JP2006267737A - 画像形成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 特にトナーが球状や小粒径であっても二次転写後の中間転写体上の残留トナー確実に除去することができ、さらに、従来の中間転写体では困難であったトナーの飛び散り(ブラー)による画質欠陥が著しく少なく、高品質の転写画質を安定して得ることができる画像形成装置を提供することである。
【解決手段】 少なくとも、像担持体上にトナー像を形成する手段、該トナー像を中間転写体上に一次転写する手段、該中間転写体上のトナー像を転写材上に二次転写する手段、該二次転写後に前記中間転写体の表面を光照射により除電する光除電手段、、前記中間転写体表面に残った二次転写残トナーを回収するクリーニング手段、及び該クリーニング手段の上流側かつ前記光照射手段の下流側に、前記中間転写体表面の二次転写残トナーの帯電極性及び帯電量を制御する帯電制御部材を備えた画像形成装置である。
【選択図】 なし

Description

本発明は、複写機やプリンタ等の電子写真方式を用いた画像形成装置に関し、より詳細には、中間転写体を用いた画像形成装置に関する。
電子写真方式を用いた画像形成装置においては、まず、無機または有機材料からなる光導電性感光体からなる像担持体表面に一様な電荷を形成し、画像信号を変調したレーザー光等で静電濳像を形成した後、帯電したトナーで前記静電濳像を現像して可視化したトナー像が形成される。そして、該トナー像を中間転写体を介して、或いは、直接、記録紙等の記録材に静電的に転写し、そして、転写されたトナー像を記録材に定着することにより所要の再生画像が得られる。
特に、フルカラー画像形成に関しては、前記像担持体に形成したトナー像を中間転写体に一次転写し、更に、中間転写体上のトナー像を記録材に二次転写する方式を採用した画像形成装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。また、機械特性や耐熱性に優れたポリイミド系樹脂に導電性フィラーを分散してなる中間転写ベルトが提案されている(例えば、特許文献2及び3参照)。
このような中間転写体の体積抵抗率とトナー像の画質との間には、下記に示すような密接な関係があることが知られている。
まず、中間転写体の体積抵抗率ρvが低すぎる(ρv≦108Ωcm)場合、1次転写ロールによる転写電界と転写電流との作用で、トナー層のない領域に転写電界が印加され易くなるために転写領域が広がり、その作用によって転写時のトナーの飛び散りが著しく発生し画質が低下することが知られている(例えば、特許文献4参照)。
また、中間転写体の体積抵抗率ρvが高い(ρv>1014Ωcm)場合には、トナー画像領域における中間転写体の電荷保持性が増加し、転写に必要な電界を適切にトナーへ印加することができる。一方、隣接する非画像部の中間転写体表面及び内部の電荷移動は減少するため、1次及び2次転写においてこの領域へのトナー転写が起こり難くなる。このことにより、中間転写体の体積抵抗率が高い場合には、トナーの飛び散りが少なく良好な画質のトナー形成像が得られる。しかし、この場合は、トナー転写後に中間転写体に蓄積した電荷を除電する工程が必要となり、除電工程で中間転写体を均一に除電することが困難なため、現在、実用化されていない。
現在実用化されている画像形成装置の中間転写体は、体積抵抗率ρvが中間値(108Ωcm≦ρv≦1014Ωcm)のものである。このような画像形成装置は、中間転写体の半導電性により、帯電電荷が適当に減衰する。すなわち、中間転写体の体積抵抗率の平均値は、帯電電荷が適当に減衰する範囲(体積抵抗率が適切な範囲)に有るので、除電部材を使用せずに連続して画像形成を行うことができる。
ところが、前記中間転写体の体積抵抗率の平均値が前記適切な範囲(帯電電荷が適当に減衰する範囲)にあったとしても、このような中間転写体においては、前記1次転写ロールによる転写電界と転写電流との作用で、トナー層のない領域に転写電界が印加され易くなるために転写領域が広がり、その作用によってトナーが飛び散って転写されてしまう問題が発生する場合がある。また、近年の高品質の転写画質を得るために、トナーは、小径の球形トナーを用いる傾向にあり、トナーが、小径化、球形化されることで、転写電界によって、容易にトナーが移動し易いためにトナーが飛び散ってしまう問題が発生する問題が起き易い。
一方、通常転写工程後に像担持体上に残留トナーが残存するため、これを清掃するためにクリーニング装置が設けられる。この種のクリーニング装置において、例えばクリーニング部材として弾性ブレードを使用する態様にあっては、弾性ブレードが離間した時に弾性ブレード先端部分に堆積したトナーが中間転写ベルト上に残留し、次プロセスで画像上にブレード跡を発生させるという問題がある。また、長期使用により弾性ブレードと中間転写ベルトとが摩耗し、クリーニング不良・転写効率低下が起こるという問題がある。略球形トナーを使用する画像形成装置において、ブレードクリーニング方式を採用すると、略球形トナーがその形状に起因してブレードと像担持体との間をすり抜ける確率が高く、クリーニング不良が発生し易くなるため、そのクリーニング不良に起因した画質の低下が生じ易くなる問題がある。
また、クリーニング部材としてファーブラシ(ブラシロール)を使用する態様にあっては、装置が大型化・複雑化し、コスト高になるという問題がある。そこで、これらの問題を解消するという観点からすれば、クリーニング部材として導電性ロール(クリーニングロール)を使用する方式が採用される場合がある。
この種のクリーニングロールを使用したクリーニング方式には、中間転写ベルト上の残留トナーを静電的にクリーニングロールに吸着させるようにして回収する方式がある(例えば、特許文献5、6参照)。しかし、トナーと逆極性のバイアス電圧(直流電圧または直流電圧に交流電圧を重畳)を印加してクリーニングロールに吸着させた後、クリーニングロール用ブレードやブラシ等で吸着した残留トナーを掻き落し回収する。このとき、静電的に吸着することができるトナーは同一極性のトナーとなるが、二次転写残留トナーの帯電分布は必ずしも均一でなく、異なる極性のトナーが混在しているため、回収できないトナーが中間転写ベルト上にとどまり、次の画像形成時に混入するという技術的課題が生ずる。
また、帯電制御ロールにより中間転写ベルト上の残留トナーの極性を揃えた後に回収用のクリーニングロール回収する方式がある(例えば、特許文献7、8参照)。しかしながら、あらかじめ、帯電制御ロールにより二次転写残留トナーの帯電分布を揃えた後クリーニングロールに吸着させるようにするためは、カラー画像のように、中間転写ベルト上に多くの二次転写残留トナーが残留した場合には、あらかじめ帯電制御ロールにより二次転写残留トナーの帯電分布を揃えようとしても、重層したトナー層のために下層のトナー層まで極性を揃えるということが難しくなる。
特開昭62−206567号公報 特開平5−77252号公報 特開平10−63115号公報 特開平8−248779号公報 特開平10−333447号公報 特開平11−7226号公報 特開平4−81785号公報 特開2000−284606号公報
本発明は、前記従来における問題を解決し、以下の目的を達成することを目的とする。
すなわち、本発明は、特にトナーが球状や小粒径であっても二次転写後の中間転写体上の残留トナー確実に除去することができ、さらに、従来の中間転写体では困難であったトナーの飛び散り(ブラー)による画質欠陥が著しく少なく、高品質の転写画質を安定して得ることができる画像形成装置を提供することを目的とする。
上記課題は、以下の本発明により達成される。すなわち本発明は、
<1> 少なくとも、像担持体上にトナー像を形成する手段、該トナー像を中間転写体上に一次転写する手段、該中間転写体上のトナー像を転写材上に二次転写する手段、該二次転写後に前記中間転写体の表面を光照射する光照射手段、及び前記中間転写体表面に残った二次転写残トナーを静電的に回収するクリーニング手段を有し、前記クリーニング手段の上流側かつ前記光照射手段の下流側に、さらに前記中間転写体表面の二次転写残トナーの帯電極性及び帯電量を制御する帯電制御部材を備えた画像形成装置である。
<2> 前記中間転写体が、少なくとも基材と、表面層として設けられた光導電層と、を有する2層以上の構成からなる<1>に記載の画像形成装置である。
<3> 前記中間転写体が、前記基材と表面層との間に1層以上の中間層を有してなり、該中間層のJIS A硬度が40〜70度の範囲であり、前記基材のヤング率が2000〜8000MPaの範囲の樹脂材料である<2>に記載の画像形成装置である。
<4> 形状係数SF1が、100〜140の範囲であるトナーを用いる<1>〜<3>のいずれかに記載の画像形成装置。
本発明によれば、特にトナーが球状や小粒径であっても二次転写後の中間転写体上の残留トナー確実に除去することができ、さらに、従来の中間転写体では困難であったトナーの飛び散り(ブラー)による画質欠陥が著しく少なく、高品質の転写画質を安定して得ることができる画像形成装置を提供することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の画像形成装置は、少なくとも、像担持体上にトナー像を形成する手段、該トナー像を中間転写体上に一次転写する手段、該中間転写体上のトナー像を転写材上に二次転写する手段、該二次転写後に前記中間転写体の表面を光照射する光照射手段、及び前記中間転写体表面に残った二次転写残トナーを静電的に回収するクリーニング手段を有する画像形成装置であって、前記クリーニング手段の上流側かつ前記光照射手段の下流側に、さらに前記中間転写体表面の二次転写残トナーの帯電極性及び帯電量を制御する帯電制御部材を備えたことを特徴とする。
本発明においては、上記構成のように、中間転写体上の二次転写残トナー(以下、「転写残トナー」という場合がある)に対し、光照射により除電してから帯電制御ロールにより二次転写残トナーの帯電分布を揃え、クリーニング手段に静電的に吸着させるようにすることで、クリーニング不良を生じることなく、中間転写体から残留トナーを除去することができる。
すなわち、光照射による除電で中間転写体上で不均一な帯電分布となっているトナー帯電量を一旦ゼロ状態にリセットし、その後再帯電することにより、従来のように二次転写後にいきなり帯電した場合に比べ、転写残トナーの帯電量分布を均一にすることができ、静電的にトナーを吸着するクリーニング手段に対してクリーニング効率を格段に高められることがわかった。
その結果、上記本発明の構成によれば、球状や小粒径のトナーを用いた画像形成装置において、転写画質(ブラー)に優れ、かつトナーのクリーニング性に優れる、高品質の転写画質を安定して得ることのできる画像形成装置を提供することできる。
本発明の画像形成装置は、中間転写体方式の画像形成装置であり、その基本構成は、中間転写体の表面に形成されたトナー像を転写材に転写した後に、該中間転写体の表面を光照射する光照射手段と、前記中間転写体表面に残った二次転写残トナーを静電的に回収するクリーニング手段と、該クリーニング手段の中間転写体移動方向の上流側で、かつ前記光照射手段の下流側に、前記中間転写体表面の二次転写残トナーの帯電極性及び帯電量を制御する帯電制御部材とを備えるものであり、他の構成は特に限定されるものではない。例えば、現像装置内に単色のトナーのみを収容する通常のモノカラーの画像形成装置や、感光体ドラム等の像担持体上に担持されたトナー像を中間転写体に順次一次転写を繰り返すカラー画像形成装置、各色毎の現像器を備えた複数の像担持体を中間転写体上に直列に配置したタンデム型カラー画像形成装置等のいずれでもよい。
また、本発明の画像形成装置は、複数の中間転写体を備える構成であってもよい。その際、本発明の画像形成装置は、複数の中間転写体のうち少なくとも1つが、その周囲に前記光照射手段、帯電制御手段及びクリーニング手段を備えていればよく、全てが前記光照射手段、帯電制御手段及びクリーニング手段を備えていることが好ましい。
本発明における「転写材」とは、中間転写体の表面のトナー像を、記録用紙やOHPシート等の記録材に間接的に転写する際に用いる中間転写体、或いは、直接的に転写する場合に用いる前記記録材の両方を意味する。従って、本発明の画像形成装置は、例えば、本発明の中間転写体の表面に形成されたトナー像を、更に別の中間転写体(転写材)に転写するというような、複数の中間転写体を備える構成であってもよい。この際も、本発明の画像形成装置は、複数の中間転写体のうち少なくとも1つが、その周囲に前記光照射手段、帯電制御手段及びクリーニング手段を備えていればよく、全てが前記光照射手段、帯電制御手段及びクリーニング手段を備えていることが好ましい。
なお、後述する、図1及び図3を参照して説明する画像形成装置においては、「転写材」は記録材である。
一例として、表面層が光導電層により構成される中間転写体を中間転写ベルトとして用いた、順次一次転写を繰り返すカラー画像形成装置を示す。
図1は、本発明の画像形成装置の要部部分を説明する模試図である。該画像形成装置は、像担持体としての感光体ドラム21、中間転写体としての中間転写ベルト22、中間転写ベルト22に光照射する除電ランプ(光照射手段)91、帯電制御ロール(帯電制御手段)94、クリーニングロール(クリーニング手段)96、転写電極であるバイアスローラ(二次転写手段)23、転写媒体である記録紙を供給する用紙トレー24、Bk(ブラック)トナーによる現像器25、Y(イエロー)トナーによる現像器26、M(マゼンタ)トナーによる現像器27、C(シアン)トナーによる現像器28、剥離爪33、ベルトローラ41、43及び44、バックアップローラ42、導電性ローラ(一次転写手段)45、電極ローラ46、クリーニングブレード51、記録紙61、ピックアップローラ62、並びにフィードローラ63を有してなる。なお、図1に示される中間転写ベルト22は、後述する表面層に光導電層を有する中間転写体である。
次に、図1に示す画像形成装置の構成について説明する。感光体ドラム21の周囲には、これに近接し矢印A方向に沿って、ブラック現像器25、イエロー現像器26、マゼンタ現像器27、シアン現像器28が順次配置されている。また、感光体ドラム21に対して、これら4色の現像器が配置された側と反対側に、中間転写ベルト22を挟んで導電性ローラ45が、感光体ドラム21と圧接するように配置されている。
中間転写ベルト22は、その内周面に接して矢印B方向に順次配置された導電性ロール45、ベルトローラ41、ベルトローラ43、バックアップローラ42、ベルトローラ44により張架されており、中間転写ベルト22を挟んで、ベルトローラ44の反対側には帯電制御ロール94が配置されている。また、中間転写ベルト22の、バックアップローラ42とベルトローラ44とにより張架された部分の外周面に接触するように剥離爪33が配置されている。
加えて、バイアスローラ23と帯電制御ロール94との間の中間転写ベルト22の外周面側には除電ランプ91が設置されており、また、その内周部に当接するように、アースされた除電用導電部材90が設置されている。一方、帯電制御ロール94と感光体ドラム21との間の中間転写ベルト22の外周面側にはクリーニングロール96が配置されている。すなわち、帯電制御ロール94はクリーニングロール96の上流側で、かつ除電ランプ91の下流側に設けられている。
バックアップローラ42は、中間転写ベルト22を介して、バイアスローラ23と圧接しており、用紙61が、バックアップローラ42(に押圧された中間転写ベルト22)とバイアスローラ23との間を挿通可能である。バイアスローラ23の周囲には、この表面に接触するようにクリーニングブレード51が設けられている。また、バックアップローラ42のバイアスローラ23が配置された側のほぼ反対側に、バックアップローラ42と接して電極ローラ46が配置されている。
バックアップローラ42とバイアスローラ23との間を用紙41が通過する方向には、一対のお互いに接触したフィードローラ63が配置され、2つのフィードローラ63の間を用紙41が挿通可能である。また、一対のフィードローラ63の、バックアップローラ42及びバイアスローラ43が設けられた側の反対側には、用紙61をストックした用紙トレー24と、用紙トレー24から用紙61を一対のフィードローラ63の接触部に供給するピックアップローラが配置されている。
次に、図1に示す画像形成装置を用いた画像形成について説明する。まず、感光体ドラム21は矢印A方向に回転し、図示しない帯電装置でその表面が一様に帯電される。帯電された感光体ドラム21にレーザー書込み装置等の画像書き込み手段により第一色(例えば、Bk)の静電潜像が形成される。この静電潜像はブラック現像器25によってトナー現像されて可視化されたトナー像Tが形成される。トナー像Tは、感光体ドラム21の回転で導電性ローラ45(一次転写手段)が配置された一次転写部に到り、導電性ローラ45からトナー像Tに逆極性の電界を作用させることにより、前記トナー像Tは、静電的に中間転写ベルト22に吸着されつつ中間転写ベルト22の矢印B方向の回転で一次転写される。
以下、同様にして第2色のトナー像、第3色のトナー像、第4色のトナー像が順次形成され、中間転写ベルト22において重ね合わされ、多重トナー像が形成される。
中間転写ベルト22に転写された多重トナー像は、中間転写ベルト2の回転でバイアスローラ23(二次転写手段)が設置された二次転写部に到る。二次転写部は、中間転写ベルト22のトナー像が担持された表面側に設置されたバイアスローラ23と該中間転写ベルト22の裏側からバイアスローラ23に対向するように配置されたバックアップローラ42及びこのバックアップローラ42に圧接して回転する電極ローラ46から構成される。
記録紙61は、用紙トレー24に収容された記録紙束からピックアップローラ62で一枚ずつ取り出され、フィードローラ63で二次転写部の中間転写ベルト22とバイアスローラ23との間に所定のタイミングで給送される。給送された記録紙61は、バイアスローラ23及びバックアップローラ42による圧接搬送と中間転写ベルト22の回転により、該中間転写ベルト22に担持されたトナー像が転写される。
トナー像が転写された記録紙61は、最終トナー像の一次転写終了まで退避位置にある剥離爪33を作動せることにより中間転写ベルト22から剥離され、図示しない定着装置に搬送され、加圧/加熱処理でトナー像を固定して永久画像とされる。尚、多重トナー像の記録紙61への転写の終了した中間転写ベルト22は、二次転写部の下流に設けたクリーニングロール(クリーニング手段)96で残留トナーの除去が行われて次の転写に備える。また、バイアスローラ23は、ポリウレタン等からなるクリーニングブレード51が常時当接するように取り付けられており、転写で付着したトナー粒子や紙紛等の異物が除去される。
単色画像の転写の場合、一次転写されたトナー像を直ちに二次転写して定着装置に搬送するが、複数色の重ね合わせによる多色画像の転写の場合、各色のトナー像が一次転写部で正確に一致するように中間転写ベルト22と感光体ドラム21との回転を同期させて各色のトナー像がずれないようにする。前記二次転写部では、バイアスローラ23と中間転写ベルト22を介して対向配置したバックアップローラ42に圧接した電極ローラ46に、トナー像の極性と同極性の出圧(転写電圧)を印加することで、該トナー像を記録紙61に静電反発で転写する。
前記のように、二次転写後転写残として中間転写ベルト表面に残ったトナーは、クリーニングロール96により静電的に吸引され除去される。このクリーニング部におけるクリーニング方法としては、例えば中間転写ベルト22の抵抗が比較的低い場合(1×108Ωcm程度)の場合には二次転写後クリーニング部材に達するまでに、トナーの電荷がほとんどリークするため、ブレード等により容易に転写残トナーを除去できる。一方、中間転写ベルト22の抵抗が比較的高いと(1×1013Ωcm程度)、前記のような電荷のリークが起こり難くなるため、クリーニングの前に強制的に再帯電させてから静電的にトナーを吸引(回収)する方法が用いられる。
本発明においては、前記のようにトナーの飛び散り等を回避するため、中間転写ベルト22の抵抗値を比較的高く設定しているため、後者の静電的吸着によるクリーニング方式を採用している。
しかしながら、前記再帯電前のトナーの電荷分布は均一でないため、再帯電後のトナーの電荷量も均一でなく、その結果、クリーニングにおける静電的な吸引も不均一になりクリーニング不良が発生しやすい。
本発明においては、従来の帯電制御部材による再帯電の前に光照射による光照射手段を設けることにより、上記問題を解決した。
すなわち、二次転写後に再帯電を行う帯電制御ロール94の上流側に、光照射手段として除電ランプ91を配置し、再帯電前に中間転写ベルト22に光照射を行うことにより、中間転写ベルト表面の導電性を高め転写残トナーの残留電荷を除去する構成とした。具体的には、転写残トナーの電荷は、除電ランプ91により中間転写ベルト22の光導電層(表面層)に光を照射して導電性を発現させることでリークされる。
なお、図1に示す画像形成装置では、中間転写ベルト22の表面層を光導電層としているが、該光導電層を有していない場合でも同様の効果が奏せられる。
次いで、前記除電ランプ91による光照射により均一に電荷がほぼゼロとなった転写残トナーに、帯電制御ロール96により正または負の電荷が与えられるが、この場合の電荷付与はほとんど電荷を有していないトナーに対して行われるため、付与後のトナーの帯電は均一なものとなる。したがって、次のクリーニング部において、前記帯電制御ロール94に印加されたバイアスと逆バイアスが印加されたクリーニングロール96により、転写残トナーは確実にクリーニングされることとなる。
図2に、光除電部、帯電制御部及びクリーニング部を含む構成を拡大した模式図を示す。
図2においては、残留トナーRが静電的に吸着せしめられるクリーニングロール96と、このクリーニングロール96の上流側に設けられて前記残留トナーR通過時に中間転写ベルト22に対し光照射する除電部材91と、前記クリーニングロール96の上流側に設けられ、中間転写ベルト22に残留したトナーRの帯電極性及び帯電量を制御する帯電制御ロール94とが備えられている。
クリーニング部材としては、クリーニングロール96のようにロール状のものに限られず、ブレード状、ブラシ状のものであってもよいが、ロール状、ブラシ状であることが好ましい。また、クリーニングロール96は独立の機能部材であってもよいし、他の機能部材(例えば感光体ドラムなど)と兼用してもよい。
本実施の形態において、クリーニングロール96には、図2に示すように、クリーニング用バイアスVBCを印加するためのバイアス電源97が接続されている。本発明においては、VBCは+200〜+800Vの範囲とすることが好ましい。
ここで、クリーニングロール96としては、ロールの軸としての導電性支持体は鉄・ニッケルメッキ処理鉄・銅・ステンレスなどを用い、導電性弾性体層としてはエピクロロヒドリンゴム・ポリエーテルウレタン・ポリエステルウレタンゴム・クロロプレンゴム・NBR・EPDMブレンドNBRゴム・SBRゴム・ブチルゴム等にアルカリ金属・4級アンモニウム塩構造を有する各種アルキルアンモニウム塩を0.01〜10%混合させ、表面層に使用されるバインダー樹脂としてはポリエステル・ポリアミド・ポリウレタン・メラミン樹脂・PMMAまたはPMBAのようなアクリル樹脂・ポリビニルブチラール・ポリビニルアセタール・ポリアリレート・ポリカーボネート・フェノキシ樹脂・ポリ尿素・ポリ酢酸ビニル等を挙げることができる。
更に、クリーニングロール96としては、抵抗値として体積抵抗率で1×105〜1×1011Ω・cm(1kV印加時)を有するものが望ましいが、これに限定されるものではなく、以下に述べるように金属ロールを使用することも可能である。
例えば弾性中間転写ベルトを使用する場合は、中間転写ベルトが弾性部材であるため、中間転写ベルトとクリーニングロール96との密着性が上がるため、クリーニングロール96として鉄・ニッケルメッキ処理鉄・銅・ステンレスなどでできた金属ロールのように硬度の高い部材を使用することもできる。
なお、クリーニングロール96上には図示外のトナー回収部材が設けられ、クリーニングロール96に吸着された残留トナーを掻き取り除去するようになっている。また、クリーニングロール96を使用せず、一次転写部にて中間転写ベルト22上の残留トナーを静電的に感光体ドラム21(クリーニングロールとして実質的に機能)に吸着させ、感光体ドラム21のクリーニング装置により回収することも可能である。
本発明においては、除電ランプ91は帯電制御ロール94の上流側に配置されていることが必要とされる。本態様によれば、残留トナーRが中間転写ベルト22への光照射による電荷のリーク後に帯電制御されることになり、残留トナーRの帯電状態を均一化することが可能である。
除電ランプ91としては、例えば、赤色光LED(Light Emitting Diode)やLD(Laser Diode)などを用いることができる。また、除電ランプ91は電源93に接続されており、電源93からの電圧供給により、例えば、照射光量(露光エネルギー)が5〜20mJ/m3の範囲の光照射を行う。
帯電制御ロール94は、残留トナーRの帯電極性、帯電量を制御するものであれば適宜選定してよく、除電ランプ91と通常別体であるが、両機能を実現可能であれば、一体的に構成してもよい。
この帯電制御部材の形態については、図に示したようなロール状を始め適宜選定して差し支えない。本実施の形態において、図2に示すように、帯電制御部材としては例えば帯電制御ロール94が用いられ、この帯電制御ロール94には帯電用バイアスVBTを印加するためのバイアス電源95が接続されている。本発明においては、VBTを+200〜+800Vの範囲とすることが好ましい。また、このときの帯電の極性としては、特に制限されないが、トナーが帯電されやすい極性(システム全体が負帯電トナーを用いた構成のときは負極性)とすることが好ましい。
前記帯電制御ロール94としては、クリーニングロール96と同様に構成して差し支えないが、体積抵抗率がクリーニングロール96より低い、1×102〜1×108Ω・cm(1kV印加時)となるものが望ましい。但し、この範囲に限定されるものではなく、前記クリーニングロール96と同様に、金属ロールを使用することも可能である。
以上のような除電ランプ91による光照射後、転写残トナーの帯電制御を行うことにより、二次転写残トナーの帯電分布をそろえることができ、その後の静電的なクリーニングにおいてクリーニング不良を生じることがなく、確実に中間転写ベルト22の残留トナーを除去することができる。
次に、本発明に用いられる中間転写体について説明する。
本発明に用いられる中間転写体は、ドラム状又はベルト状に構成することが可能であるが、中間転写ベルトであることが好ましい。また、該中間転写ベルトとしては特に制限されないが、例えば、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリプロピレン等の合成樹脂または各種のゴムに、カーボンブラック等の帯電防止剤を適当量含有させたものが用いられ、その体積抵抗率が1×109〜1×1013Ω・cmの範囲となるものが用いられる。
本発明においては、前記光照射による転写残トナーの除電を効果的に行う観点から、中間転写体として、少なくとも基材と、表面層として光が照射されない状態では誘電体であり体積抵抗率が高く、かつ、光が照射されると導電性を示す光導電層とを有する2層以上からなるものであることが好ましい。
以下、前記光導電層を有する中間転写体を構成する各部材について説明する。
(表面層)
本発明における中間転写体に設けられる表面層は、前記のように、光が照射されない状態では誘電体であり体積抵抗率が高く、かつ、光が照射されると導電性を示す光導電層である。つまり、かかる光導電層は、光未照射時には、誘電体の体積抵抗率を有し、光照射時には導電性を示すことになり、光の照射により、抵抗率が変化する層である。
このような中間転写体は、一次転写及び二次転写時は光未照射状態にある。この時、中間転写体は、誘電体並の高体積抵抗率である。そのため、このような高い体積抵抗率を有する中間転写体を使用し、転写電圧を印加した場合、転写電界の広がりがなく、トナーの飛散を抑制することができ、良好な転写像を得ることができる。
ここで、本発明における「体積抵抗率が高く(高い)」とは、表面層である光導電層に対し、光が照射された状態での体積抵抗率が1×1013Ωcm以上であることを指し、好ましくは、体積抵抗率が1×1014Ωcm以上である。
上記光導電層としては、中間転写体の表面層を構成する材料に、光導電物質を添加したものであってもよいし、電子写真用感光体に用いられる感光層であってもよい。また、電荷輸送層と、電荷発生層と、からなる多層構造の光導電層であってもよい。
以下、表面層としての電荷発生層及び電荷輸送層を含む多層構造の光導電層について説明する。ここで、電荷発生層は光が照射された状態で電荷を発生する機能を有し電荷輸送層は光が照射されない状態では誘電体層であり体積抵抗率が高く、かつ、光が照射された状態では負極性の電子又は正極性のホールのいずれかのキャリアにより電荷を輸送する機能を有する。
このような多層構造の光導電層は、電荷発生層上に電荷輸送層が設けられている必須の構成であれば、他の任意の層、例えば、下引層や表面保護層を含んでいてもよい。
下記に、図4を用いて、この多層構造を構成する各層について順に説明する。 ここで、図4は、本発明における中間転写体の構成例を示す概略断面図であり、(A)は中間転写体100aの構成を示す概略断面図であり、(B)は中間転写体100bの構成を示す概略断面図である。
図4(A)に示されるように、中間転写体100aの構成としては、基材110と、光導電層120と、からなり、かかる光導電層120は、下引層122と、電荷発生層124と、電荷輸送層126と、を含む。
また、図4(B)に示されるように、中間転写体100bの構成としては、基材110と、光導電層120と、基材110と光導電層120との間に設けられた中間層130とからなり、光導電層120は、下引層122と、電荷発生層124と、電荷輸送層126と、表面保護層128と、を含むものでもよい。なお、中間層130は1層であっても2層以上であっても良い。
前記電荷発生層は、基材と電荷輸送層との間に設けられる層であって、光が照射された状態で電荷を発生する機能を有する。かかる電荷発生層は、電荷発生物質を真空蒸着により形成するか、電荷発生物質を有機溶剤及び結着樹脂と共に分散し、塗布することにより形成される。
電荷発生層に用いられる電荷発生物質としては、非晶質セレン、結晶性セレン、セレン−テルル合金、セレン−ヒ素合金、その他のセレン化合物及びセレン合金、酸化亜鉛、酸化チタン等の無機系光導電体及びこれらを色素増感したもの;無金属フタロシアニン、チタニルフタロシアニン、銅フタロシアニン、錫フタロシアニン、ガリウムフタロシアニンなどの各種フタロシアニン顔料;スクエアリウム系、アントアントロン系、ペリレン系、アゾ系、アントラキノン系、ピレン系、ピリリウム塩、チアピリリウム塩等の各種有機顔料及び染料が用いられる。また、これらの有機顔料は一般に数種の結晶型を有しており、特に、フタロシアニン顔料ではα型、β型などをはじめとしてさまざまな結晶型が知られているが、目的にあった感度その他の特性が得られる顔料であるならば、これらのいずれの結晶型でも用いることが可能である。
本発明において、優れた性能が得られる電荷発生物質として以下の化合物が特に好適である。すなわち、Cukα線を用いたX線回折スペクトルのブラッグ角度(2θ±0.2°)において、少なくとも、7.6°、10.0°、25.2°、28.0°の位置に回折ピークを有する結晶型に代表されるヒドロキシガリウムフタロシアニン、Cukα線を用いたX線回折スペクトルのブラッグ角度(2θ±0.2°)において、少なくとも、7.3°、16.5°、25.4°、28.1°の位置に回折ピークを有する結晶型に代表されるクロルガリウムフタロシアニン、Cukα線を用いたX線回折スペクトルのブラッグ角度(2θ±0.2°)において、少なくとも、9.5°、24.2°、27.3°の位置に回折ピークを有する結晶型に代表されるチタニルフタロシアニン、などを挙げることができる。
なお、結晶の形状や測定方法によりこれらのピーク強度が位置が微妙にこれらの値から外れることも有るが、X線回折パターンが基本的に一致しているものであれば同じ結晶型であると判断できる。また、これらの電荷発生物質は、1種又は2種以上を組み合せて使用できる。
電荷発生層において用いられる結着樹脂としては、以下のものを例示することができる。ビスフェノールAタイプ或いはビスフェノールZタイプなどのポリカーボネート樹脂及びその共重合体;ポリアリレート樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体樹脂、塩化ビニリデン−アクリルニトリル共重合体樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン−アルキド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、スチレン−アルキッド樹脂、ポリ−N−ビニルカルバゾールなどである。
これらの結着樹脂は、単独或いは2種以上混合して用いることが可能である。電荷発生物質と結着樹脂との配合比(質量比)は、10:1〜1:10の範囲が望ましい。電荷発生物質を結着樹脂中に分散させる方法としては、ロールミル、ボールミル、振動ボールミル、アトライター、ダイノーミル、サンドミル、コロイドミルなどの方法を用いることができる。
また、電荷発生層の厚みは、一般には、0.01〜5μm、好ましくは、0.05〜2.0μmの範囲に設定される。
なお、電荷発生層の膜厚を変えることにより電荷発生層での光吸収が異なるが、電荷発生層での膜厚を厚くすることにより光の吸収が多くなり、光導電層全体での膜厚分布があったとしても、光に対する感度のばらつきを少なくすることができ、転写効率の面内均一性を高めることができる。
なお、電荷発生層の反射光量は、単に膜厚のみならず、照射光に対する顔料の吸収係数、顔料と結着樹脂との配合比、及び顔料の分散状態によっても影響を受けるために、単に膜厚からでは規定されない。
前記電荷輸送層は、上述した電荷発生層表面に設けられる層であって、光が照射されない状態では誘電体層であり体積抵抗率が高く、かつ、光が照射された状態では負極性の電子又は正極性のホールのいずれかのキャリアにより電荷を輸送する機能を有する。かかる電荷輸送層は、電荷発生物質及び結着樹脂を適当な溶媒に溶解し、それを塗布することにより形成される。
電荷輸送層に用いられる電荷輸送物質としては、下記に示すものが例示できる。すなわち、オキサジアゾール誘導体、ピラゾリン誘導体、芳香族第3級アミノ化合物、芳香族第3級ジアミノ化合物、1,2,4−トリアジン誘導体、ヒドラゾン誘導体、ベンゾフラン誘導体、α−スチルベン誘導体、エナミン誘導体、カルバゾール誘導体、ポリ−N−ビニルカルバゾール及びその誘導体などの正孔輸送物質。さらに、キノン系化合物、テトラシアノキノジメタン系化合物、フルオレノン化合物、オキサジアゾール系化合物、キサントン系化合物、チオフェン化合物、ジフェノキノン化合物など、或いは、以上に示した化合物からなる基を主鎖又は側鎖に有する重合体などが挙げられる。
これらの電荷輸送物質は、1種又は2種以上を組み合せて使用できる。
電荷輸送物質の電荷輸送極性により光導電層の帯電極性が異なるため、中間転写体の帯電極性は、電荷輸送物質の電荷輸送極性により決定される。正孔輸送物質を用いた場合には、中間転写体は負帯電で用いられ、電子輸送物質を用いた場合には、中間転写体は正帯電で用いられる。また、電荷輸送物質として両者を混合した場合には、中間転写体は両帯電極性となる。
電荷輸送層に用いられる結着樹脂には任意のものを用いることができるが、特に電荷輸送物質と相溶性を有し、適当な強度を有することが望ましい。
結着樹脂の例として、ビスフェノールAやビスフェノールZ、ビスフェノールC、ビスフェノールTPなどからなる各種のポリカーボネート樹脂やその共重合体;ポリアリレート樹脂やその共重合体;ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体樹脂、シリコーン樹脂、シリコーンアルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、スチレン−アクリル共重合体樹脂、アチレン−アルキッド樹脂、ポリ−N−ビニルカルバゾール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂などが挙げられる。これらの結着樹脂は単独或いは2種以上の混合物として使用することができる。
本発明で用いられる結着樹脂の分子量は、光導電層の膜厚や溶剤などの成膜条件によって適宜選択されるが、通常は、粘度平均分子量で3000〜30万、より好ましくは2万〜20万の範囲が適当である。
電荷輸送層は、前記電荷輸送物質及び結着樹脂を適当な溶媒に溶解させた溶液を塗布し、乾燥することによって形成することができる。電荷輸送層の形成に使用される溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、クロルベンゼン等の芳香族炭化水素系;アセトン、2−ブタノン等のケトン類;塩化メチレン、クロロホルム、塩化エチレン等のハロゲン化脂肪族炭化水素類;テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコール、ジエチルエーテル等の環状或いは直鎖状エーテル;或いはこれらの混合溶剤などを用いることができる。
また、塗布液には、塗膜の平滑性向上のためのレベリング剤として、シリコーンオイルを微量添加することもできる。
塗布方法としては、中間転写体の形状や用途に応じて、浸漬塗布法、リング塗布法、スプレー塗布法、ビード塗布法、ブレード塗布法、ローラー塗布法、ナイフ塗布法、カーテン塗布法などの塗布法を用いて行うことができる。また、乾燥は、室温での指触乾燥の後に加熱乾燥するのが好ましい。加熱乾燥は、30℃〜200℃の温度で5分〜2時間の範囲の時間で行うことが望ましい。電荷輸送物質と結着樹脂との配合比は10:1〜1:5が好ましい。
電荷輸送層の膜厚は、一般に5〜50μmの範囲、好ましくは、10〜40μmの範囲に設定される。
電荷輸送層には、電子写真装置中で発生するオゾンや酸化性ガス、或いは、光・熱による劣化を防止する目的で、酸化防止剤・光安定剤・熱安定剤などの添加剤を添加することができる。
例えば、酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール、ヒンダードアミン、パラフェニレンジアミン、アリールアルカン、ハイドロキノン、スピロクロマン、スピロインダノン及びそれらの誘導体、有機硫黄化合物、有機燐化合物などが挙げられる。
また、電荷輸送層には、感度の向上、残留電位の低減、繰り返し使用時の疲労低減等を目的として、少なくとも1種の電子受容性物質を含有することができる。
本発明における電荷輸送層に用いられる電子受容性物質としては、例えば、無水琥珀酸、無水マレイン酸、ジブロム無水マレイン酸、無水フタル酸、テトラブロム無水フタル酸、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、o−ジニトロベンゼン、m−ジニトロベンゼン、クロラニル、ジニトロアントラキノン、トリニトロフルオレノン、ピクリン酸、o−ニトロ安息香酸、p−ニトロ安息香酸、フタル酸などを挙げることができる。これらのうち、フルオレノン系、キノン系や、Cl、CN、NO2等の電子吸引性置換基を有するベンゼン誘導体が特によい。
更に、電荷輸送層が最表面層となる場合には、表面の潤滑性向上のために電荷輸送層中にテフロン(登録商標)などのフッ素系樹脂からなる離型性固体粒子を含有させることも可能である。
フッ素系樹脂粒子の電荷輸送層中含有量は、電荷輸送層全量に対し、0.1〜40質量%が適当であり、特に1〜30質量%が好ましい。含量が1質量%未満ではフッ素系樹脂粒子の分散による改質効果が十分でなく、一方、40質量%を越えると光通過性が低下し、かつ、繰返し使用による残留電位の上昇が生じてくる。前記フッ素系樹脂粒子の一次粒子径は、0.05〜1μmの範囲がよく、更に好ましくは0.1〜0.5μmが好ましい。
また、フッ素系樹脂粒子に加えて、更に、無機粒子を加えてもよい。
無機粒子の電荷輸送層中含有量は、電荷輸送層全量に対し、0.1〜30質量%が適当であり、特に1〜20質量%が好ましい。含量が1質量%未満では無機粒子の分散による改質効果が十分でなく、一方、30質量%を越えると繰返し使用による残留電位の上昇が生じてくる。無機粒子の一次粒子径は、0.005〜2.0μmの範囲がよく、更に好ましくは0.01〜1.0μmが好ましい。
また、本発明において分散液の分散安定性を向上させるため、及び、塗膜形成時の凝集を防止するために分散助剤を少量添加することも有効である。分散助剤として、フッ素系界面活性剤、フッ素系ポリマー、シリコーン系ポリマー、シリコーンオイル等が挙げられる。中でも、フッ素系ポリマー、特に、フッ素系クシ型グラフトポリマーが分散助剤として有効であり、フッ素系クシ型グラフトポリマーとしては、アクリル酸エステル化合物、メタクリル酸エステル化合物、スチレン化合物等からなるマクロモノマー及びパーフルオロアルキルエチルメタクリレートよりグラフト重合された樹脂が好ましい。
前記下引層は、図4(A)及び(B)に示されるように、基材110と電荷発生層124との間に設けられる層であって、電気的なブロッキング層の役割と、上層である電荷発生層との濡れ性改善の役割とを果たす。
かかる下引層は、ポリビニルブチラールなどのアセタール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、カゼイン、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ゼラチン、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン−アルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂などの高分子樹脂化合物の他に、ジルコニウム、チタニウム、アルミニウム、マンガン、シリコン原子などを含有する有機金属化合物などの材料から形成される。これらの化合物は単独に或いは複数の化合物の混合物或いは重縮合物として用いることができる。中でも、ジルコニウム原子若しくはケイ素原子を含有する有機金属化合物は、残留電位が低く環境による電位変化が少なく、また繰り返し使用による電位の変化が少ないなど性能上優れている。有機金属化合物は単独・混合で、或いは上述の樹脂と混合して用いることが可能である。
本発明における下引層は、膜厚が大きすぎる場合には電気的な障壁が強くなりすぎて減感や繰り返しによる電位の上昇を引き起こす。したがって、上述の構成の下引層を形成する場合には、0.1〜3μmの範囲の膜厚範囲に設定される。
本発明においては、中間転写体の耐磨耗性を向上させ寿命を延ばしたり、電荷輸送層の化学的変化を防止するなどの目的から、電荷輸送層上に表面保護層を形成することも可能である。
表面保護層の例としては、絶縁性樹脂からなる絶縁性表面保護層、金属酸化物などの抵抗制御剤を分散した抵抗制御型表面保護層、電荷輸送性を付与した高分子化合物などによる電荷輸送性表面保護層などが挙げられる。
絶縁性樹脂からなる絶縁性表面保護層に用いられる、絶縁性樹脂としては、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリケトン樹脂、ポリカーボネート樹脂等の縮合樹脂や、ポリビニルケトン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアクリルアミド樹脂のようなビニル重合体等が上げられる。
また、抵抗制御剤を分散した抵抗制御型表面保護層における抵抗制御剤としては、カーボンブラックや金属、金属酸化物などの粒子を用いることができる。粒子径は、100nm以下であることが好ましい。
更に、これらの金属酸化物は、必要に応じて分散性等諸特性の改善のためシランカップリング剤やチタンカップリング剤、ジルコニウムカップリング剤などの有機化合物で表面処理を行うことも可能である。
これらの中でも、抵抗制御型表面保護層には、粒子径が100nm以下の金属酸化物を用いることが好ましい。これにより、抵抗制御型表面保護層は、透明性に富み、厚膜を形成しても透過率の低下が少ないために感度の減少を抑制することができる。そのため、耐摩耗強度が高いのに加えて、厚膜化が可能な効果を併せて、中間転写体寿命の向上が一層可能である。
抵抗制御型表面保護層は、ポリビニルブチラールなどのアセタール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、カゼイン、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ゼラチン、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン−アルキッド樹脂、フェノール樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂などの結着樹脂に上記抵抗制御剤(粒子)を分散して成膜される。
抵抗制御剤は、結着樹脂に分散して成膜されるが、適当な塗膜抵抗を得るために抵抗制御剤の添加量は調整される。抵抗制御剤の添加量としては、結着樹脂固形分中に、10〜60体積%、好ましくは20〜50体積%が含有される。
さらに、前記電荷輸送性表面保護層としては、分子内に電荷輸送性を付与した高分子化合物(以下、電荷輸送性高分子化合物と称する場合がある。)を用いることや、シリコーンハードコート剤等の強靭なコート剤中に低分子の電荷輸送剤を分子レベルで分散させるなどして電荷輸送機能をもたせた樹脂成分を用いることができる。
電荷輸送性高分子化合物を用いる場合の結着樹脂としては、ポリアミド樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリケトン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルケトン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂等の公知の樹脂が挙げられる。また、これらは必要に応じて互いに架橋させて使用することもできる。
表面保護層の形成は、上述した各表面保護層を構成する成分を含む塗布液を用意し、それを塗布、乾燥することにより行う。なお、抵抗制御剤や電荷輸送性高分子化合物の分散配合の方法は、上述した電荷輸送層の形成の方法と同様の方法で行う。表面保護層の厚みは0.1〜20μmの範囲であることが好ましく、より好ましくは1〜10μmの範囲に設定される。この表面保護層を形成するための塗布液の塗布方法としては、ブレードコーティング法、ワイヤーバーコーティング法、スプレーコーティング法、浸漬コーティング法、リングコーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等の通常の方法を用いることができる。
また、表面保護層を形成するための塗布液に用いる溶剤としては、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム、クロロベンゼン、トルエン、アルコール等の通常の有機溶剤を単独或いは2種以上混合して用いることができるが、できるだけこの塗布液が塗布される感光層を溶解しにくい溶剤を用いることが好ましい。
(基材)
次に、本発明における光導電層を有する中間転写体を構成する基材について説明する。なお、本発明においては、光導電層を有していない中間転写体として、下記基材そのもの、あるいはこれに前記表面保護層を設けたもの等が好ましく用いられる。
前記基材は、その形状に特に制限はなく、ベルト状やドラム状に構成することができる。本発明における基材は、色ずれの観点から、ヤング率が2000〜8000MPaの範囲の機械特性を満足することができる樹脂材料であれば、特に限定はない。上記ヤング率は3000〜6000MPaの範囲がより好ましい。
なお、本発明における基材の引張り弾性率は、JIS K 7127に準拠し、AIKOH ENGINEERING CO., LTD. 製FA1015Aを用いて測定することができる。また、測定には、基材を短冊状(5mm×40mm)に切断したものをサンプルとして用い、試験スピード20mm/minの条件により行った。
また、本発明における基材は、体積抵抗率が1×108〜1×1013Ωcmの半導電性であることが好ましく、より好ましい体積抵抗率は、1×109〜1×1012Ωcmである。前記基材の体積抵抗率が1×108Ωcm未満の場合には、後述するタンデム式画像形成装置にこの中間転写体を適用すると、1次転写の各色間での抵抗が低いために転写部で必要な転写電圧が印加できなくなる場合がある。また、1×1013Ωcmを超える場合には、電荷の除去が十分にできないなどの問題が発生する場合がある。
基材に用いられる樹脂材料としては、例えば、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、フッ素系樹脂、塩化ビニル酢酸ビニル共重合体、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、塩化ビニル系樹脂、ABS樹脂、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル樹脂、ポリアミド(PA)等が挙げられる。これらは単独で若しくは2種以上併せて用いられる。これらの中でも、上述した、電荷輸送層、電荷発生層、下引層を被覆乾燥する時の乾燥温度による影響がなく、構成強度と屈曲疲労性の両面に優れている点で、ポリイミド樹脂が好適に用いられる。
ポリイミド樹脂としては、例えば、芳香族テトラカルボン酸成分と、芳香族ジアミン成分と、を有機極性溶媒中で反応させて得られるものである。芳香族テトラカルボン酸成分としては、ピロメリット酸、ナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸、ナフタレン−2,3,6,7−テトラカルボン酸、2,3,5,6−ビフェニルテトラカルボン酸、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ジフェニルエ−テルテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−アゾベンゼンテトラカルボン酸、ビス(2,3−ジカルポキシフェニル)メタン、ビス(3,4−ジカルポキシフェニル)メタン、β,β−ビス(3,4−ジカルポキシフェニル)プロパン、β,β−ビス(3,4−ジカルポキシフェニル)ヘキサフオロプロパン等があり、これらのテトラカルボン酸類の混合物でもよい。
また、芳香族ジアミン成分としては、特に制限はなく、m−フェニルジアミン、p−フェニルジアミン、2,4−ジアミノトルエン、2,6−ジアミノトルエン、2,4−ジアミノクロロベンゼン、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、1,4−ジアミノナフタレン、1,5−ジアミノナフタレン、2,6−ジアミノナフタレン、2,4’−ジアミノナフタレビフェニル、ベンジジン、3,3−ジメチルベンジジン、3,3’−ジメトキシベンジジン、3,4’−ジアミノジフェニルエ−テル、4,4’−ジアミノジフェニルエ−テル(オキシ−p,p’−ジアニリン;ODA)、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノフェニルスルホン、4,4’−ジアミノアゾベンゼン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、β,β−ビス(4−アミンフェニル)プロパン等が挙げられる。
また、上記有機極性溶媒としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホルトリアミド等を挙げることができる。
これらの有機極性溶媒には、必要に応じて、クレゾール、フェノール、キシレノール等のフェノール類、ヘキサン、ベンゼン、トルエン等の炭化水素類を混合することができる、これらの溶剤も、単独で、又は2種類以上の混合物として用いられる。
前記基材は、上記の体積抵抗率(電気抵抗)を得るために、必要に応じて、電子伝導性を付与する導電剤やイオン伝導性を付与する導電剤を1種類又は2種類以上を組み合わせて添加する。
電子伝導性系導電剤として、カーボンブラック、グラファイト、アルミニウム、ニッケル、銅合金などの金属又は合金、酸化錫、酸化亜鉛、チタン酸カリム、酸化錫−酸化インジウム又は酸化錫−酸化アンチモン複合酸化物などの金属酸化物などを挙げることができる。また、イオン伝導性導電剤としては、スルホン酸塩やアンモニア塩など、また、カチオン系、アニオン系、ノニオン系などの各種の界面活性剤がある。
更には、導電性ポリマーをブレンドする方法があり、導電性ポリマーとしては、例えば、カルボキシル基に4級アンモニウム塩基を結合する(メタ)アクリレートとの各種(例えばスチレン)共重合体、4級アンモニウム塩基と結合するマレイミドとメタアクリレートとの共重合体等の4級アンモニウム塩基を結合するポリマー、ポリスルホン酸ナトリウムなどのスルホン酸のアルカリ金属塩を結合するポリマー、分子鎖中に少なくともアルキルオキシドの親水性ユニットを結合するポリマー、例えば、ポリエチレンオキシド、ポリエチレングリコール系ポリアミド共重合体、ポリエチレンオキド−エピクロルヒドリン共重合体ポリエーテルアミドイミド、ポリエーテルを主セグメントとするブロック型のポリマー、更には、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリアセチレン、ポリピロール、ポリフェニレンビニレンなどを挙げることができ、これらの導電性ポリマーを脱ドープ状態、又はドープ状態で用いることができる。上記、導電剤又は導電性ポリマー、又は、界面活性剤を1種又は2種以上を組み合わせ用いることによって、前記した電気抵抗を安定して得ることができる。
本発明における導電剤としては、樹脂組成物中への分散性がよく、良好な分散安定性が得られ、抵抗バラツキを小さくすることができると共に、電界依存性も小さくなり、更に、転写電圧による電界集中が起こりにくくなることにより電気抵抗の経時での安定性が向上することから、pH5以下の酸性カーボンブラックが好ましい。
上記酸性カーボンブラックのpH値は、pH5.0以下であることが好ましく、pH4.5以下であることがより好ましく、pH4.0以下であることが更に好ましい。pH5.0以下の酸性カーボンは、外にカルボキシル基、水酸基、キノン基、ラクトン基などの酸素含有官能基があるので、樹脂中への分散性がよく、良好な分散安定性が得られ、中間転写体の抵抗バラツキを小さくすることができると共に、電界依存性も小さくなり、転写電圧による電界集中が起こりにくくなる。
前記カーボンブラックのpHは、水性懸濁液を調整し、ガラス電極で測定することで求められる。また、前記カーボンブラックのpHは、酸化処理工程での処理温度、処理時間等の条件によって、調整することができる。
pH5.0以下の酸化処理カーボンブラックは、その揮発成分の含有量が1〜25%であることが好ましく、3〜20%であることがより好ましく、3.5〜15%含まれていることが更に好ましい。前記揮発成分の含有量が1%未満である場合には、外に付着する酸素含有官能基の効果がなくなり、結着樹脂への分散性が低下する場合がある。一方、前記揮発成分の含有量が25%より高い場合には、樹脂組成物に分散させる際に分解してしまう場合や、外の酸素含有官能基に吸着された水などが多くなるなどによって、本発明における基材の外観が悪くなる場合がある。
これに対し前記揮発成分の含有量を1〜25%とすることで、前記樹脂組成物中への分散をより良好とすることができる。尚、前記揮発成分の含有は、カーボンブラックを950℃で7分間加熱したときに、出てくる有機揮発成分(カルボキシル基、水酸基、キノン基、ラクトン基等)の割合により求めることができる。
中間転写体における基材には、カーボンブラックは2種類以上含有してもよい。そのとき、これらのカーボンブラックは実質的に互いに導電性の異なるものであると好ましく、例えば、酸化処理の度合い、DBP吸油量、窒素吸着を利用したBET法による比表面積等の物性が異なるものを用いる。このように導電性の異なる2種類以上のカーボンブラックを添加する場合、例えば、高い導電性を発現するカーボンブラックを優先的に添加した後、導電率の低いカーボンブラックを添加して表面抵抗率を調整すること等が可能である。このように2種類以上のカーボンブラックを含有させる場合も、少なくとも、そのうちの1種類にpH5.0以下の酸化処理カーボンブラックを使うことによって、両方のカーボンブラックの混合や分散を高めることができる。
前記pH5.0以下の酸性カーボンブラックは、一般的なカーボンブラックに比べ、前述したように表面に存在する酸素含有官能基の効果により、樹脂組成物中への分散性がよいため、導電性微粉末としての添加量を高くすることが好ましい。これにより、基材中のカーボンブラックの量が多くなるため、前記電気抵抗値の面内バラツキを押えることができる等の酸化処理カーボンブラックを用いることの効果を最大限発揮することができる。
本発明における基材に対する前記pH5.0以下の酸性カーボンブラックの含有量としては、上記の好ましい体積抵抗率(電気抵抗)を満たすことができればよいが、具体的には、10〜30質量%であると、中間転写体の表面抵抗率の面内バラツキを抑制するなど、酸性カーボンブラックの効果が発揮できるため、好ましい。前記pH5.0以下の酸性カーボンブラックが10質量%未満であると電気抵抗の均一性が低下し、表面抵抗率の面内ムラや電界依存性が大きくなる場合がある。一方、前記pH5.0以下の酸化処理カーボンブラックの含有量が30質量%を超えると所望の抵抗値が得られ難くなる場合がある。更に、前記pH5.0以下の酸化処理カーボンブラックを18〜30質量%含有させることがより好ましい、前記pH5.0以下の酸化処理カーボンブラックを18〜30質量%含有させることにより、その効果を最大限発揮させることができ、抵抗の面内ムラや電界依存性を少なくさせることができる。
(中間層)
本発明に用いられる中間転写体の構成としては、図4(B)のように、基材110と表面層である光導電層120との間に1層以上の中間層130を有する構造であってもよい。上記中間層130としては、その硬度がJIS−Aにて40〜70度の範囲の弾性層であることが好ましい。このような硬度の弾性層を有することにより、中間転写体自体の硬度がJIS−Aにて40〜70度の範囲になるように調整することができ、像担持体や記録紙に対する追従性や転写性の向上を図ることができる。前記中間層のJIS−A硬度は45〜65度の範囲であることがより好ましい。
ここで、本発明におけるJIS−A硬度とは、JIS K 6253(1997)に準拠した硬度を指す。本発明においては、中間層のJIS−A硬度は、JIS K 6253(1997)に準拠して、島津製作所製デュロメータ タイプAを用いて測定することができる。また、測定には、シート状のサンプルを用いた。なお、中間転写体自体のJIS−A硬度を測定する際も同様である。
また、本発明における中間層の厚さは0.01〜0.5mmの範囲が好ましく、より好ましくは、0.05〜2mmの範囲である。
本発明における中間層を構成する材料としては、JIS−A硬度が上記範囲を満たし、かつ、後述する基材と同等の体積抵抗率を有していれば、特に制限されるものではなく、これらの硬度や体積抵抗率は、下記ゴム材料の選択、及び導電剤や低分子量成分等の添加量により調整することができる。具体的には、ニトリルゴム、エチレンプロピレンゴム、クロロプレンゴム、イソプレンゴム、スチレンゴム、ブタジエンゴム、ブチルゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、ウレタンゴム、エピクロロヒドリンゴム、アクリルゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム等のゴム材料に、導電剤を分散したものが挙げられる。
導電剤としては、電子伝導性を付与する導電剤やイオン伝導性を付与する導電剤を1種類又は2種類以上を組み合わせて添加することができる。
電子伝導性系導電剤として、カーボンブラック、グラファイト、アルミニュウム、ニッケル、銅合金などの金属又は合金、酸化錫、酸化亜鉛、チタン酸カリム、酸化錫−酸化インジウム又は酸化錫−酸化アンチモン複合酸化物などの金属酸化物などを挙げることができる。また、イオン伝導性導電剤としては、スルホン酸塩やアンモニア塩など、また、カチオン系、アニオン系、ノニオン系などの各種の界面活性剤等が用いられる。
これらのゴム材料、導電剤は、それぞれ、単独或いは2種以上を混合して使用することができる。
なお、これらのゴム材料としては、液状ゴム材料を用いることが好ましい。液状ゴム材料を用いることで、上層である電荷生成層との濡れ性が良好になり、後述する接着層140を介在させる必要がなくなる。このように、層構成を単純化することが可能となり、中間転写体を製造する上で非常に有利である。また、コスト面でも同様に有利である。
このような液状ゴム材料を用いた中間層の形成は、通常、カーボンブラック等の導電剤を分散した液状ゴム材料を、そのまま、又は適当な溶媒により粘度を調整して、前述した弾性層上に塗布、焼付け・加硫を行うことができる。
また、液状ゴム材料以外のゴム材料を用いた場合、中間層は下記のようにして形成される。
まず、上記の原料ゴム材料にカーボンブラック等の導電剤を添加したものをバンバリー等の練り機を用いて、混練をする。混練した材料を、プレス加工してゴムシートを成形する。そのゴムシートを前述した弾性層上に巻きつけた状態で、加硫・接着することで中間層が形成される。
本発明における前記光導電層により構成される表面層は、光が照射されない状態では誘電体であることから、上述したように、体積抵抗率(暗抵抗)は1×1013Ωcm以上、好ましくは1×1014Ωcm以上となっている。また、光が照射された状態では、抵抗率が変化して、導電性を示す。
なお、本発明の中間転写体の体積抵抗率は、円形電極(例えば、ダイヤインスツルメント社製ハイレスターIPのHRプローブ)を用い、JIS K 6911に従って測定することができる。前記体積抵抗率の測定方法を図を用いて説明する。図5は、円形電極の一例を示す概略平面図(A)及び概略断面図(B)である。
図5に示す円形電極は、第一電圧印加電極A’と第二電圧印加電極B’とを備える。第一電圧印加電極A’は、円柱状電極部C’と、該円柱状電極部C’の外径よりも大きい内径を有し、且つ円柱状電極部C’を一定の間隔で囲む円筒状のリング状電極部D’とを備える。第一電圧印加電極A’における円柱状電極部C’及びリング状電極部D’と第二電圧印加電極B’との間に中間転写体1を挟持し、第一電圧印加電極A’における円柱状電極部C’と第二電圧印加電極B’との間に電圧V(V)を印可したときに流れる電流I(A)を測定し、下記式(1)により、中間転写体1の体積抵抗率ρv(Ωcm)を算出することができる。ここで、下記式(1)中、tは、中間転写体1の厚さを示す。
式(1) ρv=19.6×(V/I)×t
また、本発明に用いられる中間転写体は、体積抵抗率と同様にブラー発生の観点から、表面抵抗率が暗抵抗で1×1013Ω/□以上であることが好ましく、1×1014Ω/□以上であることがより好ましい。
中間転写体の表面抵抗率も、円形電極(例えば、ダイヤインスツルメント社製ハイレスターIPのHRプローブ)を用い、JIS K 6911に従って測定することができる。ここで用いられる円形電極は、前記図5に示されるものと同様のものを用いることができる。
表面抵抗率の測定は、第一電圧印加電極A’の円柱状電極部C’及びリング状電極部D’と、板状絶縁体B’と、の間に中間転写体1を挟持した状態で、第一電圧印加電極Aにおける円柱状電極部C’とリング状電極部D’との間に電圧V(V)を印可したときに流れる電流I(A)を測定し、下記式(2)により、中間転写体1の表面抵抗率ρs(Ω/□)を算出することができる。
なお、中間転写体の外周面(或いは内周面)の表面抵抗率を測定する場合には、外周面(或いは内周面)が円柱状電極部C’及びリング状電極部D’に接するように中間転写体1を配置する。
式(2) ρs=π×(D+d)/(D−d)×(V/I)
ここで、下記式(2)中、d(mm)は円柱状電極部C’の外径を示し、D(mm)はリング状電極部D’の内径を示す。
なお、上記体積抵抗率及び表面抵抗率の測定方法は、上述した基材の体積抵抗率及び表面抵抗率を測定する際にも適用することができる。
前記中間転写体を中間転写ベルトとして使用する場合、その厚みは、総厚みで0.03〜1.0mmの範囲内であることが好ましく、0.05〜0.8mmの範囲内であることがより好ましく、0.1〜0.5mmの範囲内であることが更に好ましい。
総厚みが0.03mm未満の場合には、ベルト駆動時の外乱(負荷変動)によるベルトの伸び・縮み(変位量)が大きくなり、良好な画質を安定して得ることができない場合がある。また、総厚みが1.0mmを超える場合には、駆動系ロールなどのベルト屈曲部でのベルトの外側表面の変形量が大きくなり、良好な画質を得られない場合がある。また、ベルトの外側と内側との変形量が大きくなり、局部的な繰り返し応力のためにベルトが破断するなどの問題が生じる場合がある。
なお、表面層(光導電層)の厚みは、中間転写体の総厚みの10〜80%の範囲内であることが好ましく、20〜60%の範囲内であることがより好ましい。
以下、本発明の画像形成装置における中間転写ベルトを用いた転写機構と、転写残トナーの除電機構と、クリーニングとについて、再び、図1を参照して、より詳細に説明する。
図1に示される中間転写ベルト22は、画像形成装置の感光体ドラム21表面に接触する1次転写領域Q3、記録紙61に接触する2次転写領域Q4、除電ランプ91による除電領域Q5、及びクリーニングロール96によるクリーニング領域Q6を順次通過するように矢印B方向に回転移動する。ここで、1次転写領域Q3及び2次転写領域Q4を通過時の中間転写ベルト22における光導電層は光照射されず、誘電体の状態である。中間転写ベルト22は、1次転写領域Q3の通過時に、感光体ドラム21表面のトナー像が1次転写され、1次転写されたトナー像が2次転写領域Q4の通過時に記録紙61に2次転写される。
このように、本実施形態で用いている中間転写ベルト22は、その表面層が、光が照射されない状態では誘電体であり体積抵抗率が高いので、1次転写及び2次転写する際には誘電体(絶縁体)の状態で転写を行うことができる。この際、中間転写ベルト22の表面層(光導電層)の表面に沿った電荷の移動が少ないので、1次転写領域Q3及び2次転写領域Q4において、トナー像の飛散の少ない良好な転写を行うことができる。
本発明の画像形成装置においては、トナーはその帯電特性が負極性であるか正極性であるかは問わないが、便宜上、負帯電トナーを用いて説明する。
負帯電トナーの場合には、導電性ローラ45(1次転写手段)に正電圧を印加して1次転写を行う。これにより、1次転写後の中間転写ベルト22は、裏面側に導電性ローラ45による正の電荷が蓄積し、表面側にはトナー及びカウンタチャージによる負の電荷が蓄積される。カラー画像を得る場合には、2色目以降順次1次転写電圧を上げていき、中間転写ベルト22上に複数色のトナー像を形成すればよい。
続いて、2次転写の際、トナー像の記録紙61への転写時は、中間転写ベルト22の表面側には2次転写像に応じた不均一な正の電荷が供給され、裏面側には負の電荷が供給される。2次転写後の中間転写ベルト22の表面電位は、2次転写電圧が1次転写電圧より低い場合には、−(マイナス)となり、2次転写電圧が1次転写電圧より高い場合には、+(プラス)となる。
ここで、中間転写ベルト22の表面電位が残っている状態で次の画像の1次転写工程を行うと、蓄積した電荷の不均一さによる1次転写ムラの発生により画像のにじみ、飛び散り、太り等の乱れが発生してしまう。更には、中間転写ベルト22の表面の除電機構が無く、2次転写後も負の電荷が蓄積していった場合、1次転写、2次転写を繰り返す毎に電荷が蓄積され中間転写ベルト22の表面電位が過剰に高い−(マイナス)の値(裏面側は過剰に高い+(プラス)の表面電位)となり、そのために、次の画像での必要な1次転写電圧も非常に高くなってしまう。
このため2次転写後には、中間転写ベルト22に蓄積した電荷を均一にある一定レベル以下とすることが必要となる。ここで、ある一定レベルとは、感光体ドラム21の表面電位、トナー帯電量、前転写領域の形態等に応じて定まるレベルである。
本発明では、前記除電領域Q5において転写残トナーの除電とともに中間転写ベルト22の蓄積電荷も除去することができる。
すなわち、例えば本実施形態においては、光導電層を表面層として備えた中間転写体を中間転写ベルト22として用いているため、中間転写ベルト22の表面電荷は、2次転写後に除電ランプ91により光照射することで、前記中間転写ベルト22表面の転写残トナーの電荷とともに容易に光除去することができる。これは、中間転写ベルト22内の光導電性物質が光を吸収して発生した自由キャリアが、表面に存在する対向する電荷を中和させることによるものである。
なお、本実施形態においては中間転写ベルト22の表面層に光導電層を設けているが、該光導電層がない中間転写ベルトにおいても同様の効果を得ることができる。
また、中間転写ベルト22に蓄積した電荷及び転写残トナーからリークした電荷は、除電ランプ91により光除電された後、更に、中間転写ベルト22の内周部に当接している、アースされた除電用導電部材90によって、中間転写ベルト22の外へ排出されることが好ましい。そのため、中間転写ベルト22の回転方向(図1の矢印B方向)において、除電用導電部材90は除電ランプ91よりも下流側に設けられることが好ましい。また、除電用導電部材90は、中間転写ベルト22の裏面側又は表面側のいずれにも配置可能であり、中間転写ベルト22に接触することで電荷の排出(除去)が行なわれる。除電用導電部材90としては、体積抵抗率が1×105〜1×1010Ωcmに調整してなる導電剤を分散してなる弾性ロール(例えば、カーボンブラック分散のエピクロルヒドリンゴムロールなど)を用いることができる。このように、除電用導電部材90は、ロール状であってもよいし、ブレード状、ブラシ状であってもよい。
除電用導電部材90を裏面側に配置した場合には、常時、中間転写ベルト22に接触させた状態で使用できるが、表面側に配置した場合には、カラートナー像の多重転写の際に2次転写が終わるまでは中間転写ベルト22から離れた位置に配置し、2次転写終了後の除電を行うときに中間転写ベルト22に接触するように構成する必要がある。
その場合には、除電用導電部材90を中間転写ベルト22に接触する位置と離れた位置との間で移動させる移動機構が必要となる。したがって、除電用導電部材90を中間転写ベルト22の裏面に常時接触させるように配置した場合には、前記移動機構が不要となって、構成が簡素となり、コストも低くなるので有利である。
除電領域Q5を通過した転写残トナーは、次に帯電制御ロール94により例えば−(マイナス)に均一に帯電制御され、続いてクリーニング領域Q6において+(プラス)電圧を印加されたクリーニングロール96により静電吸着される。
中間転写ベルト22は、上記帯電制御ロール94、クリーニングロール96により電圧を印加された場合でも、その電圧は導電性ローラ45やバイアスローラ23に印加される電圧より低いものであり、さらに両者は逆極性の電圧として印加されるため、クリーニング領域Q6通過後でも前記蓄積電荷が除去された中間転写ベルト22の表面には、ほとんど電荷が残ることはない。また、必要であればクリーニング領域Q6の下流側に、さらに除電部材を設けてもよい。
以上のように、既述の構成の本発明の画像形成装置は、静電的なクリーニング手段の上流側に光照射手段と帯電制御手段とを備えることにより、確実な転写残トナーのクリーニングが可能であり、更に、中間転写体の電荷を容易に除去可能であるため、トナーの飛び散りによる画質欠陥が著しく少なく、高品質の転写画質を安定して得ることができる。
次に、本発明の画像形成装置の他の一例として、各色毎の現像器を備えた複数の像担持体を中間転写ベルト上に直列に配置したタンデム型のカラー画像形成装置について図面を用いて説明する。
図3は、本発明の画像形成装置の他の例を示す概略模試図である。図3に示す画像形成装置は、4つのトナーカートリッジ71、1対の定着ロール72、バックアップロール73、テンションロール74、2次転写ロール75、用紙経路76、用紙トレー77、レーザー発生装置78、4つの感光体79、4つの1次転写ロール80、駆動ロール81、転写クリーナー82、4つの帯電ロール83、感光体クリーナー84、現像器85、中間転写ベルト86、中間転写ベルト86に光照射する除電ランプ91(光照射手段)等を主用な構成部材として含んでなる。
次に、図3に示す画像形成装置の構成について順次説明する。まず、感光体79の周囲には、反時計回りに帯電ロール83、現像器85、中間転写ベルト86を介して配置された1次転写ロール80、感光体クリーナー84が配置され、これら1組の部材が、1つの色に対応した現像ユニットを形成している。また、この現像ユニット毎に、現像器85に現像剤を補充するトナーカートリッジ71がそれぞれ設けられており、各現像ユニットの感光体79に対して、帯電ロール83と現像器85との間の感光体79表面に画像情報に応じたレーザー光を照射することができるレーザー発生装置78が設けられている。
4つの色(例えば、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック)に対応した4つの現像ユニットは、画像形成装置内においてほぼ水平方向に直列に配置されており、4つの現像ユニットの感光体79と1次転写ロール80とのニップ部を挿通するように中間転写ベルト86が設けられている。中間転写ベルト86は、その内周側に以下の順序で反時計回りに設けられた、バックアップロール73、テンションロール74、及び駆動ロール81により張架されている。なお、4つの1次転写ロールはバックアップロール73とテンションロール74との間に位置する。また、中間転写ベルト86を介して駆動ロール81の反対側には中間転写ベルト86の外周面をクリーニングする転写クリーナー82が駆動ロール81に対して圧接するように設けられている。
また、中間転写ベルト86を介してバックアップロール73の反対側には用紙トレー77から用紙経路76を経由して搬送される記録用紙の表面に、中間転写ベルト86の外周面に形成されたトナー像を転写するための2次転写ロール75が、バックアップロール73に対して圧接するように設けられている。バックアップロール73と駆動ロール81との間の中間転写ベルト86の外周面側には、除電ランプ101、帯電制御ロール104、クリーニングロール106がこの順に設置されており、除電ランプ101の位置には中間転写ベルト86の内周面に当接するように、アースされた除電用導電部材100が設置されている。
また、画像形成装置の底部には記録用紙をストックする用紙トレー77が設けられ、用紙トレー77から用紙経路76を経由して2次転写部を構成するバックアップロール73と2次転写ロール75との圧接部を通過するように供給することができる。この圧接部を通過した記録用紙は更に1対の定着ロール72の圧接部を挿通するように不図示の搬送手段により搬送可能であり、最終的に画像形成装置外へと排出することができる。
次に、図3の画像形成装置を用いた画像形成方法について説明する。トナー像の形成は各現像ユニット毎に行なわれ、帯電ロール83により反時計方向に回転する感光体79表面を一様に帯電した後に、レーザー発生装置78(露光装置)により帯電された感光体79表面に潜像を形成し、次に、この潜像を現像器85から供給される現像剤により現像してトナー像を形成し、1次転写ロール80と感光体79との圧接部に運ばれたトナー像を矢印A方向に回転する中間転写ベルト86の外周面に転写する。なお、トナー像を転写した後の感光体79は、その表面に付着したトナーやゴミ等が感光体クリーナー84によりクリーニングされ、次のトナー像の形成に備える。
各色の現像ユニット毎に現像されたトナー像は、画像情報に対応するように中間転写体86の外周面上に順次重ね合わされた状態で、2次転写部に運ばれ2次転写ロール75により、用紙トレー77から用紙経路76を経由して搬送されてきた記録用紙表面に転写される。トナー像が転写された記録用紙は、更に定着部を構成する1対の定着ロール72の圧接部を通過する際に加圧加熱されることにより定着され、記録媒体表面に画像が形成された後、画像形成装置外へと排出される。
2次転写部を通過した中間転写ベルト86は、矢印C方向に更に進み、除電ランプ91と除電用導電部材90とにより、転写残トナーの電荷及び自身の蓄積した電荷が除電される。その後、帯電制御ロール104により転写残トナーが帯電された後、クリーニングロール106により外周面がクリーニングされ、次のトナー像の転写に備える。
なお、中間転写ベルト86の蓄積した電荷及び転写残トナーの電荷は、図1に示した画像形成装置における中間転写ベルト22の電荷の除電機構と同様に、除電ランプ101による光除電に加え、除電用導電部材100による中間転写ベルト86の外への電荷の排出により、除電されることが好ましい。ここで用いられる除電ランプ101及び除電用導電部材100は、前記図1に示した画像形成装置における除電ランプ91及び除電用導電部材90と同様である。
また、除電ランプ101と除電用導電部材100との設置位置の関係も、前記図1に示される画像形成装置における除電ランプ91と除電用導電部材90との関係と同様である。
さらに、図3に示す画像形成装置においても、除電ランプ101としては、例えば、赤色光LEDなどを用いることができる。また、除電用導電部材100は、中間転写ベルト86の裏面側又は表面側のいずれにも配置可能であり、ここでも、除電用導電部材100としては、体積抵抗率を1×105〜1×1010Ωcmの範囲に調整してなる導電剤を分散して弾性ロール(例えば、カーボンブッラク分散のエピクロルヒドリンゴムロールなど)を用いることができる。
以上のような構成のタンデム式の画像形成装置においても、中間転写ベルト86として、前記表面層として光導電層を有する中間転写体を用いることで、更に中間転写ベルト86の電荷及び転写残トナーの電荷を容易に除去可能であるため、クリーニング特性に優れ、トナーの飛び散りによる画質欠陥が著しく少なく、高品質の転写画質を安定して得ることができる。
さらに、本発明の画像形成装置では、トナーとして球状トナーを用いることが好ましい。トナーとして球状トナーを用いることにより、転写面を構成する材料が、表面硬度が低く、かつ高体積抵抗であることによって、画質欠陥(ホロキャラクター(中抜け)、ブラー、カラーレジ(色ずれ))のない高品質の転写画質を得ることができる。
上記球状トナーとは、その形状係数SF1が、100〜140の範囲であることを意味する。本発明においては、形状係数SF1としては100〜130の範囲であることが好ましく、100〜120の範囲であることがより好ましい。この平均形状係数SFが140より大きくなると転写効率が低下してしまい、プリントサンプルの画質の低下が目視で確認できてしまう。
上記トナー形状係数SF1は、スライドグラス上に散布したトナー粒子、またはトナーの光学顕微鏡像を、ビデオカメラを通じてルーゼックス画像解析装置(ニレコ社製)に取り込み、50個以上のトナーの最大長と投影面積を求め、下記式(3)によって計算し、その平均値を求めることにより得られるものである。
SF1=(ML2/A)×(π/4)×100 ・・・ (3)
上記式(3)中、MLはトナー粒子の最大長、Aはトナー粒子の投影面積を各々示す。
球状トナーは、少なくとも結着樹脂と着色剤とを含有してなる。この球状トナーは、好ましくは体積平均粒径が2〜12μmの範囲の粒子、より好ましくは3〜9μmの範囲のトナー粒子を用いることができる。
前記結着樹脂としては、スチレン、クロロスチレン等のスチレン類;エチレン、プロピレン、ブチレン、イソプレン等のモノオレフィン類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル、酪酸ビニル等のビニルエステル類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ドデシル等のα−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルブチルエーテル等のビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類;等の単独重合体及び共重合体を例示することができ、特に代表的な結着樹脂としては、ポリスチレン、スチレン−アクリル酸アルキル共重合体、スチレン−メタクリル酸アルキル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン等が挙げられる。さらに、ポリエステル、ポリウレタン、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリアミド、変性ロジン、パラフィンワックス等も挙げられる。
着色剤としては、マグネタイト、フェライト等の磁性粉、カーボンブラック、アニリンブルー、カルコイルブルー、クロムイエロー、ウルトラマリンブルー、デュポンオイルレッド、キノリンイエロー、メチレンブルークロリド、フタロシアニンブルー、マラカイトグリーンオキサレート、ランプブラック、ローズベンガル、C.I.ピグメント・レッド48:1、C.I.ピグメント・レッド122、C.I.ピグメント・レッド57:1、C.I.ピグメント・イエロー97、C.I.ピグメント・イエロー17、C.I.ピグメント・ブルー15:1、C.I.ピグメント・ブルー15:3等を代表的なものとして挙げることができる。
球状トナーには、帯電制御剤、離型剤、他の無機微粒子等の公知の添加剤を内添加処理や外添加処理してもよい。離型剤としては低分子ポリエチレン、低分子ポリプロピレン、フィッシャートロプシュワックス、モンタンワックス、カルナバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス等を代表的なものとして挙げられる。
帯電制御剤としては、公知のものを使用することができるが、アゾ系金属錯化合物、サリチル酸の金属錯化合物、極性基を含有するレジンタイプの帯電制御剤を用いることができる。湿式製法でトナーを製造する場合、イオン強度の制御と廃水汚染の低減の点で水に溶解しにくい素材を使用するのが好ましい。
他の無機微粒子としては、粉体流動性、帯電制御等の目的で、平均1次粒径が40nm以下の小径無機微粒子を用い、更に必要に応じて、付着力低減の為、それより大径の無機あるいは有機微粒子を併用してもよい。これらの他の無機微粒子は公知のものを使用できる。例えば、シリカ、アルミナ、チタニア、メタチタン酸、酸化亜鉛、ジルコニア、マグネシア、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、リン酸カルシウム、酸化セリウム、チタン酸ストロンチウム等が挙げられる。また、小径無機微粒子については表面処理することにより、分散性が高くなり、粉体流動性をあげる効果が大きくなるため有効である。
球状トナーは、特に製造方法により限定されるものではなく、公知の方法により得ることができる。具体的には、例えば結着樹脂及び着色剤と、必要に応じて離型剤及び帯電制御剤等を混練、粉砕、分級する混練粉砕法、混練粉砕法にて得られた粒子を機械的衝撃力または熱エネルギーにて形状を変化させる方法、結着樹脂の重合性単量体を乳化重合させ、形成された分散液と、着色剤、必要に応じて離型剤及び帯電制御剤等の分散液とを混合し、凝集、加熱融着させ、球状トナーを得る乳化重合凝集法、結着樹脂を得るための重合性単量体と、着色剤、必要に応じて離型剤、帯電制御剤等の溶液を水系溶媒に懸濁させて重合する懸濁重合法、結着樹脂及び着色剤と必要に応じて離型剤及び帯電制御剤等の溶液を水系溶媒に懸濁させて造粒する溶解懸濁法等が挙げられる。
また、上記方法で得られた球状トナーをコアにして、さらに樹脂微粒子等を付着、加熱融合してコアシェル構造をもたせる製造方法を行ってもよい。外添剤を添加する場合、球形トナー及び外添剤をヘンシェルミキサーあるいはVブレンダー等で混合することによって製造することができる。また、球状トナーを湿式にて製造する場合は、湿式にて外添することも可能である。
以下に、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。以下、特に断りのない限り、「部」は「質量部」を、「%」は「質量%」を意味する。
<中間転写体の作製>
(中間転写体1)
−基材の作製−
3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)と、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(DDE)とからなるポリアミド酸のN−メチルー2ピロリドン(NMP)溶液(宇部興産製ユーワニスS(固形分:18%)に、この溶液中のポリイミド系樹脂を形成することが可能な原料の固形分100部に対して、乾燥した酸化処理カーボンブラック(SPECIAL BLACK4(Degussa社製、pH:3.0、揮発分:14.0%))を23部になるよう添加して、衝突型分散機(ジーナス製、GeanusPY)を用い、圧力200MPaで、最小面積が1.4mm2で2分割後衝突させ、再度2分割する経路を5回通過させて、混合して、基材用のカーボンブラック入りポリアミド酸溶液(A)を得た。
上記カーボンブラック入りポリアミド酸溶液(A)を、内径168.5mmの円筒状金型内面に、ディスペンサーを介して塗膜の厚みが0.5mmとなるように塗布し、金型を1500rpmで15分間回転させて均一な厚みを有する塗膜を形成した後、金型を250rpmで回転させながら、金型の外側より60℃の熱風を30分間あてた後、150℃で60分間加熱し、室温にまで冷却して皮膜を形成した。
その後、金型の内面に形成された皮膜を剥離して、この皮膜を外径168mmの金属芯体の外周を覆うように被覆して400℃まで2℃/分の昇温速度で昇温し、更に400℃で30分加熱し、皮膜に残留する溶媒及び脱水閉環水を除去すると共に、イミド転化反応を完結させた。その後、金属芯体を室温にまで冷却した後に、金属芯体表面に形成されたポリイミドフィルムを剥離することにより、厚みが0.08mmの無端ベルト状の基材を得た。
得られた基材のヤング率は3800MPaであり、体積抵抗率は1×109.5Ωcm、表面抵抗率は1×1012Ω/□であった。
なお、上記表面抵抗率の計測は、前述のように、図5に示す円形電極(ダイヤインスツルメント社製、ハイレスターIPのHRプローブ)を用い、22℃/55%RH環境下にて、第一電圧印加電極A’における円柱状電極部C’とリング状電極部D’との間に電圧100(V)を印加し、10秒後の電流値より求めた。 また、体積抵抗率の計測は、同様に、22℃/55%RH環境下にて、第一電圧印加電極A’における円柱状電極部C’と第二電圧印加電極B’との間に電圧100(V)を印加し、10秒後の電流値より求めた。
−光導電層の形成−
・下引層の形成
酸化亜鉛(MZ300:テイカ社製:比表面積値30m2/g)を150℃にて5時間加熱乾燥後、酸化亜鉛100部をトルエン500部と攪拌混合し、シランカップリング剤(KBM403:信越化学社製)5部を添加し、2時間攪拌した。その後、トルエンを減圧蒸留にて留去し、150℃で2時間焼き付けを行った。
前記表面処理を施した酸化亜鉛60部と、硬化剤ブロック化イソシアネート(スミジュール3175、住友バイエルンウレタン社製)15部と、ブチラール樹脂(エスレックBM−1、積水化学社製)15部とをメチルエチルケトン85部に溶解した溶液38部と、メチルエチルケトン25部とを混合し、直径1mmのガラスビーズを用いてサンドミルにて2時間の分散を行い分散液を得た。
得られた分散液に、触媒としてジオクチルスズジラウレート0.005部、シリコーンオイル(SH29PA、東レダウコーニングシリコーン社製)0.01部を添加し、下引層用塗布液を得た。
この下引層用塗布液を用い、浸漬塗布法にて、前記無端ベルト状の基材表面に塗布し、160℃、100分の乾燥硬化を行い、膜厚20μmの下引層を形成した。
・電荷発生層の形成
次に、電荷発生物質として、Cukα線を用いたX線回折スペクトルのブラッグ角度(2θ±0.2°)において、少なくとも、7.5°、9.9°、12.5°、16.3°、18.6°、25.1°、28.1°の位置に明瞭な回折ピークが得られるヒドロキシガリウムフタロシアニン15部、結着樹脂としてのブチラール樹脂(エスレックBM−1、積水化学社製)10部及びn−ブチルアルコール300部からなる混合物を、サンドミルにて4時間分散した。
得られた分散液を電荷発生層用塗布液として、前記下引層表面に浸漬塗布し乾燥し、膜厚0.2μmの電荷発生層を形成した。
・電荷輸送層の形成
次に、ジ(3,4−ジメチルフェニル)(4−フェニルフェニル)アミン2部と、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン2部と、ビスフェノールZポリカーボネート(数平均分子量:4万)6部とに、テトラヒドロフラン80部、及び2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール0.2部を加えて溶解した。得られた液を電荷輸送層用塗布液として、前記電荷発生層表面に浸漬塗布し、120℃、40分の乾燥を行うことにより膜厚25μmの電荷輸送層を形成した。
以上により、図4(A)に記載の層構成を有する中間転写体1を得た。この中間転写体1の光導電層側の暗抵抗は、1014Ωcm以上であった。なお、この暗抵抗は、試料を暗所に1分間放置後、前記の方法により測定したものである。
(中間転写体2)
前記中間転写体1と同様の基材を用い、基材と下引層との間に弾性層(中間層)を設けた構成の中間転写体2を作製した。
−弾性層−
イソシアネートとして、コロネート4028(日本ポリウレタン工業(株)製)100部と、ポリオールとして、ニッポラン4599(日本ポリウレタン工業(株)製)93部とを用い、導電剤として、カーボンブラック(商品名:プリンテックス140U(pH:4.5)、デグサ・ジャパン社製)22部を混合して、弾性層形成液を調製した。
外径168mmの円筒状金型の外周を覆うように被覆した前記無端ベルト状の基材上に、前記弾性層形成液をロールコーターで塗布した後、温度80℃、120分間加熱して、熱硬化性ウレタン層を硬化させて、厚さ0.5mmの弾性層を形成した。得られた弾性層のJIS−A硬度は45°であった。また、弾性層を形成した基材の体積抵抗率は、3×1010Ωcmであった。
上記、弾性層を形成した基材に、中間転写体1の作製と同様にして、下引層、電荷発生層の形成、電荷輸送層を順次形成した。これにより、図4(B)に記載の層構成から表面保護層128を除いた層構成を有する中間転写体2を得た。なお、この中間転写体2の光導電層側の暗抵抗は、1014Ωcm以上であった。
(中間転写体3)
3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)と、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(DDE)とからなるポリアミド酸のN−メチル−2ピロリドン(NMP)溶液(宇部興産製ユーワニスS(固形分:18%)に、この溶液中のポリイミド系樹脂を形成することが可能な原料の固形分100部に対して、乾燥した酸化処理カーボンブラック(SPECIAL BLACK4(Degussa社製、pH:3.0、揮発分:14.0%))を25部になるよう添加して、衝突型分散機(シーナス製GeanusPY)を用い、圧力200MPaで、最小面積が1.4mm2で2分割後衝突させ、再度2分割する経路を5回通過させて、混合して、基材用のカーボンブラック入りポリアミド酸溶液(B)を得た。
上記カーボンブラック入りポリアミド酸溶液(B)を、内径168.5mmの円筒状金型内面に、ディスペンサーを介して塗膜の厚みが0.5mmとなるように塗布し、金型を1500rpmで15分間回転させて均一な厚みを有する塗膜を形成した後、金型を250rpmで回転させながら、金型の外側より60℃の熱風を30分間あてた後、150℃で60分間加熱し、室温にまで冷却して皮膜を形成した。
その後、金型の内面に形成された皮膜を剥離して、この皮膜を外径168mmの金属芯体の外周を覆うように被覆して400℃まで2℃/分の昇温速度で昇温し、更に400℃で30分加熱し、皮膜に残留する溶媒及び脱水閉環水を除去すると共に、イミド転化反応を完結させた。その後、金属芯体を室温にまで冷却した後に、金属芯体表面に形成されたポリイミドフィルムを剥離することにより、厚みが0.08mmの無端ベルト状の基材を得た。
この基材に対し、表面層を形成することなくそのまま用いて中間転写体3とした。なお、得られた基材のヤング率は3800MPaであり、体積抵抗率は1×109.2Ωcm、表面抵抗率は5×1011Ω/□であった。
<実施例1〜3>
得られた中間転写体1〜3を、図1に示す画像形成装置とほぼ同様な構成の富士ゼロックス(株)Docu Color1255CPに、表1の実施例に示すように各々中間転写ベルト22として装着し、更に、光照射手段として、除電ランプ91及び除電用導電部材90、帯電制御手段として帯電制御ロール94、クリーニング手段としてクリーニングロール96も図1に示すように装着した。ここで、除電ランプ91としては、赤色光LEDを用いた。除電用導電部材90としては、体積抵抗率を106Ωcmに調整してなる導電剤を分散してカーボンブラック分散のエピクロルヒドリンゴムロールを用いた。
なお、帯電制御ロール94としては、体積抵抗率を1×106Ωcmに調整してなるエピクロルヒドリンゴムロール を、クリーニングロール96としては 体積抵抗率を105.9Ωcmに調整してなるエピクロルヒドリンゴムロールを用い、各々帯電制御バイアスVBTとして+600V、クリーニングバイアスVBCとして−600V印加できるように改造した。
このような画像形成装置を用い、プロセススピードを220mm/secとして連続画像出しを行い、その後2次転写による転写画質等について評価した。なお、ここで用いた記録紙61は、富士ゼロックスオフィスサプライ(株)フルカラー複写機用紙 J紙である。トナーとしては、形状係数(SF1)125、体積平均粒子径5.5μmの球状トナーを用いた。
評価としては、低温低湿環境(LL:10℃、15%RH)、高温高湿環境(HH:28℃、85%RH)の両環境を使用し、LLで3万枚、HHで3万枚、LLで3万枚、HHで3万枚の順で計12万枚の画像出しを行った後、以下のようにして転写画質、クリーニング性を評価した。
なお、評価時のプリントサンプルとしては、画像パターンとして、1枚目は、イエロー、マゼンタ、シアン、黒の各単色、2次色、3次色の2cm角大のソリッド、及びライン画像で構成した。
(転写画質の評価)
連続画像出し後の画像におけるブラーの発生状況について、以下の基準により評価した。
◎:ブラーの発生なし。
○:ブラーの発生は、わずかであり、画質上での問題なし。
△:ブラーの発生は少しあるが、画質上での問題は少ない。
×:ブラーの発生があり、画質上での問題あり。
また、ホロキャラクターの発生状況について、以下の基準により評価した。
◎:画質上の問題なし。
○:ホロキャラクターの発生がわずかであるが、画質上の問題はない。
△:ホロキャラクターの発生は少しあるが、画質上の問題は少ない。
×:ホロキャラクターの発生があり、画質上の問題あり。
(クリーニング性の評価)
連続画像出し後の中間転写ベルト表面のクリーニング不良の有無を目視で確認し、以下の基準により判断した。
◎:画質上の問題はない
○:クリーニング不良の発生がわずかであるが、画質上の問題はない。
△:クリーニング不良の発生は少しあるが、画質上の問題は少ない
×:クリーニング不良の発生があり、画質上の問題あり。
以上の評価結果をまとめて表1に示す。
<比較例1〜2>
実施例に用いた画像形成装置において、除電ランプ91を点灯させず、帯電制御ロール94及びクリーニングロール96を取り外して、代わりに当接方向の長さが8mm、厚さが2mmのゴムブレードを、中間転写体ベルト22に対して当接角25度、押圧0.5N/cmとして押しつけクリーニング部材とした以外は同様にして評価を行った。なお、上記ゴムブレードの特性は以下の通りである。
−ゴムブレードの特性−
・反発弾性係数(10℃):20%未満
・反発弾性係数(40℃):60%
・100%永久伸び:3.8%
・300%モジュラス:280kg/cm
・引き裂き強度:73kg/cm
評価結果を表1に示す。
<比較例3>
実施例に用いた画像形成装置において、除電ランプ91を点灯させなかった以外は同様にして評価を行った。
結果を表1に示す。
Figure 2006267737
表1に示すように、実施例1及び2では、連続画像出し後のプリントサンプルにおいて、濃度ムラやブラー(トナーの飛び散り)のない均一な画像が得られ、クリーニング性も良好であった。なお、転写直後では中間転写ベルト22の表面電位は、−300V〜−400V程度の画像パターンに応じていると思われる表面電位ムラがあったが、除電ランプ91の点灯照射後に、除電用導電部材90による除電が行なわれると、中間転写ベルト22の表面電位は−10V〜−30Vの間で、ほぼ均一となった。
一方、クリーニング装置が従来の構成である比較例では、中間転写ベルトの構成によっては画質を維持できるものの、クリーニング性はいずれにおいても不良であった。
本発明の画像形成装置の要部部分を説明する模試図である。 本発明における二次転写後の構成の拡大模試図である。 本発明の画像形成装置の他の例を示す概略模試図である。 本発明のおける中間転写体の構成例を示す概略断面図であり、(A)は中間転写体100aの構成を示す概略断面図であり、(B)は中間転写体100bの構成を示す概略断面図である。 円形電極の一例を示す概略平面図(A)及び概略断面図(B)である。
符号の説明
1 中間転写体
21、79 感光体ドラム(像担持体)
22、86 中間転写ベルト(中間転写体)
23 バイアスローラ(二次転写手段)
24、77 用紙トレー
25 ブラック現像器
26 イエロー現像器
27 マゼンタ現像器
28 シアン現像器
29 中間転写体クリーナ
33 剥離爪
41、43、44 ベルトローラ
42 バックアップローラ
45 導電性ローラ(一次転写手段)
46 電極ローラ
50 除電ロール
51 クリーニングブレード
61 記録紙
62 ピックアップローラ
63 フィードローラ
71 トナーカートリッジ
72 定着ロール
73 バックアップロール
74 テンションロール
75 2次転写ロール
76 用紙経路
78 レーザー発生装置
80 1次転写ロール
81 駆動ロール
82 転写クリーナー
83 帯電ロール
84 感光体クリ−ナー
85 現像器
90 除電用導電部材
91、101 除電ランプ
93、95、97 電源
94、104 帯電制御ロール
96、106 クリーニングロール
100a、100b 中間転写体
110 基材
120 表面層
122 下引層
124 電荷発生層
126 電荷輸送層
128 表面保護層
130 弾性層(中間層)
R、T トナー
Q3 1次転写領域
Q4 2次転写領域
Q5 除電領域
Q6 クリーニング領域

Claims (4)

  1. 少なくとも、像担持体上にトナー像を形成する手段、該トナー像を中間転写体上に一次転写する手段、該中間転写体上のトナー像を転写材上に二次転写する手段、該二次転写後に前記中間転写体の表面を光照射する光照射手段、及び前記中間転写体表面に残った二次転写残トナーを静電的に回収するクリーニング手段を有し、前記クリーニング手段の上流側かつ前記光照射手段の下流側に、さらに前記中間転写体表面の二次転写残トナーの帯電極性及び帯電量を制御する帯電制御部材を備えたことを特徴とする画像形成装置。
  2. 前記中間転写体が、少なくとも基材と、表面層として設けられた光導電層と、を有する2層以上の構成からなることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
  3. 前記中間転写体が、前記基材と表面層との間に1層以上の中間層を有してなり、該中間層のJIS A硬度が40〜70度の範囲であり、前記基材のヤング率が2000〜8000MPaの範囲の樹脂材料であることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
  4. 形状係数SF1が、100〜140の範囲であるトナーを用いることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
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JP2011018000A (ja) * 2009-07-10 2011-01-27 Ricoh Co Ltd 画像形成装置

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