本発明の画像形成装置は、像担持体と、像担持体の表面を帯電する帯電手段と、帯電手段により帯電された像担持体に、画像情報に応じた露光により静電潜像を像担持体に形成する露光手段と、像担持体上の静電潜像をトナー像に形成する現像手段と、トナー像を中間転写ベルトに一次転写した後、これを記録媒体に二次転写する転写手段と、を有する中間転写方式の画像形成装置である。
本発明の画像形成装置としては、中間転写体方式の画像形成装置であれば、特に限定されるものではなく、例えば、現像装置内に単色のトナーのみを収容する通常のモノカラー画像形成装置や、像担持体上に担持されたトナー像を中間転写体に順次一次転写を繰り返すカラー画像形成装置、各色毎の現像器を備えた複数の像担持体を中間転写体上に直列に配置したタンデム型カラー画像形成装置が挙げられる。
また、本発明の画像形成装置には、像担持体、像担持体表面を均一に帯電する帯電手段、像担持体表面を露光し静電潜像を形成する露光手段、像担持体表面に形成された潜像を、現像剤を用いて現像し、トナー像を形成する現像手段、被転写材上のトナー像を定着する定着する手段、像担持体に付着したトナーやゴミ等を除去するクリーニング手段、像担持体表面に残留している静電潜像を除去する除電手段、など必要に応じて公知の方法で任意に備えることができる。
また、本発明の画像形成装置は、高速印刷可能な装置に関するものであり、装置内でトナー像を像担持体、中間転写ベルト、記録媒体へと転写し、印刷を行うため、各々の搬送速度が印刷の速度を決めている。高速機として部材の用紙の搬送速度(以下、プロセススピードともいう)が200mm/sec以上であることが好適である。
このようなタンデム型のカラー画像形成装置の具体例について図面を用いて以下に説明する。
図1は本発明の画像形成装置の一例を示す概略模試図である。図1に示す画像形成装置は、4つのトナーカートリッジ1、1対の定着ロール2、バックアップロール3、テンションロール4、2次転写ロール(2次転写手段)5、用紙経路6、用紙トレイ7、レーザー発生装置8、4つの感光体(像担持体)9、4つの1次転写ロール(1次転写手段)10、駆動ロール11、転写クリーナー12、4つの帯電ロール13、感光体クリーナー14、現像器15、中間転写ベルト16等を主用な構成部材として含んでなる。なお、図1に示す画像形成装置において、本発明の中間転写ベルトはトナー像の重ね合わせ手段及びトナー像の転写手段として機能する中間転写ベルト16として用いられる。
次に、図1に示す画像形成装置の構成について順次説明する。まず、感光体9の周囲には、反時計回りに帯電ロール13、現像器15、中間転写ベルト16を介して配置された1次転写ロール10、感光体クリーナー14が配置され、これら1組の部材が、1つの色に対応した現像ユニットを形成している。また、この現像ユニット毎に、現像器15に現像剤を補充するトナーカートリッジ1がそれぞれ設けられており、各現像ユニットの感光体9に対して、帯電ロール13と現像器15との間の感光体9表面に画像情報に応じたレーザー光を照射することができるレーザー発生装置8が設けられている。
4つの色(例えば、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック)に対応した4つの現像ユニットは、画像形成装置内においてほぼ水平方向に直列に配置されており、4つの現像ユニットの感光体9と1次転写ロール10とのニップ部を挿通するように中間転写ベルト16が設けられている。中間転写ベルト16は、その内周側に以下の順序で反時計回りに設けられた、バックアップロール3、テンションロール4、及び駆動ロール11により張架されている。なお、4つの1次転写ロールはバックアップロール3とテンションロール4との間に位置する。また、中間転写ベルト16を介して駆動ロール11の反対側には中間転写ベルト16の外周面をクリーニングする転写クリーナー12が駆動ロール11に対して圧接するように設けられている。
また、中間転写ベルト16を介してバックアップロール3の反対側には用紙トレイ7から用紙経路6を経由して搬送される記録用紙の表面に、中間転写ベルト16の外周面に形成されたトナー像を転写するための2次転写ロール5が、バックアップロール3に対して圧接するように設けられている。バックアップロール3と駆動ロール11との間の中間転写ベルト16の外周面には、この外周面を除電するための除電ロール(不図示)が設けられている。
また、画像形成装置の底部には記録用紙をストックする用紙トレイ7が設けられ、用紙トレイ7から用紙経路6を経由して2次転写部を構成するバックアップロール3と2次転写ロール5との圧接部を通過するように供給することができる。この圧接部を通過した記録用紙はさらに1対の定着ロール2の圧接部を挿通するように不図示の搬送手段により搬送可能であり、最終的に画像形成装置外へと排出することができる。
次に、図1の画像形成装置を用いた画像形成方法について説明する。トナー像の形成は各現像ユニット毎に行なわれ、帯電ロール13により反時計方向に回転する感光体9表面を一様に帯電した後に、レーザー発生装置8(露光装置)により帯電された感光体9表面に潜像を形成し、次に、この潜像を現像器15から供給される現像剤により現像してトナー像を形成し、1次転写ロール10と感光体9との圧接部に運ばれたトナー像を矢印A方向に回転する中間転写ベルト16の外周面に転写する。なお、トナー像を転写した後の感光体9は、その表面がに付着したトナーやゴミ等が感光体クリーナー14によりクリーニングされ、次のトナー像の形成に備える。
各色の現像ユニット毎に現像されたトナー像は、画像情報に対応するように中間転写ベルト16の外周面上に順次重ね合わされた状態で、2次転写部に運ばれ2次転写ロール5により、用紙トレイ7から用紙経路6を経由して搬送されてきた記録用紙表面に転写される。トナー像が転写された記録用紙は、更に定着部を構成する1対の定着ロール2の圧接部を通過する際に加圧加熱されることにより定着され、記録媒体表面に画像が形成された後、画像形成装置外へと排出される。
2次転写部を通過した中間転写ベルトは、矢印A方向に更に進み除電ロール(不図示)により外周面が除電された後、さらに、転写クリーナー12により外周面がクリーニングされた後に次のトナー像の転写に備える。
そして、以上説明した画像形成装置において、本発明では、感光体9(像担持体)が所定の表面電荷密度を有し、且つ中間転写ベルト16が所定の表面抵抗率を有している。以下、詳細に説明する。なお、以下、符号を省略して説明する。
まず、像担持体(感光体)について説明する。像担持体は、例えば、導電性支持体上に、下引き層、感光層(電荷発生層、電荷輸送層)が順次設けられた構成である。感光層は単層構造であってもよいし、機能分離型の積層構造であってもよい。また、像担持体としては、従来公知のものを用いることができ、ベルト状の像担持体を用いることも可能である。
そして、像担持体は、帯電した時の表面電荷密度が8×10-4C/m2以上であることが必要である。この表面電荷密度は、好ましくは10×10-4C/m2以上であり、より好ましくは、25×10-4C/m2以上であり、上限は40×10-4C/m2以下であることがよい。この表面電荷密度が8×10-4C/m2未満では、一次転写で発生する中間転写ベルトからの放電により感光体電荷が消失し、消失した部分が放電マークとして画質欠陥となる。
この表面電荷密度は、感光体の誘電率、感光体の膜厚、帯電電位により決定される。このため、例えば、表面電荷密度を高くするのは、高い比誘電率を持つ材料(例えば、結着樹脂)、高い帯電設定電位、膜厚(例えば、電荷輸送層の膜厚)を薄くすることがよく、これらのひとつ又は組合せで、表面電荷密度を調整することができる。
また、表面電荷密度σは、像担持体の比誘電率をεr、真空の誘電率をε0、像担持体の帯電電位をV0、像担持体の膜厚をdとした時、以下の式により与えられる。なお、これらの条件値は常温常湿(22℃、55%RH)での値である。
式:σ=εrε0V0/d
ここで、像担持体の比誘電率は、一般のLCRメータで測定することができる。具体的には、像担持体表面に直径10mmの円形金電極を蒸着し、日本ヒューレーット・パッカード株式会社製HP4274Aで測定する事が出来る。又は、感光体の帯電特性から求めることもできる。具体的には、帯電初期電圧をV0、像担持体の体積抵抗率をρ、像担持体の比誘電率をεr、真空の誘電率をε0(8.85×10-12 F/m)、時間をtとした時、時間tの時の帯電電位Vは以下の式より与えられる。そして、帯電の電圧印加中の電流値(漏れ電流)と電圧の関係からρを求め、Vの時間(t)変化を調べることで、εrε0を求めることができる。
一方、像担持体の膜厚は、一般の渦電流式膜厚計を使用して測定することができる。具体的には、例えば、FISCHER社製フィッシャースコープ MMSを使用する。
なお、通常の像担持体では、下引き層は導電層であり、また、電荷発生層の膜厚が薄く無視できるため、像担持体の比誘電率は電荷輸送層の構成材料(例えば結着樹脂、高分子電荷輸送材料など)の文献値を代用し、像担持体の膜厚は電荷輸送層の膜厚を代用することもできる。
次に、像担持体の各構成について詳細に説明する。まず、導電性支持体としては、アルミニウム、銅、鉄、ステンレス、亜鉛、ニッケルなどの金属ドラム、及びシート、紙、プラスチック又はガラス上にアルミニウム、銅、金、銀、白金、パラジウム、チタン、ニッケルークロム、ステンレス鋼、銅ーインジウム等の金属を蒸着するか、酸化インジウム、酸化錫などの導電性金属化合物を蒸着するか、金属箔をラミネートするか、又はカーボンブラック、酸化インジウム、酸化錫ー酸化アンチモン粉、金属粉、沃化銅等を結着樹脂に分散し、塗布することによって導電処理したドラム状、シート状、プレート状の物など公知の材料を用いることができる。
金属パイプ基材を用いる場合、表面は素管のままであっても、事前に鏡面切削、エッチング、陽極酸化、粗切削、センタレス研削、サンドブラスト、ウエットホーニングなどの処理が行われていても構わない。
導電性支持体としては、結着樹脂中にカーボンブラック粒子や金属微粉末、金属酸化物微粒子などの導電性微粒子を分散し、遠心成型や押し出し成型機などによりパイプ状に形成した導電性プラスチック基材も用いることができる。
導電性支持体としては、アルミニウムがドラム状、シート状、プレート状等、適宜の形状のものとして使用されるが、これらに限定されるものではない。また、注入阻止、接着性改善、干渉縞防止などの目的で陽極酸化処理や、ベーマイト処理、ホーニング処理などを行ってもよい。
また、所望により基材と感光層の間に下引き層(中間層)を形成することもできる。用いられる材料としてはジルコニウムキレート化合物、ジルコニウムアルコキシド化合物、ジルコニウムカップリング剤などの有機ジルコニウム化合物、チタンキレート化合物、チタンアルコキシド化合物、チタネートカップリング剤などの有機チタン化合物、アルミニウムキレート化合物、アルミニウムカップリング剤などの有機アルミニウム化合物のほか、アンチモンアルコキシド化合物、ゲルマニウムアルコキシド化合物、インジウムアルコキシド化合物、インジウムキレート化合物、マンガンアルコキシド化合物、マンガンキレート化合物、スズアルコキシド化合物、スズキレート化合物、アルミニウムシリコンアルコキシド化合物、アルミニウムチタンアルコキシド化合物、アルミニウムジルコニウムアルコキシド化合物、などの有機金属化合物、とくに有機ジルコニウム化合物、有機チタニル化合物、有機アルミニウム化合物は残留電位が低く良好な電子写真特性を示すため、好ましく使用される。また、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス−2−メトキシエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−2−アミノエチルアミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプロプロピルトリメトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、β−3,4−エポキシシクロヘキシルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤を含有させて使用することができる。さらに、従来より下引き層に用いられるポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリ−N−ビニルイミダゾール、ポリエチレノキシド、エチルセルロース、メチルセルロース、エチレン−アクリル酸共重合体、ポリアミド、ポリイミド、カゼイン、ゼラチン、ポリエチレン、ポリエステル、フェノール樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、エポキシ樹脂、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピリジン、ポリウレタン、ポリグルタミン酸、ポリアクリル酸等の公知の結着樹脂を用いることもできる。これらの混合割合は、必要に応じて適宜設定することができる。また、下引き層中には電子輸送性顔料を混合/分散して使用することもできる。
下引き層の厚みは一般的には、0.1〜30μm、好ましくは0.2〜25μmが適当である。また、下引き層を設けるときに用いる塗布方法としては、ブレードコーティング法、マイヤーバーコーティング法、スプレーコーティング法、浸漬コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等の通常の方法を用いることができる。塗布したものを乾燥させて下引き層を得るが、通常、乾燥は溶剤を蒸発させ、製膜可能な温度で行われる。特に、酸性溶液処理、ベーマイト処理を行った基材は、基材の欠陥隠蔽力が不十分となり易いため、中間層を形成することが好ましい。
次に電荷発生層について説明する。電荷発生材料は、ビスアゾ、トリスアゾなどのアゾ顔料、ジブロモアントアントロンなどの縮環芳香族顔料、ペリレン顔料、ピロロピロール顔料、フラトシアニン顔料等既知のもの全て使用することができるが、とくに金属及び無金属フタロシアニン顔料が好ましい。その中でも、特開平5ー263007及び、特開平5ー279591に開示されたヒドロキシガリウムフタロシアニン、特開平5ー98181に開示されたクロロガリウムフタロシアニン、特開平5ー140472及び、特開平5ー140473に開示されたジクロロスズフタロシアニン、特開平4−189873及び、特開平5ー43813開示されたチタニルフタロシアニンが特に好ましい。
電荷発生層に用いる結着樹脂は、広範な絶縁性樹脂から選択でき、好ましい樹脂としては、ポリビニルブチラール樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、フェノキシ樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリビニルピリジン樹脂、セルロース樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂等の絶縁性樹脂をあげることができるが、これらに限定されるものではない。また、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリビニルアントラセン、ポリビニルピレン、ポリシランなどの有機光導電性ポリマーから選択することもできる。これらの結着樹脂は単独あるいは2種以上混合して用いることができる。
電荷発生材料と結着樹脂の配合比は(質量比)は10:1〜1:10の範囲が好ましい。またこれらを分散させる方法としては、ボールミル分散法、アトライター分散法、サンドミル分散法等の通常の方法を用いることができるが、この時、分散によって電荷発生材料の結晶型が変化しない条件が必要とされる。分散の際、粒子を0.5μm以下、好ましくは0.3μm以下、さらに好ましくは0.15μm以下の粒子径にすることが有効である。
これらの分散に用いる溶剤としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸n−ブチル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、クロロベンゼン、トルエン等の通常の有機溶剤を単独あるいは2種以上混合して用いることができる。また、本発明で用いる電荷発生層の厚みは一般的には、0.1〜5μm、好ましくは0.2〜2.0μmが適当である。また、電荷発生層の塗布方法としては、ブレードコーティング法、マイヤーバーコーティング法、スプレーコーティング法、浸漬コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等の通常の方法を用いることができる。
次いで、電荷輸送層について説明する。電荷輸送層は、電荷輸送材料と結着樹脂を含有して形成されるか、あるいは高分子電荷輸送材を含有して形成される。
電荷輸送材料としては、p−ベンゾキノン、クロラニル、ブロマニル、アントラキノン等のキノン系化合物、テトラシアノキノジメタン系化合物、2,4,7−トリニトロフルオレノン等のフルオレノン化合物、キサントン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノビニル系化合物、エチレン系化合物等の電子輸送性化合物、トリアリールアミン系化合物、ベンジジン系化合物、アリールアルカン系化合物、アリール置換エチレン系化合物、スチルベン系化合物、アントラセン系化合物、ヒドラゾン系化合物などの正孔輸送性化合物があげられる。これらの電荷輸送材料は単独又は2種以上混合して用いることができるが、これらに限定されるものではない。
また、電荷輸送材料としては、モビリティーの観点から、以下の構造のものが好ましい。
(式中、R1は、水素原子又はメチル基を示す。また、nは1又は2を意味する。Ar1及びAr2は置換又は未置換のアリール基を示し、置換基としてはハロゲン原子、炭素数が1〜5の範囲のアルキル基、炭素数が1〜5の範囲のアルコキシ基、又は炭素数が1〜3の範囲のアルキル基で置換された置換アミノ基を示す。)
(式中R2、R2'は同一でも異なってもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、を表わす。R3、R3'、R4、R4'は同一でも異なってもよく、ハロゲン原子、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、炭素数1〜2のアルキル基で置換されたアミノ基、置換又は未置換のアリール基、あるいは、−C(R5)=C(R6)(R7)を表わし、R5、R6、R7は水素原子、置換又は未置換のアルキル基、置換又は未置換のアリール基を表す。m及びnは0〜2の整数である。)
(式中、R8は水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、置換又は未置換のアリール基、又は、―CH=CH―CH=C(Ar)2を表す。Arは、置換又は未置換のアリール基を表す。R9、R10は同一でも異なってもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、炭素数1〜2のアルキル基で置換されたアミノ基、置換又は未置換のアリール基を表す。)
電荷輸送層に用いる結着樹脂としては、比誘電率が2〜5が好ましい。具体的には、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体、シリコン樹脂、シリコン−アルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、スチレン−アルキッド樹脂や、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリシラン、特開平8−176293号公報や特開平8−208820号公報に示されているポリエステル系高分子電荷輸送材など高分子電荷輸送材を用いることもできる。これらの結着樹脂は単独あるいは2種以上混合して用いることができる。電荷輸送材料と結着樹脂との配合比(質量比)は10:1〜1:5が好ましい。
また、高分子電荷輸送材料を単独で用いることもできる。高分子電荷輸送材料としては、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリシランなどのほか、特に、特開平8−176293号公報や特開平8−208820号公報に示されているポリエステル系高分子電荷輸送材は、高い電荷輸送性を有しており、特に好ましい。高分子電荷輸送材は、上記結着樹脂と混合してもよい。
電荷輸送層の厚みは一般的には、5〜50μm、好ましくは10〜35μmが適当である。塗布方法としては、ブレードコーティング法、マイヤーバーコーティング法、スプレーコーティング法、浸漬コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等の方法を用いることができる。
さらに電荷輸送層を設けるときに用いる溶剤としては、トルエン、キシレン、クロルベンゼン等の芳香族炭化水素類、アセトン、2−ブタノン等のケトン類、テトラヒドロフラン、エチルエーテル等の環状もしくは直鎖状のエーテル類等の通常の有機溶剤を単独あるいは2種以上混合して用いることができる。
また、帯電中に発生するオゾンや酸化性ガス、あるいは光、熱による感光層の劣化を防止する目的で、感光層中に酸化防止剤、光安定剤、熱安定剤等の添加剤を添加することができる。例えば、酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール、ヒンダードアミン、パラフェニレンジアミン、アリールアルカン、ハイドロキノン、スピロクロマン、スピロインダノン及びそれらの誘導体、有機硫黄化合物、有機燐化合物等が挙げられる。
光安定剤の例としては、ベンゾフェノン、ベンゾトリアゾール、ジチオカルバメート、テトラメチルピペリジン等の誘導体があげられる。また、感度の向上、残留電位の低減、繰り返し使用時の疲労低減等を目的として、少なくとも1種の電子受容性物質を含有してもよい。使用可能な電子受容物質としては、例えば、無水コハク酸、無水マレイン酸、ジブロム無水マレイン酸、無水フタル酸、テトラブロム無水フタル酸、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、o−ジニトロベンゼン、m−ジニトロベンゼン、クロラニル、ジニトロアントラキノン、トリニトロフルオレノン、ピクリン酸、o−ニトロ安息香酸、p−ニトロ安息香酸、フタル酸等をあげることができる。これらのうち、フルオレノン系、キノン系やCl、CN、NO2等の電子吸引性置換基を有するベンゼン誘導体が特に好ましい。
次に、中間転写ベルトについて説明する。中間転写ベルトは、例えば、導電剤が含まれる基材で構成されている。必要に応じて、基材表面(ベルト表面)には、離型層などの機能層が設けられていてもよい。
そして、中間転写ベルトは、10sec後表面抵抗率の常用対数値と30msec表面抵抗率の常用対数値の差が0.2(LogΩ/□)以下であり、且つ30msec表面抵抗率の常用対数値が9〜13(LogΩ/□)であることが必要である。
10sec後表面抵抗率の常用対数値と30msec表面抵抗率の常用対数値の差が0.2(LogΩ/□)以下が必要であるが、0.15(LogΩ/□)以下がより好ましく、0.10以下がさらに好ましく、0(即ち互いの抵抗値が同じ)であることが最も理想的である。この差が、0.2を超えると高速印刷において転写不良、画像濃度ムラ、転写電流有効範囲が狭い等の問題が発生してしまう。
一方、30msec表面抵抗率の常用対数値で9〜13(LogΩ/□)であることが必要であるが、10〜12(LogΩ/□)であることがより好ましく、10.3〜11.8(LogΩ/□)であることがさらに好ましい。この表面抵抗率の常用対数値が13(LogΩ/□)より高い場合には、二次転写時に記録媒体と中間転写体とが静電吸着し、記録媒体の剥離ができなくなり好ましくない。一方、該表面抵抗率の常用対数値が9LogΩ/□未満の場合には、中間転写ベルトに一次転写されたトナー像の保持力が不足し画質の粒状性や像乱れが発生する。
これら表面抵抗率は、基材に配合する導電剤の種類や添加方法(例えば、ジェットミルによる混練添加)により、制御することができる。
ここで、X秒後の表面抵抗率は、電圧印加後、X秒経過した後の値をいう。そして、表面抵抗率は、円形電極(例えば、三菱油化(株)製ハイレスターIPの「URプローブ」)を用い、JIS K6991に従って測定することができる。表面抵抗率の測定方法を、図を用いて説明する。図2は、円形電極の一例を示す概略平面図(a)及び概略断面図(b)である。図2に示す円形電極は、第一電圧印加電極Aと板状絶縁体Bとを備える。第一電圧印加電極Aは、円柱状電極部Cと、該円柱状電極部Cの外径よりも大きい内径を有し、且つ円柱状電極部Cを一定の間隔で囲む円筒状のリング状電極部Dとを備える。第一電圧印加電極Aにおける円柱状電極部C及びリング状電極部Dと板状絶縁体Bとの間に中間転写体Tを挟持し、第一電圧印加電極Aにおける円柱状電極部Cとリング状電極部Dとの間に電圧V(V)を印可したときに流れる電流I(A)を測定し、下記式により、中間転写体Tの転写面の表面抵抗率ρs(Ω/□)を算出することができる。ここで、下記式中、d(mm)は円柱状電極部Cの外径を示し、D(mm)はリング状電極部Dの内径を示す。
式:ρs=π×(D+d)/(D−d)×(V/I)
次に、中間転写ベルトの構成について詳細に説明する。まず、基材に用いる樹脂材料は、特に限定させるものではなく、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルエーテルエステル樹脂、ポリアレレート樹脂、ポリエステル樹脂、補強材を添加してなるポリエス樹脂などを挙げることができるが、駆動時(支持ロール、クリーニングブレード等の応力)による変形が少ないので、色ズレ等の画像欠陥が生じにくい点から、高ヤング率を有する材料が好ましい。特に、ポリイミド樹脂を主成分とする中間転写ベルトは高いヤング率が得られ好ましい。
ポリイミド樹脂は、通常、等モルのテトラカルボン酸二無水物或いはその誘導体と、ジアミンとを溶媒中で重合反応させてポリアミド酸溶液として得られる。テトラカルボン酸二無水物としては、例えば、下記の一般式(I)で示されるものが挙げられる。
(一般式(I)中、Rは4価の有機基であり、芳香族、脂肪族、環状脂肪族、芳香族と脂肪族を組み合わせたもの、又はそれらの置換された基である。)
テトラカルボン酸二無水物として具体的には、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,2’−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン酸二無水物、ペリレン−3,4,9,10−テトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、エチレンテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。
一方、ジアミンの具体例としては、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジクロロベンジジン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルスルフォン、1,5−ジアミノナフタレン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、3,3’−ジメチル4,4’−ビフェニルジアミン、ベンジジン、3,3’−ジメチルベンジジン、3,3’−ジメトキシベンジジン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフォン、4,4’−ジアミノジフェニルプロパン、2,4−ビス(β−アミノ第三ブチル)トルエン、ビス(p−β−アミノ−第三ブチルフェニル)エーテル、ビス(p−β−メチル−δ−アミノフェニル)ベンゼン、ビス−p−(1,1−ジメチル−5−アミノ−ベンチル)ベンゼン、1−イソプロピル−2,4−m−フェニレンジアミン、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、ジ(p−アミノシクロヘキシル)メタン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ジアミノプロピルテトラメチレン、3−メチルヘプタメチレンジアミン、4,4−ジメチルヘプタメチレンジアミン、2,11−ジアミノドデカン、1,2−ビス−3−アミノプロボキシエタン、2,2−ジメチルプロピレンジアミン、3−メトキシヘキサメチレンジアミン、2,5−ジメチルヘプタメチレンジアミン、3−メチルヘプタメチレンジアミン、5−メチルノナメチレンジアミン、2,17−ジアミノエイコサデカン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、1,10−ジアミノ−1,10−ジメチルデカン、12−ジアミノオクタデカン、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、ピペラジン、H2N(CH2)3O(CH2)2O(CH2)NH2、H2N(CH2)3S(CH2)3NH2、H2N(CH2)3N(CH3)2(CH2)3NH2等が挙げられる。
テトラカルボン酸二無水物とジアミンを重合反応させる際の溶媒としては、溶解性等の点より極性溶媒(有機極性溶媒)が好適に挙げられる。極性溶媒としては、N,N−ジアルキルアミド類が好ましく、具体的には、例えば、これの低分子量のものであるN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N,N−ジメチルメトキシアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホルトリアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ピリジン、テトラメチレンスルホン、ジメチルテトラメチレンスルホン等が挙げられる。これらは単数又は複数併用することができる。
中間転写ベルトとしては、導電剤が分散されたポリイミド樹脂からなる基材で構成することが好ましい。この導電剤としては、導電性もしくは半導電性の微粉末が使用でき、所望の電気抵抗を安定して得ることができれば、導電性に制限はないが、ケッチエンブラック、アセチレンブラック等のカーボンブラック、アルミニウムやニッケル等の金属、酸化錫等の酸化金属化合物、チタン酸カリウム等が例示できる。そしてこれらを単独、あるいは併用して使用してもよいが価格面で有利なカーボンブラックが好ましい。更に好ましくは、良好な分散安定性が得られ、中間転写体の抵抗バラツキを小さくすることができるとともに、電界依存性も小さくなり、転写電圧による電界集中がおきずらくなる電気抵抗の経時での安定性より、pH5以下の酸性カーボンブラックである。
酸性カーボンブラックは、カーボンブラックを酸化処理することで、表面にカルボキシル基、キノン基、ラクトン基、水酸基等を付与して製造することができる。この酸化処理は、高温雰囲気下で、空気と接触され、反応させる空気酸化法、常温下で窒素酸化物やオゾンと反応させる方法、及び高温下での空気酸化後、低い温度下でオゾン酸化する方法などにより行うことができる。具体的には、酸性カーボンブラックは、コンタクト法により製造することができる。このコンタクト法としては、チャネル法、ガスブラック法等が挙げられる。また、酸性カーボンブラックは、ガス又はオイルを原料とするファーネスブラック法により製造することもできる。必要に応じて、これらの処理を施した後、硝酸などで液相酸化処理を行ってもよい。なお、酸性カーボンブラックは、コンタクト法で製造することができるが、密閉式のファーネス法によって製造するのが通常である。ファーネス法では通常高pH・低揮発分のカーボンブラックしか製造されないが、これに上述の液相酸処理を施してpHを調整することができる。このためファーネス法製造により得られるカーボンブラックで、後工程処理によりpHが5以下となるように調節されたカーボンブラックも、本発明に含まれるとみなす。
酸性カーボンブラックのpH値は、pH5.0以下であるが、好ましくはpH4.5以下であり、より好ましくはpH4.0以下である。pH5.0以下の酸性カーボンブラックは、表面にカルボキシル基、水酸基、キノン基、ラクトン基などの酸素含有官能基が、あるので、樹脂中への分散性がよいので、良好な分散安定性が得られ、中間転写ベルトの抵抗バラツキを小さくすることができるとともに、電界依存性も小さくなり、転写電圧による電界集中がおきずらくなる。
酸性カーボンブラックのpHは、カーボンブラックの水性懸濁液を調整し、ガラス電極で測定することで求めることができる。酸性カーボンブラックのpHは、酸化処理工程での処理温度、処理時間等の条件によって、適宜調整することができる。
酸性カーボンブラックは、その揮発成分が1〜25%、好ましくは2〜20%、より好ましくは、3.5〜15%含まれていることが好適である。揮発分が1%未満である場合には、表面に付着する酸素含有官能基の効果がなくなり、結着樹脂への分散性が低下することがある。一方、25%より高い場合には、結着樹脂に分散させる際に、分解してしまう、或いは、表面の酸素含有官能基に吸着された水などが多くなるなどによって、得られる成形品の外観が悪くなるなどの問題が生じることがある。従って、揮発分を上記範囲とすることで、結着樹脂中への分散をより良好とすることができる。この揮発分は、カーボンブラックを950℃で7分間加熱したときに、出てくる有機揮発成分(カルボキシル基、水酸基、キノン基、ラクトン基等)の割合により求めることが出来る。
酸性カーボンブラックは2種類以上含有してもよい。そのとき、これらのカーボンブラックは実質的に互いに導電性の異なるものであると好ましく、例えば酸化処理の度合い、DBP吸油量、窒素吸着を利用したBET法による比表面積等の物性が異なるものを用いる。このように導電性の異なる2種類以上のカーボンブラックを添加する場合、例えば高い導電性を発現するカーボンブラックを優先的に添加した後、導電率の低いカーボンブラックを添加して表面抵抗率を調整すること等が可能である。このように2種類以上のカーボンブラックを含有させる場合も、少なくとも、そのうちの1種類に酸性カーボンブラックを使うことによって、両方のカーボンブラックの混合や分散を高めることができる。
酸性カーボンブラックとして、具体的には、デグサ社製の「プリンテックス150T」(pH4.5、揮発分10.0%)、同「スペシャルブラック350」(pH3.5、揮発分2.2%)、同「スペシャルブラック100」(pH3.3、揮発分2.2%)、同「スペシャルブラック250」(pH3.1、揮発分2.0%)、同「スペシャルブラック5」(pH3.0、揮発分15.0%)、同「スペシャルブラック4」(pH3.0、揮発分14.0%)、同「スペシャルブラック4A」(pH3.0、揮発分14.0%)、同「スペシャルブラック550」(pH2.8、揮発分2.5%)、同「スペシャルブラック6」(pH2.5、揮発分18.0%)、同「カラーブラックFW200」(pH2.5、揮発分20.0%)、同「カラーブラックFW2」(pH2.5、揮発分16.5%)、同「カラーブラックFW2V」(pH2.5、揮発分16.5%)、キャボット社製「MONARCH1000」(pH2.5、揮発分9.5%)、キャボット社製「MONARCH1300」(pH2.5、揮発分9.5%)、キャボット社製「MONARCH1400」(pH2.5、揮発分9.0%)、同「MOGUL−L」(pH2.5、揮発分5.0%)、同「REGAL400R」(pH4.0、揮発分3.5%)等が挙げられる。
酸性カーブラックを精製する事も出来る。精製は、製造工程で混入した不純物、例えば残余の酸化剤、処理剤や副生成物等の不純物、その他の無機不純物や有機不純物を除去することである。例えば、不活性ガスや真空中で500〜1000℃程度にする高温加熱処理、二硫化炭素やトルエン等の有機溶媒処理、水スラリーのミキシングや有機酸水溶液中のミキシング処理等で不純物を除去する方法である。精製できれば如何なるものであってもよく、これらに限定するものではないが、粉体の加熱処理は製造工程上ハンドリングが難しく、エネルギーを多大に使うという難点がある。有機溶媒処理や水を主体とした処理が精製方法として好ましい。特に、安全面の観点から水主体の処理方法が好ましい。用いる水は、特に不純物が混入することを防止するため、イオン交換水、超純水、蒸留水、限外濾過水を使用することが好ましい。
酸性カーボンブラックは、一般的なカーボンブラックに比べ、前述したように表面に存在する酸素含有官能基の効果により、樹脂組成物中への分散性がよいため、導電性微粉末としての添加量を高くすることが好ましい。これにより、中間転写ベルト中のカーボンブラックの量が多くなるため、上記電気抵抗値の面内バラツキを押えることができる等の酸性カーボンブラックを用いることの効果を最大限発揮することができる。
酸性カーボンブラックを10〜30wt%含有することにより、中間転写ベルトの表面抵抗率の面内バラツキを抑制するなど、酸性カーボンブラックの効果を発揮させている。この含有量が10wt%未満であると電気抵抗の均一性が低下し、表面抵抗率の面内ムラや電界依存性が大きくなる。一方、30wt%を超えると所望の抵抗値が得られ難くなる。さらに、酸性カーボンブラックを18〜30wt%含有させることにより、その効果を最大限発揮させることができ、表面抵抗率の面内ムラや電界依存性を顕著に向上させることができる。
次に、導電剤としてカーボンブラックを分散させたポリアミド酸溶液を用いて、中間転写ベルトを作製する例を以下に例示するがこれに限定するものではない。まず、精製したカーボンブラックを用意し、有機極性溶媒に分散する。分散方法は、予備攪拌を行った後に分散機、ホモジナイザーにより分散する方法が好ましい。カーボンブラックの精製方法と同様に微細メディアの混入がカーボンブラックの精製効果を低下させてしまうため、メディアを使用しないメディアフリーの分散方法が好ましく、特に高粘度溶液を均一に分散できるジェットミルが好ましい。
得られたカーボンブラック分散液中にジアミン成分と酸二無水物成分を溶解・重合させてカーボンブラックを分散させたポリアミド酸溶液を作製する。
先に得られたカーボンブラック分散液中に、上記ジアミン成分及び上記酸無水物成分を溶解・重合させてカーボンブラック分散したポリアミド酸溶液を作製する。この際、モノマー濃度(溶媒中におけるジアミン成分と酸無水物成分の濃度)は種々の条件により設定されるが、5〜30質量%が好ましい。また、反応温度は80℃以下に設定することが好ましく、特に好ましくは5〜50℃であり、反応時間は5〜10時間である。
カーボンブラックを分散したポリアミド酸溶液は高粘度溶液であるため、作製時に混入した気泡は自然に抜けることはなく、塗布により気泡に起因するベルトの突起、へこみ、穴等の欠陥が発生する。このため、脱泡することが望ましい。脱泡はできる限り塗布直前に行うことが好ましい。
シームレスベルトを形成する場合、例えばポリアミド酸溶液を円筒状金型の外周面に浸漬する方式や、内周面に塗布する方式や更に遠心する方式、或いは注形型に充填する方式などの適宜な方式でリング状に展開し、その展開層を乾燥製膜してベル卜形に成形し、その成形物を加熱処理してポリアミド酸をイミドに転化して型より回収する方法などの従来に準じた適宜な方法により行うことができる(特開昭61−95361号公報、特開昭64−22514号公報、特開平3−180309号公報等)。シームレスベルトの形成に際しては、型の離型処理を施すことができる。
イミドに転化するには200℃以上の高温処理が一般的である。200℃以下では十分なイミド転化が得られない。一方、高温処理はイミド転化に有利であり、安定した特性が得られるが、熱エネルギーを使用するため、熱効率が悪くコストが高くなるため、中間転写体の特性と生産性を考慮して熱処理温度を決める必要がある。
このようにして中間転写ベルトを作製することができる。
また、中間転写ベルトの体積抵抗率は、特に限定するものではないが、体積抵抗率の常用対数値が8〜13(LogΩcm)であることが好ましい。この体積抵抗率の常用対数値が8(LogΩcm)未満である場合には、像担持体から中間転写ベルトに転写された未定着トナー像の電荷を保持する静電的な力が働きにくくなるため、トナー同士の静電的反発力や画像エッジ付近のフリンジ電界の力によって、画像の周囲にトナーが飛散してしまい、ノイズの大きい画像が形成されることがある。一方、体積抵抗率の常用対数値が13(LogΩcm)より高い場合には、電荷の保持力が大きいために、1次転写での転写電界で中間転写体表面が帯電するために除電機構が必要となることがある。測定は表面抵抗率と同様の方法で測定することができる。
また、中間転写ベルトのヤング率は2000MPa以上が好ましい。高速印刷を行なう時に、ヤング率が高いことで変形が低減でき、像乱れの発生が抑えられる。このヤング率Eは、単位断面積にかかる力ΔSと単位長さでの伸びΔaを測定することにより下記式より算出することができる。
式:E=ΔS/Δa
ここで、ΔSは、負荷Fとサンプルの膜厚t、サンプル幅wより、ΔS=F/(w×t)で表され、Δaは、サンプル基準長さL、負荷印加時のサンプル伸びΔLより、Δa=ΔL/Lで表される。本発明では、サンコー電子社製渦電流式膜厚計CTR−1500Eを使用した。ヤング率測定は、一般市販の引張り試験機を使用することができる。本発明では、アイコーエンジニアリング社製引張り試験機MODEL−1605Nを使用した。
また、中間転写体ベルトは、0.05〜0.5mmの厚みであり、好ましくは、0.06〜0.30mm、より好ましくは、0.06〜0.15mmである。ベルトの総厚みが、0.05mm未満の場合には、中間転写ベルトとして、必要な機械特性を満足させることが難しくなり、0.5mmを超える場合には、ロール屈曲部での変形によって、ベルト表面の応力が集中して、表面層にクラックが発生するなどの問題が生じる場合がある。
中間転写ベルトの厚みの測定は、一般の接触式、非接触式膜厚計を使用することができる。
中間転写ベルトは、転写面の硬度が、表面微小硬度で30以下であることが好ましく、25以下であることがより好ましい。前記表面微小硬度とは、金属材料の硬さ測定等に広く用いられているビッカース硬さのように、くぼみの対角線長さを求めるという方法はとらず、圧子が試料にどれだけ侵入したかを測定する方法によって求めることができる。試験荷重P(mN)、圧子の試料への侵入量(押し込み深さ)D(μm)としたとき、表面微小硬度DHは下記式で定義される。
式:DH≡αP/D2
ここで、αは圧子形状による定数で、α=3.8584(使用圧子:三角錐圧子の場合)である。
この表面微小硬度は、圧子を押し込んで行く過程の過重と押し込み深さから得られる硬さで、試料の塑性変形だけでなく、弾性変形をも含んだ状態での材料の強度特性を表すものである。なおかつ、その計測面積は微小であり、トナー粒径に近い範囲でより正確な硬度の測定が可能になる。ここで得られた表面微小硬度と、ホロキャラクターの発生レベルには相関があり、中間転写ベルトの転写面の表面微小硬度が30以下の場合には、後述する二次転写部において、バイアスローラの押圧力によって中間転写ベルトの転写面の変形が起こり、これにより中間転写ベルト上のトナーに集中していた押圧力は分散される。このためトナーは凝集せず、ライン画像が中抜けするホロキャラクター等の画質欠陥は発生しない。
なお、表面微小硬度は、下記の方法によって求めた。中間転写ベルトを5mm角程度に切り、その小片を瞬間接着剤で硝子版に固定する。この試料の表面の表面微小硬度を超微小硬度計DUH−201S(株式会社島津製作所製)を用いて測定する。測定条件は、以下の通りである。
測定環境:22℃、55%RH
使用圧子:三角錐圧子
試験モード:3(軟質材料試験)
試験荷重:0.70gf
負荷速度:0.0145gf/sec
保持時間:5sec
以下、本発明の画像形成装置における主な部材について詳細に説明する。
まず、帯電手段としては、特に制限はなく、例えば、導電性又は半導電性のローラ、ブラシ、フィルム、ゴムブレード等を用いた接触型帯電器、コロナ放電を利用したスコロトロン帯電器やコロトロン帯電器などのそれ自体公知の帯電器が挙げられる。これらの中でも、帯電補償能力に優れる点で接触型帯電器が好ましい。前記帯電手段は、前記電子写真感光体に対し、通常、直流電流を印加するが、交流電流をさらに重畳させて印加してもよい。
露光手段としては、特に制限はなく、例えば、前記電子写真感光体表面に、半導体レーザ光、LED光、液晶シャッタ光等の光源、或いはこれらの光源からポリゴンミラーを介して所望の像様に露光できる光学系機器等が挙げられる。
現像手段としては、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、一成分系現像剤又は二成分系現像剤をブラシ、ローラ等を用い接触或いは非接触させて現像する公知の現像器等が挙げられる。
転写手段としての第一転写手段としては、例えば、ベルト、ローラ、フィルム、ゴムブレード等を用いた接触型転写帯電器、コロナ放電を利用したスコロトロン転写帯電器やコロトロン転写帯電器等のそれ自体公知の転写帯電器が挙げられる。これらの中でも、転写帯電補償能力に優れる点で接触型転写帯電器が好ましい。なお、本発明においては、前記転写帯電器の他、剥離帯電器等を併用することもできる。
転写手段としての第二転写手段としては、第一転写手段として例示した転写ローラ等の接触型転写帯電器、スコロトロン転写帯電器やコロトロン転写帯電器等が挙げられる。これらの中でも、第一転写手段と同様に接触型転写帯電器が好ましい。転写ローラ等の接触型転写帯電器により強く押圧するようにすると、画像の転写状態を良好な状態に維持させることができる。また、中間転写体を案内するローラの位置で転写ローラ等の接触型転写帯電器を押圧すると、中間転写体から被転写体に対してトナー像を移転させる作用を良好な状態で行うことが可能になる。
光除電手段としては、例えば、タングステンランプ、LED等が挙げられ、該光除電プロセスに用いる光質としては、例えば、タングステンランプ等の白色光、LED光等の赤色光等が挙げられる。該光除電プロセスにおける照射光強度としては、通常、電子写真感光体の半減露光感度を示す光量の数倍乃至30倍程度になるよう出力設定される。
定着手段としては、特に制限はなく、それ自体公知の定着器、例えば熱ローラ定着器、オーブン定着器等が挙げられる。クリーニング手段としては、特に制限はなく、それ自体公知のクリーニング装置等を用いればよい。