが上記範囲未満であると、再生波形がいわゆる矩形波から歪みをもった波形になるため好ましくない。
また、軟磁性下地層2の飽和磁束密度Bs(T)と軟磁性下地層2の層厚t(nm)との積Bs・t(T・nm)は、15(T・nm)以上(好ましくは25(T・nm)以上)であることが好ましい。このBs・tが上記範囲未満であると、再生波形が歪みを持つようになり、OW(OverWrite)特性(記録特性)が悪化するため好ましくない。
軟磁性下地層2は、2層の軟磁性膜から構成されており、2層の軟磁性膜の間にはRu膜を設けることが好ましい。Ru膜の膜厚を0.4〜1.0nm、又は1.6〜2.6nmの範囲で調整することで、2層の軟磁性膜がAFC構造となり、このようなAFC構造を採用することで、いわゆるスパイクノイズを抑制することができる。
軟磁性下地層2の最表面(配向制御層3側の面)は、この軟磁性下地層2を構成する材料が、部分的又は完全に酸化されて構成されていることが好ましい。例えば、軟磁性下地層2の表面(配向制御層3側の面)及びその近傍に、軟磁性下地層2を構成する材料が部分的に酸化されるか、若しくは上記材料の酸化物を形成して配されていることが好ましい。これにより、軟磁性下地層2の表面の磁気的な揺らぎを抑えることができるため、この磁気的な揺らぎに起因するノイズを低減して、磁気記録媒体の記録再生特性を改善することができる。
また、軟磁性下地層2上に形成される配向制御層3は、垂直磁性層4の結晶粒を微細化して、記録再生特性を改善することができる。このような材料としては、特に限定されるものではないが、hcp構造、fcc構造、アモルファス構造を有するものが好ましい。特に、Ru系合金、Ni系合金、Co系合金、Pt系合金、Cu系合金が好ましく、またこれらの合金を多層化してもよい。例えば、基板側からNi系合金とRu系合金との多層構造、Co系合金とRu系合金との多層構造、Pt系合金とRu系合金との多層構造を採用することが好ましい。
例えば、Ni系合金であれば、Niを33〜96at%含む、NiW合金、NiTa合金、NiNb合金、NiTi合金、NiZr合金、NiMn合金、NiFe合金の中から選ばれる少なくとも1種類の材料からなることが好ましい。また、Niを33〜96at%含み、Sc、Y、Ti、Zr、Hf、Nb、Ta、Cのうち少なくとも1種又は2種以上を含む非磁性材料であってもよい。この場合、配向制御層3としての効果を維持し、磁性を持たない範囲とするため、Niの含有量は33at%〜96at%の範囲とすることが好ましい。
本実施形態の磁気記録媒体では、配向制御層3をNiW合金層(下層)とRu層(上層)との2層構造とした場合、その層厚としてNiW合金層を6nm程度、Ru層を15nm程度にすることができる。この層厚は、記録時における磁気ヘッドと軟磁性下地層2との距離を小さくすることができるのでなるべく薄くした方が再生信号の分解能を低下させることなく記録再生特性を高めることができる。
また、配向制御層3は、酸化物、金属窒化物、又は金属炭化物中に金属粒子が分散した構造であってもよい。このような構造とするためには、酸化物、金属窒化物、又は金属炭化物を含んだ合金材料を使用することが好ましい。具体的には、酸化物として、例えば、SiO、Al、Ta、Cr、MgO、Y、TiOなど、金属窒化物として、例えば、AlN、Si、TaN、CrNなど、金属炭化物として、例えば、TaC、BC、SiCなどをそれぞれ用いることができる。さらに、例えば、NiTa−SiO、RuCo−Ta、Ru−SiO、Pt−Si、Pd−TaCなどを用いることができる。
配向制御層3中の酸化物、金属窒化物、又は金属炭化物の含有量としては、合金に対して、1mol%以上12mol%以下であることが好ましい。配向制御層3中の酸化物、金属窒化物、又は金属炭化物の含有量が上記範囲を超える場合、金属粒子中に酸化物、金属窒化物、又は金属炭化物が残留し、金属粒子の結晶性及び配向性を損ねるほか、配向制御層3の上に形成された磁性層の結晶性及び配向性を損ねるおそれがあるため好ましくない。また、配向制御層3中の酸化物、金属窒化物、又は金属炭化物の含有量が上記範囲未満である場合、酸化物、金属窒化物、又は金属炭化物の添加による効果が得られないため好ましくない。
また、配向制御層3としては、fcc構造を有する元素と、bcc構造を有する元素又はhcp構造を有する元素との合金からなり、(111)面配向する結晶構造と、fcc構造とbcc構造又はhcp構造との混合による層状不整格子(積層欠陥)とを併せもつものを用いることができる。この層状不整格子は、1層構造、又はNiW合金層を下層とする2層構造で用いることができる。
ここで、fcc構造の(111)面配向とは、図15のように、原子を1面に最密に配置した3層(A,B,C)が周期的に重なり合って積層している(A→B→C→A→B→C→A→・・・)。ここにbcc構造又はhcp構造の元素が混合することにより、A→B→Cという周期性にずれが生じるため積層欠陥が起こる(例:A→B→C→A→C→A→B→C→・・・)。この積層欠陥は、透過型電子顕微鏡(TEM)などにより観察することができる。
また、X線回折のIn−Plane測定において、(111)面配向による回折ピークのほかに、低角側にfcc構造の消滅則からは現れない角度に回折ピークが観察される(fccの消滅則の破れ)。TEMの画像から積層欠陥に周期性がみられず、また回折ピークの強度から何度も積層欠陥が起こっていると考えられるので、層状不整格子と呼んでいる。
fcc構造と同じ最密構造である、hcp構造の(002)面配向は、A,Bの2層が交互に積層したものである(A→B→A→B→・・・)。言い換えれば、fcc構造の(111)面配向において、積層欠陥によりC層が完全にない状態である。よって、fcc構造の元素と、bcc構造又はhcp構造の元素との混合により生じる層状不整格子は、fcc構造の(111)面配向とhcp構造の(002)面配向の間に位置するものと考えられる。
fcc構造の(111)面配向では、基板面に対して法線方向の<111>のほかに、<−111>、<1−11>、<11−1>方向にも軸対称性が存在する。このような4つの軸対称性のうち、基板面に対して法線方向の<111>以外のものは、bcc構造又はhcp構造の元素を混合することで積層欠陥が起こるため、対称性が失われる。つまり、fcc構造を有する元素と、bcc構造又はhcp構造を有する元素との合金からなり、(111)面配向する結晶構造と、fcc構造とbcc構造又はhcp構造との混合による層状不整格子(積層欠陥)とを併せもつ配向制御層では、<111>軸対称性のみを有する。
このような構造を有する配向制御層の具体例としては、fcc構造を有するPt、Ir、Au、Ni、Pt、Pdとbcc構造を有するCr、Ta、Wとの合金材料であるPt−Cr,Ir−Cr(その際の好ましい組成比の例としては、Pt−CrではCrが14,24,34,44,55,65,75(原子%)、Ir−CrではCrが42,53,64,70(原子%)である。),Pd−Cr,Au−Cr、Pt−Cr、Ir−Cr、Pt−Ta,Pd−Ta,Ir−Ta,Au−Ta、Ni−Ta、Pt−W,Pd−W,Ir−W,Au−W、Ni−Wなどがある。また、fcc構造を有する元素とhcp構造を有するTi、Reとの合金であるTi−Re,Ti−Re,Ti−Re,Ti−Re、Ti−Re、Pt−Re,Pd−Re,Ir−Re,Au−Re、Ni−Reなどがある。
また、配向制御層3と垂直磁性層4の間には、非磁性下地層8を設けることが好ましい。配向制御層3直上の垂直磁性層4の初期部には、結晶成長の乱れが生じやすく、これがノイズの原因となる。この初期部の乱れた部分を非磁性下地層8で置き換えることで、ノイズの発生を抑制することができる。
非磁性下地層8は、Coを主成分とし、さらに酸化物41を含んだ材料からなることが好ましい。Crの含有量は、25at%(原子%)以上50at%以下とすることが好ましい。酸化物41としては、例えばCr、Si、Ta、Al、Ti、Mg、Coなどの酸化物を用いることが好ましく、その中でも特に、TiO、Cr、SiOなどを好適に用いることができる。酸化物の含有量としては、磁性粒子を構成する、例えばCo、Cr、Pt等の合金を1つの化合物として算出したmol総量に対して、3mol%以上18mol%以下であることが好ましい。
また、非磁性下地層8は、酸化物を2種類以上添加した複合酸化物からなることが好ましい。その中でも特に、Cr−SiO、Cr−TiO、Cr−SiO−TiOなどを好適に用いることができる。さらに、CoCr−SiO、CoCr−TiO、CoCr−Cr−SiO、CoCr−TiO−Cr、CoCr−Cr−TiO−SiOなどを好適に用いることができる。また、結晶成長の観点からPtを添加してもよい。
非磁性下地層8の厚みは、0.2nm以上3nm以下であることが好ましい。3nmの厚さを超えると、Hc及びHnの低下が生じるために好ましくない。
磁性層4aは、図5に示すように、Coを主成分とし、さらに酸化物41を含んだ材料からなり、この酸化物41としては、例えばCr、Si、Ta、Al、Ti、Mg、Coなどの酸化物を用いることが好ましい。その中でも特に、TiO、Cr、SiOなどを好適に用いることができる。また、磁性層4aは、酸化物を2種類以上添加した複合酸化物からなることが好ましい。その中でも特に、Cr−SiO、Cr−TiO、Cr−SiO−TiOなどを好適に用いることができる。
磁性層4aは、層中に磁性粒子(磁性を有した結晶粒子)42が分散していることが好ましい。また、磁性粒子42は、磁性層4a,4b、更には磁性層4cを上下に貫いた柱状構造を形成していることが好ましい。このような構造を有することにより、磁性層4aの磁性粒子42の配向及び結晶性を良好なものとし、結果として高密度記録に適した信号/ノイズ比(S/N比)を得ることができる。
このような構造を得るためには、含有させる酸化物41の量及び磁性層4aの成膜条件が重要となる。すなわち、酸化物41の含有量としては、磁性粒子42を構成する、例えばCo、Cr、Pt等の合金を1つの化合物として算出したmol総量に対して、3mol%以上18mol%以下であることが好ましい。さらに好ましくは6mol%以上13mol%以下である。
磁性層4a中の酸化物41の含有量として上記範囲が好ましいのは、この磁性層4aを形成した際、磁性粒子42の周りに酸化物41が析出し、磁性粒子42の孤立化及び微細化が可能となるためである。一方、酸化物41の含有量が上記範囲を超えた場合には、酸化物41が磁性粒子42中に残留し、磁性粒子42の配向性及び結晶性を損ね、更には磁性粒子42の上下に酸化物41が析出し、結果として磁性粒子42が磁性層4a〜4cを上下に貫いた柱状構造が形成されなくなるため好ましくない。また、酸化物41の含有量が上記範囲未満である場合には、磁性粒子42の分離及び微細化が不十分となり、結果として記録再生時におけるノイズが増大し、高密度記録に適した信号/ノイズ比(S/N比)が得られなくなるため好ましくない。
磁性層4a中のCrの含有量は、4at%以上19at%以下(さらに好ましくは6at%以上17at%以下)であることが好ましい。Crの含有量を上記範囲としたのは、磁性粒子42の磁気異方性定数Kuを下げ過ぎず、また、高い磁化を維持し、結果として高密度記録に適した記録再生特性と十分な熱揺らぎ特性が得られるからである。
一方、Crの含有量が上記範囲を超えた場合には、磁性粒子42の磁気異方性定数Kuが小さくなるため熱揺らぎ特性が悪化し、また、磁性粒子42の結晶性及び配向性が悪化することで、結果として記録再生特性が悪くなるため好ましくない。また、Crの含有量が上記範囲未満である場合には、磁性粒子42の磁気異方性定数Kuが高いため、垂直保磁力が高くなり過ぎ、データを記録する際、磁気ヘッドで十分に書き込むことができず、結果として高密度記録に適さない記録特性(OW)となるため好ましくない。
磁性層4a中のPtの含有量は、8at%以上20at%以下であることが好ましい。Ptの含有量を上記範囲としたのは、8at%未満であると、垂直磁性層4に必要な磁気異方性定数Kuが低くなるためである。一方、20at%を超えると、磁性粒子42の内部に積層欠陥が生じ、その結果磁気異方性定数Kuが低くなる。したがって、高密度記録に適した熱揺らぎ特性及び記録再生特性を得るためには、Ptの含有量を上記範囲とすることが好ましい。
また、Ptの含有量が上記範囲を超えた場合には、磁性粒子42中にfcc構造の層が形成され、結晶性及び配向性が損なわれるおそれがあるため好ましくない。一方、Ptの含有量が上記範囲未満である場合には、高密度記録に適した熱揺らぎ特性を得るための磁気異方性定数Kuが得られないため好ましくない。
磁性層4aは、Co、Cr、Pt、酸化物41の他に、B、Ta、Mo、Cu、Nd、W、Nb、Sm、Tb、Ru、Reの中から選ばれる1種類以上の元素を含むことができる。上記元素を含むことにより、磁性粒子42の微細化を促進、又は結晶性や配向性を向上させることができ、より高密度記録に適した記録再生特性、熱揺らぎ特性を得ることができる。
また、上記元素の合計の含有量は、8at%以下であることが好ましい。8at%を超えた場合、磁性粒子42中にhcp相以外の相が形成されるため、磁性粒子42の結晶性及び配向性が乱れ、結果として高密度記録に適した記録再生特性及び熱揺らぎ特性が得られないため好ましくない。
磁性層4aに適した材料としては、例えば、90(Co14Cr18Pt)−10(SiO){Cr含有量14at%、Pt含有量18at%、残部Coからなる磁性粒子を1つの化合物として算出したモル濃度が90mol%、SiOからなる酸化物組成が10mol%}、92(Co10Cr16Pt)−8(SiO)、94(Co8Cr14Pt4Nb)−6(Cr)の他、(CoCrPt)−(Ta)、(CoCrPt)−(Cr)−(TiO)、(CoCrPt)−(Cr)−(SiO)、(CoCrPt)−(Cr)−(SiO)−(TiO)、(CoCrPtMo)−(TiO)、(CoCrPtW)−(TiO)、(CoCrPtB)−(Al)、(CoCrPtTaNd)−(MgO)、(CoCrPtBCu)−(Y)、(CoCrPtRu)−(SiO)などを挙げることができる。
磁性層4bは、図5に示すように、Coを主成分とし、更に酸化物41を含んだ材料からなることが好ましい。酸化物41としては、Cr、Si、Ta、Al、Ti、Mg、Coの酸化物であることが好ましい。その中でも特に、TiO、Cr、SiOを好適に用いることができる。また、磁性層4bは、酸化物41を2種類以上添加した複合酸化物からなることが好ましい。その中でも特に、Cr−SiO、Cr−TiO、Cr−SiO−TiOなどを好適に用いることができる。
磁性層4bは、層中に磁性粒子(磁性を有した結晶粒子)42が分散していることが好ましい。この磁性粒子42は、磁性層4a,4b、更には磁性層4cを上下に貫いた柱状構造を形成していることが好ましい。このような構造を形成することにより、磁性層4bの磁性粒子42の配向及び結晶性を良好なものとし、結果として高密度記録に適した信号/ノイズ比(S/N比)が得ることができる。
磁性層4b中の酸化物41の含有量は、磁性粒子42を構成する、例えばCo、Cr、Pt等の化合物の総量に対して、3mol%以上18mol%以下であることが好ましい。さらに好ましくは6mol%以上13mol%以下である。
磁性層4b中の酸化物41の含有量として上記範囲が好ましいのは、この磁性層4bを形成した際、磁性粒子42の周りに酸化物41が析出し、磁性粒子42の孤立化及び微細化が可能となるためである。一方、酸化物41の含有量が上記範囲を超えた場合には、酸化物41が磁性粒子42中に残留し、磁性粒子42の配向性及び結晶性を損ね、更には磁性粒子42の上下に酸化物41が析出し、結果として磁性粒子42が磁性層4a〜4cを上下に貫いた柱状構造が形成されなくなるため好ましくない。また、酸化物41の含有量が上記範囲未満である場合には、磁性粒子42の分離、微細化が不十分となり、結果として記録再生時におけるノイズが増大し、高密度記録に適した信号/ノイズ比(S/N比)が得られなくなるため好ましくない。
磁性層4b中のCrの含有量は、4at%以上18at%以下(さらに好ましくは8at%以上15at%以下。)であることが好ましい。Crの含有量が上記範囲としたのは、磁性粒子42の磁気異方性定数Kuを下げ過ぎず、また、高い磁化を維持し、結果として高密度記録に適した記録再生特性と十分な熱揺らぎ特性が得られるためである。
一方、Crの含有量が上記範囲を超えた場合には、磁性粒子42の磁気異方性定数Kuが小さくなるため熱揺らぎ特性が悪化し、また、磁性粒子42の結晶性及び配向性が悪化することで、結果として記録再生特性が悪くなるため好ましくない。また、Crの含有量が上記範囲未満である場合には、磁性粒子42の磁気異方性定数Kuが高いため、垂直保磁力が高くなり過ぎ、データを記録する際、磁気ヘッドで十分に書き込むことができず、結果として高密度記録に適さない記録特性(OW)となるため好ましくない。
磁性層4b中のPtの含有量は、10at%以上22at%以下であることが好ましい。Ptの含有量が上記範囲であるのは、10at%未満であると、垂直磁性層4に必要な磁気異方性定数Kuが低くなるために好ましくない。また、22at%を超えると、磁性粒子42の内部に積層欠陥が生じ、その結果磁気異方性定数Kuが低くなるために好ましくない。高密度記録に適した熱揺らぎ特性及び記録再生特性が得られるためには、Ptの含有量を上記範囲とすることが好ましい。
また、Ptの含有量が上記範囲を超えた場合には、磁性粒子42中にfcc構造の層が形成され、結晶性及び配向性が損なわれるおそれがあるため好ましくない。一方、Ptの含有量が上記範囲未満である場合には、高密度記録に適した熱揺らぎ特性を得るための磁気異方性定数Kuが得られないため好ましくない。
磁性層4bは、Co、Cr、Pt、酸化物41の他に、B、Ta、Mo、Cu、Nd、W、Nb、Sm、Tb、Ru、Reの中から選ばれる1種類以上の元素を含むことができる。上記元素を含むことにより、磁性粒子42の微細化を促進、又は結晶性や配向性を向上させることができ、より高密度記録に適した記録再生特性、熱揺らぎ特性を得ることができる。
また、上記元素の合計の含有量は、8at%以下であることが好ましい。8at%を超えた場合、磁性粒子42中にhcp相以外の相が形成されるため、磁性粒子42の結晶性及び配向性が乱れ、結果として高密度記録に適した記録再生特性及び熱揺らぎ特性が得られないため好ましくない。
磁性層4cは、図5に示すように、Coを主成分とするとともに酸化物を含まない材料から構成することが好ましく、層中の磁性粒子42が磁性層4a中の磁性粒子42から柱状にエピタキシャル成長している構造であることが好ましい。この場合、磁性層4a〜4cの磁性粒子42が、各層において1対1に対応して、柱状にエピタキシャル成長することが好ましい。また、磁性層4bの磁性粒子42が磁性層4a中の磁性粒子42からエピタキシャル成長していることで、磁性層4bの磁性粒子42が微細化され、さらに結晶性及び配向性がより向上したものとなる。
磁性層4c中のCrの含有量は、10at%以上24at%以下であることが好ましい。Crの含有量を上記範囲とすることで、データの再生時における出力が十分確保でき、更に良好な熱揺らぎ特性を得ることができる。一方、Crの含有量が上記範囲を超える場合には、磁性層4cの磁化が小さくなり過ぎるため好ましくない。また、Cr含有量が上記範囲未満である場合には、磁性粒子42の分離及び微細化が十分に生じず、記録再生時のノイズが増大し、高密度記録に適した信号/ノイズ比(S/N比)が得られなくなるため好ましくない。
また、磁性層4cは、Co、Crの他に、Ptを含んだ材料であってもよい。磁性層4c中のPtの含有量は、8at%以上20at%以下であることが好ましい。Ptの含有量が上記範囲にある場合には、高記録密度に適した十分な保磁力を得ることができ、更に記録再生時における高い再生出力を維持し、結果として高密度記録に適した記録再生特性および熱揺らぎ特性を得ることができる。
一方、Ptの含有量が上記範囲を超えた場合には、磁性層4c中にfcc構造の相が形成され、結晶性及び配向性が損なわれるおそれがあるため好ましくない。また、Ptの含有量が上記範囲未満である場合には、高密度記録に適した熱揺らぎ特性を得るための磁気異方性定数Kuが得られないため好ましくない。
磁性層4cは、Co、Cr、Ptの他に、B、Ta、Mo、Cu、Nd、W、Nb、Sm、Tb、Ru、Re、Mnの中から選ばれる1種類以上の元素を含むことができる。上記元素を含むことにより、磁性粒子42の微細化を促進、又は結晶性や配向性を向上させることができ、より高密度記録に適した記録再生特性及び熱揺らぎ特性を得ることができる。
また、上記元素の合計の含有量は、16at%以下であることが好ましい。一方、16at%を超えた場合には、磁性粒子42中にhcp相以外の相が形成されるため、磁性粒子42の結晶性及び配向性が乱れ、結果として高密度記録に適した記録再生特性、熱揺らぎ特性が得られないため好ましくない。
磁性層4cに適した材料としては、特に、CoCrPt系、CoCrPtB系を挙げることできる。CoCrPtB系の場合、CrとBの合計の含有量は、18at%以上28at%以下であることが好ましい。
磁性層4cに適した材料としては、例えば、CoCrPt系では、Co14〜24Cr8〜22Pt{Cr含有量14〜24at%、Pt含有量8〜22at%、残部Co}、CoCrPtB系では、Co10〜24Cr8〜22Pt0〜16B{Cr含有量10〜24at%、Pt含有量8〜22at%、B含有量0〜16at%、残部Co}が好ましい。その他の系でも、CoCrPtTa系では、Co10〜24Cr8〜22Pt1〜5Ta{Cr含有量10〜24at%、Pt含有量8〜22at%、Ta含有量1〜5at%、残部Co}、CoCrPtTaB系では、Co10〜24Cr8〜22Pt1〜5Ta1〜10B{Cr含有量10〜24at%、Pt含有量8〜22at%、Ta含有量1〜5at%、B含有量1〜10at%、残部Co}の他にも、CoCrPtBNd系、CoCrPtTaNd系、CoCrPtNb系、CoCrPtBW系、CoCrPtMo系、CoCrPtCuRu系、CoCrPtRe系などの材料を挙げることができる。
垂直磁性層4の垂直保磁力(Hc)は、3000[Oe]以上とすることが好ましい。保磁力が3000[Oe]未満である場合には、記録再生特性、特に周波数特性が不良となり、また、熱揺らぎ特性も悪くなるため、高密度記録媒体として好ましくない。
垂直磁性層4の逆磁区核形成磁界(−Hn)は、1500[Oe]以上であることが好ましい。逆磁区核形成磁界(−Hn)が1500[Oe]未満である場合には、熱揺らぎ耐性に劣るため好ましくない。
垂直磁性層4は、磁性粒子の平均粒径が3〜12nmであることが好ましい。この平均粒径は、例えば垂直磁性層4をTEM(透過型電子顕微鏡)で観察し、観察像を画像処理することにより求めることができる。
垂直磁性層4の厚みは、5〜20nmとすることが好ましい。垂直磁性層4の厚みが上記未満であると、十分な再生出力が得られず、熱揺らぎ特性も低下する。また、垂直磁性層4の厚さが上記範囲を超えた場合には、垂直磁性層4中の磁性粒子の肥大化が生じ、記録再生時におけるノイズが増大し、信号/ノイズ比(S/N比)や記録特性(OW)に代表される記録再生特性が悪化するため好ましくない。
本発明では、非磁性基板1側の磁性層をグラニュラー構造の磁性層とし、保護層5側の磁性層を、酸化物を含まない非グラニュラー構造の磁性層とすることが好ましい。このような構成とすることにより、磁気記録媒体の熱揺らぎ特性、記録特性(OW)、S/N比等の各特性の制御・調整をより容易に行うことが可能となる。
また、本発明では、上記垂直磁性層4を4層以上の磁性層で構成することも可能である。例えば、上記磁性層4a,4bに加えて、グラニュラー構造の磁性層を3層で構成し、その上に、酸化物を含まない磁性層4cを設けた構成とし、また、酸化物を含まない磁性層4cを2層構造として、磁性層4a,4bの上に設けた構成とすることができる。
また、本発明では、垂直磁性層4を構成する3層以上の磁性層間に非磁性層7(図5では符号7a,7bで示す。)を設けることが好ましい。非磁性層7を適度な厚みで設けることで、個々の膜の磁化反転が容易になり、磁性粒子全体の磁化反転の分散を小さくすることができる。その結果S/N比をより向上させることが可能である。
すなわち、非磁性層7の厚みは、垂直磁性層4を構成する各層の静磁結合を完全に切断しない範囲、具体的には0.1nm以上2nm以下(より好ましくは0.1以上0.8nm以下)とすることが好ましい。
本発明の3層以上の磁性層4a,4b,4cが強磁性結合(フェロ・カップリング結合、以下、FC結合と呼ぶ。)し、また、静磁結合が完全に切れた際には、M−Hループが2段階に反転するループになるために、容易に判別可能である。この2段ループが生じた場合は、磁気ヘッドからの磁界に対して磁気グレインが一斉に反転しないことを意味しており、その結果再生時のS/N比の著しい悪化や分解能の低下が生じるため好ましくない。
但し、Ru又はRu合金を用いた場合には、0.6nm以上1.2nm以下の範囲でAFC結合が生じる。本発明においては、AFC結合ではなく各磁性層4a,4b,4cがFCで静磁結合していることが必須である。
垂直磁性層4を構成する磁性層4a,4b,4c間に設ける非磁性層7としては、hcp構造を有する材料を用いることが好ましい。具体的には、例えば、Ru、Ru合金、CoCr合金、CoCrX合金(Xは、Pt、Ta、Zr、Re,Ru、Cu、Nb、Ni、Mn、Ge、Si、O、N、W、Mo、Ti、V、Zr、Bの中から選ばれる少なくとも1種又は2種以上の元素を表す。)などを好適に用いることができる。
垂直磁性層4を構成する磁性層間に設ける非磁性層7として、CoCr系合金を用いる場合には、Coの含有量は、30〜80at%の範囲であることが好ましい。この範囲であれば、磁性層間のカップリングを小さく調整することが可能であるからである。
また、垂直磁性層4を構成する磁性層間に設ける非磁性層7として、hcp構造を有する合金として、Ru以外では、例えばRu、Re、Ti、Y、Hf、Znなどの合金も用いることができる。
また、垂直磁性層4を構成する磁性層間に設ける非磁性層7として、その上下の磁性層の結晶性や配向性を損ねない範囲で、他の構造をとる金属や合金などを使用することもできる。具体的には、例えば、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Ir、Mo、W、Ta、Nb、V、Bi、Sn、Si、Al、C、B、Cr又はそれらの合金を用いることができる。特に、Cr合金としては、CrX(Xは、Ti、W、Mo、Nb、Ta、Si、Al、B、C、Zrの中から選ばれる少なくとも1種又は2種以上の元素を表す。)などを好適に用いることが可能である。この場合のCrの含有量は60at%以上とすることが好ましい。
また、垂直磁性層4を構成する磁性層間に設ける非磁性層7としては、上記合金の金属粒子が酸化物、金属窒化物、又は金属炭化物中に分散した構造のものを用いることが好ましい。さらに、この金属粒子が非磁性層7を上下に貫いた柱状構造を有することがより好ましい。このような構造とするためには、酸化物、金属窒化物、又は金属炭化物を含んだ合金材料を使用することが好ましい。具体的には、酸化物として、例えば、SiO、Al、Ta、Cr、MgO、Y、TiOなど、金属窒化物として、例えば、AlN、Si、TaN、CrNなど、金属炭化物として、例えば、TaC、BC、SiCなどをそれぞれ用いることができる。さらに、例えば、CoCr−SiO、CoCr−TiO、CoCr−Cr、CoCrPt−Ta、Ru−SiO、Ru−Si、Pd−TaCなどを用いることができる。
垂直磁性層4を構成する磁性層間に設ける非磁性層7中の酸化物、金属窒化物、又は金属炭化物の含有量としては、垂直磁性膜の結晶成長や結晶配向を損なわない含有量であることが好ましい。また、酸化物、金属窒化物、又は金属炭化物の含有量としては、合金に対して、4mol%以上30mol%以下であることが好ましい。
この非磁性層7中の酸化物、金属窒化物、又は金属炭化物の含有量が上記範囲を超える場合には、金属粒子中に酸化物、金属窒化物、又は金属炭化物が残留し、金属粒子の結晶性や配向性を損ねるほか、金属粒子の上下にも酸化物、金属窒化物、又は金属炭化物が析出してしまい、金属粒子が非磁性層7を上下に貫く柱状構造となりにくくなり、この非磁性層7の上に形成された磁性層の結晶性や配向性を損ねるおそれがあるため好ましくない。一方、この非磁性層7中の酸化物、金属窒化物、又は金属炭化物の含有量が上記範囲未満である場合には、酸化物、金属窒化物、又は金属炭化物の添加による効果が得られないため好ましくない。
保護層5は、垂直磁性層4の腐食を防ぐとともに、磁気ヘッドが媒体に接触したときに媒体表面の損傷を防ぐためのもので、従来公知の材料を使用することができ、例えばC、SiO、ZrOを含むものを使用することが可能である。保護層5の厚みは、1〜10nmとすることがヘッドと媒体の距離を小さくできるので高記録密度の点から好ましい。
潤滑層6には、例えば、パーフルオロポリエーテル、フッ素化アルコール、フッ素化カルボン酸などの潤滑剤を用いることが好ましい。
(磁気記録再生装置)
図6は、本発明を適用した磁気記録再生装置の一例を示すものである。
この磁気記録再生装置は、上記図4に示す構成を有する磁気記録媒体50と、磁気記録媒体50を回転駆動させる媒体駆動部51と、磁気記録媒体50に情報を記録再生する磁気ヘッド52と、この磁気ヘッド52を磁気記録媒体50に対して相対運動させるヘッド駆動部53と、記録再生信号処理系54とを備えている。また、記録再生信号処理系54は、外部から入力されたデータを処理して記録信号を磁気ヘッド52に送り、磁気ヘッド52からの再生信号を処理してデータを外部に送ることが可能となっている。また、本発明を適用した磁気記録再生装置に用いる磁気ヘッド52には、再生素子として巨大磁気抵抗効果(GMR)を利用したGMR素子などを有した、より高記録密度に適した磁気ヘッドを用いることができる。
なお、本実施形態では、上記磁気記録媒体の製造装置として、非磁性基板Wとターゲット101との間に遮蔽板102を配置したスパッタ装置を例示したが、遮蔽板102に代えて、図7に示すコリメータシールド202を用いてもよい。図7(a)には、コリメータシールド202の斜視図を示し、図7(b)には、コリメータシールド202とターゲット101の位置関係を側断面模式図で示す。
図7に示すコリメータシールド202は、平面視したときの外形が略円形であり、中心部に位置する中心隔壁202aと、中心隔壁202aを中心にして中心隔壁202aを同心円状に囲む複数の環状隔壁202bと、中心隔壁202aから放射状に延びて各環状隔壁202bを連結する直状隔壁202cとによって構成されている。環状隔壁202bは、ターゲット側から非磁性基板W側に向けて全体が先窄みとなるように傾斜している。そして、中心隔壁202a、環状隔壁202b、直状隔壁202cによって区画された空間が開口部202dとなっている。環状隔壁202bが傾斜しているため、ターゲット101からスパッタされて開口部202dを通過するスパッタ粒子は、環状隔壁202bの傾斜方向に沿って移動する成分のみが通過する。
環状隔壁202bの傾斜角度を調整することで、スパッタ粒子を非磁性基板Wの基板面に対して斜影効果が得られる角度範囲で斜めに入射させることができる。例えば、スパッタ粒子の基板面に対する入射角度αを、この基板面の垂線に対して20〜50゜の角度範囲とすることができる。
以下、実施例により本発明の効果をより明らかなものとする。なお、本発明は、以下の実施例に限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することができる。
(実施例1−1〜1−11、比較例1−1〜1−2)
先ず、洗浄済みのガラス基板(コニカミノルタ社製、外形2.5インチ)を、DCマグネトロンスパッタ装置(アネルバ社製C−3040)の成膜チャンバ内に収容して、到達真空度1×10−5Paとなるまで成膜チャンバ内を排気した後、このガラス基板の上に、Crターゲットを用いて層厚10nmの密着層を成膜した。また、この密着層の上に、Co−20Fe−5Zr−5Ta{Fe含有量20at%、Zr含有量5at%、Ta含有量5at%、残部Co}のターゲットを用いて100℃以下の基板温度で、層厚25nmの軟磁性層を成膜し、この上にRu層を層厚0.7nmで成膜した後、さらにCo−20Fe−5Zr−5Taの軟磁性層を層厚25nmで成膜して、これを軟磁性下地層とした。
次に、軟磁性下地層の上に、Ni−6W{W含有量6at%、残部Ni}ターゲット、を用いて、Arガスの圧力を0.8PaとしてNiW層を5nmスパッタ成膜した。
次に、このNiW層の上に、スパッタリングガスにArを使用して、スパッタ圧力を0.8PaとしてRu層を20nm成膜した。このとき、スパッタ粒子の角度を調節する目的で、図7に示すコリメータシールドを用いた。スパッタ粒子の入射角度は、ターゲット前方に設置したコリメータの角度を調節することにより行った。すなわち、ターゲットと非磁性基板の間に、同心円状にスリット(開口部)の入ったコリメータシールドを設置し、コリメータの角度により規定される入射角度を有するスパッタ粒子のみ基板へと到達するようにした。
そして、スパッタ粒子の入射角度を、10度、20度、30度、40度、50度、60度、70度とした実施例1−1〜1−11のサンプルと、比較のため、Arガス圧を0.8Paで、スパッタ粒子の入射角度を0度で成膜した比較例1−1のサンプルとを作製した。
また、スパッタ粒子の入射角度は0度に固定し、Ru層を2段に分けて成膜した比較例1−2のサンプルを作製した。すなわち、この比較例1−2では、第1のRu層及び第2のRu層を何れもArガスを用いて、それぞれ0.8Pa、10Paの条件にて成膜した。第1のRu層及び第2のRu層の層厚は、何れも20nmとした。Ru層以外は、上記実施例1−1〜1−11及び比較例1−1と同様の条件で配向制御層の形成を行った。
ここで、Ruの入射角度が30度である実施例1−3のサンプルの断面TEM像を図8に示す。図8に示す断面TEM像から、Ru(002)の格子面は基板にほぼ平行であり、Ru結晶粒はスパッタ粒子の入射角度である30度の方向に成長していることがわかる。また、それに伴って、Ru層の表面には大きな表面凹凸が形成されていることがわかる。なお、他の入射角度でRuをスパッタした場合も同様に、Ru粒子は入射角の方向に成長していることが確認された。
また、実施例1−1〜1−11及び比較例1−1〜1−2のサンプルについて、Ru成膜方法、X線反射率法にて評価したRu表面の粗さ、並びにXRDにより評価したRu(002)面の配向分散をまとめたものを表1に示す。
また、Ru層の表面粗さと入射角度との関係を測定したグラフを図9に示す。図9に示すグラフから、20度以上の角度から入射した0.8PaのRuは、10Paで作製した比較例1−2と同様の表面凹凸が形成されていることがわかる。
また、Ru粒子の入射角度とRuの配向分散との関係を測定したグラフを図10に示す。図10に示すグラフから、入射角度が50度以内であれば、Ruの配向分散は比較例1−2と同等以下と低い値に抑えられることがわかる。
また、Ru粒子の入射角度が30度のときの、Arガス圧とRuの配向分散との関係を測定したグラフを図11に示す。図11に示すグラフから、Arガス圧が1Pa以下であれば、Ruの配向分散は比較例1−2と同等以下の低い値に抑えられることがわかる。
以上の結果から、Ruスパッタ粒子の入射角度範囲が20〜50゜であれば、1Pa以下の低ガス圧でRu層を形成しても、比較例1−2と同等のRu配向分散を維持しつつ、Ru表面凹凸を比較例1−2よりも増強できることがわかった。
(実施例1−12)
実施例1−12では、実施例1−1のRu層を層状不整材料である60Pd40Wとして、入射角20度、ガス圧0.8Paで20nm成膜した。その他の条件は実施例1−1と同じとした。
そして、この実施例1−12のサンプルをX線反射率法及びXRDにて評価したところ、PdWの表面粗さは1.60nm、配向分散は1.80度であった。
以上の結果から、スパッタ粒子を斜めに入射させるとRuの代わりに層状不整格子材料を配向制御層材料として用いても、比較例1−2と同等の配向分散を維持しつつ、表面凹凸を比較例1−2よりも増強できることがわかった。
(実施例2−1〜2−11、比較例2−1〜2−2)
先ず、記録再生特性を比較するため、実施例1−1〜1−11及び比較例1−1〜1−2のサンプル上に、第1記録磁性層、非磁性層、第2記録磁性層、非磁性層、キャップ磁性層、カーボン保護膜、潤滑層を、以下のとおり成膜した。
すなわち、各サンプルの上に、(Co15Cr16Pt)91−(SiO)6−(TiO)3{Cr含有量15at%、Pt含有量16at%、残部Coの合金を91mol%、SiOからなる酸化物を6mol%、TiOからなる酸化物を3mol%}からなる第1記録磁性層をスパッタ圧力を2Paとして層厚9nmで成膜した。
次に、記録磁性層の上に、(Co30Cr)88−(TiO)12{Cr含有量30at%、残部Coの合金を88mol%、TiOからなる酸化物を12mol%}からなる非磁性層を層厚0.3nmで成膜した。
次に、非磁性層の上に、(Co11Cr18Pt)92−(SiO)5−(TiO)3{Cr含有量11at%、Pt含有量18at%、残部Coの合金を92mol%、SiOからなる酸化物を5mol%、TiOからなる酸化物を3mol%}からなる第2記録磁性層をスパッタ圧力を2Paとして層厚6nmで成膜した。
次に、キャップ磁性層の上に、Ruからなる非磁性層を層厚0.3nmで成膜した。
次に、非磁性層の上に、Co20Cr14Pt3B{Cr含有量20at%、Pt含有量14at%、B含有量3at%、残部Co}からなるターゲットを用いて、スパッタ圧力を0.6Paとしてキャップ磁性層を層厚7nmで成膜した。
次に、CVD法により層厚3.0nmの保護層を成膜し、次いで、ディッピング法によりパーフルオロポリエーテルからなる潤滑層を成膜し、実施例2−1〜2−11及び比較例2−1〜2−2の磁気記録媒体を作製した。
なお、作製した磁気記録媒体を断面TEMで観察したところ、Ru層はスパッタ粒子の入射角とほぼ等しい角度に柱状成長していた。またRu柱状晶の結晶粒径(成長方向に対して垂直の平均径)は5nm以下であった。
そして、実施例2−1〜2−11、比較例2−1〜2−2の磁気記録媒体について、米国GUZIK社製のリードライトアナライザRWA1632及びスピンスタンドS1701MPを用いて、その記録再生特性、すなわちS/N比の評価を行った。なお、磁気ヘッドには、書き込み側にシングルポール磁極を用い、読み出し側にTMR素子を用いたヘッドを使用した。S/N比は、記録密度750kFCIとして測定した。記録再生特性評価の後、極Kerr測定装置により静磁気特性(Hc)の評価を行った。
そして、実施例2−1〜2−11及び比較例2−1〜2−2の、Ru成膜方法、Hc、S/Nをまとめたものを表2に示す。
また、Ru粒子の入射角度とHcとの関係を測定したグラフを図12に示す。図12に示すグラフから、Ruの入射角度が増大するに伴い、Hcが増大しており、入射角度が20度以上では比較例2−2よりも高いHcが得られることがわかる。これは、Ru層の表面凹凸の増強により記録磁性層の分離が促進されたためと考えられる。
また、Ru粒子の入射角度とS/N比との関係を測定したグラフを図13に示す。図13に示す測定結果から、S/N比はRu粒子の入射角度が20〜50度の範囲で、比較例2−2よりも高い値を示すことがわかる。この理由は、20〜50度の範囲では、Ruの配向分散を低く保ちつつ、比較例2−2よりも表面凹凸を形成できているものと考えられる。
また、Ru粒子の入射角度を30度に固定した際の、Ru成膜ガス圧に対するS/N比の関係を測定したグラフを図14に示す。図14に示すグラフから、成膜ガス圧を1Pa以上にすると、Ru配向分散が悪化してしまう結果、S/N比が劣化することがわかる。
以上の結果より、Ruスパッタ粒子の入射角度範囲が20〜50度であれば、1Pa以下の低ガス圧でRu層を形成しても、比較例2−2よりも高いHc及びS/N比を得られることがわかった。
また、実施例2−2及び比較例2−2の磁気記録媒体について、傷付き(スクラッチ)耐性の評価を行った。具体的には、クボタコンプス社製のSAFテスター及びCandela社製の光学式表面検査装置(OSA)を用い、ディスクの回転数5000rpm、気圧100Torr、室温という測定条件にて、テスターでヘッドをロードさせたまま2000秒保持し、その後に、OSAにてスクラッチの本数をカウントした。
その結果、実施例2−2の磁気記録媒体では、OSAのスクラッチカウント数が230であり、比較例2−2の磁気記録媒体では、OSAのスクラッチカウント数が1150であり、実施例2−2の磁気記録媒体の方が傷付き耐性が高かった。
以上に示した評価結果から、本発明を適用した磁気記録媒体は、電磁変換特性及びスクラッチ耐性に優れていることが明らかとなった。
(実施例2−12)
実施例2−12では、層状不整材料を配向制御層として用いている実施例1−12上に、第1記録磁性層、非磁性層、第2記録磁性層、非磁性層、キャップ磁性層、カーボン保護膜、潤滑層を、実施例2−1と同様に成膜し、磁気記録媒体を作製した。
そして、この実施例2−12の磁気記録媒体について、静磁気特性及び記録再生特性を評価したところ、Hcは4.6kOe、S/N比は17.7dBであった。
以上の結果から、スパッタ粒子を斜めに入射させるとRuの代わりに層状不整格子材料を配向制御層材料として用いても、比較例2−2よりも高いHc及びS/N比が得られることがわかった。
1…非磁性基板
2…軟磁性下地層
3…配向制御層
4…垂直磁性層
4a…下層の磁性層
4b…中層の磁性層
4c…上層の磁性層
5…保護層
6…潤滑層
7…非磁性層
7a…下層の非磁性層
7b…上層の非磁性層
8…非磁性下地層
11…軟磁性下地層
12…配向制御層
12a…頂部
13…垂直磁性層
14,15…磁性層
41…酸化物
42…磁性粒子(層7a,7bにおいては非磁性粒子)
50…磁気記録媒体
51…媒体駆動部
52…磁気ヘッド
53…ヘッド駆動部
54…記録再生信号処理系
100…チャンバ
101…ターゲット
102…遮蔽板
102a…通過口
103…導入経路
104…導出経路
W…非磁性基板

Claims (14)

  1. 少なくとも非磁性基板の上に、軟磁性下地層と、直上の層の配向性を制御する配向制御層と、磁化容易軸が前記非磁性基板に対して主に垂直に配向した垂直磁性層とを積層してなる磁気記録媒体の製造方法であって、
    前記配向制御層を構成する結晶粒子を基板面に対して斜め方向に結晶成長させながら一方向に規則的に配列した柱状晶を形成するステップと、
    前記垂直磁性層を2層以上の磁性層から構成し、各磁性層を構成する結晶粒子を、前記配向制御層を構成する柱状晶の各頂部から基板面に対して垂直な方向に結晶成長させながら厚み方向に連続した柱状晶を形成するステップとを含むことを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
  2. 前記配向制御層を形成する際に、スパッタリング法を用いて、スパッタガス圧を1Pa以下とすることを特徴とする請求項1に記載の磁気記録媒体の製造方法。
  3. 前記配向制御層を形成する際に、スパッタリング法を用いて、スパッタ粒子を基板面に対して斜影効果が得られる角度範囲で斜めに入射させることを特徴とする請求項1又は2に記載の磁気記録媒体の製造方法。
  4. 前記配向制御層をスパッタリング法で形成する際に、前記スパッタ粒子の基板面に対する入射角度を、この基板面の垂線に対して20〜50゜の角度範囲とすることを特徴とする請求項3又は4に記載の磁気記録媒体の製造方法。
  5. 前記配向制御層がRu層又はRuを主成分とする層を含むことを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の磁気記録媒体の製造方法。
  6. 前記Ru層又はRuを主成分とする層を複数積層し、この複数積層した層の全てをスパッタリング法で形成することを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載の磁気記録媒体の製造方法。
  7. 前記配向制御層が、fcc構造を有する元素群のうち少なくとも1種を主成分とし、bcc構造を有する元素群から選ばれる元素との合金材料からなり、(111)配向する結晶構造と、fcc構造とbcc構造の混合による層状不整格子(積層欠陥)を併せもつ層を含むことを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の磁気記録媒体の製造方法。
  8. 前記配向制御層が、fcc構造を有する元素群のうち少なくとも1種を主成分とし、hcp構造を有する元素群から選ばれる元素との合金材料からなり、(111)配向する結晶構造と、fcc構造とhcp構造の混合による層状不整格子(積層欠陥)を併せもつ層を含むことを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の磁気記録媒体の製造方法。
  9. 少なくとも非磁性基板の上に、軟磁性下地層と、直上の層の配向性を制御する配向制御層と、磁化容易軸が前記非磁性基板に対して主に垂直に配向した垂直磁性層とを積層してなる磁気記録媒体であって、
    前記配向制御層を構成する結晶粒子が基板面に対して斜め方向に結晶成長しながら一方向に規則的に配列した柱状晶を形成していると共に、
    前記垂直磁性層が2層以上の磁性層から構成され、各磁性層を構成する結晶粒子が前記配向制御層を構成する柱状晶の各頂部から基板面に対して垂直な方向に結晶成長しながら厚み方向に連続した柱状晶を形成していることを特徴とする磁気記録媒体。
  10. 前記一方向がディスク状の非磁性基板における半径方向であることを特徴とする請求項9に記載の磁気記録媒体。
  11. 前記斜め方向に結晶成長した配向制御層を構成する柱状晶の角度が基板面の垂線に対して20〜50゜の角度範囲にあることを特徴とする請求項9又は10に記載の磁気記録媒体。
  12. 前記配向制御層を構成する結晶粒子の粒径が5nm以下であることを特徴とする請求項9〜11の何れか一項に記載の磁気記録媒体。
  13. 前記磁性層がグラニュラー構造を有することを特徴とする請求項9〜12の何れか一項に記載の磁気記録媒体。
  14. 請求項1〜8の何れか一項に記載の製造方法により製造された磁気記録媒体又は請求項9〜13の何れか一項に記載の磁気記録媒体と、
    前記磁気記録媒体に対する情報の記録再生を行う磁気ヘッドとを備えることを特徴とする磁気記録再生装置。
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