JP2009058826A - 像担持体及び転写ベルトを用いた画像形成装置 - Google Patents

像担持体及び転写ベルトを用いた画像形成装置 Download PDF

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Abstract

【課題】二次障害の発生しない高画質を長期間維持できる画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置は、像担持体である感光体9と、感光体9の表面を帯電する帯電ロール13と、帯電ロール13により帯電された感光体9に、画像情報に応じた露光により静電潜像を感光体9に形成するレーザー発生装置8と、感光体9上の静電潜像をトナー像に形成する現像器15と、前記トナー像を中間転写ベルト16に一次転写した後、記録媒体に二次転写する転写手段と、を有する画像形成装置であって、像担持体である感光体9は、感光体9の電荷輸送層以上の表層までの膜厚が25〜45μmであり、帯電時表面電荷密度が2.4×10−4C/m〜7.5×10−4C/mであり、かつ、前記中間転写ベルトは、転写ベルト表層部の表面抵抗率の常用対数値が11.5〜14(LogΩ/□)であり、且つ、体積抵抗率の常用対数値が8〜11(LogΩcm)である。
【選択図】図1

Description

本発明は、電子写真複写機、レーザープリンター、ファクシミリ、これらの複合OA機器等の電子写真方式を利用した画像形成装置及び使用される導電性部材に関する。より具体的には、像担持体に形成されたトナー像を中間転写ベルトに一次転写した後、これを用紙等の記録媒体に二次転写して画像を得るようにした画像形成装置及び像担持体、中間転写ベルトに関する。
電子写真方式を用いた画像形成装置は、無機又は有機材料からなる光導電性感光体である像担持体上に一様な電荷を形成し、画像信号を変調したレーザー光等で静電濳像を形成した後、帯電したトナーで前記静電濳像を現像して可視化したトナー像とする。そして、上記トナー像を、中間転写体を介してあるいは直接記録紙等の転写材に静電的に転写することにより所要の再生画像を得る。特に、上記像担持体に形成したトナー像を中間転写体に一次転写し、更に中間転写体上のトナー像を記録紙に二次転写する方式を採用した画像形成装置として、特許文献1等に開示されたものが知られている。
前記中間転写体方式を採用した画像形成装置に用いられる材料として、ポリカーボネート樹脂、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)等の熱可塑性樹脂の導電性材料は機械特性が劣るために、駆動時の応力に対するベルト変形が大きく、高品質の転写画質が安定して得られない。また、ポリエステル等の織布と弾性部材を積層してなる補強材入り弾性ベルトが提案されているが、経時でベルト材料のクリープ変形等に起因する色ずれの問題が発生する場合がある。
そこで、特許文献2,3には、機械特性や耐熱性に優れたポリイミド樹脂に導電性フィラーを分散してなる中間転写ベルトが提案されている。
特開昭62−206567号公報 特開平5−77252号公報 特開平10−63115号公報
現在、画像形成装置では高画質と並び各部材の長寿命化の要望が強くある。
中間転写ベルトでは上述の機械特性の優れたポリイミド樹脂を使用し、長寿命化を達成している。一方、像担持体の長寿命化は表層の磨耗と深く関係し、像担持体膜厚変化による帯電性、感度変化により寿命の大半が決まってくる。像担持体の長寿命化は(i)磨耗を軽減しながら、トナーのクリーニングが行えるシステムの改善、(ii)厚膜層を均一に形成する塗布技術による厚膜像担持体により達成することが可能と言われている。
高画質化は、均一に成膜された像担持体上に形成された静電潜像を忠実に再現する現像、像担持体上のトナーを効率良く且つ像を乱すことなく中間転写ベルトへ移動させる転写が必要である。忠実現像では、像担持体上の画像部と非画像部とで電位差が大きいと十分な現像電位が得られ高画質となる。このため、像担持体は高い帯電電位が必要である。また、転写では、中間転写ベルトの抵抗が高いと転写電界が有効に働き、トナー像を乱すことなく転写され高画質となる。
ところが、上記高画質と像担持体長寿命を達成するため、厚膜像担持体に高い帯電電圧を印加して画像を形成し、それを抵抗の高い中間転写ベルトへ転写すると、像担持体と中間転写ベルト間で放電が発生してしまう。この放電は、トナー像を乱し二次障害となる。放電は、像担持体電位が高いと放電しやすく、像担持体膜厚が厚く表面電荷密度が小さいと放電の影響を強く受ける。また、中間転写ベルトの抵抗が高いと放電しやすくなる。以上のように像担持体と中間転写ベルトは、相互に関係し画質を維持している。従来、転写画質を高品質に保とうとすると中間転写ベルトは高い表面抵抗率が必要になり、独立制御できない体積抵抗率も高くなっていた。これにより、転写時に中間転写ベルトから像担持体へ放電が発生し、画質が損なわれていた。このため、像担持体は放電の影響を受けないように表面電荷密度を高く保つ必要があり、厚膜化による長寿命設計が困難であった。厚膜化により像担持体を長寿命化すると、中間転写ベルトの体積抵抗率は低く抑える必要があり、必然的に表面抵抗率は低くなり、転写時に画質が劣化してしまっていた。このように、転写時の画質と像担持体の長寿命化は、トレードオフの関係になっている。
例えば、特開2003−277522号公報では、中間転写ベルト表面と裏面の表面抵抗率を規定している。この方法は転写時の画質向上には寄与するが、像担持体との相互作用で発生する放電トラブルを解決する事はできず、これに付随する像担持体寿命を改善する事はできない可能性がある。
また、特開平2000−122315号公報では、像担持体の帯電時表面電荷密度を規定しているが、これに記載された特徴は、膜厚が薄く、長期使用に耐えうる像担持体とはなっていない可能性が高く、また、転写時の画質劣化を考慮していないことから、画像形成装置としては未だ満足とは言い難い。
特開2002−278326号公報では、像担持体の帯電電位とトナーの規定により、現像時の高画質化、像担持体寿命の改善を行うことができるが、転写との相互作用として発生する放電トラブルの言及はなく、また、転写時の画質劣化が考慮してないことから、画像形成装置としては未だ満足とは言い難い。
そこで、本発明は、前記従来における問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、高い転写効率及び放電のない画質と長寿命で信頼性の高い像担持体を有した画像形成装置を提供することを目的とする。
放電による画像欠陥は、ベルトと像担持体間で生じる空隙で放電し像担持体に電荷履歴を与える。放電の原因は、ベルトと像担持体との剥離放電により発生する。システム上のベルト張力調整や各取付け部材の角度等では回避することが困難である。この問題を回避するためには、一般に像担持体の表面電荷密度を高くする、又は中間転写ベルトの抵抗を低くする事で回避することができる。しかし、これらの方法は、別の問題が生じるおそれがある。像担持体の表面電荷密度が高いことは、帯電電位が高く、像担持体膜厚が薄い事になる。帯電電位が高いと像担持体感度変化が大きく、また、像担持体膜厚が薄いことは長期使用時の磨耗に対する余裕が少なくなり、長期使用に耐えられない短寿命像担持体に他ならない。一方、中間転写ベルトの抵抗を下げる手法は、転写時の画質劣化につながり、高画質化の観点から容認できない。
発明者らは、鋭意研究の結果、以下の事項が明らかとなった。像担持体方中間転写ベルトへの転写時の画質は、従来表面抵抗とされていたが、研究の結果、中間転写ベルト表層(約6μm)の表面抵抗率と画質、特にトナー飛び散りと関係していることが判明した。また、この表層部表面抵抗率は、作製方法により変化させることができ、表面抵抗率と体積抵抗率が独立して制御可能となる。つまり、画質を維持するために、表層部表面抵抗率を高くし、像担持体への放電を発生させないために、低い体積抵抗率にすることができる。これにより、像担持体への放電が低減でき、従来まで使用することのできなかった厚膜像担持体を採用することができ長寿命化が実現できる。つまり、像担持体の長寿命化と転写時の高画質化の両立を二次障害がなく実現することができる。
また、トナー形状が球形に近い場合は、トナーはベルトとの付着力が弱く転写時の外部ストレスの影響を非常に強く受ける。また、トナーが球形形状であるためクリーニングが難しくなり、クリーニング性能を高めるために、感光体の磨耗を促進し感光体の長寿命化が難しい。このため、球形トナーとの組合せにおいて、特に、本発明は像担持体の長寿命化と転写時高画質化の両立効果が大きい。
すなわち、本発明の像担持体及び転写ベルトを用いた画像形成装置は、以下の特徴を有する。
(1)像担持体と、前記像担持体の表面を帯電する帯電手段と、前記帯電手段により帯電された前記像担持体に、画像情報に応じた露光により静電潜像を前記像担持体に形成する露光手段と、前記像担持体上の静電潜像をトナー像に形成する現像手段と、前記トナー像を中間転写ベルトに一次転写した後、記録媒体に二次転写する転写手段と、を有する画像形成装置であって、前記像担持体は、像担持体の電荷輸送層以上の表層までの膜厚が25μm以上45μm以下であり、帯電時表面電荷密度が2.4×10−4C/m以上〜7.5×10−4C/m以下であり、かつ、前記中間転写ベルトは、転写ベルト表層部の表面抵抗率の常用対数値が11.5(LogΩ/□)以上14(LogΩ/□)以下であり、且つ、体積抵抗率の常用対数値が8(LogΩcm)以上11(LogΩcm)以下である画像形成装置である。
(2)上記(1)に記載の画像形成装置において、前記中間転写ベルトは、導電剤を含有してなるポリイミド単層樹脂からなる基材である画像形成装置である。
(3)上記(1)または(2)に記載の画像形成装置において、前記中間転写ベルトは、単層転写ベルトである画像形成装置である。
本発明によれば、二次障害の発生しない高画質を長期間維持できる画像形成装置を提供することができる。
本実施の形態の画像形成装置は、像担持体と、像担持体の表面を帯電する帯電手段と、帯電手段により帯電された像担持体に、画像情報に応じた露光により静電潜像を像担持体に形成する露光手段と、像担持体上の静電潜像をトナー像に形成する現像手段と、トナー像を中間転写ベルトに一次転写した後、これを記録媒体に二次転写する転写手段と、を有する中間転写方式の画像形成装置である。
本実施の形態の画像形成装置としては、中間転写体方式の画像形成装置であれば、特に限定されるものではなく、例えば、現像装置内に単色のトナーのみを収容する通常のモノカラー画像形成装置や、像担持体上に担持されたトナー像を中間転写体に順次一次転写を繰り返すカラー画像形成装置、各色毎の現像器を備えた複数の像担持体を中間転写体上に直列に配置したタンデム型カラー画像形成装置が挙げられる。
また、本実施の形態の画像形成装置には、像担持体、像担持体表面を均一に帯電する帯電手段、像担持体表面を露光し静電潜像を形成する露光手段、像担持体表面に形成された潜像を、現像剤を用いて現像し、トナー像を形成する現像手段、被転写材上のトナー像を定着する定着する手段、像担持体に付着したトナーやゴミ等を除去するクリーニング手段、像担持体表面に残留している静電潜像を除去する除電手段、など必要に応じて公知の方法で任意に備えることができる。
このようなタンデム型のカラー画像形成装置の具体例について図面を用いて以下に説明する。
図1は本発明の画像形成装置の一例を示す概略模試図である。図1に示す画像形成装置は、4つのトナーカートリッジ1、1対の定着ロール2、背面ロール3、張力付与ロール4、2次転写ロール(2次転写手段)5、用紙経路6、用紙保持容器7、レーザー発生装置8、4つの感光体(像担持体)9、4つの1次転写ロール(1次転写手段)10、駆動ロール11、中間転写ベルトクリーナー12、4つの帯電ロール13、感光体クリーナー14、現像器15、中間転写ベルト16等を主用な構成部材として含んでなる。なお、図1に示す画像形成装置において、本発明の中間転写ベルトはトナー像の重ね合わせ手段及びトナー像の転写手段として機能する中間転写ベルト16として用いられる。
次に、図1に示す画像形成装置の構成について順次説明する。まず、感光体9の周囲には、反時計回りに帯電ロール13、現像器15、中間転写ベルト16を介して配置された1次転写ロール10、感光体クリーナー14が配置され、これら1組の部材が、1つの色に対応した現像ユニットを形成している。また、この現像ユニット毎に、現像器15に現像剤を補充するトナーカートリッジ1がそれぞれ設けられており、各現像ユニットの感光体9に対して、帯電ロール13と現像器15との間の感光体9表面に画像情報に応じたレーザー光を照射することができるレーザー発生装置8が設けられている。
4つの色(例えば、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック)に対応した4つの現像ユニットは、画像形成装置内においてほぼ水平方向に直列に配置されており、4つの現像ユニットの感光体9と1次転写ロール10とのニップ部を挿通するように中間転写ベルト16が設けられている。中間転写ベルト16は、その内周側に以下の順序で反時計回りに設けられた、背面ロール3、張力付与ロール4、及び駆動ロール11により張架されている。なお、4つの1次転写ロールは背面ロール3と張力付与ロール4との間に位置する。また、中間転写ベルト16を介して駆動ロール11の反対側には中間転写ベルト16の外周面をクリーニングする中間転写ベルトクリーナー12が駆動ロール11に対して圧接するように設けられている。
また、中間転写ベルト16を介して背面ロール3の反対側には用紙保持容器7から用紙経路6を経由して搬送される記録用紙の表面に、中間転写ベルト16の外周面に形成されたトナー像を転写するための2次転写ロール5が、背面ロール3に対して圧接するように設けられている。背面ロール3と駆動ロール11との間の中間転写ベルト16の外周面には、この外周面を除電するための除電ロール18が設けられている。
また、画像形成装置の底部には記録用紙を保持する用紙保持容器7が設けられ、用紙保持容器7から用紙経路6を経由して2次転写部を構成する背面ロール3と2次転写ロール5との圧接部を通過するように供給することができる。この圧接部を通過した記録用紙はさらに1対の定着ロール2の圧接部を挿通するように不図示の搬送手段により搬送可能であり、最終的に画像形成装置外へと排出することができる。
次に、図1の画像形成装置を用いた画像形成方法について説明する。トナー像の形成は各現像ユニット毎に行なわれ、帯電ロール13により反時計方向に回転する感光体9表面を一様に帯電した後に、レーザー発生装置8(露光装置)により帯電された感光体9表面に潜像を形成し、次に、この潜像を現像器15から供給される現像剤により現像してトナー像を形成し、1次転写ロール10と感光体9との圧接部に運ばれたトナー像を矢印X方向に回転する中間転写ベルト16の外周面に転写する。なお、トナー像を転写した後の感光体9は、その表面に付着したトナーやゴミ等が感光体クリーナー14によりクリーニングされ、次のトナー像の形成に備える。
各色の現像ユニット毎に現像されたトナー像は、画像情報に対応するように中間転写ベルト16の外周面上に順次重ね合わされた状態で、2次転写部に運ばれ2次転写ロール5により、用紙保持容器7から用紙経路6を経由して搬送されてきた記録用紙表面に転写される。トナー像が転写された記録用紙は、更に定着部を構成する1対の定着ロール2の圧接部を通過する際に加圧加熱されることにより定着され、記録媒体表面に画像が形成された後、画像形成装置外へと排出される。
2次転写部を通過した中間転写ベルトは、転写クリーナー12により外周面がクリーニングされた後に次のトナー像の転写に備える。
そして、以上説明した画像形成装置において、本発明では、感光体9(像担持体)が所定の表面電荷密度を有し、且つ中間転写ベルト16が所定の表面抵抗率を有している。以下、詳細に説明する。なお、以下、符号を省略して説明する。
まず、像担持体(感光体)について説明する。像担持体は、例えば、導電性支持体上に、下引き層、感光層(電荷発生層、電荷輸送層)が順次設けられた構成である。感光層は単層構造であってもよいし、機能分離型の積層構造であってもよい。また、像担持体としては、従来公知のものを用いることができ、ベルト状の像担持体を用いることも可能である。
そして、像担持体は、帯電した時の表面電荷密度が2.4×10−4C/m以上7.5×10−4C/m以下の範囲あることが必要である。この表面電荷密度は、好ましくは2.4×10−4C/m以上7.0×10−4C/m以下である。この領域は、像担持体の帯電電位と像担持体の膜厚を変更し実現することができる。帯電電位は、300V以上800V以下、膜厚は25μm以上45μm以下が好ましい。帯電電位が300V未満では、十分な現像電位が得られず、現像時の高画質が得られない。一方、800Vを超える場合は、使用時の像担持体の感度変化が大きくなり長期使用に適さない。また、像担持体の膜厚が25μm未満では長期使用時の磨耗により帯電電位が低下してしまい高画質が得られなくなってしまう。一方、45μmを超える膜厚は、塗布時の塗液だれが発生しやすく、均一な成膜性が得られず、濃度不均一などの問題が発生するため好ましくない。
表面電荷密度が2.4×10−4C/m未満では、電荷密度が少なく、膜厚不均一に対する影響や帯電器の不均一の影響が大きくなり、画質不均一性が顕著になり好ましくない。一方、像担持体の寿命は感度が低下し迎えるが、その時の表面電荷密度は13×10−4C/m程度である。
表面電荷密度と膜厚には、帯電電位にもよるが凡そ次式の関係がある。
[数1]
表面電荷密度(C/m) = 0.02〜0.03 / 膜厚(μm)
例えば表面電荷密度が7.5×10−4C/mの場合は、感度限界までに達するのに磨耗膜厚が10μm程度となる。マシンシステム内において、1μm = 約20,000サイクルの関係がある場合、10μmでは200,000サイクル使用が限界となる。表面電荷密度が7.5×10−4C/mを超える場合は、200,000サイクル未満しか使用できず、長期使用に耐えられないため、好ましくない
また、表面電荷密度σは、像担持体の比誘電率をε、真空の誘電率をε、像担持体の帯電電位をV、像担持体の膜厚をdとした時、以下の式により与えられる。なお、これらの条件値は常温常湿(22℃、55%RH)での値である。
[数2]
σ=εε/d
ここで、像担持体の比誘電率は、一般のLCRメータで測定することができる。具体的には、像担持体表面に直径10mmの円形金電極を蒸着し、日本ヒューレーット・パッカード株式会社製HP4274Aで測定する事が出来る。又は、感光体の帯電特性から求めることもできる。具体的には、帯電初期電圧をV、像担持体の体積抵抗率をρ、像担持体の比誘電率をεr、真空の誘電率をε(8.85×10−12 F/m)、時間をtとした時、時間tの時の帯電電位Vは以下の式より与えられる。そして、帯電の電圧印加中の電流値(漏れ電流)と電圧の関係からρを求め、Vの時間(t)変化を調べることで、εrε0を求めることができる。
一方、像担持体の膜厚は、一般の渦電流式膜厚計を使用して測定することができる。具体的には、例えば、FISCHER社製フィッシャースコープ MMSを使用する。なお、通常の像担持体では、下引き層は導電層であり、また、電荷発生層の膜厚が薄く無視できるため、像担持体の比誘電率は電荷輸送層の構成材料(例えば結着樹脂、高分子電荷輸送材料など)の文献値を代用し、像担持体の膜厚は電荷輸送層の膜厚を代用することもできる。また、表層に別途保護層がある場合は、保護層を含めた膜厚を指す。
次に、像担持体の各構成について詳細に説明する。まず、導電性支持体としては、アルミニウム・銅・鉄・ステンレス・亜鉛・ニッケル等の金属ドラム、及びシート・紙・プラスチックス又はガラス上にアルミニウム・銅・金・銀・白金・パラジウム・チタン・ニッケルークロム・ステンレス鋼・銅−インジウム等の金属を蒸着するか、酸化インジウム・酸化錫等の導電性金属化合物を蒸着するか、金属箔をラミネートするか、又はカーボンブラック・酸化インジウム・酸化錫−酸化アンチモン粉・金属粉・沃化銅等を結着樹脂に分散し、塗布する事によって導電処理したドラム状・シート状・プレート状の物など公知の材料を用いる事ができる。
金属パイプ基材を用いる場合、表面は素管のままであっても、事前に鏡面切削、エッチング、陽極酸化、粗切削、センタレス研削、サンドブラスト、ウエットホーニングなどの処理が行われていても構わない。
導電性支持体としては、結着樹脂中にカーボンブラック粒子や金属微粉末、金属酸化物微粒子などの導電性微粒子を分散し、遠心成型や押し出し成型機などによりパイプ状に形成した導電性プラスティック基材も用いることができる。
導電性支持体としては、アルミニウムがドラム状、シート状、プレート状等、適宜の形状のものとして使用されるが、これらに限定されるものではない。また、注入阻止、接着性改善、干渉縞防止などの目的で陽極酸化処理や、ベーマイト処理、ホーニング処理などを行ってもよい。
また、所望により基材と感光層の間に下引き層(中間層)を形成することもできる。用いられる材料としてはジルコニウムキレート化合物、ジルコニウムアルコキシド化合物、ジルコニウムカップリング剤などの有機ジルコニウム化合物、チタンキレート化合物、チタンアルコキシド化合物、チタネートカップリング剤などの有機チタン化合物、アルミニウムキレート化合物、アルミニウムカップリング剤などの有機アルミニウム化合物のほか、アンチモンアルコキシド化合物、ゲルマニウムアルコキシド化合物、インジウムアルコキシド化合物、インジウムキレート化合物、マンガンアルコキシド化合物、マンガンキレート化合物、スズアルコキシド化合物、スズキレート化合物、アルミニウムシリコンアルコキシド化合物、アルミニウムチタンアルコキシド化合物、アルミニウムジルコニウムアルコキシド化合物、などの有機金属化合物、とくに有機ジルコニウム化合物、有機チタニル化合物、有機アルミニウム化合物は残留電位が低く良好な電子写真特性を示すため、好ましく使用される。また、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス−2−メトキシエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−2−アミノエチルアミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプロプロピルトリメトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、β−3,4−エポキシシクロヘキシルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤を含有させて使用することができる。さらに、従来より下引き層に用いられるポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリ−N−ビニルイミダゾール、ポリエチレノキシド、エチルセルロース、メチルセルロース、エチレン−アクリル酸共重合体、ポリアミド、ポリイミド、カゼイン、ゼラチン、ポリエチレン、ポリエステル、フェノール樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、エポキシ樹脂、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピリジン、ポリウレタン、ポリグルタミン酸、ポリアクリル酸等の公知の結着樹脂を用いることもできる。これらの混合割合は、必要に応じて適宜設定することができる。また、下引き層中には電子輸送性顔料を混合/分散して使用することもできる。
下引き層の厚みは一般的には、0.1μm以上30μm以下、好ましくは0.2μm以上25μm以下が適当である。また、下引き層を設けるときに用いる塗布方法としては、ブレード塗布法、マイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、浸漬塗布法、ビード塗布法、エアーナイフ塗布法、カーテン塗布法等の通常の方法を用いることができる。塗布したものを乾燥させて下引き層を得るが、通常、乾燥は溶剤を蒸発させ、製膜可能な温度で行われる。特に、酸性溶液処理、ベーマイト処理を行った基材は、基材の欠陥隠蔽力が不十分となり易いため、中間層を形成することが好ましい。
次に電荷発生層について説明する。電荷発生材料は、ビスアゾ、トリスアゾなどのアゾ顔料、ジブロモアントアントロンなどの縮環芳香族顔料、ペリレン顔料、ピロロピロール顔料、フラトシアニン顔料等既知のもの全て使用することができるが、とくに金属及び無金属フタロシアニン顔料が好ましい。その中でも、特開平5−263007号公報及び、特開平5−279591号公報に開示されたヒドロキシガリウムフタロシアニン、特開平5−98181号公報に開示されたクロロガリウムフタロシアニン、特開平5−140472号公報及び、特開平5−140473号公報に開示されたジクロロスズフタロシアニン、特開平4−189873号公報及び、特開平5−43813号公報に開示されたチタニルフタロシアニンが特に好ましい。
電荷発生層に用いる結着樹脂は、広範な絶縁性樹脂から選択でき、好ましい樹脂としては、ポリビニルブチラール樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、フェノキシ樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリビニルピリジン樹脂、セルロース樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂等の絶縁性樹脂をあげることができるが、これらに限定されるものではない。また、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリビニルアントラセン、ポリビニルピレン、ポリシランなどの有機光導電性ポリマーから選択することもできる。これらの結着樹脂は単独あるいは2種以上混合して用いることができる。
電荷発生材料と結着樹脂の配合比(質量比)は10:1〜1:10の範囲が好ましい。またこれらを分散させる方法としては、ボールミル分散法、アトライター分散法、サンドミル分散法等の通常の方法を用いることができるが、この時、分散によって電荷発生材料の結晶型が変化しない条件が必要とされる。分散の際、粒子を0.5μm以下、好ましくは0.3μm以下、さらに好ましくは0.15μm以下の粒子径にすることが有効である。
これらの分散に用いる溶剤としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸n−ブチル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、クロロベンゼン、トルエン等の通常の有機溶剤を単独あるいは2種以上混合して用いることができる。また、本発明で用いる電荷発生層の厚みは一般的には、0.1μm以上5μm以下、好ましくは0.2μm以上2.0μm以下が適当である。また、電荷発生層の塗布方法としては、ブレード塗布法、マイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、浸漬塗布法、ビード塗布法、エアーナイフ塗布法、カーテン塗布法等の通常の方法を用いることができる。
次いで、電荷輸送層について説明する。電荷輸送層は、電荷輸送材料と結着樹脂を含有して形成されるか、あるいは高分子電荷輸送材を含有して形成される。
電荷輸送材料としては、p−ベンゾキノン、クロラニル、ブロマニル、アントラキノン等のキノン系化合物、テトラシアノキノジメタン系化合物、2,4,7−トリニトロフルオレノン等のフルオレノン化合物、キサントン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノビニル系化合物、エチレン系化合物等の電子輸送性化合物、トリアリールアミン系化合物、ベンジジン系化合物、アリールアルカン系化合物、アリール置換エチレン系化合物、スチルベン系化合物、アントラセン系化合物、ヒドラゾン系化合物などの正孔輸送性化合物があげられる。これらの電荷輸送材料は単独又は2種以上混合して用いることができるが、これらに限定されるものではない。
また、電荷輸送材料としては、モビリティーの観点から、以下の構造のものが好ましい。
(式中、Rは、水素原子又はメチル基を示す。また、nは1又は2を意味する。Ar及びArは置換又は未置換のアリール基を示し、置換基としてはロゲン原子、炭素数が1〜5の範囲のアルキル基、炭素数が1〜5の範囲のアルコキシ基、又は炭素数が1〜3の範囲のアルキル基で置換された置換アミノ基を示す。)
(式中R、R2'は同一でも異なってもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、を表わす。R、R3'、R、R4'は同一でも異なってもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、炭素数1〜2のアルキル基で置換されたアミノ基、置換又は未置換のアリール基、あるいは、−C(R)=C(R)(R)を表わし、R、R、Rは水素原子、置換又は未置換のアルキル基、置換又は未置換のアリール基を表す。m及びnは0〜2の整数である。)
(式中、Rは水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、置換又は未置換のアリール基、又は、―CH=CH―CH=C(Ar)を表す。Arは、置換又は未置換のアリール基を表す。R、R10は同一でも異なってもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、炭素数1〜2のアルキル基で置換されたアミノ基、置換又は未置換のアリール基を表す。)
電荷輸送層に用いる結着樹脂としては、比誘電率が2〜5が好ましい。具体的には、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体、シリコン樹脂、シリコン−アルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、スチレン−アルキッド樹脂や、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリシラン、特開平8−176293号公報や特開平8−208820号公報に示されているポリエステル系高分子電荷輸送材など高分子電荷輸送材を用いることもできる。これらの結着樹脂は単独あるいは2種以上混合して用いることができる。電荷輸送材料と結着樹脂との配合比(質量比)は10:1〜1:5が好ましい。
また、高分子電荷輸送材料を単独で用いることもできる。高分子電荷輸送材料としては、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリシランなどのほか、特に、特開平8−176293号公報や特開平8−208820号公報に示されているポリエステル系高分子電荷輸送材は、高い電荷輸送性を有しており、特に好ましい。高分子電荷輸送材は、上記結着樹脂と混合してもよい。
電荷輸送層の厚みは、25μm以上45μm以下、好ましくは30μm以上45μm以下である。塗布方法としては、ブレード塗布法、マイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、浸漬塗布法、ビード塗布法、エアーナイフ塗布法、カーテン塗布法等の方法を用いることができる。さらに電荷輸送層を設けるときに用いる溶剤としては、トルエン、キシレン、クロルベンゼン等の芳香族炭化水素類、アセトン、2−ブタノン等のケトン類、テトラヒドロフラン、エチルエーテル等の環状もしくは直鎖状のエーテル類等の通常の有機溶剤を単独あるいは2種以上混合して用いることができる。
また、帯電中に発生するオゾンや酸化性ガス、あるいは光、熱による感光層の劣化を防止する目的で、感光層中に酸化防止剤、光安定剤、熱安定剤等の添加剤を添加することができる。例えば、酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール、ヒンダードアミン、パラフェニレンジアミン、アリールアルカン、ハイドロキノン、スピロクロマン、スピロインダノン及びそれらの誘導体、有機硫黄化合物、有機燐化合物等が挙げられる。
光安定剤の例としては、ベンゾフェノン、ベンゾトリアゾール、ジチオカルバメート、テトラメチルピペリジン等の誘導体があげられる。また、感度の向上、残留電位の低減、繰り返し使用時の疲労低減等を目的として、少なくとも1種の電子受容性物質を含有してもよい。使用可能な電子受容物質としては、例えば、無水コハク酸、無水マレイン酸、ジブロム無水マレイン酸、無水フタル酸、テトラブロム無水フタル酸、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、o−ジニトロベンゼン、m−ジニトロベンゼン、クロラニル、ジニトロアントラキノン、トリニトロフルオレノン、ピクリン酸、o−ニトロ安息香酸、p−ニトロ安息香酸、フタル酸等や、一般式(I)で示される化合物をあげることができる。これらのうち、フルオレノン系、キノン系やCl,CN,NO等の電子吸引性置換基を有するベンゼン誘導体が特に好ましい。
次に、中間転写ベルトについて説明する。中間転写ベルトは、例えば、導電剤が含まれる基材で構成されている。必要に応じて、基材表面(ベルト表面)には、離型層などの機能層が設けられていてもよい。
そして、転写ベルト表層部の表面抵抗率の常用対数値が11.5(LogΩ/□)以上14(LogΩ/□)以下である必要がある。より好ましくは、12(LogΩ/□)以上14(LogΩ/□)以下である。11.5未満では転写時の発生するトナー飛び散りにより画質が劣化してしまう。一方、14を超える場合は、表面抵抗率は体積抵抗率と独立して制御可能であるが、必然的にバルク内の抵抗も高く、体積抵抗率の基準値(11LogΩ・cm)を超えることになり好ましくない。
また、表裏の表面抵抗率差が常用対数値で2(LogΩ/□)以下であることが好ましい。これは、表裏面で表面抵抗率差が2を超えて異なると、電場が印加された場合低い側の面で伝導を引き起こし、転写に必要な電場が有効に働かず、転写不良を起こしやすくなる場合があるためである。このため、表裏の表面抵抗率差は2以下であることが好ましい。表裏面の高低の順位はどちらでもかまわない。
体積抵抗率の常用対数値が8(LogΩ・cm)以上11(LogΩ・cm)以下であることが必要である。8未満では十分な転写電場が得られなくなり、転写不良が発生することがある。一方、11を超えると像担持体と中間転写ベルト間で放電が発生するようになり、画質へ悪影響を及ぼすため好ましくない。
体積抵抗率の調整は、導電剤の種類と量、分散度合いでできる。また、表面抵抗率は、導電剤の量による調整の他に体積抵抗率とは独立して、作製条件で変更することができる。具体的には、ベルト形状に皮膜形成する乾燥工程の温度と時間及びイミド化を促進する焼成工程へ投入するまでの間隔による変更が可能である。表面抵抗率測定方法を、図2を用いて説明する。
図2に示す電極は、ブロック状の電圧印加電極Aと電流測定電極B及び電極A,Bよりも大きく両電極を含む広さを有するガード電極Cを備える。電極A,Bとガード電極Cとの間に中間転写ベルトTを挟持し、電極Aと電極B,Cとの間に電圧200Vを印加し、印加開始10秒後の電流Iを電流計Aで測定し、下記式により、中間転写ベルトTの転写面の表面抵抗率ρs(Ω/□)を算出することができる。
[数4]
ρs=L×200/I
ここで、式中、L(cm)は電極A,Bの長さ、電極部A,B間の間隔距離は1cmを示す。
また、体積抵抗率測定方法を、同様に図3を用いて説明する。
図3に示す電極は、ブロック状の電圧印加電極Aと電極Aよりも大きい電流測定電極Bを備える。電極Aと電極Bとの間に中間転写ベルトTを挟持し、電極Aと電極Bとの間に電圧100Vを印加し、印加開始10秒後の電流Iを電流計Aで測定し、下記式により、中間転写ベルトTの転写面の体積抵抗率ρv(Ω・cm)を算出することができる。
[数5]
ρv=L×W×100/(t×I)
ここで、式中、L(cm)は電極Aの長さ、W(cm)は電極部Aの幅、t(cm)中間転写ベルトの厚みを示す。
中間転写ベルトの構成について詳細に説明する。まず、基材に用いる樹脂材料は、特に限定されるものではなく、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルエーテルエステル樹脂、ポリアレレート樹脂、ポリエステル樹脂、補強材を添加してなるポリエス樹脂などを挙げることができるが、駆動時(支持ロール、クリーニングブレード等の応力)による変形が少ないので、色ズレ等の画像欠陥が生じにくい点から、高ヤング率を有する材料が好ましい。特に、ポリイミド樹脂を主成分とする中間転写ベルトは高いヤング率が得られ好ましい。
ポリイミド樹脂は、通常、等モルのテトラカルボン酸二無水物或いはその誘導体と、ジアミンとを溶媒中で重合反応させてポリアミド酸溶液として得られる。テトラカルボン酸二無水物としては、例えば、下記の一般式(I)で示されるものが挙げられる。
(一般式(I)中、Rは4価の有機基であり、芳香族、脂肪族、環状脂肪族、芳香族と脂肪族を組み合わせたもの、又はそれらの置換された基である。)
テトラカルボン酸二無水物として具体的には、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,2’−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン酸二無水物、ペリレン−3,4,9,10−テトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、エチレンテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。
一方、ジアミンの具体例としては、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジクロロベンジジン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルスルフォン、1,5−ジアミノナフタレン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、3,3’−ジメチル4,4’−ビフェニルジアミン、ベンジジン、3,3’−ジメチルベンジジン、3,3’−ジメトキシベンジジン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフォン、4,4’−ジアミノジフェニルプロパン、2,4−ビス(β−アミノ第三ブチル)トルエン、ビス(p−β−アミノ−第三ブチルフェニル)エーテル、ビス(p−β−メチル−δ−アミノフェニル)ベンゼン、ビス−p−(1,1−ジメチル−5−アミノ−ベンチル)ベンゼン、1−イソプロピル−2,4−m−フェニレンジアミン、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、ジ(p−アミノシクロヘキシル)メタン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ジアミノプロピルテトラメチレン、3−メチルヘプタメチレンジアミン、4,4−ジメチルヘプタメチレンジアミン、2,11−ジアミノドデカン、1,2−ビス−3−アミノプロボキシエタン、2,2−ジメチルプロピレンジアミン、3−メトキシヘキサメチレンジアミン、2,5−ジメチルヘプタメチレンジアミン、3−メチルヘプタメチレンジアミン、5−メチルノナメチレンジアミン、2,17−ジアミノエイコサデカン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、1,10−ジアミノ−1,10−ジメチルデカン、12−ジアミノオクタデカン、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、ピペラジン、HN(CHO(CHO(CH)NH、HN(CHS(CHNH、HN(CHN(CH(CHNH等が挙げられる。
テトラカルボン酸二無水物とジアミンを重合反応させる際の溶媒としては、溶解性等の点より極性溶媒(有機極性溶媒)が好適に挙げられる。極性溶媒としては、N,N−ジアルキルアミド類が好ましく、具体的には、例えば、これの低分子量のものであるN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N,N−ジメチルメトキシアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホルトリアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ピリジン、テトラメチレンスルホン、ジメチルテトラメチレンスルホン等が挙げられる。これらは単数又は複数併用することができる。
中間転写ベルトとしては、導電剤が分散されたポリイミド樹脂からなる基材で構成することが好ましい。この導電剤としては、導電性もしくは半導電性の微粉末が使用でき、所望の電気抵抗を安定して得ることができれば、導電性に制限はないが、ケッチェンブラック、アセチレンブラック等のカーボンブラック、アルミニウムやニッケル等の金属、酸化錫等の酸化金属化合物、チタン酸カリウム等が例示できる。そしてこれらを単独、あるいは併用して使用してもよいが価格面で有利なカーボンブラックが好ましい。更に好ましくは、良好な分散安定性が得られ、中間転写体の抵抗バラツキを小さくすることができるとともに、電界依存性も小さくなり、転写電圧による電界集中がおきづらくなる電気抵抗の経時での安定性より、pH5以下の酸化処理カーボンブラックである。
酸化処理カーボンブラックは、カーボンブラックを酸化処理することで、表面にカルボキシル基、キノン基、ラクトン基、水酸基等を付与して製造することができる。この酸化処理は、高温雰囲気下で、空気と接触され、反応させる空気酸化法、常温下で窒素酸化物やオゾンと反応させる方法、及び高温下での空気酸化後、低い温度下でオゾン酸化する方法などにより行うことができる。具体的には、酸化処理カーボンブラックは、コンタクト法により製造することができる。このコンタクト法としては、チャネル法、ガスブラック法等が挙げられる。また、酸化処理カーボンブラックは、ガス又はオイルを原料とするファーネスブラック法により製造することもできる。必要に応じて、これらの処理を施した後、硝酸などで液相酸化処理を行ってもよい。なお、酸性カーボンブラックは、コンタクト法で製造することができるが、密閉式のファーネス法によって製造するのが通常である。ファーネス法では通常高pH・低揮発分のカーボンブラックしか製造されないが、これに上述の液相酸処理を施してpHを調整することができる。このためファーネス法製造により得られるカーボンブラックで、後工程処理によりpHが5以下となるように調節されたカーボンブラックも、本発明に含まれるとみなす。
酸化処理カーボンブラックのpH値は、pH5.0以下であるが、好ましくはpH4.5以下であり、より好ましくはpH4.0以下である。pH5.0以下の酸化処理カーボンは、表面にカルボキシル基、水酸基、キノン基、ラクトン基などの酸素含有官能基があるので、樹脂中への分散性がよいので、良好な分散安定性が得られ、中間転写ベルトの抵抗バラツキを小さくすることができるとともに、電界依存性も小さくなり、転写電圧による電界集中がおきづらくなる。
酸性カーボンブラックのpHは、カーボンブラックの水性懸濁液を調整し、ガラス電極で測定することで求めることができる。酸性カーボンブラックのpHは、酸化処理工程での処理温度、処理時間等の条件によって、適宜調整することができる。
酸化処理カーボンブラックは、その揮発成分が1〜25%、好ましくは2〜20%、より好ましくは、3.5〜15%含まれていることが好適である。揮発分が1%未満である場合には、表面に付着する酸素含有官能基の効果がなくなり、結着樹脂への分散性が低下することがある。一方、25%より高い場合には、結着樹脂に分散させる際に、分解してしまう、或いは、表面の酸素含有官能基に吸着された水などが多くなるなどによって、得られる成形品の外観が悪くなるなどの問題が生じることがある。従って、揮発分を上記範囲とすることで、結着樹脂中への分散をより良好とすることができる。この揮発分は、カーボンブラックを950℃で7分間加熱したときに、出てくる有機揮発成分(カルボキシル基、水酸基、キノン基、ラクトン基等)の割合により求めることが出来る。
酸化処理カーボンブラックは2種類以上含有してもよい。そのとき、これらのカーボンブラックは実質的に互いに導電性の異なるものであると好ましく、例えば酸化処理の度合い、DBP吸油量、窒素吸着を利用したBET法による比表面積等の物性が異なるものを用いる。このように導電性の異なる2種類以上のカーボンブラックを添加する場合、例えば高い導電性を発現するカーボンブラックを優先的に添加した後、導電率の低いカーボンブラックを添加して表面抵抗率を調整すること等が可能である。このように2種類以上のカーボンブラックを含有させる場合も、少なくとも、そのうちの1種類に酸化処理カーボンブラックを使うことによって、両方のカーボンブラックの混合や分散を高めることができる。
酸化処理カーボンブラックとして、具体的には、デグサ社製の「プリンテックス150T」(pH4.5、揮発分10.0%)、同「スペシャルブラック350」(pH3.5、揮発分2.2%)、同「スペシャルブラック100」(pH3.3、揮発分2.2%)、同「スペシャルブラック250」(pH3.1、揮発分2.0%)、同「スペシャルブラック5」(pH3.0、揮発分15.0%)、同「スペシャルブラック4」(pH3.0、揮発分14.0%)、同「スペシャルブラック4A」(pH3.0、揮発分14.0%)、同「スペシャルブラック550」(pH2.8、揮発分2.5%)、同「スペシャルブラック6」(pH2.5、揮発分18.0%)、同「カラーブラックFW200」(pH2.5、揮発分20.0%)、同「カラーブラックFW2」(pH2.5、揮発分16.5%)、同「カラーブラックFW2V」(pH2.5、揮発分16.5%)、キャボット社製「MONARCH1000」(pH2.5、揮発分9.5%)、キャボット社製「MONARCH1300」(pH2.5、揮発分9.5%)、キャボット社製「MONARCH1400」(pH2.5、揮発分9.0%)、同「MOGUL−L」(pH2.5、揮発分5.0%)、同「REGAL400R」(pH4.0、揮発分3.5%)等が挙げられる。
酸化処理カーボンブラックを精製する事も出来る。精製は、製造工程で混入した不純物、例えば残余の酸化剤、処理剤や副生成物等の不純物、その他の無機不純物や有機不純物を除去することである。例えば、不活性ガスや真空中で500〜1000℃程度にする高温加熱処理、二硫化炭素やトルエン等の有機溶媒処理、水スラリーのミキシングや有機酸水溶液中のミキシング処理等で不純物を除去する方法である。精製できれば如何なるものであってもよく、これらに限定するものではないが、粉体の加熱処理は製造工程上ハンドリングが難しく、エネルギーを多大に使うという難点がある。有機溶媒処理や水を主体とした処理が精製方法として好ましい。特に、安全面の観点から水主体の処理方法が好ましい。用いる水は、特に不純物が混入することを防止するため、イオン交換水、超純水、蒸留水、限外濾過水を使用することが好ましい。
酸化処理カーボンブラックは、一般的なカーボンブラックに比べ、前述したように表面に存在する酸素含有官能基の効果により、樹脂組成物中への分散性がよいため、導電性微粉末としての添加量を高くする事が好ましい。これにより、中間転写ベルト中のカーボンブラックの量が多くなるため、上記電気抵抗値の面内バラツキを押える事ができる等の酸化処理カーボンブラックを用いる事の効果を最大限発揮する事ができる。
酸化処理カーボンブラックを10〜30wt%含有する事により、中間転写ベルトの表面抵抗率の面内バラツキを抑制する等、酸化処理カーボンブラックの効果を発揮させている。この含有量が10wt%未満では電気抵抗の均一性が低下し、表面抵抗率の面内ムラや電界依存性が大きくなる。一方、30wt%を超えると所望の抵抗値が得られ難くなる。更に酸化処理カーボンブラックを18〜30wt%含有させる事により、その効果を最大限発揮させる事ができ、表面抵抗率の面内ムラや電界依存性を顕著に向上させる事ができる。
次に、導電剤としてカーボンブラックを分散させたポリアミド酸溶液を用いて、中間転写ベルトを作製する例を以下に例示するがこれに限定するものではない。まず、精製したカーボンブラックを用意し、有機極性溶媒に分散する。分散方法は、予備攪拌を行った後に分散機、ホモジナイザーにより分散する方法が好ましい。カーボンブラックの精製方法と同様に微細メディアの混入がカーボンブラックの精製効果を低下させてしまうため、メディアを使用しないメディアフリーの分散方法が好ましく、特に高粘度溶液を均一に分散できるジェットミルが好ましい。
得られたカーボンブラック分散液中にジアミン成分と酸二無水物成分を溶解・重合させてカーボンブラックを分散させたポリアミド酸溶液を作製する。
先に得られたカーボンブラック分散液中に、上記ジアミン成分及び上記酸無水物成分を溶解・重合させてカーボンブラック分散したポリアミド酸溶液を作製する。この際、モノマー濃度(溶媒中におけるジアミン成分と酸無水物成分の濃度)は種々の条件により設定されるが、5〜30質量%が好ましい。また、反応温度は80℃以下に設定する事が好ましく、特に好ましくは5〜50℃であり、反応時間は5〜10時間である。
カーボンブラックを分散したポリアミド酸溶液は高粘度溶液であるため、作製時に混入した気泡は自然に抜けることはなく、塗布により気泡に起因するベルトの突起、へこみ、穴等の欠陥が発生する。このため、脱泡することが望ましい。脱泡はできる限り塗布直前に行うことが好ましい。
シームレスベルトを形成する場合、例えばポリアミド酸溶液を円筒状金型の外周面に浸漬する方式や、内周面に塗布する方式や更に遠心する方式、或いは注形型に充填する方式などの適宜な方式でリング状に展開し、その展開層を乾燥成膜してベル卜形に成形し、その成形物を加熱処理してポリアミド酸をイミドに転化して型より回収する方法などの従来に準じた適宜な方法により行うことができる(特開昭61−95361号公報、特開昭64−22514号公報、特開平3−180309号公報等)。シームレスベルトの形成に際しては、型の離型処理を施すことができる。
イミドに転化するには200℃以上の高温処理が一般的である。200℃以下では十分なイミド転化が得られない。一方、高温処理はイミド転化に有利であり、安定した特性が得られるが、熱エネルギーを使用するため、熱効率が悪くコストが高くなるため、中間転写体の特性と生産性を考慮して熱処理温度を決める必要がある。このようにして中間転写ベルトを作製することができる。
乾燥による皮膜作製工程とイミド転化の焼成工程は、別々の工程として乾燥と焼成の間に間隔を設けても良い。また、生産性の観点から間隔を設けず、連続的に過熱を行い焼成まで行うこともできる。但し、この場合、イミド転化過程で発生する水や溶媒の蒸気が、成膜層を変形させることがあり、蒸気を上手く抜けるように徐々に温度をあげる方法や表面層が硬化した段階から加速させて過熱する方法などがあり、中間転写ベルトの成膜品質と生産性から工程を決定する必要がある。
また、乾燥から焼成の時間を30分以内にすることで表層部の表面抵抗率を高くすることができる。好ましくは、乾燥から焼成時の温度低下をゼロにすることが好ましい。また、乾燥時の最高温度と達するまでの時間により、表層部表面抵抗を変更することもできる。1時間以内に150度以上の加熱まで達すると表層部表面抵抗率を高くすることができる。
また、中間転写ベルトのヤング率は2000MPa以上が好ましい。高速印刷を行なう時に、ヤング率が高いことで変形が低減でき、像乱れの発生が抑えられる。このヤング率Eは、単位断面積にかかる力ΔSと単位長さでの伸びΔaを測定することにより下記式より算出することができる。
[数6]
式:E=ΔS/Δa
ここで、ΔSは、負荷Fとサンプルの膜厚t、サンプル幅wより、ΔS=F/(w×t)で表され、Δaは、サンプル基準長さL、負荷印加時のサンプル伸びΔLより、Δa=ΔL/Lで表される。
本実施の形態では、サンコー電子社製渦電流式膜厚計CTR−1500Eを使用した。ヤング率測定は、一般市販の引張り試験機を使用することができる。本発明では、アイコーエンジニアリング社製引張り試験機MODEL−1605Nを使用した。また、中間転写体ベルトは、0.05mm以上0.5mm以下の厚みであり、好ましくは、0.06mm以上0.30mm以下、より好ましくは、0.06mm以上0.15mm以下である。ベルトの総厚みが、0.05mm未満の場合には、中間転写ベルトとして必要な機械特性を満足させる事が難しくなり、0.5mmを超える場合には、ロール屈曲部での変形によってベルト表面の応力が集中して、表面層にクラックが発生する等の問題が生じる場合がある。
中間転写ベルトの厚みの測定は、一般の接触式、非接触式膜厚計を使用することができる。
中間転写ベルトは、転写面の硬度が、表面微小硬度で30以下であることが好ましく、25以下であることがより好ましい。前記表面微小硬度とは、金属材料の硬さ測定等に広く用いられているビッカース硬さのように、くぼみの対角線長さを求めるという方法はとらず、圧子が試料にどれだけ侵入したかを測定する方法によって求めることができる。試験荷重P(mN)、圧子の試料への侵入量(押し込み深さ)D(μm)としたとき、表面微小硬度DHは下記式で定義される。
[数7]
DH≡αP/D2
ここで、αは圧子形状による定数で、α=3.8584(使用圧子:三角錐圧子の場合)である。
この表面微小硬度は、圧子を押し込んで行く過程の過重と押し込み深さから得られる硬さで、試料の塑性変形だけでなく、弾性変形をも含んだ状態での材料の強度特性を表すものである。なおかつ、その計測面積は微小であり、トナー粒径に近い範囲でより正確な硬度の測定が可能になる。ここで得られた表面微小硬度と、ホロキャラクターの発生レベルには相関があり、中間転写ベルトの転写面の表面微小硬度が30以下の場合には、後述する二次転写部において、バイアスローラの押圧力によって中間転写ベルトの転写面の変形が起こり、これにより中間転写ベルト上のトナーに集中していた押圧力は分散される。このためトナーは凝集せず、ライン画像が中抜けするホロキャラクター等の画質欠陥は発生しない。
なお、表面微小硬度は、下記の方法によって求めた。中間転写ベルトを5mm角程度に切り、その小片を瞬間接着剤で硝子版に固定する。この試料の表面の表面微小硬度を超微小硬度計DUH−201S(株式会社島津製作所製)を用いて測定する。測定条件は、以下の通りである。
測定環境:22℃、55%RH
使用圧子:三角錐圧子
試験モード:3(軟質材料試験)
試験荷重:0.70gf
負荷速度:0.0145gf/sec
保持時間:5sec
本実施の形態の画像形成装置に用いられる静電潜像現像用現像剤は、トナーおよびキャリアからなる二成分現像剤である。但し、以下に述べるトナーは、磁性トナーまたは非磁性トナーであっても良い。なお、「静電潜像現像用現像剤」を以下「現像剤」と略す。
本実施の形態において、トナーとして、例えば、少なくとも樹脂粒子を分散させてなる分散液中で、該樹脂粒子のガラス転移点以下の温度に加熱して凝集粒子を形成し、凝集粒子分散液を調製する第1工程と、前記凝集粒子分散液中に、微粒子を分散させてなる微粒子分散液を添加混合して前記凝集粒子に前記微粒子を付着させて付着粒子を形成する第2工程と、前記付着粒子を加熱して融合する第3工程とを含むいわゆる凝集合一法で作成されるトナーを用いることができる。
このトナーの特徴は、粒子の形状が比較的丸く、粒度分布が狭い事、トナー表面が比較的均一で帯電性が高く、帯電分布も狭く良好であることなどが上げられる。
従って、前記キャリアとの混合で得られる静電荷像現像用現像剤は極めて流動性が高く現像性が良好であるため高品位カラ−現像剤としては良好な物が得られる。
なお、他のトナーとしては重合トナー、溶解懸濁トナー、乳化凝集トナー、または混練/粉砕/分級/球形化トナー等も利用できる。
ここでは、現像剤に使用するトナーとして、乳化凝集トナーを例に取り以下に説明する。
例えば、特開平10−026842号公報、特開平10−133423号公報、特開平10−198070号公報、特開平11−231570号公報等に開示されるように、このトナーは少なくとも樹脂粒子を分散させてなる分散液中で、該樹脂粒子のガラス転移点以下の温度に加熱して凝集粒子を形成し、凝集粒子分散液を調製する第1工程と、前記凝集粒子分散液中に、微粒子を分散させてなる微粒子分散液を添加混合して前記凝集粒子に前記微粒子を付着させて付着粒子を形成する第2工程と、前記付着粒子を加熱して融合する第3工程とを含むことを特徴とする静電荷像現像用トナーの製造方法にて作製されたものである。
体積平均粒径および形状、分布の調整は凝集粒子分散液の調整条件や付着粒子を形成する時の条件及び前記付着粒子を加熱して融合する時の条件で調整できる。
前記分散液は、少なくとも樹脂粒子を分散させてなるものである。前記樹脂粒子は、樹脂製の粒子である。前記樹脂としては、例えば熱可塑性結着樹脂などが挙げられ、具体的には、スチレン、パラクロロスチレン、α−メチルスチレン等のスチレン類の単独重合体又は共重合体(スチレン系樹脂);アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸2−エチルヘキシル等のビニル基を有するエステル類の単独重合体又は共重合体(ビニル系樹脂);アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のビニルニトリル類の単独重合体又は共重合体(ビニル系樹脂);ビニルメチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等のビニルエーテル類の単独重合体又は共重合体(ビニル系樹脂);ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類の単独重合体又は共重合体(ビニル系樹脂);エチレン、プロピレン、ブタジエン、イソプレン等のオレフィン類の単独重合体又は共重合体(オレフィン系樹脂);エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ポリエーテル樹脂等の非ビニル縮合系樹脂、及びこれらの非ビニル縮合系樹脂とビニル系単量体とのグラフト重合体などが挙げられる。これらの樹脂は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの樹脂の中でも、スチレン系樹脂、ビニル系樹脂、ポリエステル樹脂、オレフィン系樹脂が好ましく、スチレンとアクリル酸n−ブチルとの共重合体、アクリル酸n−ブチル、ビスフェノールA・フマル酸共重合体、スチレンとオレフィンとの共重合体が特に好ましい。
前記樹脂粒子の平均粒径としては、通常1μm以下であり、0.01〜1μmであるのが好ましい。前記平均粒径が1μmを超えると、最終的に得られる静電荷像現像用トナーの粒径分布が広くなったり、遊離粒子の発生が生じ、性能や信頼性の低下を招き易い。一方、前記平均粒径が前記範囲内にあると前記欠点がない上、トナー間の偏在が減少し、トナー中の分散が良好となり、性能や信頼性のバラツキが小さくなる点で有利である。なお、前期平均粒径は、例えばレーザー回折法(堀場製作所製:LA−700)を用いて測定することができる。
前記着色剤としては、例えば、カーボンブラック、クロムイエロー、ハンザイエロー、ベンジジンイエロー、スレンイエロー、キノリンイエロー、パーメネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、 ウオッチヤングレッド、パーマネントレッド、ブリリアンカーミン3B、ブリリアンカーミン6B、デイポンオイルレッド、ピラゾロンレッド、リソールレッド、ローダミンBレーキ、レーキレッドC、ローズベンガル、アニリンブルー、ウルトラマリンブルー、カルコオイルブルー、メチレンブルークロライド、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、マラカイトグリーンオキサレレートなどの種々の顔料;アクリジン系、キサンテン系、アゾ系、ベンゾキノン系、アジン系、アントラキノン系、ジオキサジン系、チアジン系、アゾメチン系、インジコ系、チオインジコ系、フタロシアニン系、アニリンブラック系、ポリメチン系、トリフェニルメタン系、ジフェニルメタン系、チアジン系、チアゾール系、キサンテン系などの各種染料;などが挙げられる。これらの着色剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記着色剤の平均粒径としては、通常1μm以下であり、0.01〜1μmであるのが好ましい。前記平均粒径が1μmを超えると、最終的に得られる静電荷像現像用トナーの粒径分布が広くなったり、遊離粒子の発生が生じ、性能や信頼性の低下を招き易い。一方、前記平均粒径が前記範囲内にあると前記欠点がない上、トナー間の偏在が減少し、トナー中の分散が良好となり、性能や信頼性のバラツキが小さくなる点で有利である。なお、前記平均粒径は、例えばレーザー回折法(堀場製作所製:LA−700)を用いて測定することができる。
なお、本発明においては目的に応じて、前記分散液に、離型剤、内添剤、帯電制御剤、無機粒体、滑剤、研磨材などのその他の成分を分散させていてもよい。なお、その場合、樹脂粒子を分散させてなる分散液中にその他の粒子を分散させてもよいし、樹脂粒子を分散させてなる分散液に、その他の粒子を分散させてなる分散液を混合してもよい。
前記離型剤としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等の低分子量ポリオレフィン類;加熱により軟化点を有するシリコーン類;オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、リシノール酸アミド、ステアリン酸アミド等の脂肪酸アミド類;カルナウバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス、木ロウ、ホホバ油等の植物系ワックス;ミツロウ等の動物系ワックス;モンタンワックス、オゾケライト、セレシン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス等の鉱物・石油系ワックス;及びそれらの変性物などが挙げられる。
なお、これらのワックス類は、水中にイオン性界面活性剤、高分子酸、高分子塩基等の高分子電解質と共に分散し、融点以上に加熱し、強い剪断力を印加可能なホモジナイザーや圧力吐出型分散機を用いて処理すると、容易に1μm以下の微粒子にされ得る。
前記帯電制御剤としては、例えば、4級アンモニウム塩化合物、ニグロシン系化合物、アルミ、鉄、クロムなどの錯体からなる染料、トリフェニルメタン系顔料などが挙げられる。なお、本発明における帯電制御剤としては、凝集時や融合時の安定性に影響するイオン強度の制御と廃水汚染減少の点で、水に溶解しにくい素材のものが好ましい。
前記無機粒体としては、例えば、シリカ、アルミナ、チタニア、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、リン酸カルシウム、酸化セリウム等の通常トナー表面の外添剤として使用される総ての粒子が挙げられる。前記滑剤としては、例えば、エチレンビスステアラミド、オレイン酸アミド等の脂肪酸アミド、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウムなどの脂肪酸金属塩が挙げられる。前記研磨材としては、例えば、前述のシリカ、アルミナ、酸化セリウムなどが挙げられる。
本実施の形態においては、各色成分トナーとして、樹脂微粒子と各々イエロー、マゼンタ、シアン、及び、ブラックの顔料微粒子を凝集・合一して体積平均粒径約3〜7μm、トナーの形状係数SF1は、画像形成性の点より100≦SF1≦140、好ましくは110≦SF1≦130にすることが好ましい。この形状係数SF1は、形状係数の平均値(周囲長の2乗/投影面積)は、例えば、以下の如き方法にて算出される。即ち、スライドグラス上に散布したトナーの光学顕微鏡像をビデオカメラを通じてルーゼックス画像解析装置に取り込み、100個のトナーから、(最大長の2乗)×π×100/(投影面積×4)を計算し、平均値を求めることにより得られるものである。
球形度が100に近いほど形状は真球により近くなり、より球形に近い形状のトナーとすることで、現像器などのストレスをトナー粒子内で均一に受けることが可能であるため、トナーの割れ欠けや樹脂被覆層の部分的(主に凸部)離脱を抑制することができ、抵抗特性及び形状変化を生じない。一方、上記平均球形度の範囲外では、不定形粒子の存在が多く機内のストレスが不均一にかかり歪易くなる。結果としてトナーの割れ欠け(低抵抗微粉の増加)や樹脂層の離脱が生じ、抵抗特性変化や不定形微粉の増加が見られ、トナー付着及び潜像担持体表面劣化が発生してしまう。しかしながら、トナーの平均球形度を制御するだけでは、ある程度のトナー付着は抑制できるものの、潜像担持体表面の劣化を十分には抑制できないのが現状である。
また、トナーの製造方法として、上述以外の方法として、熱可逆性樹脂を顔料、帯電制御剤、ワックスなどの離型剤とともに溶融混練し、冷却後、微粉砕し、さらに分級する混練粉砕製法がある。
本実施の形態の画像形成装置に用いられる現像剤が二成分現像剤の場合、キャリアとしては、特に制限はなく、それ自体公知のキャリアが挙げられ、例えば、特開昭62−39879号公報、特開昭56−11461号公報等に記載された樹脂被覆キャリア等の公知のキャリアが挙げられる。
キャリアの具体例としては、以下の樹脂被覆キャリアが挙げられる。該キャリアの核体粒子としては、通常の鉄粉、フェライト、マグネタイト造型物などが挙げられ、その体積平均粒径は、30〜200μm程度の範囲である。
また、樹脂被覆キャリアの被覆樹脂としては、例えば、スチレン、パラクロロスチレン、α−メチルスチレン等のスチレン類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸2−エチルヘキシル等のα−メチレン脂肪酸モノカルボン酸類;ジメチルアミノエチルメタクリレート等の含窒素アクリル類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のビニルニトリル類;2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン等のビニルピリジン類;ビニルメチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等のビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類;エチレン、プロピレン等のオレフィン類;弗化ビニリデン、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロエチレン等のビニル系フッ素含有モノマー;などの単独重合体、又は2種類以上のモノマーからなる共重合体、さらに、メチルシリコーン、メチルフェニルシリコーン等を含むシリコーン樹脂類、ビスフェノール、グリコール等を含有するポリエステル類、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリカーボネート樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は、1種単独で用いてもよいし、あるいは2種以上併用してもよい。被覆樹脂の被覆量としては、前記核体粒子100質量部に対して0.1質量部以上10質量部以下程度の範囲が好ましく、0.5質量部以上3.0質量部以下の範囲がより好ましい。
キャリアの製造には、加熱型ニーダー、加熱型ヘンシェルミキサー、UMミキサーなどを使用することができ、前記被覆樹脂の量によっては、加熱型流動転動床、加熱型キルンなどを使用することができる。
また、本発明の現像剤においては、トナーとキャリアとの混合比としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、トナーの比率を、現像剤全体の1質量%以上15質量%以下、好ましくは3質量%以上12質量%以下の範囲が適当である。
以下、本発明の画像形成装置における主な部材について詳細に説明する。
まず、帯電手段としては、特に制限はなく、例えば、導電性又は半導電性のローラ、ブラシ、フィルム、ゴムブレード等を用いた接触型帯電器、コロナ放電を利用したスコロトロン帯電器やコロトロン帯電器などのそれ自体公知の帯電器が挙げられる。これらの中でも、帯電補償能力に優れる点で接触型帯電器が好ましい。前記帯電手段は、前記電子写真感光体に対し、通常、直流電流を印加するが、交流電流をさらに重畳させて印加してもよい。
露光手段としては、特に制限はなく、例えば、前記電子写真感光体表面に、半導体レーザ光、LED光、液晶シャッタ光等の光源、或いはこれらの光源からポリゴンミラーを介して所望の像様に露光できる光学系機器等が挙げられる。
現像手段としては、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、一成分系現像剤又は二成分系現像剤をブラシ、ローラ等を用い接触或いは非接触させて現像する公知の現像器等が挙げられる。
転写手段としての第一転写手段としては、例えば、ベルト、ローラ、フィルム、ゴムブレード等を用いた接触型転写帯電器、コロナ放電を利用したスコロトロン転写帯電器やコロトロン転写帯電器等のそれ自体公知の転写帯電器が挙げられる。これらの中でも、転写帯電補償能力に優れる点で接触型転写帯電器が好ましい。なお、本発明においては、前記転写帯電器の他、剥離帯電器等を併用することもできる。
転写手段としての第二転写手段としては、第一転写手段として例示した転写ローラ等の接触型転写帯電器、スコロトロン転写帯電器やコロトロン転写帯電器等が挙げられる。これらの中でも、第一転写手段と同様に接触型転写帯電器が好ましい。転写ローラ等の接触型転写帯電器により強く押圧するようにすると、画像の転写状態を良好な状態に維持させることができる。また、中間転写体を案内するローラの位置で転写ローラ等の接触型転写帯電器を押圧すると、中間転写体から被転写体に対してトナー像を移転させる作用を良好な状態で行うことが可能になる。
光除電手段としては、例えば、タングステンランプ、LED等が挙げられ、該光除電プロセスに用いる光質としては、例えば、タングステンランプ等の白色光、LED光等の赤色光等が挙げられる。該光除電プロセスにおける照射光強度としては、通常、電子写真感光体の半減露光感度を示す光量の数倍乃至30倍程度になるよう出力設定される。
定着手段としては、特に制限はなく、それ自体公知の定着器、例えば熱ローラ定着器、オーブン定着器等が挙げられる。クリーニング手段としては、特に制限はなく、それ自体公知のクリーニング装置等を用いればよい。
<付記>
(1)請求項1または請求項2に記載の画像形成装置において、前記中間転写ベルトは、乾燥温度を維持した後、情勢することにより得られる単層転写ベルトである。
(2)上記(1)に記載の画像形成装置において、前記中間転写ベルトの前記乾燥温度は、100℃から200℃であり、好ましくは120℃から170℃である。
(3)円筒状金型への塗布用溶液を塗布後、塗膜を乾燥させ、乾燥温度から加熱温度に上げで円筒状金型を加熱して皮膜を形成してなる単層の中間転写ベルトの製造方法である。
以下、本発明を、実施例を挙げてさらに具体的に説明する。ただし、これら各実施例は、本発明を制限するものではない。
[感光体の準備]
(導電性支持体の準備)
導電性支持体には、ED管アルミニウム(30mmφ)の表面に、アルミナ球状微粉末(体積平均粒子径D50=30μm)を用いて液体ホーニング法により中心線平均粗さRa75=0.18μmに粗面化処理したものを用いた。
(下引き層の形成)
ポリビニルブチラール樹脂(エスレックBM−S、積水化学社製)4質量部をn−ブチルアルコール170質量部に溶解させ、さらに有機ジルコニウム化合物(アセチルアセトンジルコニウムブチレート)30質量部及び有機シラン化合物(γ−アミノプロピルトリメトキシシラン)3質量部の混合物を混合攪拌し、下引き層形成用塗布液を得た。そして、導電性支持体の表面に、得られた下引き層形成用塗布液を浸漬塗布法により塗布し、150℃において1時間の硬化処理を行い、膜厚0.9μmの下引き層を形成した。
(電荷発生層の形成)
Cukα線を用いたX線回折スペクトルのブラッグ角度(2θ±0.2°)において、7.4°、16.6°、25.5°、28.3°の位置に回折ピークを有するクロルガリウムフタロシアニン3質量部、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体(VMCH、日本ユニカー社製)2質量部、及び、酢酸ブチル180質量部からなる混合物をサンドミルにより4時間分散処理し、電荷発生層形成用塗布液を得た。
そして、下引き層が形成された導電性支持体の表面に、得られた電荷発生層形成用塗布液を浸漬塗布法により塗布し、これを乾燥させて膜厚0.2μmの電荷発生層を形成した。
(電荷輸送層の形成)
下記構造式で示される電荷輸送材料(N,N−ビス(3,4−ジメチルフェニル)ビフェニル−4−アミン)40質量部と、ビスフェノールZ型ポリカーボネート(ユーピロンZ300、三菱化学社製)60質量部と、をテトラヒドロフラン200質量部に加えて溶解させ、電荷輸送層形成用塗布液を得た。
そして、下引き層及び電荷発生層が形成された導電性支持体の表面に、得られた電荷輸送層形成用塗布液を浸漬塗布法により塗布し、これを115℃において45分間乾燥させて電荷輸送層を形成した。
以上のようにして、3層からなる感光体を作製した。ここで、電荷輸送層を膜厚20μmで形成したものを感光体Aとし、膜厚25μmで形成したものを感光体Bとし、膜厚30μmで形成したものを感光体Cとし、膜厚45μmで形成したものを感光体Dとし、膜厚50μmで形成したものを感光体Eとした。
なお、表面電荷密度は、電荷輸送層の結着樹脂であるビスフェノールZ型ポリカーボネートの比誘電率(2.9)を使用して計算した。
[中間転写ベルトの準備]
表1に示すポリアミド酸のNMP溶液(固形分濃度:20質量%)とカーボンブラックとを湿式ジェトミル分散機(ジーナス製:GeanusPY)で分散処理(150MPa、5pass)し、カーボンブラック分散ポリアミド酸溶液を得た。これをステンレス製20μmメッシュに通過させて、異物、カーボンブラック凝集物を取り除いた。更に、攪拌しながら真空脱泡を15分間行い、最終的な塗布用溶液を作製した。
次に、得られた最終的な塗布用溶液を円筒状金型内面(外径302mm、長さ500mm、肉厚10mm)に、ディスペンサーを介して厚みが0.5mmになるように塗布し、1500rpmで15分間回転させて均一な厚みを有する展開層とした後、250rpmで回転させながら、60℃の熱風を30分間あてた後、150℃で2時間加熱乾燥し、NMPを除去し半硬化状態とした。そのまま、金型を冷却することなく焼成温度(300℃)まで昇温してイミドの転化を行い、所望のポリイミドベルト(中間転写ベルト)を得たものを条件Aとした。一方、焼成前に一旦25℃まで冷却し、2時間後に再度過熱し、焼成温度(300℃)まで昇温してイミドの転化を行い、所望のポリイミドベルトを得たものを条件Bとした。
ベルトの厚さは約80μmであった。
以下、表1に組成と作製条件を一覧にして示す。
ここで、表1中、ポリアミド酸の欄には、用いたポリアミド酸の構成成分と共に、その商品名を記載した。また、カーボンブラックの欄には、下記に示すカーボンブラックの略語を記載し、( )内の数値は、ポリアミド酸のNMP溶液100質量部に対する添加量(質量部)を記載した。なお、表1中の略語の詳細は下記のとおりである。
BPDA:ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、
ODA:オキシジアニリン、
SB4A:スペシャルブラック4A(Degussa社製)
また、得られたそれぞれのポリイミドベルトを本文中記載の抵抗測定方法で測定した結果を表1右の欄に示す。なお、測定環境は、22℃/55%RHで行った値である。
(実施例1〜9、比較例1〜7)
表2に従った組合せで感光体及び中間転写ベルトを、図1に示す構成の富士ゼロックス社製DocuCentreColor2220改造機を使用して、100,000サイクル(以下「100Kサイクル」ともいう)および300,000サイクル(以下「300Kサイクル」ともいう)まで通紙試験を行い、初期と100Kサイクル、300Kサイクル後(経時)の画質評価を行った。なお、初期画質で欠陥があった場合試験を中止した。その際、帯電電圧(感光体表面電位)は、表面電荷密度を変えるために一部変更した。画質評価は、ハーフトーン20%、30%の濃度均一性及び画質欠陥(放電マーク、白抜け)を目視判定し、濃度不均一、画質欠陥、濃度変化があった場合は×、また、12ポイントの英字及び漢字を観察し、トナーの飛び散りが発生している場合は×として判定した。表2には×印には、画質項目を併記しどの項目で判定が×になったかを明記した。トナーの形状係数SF1が130の球形トナーAを含む二成分現像剤としてはDocuCentreColor4300用の現像剤(富士ゼロックス社製)を用いた。また、トナーの形状係数SF1が約145の不定形トナーBを含む二成分現像剤としては、DocuColor1250用現像剤(富士ゼロックス社製)を用いた。なお、初期画質で欠陥があった場合試験を中止した。その際、帯電電圧(感光体表面電位)は、表面電荷密度を変えるために一部変更した。画質評価は、ハーフトーン20%、30%の濃度均一性及び画質欠陥(放電マーク、白抜け)を目視判定し、濃度不均一、画質欠陥、濃度変化があった場合は×、また、12ポイントの英字及び漢字を観察し、トナーの飛び散りが発生している場合は×として判定した。表2には×印には、画質項目を併記しどの項目で判定が×になったかを明記した。
[画質評価の基準]
画質評価の基準は目視により評価し、次の通りである。
◎:初期と画質に差がない。
○:初期より若干画質に変化しているが、画質に問題ない。
△:初期より画質が変化するも、画質は問題ない範囲である。
×:画質に問題がある。
本発明の活用例として、電子写真方式を用いた複写機、プリンタ等の画像形成装置等への適用がある。
本発明の画像形成装置の一実施形態を示す概略構成図である。 表面抵抗率の計測方法を説明する図である。 体積抵抗率の計測方法を説明する図である。
符号の説明
1 トナーカートリッジ、2 定着ロール、3 背面ロール、4 張力付与ロール、5 2次転写ロール、6 用紙経路、7 用紙保持容器、8 レーザー発生装置、9 感光体、10 1次転写ロール、11 駆動ロール、12 転写クリーナー、13 帯電ロール、14 感光体クリーナー、15 現像器、16 中間転写ベルト。

Claims (3)

  1. 像担持体と、前記像担持体の表面を帯電する帯電手段と、前記帯電手段により帯電された前記像担持体に、画像情報に応じた露光により静電潜像を前記像担持体に形成する露光手段と、前記像担持体上の静電潜像をトナー像に形成する現像手段と、前記トナー像を中間転写ベルトに一次転写した後、記録媒体に二次転写する転写手段と、を有する画像形成装置であって、
    前記像担持体は、像担持体の電荷輸送層以上の表層までの膜厚が25μm以上45μm以下であり、帯電時表面電荷密度が2.4×10−4C/m以上7.5×10−4C/m以下であり、かつ、
    前記中間転写ベルトは、転写ベルト表層部の表面抵抗率の常用対数値が11.5(LogΩ/□)以上14(LogΩ/□)以下であり、且つ、体積抵抗率の常用対数値が8(LogΩcm)以上11(LogΩcm)以下であることを特徴とする画像形成装置。
  2. 請求項1に記載の画像形成装置において、
    前記中間転写ベルトは、導電剤を含有してなるポリイミド単層樹脂からなる基材であることを特徴とする画像形成装置。
  3. 請求項1または請求項2に記載の画像形成装置において、
    前記中間転写ベルトは、単層転写ベルトであることを特徴とする画像形成装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2014148604A (ja) * 2013-01-31 2014-08-21 Fuji Xerox Co Ltd ポリイミド前駆体組成物、ポリイミド前駆体組成物の製造方法、転写ベルト、転写ベルトの製造方法、転写ベルトユニット、及び画像形成装置

Cited By (1)

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JP2014148604A (ja) * 2013-01-31 2014-08-21 Fuji Xerox Co Ltd ポリイミド前駆体組成物、ポリイミド前駆体組成物の製造方法、転写ベルト、転写ベルトの製造方法、転写ベルトユニット、及び画像形成装置

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