JP2016021038A - 画像形成装置、プロセスカートリッジ及び画像形成方法 - Google Patents

画像形成装置、プロセスカートリッジ及び画像形成方法 Download PDF

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Abstract

【課題】電子写真感光体表面へのトナー付着などの表面汚染がなく清浄な状態を維持することができ、電子写真感光体の初期の帯電機能・光減衰機能・潜像維持を長期間維持し、優れた画像品質を維持することが可能な画像形成装置を提供する。
【解決手段】少なくとも電子写真感光体と、帯電手段と、潜像形成手段と、現像手段と、転写手段と、クリーニング手段とを備え、前記電子写真感光体は、厚み方向の最表面の層に少なくともポリエステル系樹脂を含有し、前記帯電手段の交流成分の放電周波数を前記電子写真感光体の線速の7.5倍以上としたときに、前記帯電手段を用いて100μC/mmの放電電荷を前記電子写真感光体に付与する前後において、前記電子写真感光体表面とシリコン製カンチレバーの探針との平均付着力変動が0nNより大きく5nN以下であることを特徴とする画像形成装置。
【選択図】図1

Description

本発明は、画像形成装置、プロセスカートリッジ及び画像形成方法に関する。
近年、オフィスの省スペース化、ビジネスオポチュニティの拡大等の観点から、画像形成装置に対して、高速化、小型化、カラー化、特に高画質化、易メンテナンス性などが望まれている。これらは、電子写真感光体の電気特性の向上、耐久性の向上等が関係しており、電子写真感光体の改良によって解決すべき問題として位置付けられている。
易メンテナンス性の向上の観点からは、電子写真感光体の交換頻度の低減が挙げられる。これは、電子写真感光体由来の画像欠陥を、長期にわたって可能な限り少なくすることであり、電子写真感光体の長寿命化に他ならない。また、長期にわたる出力画像の高画質化にも関連する。電子写真感光体における上記問題を解決するために、長期間使用時における電子写真感光体由来の画像欠陥を低減することが試みられており、電子写真感光体の長寿命化に関する開発が数多く報告されている。電子写真感光体の長寿命化を達成するためには、画像形成時に電子写真感光体が受ける種々のハザードに対する電子写真感光体の摩耗耐久性及び電子写真感光体の表面維持性を向上させる必要がある。
また、前述の小型化の観点から最近の画像形成装置の帯電プロセスとして、近接放電による帯電方式が多く採用される傾向がある。これは、被帯電体表面に帯電部材を接触させたり、非接触で近傍に帯電部材を配置させたりすることで近接放電を発生させ、被帯電体表面の帯電を行う方式である。本方式を用いれば、大がかりな帯電装置を必要としないために、装置の小型化には非常に有効である。
しかし、近接放電による帯電方式は被帯電体表面近傍に放電が集中するため、被帯電体表面を分解・酸化などの化学変化を引き起こすことが知られている(非特許文献1、2)。特にその傾向は直流電圧に交流電圧を重畳して帯電部材に印可する場合に大きく、これらの劣化は電子写真感光体の摩耗耐久性及び表面維持性に対して悪影響を及ぼすことが知られている。
こういった化学的なハザードに対して摩耗耐久性を向上させる技術手段は非常に多く報告されている。例えば、電子写真感光体の最表面に架橋性の保護層を設ける技術が特許文献1〜6に記載されている。これらの技術を用いれば、放電ハザードなどの化学的ハザードやクリーニングブレード等電子写真感光体との当接部材と電子写真感光体間での摺擦に代表されるような機械的ハザードに対して非常に有効である。
一方、電子写真感光体の表面維持性の向上についてはまだまだ報告が多くない。表面維持性とは、画像形成装置を用いて画像を繰り返し出力した際の、電子写真感光体表面にトナー成分(トナー粒子・トナー外添微粒子など)が付着することにより、電子写真感光体が本来有すべき帯電機能・光減衰機能・潜像維持機能などが損なわれるといった現象を引き起こさないために、電子写真感光体表面にトナーなどの異物が付着せず清浄な表面を維持することを指す。電子写真感光体の表面維持に関する技術手段として、例えば、前述の架橋性保護層を設ける技術も同様の機能が発現することが同文献から推察される。
しかし、本技術を用いれば、高い表面維持性を示すと考えられるが、電子写真感光体の構成層を1層増やす構成となることから、電子写真感光体自体が高コストとなるため、ハイエンド画像形成装置に適用が限定されるといった問題がある。
また、架橋性保護層以外の手段で電子写真感光体の表面維持性を改善する手段として、電子写真感光体の表面に任意の凹凸を設けた電子写真感光体とブレードクリーニング方式を併用する技術が特許文献7〜10に報告されている。これらの技術を用いることでトナークリーニング性が良好となり、付随して電子写真感光体の表面汚染性が改善されると考えられる。
しかし、電子写真感光体表面は画像形成装置内部で色々な摺擦部材と当接しており、画像出力毎に徐々に表面が摩耗していくことが知られている。そのため、初期に形成した任意の表面凹凸の維持が難しく、機能が持続しないといった問題を有する。
また、特許文献11〜15には電子写真感光体の最表面を構成する層にPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)などの有機材料からなる潤滑剤を含有させる技術が公開されている。本技術を用いることによってトナークリーニング性が良好となり、前記技術と同じく電子写真感光体の表面汚染性が改善されると考えられる。
しかしながら、近接放電による電子写真感光体の表面劣化、とりわけ直流電圧に交流電圧を重畳して帯電部材に印可する方式を用いた場合には有機潤滑剤自身も酸化・分解などの劣化が生じるため、有機潤滑剤の潤滑性維持が難しいといった問題を有する。
このように電子写真感光体の表面維持に関する報告例は見受けられるが、品質を満足するためにはまだまだ課題が多い。また、高い維持性を示す技術においてはコスト面でのハンディキャップを有するなど汎用性に富んだ技術の報告はまだ少なく、電子写真感光体の表面維持に対して高い効果を示す技術開発が強く求められているのが現状である。
本発明は上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、電子写真感光体表面へのトナー付着などの表面汚染がなく清浄な状態を維持することができ、電子写真感光体の初期の帯電機能・光減衰機能・潜像維持を長期間維持し、優れた画像品質を維持することが可能な画像形成装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の画像形成装置は、少なくとも電子写真感光体と、該電子写真感光体の表面を帯電させる帯電手段と、前記電子写真感光体に静電潜像を形成する潜像形成手段と、前記静電潜像に現像剤を付着させ、可視像を形成する現像手段と、前記可視像を記録媒体に転写させる転写手段と、前記電子写真感光体の表面に付着した現像剤を除去するクリーニング手段とを備え、
前記電子写真感光体は、厚み方向の最表面の層に少なくともポリエステル系樹脂を含有し、前記帯電手段の交流成分の放電周波数が、前記電子写真感光体の線速の7.5倍以上であり、前記帯電手段を用いて100μC/mmの放電電荷を前記電子写真感光体に付与する前後において、前記電子写真感光体表面とシリコン製カンチレバーの探針との平均付着力変動が0nNより大きく5nN以下であることを特徴とする。
本発明によれば、電子写真感光体表面へのトナー付着などの表面汚染がなく清浄な状態を維持することができ、電子写真感光体の初期の帯電機能・光減衰機能・潜像維持を長期間維持し、優れた画像品質を維持することが可能な画像形成装置を提供することができる。
電子写真感光体表面とカンチレバーの探針との付着力の求め方の一例を説明するための模式図である。 電子写真感光体表面とカンチレバーの探針との距離に対する付着力の変化の一例を示す図である。 本発明に係る電子写真感光体の構成の一例を示す模式図である。 本発明に係る電子写真感光体の構成の他の例を示す模式図である。 本発明に係る電子写真感光体の構成の他の例を示す模式図である。 本発明に係る電子写真感光体の構成の他の例を示す模式図である。 本発明に係る電子写真感光体の構成の他の例を示す模式図である。 本発明に係る画像形成装置の一例を示す模式図である。 帯電手段の構成例を示す模式図である。 クリーニングブレードの一例を示す模式図である。 クリーニングブレードの一例における要部拡大を示す模式図である。 クリーニングブレードの一例における電子写真感光体に当接している場合を示す模式図である。 クリーニングブレードの他の例を示す模式図である。 本発明に係るプロセスカートリッジの一例を示す模式図である。
以下、本発明に係る画像形成装置、プロセスカートリッジ及び画像形成方法について図面を参照しながら説明する。なお、本発明は以下に示す実施形態に限定されるものではなく、他の実施形態、追加、修正、削除など、当業者が想到することができる範囲内で変更することができ、いずれの態様においても本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。
本発明の画像形成装置は、少なくとも電子写真感光体と、該電子写真感光体の表面を帯電させる帯電手段と、前記電子写真感光体に静電潜像を形成する潜像形成手段と、前記静電潜像に現像剤を付着させ、可視像を形成する現像手段と、前記可視像を記録媒体に転写させる転写手段と、前記電子写真感光体の表面に付着した現像剤を除去するクリーニング手段とを備えている。前記電子写真感光体は、厚み方向の最表面の層に少なくともポリエステル系樹脂を含有する。そして、前記帯電手段の交流成分の放電周波数を前記電子写真感光体の線速の7.5倍以上としたときに、前記帯電手段を用いて100μC/mmの放電電荷を前記電子写真感光体に付与する前後において、前記電子写真感光体表面とシリコン製カンチレバーの探針との平均付着力変動が0nNより大きく5nN以下であることを特徴とする。
また、平均付着力変動の測定方法は以下のように行う。前記帯電手段により前記電子写真感光体が帯電される前に、前記電子写真感光体の表面にシリコン製カンチレバーの探針を接触させ、引き離したときの前記シリコン製カンチレバーのたわみ量を測定し、前記シリコン製カンチレバーのバネ定数を前記たわみ量に乗じて得られた値を付着力とし、前記電子写真感光体の複数箇所について測定した付着力の算術平均を帯電前の平均付着力とする。前記帯電手段により前記電子写真感光体が帯電された後についても同様に平均付着力を求め、帯電後の平均付着力から帯電前の平均付着力を引いた値を前記電子写真感光体表面とシリコン製カンチレバーの探針との平均付着力変動とする。
以下、本発明について詳細を説明する。
(表面維持)
<表面維持の必要要件>
表面維持とは前述の通り、『画像形成装置を用いて画像を繰り返し出力した際の、電子写真感光体表面にトナー成分(トナー粒子・トナー外添微粒子など)が付着することにより、電子写真感光体が本来有すべき帯電機能・光減衰機能・潜像維持機能などが損なわれるといった現象を引き起こさないために、電子写真感光体表面にトナーなどの異物が付着せず清浄な表面を維持する』ことを指す。
電子写真感光体表面にトナー成分が付着する主要因としては、電子写真感光体から転写プロセス後に残留しているトナーを除去するクリーニング不良と考えられ、クリーニング不良の種類としては大きく『トナー粒子クリーニング不良』及び『トナー外添粒子クリーニング不良』の二つに分けられる。『トナー粒子クリーニング不良』はクリーニング方式の不具合、例えばクリーニングブレードの摩耗や欠けが主要因と考えられる。一方、『トナー外添粒子クリーニング不良』はトナーの外添剤として使用しているシリカ微粒子等が電子写真感光体/クリーニングブレード間での擦り抜けの際にクリーニングブレードによって電子写真感光体に強く擦りつけられることによる圧着が主要因と考えられる。電子写真感光体の表面維持に対してはどちらの現象も抑制する必要があるが、特に後者の『トナー外添粒子クリーニング不良』については原因となる粒子が数十ナノメートルと非常に小さく、クリーニングブレードなどのクリーニング部材でせき止めることが難しい。従って電子写真感光体又はクリーニングブレードでの対策が取りにくく、顕在課題となりやすい。
この『トナー外添粒子クリーニング不良』の抑制を電子写真感光体にて対応する手段としてはクリーニングブレードのような部材でトナー外添微粒子を電子写真感光体に押しつけた場合であっても圧着しにくい表面とすることが最も有効と考えられる。
本発明者らは前記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた。その結果、前記圧着しにくい表面とは電子写真感光体表面近傍の硬度を高くすることよりも、近接帯電方式の帯電部材を用いて電子写真感光体を繰り返し帯電させた場合であっても電子写真感光体表面の粘性を上昇させないことが最も効果が高いことを見出した。すなわち、画像形成装置内での電子写真感光体の使用履歴にかかわらず、電子写真感光体表面の粘性を上昇させないことが重要であり、当該特性はトナー外添剤として多量に使用しているシリカに類する部材との付着力を上昇させないことに他ならないことを見出し、本発明に至った。
<<表面維持発現手段>>
近接放電方式の帯電手段にて繰り返し放電ハザードを印加した場合であっても電子写真感光体表面の粘性上昇が生じにくい要件とは、(i)電子写真感光体最表面の構成成分の結着樹脂成分として高分子ポリエステル系樹脂を用いること、(ii)電子写真感光体最表面の構成成分の低分子電荷輸送性成分の含有率を小さくすること、であることを本発明者は見出した。これらの要件を満たすことにより、近接放電方式の帯電手段にて繰り返し放電ハザードを印加した場合であっても電子写真感光体表面の粘性上昇を引き起こしにくくなる。この要因としては、下記のことが考えられる。
(i)近接放電方式の帯電手段を用いて放電ハザードを印加した場合、電子写真感光体最表面の有機材料は放電電荷の衝突により結合が切断されると考えられるが、結合切断後の高分子材料の粘性は原材料が高分子になるほど切断後も高分子体を取りやすいため粘性上昇が生じにくいと考えられる。
(ii)最表面に低分子量有機材料が多い電子写真感光体に近接放電方式の帯電手段を用いて放電ハザードを印加した場合、前記(i)の現象と同様に放電電荷の衝突による有機材料の酸化・分解が生じる。低分子電荷輸送材料は酸化・分解時に高粘性材料に変化しやすいと考えられるため、当該材料の含有量が少ない場合には放電ハザードを繰り返し印加した場合であっても粘性上昇が生じにくいと考えられる。
これら(i)(ii)の要件については電子写真感光体の基本機能(帯電機能・光減衰機能など)を損なわなければそれぞれ後述する材料群から別々に表面維持機能向上を目的として適用しても良い。中でも結着材料としてバインダー機能中に電荷輸送機能ユニットを共重合させた材料種を用いることにより、シリカ等の圧着防止に対して高い効果を示す。
前記結着材料としては、ポリエステル系樹脂であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、さらに目的に応じて2種以上のポリエステル系樹脂又は非ポリエステル系樹脂を混合してもよい。なお、詳細は後述する。
また、前述の通り、バインダー樹脂の機能と電荷輸送物質の機能を併せ持った高分子電荷輸送物質を用いても良い。
高分子電荷輸送物質としては、公知の材料が使用できるが、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリエステル、ポリエーテルの中から選ばれる少なくとも一つの重合体であることが好ましい。特に、トリアリールアミン構造を主鎖及び/又は側鎖に含むポリカーボネートが好ましい。中でも、下記一般式(1)〜(10)で表される高分子電荷輸送物質が良好に用いられる。
Figure 2016021038
一般式(1)中、R1、R2、R3はそれぞれ独立して置換もしくは無置換のアルキル基又はハロゲン原子、R4は水素原子又は置換もしくは無置換のアルキル基、R5、R6は置換もしくは無置換のアリール基、o、p、qはそれぞれ独立して0〜4の整数、k、jは組成を表し、0.1≦k≦1、0≦j≦0.9、nは繰り返し単位数を表し5〜5000の整数である。Xは脂肪族の2価基、環状脂肪族の2価基、又は下記一般式(I)又は一般式(II)で表される2価基を表す。
Figure 2016021038
一般式(I)中、R101、R102は各々独立して置換もしくは無置換のアルキル基、アリール基又はハロゲン原子を表す。l、mは0〜4の整数、Yは単結合、炭素原子数1〜12の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキレン基、−O−、−S−、−SO−、−SO2−、−CO−、−CO−O−Z−O−CO−(式中Zは脂肪族の2価基)を表す。
Figure 2016021038
一般式(II)中、aは1〜20の整数、bは1〜2000の整数、R103、R104は置換又は無置換のアルキル基又はアリール基を表す。ここで、R101とR102、R103とR104は、それぞれ同一でも異なってもよい。
Figure 2016021038
一般式(2)中、R7、R8は置換もしくは無置換のアリール基、Ar1、Ar2、Ar3は同一又は異なるアリレン基を表す。X、k、j及びnは、一般式(1)の場合と同じである。
Figure 2016021038
一般式(3)中、R9、R10は置換もしくは無置換のアリール基、Ar4、Ar5、Ar6は同一又は異なるアリレン基を表す。X、k、j及びnは、一般式(1)の場合と同じである。
Figure 2016021038
一般式(4)中、R11、R12は置換もしくは無置換のアリール基、Ar7、Ar8、Ar9は同一又は異なるアリレン基を表す。X、k、j及びnは、一般式(1)の場合と同じである。
Figure 2016021038
一般式(5)中、R13、R14は置換もしくは無置換のアリール基、Ar10、Ar11、Ar12は同一又は異なるアリレン基、X1、X2は置換もしくは無置換のエチレン基、又は置換もしくは無置換のビニレン基を表す。X、k、j及びnは、一般式(1)の場合と同じである。
Figure 2016021038
一般式(6)中、R15、R16、R17、R18は置換もしくは無置換のアリール基、Ar13、Ar14、Ar15、Ar16は同一又は異なるアリレン基、Y1、Y2、Y3は単結合、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のシクロアルキレン基、置換もしくは無置換のアルキレンエーテル基、酸素原子、硫黄原子、ビニレン基を表し、同一であっても異なってもよい。X、k、j及びnは、一般式(1)の場合と同じである。
Figure 2016021038
一般式(7)中、R19、R20は水素原子、置換もしくは無置換のアリール基を表し、R19とR20は環を形成していてもよい。Ar17、Ar18、Ar19は同一又は異なるアリレン基を表す。X、k、j及びnは、一般式(1)の場合と同じである。
Figure 2016021038
一般式(8)中、R21は置換もしくは無置換のアリール基、Ar20、Ar21、Ar22、Ar23は同一又は異なるアリレン基を表す。X、k、j及びnは、一般式(1)の場合と同じである。
Figure 2016021038
一般式(9)中、R22、R23、R24、R25は置換もしくは無置換のアリール基、Ar24、Ar25、Ar26、Ar27、Ar28は同一又は異なるアリレン基を表す。X、k、j及びnは、一般式(1)の場合と同じである。
Figure 2016021038
一般式(10)中、R26、R27は置換もしくは無置換のアリール基、Ar29、Ar30、Ar31は同一又は異なるアリレン基を表す。X、k、j及びnは、一般式(1)の場合と同じである。
これら高分子電荷輸送物質は単独で用いても良いし、二種類以上の高分子電荷輸送物質を併用しても良い。
(付着力測定方法)
<<特性値及び測定方法>>
次に電子写真感光体の最表面の粘性特性値として、電子写真感光体表面の付着力測定方法について説明する。
本発明では走査型プローブ顕微鏡のカンチレバーを用いて、電子写真感光体表面と電子写真感光体表面付着物質と類似の素材からなるカンチレバーとの間にはたらく付着力を計測する。前述の通り電子写真感光体の表面に付着するトナー外添剤成分としてはシリカが主成分となることから、本発明における付着力はシリコン製カンチレバーを用いて測定した値を適用する。なお、付着力測定方法に用いられる測定装置としては、一般的に用いられるものを使用することができ、原子間力顕微鏡や走査型トンネル顕微鏡等により測定することができる。
本発明において、シリコン製カンチレバーは、シリコンを含むものであれば特に制限はなく、窒化シリコン等の材料からなるカンチレバーも含まれる。
市販品としては、例えば日立ハイテクサイエンス社製のSI−AF、SN−AF、SN−FF等が挙げられる。
なお、カンチレバーの大きさは特に制限されるものではなく、目的に応じて適宜変更することが可能である。また、後述するカンチレバーのバネ定数は特に制限されるものではなく、目的に応じて適宜変更することが可能であるが、例えば0.05〜50N/mとすることができる。
また、本発明において、付着力測定に用いる走査型プローブ顕微鏡としては片持ち梁の一端に探針を設けたカンチレバーと称するプローブで試料表面を走査し、試料表面の形状や高低差などを定量評価する顕微鏡を用いる。中でも、原子間力顕微鏡が本発明の計測には最も好ましいが、例えば走査型トンネル顕微鏡などのカンチレバータイプの走査型プローブ顕微鏡と称されている他の顕微鏡でも用いることが可能である。
次に、具体的な測定原理・方法について図1を参照しながら説明する。図1(A)及び(B)に示されるように、電子写真感光体表面にカンチレバー40に備えられた微小な探針41を近づけ、ゆっくり接触させる。なお、図1(A)及び(C)の棒線矢印は探針41の移動方向を概念的に示したものである。
その後、図1(C)に示されるように、カンチレバー40を徐々に電子写真感光体表面から引き離すと、電子写真感光体表面とカンチレバー40の探針41との間の付着力の影響を受けてカンチレバー40が撓むこととなる。カンチレバー40をさらに引き離すと、カンチレバー40はさらに撓み、このようにカンチレバー40がバネと同様の機能を果たす。これにより、カンチレバー40のたわみ量を測定し、カンチレバー40のバネ定数を乗じることによって電子写真感光体表面とカンチレバー探針間の付着力を測定することが可能となる。電子写真感光体表面とカンチレバー40の探針41とが剥離状態となるまで両者を引き離していき、検出された最大のたわみ量にカンチレバーのバネ定数を乗じた数値を電子写真感光体表面とカンチレバー探針間の付着力とする。
ここで、横軸を電子写真感光体表面と探針41との距離とし、縦軸をカンチレバー40のたわみ量×カンチレバー40のバネ定数とした場合の付着力の変化(フォースカーブ又はフォースディスタンスカーブとも称される)を示す例を図2に示す。なお、図2において、何もしていない状態の電子写真感光体の表面を横軸の0とし、マイナスの値は電子写真感光体に探針41が押し込まれている状態を、プラスの値は電子写真感光体から探針41が離れている状態を意味する。また、図2ではカンチレバー40のバネ定数を0.38N/mとした。
図2をみると、探針41が電子写真感光体に押し込まれている状態からカンチレバー40を引き離し、探針41が電子写真感光体の表面(横軸が0の値)の箇所になると、カンチレバー40は撓まず、たわみ量は0で表される。しかし、さらにカンチレバー40を引き離した場合、図1(C)に示されるように探針41は電子写真感光体から離れず、カンチレバー40のたわみ量(符号42)が観測される。さらに引き離していくと、ある時点で探針41が電子写真感光体から離れ、たわみ量がなくなり付着力は0を示すこととなる。
このとき、上述したように、最大のたわみ量すなわち探針41が電子写真感光体と離れる直前のたわみ量に、カンチレバーのバネ定数を乗じた数値を電子写真感光体表面とカンチレバー探針間の付着力とする。なお、たわみ量の測定は特に制限されるわけではなく、原子間力顕微鏡や走査型トンネル顕微鏡等により測定することができる。
次に、平均付着力について説明する。前記付着力の測定を電子写真感光体の複数の箇所で行い、平均値を求める。測定点の設定は特に制限されるものではないが、例えば、電子写真感光体の表面で10μm×10μmの領域を設定し、当該領域を電子写真感光体の回転方向に8箇所、軸方向に8箇所、計64箇所設け、測定点とする。それぞれの測定点について付着力の測定を行い、これと同様の測定を合計で5箇所の領域について行い、合計約340回の測定を実施する。得られた測定値の算術平均を求めることにより、電子写真感光体表面とカンチレバー探針間の平均付着力を求めることができる。
平均付着力の測定は、本発明の画像形成装置の帯電手段による帯電の前後に行う。帯電前の平均付着力を求めた後に、帯電手段により電子写真感光体を帯電させ、その後さらに帯電後の平均付着力を求める。帯電後の平均付着力から帯電前の平均付着力を引いた値を電子写真感光体表面とシリコン製カンチレバーとの平均付着力変動とする。
本発明では、帯電手段の交流成分の放電周波数を前記電子写真感光体の線速の7.5倍以上としたときに、帯電手段を用いて100μC/mmの放電電荷を電子写真感光体に付与する前後において、平均付着力変動が0nN(ナノニュートン)より大きく5nN以下であることを特徴とする。5nN以下であることにより、電子写真感光体の表面に現像剤や現像剤の外添剤等が付着しにくくなり、表面の汚染を抑制し、清浄な状態を維持することができる。これに対し、5nNよりも大きくなると、電子写真感光体の表面にトナー母体やトナーの外添剤等が付着しやすくなり、高画質な画像が得られない。
平均付着力変動を所望の値にするためには、特に制限されるものではないが、電子写真感光体の最表面の層に用いる材料を制御すること等が挙げられる。
帯電手段の交流成分の放電周波数が電子写真感光体の線速の7.5倍以上とすることで電子写真感光体の表面を十分に帯電させることができ、画像品質を向上させることができる。一方、7.5倍よりも小さいと電子写真感光体の表面を十分に帯電させることができず、画像ムラなどが生じ、良好な画像が得られない。
また、本発明における帯電手段では、交流成分による帯電によって電子写真感光体の表面性状が変化することとなり、帯電前後で電子写真感光体とカンチレバー40の探針41との平均付着力が変化する。そのため、帯電手段の交流成分の放電周波数を電子写真感光体の線速の7.5倍以上にしただけでは、良好な画像を継続して発現させるには十分ではなく、種々の要件を満たし、適切な構成にすることが必要である。
なお、帯電手段の交流成分の放電周波数と電子写真感光体の線速とを比較するに際しては、交流成分の放電周波数の単位をHzにし、電子写真感光体の線速の単位をmm/secにし、両者の値を比較する。例えば、交流成分の放電周波数が1500Hzであり、電子写真感光体の線速が200mm/secである場合、両者の関係は7.5倍となる。
(電子写真感光体)
以下、本発明の電子写真感光体の構成例について図3〜図7を用いて説明する。
図3は、単層型感光層を有する構成であり、導電性支持体31上に、単層型感光層36を形成した電子写真感光体の層構成を示した図である。図4は、積層型感光層を有する構成であり、導電性支持体31上に、電荷発生層33、電荷輸送層34を順次積層した電子写真感光体の層構成を示した図である。なお、電荷発生層33及び電荷輸送層34が感光層に該当する。図5は、図4の構成を有する電子写真感光体に、さらに下引き層32を設けた構成を有する。
図6は、導電性支持体31上に、下引き層32、電荷発生層33、電荷輸送層34及び表面層35を順次積層した電子写真感光体の層構成を示した図である。図7は、導電性支持体31上に、電荷発生層33、電荷輸送層34、中間層37及び表面層35を順次積層した電子写真感光体の層構成を示した図である。なお、電荷発生層33、電荷輸送層34及び表面層35が感光層に該当する。
<ポリエステル系樹脂>
本発明における電子写真感光体は、厚み方向の最表面の層に少なくともポリエステル系樹脂を含有する。目的に応じて2種以上のポリエステル系樹脂を含んでいてもよく、又は非ポリエステル系樹脂を混合してもよい。
ポリエステル系の樹脂としてはポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂などが例示され、ポリエステル系樹脂以外の樹脂としては、例えば、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、アルキッド樹脂、シリコーン樹脂、ポリビニルカルバゾール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ポリアクリレート樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、フェノキシ樹脂などが挙げられる。
これらの中でも、ポリカーボネート樹脂又はポリアリレート樹脂が好ましい。
また、ポリエステル系樹脂の粘度平均分子量(Mv)は50,000以上が好ましい。粘度平均分子量が50,000以上であると、前記平均付着力変動を小さく押さえることができるため好ましい。
電荷輸送機能を付与する目的で、最表面の層にはさらにドナーが含有されていてもよい。本発明におけるドナーとしては、例えば後述する低分子電荷輸送物質が挙げられる。また、前述の高分子電荷輸送物質の構成単位を有する低分子電荷輸送物質も用いることができる。
ドナーが含有されている場合におけるポリエステル系樹脂に対するドナー含有比率は、ポリエステル系樹脂100重量部に対して60重量部以下であることが好ましい。60重量部以下であると、電子写真感光体表面とシリコン製カンチレバーの探針との付着力の変動を抑えることができる。
<導電性支持体>
導電性支持体31としては、体積抵抗値が1×1010Ω・cm以下の導電性を示すものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。なお、特開昭52−36016号公報に開示されたエンドレスベルト(エンドレスニッケルベルト、エンドレスステンレスベルト等)を用いてもよい。
導電性支持体31の形成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、金属(アルミニウム、ニッケル、クロム、ニクロム、銅、金、銀、白金等)又は金属酸化物(酸化スズ、酸化インジウム等)を蒸着又はスパッタリングして、支持体(フィルム状、円筒状等のプラスチック、紙等)を被覆することにより形成する方法;金属(アルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ステンレス等)の板を押出し、引抜き等を行い、表面処理(素管化後、切削、超仕上げ、研摩等)を施して形成する方法などが挙げられる。
導電性支持体31は、導電性支持体31上に導電性層を設けてなる構成としてもよい。
前記導電性層の形成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、導電性粉体及び結着樹脂を必要に応じて溶媒に分散乃至溶解して得られた塗工液を導電性支持体31上に塗布することにより形成する方法、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン、塩化ゴム、テフロン(登録商標)等の素材に前記導電性粉体を含有させた熱収縮チューブを用いて形成する方法などが挙げられる。
前記導電性粉体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、カーボンブラック、アセチレンブラック等の炭素微粒子;アルミニウム、ニッケル、鉄、ニクロム、銅、亜鉛、銀等の金属粉;導電性酸化スズ、ITO等の金属酸化物粉体などが挙げられる。
前記導電性層に用いる結着樹脂として、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂などが挙げられ、具体的には、ポリスチレン樹脂、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリアリレート樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ポリビニルトルエン樹脂、ポリ−N−ビニルカルバゾール、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂などが挙げられる。
前記導電性層に用いる溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、メチルエチルケトン、トルエンなどが挙げられる。
<感光層>
感光層としては、前述のように積層型感光層であってもよく、単層型感光層であってもよい。
<<積層型感光層>>
前記積層型感光層は、電荷発生機能及び電荷輸送機能をそれぞれ独立した層が担うため、少なくとも電荷発生層33と、電荷輸送層34とを有する。多くの電荷発生材料は化学的安定性に乏しく、電子写真作像プロセスにおける帯電器周辺での放電生成物のような酸性ガスにさらされると電荷発生効率の低下などを引き起こすことがあるため、電荷発生層33の上に電荷輸送層34を積層することが好ましい。なお、電荷発生層33及び電荷輸送層34は、従来公知のものを使用することができる。
−電荷発生層−
電荷発生層33は、電荷発生物質を含み、結着樹脂を含むことが好ましく、さらに必要に応じて酸化防止剤等のその他の成分を含んでいてもよい。
−−電荷発生物質−−
前記電荷発生物質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、無機系材料、有機系材料などが挙げられる。
−−−無機系材料−−−
前記無機系材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、結晶セレン、アモルファス−セレン、セレン−テルル、セレン−テルル−ハロゲン、セレン−ヒ素化合物、アモルファス−シリコン(例えば、ダングリングボンドを水素原子、ハロゲン原子等でターミネートしたもの;ホウ素原子、リン原子等をドープしたものなどが好適)などが挙げられる。
−−−有機系材料−−−
前記有機系材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、金属フタロシアニン、無金属フタロシアニン等のフタロシアニン系顔料;アズレニウム塩顔料、スクエアリック酸メチン顔料、カルバゾール骨格を有するアゾ顔料、トリフェニルアミン骨格を有するアゾ顔料、ジフェニルアミン骨格を有するアゾ顔料、ジベンゾチオフェン骨格を有するアゾ顔料、フルオレノン骨格を有するアゾ顔料、オキサジアゾール骨格を有するアゾ顔料、ビススチルベン骨格を有するアゾ顔料、ジスチリルオキサジアゾール骨格を有するアゾ顔料、ジスチリルカルバゾール骨格を有するアゾ顔料、ペリレン系顔料、アントラキノン系又は多環キノン系顔料、キノンイミン系顔料、ジフェニルメタン及びトリフェニルメタン系顔料、ベンゾキノン及びナフトキノン系顔料、シアニン及びアゾメチン系顔料、インジゴイド系顔料、ビスベンズイミダゾール系顔料などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
−−結着樹脂−−
前記結着樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリケトン樹脂、ポリカーボネート樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ポリビニルケトン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ−N−ビニルカルバゾール樹脂、ポリアクリルアミド樹脂などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記結着樹脂としては、上述の結着樹脂の他に、電荷輸送機能を有する電荷輸送性高分子材料を含んでもよい。例えば、アリールアミン骨格、ベンジジン骨格、ヒドラゾン骨格、カルバゾール骨格、スチルベン骨格、ピラゾリン骨格等を有する、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリウレタン、ポリエーテル、ポリシロキサン、アクリル樹脂等の高分子材料、ポリシラン骨格を有する高分子材料などを用いることができる。
−−その他の成分−−
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、低分子電荷輸送物質、溶媒、レベリング剤などが挙げられ、上述の酸化防止剤を含んでもよい。
前記その他の成分の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、添加する層の総質量に対して0.01質量%〜10質量%が好ましい。
−−−低分子電荷輸送物質−−−
前記低分子電荷輸送物質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、電子輸送物質、正孔輸送物質などが挙げられる。
前記電子輸送物質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、クロルアニル、ブロムアニル、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロキサントン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、2,6,8−トリニトロ−4H−インデノ〔1,2−b〕チオフェン−4−オン、1,3,7−トリニトロジベンゾチオフェン−5,5−ジオキサイド、ジフェノキノン誘導体などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記正孔輸送物質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、モノアリールアミン誘導体、ジアリールアミン誘導体、トリアリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、α−フェニルスチルベン誘導体、ベンジジン誘導体、ジアリールメタン誘導体、トリアリールメタン誘導体、9−スチリルアントラセン誘導体、ピラゾリン誘導体、ジビニルベンゼン誘導体、ヒドラゾン誘導体、インデン誘導体、ブタジェン誘導体、ピレン誘導体等、ビススチルベン誘導体、エナミン誘導体等などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
−−−溶媒−−−
前記溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジオキソラン、トルエン、ジクロロメタン、モノクロロベンゼン、ジクロロエタン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、アニソール、キシレン、メチルエチルケトン、アセトン、酢酸エチル、酢酸ブチルなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
−−−レベリング剤−−−
前記レベリング剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル等のシリコーンオイルなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
−−電荷発生層の形成方法−−
電荷発生層33の形成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、前記電荷発生物質及び前記結着樹脂を前記溶媒等の前記その他の成分に溶解乃至分散して得られた塗工液を、導電性支持体31上に塗布して乾燥することにより形成する方法などが挙げられる。なお、前記塗工液は、キャスティング法などにより塗布することができる。
電荷発生層33の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.01μm〜5μmが好ましく、0.05μm〜2μmがより好ましい。
−電荷輸送層−
電荷輸送層34は、帯電電荷を保持させ、かつ、露光により電荷発生層33で発生分離した電荷を移動させて保持していた帯電電荷と結合させることを目的とする層である。帯電電荷を保持させる目的を達成するためには、電気抵抗が高いことが要求される。また、保持していた帯電電荷で高い表面電位を得る目的を達成するためには、誘電率が小さく、かつ、電荷移動性がよいことが好ましい。
電荷輸送層34は、電荷輸送物質を含み、前記結着材料を含むことが好ましく、さらに必要に応じてその他の成分を含む。
−−電荷輸送物質−−
前記電荷輸送物質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、電子輸送物質、正孔輸送物質などが挙げられる。また、前述の高分子電荷輸送物質を用いることができる。
前記電荷輸送物質の電荷輸送層全量における含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。電子写真感光体表面とトナー外添粒子との付着を抑制するためには電荷輸送物質の含有量を前記結着材料に対して20質量%〜60質量%とすることが好ましく、30質量%〜50質量%とすることがより好ましい。前記電荷輸送物質含有量が、20質量%より小さいと、電荷輸送層の電荷輸送性が小さくなることにより所望の光減衰特性が得られないことがある。60質量%を超えると、画像形成時に電子写真感光体が受ける各種ハザードによって必要以上に摩耗したり、トナー粒子又はトナー外添粒子が電子写真感光体表面に付着しやすくなるため、長期にわたって安定した画像形成を達成できないため好ましくない。一方、前記電荷輸送物質の電荷輸送層における含有量が、前記の好ましい範囲内であると、所望の光減衰性が得られる。
また、使用によっても摩耗量が少なく、トナー粒子及びトナー外添剤粒子が電子写真感光体表面に付着しにくいため、長期にわたって優れた画像を出力できる点で有利である。また、結着材料として高分子電荷輸送物質を用いる場合には、適用する材料種によっても結着樹脂に対する電荷輸送物質の含有量は異なるが、電荷輸送物質の含有量をさらに低減することが可能である。
−−−電子輸送物質−−−
前記電子輸送物質(電子受容性物質)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、クロルアニル、ブロムアニル、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロキサントン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、2,6,8−トリニトロ−4H−インデノ〔1,2−b〕チオフェン−4オン、1,3,7−トリニトロジベンゾチオフェン−5,5−ジオキサイドなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
−−−正孔輸送物質−−−
前記正孔輸送物質(電子供与性物質)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、トリフェニルアミン誘導体、9−(p−ジエチルアミノスチリルアントラセン)、1,1−ビス−(4−ジベンジルアミノフェニル)プロパン、スチリルアントラセン、スチリルピラゾリン、フェニルヒドラゾン類、α−フェニルスチルベン誘導体、チアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、フェナジン誘導体、アクリジン誘導体、ベンゾフラン誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、チオフェン誘導体などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
−−その他の成分−−
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、溶媒、可塑剤、レベリング剤などが挙げられ、上述した酸化防止剤を含んでもよい。
前記その他の成分の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、添加する層の総質量に対して0.01質量%〜10質量%が好ましい。
−−−溶媒−−−
前記溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、電荷発生層33と同様なものが使用できるが、前記電荷輸送物質及び前記結着樹脂を良好に溶解する溶媒が好ましい。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上混合して使用してもよい。
−−−可塑剤−−−
前記可塑剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート等の一般樹脂の可塑剤などが挙げられる。
−−−レベリング剤−−−
前記レベリング剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル等のシリコーンオイル類;側鎖にパーフルオロアルキル基を有するポリマー乃至オリゴマーなどが挙げられる。
−−電荷輸送層の形成方法−−
電荷輸送層34の形成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、前記電荷輸送物質及び前記結着樹脂を前記溶媒等の前記その他の成分に溶解乃至分散して得られた塗工液を、電荷発生層33上に塗布して加熱乃至乾燥することにより形成する方法などが挙げられる。
電荷輸送層34の形成の際に用いる前記塗工液の塗工方法としては、特に制限はなく、塗工液の粘性、所望とする電荷輸送層の厚み等の目的に応じて適宜選択することができる。例えば、浸漬塗工法、スプレーコート法、ビードコート法、リングコート法などが挙げられる。
電荷輸送層34は、電子写真特性や膜粘性の観点から、何らかの手段を用いて加熱を行い、前記溶媒を電荷輸送層34中から取り除く必要がある。
前記加熱する方法としては、例えば、空気、窒素等の気体、蒸気、各種熱媒体、赤外線、電磁波等の熱エネルギーを塗工面側又は支持体側から加熱する方法などが挙げられる。
前記加熱する際の温度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、100℃〜170℃が好ましい。前記温度が100℃未満であると、膜中の有機溶媒を十分取り除くことができず、電子写真特性の低下や摩耗耐久性低下が生じることがある。一方、前記温度が170℃を超えると、表面にゆず肌状の欠陥や亀裂の発生、隣接層との界面で剥離の発生などが生じるだけでなく、感光層中の揮発性成分が外部に霧散した場合、所望の電気特性が得られなくなることがある。
電荷輸送層34の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、解像度乃至応答性の点から、50μm以下が好ましく、45μm以下がより好ましい。下限値に関しては、使用するシステム(特に帯電電位等)により異なるが、5μm以上が好ましい。
<<その他の層>>
前記その他の層としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、下引き層32、中間層37、表面層35などが挙げられる。
−下引き層−
下引き層32は、導電性支持体31と前記感光層との間に設けることができる。
下引き層32は、樹脂を含み、さらに必要に応じて上述の酸化防止剤、微粉末顔料、カップリング剤等のその他の成分を含む。
下引き層32に含まれる樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、ポリビニルアルコール、カゼイン、ポリアクリル酸ナトリウム等の水溶性樹脂、共重合ナイロン、メトキシメチル化ナイロン等のアルコール可溶性樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド−メラミン樹脂、エポキシ樹脂等、三次元網目構造を形成する硬化型樹脂などが挙げられる。
これらの中でも、前記樹脂の上に感光層を溶媒で塗布する点で、一般の有機溶媒に対して耐溶媒性の高い樹脂が好ましい。
下引き層32に含まれる微粉末顔料としては、モアレ防止、残留電位の低減等を図ることができる顔料であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、酸化チタン、シリカ、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化インジウム等の金属酸化物などが挙げられる。
下引き層32に含まれるカップリング剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、クロムカップリング剤などが挙げられる。
下引き層32としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、単層であってもよく、2層以上の積層であってもよい。
下引き層32の形成方法としては、特に制限はなく、適当な溶媒及び塗工法を用いて形成することができる。例えば、Alを陽極酸化して形成する方法、ポリパラキシリレン(パリレン)等の有機物;SiO、SnO、TiO、ITO、CeO等の無機物;を真空薄膜作製法にて形成する方法などが挙げられる。
下引き層32の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1μm〜5μmが好ましい。
−中間層−
中間層37は、電荷輸送層34と表面層35との間に、表面層35への電荷輸送層成分の混入を抑える又は両層間の接着性を改善することを目的として設けることができる。中間層37は、結着樹脂を含み、さらに必要に応じて上述の酸化防止剤等のその他の成分を含む。中間層用塗工液としては、表面層用塗工液に対し不溶性又は難溶性であるものが好ましい。
中間層37に含まれる結着樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリアミド、アルコール可溶性ナイロン、ポリビニルブチラール、ポリビニルアルコールなどが挙げられる。
中間層37の形成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記感光層と同様の適当な溶媒及び塗工法を用いて形成する方法などが挙げられる。
中間層37の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.05μm〜2μmが好ましい。
−表面層−
表面層35は、耐摩耗性、耐傷性、静電安定性を向上させることを目的として設けることができる。表面層35には、少なくとも前述のポリエステル系樹脂が含有され、場合によっては前述のドナーが含有されていてもよく、さらに必要に応じて前述の酸化防止剤等のその他の成分を含んでいてもよい。
表面層35の形成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば前記感光層と同様の適当な溶媒及び塗工法を用いて形成する方法が挙げられる。
表面層35の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、3μm〜5μmが好ましい。
<<単層型感光層>>
単層型感光層36は、電荷発生機能と電荷輸送機能とを同時に有する層である。単層型感光層36は、電荷発生物質、電荷輸送物質及び結着樹脂を含有してなり、さらに必要に応じてその他の成分を含有してなる。
−電荷発生物質−
前記電荷発生物質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前述の積層型感光層で用いられるものと同様の物質などが挙げられる。前記電荷発生物質の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記結着樹脂100質量部に対し、5質量部〜40質量部が好ましい。
−電荷輸送物質−
前記電荷輸送物質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前述の積層型感光層で用いられるものと同様の物質などが挙げられる。前記電荷輸送物質の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記結着樹脂100質量部に対し、190質量部以下が好ましく、50質量部〜150質量部がより好ましい。
−結着樹脂−
前記結着樹脂としては、ポリエステル樹脂であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、例示化合物は前述に記載のものが挙げられる。
−その他の成分−
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前述の積層型感光層で用いられるものと同様の低分子電荷輸送物質、同様の溶媒、同様のレベリング剤、上述の酸化防止剤などが挙げられる。
−単層型感光層の形成方法−
単層型感光層36の形成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、電荷発生物質、電荷輸送物質、結着樹脂、その他の成分等を分散機を用いて適当な溶媒(例えば、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジクロロエタン、シクロヘキサン等)に溶解乃至分散して得られた塗工液を、塗布乃至乾燥することにより形成する方法などが挙げられる。
前記塗工液を塗工する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、浸漬塗工法、スプレーコート、ビードコート、リングコートなどが挙げられる。また、必要に応じて、可塑剤、レベリング剤、酸化防止剤等を添加してもよい。
単層型感光層36の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、5μm〜25μmが好ましい。
(画像形成装置)
本発明の画像形成装置は、少なくとも前記電子写真感光体と、前記電子写真感光体の表面を帯電させる帯電手段と、前記電子写真感光体に静電潜像を形成する潜像形成手段と、前記静電潜像に現像剤を付着させ、可視像を形成する現像手段と、前記可視像を記録媒体に転写させる転写手段と、前記電子写真感光体の表面に付着した現像剤を除去するクリーニング手段とを備えている。さらに必要に応じて、その他の手段を有してもよい。なお、帯電手段と露光手段とを合わせて潜像形成手段と称することもある。
以下、詳細を説明する。
本発明の画像形成装置の構成例を図8に示す。図8では、電子写真感光体1の周りに、帯電手段3、露光手段5、現像手段6、転写手段10、クリーニング手段15などが図示されている。
画像形成の概要を説明すると、まず、帯電手段3により、電子写真感光体1が平均的に帯電される。次に、露光手段5により、均一に帯電された電子写真感光体1上に静電潜像が形成され、現像手段6により、電子写真感光体1上に形成された静電潜像が可視化される。そして、転送ローラ8によって移送された記録媒体9について、転写手段10により、電子写真感光体1上で可視化された可視像が記録媒体9上に転写される。なお、転写をより良好に行うために転写前チャージャ7を用いてもよい。その後、クリーニング手段15により、電子写真感光体表面に残留した現像剤がクリーニングされる。
以下、各手段の詳細を説明する。
<帯電手段>
本発明における帯電手段3としては、特に制限されるものではないが、電子写真感光体の表面を均一に帯電させるAC/DC重畳の帯電ローラからなる帯電手段が挙げられる。帯電ローラによる帯電手段3とは、電子写真感光体近傍に導電性ローラ(以下、帯電ローラと称する)を配するとともに、帯電ローラに電界を印加することによって帯電ローラと電子写真感光体間で近接放電を生じさせることにより、電子写真感光体を帯電させる方法である。
帯電ローラの概略図を図9に示す。図9には、軸部21aとローラ部21bからなる帯電ローラ21、スペーサ22、加圧バネ25、電源16が図示されている。帯電ローラ21による帯電手段は、回動可能なローラ状の導電性ローラを電子写真感光体に接触させて配置する接触帯電方式と、帯電ローラを電子写真感光体に非接触に配置する非接触帯電方式とがありる。本発明においてはいずれの方式を選定してもよく、電子写真感光体表面を均一に帯電できる手段を選択するとよい。図9は非接触帯電方式の概略図が図示されている。接触帯電方式との違いは帯電ローラ21が電子写真感光体表面に接触している(後述するスペーサ22がない)か否かだけである。
帯電ローラ21は軸部21aとローラ部21bとからなる。ローラ部21bは軸部21aの回転によって回動可能であり、電子写真感光体1の表面のうち画像が形成される画像形成領域26に対向する部分は電子写真感光体1と接触又は非接触である。帯電ローラ21は、一般にその長手方向(軸方向)の寸法が画像形成領域よりも少し長く設定されており、非画像形成領域27が設けられている。非接触帯電方式の場合には、その長手方向の両端部にスペーサ22が設けられており、非画像形成領域27と接することで、帯電ローラ21と電子写真感光体1との間に隙間24が形成されることとなる。
また、軸部21aをスプリングからなる加圧バネ25によって電子写真感光体1側に加圧され、帯電ローラ21は電子写真感光体1表面に連れ回って回転する。これにより、接触帯電方式又は非接触帯電方式のいずれにおいても電子写真感光体1と帯電ローラ21間の微小ニップ又は微小ギャップを精度よく維持することができる。
帯電ローラ21には帯電用の電源16が接続されており、電子写真感光体1の表面と帯電ローラ21の表面との間の微小な空隙(隙間24)での近接放電により、電子写真感光体1の表面を均一に帯電する。印可電圧としては直流電圧もしくは交流電圧を単独で使用してもよいが、印加電圧として直流電圧に交流電圧を重畳させた交番電圧を使用すると、微小ニップ又は微小ギャップの変動による帯電電位のばらつきなどの影響が抑制されて均一な帯電が可能となる。このため、好ましくは直流電圧と交流電圧を重畳して使用するのがよい。本発明においては直流成分である直流電圧に交流成分である交流電圧を重畳した交番電圧が好ましく用いられる。
次に、電子写真感光体への放電電荷量の計算方法について説明する。前述のように帯電ローラ21に対して直流成分である直流電圧と交流成分である交流電圧を重畳した交番電圧を印加した状態で帯電ローラ21に流れる電流(交流電流)をA〔A〕とする。このA〔A〕を帯電ローラ21の有効放電幅W〔mm〕で除した値が帯電ローラの電流密度といえる。一方、電子写真感光体の線速をS〔mm/sec〕とし、電子写真感光体の1回転あたりの帯電ローラ21から電子写真感光体への放電電荷量はA/(S×W)〔C/mm〕で計算される。一般に直流成分の放電電荷は交流成分と比較して非常に小さいため、本発明においては交流成分の電流値に基づき算出することとする。
なお、電子写真感光体1に帯電させる電荷の正負は特に制限はない。電子写真感光体1に正(負)帯電を施し、画像露光を行うと、電子写真感光体表面上には正(負)の静電潜像が形成される。これを負(正)極性のトナー(検電微粒子)で現像すれば、ポジ画像が得られるし、また正(負)極性のトナーで現像すれば、ネガ画像が得られる。
<露光手段>
露光手段5としては、帯電手段3により帯電された電子写真感光体の表面に、形成すべき像様に露光を行うことができれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、複写光学系、ロッドレンズアレイ系、レーザー光学系、液晶シャッタ光学系、LED光学系などの各種露光器が挙げられる。
前記露光器における光源としては、蛍光灯、タングステンランプ、ハロゲンランプ、水銀灯、ナトリウム灯、発光ダイオード(LED)、半導体レーザー(LD)、エレクトロルミネッセンス(EL)などの発光物全般を用いることができる。
また、所望の波長域の光のみを照射するために、シャープカットフィルター、バンドパスフィルター、近赤外カットフィルター、ダイクロイックフィルター、干渉フィルター、色温度変換フィルターなどの各種フィルターを用いることもできる。なお、本発明においては、電子写真感光体の裏面側から像様に露光を行う光背面方式を採用してもよい。
<現像手段>
現像手段6としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記トナー乃至現像剤を用いて現像することができる限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。中でも前記現像剤を収容し、前記静電潜像に該現像剤を接触又は非接触的に付与可能な現像器を少なくとも有するものが好ましい。
前記現像器としては、乾式現像方式のものであってもよいし、湿式現像方式のものであってもよく、また、単色用現像器であってもよいし、多色用現像器であってもよい。例えば、前記現像剤を摩擦攪拌させて帯電させる攪拌器と、回転可能なマグネットローラとを有するものなどが好ましい。また、乾式トナーを用いた一成分現像法、二成分現像法、湿式トナーを用いた湿式現像法などであってもよい。
前記現像器内では、例えば、前記トナーと前記キャリアとが混合攪拌され、その際の摩擦により前記トナーが帯電し、回転するマグネットローラの表面に穂立ち状態で保持され、磁気ブラシが形成される。前記マグネットローラは、電子写真感光体近傍に配置されているため、前記マグネットローラの表面に形成された前記磁気ブラシを構成する前記トナーの一部は、電気的な吸引力によって電子写真感光体の表面に移動する。その結果、前記静電潜像が前記トナーにより現像されて電子写真感光体の表面に前記トナーによる可視像が形成される。
<転写手段>
転写手段10は、前記可視像を記録媒体に転写する手段であるが、電子写真感光体表面から記録媒体に可視像を直接転写する方法と、中間転写体を用い、該中間転写体上に可視像を一次転写した後、該可視像を記録媒体9上に二次転写する方法がある。いずれの態様も良好に使用することができるが、高画質化に際して転写による悪影響が大きくなるような場合には、転写回数が少ない前者(直接転写)の方法が好ましい。前記転写は、例えば、転写帯電器を用いて電子写真感光体を帯電させ、前記可視像を記録媒体9に転写させることにより行うことができる。
また、転写手段10としては、転写チャージャ、バイアスローラー等を用いる静電転写方式;粘着転写法、圧力転写法等の機械転写方式;磁気転写方式などが利用可能である。
<クリーニング手段>
クリーニング手段15は、電子写真感光体上に残留する現像剤を除去するものである。クリーニング手段15としては、特に制限はないが、電子写真感光体表面に残留する現像剤を除去することが目的となるため、電子写真感光体に接触して配する方式が好ましく、公知のクリーナの中から適宜選択することができる。例えば、磁気ブラシクリーナ、静電ブラシクリーナ、磁気ローラクリーナ、ブレードクリーナ(クリーニングブレード)、ブラシクリーナ、ウエブクリーナ等が挙げられ、これらの中でも特にクリーニングブレードが好ましい。
クリーニング手段15としては前記の転写方式のうち、電子写真感光体から残留現像剤を除去するのに適した方式を選定すると良く、必要に応じてそれぞれ単独又は複数の方式を一緒に用いてもよい。
本発明において好適に用いられるクリーニング手段は、ゴム材料を有するブレード部材で構成され、前記ブレード部材の先端稜線部を前記電子写真感光体に当接させ前記電子写真感光体表面をクリーニングするものである。なお、ゴム材料としては特に制限されるものではなく、公知のものを用いることができる。
そして、前記ブレード部材の先端稜線部の近傍が前記ゴム材料からなり、前記ブレード部材の先端稜線部の近傍におけるマルテンス硬度が1.0N/mm以上である。以下、詳細を説明する。
図10に電子写真感光体に当接したクリーニングブレードの例を示す。図11にクリーニングブレードの一例について、エッジ部付近の拡大図を示す。図12にクリーニングブレードにおけるクリーニングの一例を示す。図10〜図12では、クリーニングブレード200について、先端稜線部を含むエッジ部201、ブレード対向面202、ブレード対向面202、ブレード先端面203が図示されている。
まず、クリーニングブレードの電子写真プロセスにおける挙動を説明する。
図11(a)はクリーニングブレード200のエッジ部201が電子写真感光体210の表面に接触していない状態を示すものである。短冊状のクリーニングブレード200は直角状のエッジ部201を間に挟んで隣接するブレード対向面202とブレード先端面203とを有している。ブレード対向面202は電子写真感光体210の表面に対向している。
図11(b)は、クリーニングブレード200のエッジ部201が電子写真感光体210の表面に接触した状態を示すものである。電子写真感光体210は矢印で示す移動方向220に移動しており、クリーニングブレード200のエッジ部201を形成するブレード先端面203は、電子写真感光体210の移動に伴って移動方向220の下流側に引き込まれる挙動を示す。この引き込み挙動により、エッジ部201が大きく変形してエッジ部201に楔形状部204が形成され、楔形状部204が電子写真感光体210の表面に接触し、電子写真感光体210の移動に伴って相対的に摺動する。このときには、ブレード対向面202は電子写真感光体210の表面に接触していないという特徴がある。
一般に用いられているクリーニングブレードは低硬度のポリウレタンゴム等からなる板状構造であり、先端稜線部の近傍におけるマルテンス硬度は0.5N/mm〜0.7N/mmと比較的低く、図11(b)に示すような形状(楔形状)となることが多い。このような状態においては、クリーニングブレード200と電子写真感光体210との接触面積が大きくなり、クリーニングブレード200が電子写真感光体210に負荷する圧力(いわゆる接触面圧)は小さくなる。
このため、図12(b)に示すように電子写真感光体210の表面に残留しているトナー300や外添剤(シリカ等)310がクリーニングブレード200から擦り抜けやすくなる。また、擦り抜ける際に電子写真感光体210の表面にトナー300や外添剤310等が押しつけられることとなるため、異物が電子写真感光体210に付着し、電子写真感光体210における表面汚染が生じてしまう。
一方、一般に用いられているクリーニングブレードよりも高マルテンス硬度のものを用いた場合には、図11(b)に示すような形状(楔形状)が小さくなる傾向を有しており、クリーニングブレード200と電子写真感光体210との接触面圧が大きくなる。このため、図12(a)に示すように電子写真感光体210の表面に残留しているトナー300を除去しやすい傾向を有するが、比較的小さな粒子(シリカ等の外添剤)に関しては、頻度は少なくなるものの擦り抜け挙動は生じ得る。この擦り抜けの際に電子写真感光体210に押しつけられることにより、異物が電子写真感光体210表面に付着することとなる。
これに対して、本発明においては、クリーニングブレード200の硬度を制御することで、楔形状部204が小さくなる傾向を有しており、クリーニングブレード200と電子写真感光体210との接触面圧が大きくすることができる。これにより、電子写真感光体210の表面に残留しているトナー300や外添剤310等を除去しやすくなる。
さらに、本発明の電子写真感光体を用いる場合には、上述したようにシリカ等の外添剤の付着力を小さくすることができ、表面汚染を抑制することができる。そして、本発明のクリーニングブレード200は、接触面圧が大きいことから極めて短時間で電子写真感光体210表面の付着物を除去することができる。そのため、本発明における電子写真感光体とクリーニングブレードとを組み合わせることで、電子写真感光体の表面を清浄に維持する機能を極めて高くすることができ好ましい。
本発明におけるクリーニングブレードの構成としては、例えば図10に示されるような単層構造が挙げられる。図10に示されるクリーニングブレード200は、短冊状のブレード部材であり、ブレードホルダの一端面に保持される。
次に、本発明におけるクリーニングブレードの他の例を図13に示す。本発明においては、図10に示されるような単層構造に限られず、図13に示されるような二層構造も含まれる。図13のクリーニングブレード200は、エッジ部201を含むエッジ層216とバックアップ層217とからなる二層構造のブレードとなっており、円心成型法によって各層を順次重ね合わせることで作製される。この場合、エッジ層216がゴム材料からなることが好ましい。
なお、本発明におけるクリーニングブレードは適用する電子写真作像システムにあわせて単層構造や積層構造を適用すればよく、特に制限されるものではない。
図13において、図10と同様に、201が先端稜線部を含むエッジ部を、202がブレード対向面を、203がエッジ部を含むブレード先端面を示している。バックアップ層217はエッジ層216と比較して耐久性の観点から低硬度とすることが好ましい。
本発明において、クリーニングブレード200の単層構造又は積層構造いずれの場合も以下の(a)又は(b)の箇所におけるマルテンス硬度が、1.0N/mm以上のものを用いるとよい。なお、以下のA1、A2、B1、B21は図10、図13における符号を示す。
(a)ブレード対向面202のうち先端稜線部の近傍であるA1又はB1
(b)ブレード先端面203のうち先端稜線部の近傍であるA2又はB21(なお、B21はブレード先端面203のうちエッジ層216からなる箇所を示す)
本発明において、マルテンス硬度が1.0N/mm以上の要件は、A1、B1、A2、B21のうちの少なくともどこか一つが満たせばよい。
本発明において、電子写真感光体210の表面維持性をさらに高める目的で、上記マルテンス硬度が1.0N/mm以上のものを用いると良く、1.5N/mm以上のものを用いると前述のメカニズムの観点からさらに好ましい。このとき、マルテンス硬度の上限値は特に制限されないが、7.0N/mmより大きい場合には低温環境におけるクリーニングブレードの欠けが発生することがあるため、7.0N/mm以下が好ましい。
マルテンス硬度の測定方法としては、公知のものを用いることができ、ダイヤモンド圧子を被測定体に押しつける際に、圧子移動量及び圧子負荷荷重を同時に測定できる装置であれば測定可能である。例えばフィッシャーインストルメンツ社から市販されているフィッシャースコープH−100、フィッシャースコープHM2000や、SHIMAZU社から市販されているダイナミック微小硬度計DUH−211などが挙げられる。
測定条件にもよるが、測定においては下層(本発明では電子写真感光体210における導電性支持体31、電荷発生層33)の影響を受けやすいため、被測定体の膜厚を十分厚くすると良い。具体的にはダイヤモンド圧子の変位量が被測定体の膜厚の1/6以下が好ましく、より好ましくは1/10以下である。
また、マルテンス硬度の値を所定の値に制御する方法は、特に制限されるものではないが、クリーニングブレードに用いられる材料を適宜変更することにより行うことができる。
<その他の手段>
前記その他の手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、定着手段、除電手段、リサイクル手段、制御手段、分離手段などが挙げられる。
−定着手段−
前記定着手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、公知の加熱加圧手段が好ましい。前記加熱加圧手段としては、加熱ローラと加圧ローラとの組み合わせ、加熱ローラと加圧ローラと無端ベルトとの組み合わせなどが挙げられ、前記加熱加圧手段における加熱としては、通常80℃〜200℃が好ましい。前記定着としては、例えば、各色のトナーに対し前記記録媒体に転写する毎に行ってもよいし、各色のトナーに対しこれを積層した状態で一度に同時に行ってもよい。
−除電手段−
電子写真感光体1上の潜像を取り除くために除電手段13を用いてもよい。
除電手段13としては、特に制限はなく、電子写真感光体に対し除電バイアスを印加することができればよく、公知の除電器の中から適宜選択することができ、例えば、除電ランプ、除電チャージャなどが好適に挙げられる。
−リサイクル手段−
電子写真感光体に付着した現像剤をリサイクルするための現像剤回収手段14をリサイクル手段として用いてもよい。
前記リサイクル手段としては、特に制限はなく、公知の搬送手段などが挙げられる。
−制御手段−
前記制御手段としては、前記各手段の動きを制御できれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シークエンサー、コンピュータ等の機器などが挙げられる。
−分離手段−
記録媒体9を電子写真感光体1より分離する手段として分離チャージャ11、分離爪12を用いてもよい。その他分離手段としては、静電吸着誘導分離、側端ベルト分離、先端グリップ搬送、曲率分離等を用いることができる。
(プロセスカートリッジ)
本発明のプロセスカートリッジは、本発明の画像形成装置に備えられるプロセスカートリッジであって、前記電子写真感光体を少なくとも有するとともに、前記帯電手段、前記潜像形成手段、前記現像手段、前記転写手段及び前記クリーニング手段よりなる群から選ばれた少なくとも一つの手段を有し、本発明の画像形成装置に着脱可能であることを特徴とする。そして、さらに必要に応じてその他の手段を有していてもよい。
本発明のプロセスカートリッジの一例を図14に示す。図14では、電子写真感光体101、帯電手段102、現像手段104、転写手段106、クリーニング手段107が図示されている。電子写真感光体101は、矢印方向に回転しながら、帯電手段102による帯電、露光手段103による露光により、その表面に露光像に対応する静電潜像が形成される。この静電潜像は、現像手段104で現像剤により現像され、可視像(トナー像)が形成され、トナー現像は転写手段106により、記録媒体105に転写され、プリントアウトされる。次いで、像転写後の電子写真感光体表面は、クリーニング手段107によりクリーニングされ、さらに除電手段(不図示)により除電されて、再び以上の操作を繰り返すものである。
(画像形成方法)
本発明の画像形成方法は、電子写真感光体の表面を帯電手段により帯電させる帯電工程と、前記電子写真感光体に静電潜像を形成する潜像形成工程と、前記静電潜像に現像剤を付着させ、可視像を形成する現像工程と、前記可視像を記録媒体に転写させる転写工程と、前記電子写真感光体の表面に付着した現像剤を除去するクリーニング工程とを有する。そして、前記電子写真感光体は、厚み方向の最表面の層に少なくともポリエステル系樹脂を含有し、前記帯電手段の交流成分の放電周波数を前記電子写真感光体の線速の7.5倍以上としたときに、前記帯電手段を用いて100μC/mmの放電電荷を前記電子写真感光体に付与する前後において、下記測定方法によって求められる前記電子写真感光体表面とシリコン製カンチレバーの探針との平均付着力変動が0nNより大きく5nN以下であることを特徴とする。
また、平均付着力変動の測定方法は以下のように行う。前記帯電手段により前記電子写真感光体が帯電される前に、前記電子写真感光体の表面にシリコン製カンチレバーの探針を接触させ、引き離したときの前記シリコン製カンチレバーのたわみ量を測定し、前記シリコン製カンチレバーのバネ定数を前記たわみ量に乗じて得られた値を付着力とし、前記電子写真感光体の複数箇所について測定した付着力の算術平均を帯電前の平均付着力とする。前記帯電手段により前記電子写真感光体が帯電された後についても同様に平均付着力を求め、帯電後の平均付着力から帯電前の平均付着力を引いた値を前記電子写真感光体表面とシリコン製カンチレバーの探針との平均付着力変動とする。
以下、本発明を実施例及び比較例を挙げて説明する。なお、本発明はここに例示される実施例に限定されるものではない。また、以下「Mv」とあるのは粘度平均分子量を意味する。
<実施例1>
φ40mmのアルミニウムシリンダー上に、下記組成の下引き層用塗工液、電荷発生層用塗工液、電荷輸送層用塗工液を順次、塗布、乾燥することにより、3.5μmの下引き層、0.2μmの電荷発生層、32μmの電荷輸送層を形成した。
〔下引き層用塗工液〕
・アルキッド樹脂 12重量部
(ベッコゾール1307−60−EL,大日本インキ化学工業社製)
・メラミン樹脂 8重量部
(スーパーベッカミン G−821−60,大日本インキ化学工業社製)
・酸化チタン(CR−EL,石原産業社製) 80重量部
・メチルエチルケトン 250重量部
〔電荷発生層用塗工液〕
・下記構造式(1)のビスアゾ顔料顔料 2.5重量部
・ポリビニルブチラール(XYHL、UCC社製) 0.5重量部
・シクロヘキサノン 200重量部
・メチルエチルケトン 80重量部
Figure 2016021038
〔電荷輸送層用塗工液〕
・下記構造式(2)の高分子電荷輸送物質(Mv62,000) 10重量部
・下記構造式(3)の電荷輸送性化合物 2重量部
・テトラヒドロフラン 58.6重量部
・1%シリコーンオイルのテトラヒドロフラン溶液 1重量部
(KF50−100CS、信越化学工業社製)
Figure 2016021038
Figure 2016021038
<実施例2>
実施例1の電荷輸送層用塗工液を下記のものに変更した以外は実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。
〔電荷輸送層用塗工液〕
・上記構造式(2)の高分子電荷輸送物質(Mv62,000) 10重量部
・上記構造式(3)の電荷輸送性化合物 4重量部
・テトラヒドロフラン 68.4重量部
・1%シリコーンオイルのテトラヒドロフラン溶液 1重量部
(KF50−100CS、信越化学工業社製)
<実施例3>
実施例1の電荷輸送層用塗工液を下記のものに変更した以外は実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。
〔電荷輸送層用塗工液〕
・上記構造式(2)の高分子電荷輸送物質(Mv62,000) 10重量部
・上記構造式(3)の電荷輸送性化合物 6重量部
・テトラヒドロフラン 78.1重量部
・1%シリコーンオイルのテトラヒドロフラン溶液 1重量部
(KF50−100CS、信越化学工業社製)
<実施例4〜6>
実施例1〜3の電荷輸送層用塗工液に使用している上記構造式(2)の高分子電荷輸送物質の粘度平均分子量Mvを81000にした以外は実施例1〜3と同様にして電子写真感光体を作製した。
<実施例7〜9>
実施例1〜3の電荷輸送層用塗工液に使用している上記構造式(2)の高分子電荷輸送物質を下記構造式(4)の高分子電荷輸送物質に変更し、粘度平均分子量Mvを65500にした以外は実施例1〜3と同様にして電子写真感光体を作製した。
Figure 2016021038
<実施例10〜12>
実施例1〜3の電荷輸送層用塗工液に使用している上記構造式(2)の高分子電荷輸送物質を粘度平均分子量Mvが50,000のビスフェノールZポリカーボネートに変更した以外は実施例1〜3と同様にして電子写真感光体を作製した。
<実施例13〜15>
実施例1〜3の電荷輸送層用塗工液に使用している上記構造式(2)の高分子電荷輸送物質を粘度平均分子量Mvが53,000の下記構造式(5)に表されるポリアリレートに変更した以外は実施例1〜3と同様にして電子写真感光体を作製した。
Figure 2016021038
<実施例16>
φ40mmのアルミニウムシリンダー上に、下記組成の下引き層用塗工液、電荷発生層用塗工液、電荷輸送層用塗工液を順次、塗布、乾燥することにより、3.5μmの下引き層、0.2μmの電荷発生層、32μmの電荷輸送層を形成した。
〔下引き層用塗工液〕
・アルキッド樹脂 12重量部
(ベッコゾール1307−60−EL,大日本インキ化学工業社製)
・メラミン樹脂 8重量部
(スーパーベッカミン G−821−60,大日本インキ化学工業社製)
・酸化チタン(CR−EL,石原産業社製) 80重量部
・メチルエチルケトン 250重量部
〔電荷発生層用塗工液〕
・上記構造式(1)のビスアゾ顔料顔料 2.5重量部
・ポリビニルブチラール(XYHL、UCC社製) 0.5重量部
・シクロヘキサノン 200重量部
・メチルエチルケトン 80重量部
〔電荷輸送層用塗工液〕
・ビスフェノールZポリカーボネート 10重量部
(パンライトTS−2050、帝人化成社製)
・上記構造式(3)の電荷輸送性化合物 7重量部
・テトラヒドロフラン 83重量部
・1%シリコーンオイルのテトラヒドロフラン溶液 1重量部
(KF50−100CS、信越化学工業社製)
次いで、下記組成の表面層塗工液を導電性支持体31/下引き層32/電荷発生層33/電荷輸送層34からなる積層体上にスプレー塗工法を用いて塗布し、その後150℃20分間の乾燥工程を実施することによって厚み5μmの表面層35を形成した。これによって、導電性支持体31/下引き層32/電荷発生層33/電荷輸送層34/表面層35からなる電子写真感光体を得た。
〔表面層用塗工液〕
・上記構造式(2)の高分子電荷輸送物質(Mv62,000) 5.8重量部
・上記構造式(3)の電荷輸送性化合物 1.2重量部
・アルミナ微粒子(AA03、住友化学社製) 3重量部
・テトラヒドロフラン 170重量部
・シクロヘキサノン 50重量部
<実施例17>
実施例16の表面層塗工液を下記のものに変更した以外は実施例16と同様にして電子写真感光体を作製した。
〔表面層用塗工液〕
・上記構造式(2)の高分子電荷輸送物質(Mv62,000) 5重量部
・上記構造式(3)の電荷輸送性化合物 2重量部
・アルミナ微粒子(AA03、住友化学社製) 3重量部
・テトラヒドロフラン 170重量部
・シクロヘキサノン 50重量部
<実施例18>
実施例16の表面層塗工液を下記のものに変更した以外は実施例16と同様にして電子写真感光体を作製した。
〔表面層用塗工液〕
・上記構造式(2)の高分子電荷輸送物質(Mv62,000) 4.4重量部
・上記構造式(3)の電荷輸送性化合物 2.6重量部
・アルミナ微粒子(AA03、住友化学社製) 3重量部
・テトラヒドロフラン 170重量部
・シクロヘキサノン 50重量部
<実施例19〜21>
実施例16〜18の表面層塗工液に使用している上記構造式(2)の高分子電荷輸送物質を粘度平均分子量Mvが50,000のビスフェノールZポリカーボネートに変更した以外は実施例16〜18と同様にして電子写真感光体を作製した。
<比較例1>
実施例1の電荷輸送層用塗工液を下記のものに変更した以外は実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。
〔電荷輸送層用塗工液〕
・上記構造式(2)の高分子電荷輸送物質(Mv62,000) 10重量部
・上記構造式(3)の電荷輸送性化合物 8重量部
・テトラヒドロフラン 87.9重量部
・1%シリコーンオイルのテトラヒドロフラン溶液 1重量部
(KF50−100CS、信越化学工業社製)
<比較例2>
実施例7の電荷輸送層用塗工液を下記のものに変更した以外は実施例7と同様にして電子写真感光体を作製した。
〔電荷輸送層用塗工液〕
・上記構造式(4)の高分子電荷輸送物質(Mv65,500) 10重量部
・上記構造式(3)の電荷輸送性化合物 8重量部
・テトラヒドロフラン 87.9重量部
・1%シリコーンオイルのテトラヒドロフラン溶液 1重量部
(KF50−100CS、信越化学工業社製)
<比較例3>
実施例10の電荷輸送層用塗工液を下記のものに変更した以外は実施例10と同様にして電子写真感光体を作製した。
〔電荷輸送層用塗工液〕
・ビスフェノールZポリカーボネート(Mv50,000) 10重量部
・上記構造式(3)の電荷輸送性化合物 8重量部
・テトラヒドロフラン 87.9重量部
・1%シリコーンオイルのテトラヒドロフラン溶液 1重量部
(KF50−100CS、信越化学工業社製)
<比較例4>
実施例13の電荷輸送層用塗工液を下記のものに変更した以外は実施例13と同様にして電子写真感光体を作製した。
〔電荷輸送層用塗工液〕
・上記構造式(5)のポリアリレート(Mv53,000) 10重量部
・上記構造式(3)の電荷輸送性化合物 8重量部
・テトラヒドロフラン 87.9重量部
・1%シリコーンオイルのテトラヒドロフラン溶液 1重量部
(KF50−100CS、信越化学工業社製)
<比較例5>
実施例16の表面層塗工液を下記のものに変更した以外は実施例16と同様にして電子写真感光体を作製した。
〔表面層用塗工液〕
・上記構造式(2)の高分子電荷輸送物質(Mv62,000) 3.9重量部
・上記構造式(3)の電荷輸送性化合物 3.1重量部
・アルミナ微粒子(AA03、住友化学社製) 3重量部
・テトラヒドロフラン 170重量部
・シクロヘキサノン 50重量部
<比較例6>
実施例16の表面層塗工液を下記のものに変更した以外は実施例16と同様にして電子写真感光体を作製した。
〔表面層用塗工液〕
・ビスフェノールZポリカーボネート(Mv50,000) 3.9重量部
・上記構造式(3)の電荷輸送性化合物 3.1重量部
・アルミナ微粒子(AA03、住友化学社製) 3重量部
・テトラヒドロフラン 170重量部
・シクロヘキサノン 50重量部
<比較例7〜9>
実施例1〜3の電荷輸送層用塗工液に使用している上記構造式(2)の高分子電荷輸送物質を粘度平均分子量Mv=40,000のビスフェノールZポリカーボネートに変更した以外は実施例1〜3と同様にして電子写真感光体を作製した。
<比較例10>
比較例3の電荷輸送層用塗工液に使用しているビスフェノールZポリカーボネートの粘度平均分子量をMv=40,000のビスフェノールZポリカーボネートに変更した以外は比較例3と同様にして電子写真感光体を作製した。
<比較例11〜13>
実施例1〜3の電荷輸送層用塗工液に使用している上記構造式(2)の高分子電荷輸送物質の粘度平均分子量Mvを42,500にした以外は実施例1〜3と同様にして電子写真感光体を作製した。
<比較例14>
比較例1の電荷輸送層用塗工液に使用している上記構造式(2)の高分子電荷輸送物質の粘度平均分子量Mvを42,500にした以外は比較例1と同様にして電子写真感光体を作製した。
<比較例15〜17>
実施例16〜18の電荷輸送層用塗工液に使用している上記構造式(2)の高分子電荷輸送物質の粘度平均分子量Mvを42,500にした以外は実施例16〜18と同様にして電子写真感光体を作製した。
<比較例18>
比較例5の表面層塗工液に使用している上記構造式(2)の高分子電荷輸送物質の粘度平均分子量Mvを42,500にした以外は比較例5と同様にして電子写真感光体を作製した。
<比較例19〜21>
実施例19〜21の表面層塗工液に使用しているビスフェノールZポリカーボネートの粘度平均分子量をMvが40,000のビスフェノールZポリカーボネートに変更した以外は実施例16〜18と同様にして電子写真感光体を作製した。
<比較例22>
比較例5の電荷輸送層用塗工液に使用しているビスフェノールZポリカーボネートの粘度平均分子量をMvが40,000のビスフェノールZポリカーボネートに変更した以外は比較例5と同様にして電子写真感光体を作製した。
実施例及び比較例の処方を表1に示す。
Figure 2016021038
(評価)
上記実施例1〜21及び比較例1〜22で作製した電子写真感光体について、下記試験を実施した。
<<機内電位の測定>>
リコー社製ImagioMPC5000のプロセスカートリッジユニットを、現像部に表面電位計を取付け、画像形成装置内における電子写真感光体の表面電位が測定できるように改造したものに変更し、当該プロセスカートリッジユニットに実施例1〜21及び比較例1〜22で得た電子写真感光体を取り付けた。0%チャート(暗部電位)における表面電位を−650Vとなるように帯電条件を設定し、100%チャート(露光部電位)の測定を行った。得られた結果を表2に示す。
Figure 2016021038
実施例1、4、7、10、11、13、14、19は電子写真感光体の電荷輸送層34の電荷輸送材料含有比率が低くなっているため、露光部電位が他の実施例で得られた電子写真感光体と比較して高くなる傾向が見られたが、実使用上の問題はなく、良好な画像が得られた。また、前記実施例以外の実施例の電子写真感光体を用いた場合は露光部電位が十分低い状態であり、同様に良好な画像が得られた。
<<電子写真感光体表面とカンチレバー探針間の付着力測定及び画像出力後の電子写真感光体の表面異物付着・画像評価>>
リコー社製ImagioMPC5000のプロセスカートリッジユニットから潤滑剤塗布機構(金属石けん及び塗布ブラシ・塗布ブレード)を取り除いたものを準備し、当該プロセスカートリッジユニットに実施例1〜21及び比較例1〜22で得た電子写真感光体を取り付けた。これについて下記の付着力測定条件により、電子写真感光体の表面とカンチレバー探針間の平均付着力を測定した。
−平均付着力の測定条件−
平均付着力の測定において、カンチレバーとしては、日立ハイテクサイエンス社製SN−FF01(バネ定数0.38のもの)を用い、測定周波数を1Hzとした。電子写真感光体の表面について、10μm×10μmの領域を設定し、当該領域を電子写真感光体の回転方向に8箇所、軸方向に8箇所、計64箇所設け、測定点とした。それぞれの測定点について付着力の測定を行い、これと同様の測定を合計で5箇所の領域について行い、合計約340回の測定を実施した。得られた測定値の算術平均を求めることにより、電子写真感光体表面とカンチレバー探針との間の平均付着力を求めた。
次に、画像出力時の電子写真感光体線速を200mm/secで設定し、帯電における交流成分周波数1500Hzとして、図9に示される帯電手段により、電子写真感光体の表面を帯電させた。この帯電手段により、100μC/mmの放電電荷を電子写真感光体に付与し、帯電処理を行った。
次に、100μC/mmの放電電荷を付与する枚数の5%濃度画像(約2800枚)を出力した。本評価に用いたクリーニングブレードは、図10に示す単層構造のものであり、材質はウレタンゴムのものを用いた。マルテンス硬度の測定は、クリーニングブレードのA1の箇所を測定し、測定したマルテンス硬度は0.60N/mmであった。ここで、マルテンス硬度の測定はフィッシャーインストルメンツ社製フィッシャースコープHM−2000を用いて行った。測定条件を以下に示す。
<弾性仕事率測定条件>
・測定装置 : フィッシャースコープ社製HM2000
・測定環境 : 23℃50%Rh
・測定モード : dF/dt=const
・最大荷重 : 1N
・負荷/除荷時間 : 各10sec
・クリープ時間 : 5sec
ここで得られた画像出力後の電子写真感光体を用いて100%チャートを出力し、画像品質を評価した。画像品質の評価では、電子写真感光体表面を顕微鏡で観察し、電子写真感光体表面の付着物の有無を評価することにより、白抜け画像の有無の評価を行った。画像品質の評価は下記の基準による画像ランクを求めた。
−画像品質の評価基準−
画像ランク5:異常なし
画像ランク4:わずかに白抜け画像あり
画像ランク3:部分的に白抜け画像あり
画像ランク2:全面に白抜け画像あり
画像ランク1:全面に筋状の画像異常あり
また、電子写真感光体を帯電させる前と同様の条件で、画像を出力した後の電子写真感光体とカンチレバーとの平均付着力を測定した。帯電後の平均付着力から帯電前の平均付着力を引いた値を求め、電子写真感光体表面とカンチレバーとの平均付着力変動を求めた。
得られた評価結果を表3に示す。
Figure 2016021038
実施例1〜21のいずれも通紙前後で出力画像に異常は見られず、良好な画像品質を維持することがわかる。また、電子写真感光体最表面とシリコン製カンチレバー探針間の付着力にも大きな変動は見られない。また、画像出力後の電子写真感光体表面を顕微鏡で観察した結果、電子写真感光体表面に異物付着は見られなかった。このことから、実施例1〜21の構成を有する電子写真感光体は極めて高い表面維持性を有することがわかる。また、実施例4〜6については比較的分子量の高い高分子電荷輸送物質からなる結着材料を用いているが、付着力の増加が非常に小さくなっており、画像出力によっても表面性が維持されていることがわかる。
一方で、比較例で得られた電子写真感光体は通紙前後で出力画像品質の低下が見られている。特に低分子電荷輸送物質を多く含む場合の比較例1〜6と比較して結着材料の分子量を低下させた場合の比較例7〜22については大きな画像品質低下が生じやすいことがわかる。また、比較例で得られた電子写真感光体表面とシリコン製カンチレバー間との付着力変動は画像品質低下が大きいものほど大きくなる傾向を有しており、比較例で得られた電子写真感光体は実施例で得られた電子写真感光体よりも表面維持性が劣っていることがわかる。
次に、実施例1〜15の電子写真感光体を用い、クリーニングブレードのマルテンス硬度を0.60N/mm(ブレード1)、1.06N/mm(ブレード2)、1.97N/mm(ブレード3)の3種類のものを用い、出力枚数を変更した以外は前記方法と同様にして5%濃度画像を総出力枚数で15000枚出力し、出力後に100%チャートを出力し、画像品質を評価した。あわせて、ランニングに使用した電子写真感光体表面を顕微鏡(200倍)を用いて観察し、表面の異物付着程度を評価した。画像品質の評価基準及び電子写真感光体表面の付着程度の評価基準を以下に示す。
なお、ここでのマルテンス硬度についても上記と同様に、図10に示す単層構造のクリーニングブレードにおけるA1の箇所を測定した。
−画像品質の評価基準−
画像ランク5:異常なし
画像ランク4:わずかに白抜け画像あり
画像ランク3:部分的に白抜け画像あり
画像ランク2:全面に白抜け画像あり
画像ランク1:全面に筋状の画像異常あり
−異物付着の評価基準−
付着ランク5:異物付着なし
付着ランク4:わずかに異物付着
付着ランク3:小面積の異物付着部あり
付着ランク2:大面積の異物付着あり
付着ランク1:全面に異物付着あり
得られた評価結果を表4に示す。
Figure 2016021038
先の実験結果と同様に、実施例1〜15の電子写真感光体はいずれもランニング後においても良好な画像品質を維持していることがわかる。ただし、電子写真感光体最表面とシリコン製カンチレバー探針間の平均付着力変動が比較的大きな実施例9、12、15の電子写真感光体において、ブレード1では若干画像ランクの低下が見られる(表4において評価結果「4」)。しかし、上記表3で画像ランクが「4」である比較例1、2、15と比較して良好な画像品質が得られており、実使用上の問題はないといえる。
また、電子写真感光体の表面を顕微鏡で観察し、異物付着ランクを評価した結果、クリーニングブレードのマルテンス硬度が比較的低い場合(0.60N/mm、ブレード1)には、電子写真感光体表面にトナー成分に由来すると考えられる異物の付着が見られた。
画像品質の評価や異物付着の評価でランクが下がったものは、いずれも平均付着力変動が比較的大きい電子写真感光体での現象であることから、本発明における物理パラメータの妥当性が明らかになったものと考えられる。一方で、クリーニングブレードのマルテンス硬度が高いブレード2及びブレード3を用いた場合には、電子写真感光体表面に異物付着が見られず、極めて清浄な電子写真感光体表面を維持している。これにより、マルテンス硬度が高いクリーニングブレードとの組み合わせによって、さらに電子写真感光体の表面汚染がなく清浄な状態を維持できることが明らかとなった。
以上の結果から、本発明の電子写真感光体は優れた電荷輸送性ならびに表面維持性を有し、長期にわたるランニングを実施した場合であっても極めて高い画像品質を維持し、欠陥の少ない画像を出力可能な電子写真感光体であることが判明した。
1、210 電子写真感光体
3 帯電手段
5 露光手段
6 現像手段
7 転写前チャージャ
8 転送ローラ
10 転写手段
11 分離チャージャ
12 分離爪
13 除電手段
14 現像剤回収手段
15 クリーニングブレード
16 電源
21 帯電ローラ
21a 軸部
21b ローラ部
22 スペーサ
24 隙間
25 加圧バネ
26 画像形成領域
27 非画像形成領域
31 導電性支持体
32 下引き層
33 電荷発生層
34 電荷輸送層
35 表面層
36 単層型感光層
37 中間層
40 カンチレバー
41 探針
42 たわみ量
200 クリーニングブレード
201 エッジ部
202 ブレード対向面
203 ブレード先端面
204 楔形状部
220 移動方向
300 トナー
310 外添剤
特開平5−181299号公報 特開2002−6526号公報 特開2002−82465号公報 特開2000−284514号公報 特開2001−194813号公報 特開2013−109297号公報 特開2012−108487号公報 特開2012−247749号公報 特開2013−142734号公報 特開2014−026149号公報 特開2002−196516号公報 特許第3927930号公報 特開2010−151894号公報 特開2011−053689号公報 特開2011−186308号公報
KONICA Technology Report Vol.13 (2000) Journal of Imaging Science 32:205−210(1988)

Claims (7)

  1. 少なくとも電子写真感光体と、
    該電子写真感光体の表面を帯電させる帯電手段と、
    前記電子写真感光体に静電潜像を形成する潜像形成手段と、
    前記静電潜像に現像剤を付着させ、可視像を形成する現像手段と、
    前記可視像を記録媒体に転写させる転写手段と、
    前記電子写真感光体の表面に付着した現像剤を除去するクリーニング手段とを備え、
    前記電子写真感光体は、厚み方向の最表面の層に少なくともポリエステル系樹脂を含有し、
    前記帯電手段の交流成分の放電周波数を前記電子写真感光体の線速の7.5倍以上としたときに、前記帯電手段を用いて100μC/mmの放電電荷を前記電子写真感光体に付与する前後において、前記電子写真感光体表面とシリコン製カンチレバーの探針との平均付着力変動が0nNより大きく5nN以下であることを特徴とする画像形成装置。
  2. 前記厚み方向の最表面の層には、さらにドナーが含有されていてもよく、
    前記ポリエステル系樹脂に対するドナー含有比率が前記ポリエステル系樹脂100重量部に対して60重量部以下であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
  3. 前記ポリエステル系樹脂の粘度平均分子量(Mv)が50,000以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
  4. 前記ポリエステル系樹脂が、ポリカーボネート樹脂又はポリアリレート樹脂であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の画像形成装置。
  5. 前記クリーニング手段がゴム材料を有するブレード部材で構成され、前記ブレード部材の先端稜線部を前記電子写真感光体に当接させ前記電子写真感光体表面をクリーニングするものであり、
    前記ブレード部材の先端稜線部の近傍が前記ゴム材料からなり、
    前記ブレード部材の先端稜線部の近傍におけるマルテンス硬度が1.0N/mm以上であることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の画像形成装置。
  6. 請求項1から5のいずれかに記載の画像形成装置に備えられるプロセスカートリッジであって、
    前記電子写真感光体を少なくとも有するとともに、前記帯電手段、前記潜像形成手段、前記現像手段、前記転写手段及び前記クリーニング手段よりなる群から選ばれた少なくとも一つの手段を有し、
    前記画像形成装置に着脱可能であることを特徴とするプロセスカートリッジ。
  7. 電子写真感光体の表面を帯電手段により帯電させる帯電工程と、
    前記電子写真感光体に静電潜像を形成する潜像形成工程と、
    前記静電潜像に現像剤を付着させ、可視像を形成する現像工程と、
    前記可視像を記録媒体に転写させる転写工程と、
    前記電子写真感光体の表面に付着した現像剤を除去するクリーニング工程とを有する画像形成方法であって、
    前記電子写真感光体は、厚み方向の最表面の層に少なくともポリエステル系樹脂を含有し、
    前記帯電手段の交流成分の放電周波数を前記電子写真感光体の線速の7.5倍以上としたときに、前記帯電手段を用いて100μC/mmの放電電荷を前記電子写真感光体に付与する前後において、前記電子写真感光体表面とシリコン製カンチレバーの探針との平均付着力変動が0nNより大きく5nN以下であることを特徴とする画像形成方法。
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